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特開2023-105808水耕栽培器セット及び、栽培植物の保持器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105808
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】水耕栽培器セット及び、栽培植物の保持器
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20230724BHJP
【FI】
A01G31/00 601C
A01G31/00 617
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023004172
(22)【出願日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2022006040
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514155359
【氏名又は名称】株式会社スペシャルエフエックススタジオ
(72)【発明者】
【氏名】古賀信明
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA33
2B314ND04
2B314ND14
2B314PB22
2B314PB36
2B314PC25
2B314PD64
(57)【要約】      (修正有)
【課題】植物の水耕栽培に於いて、前記植物を通常の土壌栽培と同じ程度の前記植物の根の保持力を持つにも拘らず、前記栽培植物の根を前記栽培植物の栽培器から容易に分離可能な保持手段を提供する。
【解決手段】植物の根の保持法を、液体に浮かぶビーズと、その浮力方向の力を抑え込む事によるビーズ間の圧力を利用する方法、または、前記栽培植物の根が保持部材の材料内部に侵入出来ず、柔軟性を持ち、起伏を持つ、対向する保持部材に挟んで実現した。また、栽培容器内で前記植物に必要な液体のミストを循環させる事で、効率的な前記液体補給が可能な水耕栽培を可能とした。更に、前記保持器前記液体のエアーレーションや毛細管現象を使った前記植物への前記液体の供給をしても良く、栽培植物の収穫時や、移植時に栽培植物の根と栽培容器を容易に分離可能とした。
【選択図】図47
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の栽培容器に於いて、
前記容器内にミストを発生させる手段と、
前記発生させたミストと外界と仕切る壁を持ち、
前記壁によって、
その内部に前記植物の根を配置可能なループ状(閉じた環状)の空間を持つ栽培容器を形成し、
前記容器内のループに於いて前記ミストを、
気体と共に循環可能な水耕栽培器。
【請求項2】
本出願に於ける請求項1に記載の閉じた環状栽培容器内の底部は、
少なくとも、その一部の前記底部の高さに差を持ち、
前記高さの差を繋ぐ事により、傾斜した底部を持つ、水耕栽培器。
【請求項3】
ミストを使った水耕栽培容器内部に配置される、
発光部と前記発光部の光を検出可能なセンサー(イメージセンサーを含む)を持つ受光部が、
前記ミストの発生源、または前記ミスト、を挟んだ位置関係に配置される、
水耕栽培用ミスト検出器。
【請求項4】
水耕栽培に使用する容器に於いて、
前記容器内部に、液体を保持可能で、
前記液体に浮かす事が可能な、
前記液体より軽い比重の部材から成る複数の部材と、
前記複数の部材の浮力による上昇と横方向の広がりを抑え込む事が可能な部材、
を持つ水耕栽培方法。
【請求項5】
本出願に於ける水耕栽培器において、
前記水耕栽培器で使用する液体中に気体を放出可能な水耕栽培方法。
【請求項6】
本出願に於ける請求項1~5に記載の水耕栽培容器内に於いて、
前記ビーズを通さない大きさの目を持つ部材によって保持され、
栽培容器の延びてゆく方向に、
前記液体が満たされる事が可能、
またはミストが放出可能な、
空間が保持される水耕栽培容器
【請求項7】
本出願に於ける水耕栽培器の何れかに記載の容器に於ける、
水平方向の面で得られる栽培容器断面の内面積は、
下部に行くに従い小さくなっているか、
前記水耕栽培器の何れかに記載の栽培容器に配置された、
前記ビーズを保持可能な容器の水平方向の面で得られる前記ビーズを含む断面形状は、
上方に行くに従い、
または前記栽培植物に近づくに従い、
小さな面積になっていているか、
もしくはその両方の状態を備えた栽培容器。
【請求項8】
植物の水耕栽培容器または発芽環境に於いて、
互いに接触可能、
または前記植物の一部を介して接触可能な、
対向する部材を成す材料は、
その内部に前記植物の根が侵入出来ない材質から成り、
更に前記対向する部材は、
栽培植物または種子を挟んで保持可能で、
前記対向する部材の面の少なくとも1面の、
少なくともその一部に起伏を持っていても良く、
更に前記対向する部材のうち、
少なくとも一方は柔軟性を持っていても良い、
事を特徴とする、
前記水耕栽培植物の保持器または発芽器。
【請求項9】
本出願に於ける請求項8に記載の対向する部材のうち、
少なくとも一つの端部は、
前記対面する部材から離れる形状になっている
前記水耕栽培植物の保持器または発芽器。
【請求項10】
本出願に於ける請求項8及び9に記載の対向する面の何れか少なくともその一部に、
栽培する植物の根が侵入できない、毛細管現象を起こす事が可能なスリットか、微細な起伏を持つ部材、
もしくは栽培する植物の根が侵入できない、且つ吸水可能な材質から成る部材、
の、何れかを持つ、前記水耕栽培植物の保持器または発芽器。
【請求項11】
本出願に於ける請求項10に記載のスリットに於いて、
最終的に必要なスリット開口部のスリット幅を拡張させて変形させる事により、
全体として最終的に必要な形状から変形した状態のモールドを用い、
それにより成型された部材を
前記最終的に必要なスリット幅に戻す方向の力を加えて、
最終的に必要な形状に整形する方法か、
請求項10における複数のスリットに於いて、
それぞれの前記スリットの一部を通過する分割面で、
分割した複数の部材をそれぞれ成型し、
前記分割面で再び接合する方法か、
前記分割面と交わる方向にそれぞれ接合可能な面を持ち、
前記接合可能な面に前記分割した複数の部材を、
互いの前記分割面が接する様に保持可能なベース基板に並べて接合する方法、
の、少なくともいずれかの方法によって、
毛細管現象が可能な程度の、微少な幅を持つスリットを持つ部材を作成可能とする
本出願に於ける請求項10におけるスリットを持つ部材の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水耕栽培の植物の根を保持しつつ、
噴霧スプレーや液体に放出するエアーレーション等により、
栽培植物の根に対し育成に必要な液体や気体を供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水耕栽培に於いては、栽培植物の根の保持を確実にしようとする場合、
スポンジ、ロックウール、ココピート、ポリエステル繊維等を培地とし、
前記培地内部に、不可逆的な根の侵入を許し、前記根と培地が一体化する事で、前記栽培植物が前記培地に対して強固に保持されていたが、
栽培植物の育成終了後、互いに癒着している前記培地と根を、その何れかを傷付けずに分離する事は困難であったり、栽培の度にこの様な培地は廃棄物として捨てられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-328740
【特許文献2】特開2016-154467v
【特許文献3】特開2011-50361
【特許文献4】特許6574536
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、植物の水耕栽培に於いて、
前記植物を通常の土壌栽培と同等以上の前記植物の根の保持力を持つにも拘らず、
前記栽培植物の根を前記栽培植物の栽培器から容易に分離可能な保持手段を提供する。
【0005】
(定義)
本出願に於けるミストとは、噴霧器等で発生させるの霧と同義であり、
すぐに落下せずに、空間を短時間でも漂う事が出来る程度の微細な水滴である霧状の液体の状態を指し、
一般に加圧噴霧器、超音波振動子等によって得られるが、
本出願に於いては、その発生方法は限定しない。
【0006】
本出願に於ける液体に混入させたファインバブル(直径100μm以下全て)は、一般にマイクロバブル、ナノバブル、マイクロナノバブル、ウルトラファインバブル、ウルトラナノバブル等とよばれる、微細な気泡が液体中に拡散したものを指す。。
【0007】
本出願に於ける通気性部材や通液性部材は必ずしも硬質でなくても良く、
柔軟であっても良い。
【0008】
また、材質そのものに柔軟性に欠けるものであっても、ネット状やバネ状、フィラメント状などの形状にすることで柔軟性を持たせても良い
【0009】
本出願に於ける環状、またはループ状、とは、必ずしもその投影形状が円形のドーナツ形とは限らず、
例えば、図8、9に示す様に、
その内部空間の形状の始点と終点が同一と見なせれば、変形していても良い。
【0010】
本出願に於ける、液体より比重が軽く、前記液体に対して浮力を持つ部材は、
これらはペレット、バルーン、とも呼ぶ場合も有るが、
本出願に於いては、
本出願に使用する液体に対して浮力を持つ粒状の部材を総称してビーズと呼ぶ。
【0011】
本出願に於けるビーズは前記液体より比重の軽い部材で、
その構成材料そのものの比重が前記液体より軽くても良く、
たとえ、前記ビーズを構成する材料そのものの比重が前記液体より重い材料であっても、
その部材内部に、前記ビーズの外部と独立した一つ以上の中空の空間を持たせる等して、
結果的に前記液体より、その比重が軽くなる様にしたもの(例:独立気泡の発泡材、マイクロバルーン)であっても良い。
【0012】
本出願のビーズ抑えは、独立した部材であっても、
栽培容器に一体と成っていても、どちらでも良い。
【0013】
本出願に於ける「面」は必ずしも平らで滑面でなくても良く、
凹凸や繊維状の集合体、マット状、スポンジ状であっても良い。
【0014】
本出願に於ける「閉じた環」とは、前記閉じた環内で、
気体がその環の閉じる方向で循環可能な空間を指し、
本出願に於ける「環」は必ずしも完全な密閉状態とは限らない。
【0015】
本出願に於ける、「突起」と「起伏」は、
特定の面に対して相対的に高低差があるという意味において同義であるとする。
【0016】
本出願に於ける、栽培容器や保持器が保持をする対象は、
「栽培植物の根」に限定する事は無く、
前記根が持つ植物の葉や茎等も含む場合がある。
【0017】
本出願に於ける植物の育成に必要な液体の供給及び循環に於いて、前記ビーズや保持部材の上部から補給されても良い。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本出願に於ける課題を解決し、更に有益な効果を生む為に以下の様にした。
(ループ内のミスト放出)
図4の4C、4Bに一例を示す様に、
本出願のループ状筒内の気体が一方向に向けて循環する様に、
筒の両端同士が接続され筒内の気体の流れがループ状となる様にしても良い。
つまり、外気と仕切られた容器内を環状にし、
その環内でミストを循環させ、容器内でミストを長く滞留させる様にした。
【0019】
(栽培容器底部の傾斜)
軽量化の為に、限られた栽培に必要な液体は、
栽培容器内でミスト化し、放出された後、前記容器内の何れかに付着して再び液化する。
この時、前記容器内の底部が傾斜している事でより低い所に前記液体を集める事が出来る。
これを再びミスト化する事により、より少ない液体でミスト化と液化を繰り返す事が出来る様にしても良い。
【0020】
(ミストセンサーの配置位置)
本出願の水耕栽培に於いて、半透明なミストをより検出し易くする為に、
光センサー(イメージセンサーも含む)と、前記センサーが検出可能な光を出す光源との間に、
ミスト放出源またはミストが配置された位置関係にした。
【0021】
(液体+ビーズ+ビーズ押さえ)
栽培容器中の、液体上に浮かべた、植物の水耕栽培に必要な液体より比重の軽い部材から成る複数のビーズの上から、
前記ビーズの浮力による上昇を押さえる事が可能な部材と、
前記液体との間に挟まれた前記ビーズに根を這わせる事で、
前記植物を保持する様にしても良い。
【0022】
(液体中の気体放出)
前記液体中に配置された気体放出源により、前記液体中に気体を放出する事で、
前記ビーズの下方から上昇する前記気体と供に、前記ビーズ中を前記気体の泡が前記液体の液面より上に上昇するのと、
ビーズ間の毛細管現象を利用して、前記ビーズ間と前記植物の根に前記植物に必要な気体と液体を供給可能とした。
【0023】
前記を換言すれば、内部にビーズと液体が配置された栽培容器中に於いて、
前記液体中で気体を放出すると、その気泡が前記液体中を上昇し、
更に前記液体の液面に浮いている前記ビーズの隙間を通って上昇する際、
前記ビーズ間に、前記気体の放出の無い時の毛細管現象以上の前記液体の上昇が期待できる。
【0024】
(空間保持)
本出願の栽培容器に於いて、
前記ビーズを通さない大きさの目を持つ筒状の部材によって、
栽培容器の延びてゆく方向に、前記液体が満たされる事が可能、
またはミストが放出可能、
な、空間が保持される様にしても良い。
【0025】
(水平方向の断面積)
本出願に於けるミストまたはビーズを使う栽培容器内面の水平面での断面積は、
下方に行くに従い小さくしても良く、
また、本出願に於けるビーズを使う栽培容器内面の水平面での断面積は、
上方に行くに従い小さくしても良い。
【0026】
(対向する保持部材)
植物の水耕栽培容器または発芽環境に於いて、
対向して互いに接触可能な部材は、
栽培植物または種子を挟んで保持可能で、
前記対向する部材の内部には植物の根が侵入出来ない材料から成り、
また、前記対向する部材の素材は吸水性及び通気性を持たない素材から成っていても良く、
更に前記対向する部材のうち、
少なくともその一面は柔軟性を持っていても良い。
【0027】
(対向する部材の何れかに突起を持つ保持部材)
更に前記対向する面の少なくとも1面の、
少なくともその一部に起伏を持たせても良く、
それによって生ずる空間に前記植物の根が延びて育成可能であり、
更に突起が対面する部材と接している部分に延びた根が引っかかる事で、
植物自体の強い保持力を持たせた(図47~50)。
【0028】
(対向する部材端部の離れ)
更に、前記対向する部材のうち、少なくとも一つの端部は、
前記対面する部材から互いに離れる形状にしても良く、
これにより植え付け時の作業性向上や、液体中に放出された気泡を受けやすくした。
【0029】
(毛細管現象可能)
本出願に於ける対向する部材の、少なくとも一つに、
液体を吸い上げる毛細管現象が可能で、
前記植物の根が侵入出来ない程度の幅を持つスリットや、
毛細管現象が可能な微細な起伏を持ち、
且つ、前記植物の根が侵入、癒着出来ない材料によって作られる、
前記対向する部材が挟む植物に液体を供給可能にしても良い。
【0030】
(毛細管スリットの製造法)
スリットを持つ対向部材を成型可能なモールドに於いて
本出願の対向する部材に設けられた、本来必要とされるスリットの、
スリット開口部の幅寸法を拡張し、全体を変形させる事で、
前記スリットを持つ部材の全体形状をスリットの幅を広げる様に変形させた形状のモールドで成型し、
前記成型後、前記本来必要とされるスリット幅に戻す方向の力を加えて整形する事で、
本来、必要とされる前記スリットの幅が、
金型等では実現困難、または金型のモールドライフタイムが短く(ショット数が少なく)なる事を回避できるようにしても良い。
【0031】
また、この時、前記前記本来必要とされるスリット幅に戻す際には熱可塑によって不可逆的に本来の望まれる形に整形しても良い。
【0032】
スリットの底部または頂点部を通過する分割面で分割した複数の部材を、前記分割面で接合するか、
前記分割面と交わる方向に面を持ち、前記面に前記分割した複数の部材を保持可能なベース基板に接合する事で、
一回の成形では実現困難な微少な幅を持つスリットを持つ部材を作成可能としても良い。
【0033】
尚、前記スリットを得る為の接合方法は、接着であっても、溶着であっても、嵌め合いであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】仕切り(容器)の有無によるスプレーミストmの空間寿命の違い
図2】仕切り(容器)内でスプレーミストmを下方に向けて放出した例
図3】傾斜した仕切り(容器)内でスプレーミストmを下方に向けて放出し液体を循環させた例
図4】閉じた循環経路dmを持つスプレーミストm放出が可能な栽培容器の一例(一部断面も示す)
図5】ミストmが通過可能な栽培容器の例
図6図5の容器の蓋部の気密シールの一例
図7】対向する部材(図25以降参照)に挟んで保持する植物の一例
図8】対向配置されたミスト放出源(ノズル)1によって、一方向に循環可能なミスト流路dmが可能な互いに傾斜を持つ栽培容器の例
図9図8の立体図
図10】ミストmが通過可能な空間で通液性を持つ部材6a~6dで形成したバリエーションパターンの例
図11】ネットやマット状の通液性の保持部材で栽培植物の根を保持可能な配置の例
図12】ネットやマット状の通液性の保持部材を使った根菜類の容器内での保持、育成例
図13】櫛状の根保持部材7を使った根菜類の容器内での保持、育成例
図14】櫛状の根保持部材の一例
図15】液体10に対して浮力のあるビーズ00を12a、12bの抑え板によって、それぞれ00の上昇を抑えた栽培容器の一例
図16図15に加えて、10の液体中で気体aaを放出可能な放出源9(エアーストーン)を配置した例
図17】根菜の育成に応じてビーズ00の量を増加させた一例
図18】ジャガイモなどの根菜類の荷重による沈降を13によって受ける配置の一例
図19】ビーズの量を変えずに、根菜の育成に合わせて液体の量を調整した場合の一例
図20図19の立体図
図21】栽培容器のうち、ビーズが配置される部分の断面形状と、ビーズ00中の気泡の上昇コースの傾向の説明図
図22】気体放出源と、植物が配置された部分(栽培器上部)の水平断面形積が、栽培容器の中央部の水平断面積より小さい場合と、そうでない場合の一例
図23】ビーズを封入する袋、または容器の一例
図24図23の例で得られた袋または容器の本出願に於ける栽培器内の配置例
図25】液浸用対向する部材に栽培植物の根が侵入できない膜状部材を使い、対向する部材に挟んで種子や植物を保持する方法の一例
図26図25のフレーム構造の一例
図27】組まれた状態の図26の立体図
図28】対向する膜状の部材22a、22bで構成される栽培植物の根の保持可能な部材の一例
図29】螺旋多角形に配置された対向する膜状の部材22a、22bの一例
図30】少なくとも一つの面に起伏を持つ対向するスポンジ等の柔軟な部材と、根が侵入できない皮膜を組合わせた対向する部材の一例
図31】対向する部材の頂部が互いに接触可能な部分の説明図
図32】表面に凹凸を付けた対向する部材(根の保持部)のパターンの一例
図33】互いに波の進む方向が違う形状を持つ、対向する部材の配置例
図34】栽培に必要な液体に浸すケースと前記液をミスト化して使う場合の対向する部材の形状例
図35図34の運用例
図36】35Aの対向する部材の形状をボタン型の突起27に成形したもの(対向する部材から成る5の一例)
図37図34の分解図
図38】円筒状の対向する部材(発芽器)の例
図39】二枚で成立する構成と、単一でも対向する部材として成立するロール状の対向する部材(発芽器)の一例
図40】一つの部材に、対向面としての形状を一面ずつ持たせた部材を複数重ねた(図39の30Bの例の様なロール状も含む)、面の一部に種子ポケットを設けた断面の一例
図41】一つの部材に、対向面としての形状を一面ずつ持たせた端部の隣り合う2つの傾斜面で、成立する種子ポケットの断面の一例
図42】対面する部材にスリットを設けた一例
図43】スリットnbをnaに広げて(43B)33aの状態で成型後、33b(43C)の様に整形して、より狭いスリットを得る方法の一例
図44】34のエレメントの一部g同士を接着または溶着してスリットを得る方法の一例
図45】34のエレメントを基板32に接着または溶着してスリットを得る方法の一例
図46】対向する部材のうち起伏の無い面にスリットを設けた一例
図47】対向する部材間で育成した植物の根が平面状に広がった様子の例
図48図47の平面状に広がった根の拡大図
図49】円錐台の突起を持つ対向部材
図50】対向部材間で植物を移植する際の突起の径の差の説明図
図51】液体中10に複数の39が配置され、ネット37とバネ部材38を併用した一例
図52図51の部分拡大図
図53】ビーズへの植え込みガイドの一例
【発明を実施するための形態】
【0035】
(ループ内のミスト放出)
図1の1Aに示す様に、超音波スプレー等で発生させたミストmの噴射コーンは、
閉じてない空間または前記噴射コーンに触れない程度に離れた壁を持つ大きな空間に放出すると、
比較的短距離で気化してしまい、
通常は、mの放出先aに配置された栽培植物の根には、水滴として付着しない。
【0036】
ここで、図1の1Bに示す様に前記超音波ミストの噴射コーンに、接触可能な内径を持つ容器(筒)を配置する事で、前記ミストmが噴射されると、
前記筒内の湿度がすぐに飽和して、前記ミストは微細な水滴のまま、すぐに気化せず容器内を移動出来る。
この時、図2図3に示す様に、
前記超音波ミスト発生源1のノズルを下方向に向け、
ミストmの噴流方向を同様に下方向にする容器形状にする事により、
ミストmの自由落下も手伝って、より長く容器内を通過させる事が出来、
前記ミストmが通過可能な筒内に、複数の栽培植物の根を筒内に露出して配置、
または前記植物の根を保持する保持器で配置する事により、
少ないミストと、エネルギー消費量で前記栽培植物の根に、水分及び養分を供給可能となる。
しかし、これでは、液体10を循環させるのに高低差が大きく、
ポンプ2による10の汲み上げにエネルギーがより多く必要となり、
同時に植物の配置も高低差があるので、作業性が良くない。
【0037】
(ループ内のミスト放出)
図8、9は互いに並列させた筒の様に、筒内の放出されるミストの流れdmが互いに逆で、
前記並列させた筒の、それぞれの隣り合う端部の空間同士を互いに接続させる事で、
ミスト発生源1では放出されるミストにより部分的に減圧するが、
これにより、1より後方の空間で接続された隣の筒内の気体を吸引する事になり、
同様の現象が対面する筒端部にも生じて結果的に、前記並列させた筒内の気体は一方向dmに循環する。
【0038】
この時、筒内の湿度はすぐに飽和状態になるので、
図1の1Bの例の様に前記ミストは解放空間中でミストmを放出した時より、
気化が遅延し、筒内でミストを含んだ気体の流れdmが循環する事となる。
【0039】
これにより、筒内に配置される栽培植物の根にミストmの接触する機会が、
筒内を気体が循環しないものと比較して各段に増加する。
当然に、図4に見られるような支点と終点が閉じた環状の(ループ状の)空間であっても同様である。
【0040】
また、図8、9に近い栽培容器の形態例として、
一つの筒内に仕切り部材を挿入して、前記筒内を仕切り、
それぞれの端部の仕切りを一部取り、空間的に接続し、
前記筒内の気体やミストの流れを互いに逆方向にして、
前記気体を循環可能にしても良い。
【0041】
また、前記ループ状の空間中に配置すべき噴霧ノズル1の数は、
間隔を置いて適宜増加させてもよい。
【0042】
また、本出願に於けるミストは常に放出される必要は無く、間欠放出されても良く、
また複数の放出源の場合、そのそれぞれのミスト放出のタイミングは必ずしも同じでなくとも良い。
【0043】
本出願の栽培容器の一部は、図5に例を示す様に2つ以上に分割可能で、
収穫時に栽培植物と前記容器との分離を容易にしても良い。
【0044】
本出願のミストを使った栽培容器に於いて、
前記栽培植物の根の他にミストが付着する可能性があるのは、主に前記筒の内面であるから、
前記筒の内径は前記栽培植物の根の育成に影響の無い限り小さい方が望ましい。
【0045】
また、本出願のミスト発生源1(ノズル等)に加えて、
前記ループ内にファンまたは、加圧/減圧バルブを配置しても良い。
【0046】
本出願の様なミストを使用する栽培容器にすると、
従来の様に多量の液体の配管や大容量の液体槽を必要としないので、
循環する液体の量は最小限度で済み、
管理やメンテナンスがし易く、栽培セットの重量が軽量化出来、
栽培容器の設置の際や移動の際にも有効である。
【0047】
また、ミスト放出源1を通過する液体中のミネラル成分等による結晶化を防ぐ為に、
一定時間おきに洗浄効果のある水または液体を前記ミストノズルに供給しても良い。
【0048】
また、前記ミスト放出源1は、
洗浄またはメンテナンス可能なユニットまたはカートリッジ式にしても良い。
【0049】
(栽培容器底部の傾斜)
本出願の栽培容器内で一旦噴霧(ミスト化)された液体は、
やがて液体に凝結し、前記栽培容器の低くなった場所に集められ、
再びミスト化される為に、ポンプや毛細管現象を利用して、ミスト化ノズルまで運ばれる。
この時運ばれる前記液体の高低差sは小さい程、汲み上げポンプなどによるエネルギー消費は小さくて済む。
【0050】
図4、8、9に示す様に、植物育成に必要な液体(水や液肥など)を、
ポンプまたは毛細管現象等を使った汲み上げ可能な手段と、
前記液体をミスト化可能な手段と前記ミスト化した液体が、
筒状で閉じた環状の空間内で循環可能で、
前記ミストが凝結した液体は前記筒状空間の傾斜した底部を流れて、
前記汲み上げ手段の汲み上げ口に流入集積させても良い。
【0051】
尚、この時、液体が流れる底部は直線や平面を持つ傾斜に限らず、途中で淀まない高低差があれば流れの幅方向または流れの方向にも湾曲していても良い。
【0052】
また、水平に近いが、僅かに傾斜した前記底部を持つ栽培容器は、
前記筒同様に植物も水平か、それに近い僅かに傾斜させて配置可能である。
従って、前記栽培植物や前記栽培容器施設のメンテナンス作業等の際、
横に動いて作業可能なので、
栽培植物が上下方向に配置された縦型栽培容器施設と比較して、
作業者の姿勢変化が少なく、疲労が少ない。
【0053】
図8、9の様に栽培植物を横列に並べて配置された筒状部材は、
互いに逆方向の傾斜角度を持ち、
前記筒状部材の同じ方向を向いた端部同士をそれぞれ接続する事で、
閉じたループ状にしたものに、
前記ループ状の何れか少なくとも一カ所にミストを発射可能なノズルを配置し、
更に前記筒状部材に植物を挿入可能な穴を複数配置しており、
形状は違うが、図4の4Aも同様である。
【0054】
(ミストセンサーの配置位置)
一般的な反射型フォトリフレクター式センサーに見られるような、
発光部と受光部が同じ方向を向き、並んで配置されたセンサーでは、
反射率が低い霧のような半透明な検出対象には向かない。
また受光部の前をよぎる物体が、
前記発行部の光を遮断する/しないで検出する方法でも、
その変化が少なく、やはり半透明なミストの検出には向いていない。
【0055】
発光部と受光部が同じ向きを向いて並んで配置された光電スイッチ(センサー)の場合、
発光部と受光部を備えた光電センサーは
中実で反射率の高いものでは問題無く機能しても、
ミストの様な半透明で順光の反射率の低い対象では発光部の出力を上げるか、
反射を検出するセンサーの感度を大きく上げねば検出が困難である。
しかし、発光部と受光部との間にミストの発生源、または、ミストを挟んで光電センサーを配置する事で、
前記発光部からの光を、より強く前記受光部で捕らえる事が出来る。
【0056】
本来、不透明な物体と比較して、
雨粒、水滴、湯気等の様な半透明の物体に、
より明確な照明効果を上げるには、
例えば、雨を撮影する場合、撮影方向に対して、
前記撮影方向と同じ方向に照明光を当てる順光線で行うよりも、
前記照明光源の向きを逆方向である撮影機の方向に向け、
前記照明光源と撮影機との間に前記水滴を挟む位置関係にする逆光線で行う方が、
より明るく写るという基本的な撮影技術の古典的セオリーが存在する。
【0057】
これは、前記ミストをマクロで観察した時、
ミストの水滴に順光で光を当てると、
その水滴の表面のごく一部に小さな光の点が反射するが、
ミストを挟んだ、言わば逆光状態のミストは、
水滴がレンズとして機能して、光源を屈折させるので、
一つ一つの前記ミストの水滴の中に光源が強く映り込み、
全体として同じ光量の光源でも、
より強くミストからの光が受光部へ到達する事を利用したものである。
【0058】
そこで、本出願に於いては発光部と受光部(イメージセンサーも含むセンサー)の間にミストが位置する様に配置され、
且つミストが無い時に前記発光部の光が直接前記受光部に入射しない様にしつつ、
前記ミストを照らす位置に配置し、
前記ミストが発射されると前記発光部からの光が前記ミストで拡散される事で前記受光部が、
前記発光部の光をより明瞭に捕らえる事が出来るようにした。
【0059】
この時、前記光源の散乱光を検出するセンサーと、光源は、
ミストの放出源及び放出エリアを挟む位置関係で配置され、
且つ、前記ミストが出ていない時には、前記光源が前記センサーに直接入射しない位置に配置される。
【0060】
前記センサーが検出可能であれば、
光源は、ネオン管、タングステンライト、HMI、EL、冷陰極管、LED、レーザー等が発する紫外線、可視光線、赤外線の何れであっても良い。
【0061】
また、前記センサーの感度特性が殺菌効果を持つ紫外線の波長域であれば、
ミストセンサー用の光源と栽培容器内部の藻類や菌類の発生を抑制する作用も併せ持たせる事も可能である。
【0062】
また、この際、前記受光部の周囲は、
前記発光部からの光の乱反射によって前記受光部のミスト検出を妨げない様に、
前記受光部及び前記発光部の周辺及び、
本出願の栽培容器内部は黒く塗られていても良い。
【0063】
また、前記ミストにより栽培容器内部が濡れて前記発光部の光を反射する事で、
前記受光部が誤反応しない様に、
前記発光部と前記受光部の少なくとも何れかに
偏光フィルターを配置しても良い。
【0064】
この様にする事で、
センサーはミストによる光源の散乱光を捉える事が出来、
ミストの放出信号と、前記センサーのミスト検出の出力タイミングが一致すれば正常とし、
一致しなければ、異常とし、ミスト化装置の電源供給を切り、警報を出す様にしても良く、
この様にする事で超音波素子の空焚きやポンプの液体の無い状態で空転して、
素子や機械部品への悪影響を最小限にする事が出来る。
【0065】
本出願に於ける栽培容器に使用する液体、または容器内の何れかで、
照射するUV灯(殺菌灯)は常時、または間欠的に点灯しても良い。
【0066】
また、光電センサーに代えて、または併用して、
本出願に於ける栽培容器内に光電スイッチ、ミストを検出可能なセンサー、湿度センサー、電気抵抗を使ったセンサー等が配置されいても良い。
【0067】
(液体+ビーズ+ビーズ押さえ)
本出願の水耕栽培に使用する容器内部に、
液体と前記液体を保持可能で、前記液体に浮かす事が可能な、前記液体より軽い比重の部材から成る複数のビーズ状部材(以下ビーズという)と、
浮力により、上昇しようとする前記ビーズを物理的に抑え込む事が可能な部材を持つ事で、前記ビーズの中を前記栽培植物の根が張り、前記植物を安定して育成する事が出来る。
【0068】
なお、前記部材はビーズがその浮力により横方向に広がる事を押さえる事が可能な仕切り部材であれば、穴が開いていたり、ネット状であっても良い。
【0069】
また、単に、より大きな液体容器にビーズが横方向に広がる事を押さえる「囲い」「仕切り」が一つ以上有る配置であっても良い。
【0070】
液体に浮かんだビーズ00の浮力dを抑え込む内形状を持つ栽培容器について、図15で説明する。
前記ビーズ00は液体10による浮力dと一定以上の上昇を抑える部材(12a、12b)によって、
前記ビーズの横方向に拡がろうとする力と浮力による力dを抑える事で、
空気中で単に容器に盛られた前記ビーズとは全く違った、隣り合うビーズ同士の圧力が生じ、
結果的に、軽量なビーズでも栽培植物の根を含む全体の重量を保持する事が可能となる。
(*前記空気中で単に容器に盛られたビーズの場合は、植物の根が張った状態であっても、前記ビーズそのものの重量が軽すぎて植物の安定保持は非常に困難である)
この圧力は、容積が限られた栽培容器中でのビーズの量と、
液体の量のバランスを変える事で可変出来、
植物が土壌に根を張る状態に近付ける事も可能である。
【0071】
根菜類の場合、図19に一例を示す様に、
栽培植物の成長に従い、その根部の体積が増しても、
前記根部からビーズに受けるその圧力は前記ビーズ下部の液体方向へ逃げるので、
前記根菜の生長を妨げる事は無い。
【0072】
本出願による栽培容器内の液体の量は変えずに、ビーズの量を増減するか、
ビーズの量は変えずに、液体の量を増減するか、
またはその両方の増減で、ビーズ間の接触圧を変更しても良い。
また、前記の様にビーズ間の接触圧を増やす事で、
重量のある根菜類をビーズエリア内に保持可能となる。
【0073】
また、横方向に伸縮性を持つ部材を前記仕切りとしても良い。
【0074】
浮力のあるビーズの上部に配置されるビーズ抑え板は、
前記栽培容器に固定されずに、単に載っているだけでも良いが、
前記ビーズ抑えには必ず重量があるので、
結果的に弱いながらもビーズの浮力による上昇を抑えていることになる。
【0075】
また、ビーズの浮き上がり横方向への広がりを押さえ込む事が可能な部材は、ビーズが通り抜ける事は出来ないが、通気性を持っても良い。
【0076】
また、図17に一例を示す様に、植物の成長に合わせて、
液体に浮かせたビーズ部の高さ方向の厚みを栽培中に変更可能にしても良く、
本出願の栽培容器内のビーズと液体との分量バランスを変更可能にしても、
または、栽培容器内の一部を移動させて、
前記栽培容器内部の容積を変更可能にしても良い。
【0077】
この様にする事で、
前記ビーズ間の互いに押し合う力(圧力)も変化可能なので、
前記ビーズの栽培植物の根に対する保持力をコントロールする事が出来る。
【0078】
また、重量のある根菜等に於いては、
前記栽培容器の容積を変えず、ビーズ抑え板を一定の場所に保持したまま、液体の量を増やす事で、
前記ビーズ間及び、前記ビーズと前記根菜間との圧力を増加させる事が出来るので、
前記ビーズに於ける前記根菜の保持力を高める事も出来る。
【0079】
また、逆に、根菜などの成長が著しく、ビーズ間の圧力が大き過ぎた場合は、
前記容器内の液体の量を減少させる事で、前記ビーズ間の減圧も可能である。
【0080】
本出願に於けるビーズ部は、
通気性と通液性を持つ容器、袋に入っていても良く、図23、24に示す様に、
本出願の栽培容器に使用するビーズの大きさよりも小さな穴を持つ部材16から成る容器または袋、
または前記ビーズの大きさより小さな目を持つネット、布、不織布から成る容器または袋、に入っていても良く、
また前記部材、ネット、布、不織布など同士を組み合わせたものに入っていても良い。
【0081】
また、本出願に於けるビーズ部を包み込む、または囲い込む部材は、前記部材16に加えて、
本出願の栽培容器に栽培植物を植え付けの際に、
鋭利な部分を持つ、植え付け補助器具と共にその一部を突き破って穴開け可能にして、
前記栽培植物の根を挿入可能な、
例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、塩化ビニール等のフィルム部材17をその一部に持っていても良く、
また、17に代えて栽培植物を挿入、または挟み込んで保持可能な隙間が出来るフィルムやネット、スポンジ、不織布から成る部材を配置しても良い。
【0082】
また、図18の14に示す様に、
根菜類の根の重量を支えて保持可能で、9から放出された気泡abが通過可能な部材を
栽培容器中に持っていても良い。
当然に、前記部材14は穴あき、またはネット状、メッシュ状の部材であっても良い。
【0083】
本出願に於ける栽培容器中に配置されるビーズ00との液体10の量のバランスは、栽培植物の性質により変更しても良い。
【0084】
本出願に於けるビーズ部材は、中空部材や発泡ポリスチレンや発泡ポリスチレンを使っても良い。
【0085】
本出願によれば、栽培植物の移植や収穫時に、
前記ビーズの押え板を除くか、前記栽培容器内の液体の一部または全部を除く事で、
ビーズを使って育成した植物を、ビーズから引き剥がす事は容易となる。
また、収穫の際、育成に使ったビーズの大きさより大きなメッシュ、または穴、を吸引部先端部に持つ吸引器(バキュームクリーナー等)を使う事で、
非常に容易に前記植物の根の部分とビーズを分離可能で、吸引したビーズは洗浄後、再利用も可能である。
【0086】
(液体中の気体放出)
図16に例を示す様に、
栽培容器内に配置された液体10中に気体aaを放出する事でその気泡abが10中を上昇しつつ、
前記液体10を攪拌し、
更にビーズ中を前記気泡abが上昇(ac)する事により、
ビーズ間の毛細管現象で、前記液体が上昇するよりも上に前記液体を気泡acと共に押し上げ、
前記液体を前記泡abが攪拌する事で、
10の前記液体の液温の均質化と、微生物の繁殖を抑える効果があり、
更に、液体中に前記栽培植物の根の育成に必要な前記気体(例えば酸素など)を溶け込ませる作用も期待できる。
【0087】
この時、前記ビーズ抑え12aは、前記ビーズの隙間から上ってくる気体adを透過可能であっても良く、
穴あき板、メッシュ、金網、不織布、マット、枠付き透過性フィルム、枠付き布等の部材、または前記部材、材料同士の組み合わせであっても良い。
【0088】
また、気体放出源はビーズ中に配置されても良い。
【0089】
本出願に於ける液体中の気体放出(エアーレーション)は、必ずしも連続でなくても良く、間欠動作で行っても良い。
【0090】
前記ビーズ底部から上がってきた気体adは、前記ビーズ00を持つ栽培容器とは別の場所に排気しても良い。
【0091】
本出願に於いて使用する液体中に、熱源または冷却源を配置して、加熱または冷却しても良い。
【0092】
また、本出願に於ける気体放出源に代えてまたは併用してファインバブルを混入させた液体を放出させる放出源を任意の位置に配置しても良い。
当然に、「液体中に気体を放出」とは液体中に前記ファインバブルを含んだ液体を放出する事も含み、前記ファインバブルを含んだ液体を本出願の栽培器に注いでも良く、またスプレーしても良い。
【0093】
(空間保持)
本出願の栽培用器内に配置される部材は、
その形状を保持可能で、前記栽培容器に使われるビーズより小さな穴の開いた板、ネット、金網、メッシュ、連続気泡を持つ部材等で作られる仕切りがビーズを包み込んでいても良く、
また、その形状を単体では保持出来ない程度に柔軟な部材から成り、通気性と通液性のある部材、
例えば、穴の開いた部材、ネット、金網、メッシュ、連続気泡を持つ部材等で作られる仕切りがビーズを包み込んでいても良い。
【0094】
または、前記仕切りはその形状に拘わりなく、前記液体が配置された前記栽培容器内に於いて、
ビーズとそれ以外の空間を、通気性または通液性を持つ一つ以上の部材で仕切っても良い。
【0095】
図10の10A~10Dにその形態例を示す様に、
前記ビーズに触れつつ、
前記栽培容器内の前記栽培容器長手方向に筒状に延びるネットや、
かご状または、複数の穴の開いた部材を配置して、
それによって得られる筒状の空間の一部または全部に液体を配置するか、
前記空間にミストを放出しても良い。
この様にする事で、ミスト放出の空間確保や、
液体中の気体放出(エアーレーション等)によってビーズの位置が大きく変化する事を防ぐ事も出来る。
【0096】
(水平方向の断面積)
図21の21B、21C、及び、図22の22Aにその一例を示す様に、
前記栽培容器内のビーズを保持する仕切り部材の水平方向の断面積は、ビーズ最上部に近付く程、前記ビーズ部小さくなっても良い。
【0097】
また、本出願に於けるミストやビーズを使った栽培容器の水平方向で得られる内部の断面積は、
容器底部へ行く程小さく成っていても良く、
また、栽培植物を保持している容器上部へ行く程小さくなっていても良く、
この様にする事で、前記ミストが最終的に前記容器内で液化した際、
前記容器内の底部が小さく、且つ傾斜している事で、
より低い場所へ液体を集積する事が出来る。
【0098】
図22の22Aと22Bの比較図に示す様に、
本出願に於ける栽培容器中の水平方向の面で得られる断面積を変える事で、
図22の22Bに示す液体中の流れが滞りやすいpに例を挙げる様に、
前記液体中での泡による攪拌の偏りが少なくなり、
ビーズ中に於いては図21の21B、21Cに例を示す様に、
21Aとは違い、前記液体から上昇してくる液体を含んだ気泡acの上昇によって、
acと共に運ばれる前記気体と前記液体を前記植物の根に集中させる事も可能となる。
【0099】
また、前記液体10中の前記気体aaの放出源9の深さによって、
前記液体10中に気体aaを放出させる際に必要なエネルギーは変化する。
一方、前記気体の放出源は、必ず前記液体中に没していなければ、
前記液体の気泡は生じない。
従って前記液体が配置される容器の底部はより小さくなっていた方が、
より容易に、より浅く、より少ない量の液体で、
前記気体の放出源は前記液体に没する事が出来る。
【0100】
(対向する保持部材)
本出願の植物の根などの一部または種子を挟んで保持する事が可能な対向する部材は、
その内部に植物の根が侵入出来ない材料から成り、
また、前記対向する部材に通気性の無い材料を使っても良く
前記対向する部材のうち、少なくとも一面は柔軟性を持っている。
【0101】
図25~29に例を挙げる様に、
前記対向する薄膜状の部材の間に種子や植物の根等を配置し、
前記対向する薄膜状の部材の何れかの端部は液体と接するか、
前記液体のミストに曝される事で前記対向する部材間の毛細管現象により、
前記種子や植物の根などに液体を供給可能としても良い。
【0102】
本出願の対向する部材に於いて、植物はウレタンフィルムなどの弾性のある薄膜で挟んで保持しても良い。
【0103】
また、図30に例を挙げる様に、
前記膜はウール状のマット、ウレタンスポンジ、エラストマー等の厚みのあるクッション材または弾力のある部材で、裏打ちされていても良い
【0104】
また、本出願の対向する部材の少なくともその一部は、最終的に前記部材が最終的に柔軟性を持つものであれば、
例えば、薄板材料を曲げやプレス、熱成型、射出成型等により、
つづら折りにして柔軟性を持たせる等した金属であっても良い。
【0105】
また、本出願の対向する部材は、レーザーやエッチング、電子ビーム加工等により、
根が侵入出来ないような微細な穴開け加工を施して、柔軟性を与えた金属板であっても良い。
【0106】
また、前記対向する部材同士は必ずしも同じ部材である必要は無い。
【0107】
また、前記対向する部材の端部の長さや形状は必ずしも互いに揃って無くても良い。
【0108】
本出願に於ける対向する部材の少なくとも一方は、
例えば、ウレタンフィルム、セロハンフィルム等の透湿性または通気性を持つ部材であっても良く、
また、前記対向する部材の素材特性に必ずしも透湿性または通気性がなくても良く、
形状としてその一部に穴やスリットを持っていても良い。
また、この時の穴やスリットは、栽培植物の根が入り込めない場所か、大きさとする。
【0109】
また、前記対向する部材間に毛細管現象による液体の初期浸入を助ける為に、
前記栽培容器内の液面に到達する長さを持つ部材を取り外し可能に、前記対向する部材間に、挟み付加しても良い。
【0110】
本出願の対向する部材及び栽培容器は、
その内部に配置されるか、熱伝導可能な位置関係に配置される発熱体や冷却体によって、
栽培植物にとって適切な温度環境を調整可能としても良い。
【0111】
また、植物の種類、育成期間等によっては、
前記対向する部材の高さ方向の寸法を、前記栽培植物を保持可能な範囲で小さくして、
本出願に於けるミストや、本出願に於ける液体により曝されやすい状態にしても良く、
前記栽培植物をよりしっかり物理的に保持する必要があるときは、
前記対向する部材の高さ方向の寸法を大きくする事で、より保持力を高める事が出来る。
【0112】
例えば、発芽器としての対向する部材の場合、前記対向する部材の材料に柔軟性は無くても良い。
【0113】
また、本出願の対向する部材に柔軟性が無くとも、
前記対向する部材を互いに引き寄せ、または互いに押しつける、バネやスポンジなどの部材により、
前記対向する部材の間に植物や植物の種子を挟む事を可能にしても良い。
【0114】
更に、前記対向する部材に柔軟性がある場合に於いても、前記バネやスポンジなどの部材を併用しても良い。
【0115】
(対向する部材の何れかに起伏)
図30の30A、図31の31B、31D、図38~41、46、47に例を挙げる様に、
前記対向する部材の栽培植物の根を保持する部材の少なくとも一つの面に起伏があっても良いし、
図25~29に例を挙げる様に、
両方の面共に起伏が無くても良い。
【0116】
前記対向した部材には、前記部材同士、
または前記部材と植物の根との間に、互いに接する部分が必ず生ずるが、
この接する部分に、毛細管現象によって、液体が伝い昇る事が可能である。
【0117】
また、図38の発芽器の一例の様にすると、
対向する部材側を向いた、種子ポケット29以外、滑面な円筒の面31に対して、
対面可能なボタン状の突起を持つ部材を前記円筒の円周方向で6分割した27を6個配置した発芽器の一例に於いて、
29への種子のセットは、回転軸を横向きにした時の前記円筒の上向きの1区画(27)ずつ行い、
前記円筒を回転させる事で同じ場所での種子のセット(配置)が可能で、
そのセットの間、作業者の移動はほぼ無くすことが出来る。
また、セット後、回転軸を横向き、または傾斜した前記回転軸上で、
前記円筒を回転させる事で周期的に液体に漬ける事もできるので、栽培に必要な液体の補給の自動化も容易である。
【0118】
また、39に示す様に、ロール状に対向する部材を配置した形状であっても良く、
これらの例は植物の種子の発芽の為の栽培器であり、
種子を前記発芽器にセット後、
前記種子にとって適切な温度環境下で液体に漬けるなどして発芽を促し、
発芽後、適切な大きさに育ったところで収穫や、別に植え替えをしても良いし、
育成可能な物理的空間があれば、そのまま育成を続けても良い。
【0119】
図39、49に示すロール状発芽器の一例の大きな特徴は、
・種子のセットの操作性が良い。
・コンパクトに且つ高密度に発芽させたものを、個々に分離が容易である。
・前記発芽器からの移植や収穫の際の分離性が非常に良く異物が付かない。
・更に、前記分離の際、滑面側の31には前記収穫物は付かず、必ず突起のある27側に付くので作業性が良い。
・対向する部材の突起の一部をロール部材の幅方向に連続して延びる仕切り状の突起36を配置する事で、隣り合う植物の根を個々に分離する事が出来る。
・前記発芽器は栽培する植物の根と癒着しないので、洗浄して繰り返し使用が可能、
等が挙げられる。
【0120】
また、図39の39Bと図40、41に見られる様に、
突起を持つ面27と、種子ポケット29以外滑面の面31を、一つの部材の両面に設けても良い。
尚、種子ポケット29は丸い窪みではなく、長い溝であっても良く、
図41の例の様に、隣り合う対向部材によって種子ポケットが形成されても良い。
【0121】
また、図32にその極一部を例に挙げる様に、
前記対向する部材に設けられる突起の形状は特に限定しないし、
また、接して対向する部材間の一部に空間が出来る形状であれば、
連続する同じ突起形状のパターン、幾何学的図形である必要も無い。
また突起は、その突起の断面形状が波形(矩形波、方形波、三角波、サイン波または前記波形の組み合わせ)であっても良い。
また、前記根を保持する対面部材には一つ以上の切れ込み、溝、穴があっても良い。
【0122】
図47、48の40に例を示す様に、育成した植物の根は、
前記対向する面の突起周辺の空隙内で平面的に育成される。
【0123】
図30以降に例を示す様に対面する部材の表面が、
突起や起伏を持つ事で生ずる空隙内で育成する前記栽培植物の根は、
土中に根を張る植物と同様に、
外力に対してしっかりと保持され、安定した育成が可能であり、
前記対向する部材を互いに接した状態から互いに分離しない限り、
前記植物の根を無傷で引き抜く事も出来ない。
【0124】
また、毛細管現象で根に対する給水も充分に可能であり、
更に、この対向する部材間に根を張る事で
保持された植物や前記植物の根に掛かる荷重に対して、
大きな耐性を持つにも拘わらず、
その対向する部材の表面は前記栽培植物の根によって、
癒着されない程度の滑らかさを持っていれば、
前記対向する部材同士を分離する事で、
非常に容易に前記対向する部材から根を剥がす事が可能となり、
栽培容器から前記植物の収穫や植え替え等も非常に容易となる。
【0125】
前記対向する部材は、少なくともその一面の一部に起伏があっても良く、
また、前記対向する部材の少なくとも一面のその一部に吸水性、吸湿性の部材(例えば吸水ゲル等)または、
親水性の部材が配置されていても良く、また、前記対向する部材に親水性表面処理がなされていても良い。
この時、本出願に於ける栽培植物の根が、前記吸水性、吸湿性のある部材の内部には侵入出来ない部材とする。
【0126】
また、本出願に於ける水耕栽培器の何れかに、酸化チタンなどに見られる光触媒の超親水性を利用して本出願の保持部材に前記光触媒を塗布、配置しても良い。
【0127】
更に、静電植毛した部材を本出願の栽培器の何れかに配置し、毛細管現象による液体の搬送に利用しても良い。
【0128】
前記対向する部材の向かい合う部材に於いて、
前記対向する部材の持つ突起と接している部分の前記部材間の隙間は、ほぼ無いが、
それ以外の前記対向する部材間には空間があり、
その空間へ前記植物の根は延び、
前記空間の幅より大きくなろうとすると、
前記対向する部材の少なくとも一方が柔軟性を持っていた場合、
前記対向する部材を押して変形させる事で、生育可能である。
【0129】
また、前記突起によって、前記対向する部材と接している事により、
前記植物の根にとってはそれ自身を安定して自立する非常に強い足がかりとなり、
前記柔軟性のある部材の何れかを押しのけて育成した場合、
それに従って更に大きな前記植物の保持力となったとしても、
前記対向する部材を分離する事で、非常に容易に前記対向する部材から前記植物の根を取り外す事が可能となる。
【0130】
本出願の栽培植物を対向する部材に挟んで保持する部材は、
必ずしも本出願に記載の栽培容器と組み合わせて使うとは限らず、
例えば、前記保持する部材を単独で発芽用に用意した環境に配置しても良く、その後他の育成場所に移植しても良い。
【0131】
また、本出願の栽培植物の保持部に配置した栽培植物の育成状態により、
液体に漬ける(浸す)高さや条件を育成途中で変えても良い。
【0132】
本出願の対向する部材間で育成される根は、前記部材間からはみ出て、更に広がる事も可能である。
【0133】
(対向する部材端部の離れ)
図25~27、30、33~37、40、41、46~49に示す様に、
植物の植え付け時の利便性や、栽培時の上部からの給水、毛細管現象の補助的な機能が期待できるので、
本出願に於ける対向する部材のうち、少なくとも一つの端部は、
その対面する部材から離れる形状になっていても良い。
【0134】
その際、対向部材の端部が離れる形状は、
互いに離れても、どちらか片方だけが離れる形状でも良い。
【0135】
図35の35Aの、25Aと25Bの部材下部には、
液体10の中に放出された気体(気泡)を受ける事が可能な25Aと25Bの下端部の部材間の間隔が広がっており、
10に放出された気体がこの間隔に入ると、前記気体の気泡の上昇と共に、
10を25Aと25B間の隙間を10の液面より上に、毛細管現象による上昇以上に上昇させる事が出来る。
【0136】
図35の35Bは、栽培植物育成に必要な液体をミスト化した雰囲気中に栽培植物の根を配置する際に、
26a、26bの対向する部材で、前記栽培植物の根を挟む保持部材とした例であり、
26a、26bの間の空隙にも前記ミストは侵入して水滴となり、
毛細管現象と相まって26a、26bの間の根にも液体が供給される。
【0137】
また、対向する部材の上端部が離れていると、栽培植物の植え付けや種子の挿入が容易となる。
【0138】
また、前記対向する部材の何れかの少なくとも1カ所に、穴が開いていても良い。
【0139】
本出願に於ける栽培植物の苗や種子をセットし易い様に、前記対向する部材間の間隔を広げる為に、
前記対向する部材との間に配置可能で、取り外し可能なスペーサーが挿入されていても良く、
前記セット後、前記スペーサーは取り外されても良い。
【0140】
また、当然に対向する部材の上部から液体を供給しても良く、
図38~40の例に挙げた種子ポケット29を設けなくとも、
対向する部材の上端部が離れる形状部分(図25~27、30、33~37参照)に種子を配置し、
発芽するまでの一定期間、前記離れる部分に液体を滴下したり、そのミストを噴霧しても良い。
【0141】
(毛細管スリット)
図42~46に例を挙げる様に、
本出願に於ける対向する部材の少なくとも一部に前記部材に接した液体が、
前記液体の液面より上に引き上げる毛細管現象を引き起こす事が可能な、
本出願の水耕栽培をする植物の根が侵入出来ない形状のスリット、または微細な起伏、またはその両方を持つか、
前記対向する部材の少なくとも一部に吸水ポリマー等の前記植物の根が侵入出来ない、吸水可能な部材を持っていても良く、
前記毛細管現象が可能な部分を持つ部材、前記吸水可能な部分を持つ部材の両方を持っていても良い。
【0142】
(スリットを持つ部材の製造法)
本出願に於ける本出願で使用する液体の毛細管現象が可能なスリットを持つ部材の製造法に於いて、
図42、43に例を示す様に、
最終的に必要なスリット開口部nbの幅をnaの様に拡張して、
全体として最終的に必要な形状から33aの様に変形した状態のモールドを用い、
それにより成型された部材を
前記最終的に必要なスリット幅nbに戻す方向の力を加えて、
33bの様に整形する方法か、
図44に示す様に、それぞれの前記スリットの一部を通過する分割面gで、
分割した複数の部材34をそれぞれ独立した部材として成型し、
前記分割面gで再び接合する方法か、
図45に例を示す様に、前記分割面と交わる方向にそれぞれ接合可能な面を持ち、
前記接合可能な面に前記分割した複数の部材34を、
互いの前記分割面が接する様に保持可能なベース基板32に並べて接合する方法、
の、少なくともいずれかの方法によって、
一回の成形では実現困難な、微少な幅を持つスリットを持つ部材を作成可能とした。
【0143】
当然に、それぞれの分割した部材が同じ形状であれば、一つのモールドから複数の分割した部材を製造しても良い。
【0144】
(その他)
また、本出願に於ける培養容器内の何れかに配置可能な液体や気体の、
少なくとも何れかの温度を調整する手段を持っていても良い。
【0145】
本出願による対向部材で植物を挟む保持部材で育成する場合、
単に前記対向する部材の上端部に、連続、または間欠的に液体を注ぐか、間欠的に前記保持部分を移動させ液体中に浸ける事で、
余分な液体は前記対向する部材間の隙間などから排出可能であり、
前記対向する部材の何れかが持つ起伏により前記対向する部材の材料そのものに全く通気性が無くても、根への通気性は確保される。
よって、水耕栽培で問題となる吸水過多を防ぐ事も可能となる。
【0146】
前記対向する部材の間で育成した前記植物の根はその植物の種類や育成環境によっては、
前記対向する部材間の面状の空間と交わる方向の力に弱く倒れやすいものもある。
そこで、前記対向する部材の上方の前記対向する部材に沿う方向で、
前記植物の育成する方向の何れかに部材を配置する事で、倒れにくくしても良く、
同様に前記対向する部材の上方に、それぞれの前記植物の育成方向を囲う形状の部材を配置しても良い。
【0147】
本出願に使用するビーズに生ずる静電気を除く為に、
イオンレイガン等の除電器、または除電剤を使用するか、
導電性の材料で前記ビーズ表面をコーティングしても良く、帯電防止剤を使っても良い。
【0148】
本出願に使用するビーズは、黒色で前記ビーズ同士の摩擦が少なく、水耕栽培に使用する液体より小さい比重で、スチロールビーズよりも重い、樹脂製中空ビーズが望ましい。
【0149】
本出願の栽培容器は一つの容器に対して複数の株を栽培しても良いし、
また、一つの容器に対して一つの株を育成しても良い。
【0150】
本出願の栽培容器中の様子が確認可能な様に、
前記栽培容器の一部または全部を、覆い付きの透明部材にしても良く、
栽培容器内でカビや苔等の繁殖を防ぐ為に、栽培容器内の液体に殺菌灯、即ちUV照射等を可能にしても良く、
その際、前記液体を循環させる経路の途中の何れかに、殺菌灯、UV照射する場所を設けても良い。
【0151】
さらに、本出願に於いて使用する気体の流路の何れかに、カビや苔などの胞子を濾過可能なフィルターを設けても良く、
また、液体の流路の何れかに、カビや苔、アオコ等の藻類等の胞子等を濾過可能なフィルターを挿入しても良い。
【0152】
また、ミストを発生させる超音波振動子やポンプの消費する電流の変化許容量を予め決めて監視し、
前記変化許容量を超えた電流変化を示した場合、
警報を出すか、電源の遮断をしても良い。
【0153】
また、イメージセンサーを使って、本出願の栽培容器内部を画像映像で監視しても良い。
【0154】
本出願のミスト発生用の超音波振動子へ液体を導く場合、毛細管現象を利用した繊維の束(ストランド)を使っても良く、
前記ストランドは異物を濾過するフィルターの役目も果たし、前記振動子に異物が邪魔してミストの発生を阻害される事を防ぐ事が出来る。
また、このストランドはアオコ等が発生しやすいので、殺菌灯やUV灯などを連続または断続的に照射しても良く、超親水性を示す光触媒をコーティングしたものであっても良い。
【0155】
また、前記ストランドを使う事により、
前記ストランドの吸い上げ可能な高さの範囲なら、
液体の汲み上げにポンプ等の動力を使う事無く、液体をミスト放出源まで移動させる事ができる。
【0156】
本出願に於ける植物や植物の種子、植物の根を保持可能な部材の材質は、特に指定しないが、
ステンレス等の金属、ABS、PP、PA、PVC、PC、メタクリル樹脂、ナイロン、ポリエチレン等の樹脂、ポリマー類等の吸水性樹脂、FRP等の複合材等で作られても良い。
【0157】
本出願を使って栽培する植物の葉に、常時または間欠的に風速4m/秒以下の風を与えても良い。
風を与える事で、前記植物の根から水分及び養分の吸い上げ効率が上昇し、前記植物の育成に寄与する。
【0158】
本出願の栽培容器におけるループ内の液体の一定の液面保持は、
補充用の液体を前記前記栽培容器から外部に接続したチューブを液面監視用に用いても良く、
前記水位は、サイホンの原理により前記容器と共通の液面になるので、
液面の監視が可能となる。
【0159】
また、前記栽培容器の外部に前記チューブによって接続された液体容器を上下させる事で液面の高さを変化させても良い。
【0160】
本出願の栽培容器に配置される栽培植物の保持部は、
生分解性プラスチックから成る部材をその一部または全部に使っても良い。
【0161】
本出願に於ける栽培植物への液体の補給法は、
液体によって供給される期間と、
ミストによって供給される期間が途中で切り替わっても良いし、
また、その切り替えの順序はどちらが先でも良く、
更にその切り替えは複数回行われても良い。
【0162】
栽培容器内部に突起が配置されていても良い。
【0163】
静電容量、電気抵抗、浮力、音波、超音波、光(赤外線及びレーザー含む)、イメージ等のセンサーによって、
液体溜まりには液面を検出可能にして、
一定以下の液面になると、または、前記液体の比重が、予め決めていた比重を超えると、
前記液体または水の自動補充または警報を発報可能にしても良い。
【0164】
ループ内の気体を効率良く循環させる為にはループ全体の準気密性が重要で、
仮に、ループ中の至る所に隙間や開口部があり、外気が出入り自由であれば、
ループ内の前記気体の循環は、より大きなエネルギーを必要とする。
【0165】
本出願のループ形状の場合、一番大きな隙間が生ずる可能性があるのが、
植物を保持する部材を兼ねた蓋の外周部である。
【0166】
図5、6に示す様に、前記蓋3の内外周部にアソビのある嵌合で噛み合う、
11a、11bの様な一つ以上の溝と突起を設ける事で、
前記嵌合部に水、またはミストが液化したものが前記溝に毛細管現象で行き渡り、
簡易的な部分的気密シールとして機能させても良い。
【0167】
当然、前記溝部に入り込んだ水分は外気に晒されて蒸発するが、
前記筒内部はミストの循環により湿度100%なので、
シールの為の水分は随時補充される。
【0168】
本出願に於ける栽培容器中に配置される植物の保持部材の形状は、ブラシ状で、
図13、14に一例を示す様に、
前記栽培植物の根が育成中に接触可能な位置に一つ以上配置されていても良い。
【0169】
また、例えば、スズランテープ(登録商標)の様に、部材の長手方向に裂け易い材料に、
断裂しない程度に予め切れ込みを入れた部材を
栽培容器の個々の植物の根が育成中に接触可能に一つ以上配置しても良く、
前記栽培植物の収穫時に、前記荷重方向と交わる方向に引っ張る事で、
前記植物の根が張った前記保持部材は容易に断裂可能で、収穫を容易となる。
【0170】
図50の50Aの様に突起27paを持つ、対向部材にて育成後、
50Bの様に別の栽培器の移植の際、27paと、それぞれの突起の位置は同じだが、
27paの径と同じか、27paの径より小さい27pcを配置した対向部材で、移植を容易としても良い。
尚、その際の突起27pcは図49の例に示す様に、円錐台であっても良い。
【0171】
本出願に於けるビーズ中に植物を植える際、図53に示す41の様に植物の根を保護する筒状で分割可能な部材から成る道具を使ってビーズ中に差し込んだ後、
41のみを引き抜くことで、ビーズ中に前記植物の根を深く配置する事が出来る。
また、41の様に前記筒状部材は周方向が開いた部材で有っても良い。
【0172】
本出願の栽培器に配置された植物の生長による前記植物の根部の上昇や、本出願に於けるビーズ部の上昇を抑える為に、
柔軟なネット、またはスプリング等、柔軟性を持つ部材形状から成る部材(例えば38等)を前記植物の根部付近、または前記ビーズ部の最上部に配置しても良く、
または、前記柔軟なネット、またはスプリング等、柔軟性を持つ部材形状から成る部材は二つ上の組み合わせであっても良い。
【0173】
本出願の対向する部材を使った栽培植物の保持部、収穫、洗浄後、再び使用する事が出来、前記栽培植物の収穫の際に廃棄する部材は殆ど無い。
【0174】
尚、本出願は地球重力の1Gの環境での使用に限定しない。
【符号の説明】
【0175】
00 ビーズ(ペレット)
0 種子
1 ミスト放出源(ノズル)
2 ポンプ
3 栽培容器蓋部
4 栽培容器下部
図25以降に示す対向する部材から成る植物保持部
6 ネット状、または長手方向に容易に裂く事が可能な樹脂部材にランダムに切れ込みを入れたもの
6a~6d 透液性部材によるミストが通過可能な空間
7 櫛状部材
8 櫛状部材基部
9 エアーストーン(液体中の気体放出源)
10 液体(液肥等)
11 液体(液肥等)によるシール部
11a、11b 液体シール用突起
12a 通気性部材
12b 非通気性部材
13 非通気性部材
14 通気性部材
15 排気部
16 通気性、通液性部材
17 非通気性部材
18 スポンジ、マット等の、柔軟性+通気性+透液性を持つ部材
19 両面で、隣り合う部材と、対向する部材として機能する形状の一例
20aθ、20bθ 栽培容器の傾き
21、21a、21b 膜状の対向する部材の保持フレーム
22a、22b 膜状の対向する部材
24 波型突起を持つ部材
24a、24b 波型突起を持つ対向する部材
25a、25b 波型突起を持ち、下方が広がっている対向するする部材
26a、26b 波型突起を持つ対向する部材(ミスト用)
27 区画毎に展開可能なボタン型突起を持つ部材
27a、27b ボタン型突起を持つ対向する部材
28 矩形波型の断面形状の突起を持つ部材
29 種子ポケット
29a、29b 対向する部材が隣り合う事で種子ポケットとなる傾斜面
30 毛細管現象により上昇した10
31 滑面を持つ対向する部材
32 接続基板
32a、33a スリットを拡張した成型形状
32b、33b スリットを目的の形状に整形した形状
34 スリットで分割したエレメント
35a 突起を持つ、対向する部材
35b 突起のない面にスリットnが設けられた、対向する部材
36 仕切り突起
37 ビーズ00を通さない目を持つネット
38 バネ部材を持つ蓋
39 ビーズ00の横方向の拡張を抑える筒状の仕切り
40 対向する部材間で平面状に広がった栽培植物の根
41 分離可能なビーズに植物の根を植え込むガイド
a 空気中
aa、ab、ac、ad 液体中の気体の経路
c 00の浮力による上昇を抑える力
d 10による00の浮力で押し上げようとする力
dm ミストの流れ方向
e 接合部(縫合、溶着、接着等)
f 種子ポケットの隙間
m ミスト
n スリット
na、nb スリットの変化
t、t1、t2 ビーズ部の高さ
tm 寿命が延長されたミスト
U 液体10の喫水線
s 栽培容器同士間の傾きによる高さ差分(栽培容器底部の傾斜)
x 10のよどみ
1A 開いた空間中に放出されるミスト
1B 仕切られた空間に放出されるミストの寿命
4A 2カ所に配置されたミスト発生源1を持ち傾斜角θを持つ環状ミスト循環dmを内部に持つ栽培容器
4B 2カ所に配置されたミスト発生源1を持ち水平で環状ミスト循環dmを内部に持つ栽培容器
4C 1カ所に配置されたミスト発生源1を持ち水平で環状ミスト循環dmを内部に持つ栽培容器
5A、5B 蓋つきの栽培容器の例
6A 蓋の継ぎ目の隙間を液体でシール可能な構造6Bの拡大図の一例
6B 蓋の継ぎ目の隙間を液体でシール可能な構造の一例
10A~10D ミストが通る空間、またはビーズが侵入できず且つ液体が侵入可能な空間
12A ネット状または長手方向に裂けやすい部材を植物の保持部材に使った根菜の苗を植え付け時の様子
12B ネット状または長手方向に裂けやすい部材を植物の保持部材に使った根菜の収穫時の様子
13A 櫛状部材を植物の根の保持部材に使った苗の植え付け時の様子
13B 櫛状部材を植物の根の保持部材に使った根菜の収穫時の様子
14A 櫛状部材を植物の根の保持部材として使う場合の配置
14B 櫛状部材を植物の根の保持部材として使い、収穫時の分離の様子
15A 00を抑える部材が通気性部材12aを使った例
15B 00を抑える部材が非通気性部材12bを使った例
17A 液体に浮かぶビーズを使った根菜植物の苗を植え付け時の例
17B 液体に浮かぶビーズを使った根菜植物の育成例
19A 液体に浮かぶビーズを使った根菜植物の苗を植え付け時の例
19B 液体に浮かぶビーズを使いビーズの量を変えずに育成した根菜植物の例
21A ビーズ部の頂部が平らな容器に気体acが上昇する例
21B 栽培植物に近い、ビーズ部の水平方向の断面が小さい場合の気体acの流路の比較
21C 栽培植物に近い、ビーズ部の水平方向の断面が小さい場合の気体acの流路の比較
22A 液体部底部が狭くなっている場合の気体が起こす栽培容器中の10の流れ
22B 液体部底部が広くなっている場合の気体が起こす栽培容器中の10の流れ
23A さん孔して植物を植える非通気性部材が狭いビーズ収納袋の一例
23B さん孔して植物を植える非通気性部材が広いビーズ収納袋の一例
23C 非通気性部材を対向させてた位置したビーズ収納袋の一例
25A 液浸用対向する部材に膜状部材を使い種子を配置した例
25B その発芽後の例
28A、28B 対向する部材(対向する薄膜)をジグザク状に配置した栽培植物の根を保持する部材の一例
30A スポンジなどの柔軟性のある部材18で裏打ちされた片面が平滑な膜状の表皮を持ち、他方は表面がボタン状突起を持つ対向する部材
30B スポンジなどの柔軟性のある部材18で裏打ちされた表面がボタン状突起を持つ対向する部材
30C スポンジなどの柔軟性のある部材18で裏打ちされた表面が波型の突起を持つ対向する部材
31A 対向する部材の両面にボタン状突起を持つ部材同士の接触部分の一例
31B 対向する部材の片面にボタン状突起を持つ部材の接触部分の一例
31C 対向する部材の両面に波状突起を持つ部材同士の接触部分の一例
31D 対向する部材の片面に波状突起を持つ部材の接触部分の一例
34A 対向する部材の両面に波状突起を持つ部材の下端部が離れている形状の一例
34B 対向する部材の両面に波状突起を持つ部材の下端部が離れていない形状の一例
35A 34Aの運用例(液浸漬+気体の泡)
35B 34Bの運用例(ミスト曝露)
39A 対面する部材をロール状にした一例
39B 対面する部材が表裏一体化してロール状にした場合の一例
42A 対向する部材の一面にスリットが刻まれた部材の一例
42B 対向する部材の一面にスリットがより細かく刻まれた部材の一例
43A 対向する部材の一面にスリットが刻まれた部材を変形した形状で成型する製造法の一例
43B 33aの拡大図
43C 33bの拡大図
44A スリット部分で分割された部材同士を成型後に分割面gで接合する製造法の一例
44B 接合部gの拡大図
50A 移植直前の40と突起の関係
50B 50Aで育成された植物の根40
50C 移植直後の40と50Aの突起より小さい突起の関係
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53