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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105828
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】電動作業機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20230725BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20230725BHJP
   A01G 23/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 H
A01G23/00 515Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006795
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】大澤 久人
(72)【発明者】
【氏名】西村 篤
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA06
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA06
3C064BA33
3C064BB10
3C064BB12
3C064BB43
3C064BB62
3C064BB82
3C064CA57
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB17
3C064CB36
3C064CB39
3C064CB63
3C064CB69
3C064CB70
3C064CB73
3C064CB82
3C064CB92
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な構成でバッテリを取り外しやすくすること。
【解決手段】電動作業機は、電動作業部及び本体部を備える。電動作業部は、バッテリから供給される電力で作動する。本体部は、バッテリ6を挿入方向に挿入して保持することが可能な保持空間を有するバッテリ保持部22を備える。バッテリ保持部は、複数の開口を有し、開口には、バッテリが挿入される際に通過する第1開口221と、保持空間に保持されたバッテリの先端から挿入方向に離れた位置に設けられた第2開口222とが含まれる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動作業機であって、
電動作業部及び本体部を備え、
前記電動作業部は、バッテリから供給される電力で作動し、
前記本体部は、
前記バッテリを挿入方向に挿入して保持することが可能な保持空間を有するバッテリ保持部を備え、
前記バッテリ保持部は、複数の開口を有し、前記開口には、前記バッテリが挿入される際に通過する第1開口と、前記保持空間に保持された前記バッテリの先端から前記挿入方向に離れた位置に設けられた第2開口とが含まれる、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の電動作業機において、
前記第2開口は、前記第1開口よりも下方に位置する、もの。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電動作業機において、
前記第2開口は、前記バッテリの先端よりも下方に位置する、もの。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の電動作業機において、
前記第2開口は、前記保持空間に挿入された前記バッテリを通過させることができない形状及びサイズを有する、もの。
【請求項5】
請求項4に記載の電動作業機において、
前記本体部は、前記第2開口側において、前記バッテリの先端の左右方向の中心を覆っている、もの。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1つに記載の電動作業機において、
前記本体部は、前記保持空間に保持された前記バッテリの前後左右のいずれかの面から、前記バッテリ保持部のうち当該面に対向する部分までの距離が、前記第2開口に近いほど長くなっている、もの。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の電動作業機において、
前記電動作業部は、リヤハンドル、ソーチェン及びガイドバーを有し、前記ガイドバーは、前記リヤハンドルの左右方向の中心より右側又は左側に設けられ、
前記第2開口は、前記リヤハンドルの左右方向の中心より前記ガイドバーとは反対側に設けられている、もの。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の電動作業機において、
前記本体部は、前記保持空間に保持された前記バッテリの側面と当該側面に対向する面との距離が第1距離以上となる隙間空間を第1開口側に形成する、もの。
【請求項9】
請求項8に記載の電動作業機において、
前記本体部は、前記隙間空間を形成する面に滑り止めが設けられている、もの。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1つに記載の電動作業機において、
前記本体部は、前記第1開口から前記第2開口までにおいて、前記保持空間に保持された前記バッテリの側面と当該側面に対向する面との距離が第2距離以上となるように前記保持空間を形成している、もの。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか1つに記載の電動作業機において、
前記本体部は、前記バッテリの第1面をガイドする第1ガイドと、前記バッテリの前記第1面の反対側の第2面をガイドする第2ガイドとを有する、もの。
【請求項12】
請求項11に記載の電動作業機において、
前記本体部は、前記バッテリの前記第1面及び前記第2面に挟まれた第3面を外部に露出させる第3開口を有する、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリが着脱可能な電動作業機において、スイッチを押すとばね部材による力が加わってバッテリが取り外しやすくなる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-88853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリが着脱可能である場合、取り外しは容易であることが望ましいが、特許文献1の技術では、バッテリの取り外しをより容易にするためには、スイッチ及びばね部材等の特別な機構を設ける必要がある。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、簡易な構成でバッテリを取り外しやすくすることとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様によれば、電動作業機が提供される。この電動作業機は、電動作業部及び本体部を備える。電動作業部は、バッテリから供給される電力で作動する。本体部は、バッテリを挿入方向に挿入して保持することが可能な保持空間を有するバッテリ保持部を備える。バッテリ保持部は、複数の開口を有し、開口には、バッテリが挿入される際に通過する第1開口と、保持空間に保持されたバッテリの先端から挿入方向に離れた位置に設けられた第2開口とが含まれる。
【0007】
このような態様によれば、簡易な構成でバッテリを取り外しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】チェンソー1の全体構成を示す図である。
図2】上から見たチェンソー1を示す図である。
図3】下から見たチェンソー1を示す図である。
図4図2に示すAA矢視図である。
図5図4に示すバッテリ6付近を拡大して示す図である。
図6図1に示すバッテリ6付近を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
<実施形態>
本実施形態では、本発明に係る電動作業機の一例として、樹木や板などを切断するためのチェンソーを説明する。
【0011】
図1は、チェンソー1の全体構成を示す図である。図1では、左から見たチェンソー1が示されている。チェンソー1においては、図1に示すように、上下方向、前後方向及び左右方向が定められている。チェンソー1は、本実施形態では、チェンソー1を平らで水平な設置面に置いたときの鉛直方向が上下方向として定められている。また、上下方向に直交する方向として前後方向が定められ、上下方向及び前後方向に直交する方向として左右方向が定められている。前後方向及び左右方向については後ほど詳しく説明する。
【0012】
チェンソー1は、本体部2と、作業部3と、吸気部4と、ハンドル部5と、バッテリ6とを備える。作業部3は、本体部2に設けられ、作業者がチェンソー1を用いて作業を行う際に、電力によって作動して作業対象に直接的に作用する電動作業部の一例である。作業者が行う作業とは、本実施形態では、樹木や板などを切断する作業である。作業部3は、ガイドバー31と、ソーチェン32と、レバー33とを備える。ガイドバー31は、長手方向A3に沿って延在するような板状部材であり、ガイドバー31の後端部が本体部2に取り付けられている。ガイドバー31の外周部には、環状のソーチェン32が巻回されている。
【0013】
図1には図示されていないが、本体部2には、制御基板、駆動ギヤ及びモータ等が格納されている。ソーチェン32は、駆動ギヤに係合されている。駆動ギヤは、モータにより駆動されて回転する。制御基板は、レバー33が操作されることで、モータの回転を制御する制御処理を実行する。以上の構成により、作業者がレバー33を操作すると、制御基板により制御されたモータが駆動ギヤを回転させ、この回転動力によってソーチェン32がガイドバー31の外周に沿って回転する。
【0014】
本体部2は、樹脂などで形成され、前述したモータ等を格納するハウジング(ケースとも言う)である。本体部2は、底面部21と、バッテリ保持部22と、リヤハンドル23とを備える。底面部21は、チェンソー1が平らな設置面に置かれた場合にその設置面と接する部分である。底面部21は、本実施形態では、設置面と接する平らな面を含んでいるが、設置面と複数の辺又は点で接する形状であっても、設置面に置いたときにチェンソー1が安定するようになっていればよい。バッテリ保持部22は、バッテリ6を着脱可能に保持する。リヤハンドル23は、本体部2の後側に設けられ、作業者が電動作業を行う際に握る部分である。リヤハンドル23は、前後方向に長い棒状の部分であり、作業者が手で握りやすい寸法で形成されている。
【0015】
吸気部4は、吸気口41を有し、吸気口41から取り込んだ冷却風を本体部2の内部に送り込むための通路を形成する。ハンドル部5は、フロントハンドル51と、フロントハンドガード52とを有する。フロントハンドル51は、本体部2の前側に設けられ、作業者が電動作業を行う際に把持する部分である。フロントハンドル51は、本体部2の上側から左側にかけて設けられており、作業対象を縦に切る場合と横に切る場合とで持ち替えるようになっている。フロントハンドガード52は、フロントハンドル51を握った手が怪我することのないように守る部分であるとともに、作業部3の動作を停止させるブレーキの機能を有する。
【0016】
以上のとおり、チェンソー1は、作業者がフロントハンドル51及びリヤハンドル23を握って本体部2を携帯し、ソーチェン32を回転させて樹木等の作業対象に対して作業を行う。チェンソー1においては、作業が行われるソーチェン32側が前方、作業者が把持するリヤハンドル23側が後方として定められ、前方及び後方を指し示す方向が前後方向として定められている。また、後方から前方を見た場合の左向きの方向と右向きの方向とが左右方向として定められている。
【0017】
バッテリ6は、長手方向A3に沿って延在するような細長い形状をしており、本体部2の保持空間220に対して挿入方向A1に沿って挿入される。以下では、バッテリ6のうち、挿入方向A1に沿って挿入される際に後側になる端を後端61と言い、前側になる端を先端62と言う。バッテリ6は、挿入方向A1の反対向きの取出方向A2に沿って取り出される。挿入方向A1及び取出方向A2は、いずれも、バッテリ保持部22に保持された状態のバッテリ6の長手方向A3に沿った方向である。本実施形態では、挿入方向A1は、前方向の成分と、前方向の成分よりも大きな下方向の成分とを有する方向である。また、取出方向A2は、後方向の成分と、後方向の成分よりも大きな上方向の成分とを有する方向である。
【0018】
バッテリ保持部22は、前述したようにバッテリ6を挿入方向A1に挿入して保持することが可能な保持空間220を有し、保持空間220に挿入されたバッテリ6を保持する。バッテリ保持部22は、本体部2のうち、保持空間220に接する面を有する部分の集合である。これにより、バッテリ保持部22は、バッテリ6を着脱可能としている。バッテリ保持部22は、保持空間220と外部空間9との境に複数の開口を有する。複数の開口には、バッテリ6が本体部2の保持空間220に挿入される際に通過する第1開口221と、保持空間220に挿入されたバッテリ6の先端62から挿入方向A1に離れた位置に設けられた第2開口222とが含まれる。第2開口222は、作業者の指が通る大きさで設けられている。
【0019】
このような態様によれば、第2開口222に指を入れてバッテリ6の先端62を押すことで、バッテリ6に取出方向A2への力を加えることができるので、第2開口222が設けられていない場合に比べて、バッテリ6を取り外しやすくすることができる。また、例えば、ばね部材及びレバー等を備えた取り出し機構を設ける場合に比べると、第2開口222を設けることは容易なので、チェンソー1においては、より簡易な構成でバッテリを取り外しやすくすることができる。
【0020】
第1開口221は、保持空間220がバッテリ6の後端61側で外部空間9と繋がる箇所である。第2開口222は、保持空間220がバッテリ6の先端62側で外部空間9と繋がる箇所である。つまり、本体部2のバッテリ保持部22は、底面部21を下にして置いた場合に第2開口222が第1開口221よりも下方に位置する。このような態様によれば、バッテリ6を、自身の重さを利用して保持空間220に挿入することができるので、第1開口221及び第2開口222の位置関係が反対の場合に比べて、バッテリ6を挿入しやすくすることができる。
【0021】
以上のとおり、バッテリ6は、本体部2の保持空間220に着脱可能であり、本体部2に保持された状態で作業部3に電力を供給する。作業部3は、このように本体部2に着脱可能なバッテリ6から供給される電力で作動する。
【0022】
図2は、上から見たチェンソー1を示す図である。チェンソー1の本体部2は、第1開口221の後方に滑り止め24を備える。滑り止め24は、それぞれが左右方向に延在する複数のリブによって形成されている。滑り止め24は、作業者がリヤハンドル23を把持するときに、親指が触れる箇所であって、また、バッテリ6を取り出すときに作業者の指が触れる箇所であり、触れた指が滑りにくいようにしている。バッテリ6の取り出し方法については後ほど詳しく説明する。
【0023】
図3は、下から見たチェンソー1を示す図である。本体部2は、第2開口222の前方に、排気口25を備える。排気口25は、吸気口41から取り込まれ、本体部2の内部に配置されたモータ等の発熱部品を冷却した冷却風を外部空間9に排出する。
【0024】
前述したように、バッテリ保持部22は、バッテリ6の先端62側に第2開口222を有する。この第2開口222は、左右方向の寸法が長さB1の長さを備える開口である。ここで、このバッテリ6は、左右方向の寸法が、第2開口222の左右方向の長さB1よりも長い長さB2を備えるバッテリ6である。つまり、バッテリ6の先端62の一部は、底面部21によって覆われている。このように、第2開口222は、保持空間220に挿入されたバッテリ6が底面部21等によって保持空間220を通過させることができない形状及びサイズを有する。このような態様によれば、第2開口222が第1開口221のようにバッテリ6が保持空間220を通過可能な形状及び寸法のサイズとなっている場合に比べて、本体部2の強度を得やすくすることができる。
【0025】
また、本実施形態では、長さB2が、長さB1に対して2倍以上の長さとなっている。ここで、(B2/B1)の値は、例えば、2~10である。(B2/B1)の値は、具体的には、2,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5,5.1,5.2,5.3,5.4,5.5,5.6,5.7,5.8,5.9,6,6.1,6.2,6.3,6.4,6.5,6.6,6.7,6.8,6.9,7,7.1,7.2,7.3,7.4,7.5,7.6,7.7,7.8,7.9,8,8.1,8.2,8.3,8.4,8.5,8.6,8.7,8.8,8.9,9,9.1,9.2,9.3,9.4,9.5,9.6,9.7,9.8,9.9,10であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。例えば、(B2/B1)の範囲を2~10に限らず、2.1~5.5や3.4~7.9などとしてもよい。
【0026】
このような構成を有することで、本体部2の底面部21は、バッテリ6の先端62の左右方向の半分以上を覆っていることになる。言い換えると、本体部2の底面部21は、第2開口222側において、バッテリ6の先端62側の左右方向の中心(中心線D1)を覆っていることになる。中心線D1は、バッテリ6の左右方向の端からの距離がいずれも距離B3となる位置、すなわち、バッテリ6の左右方向の中心を示す線である。このような態様によれば、バッテリ6の先端62側の左右方向の中心が露出している場合に比べて、本体部2の強度をさらに得やすくすることができる。
【0027】
また、前述したように、作業部3は、ソーチェン32及びガイドバー31を有する。ガイドバー31は、本体部2の左右方向の中心より右側又は左側に設けられている。そして、第2開口222は、第2開口222の中心が、本体部2の左右方向のうち、リヤハンドル23の左右方向の中心(中心線D2)よりガイドバー31とは反対側に位置するように設けられている。中心線D2は、図2に示すとおり、リヤハンドル23の左右方向の端からの距離がいずれも距離B4となる位置、すなわち、リヤハンドル23の左右方向の中心を示す線である。
【0028】
本実施形態では、ガイドバー31は、中心線D2より右側に位置するように設けられており、第2開口222は、中心線D2より左側に位置するように設けられている。このような態様によれば、ガイドバー31及び第2開口222が両方ともリヤハンドル23の左右方向の中心より右側又は左側に設けられる場合に比べて、作業部3から第2開口222までの距離を十分に確保することが可能となるので、作業時に発生する切粉などの異物が保持空間220に入り込みにくいようにすることができる。
【0029】
また、排気口25は、作業部3と第2開口222との間に設ける構成にしている。このような態様によれば、作業時に発生する切粉などの異物を排気口25から排出される空気によって保持空間220に入りこみにくくすることができる。さらに、排気口25から排出される空気の排出される方向を左右方向における作業部3が設けられる側(図4の右側)にすることによって、より切粉などの異物を保持空間220に入りこみにくくすることができる。
【0030】
図4は、図2に示すAA矢視図である。図4に示すように、本体部2は、バッテリ6の第1面63をガイドする第1ガイド26と、バッテリ6の第1面63とは反対側の第2面64をガイドする第2ガイド27とを有する。本実施形態では、第1面63は、チェンソー1を平らで水平な地面に置いた場合に、バッテリ保持部22により保持された状態におけるバッテリ6の前方の面であり、第2面64は、バッテリ保持部22により保持された状態におけるバッテリ6の後方の面である。バッテリ6の左右の面のうちの第1面63側には、長手方向A3に沿った溝が形成されており、第1ガイド26は、挿入方向A1に沿って延伸するレールを有する。第1ガイド26のレールにバッテリ6の溝を嵌めることで、バッテリ6は挿入方向A1に向けて挿入されつつ、挿入後はそのレールによって保持される。
【0031】
第2ガイド27は、保持空間220に挿入されたバッテリ6の第2面64のうち、第1開口221側であって、バッテリ6と対向する位置に設けられている。例えば、作業者がリヤハンドル23側、後方側を重力方向下に落下させてしまい、バッテリ6に図中の前後方向の衝撃などの力が加わった場合に、第1ガイド26と第2ガイド27とにその衝撃を分散させることができる。このような態様によれば、第1ガイド26だけでバッテリ6をガイドする場合に比べて、バッテリ6への衝撃による第1ガイド26の破損を抑制することができる。
【0032】
図5は、図4に示すバッテリ6付近を拡大して示す図である。図5では、保持空間220を分かりやすくするため、保持空間220のうちバッテリ6が占める部分を除き白く塗りつぶして示している。
【0033】
前述したように、第2開口222は、保持空間220に挿入されたバッテリ6の先端62から挿入方向A1における離れた位置に設けられている。つまり、バッテリ6は、図5に示すように、先端62が第2開口222の内側に引っ込んだ状態で保持されている。このような態様によれば、例えば、チェンソー1を平らな地面に落下させても、底面部21が地面に接するので、先端62が底面部21から飛び出した状態で保持されている場合に比べて、バッテリ6に衝撃が直接伝わるのを抑制することができるので、バッテリ6が傷つきにくいようにすることができる。
【0034】
また、第2開口222が設けられている位置は、本実施形態では、バッテリ6の先端62よりも下方となっている。このような態様によれば、第2開口222が先端62よりも下方に設けられていない場合に比べて、例えば、第2開口から異物が侵入してバッテリを傷つけることが起こりにくいようにすることができる。
【0035】
バッテリ6は、図4で述べた第2面64の後端61側に、第1窪み部65と、第2窪み部66とを有する。第1窪み部65及び第2窪み部66は、バッテリ6を取り出す際に、指を引っ掛けて力を加えやすくするための窪みである。
【0036】
一方、本体部2のバッテリ保持部22は、保持空間220の一部として、第1開口221側に隙間空間223を形成している。隙間空間223は、保持空間220に保持されたバッテリ6の第2面64と、その第2面64に対向する対向面224のうち第2面64との距離が第1距離C1以上となる部分とに挟まれた空間である。
【0037】
第1距離C1は、例えば、人の指の太さよりも長い距離である。図5では、例えば、第2面64と対向面224との距離C11、C12、C13が示されているが、距離C11=第1距離C1であり、距離C11<距離C12、C13となっている。従って、図5では、距離C11が示されているところまでが隙間空間223となっている。隙間空間223は指を通す広さを有しているので、隙間空間223が形成されていない場合に比べて、バッテリ6に指を引っ掛けやすくすることができる。
【0038】
また、本体部2は、バッテリ保持部22とバッテリ6または第2ガイド27によって隙間空間223を形成され、バッテリ6の第2面64に対向する対向面224に、上述した滑り止め24が設けられている。バッテリ6を取り出す際に第1窪み部65又は第2窪み部66に指の腹を引っ掛けて力を入れるためには、指の背を対向面224に接触させて、その接触点を支点として力を込めると、取出方向A2に力を加えやすくなる。その際、滑り止め24が設けられていることで、滑り止め24がない場合に比べて、支点が安定するので、バッテリを取り出すための力を加えやすくすることができる。なお、滑り止め24は、実施形態では左右方向に延在する複数のリブによって形成されていたが、これに限らず、例えば、複数の突起、複数の窪み、又は、複目・波目といったヤスリのような加工がされた表面であってもよい。
【0039】
また、保持空間220は、バッテリ6が保持された状態でも、第1開口221から第2開口222まで貫通している。そして、バッテリ6の第2面64とバッテリ保持部22の対向面224との距離が最も狭くなる最狭部225においては、2つの面の距離が第2距離C2となっている。
【0040】
つまり、本体部2は、第1開口221から第2開口222までにおいて、保持空間220に保持されたバッテリ6の第2面64と第2面64に対向する対向面224との距離が第2距離C2以上となるように保持空間220を形成している。このような態様によれば、第2距離C2よりも小さな物が第1開口221から入り込んでも第2開口222へ抜けていくため、保持空間220が第1開口221から第2開口222まで貫通していない場合に比べて、切粉などの異物が保持空間220に溜まることを抑制することができる。また、保持空間220を空気が通り抜けやすいので、バッテリ6の熱がこもりにくいようにすることができる。
【0041】
図6は、図1に示すバッテリ6付近を拡大して示す図である。図6に示すように、本体部2は、バッテリ6の第1面63及び第2面64に挟まれた第3面67を外部に露出させる第3開口226を有している。第3面67は、チェンソー1を平らで水平な地面に置いた場合に、バッテリ保持部22により保持された状態のバッテリ6において左右方向を向いた面である。図6ではバッテリ6の左側の第3面67が示されているが、本体部2は、バッテリ6の右側の第3面67も外部に露出させる第3開口226を有している。なお、本体部2は、第3開口226を左右どちらかだけ有していてもよい。いずれの態様においても、第3開口226が設けられていない場合に比べて、バッテリ6を覆う箇所が少なく、さらに第3開口226を介して保持空間220に滞留する空気が外部に放出されるので、バッテリ6の熱がこもりにくいようにすることができ、バッテリ6の冷却効果を高めることができる。
【0042】
<その他の実施形態>
実施形態では、電動作業機の一例として、チェンソーを説明したが、これに限らない。例えば、ヘッジトリマー及びエンジンカッター等であってもよい。要するに、本体部に着脱可能なバッテリから供給される電力で作動する作業部を備えるものであれば、どのような電動作業機であってもよい。
【0043】
また、実施形態では、バッテリ6の第2面64とバッテリ保持部22の対向面224との距離が最も狭くなる最狭部225においては、2つの面の距離が第2距離C2となっている例を開示したがこの限りではない、異なる幅を有するバッテリが装着されるのを最狭部225によって抑制できれば、第2距離C2はどの長さでもよい。
【0044】
また、本体部2のバッテリ保持部22の形状が実施形態と異なっていてもよい。バッテリ保持部22の形状が異なると、バッテリ保持部22により形成される保持空間220の形状も異なることになる。例えば、実施形態では隙間空間223が形成されていたが、隙間空間223が形成されていなくてもよい。その場合でも、第2開口222からバッテリ6を押すことでバッテリ6を取り出しやすくすることができる。
【0045】
また、実施形態では、バッテリ6が保持された状態で第1開口221から第2開口222まで保持空間220が貫通していたが、これが貫通していなくてもよい。その場合、バッテリ6の第2面64とバッテリ保持部22の対向面224とが接触する箇所ができるので、保持されたバッテリ6の安定性を高めることができる。
【0046】
また、実施形態では、本体部2の底面部21が、第2開口222側において、バッテリ6の先端62側の左右方向の中心を覆っていたが、この中心が露出していてもよい。その場合、中心が覆われている場合に比べて第2開口222が広くなるので、バッテリ6の先端62を指で押しやすくなる。
【0047】
また、実施形態では、本体部2は、保持空間220に保持されたバッテリ6の第2面64から対向面224までの距離が第2開口222に近いほど長くなっている。図5の例であれば、第2面64から対向面224までの距離C21よりも、より第2開口222に近い位置における第2面64から対向面224までの距離C22の方が長くなっている。なお、バッテリ6の後向きの第2面64に限らず、前向き、左右向きのいずれの面においても、同様の関係となっていてもよい。
【0048】
つまり、本体部2は、保持空間220に保持されたバッテリ6の前後左右のいずれかの面から、バッテリ保持部22のうちその面に対向する部分までの距離が、第2開口222に近いほど長くなっていてもよい。このように第2開口222に近い位置ほどバッテリ6と本体部2とが離れていることで、第2開口222に近い位置でもバッテリ6と本体部2との距離が変わらない場合に比べて、第2開口222に指を入れやすくなり、第2開口222からバッテリ6を押しやすくすることができる。
【0049】
<付記>
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0050】
(2)前記電動作業機において、前記第2開口は、前記第1開口よりも下方に位置する、もの。
【0051】
このような態様によれば、バッテリの重さを利用して挿入することができる。
【0052】
(3)前記電動作業機において、前記第2開口は、前記バッテリの先端よりも下方に位置する、もの。
【0053】
このような態様によれば、第2開口から異物が侵入してバッテリを傷つけることが起こりにくいようにすることができる。
【0054】
(4)前記電動作業機において、前記第2開口は、前記保持空間に挿入された前記バッテリを通過させることができない形状及びサイズを有する、もの。
【0055】
このような態様によれば、本体部の強度を得やすくすることができる。
【0056】
(5)前記電動作業機において、前記本体部は、前記第2開口側において、前記バッテリの先端の左右方向の中心を覆っている、もの。
【0057】
このような態様によれば、本体部の強度をさらに得やすくすることができる。
【0058】
(6)前記電動作業機において、前記本体部は、前記保持空間に保持された前記バッテリの前後左右のいずれかの面から、前記バッテリ保持部のうち当該面に対向する部分までの距離が、前記第2開口に近いほど長くなっている、もの。
【0059】
このような態様によれば、第2開口からバッテリを押しやすくすることができる。
【0060】
(7)前記電動作業機において、前記電動作業部は、リヤハンドル、ソーチェン及びガイドバーを有し、前記ガイドバーは、前記リヤハンドルの左右方向の中心より右側又は左側に設けられ、前記第2開口は、前記リヤハンドルの左右方向の中心より前記ガイドバーとは反対側に設けられている、もの。
【0061】
このような態様によれば、作業時に異物が空間に入り込みにくいようにすることができる。
【0062】
(8)前記電動作業機において、前記本体部は、前記保持空間に保持された前記バッテリの側面と当該側面に対向する面との距離が第1距離以上となる隙間空間を第1開口側に形成する、もの。
【0063】
このような態様によれば、バッテリに指を引っ掛けやすくすることができる。
【0064】
(9)前記電動作業機において、前記本体部は、前記隙間空間を形成する面に滑り止めが設けられている、もの。
【0065】
このような態様によれば、バッテリを取り出すための力を加えやすくすることができる。
【0066】
(10)前記電動作業機において、前記本体部は、前記第1開口から前記第2開口までにおいて、前記保持空間に保持された前記バッテリの側面と当該側面に対向する面との距離が第2距離以上となるように前記保持空間を形成している、もの。
【0067】
このような態様によれば、異物が空間に溜まりにくいようにすることができる。
【0068】
(11)前記電動作業機において、前記本体部は、前記バッテリの第1面をガイドする第1ガイドと、前記バッテリの前記第1面の反対側の第2面をガイドする第2ガイドとを有する、もの。
【0069】
このような態様によれば、バッテリへの衝撃による第1ガイドの破損を抑制することができる。
【0070】
(12)前記電動作業機において、前記本体部は、前記バッテリの前記第1面及び前記第2面に挟まれた第3面を外部に露出させる第3開口を有する、もの。
【0071】
このような態様によれば、バッテリの冷却効果を高めることができる。
もちろん、この限りではない。
また、上述した実施形態及び変形例を任意に組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0072】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 :チェンソー
2 :本体部
3 :作業部
4 :吸気部
5 :ハンドル部
6 :バッテリ
21 :底面部
22 :バッテリ保持部
23 :リヤハンドル
24 :滑り止め
25 :排気口
26 :第1ガイド
27 :第2ガイド
31 :ガイドバー
32 :ソーチェン
33 :レバー
41 :吸気口
51 :フロントハンドル
52 :フロントハンドガード
61 :後端
62 :先端
63 :第1面
64 :第2面
65 :第1窪み部
66 :第2窪み部
67 :第3面
220 :保持空間
221 :第1開口
222 :第2開口
223 :隙間空間
224 :対向面
225 :最狭部
226 :第3開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6