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特開2023-105821光学部品およびガラス組成物並びにその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105821
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】光学部品およびガラス組成物並びにその使用
(51)【国際特許分類】
   C03C 4/08 20060101AFI20230724BHJP
   C03C 3/076 20060101ALI20230724BHJP
   C03C 3/089 20060101ALI20230724BHJP
   C03C 3/091 20060101ALI20230724BHJP
   C03C 3/093 20060101ALI20230724BHJP
   C03C 3/095 20060101ALI20230724BHJP
   C03C 3/078 20060101ALI20230724BHJP
   C03C 3/083 20060101ALI20230724BHJP
   C03C 3/085 20060101ALI20230724BHJP
   C03C 3/087 20060101ALI20230724BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
C03C4/08
C03C3/076
C03C3/089
C03C3/091
C03C3/093
C03C3/095
C03C3/078
C03C3/083
C03C3/085
C03C3/087
G01S7/481 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023006363
(22)【出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】22152321
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ビアンカ シュレーダー
(72)【発明者】
【氏名】ウテ ヴェルフェル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー ハンゼン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ビアテュンプフェル
(72)【発明者】
【氏名】フランク ヴォルフ
【テーマコード(参考)】
4G062
5J084
【Fターム(参考)】
4G062AA04
4G062BB01
4G062DA06
4G062DA07
4G062DB01
4G062DB02
4G062DB03
4G062DC01
4G062DC02
4G062DC03
4G062DC04
4G062DD01
4G062DE01
4G062DE02
4G062DE03
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4G062EA10
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4G062EC04
4G062ED01
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4G062EG02
4G062EG03
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4G062FA10
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4G062FB02
4G062FB03
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4G062FK04
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4G062GA10
4G062GB01
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4G062HH08
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4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
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4G062JJ03
4G062JJ06
4G062JJ07
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4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM02
4G062NN05
4G062NN15
4G062NN33
4G062NN34
5J084AA05
5J084AC02
5J084AC03
5J084AC04
5J084AC05
5J084AC07
5J084BA03
5J084BA20
5J084BA31
5J084BA48
5J084EA32
(57)【要約】
【課題】可視範囲における低い透過率および近赤外(NIR)範囲における高い透過率を有するガラス組成物およびガラス物品を提供する。
【解決手段】以下の成分(質量%): SiO2 50~80; Al23 0~10; B23 0~15; Li2O 0~20; Na2O 0~20; K2O 0~25; BaO 0~10; CaO 0~10; MgO 0~10; ZnO 0~10; La23 0~20; TiO2 0~5; Cl 0~3; MnO2 0.2~5.0; Cr23 0.05~3.0を含むガラスであって、Li2O、Na2OおよびK2Oの割合の合計は5.0~30.0質量%の範囲であり、MnO2およびCr23の量の合計は少なくとも0.3質量%であり、且つMnO2(質量%)およびCr23(質量%)の割合の比は1.5:1~12.5:1の範囲である、前記ガラス。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(質量%):
成分 割合(質量%)
SiO2 50~80
Al23 0~10
23 0~15
Li2O 0~20
Na2O 0~20
2O 0~25
BaO 0~10
CaO 0~10
MgO 0~10
ZnO 0~10
La23 0~20
TiO2 0~5
Cl 0~3
MnO2 0.2~5.0
Cr23 0.05~3.0
を含むガラスであって、Li2O、Na2OおよびK2Oの割合の合計は5.0~30.0質量%の範囲であり、MnO2およびCr23の量の合計は少なくとも0.3質量%であり、且つMnO2(質量%)およびCr23(質量%)の割合の比は1.5:1~12.5:1の範囲である、前記ガラス。
【請求項2】
Cr23の量が0.1~2.5質量%、好ましくは0.15~2.0質量%の範囲であり、且つ/またはMnO2の量が0.3~4.5質量%、好ましくは0.5~4.0質量%の範囲である、請求項1に記載のガラス。
【請求項3】
Cr23の量が0.2~3.0質量%、好ましくは0.5~2.5質量%の範囲であり、且つ/またはMnO2の量が1.0~5.0質量%、好ましくは1.5~4.5質量%の範囲であり、且つ/またはMnO2の量とCr23の量との合計が少なくとも2.7質量%である、請求項1または2に記載のガラス。
【請求項4】
Clの量が少なくとも0.1質量%である、請求項1から3までのいずれか1項に記載のガラス。
【請求項5】
前記ガラスが試料厚2mmで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均透過率最大0.01%、および/または250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大透過率最大5.0%、および/または250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率最大0.1%、および/または250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大内部透過率最大5.0%を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載のガラス。
【請求項6】
前記ガラスが試料厚2mmで、1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての平均透過率および/または最小透過率少なくとも50%、および/または1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率および/または最小内部透過率少なくとも50%を有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載のガラス。
【請求項7】
前記ガラスが試料厚2mmで、1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての平均透過率および/または最小透過率少なくとも50%、および/または1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率および/または最小内部透過率少なくとも50%を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載のガラス。
【請求項8】
前記ガラスが試料厚4mmで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均透過率最大10%、および/または250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大透過率最大15.0%、および/または250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率最大10%、および/または250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大内部透過率最大15%を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載のガラス。
【請求項9】
前記ガラスが試料厚2mmで、波長1550nmでの内部透過率少なくとも94.0%を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載のガラス。
【請求項10】
前記ガラスが、DIN ISO 719:2020-09のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 720:1989-12のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 695:1994-02のクラス2に準拠する、より好ましくはクラス1に準拠する耐アルカリ性、および/またはDIN 12116:2001-03のクラス1に準拠する耐酸性を有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載のガラス。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載のガラスを含むガラス物品であって、1.0mm~7.0mmの範囲の厚さを有する、前記ガラス物品。
【請求項12】
前記ガラス物品が、以下の条件の少なくとも1つを満たす、請求項11に記載のガラス物品:
i) ΔTsol(905nm)=T(905nm)|初期-T(905nm)|照射
[式中、ΔTsolは5%未満である]、
ii) ΔTsol(1320nm)=T(1320nm)|初期-T(1320nm)|照射
[式中、ΔTsolは5%未満である]、
iii) ΔTsol(1550nm)=T(1550nm)|初期-T(1550nm)|照射
[式中、ΔTsolは5%未満である]、
ここで、T(λ)初期は照射前の試料厚4mmを有する試料の波長λでの透過率であり、T(λ)照射はHOK 4ランプで15時間の照射後の試料厚4mmを有する試料の波長λでの透過率であり、且つΔTSolはT(λ)初期とT(λ)照射との間の差である。
【請求項13】
直径0.03mm以上の全ての気泡/包有物の全断面積の合計が、ガラスの体積100cm3あたり最大0.5mm2、好ましくは最大0.25mm2であり、前記ガラス物品が、DIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において前記ガラス物品の厚さ1mmあたり最大1.30の特性値を有し、且つ/または前記ガラス物品が、DIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において前記ガラス物品の厚さ1mmあたり最大150mgの全質量損失を有する、請求項11または12に記載のガラス物品。
【請求項14】
レーザーと、前記レーザーと周囲との間に配置された光学窓とを含むLiDARシステムであって、前記光学窓が請求項11から13までのいずれか1項に記載のガラス物品を含む、前記LiDARシステム。
【請求項15】
請求項1から10までのいずれか1項に記載のガラスまたは請求項11から13までのいずれか1項に記載のガラス物品の製造方法であって、
・ ガラス原料を溶融する段階、
・ 得られたガラスを冷却する段階
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視範囲における低い透過率および近赤外(NIR)範囲における高い透過率を有するガラス組成物およびガラス物品、例えば光学部品に関する。本発明はそれらの使用、特に自動車セクタにおける使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
可視範囲において低い透過率を有するガラスは、それらの黒い外観ゆえに「ブラックガラス」と称されることが多い。しかしながら、慣例的なブラックガラスは一般に、ガラスが比較的厚い厚さを備えない限り、ガラスの後ろに配置される構造の目視での調査を可能にするために十分に高い透過率を有する。薄い厚さで使用される場合、慣例的なブラックガラスは完全に黒くは見えない。むしろ、それらは暗い青色または暗い緑色の印象を生じさせることが多い。さらには、ブラックガラスは多くの用途分野において受け容れられない有害な成分を含むことが多い。
【0003】
上述の欠点に鑑み、ブラックガラスの可能性のある用途が、特定の狭い分野に、特に厚い厚さが大きな欠点としては経験されなかったために受け容れ可能であった用途に限定されていたことは意外ではない。
【0004】
しかしながら、新たな用途分野を切り拓くためには、上記で議論した欠点を克服しなければならない。例えば、それに応じて改善された、さらにNIR範囲において高い透過率を有するブラックガラスは、NIRレーザーを含む用途における光学部品またはバンドパスフィルタとして有利に使用され得る。興味深いことに、そのような用途の数は、特に距離および/または速度の光学的な測定のために、近年劇的に増加している。多くの場合、LiDAR(Light Detection And Ranging)と称されるか、または場合によりLaDAR(Laser Detection And Ranging)とも称される方法が一般に知られている。LiDARシステムは一般に、NIRスペクトル、特に780nmを上回る、特に1000nmを上回る、例えば1250~1350nmまたは1500~1600nmの波長を有するNIRスペクトルにおけるレーザー光を発することによって機能する。そのようなレーザー光は周囲の物体から反射されて少なくとも部分的にLiDARシステムに戻り、そこで検出される。反射されるレーザー光のパターンに基づいて、LiDARシステムは物体を認識できる。飛行時間に基づき、LiDARシステムは物体の距離を特定できる。いくつかのLiDARシステムは、放射および反射レーザー光の位相の関係に基づき、物体の速度を特定できる。
【0005】
LiDARシステムは、例えば自動運転のために必要とされる。しかしながら、多くのさらなる用途分野、特にロボット工学、ドローン、衛星、海洋、採鉱、建設、鉄道などがある。
【0006】
LiDARシステムは、環境の影響に対する保護をもたらすために、システムの光電子部品と周囲との間に配置された光学窓を必要とする。LiDARシステムの種類に応じて、そのような光学窓は平面または曲がっていることがある。エミッタと検出器とが典型的には静止した環状の窓内で回転する、回転LiDARシステムも一般に使用される。
【0007】
一般に知られるLiDARシステムは典型的にはポリマー材料、特に例えばポリカーボネート(PC)またはポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などの材料製の光学窓を含む。しかしながら、そのような材料は、特に耐引っかき性、機械的耐久性、および化学的耐久性に関していくつかの欠点を有する。
【0008】
従って、そのような光学窓のための材料としてガラスを使用するための試みがある。例えば、国際公開第2019/030106号(WO2019/030106A1)は、ガラスを含むカバーレンズを有するLiDARシステムを開示する。しかしながら、NIR範囲における高い透過率と、可視範囲における低い透過率とを兼ね備える本発明のガラスの有利な透過率特性は達成されていない。
【0009】
さらには、国際公開第2019/009336号(WO2019/009336A1)は、強化ガラスで形成される保護部材を含むセンサモジュールを開示する。しかしながら、そのガラスは可視範囲において高い透過率を有する。
【0010】
それらの先行技術のガラスは、本発明のガラスの有利な特性を有さない。本発明のガラスは可視範囲における特に低い透過率を特徴とする。他方で、NIR範囲における透過率は特に高い。さらには、本発明のガラスは特に色的に中性である。好ましくは、前記ガラスは自動車産業において望ましくないNiO、Cr(VI)および/またはV25のような成分不含である。特に、Cr(VI)は原料として使用されることはなく、ガラスの製造の間の酸化条件によって得られることもない。酸化条件は好ましくは回避される。クロムは好ましくはガラス中にCr(III)として存在する。特に、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも99.9%のクロムがCr(III)として存在する。さらには、前記ガラスは特に高い化学的安定性および機械的安定性を有する。好ましくは本発明のガラスは、熱間成型によって加工されることができ、そのことは平面または環状に成型された光学部品を得るために特に有利である。
【0011】
先行技術のブラックガラスの他の欠点は、化学的耐久性および機械的耐久性が劣ることである。とりわけ、化学的耐久性および機械的耐久性はLiDARシステムにおける、特に自動車分野のLiDARシステムにおけるブラックガラスの使用について特に関連する。例えば、LiDARシステムにおける窓ガラスは一般に、環境条件、例えば雨および雪に晒されるので、良好な化学的耐久性(特に耐加水分解性、耐酸性および/または耐アルカリ性)が有利である。環境に依存して、ガラスが晒されるpHおよび塩濃度は大幅に変化することがあるので、広い化学的耐久性が有益である。さらには、ガラスは通常、雨や雪などの自然現象に起因する様々な条件に晒されるだけではない。むしろ、化学的耐久性は例えば洗車ゆえに非常に重要でもある。ガラスが良好な化学的耐久性を有さないと、数回の洗車サイクル後に不透明になりかねない。
【0012】
さらには、ガラスが環境に晒される際、それは様々な物理的ストレス、例えば日射、温度変化および/または機械的衝撃、例えばガラスに衝突する、高い速度を有することがある石のかけらまたは砂利にも晒される。先行技術のガラスは、LiDARシステムにおける光学窓において、または前記光学窓として使用されるべきブラックガラスについて所望の光学特性と、化学的特性と、機械的特性とを兼ね備えていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2019/030106号
【特許文献2】国際公開第2019/009336号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、先行技術の欠点を克服することである。前記の課題は、特許請求の範囲の主題によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
1つの態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表1】
【0016】
ここで、Li2O、Na2OおよびK2Oの割合の合計は5.0~30.0質量%の範囲であり、MnO2およびCr23の量の合計は少なくとも0.3質量%であり、且つMnO2(質量%)およびCr23(質量%)の割合の比は1.5:1~12.5:1の範囲である。
【0017】
他の態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表2】
ここで、Li2O、Na2OおよびK2Oの割合の合計は5.0~30.0質量%の範囲であり、MnO2およびCr23の量の合計は少なくとも2.7質量%であり、且つMnO2(質量%)およびCr23(質量%)の割合の比は1.5:1~12.5:1の範囲である。
【0018】
それぞれの量および比でのMnO2およびCr23は、特に広い範囲の波長を包含する広い吸収スペクトルを達成するために有利である。特に、特定の理論に束縛されることを望むものではないがMnO2およびCr23の量および比の間には、ガラス中のマンガンおよびクロムの酸化状態に影響を有する相互作用がある可能性がある。MnO2の量が多すぎると、Cr(VI)が関連性のある量で形成されることがあり、それは上記の理由から回避されるべきである。しかしながら、MnO2の量が少なすぎると、所望の広い吸収スペクトルが達成されないことがある。従って、MnO2およびCr23の量および比を上記のように保つことが有利である。
【0019】
本発明のガラスは好ましくはSiO2を50.0質量%~80.0質量%、より好ましくは55.0質量%~75.0質量%、より好ましくは60.0質量%~73.0質量%の量で含む。SiO2は、所望の化学的耐性および安定性、並びに熱間成型によって加工されるガラスの能力に関して特に有利である。SiO2の量は例えば少なくとも50.0質量%、少なくとも55.0質量%、または少なくとも60.0質量%であることができる。SiO2の量は例えば最大80.0質量%、最大75.0質量%、最大73.0質量%、または最大70.0質量%であることができる。さらなる成分を追加することは、例えば溶融性および清澄性に関して有利であるので、SiO2の量は制限されるべきである。
【0020】
本発明のガラスはアルカリ金属酸化物を含む。これは溶融性について、および清澄特性について特に有利である。好ましくは、本発明のガラス中のLi2O、Na2OおよびK2Oの量の合計は5.0質量%~30.0質量%、より好ましくは10.0質量%~25.0質量%、例えば15.0~20.0質量%である。Li2O、Na2OおよびK2Oの量の合計は例えば少なくとも5.0質量%、少なくとも10.0質量%、または少なくとも15.0質量%であることができる。以下に記載されるとおり、本発明のガラスは比較的多量のCr23を含み得る。アルカリ金属酸化物はガラス溶融物中でCr23を溶解し、不溶性のクロム酸塩を回避するために特に有利である。さらに、着色酸化物の吸収特性は、アルカリ金属酸化物の量によっても影響されることがある。アルカリ金属酸化物の量が非常に少ない場合、望ましくない吸収帯がNIR範囲において生じることがある。しかしながら他方では、アルカリ金属酸化物が多量で使用されると、化学的耐久性が低下することがある。さらには、アルカリ金属はガラスの機械的耐久性に悪影響を及ぼすことがある。Li2O、Na2OおよびK2Oの量の合計は例えば最大30.0質量%、最大25.0質量%、または最大20.0質量%であることができる。
【0021】
いくつかの実施態様において、本発明のガラス中のNa2OおよびK2Oの量の合計は5.0質量%~30.0質量%、より好ましくは10.0質量%~25.0質量%、例えば15.0~20.0質量%である。Na2OおよびK2Oの量の合計は例えば少なくとも5.0質量%、少なくとも10.0質量%、または少なくとも15.0質量%であることができる。Na2OおよびK2Oの量の合計は例えば最大30.0質量%、最大25.0質量%、または最大20.0質量%であることができる。
【0022】
いくつかの実施態様において、本発明のガラス中のLi2OおよびK2Oの量の合計は5.0質量%~30.0質量%、より好ましくは10.0質量%~25.0質量%、例えば15.0~20.0質量%である。Li2OおよびK2Oの量の合計は例えば少なくとも5.0質量%、少なくとも10.0質量%、または少なくとも15.0質量%であることができる。Li2OおよびK2Oの量の合計は例えば最大30.0質量%、最大25.0質量%、または最大20.0質量%であることができる。
【0023】
本発明のガラスは例えばLi2Oを0~20.0質量%、例えば3.0~18.0質量%、4.0~16.0質量%、5.0~15.0質量%、6.0~12.0質量%、または7.0~10.0質量%の量で含み得る。Li2Oの量は例えば少なくとも3.0質量%、少なくとも4.0質量%、少なくとも5.0質量%、少なくとも6.0質量%、または少なくとも7.0質量%であることができる。Li2Oの量は例えば最大20.0質量%、最大18.0質量%、最大16.0質量%、最大15.0質量%、最大12.0質量%、または最大10.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、Li2Oの量は最大5.0質量%、最大3.0質量%、最大2.0質量%、最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはLi2O不含ですらある。
【0024】
本発明のガラスは例えばNa2Oを0~20.0質量%、例えば3.0~18.0質量%、4.0~16.0質量%、5.0~15.0質量%、6.0~12.0質量%、または7.0~10.0質量%の量で含み得る。Na2Oの量は例えば少なくとも3.0質量%、少なくとも4.0質量%、少なくとも5.0質量%、少なくとも6.0質量%、または少なくとも7.0質量%であることができる。Na2Oの量は例えば最大20.0質量%、最大18.0質量%、最大16.0質量%、最大15.0質量%、最大12.0質量%、または最大10.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、Na2Oの量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはNa2O不含ですらある。
【0025】
本発明のガラス中のK2Oの量は例えば0~25.0質量%、1.0~20.0質量%、2.0~15.0質量%、5.0~13.0質量%、または8.0~12.0質量%であることができる。K2Oの量は例えば少なくとも1.0質量%、少なくとも2.0質量%、少なくとも5.0質量%、または少なくとも8.0質量%であることができる。K2Oの量は例えば最大25.0質量%、最大20.0質量%、最大15.0質量%、最大13.0質量%、または最大12.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、K2Oの量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはK2O不含ですらある。
【0026】
いくつかの実施態様において、本発明のガラスはNa2OとK2Oとの両方を、好ましくは各々1.0~20.0質量%、例えば2.0~15.0質量%の量で含む。いくつかの実施態様において、本発明のガラスはLi2OとK2Oとの両方を、好ましくは各々1.0~20.0質量%、例えば2.0~15.0質量%の量で含む。
【0027】
いくつかの実施態様において、K2Oの量(質量%)とNa2Oの量(質量%)との比は、0.5:1~2.0:1、より好ましくは0.55:1~1.75:1、より好ましくは0.6:1~1.5:1、より好ましくは0.65:1~1.35:1、より好ましくは0.7:1~1.3:1、より好ましくは0.75:1~1.25:1、より好ましくは0.8:1~1.2:1の範囲である。いくつかの実施態様において、本発明のガラス中のK2Oの量はNa2Oの量よりも多い。他の実施態様において、本発明のガラス中のNa2Oの量はK2Oの量よりも多い。
【0028】
いくつかの実施態様において、K2Oの量(質量%)とLi2Oの量(質量%)との比は、0.5:1~2.0:1、より好ましくは0.55:1~1.75:1、より好ましくは0.6:1~1.5:1、より好ましくは0.65:1~1.35:1、より好ましくは0.7:1~1.3:1、より好ましくは0.75:1~1.25:1、より好ましくは0.8:1~1.2:1の範囲である。いくつかの実施態様において、本発明のガラス中のK2Oの量はLi2Oの量よりも多い。他の実施態様において、本発明のガラス中のLi2Oの量はK2Oの量よりも多い。
【0029】
本発明のガラスはB23を含み得る。この成分は化学的耐久性を高めるために有利である。さらに、B23は機械的耐久性を高めるためにも有利である。しかしながら、多量のB23はNIR透過率の低下と関連することがあり、なぜならCr23の吸収帯がシフトすることがあるからである。本発明のガラス中のB23の量は例えば0~15.0質量%、1.0~12.0質量%、2.0~10.0質量%、3.0~8.0質量%、4.0~7.0質量%、または5.0~6.0質量%であることができる。B23の量は例えば少なくとも1.0質量%、少なくとも2.0質量%、少なくとも3.0質量%、少なくとも4.0質量%、または少なくとも5.0質量%であることができる。B23の量は例えば最大15.0質量%、最大12.0質量%、最大10.0質量%、最大8.0質量%、最大7.0質量%、または最大6.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、B23の量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはB23不含ですらある。
【0030】
本発明のガラスはAl23を含み得る。この成分は化学的耐久性を高めるために有利である。しかしながら、Al23はNIR透過率の低下と関連することがあり、なぜならCr23の吸収帯がシフトすることがあるからである。本発明のガラス中のAl23の量は例えば0~10.0質量%、1.0~8.0質量%、または2.0~6.0質量%であることができる。Al23の量は例えば少なくとも1.0質量%、または少なくとも2.0質量%であることができる。Al23の量は例えば最大10.0質量%、最大8.0質量%、または最大6.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、Al23の量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはAl23不含ですらある。
【0031】
いくつかの実施態様において、本発明のガラス中のB23およびAl23の量の合計は10.0質量%~30.0質量%である。他の実施態様において、B23およびAl23の量の合計は2.0~<10.0質量%、3.0~8.0質量%、4.0~7.0質量%、または5.0~6.0質量%である。B23およびAl23の量の合計は例えば少なくとも1.0質量%、少なくとも2.0質量%、少なくとも3.0質量%、少なくとも4.0質量%、または少なくとも5.0質量%であることができる。B23およびAl23の量の合計は例えば最大15.0質量%、最大12.0質量%、最大10.0質量%、最大8.0質量%、最大7.0質量%、または最大6.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、B23およびAl23の量の合計は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはB23およびAl23不含ですらある。
【0032】
本発明のガラスはBaOを含み得る。BaOの量は例えば0~10.0質量%、1.0~8.0質量%、2.0~6.0質量%、または3.0~5.0質量%であることができる。BaOの量は例えば少なくとも1.0質量%、少なくとも2.0質量%、または少なくとも3.0質量%であることができる。BaOの量は例えば最大10.0質量%、最大8.0質量%、最大6.0質量%、または最大5.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、BaOの量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはBaO不含ですらある。
【0033】
本発明のガラスはCaOを含み得る。CaOの量は例えば0~10.0質量%、1.0~8.0質量%、2.0~6.0質量%、または3.0~5.0質量%であることができる。CaOの量は例えば少なくとも1.0質量%、少なくとも2.0質量%、または少なくとも3.0質量%であることができる。CaOの量は例えば最大10.0質量%、最大8.0質量%、最大6.0質量%、または最大5.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、CaOの量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはCaO不含ですらある。
【0034】
本発明のガラスはMgOを含み得る。MgOの量は例えば0~10.0質量%、1.0~8.0質量%、2.0~6.0質量%、または3.0~5.0質量%であることができる。MgOの量は例えば少なくとも1.0質量%、少なくとも2.0質量%、または少なくとも3.0質量%であることができる。MgOの量は例えば最大10.0質量%、最大8.0質量%、最大6.0質量%、または最大5.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、MgOの量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはMgO不含ですらある。
【0035】
本発明のガラスはZnOを含み得る。ZnOの量は例えば0~10.0質量%、1.0~8.0質量%、2.0~6.0質量%、または3.0~5.0質量%であることができる。ZnOの量は例えば少なくとも1.0質量%、少なくとも2.0質量%、または少なくとも3.0質量%であることができる。ZnOの量は例えば最大10.0質量%、最大8.0質量%、最大6.0質量%、または最大5.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、ZnOの量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはZnO不含ですらある。
【0036】
本発明のガラスはLa23を含み得る。好ましくは、本発明のガラス中のLa23の量は0~20.0質量%、例えば1.0~15.0質量%、2.0~12.0質量%、または5.0~10.0質量%である。La23の量は例えば少なくとも1.0質量%、少なくとも2.0質量%、または少なくとも5.0質量%であることができる。La23の量は例えば最大20.0質量%、最大15.0質量%、最大12.0質量%、または最大10.0質量%であることができる。いくつかの実施態様において、La23の量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはLa23不含ですらある。
【0037】
本発明のガラスはTiO2を含み得る。TiO2の量は例えば0~5.0質量%、0.5~4.0質量%、1.0~3.0質量%、または1.5~2.5質量%であることができる。TiO2の量は例えば少なくとも0.5質量%、少なくとも1.0質量%、または少なくとも1.5質量%であることができる。TiO2の量は例えば最大5.0質量%、最大4.0質量%、最大3.0質量%、または最大2.5質量%であることができる。いくつかの実施態様において、TiO2の量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはTiO2不含ですらある。
【0038】
清澄剤、例えばClまたはSb23が使用され得る。As23は好ましくは回避される。
【0039】
本発明のガラスはSb23を含み得る。本発明のガラス中のSb23の量は例えば0~1.0質量%、例えば0.1~0.7質量%、または0.2~0.5質量%であることができる。Sb23の量は例えば少なくとも0.1質量%、または少なくとも0.2質量%であることができる。Sb23の量は例えば最大1.0質量%、最大0.7質量%、または最大0.5質量%であることができる。いくつかの実施態様において、Sb23の量は最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはSb23不含ですらある。
【0040】
本発明のガラスはClを含み得る。本発明の1つの態様において、Clは特に好ましい清澄剤である。1つの態様において、Clは含水率を制御するために、従ってNIR透過率を、特に本発明の関連する波長範囲、例えば1500~1600nmの範囲、例えば1550nmの波長で制御するために使用され得る。水は、望ましくない吸収帯ゆえにNIR透過率に悪影響を及ぼしかねない。さらには、水は特に冷却の際にガラス中で望ましくない気泡を引き起こすこともある。従って、他の清澄剤を用いた清澄は、水が引き起こす気泡を回避することにおいては効果的ではなく、なぜなら気泡は清澄段階の後に形成するからである。対照的に、Cl清澄はガラスからのプロトン(H+)を除去し、従って含水率を低減するので、清澄段階後、冷却の際に水が引き起こす気泡の形成を著しく低減する。
【0041】
好ましくは、本発明のガラス中のClの量は0~3.0質量%、例えば0.1~2.0質量%、0.2~1.0質量%、または0.3~0.5質量%である。Clの量は例えば少なくとも0.1質量%、少なくとも0.2質量%、または少なくとも0.3質量%であることができる。Clの量は例えば最大3.0質量%、最大2.0質量%、最大1.0質量%、または最大0.5質量%であることができる。いくつかの実施態様において、Clの量は最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスはCl不含ですらある。
【0042】
本発明のガラスは、特に光学特性、例えば透過率を適合させるためにMnO2およびCr23を含む。好ましくは、前記ガラスは他の着色成分、例えばNiOおよびCoO不含である。
【0043】
好ましくは、本発明のガラス中のMnO2の量は0.2~5.0質量%、例えば0.3~4.5質量%、0.5~4.0質量%、または1.0~3.5質量%である。MnO2の量は例えば少なくとも0.2質量%、少なくとも0.3質量%、少なくとも0.5質量%、または少なくとも1.0質量%であることができる。MnO2の量は例えば最大5.0質量%、最大4.5質量%、最大4.0質量%、または最大3.5質量%であることができる。
【0044】
1つの実施態様において、本発明のガラス中のMnO2の量は0.2~3.0質量%、例えば0.3~2.5質量%、0.5~2.0質量%、または1.0~1.7質量%である。MnO2の量は例えば少なくとも0.2質量%、少なくとも0.3質量%、少なくとも0.5質量%、または少なくとも1.0質量%であることができる。MnO2の量は例えば最大3.0質量%、最大2.5質量%、最大2.0質量%、または最大1.7質量%であることができる。
【0045】
1つの実施態様において、本発明のガラス中のMnO2の量は1.0~5.0質量%、例えば1.5~4.5質量%、2.0~4.0質量%、または2.5~3.5質量%である。MnO2の量は例えば少なくとも1.0質量%、少なくとも1.5質量%、少なくとも2.0質量%、または少なくとも2.5質量%であることができる。MnO2の量は例えば最大5.0質量%、最大4.5質量%、最大4.0質量%、または最大3.5質量%であることができる。
【0046】
好ましくは、本発明のガラス中のCr23の量は0.05~3.0質量%、例えば0.1~2.5質量%、0.15~2.0質量%、または0.2~1.5質量%である。Cr23の量は例えば少なくとも0.05質量%、少なくとも0.1質量%、少なくとも0.15質量%、または少なくとも0.2質量%であることができる。Cr23の量は例えば最大3.0質量%、最大2.5質量%、最大2.0質量%、または最大1.5質量%であることができる。
【0047】
1つの実施態様において、本発明のガラス中のCr23の量は0.05~2.0質量%、例えば0.1~1.5質量%、0.15~1.0質量%、または0.2~0.8質量%である。Cr23の量は例えば少なくとも0.05質量%、少なくとも0.1質量%、少なくとも0.15質量%、または少なくとも0.2質量%であることができる。Cr23の量は例えば最大2.0質量%、最大1.5質量%、最大1.0質量%、または最大0.8質量%であることができる。
【0048】
1つの実施態様において、本発明のガラス中のCr23の量は0.2~3.0質量%、例えば0.5~2.5質量%、0.7~2.0質量%、または1.0~1.5質量%である。Cr23の量は例えば少なくとも0.2質量%、少なくとも0.5質量%、少なくとも0.7質量%、または少なくとも1.0質量%であることができる。Cr23の量は例えば最大3.0質量%、最大2.5質量%、最大2.0質量%、または最大1.5質量%であることができる。
【0049】
MnO2およびCr23の量の合計は例えば0.3~8.0質量%、0.4~7.0質量%、0.5~6.0質量%、または0.6~5.5質量%であることができる。MnO2およびCr23の量の合計は例えば少なくとも0.3質量%、少なくとも0.4質量%、少なくとも0.5質量%、または少なくとも0.6質量%であることができる。MnO2およびCr23の量の合計は例えば最大8.0質量%、最大7.0質量%、最大6.0質量%、または最大5.5質量%であることができる。
【0050】
1つの実施態様において、MnO2およびCr23の量の合計は例えば0.3~3.5質量%、0.4~3.0質量%、0.5~2.5質量%、または0.6~2.3質量%であることができる。MnO2およびCr23の量の合計は例えば少なくとも0.3質量%、少なくとも0.4質量%、少なくとも0.5質量%、または少なくとも0.6質量%であることができる。MnO2およびCr23の量の合計は例えば最大3.5質量%、最大3.0質量%、最大2.5質量%、または最大2.3質量%であることができる。
【0051】
1つの実施態様において、MnO2およびCr23の量の合計は例えば2.7~8.0質量%、3.0~7.0質量%、3.2~6.0質量%、または3.5~5.5質量%であることができる。MnO2およびCr23の量の合計は例えば少なくとも2.7質量%、少なくとも3.0質量%、少なくとも3.2質量%、または少なくとも3.5質量%であることができる。MnO2およびCr23の量の合計は例えば最大8.0質量%、最大7.0質量%、最大6.0質量%、または最大5.5質量%であることができる。
【0052】
MnO2の割合(質量%)とCr23の割合(質量%)との比は例えば1.5:1~12.5:1、1.6:1~10.0:1、1.7:1~7.5:1、1.8:1~5.0:1、1.9:1~4.0:1、1.95:1~3.5:1、または2.0:1~3.0:1の範囲であることができる。MnO2の割合(質量%)とCr23の割合(質量%)との比は例えば少なくとも1.5:1、少なくとも1.6:1、少なくとも1.7:1、少なくとも1.8:1、少なくとも1.9:1、少なくとも1.95:1、または少なくとも2.0:1であることができる。MnO2の割合(質量%)とCr23の割合(質量%)との比は例えば最大12.5:1、最大10.0:1、最大7.5:1、最大5.0:1、最大4.0:1、最大3.5:1、または最大3.0:1であることができる。
【0053】
PbOは、特に自動車分野における用途のためには、好ましくは回避される成分である。好ましくは、本発明のガラス中のPbOの量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスは最も好ましくはPbO不含である。
【0054】
25は、特に自動車分野における用途のためには、好ましくは回避される成分である。好ましくは、本発明のガラス中のV25の量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスは最も好ましくはV25不含である。
【0055】
CdOは、特に自動車分野における用途のためには、好ましくは回避される成分である。好ましくは、本発明のガラス中のCdOの量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスは最も好ましくはCdO不含である。
【0056】
好ましくは、本発明のガラス中のZrO2の量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスは最も好ましくはZrO2不含である。
【0057】
好ましくは、本発明のガラス中のSrOの量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスは最も好ましくはSrO不含である。
【0058】
好ましくは、本発明のガラス中のFe23の量は最大1.0質量%、最大0.5質量%、最大0.2質量%、最大0.1質量%であるか、または前記ガラスは最も好ましくはFe23不含である。
【0059】
本明細書において、ガラスが何らかの成分不含である、またはそれらが特定の成分を含有しないと記載される場合、これは、この成分がガラス中に不純物として存在することのみが許容されることを意味する。これは、実質的な量で添加されないことを意味する。実質的ではない量とは、300(質量)ppm未満、好ましくは200(質量)ppm未満、より好ましくは100(質量)ppm未満、特に好ましくは50(質量)ppm未満、および最も好ましくは10(質量)ppm未満の量である。
【0060】
好ましくは、本発明のガラスは少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、より好ましくは少なくとも98質量%、より好ましくは少なくとも99質量%、さらにより好ましくは少なくとも99.5質量%が、SiO2、MnO2、Cr23、1つ以上のアルカリ金属酸化物Li2O、Na2O、K2O、および以下の成分: Al23、B23、BaO、CaO、MgO、ZnO、La23、TiO2、Cl、Sb23の1つ以上からなる。
【0061】
1つの態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表3】
【0062】
1つの態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表4】
【0063】
1つの態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表5】
【0064】
1つの態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表6】
【0065】
1つの態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表7】
【0066】
1つの態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表8】
【0067】
1つの態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表9】
【0068】
1つの態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表10】
【0069】
1つの態様において、本発明のガラスは以下の成分を(質量%で)含む:
【表11】
【0070】
本発明のガラスは好ましくはLiDARシステム用の光学窓として使用される。そのような光学窓は、システムの光電子部品についての環境の影響に対する保護をもたらす。LiDARシステムの種類に応じて、そのような光学窓は平面または曲がっていることがある。エミッタと検出器とが典型的には静止した環状の窓内で回転する、回転LiDARシステムも一般に使用される。
【0071】
LiDARシステムは一般に、NIRスペクトル、特に780nmを上回る、特に1000nmを上回る、例えば1250~1350nmまたは1500~1600nmの波長を有するNIRスペクトルにおけるレーザー光を発することによって機能する。従って、そのような用途のためには、レーザー光を通すためにガラスがNIR範囲において高い透過率を有することが重要である。他方で、ガラスの後ろに配置される構造の視認性を防ぐために、ガラスは可視光に対しては低い透過率を有するべきである。
【0072】
そのような光学的特性を、可視光の透過を遮断するコーティングを用いて達成するための試みがなされてきた。しかしながら、コーティングは、特に自動車セクタにおいては安全上のリスクがある。さらには、丸みをつけて成型されたガラスシートのコーティングは煩雑であり、且つ光の遮断の角度依存性ゆえに高いコストを伴う。また、多くのコーティングはあまり有効ではない。従って、ガラス自体で、つまり、いかなる遮光コーティングも必要とすることなく、可視範囲における低い透過率およびNIR範囲における高い透過率の所望の特性を達成することが有利である。
【0073】
さらに、中性的な黒色の印象が望まれることが多いが、先行技術では十分には達成されていない。特に、ガラス製品の重量を低下させるために、比較的低いガラス厚で中性的な黒色の印象を達成することが望まれてきた。
【0074】
重量のさらなる低下を低密度のガラスを使用することによって達成することもできる。好ましくは、本発明のガラスは低い密度を有する。
【0075】
本発明のガラスの屈折率ndは、好ましくは1.50~1.55、例えば1.50~1.53、例えば1.50~1.51、または1.52~1.53の範囲である。本発明のガラスの屈折率ndは例えば少なくとも1.50、少なくとも1.51、または少なくとも1.52であることができる。本発明のガラスの屈折率ndは例えば最大1.55、最大1.54、最大1.53、最大1.52、または最大1.51であることができる。屈折率ndは好ましくは着色成分を有さない参照用ガラスを使用して測定される。
【0076】
本発明のガラスはいくつかの態様において非常に有利である。それらは有利なスペクトル特性、例えば可視範囲における低い透過率、NIR範囲における高い透過率、および特定の用途については充分に中性的な黒色の印象を有する。さらには、それらは非常に良好な化学的耐性および耐候性および耐ソラリゼーション性を有し、そのことにより、それらは屋外用途のために特に有用になる。さらには、前記ガラスは良好な溶融性を有し、且つそれらは熱間成型法によって良好に加工され得る。後者はガラスの長い粘度プロファイルに起因する。これは、温度が異なっても、粘度があまり大きくは変わらないことを意味する。長い粘度プロファイルを有するガラスは熱間成型のために有利であり、なぜならそれらのガラスは加工され得る温度範囲がより広いからである。従って、該方法は、まだ熱いガラスをできるだけ早く加工することを目指さなくてよい。
【0077】
本開示内で「透過率」との用語に言及される場合、特段記載されない限り、これは全透過率、つまり、吸収損失と反射損失との両方を考慮に入れて測定された透過率に関する。他方で、内部透過率を扱う場合、これは本願内では「内部透過率」を参照することによって明確に示される。内部透過率は、全透過率とPd値との比として決定される。前記Pd値は反射損失の尺度を示し、且つ屈折率ndに基づき以下の式を使用して容易に計算できる:
【数1】
【0078】
例えば屈折率ndが1.515であるガラスについて、Pd値は約0.92である。これは、100%の内部透過率が、約92%の全透過率をもたらすことを意味する。とりわけ、反射損失は、反射防止コーティング(ARコーティング)を使用して低減され得るので、全透過率は92%より上に高められ得る。しかしながら、本開示内では、「透過率」との用語は、ARコーティングを有さないガラス試料の全透過率に関する。
【0079】
好ましくは、本発明のガラスは0.911~0.925、より好ましくは0.915~0.924、例えば0.920~0.923、または0.916~0.919の範囲のPd値を有する。本発明のガラスは例えば少なくとも0.911、少なくとも0.912、少なくとも0.913、少なくとも0.914、少なくとも0.915、または少なくとも0.916のPd値を有し得る。本発明のガラスは例えば最大0.925、最大0.924、最大0.923、最大0.922、最大0.921、最大0.920、または最大0.919のPd値を有し得る。
【0080】
上述のとおり、本発明のガラスは可視範囲において低い透過率を有する。
【0081】
好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均透過率最大10%、より好ましくは最大5%、より好ましくは最大1%、より好ましくは最大0.1%を有する。この平均透過率を決定するために、250nmから出発し、1nm刻みで700nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は250nm、251nm、252nm、…、698nm、699nmおよび700nmで測定される。全体で、透過率は250nm~700nmの451個の異なる波長で測定される。次いで、250nm~700nmの範囲の平均透過率を、測定された451個の透過率値の算術平均値として決定する。
【0082】
本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均透過率少なくとも10-12%、少なくとも10-10%、少なくとも10-8%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について10-12%~10%、または10-12%~5%、または10-12%~1%、または10-12%~0.1%の範囲の平均透過率を有し得る。
【0083】
いくつかの好ましい実施態様において、本発明のガラスは2mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均透過率最大0.1%、より好ましくは最大0.01%、より好ましくは最大0.001%、より好ましくは最大0.0001%を有する。この平均透過率を決定するために、250nmから出発し、1nm刻みで700nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は250nm、251nm、252nm、…、698nm、699nmおよび700nmで測定される。全体で、透過率は250nm~700nmの451個の異なる波長で測定される。次いで、250nm~700nmの範囲の平均透過率を、測定された451個の透過率値の平均値として決定する。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均透過率少なくとも10-12%、または少なくとも10-10%、または少なくとも10-8%、または少なくとも0.00001%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について10-12%~0.1%、または10-10%~0.1、または10-8%~0.1%、または0.00001%~0.1%、0.00001%~0.01%、0.00001%~0.001%、または0.00001%~0.0001%の範囲の平均透過率を有し得る。
【0084】
250nm~700nmの波長範囲の最大透過率が比較的低いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大透過率最大15.0%、より好ましくは最大10.0%、より好ましくは最大1.0%、より好ましくは最大0.5%、より好ましくは最大0.2%、より好ましくは最大0.1%、より好ましくは最大0.01%を有する。最大透過率を決定するために、250nmから出発し、1nm刻みで700nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は250nm、251nm、252nm、…、698nm、699nmおよび700nmで測定される。全体で、透過率は250nm~700nmの451個の異なる波長で測定される。次いで、250nm~700nmの範囲の最大透過率を、測定された451個の透過率値の最大値として決定する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大透過率少なくとも0.0001%、または少なくとも0.001%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について0.0001%~15.0%、0.0001%~10.0%、0.0001%~1.0%、0.0001%~0.5%、0.001%~0.2%、0.001%~0.1%、または0.001%~0.01%の範囲の最大透過率を有し得る。
【0085】
250nm~700nmの波長範囲の最大透過率が比較的低いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大透過率最大15.0%、より好ましくは最大10.0%、より好ましくは最大1.0%、より好ましくは最大0.5%、より好ましくは最大0.2%、より好ましくは最大0.1%、より好ましくは最大0.01%を有する。最大透過率を決定するために、250nmから出発し、1nm刻みで700nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は250nm、251nm、252nm、…、698nm、699nmおよび700nmで測定される。全体で、透過率は250nm~700nmの451個の異なる波長で測定される。次いで、250nm~700nmの範囲の最大透過率を、測定された451個の透過率値の最大値として決定する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大透過率少なくとも0.0001%、または少なくとも0.001%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について0.0001%~5.0%、0.0001%~2.0%、0.0001%~1.0%、0.0001%~0.5%、0.001%~0.2%、0.001%~0.1%、または0.001%~0.01%の範囲の最大透過率を有し得る。
【0086】
本発明のガラスは可視波長範囲における低い透過率を有するだけでなく、NIR波長範囲における高い透過率も有する。特に関連するのは、1250~1350nm、および/または1500~1600nmの範囲における透過率である。
【0087】
好ましくは、本発明のガラスは2mmの厚さで、1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての平均透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%を有する。この平均透過率を決定するために、1250nmから出発し、1nm刻みで1350nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は1250nm、1251nm、1252nm、…、1348nm、1349nmおよび1350nmで測定される。全体で、透過率は1250nm~1350nmの101個の異なる波長で測定される。次いで、1250nm~1350nmの範囲の平均透過率を、測定された101個の透過率値の平均値として決定する。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての平均透過率最大90%、または最大88%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光について50%~90%、55%~90%、60%~90%、65%~90%、70%~88%、75%~88%、80%~88%、または85%~88%の範囲の平均透過率を有し得る。
【0088】
1250nm~1350nmの波長範囲の最小透過率が比較的高いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは2mmの厚さで、1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての最小透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%を有する。最小透過率を決定するために、1250nmから出発し、1nm刻みで1350nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は1250nm、1251nm、1252nm、…、1348nm、1349nmおよび1350nmで測定される。全体で、透過率は1250nm~1350nmの101個の異なる波長で測定される。次いで、1250nm~1300nmの範囲の最小透過率を、測定された101個の透過率値の最小値として決定する。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての最小透過率最大90%、または最大88%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光について50%~90%、55%~90%、60%~90%、65%~90%、70%~88%、75%~88%、80%~88%、または85%~88%の範囲の最小透過率を有し得る。
【0089】
好ましくは、本発明のガラスは2mmの厚さで、1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての平均透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%を有する。この平均透過率を決定するために、1500nmから出発し、1nm刻みで1600nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は1500nm、1501nm、1502nm、…、1598nm、1599nmおよび1600nmで測定される。全体で、透過率は1500nm~1600nmの101個の異なる波長で測定される。次いで、1500nm~1600nmの範囲の平均透過率を、測定された101個の透過率値の平均値として決定する。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての平均透過率最大92.5%、最大92.0%、または最大91.5%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光について50%~92.5%、55%~92.5%、60%~92.5%、65%~92.5%、70%~92.0%、75%~92.0%、80%~92.0%、85%~92.0%、87%~91.5%、88%~91.5%、89%~91.5%、または90%~91.5%の範囲の平均透過率を有し得る。
【0090】
1500nm~1600nmの波長範囲の最小透過率が比較的高いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは2mmの厚さで、1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての最小透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%を有する。最小透過率を決定するために、1500nmから出発し、1nm刻みで1600nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は1500nm、1501nm、1502nm、…、1598nm、1599nmおよび1600nmで測定される。全体で、透過率は1500nm~1600nmの101個の異なる波長で測定される。次いで、1500nm~1600nmの範囲の最小透過率を、測定された101個の透過率値の最小値として決定する。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての最小透過率最大92.5%、最大92.0%、最大91.5%、または最大91%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光について50%~92.5%、55%~92.5%、60%~92.5%、65%~92.0%、70%~92.0%、75%~92.0%、80%~91.5%、85%~91.5%、87%~91.5%、88%~91%、または89%~91%の範囲の最小透過率を有し得る。
【0091】
上述のとおり、本発明のガラスは可視範囲において低い透過率を有する。
【0092】
いくつかの実施態様において、本発明のガラスは、例えばガラスの背後に位置する構造の目視での調査を回避するために、可視範囲において非常に低い透過率を有する。
【0093】
より厚い厚さを有するガラスが、それらのより高い機械的安定性に関して有利であるいくつかの用途においては、比較的少量の着色剤を含む本発明のガラスを使用することが有益であることがある。そのようなガラスは好ましくは、より厚い厚さであってもNIR範囲において非常に高い透過率を有する。そのようなガラスは可視範囲においても、より多量の着色剤を含むガラスよりも高い透過率を有し得る。しかしながらこれは、比較的厚い厚さを有するガラスがNIR範囲において非常に高い透過率を有するべき用途において、および/または長距離Lidarにおける用途については、許容され得る。
【0094】
いくつかの実施態様において、本発明のガラスが4mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均透過率最大10-4%、より好ましくは最大10-5%、より好ましくは最大10-6%、より好ましくは最大10-7%を有することが好ましい。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均透過率少なくとも10-12%、少なくとも10-11%、または少なくとも10-10%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について10-12%~10-4%、10-12%~10-5%、10-11%~10-6%、または10-10%~10-7%の範囲の平均透過率を有し得る。
【0095】
250nm~700nmの波長範囲の最大透過率が比較的低いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大透過率最大10-2%、より好ましくは最大10-3%、より好ましくは最大10-4%、より好ましくは最大10-7%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大透過率少なくとも10-10%、少なくとも10-9%、または少なくとも10-8%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について10-10%~10-2%、10-10%~10-3%、10-9%~10-4%、または10-8%~10-7%の範囲の最大透過率を有し得る。
【0096】
本発明のガラスは可視波長範囲における低い透過率を有するだけでなく、NIR波長範囲における高い透過率も有する。特に関連するのは、1250~1350nm、および/または1500~1600nmの範囲における透過率である。
【0097】
好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての平均透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての平均透過率最大90%、最大85%、最大84%、または最大83%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光について50%~90%、55%~90%、60%~85%、65%~85%、70%~84%、75%~84%、または80%~83%の範囲の平均透過率を有し得る。
【0098】
1250nm~1350nmの波長範囲の最小透過率が比較的高いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての最小透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、または少なくとも79%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての最小透過率最大90%、最大85%、最大82%、または最大81%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光について50%~90%、55%~90%、60%~90%、65%~85%、70%~85%、75%~85%、76%~82%、77%~82%、78%~81%、または79%~81%の範囲の最小透過率を有し得る。
【0099】
好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての平均透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての平均透過率最大91.0%、最大90.5%、最大90.0%、または最大89.5%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光について50%~91.0%、55%~91.0%、60%~90.5%、65%~90.5%、70%~90.5%、75%~90.0%、80%~90.0%、85%~90.0%、87%~89.5%、または88%~89.5%の範囲の平均透過率を有し得る。
【0100】
1500nm~1600nmの波長範囲の最小透過率が比較的高いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての最小透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも84%、または少なくとも86%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての最小透過率最大91%、最大90%、最大89%、または最大88%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光について50%~91%、55%~91%、60%~91%、65%~90%、70%~90%、75%~90%、80%~89%、82%~89%、84%~88%、または86%~88%の範囲の最小透過率を有し得る。
【0101】
好ましくは、本発明のガラスは、試料厚2mm、より好ましくは試料厚4mmで、波長1550nmでの内部透過率少なくとも94.0%、例えば94.0%超、例えば少なくとも94.5%、少なくとも95.0%、少なくとも95.5%、少なくとも96.0%、少なくとも96.5%、少なくとも97.0%、少なくとも97.5%、または少なくとも98.0%を有する。
【0102】
上述のとおり、本発明のガラスは可視範囲において低い内部透過率を有する。
【0103】
いくつかの好ましい実施態様において、本発明のガラスは4mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率最大10%、または最大5%、または最大3%、または最大1%、より好ましくは最大0.1%、より好ましくは最大0.01%、より好ましくは最大0.001%を有する。この平均内部透過率を決定するために、250nmから出発し、1nm刻みで700nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は250nm、251nm、252nm、…、698nm、699nmおよび700nmで測定される。全体で、透過率は250nm~700nmの451個の異なる波長で測定される。内部透過率は、上述のとおり、測定された透過率とPd値との比として決定される。次いで、250nm~700nmの範囲の平均内部透過率を、測定された451個の内部透過率値の平均値として決定する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率少なくとも10-12%、または少なくとも10-10%、または少なくとも10-8%、または少なくとも0.00001%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について10-12%~10%、または10-10%~10%、または10-8%~10%、または0.00001%~10%、0.00001%~1%、0.00001%~0.1%、または0.00001%~0.01%の範囲の平均内部透過率を有し得る。
【0104】
好ましくは、本発明のガラスは2mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率最大0.1%、より好ましくは最大0.01%、より好ましくは最大0.001%、より好ましくは最大0.0001%を有する。この平均内部透過率を決定するために、250nmから出発し、1nm刻みで700nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は250nm、251nm、252nm、…、698nm、699nmおよび700nmで測定される。全体で、透過率は250nm~700nmの451個の異なる波長で測定される。内部透過率は、上述のとおり、測定された透過率とPd値との比として決定される。次いで、250nm~700nmの範囲の平均内部透過率を、測定された451個の内部透過率値の平均値として決定する。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率少なくとも0.00001%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について0.00001%~0.1%、0.00001%~0.01%、0.00001%~0.001%、または0.00001%~0.0001%の範囲の平均内部透過率を有し得る。
【0105】
250nm~700nmの波長範囲の最大内部透過率が比較的低いことも好ましい。
【0106】
いくつかの好ましい実施態様において、本発明のガラスは4mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大内部透過率最大15.0%、より好ましくは最大10.0%、より好ましくは最大5.0%、より好ましくは最大2%、より好ましくは最大1.5%、より好ましくは最大1%、より好ましくは最大0.5%を有する。最大内部透過率を決定するために、250nmから出発し、1nm刻みで700nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は250nm、251nm、252nm、…、698nm、699nmおよび700nmで測定される。全体で、透過率は250nm~700nmの451個の異なる波長で測定される。内部透過率は、上述のとおり、測定された透過率とPd値との比として決定される。次いで、250nm~700nmの範囲の最大内部透過率を、測定された451個の内部透過率値の最大値として決定する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大内部透過率少なくとも10-12%、または少なくとも10-10%、または少なくとも10-8%、または少なくとも10-6%、または少なくとも0.0001%、または少なくとも0.001%、または少なくとも0.01%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について10-12%~15%、10-10%~10%、10-8%~5%、10-6%~2%、0.0001%~1.5%、0.001%~1%、0.01%~1.0%、0.0001%~0.5%、0.001%~1%、0.001%~0.5%、または0.001%~0.1%の範囲の最大内部透過率を有し得る。
【0107】
好ましくは、本発明のガラスは2mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大内部透過率最大5.0%、より好ましくは最大2.0%、より好ましくは最大1.0%、より好ましくは最大0.5%、より好ましくは最大0.2%、より好ましくは最大0.1%、より好ましくは最大0.01%を有する。最大内部透過率を決定するために、250nmから出発し、1nm刻みで700nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は250nm、251nm、252nm、…、698nm、699nmおよび700nmで測定される。全体で、透過率は250nm~700nmの451個の異なる波長で測定される。内部透過率は、上述のとおり、測定された透過率とPd値との比として決定される。次いで、250nm~700nmの範囲の最大内部透過率を、測定された451個の内部透過率値の最大値として決定する。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大内部透過率少なくとも0.0001%、または少なくとも0.001%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について0.0001%~5.0%、0.0001%~2.0%、0.0001%~1.0%、0.0001%~0.5%、0.001%~0.2%、0.001%~0.1%、または0.001%~0.01%の範囲の最大内部透過率を有し得る。
【0108】
本発明のガラスは可視波長範囲における低い内部透過率を有するだけでなく、NIR波長範囲における高い内部透過率も有する。特に関連するのは、1250~1350nm、および/または1500~1600nmの範囲における透過率である。
【0109】
好ましくは、本発明のガラスは2mmの厚さで、1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%を有する。この平均内部透過率を決定するために、1250nmから出発し、1nm刻みで1350nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は1250nm、1251nm、1252nm、…、1348nm、1349nmおよび1350nmで測定される。全体で、透過率は1250nm~1350nmの101個の異なる波長で測定される。内部透過率は、上述のとおり、測定された透過率とPd値との比として決定される。次いで、1250nm~1350nmの範囲の平均内部透過率を、測定された101個の内部透過率値の平均値として決定する。本発明のガラスは厚さ2mmで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率最大97%、最大96%、または最大95%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光について50%~97%、55%~97%、60%~97%、65%~97%、70%~97%、75%~96%、80%~96%、85%~96%、88%~96%、90%~96%、91%~95%、92%~95%、93%~95%、または94%~95%の範囲の平均内部透過率を有し得る。
【0110】
1250nm~1350nmの波長範囲の最小内部透過率が比較的高いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは2mmの厚さで、1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての最小内部透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%を有する。最小内部透過率を決定するために、1250nmから出発し、1nm刻みで1350nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は1250nm、1251nm、1252nm、…、1348nm、1349nmおよび1350nmで測定される。全体で、透過率は1250nm~1350nmの101個の異なる波長で測定される。内部透過率は、上述のとおり、測定された透過率とPd値との比として決定される。次いで、1250nm~1350nmの範囲の最小内部透過率を、測定された101個の内部透過率値の最小値として決定する。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての最小内部透過率最大97%、最大96%、最大95%、または最大94%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光について50%~97%、55%~97%、60%~97%、65%~97%、70%~96%、75%~96%、80%~96%、85%~95%、88%~95%、90%~95%、91%~94%、92%~94%、または93%~94%の範囲の最小内部透過率を有し得る。
【0111】
好ましくは、本発明のガラスは2mmの厚さで、1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%を有する。この平均内部透過率を決定するために、1500nmから出発し、1nm刻みで1600nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は1500nm、1501nm、1502nm、…、1598nm、1599nmおよび1600nmで測定される。全体で、透過率は1500nm~1600nmの101個の異なる波長で測定される。内部透過率は、上述のとおり、測定された透過率とPd値との比として決定される。次いで、1500nm~1600nmの範囲の平均内部透過率を、測定された101個の内部透過率値の平均値として決定する。本発明のガラスは厚さ2mmで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率最大99.5%、最大99.0%、または最大98.5%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光について50%~99.5%、55%~99.5%、60%~99.5%、65%~99.5%、70%~99.5%、75%~99.5%、80%~99.0%、85%~99.0%、88%~99.0%、90%~99.0%、91%~99.0%、92%~99.0%、93%~99.0%、94%~98.5%、95%~98.5%、96%~98.5%、97%~98.5%、または98%~98.5%の範囲の平均内部透過率を有し得る。
【0112】
1500nm~1600nmの波長範囲の最小内部透過率が比較的高いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは2mmの厚さで、1500nm~1600nmの範囲の波長の光について最小内部透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%を有する。最小内部透過率を決定するために、1500nmから出発し、1nm刻みで1600nmまでのあらゆる波長について透過率を測定する。従って、透過率は1500nm、1501nm、1502nm、…、1598nm、1599nmおよび1600nmで測定される。全体で、透過率は1500nm~1600nmの101個の異なる波長で測定される。内部透過率は、上述のとおり、測定された透過率とPd値との比として決定される。次いで、1500nm~1600nmの範囲の最小内部透過率を、測定された101個の内部透過率値の最小値として決定する。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての最小内部透過率最大99.5%、最大99.0%、最大98.5%、または最大98.0%を有し得る。本発明のガラスは2mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光について50%~99.5%、55%~99.5%、60%~99.5%、65%~99.5%、70%~99.5%、75%~99.0%、80%~99.0%、85%~99.0%、88%~99.0%、90%~98.5%、91%~98.5%、92%~98.5%、93%~98.5%、94%~98.0%、95%~98.0%、96%~98.0%、または97%~98.0%の範囲の最小内部透過率を有し得る。
【0113】
上述のとおり、本発明のガラスは可視範囲において低い内部透過率を有する。
【0114】
好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均透過率最大4%、より好ましくは最大10-4%、より好ましくは最大10-5%、より好ましくは最大10-6%、より好ましくは最大10-7%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率少なくとも10-12%、少なくとも10-11%、または少なくとも10-10%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について10-12%~10-4%、10-12%~10-5%、10-11%~10-6%、または10-10%~10-7%の範囲の平均内部透過率を有し得る。
【0115】
250nm~700nmの波長範囲の最大内部透過率が比較的低いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大内部透過率最大10-2%、より好ましくは最大10-3%、より好ましくは最大10-4%、より好ましくは最大10-7%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光についての最大内部透過率少なくとも10-10%、少なくとも10-9%、または少なくとも10-8%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば250nm~700nmの範囲の波長の光について10-10%~10-2%、10-10%~10-3%、10-9%~10-4%、または10-8%~10-7%の範囲の最大内部透過率を有し得る。
【0116】
本発明のガラスは可視波長範囲における低い内部透過率を有するだけでなく、NIR波長範囲における高い内部透過率も有する。特に関連するのは、1250~1350nm、および/または1500~1600nmの範囲における内部透過率である。
【0117】
好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率最大98%、最大95%、最大92%、または最大90%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光について50%~98%、55%~98%、60%~98%、65%~95%、70%~95%、75%~95%、80%~92%、85%~92%、86%~92%、87%~90%、または88%~90%の範囲の平均内部透過率を有し得る。
【0118】
1250nm~1350nmの波長範囲の最小内部透過率が比較的高いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての最小内部透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも82%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光についての最小内部透過率最大98%、最大95%、最大92%、最大90%、または最大88%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1250nm~1350nmの範囲の波長の光について50%~98%、55%~98%、60%~95%、65%~95%、70%~92%、75%~92%、80%~90%、82%~90%、85%~88%、または86%~88%の範囲の最小内部透過率を有し得る。
【0119】
好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも95%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての平均内部透過率最大99%、最大98%、最大97%、または最大96%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光について50%~99%、55%~99%、60%~99%、65%~98%、70%~98%、75%~98%、80%~97%、85%~97%、90%~97%、92%~96%、または95%~96%の範囲の平均内部透過率を有し得る。
【0120】
1500nm~1600nmの波長範囲の最小内部透過率が比較的高いことも好ましい。好ましくは、本発明のガラスは4mmの厚さで、1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての最小内部透過率少なくとも50%、より好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも94%を有する。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光についての最小内部透過率最大99%、最大98%、最大97%、最大96%、または最大95%を有し得る。本発明のガラスは4mmの厚さで、例えば1500nm~1600nmの範囲の波長の光について50%~99%、55%~99%、60%~99%、65%~98%、70%~98%、75%~97%、80%~97%、85%~96%、90%~96%、92%~95%、または94%~95%の範囲の最小内部透過率を有し得る。
【0121】
本発明は、本発明のガラスを含む、好ましくは本発明のガラスからなるガラス物品にも関する。好ましくは、前記ガラス物品はバンドパスフィルタである。好ましくは、前記ガラス物品は光学部品、例えば光学窓、特にLiDARシステム用の光学窓である。好ましくは、前記ガラス物品は1.0~7.0mm、より好ましくは2.0~6.0mm、より好ましくは3.0~5.0mm、例えば3.5~4.5mmの範囲、または約4.0mm厚さを有する。前記の厚さは例えば少なくとも1.0mm、少なくとも2.0mm、少なくとも3.0mm、少なくとも3.5mm、または少なくとも4.0mmであることができる。前記の厚さは例えば最大7.0mm、最大6.0mm、最大5.0mm、最大4.5mm、または最大4.0mmであることができる。
【0122】
本発明のガラス物品は特に少ない数の気泡を有し得る。気泡含有率は、ガラスの体積100cm3に対してmm2での気泡の全体の断面積によって特徴付けることができ、検出された個々の気泡の断面積の合計から、特にISO 12123:2018に準拠して計算される。ガラス中の包有物、例えば小石または結晶はいくつかの断面積において気泡として扱われる。直径が0.03mmを上回る気泡および包有物のみが評価に含まれる。本発明のガラス物品において、直径0.03mm以上の全ての気泡/包有物の全断面積は例えば、ガラスの体積100cm3あたり最大0.5mm2、好ましくは最大0.4mm2、好ましくは最大0.25mm2、特にガラスの体積100cm3あたり最大0.20mm2、ガラスの体積100cm3あたり最大0.15mm2、ガラスの体積100cm3あたり最大0.10mm2、ガラスの体積100cm3あたり最大0.05mm2、またはガラスの体積100cm3あたり最大0.03mm2であることができる。直径0.03mm以上の全ての気泡/包有物の全断面積は例えば、ガラスの体積100cm3あたり少なくとも0.001mm2、ガラスの体積100cm3あたり少なくとも0.005mm2、またはガラスの体積100cm3あたり少なくとも0.01mm2であることができる。直径0.03mm以上の全ての気泡/包有物の全断面積は例えば、ガラスの体積100cm3あたり0.001~0.5mm2、ガラスの体積100cm3あたり0.001~0.4mm2、ガラスの体積100cm3あたり0.001~0.25mm2、ガラスの体積100cm3あたり0.001~0.20mm2、ガラスの体積100cm3あたり0.005~0.15mm2、ガラスの体積100cm3あたり0.005~0.10mm2、ガラスの体積100cm3あたり0.01~0.05mm2、またはガラスの体積100cm3あたり0.01~0.03mm2の範囲であることができる。
【0123】
好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 719:2020-09のクラス1に準拠する耐加水分解性を有する。好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 720:1989-12のクラス1に準拠する耐加水分解性を有する。好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 695:1994-02のクラス2に準拠する、より好ましくはクラス1に準拠する耐アルカリ性を有する。好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN 12116:2001-03のクラス1に準拠する耐酸性を有する。好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 719:2020-09のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 720:1989-12のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 695:1994-02のクラス2に準拠する、より好ましくはクラス1に準拠する耐アルカリ性、および/またはDIN 12116:2001-03のクラス1に準拠する耐酸性を有する。
【0124】
好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 719:2020-09のクラス1に準拠し、且つDIN ISO 720:1989-12のクラス1に準拠する耐加水分解性を有する。好ましくは、本発明のガラスはDIN ISO 695:1994-02のクラス2に準拠する、より好ましくはクラス1に準拠する耐アルカリ性、およびDIN 12116:2001-03のクラス1に準拠する耐酸性を有する。
【0125】
好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 719:2020-09のクラス1に準拠する耐加水分解性、およびDIN ISO 695:1994-02のクラス2に準拠する、より好ましくはクラス1に準拠する耐アルカリ性を有する。好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 719:2020-09のクラス1に準拠する耐加水分解性、およびDIN 12116:2001-03のクラス1に準拠する耐酸性を有する。好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 719:2020-09のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 695:1994-02のクラス2に準拠する、より好ましくはクラス1に準拠する耐アルカリ性、およびDIN 12116:2001-03のクラス1に準拠する耐酸性を有する。
【0126】
好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 720:1989-12のクラス1に準拠する耐加水分解性、およびDIN ISO 695:1994-02のクラス2に準拠する、より好ましくはクラス1に準拠する耐アルカリ性を有する。好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 720:1989-12のクラス1に準拠する耐加水分解性、およびDIN 12116:2001-03のクラス1に準拠する耐酸性を有する。好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 720:1989-12のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 695:1994-02のクラス2に準拠する、より好ましくはクラス1に準拠する耐アルカリ性、およびDIN 12116:2001-03のクラス1に準拠する耐酸性を有する。
【0127】
好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 719:2020-09のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 720:1989-12のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 695:1994-02のクラス2に準拠する、より好ましくはクラス1に準拠する耐アルカリ性を有する。好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 719:2020-09のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 720:1989-12のクラス1に準拠する耐加水分解性、およびDIN 12116:2001-03のクラス1に準拠する耐酸性を有する。好ましくは、本発明のガラスおよび/またはガラス物品はDIN ISO 719:2020-09のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 720:1989-12のクラス1に準拠する耐加水分解性、DIN ISO 695:1994-02のクラス2に準拠する、より好ましくはクラス1に準拠する耐アルカリ性、およびDIN 12116:2001-03のクラス1に準拠する耐酸性を有する。
【0128】
好ましくは、本発明のガラス物品は、高い機械的耐性を有する。前記ガラス物品は参照厚3.8mmでDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験に、特に破壊せずに合格できる。例えば、前記ガラス物品は参照厚3.8mmでDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において最大5.0、最大4.5、最大4.0、最大3.5、最大3.0、最大2.5、または最大2.0の特性値を達成できる。DIN EN ISO 20567-1:2017-07に準拠する飛石試験における特性値は、試料の損傷面積に基づいて特定される。損傷面積が大きいほど、前記特性値は高くなる。本発明のガラス物品は参照厚3.8mmでDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において少なくとも0.5、少なくとも1.0、または少なくとも1.5の特性値を有し得る。本発明のガラス物品は参照厚3.8mmでDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において0.5~5.0、0.5~4.5、1.0~4.0、1.0~3.5、1.0~3.0、1.5~2.5、または1.5~2.0の範囲の特性値を有し得る。「方法A」との用語は、1.0±0.1barである試験圧力に関する。対照的に、DIN EN ISO 20567-1:2017-07の「方法B」における試験圧力は2.0±0.1barである。
【0129】
飛石試験のための正味の試料サイズは例えば80×80mm2であることができる。正味の試料サイズは、石の衝突に晒される試料の面積を示す。試料は一般には正味の試料サイズより大きく、なぜなら、それは石の衝突から試料の一部を保護する枠に差し込まれるからである。例えば試料が100×100mm2のサイズを有し、且つ枠幅10mmを有する枠に差し込まれる場合、生じる正味の試料サイズは80×80mm2である。
【0130】
DIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験における特性値を、ガラス物品の厚さに対して正規化して表すこともできる。例えば、ガラス物品はDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大1.30、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大1.15、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大1.00、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大0.85、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大0.70、またはガラス物品の厚さ1mmあたり最大0.55の特性値を有し得る。本発明のガラス物品はDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において、ガラス物品の厚さ1mmあたり少なくとも0.10、ガラス物品の厚さ1mmあたり少なくとも0.25、またはガラス物品の厚さ1mmあたり少なくとも0.35の特性値を有し得る。本発明のガラス物品はDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において、ガラス物品の厚さ1mmあたり0.10~1.30、ガラス物品の厚さ1mmあたり0.10~1.15、ガラス物品の厚さ1mmあたり0.25~1.00、ガラス物品の厚さ1mmあたり0.25~0.85、ガラス物品の厚さ1mmあたり0.35~0.70、またはガラス物品の厚さ1mmあたり0.35~0.55の範囲の特性値を有し得る。
【0131】
飛石試験の特に好ましい条件および設定を以下の表に要約する。
【0132】
【表12】
【0133】
飛石試験によって生成される全ての束縛されていない粒子は接着テープで除去されることができ、全質量損失を、接着テープで除去された全ての粒子の全質量として特定できる。全質量損失が低いことは、ガラス物品が優れた耐衝撃性を有することを示す。本発明のガラス物品は例えば、参照厚3.8mmでDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において最大500mg、最大250mg、最大200mg、最大150mg、最大100mg、または最大75mgの全質量損失を有し得る。本発明のガラス物品は例えば、参照厚3.8mmでDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、または少なくとも50mgの全質量損失を有し得る。本発明のガラス物品は例えば、参照厚3.8mmでDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において5~500mg、10~250mg、15~200mg、25~150mg、35~100mg、または50~75mgの範囲の全質量損失を有し得る。
【0134】
全質量損失を、ガラス物品の厚さに対して正規化して表すこともできる。本発明のガラス物品はDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において例えば、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大150mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大75mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大60mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大40mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大30mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり最大20mgの全質量損失を有し得る。本発明のガラス物品はDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において例えば、ガラス物品の厚さ1mmあたり少なくとも1.0mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり少なくとも2.5mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり少なくとも3.5mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり少なくとも6.5mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり少なくとも9.0mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり少なくとも12.5mgの全質量損失を有し得る。本発明のガラス物品はDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において例えば、ガラス物品の厚さ1mmあたり1.0~150mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり2.5~75mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり3.5~60mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり6.5~40mg、ガラス物品の厚さ1mmあたり9.0~30mg、またはガラス物品の厚さ1mmあたり12.5~20mgの範囲の全質量損失を有し得る。
【0135】
本発明によるガラス物品はLiDARおよび/または自動車用途における使用に適しており、従って何年間も日光に晒されることが多い。結果として、前記ガラス物品の光学特性はガラスにおけるソラリゼーション効果、つまり、ガラス物品における欠陥中心の吸収誘起生成によって悪影響されることがあり、それは適用波長での透過率の低減をもたらすことがある。本発明のいくつかの好ましい実施態様において、ガラス物品は高い耐ソラリゼーション性を有し、換言すれば、特定の波長を有する光についての、特に700nm~1700nm、900nm~1600nm、1250nm~1600nmの範囲における、1320nmおよび/または1550nmでの前記ガラス物品の透過率は、光への照射後に著しく減少しない。材料をそれらの耐ソラリゼーション性に関して評価するために、高圧Hgランプ(HOK 4)を用いた試験が有利であることが示されている。本発明によれば、HOK 4ランプで15時間の照射後の4mmの試料厚dの試料。他方で、非誘起透過率T(λ)初期は、照射前の4mmの試料厚dを有する試料の波長λでの透過率を記述する。
【0136】
いくつかの実施態様において、Philips製のHOK 4/120ランプが使用される。このHOK 4/120ランプのスペクトルを図3に示す。いくつかの実施態様において、ランプと試料との間の距離は7cmである。いくつかの実施態様において、出力密度は25mW/cm2である。いくつかの実施態様において、試料は直径18mmおよび厚さ4mmを有する。ここで、先に既に説明されたとおり、4mmの寸法が試料厚dとして参照される。
【0137】
好ましくは、本発明によるガラス物品は、以下の条件の少なくとも1つを満たす:
i) ΔTsol(905nm)=T(905nm)|初期-T(905nm)|照射
[式中、ΔTsolは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満である]、
ii) ΔTsol(1320nm)=T(1320nm)|初期-T(1320nm)|照射
[式中、ΔTsolは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満である]、
iii) ΔTsol(1550nm)=T(1550nm)|初期-T(1550nm)|照射
[式中、ΔTsolは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満である]、
ここで、T(λ)初期は照射前の試料厚4mmを有する試料の波長λでの透過率であり、T(λ)照射はHOK 4ランプで15時間の照射後の試料厚4mmを有する試料の波長λでの透過率であり、且つΔTSolはT(λ)初期とT(λ)照射との間の差である。
【0138】
好ましくは、以下の条件の少なくとも1つが満たされ、好ましくは両方の条件が満たされる:
ii) ΔTsol(1320nm)=T(1320nm)|初期-T(1320nm)|照射
[式中、ΔTsolは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満である]、
iii) ΔTsol(1550nm)=T(1550nm)|初期-T(1550nm)|照射
[式中、ΔTsolは5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満である]。
【0139】
本発明は、LiDARシステムにおける本発明のガラスまたはガラス物品の使用にも関する。
【0140】
本発明は、レーザーと、前記レーザーと周囲との間に配置された光学窓とを含むLiDARシステムであって、前記光学窓が本発明のガラスまたはガラス物品を含む、前記LiDARシステムにも関する。
【0141】
本発明は、本発明のガラスまたはガラス物品の製造方法であって、
・ ガラス原料を溶融する段階、
・ 得られたガラスを冷却する段階
を含む前記方法にも関する。
【0142】
好ましくは、前記方法は酸素のバブリングを含まない。好ましくは、前記方法はNO3の使用を含まない。好ましくは、前記方法は酸素のバブリングもNO3の使用も含まない。
【0143】
特にクロムのカチオンがガラス中に存在する場合、好ましくは非常に高い溶融温度は回避され、なぜなら、これはNIR範囲における高い透過率を損なうことがあるCr2+の生成と関連し得るからである。好ましくは、溶融温度は1410℃~1450℃、より好ましくは1415℃~1445℃、より好ましくは1420℃~1440℃、より好ましくは1425℃~1435℃の範囲、より好ましくは約1430℃である。ガラス原料の溶融は、例えば少なくとも1410℃、少なくとも1415℃、少なくとも1420℃、または少なくとも1425℃の溶融温度を含み得る。ガラス原料の溶融は、例えば最高1450℃、最高1445℃、最高1440℃、または最高1435℃の溶融温度を含み得る。
【0144】
前記方法は、特にガラス原料の溶融に引き続き且つ得られたガラスの冷却に先立ち、ガラス溶融物を清澄する段階をさらに含み得る。清澄段階は好ましくは清澄剤の使用、特に清澄剤としてのClの使用を含む。Clは特に好ましい清澄剤である。Clの1つの主要な利点は、Clは含水率を制御するために、従ってNIR透過率を、特に本発明の関連する波長範囲、例えば1500~1600nmの範囲、例えば1550nmの波長で制御するために使用され得ることである。1つの態様において、前記方法はガラス溶融物の含水率を、特にClの使用によって制御する段階を含む。
【図面の簡単な説明】
【0145】
図1図1は、試料厚2mmについて、波長範囲250~1750nmにおける、例のガラスE4、E7およびE9の透過率を示す。
図2図2は、試料厚4mmについて、波長範囲250~1750nmにおける、例のガラスE4、E7およびE9の透過率を示す。
図3図3は、Phillips製のHOK 4/120ランプの発光スペクトルを示す。x軸に波長をnmで示す。y軸に相対強度を示す。
図4図4は、Phillips製のHOK 4/120ランプで15時間の照射前後の、波長範囲900nm~1700nmにおける例のガラスE19およびE20の透過率を示す。
【実施例0146】
本発明を以下の実施例によってさらに説明する。
【0147】
ガラス組成
以下の表は本発明の例のガラスE1~E9の合成組成を質量%で示す。
【0148】
【表13】
【0149】
以下の表は本発明の例のガラスE10~E18の合成組成を質量%で示す。
【0150】
【表14】
【0151】
以下の表は本発明の例のガラスE19~E22の合成組成を質量%で示す。
【0152】
【表15】
【0153】
光学特性
本発明のガラスの透過率特性を試験した。それぞれ厚さ2mmまたは4mmを有する例E1、E4およびE6~E10の透過率特性を以下に要約する。
【0154】
それぞれのガラスのPd値は以下のとおりであった。
【0155】
【表16】
【0156】
前記ガラスは可視範囲における低い透過率およびNIR範囲における高い透過率を有することが判明した。例示的な透過率曲線を図1および2に示す。透過率特性の詳細な分析を以下に示す。
【0157】
最大および最小透過率
以下の表は本発明のガラスの透過率特性を示す。特に、波長範囲250~700nmにおける最大透過率、および波長範囲800~900nm、1250~1350nm、1500~1600nmにおける最小透過率を示す。透過率は、示された区間における任意の波長について1nmの間隔で測定され、且つ最大または最小透過率測定がそれぞれ決定された。
【0158】
以下の表は厚さ2mmについての結果を要約する。
【0159】
【表17】
【0160】
全ての例のガラスについて、可視範囲における透過率は基本的にゼロである。波長範囲800~900nmにおける透過率も非常に低い。しかしながら、関連する波長範囲1250~1350nmおよび1500~1600nmにおける透過率は高い。
【0161】
以下の表は厚さ4mmについての結果を要約する。
【0162】
【表18】
【0163】
全ての例のガラスについて、可視範囲における透過率は基本的にゼロである。波長範囲800~900nmにおける透過率も非常に低い。しかしながら、関連する波長範囲1250~1350nmおよび1500~1600nmにおける透過率は高い。
【0164】
以下の表は厚さ2mmについての結果を要約する。
【0165】
【表19】
【0166】
全ての例のガラスについて、関連する波長範囲1250~1350nmおよび1500~1600nmにおける透過率は高い。さらには、例のガラスE19およびE20について、可視範囲における透過率は低い。
【0167】
以下の表は厚さ4mmについての結果を要約する。
【0168】
【表20】
【0169】
全ての例のガラスについて、関連する波長範囲1250~1350nmおよび1500~1600nmにおける透過率は高い。さらには、全ての例のガラスについて、可視範囲における透過率は低い。
【0170】
平均透過率
以下の表は本発明のガラスの透過率特性を示す。特に、波長範囲250~700nm、800~900nm、1250~1350nm、および1500~1600nmにおける平均透過率を示す。透過率は、示された範囲において1nmの間隔であらゆる波長について測定され、平均透過率はそれぞれの範囲内で測定された全ての透過率値の平均として計算された。
【0171】
以下の表は厚さ2mmについての結果を要約する。
【0172】
【表21】
【0173】
全ての例のガラスについて、可視範囲における透過率は基本的にゼロまたは10%未満である。波長範囲800~900nmにおける透過率も非常に低い。しかしながら、関連する波長範囲1250~1350nmおよび1500~1600nmにおける透過率は高い。
【0174】
以下の表は厚さ4mmについての結果を要約する。
【0175】
【表22】
【0176】
全ての例のガラスについて、可視範囲における透過率は基本的にゼロまたは2%未満である。波長範囲800~900nmにおける透過率も非常に低い。しかしながら、関連する波長範囲1250~1350nmおよび1500~1600nmにおける透過率は高い。
【0177】
以下の表は厚さ2mmについての結果を要約する。
【0178】
【表23】
【0179】
全ての例のガラスについて、関連する波長範囲1250~1350nmおよび1500~1600nmにおける透過率は高い。
【0180】
以下の表は厚さ4mmについての結果を要約する。
【0181】
【表24】
【0182】
全ての例のガラスについて、可視範囲における透過率は低いかまたは2%未満である。しかしながら、関連する波長範囲1250~1350nmおよび1500~1600nmにおける透過率は高い。
【0183】
ソラリゼーション特性
試料厚4mmを有する本発明による例のガラスE19およびE20の試料の透過率を、各々15時間、HOK 4ランプでの照射前(T初期)および照射後(T照射)に測定した。Philips製のHOK 4/120ランプを使用した。このHOK 4/120ランプのスペクトルを図3に示す。ランプと試料との間の距離は7cmであった。出力密度は25mW/cm2であった。試料のサイズは18mm×4mmであった。ガラスの組成は上記の表に示されている。
【0184】
以下の表は試料厚4mmについて波長1320nmおよび1550nmでの結果を要約する。
【0185】
【表25】
【0186】
例のガラスE19およびE20について、ΔT(1320nm)solおよびΔT(1150nm)solについての評価された値は非常に低い。
【0187】
機械的特性
2つのガラス物品をDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験に供した。試料厚は各々の試料について3.8mmであった。正味の試料サイズは各々の試料について80×80mm2であった。両方のガラス物品が試験に合格した。いずれのガラス物品も破壊されなかった。両方のガラス物品がDIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験において特性値2.0を達成した。「方法A」との用語は、1.0±0.1barである試験圧力に関する。飛石試験における特性値は、DIN EN ISO 20567-1:2017-07に準拠して試料の損傷面積に基づいて特定された。飛石試験の試験条件および設定を以下の表に要約する。
【0188】
【表26】
【0189】
飛石試験によって生成される全ての束縛されていない粒子が接着テープで除去され、全質量損失を、接着テープで除去された全ての粒子の全質量として特定した。DIN EN ISO 20567-1:2017-07の方法Aに準拠する飛石試験における全質量損失は、第1のガラス物品について61.7mgであり、第2のガラス物品について64.0mgであった。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】