(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105803
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】玄米貯蔵装置及び玄米貯蔵方法
(51)【国際特許分類】
E04H 7/22 20060101AFI20230724BHJP
B65D 88/74 20060101ALI20230724BHJP
A01F 25/00 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
E04H7/22
B65D88/74
A01F25/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002642
(22)【出願日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2022006518
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000151863
【氏名又は名称】東洋ライス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雜賀 慶二
【テーマコード(参考)】
2B100
3E170
【Fターム(参考)】
2B100AA02
2B100DA02
2B100DA11
3E170AA15
3E170AA16
3E170AB13
3E170CA03
3E170DA01
3E170EA07
3E170EA10
3E170GA09
3E170NA01
3E170RA02
3E170RA20
3E170VA07
3E170WC05
3E170WC06
(57)【要約】
【課題】外気温の変動の影響を低減させた状態で玄米を貯蔵することが可能となる、玄米貯蔵装置及び玄米貯蔵方法を提供する。
【解決手段】玄米貯蔵装置1は、貯蔵部2と、搬入部3と、搬出部4と、を備え、貯蔵部2は、密集して配置される複数の貯蔵タンク21・21・・を備え、それぞれの貯蔵タンク21・21・・は、高さ寸法が幅寸法よりも大きく形成され、貯蔵部2は、複数の貯蔵タンク21・21・・の四方の側面、上面、及び下面が断熱材22により囲われて構成され、断熱材22のうち少なくとも何れかの面には、搬入部3において外部より複数の貯蔵タンク21・21・・に玄米を送り込むための上部横送り搬送装置33が貫通する断熱材開口部22aと、搬出部4において複数の貯蔵タンク21・21・・より排出される玄米を外部に搬出するための下部横送り搬送装置41が貫通する断熱材搬出口22bと、が開口される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精白前の玄米を貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部に玄米を搬入する搬入部と、前記貯蔵部から玄米を搬出する搬出部と、を備えた玄米貯蔵装置であって、
前記貯蔵部は、密集して配置される複数の貯蔵タンクを備え、
それぞれの前記貯蔵タンクは、高さ寸法が幅寸法よりも大きく形成され、
前記貯蔵部は、前記複数の貯蔵タンクが断熱材により囲われて構成される、玄米貯蔵装置。
【請求項2】
前記断熱材には、前記搬入部において外部より前記複数の貯蔵タンクに玄米を送り込むための搬送装置もしくは搬送経路が貫通する断熱材搬入口と、前記搬出部において前記複数の貯蔵タンクより排出される玄米を外部に搬出するための搬送装置が貫通する断熱材搬出口と、が開口される、請求項1に記載の玄米貯蔵装置。
【請求項3】
前記貯蔵タンクは、高さ寸法が幅寸法の4倍以上となる細長形状に形成される、請求項1又は請求項2に記載の玄米貯蔵装置。
【請求項4】
前記貯蔵部には、それぞれの前記貯蔵タンクの内部を通過する送風経路が形成され、
前記貯蔵タンクには温度調節された空気が前記送風経路を介して送られる、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の玄米貯蔵装置。
【請求項5】
前記搬入部に搬入計量機が設けられ、前記搬出部に搬出計量機が設けられる、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の玄米貯蔵装置。
【請求項6】
前記搬出部は、前記搬出計量機を通過した玄米を前記貯蔵部に再度搬入する経路を備える、請求項5に記載の玄米貯蔵装置。
【請求項7】
前記搬入部は、複数の前記貯蔵タンクの何れに玄米を搬入するかを判別する判別部を備え、前記判別部で判別した搬入先の前記貯蔵タンクに玄米を搬入する、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の玄米貯蔵装置。
【請求項8】
前記貯蔵タンクの内部温度が17度から27度の間で維持される、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の玄米貯蔵装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の玄米貯蔵装置で行われる玄米貯蔵方法であって、
前記搬入部で玄米を搬入する搬入工程と、
前記貯蔵部に玄米を貯蔵する貯蔵工程と、
前記搬出部で玄米を搬出する搬出工程と、を備える、玄米貯蔵方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精白する前段階の玄米を貯蔵するための玄米貯蔵装置及び玄米貯蔵方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀物を貯蔵するための貯蔵装置として、外気温の変動の影響を抑制するために、冷風機によって保冷タンク内の温度を所定温度以下に制御する構成の穀物保冷庫が開示されている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
玄米を長期間貯蔵する場合の品質劣化を防ぐための温度と、その玄米を搗精するのに適正な温度とは異なるのに、これまでその対応をした先行技術は無い。特許文献1に記載の技術の如く、玄米を低温で貯蔵する構成において、外気温度が上昇する季節であれば、それによる品質劣化を防ぐために低温保管されている玄米が精穀される際には、搗精に適する温度ではない上に、周囲環境温度と穀温との温度差が大きくなる。この場合、外気との接触によって玄米表面に結露が生じ、玄米が水分を吸収し、カビが発生するなどの品質の劣化などの原因ともなる。また、低温保管されている玄米を精穀すると、米温が低すぎるので、糠層が剥離しにくいので、強圧をかけないと搗精出来ず、結果的に過負荷による歩留り低下、砕粒の発生、高温化、品質劣化、過大な電力消費等を招くことになる。そのため、玄米を常温にしばらく置いたり、玄米に温風ヒーターに当てたりして穀温を上げたりしてから精穀加工を行う必要があるため、精穀にかかる手間や時間が過大となっていた。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
本発明に係る玄米貯蔵装置は、精白前の玄米を貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部に玄米を搬入する搬入部と、前記貯蔵部から玄米を搬出する搬出部と、を備えた玄米貯蔵装置であって、前記貯蔵部は、密集して配置される複数の貯蔵タンクを備え、それぞれの前記貯蔵タンクは、高さ寸法が幅寸法よりも大きく形成され、前記貯蔵部は、前記複数の貯蔵タンクが断熱材により囲われて構成される。
【0007】
また、本発明に係る玄米貯蔵装置において、前記断熱材には、前記搬入部において外部より前記複数の貯蔵タンクに玄米を送り込むための搬送装置もしくはシュート配管などからなる搬送経路が貫通する断熱材搬入口と、前記搬出部において前記複数の貯蔵タンクより排出される玄米を外部に搬出するための搬送装置が貫通する断熱材搬出口と、が開口されることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る玄米貯蔵装置において、前記貯蔵タンクは、高さ寸法が幅寸法の4倍以上となる細長形状に形成されることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る玄米貯蔵装置において、前記貯蔵部には、それぞれの前記貯蔵タンクの内部を通過する送風経路が形成され、前記貯蔵タンクには温度調節された空気が前記送風経路を介して送られることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る玄米貯蔵装置において、前記搬入部に搬入計量機が設けられ、前記搬出部に搬出計量機が設けられることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る玄米貯蔵装置において、前記搬出部は、前記搬出計量機を通過した玄米を前記貯蔵部に再度搬入する経路を備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る玄米貯蔵装置において、前記搬入部は、複数の前記貯蔵タンクの何れに玄米を搬入するかを判別する判別部を備え、前記判別部で判別した搬入先の前記貯蔵タンクに玄米を搬入することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る玄米貯蔵装置において、前記貯蔵タンクの内部温度が17度から27度の間で維持されることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る玄米貯蔵方法は、上記の何れか一に記載の玄米貯蔵装置で行われる玄米貯蔵方法であって、前記搬入部で玄米を搬入する搬入工程と、前記貯蔵部で玄米を貯蔵する貯蔵工程と、前記搬出部で玄米を搬出する搬出工程と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る玄米貯蔵装置及び玄米貯蔵方法によれば、外気温の変動の影響を低減させた状態で玄米を貯蔵することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第一実施形態に係る玄米貯蔵装置を示す正面図。
【
図2】第一実施形態に係る貯蔵タンクを示す平面図。
【
図3】第二実施形態に係る貯蔵タンクを示す平面図。
【
図4】第三実施形態に係る貯蔵タンクを示す正面図。
【
図5】第三実施形態に係る貯蔵タンクを示す平面図。
【
図6】タンクの外形形状と幅寸法との関係を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、
図1及び
図2を用いて、本発明の第一実施形態に係る玄米貯蔵装置1について説明する。本実施形態に係る玄米貯蔵装置1は、貯蔵部2、搬入部3、及び、搬出部4を備える。以下、各構成について順に説明する。玄米貯蔵装置1において、本発明に係る玄米貯蔵方法が行われる。
【0018】
貯蔵部2は精白前の玄米を貯蔵する(貯蔵工程)。
図1及び
図2に示す如く、貯蔵部2は密集して配置される複数の貯蔵タンク21・21・・を備える。本実施形態においては
図2に示す如く、貯蔵タンク21は平面視で矩形の角筒形状に形成されるが、その形状は正方形にするなど任意である。本実施形態において、貯蔵タンク21は前後方向に四個、左右方向に六個の合計二十四個が配置されるが、その数も任意である。なお、本明細書において貯蔵タンク21・21・・が「密集して配置される」とは、少なくとも二方向(縦横方向)に三列以上の貯蔵タンク21が並べられる(換言すれば、9本以上の貯蔵タンク21が集めて配置される)状態を意味している。
【0019】
また、貯蔵タンク21・21・・は密集して配置されていればその配置形状及び個数は限定されるものではないが、その収納容積は少なくとも100トン以上の玄米を収納できる大きさが望ましく、さらには、後述する如く熱交換の効率を高めるという観点より、貯蔵タンク21の数は少なくとも20本以上が望ましい。
【0020】
図1に示す如く、それぞれの貯蔵タンク21は、高さ寸法が幅寸法よりも大きく形成される。より詳細には、貯蔵タンク21は高さ寸法が幅寸法の4倍以上となる細長形状に形成されている。その理由は、タンク内の玄米が均等降下し、先入れ先出しができる様にするためと、更にはタンク内の容積に対する貯蔵タンク21の表面積の割合を多くする事で、タンク内の玄米温度を周囲のタンク内の玄米温度と熱交換し易くするためであり、そのためには貯蔵タンク21の高さ寸法を幅寸法の4倍以上とすることが好ましい。貯蔵タンク21の上端部には、搬入部3から玄米が投入される搬入口21aが開口されており、上部横送り搬送装置33が設置されていて、上部横送り搬送装置33よりそれぞれの上部開閉シャッター23を介して貯蔵タンク21に玄米が供給されるようになっている。また、貯蔵タンク21の下端部には、搬出部4に玄米を排出する搬出口21bが開口されており、玄米がそれぞれの下部開閉シャッター24を介して下部横送り搬送装置41に送り出される。
【0021】
図6を用いて、貯蔵タンク21の幅寸法について説明する。
図6(a)から(g)において、tはタンクの水平断面による外形形状、hは搬出口の位置、及び、Lは幅寸法を示す。
図6(a)及び(b)に示す如く、タンクの外形形状が円形状の場合、搬出口hがどこに位置していても幅寸法Lは円の直径となる。
図6(c)から(f)に示す如く、タンクの外形形状が正方形又は長方形の場合、幅寸法Lは外形形状の内側で搬出口hを通る線分のうち最も長い部分の長さになる。
図6(g)に示す如く、タンクの外形形状が長方形で搬出口hが外形形状の一辺に沿って設けられている場合、幅寸法Lは搬出口hが設けられていない一辺の長さになる。
【0022】
米穀業界で通常に流通するフレキシブルコンテナバックの充填重量の範囲は920kg~1080kgであるため、貯蔵タンク21の実施例としては、最も一般的な充填重量である1080kg(30kg紙袋が36袋分)のフレキシブルコンテナバックを3本ないし6本を収める容積ととすることが好ましい。具体的に貯蔵タンク21は、米の見掛け比重を約0.8とした場合に、「3300kgの米を収める4125000cm3の容積」ないし「6500kgの米を収める8125000cm3の容積」とすることが好ましい。
【0023】
この際、貯蔵タンク21を、丸形状よりも容積率の高い角形状とした場合は、「タンク胴部の水平断面が78cm四方角、高さ680cmの角タンク(容積4137120cm3)」ないし「タンク胴部の水平断面が110cm四方角、高さ680cmの角タンク(容積8228000cm3)」とすることができる。
【0024】
貯蔵タンク21は、設置場所の建屋天井高に合わせて、タンク胴部が所定の容積になるように水平断面の形状設計を行うことができる。即ち、貯蔵タンク21は、タンク胴部の水平断面を正方形でない長方形や円形とすることも可能である(
図6を参照)。また、タンク胴部は定尺の鋼板を使用することが最も合理的である。また、定尺の鋼板に曲げ加工して接合部をつくるなどすると合理的である、接合部の構成は限定されるものではない。
【0025】
タンク胴部を構成する定尺の鋼板としては、例えば、3×6(サブロク:914mm×1829mm)や、1×2(メーター板:1000mm×2000mm)等がある。具体的には、容量が3.3tタンク(フレキシブルコンテナバック3本分)のタンクとして、「水平断面が780mm四方角、高さ6800mmの角タンク」の場合、タンク胴部は上記1×2のメーター板の鋼板4枚で構成し、4段積み上げで、胴部同士の積み上げは差し込むことで構成できる。この際、差し込みしろがあるため、2000mm×4よりも差し込みしろ分が差し引かれ高さ寸法が6800mmにとなる。
【0026】
本実施形態に係る玄米貯蔵装置1において、貯蔵部2は、上部横送り搬送装置33、下部横送り搬送装置41、及び、複数の貯蔵タンク21・21・・等の四方の側面、上面、及び下面が断熱材22により略密閉状に囲われて構成されている。断熱材22の素材としては、ロックウールやグラスウール等の鉱物系断熱材、ウレタンフォームやポリエチレンフォーム等の石油系断熱材、セルロースファイバー等の自然系断熱材など、各種素材を使用することができる。断熱材22の側面における貯蔵タンク21・21・・の上側には断熱材開口部22aが開口される。また、断熱材22の側面における貯蔵タンク21・21・・の下側には断熱材開口部22bが開口される。そして上部横送り搬送装置33及び下部横送り搬送装置41は、断熱材22に開口された断熱材開口部22a・22bを貫通して設置されている。
【0027】
本実施形態においては、タンク群の横四方・上面、下面の六面すべてに断熱材を取り付ける構成としているが、複数の貯蔵タンク21・21・・等の下面は精米工場の土間やコンクリートである場合が多く、これらは蓄熱性を有することから、貯蔵タンク21・21・・の下方に断熱材を設けない構成とすることもできる。即ち、空気に曝される四方の側面、及び上面が断熱材22により略密閉状に囲われて構成されるのが好ましく、複数の貯蔵タンク21・21・・等の四方の側面、上面、及び下面が断熱材22により略密閉状に囲われる構成がより好ましい。
【0028】
搬入部3は貯蔵部2に玄米を搬入する(搬入工程)。本実施形態に係る玄米貯蔵装置1において、紙袋またはフレキシブルコンテナバッグ(以下、フレコンという。)などにより取り出した玄米は、図示しない張込ホッパーから投入され、搬入計量機31で計量された後に搬送機32及び上部横送り搬送装置33を介して貯蔵部2に搬送される。本実施形態において、搬入部3は、複数の貯蔵タンク21の何れに玄米を搬入するかを判別する判別部を備えている。そして、この判別部で判別した搬入先の貯蔵タンク21に、上部横送り搬送装置33を介して玄米が搬入される。
【0029】
搬出部4は貯蔵部2から玄米を搬出する(搬出工程)。
図2に示す如く、搬出部4は下部横送り搬送装置41、搬送機42、搬出計量機43を備えて構成され、後工程の精米機タンク44、及び、精米機45などに送られるようになっている。本実施形態に係る玄米貯蔵装置1において、貯蔵部2から排出された玄米は下部横送り搬送装置41及び搬送機42を介して搬出計量機43に搬送される。そして、一時的に精米機タンク44に貯留された後に精米機45にて精白され、後工程に移行する。
【0030】
本実施形態に係る玄米貯蔵装置1において、搬出部4は、搬出計量機43を通過した玄米を貯蔵部2の当該玄米の取出元となった貯蔵タンク21に再度搬入する経路を備える構成とすることができる。これにより、送り出し超過分の玄米を貯蔵部2に戻すことができる。
【0031】
上記の如く、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1において、貯蔵部2は密集して配置される複数の貯蔵タンク21・21・・を備える。これにより、貯蔵部2においては縦横方向に面的に密集する貯蔵タンク21・21・・の相互間において熱伝導が容易に行われる。換言すれば、貯蔵タンク21・21・・の相互間において熱交換が縦横方向に面的に行われる。即ち、貯蔵部2に低温または高温の玄米が入ってきた場合でも、貯蔵部2に貯蔵された玄米の温度を均等化することができる。また、玄米は比熱が高く、且つ大量に貯蔵しているため蓄熱量が大きくなり、年間を通じて、搗精に適した17度から27度に玄米の温度を維持することが可能となる。
【0032】
なお、貯蔵部2において、複数の貯蔵タンク21・21・・は互いに熱伝導が行われる程度に密集して配置されていれば良く、必ずしも互いに密着して配置する必要はない。但し、熱伝導の効率を向上させるという観点からは、間隔を空けているにしても狭くすることが好ましく、本実施形態の如く貯蔵タンク21・21・・を互いに密着させて配置することがさらに好ましい。さらには、本実施形態の貯蔵タンク21・21・・の互いの隔壁が1枚の仕切板で構成されていることが好ましい。
【0033】
また、貯蔵タンク21を構成する材料は、穀物貯蔵用に使用されるような断熱効果の高いコンクリートでなく、複数の貯蔵タンク21・21・・において互いに熱伝導が行われるよう鋼板(例えば、鉄材やステンレス材など)を用いることが好ましい。なお、貯蔵タンク21を構成する鋼板の厚みは、熱の伝達の面から、0.3mm~1.0mm程度が好ましく、0.5mm~0.8mm程度がさらに好ましい。
【0034】
また、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1において、貯蔵部2は、複数の貯蔵タンク21・21・・の四方の側面、上面、及び下面が断熱材22により囲われて構成されている。これにより、貯蔵部2が受ける外気温の変動の影響を抑制することが可能となる。なお、断熱材22に代えて、貯蔵タンク21・21・・のタンク群を取り囲む外側の壁面を二重構造にすることなどによる断熱構造を採用することも可能である。
【0035】
また、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1では、断熱材22において貯蔵タンク21・21・・の側方を囲う面の上部には、搬入部3において外部より複数の貯蔵タンク21・21に玄米を送り込むための上部横送り搬送装置33が貫通する断熱材搬入口として断熱材開口部22aが開口されている。
図1に示す本実施形態では、上部横送り搬送装置33が断熱材開口部22aを貫通する形態を示すが、上部横送り搬送装置33が断熱材22の内部に収容され、断熱材開口部22aは断熱材22の上面に設けられ、上部横送り搬送装置33に玄米を送り込む経路を貫通させてもよい。
【0036】
また、断熱材22において貯蔵タンク21・21・・の側方を囲う面の下部には、搬出部4において複数の貯蔵タンク21・21・・より排出される玄米を外部に搬出するための下部横送り搬送装置41が貫通する断熱材搬出口として断熱材開口部22bが開口されている。
図1に示す如く、下部横送り搬送装置41はその大部分が断熱材22の内部に収容されている。
【0037】
このように、貯蔵部2においては断熱材22における玄米が流通する部分に断熱材開口部22a・22bとして必要最小限の大きさで開口することにより、貯蔵部2における空気の入れ替わりを低減することができるため、エネルギー消費を抑制できる。これにより、貯蔵部2が受ける外気温の変動の影響をさらに抑制することが可能となる。
【0038】
このように、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1においては、冷風機を使用することなく、貯蔵部2が受ける外気温の変動の影響を抑制することが可能となる。このため、玄米に結露が生じ難くなるため、品質の劣化、精白不良、精白装置の過負荷などを抑制することが可能となる。また、低温時の搗精の際に玄米の温度を上げる必要がないため、搗精にかかる手間や時間を抑制することができる。
【0039】
本実施形態に係る玄米貯蔵装置1においては、半月程度の品質維持が保たれるので、本願発明の玄米貯蔵タンクには少なくとも半月以内に搗精する予定の玄米を張り込めるのと、各ロットに応じた最低限度の玄米取り出しが出来る。
【0040】
このため、運送業者が拒否するような肉体労働を強いられる紙袋輸送から、フレコン輸送に切り替わり、精米工場に大容量のフレコン入りの玄米が入荷しても、荷下ろし及び玄米張り込みが全てフォークリフトにて出来るので、運送業者も精米工場の作業者も前時代的な過酷な肉体労働から解放される。
【0041】
従って従来の様に、日々精米工場では1日中行っているような30kg入りの紙袋を開袋する厳しい労力と人件費が大幅に節減される。またそれによって、貴重な資源である紙袋を廃棄物にしなくても済み、SDGsにも貢献できる。
【0042】
更に廃棄する空袋には、どうしても少量の玄米が残っているので、それも「塵も積もれば山となる」から、工場の採算にも影響が出るだけではなく、生産者が苦労して栽培した玄米も廃棄しているが、その様な無駄も無くせる。一個のフレコンに大容量(およそ1トン)の玄米が入っていても、本願発明の装置によって、従来の30kg入りの紙袋を使用する場合よりも一層精密な玄米の取り出しができるので、つくり過ぎの製品ロスが無く(従来よりも大幅に無駄な余剰製品の量が減り)多品種少量生産が可能となり、製品歩留り(原料玄米から、実際に商品となる製品の出来高率)が向上する。
【0043】
また厳寒期の早朝でも、蓄熱量の大きい本願発明の貯蔵タンク群内の玄米温度はそれほど低温にならず、適正搗精温度にて精米作業が出来、いわゆる「低温不具合」が起きない。また、夏季に於いても低温倉庫から取り出たれた、15度以下に低温化した玄米を精米機にかけると、温度差が大きいため、結露により一層激しい「低温不具合」が起きるが、本願発明では15度以下に低温化した玄米が貯蔵タンクに投入されても、急速に熱伝導によって、大量のタンク群内の貯蔵玄米温に吸収され、全体では僅かに温度が下がるものの、「低温不具合」が起きるほどに低温化はしない。なお低温不具合とは、17度未満の低温玄米は精米機に於いて糠層の剥離が容易でなく、そのために、搗精時に玄米に対して高圧をかけるために、砕米が多くなり商品性が落ちる、歩留りが低下する、電力消費量が増大する、夏季には結露により米の水分が高まりカビの発生を招くこともある、等である。
【0044】
更に精米工場では発熱源があるために、夏季に工場内のタンクに玄米を貯蔵すると高温化し、そのために短時間に品質が劣化するので、ほとんどの工場では日を跨いで貯蔵することをせずに使い切るが、そのためにフォークリフトによって、玄米倉庫よりきめ細かい搬送を強いられ、無駄なエネルギーを消費しコストアップだけではなく、作業員が多く要り人件費の高騰を招いている。
【0045】
それほど手間暇をかけても、夏季の精米工場では時には原料玄米の高温化は避けられず、そのために「高温不具合」が生じる。なお高温不具合とは、高温化した玄米を精米機にて搗精すると更に高温化し、その結果酵素の失活・失効、食味低下などの品質低下を招くことを言うのであるが、本願発明によって、その様な高温不具合も起きず、高品質の製品化が果たせる。
【0046】
昨今の精米工場では、顧客の要請から一層アイテム数が増え、多くの産地、品種、ランク、の異なる原料玄米を搗精することから、それらを保管する倉庫では、その仕分け及び正確な取り出しに多大の手間暇をかけているが、本願発明により一挙に無くなる。
【0047】
実際にそれほど手間暇をかけていても、稀にはヒューマンエラーによる間違いにより、消費者にまで迷惑をかけることもあったが、本願発明により、その様なトラブルも無くなる。
【0048】
コメは、15度を超える高温で長期保管をすると食味が落ちることから、生産者の倉庫では気温が15度を超える春先より15度以下の低温に切り替えていて、またそれを送られてきた精米工場の倉庫においても、その様な温度の切り替えが行われているが、その低温倉庫には、一般的に数ヶ月分の玄米を保管しているものの、その取り出しが、精米工場内の玄米タンクには前記の事情で頻繁に行う必要があること、紙袋入りも、フレコン入りも、それらをフォークリフトで出し入れをする必要があることと、低温倉庫の入り口を大きく、頻繁に開閉せざるを得ないことから、その都度低温倉庫内の空気が15℃を超える高温の外気と入れ替わり、15℃以下に冷やそうと空調機が稼働することから、空調機の電力費が大であったが、本願発明により、同倉庫の開閉頻度は劇的に減り、その結果電力費の低減とSDGsに貢献出来る。
【0049】
更に、本願発明によるエネルギーの無駄使いを最も防げるのは、生産者または精米工場にて、玄米の長期保存による食味劣化を防ぐために、夏季には低温倉庫にて低温化した玄米を、精米工場にて精米機で搗精するには低温過ぎるので、一旦何らかの方法にて玄米の温度を高める必要がある場合である。その場合、せっかくエネルギーをかけて15度以下に低温化したことは無駄である。ところが、本願発明では、その15度以下に低温化した玄米温度を、断熱材で覆われているとは言え、夏季には外気よりも高温になる精米工場内では徐々に温度が上がりつつある本願発明の貯蔵タンク内の大量の玄米の温度を下げる事に利用することで、社会的にエネルギーの無駄使いを防ぐことができる。また、冬季には、外気温の低下から、そのまま精米機にかけることは良く無いので、エネルギーを使い玄米温度を高めていたが、前記の通り精米工場は冬季でも周囲環境温度が高く、しかも蓄熱量の大きい貯蔵タンク内の大量の穀温により、搗精に適する温度に高められることから、それもエネルギーの無駄使いを防ぐ事が出来るのである。
【0050】
前記の通り、昨今の精米工場では、多くのアイテムの製品作りのため、作業時間の大半は無効作業になっていて、それが工場経営を圧迫し、赤字工場は決して稀ではないが、本願発明によって、相当に無駄をなくせるので、工場経営への貢献は大きい。
【0051】
紙袋輸送は、積み下ろしが健康にかかわるほどの重労働になり、フレコン輸送よりも運送費が高いところ、本願発明によってフレコン輸送が可能となることから、そのような健康にもかかわるほどの重労働からも解放され、且つ従来よりも運送費が下がる利益も得られる。
【0052】
このように、精米業界において大きな難題となっている、産地からの玄米輸送が、30kg入りの紙袋から、およそ1トン入りのフレコンに変わることにより、これまで通りの小ロットの商品生産が出来ない事だけでは無く、もともと前時代的に遅れていた精米業界ではすでに、多品種少量生産やコンタミレスの対応を迫られ、そのために、極めて効率の悪い作業形態や製品歩留りの低下などを招き、経営が立ち行かなくなっている問題点を解決することができる。
【0053】
従来では、精米工場に外部より入荷するのは、一般的に10トンまたは12トン積みのトラックに、紙袋入りの30kg入りの玄米が360袋~400袋積まれていて、それを平均的な精米工場では日に約10車によって入荷するが、それを人手で約40袋ごとにパレットに降ろし、それを10回もフォークリフトにて一旦倉庫に運び入れ、その後精米工場で搗精するようになると、倉庫内の必要な玄米を選択の上、必要な量をフォークリフトにて運び出し、精米工場の玄米張り込み口にて紙袋を一つ一つ開袋しながら張り込んでいたが、本願発明では外部より入荷した1車当たり10個~12個のフレコン入りの大容量の玄米は、フォークリフトにて荷下ろしをすると共に、そのまま精米工場の玄米張り込み口にてフレコン下端の紐を解くだけの作業を10回~12回繰り返すだけで、玄米の張り込み作業が完了するから、作業員に腰痛などの過酷な肉体労働を解消するだけではなく、無駄な作業が無くなり、作業効率が高くなり人件費も大幅に激減出来る。
【0054】
一般的に精米工場では、年産、産地、品種、栽培方法、などのアイテム数が100件以上にもなり、1日当たりでも数10件のアイテムのそれぞれに対応する玄米を選択し、精米機に供給する必要があり、しかもそれぞれのアイテムの製品に他のアイテムとのコンタミレスが求められるから、極めて効率の悪い作業にならざるを得ないところ、本願発明ではアイテムごとの玄米切り替えは瞬時に行えるので、生産性が著しく高まりコストが激減する。
【0055】
本願発明の貯蔵タンク内には、比熱が高く蓄熱量の大なる玄米が大量に存在し、しかも発熱源がある精米工場内にあるために、厳寒期でもタンク内の玄米はそれ程低温化せず、更に夏季に入荷する玄米は、産地の倉庫では15度以下で低温保管されていたし、しかも比熱の高い玄米は、精米工場までは長距離の輸送であっても、到着時に於いてもほとんど温度上昇をしていないので、それを貯蔵タンクに投入することにより、本願同タンク群内の玄米温度の上昇を封じる事が出来るので、同貯蔵タンク群の玄米を冷房する必要はほとんどなく、それをするにしても僅かな電力費にて賄えるので極めて経済的である。しかもタンク群内の玄米温度は、搗精に適する17度~27度になっているので、その玄米を精米機に供給出来、高品質、高歩留りの製品が得られる。
【0056】
また、従来の貯蔵タンクは、中央部の流下速度が速く、側壁部近辺では遅くなり、貯蔵タンク下端部の壁面近くの玄米はいつまでも残留することになり、先入れ先出しができないものであったが、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1において、貯蔵部2を構成する貯蔵タンク21・21・・は縦長の細長形状となっているため、積層圧(鉛直方向の面圧)によりタンク内の玄米は均等降下する。これにより、玄米が斑落ちせず、先入れ先出しが可能となるため、同種の玄米は次々と追加入れが可能となり、効率の良いタンク活用を実現することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1において、貯蔵タンク21・21・・の内面に、縦方向に沿って凹凸形状を形成することも可能である。これにより、玄米の流れる方向に沿って凹凸形状が形成されるため、流下を均等に行うことが可能となるため、円滑に玄米の先入れ先出しを行うことが可能となる。貯蔵タンク21・21・・を形成する際にデッキプレートなどの既製品を使用する場合も、凹凸形状が縦方向に沿って配置されることが好ましい。
【0058】
また、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1においては、密集して配置される複数の貯蔵タンク21・21・・を備えることにより、貯蔵部2における多品種多量保管が可能となる。この際、貯蔵タンク21・21・・のそれぞれに識別番号を付し、内容物である玄米の年産、産地、品種、栽培方法、などの情報を関連付けて管理することができる。これにより、帳面上又はコンピュータシステム上の玄米の管理が容易となる。コンピュータシステムで玄米を管理する場合は、玄米の品質情報なども一元管理することができ、簡便かつ機能性に富んだ管理を行うことが可能となる。
【0059】
また、コンピュータシステムで玄米を管理する場合は、精米工場において受け入れる玄米の容器に年産、産地、品種、栽培方法、などを示すバーコードが付されているか、受け入れ時にバーコードを付し、それを貯蔵タンク21・21・・に投入する際に判別部であるバーコードリーダーで読み取る構成とすることもできる。これにより、それぞれの貯蔵タンク21・21・・に同種の玄米が保管されている場合で、貯蔵タンク21・21・・に空き容積がある場合は、自動的に継ぎ足し投入されたり、貯蔵部2が複数の上部横送り搬送装置33や下部横送り搬送装置41で構成される場合には、同一の上部横送り搬送装置33や下部横送り搬送装置41が使用され、時間的にも消費エネルギーとしても出し入れが効率的な並び合う空いている貯蔵タンク21に投入したりすることができる。
【0060】
このように、玄米貯蔵装置1によれば、貯蔵タンク21・21・・を効率的に利用管理することが可能になるとともに、ヒューマンエラーによるコンタミリスクを抑制することが可能となる。なお、判別部で読み取る情報は、二次元バーコードやICチップ等、バーコード以外の構成に記録されていても良い。
【0061】
また、玄米貯蔵装置1によれば、スペースの高さ方向にも最大限に容積を確保できる貯蔵タンク21・21・・での玄米の保管が可能になる。さらに、貯蔵タンク21・21・・の識別番号と内容物である玄米の品種などの原料情報や、必要に応じて品質検査情報までもが紐付けて一元管理することが容易となるため、管理がし易く、ヒューマンエラーによるコンタミのリスク負担を抑制することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1においては、貯蔵タンク21・21・・を活用することにより、精米工場で扱う玄米の包装が30kg入りの使い捨ての紙袋である必要がなくなる。このため、大容量でかつ複数回再利用可能なフレコンのように、環境負荷やSDGsの観点から考慮された包装形態の利用が促進される。
【0063】
また、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1においては、無駄な人的労力を必要とする、流通段階でのパレットの積み替え作業や、精米工場での多大なる荷解き作業が不要となる。即ち、流通を請け負う業者や精米工場における作業を削減することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1においては、断熱材22における貯蔵タンク21・21・・の上側には断熱材開口部22a、貯蔵タンク21・21・・の下側には断熱材開口部22bが開口されている。このように、貯蔵部2においては断熱材22における玄米が流通する部分を必要最小限の大きさとすることにより、貯蔵部2における空気の入れ替わりを低減することができるため、熱損失を最大限少なくでき、空調機を使用する場合であってもエネルギー消費を抑制できる。
【0065】
また、従来であれば搬出計量機43において必要数量の玄米を計量した後に貯蔵部2からの玄米の排出を止めていたために、必要数量にプラスして、すでに排出されている貯蔵部2から搬出計量機43までの工程に存在する玄米の数量が無駄な余剰精米に繋がっていた。また、その余剰分を見越して、玄米の排出を制御するとしても、玄米は搗精による歩留まり率が一定では無いから、どうしても玄米を多い目に精米機に送らざるを得ないので、余剰製品となる製品ロスの発生は避けられなかったのである。しかしながら、本実施形態に係る玄米貯蔵装置1においては、搬出計量機43を通過した玄米を貯蔵部2に再度搬入する経路である帰還ラインを備える構成とすることができる。これにより、必要数量を超過する余剰玄米数量分を取出元の貯蔵タンク21に戻すことができ、余剰精米を抑制できる。
【0066】
この場合、帰還ラインは、搬出計量機43の後に二方切換弁で分岐し、帰還ラインを備え、貯蔵タンク21から必要数量を超過して排出された玄米を戻す方法(以下、「方法a」と記載する)、又は、精米機タンク44の後に二方切換弁で分岐し、帰還ラインを備え、精米機45にて精米された数量を後の工程の計量機、流量計あるいは計量充填包装機で計量し、搗精歩留りが確定した後に余剰として残る玄米を戻す方法(以下、「方法b」と記載する)の何れかを採用することができる。なお、方法bの方が、搗精歩留りが確定し精米数量が確定した後に余剰数量を戻すことができるため、方法aに比べて無駄な余剰製品の量をさらに抑制できる。
【0067】
また、余剰玄米を計量することで、玄米の在庫重量を正確に管理することが可能であり、方法aの場合は搬出計量機43にて計量され、方法bの場合は専用の計量機を備えるか、搬入計量機31もしくは搬出計量機43を再度通過させることができる。帰還ラインの一部が搬入部3や搬出部4のラインや装置を共有する場合、一時的に余剰玄米を貯留するためのごく小容量の貯留タンク群を備えることで、搬入部3を使用する作業や搬出部4を使用する作業と、ラインや装置の使用が競合することもなくなりさらに好ましい。
【0068】
さらには、帰還ラインを備えずとも、貯蔵部2から搬出計量機43までに滞留する玄米の量や、搬出計量機43までの到着時間を予測して信号を発する機能を備える方法(以下、「方法c」と記載する)も可能である。これにより、貯蔵部2からほぼ正確な必要量の玄米を取り出すことが可能となる。具体的には、貯蔵タンク21・21・・の下部開閉シャッター24で仕切られる開閉排出口から搬出計量機43までの玄米の搬送距離、及び、搬出計量機43で計量される量に基づき、貯蔵タンク21・21・・から払い出される玄米の重量があらかじ指定された必要な玄米の量になるように制御することもできる。
【0069】
精米工場において運用方法に合わせて、方法aから方法cのうち最適な方法を選択し、もしくは組み合わせることによって、従来の紙袋でなくフレコン入りの原料玄米を使用することができるので、作業員に腰痛などの過酷な肉体労働を解消するだけではなく、無駄な作業が無くなり、合理的な工場運営が可能となる。
【0070】
なお、
図3に示す第二実施形態の如く、貯蔵部2Aを、密集して配置される複数の円筒形状の貯蔵タンク21A・21A・・で構成することも可能である。本実施形態においては
図3に示す如く、貯蔵タンク21Aは平面視で円形に形成されるとともに、前後方向に四個、左右方向に六個の合計二十四個が配置されている。貯蔵タンク21Aの上端部には、搬入部3から玄米が投入される搬入口21cが開口されている。
【0071】
このように、貯蔵部を構成する貯蔵タンクの形状は断面形状が円である丸タンクであっても、矩形型の角タンクであっても良い。第一実施形態における貯蔵タンク21の如く、矩形型の角タンクであればスペースに対する容積を最大限に活かすことができる。
【0072】
次に、
図4及び
図5を用いて、本発明の第三実施形態に係る玄米貯蔵装置が備える貯蔵部2Bについて説明する。本実施形態に係る貯蔵部2Bには、それぞれの貯蔵タンク21B・21B・・の内部を通過する送風経路52が形成されている。そして、貯蔵タンク21B・21Bには、
図4及び
図5中の矢印Aに示す如く、温度調節された空気が送気装置51によって送風経路52を介して送られる。これにより、送風経路52によってそれぞれの貯蔵タンク21B・21B・・が連結され、貯蔵タンク21B・21B・・内の温度を一定に保つことができる。即ち、より任意の温度にて保管することが可能となるとともに、省スペースで多品種原料を効率よく中期的に保管できる。さらには、低温保管による玄米の管理にも応用することができ、省スペースで多品種原料を効率よく長期的にも保管できる。
【符号の説明】
【0073】
1 玄米貯蔵装置 2 貯蔵部
2A 貯蔵部(第二実施形態)
2B 貯蔵部(第三実施形態)
3 搬入部 4 搬出部
21 貯蔵タンク 21A 貯蔵タンク
21B 貯蔵タンク 21a 搬入口
21b 搬出口 21c 搬入口
22 断熱材 22a 断熱材開口部
22b 断熱材開口部 23 上部開閉シャッター
24 下部開閉シャッター 31 搬入計量機
32 搬送機 33 上部横送り搬送装置
41 下部横送り搬送装置 42 搬送機
43 搬出計量機 44 精米機タンク
45 精米機 51 送気装置
52 送風経路