(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105860
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】バーナ及びボイラ並びにバーナの運転方法
(51)【国際特許分類】
F23C 99/00 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
F23C99/00 314
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006851
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】岩田 隆
(72)【発明者】
【氏名】葛西 潤
(72)【発明者】
【氏名】濱屋 秀行
【テーマコード(参考)】
3K065
【Fターム(参考)】
3K065TA01
3K065TA08
3K065TC01
3K065TD04
3K065TD05
3K065TD06
3K065TF02
3K065TH05
3K065TH06
3K065TH12
3K065TJ02
3K065TJ06
3K065TJ07
(57)【要約】
【課題】火炉の炉壁部の損傷を抑制することを目的とする。
【解決手段】バーナ21は、炉壁101に囲まれた火炉内に噴射した燃料を燃焼させて、火炉内に旋回火炎を形成する。また、バーナ21は、旋回火炎の中心領域と交差するバーナ軸線C2に沿って延在している。バーナ21は、バーナ軸線C2を基準として、炉壁101側よりも中心領域側の方が噴射される燃料の量が多くなるように火炉内に燃料を噴射するバーナチップ55を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉壁に囲まれた火炉内に噴射した燃料を燃焼させて前記火炉内に旋回火炎を形成し、前記旋回火炎の中心領域に向かうバーナ軸線に沿って延在するバーナであって、
前記バーナ軸線を基準として、前記炉壁側よりも前記中心領域側の方が噴射される燃料の量が多くなるように前記火炉内に燃料を噴射する噴射部を備えるバーナ。
【請求項2】
前記噴射部は、前記火炉内に開口し、前記燃料が通過する噴射孔を有し、
前記噴射孔は、前記中心領域側に偏るように配置されている請求項1に記載のバーナ。
【請求項3】
前記噴射部は、前記火炉内に開口し、前記燃料が通過する噴射孔を有し、
前記噴射孔は、前記バーナ軸線を基準として、前記炉壁側よりも前記中心領域側の方が開口面積が大きい請求項1または請求項2に記載のバーナ。
【請求項4】
前記噴射部へ燃料を導く燃料流路と、
前記燃料流路内に設けられ、前記燃料流路内を流通する燃料を前記火炉の前記中心領域側へ偏らせる偏流部と、を備える請求項1から請求項3のいずれかに記載のバーナ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載されたバーナを備えたボイラ。
【請求項6】
炉壁に囲まれた火炉内に噴射した燃料を燃焼させて前記火炉内に旋回火炎を形成し、前記旋回火炎の中心領域に向かうバーナ軸線に沿って延在するバーナの運転方法であって、
前記バーナ軸線を基準として、前記炉壁側よりも前記中心領域側の方が噴射される燃料の量が多くなるように前記火炉内に燃料を噴射する噴射工程を備えるバーナの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バーナ及びボイラ並びにバーナの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電用ボイラなどの大型のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数のバーナが火炉の周方向に沿って配設されている。また、大型のボイラは、火炉の鉛直方向上方に煙道が連結されており、この煙道に蒸気を生成するための熱交換器が配置されている。そして、バーナが火炉内に燃料と空気(酸化性ガス)との混合気を噴射することで火炎が形成され、燃焼ガスが生成されて煙道に流れる。燃焼ガスが流れる領域に熱交換器が設置され、熱交換器を構成する伝熱管内を流れる水や蒸気を加熱して過熱蒸気が生成される。
【0003】
このようなボイラにおいて、バーナによって形成される火炎によって、炉壁が損傷する場合がある。例えば、硫黄分が多く含まれている燃料を燃焼する場合、還元雰囲気(窒素酸化物(NOx)低減のため、バーナ部は還元雰囲気となる場合がある)下では硫化水素が発生する。この硫化水素により、バーナによって形成される火炎に近い炉壁部が硫化腐食する可能性がある。このように、火炎によって炉壁が損傷する可能性があることから、炉壁の損傷を抑制する対策を講じる場合がある(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、ボイラ火炉の前壁及び後壁に複数のバーナと、該バーナの後流側に複数の燃焼用空気ノズルが設置されているボイラが記載されている。このボイラでは、左右側壁の中央部を直撃する前後壁の最も外側に配置されたバーナ、すなわち左右側壁に隣接して配置されたバーナの空気比を1より大きくするとともに、それ以外のバーナの空気比を1より小さくすることで、左右側壁近傍の酸素濃度を上げることで水壁管の腐食を緩和している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、複数のバーナの組み合わせによって炉壁の損傷(硫化腐食)を抑制するもので、1つのバーナで炉壁の損傷を抑制することを目的としたものではない。
また、特許文献1では、一部のバーナ(前後壁の最も外側に配置されたバーナ)の空気比を上げている。バーナの空気比を上げた場合、バーナで火炎を形成する際に発生する窒素酸化物(NOx)が増大する。このため、特許文献1に記載のバーナは、NOxの増大を招来する可能性があった。
また、ボイラの負荷を下げて運転する場合、一部のバーナを消火してボイラの負荷を下げる場合がある。この際、特許文献1に記載のバーナにおいて任意のバーナを消火した場合、所望の空気比を得ることができず、NOxの増加や炉壁損傷の抑制効果が得られない可能性があった。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、火炉の炉壁部の損傷を抑制することができるバーナ及びボイラ並びにバーナの運転方法を提供することを目的とする。
また、本開示は、NOxの増大を抑制することができるバーナ及びボイラ並びにバーナの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示のバーナ及びボイラ並びにバーナの運転方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係るバーナは、炉壁に囲まれた火炉内に噴射した燃料を燃焼させて前記火炉内に旋回火炎を形成し、前記旋回火炎の中心領域に向かうバーナ軸線に沿って延在するバーナであって、前記バーナ軸線を基準として、前記炉壁側よりも前記中心領域側の方が噴射される燃料の量が多くなるように前記火炉内に燃料を噴射する噴射部を備える。
【0009】
本開示の一態様に係るバーナの運転方法は、炉壁に囲まれた火炉内に噴射した燃料を燃焼させて前記火炉内に旋回火炎を形成し、前記旋回火炎の中心領域に向かうバーナ軸線に沿って延在するバーナの運転方法であって、前記バーナ軸線を基準として、前記炉壁側よりも前記中心領域側の方が噴射される燃料の量が多くなるように前記火炉内に燃料を噴射する噴射工程を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、火炉の炉壁部の損傷を抑制することができる。
また、NOxの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るボイラを示す概略構成図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係るボイラの水平断面図であって、火炉内における火炎の状態を示す図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係るボイラに設けられるバーナの縦断面図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係るボイラに設けられるバーナの側面図であって、バーナから燃料を噴射している様子を示す図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係るボイラに設けられるバーナの正面図であって、バーナから燃料を噴射している様子を示す図である。
【
図8】本開示の第2実施形態に係るボイラに設けられるバーナの正面図である。
【
図10】本開示の第3実施形態に係るボイラに設けられるバーナの正面図である。
【
図11】本開示の第4実施形態に係るボイラに設けられるバーナの正面図である。
【
図12】本開示の第5実施形態に係るボイラに設けられるバーナの正面図である。
【
図13】本開示の第6実施形態に係るボイラに設けられるバーナの正面図である。
【
図14】本開示の第7実施形態に係るボイラに設けられるバーナの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係るバーナ及びボイラ並びにバーナの運転方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中のUPは、鉛直方向の上方を示している。
【0013】
[第1実施形態]
以下に、本開示に係る第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0014】
図1は、本実施形態の液体燃料を主燃料とするボイラを表す概略構成図である。
【0015】
本実施形態のボイラ10は、液体燃料をバーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能なボイラである。液体燃料としては、例えば、原油、軽油、重油、残渣油などの石油類や可燃性物質を含む廃液などが使用される。なお、液体燃料とともに固体燃料や気体燃料を燃焼させてもよい。この場合には、液体燃料を燃焼させるバーナと他の燃料を燃焼させるバーナとを、一体的もしくは別途に設けることとなる。固体燃料としては、バイオマス燃料、石炭、石油コークスなどが使用される。気体燃料としては、天然ガス、石油ガス、合成ガス、副生ガスなどが使用される。
【0016】
ボイラ10は、火炉11と燃焼装置20と燃焼ガス通路12を有している。火炉11は、鉛直上下方向に延びる中心軸線C1に沿って延在している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11の内壁面を構成する炉壁101は、複数の伝熱管と、伝熱管同士を接続するフィンとで構成され、燃料の燃焼により発生した熱を、伝熱管の内部を流通する水や蒸気と熱交換して回収すると共に、炉壁101の温度上昇を抑制している。
【0017】
燃焼装置20は、火炉11の下部領域に設置されている。本実施形態では、燃焼装置20は、炉壁101に装着された複数のバーナ21A、21B、21C、21D、21E、21F(以下、一括して「バーナ21」と記載する場合がある。)と複数の燃焼用空気供給ポート75を有している。バーナ21は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたもの(例えば、四角形の火炉11の各コーナ部に設置された4個)を1セットとして、鉛直方向に沿って複数段配置されている。燃焼用空気供給ポート75は、バーナ21の周囲及び上下に複数段配置されている。なお、
図1では、図示の都合上、1セットのバーナのうちの2個のみを記載し、各セットに符合21A、21B、21C、21D、21E、21Fを付している。火炉の形状やバーナの段数、一つの段におけるバーナの数、バーナの配置などは、この実施形態に限定されるものではない。
【0018】
バーナ21A、21B、21C、21D、21E、21Fは、それぞれ、燃料供給管(図示省略)を介して、燃料供給装置(図示省略)に連結されている。
【0019】
バーナ21の装着位置における火炉11の炉外側には、風箱(エアレジスタ)23が設けられており、この風箱23には風道(空気ダクト)24の一端部が連結されている。風道24の他端部には、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32が連結されている。押込通風機32から供給された空気は、風道24に設置された空気予熱器42で加熱され(詳細は後述する)、風箱23を介して燃焼用空気供給ポート75に燃焼用空気(酸化性ガス)として供給され、火炉11の内部に投入される。
【0020】
燃焼ガス通路12は、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路12には、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102A、102B、102C(以下、一括して「過熱器102」と記載する場合がある。)、再熱器103A、103B(以下、一括して「再熱器103」と記載する場合がある。)、節炭器104が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。なお、各熱交換器の配置や形状は、
図1に記載した形態に限定されない。
【0021】
燃焼ガス通路12の下流側には、熱交換器で熱回収された燃焼ガスが排出される煙道13が連結されている。煙道13には、風道24との間に空気予熱器(エアヒータ)42が設けられており、風道24を流れる空気と、煙道13を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、火炉11内に供給される燃焼用空気を加熱することで、水や蒸気との熱交換後の燃焼ガスから、さらに熱回収を行う。
【0022】
また、煙道13には、空気予熱器42よりも上流側の位置に、脱硝装置43が設けられていてもよい。脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を、煙道13内を流通する燃焼ガスに供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)と還元剤との反応を、脱硝装置43内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。
煙道13の空気予熱器42より下流側には、ガスダクト41が連結されている。ガスダクト41には、燃焼ガス中の灰などを除去する電気集じん機などの集じん装置44や硫黄酸化物を除去する脱硫装置46などの環境装置、また、それらの環境装置に排ガスを導くための誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45が設けられている。ガスダクト41の下流端部は、煙突47に連結されており、環境装置で処理された燃焼ガスが、排ガスとして系外に排出される。
【0023】
ボイラ10において、バーナ21を点火する際には、燃料供給装置から燃料供給管を介してバーナ21に供給される。また、空気予熱器42で加熱された燃焼用空気が、風道24から風箱23を介して燃焼用空気供給ポート75から火炉11内に供給される。火炉11に吹き込まれた液体燃料が着火し、燃焼用空気と反応することで火炎を形成する。火炉11内の下部領域で火炎が形成され、高温の燃焼ガスが火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路12に流入する。なお、本実施形態では、酸化性ガス(燃焼用空気)として空気を用いるが、空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、供給される燃料量に対する酸素量の比率を適正な範囲に調整することで、火炉11において安定した燃焼が実現される。
【0024】
燃焼ガス通路12に流入した燃焼ガスは、燃焼ガス通路12の内部に配置された過熱器102、再熱器103、節炭器104で水や蒸気と熱交換した後、煙道13に排出され、脱硝装置43で窒素酸化物が除去され、空気予熱器42で一次空気及び二次空気と熱交換した後、さらにガスダクト41に排出され、集じん装置44で灰などが除去され、脱硫装置46で硫黄酸化物が除去された後、煙突47から系外に排出される。なお、燃焼ガス通路12における各熱交換器及び煙道13からガスダクト41における各装置の配置は、燃焼ガス流れに対して、必ずしも上述の記載順に配置されなくともよい。
【0025】
次に、本実施形態に係るバーナの詳細について、
図2から
図7を用いて説明する。
本実施形態に係るボイラ10は、
図2に示すように、略長方形の断面形状を有する火炉11の水平方向の各コーナ部に、火炉11内の上下方向に複数段(本実施形態では、一例として6段)のバーナ21が設置されている。本実施形態に係るボイラ10は、鉛直上下方向に設けられた各段において、各バーナ21から液体燃料が火炉11内へ噴射されるとともに、燃焼用空気は燃焼用空気供給ポート75から火炉11内へ供給されることにより、火炉11内において、らせん状に旋回する火炎が形成される旋回燃焼方式を採用している。
【0026】
バーナ21は、
図2及び
図3に示すように、バーナ軸線C2に沿って延在している。バーナ軸線C2は、バーナ21の中心を通る線である。また、バーナ軸線C2は、バーナ21が設置されている高さの水平断面内において、火炉11の中心軸線C1を中心とする仮想円(中心領域)CCに外接する線である。中心領域CCの半径は、例えば、火炉11の1辺の長さの8%程度とされる。バーナ21は、炉壁101を貫通しており、バーナ21の先端(燃料が噴射される端部)が火炉11に向けて開口している。
【0027】
バーナ21は、
図4に示すように、内部を蒸気及び液体燃料が流通するバーナ基部50と、バーナ基部50の先端に取り付けられ液体燃料を噴射するバーナチップ(噴射部)55と、を有する。バーナチップ55は、蒸気を噴霧媒体とする、いわゆる半内部混合式(中間混合式)の二流体噴射弁である。
バーナ基部50は、蒸気が流通する第1蒸気流路51と、液体燃料が流通する第1燃料流路52と、が内部に形成されている。第1蒸気流路51は、バーナ21に蒸気Sを供給する蒸気管70と接続されている。第1燃料流路52は、バーナ21に液体燃料Fを供給する燃料管71と接続されている。
【0028】
バーナチップ55は、上流側(バーナ基部50側)に形成された第2蒸気流路56と、第2蒸気流路56から放射状外向きに分岐して形成された複数の混合流路58と、第2蒸気流路56の外周に形成され、混合流路58の入口近傍側面に合流するとともに入口開口57aが周方向に並んで配置されている複数の第2燃料流路57と、を備えている。
【0029】
第2蒸気流路56の上流端には、第1蒸気流路51の下流端が接続され、第1蒸気流路51を流通した蒸気が流入する。第2蒸気流路56の下流端は、連通路59に接続されている。第2蒸気流路56を流通した蒸気は、連通路59を介して混合流路58に流入する。
第2燃料流路57の上流端には、第1燃料流路52の下流端が接続され、第1燃料流路52を流通した液体燃料が流入する。第2燃料流路57の下流端は、混合流路58に接続されている。第2燃料流路57を流通した液体燃料は、混合流路58に流入する。
混合流路58の下流端には、火炉11の内部に開口する噴射孔60が形成されている。
【0030】
第2蒸気流路56から噴射孔60に至る蒸気及び液体燃料は、以下の経過を経て微粒化燃料となる。
第2蒸気流路56に導入された蒸気は、複数の連通路59に分流して混合流路58に流入する。一方、第2燃料流路57から導入された液体燃料は、混合流路58の入口側近傍において、すなわち連通路59から混合流路58に流入した直後の蒸気の流れに対して、流路側面の斜め後方から流入する。こうして混合流路58の上流部で蒸気及び液体燃料が合流することにより、合流時の衝突や撹拌により液体燃料が微粒化されて微粒化燃料となる。この微粒化燃料が混合流路58の下流端に形成されている噴射孔60から火炉11の内部へ向けて広角に噴射される。
【0031】
噴射孔60は、
図5に示すように、バーナ21のバーナ軸線C2方向の端部に複数形成されている。複数の噴射孔60は、
図5に示すように、バーナ軸線C2を中心として周方向に並んで配置されている。
複数の噴射孔60は、複数(本実施形態では、一例として4つ)の第1噴射孔60Aと、複数(本実施形態では、一例として4つ)の第2噴射孔60Bと、を有する。第1噴射孔60Aと第2噴射孔60Bは、バーナ軸線C2に対する角度が異なっている。なお、第1噴射孔60Aは、空気量に対して液体燃料の濃度が濃い燃料を噴射してもよい。また、第2噴射孔60Bは、空気量に対して液体燃料の濃度が薄い燃料を噴射してもよい。
第1噴射孔60Aから噴射される液体燃料の量と、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料の量との比は、5:5(すなわち、同量)とされている。なお、第1噴射孔60Aから噴射される液体燃料の量と、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料の量とが異なっていてもよい。噴射される液体燃料の量が異なる場合については後述の変形例1で詳細に説明する。
【0032】
複数の第1噴射孔60Aは、
図5に示すように、バーナ軸線C2を中心として周方向に並んで配置されている。複数の第1噴射孔60Aは、バーナ軸線C2を通る水平面S1を基準として上下対称となるように配置されているとともに、バーナ軸線C2を通る鉛直面S2を基準として左右対称となるように配置されている。また、各第1噴射孔60Aは、周方向において、隣接する鉛直面S2よりも隣接する水平面S1の方が近くなるように配置されている。すなわち、各第1噴射孔60Aは、水平面S1側に配置されている。
【0033】
また、第1噴射孔60Aから噴射される液体燃料60Afは、
図6及び
図7に示すように、鉛直方向及び水平方向に霧状となって広がるように噴射される。また、各第1噴射孔60Aから噴射される液体燃料60Afは、各々、水平面S1及び鉛直面S2から遠ざかるように噴射される。すなわち、水平面S1よりも上方に配置される第1噴射孔60Aからは、斜め上方に向かって液体燃料60Afが噴射され、水平面S1よりも下方に配置される第1噴射孔60Aからは、斜め下方に向かって液体燃料60Afが噴射される。水平面S1よりも上方に配置される第1噴射孔60Aから液体燃料60Afが噴射される方向と、水平面S1よりも下方に配置される第1噴射孔60Aから液体燃料60Afが噴射される方向とは、水平断面において角度θ2(水平面S1に対する投影角)を為している。角度θ2の数値は、特に限定されないが、本実施形態では一例として60度とされている。
【0034】
複数の第2噴射孔60Bは、
図5に示すように、第1噴射孔60Aよりも半径方向の外側に配置されている。複数の第2噴射孔60Bは、バーナ軸線C2を中心として周方向に並んで配置されている。複数の第2噴射孔60Bは、バーナ軸線C2を通る水平面S1を基準として上下対称となるように配置されている。また、複数の第2噴射孔60Bは、バーナ軸線C2を通る鉛直面S2に対して火炉11の中心領域CC側(
図5の紙面右側)に所定の角度θ1傾斜した面S3(傾斜面S3)を基準として対称となるように配置されている。すなわち、第2噴射孔60Bは、火炉11の中心領域CC側(炉壁101から遠ざかる側)に角度θ1だけずらすように配置されている。すなわち、第2噴射孔60Bは、中心領域CC側に偏るように配置されている。なお、θ1の角度は特に限定されないが、角度θ1を大きくしすぎると、バーナ21が取り付けられる炉壁101部分に設けられる燃焼用空気供給ポート75(
図7参照)から燃焼用空気が供給される範囲を外れてしまい、火炎が好適に形成されない可能性がある。このため、角度θ1は、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料60Bfの大部分が燃焼用空気供給ポート75から燃焼用空気が供給される範囲内となる角度のうちの最も大きい角度とすることが好ましい。本実施形態では、このような観点から、角度θ1を5度としている。
また、各第2噴射孔60Bは、周方向において、隣接する水平面S1よりも隣接する鉛直面S2の方が近くなるように配置されている。すなわち、各第1噴射孔60Aは、鉛直面S2側に配置されている。
【0035】
また、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料60Bfは、
図6及び
図7に示すように、鉛直方向及び水平方向に霧状となって広がるように噴射される。また、各第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料60Bfは、各々、水平面S1及び鉛直面S2から遠ざかるように噴射される。すなわち、水平面S1よりも上方に配置される第2噴射孔60Bからは、斜め上方に向かって液体燃料60Bfが噴射され、水平面S1よりも下方に配置される第2噴射孔60Bからは、斜め下方に向かって液体燃料60Bfが噴射される。水平面S1よりも上方に配置される第2噴射孔60Bから液体燃料60Bfが噴射される方向と、水平面S1よりも下方に配置される第2噴射孔60Bから液体燃料60Bfが噴射される方向とは、水平断面において角度θ3(水平面S1に対する投影角)を為している。角度θ3の数値は、100度以上であって、かつ、120度以下とされると好適である。角度θ3の数値は、本実施形態では一例として100度とされている。
【0036】
第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料60Bfについて、
図3を用いて詳細に説明する。
本実施形態のバーナ21は、上述のように火炉11のコーナ部に設けられ、火炉11内に旋回火炎を形成する。このため、
図3に示すように、バーナ21のバーナ軸線C2は、バーナ21の火炉11側の端部と火炉11の中心軸線C1とを接続した線C3(
図2参照。以下、「中心線C3」と称する)と重ならない。詳細には、バーナ軸線C2は、中心線C3よりも炉壁101側となる。
本実施形態では、第2噴射孔60Bは、バーナ軸線C2を基準として、炉壁101側よりも中心領域CC側(換言すれば、中心線C3側)の方が、噴射される液体燃料の量が多くなるように火炉内に液体燃料を噴射する。すなわち、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料60Bfのうち、バーナ軸線C2に対して火炉11の中心領域CC側に噴射される液体燃料60Bfaの方が、バーナ軸線C2に対して炉壁101側に噴射される液体燃料60Bfbよりも量が多い。
【0037】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
図2に示すように、火炉11内において形成される火炎は、旋回流の影響によって炉壁101に近づく場合がある。特に、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料によって形成される火炎B2は、第1噴射孔60Aから噴射される液体燃料によって形成される火炎B1よりも、炉壁101側に形成されるため、旋回火炎の旋回力によって炉壁101側に近接し易い。火炎が炉壁101に近づきすぎると炉壁101に種々の損傷が発生する可能性がある。例えば、炉壁101を構成する伝熱管の温度が過度に上昇して、伝熱管の損傷が発生する可能性がある。また、液体燃料に硫黄分が多く含まれている燃料を燃焼する場合には、燃焼反応で発生する硫化水素により、火炎に近い炉壁部(
図2の領域A参照)に硫化腐食が発生する可能性がある。
【0038】
本実施形態では、バーナ軸線C2を基準として、炉壁101側よりも中心領域CC側の方が噴射される液体燃料の量が多くなるように火炉11内に液体燃料を噴射するバーナチップ55を備えている。具体的には、本実施形態では、第2噴射孔60Bが中心領域CC側に偏るように配置されている。これにより、火炎が中心領域CC側に寄って形成される。すなわち、火炎が炉壁101から離れるように形成される。したがって、バーナ21で形成される火炎と炉壁101との距離を長くすることができるので、火炎による炉壁101の損傷を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、各バーナ21に供給される燃料量と燃焼用空気量の比(各バーナ21の空気比)は、燃焼により発生する窒素酸化物(NOx)の抑制を考慮した最適な値を設定することができるので、バーナ21で火炎を形成する際に発生する窒素酸化物(NOx)の増大を抑制することができる。
【0040】
また、上述したように、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料によって形成される火炎B2は、第1噴射孔60Aから噴射される液体燃料によって形成される火炎B1よりも、炉壁101側に形成されるため、旋回火炎の旋回力によって炉壁101側に近接し易い(
図2参照)。本実施形態では、火炎が炉壁101側に近接し易い第2噴射孔60Bの位置を中心領域CC側にずらしているので、より炉壁101から火炎を遠ざけることができる。したがって、より好適に、火炎による炉壁101の損傷を抑制することができる。
【0041】
[変形例1]
なお、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料を減少させてもよい。上記実施形態では、第1噴射孔60Aから噴射される液体燃料の量と、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料の量との比が、5:5(すなわち、同量)である例について説明したが本開示はこれに限定されない。例えば、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料の量を、第1噴射孔60Aから噴射される液体燃料の量よりも少なくしてもよい。具体的には、第1噴射孔60Aから噴射される液体燃料の量と、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料の量との比を6:4(又は7:3)としてもよい。
第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料によって形成される火炎は、炉壁101側に近接し易い(
図2参照)。したがって、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料の量を少なくし、形成される火炎を小さくすることで、炉壁101への影響(損傷)を小さくすることができる。したがって、火炎による炉壁101の損傷を抑制することができる。
なお、第1噴射孔60Aから噴射される液体燃料の量と、第2噴射孔60Bから噴射される液体燃料の量との比を6:4(又は7:3)とする方法としては、例えば、第1噴射孔60Aの開口面積と、第2噴射孔60Bの開口面積との比を6:4(又は7:3)とする方法が挙げられる。
【0042】
[変形例2]
また、例えば、第2噴射孔60Bは、バーナ軸線C2を基準として、炉壁101側よりも中心領域CC側の方が、開口面積が大きくなるように形成されていてもよい。具体的には、鉛直面S2よりも火炉11中心側に設けられている第2噴射孔60Bの開口面積を、鉛直面S2よりも炉壁101側に設けられている第2噴射孔60Bの開口面積よりも大きくしてもよい。このようにしても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について
図8及び
図9を用いて説明する。以下では、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付しその説明を省略する。
本実施形態のバーナ221は、噴射部255からガス燃料を噴射する。ガス燃料としては、例えば、天然ガス、石油ガス、合成ガス、及び、製鉄や化学などの各種プロセスから排出される副生ガスが使用される。
噴射部255は、
図8に示すように、水平方向に所定の間隔で並ぶ複数の略円形状の噴射孔260を有する。各噴射孔260の開口面積は等しい。
【0044】
本実施形態の噴射部255は、バーナ軸線C2を通る鉛直面S2を基準として、火炉11の中心領域CC側に偏在している。すなわち、鉛直面S2よりも火炉11の中心領域CC側の方が、炉壁101側よりも噴射孔260の数が多い。換言すれば、鉛直面S2よりも火炉11の中心領域CC側の方が、炉壁101側よりも噴射孔260の合計開口面積が大きい。
【0045】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、火炎が中心領域CC側に寄って形成される。すなわち、火炎が炉壁101から離れるように形成される。したがって、バーナ21で形成される火炎と炉壁101との距離が長くすることができるので、火炎による炉壁101の損傷を抑制することができる。
【0046】
なお、
図9に示すように、鉛直面S2よりも火炉11の中心領域CC側に配置される噴射孔260の径を大きくしてもよい。このようにすることでも、鉛直面S2よりも火炉11の中心領域CC側において、炉壁101側よりも噴射孔260の合計開口面積を大きくすることができる。したがって、火炎を中心領域CC側に寄って形成することができる。
【0047】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について
図10を用いて説明する。以下では、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付しその説明を省略する。
本実施形態に係るバーナ321も、上記第2実施形態と同様にガス燃料を噴射する。
噴射部355は、
図10に示すように、水平方向に延在する略長方形状の複数の噴射孔360を有する。複数の噴射部355は上下方向に離間して配置されている。なお、噴射孔360は、バーナ321に一つであってもよい。
【0048】
本実施形態の噴射部355は、バーナ軸線C2を通る鉛直面S2を基準として、火炉11の中心領域CC側に偏在している。すなわち、鉛直面S2よりも火炉11の中心領域CC側の方が、炉壁101側よりも噴射孔360の開口面積が大きい。
【0049】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、火炎が中心領域CC側に寄って形成される。すなわち、火炎が炉壁101から離れるように形成される。したがって、バーナ21で形成される火炎と炉壁101との距離が長くすることができるので、火炎による炉壁101の損傷を抑制することができる。
【0050】
[第4実施形態]
次に、本開示の第4実施形態について
図11を用いて説明する。以下では、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付しその説明を省略する。
本実施形態に係るバーナ421も、上記第2実施形態及び第3実施形態と同様にガス燃料を噴射する。
噴射部455は、
図11に示すように、外殻を為す筐体457と、格子状の隔壁456と、を有する。筐体457及び隔壁456によって、複数の開口が区画されている。
図11では、筐体457及び隔壁456によって区画された開口のうち、網掛けで示した開口はガス燃料を噴射する噴射孔460を示し、白抜きで示した開口は燃焼用空気を噴射する空気噴射孔461を示している。本実施形態のバーナは、このようにガス燃料と燃焼用空気とを噴射して燃料と空気の混合を促進することで、比較的燃焼し難いガス燃料(例えば、製鉄プロセスから排出される副生ガス)を好適に燃焼することができる。
【0051】
鉛直面S2よりも火炉11の中心領域CC側において、噴射部455の水平方向(紙面左右方向)の長さが長くなっている。これにより、本実施形態の噴射部455は、鉛直面S2よりも火炉11の中心軸線C1側の方が、炉壁101側よりも噴射孔460の合計開口面積が大きい。
【0052】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、火炎が中心領域CC側に寄って形成される。すなわち、火炎が炉壁101から離れるように形成される。したがって、バーナ21で形成される火炎と炉壁101との距離が長くすることができるので、火炎による炉壁101の損傷を抑制することができる。
【0053】
[第5実施形態]
次に、本開示の第5実施形態について
図12を用いて説明する。以下では、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付しその説明を省略する。
本実施形態に係るバーナ521は、固体燃料を噴射する。固体燃料としては、例えば、バイオマス燃料、石炭、石油コークスなどを粉砕した微粉燃料が使用される。
噴射部555は、
図12に示すように、固体燃料を噴射する略正方形状の噴射孔560を有する。
【0054】
本実施形態の噴射部555は、バーナ軸線C2を通る鉛直面S2を基準として、火炉11の中心領域CC側に偏在している。すなわち、鉛直面S2よりも火炉11の中心領域CC側の方が、炉壁101側よりも噴射孔560の開口面積が大きい。
【0055】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、火炎が中心領域CC側に寄って形成される。すなわち、火炎が炉壁101から離れるように形成される。したがって、バーナ21で形成される火炎と炉壁101との距離が長くすることができるので、火炎による炉壁101の損傷を抑制することができる。
【0056】
[第6実施形態]
次に、本開示の第6実施形態について
図13を用いて説明する。以下では、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付しその説明を省略する。
本実施形態に係るバーナ621も、上記第5実施形態と同様に固体燃料を噴射する。
【0057】
本実施形態のバーナ621は、噴射部655内には、保炎器656,657,658が複数本設けられており、本実施形態では5本設けられている。各保炎器656,657,658は、上下方向に延在している。各保炎器656、657、658の上下端及び左右端は、それぞれ支持部材659によって、噴射部655の壁部に対して固定されている。
【0058】
本実施形態の噴射部655は、各保炎器656、657、658が、バーナ軸線C2を通る鉛直面S2を基準として、火炉11の中心領域CC側に偏在している。これにより、微粉燃料の火炎が、火炉11の中心領域CC側に寄って保炎される。
【0059】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、火炎が中心領域CC側に寄って形成される。すなわち、火炎が炉壁101から離れるように形成される。したがって、バーナ21で形成される火炎と炉壁101との距離が長くすることができるので、火炎による炉壁101の損傷を抑制することができる。
【0060】
[第7実施形態]
次に、本開示の第7実施形態について
図14を用いて説明する。以下では、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付しその説明を省略する。
本実施形態に係るバーナ721も、上記第5実施形態及び第6実施形態と同様に固体燃料を噴射する。
本実施形態のバーナ721は、固体燃料と搬送用空気が混合した燃料混合気を火炉11内に噴射する噴射部755と、噴射部755へ燃料混合気を導く燃料流路756と、燃料流路756内に設けられ、燃料流路756内を流通する混合気中の固体燃料を、噴射部755の出口断面において火炉11の中心領域CC側へ偏らせる第1偏流部757と、を備える。
【0061】
燃料流路756は、上下方向に延びる鉛直部756aと、鉛直部756aの上端から略直角に曲折する曲折部756cと、曲折部756cの下流端から水平方向に延びる水平部756bと、を有する。鉛直部756aの内部には、内部を流通する混合気中の固体燃料を曲折部756cにおける外側に偏流させる第2偏流部758が設けられていてもよい。水平部756bの下流端は、噴射部755に接続されている。
【0062】
第1偏流部757は、板状の部材であって、下流側が水平板となり、上流側が鉛直板となるように捩れている。詳細には、下流側における上面が、上流側における中心領域CC側の面となるように捩れている。
【0063】
本実施形態では、
図14の矢印で示すように、鉛直部756aを下方から上方に向かって流通する混合気中の固体燃料は、第2偏流部758によって、曲折部756cにおける外側に偏流させられる。また、混合気中の固体燃料は、曲折部756cにおいて遠心力により、外周側へ偏る。外周側へ偏った混合気中の固体燃料は、水平部756b内で第1偏流部757によって、火炉11の中心領域CC側へ偏流させられる。これにより、噴射部755から噴射される混合気は、火炉11の中心領域CC側において固体燃料の濃度が高くなる。
【0064】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、火炎が中心領域CC側に寄って形成される。すなわち、火炎が炉壁101から離れるように形成される。したがって、バーナ21で形成される火炎と炉壁101との距離が長くすることができるので、火炎による炉壁101の損傷を抑制することができる。
【0065】
なお、本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
【0066】
例えば、上述した実施形態では、本開示のボイラを、燃料に液体燃料、気体燃料、固体燃料のいずれかを使用するボイラとして説明したが、各種燃料を組み合わせて使用する混焼ボイラにも適用することができる。
【0067】
以上説明した実施形態に記載のバーナ及びボイラ並びにバーナの運転方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の一態様に係るバーナは、炉壁(101)に囲まれた火炉(11)内に噴射した燃料を燃焼させて前記火炉(11)内に旋回火炎を形成し、前記旋回火炎の中心軸領域(CC)に向かうバーナ軸線(C2)に沿って延在するバーナ(21)であって、前記バーナ軸線(C2)を基準として、前記炉壁(101)側よりも前記中心領域(CC)側の方が噴射される燃料の量が多くなるように前記火炉(11)内に燃料を噴射する噴射部(55)を備える。
【0068】
上記構成では、バーナ軸線を基準として、炉壁側よりも中心領域側の方が噴射される燃料の量が多くなるように火炉内に燃料を噴射する噴射部を備えている。これにより、火炎が中心領域側に寄って形成される。したがって、バーナで形成される火炎と炉壁との距離が長くすることができるので、火炎による炉壁の損傷を抑制することができる。
また、上記構成では、バーナ軸線を基準として、炉壁側よりも中心領域側の方が噴射される燃料の量が多くなるように火炉内に燃料を噴射することで火炉の炉壁の損傷を抑制している。これにより、各バーナの空気比を燃焼に好適な設定にできるので、バーナで火炎を形成する際に発生する窒素酸化物(NOx)の増大を抑制することができる。
【0069】
また、本開示の一態様に係るバーナは、前記噴射部(55)は、前記火炉(11)内に開口し、前記燃料が通過する噴射孔(60)を有し、前記噴射孔(60)は、前記中心領域(CC)側に偏るように配置されている。
【0070】
上記構成では、噴射孔が中心領域側に偏るように配置されている。これにより、炉壁側よりも中心領域側の方が噴射される燃料の量が多くなる。したがって、火炎が中心領域側に寄って形成される。よって、バーナで形成される火炎と炉壁との距離が長くすることができるので、火炎による炉壁の損傷を抑制することができる。また、各バーナの空気比を燃焼に好適な設定にできるので、バーナで火炎を形成する際に発生する窒素酸化物(NOx)の増大を抑制することができる。
【0071】
また、本開示の一態様に係るバーナは、前記噴射部(55)は、前記火炉(11)内に開口し、前記燃料が通過する噴射孔(60)を有し、前記噴射孔(60)は、前記バーナ軸線(C2)を基準として、前記炉壁(101)側よりも前記中心領域(CC)側の方が開口面積が大きい。
【0072】
上記構成では、噴射孔の開口面積が、炉壁側よりも中心領域側の方が大きい。これにより、炉壁側よりも中心領域側の方が噴射される燃料の量が多くなる。したがって、火炎が中心領域側に寄って形成される。よって、バーナで形成される火炎と炉壁との距離が長くすることができるので、火炎による炉壁の損傷を抑制することができる。また、各バーナの空気比を燃焼に好適な設定にできるので、バーナで火炎を形成する際に発生する窒素酸化物(NOx)の増大を抑制することができる。
【0073】
また、本開示の一態様に係るバーナは、前記噴射部(755)へ燃料を導く燃料流路(756)と、前記燃料流路(756)内に設けられ、前記燃料流路(756)内を流通する燃料を前記火炉(11)の前記中心領域(CC)側へ偏らせる偏流部(757)と、を備える。
【0074】
上記構成では、燃料流路内に設けられ、燃料流路内を流通する燃料を火炉の中心領域側へ偏らせる偏流部を備えている。これにより、炉壁側よりも中心領域側の方が、噴射部から噴射される燃料の量が多くなる。したがって、火炎が中心領域側に寄って形成される。よって、バーナで形成される火炎と炉壁との距離が長くすることができるので、火炎による炉壁の損傷を抑制することができる。また、各バーナの空気比を燃焼に好適な設定にできるので、バーナで火炎を形成する際に発生する窒素酸化物(NOx)の増大を抑制することができる。
【0075】
また、本開示の一態様に係るボイラは、上記いずれかに記載のバーナ(21)を備える。
【0076】
また、本開示の一態様に係るバーナの運転方法は、炉壁(101)に囲まれた火炉(11)内に噴射した燃料を燃焼させて前記火炉(11)内に旋回火炎を形成し、前記旋回火炎の中心領域(CC)に向かうバーナ軸線(C2)に沿って延在するバーナ(21)の運転方法であって、前記バーナ軸線(C2)を基準として、前記炉壁(101)側よりも前記中心領域(CC)側の方が噴射される燃料の量が多くなるように前記火炉(11)内に燃料を噴射する噴射工程を備える。
【符号の説明】
【0077】
10 :ボイラ
11 :火炉
12 :燃焼ガス通路
13 :煙道
20 :燃焼装置
21 :バーナ
23 :風箱
24 :風道
32 :押込通風機(FDF)
41 :ガスダクト
42 :空気予熱器
43 :脱硝装置
44 :集じん装置
45 :誘引通風機(IDF)
46 :脱硫装置
47 :煙突
50 :バーナ基部
51 :第1蒸気流路
52 :第1燃料流路
55 :バーナチップ
56 :第2蒸気流路
57 :第2燃料流路
57a :入口開口
58 :混合流路
59 :連通路
60 :噴射孔
60A :第1噴射孔
60Af :液体燃料
60B :第2噴射孔
60Bf :液体燃料
60Bfa :液体燃料
60Bfb :液体燃料
70 :蒸気管
71 :燃料管
75 :燃焼用空気供給ポート
101 :炉壁
102 :過熱器
102A :過熱器
102B :過熱器
102C :過熱器
103 :再熱器
103A :再熱器
103B :再熱器
104 :節炭器
221 :バーナ
255 :噴射部
260 :噴射孔
321 :バーナ
355 :噴射部
360 :噴射孔
421 :バーナ
455 :噴射部
456 :隔壁
457 :筐体
460 :噴射孔
461 :空気噴射孔
521 :バーナ
555 :噴射部
560 :噴射孔
621 :バーナ
655 :噴射部
656 :保炎器
657 :保炎器
658 :保炎器
659 :支持部材
721 :バーナ
755 :噴射部
756 :燃料流路
756a :鉛直部
756b :水平部
756c :曲折部
757 :第1偏流部
758 :第2偏流部