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特開2023-105795薬局業務支援プログラムおよび薬局業務支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105795
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】薬局業務支援プログラムおよび薬局業務支援装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20230724BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206674
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2022006411の分割
【原出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】522025743
【氏名又は名称】モーガン・ヘレラ・カルメン・ヴェロニカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーガン・ヘレラ・カルメン・ヴェロニカ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】薬局における業務を容易に管理することができる薬局業務支援プログラムを提供する。
【解決手段】薬局業務支援プログラムは、薬剤師から、処方箋データの処方内容を代替医薬品に変更する指示を受け付け、変更後の処方内容の確定指示として薬剤師の最初のデジタル署名を受け付けて表示器に表示し、調剤完了指示として薬剤師の最後のデジタル署名を受け付けて表示器に表示する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方箋データを受け付けるプロセスと、
前記処方箋データを表示器に表示するプロセスと、
薬剤師から、前記処方箋データの処方内容を代替医薬品に変更する指示を受け付けるプロセスと、
前記薬剤師から、変更後の処方内容の確定指示として最初のデジタル署名を受け付け、前記薬剤師の最初のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスと、
前記薬剤師の最初のデジタル署名を受け付けた後に、前記処方箋データの処方内容を、前記薬剤師から受け付けた代替医薬品の内容に変更して、変更処方箋データを作成するプロセスと、
前記変更処方箋データに基づいて調剤した薬を確認した薬剤師から、調剤完了指示として最後のデジタル署名を受け付け、前記薬剤師の最後のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスと、
を実行させる薬局業務支援プログラム。
【請求項2】
前記変更処方箋データに基づいて在庫情報を更新するプロセスを前記情報処理装置に実行させる、
請求項1に記載の薬局業務支援プログラム。
【請求項3】
調剤後の前記薬を出荷位置に移動させた後に補助者の最初のデジタル署名を受け付け、前記補助者の最初のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスと、
前記補助者から、前記薬の準備が完了した後に前記補助者の最後のデジタル署名を受け付け、前記補助者の最後のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスと、
を前記情報処理装置に実行させ、
前記薬剤師の最後のデジタル署名は、前記薬剤師が前記補助者の最後のデジタル署名を確認した後に準備された前記薬を確認し、前記補助者に前記薬の梱包を指示した後に受け付ける、
請求項1または請求項2に記載の薬局業務支援プログラム。
【請求項4】
前記薬が前記出荷位置から出荷された後に配達担当者から該配達担当者の最初のデジタル署名を受け付け、前記配達担当者の最初のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスと、
前記薬の配達完了後に前記配達担当者から該配達担当者の最後のデジタル署名を受け付け、前記配達担当者の最後のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスと、
を前記情報処理装置に実行させる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の薬局業務支援プログラム。
【請求項5】
前記薬剤師の最後のデジタル署名を確認して請求書を作成する請求書作成担当者から、該請求書作成担当者のデジタル署名を受け付け、前記請求書作成担当者のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスをさらに前記情報処理装置に実行させる、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の薬局業務支援プログラム。
【請求項6】
医薬品の請求プロトコルを自動学習した所定の計算ルールに基づいて請求書を計算するプロセスをさらに前記情報処理装置に実行させる、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の薬局業務支援プログラム。
【請求項7】
SOAP形式の薬歴を表示するプロセスと、
表示したSOAP形式の薬歴について、薬剤師から編集作業を受け付けるプロセスと、
前記SOAP形式の薬歴を作成するプロセスと、
を前記情報処理装置に実行させる、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の薬局業務支援プログラム。
【請求項8】
居宅療養管理指導における相談内容の入力を薬剤師から受け付けるプロセスと、
前記受け付けた相談内容に基づく報告書を作成するプロセスと、
を前記情報処理装置に実行させる、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の薬局業務支援プログラム。
【請求項9】
処方箋データを受け付けるプロセスと、
前記処方箋データを表示器に表示するプロセスと、
薬剤師から、前記処方箋データの処方内容を代替医薬品に変更する指示を受け付けるプロセスと、
前記薬剤師から、変更後の処方内容の確定指示として最初のデジタル署名を受け付け、前記薬剤師の最初のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスと、
前記薬剤師の最初のデジタル署名を受け付けた後に、前記処方箋データの処方内容を、前記薬剤師から受け付けた代替医薬品の内容に変更して、変更処方箋データを作成するプロセスと、
前記変更処方箋データに基づいて調剤した薬を確認した薬剤師から、調剤完了指示として最後のデジタル署名を受け付け、前記薬剤師の最後のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスと、
を実行する薬局業務支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬局の業務を支援する薬局業務支援プログラムおよび薬局業務支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、薬局業務支援システムが記載されている。特許文献1の薬局業務支援プログラムは、処方箋情報を受信し、処方箋情報に対応する正規薬およびジェネリック薬をリストアップし、リストから正規薬およびジェネリック薬のいずれかを、所定のルールに基づいて自動選択し、選択された医薬品のチェックを薬剤師から受け付けて、選択結果に応じて在庫から医薬品を分配し、在庫情報を更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006-502814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬局業務は、複数の薬剤師や、薬剤師の補助者、事務員(請求書作成担当者)等、多数の業務担当者が必要である。特に、老人福祉施設等の在宅向け薬局では、医療機関から同時に多数の処方箋を受け取り、調剤した薬を施設に配達する必要がある。そのため、それぞれ他の業務担当者がどの様な作業を完了し、次に何をすべきか、多数の業務担当者が相互に確認することが難しい。また、外来薬局についても、複数の患者が同時に到着した場合、患者は、薬剤師からの説明と薬を受け取るまで、順番が来るのを待たなければならない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、薬局における業務を容易に管理することができる薬局業務支援プログラムおよび薬局業務支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る薬局業務支援プログラムは、処方箋データを受け付けるプロセスと、前記処方箋データを表示器に表示するプロセスと、薬剤師から、前記処方箋データの処方内容を代替医薬品に変更する指示を受け付けるプロセスと、前記薬剤師から、変更後の処方内容の確定指示として最初のデジタル署名を受け付け、前記薬剤師の最初のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスと、前記薬剤師の最初のデジタル署名を受け付けた後に、前記処方箋データの処方内容を、前記薬剤師から受け付けた代替医薬品の内容に変更して、変更処方箋データを作成するプロセスと、前記変更処方箋データに基づいて調剤した薬を確認した薬剤師から、調剤完了指示として最後のデジタル署名を受け付け、前記薬剤師の最後のデジタル署名を受け付けた旨を前記表示器に表示するプロセスと、を情報処理装置に実行させる。
【0007】
薬局業務支援プログラムは、薬剤師の作業に応じてデジタル署名を受け付けて、該デジタル署名を表示器に表示する。これにより、各業務担当者は、薬局業務の各作業がどの様に、どこまで進んでいるのか、容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各業務担当者は、薬局における業務を容易に管理することができる。これにより、薬局業務支援プログラムは、人為的なミス無くを防止し、薬局業務に必要な作業時間を著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】薬局業務支援システム1の全体概念を示す概念図である。
図2】PM Pharmacist Applicationの処理の流れを示すフローチャートである。
図3】PM Pharmaceuticalの処理の流れを示すフローチャートである。
図4】PM Pharmaceuticalの処理の流れを示すフローチャートである。
図5】PM Invoiceの処理の流れを示すフローチャートである。
図6】PM drug historyの1つの処理を示す図である。
図7】PM drug historyの処理の流れを示すフローチャートである。
図8】PM visit(またはPM report)の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】PM visit(またはPM report)で作成される報告書の一例である。
図10】PM deliveryの処理の流れを示すフローチャートである。
図11】PM pharmacistで表示される画面の一例である。
図12】PM pharmaceuticalで表示される画面の一例である。
図13】PM invoiceで表示される画面の一例である。
図14】端末で表示されるログイン画面の一例である。
図15】PM reportで各種レポートを表示する処理の流れを示すフローチャートである。
図16】ログイン画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図16を参照して、薬局業務支援システム1の全体とアプリケーションソフトウェアについて説明する。図1は、薬局業務支援システム1の全体概念を示す概念図である。まず、薬局業務支援システム1は、処方箋(I)を受け付ける(II)。
【0011】
薬局業務支援システム1は、いくつかのツールを利用して処方箋を処理する(III)。ツールは、プログラミングツールやメール等を含む。プログラミングツールは、処方箋に記載されているQRコード(登録商標)を読み取り、処方箋データを読み込む。あるいは、プログラミングツールは、スキャナを介して処方箋を画像データとして読み込む。あるいは、プログラミングツールは、FAXを介して処方箋を画像データとして読み込む。プログラミングツールは、画像データの処方箋に含まれている各テキストを抽出するOCR処理を行う。プログラミングツールは、抽出したテキストをJAHIS等の標準規格の構文に対応させて、当該JAHISの標準規格で規定されている順序に並び替えて整理する。薬局業務支援システム1は、メール等のツールで、処方箋データをクラウドサーバに送信する(IV)。
【0012】
なお、OCRにより読み取った処方箋に記載されている各テキストは、必ずしもJAHISの標準規格で規定されている順序に並んでいるとは限らない。処方箋は、例えば、病院や施設毎に記載順が異なっていたり、あるいは手書きで修正されたり、内容が追記されたりする。しかし、本実施形態の薬局業務支援システム1で用いるプログラミングツールは、処方箋に含まれているテキストデータをJAHISの標準規格に準じた形式に整理する。したがって、薬局業務支援システム1は、どの様な形式の処方箋を受け付けた場合であってもレセコン(レセプトを作成するレセプト作成用コンピュータ)に入力して利用可能なデータとして整理することができる。
【0013】
本実施形態の薬局業務支援プログラムは、一例として、スマートフォンあるいはタブレット型コンピュータ等のモバイル端末のOS(例えばiOSあるいはAndoroid(登録商標)OS)に搭載されるアプリケーションプログラムである。図14は、当該アプリケーションプログラムを起動した時に表示するログイン画面の一例である。薬局業務支援プログラムの一例であるPM pharmacistは、クラウドサーバのデータと同期する(V)。PM pharmacistは、薬剤師による作業を支援する。PM pharmaceuticalは、PM pharmacistに含まれるアプリケーションプログラムであり、変更された処方箋に基づく調剤を支援する(VI)。PM invoiceは、PM pharmacistに含まれるアプリケーションプログラムであり、薬剤の調剤に応じて請求作業を支援する(VII)。
【0014】
なお、PMとは、Modified Prescription(変更された処方箋)の略である。薬剤師は、医師から提出された処方内容を代替医薬品に変更する。PM pharmacistをはじめとする本実施形態の薬局業務支援プログラムは、この様な、変更された処方箋に対応して、薬局業務を支援する。
【0015】
図2は、PM pharmacistの処理の流れを示すフローチャートである。薬剤師は、アプリケーションプログラムを起動して図14に示す様なログイン画面からPM pharmacistにログインする(S1)。薬剤師等の各業務担当者には、ログインIDおよびパスワードが設定されている。各担当者は、自身のログインIDおよびパスワードで薬局業務支援プログラムにログインすることで、アプリケーションプログラムを使用することができる。
【0016】
薬剤師は、PM pharmacistで表示される処方箋の確認作業を行う(S2)。図11は、PM pharmacistで表示される画面の一例である。
【0017】
薬剤師は、PM pharmacistで表示される画面を介して患者データを確認する(S3)。また、薬剤師は、その他の患者情報(医療費保険等)を入力する(S4)。PM pharmacistは、患者の薬歴(SOAP形式:主観的情報(患者が話した内容、自覚症状)(S:Subjective)、客観的情報(処方内容、変更点、薬剤師の観察所見、検査データ)(O:Objective)、評価ならびに指導(SおよびOから薬剤師としての評価・判断とそれに基づく指導内容)(A:Assessment)、および計画(次回に尋ねる点や注意すべきこと)(P:Plan)から構成される。)を作成する(S5)。そして、薬剤師は、処方箋の処方欄を確認し、処方内容を代替医薬品に変更する指示を行う。薬局業務支援プログラムは、受け付けた処方箋を、薬剤師が入力した代替医薬品に変更する指示を受け付ける(S6)。これにより、PM pharmaceuticalによる調剤作業に進む。
【0018】
図3は、PM pharmaceuticalの処理の流れを示すフローチャートである。図12は、PM pharmaceuticalで表示される画面の一例である。PM pharmaceuticalは、調剤作業を支援するプログラムである。
【0019】
薬剤師は、処方箋の変更を確定すると、薬剤師の最初のデジタル印鑑(デジタル署名、以下、デジタル印鑑またはデジタル署名と称する。)を押す(S7)。図12の例では、「Y最初」と表示された欄の「山村」と表示されたものが薬剤師の最初のデジタル署名である。デジタル署名は、例えばログインしている薬剤師の名前に対応する。薬剤師が「Y最初」の欄の円形の部分をクリックすると、PM pharmaceuticalは、薬剤師の名前を表示し、最初のデジタル署名を受け付ける。
【0020】
その後、薬剤師は薬を準備して調剤を行い(S8)、調剤した薬剤の監査を行う(S9)。薬剤師は、調剤した薬剤が正しいことを確認すると、薬剤師の最後のデジタル印鑑を押す(S10)。図12の例では、「Y完了」と表示された欄の「山村」と表示されたものが薬剤師の最後のデジタル署名である。薬剤師が「Y完了」の欄の円形の部分をクリックすると、PM pharmaceuticalは、薬剤師の名前を表示し、薬剤師の最後のデジタル署名を受け付ける。これにより、薬局業務は、PM invoiceによる請求作業に進む。また、PM pharmaceuticalは、薬剤師の最後のデジタル署名を受け付けると、対応する変更処方箋データの薬が出荷されたものとみなして、在庫情報を更新してもよい。これにより、薬の在庫情報を自動的に更新することもできる。
【0021】
なお、PM pharmaceuticalを用いた調剤は、補助者にも利用される。補助者は、薬剤師の監督下で調剤を支援する作業員である。図4は、補助者によるPM pharmaceuticalの処理の流れを示すフローチャートである。補助者は、アプリケーションプログラムを起動してPM pharmaceuticalにログインする(S11)。補助者は、薬剤師の最初のデジタル印鑑を確認する(S12)。薬剤師の最初のデジタル印鑑を確認すると、補助者は、調剤を補助する(S13)。例えば、補助者は、補助作業として薬を準備して、薬剤をパッケージ化する前の状態にする。補助者は、薬剤をパッケージ化する前の状態にすると、補助者の最初のデジタル印鑑を押して、薬剤師に通知する(S14)。補助者の最初のデジタル印鑑は、図12の例では、「P最初」と記載された欄に表示される。補助者が「P最初」の欄の円形の部分をクリックすると、PM pharmaceuticalは、補助者の名前を表示し、補助者の最初のデジタル署名を受け付ける。
【0022】
これにより、薬剤師は、変更された処方箋に応じた薬の準備が完了したことを容易に知ることができる。したがって、薬剤師は、変更処方箋データの内容を確定させた後に該薬の準備が完了するまでの間、例えば次の処方箋データの内容を確認する等して、効率的に薬局業務を行うことができる。薬剤師は、当該補助者の最初のデジタル印鑑を確認すると、薬剤の監査を行い、薬剤師の最後のデジタル印鑑を押す。補助者は、薬剤師の最後のデジタル印鑑を確認すると、ラベルを付けてパッケージ化する(S15)。これにより、薬剤が出荷できる状態になる。
【0023】
図5は、PM invoiceの処理の流れを示すフローチャートである。図12は、PM invoiceで表示される画面の一例である。事務員(請求書作成担当者)は、アプリケーションプログラムを起動してPM invoiceにログインする(S16)。事務員は、薬剤師の最後のデジタル印鑑を確認すると、PM invoiceで「請求書作成」等のアイコン操作子をクリックする。PM invoiceは、事務員のクリック操作を受けて、請求書を自動的に計算し、計算結果をレセコンに入力する(S17)。PM invoiceは、JAHIS等のレセコンで読み取り可能なプロトコル従った形式の請求書を計算する。PM invoiceは、日本の医薬品請求法の請求プロトコル(例えば調剤報酬点数表に定められた算定要件を満たす、基本的かつ実用的な調剤料金)を自動学習した人工知能を備えるデジタルマネージャプログラムである。PM invoiceは、学習した人工知能により、所定の計算ルールで請求書を自動計算する。請求書の計算手法は、例えば、薬剤服用歴管理指導料(麻薬管理指導加算、重複投薬・相互作用等防止加算、特定薬剤管理指導加算、乳幼児服薬指導加算、吸入薬指導加算、調剤後薬剤管理指導加算)、かかりつけ薬剤師指導料(麻薬管理指導加算、重複投薬・相互作用等防止加算、特定薬剤管理指導加算、乳幼児服薬指導加算)、あるいは、薬剤服用歴管理指導料等を加算するか否か等、患者毎、薬局毎に異なる場合がある。PM invoiceは、この様な患者毎、薬局毎の請求プロトコルを学習し、請求書を高精度かつ高速に自動計算する。PM invoiceは、事務員がわずか1クリックをするだけで、上記の計算を行う。
【0024】
従来、請求書は、上述の様な加算の有無等を、ヒューマンエラーを伴う人が判断し、かつレセコンを用いて手動で入力する必要があったため、作成に5~7分を要していた。しかし、PM invoiceは、ワンクリックで、わずか1秒で請求書を作成することができ、かつヒューマンエラーを著しく低減することができる。
【0025】
レセコンは、PM invoiceで計算された請求書の計算結果を受信する(S18)。事務員は、レセコンを操作して請求書の発行作業を行い、その後、PM invoiceを操作し、事務員のデジタル印鑑を押して請求書の発行作業の完了を通知する(S19)。事務員のデジタル印鑑は、図13の例では、「I完了」と表示された欄に表示される。事務員が「I完了」の欄の円形の部分をクリックすると、PM invoiceは、補助者の名前を表示し、事務員のデジタル署名を受け付ける。
【0026】
以上の様に、本実施形態の薬局業務支援プログラムは、各業務担当者の作業に応じてデジタル署名を受け付けて、該デジタル署名を表示器に表示する。これにより、各業務担当者は、薬局業務の各作業がどの様に、どこまで進んでいるのか、容易に確認することができる。したがって、各業務担当者は、人為的なミス無く、薬局業務に必要な作業時間を著しく低減することができる。例えば、従来のシステムでは、外来薬局であっても在宅向け薬局であっても、処方箋の受け付けから薬剤の出荷および請求書の発行作業の完了まで1人の患者の作業ために約20分程度の時間を要していた。しかし、本実施形態の薬局業務支援システム1は、外来薬局であっても在宅向け薬局であっても、一連の作業をわずか2分で行うことができる。また、本実施形態の薬局業務支援システム1は、在宅向け薬局であっても外来薬局であっても効果的である。例えば、薬局業務支援システム1は、外来薬局においても、患者の待ち時間を著しく短縮することができる。また、在宅向け薬局でも、例えば鉛筆のメモを作成するという人為的ミスを回避することができる。
【0027】
図6を参照して、薬の受け渡しと薬歴(SOAP)の登録について説明する。図6は、PM drug historyの1つの処理を示す図である。図6では、特に、薬の受け渡しと薬歴(SOAP)の登録処理(S20)について説明する。S20の処理は、例えば外来薬局で薬歴の確認、作成と薬を受け渡しする時に行われる。
【0028】
薬剤師が患者に薬を受け渡すとき、薬剤師は患者に薬の説明を行う。この時、薬剤師は、薬歴(SOAP)を確認する。従来、薬歴(SOAP)は手作業またはPC等を用いて後で作成され、患者の前では作成されなかった。従来、薬剤師は、後で(例えば1日の業務終了時に)薬歴(SOAP)を紙またはPC等を用いてデジタルで書き込む。薬剤師は、薬歴(SOAP)を正しく書き込むため、患者の健康状態を後で確認するために患者の前では手でパレット等に書き込む。そのため、生産性が悪く、人為的エラーも生じる。これに対し、PM drug historyは、薬歴(SOAP)を書き込むための機能を備えている。PM drug historyは、例えば図11の下側に示す様な薬歴(SOAP)を表示する。SOAPの各欄にはプルダウンメニューが割り当てられている。プルダウンメニューは、例えば過去に入力した内容が自動的に割り当てられる。薬剤師は、プルダウンメニューから適切な内容を選択し、薬歴を編集することができる。そのため、薬剤師は、患者と一緒に健康状態を確認しながら、わずか4回のクリック作業で薬歴(SOAP)を書き込むことができる。従来、薬歴(SOAP)の作成は、薬剤師のスキルによって異なるが、患者1人あたり5~7分程度必要であった。PM drug historyは、薬剤師のスキルによって異なるが、薬歴(SOAP)を患者1人あたり4~20秒で書き込むことができる。
【0029】
図7は、PM drug historyの処理の流れを示すフローチャートである。PM drug historyも、端末に搭載されるアプリケーションプログラムであり、オプションプログラムの1つである。PM drug historyは、処方箋データを入力すると、薬歴を読み出す(S21)。薬歴は全てクラウドサーバに記憶されている。PM drug historyは、処方箋が変更されると、クラウドサーバに保存された処方箋データの変更を行う(S22)。そして、PM drug historyは、変更された処方箋に応じてクラウドサーバに保存されている薬歴を変更して、新たな薬歴を保存する(S23)。
【0030】
図8は、PM visit(またはPM report)の処理の流れを示すフローチャートである。PM visitとPM reportは、同じアプリケーションプログラムであり、オプションプログラムの1つである。図9は、PM visit(またはPM report)で作成される報告書の一例である。
【0031】
PM visit(またはPM report)は、居宅療養管理指導(以下、訪問と称する。)に用いられる。薬剤師は、老人福祉施設等を訪問し、患者の服薬状況を確認する。訪問は、医師、看護師、および薬剤師によって行われる。医師、看護師、および薬剤師は、患者の健康状況に応じて次の投薬について相談する。薬剤師は、相談の結果に応じて仮の処方箋を作成し、仮の処方箋と相談結果に関する情報を医師に報告する。医師は、薬剤師の報告に応じて確定処方箋を作成し、該確定処方箋を薬局に送付する。薬剤師は、確定処方箋を受け取り、居宅療養管理指導報告書(以下、報告書と称する。)を作成する。事務員は、薬剤師の管理の下、報告書をケアマネージャに送付し、介護保険の請求書を作成する。
【0032】
薬剤師は、モバイルコンピュータ(端末)を携帯し、訪問を行う。薬剤師は、モバイルコンピュータからPM visit(またはPM report)にログインする(S24)。
【0033】
薬剤師は、患者の薬歴を確認する(S25)。薬剤師は、医師の指示に従って患者の往診中に処方箋を準備する(S26)。つまり、薬剤師は、仮の処方箋を作成する。また、薬剤師は、医師および看護師との相談の結果に応じて、相談結果に関する情報を入力する。報告内容は、残薬確認、服薬状況、過剰服用、飲み忘れ等、服薬拒否、有効性、副作用、重複投薬、相互作用、OTC併用、麻薬使用、保管状況、および薬剤師のコメントを含む。これらの報告内容には、それぞれプルダウンメニューが割り当てられている。薬剤師は、各報告内容について、プルダウンメニューから適切な内容を選択することができる。また、薬剤師のコメント欄には、自由なテキストを入力することができる。これにより、薬剤師は、報告書を容易かつ迅速に作成することができる。
【0034】
この様にして、薬剤師は、報告書を作成する(S27)。PM visit(またはPM report)は、入力された仮の処方箋データおよび相談結果に関する情報を医療機関に送信してもよい。医師は、薬剤師の報告に応じて確定処方箋を作成し、該確定処方箋を薬局に送付する。報告書の作成が完了すると、事務員は、薬剤師の管理の下、確定した報告書をケアマネージャに送付し、介護保険の請求書を作成する。
【0035】
PM visit(またはPM report)は、訪問に関する作業を支援することができる。これにより、薬剤師は、人為的なミス無く、訪問に必要な作業時間を著しく低減することができる。従来、薬剤師は、1人の患者の報告書作成のために約5分程度の時間を要していた。しかし、本実施形態の薬局業務支援システム1は、1人の患者の報告書作成作業をわずか30秒程度で行うことができる。
【0036】
図10は、PM deliveryの処理の流れを示すフローチャートである。PM deliveryも、端末に搭載されるアプリケーションプログラムであり、オプションプログラムの1つである。薬剤の配達担当者は、PM deliveryにログインする(S28)。配達担当者は、PM deliveryから配達手順を確認する(S29)。配達担当者は、配達手順を確認すると、配達担当者の最初のデジタル印鑑を押す(S30)。これにより、薬局に配達の開始を通知する。配達担当者は、配達の完了後、配達担当者の最後のデジタル印鑑を押し(S31)、薬局に配達の完了を通知する。これにより、各業務担当者は、薬の配達が開始されたこと、および薬の配達が完了したことを容易に確認することができる。
【0037】
図15は、PM reportで各種レポートを表示する処理の流れを示すフローチャートである。図16は、ログイン画面の一例を示す図である。薬剤師または事務員は、PM reprtのアプリケーションプログラムにログインする時、図16に示す様に、「reports」を選択できる。薬剤師または事務員が「reports」を選択すると、PM reportは各種レポートを表示する画面にログインする(S32)。例えばPM reportは、薬価更新レポートを作成、表示する(S33)。薬価更新レポートは、人工知能アルゴリズムにより自動作成される。本実施形態の薬局業務支援プログラムは、例えば政府の公式ホームページ(例えば社会保険診療報酬支払基金)で公開されている薬価の変更情報および新薬の販売情報とリンクし、リアルタイムに薬価を更新する。PM reportは、更新された薬価を入力し、薬価更新レポートを出力する。
【0038】
また、PM reportは、販売レポート(S34)、購入レポート(S35)、および在庫レポート(S36)を生成、表示する。販売レポートは、指定された期間における薬の販売量を示すレポートである。PM reportは、薬剤師の最後のデジタル署名を受け付けた時に、対応する薬が販売されたものとして、データベースを更新する。PM reportは、薬剤師または事務員から期間の指定を受け付けて、データベースから対応する期間の販売レポートを作成する。購入レポートは、指定された期間における薬の購入量を示すレポートである。PM reportは、薬剤師が薬の発注システム(不図示)を用いて薬を発注した場合に、当該発注システムから発注データ(例えばCSVデータ)を入力してデータベースを更新する。PM reportは、薬剤師または事務員から期間の指定を受け付けて、データベースから対応する期間の購入レポートを作成する。在庫レポートは、どの様な薬をどの程度保有しているかを示すレポートである。PM reportは、在庫情報に基づいて在庫レポートを作成する。
【0039】
なお、本実施形態の説明は、すべての点で例示であり、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲は、特許請求の範囲と均等の範囲を含む。
【0040】
薬局業務支援プログラムは、ログインしている利用者毎に権限を設定してもよい。例えば、薬局業務支援プログラムは、薬剤師の最初のデジタル署名および最後のデジタル署名について、薬剤師がログインしている場合にのみ、入力を許可する。補助者あるいは事務員がログインしている場合、薬局業務支援プログラムは、薬剤師の最初のデジタル署名および最後のデジタル署名について、入力を受け付けないようにしてもよい。薬局業務においては、薬剤師だけが処方箋の変更、調剤(薬の準備の指示、薬の梱包の指示)、および請求書の発行指示を行う権限を有する。上述の様に、薬剤師の最初のデジタル署名は、処方箋の変更の確定および薬の準備の指示に対応する。また、薬剤師の最後のデジタル署名第2デジタル署名は、薬の梱包の指示および請求書の発行指示に対応する。したがって、薬局業務支援プログラムは、薬剤師の最初のデジタル署名および最後のデジタル署名について、薬剤師がログインしている場合にのみ、入力を許可することで、適切に薬剤師の権限を反映させることができる。
【0041】
また、例えば、薬局業務支援プログラムは、さらに多数のデジタル署名を受け付けて表示してもよい。例えば、薬局業務支援プログラムは、社会保険や国民健康保険の徴収作業を行う作業がある場合に、社会保険や国民健康保険の徴収作業を示すためのデジタル署名をさらに受け付けて表示してもよい。事務員は、患者毎に社会保険や国民健康保険の徴収作業が必要であるか否かを判断し、デジタル署名を入力する。あるいは、薬局業務支援プログラムは、労災保険、公害保健、自賠責保険等の徴収作業を行う作業がある場合に、これら保険の徴収作業を示すためのデジタル署名をさらに受け付けて表示してもよい。事務員は、患者毎にこれらの保険の徴収作業が必要であるか否かを判断し、デジタル署名を入力する。あるいは、薬局業務支援プログラムは、請求書を患者の自宅に送付する必要がある場合に、請求書の自宅送付作業を示すためのデジタル署名をさらに受け付けて表示してもよい。事務員は、患者毎に、請求書の自宅送付作業が必要であるか否かを判断し、デジタル署名を入力する。また、薬局業務支援プログラムは、患者の支払いが完了したことを確認するためのデジタル署名をさらに受け付けて表示してもよい。事務員は、患者毎に、支払いが完了したことを確認すると、デジタル署名を入力する。
【0042】
本実施形態では、薬局業務支援システムの各種プログラムは、モバイル端末に搭載されるアプリケーションプログラムとして説明した。しかし、薬局業務支援システムの各種プログラムは、例えば汎用のパーソナルコンピュータのOS(例えばWindows(登録商標)、Mac(登録商標)OS、Chrome(登録商標)OS)に搭載されるアプリケーションプログラムであってもよいし、Webブラウザを介して実行されるWebアプリケーションプログラムであってもよい。ただし、モバイル端末に搭載されるアプリケーションプログラムは、どの場所でも本実施形態の薬局業務支援プログラムを実行することができる。また、モバイル端末に搭載されるアプリケーションプログラムは、上記のQRコード(登録商標)の読み込みや請求書の計算等の各種の処理を端末内で行うため、都度サーバと通信する必要もなくシンプルな構成で実現でき。かつ処理時間をWebアプリケーションプログラムよりも短くすることができる。また、本実施形態のアプリケーションプログラムは、わずか1秒で請求書を作成することができ、請求書作成時間をレセコンの作成時間(例えば5~7分程度)よりも著しく短くすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1…薬局業務支援システム
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