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特開2023-105827太陽光パネル構造体の陸屋根への設置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105827
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】太陽光パネル構造体の陸屋根への設置構造
(51)【国際特許分類】
   H02S 30/10 20140101AFI20230719BHJP
【FI】
H02S30/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003725
(22)【出願日】2022-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】間野 幸浩
(72)【発明者】
【氏名】染川 貴亮
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151JA09
5F151KA07
5F251JA09
5F251KA07
(57)【要約】
【課題】太陽光パネルの受光面側に設けられた樹脂部品を紫外線から保護して劣化を抑制すると共に、施工現場での太陽光パネルの設置性の低下や樹脂部品のメンテナンス性の低下を抑制する。
【解決手段】太陽光パネル構造体20は、受光面22P側に樹脂部品40を備える太陽光パネル22と、樹脂部品40への太陽光の照射が抑制されるように樹脂部品40を覆った状態と、樹脂部品40へアクセス可能となるように樹脂部品40を露出させた状態と、をとりうるカバー具24と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面側に樹脂部品を備える太陽光パネルと、
前記樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態と、前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と、をとりうるカバー具と、
を有する太陽光パネル構造体。
【請求項2】
前記カバー具が、
前記樹脂部品を覆うと共に、前記樹脂部品を露出される開口を備えたカバー本体と、前記開口を開閉とする開閉部材と、を備えるカバー具と、
を有する請求項1に記載の太陽光パネル構造体。
【請求項3】
前記太陽光パネルに前記樹脂部品が複数設けられ、
前記カバー本体は、複数の前記樹脂部品を覆っている請求項2に記載の太陽光パネル構造体。
【請求項4】
前記開閉部材は、前記カバー本体に対しスライドし前記開口を開閉する請求項2又は請求項3に記載の太陽光パネル構造体。
【請求項5】
前記開口が、複数の前記樹脂部品に渡って連続して前記カバー本体に設けられている請求項2~請求項4の何れか一項に記載の太陽光パネル構造体。
【請求項6】
前記樹脂部品が特定の配列方向に配列されて前記太陽光パネルに備えられ、
前記カバー本体は、前記配列方向を長手方向とする直線状である請求項2~請求項5のいずれか一項に記載の太陽光パネル構造体。
【請求項7】
太陽光パネルの受光面側に備えられた樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態と、前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と、をとりうる太陽光パネル用カバー具。
【請求項8】
前記太陽光パネルの前記受光面に面接触させて固定するための固定部、を有する請求項7に記載の太陽光パネル用カバー具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、太陽光パネル構造体及び太陽光パネル用カバー具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建造の屋根に一対の太陽光パネルが設置された建物ユニットが記載されている。一対の太陽光パネルは、回動軸部により回動可能に指示され、それぞれの中間連結部がヒンジ部材により相対回転可能に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-17588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光パネルの種類によっては、設置状態における上面側、すなわち受光面側に、樹脂部品が搭載されたものがある。
【0005】
受光面側に設置された樹脂部品を太陽光の紫外線による劣化から保護するためには、たとえば、樹脂部品をカバー具で覆って、樹脂部品に太陽光が照射されにくくすることが考えられる。
【0006】
しかし、樹脂部品をカバー具で覆うと、樹脂部品に対するアクセス性が低くなる。そして、施工現場での太陽光パネルの設置性や、樹脂部品のメンテナンス性が低下する。
【0007】
本願は、太陽光パネルの受光面側に設けられた樹脂部品を紫外線から保護して劣化を抑制すると共に、施工現場での太陽光パネルの設置性の低下や樹脂部品のメンテナンス性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一態様の太陽光パネル構造体は、受光面側に樹脂部品を備える太陽光パネルと、前記樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態と、前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と、をとりうるカバー具と、を有する。
【0009】
この太陽光パネル構造体では、カバー具が、樹脂部品を覆った状態と、樹脂部品を露出させた状態と、をとりうる。
【0010】
カバー具が樹脂部品を覆った状態では、樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるので、太陽光が樹脂部品に当たりづらく、紫外線による樹脂部品の劣化を抑制できる。
【0011】
カバー具が樹脂部品を露出させた状態では、樹脂部品へアクセス可能である。これにより、施工現場で太陽光パネルを設置する際の設置性や、設置後の樹脂部品に対するメンテナンス性の低下を抑制できる。
【0012】
第二態様では、前記カバー具が、前記樹脂部品を覆うと共に、前記樹脂部品を露出される開口を備えたカバー本体と、前記開口を開閉とする開閉部材と、を備えるカバー具と、を有する。
【0013】
カバー具のカバー本体により樹脂部品を覆うことで、樹脂部品に太陽光が当たりづらい状態にできる。また、開閉部材が開口を閉じた状態では、開口から太陽光が樹脂部品に照射されることを抑制でき、紫外線による樹脂部品の劣化を抑制できる。
【0014】
開閉部材が開口を開放した状態では、樹脂部品が開口から露出する。これにより、樹脂部品にカバー具の外側からアクセス可能となるので、施工現場で太陽光パネルを設置する際の設置性や、設置後の樹脂部品に対するメンテナンス性の低下を抑制できる。
【0015】
第三態様では、前記太陽光パネルに前記樹脂部品が複数設けられ、前記カバー本体は、複数の前記樹脂部品を覆っている。
【0016】
複数の樹脂部品を、共通化されたカバー本体で覆うことができるので、複数の樹脂部品それぞれを覆うカバー本体を設ける構成と比較して、部品点数を少なくできる。
【0017】
第四態様では、前記開閉部材は、前記カバー本体に対しスライドし前記開口を開閉する。
【0018】
開閉部材をカバー本体に対しスライドさせることで、容易に開口を開閉できる。
【0019】
第五態様では、前記開口が、複数の前記樹脂部品に渡って連続して前記カバー本体に設けられている。
【0020】
開口が、複数の樹脂部品にわたって連続して共通化されているので、1つの開口を開放することにより、複数の樹脂部品に対しアクセス可能となる。
【0021】
第六態様では、前記樹脂部品が特定の配列方向に配列されて前記太陽光パネルに備えられ、前記カバー本体は、前記配列方向を長手方向とする直線状である。
【0022】
カバー本体が直線状であることで、カバー本体が曲がっている形状と比較して、カバー本体の形成の際の曲げ加工などが不要なので、成形が容易である。
【0023】
第七態様の太陽光パネル用カバー具では、太陽光パネルの受光面側に備えられた樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態と、前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と、をとりうる。
【0024】
カバー具が樹脂部品を覆った状態では、樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるので、太陽光が樹脂部品に当たりづらく、紫外線による樹脂部品の劣化を抑制できる。
【0025】
カバー具が樹脂部品を露出させた状態では、樹脂部品へアクセス可能である。これにより、施工現場で太陽光パネルを設置する際の設置性や、設置後の樹脂部品に対するメンテナンス性の低下を抑制できる。
【0026】
第八態様では、前記太陽光パネルの前記受光面に面接触させて固定するための固定部、を有する。
【0027】
固定部を用いてカバー具を太陽光パネルの受光面に面接触させるので、カバー具を太陽光パネルの受光面に安定的に固定できる。
【発明の効果】
【0028】
本願では、太陽光パネルの受光面側に設けられた樹脂部品を紫外線から保護して劣化を抑制できると共に、施工現場での太陽光パネルの設置性の低下や樹脂部品のメンテナンス性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は第一実施形態の太陽光パネル構造体が設置された建物の屋根を示す平面図である。
図2図2は第一実施形態の太陽光パネル構造体が設置された建物の屋根を示す図1のD-D線断面図である。
図3図3は第一実施形態の太陽光パネル構造体を示す分解斜視図である。
図4図4は第一実施形態の太陽光パネル構造体を部分的に拡大して示す断面図である。
図5図5は第一実施形態の太陽光パネル構造体を蓋板の閉状態で示す斜視図である。
図6図6は第一実施形態の太陽光パネル構造体を、蓋板を途中までスライドさせた状態で示す斜視図である。
図7図7は第一実施形態の変形例の太陽光パネル構造体を示す斜視図である。
図8図8は第二実施形態の太陽光パネル構造体を蓋板の閉状態で示す斜視図である。
図9図9は第二実施形態の太陽光パネル構造体を部分的に拡大して示す断面図である。
図10図10は第二実施形態の太陽光パネル構造体を蓋板の開状態で示す斜視図である。
図11図11は第三実施形態の太陽光パネル構造体を部分的に拡大して示す断面図である。
図12図12は第四実施形態の太陽光パネル構造体を部分的に拡大して示す断面図である。
図13図13は第五実施形態の太陽光パネル構造体を部分的に拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本願の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0031】
図1には、第一実施形態の太陽光パネル構造体20が、建物の屋根14上に設置された状態で平面視にて示されている。図2には、第一実施形態の太陽光パネル構造体20が、図1のD-D線断面として示されている。太陽光パネル構造体20は、太陽光パネル22と、カバー具24とを有している。
【0032】
図2に示すように、建物の屋根14には、1つ又は複数(図1に示す例では3つ)の太陽光パネル22が接着剤16等を用いて接着固定されている。
【0033】
太陽光パネル22は平面視(矢印A方向視)にて4辺(長辺及び短辺)を有する長方形である。太陽光パネル22の受光面22Pには、4辺に沿って枠状の縁部22F(図3参照)が設定されており、この縁部22Fの内側の部分が、太陽光を受けて発電に寄与する受光範囲である。
【0034】
本願の開示の技術に係る太陽光パネル22では、長方形状の長辺及び短辺の長さは十分に確保すると共に、厚みを薄くすることで、軽量化が図られている。このように薄型化、軽量化が図られた太陽光パネル22は、屋根14への設置が容易である。また、このように薄型化、軽量化が図られた太陽光パネル22は、図2に示すように、台座等を用いることなく、屋根14上に接着剤16等によって直接的に固定されることで、太陽光パネル22の形状が安定的に維持されるようになっている。
【0035】
4つの縁部22Fのうちの1つには、後述するように、樹脂部品40及びケーブル42が配置されている。以下、樹脂部品40及ケーブル42が配置された縁部を、特に縁部22Gとする。
【0036】
すなわち、受光面22P側には、縁部22Gに、太陽光パネル22の幅方向(矢印W方向)に沿って、ケーブル42が配置されている。ケーブル42には、所定位置に複数の樹脂部品40が設けられている。具体的には、ケーブル42の所定位置に設けられた各種の部品が樹脂で覆われることで、樹脂部品40が構成されている。図3に示す例では、樹脂部品40は、幅方向の左側、中央及び右側の3か所に設けられている。以下において、3つの樹脂部品40を区別する場合は、それぞれ、樹脂部品40L、40C、40Rとする。3つの樹脂部品40は特定の配列方向(図3の例では矢印W方向)に配列されている。3つ以上の樹脂部品40を配列する場合、一直線状に配列されていてもよいが、たとえば配列方向に沿ってジグザク状(千鳥状)に配列されていてもよい。
【0037】
本願の開示の技術では、1つの太陽光パネル22は、他の太陽光パネル22、蓄電池及びインバータ等と電気的に接続される。樹脂部品40の役割としては、このように太陽光パネル22を他の部材と電気的に接続するため各種作用を挙げることができるが、これに限定されない。図3に示す例では、左側の樹脂部品及び40Lからさらに左側へケーブル42が延在されており、さらに、右側の樹脂部品40Rからさらに右側へもケーブル42が延在されている。
【0038】
カバー具24は、カバー本体26と、蓋板28とを備えている。カバー本体26及び蓋板28はいずれも、紫外線を透過しない材料、たとえばステンレス等の金属により形成されている。図3に示す例では、3つの樹脂部品40L、40C、40Rは一直線状に配列されているので、カバー具24は、縁部22Gに沿って、すなわち複数の樹脂部品40の配列方向に沿って直線状に形成され、3つの樹脂部品40L、40C、40Rを1つのカバー具24で覆うことができるようになっている。3つ以上の樹脂部品40が、上記したように配列方向に沿ってジグザク状(千鳥状)に配列されている場合は、これらの樹脂部品40の全てを1つのカバー具24で覆うことができるように、たとえばカバー具24が所定幅を有していてもよい。
【0039】
図4にも示すように、カバー具24を長手方向と直交する方向の断面で見ると、カバー本体26は、受光面22Pに対し垂直で、樹脂部品40の手前側及び奥側に位置する壁部30A、30Bを有している。カバー本体26は、この壁部30A、30Bによって、樹脂部品40を手前側及び奥側で覆っている。
【0040】
カバー本体26の上部には、開口32が形成されている。開口32は、カバー本体26の長手方向に沿って連続している。後述するように、この開口32は、蓋板28によって開閉される。蓋板28は開閉部材の一例である。
【0041】
カバー本体26の短手方向の両端、すなわち開口32の奥側及び手前側には、カバー本体26の長手方向に沿って連続する一対の溝34が形成されている。溝34は、カバー本体26の長手方向の両端では、長手方向の外側に開放されている。この溝34に、蓋板28が嵌め込まれている。
【0042】
蓋板28は、開口32を覆うことが可能な長方形状の板状の部材である。開口32は、上記したようにカバー本体26において長手方向(矢印W方向)の一端から他端まで連続しており、蓋板28の長さは、カバー本体26の長さと略一致している。
【0043】
蓋板28は一対の溝34に嵌め込まれているので、厚み方向(上下方向)には不用意にがたつくことはないが、長手方向(矢印W方向)にはスライドする。そして蓋板28はスライドにより、開口32を閉じた閉状態と、開口32を開いた開状態と、を採り得る。
【0044】
蓋板28の開状態では、樹脂部品40が開口32によって上側から露出する。第一実施形態では、複数の樹脂部品40に対し共通で連続して1つの開口32が形成されている。蓋板28の開状態では、開口32の全体が開放され、すべての樹脂部品40が露出する。
【0045】
蓋板28の閉状態では開口32が閉じられ、樹脂部品40を上側から蓋板28が覆う。すなわち、樹脂部品40は、手前側が壁部30Aで、奥側が壁部30Bでそれぞれ覆われ、さらに上側が蓋板28で覆われた状態となる。
【0046】
カバー本体26の下部には一対の固定部36A、36Bが設けられている。手前側の壁部30Aの固定部36Aは手前側の壁部30Aから奥側に延出され、奥側の固定部36Bは奥側の壁部30Bから手前側に延出されている。固定部36A、36Bの下面は平坦であり、太陽光パネル22の縁部22Gに面接触する。
【0047】
固定部36A、36Bを縁部22Gに面接触させた状態で、接着剤等を用いて、カバー具24を太陽光パネル22に固定することができる。
【0048】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0049】
図3及び図5に示すように、太陽光パネル22の縁部22Gには、カバー具24が取り付けられている。太陽光パネル22の受光面22P側には、縁部22Gに樹脂部品40が設けられているが、樹脂部品40は、カバー具24によって覆われている。特に、蓋板28が閉状態にある場合は、樹脂部品40は手前側、奥側及び上側のいずれからも露出しない。したがって、樹脂部品40に紫外線が当たることによる樹脂部品40の劣化を抑制できる。
【0050】
蓋板28は長手方向にスライド可能である。スライドにより蓋板28が開状態にある場合は、開口32が開放されるので、樹脂部品40は開口32により上側から露出する。このため、樹脂部品40にカバー具24の外側からアクセス可能となる。たとえば、太陽光パネル22を屋根14に設置する場合に、樹脂部品40及びケーブル42に対する各種作業を行うことがあるが、これらの作業が容易になる。したがって、このように樹脂部品40が露出しない構成と比較して、太陽光パネル22の設置性(設置のしやすさ)が低下しない。
【0051】
太陽光パネル22の使用途中に、樹脂部品40に対し点検や調整等のメンテナンス作業を行うことがある。この場合には、蓋板28をスライドさせて開状態とすることで、樹脂部品40が開口32により上側から露出するので、樹脂部品40に対するメンテナンス性(メンテナンスのしやすさ)も低下しない。
【0052】
第一実施形態では、開口32はカバー本体26の長手方向に沿って連続している。開口32の全体を開放した状態では、複数の樹脂部品40のすべてを露出させることができる。
【0053】
特に第一実施形態では、蓋板28をスライドさせるだけの簡単な動作で開口32を開閉できる。
【0054】
また、第一実施形態では、蓋板28は長手方向にスライドするので、短手方向にスライドする構成と比較して、スライド時のがたつきが抑制される。そして、たとえば、図6に示すように、蓋板28を閉状態から開状態へスライドさせる途中で、このスライドを止めることも可能である。このように蓋板28をスライド途中で留めた状態では、開口32の一部を開放させることで、複数の樹脂部品40のうちの一部を露出させることが可能である。
【0055】
なお、上記の例では、蓋板28がカバー本体26の長さと同じ長さを有する形状のものを例示したが、蓋板28の形状はこれに限定されない。たとえば、図7に示す変形例の蓋板28であってもよい。
【0056】
変形例の蓋板28は、長手方向(矢印W方向)で複数の分割蓋28Dに分割されている。蓋板28の分割数は特に限定されないが、図示の例では、3つの樹脂部品40に対応して、3つに分割されている。
【0057】
変形例の構造においても、蓋板28が閉状態にあるとき、樹脂部品40は上側からも蓋板28により覆われるので、樹脂部品40を紫外線による劣化から効果的に保護できる。
【0058】
また、変形例の構造では、分割蓋28Dをそれぞれスライドさせることが可能である。たとえば、分割蓋28Dの全てを閉じた状態から、左側の分割蓋28Dだけを左側にスライドさせて開状態とすることが可能である。これにより、左側の樹脂部品40Lは露出させ、他の樹脂部品40C、40Rは露出させないようにすることも可能である。
【0059】
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については、第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0060】
図8及び図9に示すように、第二実施形態の太陽光パネル構造体50では、カバー本体26の長手方向(矢印W方向)の両端、すなわち開口32の左側及び右側に一対の溝52が形成されている。第二実施形態の溝52は、カバー本体26の短手方向に沿って連続している。
【0061】
第二実施形態において、蓋板28は、第一実施形態と同様にカバー本体26の長手方向に連続する1枚の板状である。
【0062】
このような構成とされた第二実施形態においても、蓋板28を閉状態とすることで、樹脂部品40が上側からも露出しない状態、すなわち樹脂部品40に太陽光が当たりづらい状態とし、紫外線による樹脂部品40の劣化を抑制できる。
【0063】
また、図10に示すように、蓋板28を開状態とすることで樹脂部品40が上側で露出した状態とし、樹脂部品40にカバー具24の外側からアクセス可能となる。これにより、太陽光パネル22の設置作業や樹脂部品40に対するメンテナンス性の低下を抑制できる。
【0064】
特に第二実施形態では、蓋板28が短手方向及びその反対方向にスライドして閉状態と開状態とを移動する。すなわち、短いスライド長さで、蓋板28の閉状態と開状態とを切替できる。
【0065】
第二実施形態においても第一実施形態と同様に、蓋板28をスライドさせるだけの簡単な動作で開口32を開閉できる。
【0066】
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態においても、第一実施形態と同様の要素、部材等については、第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0067】
図11に示すように、第三実施形態の太陽光パネル構造体60では、蓋板28が、ヒンジ62によって回転可能に、カバー本体26に取り付けられている。ヒンジ62は、図示の例では、カバー本体26の奥側且つ上部(壁部30Bの上部)に設けられている。そして、蓋板28は、ヒンジ62を中心として回転することで、図11に実線で示す閉状態と、二点鎖線で示す開状態と、を採り得る。
【0068】
このような構成とされた第三実施形態では、ヒンジ62を中心として蓋板28を回転させることで、開口32を開閉できる。蓋板28がヒンジ62によって支持された状態が維持されるので、たとえば開状態でも作業者は蓋板28を手で支持したり、他の場所に置いたりする必要がなく、取り扱いに優れる。また、蓋板28がヒンジ62に取り付けられているので、蓋板28を紛失することもない。
【0069】
また、カバー本体26に溝34(図3及び図4参照)を設けないので、カバー本体26の構造を簡素化できる。
【0070】
次に、第四実施形態について説明する。第四実施形態においても、第一実施形態と同様の要素、部材等については、第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0071】
図12に示すように、第四実施形態の太陽光パネル構造体70では、蓋板28に一対の係合板72A、72Bが形成されている。係合板72Aは、蓋板28における手前側に、係合板72Bは奥側にそれぞれ形成されており、奥行方向(矢印D方向)に対向している。このような係合板72A、72Bを有することで、蓋板28は、図12に示す断面にて扁平な逆U字状である。
【0072】
係合板72A、72Bはそれぞれ板バネとして作用するようになっており、自然状態では、係合板72A、72Bは互いに平行である。そして、係合板72A、72Bはそれぞれ、上部を中心にして撓み変形する。変形した状態では、係合板72A、72Bの間隔が下側において広がる。
【0073】
係合板72A、72Bには、互いの対向面側に凸形状の係合凸部74が形成されている。これに対し、カバー本体26の壁部30A、30Bには、係合凹部76が形成されている。係合凹部76は、蓋板28が閉状態にあるとき、係合凸部74に対応する位置に形成されており、係合凸部74が係合凹部76に嵌合するようになっている。なお、係合凸部74及び係合凹部76は、蓋板28の長手方向に連続して形成されていてもよいし、断続的に間隔をあけて形成されていてもよい。
【0074】
このような構成とされた第四実施形態では、図12に実線で示すように、蓋板28が閉状態にあるとき、係合凸部74が係合凹部76に嵌合している。これにより、蓋板28を閉状態に維持でき、不用意にカバー本体26から外れることを抑制できる。
【0075】
蓋板28をカバー本体26から取り外すには、係合板72A、72Bを一点鎖線で示すように撓み変形させ、係合凹部76に対する係合凸部74の係合を解除する。係合解除した状態で、蓋板28をカバー本体26から取り外すことができる。これにより、開口32が開放され、樹脂部品40が露出される。
【0076】
蓋板28をカバー本体26に取り付けるには、係合板72A、72Bがそれぞれ壁部30A、30Bの外側に位置するように、上方から蓋板28をカバー本体26にあてがい、矢印A方向に蓋板28を押し込む。これにより、係合凸部74が壁部30A、30Bに接触するが、係合板72A、72Bが撓み変形することでさらに矢印A方向に押し込むことができる。そして、係合凸部74は、蓋板28を所定位置まで押し込むことで係合凹部76に係合する。実質的に、蓋板28を矢印A方向に押し込むだけで、容易に蓋板28をカバー本体26に取り付けることができる。
【0077】
次に、第五実施形態について説明する。第五実施形態においても、第一実施形態と同様の要素、部材等については、第一実施形態と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0078】
図13に示すように、第五実施形態の太陽光パネル構造体80では、壁部30A、30B、固定部36A、36Bを有するカバー本体26と蓋板28とが一体化されて、カバー具24を成している。
【0079】
カバー具24には、手前側且つ下部(壁部30Aの下部)にヒンジ82が設けられている。このヒンジ82によって、カバー具24は太陽光パネル22の受光面22P(縁部22G)に回転可能に取り付けられている。そして、カバー具24は回転により、図13に実線で示す閉状態と、二点鎖線で示す開状態とを採り得る。換言すれば、第五実施形態では、カバー具24の全体が回転することで閉状態と開状態を採る。
【0080】
このような構成とされた第五実施形態では、ヒンジ82を中心としてカバー具24の全体を回転させることで、閉状態を採り得る。カバー具24の閉状態では、カバー具24は樹脂部品40を覆うので、樹脂部品40を紫外線による劣化から保護できる。カバー具24の開状態では、樹脂部品40が露出するので、樹脂部品40にカバー具24の外側からアクセス可能である。
【0081】
第五実施形態では、カバー本体26と蓋板28とが一体化されているので、これらが別部材である構成と比較して、部品点数が少ない。また、カバー本体26に開口32(図3及び図4等参照)を形成しないので、構造を簡素化できる。
【0082】
上記各実施形態において、樹脂部品40の数は複数(3つ)としたが、1つであってもよい。複数の樹脂部品40を備えた太陽光パネル22では、これら複数の樹脂部品40をカバー本体26が覆うように構成することで、樹脂部品40に対しカバー本体26が共通化される。したがって、複数の樹脂部品40それぞれを覆うカバー本体26を設けた構成と比較して、部品点数を少なくできる。
【0083】
また、上記各実施形態では、カバー本体26の開口32が、複数の樹脂部品40に対応して設けられている。開口32が、複数の樹脂部品40に渡って連続して共通化されているので、1つの開口32を開放することで、複数の樹脂部品40に対しアクセス可能な構造を実現できる。もちろん、開口32が複数の樹脂部品40ごとに分離して形成されていてもよい。
【0084】
上記各実施形態では、カバー本体26は直線状、すなわち複数の樹脂部品40の並び方向で直線状に形成されており、長手方向に湾曲あるいは屈曲した部分を有さない。したがって、カバー本体26が、湾曲あるいは屈曲している形状と比較して、カバー本体26の成形が容易である。また、3つ以上の樹脂部品40が並び方向に対しジグザク状(千鳥状)に配置されている構成であっても、これらの樹脂部品40の全てを覆う幅を有し、湾曲あるいは屈曲した部分は有さないカバー本体26を形成することが可能である。
【0085】
複数の樹脂部品40を備えた構成において、カバー具24は、樹脂部品40ごとに複数に分割(蓋板28だけでなくカバー本体26も分割)されていてもよい。この場合、分割された複数のカバー具24は互いに接触している必要はなく、樹脂部品40ごとに離れていてもよい。
【0086】
上記各実施形態では、カバー本体26は固定部36A、36Bを有している。この固定部36A、36Bを用いて、カバー本体26を太陽光パネル22の受光面22Pに面接触させることで、安定的にカバー本体26を固定できる。
【0087】
上記各実施形態において、カバー具24の材質は、樹脂であってもよいが、樹脂製の場合は、カバー具24自体が紫外線により劣化するおそれがある。カバー具24の紫外線による劣化を抑制する観点からは、たとえばカバー具24の材質は金属とすることが好ましい。
【0088】
カバー具24の材質に関わらず、カバー具24のみ(たとえばカバー本体26のみ、あるいは蓋板28のみでもよい)を交換することも可能である。
【0089】
特に、太陽光パネル22の寿命(発電能力を所定範囲に維持できる期間)は、たとえば、25年から30年程度であるため、本願の開示の技術では、樹脂部品40の劣化を抑制し、カバー具24を備えていない太陽光パネル22よりも長い寿命を確保することが可能である。これにより、太陽光パネル構造体20としても、長寿命化を図ることができる。
【0090】
本願の開示の技術において、太陽光パネル22を設置する対象の屋根の一例として陸屋根を挙げることができる。陸屋根では、荷重制限や高さ制限等のために、設置できる太陽光パネルの質量や設置後の高さが制限を受けることがある。これに対し、本願の開示の技術における太陽光パネル22は、薄型化、軽量化を図ることで、陸屋根に対しても、上記の制限を受けることなく設置が可能である。
【0091】
このように薄型化、軽量化された太陽光パネル22は、陸屋根に対し接着剤16によって直接的に接着固定されることがある。この場合、太陽光パネル22の下面(受光面22Pの反対面)の全体を用いて屋根に接着されるため、下面に樹脂部品を設けることは難しく、樹脂部品40は受光面22Pに設けられる。本願の開示の技術は、太陽光パネル22の下面に樹脂部品40を設けることが難しく、受光面22Pに設けた構成において、樹脂部品40が紫外線の影響により劣化しやすい点に着目している。
【0092】
ただし、本願の開示の技術の適用対象は、薄型化、軽量化が図られた太陽光パネルに限定されず、設置場所としても陸屋根に限定されない。すなわち、たとえば図3に示す太陽光パネル22と比較すると厚みが厚く、且つ質量が大きい太陽光パネルが接着固定された陸屋根に対しても、本願の開示の技術を適用できる。
【符号の説明】
【0093】
14 屋根
20 太陽光パネル構造体
22 太陽光パネル
22E 受光範囲
22F 縁部
22G 幅広縁部
22P 受光面
24 カバー具
26 カバー本体
28 蓋板
28D 分割蓋
30A、30B 壁部
32 開口
34 溝
36A、36B 固定部
40 樹脂部品
42 ケーブル
50 太陽光パネル構造体
52 溝
60 太陽光パネル構造体
62 ヒンジ
70 太陽光パネル構造体
72A、72B 係合板
74 係合凸部
76 係合凹部
80 太陽光パネル構造体
82 ヒンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-03-15
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本願の開示する技術は、太陽光パネル構造体の陸屋根への設置構造に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面側の縁部に樹脂部品を備える太陽光パネルと、
前記樹脂部品への太陽光の照射が抑制されるように前記樹脂部品を覆った状態と、前記樹脂部品へアクセス可能となるように前記樹脂部品を露出させた状態と、をとりうるカバー具と、
を有する太陽光パネル構造体を建物の陸屋根に設置する設置構造であって、
前記縁部と、前記陸屋根の辺との間に間隙を構成して前記太陽光パネル構造体を前記陸屋根に設置する、太陽パネル構造体の陸屋根への設置構造
【請求項2】
前記カバー具が、
前記樹脂部品を覆うと共に、前記樹脂部品を露出される開口を備えたカバー本体と、前記開口を開閉とする開閉部材と、を備えるカバー具と、
を有する請求項1に記載の太陽パネル構造体の陸屋根への設置構造
【請求項3】
前記太陽光パネルに前記樹脂部品が複数設けられ、
前記カバー本体は、複数の前記樹脂部品を覆っている請求項2に記載の太陽パネル構造体の陸屋根への設置構造
【請求項4】
前記開閉部材は、前記カバー本体に対しスライドし前記開口を開閉する請求項2又は請求項3に記載の太陽パネル構造体の陸屋根への設置構造
【請求項5】
前記開口が、複数の前記樹脂部品に渡って連続して前記カバー本体に設けられている請求項2~請求項4の何れか一項に記載の太陽パネル構造体の陸屋根への設置構造
【請求項6】
前記樹脂部品が特定の配列方向に配列されて前記太陽光パネルに備えられ、
前記カバー本体は、前記配列方向を長手方向とする直線状である請求項2~請求項5のいずれか一項に記載の太陽パネル構造体の陸屋根への設置構造