(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105819
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】髄内釘移植のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/72 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
A61B17/72
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023006088
(22)【出願日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】17/578,866
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マーク ロスニ
(72)【発明者】
【氏名】デビッド イー. レアード シニア
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL27
4C160LL29
4C160LL44
4C160LL70
(57)【要約】
【課題】髄内釘、システム、挿入ツール、及びアセンブリ、並びに治療方法を提供する。
【解決手段】照準ガイドアセンブリは、コレットと、接続ボルトドライバと係合するように構成された接続ボルトと、を有する、照準ガイドを含み得る。接続ボルトは、自己保持型であってもよく、意図しない係合解除を防止する方法で、接続ボルトドライバに係合することができる。
【選択図】
図31
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨に締結具を挿入するためのシステムであって、前記システムが、
照準ガイドを含む照準ガイドアセンブリと、前記照準ガイドに結合されるスリーブと、を備え、
前記照準ガイドアセンブリが、前記スリーブを通して骨に挿入される複数の締結具を支持するように構成されており、
前記スリーブが、前記複数の締結具を受容するための複数の開口部を含む、システム。
【請求項2】
前記スリーブが、一体型本体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スリーブが、第1の部分と、第2の部分と、を備え、前記第1の部分が、第1の開口部を含み、前記第2の部分が、第2の開口部を含み、前記第1及び第2の開口部が、第1の締結具及び第2の締結具を受容するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、互いに溶接される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、互いにピン留めされる、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、ダブテール接続を介して一緒に結合される、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記スリーブが、前記照準ガイドのラチェットアセンブリに係合して、前記スリーブを組織内に並進させるラチェット特徴部を外面上に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、一体型本体として構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の開口部及び前記第2の開口部が、平行である、請求項3に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の開口部の軸及び前記第2の開口部の軸が、交差する、請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
骨に締結具を挿入するためのシステムであって、前記システムが、
照準ガイドを含む照準ガイドアセンブリと、前記照準ガイドに結合されるスリーブと、を備え、
前記照準ガイドアセンブリが、前記スリーブを通して骨に挿入される第1の締結具及び第2の締結具を支持するように構成されており、
前記スリーブが、前記第1の締結具及び前記第2の締結具を受容するために、少なくとも第1の開口部と、第2の開口部と、を含み、
前記照準ガイドが、前記スリーブを組織内に並進させるように構成されたラチェットアセンブリを含む、システム。
【請求項12】
前記スリーブが、一体型本体である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記スリーブが、第1の部分と、第2の部分と、を備え、前記第1の部分が、前記第1の開口部を含み、前記第2の部分が、前記第2の開口部を含み、前記第1及び第2の開口部が、前記第1の締結具及び前記第2の締結具を受容するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、互いに溶接される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、互いにピン留めされる、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、ダブテール接続を介して一緒に結合される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記スリーブが、前記照準ガイドの前記ラチェットアセンブリに係合して、前記スリーブを組織内に並進させるラチェット特徴部を外面上に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、一体型本体として構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の開口部及び前記第2の開口部が、平行である、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の開口部の軸及び前記第2の開口部の軸が、交差する、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月2日に出願された米国特許出願第17/336,844号の一部継続特許出願であり、これは、2019年6月5日に出願された米国特許出願第16/431,849号(米国特許公開第2019/0343569号として公開された)の継続出願であり、これは、2018年10月8日に出願された米国特許出願第16/153,873号(現在は米国特許第10,751,096号))の一部継続出願であり、これは、2017年2月24日に出願された米国特許出願第15/441,457号(現在は米国特許第10,307,197号)の一部継続出願であり、これは、2017年2月3日に出願された米国特許出願第15/423,773号(現在は米国特許第10,251,691号)の一部継続出願であり、これは、2016年9月22日に出願された米国特許出願第15/272,850号(現在は米国特許第10,299,847号)の一部継続出願であり、これらの全ての内容は、全ての目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本技術は、概して、骨の骨折の治療のための髄内釘移植に関する。具体的には、いくつかの実施形態は、骨の骨折を固定化するための髄内釘を移植するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
四肢の重要な長骨は、上肢の上腕骨、橈骨、及び尺骨、並びに下肢の大腿骨及び脛骨である。長骨の損傷、及び特に、長骨の1つ以上の骨折をもたらす損傷の後に、1つ以上の固定デバイスを使用して、骨折片を固定化し、かつ長骨を安定させることができる。骨の骨折は、骨折した部分が適切に整列すると、骨を安定させるために、骨の中に、又は骨を通して挿入されるねじ又は他の固定デバイスを用いて治療することができる。例えば、大腿骨頸固定は、髄内釘を骨折した大腿骨の髄腔に挿入し、続いて髄内釘に対してある角度で固定ねじを大腿骨頸/大腿骨頭に挿入することによって、股関節骨折を治療するために使用され得る。同様に、髄内釘を骨の髄内管に挿入し、かつ適切な近位及び/又は遠位固定を提供することによって、他の長骨の骨折を治療することができる。しかしながら、従来の髄内デバイスは、いくつかの欠点に悩まされる場合がある。例えば、インプラントが破損しやすく、髄内釘に対する固定ねじの整列が困難である場合がある。したがって、髄内釘移植のための改良されたシステム及び方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
髄内釘、システム、挿入ツール、及びアセンブリ、並びに治療方法が提供される。髄内釘は、骨折した長骨の髄管内に移植し、その後、例えば、1つ以上のアンカー、締結具、固定ねじなどを用いて、近位固定及び/又は遠位固定を提供するのに好適であり得る。好適な長骨としては、上腕骨、橈骨、尺骨、大腿骨、脛骨などが挙げられ得る。概して、大腿骨及び脛骨を参照して説明されるが、髄内釘及びシステムは、任意の長骨との使用に適合されてもよいことが理解されよう。
【0005】
一態様によれば、髄内釘が提供される。髄内釘は、第1の遠位端から第2の近位端まで延在する概して細長い本体を備えてもよい。遠位端は、遠位端髄内釘を通って横方向に延在する1つ以上の骨アンカー又は締結具を受容するように構成され、それによって、釘の遠位端を固着するように構成された1つ以上の開口部を含んでもよい。近位端もまた、髄内釘の近位端を通って横方向に延在する1つ以上の骨アンカー又は締結具を受容するように構成され、それによって、釘の近位端を固着するように構成された1つ以上の開口部を含んでもよい。
【0006】
一態様では、髄内釘を骨に挿入するためのシステムが提供される。システムは、内部に開口部又はアパーチャが形成された髄内釘を含む。挿入ツールは、移植中に髄内釘の端部に一時的に係合し、かつ処置が完了すると釘から解放することができる。ガイドシースのための受容特徴部(例えば、孔、凹部など)は、ハンドル部分内に配設され、内部を通ってガイドシースを受容することができる。受容特徴部は、髄内釘が結合部分に結合されたときに、受容特徴部を通して挿入されたガイドシースが髄内釘内のアパーチャと実質的に整列するように、軸を画定する。第1の保持部材は、ガイドシース受容特徴部に隣接して挿入ツール内に配設される。第1の保持部材は、ガイドシース上の第2の保持部材と相互作用して、受容特徴部に対するガイドシースの移動を制限するラチェット様機構を形成することができる。保持解放機構は、挿入ツールの下部分(例えば、底面)上に位置し得る。ガイドワイヤレセプタクル(例えば、孔、凹部など)は、内部を通ってガイドワイヤを受容することができ、髄内釘が結合部分に結合されたときに、受容特徴部を通して挿入されたガイドワイヤが髄内釘の側面に隣接する軸に沿って走るように位置決めされる。
【0007】
別の態様では、髄内釘を患者に挿入するための方法が提供される。方法は、第1の軸に沿って患者の髄管内に釘を挿入することを含む。挿入のために、釘は、その近位端で挿入ツールに結合される。ガイドワイヤは、ガイドワイヤが釘の側面の近く又はそれに隣接して走るように、第2の軸に沿って、挿入ツール内のガイドワイヤ孔を通して挿入される。ねじ又は他の骨固定デバイスは、ねじが、釘内に形成されたアパーチャを通過するように、挿入ツール内に形成されたレセプタクル(例えば、孔、凹部、又は他の好適な構造)を通して挿入される。
【0008】
別の態様によれば、インプラントが提供される。インプラントは、第1の軸に沿って細長くなる髄内釘を含む。第1及び第2の開口部又はアパーチャは、釘の近位部分に配設される。第1のアパーチャは、第1の軸を横切る第2の軸を画定し、第2のアパーチャは、第1の軸を横切る第3の軸を画定する。第3の軸は、釘から離隔した点で第2の軸と交差する。いくつかの実施形態では、第1のねじは、第2の軸に沿って、第1のアパーチャを通して挿入され得、第2のねじは、第3の軸に沿って、第2のアパーチャを通して挿入され得る。第2のねじは、2つのねじがインターロックするように、第1のねじ内のスロットを通して、少なくとも部分的に挿入され得る。第2のねじは、第1のねじよりも短くすることができるが、少なくともねじ山付き遠位先端が、第1のねじのスロットを越えて延在して、骨内で何らかの増力作用を提供するのに十分長くすることができる。
【0009】
別の態様によれば、インプラントが提供される。インプラントは、第1の軸に沿って細長くなる本体を有する髄内釘を含む。本体は、近位部分及び遠位部分を有する。第1のアパーチャは、近位部分内に形成され、第1の角度で第1の軸を横断する第2の軸を画定する。第2のアパーチャは、近位部分内に形成され、第2の角度で第1の軸を横断する第3の軸を画定する。第3の軸は、第1の軸において第2の軸と交差し、第1及び第2の角度は、余角である。
【0010】
別の態様によれば、骨を安定させるように構成された髄内システムが提供される。システムは、髄内釘と、1つ以上の無頭締結具又はねじと、を備える。無頭締結具は、第1の端部から第2の端部まで延在する。無頭締結具は、髄内釘内の第1のアパーチャ又は第2のアパーチャを通して位置決めされるように構成されたシャフトを有し、無頭締結具の第1の端部(例えば、場合によってはねじ山付きヘッド)は、骨に対して、又は骨内に位置決めされるように構成されている。患者に痛み又は刺激を引き起こすことがある従来の頭付きねじとは異なり、髄内釘の遠位端及び/又は近位端を固着するときに、1つ以上の無頭ねじ又は締結具を使用し、それによって、優れた患者予後を有するシステムをもたらすことができる。
【0011】
別の態様によれば、髄内釘を骨に挿入するためのシステムが提供される。システムは、髄内釘を含み、髄内釘は、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延在する少なくとも1つの側面と、髄内釘を通るアパーチャと、を有する。挿入ツールは、ハンドル部分と、結合部分と、照準ガイドと、を含む。ハンドル部分は、第1の接続アセンブリを画定する。結合部分は、ハンドル部分から延在し、髄内釘の近位端に取り外し可能に結合するように構成されている。照準ガイドは、少なくとも1つの支持ブロックを含む本体と、第2の接続アセンブリと、を有する。第1及び第2の接続アセンブリは、ハンドル部分と照準ガイドとを解放可能に相互接続するように構成されている。少なくとも1つのガイドブロックは、内部を通ってガイドシースを受容するように構成されたガイドシース孔を画定する。ガイドシース孔は、髄内釘が結合部分に結合されたときに、ガイドシース孔が髄内釘内のアパーチャと実質的に整列するように、位置決めされる。
【0012】
別の態様によれば、髄内釘と挿入ツールとを相互接続するための接続アセンブリが提供される。髄内釘は、近位端と遠位端との間に延在し、近位端内に画定された円周スロットを有する。挿入ツールは、内部に孔が画定された照準アームを含む。接続アセンブリは、近位端から遠位端まで延在する中空本体を有する整列先端を含み、近位端は、照準アームの孔内にしっかりと接続されるように構成されている。拡張コレットは、コレット近位端からコレット遠位端まで延在する中空本体を有する。コレット遠位端は、半径方向外向きに延在するカラー及び内ねじ山を有する。コレット本体は、本体の遠位端から延在する軸方向スロットを画定し、軸方向スロットは、本体の遠位端が半径方向内向きに圧縮されることを可能にし、それによって、カラーが通路を通って整列先端を通過し、髄内釘の円周スロット内に入ることを可能にする。接続ボルトは、ねじ山付きシャフトを有し、照準アームの孔を通って延在して拡張コレットの内ねじ山に螺合係合し、その結果、カラーがその大径まで外向きに押される。
【0013】
様々な形状及びサイズの髄内釘、骨アンカー、締結具、挿入ツール、並びにこれらを設置するための構成要素を含む、キットも提供される。
【0014】
更に別の態様によれば、髄内釘を骨に挿入するための照準ガイドは、細長い近位ハンドル部分と、近位ハンドル部分の長手方向軸に平行に延在する遠位インプラント整列先端を有する略弓状の遠位インプラント整列先端コネクタ部分と、を有する略弓状又は「J字形」の本体を含む。ハンドル部分は、第1のモジュールを解放可能に取り付けるための第1の取り付け場所を含み、遠位インプラント整列先端部分は、第2のモジュールを解放可能に取り付けるための第2の取り付け場所を含む。
【0015】
更に別の態様によれば、照準ガイドアセンブリは、細長い近位ハンドル部分、及び略弓状の遠位インプラント整列先端コネクタ部分を有する略「J字形」の照準ガイドを含む。遠位インプラント整列先端コネクタ部分は、近位ハンドル部分の長手方向軸に平行な先端軸に沿って延在する遠位インプラント整列先端を有する。レコンモジュールは、近位ハンドル部分の近位端に解放可能に取り付けられ、傾斜モジュールは、遠位インプラント整列先端部分に解放可能に取り付けられる。
【0016】
別の態様によれば、照準ガイドアセンブリは、細長い近位ハンドル部分、及び略弓状の遠位インプラント整列先端コネクタ部分を有する照準ガイドを含む。照準ガイドは、細長い近位ハンドル部分、及び略弓状の遠位インプラント整列先端コネクタ部分を有する。遠位インプラント整列先端コネクタ部分は、近位ハンドル部分の長手方向軸に平行な先端軸に沿って延在する遠位インプラント整列先端を有する。第1のアタッチメントは、近位ハンドル部分の近位端に解放可能に取り付けられ、第2のアタッチメントは、遠位インプラント整列先端部分に解放可能に取り付けられる。
【0017】
別の態様によれば、髄内釘を骨に挿入するための照準ガイドは、髄内釘と係合するように構成されたコレットと、コレットを髄内釘に接続するためにコレットと係合するように構成された接続ボルトと、接続ボルトと係合するように構成された接続ボルトドライバと、を含む。接続ボルトは、サークリップを含むヘッドを含んでもよい。サークリップは、接続ボルトドライバのヘッドへの挿入時に拡開し、接続ボルトドライバを接続ボルトのヘッド内に保持するために接続ボルトドライバの周りに張力を提供するように構成されてもよい。
【0018】
別の態様によれば、インプラントを骨に挿入するための照準ガイドは、髄内釘と係合するように構成されたコレットと、コレットをインプラントに接続するためにコレットと係合するように構成された接続ボルトと、接続ボルトと係合するように構成された接続ボルトドライバと、を含む。接続ボルトは、サークリップを含むヘッドを含んでもよい。サークリップは、接続ボルトドライバのヘッドへの挿入時に拡開し、接続ボルトドライバを接続ボルトのヘッド内に保持するために接続ボルトドライバの周りに張力を提供するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明のより完全な理解、及びその付随する利点及び特徴は、添付の図面と併せて考慮される場合、以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解されよう。
【
図3A】髄内釘を骨折した大腿骨に移植するステップを示す。
【
図3B】髄内釘を骨折した大腿骨に移植するステップを示す。
【
図3C】髄内釘を骨折した大腿骨に移植するステップを示す。
【
図3D】髄内釘を骨折した大腿骨に移植するステップを示す。
【
図3E】髄内釘を骨折した大腿骨に移植するステップを示す。
【
図3F】髄内釘を骨折した大腿骨に移植するステップを示す。
【
図4A】髄内釘及び第1の固定デバイスの様々な図を示す。
【
図4B】髄内釘及び第1の固定デバイスの様々な図を示す。
【
図4C】髄内釘及び第1の固定デバイスの様々な図を示す。
【
図4D】髄内釘及び第1の固定デバイスの様々な図を示す。
【
図5A】髄内釘を通して挿入された第1の固定デバイスの様々な図を示す。
【
図5B】髄内釘を通して挿入された第1の固定デバイスの様々な図を示す。
【
図5C】髄内釘を通して挿入された第1の固定デバイスの様々な図を示す。
【
図5D】髄内釘を通して挿入された第1の固定デバイスの様々な図を示す。
【
図6A】第2の固定デバイス、及びその中に第1の固定デバイスが挿入された髄内釘の様々な図を示す。
【
図6B】第2の固定デバイス、及びその中に第1の固定デバイスが挿入された髄内釘の様々な図を示す。
【
図6C】第2の固定デバイス、及びその中に第1の固定デバイスが挿入された髄内釘の様々な図を示す。
【
図6D】第2の固定デバイス、及びその中に第1の固定デバイスが挿入された髄内釘の様々な図を示す。
【
図7A】髄内釘及び第1の固定デバイスを通して挿入された第2のアンカーの様々な図を示す。
【
図7B】髄内釘及び第1の固定デバイスを通して挿入された第2のアンカーの様々な図を示す。
【
図7C】髄内釘及び第1の固定デバイスを通して挿入された第2のアンカーの様々な図を示す。
【
図7D】髄内釘及び第1の固定デバイスを通して挿入された第2のアンカーの様々な図を示す。
【
図8A】インターロック固定デバイスを有する髄内釘を骨折した大腿骨に移植するステップを示す。
【
図8B】インターロック固定デバイスを有する髄内釘を骨折した大腿骨に移植するステップを示す。
【
図8C】インターロック固定デバイスを有する髄内釘を骨折した大腿骨に移植するステップを示す。
【
図10A】大腿骨釘の曲率半径を計算する方法のステップを示す。
【
図10B】大腿骨釘の曲率半径を計算する方法のステップを示す。
【
図10C】大腿骨釘の曲率半径を計算する方法のステップを示す。
【
図11A】挿入ツール及び髄内釘接続アセンブリの様々な図を示す。
【
図11B】挿入ツール及び髄内釘接続アセンブリの様々な図を示す。
【
図11C】挿入ツール及び髄内釘接続アセンブリの様々な図を示す。
【
図11D】挿入ツール及び髄内釘接続アセンブリの様々な図を示す。
【
図11E】挿入ツール及び髄内釘接続アセンブリの様々な図を示す。
【
図12A】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図12B】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図12C】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図12D】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図12E】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図12F】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図12G】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図12H】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図12I】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図12J】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図12K】係止ねじ及び対応するトルクドライバヘッドの様々な図を示す。
【
図14A】二条ねじ山構成を有する係止ねじ開口部を含む釘の様々な図を示す。
【
図14B】二条ねじ山構成を有する係止ねじ開口部を含む釘の様々な図を示す。
【
図14C】二条ねじ山構成を有する係止ねじ開口部を含む釘の様々な図を示す。
【
図17A】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17B】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17C】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17D】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17E】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17F】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17G】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17H】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17I】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17J】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17K】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図17L】例示的な挿入システムの様々な図を示す。
【
図18】例示的な実施形態による大腿骨釘照準ガイドの斜視図である。
【
図19】
図18の照準ガイドに解放可能に接続するためのレコンモジュールの斜視図である。
【
図20】
図18の照準ガイドに取り外し可能に接続するための傾斜モジュールの斜視図である。
【
図21】両方とも
図18の照準ガイドに接続された、
図19のレコンモジュールと、
図20の傾斜モジュールと、を含む照準ガイドアセンブリの斜視図である。
【
図23】2つのねじがレコンモジュールを通して大腿骨釘に挿入された、
図21の照準ガイドアセンブリの斜視図である。
【
図24】2つのねじがレコンモジュールを通して大腿骨釘に挿入された、
図23の照準ガイドアセンブリの逆斜視図である。
【
図25】1つのねじがレコンモジュールを通して挿入され、1つのねじが傾斜モジュールを通して大腿骨釘に挿入された、
図21の照準ガイドアセンブリの斜視図である。
【
図26】1つのねじが照準ガイドを通して挿入され、1つのねじが傾斜モジュールを通して大腿骨釘に挿入された、
図21の照準ガイドアセンブリの斜視図である。
【
図27】別の例示的実施形態による大腿骨釘照準ガイドの斜視図である。
【
図28】本開示の原理と一致する例示的な照準ガイド及びボルトドライバの斜視図である。
【
図29A】本開示の原理と一致する例示的な接続ボルトの図である。
【
図29B】本開示の原理と一致する例示的な接続ボルトの図である。
【
図30】本開示の原理と一致する例示的な接続ボルト及び接続ボルトドライバの斜視図である。
【
図31】本開示の原理と一致する例示的な照準ガイドの斜視図である。
【
図32A】本開示の原理と一致するスリーブの実施形態である。
【
図32B】本開示の原理と一致するスリーブの実施形態である。
【
図32C】本開示の原理と一致するスリーブの実施形態である。
【
図33】本開示の原理と一致するスリーブ上に提供されたラチェット特徴部の詳細図である。
【
図34】本開示の原理と一致するラチェットアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面において、同様の数字は、全体を通して同様の要素を示す。特定の用語は、便宜上、本明細書で使用され、本デバイスの限定として解釈されるべきではない。用語は、具体的に言及された単語、その派生語、及び類似の意味の単語を含む。以下に例示される実施形態は、網羅的であること、又はデバイスを開示される厳密な形態に限定することを意図するものではない。これらの実施形態は、デバイスの原理、その応用及び実際の使用を最もよく説明し、当業者がデバイスを最もよく利用することを可能にするように選択され、説明されている。
【0021】
本明細書における「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、デバイスの少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではなく、必ずしも他の実施形態と相互に排他的な別個の又は代替の実施形態でもない。同じことが「実装」という用語にも当てはまる。
【0022】
本出願で使用される場合、「例示的」という用語は、本明細書では、例、事例、又は例示として働くことを意味するために使用される。「例示的」として本明細書で説明される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。むしろ、例示的という語の使用は、概念を具体的に提示することを意図している。
【0023】
髄内釘、システム、挿入ツール、及び治療方法が提供される。髄内釘は、骨折した長骨の髄管内の移植、及び、その後の、例えば、1つ以上のアンカー、締結具、固定ねじなどを用いて、近位固定及び/又は遠位固定を提供することに好適であり得る。好適な長骨としては、上腕骨、橈骨、尺骨、大腿骨、脛骨などが挙げられ得る。大腿骨の股関節骨折又は脛骨の骨折を参照して更に説明されるが、髄内釘及びシステムは、任意の長骨との使用に適合されてもよいことが理解されよう。
【0024】
従来の股関節骨折固定技術では、4つの主な破損モード、すなわち、軸方向のカットアウト、頭側カットアウト、近位片回転、及び癒着不能が存在する。「カットアウト」は、股関節の関節面への股関節ねじの沈下を表す用語である。カットアウトは、頭側(頭部に向かって)又は軸方向(股関節ねじの軸に沿って)のいずれかで生じ得る。軸方向のカットアウトは、軸方向の並進に対してほとんど抵抗を提供しない小さな軸方向プロファイルを有するインプラントの結果である。軸方向のカットアウトは、ある特定の現代の股関節骨折釘上の「制御された圧潰」特徴によって対処され得る。股関節ねじは、止めねじが所定の位置に係止された後であっても、釘を通って並進することが可能である。頭側カットアウトは、股関節の弱い海綿質骨を通して「フロントガラスワイパー」する狭いインプラントの結果である、釘の半径方向並進である。近位片回転は、近位股関節片に対する支点として作用する円形プロファイル股関節ねじの結果である。骨折癒着不能は、骨治癒プロセスに適合しない生物学的又は機械的要因の結果である。患者の生物学的要因は、インプラントによって制御可能ではない。機械的要因は、典型的には、過度に剛性又は過度に可撓性である固定を可能にする要因である。癒着不能は、通常、他の3つの破損モードのうちの1つへの前兆である。時には、骨が機能しなくなる前に、癒着不全によって釘が疲労して折れることがある。
【0025】
本明細書に記載される髄内釘及びシステムは、これらの破損モードのうちの1つ以上に対処し得る。いくつかの実施形態では、髄内釘は、例えば、カットアウトを防止するために、近位及び遠位係止を含む。他の実施形態では、髄内釘は、例えば、寛骨の最も強い部分である大腿部の距における骨固定と共に、収束及び発散する増力作用を提供することによって、2つのインターロック固定デバイス(例えば、ねじ)を含む近位係止を含んでもよい。したがって、カットアウト及び/又は回転による破損のリスクを低減することができる。
【0026】
加えて、いくつかの髄内釘移植システムは、移植中の断片回転の問題に適切に対処することができない。回転は、移植処置中に骨片がねじの軸の周りを回転するときに生じる。従来の回転防止技術は、追加の器具の使用を必要とするか、又は単一のワイヤ配置に限定される。いくつかの実施形態では、挿入ツールが髄内釘に直接結合され、回転防止ガイドワイヤの配置のために追加の器具が必要とされず、ユーザが1つ以上のガイドワイヤを釘の前方及び/又は後方に配置することを可能にする。これらのガイドワイヤは、処置中に大腿骨頭及び大腿骨頸の遠位片がアンカーの軸の周りを回転するのを防止するように位置決めすることができる。
【0027】
いくつかのシステムは、移植処置中にバックアウトしやすい場合がある。バックアウトは、髄内釘を通してねじを挿入するために使用されるガイドシースが骨から離れて近位に移動するときに生じる。従来のシステムは、バックアウトを防止するための特徴を有していないか、さもなければ、処置中に手の通常の位置決めを妨げるバックアウト防止手段を提供し、ガイドシースを解放してそれらを床に落とすリスクをもたらす。挿入ツール上のラチェットは、挿入ツール上のグリップ部分に向かって面する解放ボタンを有してもよく、ユーザの手が滑ってボタンを不注意に押す危険性を提示し得る。偶発的にボタンを押すと、シースが解放され、シースが床の上に落ちる可能性がある。いくつかの実施形態では、バックアウト防止システム(例えば、ラチェットシステム)は、挿入ツールの下端上に配設されてもよく、それは、ラチェット解放ボタンを不注意に押すリスクを伴わずに、ユーザが挿入ツールのグリップ上に手を配置することを可能にする。
【0028】
本技術のいくつかの実施形態の更なる具体的詳細が、
図1A~
図8Cを参照して以下に説明される。実施形態の多くは、髄内釘の移植のためのデバイス、システム、及び方法に関して以下に説明されるが、他の実施形態は、本技術の範囲内である。加えて、本技術の他の実施形態は、本明細書に説明されるものとは異なる構成、構成要素、及び/又は手順を有することができる。例えば、他の実施形態は、本明細書で説明されるもの以外の追加の要素及び特徴を含むことができ、又は他の実施形態は、本明細書で示され説明される要素及び特徴のうちのいくつかを含まなくてもよい。
【0029】
参照を容易にするために、本開示全体を通して、同一の参照番号は、同様又は類似の構成要素又は特徴を識別するために使用されるが、同じ参照番号の使用は、部品が同一であると解釈されるべきであることを暗示しない。実際に、本明細書に記載される多くの例において、同一の番号が付された部分は、構造及び/又は機能において異なる。
【0030】
図1A及び
図3Fは、髄内釘109の一例を示しており、髄内釘109は、第1の遠位部分又は遠位端110から第2の近位部分又は近位端111まで延在する概ね細長い本体を備えてもよい。細長い本体は、骨折した骨の髄内管内で長手方向に延在するように構成された細長い管状ロッドの形態であってもよい。細長いロッドは、中空であってもよく、又はその長さに沿って中実であってもよい。細長い本体は、釘109の長手方向軸に沿って実質的に直線状であってもよく、又は髄内管の解剖学的形状に適合するように1つ以上の湾曲又は屈曲を備えてもよい。髄内釘109の中心長手軸に対して直角に取られた釘109の断面は、円形、卵形、楕円形、又は任意の他の好適な断面形状であってもよい。近位部分111は、釘109の遠位部分110に対して拡大された直径又はヘッド部分を有してもよい。拡大ヘッド部分111は、大腿骨の大転子領域内に受容されるようにサイズ決定及び構成されてもよい。髄内釘109は、頭髄固定のために大腿骨の近位端に位置決めされるように構成されてもよい。しかしながら、髄内釘109は、骨(例えば、大腿骨、脛骨)及び骨折のタイプに応じて、他のアプローチ及び場所(例えば、遠位端)を通して位置決めされるように構成されてもよいことが想定される。
【0031】
遠位端110は、髄内釘109の遠位端110を通って横方向に延在する1つ以上の骨アンカー、締結具、又は遠位固定デバイス147を受容するように構成され、それによって、釘109の遠位端110を管内に固着するように構成された1つ以上の開口部125を含んでもよい。遠位固定デバイス147は、釘109の遠位係止のために構成された骨ねじ又はアンカーを含んでもよい。遠位固定デバイス147は、当技術分野で知られている従来の多軸又は固定角係止骨ねじと、アンカーと、を含んでもよい。
【0032】
近位端111はまた、髄内釘109の近位端111を通って横方向に延在する1つ以上の骨アンカー又は締結具119を受容するように構成され、それによって、釘109の近位端111を管内に固着するように構成された1つ以上の開口部123を含んでもよい。近位固定デバイス119は、釘109の近位係止のために構成された骨ねじ又はアンカーを含んでもよい。固定デバイス119は、近位上腕骨の距領域に向けられるように構成された距ねじ又はアンカーであってもよく、これは、領域内の最高品質の骨を構成し得る。開口部123及びアンカー119は、骨の距領域と係合するように、釘109に対して約100~150°、110~140°、又は約120~135°の角度であってもよい。距ねじ119は、遠位ねじ147に対して拡大された直径を有してもよい。近位固定デバイス119は、当技術分野で知られている従来の多軸又は固定角距ねじと、アンカーと、を含んでもよい。近位端111はまた、例えば、1つ以上の交差係止デバイス(例えば、以下により詳細に説明されるデバイス205)のための追加の開口部123を含んでもよい。
【0033】
髄内釘109及びアンカー119、147は、任意の好適な生体適合性材料からなり得る。髄内釘109及びアンカー119、147は、チタン、コバルトクロム、コバルトクロムモリブデン、ステンレス鋼、炭化タングステン、炭素複合材、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK)、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(ultra-high molecular weight polyethylene、UHMWPE)、再吸収性ポリ乳酸(resorbable polylactic acid、PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolicacid、PGA)などのプラスチック若しくはポリマー、このような材料の組み合わせ若しくは合金、又は骨に固着して骨を保つのに十分な強度を有し、身体に移植されるのに十分な生体的適合性も有する他の適切な生体適合性材料からなり得る。
【0034】
図1A及び
図1Bは、それぞれ、髄内釘109を移植するためのシステム101の一実施形態の斜視図及び側面図を示す。システム101は、結合部分105及びハンドル部分107を有する挿入ツール103を含む。いくつかの実施形態では、結合部分105及びハンドル部分107は、互いに取り外し可能に接合される別個の部分であり得るが、他の実施形態では、結合部分105及びハンドル部分107は、単一の一体的に形成された構成要素の異なる領域であり得る。結合部分105は、釘109の近位部分111と解放可能に係合又は結合する。例えば、結合部分105の自由端は、内部を通って固定デバイス119を挿入する前に、髄内釘109の一部分を一時的に保持するためのスナップ嵌め設計を備えて提供され得る。しかしながら、当業者は、他の結合機構が用いられてもよいことを理解するであろう。
【0035】
ハンドル部分107は、1つ以上のガイドワイヤ113、115を受容するように構成された1つ以上の開口部127、129を含んでもよい。一実施形態では、システム101は、第1及び第2のガイドワイヤ113、115、並びに中を固定デバイス119が通過し得る任意選択のガイドシース117を含み得る(例えば、固定デバイス119は、ドライバ121を使用して挿入され得る)。図示されるように、第1及び第2のガイドワイヤ113、115は、釘109及び固定デバイス119の両方の反対側(例えば、後方及び前方)を通過してもよい。図示された実施形態は2つのガイドワイヤを示しているが、他の実施形態では、単一のガイドワイヤ及び対応するガイドワイヤ孔が使用されてもよい。更に他の実施形態では、3つ以上のガイドワイヤが使用されてもよい。加えて、ガイドワイヤ孔の位置及び配向は、異なる実施形態では異なり得、例えば、挿入ツールに沿ってより近位に、又はより遠位に配設されるなどである。
【0036】
図示されるように、挿入ツール103は、ユーザが1つ以上のガイドワイヤ113、115を配置することを可能にする。一実施形態では、ガイドワイヤ113、155は、釘109の前方及び後方の両方に位置決めされる。ガイドワイヤ113、115は、処置中に固定デバイス119が釘109を通して骨の中へ前進するときに、骨の遠位片(例えば、大腿骨頭及び大腿骨頸の遠位片)が固定デバイス119の軸の周りを回転することを防止するように、このように位置決めされてもよい。挿入ツール103のハンドル部分107は、ツール103の対向する側面上の孔127、129などの2つのガイドワイヤ受容特徴部を含んでもよく、ガイドワイヤ113、115がそれぞれの孔を通過することを可能にする。ガイドワイヤ113、115は、軟組織を通って骨を通過し、挿入ツール103を安定させるのを助ける。この構成では、挿入ツール103は、ワイヤ113、115を患者の中に誘導するための任意の他の器具を必要としなくてもよい。挿入ツール103は、釘109の軸の周りの回転移動及び釘109の軸に沿った軸方向並進の両方に抵抗することによって、安定性を達成することができる。
【0037】
図2A~
図2Cは、
図1A及び
図1Bに示されるシステム101の挿入ツール103の様々な図を示す。特に、
図2Aは、ガイドシース117に隣接する挿入ツール103の部分分解斜視図であり、
図2Bは、ガイドシース117が部分的に挿入された挿入ツール103の斜視図であり、
図2Cは、ガイドシース117と挿入ツール103との間の係合の拡大部分断面図である。
【0038】
ガイドシース117は、挿入ツール103のハンドル部分107内に形成された孔131などのガイドシース受容特徴部を通して取り外し可能に挿入することができる。ガイドシース孔131は、釘109内の第1のアパーチャ123と交差する軸を画定する。ガイドシース117は、骨の距領域に向けられた固定デバイス119を受容するように構成されている釘109内の第1のアパーチャ123と実質的に整列するように、ガイドシース孔131を通して位置決めすることができる。ガイドシース117は、ガイドシース117の外面上に第1の保持部材133を含むことができる。第1の保持部材133は、例えば、ガイドシース孔131内に配設された対応する第2の保持部材135に係合するように構成された隆起した歯、突起、又は他のそのような表面を含むことができる。第2の保持部材135は、同様に、1つ以上の隆起又は突起を含むことができる。第1及び第2の保持部材133、135は一緒に、髄内釘から離れるガイドシース117の移動を制限しながら、ガイドシース117が髄内釘109に向かってラチェット式に動くことを可能にする保持機構137を形成する。保持解放機構139は、ユーザによって押されたときに、第2の保持部材135を第1の保持部材133から係合解除することができる。例えば、保持解放機構139は、ハンドル部分107の下面141上に配設されたボタンであり得る。この保持解放機構139を挿入ハンドルの下面141上に位置決めすることにより、ユーザがデバイスを動作させている間(例えば、ハンドル部分107を把持している間)にガイドシース117を誤って解放することを防止することができる。
【0039】
図3A~
図3Fは、髄内釘を骨折した大腿骨143に移植するステップの1つの方法を示す。最初に
図3Aを参照すると、大腿骨143の近位端にアクセスすることができ、骨ドリル及びリーマ145を使用して大腿骨143の髄腔をリーミングすることができる。次に、
図3Bに示されるように、髄内釘109が挿入ツール103に結合され、髄内釘109が大腿骨143のリーミングされた空洞内に配設される。
図3Cでは、使用されるとき、第1及び第2のガイドワイヤ113及び115のうちの1つ以上は、例えば、釘109の両側の平行軌道に沿って、軟組織を通して挿入されてもよい。ガイドワイヤ113、115は、釘109が所定の位置に配置された後、大腿骨143の遠位片の偶発的な回転を制限又は防止することができる。近位固定デバイス119(例えば、ラグねじ又は他の好適な骨アンカー)もまた、釘109内の第1のアパーチャ123を通して、大腿骨143の頭部/頸部領域を通過する。
図3Dでは、ガイドワイヤ113、115は後退しており、
図3Eでは、遠位固定デバイス147は、釘109の遠位アパーチャ125を通して更に挿入することができる。遠位デバイス147は、シース117が釘109内の遠位開口部125と整列するように、ハンドル部分107内の別の開口部を通して位置決めされるガイドシース1117を使用して位置決めすることができる。
図3Fにおいて、挿入ツール103は、釘109から係合解除され、釘109は、ここで、近位固定デバイス119及び遠位固定デバイス147を介して、所定の位置に固着される。示されるように、釘109は、大腿骨143の長さの一部分に沿って延在してもよい。しかしながら、釘109は、異なる解剖学的構造及び骨折に対応するために、異なるサイズ及び形状、例えば、より長い長さ及び/又は異なる直径であってもよいことも企図される。
【0040】
図4A~
図4Dは、髄内釘109と同様の髄内釘201の別の実施形態を示しており、釘201の近位係止のための交差係止特徴が追加されている。髄内釘201は、髄内釘109に関して上述した特徴のうちのいずれかを含むことができる。髄内釘201は、例えば、寛骨の最も強い部分である大腿部229の距における骨固定と共に、収束及び発散する増力作用を提供することによって、2つのインターロック近位固定デバイス203、205(例えば、骨アンカー、締結具、又はねじ)を更に含んでもよい。したがって、カットアウト及び/又は回転による破損のリスクが低減され得る。
【0041】
図4A~
図4Dは、それぞれ、第1の固定デバイス203に隣接する髄内釘201の側面図、側断面図、及び2つの斜視図を示す。
図5A~
図5Dは、それぞれ、髄内釘201を通して挿入された第1の近位固定デバイス203の側面図、側断面図、及び2つの斜視図を示す。
図6A~
図6Dは、それぞれ、その中に第1の固定デバイス203が挿入された髄内釘201に隣接する第2の交差係止固定デバイス205を有するシステムの側面図、側断面図、及び2つの斜視図を示す。
図7A~
図7Dは、それぞれ、第2の固定デバイス205が髄内釘201及び第1の固定デバイス203の両方を通して挿入され、それによって、釘201の近位係止のための交差係止特徴部を作り出すシステムの側面図、側断面図、及び2つの斜視図を示す。
【0042】
図4A~
図8Cを一緒に参照すると、髄内釘201は、その中に第1の固定デバイス203及び第2の固定デバイス205の両方を受容するように構成されている。髄内釘201は、近位領域213内に、内部を通って形成された第1のアパーチャ209及び第2のアパーチャ211、並びに遠位領域217内に形成された第3のアパーチャ215を有する細長い本体207を含む。第1のアパーチャ209は、内部を通って第1の固定デバイス203を受容するようにサイズ決め及び構成することができ、第2のアパーチャ211は、内部を通って第2の固定デバイス205を受容するようにサイズ決め及び構成することができる。
【0043】
第1の固定デバイス203は、本明細書に記載される近位固定デバイス119と同一又は類似であってもよく、釘201の近位係止のために構成された骨ねじ又はアンカーを含んでもよい。例えば、第1の固定デバイス203は、近位上腕骨の距領域に向けられるように構成された距ねじ又はアンカーであってもよい。距ねじ203は、その遠位先端にねじ山付き部分を有し、ねじ203の実質的な長さに沿って非ねじ山付き部分を有することができる。距ねじ203は、当技術分野で知られている従来の多軸又は固定角距ねじと、アンカーと、を含んでもよい。
【0044】
第2の固定デバイス205はまた、釘201の近位係止のために構成された骨ねじ又はアンカーを含んでもよい。この骨アンカー又はねじ205は、距ねじ203に対して長さ及び直径が実質的に小さくてもよい。骨アンカー又はねじ205は、実質的に、釘201の近位端内の第2の開口部211を通って第1の固定デバイス203内のチャネル219内に位置決めされるようにサイズ決め及び構成される。したがって、第2のデバイス205は、第1の固定デバイス203とインターロックするように構成されており、例えば、骨に対する強化された増力作用及び骨固定である。第2の固定デバイス205が第1の固定デバイス203の上に位置決めされ、第1の固定デバイス203と接触するように下向きに角度を付けられた状態で示されているが、これらの相対的な位置は逆にされてもよく、又は固定デバイス203、205が、デバイス203、205を互いにインターロックするために、別様に互いに対して角度を付けられてもよいことも想定される。第2の固定デバイス205は、第1の固定デバイス203内に形成されたスロット又はチャネル219を通過するように構成されてもよい。第1及び第2の固定デバイス203、205のこのインターロック特徴部は、収束及び発散する増力作用を提供することによって、カットアウト及び回転を防止することができる。大腿骨の場合、これはまた、距における骨固定を提供することができる。第1の固定デバイス203内の細長いスロット219は、制御された圧潰を可能にし、これは、体重負荷からの片間の自然圧縮又は靱帯張力整復を活用する。制限された圧潰は、スロット219の長さによって制御され、大腿骨頸の制御されない過剰な短縮を防止する。第1の固定デバイス203は、遠位ねじ山221と、ドライバ(図示せず)に係合するように構成された近位駆動インターフェース223と、を含んでもよい。第2の固定デバイス205は、第2の固定デバイス205が第1の固定デバイス203内のスロット219を通過することができるように、第1の固定デバイス203よりも狭い直径を有してもよい。第2の固定デバイス205はまた、遠位ねじ山225と、ドライバ(図示せず)に係合するように構成された近位駆動インターフェース227と、を含んでもよい。
【0045】
スロット219は、第1の固定デバイス203の中間シャフト内に配設することができ、第2の固定デバイス205が内部を通過することを可能にするようにサイズ決定及び構成されてもよい。スロット219は、第2の固定デバイス205が所定の位置に配置された後に、第1の固定デバイス203の並進を可能にするのに必要な長さよりも長くてもよい。スロット219は、第2の固定デバイス205が所定の位置に配置された後に、第1の固定デバイス203の回転を防止するのに十分な強度を有してもよい。スロット219は、第2の固定デバイス205の近位及び遠位クリアランスを可能にしながら、第1の固定デバイス203内の材料を最大化するように、面取りされた近位及び遠位縁を有してもよい。第1の固定デバイス203内のスロット219は、例えば、180°増分で第2の固定デバイス205の位置決めを可能にするように対称であってもよい。
【0046】
少なくとも1つの実施形態では、止めねじ又はワッシャなどの係止デバイス230を使用して、第1及び/又は第2の固定デバイス203、205を所定の位置に係止してもよい。
図7Bに最もよく見られるように、係止デバイス230は、釘201の中空内部を通して螺入されてもよい。係止デバイス230は、外ねじ山を有してもよく、外ねじ山は、釘201の中空内部部分に沿った嵌合内ねじ山に対応するようにサイズ決定及び構成されている。係止デバイス230が下向きに螺合され、第1又は第2の固定デバイス203、205と接触すると、それぞれの固定デバイス203、205は、釘201に対して所定の位置に係止される。いくつかの実施形態では、インターロック固定デバイス203、205は、選択的に使用することができる。例えば、ねじ山付き係止デバイス230は、第2の固定デバイス205と係合するように螺合されてもよく、代替的に、例えば、第2の固定デバイス205が使用されない場合、ねじ山付き係止デバイス230は、第1の固定デバイス203を係止するために更に螺合されてもよい。これにより、ユーザは、手術中に従来の構造体又はインターロック構造体を選択することが可能になる。
【0047】
釘201と、インターロックする第1及び第2の固定デバイス203及び205と、を含むシステムを移植するための挿入ツール103は、追加のガイドシース孔がハンドル部分107内に形成されて、適切な軌道に沿ってガイドシースを収容して、第2の固定デバイス205を釘201内の第2のアパーチャ211を通して挿入し、第1の固定デバイス203に係合させることができることを除いて、
図1A~
図2Cに関して上述したシステム101と実質的に同様であり得る。
【0048】
図8A~
図8Cは、インターロック固定デバイス203、205を有する髄内釘201を骨折した大腿骨229に移植するステップの1つの方法を示す。まず
図8Aを参照すると、
図3A~
図3Dに関して上述した技術と同様に、釘201は、大腿骨229のリーミングされた髄腔に挿入されており、第1の固定デバイス203は、釘201内の第1のアパーチャ209を通して挿入されている。
図8Bを参照すると、遠位固定デバイス231は、
図3Eに関して上述した技術と同様に、釘201内の第3のアパーチャ215を通して挿入することができる。
図8Cを参照すると、第2の固定デバイス205は、釘201内の第2のアパーチャ211を通して、かつ第1の固定デバイス203内のスロット219を通して挿入される。上述したように、これらの交差する第1及び第2の固定デバイス203、205は、大腿部229の頭部及び頸部領域に追加の増力作用を提供し、特に、第2の固定デバイス205は、距における骨固定を提供することができる。したがって、インターロックする第1及び第2の固定デバイス203、205は、髄内釘インプラント破損の一般的なモードに対する改善された安定性及び保護を提供することができる。
【0049】
図9A~
図9Nは、髄内釘309の別の例を示しており、髄内釘109は、第1の遠位部分又は遠位端310から第2の近位部分又は近位端311まで延在する概ね細長い本体を備えてもよい。細長い本体は、骨折した骨の髄内管内で長手方向に延在するように構成された細長い管状ロッドの形態であってもよい。細長いロッドは、中空であってもよく、又はその長さに沿って中実であってもよい。細長い本体は、釘309の長手方向軸に沿って実質的に直線状であってもよく、又は髄内管の解剖学的形状に適合するように1つ以上の湾曲又は屈曲を備えてもよい。
図9Aに示される釘309の実施形態では、釘309は、梨状窩入口において利用されてもよく、湾曲は、AP(anteroposterior)(前後)方向に提供されてもよい。この湾曲は、釘309が、順行性(
図9A)又は逆行性(
図9D)のいずれかで、並びに右脚又は左脚において使用されることを可能にする。
図9Cに示される実施形態では、釘309’は、大転子の先端での進入を容易にするために、AP方向の曲率並びにML(medial-lateral)(内外)方向の屈曲を有する。他の態様では、釘309及び309’は、別段の記載がない限り同じである。髄内釘309の中心長手軸に対して直角に取られた釘309の断面は、円形、卵形、楕円形、又は任意の他の好適な断面形状であってもよい。
【0050】
図10A~
図10Cを参照して、釘309のAP曲率を計算するプロセスを説明する。釘309の曲率半径は、釘309が挿入される大腿骨の解剖学的曲率に曲率が一致することができるように、釘309の長さに応じて変化してもよい。多くの場合、より長い大腿骨(より背の高い患者)では、曲率は小さすぎる半径を有し、外科医は骨損傷を引き起こすことなく釘を挿入しようと苦労する。本明細書で説明される変位に基づく橈骨計画の方法は、より解剖学的に正確な(より大きい)橈骨を提供することによって、問題の可能性を低減する。
【0051】
図10Aに示されるように、大腿骨端点は垂直線上にあってもよい。したがって、有効な開始点が仮定される場合、例えば、mmの釘の長さLが半径Rを有する場合、AP曲率半径は、接線円を使用して計算することができる。
図10Bを参照すると、各接線円は半径Rを有することになる。接線円の中心Cから直角三角形を描き、Rを斜辺とし、釘の長さLの1/2を三角形の一方の脚として、他方の脚は長さzを有することになる。曲率に起因して、脚部1/2L及びzが交わる点は、接点Tから距離yだけ離隔されることになる。したがって、R=y+z及びR
2=L
2/4+z
2である。式を組み合わせると、R=y/2+L
2/8yとなる。初期仮定を利用して、定数yを計算することができる。定数yを計算することにより、各長さLに対する曲率半径Rを求めることができる。釘の長さが半径Rを有するという仮定を利用して、以下は、様々な長さLに対する計算された半径Rの表である。
【0052】
【表1】
再び
図9A~
図9Nを参照すると、釘309の遠位端310は、髄内釘309の遠位端310を通って横方向に延在する1つ以上の骨アンカー、締結具、又は遠位固定デバイス330、332を受容するように構成され、それによって、釘309の遠位端310を管内に固着するように構成されたた1つ以上の遠位開口部312~318を含んでもよい。遠位固定デバイス330、332は、釘309の遠位係止及びまた再建のために構成された骨ねじ又はアンカーを含んでもよい。遠位固定デバイス330、332は、当技術分野で知られている従来の多軸又は固定角係止骨ねじと、アンカーと、を含んでもよい。
【0053】
図示される実施形態では、遠位開口部は、AP係止スロット312と、AP係止開口部314と、を含む。開口部はまた、一対のML係止開口部313、315と、ML係止スロット317と、を含む。AP及びML係止スロット312、317は、設置中に圧縮などが加えられた場合に、釘309と係止ねじ330との間の相対移動を容易にする。遠位開口部はまた、再建ねじ332を受容して誘導するように構成された一対の傾斜開口部316、318を含む。
図9Jに示すように、傾斜開口部316、318の各々は、釘309の軸に対して角度α
1、α
2である。角度α
1、α
2は、45°~60°の範囲であり、図示された実施形態では、各々50°である。角度α
1、α
2は、傾斜開口部316、318が互いの鏡像であるように互いに等しく、それによって、釘309が右脚及び左脚の両方で利用されることを可能にすることが好ましい。遠位傾斜開口部316、318は、全ての外科医が、遠位ねじをある角度で係止するか、又はより近位のねじ進入点から遠位片にアプローチする。この構成は、関節周囲骨折及び顆状分離の治療に有用であり得る。加えて、傾斜遠位開口部316、318は、外科医が、進入時に膝関節又は股関節付近の軟組織損傷の危険を冒すことなく、顆状骨折にアクセスすることを可能にする。
【0054】
近位端311は、髄内釘309の近位端311を通って横方向に延在する1つ以上の骨アンカー又は締結具330、332を受容するように構成され、それによって、釘309の近位端311を管内に固着及びまた再建するように構成された1つ以上の近位開口部123を含んでもよい。近位固定デバイス330、332は、骨ねじ又はアンカーを含んでもよい。固定デバイス330は、係止ねじであってもよく、固定デバイス332は、近位上腕骨の距領域に向けられるように構成された距ねじ又はアンカーであってもよく、これは、領域内の最高品質の骨を構成し得る。
【0055】
近位開口部は、一対のML開口部321、323と、MLスロット325と、を含んでもよい。ML開口部321、323及びMLスロット325は、係止ねじ330を受容するように構成されている。ML係止スロット325は、設置中に圧縮などが加えられた場合に、釘309と係止ねじ330との間の相対移動を容易にする。遠位開口部はまた、複数の傾斜開口部322、324、326、及び327を含み、これらは、好ましくは、鏡像対を含む。より具体的には、
図9K~
図9Nを参照すると、上部傾斜開口部322及び324は鏡像であり、余角β
1、β
2、すなわちβ
1+β
2=180°を形成する。例えば、斜角β
1は、釘309に対して約100~150°、110~140°、又は約120~135°であってもよく、一方、角度β
2は、約30~80°、40~70°、又は45~60°である。同様に、下部傾斜開口部326、327は、鏡像であり、余角β
3、β
4、すなわちβ
3+β
4=180°を形成し、これは、開口部322、324について上述したものと同様の範囲にわたって延在し得る。そのような構成では、近位傾斜開口部322、324、326、及び327も、右脚又は左脚のいずれにおいても同じように機能するように整列する。図示の実施形態では、角度β1
1、β
3は等しく、角度β1
2、β
4は等しいが、これは必須ではない。
【0056】
加えて、軸が互いに鏡像である開口部もまた、AP面において矢状面からオフセットされ、一方は前方にθ
1だけオフセットされ、他方は前方に角度θ
2だけオフセットされる。
図9K及び
図9Lに示されるように、開口部322はθ
1だけオフセットされ、開口部324はθ
2だけオフセットされる。同様に、
図9M及び
図9Nに示すように、開口部326はθ
3だけオフセットされ、開口部327はθ
4だけオフセットされる。図示の実施形態では、より大きいオフセットθ
2、θ
4は、対応するオフセットθ
2、θ
4の2倍の大きさである。これにより、ねじ330がこれら2つの再建ねじ332に対して後方に通過して固定角構造体を作製するための空間が作り出される。図示の実施形態では、開口部322のオフセットθ
1は開口部327のオフセットθ
4に等しく、開口部324のオフセットθ
2は開口部326のオフセットθ
3に等しい。この構成では、同様に角度付けられた対の開口部322及び326のオフセットは、互いに対してオフセットされ、同様に角度付けられた対の開口部324及び327のオフセットは、互いに対してオフセットされる。
【0057】
釘309は、ハイブリッド順行性/逆行性及び左/右釘を提供する。そのような釘309は、在庫を減らし、手術計画を簡略化するので、病院及び外科医にとって有利である。二方向近位傾斜開口部322、324、326、327は、近位大腿骨骨折固定のための様々な選択肢、及びより安定した構造体を提供する。加えて、近位開口部321~327の配置は、ねじ330、332によって作り出される固定角構造体を可能にする。設計は、大腿骨頸内に固着される3つのねじを更に提供する。この固定角構造体は、従来の2つのねじ構成よりも高い生体力学的安定性を提供する。
【0058】
図9I及び
図11A~
図11Eを参照して、髄内釘309を挿入ツール350で取り付ける方法を説明する。本実施形態の釘309は、近位端311に開口部334を有する。開口部334内の肩部335は、釘309の近位部分311の内径上に円周スロット336を画定する。この構成は、釘309の近位端311において、典型的なねじ山接続よりも少ない空間を占め、それによって、より近位に位置する係止孔のための空間を解放する。
【0059】
釘309を挿入ツール350に接続するために、挿入ツール350は、拡張コレット370と、接続ボルト354と、を含む。挿入ツール350の照準アーム352内の貫通路353内に接続する整列先端360は、ボルト354を拡張コレット370と整列するように構成されている。整列先端部360は、本体362の近位端361から遠位端363まで延在する貫通路364を有する中空本体362を含む。本体362の近位端361は、圧入によって照準アーム352の貫通路353内に受容されるように構成されているが、他の接続機構が利用されてもよい。肩部368は、本体362から半径方向に延在し、
図11D及び
図11Eに示されるように、完全に挿入されると、照準アーム352と係合する。本体362の遠位端363は、釘309の近位端の開口部334に受容されるように構成された凹部分366を有する。
【0060】
拡張コレット370は、本体372の近位端371から遠位端373まで延在する貫通路374を有する中空本体372を含む。遠位端373は、半径方向外向きに延在するカラー376、タブ、突起などを有する。カラー376は、釘309の近位端311の円周スロット336内に受容されるように構成されている。軸方向スロット375は、本体372の遠位端373から延在し、本体372の遠位端が半径方向内向きに圧縮することを可能にし、それによって、カラー376が釘309の近位端311内の通路364及び肩部335を通して整列先端を通過することを可能にする。コレット370上の外側肩部377は、整列先端360上の内側肩部367に接触して、整列先端360に対するコレット370の動きの範囲を制限する。カラー376が肩部335を通過すると、カラー376は半径方向外向きに自由に拡張する。コレット本体372の遠位端373は、接続ボルト354のねじ山355に係合するように構成された内ねじ山378を含む。
【0061】
次に、接続ボルト354は、拡張可能なコレット370の貫通路374を通って駆動し、ねじ山378と係合する。接続ボルト354は、ねじ山378に螺合されると、カラー376をその大径まで外向きに押し、カラー376を釘309内の円周スロット336内に更に駆動する。加えて、ボルト354のヘッド356の底部側が整列先端360の上部と接触するとき、近位釘309にわたる圧縮を可能にし、したがって、接続部内の任意の間隔を圧縮する。アセンブリは、釘309の照準アーム352への迅速、容易、かつ堅固な接続を可能にする。本明細書に記載される髄内釘のいずれも、内部円周方向スロットを含んでもよく、記載されるような拡張コレットを利用して、挿入ツールなどに接続されてもよいことに留意されたい。
【0062】
図12A~
図12Kを参照して、自己保持ねじ400及びドライバ430のアセンブリが説明される。ねじは、多くの場合、手術室技術者又は看護師によってバックテーブル上のドライバに固定され、次いで、ねじは、必要とされる場所にねじを配置する外科医に手渡される。バックテーブルと骨の中へのねじの最終的な着座との間に、多くの行為により、ねじがドライバから脱落し、それに伴って、例えば、ねじが手術室の床に当たったときに、ねじを非滅菌状態にする可能性がある。脱落の可能性を最小限にするために、自己保持釘係止ねじ400は、より確実な接続を達成する特徴部を有する。
【0063】
図12A~
図12Fを参照すると、ねじ400は、遠位先端404から近位ヘッド406まで延在するシャフト402を含む。図示された実施形態において、シャフト402は、より容易な前進を提供する2つのねじ山403、405条を含む。ヘッド406は、近位トルクボア410、及びその遠位にねじ山付きボア416を画定する。トルクボア410及びねじ山付きボア416は、互いに連通しており、好ましくは同軸である。トルクボア410は、相補的なトルクツールと係合する係合面を有する構成を有する。図示の実施形態では、トルクボア410は、中央開口部から半径方向に延在する複数のローブ状凹部412を備えるヘキサローブ構成を有する。ローブ状凹部412は最大直径Dを画定し、中央開口部はより小さい直径dを画定する。ローブ状凹部412は、以下により詳細に説明されるように、駆動ツールヘッド430上の相補的ローブ436を受容するように構成されている。ねじ山付きボア416は、トルクボア410の底部でねじ山付きボア416内に締め付けられるねじ山付きロッド(図示せず)によって係合されるように構成されている複数の内ねじ山417を画定する。トルクボア410とねじ山付きボア416との組み合わせは、ねじ山付きロッドを利用してねじ400の確実な送達を可能にし、その後、必要であれば、トルクボア410に係合されたトルクドライバを利用して、ねじ400の追加の締め付けを可能にする。
【0064】
図12G~
図12Kを参照すると、そこに示されるトルクドライバヘッド430は、それ自体にスタブ及びグラブ保持特徴を与えるためにテーパを有する。トルクドライバヘッド430は、近位本体432と、そこから延在する遠位シャフト434と、を含む。近位本体432及びシャフト434は、好ましくは、近位端431から遠位端433まで延在する一体型構造である。複数のローブ436がシャフト434から半径方向に延在し、ねじ400のトルクボア410内のローブ状凹部412に対して相補的な構成を有する。ローブ436はテーパ状であり、遠位方向に移動するにつれて狭くなる。テーパは、第1の長さE
1にわたって概ね一定であり、次いで、長さE
2にわたって遠位端433においてより顕著である。テーパにより、ローブ436は、シャフト434の近位部分においてより大きい最大直径F
1を画定し(
図12J参照)、シャフト343の遠位部分においてより小さい最大直径F
2を画定する(
図12K参照)。より大きい直径F
1は、好ましくは、ローブ状凹部412の最大直径Dより大きく、より小さい直径F
2は、好ましくは、ローブ状凹部412の最大直径Dより小さく、すなわち、F
1>D>F
2である。この構成では、トルクドライバヘッド430の遠位端433はトルクボア410内に容易に移動するが、トルクドライバヘッド430が更に挿入されると、ローブ436がローブ状凹部412に摩擦嵌めで係合し、スタブ及びグラブ保持特徴を提供する。いくつかの事例では、この特徴は、ねじ山付きロッド及びねじ山付きボア416を利用する必要なく、十分な確実接続を提供し得る。
【0065】
図13A~
図13Fを参照して、ねじ400’の無頭バージョンを説明する。外科医がねじ上にできるだけ低いヘッドプロファイルを有することを望む場合があるいくつかのシナリオがある。例えば、骨折が関節空間の近くで生じた場合、外科医が関節面を通してねじを配置することがしばしば必要である。関節の機能を維持し、関節の痛みを回避するために、使用される係止ねじがその領域の骨又は軟組織の動きに影響を与えないことが不可欠である。骨の上方の軟組織が非常に薄く、したがって、突出したねじヘッドが、手術後に患者によって感じられる、又は更には見られる可能性がある領域(例えば、近位脛骨内)において望ましい場合がある。
【0066】
無頭ねじ400’は、先の実施形態のねじと同様であり、遠位先端404から近位ヘッド406’まで延在するシャフト402を含む。図示された実施形態において、シャフト402は、より容易な前進を提供する2つのねじ山403、405条を含む。しかしながら、ねじ400’は、単一条のねじ山又は任意の他の好適な構成を有してもよいことが理解されよう。先の実施形態と同様に、ヘッド406’は、近位トルクボア410、及びその遠位にねじ山付きボア416を画定する。トルクボア410は、相補的なトルクツールと係合する係合面を有する構成を有し、ねじ山付きボア416は、複数の内ねじ山417を画定する。
【0067】
本実施形態のヘッド406’は、複数の外ねじ山407を有する。図示の実施形態では、ねじ山407は、シャフトねじ山のピッチの半分である四条ねじ山を有してもよい。ねじ山407は、ヘッド406’が骨の表面の下に沈むことを可能にする。本明細書に記載された又は他の既知の髄内釘と共に使用される場合、無頭ねじ400’は、標準的な係止ねじと同じように依然として作用する無頭選択肢の独自の提供を提供する。
【0068】
例示的な実施形態によれば、髄内釘システムは、少なくとも1つの無頭ねじ又は締結具と組み合わせた髄内釘を含む。髄内釘は、本明細書に記載される髄内釘109、201、309、500、又は一般的に知られている若しくは今後開発される任意の他の髄内釘を含んでもよい。無頭ねじ又は締結具は、ねじが完全に螺合され、ねじのねじ山の大径を越えて突出するヘッドを有しないようにブラインドであるねじ又は締結具を包含することが意図され、かつ/又はねじ山がヘッドまでずっと延在するヘッド部分(例えば、ねじ山付きヘッド)を有するねじ又は締結具を包含し得る。例えば、無頭ねじは、本明細書で説明される無頭ねじ400’又は一般的に知られている若しくは今後開発される任意の他の無頭ねじを含んでもよい。
【0069】
一実施形態によれば、髄内釘109、201、309、500は、少なくとも1つの無頭ねじ400’又は無頭締結具と組み合わせて使用される。無頭ねじ400’又は他の無頭締結具は、シャフト402が釘109、201、309、500内の1つ以上の開口部内に存在するように、釘109、201、309、500の本体を通して位置決めされてもよい。無頭ねじ400’のシャフト402は、髄内釘109、201、309、500と係止(例えば、螺合嵌合)又は非係止様式で嵌合するように構成されてもよい。無頭ねじ400’のねじ山付きヘッド406’は、例えば、
図9Aに最もよく見られるように、ヘッド406’が骨の外面又はその付近に位置決めされるように位置決めされてもよい。髄内釘109、201、309、500と組み合わせて、骨に対して無頭ねじ400’のヘッド406’を位置決めする(又は骨の中にわずかに差し込む)ことによって、髄内システムは、患者に実質的に気付かれない場合がある。従来の頭付きねじが使用される場合、患者は、ねじを感じることができるか、又はねじヘッドが手術部位から突出して患者に刺激又は痛みを引き起こすことを訴えることがある。したがって、髄内釘の遠位端及び/又は近位端を固着するときに1つ以上の無頭ねじ又は締結具が使用されることが好適であり得、それによって、優れた患者予後がもたらされる。
【0070】
図14A~
図14Cを参照して、ねじ山付き孔454を有する釘450を説明する。不安定な骨折又は骨の質が悪い患者では、外科医がねじに対する釘の横方向の並進を安定させる能力を有することが必須である。これはしばしば締まり嵌めと称される。ねじ400又は類似の係止ねじとの締まり嵌めを達成するために、釘450は、釘450の細長い本体452に沿って1つ以上のねじ山付き孔454を備えて提供される。ねじ山付き孔454は、二条ねじを有するねじ山453、455を含む。図示の実施形態では、ねじ山453、455は、二条60度の機械ねじ山を提供する。ねじ山453、455は、ねじ400のねじ山403、405と同じピッチを有する。前述したように、ねじシャフト402はまた、容易な前進のために二条ねじ山を有する。釘450自体のねじ山付き二条孔454は、製造が容易であり、外科医側に追加のステップ又は特別な技術を必要としないので、現在の干渉孔よりも有利である。
【0071】
図15A~
図15Cを参照して、ねじに対してより大きな圧縮を提供するように構成されたワッシャ470を説明する。いくつかの用途では、ねじ及び釘は、十分な干渉を提供しない場合がある。例えば、骨の質が悪い場合や重度に粉砕された骨折がねじの配置を妨げる場合、外科医は、釘自体と接合するねじを必要とすることが多い。多数の複雑な大腿骨骨折の場合のように、近皮質壁が安定していない場合、締まり嵌めねじであっても、近皮質においていかなる支持も得られず、したがって、固定が不安定になる。ワッシャ470は、条件がそのような必要性を提示する場合、ねじ及び釘アセンブリと共に使用するための選択肢として提供されてもよい。
【0072】
ワッシャ470は、本体472の近位端471から本体472の遠位端473まで延在する貫通路474を有する中空本体472を含む。本体472の遠位端473は、遠位先端476の間に複数のカットアウト475を含む。各カットアウト475は、対向するカットアウト475の各対が同軸であり、それによって、釘の外径を可能にするように、約90°である。ワッシャ470は、ねじの大径上に嵌合し、ヘッドの下側と同一平面に載置する。それは、ねじ及びドライバと共に組織保護スリーブを通して挿入されてもよい。ワッシャ470の遠位先端476が釘の外径と接触し、釘が対向するカットアウト475に受容されると、ワッシャ470が釘の側面を把持している間、ねじは回転し続ける。これにより、ねじは釘の遠い側で圧縮され、ねじ/ワッシャ構造体を釘の側部にしっかりと保つことが可能になる。これは、皮質骨がそれを行うのに十分に強くない場合に、剛性固定方法を提供する。ワッシャ470は、それによって、釘が使用され得る適応を拡大する。
【0073】
例示的な大腿骨釘を説明してきたが、
図16A~
図17Kを参照して、脛骨釘及びその移植のためのシステムの実施形態を説明する。
図16A~
図16Dを参照して、第1の脛骨髄内釘500について説明する。釘500の特徴は、脛骨釘における使用に限定されず、他の髄内釘に組み込まれてもよいことが認識される。髄内釘500は、概して、第1の遠位部分又は遠位端503から第2の近位部分又は近位端501まで延在する細長い本体502を備える。細長い本体502は、骨折した骨の髄内管内で長手方向に延在するように構成された細長い管状ロッドの形態であってもよい。細長いロッドは、中空であってもよく、又はその長さに沿って中実であってもよい。細長い本体は、釘500の長手方向軸に沿って実質的に直線状であってもよく、又は髄内管の解剖学的形状に適合するように1つ以上の湾曲又は屈曲を備えてもよい。
図16A~
図16Dに示す釘500の実施形態では、釘500は脛骨において利用され、近位端はシャフトに対して屈曲λを有し、遠位端はシャフトに対して屈曲χを有する。図示の実施形態では、屈曲λは約10°であり、遠位端屈曲χは約3°である。屈曲λ及びχは、説明される角度に限定されず、骨の解剖学的構造に応じて、より大きい又はより小さい屈曲を有してもよい。
【0074】
脛骨釘500の遠位端503は、4つの開口部510~513を含む。開口部510、512はML方向に配向付けられ、開口部511、513はAP方向に配向付けられる。図示される実施形態では、ML開口部510及びAP開口部511は各々、
図14Cに関して上記で説明されるものと同様に、係止ねじを用いて固定角構造体を作り出すために使用される二条ねじ山514を含む。固定角構造体は、非常に不安定な骨折を治療するために使用される。
【0075】
図16E~
図16Gを参照して、釘500’の代替的な遠位端503’について説明する。この実施形態では、ML開口部510は、第1及び第2の開口部521、522が各々傾斜角度で、例えば矢状面から30°ずれている、組み合わされた傾斜係止開口部520と置き換えられる。組み合わされた傾斜係止開口部520は、外科医が2つの異なる配向で係止ねじ530を挿入することを可能にし、それによって、代替的な固定角構造体を作り出す。
【0076】
図16Hを参照すると、釘500”の別の代替的な遠位端503”は、固定角構造体を作り出すために利用され得る追加の特徴部を示す。この実施形態では、AP開口部511’はブローチ加工された孔として画定され、AP開口部513’はねじ山付き孔として画定される。固定角構造体は、ねじ山付き孔又はブローチ加工された孔を通して係止ねじを挿入することによって作り出される。係止ねじのねじ山は、釘500”に対するねじ530の移動を制限することによって、骨折を安定させるように、ねじ山又はブローチ加工された特徴部に係合する。
【0077】
図16A及び
図16Cに戻ると、脛骨釘500の近位端501は、一対の近位傾斜開口部515、AP傾斜開口部516、近位MLスロット517、及び近位ML開口部517を含む開口部515~518を含む。近位傾斜開口部515は、
図9Aに示す実施形態に関して上述したものと同様である。AP傾斜開口部516は、係止ねじを用いて固定角構造体を作り出すために使用される二条ねじ山519を含む。近位MLスロット517は、骨折の圧縮及び静的/動的係止モードのために使用される。
【0078】
例示的な脛骨釘500の様々な特徴を説明してきたが、脛骨釘500を挿入するツール、システム、及び方法を、
図17A~
図17Kを参照して説明する。脛骨釘500は、入口部位の切開部を通して髄管に挿入される。
図17Aは、膝蓋下アプローチを利用して髄内釘500を移植するためのシステム535の例示的実施形態を示す。膝蓋下アプローチは、脛骨釘500の挿入のための業界標準アプローチである。このアプローチは、典型的には、過度に屈曲した(hyper-flexed、HF)位置にある脚で実行される。脛骨釘500は、切開部を通して脛骨管に直接挿入される。
【0079】
システム535は、挿入ツール540と、照準ガイド560と、を含む。挿入ツール540は、結合部分545と、ハンドル部分547と、を含む。いくつかの実施形態では、結合部分545及びハンドル部分547は、互いに取り外し可能に接合される別個の部分であり得るが、他の実施形態では、結合部分545及びハンドル部分547は、単一の一体的に形成された構成要素の異なる領域であり得る。ハンドル部分547は、好ましくは、剛性であり、例えば、ステンレス鋼から作製され、また、嵌入シャフト546及び圧縮ボルト544を取り付けるための設備を有する。結合部分545は、釘500の近位部分501と解放可能に係合又は結合するように構成された接続部分548を有する。図示の実施形態では、接続部分548は、ねじ山付きコネクタを含む。しかしながら、当業者は、他の結合機構が用いられてもよいことを理解するであろう。
【0080】
ハンドル部分547は、ハンドル部分547を照準ガイド560に解放可能に取り付けるための接続アセンブリ550を含む。接続アセンブリ550は、2つのボア552、554がその中に画定された本体551を含む。接続ボタン553は、ボア552のうちの1つに延在する。接続ボタン553は、
図17Bに示すように、接続位置に付勢される。接続ボタン553は、以下でより詳細に説明するように、照準ガイドの接続ポスト572上のスロット573と係合するように構成されたボア552内の係合部分556を有する。図示の実施形態では、係合部分556は、より小さい直径の開口部557を有するプレートを含む。係合部分556を係合解除するために、ボタン553は、より大きな直径の開口部558が接続ポスト572と整列するように押し下げられる。しかしながら、当業者は、他の接続機構が使用されてもよいことを理解するであろう。
【0081】
脛骨釘照準ガイド560は、脛骨釘500内に係止ねじを設置するために使用される。照準ガイド560は、釘500の近位開口部515~518と接合するように、係止ねじの軌道を設定する。少なくとも1つの実施形態では、照準ガイド560は、放射線透過性材料から作製される。照準ガイド560は、対向端支持ブロック564の間に延在する弓状本体562を含む。各端支持ブロック564は、ML開口部518と整列する孔開口部563、及びMLスロット517と整列するスロット開口部565を画定する。複数の中間支持ブロック568A~Cが本体562から延在する。支持ブロック568Aは、AP傾斜開口部516と整列する孔開口部569を含む。支持ブロック568B及び568Cは各々、それぞれの傾斜開口部515と整列する孔開口部569を含む。開口部563、565、及び569は、上述したガイドシース117と同様のそれぞれのガイドシース580を支持するように構成されている。シース580は、穿孔プロセス中に軟組織を保護するために使用される。シース580は、様々なサイズのドリルスリーブ及びトロカールを受容する。ガイドシース580及びブロック564、568A~Cは、上述したものと同様の保持部材を有してもよく、各ブロック564、568A~Cは、それぞれの解放機構567を有する。
【0082】
照準ガイド560はまた、挿入ハンドル540上の接続アセンブリ570と嵌合するように構成された接続アセンブリ570を含む。接続アセンブリ570は、接続アセンブリ550のボア552、554内に受容されるように構成されている、そこから延在する一対の接続ポスト572、574を有する本体571を含む。接続ポスト572は、接続ボタン553の係合部分556によって、選択的に係合されるように構成されたスロット573を含む。コネクタアセンブリ570は、剛性構造であり、例えば、金属から作製されてもよい。
【0083】
したがって、システム535は、照準ガイド560を取り付けるための信頼性が高く便利な接続アセンブリを有する挿入ハンドル547を提供する。押しボタン接続及び解放システムは、照準ガイド560のツールなし接続及び分離を可能にする。挿入ハンドル547はまた、骨折間隙を圧縮するために、動的位置において係止ねじに圧力を加えるために使用される外部圧縮ボルト544を含む。照準ガイド560は、軟組織シース580を所定の位置に係止する押しボタン解放機構567を利用する。解放機構567は、軟組織シース580の挿入を可能にするが、それがバックアウトすることを防止する。この特徴は、正確なねじ長さ測定のために軟組織シース580の位置を維持するのに役立ち、穿孔及びねじ挿入を容易にする。照準ガイド560は、照準精度を改善するために延長シースガイド580を有するように設計される。
【0084】
膝蓋上アプローチは、膝の上方の脛骨進入点を使用する。膝蓋上アプローチで使用するためのシステム530’を、
図17F~
図17Lを参照して説明する。システム530’は、実質的に先の実施形態と同様であるが、カニューレアセンブリ590を更に含む。
図17Fに示されるように、釘500の挿入時に、釘500及び挿入ツール540の接続部分545は、カニューレアセンブリ590を通して挿入される。カニューレアセンブリ590は、釘挿入プロセス中に膝の関節面を保護する。以下に説明されるように、カニューレアセンブリ590はまた、リーミング中に膝の関節面を保護する。リーミングは、カニューレアセンブリ590のカニューレ592内のドリルガイド610を通して行われる。その後、ドリルガイド610が取り外され、釘500の挿入が、カニューレ592を通して入口切開部内に行われる。
【0085】
図17Gを参照して、例示的なカニューレアセンブリ590を説明する。カニューレアセンブリ590は、可撓性カニューレ592と、剛性ハンドル596と、を含む。カニューレ592は、ハンドル596内の開口部599と整列して連続通路を画定する貫通路594を有する。一実施形態では、可撓性カニューレ592材料は、剛性プラスチックハンドル596上にオーバーモールドされる。一対の脛骨ガイドスロット595がハンドル596を通して、カニューレ592の側部に沿って延在する。横方向大腿骨ガイド孔597は、ハンドル596を通って延在する。
図17Hに示すように、ガイドスロット595及びガイド孔597は、固定ピン602を脛骨144又は大腿骨143内に誘導する。
【0086】
カニューレアセンブリ590は、皮膚の切開部を通して挿入され、外科医がリーミング、穿孔、及び釘挿入を行うことができる作業ポータルである。ガイドスロット595及び孔597は、外科医が処置中にカニューレ592を所定の位置に固定することを可能にする。ガイドスロット595及び孔597は、外科医の好みに応じて収束ピン602を用いてカニューレが大腿骨143又は脛骨144に固定されることを可能にする。カニューレ592は、リバーシブルであり、患者の両側で使用することができる。
図17Iを参照すると、カニューレアセンブリ590は、金属ドリルスリーブ610及び円形トロカール612を受容するように設計される。カニューレハンドル596上には、金属ドリルスリーブ610上のコネクタ611を受容する接続点603がある。図示される実施形態では、カニューレ592は、ドリルスリーブ610の容易な取り外しのためにテーパ状である。柔軟で可撓性のカニューレ592は、大腿顆の間に適合し、関節面への損傷を最小限に抑えるように解剖学的に成形される。
【0087】
図17J~
図Lを参照すると、別の例示的実施形態によるカニューレアセンブリ590’が、説明される。カニューレアセンブリ590’は、先の実施形態と同様であり、剛性ハブ596’から延在する可撓性カニューレ592’を含む。剛性ハブ596’は、カニューレ592’の各側から延在する脚部593を含む。ハブ596’の各脚部593は、それぞれの脛骨固定孔595’及び一連の大腿骨ピン孔597を画定する。2つの頸骨固定孔595’は、頸骨に固定するためのkワイヤ又はピン602を受容するように設計されている。ワイヤ又はピン602は、収束又は平行であり得る。大腿骨ピン孔597は、ハーフピン598を使用する大腿骨固定のためのものである。カニューレアセンブリ590’は、金属ドリルスリーブ610及び円形トロカール612を受容するように設計される。
【0088】
図18を参照すると、大腿骨143(
図3A~
図3Fに示す)などの骨に髄内釘を挿入するための照準ガイド601が提供されている。照準ガイド601は、梨状及び大転子進入点の両方を通して大腿釘を挿入する機能を提供し、順行性及び逆行性釘の実装を可能にする。加えて、照準ガイド601は、インパクタ及び複数のモジュールの取り付けを可能にし、それは、照準ガイド601の単純な動作を可能にする一方で、依然として臨床医のための様々な係合選択肢を可能にする。また、照準ガイド601は、大腿骨への挿入を補助するための釘への剛性接続、並びに大腿骨釘を大腿骨に固着するためのレコン締結具又はねじ及び傾斜締結具又はねじの両方を挿入する方法を提供するアセンブリのためのベースを提供する。順行性/逆行性大腿骨釘を参照して説明されるが、同様の照準ガイドが他の髄内システムを備えて提供されてもよいことが理解されよう。
【0089】
釘は、
図9Aに示される釘309、
図17Fに示される釘500、
図23~
図26に示される釘699、又は他の好適な髄内釘システムであり得る。照準ガイド601は、レコン締結具若しくはねじ、傾斜締結具若しくはねじ、及び/又は外側/内側係止締結具若しくはねじを髄内釘に設置するために使用されてもよい。照準ガイド601は、締結具又はねじの軌道を設定して、釘の近位端及び遠位端のいずれか又は両方における対応する貫通孔と接合するように構成されている。組織スリーブを使用して、穿孔プロセス中に軟組織を保護し、ドリル軌道の設定を助けることができる。
【0090】
照準ガイド601は、細長い近位ハンドル部分604、及び略弓状の遠位インプラント整列先端コネクタ部分606を有する、略弓状又は「J字形」本体605を含んでもよい。遠位インプラント先端コネクタ部分606は、近位ハンドル部分604の長手方向軸615に実質的に平行な先端軸613に沿って延在するように構成され得る遠位インプラント整列先端608を有する。遠位インプラント整列先端608は、例えば、遠位インプラント整列先端608を所定の位置に留めるのに役立つ、遠位インプラント先端コネクタ部分606上に位置するばね荷重摩擦パッド(図示せず)を介して、遠位インプラント先端コネクタ部分606に固着され得る。遠位インプラント整列先端608はまた、例えば、
図11Aに提供される様式で固着され得る。
【0091】
一実施形態によれば、本体605及びインプラント整列先端コネクタ部分606を含む照準ガイド601は、例えば炭素繊維などの単一材料から構築された一体型構造であってもよい。遠位インプラント整列先端608は、任意選択的に、例えば、鋼鉄などの金属などの異なる材料から構築されてもよい。金属は、インパクタ(図示せず)が遠位インプラント整列先端コネクタ部分606に直接螺入されることを可能にする。
【0092】
更に、遠位インプラント整列先端608は、遠位インプラント整列先端コネクタ部分606との解放可能な接続のために、遠位インプラント整列先端コネクタ部分606の遠位端617において受容部614に挿入されてもよい。遠位インプラント整列先端部608は、上述したように、釘309、釘500、又は釘699などの大腿釘を解放可能に保持するように構成されている。
【0093】
ハンドル部分604の近位端616は、例えば、
図19に示されるレコンモジュール700などの第1のモジュールを解放可能に取り付けるための第1の取り付け場所618を有してもよい。第1の取り付け場所618は、ハンドル部604の外側622に凹部分620を含む。ねじ山付き受容部624は、凹部分620からハンドル部分604に延在し、レコンモジュール700上のつまみねじ702に螺合するようにサイズ決定される。略楕円形の整列ブッシング625は、受容部624を取り囲んでもよい。
【0094】
近位ハンドル部分604は、ハンドル部分604の内側632上にハンドグリップ630を含んでもよい。ハンドグリップ630は、臨床医がハンドル部分604を把持することを可能にし、照準ガイド601を使用している間に、ハンドル部分604が臨床医のハンドル内で回転する可能性を低減するために、複数の指インデント634を含む。ハンドグリップ630は、外側面622から内側面632まで内部を通って延在する複数の貫通孔636を有する。貫通孔636のうちの少なくとも1つは、ハンドル部分604の長手方向軸615に対して実質的に垂直に延在する孔軸に沿って延在する。例示的な実施形態では、貫通孔636の各々は、ハンドル部分604の長手方向軸615に対して実質的に垂直に延在する孔軸に沿って延在する。
【0095】
照準ガイド及び/又はモジュール内の貫通孔は、スリーブ340、342、344及びねじ330、332を大腿骨釘699と整列させるために使用することができる。
図26に示すように、貫通孔636は、スリーブ344及びねじ330を大腿骨釘699の開口部と整列させることができる。スリーブ344は、軟組織を保護し、髄内釘の開口部と整列し、開口部を通して骨に挿入されるように構成されたドリル、ドライバ、締結具又はねじ(例えば、締結具119、固定デバイス330、332)などの挿入を可能にするように構成された、本明細書に記載のスリーブ又はシース(例えば、シース117)と同様であり得る。
【0096】
ハンドル部分604から遠位に、遠位インプラント整列先端部分606は、例えば、
図20に示される傾斜モジュール800などの第2のモジュールを解放可能に取り付けるための第2の取り付け場所640を更に含む。第2の取り付け場所640は、遠位インプラント整列先端部分606の各側壁644、645(側壁645は
図21に示されている)上に金属整列ブロック642を含んでもよい。整列ブロック642は、傾斜モジュール800を本体605上に整列するために使用されてもよい。ピン648は、整列ブロック642(1つの整列ブロック642のみが示されている)の孔647に嵌合して、整列ブロックを本体605に保持する。ねじ山付き受容部646は、整列ブロック642の間の遠位インプラント整列先端部分606を通って延在し、傾斜モジュール800(
図20に示される)上のつまみねじ802に螺合するようにサイズ決定される。遠位インプラント整列先端部分606は、上述のインパクタを支持するためにインパクタアタッチメント(図示せず)を解放可能に取り付けるための第3の取り付け場所650を更に備える。第3の取り付け場所650は、インパクタアタッチメント上のねじ山付きインサートを受容するためのねじ山付き開口部とすることができる。
【0097】
図19及び
図21を参照すると、レコンモジュール700は、近位ハンドル部分604の近位端616に解放可能に取り付けられてもよい。レコンモジュール700は、近位ハンドル部分604の近位端616と係合する接続ピース704を含む。接続ピース704は、確実な係合のために近位端616内の凹部分620を反映する凹部分706を含む。凹部分706は、照準ガイド601に対するレコンモジュール700の並進又は回転を防止するために、略楕円形の整列ブッシング625を受容するようにサイズ決定される、略楕円形の受容部708を含む。略楕円形の整列ブッシング625が受容部708に挿入された状態で、つまみねじ702をねじ山付き受容部624に螺合することによって、レコンモジュール700を照準ガイド601に解放可能に固着することができるように、つまみねじ702がねじ山付き受容部624と整列する。
【0098】
レコンモジュール700は、
図21に示されるように、レコンモジュール700が照準ガイド601に取り付けられるとき、近位ハンドル部分604の第1の側壁644から延在する第1のレコン部分712、及び近位ハンドル部分604の第2の側壁645から第1の側部から遠位に延在する第2のレコン部分714を有する弓状本体710を有してもよい。弓状本体710は、内部を通って延在する複数のレコン貫通孔720、722、724、726を有し、複数のレコン貫通孔の各々は、先端軸613と交差する軸に沿って延在する。
【0099】
図20及び
図21を参照すると、傾斜モジュール800は、遠位インプラント整列先端部分606に解放可能に取り付けられてもよい。傾斜モジュール800は、つまみねじ802がねじ山付き受容部646と整列するように、傾斜モジュール800が照準ガイド601上に挿入されたときに整列ブロック642と係合する略U字形の取り付け部位803を含む。傾斜モジュール800は、つまみねじ802をねじ山付き受容部646に螺合することによって、照準ガイド601に解放可能に固着することができる。
【0100】
傾斜モジュール800は、
図21に示されるように、傾斜モジュール800が照準ガイド601に取り付けられるとき、取り付け部位803の第1の側部から延在する第1の傾斜部分806、及び第1の側から遠位の取り付け部位803の第2の側から延在する第2の傾斜部分808を有する、細長い本体804を有してもよい。細長い本体804は、内部を通って延在する複数の傾斜貫通孔810、812、814、816を有し、複数の傾斜貫通孔810、812、814、816の各々は、先端軸613と交差する軸に沿って延在する。
【0101】
照準ガイド601、レコンモジュール700、及び/又は傾斜モジュール800は、
図23~
図26に示すように、内部を通って大腿骨釘699に挿入された複数のねじ330、332を支持する照準ガイドアセンブリを形成してもよい。
図23及び
図24では、2つのレコンねじスリーブ340が、レコンモジュール700を通って延在して、レコン締結具332の配置のためにレコン締結具332を髄内釘699と整列させるように示されている。
図25では、単一のレコンねじスリーブ340が、大腿骨頭内のレコン締結具又はねじ332の配置のためにレコンモジュール700を通って延在し、単一の傾斜ねじスリーブ342が、釘699を通る、好ましくは大腿骨の小転子ではなく大腿骨の大転子内の傾斜ねじ332の配置のために、傾斜モジュール800を通って延在し、
図26では、単一の傾斜ねじスリーブ342が、傾斜モジュール800を通って延在し、単一のドライバねじスリーブ344が、大腿骨釘699内のねじ330の配置のために照準ガイド601のハンドル部分604から延在する。ねじスリーブ340、342、344及びねじ構成のこれらの例示的な実施形態が示されているが、当業者は、他のスリーブ及びねじ構成が、照準ガイドアセンブリを備えて提供され得ることを認識するであろう。
【0102】
レコンモジュール700及び傾斜モジュール800は、照準ガイド601と共に示されているが、当業者であれば、レコンモジュール700及び傾斜モジュール800は、独立して使用されてもよいか、又は省略されてもよく、照準ガイド601のみが、締結具又はねじ330、332の大腿骨釘699内の配置のために、大腿骨釘699及び照準ガイド601を貫通する1つ以上のスリーブ340、342、344と共に使用されてもよいことを認識するであろう。
【0103】
ここで
図27を参照すると、照準ガイド900の代替実施形態は、照準ガイド601に類似するが、単一材料からの一体型構造体である代わりに、照準ガイド900は、例えば、炭素繊維などの第1の材料から構築されたハンドル部分904、及び例えば、金属又はプラスチックなどの第2の材料から構築された照準アーム部分906を有する多部品構造本体902であり得る。
【0104】
図27に示すように、ハンドル部分904は、照準アーム部分906内の略矩形の雌型受容部912に嵌合するようにサイズ決定及び成形された略矩形の雄型インサート910を有する。インサート910は、インサート910が受容部912に挿入されたときに、係止孔914、916が互いに整列して、ピン(図示せず)がその中に挿入されて照準アーム部分906をハンドル部分904に固着することを可能にするように、照準アーム部分906内の同様の複数の係止孔916と整列する複数の係止孔914を有する。
【0105】
照準アーム部分906はまた、上述したインパクタを照準アーム部分906に直接接続するためのねじ山付き開口部950の形態の取り付け場所を含む。
【0106】
照準ガイド900の動作は、上述した照準ガイド601の動作と同様である。レコンモジュール700及び傾斜モジュール800は各々、照準ガイド900に解放可能に固着されて、ねじスリーブ330、331、及び340、並びに対応するねじを、例えば釘699に照準するのを助けることができる。
【0107】
ここで
図28に示すように、本開示の原理と一致する例示的な照準ガイド1000が示されている。照準ガイド1000は、前述の照準ガイドと同様であってもよい。コレット1002及び接続ボルト1004も図示されており、これらも前述の構成要素と同様であってもよい。接続ボルト1004をコレット1002(及び前述のように釘1018)に接続するために、接続ボルトドライバ1006が使用されてもよい。接続ボルト1004は、接続ボルトドライバ1006の使用を通して、照準ガイド1000に挿入されるか、又はそこから取り外されてもよい。接続ボルト1004は、自己保持型であるように構成されてもよい。例えば、例示的な実施形態によれば、接続ボルト1004は、ボルトドライバ1006が接続ボルト1004のヘッド1008の内側に保持されることを可能にする締まり嵌めを介して、ボルトドライバ1006によって保持されてもよい。
【0108】
図29A~
図29Bは、ボルトドライバ1006への自己保持接続を提供する接続ボルト1004の一例を示す。接続ボルト1004は、ヘッド1008の内側に配設されたサークリップ1010を含んでもよく、サークリップは、ドライバ1006の一部分を受容するように構成された六角形凹部1012を含んでもよい。接続ボルト1004は、サークリップ1010が装填され得る半径方向溝1014を含むように構成されてもよい。サークリップ1010は、次いで、ボルトドライバ1006を接続ボルト1004のヘッド1008の内側に保持する干渉を提供するためのばねとして作用してもよい。ボルトドライバ1006は、六角形状凹部1012に挿入される六角形状端1016を含んでもよい。ボルトドライバ1006がヘッド1008に挿入されると、端1016は、サークリップ1010を拡開して、それを溝1014内に着座させてもよい。サークリップ1010は、
図30に示すヘッド1008の内側にボルトドライバ1006を保つばね張力を有してもよい。
【0109】
上述したように、サークリップ特徴部は、ボルトドライバへの接続ボルトの自己保持を可能にする。これは、ボルトの容易な挿入及び取り外しを提供し、接続ボルトが地面に又は患者の軟組織内に意図せずに落下する危険性を最小限にする。これはまた、特定の軟組織構造の周りのより容易な通過を可能にし得る、接続ボルトのヘッドへの角度付けられたアプローチのための選択肢をユーザに提供する。
【0110】
次に
図31を参照すると、照準ガイドの別の実施形態が示されている。この特定の実施形態では、照準ガイド1100が、少なくとも2つの締結具を骨内に位置決めするためのスリーブ1102と共に示されている。スリーブ1102は、少なくとも2つの締結具を受容するための少なくとも2つの開口部を備えて構成されている。
図32A、
図32B、及び
図32Cは、スリーブ1102の異なる実施形態をより詳細に示す。開示された全ての実施形態において、スリーブ内の2つの開口部は、平行であるように構成されている。しかしながら、他の実施形態では、2つの開口部の軸は、交差するように構成されてもよい。
【0111】
図32Aは、少なくとも2つの開口部1104、1106を有する一体型本体としてのスリーブ1102を示す。
図32Bは、2つの別個の要素1108、1110からなるスリーブ1102を示す。要素1108は、
図32Bに示されるように、雄型及び雌型嵌合機構を通して要素1110に結合される。各要素1108、1110は、締結具を受容するための開口部を含む。
図32Cは、一緒に溶接された複数の構成要素を有するスリーブ1102を示す。他の実施形態では、スリーブ1102は、ダブテール接続、ピン接続、又はねじ接続などの他の機械的接続機構を用いて一緒に結合される、複数の構成要素で構成されてもよい。他の実施形態では、スリーブ1102は、互いに平行ではなく、照準アームに対してある角度にある開口部を含んでもよい。
【0112】
図33は、本開示の好ましい実施形態による、スリーブ1102の外面上に提供されたラチェット歯1112を示す。ラチェット歯1112は、スリーブの外面上に位置決めされ、
図34に示すように、照準アーム内のラチェット歯止め1114に係合するように構成されている。ラチェット歯1112は、スリーブ1102が軟組織を通って移動され、ラチェットがスイッチ1116を作動させることによって解放されるまで所定の位置に保たれることを可能にする。スリーブが軟組織に並進することを可能にするために、他の機構を利用してもよいことに留意されたい。例えば、1つの機構は、スリーブの外面上に位置決めされたねじ山と、照準ガイド上に提供された内側ねじ山とを介して、照準ガイドに結合されるねじ山付きスリーブであってもよい。次に、照準ガイドを回転させることによって、スリーブを軟組織内に並進させてもよい。別の機構は、取り囲む照準ガイド内でスリーブを単に押すプランジャ機構であってもよい。
【0113】
本技術の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、又は本技術を上記で開示された厳密な形態に限定することを意図していない。本技術の特定の実施形態及び例が例示の目的で上に記載されているが、当業者が認識するように、本技術の範囲内で様々な等価な修正が可能である。例えば、ステップは所与の順序で提示されているが、代替の実施形態は、異なる順序でステップを実行してもよい。本明細書に記載された様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することもできる。
【0114】
上記から、本発明の特定の実施形態が例示の目的で本明細書において説明されているが、本技術の実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、周知の構造及び機能は詳細に示されていないか又は説明されていないことが理解されよう。文脈が許す場合、単数形又は複数形の用語は、それぞれ複数形又は単数形の用語も含み得る。
【0115】
特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、本技術から逸脱することなく様々な修正がなされ得ることも理解されよう。更に、本技術の特定の実施形態に関連する利点をこれらの実施形態の文脈で説明してきたが、他の実施形態もそのような利点を示すことができ、全ての実施形態が本技術の範囲内に入るために必ずしもそのような利点を示す必要はない。したがって、本開示及び関連する技術は、本明細書で明示的に示されていないか又は説明されていない他の実施形態を包含することができる。