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特開2023-105861工程表作成システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105861
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】工程表作成システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20230725BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20230725BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006853
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】515080663
【氏名又は名称】株式会社リヨ・デ・ホーム
(71)【出願人】
【識別番号】510103749
【氏名又は名称】株式会社理世化学
(74)【代理人】
【識別番号】100106954
【弁理士】
【氏名又は名称】岩城 全紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114638
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 寛也
(72)【発明者】
【氏名】大澤 正樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA09
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】工程変更時のユーザの手間を軽減でき、知識や経験に乏しいユーザでも適切な工程変更を行うことができる工程表作成システムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】各工事の相対開始日、工事日数、直接グループや間接グループへの帰属情報を含む工程表マスタデータを記憶する工程表マスタデータ記憶手段45と、工程表マスタデータを用いて建築物毎の個別工程表データを作成する工程表作成手段24と、工事開始日を変更する工事および移動日数についてのユーザの入力指定を受け付け、各工事の直接グループや間接グループへの帰属情報に従って工程変更を行い、個別工程表データを変更する工程表変更手段26と、個別工程表データおよび各相対開始日の基準日を用いて工程表の表示・印刷を行う工程表出力手段25とを設け、工程表作成システム10を構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物を施工するための工程表を作成するコンピュータにより構成された工程表作成システムであって、
前記建築物を施工するための各工事について、工事識別情報、工事開始日をユーザにより入力指定された基準日からの相対日数で定める相対開始日、各工事の実施に要する工事日数、並びに、前記相対開始日で定まる工事の前後関係を維持する必要がある直接関連工事の集合からなる直接グループおよび/または前記相対開始日で定まる工事の前後関係を必ずしも維持する必要のない間接関連工事の集合からなる間接グループへの帰属情報を含む工程表マスタデータを記憶する工程表マスタデータ記憶手段と、
この工程表マスタデータ記憶手段に記憶された前記工程表マスタデータの前記工事識別情報、前記相対開始日、前記工事日数、並びに、前記直接グループおよび/または前記間接グループへの帰属情報を含むデータをコピーして前記建築物毎の個別工程表データを作成する処理を実行する工程表作成手段と、
工事開始日を変更する工事および移動日数についてのユーザの入力指定を受け付け、前記個別工程表データを用いて、変更対象の工事以降の工事について、変更対象の工事が属する直接グループの直接関連工事またはこの直接グループと相対開始日の基準日が同じ直接グループの直接関連工事の前記相対開始日を、入力指定された前記移動日数だけ移動し、さらに、移動した直接グループに属し、かつ、間接グループにも属する工事がある場合には、この双方に属する工事と同じ間接グループに属する間接関連工事の前記相対開始日を、前記移動日数だけ移動するか否かをユーザに確認し、ユーザの移動指示があった場合に前記移動日数だけ移動することにより、前記個別工程表データを変更する処理を実行する工程表変更手段と、
前記工程表作成手段により作成されるか、または前記工程表変更手段により変更された前記個別工程表データ、並びに前記基準日を用いて、各工事の前記工事開始日を示す日付を計算し、この計算結果に従って前記工程表を画面表示および/または印刷する処理を実行する工程表出力手段と
を備えたことを特徴とする工程表作成システム。
【請求項2】
前記建築物の施工に必要な部材の数量を部材識別情報と関連付けて記憶する積算データ記憶手段を備え、
前記工程表マスタデータには、
予め定められた標準工程に対して追加する工事であることを示す追加工事の指定情報および前記標準工程に対して割込みを行う工事であることを示す割込み工事の指定情報が、工程変更項目データとして含まれるとともに、
前記追加工事および前記割込み工事の指定情報にそれぞれ対応する状態で、前記追加工事および前記割込み工事に必要となる部材の部材識別情報が、工程変更判定用部材識別情報として含まれ、
更に前記割込み工事の指定情報および前記工事日数と対応する状態で、その工事日数で取り扱うことができる前記工程変更判定用部材識別情報の部材の最大数量が、工程変更判定用最大数量として含まれ、
前記工程表作成手段は、
前記個別工程表データに前記追加工事を組み込む追加工事配置処理と、前記個別工程表データに前記割込み工事を組み込む割込み工事配置処理とを実行する構成とされ、
前記追加工事配置処理は、
前記工程表マスタデータ記憶手段に記憶された前記工程表マスタデータの中に前記工事変更項目データとして前記追加工事の指定情報が含まれている場合に、前記追加工事の指定情報に対応する状態で前記工程表マスタデータの中に含まれている前記工程変更判定用部材識別情報と同一の部材識別情報が、前記積算データ記憶手段に記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合には、他の各工事の前記相対開始日を変更することなく、前記追加工事の前記相対開始日および前記工事日数を組み込んだ前記個別工程表データを作成する処理であり、
前記割込み工事配置処理は、
前記工程表マスタデータ記憶手段に記憶された前記工程表マスタデータの中に前記工事変更項目データとして前記割込み工事の指定情報が含まれている場合に、前記割込み工事の指定情報に対応する状態で前記工程表マスタデータの中に含まれている前記工程変更判定用部材識別情報と同一の部材識別情報が、前記積算データ記憶手段に記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合には、前記工程表マスタデータの中に前記割込み工事の指定情報と対応する状態で工程変更判定用最大数量があるか否かを判断し、
工程変更判定用最大数量がない場合には、前記割込み工事よりも後に実施する各工事の前記相対開始日を、前記割込み工事の前記工事日数だけ移動させるとともに、前記割込み工事の前記相対開始日および前記工事日数を組み込んだ前記個別工程表データを作成し、
工程変更判定用最大数量がある場合には、前記積算データ記憶手段から当該部材識別情報に関連付けて記憶されている部材の数量を取得し、取得した部材の数量と、前記工事識別情報が同一の複数の前記割込み工事の前記工程変更判定用最大数量の各々とを比較し、取得した部材の数量以上であり、かつ、取得した部材の数量に最も近い前記工程変更判定用最大数量を選択し、選択した前記工程変更判定用最大数量に対応する前記割込み工事よりも後に実施する各工事の前記相対開始日を、選択した前記工程変更判定用最大数量に対応する前記割込み工事の前記工事日数だけ移動させるとともに、選択した前記工程変更判定用最大数量に対応する前記割込み工事の前記相対開始日および前記工事日数を組み込んだ前記個別工程表データを作成する処理である
ことを特徴とする請求項1に記載の工程表作成システム。
【請求項3】
前記建築物についてユーザにより入力された現場情報を記憶する現場情報記憶手段を備え、
前記工程表マスタデータおよび前記個別工程表データには、
間接グループに属し、かつ、直接グループに属さない工事について、前記現場情報記憶手段に記憶された前記現場情報を用いて間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更の要否を判断する工事であることを示すグループ変更要否判断指示情報が、現場情報参照指示データとして含まれ、
前記工程表変更手段は、
前記個別工程表データの中に前記グループ変更要否判断指示情報がある間接関連工事について、前記現場情報記憶手段に記憶された前記現場情報を取得し、取得した前記現場情報を用いて間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更をするか否かを判断し、
取り扱いの変更をすると判断した場合には、前記グループ変更要否判断指示情報がある間接関連工事の前記相対開始日を、直接関連工事の取り扱いと同様に、ユーザへの確認をすることなく前記移動日数だけ移動し、
取り扱いの変更をしないと判断した場合には、間接関連工事の本来の取り扱いとして、前記移動日数だけ移動するか否かをユーザに確認し、ユーザの移動指示があった場合に前記移動日数だけ移動する処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の工程表作成システム。
【請求項4】
前記建築物についてユーザにより入力された現場情報を記憶する現場情報記憶手段を備え、
前記工程表マスタデータには、
間接グループに属し、かつ、直接グループに属さない工事について、前記現場情報記憶手段に記憶された前記現場情報を用いて別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更の要否を判断する工事であることを示す相対開始日置換要否判断指示情報が、現場情報参照指示データとして含まれ、
前記工程表作成手段は、
前記工程表マスタデータの中に前記相対開始日置換要否判断指示情報がある間接関連工事について、前記現場情報記憶手段に記憶された前記現場情報を取得し、取得した前記現場情報を用いて別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更をするか否かを判断し、
別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更をすると判断した場合には、前記相対開始日置換要否判断指示情報がある間接関連工事の前記相対開始日を、予め指定された別の相対開始日に置換するとともに、当該間接関連工事を、当該間接関連工事が属する間接グループの他の間接関連工事が属する直接グループに帰属させることにより、前記個別工程表データを作成する処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の工程表作成システム。
【請求項5】
前記現場情報記憶手段は、
外部システムから通信回線を介して取得した、前記建築物の設置地域に対応させて予め定められた天候情報取得対象地域についての天候情報も日付と関連付けて前記現場情報として記憶する構成とされ、
前記工程表マスタデータおよび前記個別工程表データには、
前記天候情報を用いて工事開始日の変更の要否を判断する工事であることを示す天候考慮指示情報が、前記現場情報参照指示データとして含まれ、
前記工程表変更手段は、
工事開始日を変更する工事および移動日数についてのユーザの入力指定を受け付ける際または受け付けた際に、前記現場情報記憶手段に記憶された前記天候情報を用いて、前記天候考慮指示情報がある工事のうちの未実施の残工事について工事開始日を変更する必要があるか否かを判断し、その判断結果をユーザに伝達する注意喚起表示処理を実行し、
この際、ユーザの入力指定に従って変更対象の工事以降の工事についての移動処理を行う前に実行する事前注意喚起表示処理と、この移動処理を行った後に実行する事後注意喚起表示処理とのうちの少なくとも一方の処理を実行する構成とされ、
前記事前注意喚起表示処理は、
前記残工事の現状の工事開始日および工事日数で定まる現状の工事実施期間に対応する日付の前記天候情報を用いて、前記残工事について工事開始日を変更する必要があるか否かを判断し、その判断結果をユーザに伝達する処理であり、
前記事後注意喚起表示処理は、
ユーザの入力指定に従って前記工事実施期間の移動が行われた前記残工事については、移動後の工事実施期間に対応する日付の前記天候情報を用いて、既に行った移動処理とは別に、更なる工事開始日の変更が必要であるか否かを判断し、
前記工事実施期間の移動が行われなかった前記残工事については、移動が行われなかった前記工事実施期間に対応する日付の前記天候情報を用いて、工事開始日を変更する必要があるか否かを判断する処理である
ことを特徴とする請求項3または4に記載の工程表作成システム。
【請求項6】
前記工程表マスタデータ記憶手段には、
全工程のうちの一部に相当する大工工程について期間長の異なる複数の大工工程マスタデータが記憶され、
前記工程表作成手段は、
大工人数、大工工事金額、および1人工当たりの単価の入力を受け付け、受け付けた前記大工工事金額を前記1人工当たりの単価で割って得られる日数を、前記大工人数で割ることにより、大工工程日数を算出する金額ベースの大工工程日数算出処理、
または、大工人数、前記建築物の坪数、および1坪当たりの人工数を受け付け、受け付けた前記坪数に前記1坪当たりの人工数を乗じて得られる日数を、前記大工人数で割ることにより、大工工程日数を算出する坪数ベースの大工工程日数算出処理のうちの少なくとも一方の処理を実行し、
複数の前記大工工程マスタデータのうち、算出した前記大工工程日数に最も近い期間長を有するか、算出した前記大工工程日数以下で、かつ、算出した前記大工工程日数に最も近い期間長を有するか、または、算出した前記大工工程日数以上で、かつ、算出した前記大工工程日数に最も近い期間長を有する前記大工工程マスタデータを選択し、選択した前記大工工程マスタデータを前記工程表マスタデータの大工工程の位置に嵌め込むことにより、前記個別工程表データを作成する大工工程選択処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の工程表作成システム。
【請求項7】
全工程の一部に相当する局所的な工程について前記工程表マスタデータとは異なる期間長を有する代替工程データの登録を受け付け、受け付けた前記代替工程データを代替工程記憶手段に記憶させる処理を実行する代替工程登録手段を備え、
前記工程表変更手段は、
ユーザの入力指定に従って変更対象の工事以降の工事についての移動処理を行った結果、移動した工程部分と、ユーザにより入力指定された前記基準日の異なる後続の工程部分とが重なった場合には、重なった旨の警告表示を実行するとともに、
移動処理を行った工程部分の前記工事識別情報を用いて、前記代替工程記憶手段に記憶されている前記代替工程データの中から、移動処理を行った工程部分またはその一部と入れ替えることが可能な前記代替工程データを抽出し、ユーザに対し、抽出した前記代替工程データを用いて代替工程を画面上で提示し、
提示した代替工程の中からユーザが選択した代替工程に対応する前記代替工程データを、移動処理を行った工程部分またはその一部と入れ替える代替工程提示処理を実行する構成とされている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の工程表作成システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の工程表作成システムとして、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物を施工するための工程表を作成するコンピュータにより構成された工程表作成システムおよびプログラムに係り、例えば、見積書や原価計算書等の各種の建築関連帳票を作成するために建築物の設計図から算出された積算データを利用して工程表を自動作成する場合等に利用できる。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物を施工する際には、工程表を作成し、その工程表に従って各工事を順番に実施していく。このような工程表を作成するシステムには、作成した工程表を画面上のガントチャートで表示するものが多い(特許文献1,2参照)。なお、ガントチャートによる工程管理は、建築物の施工に限らず、例えば、システム開発等、多くの分野で採用されている。
【0003】
また、最初に計画した工程に対し、天候等の各種の事情により、変更が生じるのは常であるが、これを工程表に反映させるためには、ガントチャートによる表示であれば、作業の進捗状況を示す横棒の位置を左右方向(時間軸の方向)に移動させることになる。つまり、時間はチャート上で左から右に流れるので、作業の開始時期(開始日)を示す横棒の左端や、作業の終了時期(終了日)を示す横棒の右端の位置をチャート上でずらすことになる。この横棒の左右の端部をずらす操作は、例えば、画面上で左右の端部をドラッグする操作等で実現されている。
【0004】
さらに、予定と実績とを並べて表示するという手法も多く採用されている。つまり、予定および実績を示す2つの横棒を、例えば色を変えて並べて表示する。工程に変更が生じた場合は、長さが異なる2つの横棒、あるいは左右に位置がずれた2つの横棒が並べて表示されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-211710号公報
【特許文献2】特開平9-53324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、建築物の施工に限らず、スケジュール管理が必要となる多くの分野の作業では、工程表が使用され、システムによる工程表の表示処理や、工程表の変更を反映した表示処理が実現されている。
【0007】
しかし、上記の工程表の変更を反映した表示処理は、工程表の変更内容(工程表を構成する各作業を移動する日付)が決まった後にその変更内容を反映させる表示処理のことである。従って、工程表をどのように変更するのか(工程表を構成する各作業をどの日付に移動するのか)を決定するシステム処理が、どのような分野においても実現されているということではない。例えば、ガントチャート表示を行う場合に、ある作業を例えば2日延期するので、その作業を含む複数の作業からなる工程を示す横棒の右端を、右方向に2日分スライドさせることが決まっているとすれば、その決定事項をそのまま画面表示するだけであるが、その前に、単純に右方向に2日分スライドさせるだけでよいのか否か、あるいは、その後の工程を示す他の横棒は、スライドさせるのか否か等を決定する必要があり、その決定自体が困難な場合もある。
【0008】
建築物の施工では、様々な内容の多くの工事により工程表が構成され、それぞれの工事は、互いに関連性を有している。例えば、ある工事を終えなければ、次の工事に進めない、あるいは、ある工事は、他の工事と同時期に並行して実施したほうがよい等の関連性を有している。従って、工事開始日を変更するには、建築に関する知識や経験が必要である。そして、建築の現場では、天候等の影響により、工程の変更が必要になる状況が頻繁に生じるので、毎回、現場の担当者(本願では、ユーザである施工主またはその従業員)がこの変更の判断を行うとなると確認に手間や時間がかかるうえ、十分な知識や経験がない担当者の場合には、不適切な工程の変更を行ってしまう可能性もある。
【0009】
本発明の目的は、工程変更時のユーザの手間を軽減でき、知識や経験に乏しいユーザでも適切な工程変更を行うことができる工程表作成システムおよびプログラムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、建築物を施工するための工程表を作成するコンピュータにより構成された工程表作成システムであって、
建築物を施工するための各工事について、工事識別情報、工事開始日をユーザにより入力指定された基準日からの相対日数で定める相対開始日、各工事の実施に要する工事日数、並びに、相対開始日で定まる工事の前後関係を維持する必要がある直接関連工事の集合からなる直接グループおよび/または相対開始日で定まる工事の前後関係を必ずしも維持する必要のない間接関連工事の集合からなる間接グループへの帰属情報を含む工程表マスタデータを記憶する工程表マスタデータ記憶手段と、
この工程表マスタデータ記憶手段に記憶された工程表マスタデータの工事識別情報、相対開始日、工事日数、並びに、直接グループおよび/または間接グループへの帰属情報を含むデータをコピーして建築物毎の個別工程表データを作成する処理を実行する工程表作成手段と、
工事開始日を変更する工事および移動日数についてのユーザの入力指定を受け付け、個別工程表データを用いて、変更対象の工事以降の工事について、変更対象の工事が属する直接グループの直接関連工事またはこの直接グループと相対開始日の基準日が同じ直接グループの直接関連工事の相対開始日を、入力指定された移動日数だけ移動し、さらに、移動した直接グループに属し、かつ、間接グループにも属する工事がある場合には、この双方に属する工事と同じ間接グループに属する間接関連工事の相対開始日を、移動日数だけ移動するか否かをユーザに確認し、ユーザの移動指示があった場合に移動日数だけ移動することにより、個別工程表データを変更する処理を実行する工程表変更手段と、
工程表作成手段により作成されるか、または工程表変更手段により変更された個別工程表データ、並びに基準日を用いて、各工事の工事開始日を示す日付を計算し、この計算結果に従って工程表を画面表示および/または印刷する処理を実行する工程表出力手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
このような本発明の工程表作成システムにおいては、工程表マスタデータおよびこれを用いて作成された建築物毎の個別工程表データの中に、各工事についての直接グループおよび/または間接グループへの帰属情報が含まれているので、この帰属情報を用いて、直接関連工事や間接関連工事の内容に応じた工程の変更が行われる。
【0012】
従って、様々な内容の多くの工事が行われる建築物の施工であっても、工程変更時のユーザ(施工主またはその従業員)の手間を軽減することができるとともに、知識や経験に乏しいユーザでも適切な工程変更を行うことができるようになり、これらにより前記目的が達成される。
【0013】
<工程表マスタデータの中に、工程変更項目データ、工程変更判定用部材識別情報、工程変更判定用最大数量が含まれる構成>
【0014】
また、上述した工程表作成システムにおいて、
建築物の施工に必要な部材の数量を部材識別情報と関連付けて記憶する積算データ記憶手段を備え、
工程表マスタデータには、
予め定められた標準工程に対して追加する工事であることを示す追加工事の指定情報および標準工程に対して割込みを行う工事であることを示す割込み工事の指定情報が、工程変更項目データとして含まれるとともに、
追加工事および割込み工事の指定情報にそれぞれ対応する状態で、追加工事および割込み工事に必要となる部材の部材識別情報が、工程変更判定用部材識別情報として含まれ、
更に割込み工事の指定情報および工事日数と対応する状態で、その工事日数で取り扱うことができる工程変更判定用部材識別情報の部材の最大数量が、工程変更判定用最大数量として含まれ、
工程表作成手段は、
個別工程表データに追加工事を組み込む追加工事配置処理と、個別工程表データに割込み工事を組み込む割込み工事配置処理とを実行する構成とされ、
追加工事配置処理は、
工程表マスタデータ記憶手段に記憶された工程表マスタデータの中に工事変更項目データとして追加工事の指定情報が含まれている場合に、追加工事の指定情報に対応する状態で工程表マスタデータの中に含まれている工程変更判定用部材識別情報と同一の部材識別情報が、積算データ記憶手段に記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合には、他の各工事の相対開始日を変更することなく、追加工事の相対開始日および工事日数を組み込んだ個別工程表データを作成する処理であり、
割込み工事配置処理は、
工程表マスタデータ記憶手段に記憶された工程表マスタデータの中に工事変更項目データとして割込み工事の指定情報が含まれている場合に、割込み工事の指定情報に対応する状態で工程表マスタデータの中に含まれている工程変更判定用部材識別情報と同一の部材識別情報が、積算データ記憶手段に記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合には、工程表マスタデータの中に割込み工事の指定情報と対応する状態で工程変更判定用最大数量があるか否かを判断し、
工程変更判定用最大数量がない場合には、割込み工事よりも後に実施する各工事の前記相対開始日を、割込み工事の工事日数だけ移動させるとともに、割込み工事の相対開始日および工事日数を組み込んだ個別工程表データを作成し、
工程変更判定用最大数量がある場合には、積算データ記憶手段から当該部材識別情報に関連付けて記憶されている部材の数量を取得し、取得した部材の数量と、工事識別情報が同一の複数の割込み工事の工程変更判定用最大数量の各々とを比較し、取得した部材の数量以上であり、かつ、取得した部材の数量に最も近い工程変更判定用最大数量を選択し、選択した工程変更判定用最大数量に対応する割込み工事よりも後に実施する各工事の相対開始日を、選択した工程変更判定用最大数量に対応する割込み工事の工事日数だけ移動させるとともに、選択した工程変更判定用最大数量に対応する割込み工事の相対開始日および工事日数を組み込んだ個別工程表データを作成する処理であることが望ましい。
【0015】
ここで、「工程表マスタデータには、予め定められた標準工程に対して追加する工事であることを示す追加工事の指定情報および標準工程に対して割込みを行う工事であることを示す割込み工事の指定情報が、工程変更項目データとして含まれるとともに」の「含まれる」とは、追加工事および割込み工事以外の指定情報が含まれていてもよい趣旨であり、例えば、工程変更項目データには、標準工程から削除される工事であることを示す省略工事の指定情報が含まれていてもよい。また、上記の「追加工事の指定情報および・・・割込み工事の指定情報」の「および」とは、追加工事として指定される工事と、割込み工事として指定される工事とがあるという意味であり、1つの工事が、追加工事および割込み工事の双方として指定されるという意味ではない。
【0016】
このように工程表マスタデータの中に、工程変更項目データ、工程変更判定用部材識別情報、工程変更判定用最大数量が含まれる構成とした場合には、工程表作成手段により工程表マスタデータから建築物毎の個別工程表データを作成する際に、既に得られている積算データから、建築物の施工に使用される部材や、その数量の情報を取得し、取得した情報に応じた個別工程表データを作成することが可能となる。このため、積算データを算出する建築積算システムとの連携を図ることができるうえ、用意する標準工程の数、すなわち用意する工程表マスタデータの数を適度な数に抑えることが可能となり、事前に行う工程表マスタデータの準備や編集作業が容易になる。
【0017】
<現場情報を用いて間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更の要否を判断する構成>
【0018】
また、前述した工程表作成システムにおいて、
建築物についてユーザにより入力された現場情報を記憶する現場情報記憶手段を備え、
工程表マスタデータおよび個別工程表データには、
間接グループに属し、かつ、直接グループに属さない工事について、現場情報記憶手段に記憶された現場情報を用いて間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更の要否を判断する工事であることを示すグループ変更要否判断指示情報が、現場情報参照指示データとして含まれ、
工程表変更手段は、
個別工程表データの中にグループ変更要否判断指示情報がある間接関連工事について、現場情報記憶手段に記憶された現場情報を取得し、取得した現場情報を用いて間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更をするか否かを判断し、
取り扱いの変更をすると判断した場合には、グループ変更要否判断指示情報がある間接関連工事の相対開始日を、直接関連工事の取り扱いと同様に、ユーザへの確認をすることなく移動日数だけ移動し、
取り扱いの変更をしないと判断した場合には、間接関連工事の本来の取り扱いとして、移動日数だけ移動するか否かをユーザに確認し、ユーザの移動指示があった場合に移動日数だけ移動する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0019】
このように現場情報を用いて間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更の要否を判断する構成した場合には、本来は間接関連工事であるが、現場の状況によっては、工程の変更をする際に直接関連工事として取り扱った方がよいケースがあれば、そのような状況を反映させて工程の変更を行うことが可能となるので、より適切な工程の変更を実現することができる。
【0020】
<現場情報を用いて別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更の要否を判断する構成>
【0021】
さらに、前述した工程表作成システムにおいて、
建築物についてユーザにより入力された現場情報を記憶する現場情報記憶手段を備え、
工程表マスタデータには、
間接グループに属し、かつ、直接グループに属さない工事について、現場情報記憶手段に記憶された現場情報を用いて別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更の要否を判断する工事であることを示す相対開始日置換要否判断指示情報が、現場情報参照指示データとして含まれ、
工程表作成手段は、
工程表マスタデータの中に相対開始日置換要否判断指示情報がある間接関連工事について、現場情報記憶手段に記憶された現場情報を取得し、取得した現場情報を用いて別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更をするか否かを判断し、
別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更をすると判断した場合には、相対開始日置換要否判断指示情報がある間接関連工事の前記相対開始日を、予め指定された別の相対開始日に置換するとともに、当該間接関連工事を、当該間接関連工事が属する間接グループの他の間接関連工事が属する直接グループに帰属させることにより、個別工程表データを作成する処理を実行する構成とされていることが望ましい。
【0022】
ここで、「予め指定された別の相対開始日」は、工程表マスタデータの中で指定されていてもよく、工事識別情報と関連付けて置換用相対開始日記憶手段に記憶されていてもよい。
【0023】
また、工程表作成手段により工程表マスタデータから個別工程表データを作成する時点(すなわち、初回の工程表の作成時点)で、参照すべき現場情報が現場情報記憶手段に記憶されていない場合には、その後、工程表変更手段により、個別工程表データを用いて同様な処理(現場情報を用いて別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更の要否を判断する処理、並びに、置換および変更をすると判断した場合における置換および変更の処理)を行うことができる構成としてもよい。
【0024】
このように現場情報を用いて別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更の要否を判断する構成とした場合には、工程表作成手段により工程表マスタデータから個別工程表データを作成する際に、現場の状況によっては、別の相対開始日への置換を行い、かつ、本来は間接関連工事であるが、直接関連工事として取り扱った方がよいケースがあれば、そのような状況を反映させて個別工程表データを作成することが可能となるので、より適切な工程表を作成することができる。
【0025】
<天候情報を用いて注意喚起表示処理を行う構成>
【0026】
また、前述した現場情報を用いて間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更の要否を判断する構成、または、現場情報を用いて別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更の要否を判断する構成とする場合において、
現場情報記憶手段は、
外部システムから通信回線を介して取得した、建築物の設置地域に対応させて予め定められた天候情報取得対象地域についての天候情報も日付と関連付けて現場情報として記憶する構成とされ、
工程表マスタデータおよび個別工程表データには、
天候情報を用いて工事開始日の変更の要否を判断する工事であることを示す天候考慮指示情報が、現場情報参照指示データとして含まれ、
工程表変更手段は、
工事開始日を変更する工事および移動日数についてのユーザの入力指定を受け付ける際または受け付けた際に、現場情報記憶手段に記憶された天候情報を用いて、天候考慮指示情報がある工事のうちの未実施の残工事について工事開始日を変更する必要があるか否かを判断し、その判断結果をユーザに伝達する注意喚起表示処理を実行し、
この際、ユーザの入力指定に従って変更対象の工事以降の工事についての移動処理を行う前に実行する事前注意喚起表示処理と、この移動処理を行った後に実行する事後注意喚起表示処理とのうちの少なくとも一方の処理を実行する構成とされ、
事前注意喚起表示処理は、
残工事の現状の工事開始日および工事日数で定まる現状の工事実施期間に対応する日付の天候情報を用いて、残工事について工事開始日を変更する必要があるか否かを判断し、その判断結果をユーザに伝達する処理であり、
事後注意喚起表示処理は、
ユーザの入力指定に従って工事実施期間の移動が行われた残工事については、移動後の工事実施期間に対応する日付の天候情報を用いて、既に行った移動処理とは別に、更なる工事開始日の変更が必要であるか否かを判断し、
工事実施期間の移動が行われなかった残工事については、移動が行われなかった工事実施期間に対応する日付の天候情報を用いて、工事開始日を変更する必要があるか否かを判断する処理であることが望ましい。
【0027】
このように天候情報を用いて注意喚起表示処理を行う構成とした場合には、天候情報の影響を受ける工事があるときに、外部システムから取得した天候情報取得対象地域における天候情報(予報)に基づき、工事開始日を変更する必要があるか否かを判断し、その判断結果をユーザに伝達することができるので、ユーザは、適切な工程の変更を行うことが可能となる。
【0028】
<天候情報を用いて注意喚起表示処理を行う構成に対する付加的な構成>
【0029】
なお、上述した天候情報を用いて注意喚起表示処理を行う構成とする場合において、
工程表変更手段を「事前注意喚起表示処理」および「事後注意喚起表示処理」の双方を実行する構成とする場合には、「事前注意喚起表示処理」、「事後注意喚起表示処理」のうちの少なくとも一方の処理を、「個別判定処理」および「複合判定処理」を含む処理とすることができる。また、工程表変更手段を、「事前注意喚起表示処理」は実行するが「事後注意喚起表示処理」は実行しない構成とする場合には、「事前注意喚起表示処理」を、「個別判定処理」および「複合判定処理」を含む処理とすることができる。逆に、工程表変更手段を、「事後注意喚起表示処理」は実行するが「事前注意喚起表示処理」は実行しない構成とする場合には、「事後注意喚起表示処理」を、「個別判定処理」および「複合判定処理」を含む処理とすることができる。
【0030】
ここで、「個別判定処理」は、天候情報取得対象期間内に実施が予定されている各工事のうち、天候考慮指示情報が設定されている各工事について、それらの工事間の工程変更時の連動性を考慮しないようにするため、天候情報取得対象期間内に実施が予定されている各工事の中に天候考慮指示情報が設定されている工事が1つしかないものと仮定して、それらの工事の各々を実施する予定の日付の天候情報を用いて、それらの工事の各々の工事開始日を変更すべきか否かを判断し、その判断結果を表示する処理である。
【0031】
また、「複合判定処理」は、天候情報取得対象期間内に実施が予定されている各工事のうち、天候考慮指示情報が設定されている各工事について、それらの工事間の工程変更時の連動性を考慮するために、天候情報取得対象期間内に実施が予定されている各工事の中に天候考慮指示情報が設定されている複数の工事がある場合には、先に実施される先の工事について、先の工事を実施する予定の日付の天候情報を用いて、先の工事の工事開始日を変更すべきか否かを判断し、変更すべきであると判断した場合には、先の工事の相対開始日を変更したと仮定し、さらに、先の工事の相対開始日の変更に伴って、その後に実施される後の工事の相対開始日も変更したと仮定し、その変更後の状態で、後の工事を実施する予定の日付の天候情報を用いて、後の工事の工事開始日を変更すべきか否かを判断し、その判断結果を表示する処理である。
【0032】
<金額ベースまたは坪数ベースの大工工程日数を算出して個別工程表データを作成する構成>
【0033】
さらに、以上に述べた工程表作成システムにおいて、
工程表マスタデータ記憶手段には、
全工程のうちの一部に相当する大工工程について期間長の異なる複数の大工工程マスタデータが記憶され、
工程表作成手段は、
大工人数、大工工事金額、および1人工当たりの単価の入力を受け付け、受け付けた大工工事金額を1人工当たりの単価で割って得られる日数を、大工人数で割ることにより、大工工程日数を算出する金額ベースの大工工程日数算出処理、
または、大工人数、建築物の坪数、および1坪当たりの人工数を受け付け、受け付けた坪数に1坪当たりの人工数を乗じて得られる日数を、大工人数で割ることにより、大工工程日数を算出する坪数ベースの大工工程日数算出処理のうちの少なくとも一方の処理を実行し、
複数の大工工程マスタデータのうち、算出した大工工程日数に最も近い期間長を有するか、算出した大工工程日数以下で、かつ、算出した大工工程日数に最も近い期間長を有するか、または、算出した大工工程日数以上で、かつ、算出した大工工程日数に最も近い期間長を有する大工工程マスタデータを選択し、選択した大工工程マスタデータを工程表マスタデータの大工工程の位置に嵌め込むことにより、個別工程表データを作成する大工工程選択処理を実行する構成としてもよい。
【0034】
このように金額ベースまたは坪数ベースの大工工程日数を算出して個別工程表データを作成する構成とした場合には、建築物毎の個別の事情を、より的確に反映した工程表を作成することが可能となる。
【0035】
<変更対象の工事以降の工事についての移動処理を行った結果、移動した工程部分と、基準日の異なる後続の工程部分とが重なった場合に、代替工程を提示する構成>
【0036】
また、以上に述べた工程表作成システムにおいて、
全工程の一部に相当する局所的な工程について工程表マスタデータとは異なる期間長を有する代替工程データの登録を受け付け、受け付けた代替工程データを代替工程記憶手段に記憶させる処理を実行する代替工程登録手段を備え、
工程表変更手段は、
ユーザの入力指定に従って変更対象の工事以降の工事についての移動処理を行った結果、移動した工程部分と、ユーザにより入力指定された基準日の異なる後続の工程部分とが重なった場合には、重なった旨の警告表示を実行するとともに、
移動処理を行った工程部分の工事識別情報を用いて、代替工程記憶手段に記憶されている代替工程データの中から、移動処理を行った工程部分またはその一部と入れ替えることが可能な代替工程データを抽出し、ユーザに対し、抽出した代替工程データを用いて代替工程を画面上で提示し、
提示した代替工程の中からユーザが選択した代替工程に対応する代替工程データを、移動処理を行った工程部分またはその一部と入れ替える代替工程提示処理を実行する構成としてもよい。
【0037】
このように変更対象の工事以降の工事についての移動処理を行った結果、移動した工程部分と、基準日の異なる後続の工程部分とが重なったときに、代替工程を提示する構成とした場合には、提示された代替工程をユーザが選択することにより、基準日の異なる後続の工程部分を移動しなくても、移動した工程部分と、基準日の異なる後続の工程部分との重なりを回避することが可能となり、より適切な工程の変更を行うことができるようになる。
【0038】
<プログラムの発明>
【0039】
また、本発明のプログラムは、以上に述べた工程表作成システムとして、コンピュータを機能させるためのものである。
【0040】
なお、上記のプログラムまたはその一部は、例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、USBメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等の各種の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。さらに、上記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【0041】
<別の発明>
【0042】
また、本願には、次のような別の発明も含まれている。
すなわち、別の発明は、建築物を施工するための工程表を作成するコンピュータにより構成された工程表作成システムであって、
建築物を施工するための各工事について、工事識別情報、工事開始日をユーザにより入力指定された基準日からの相対日数で定める相対開始日、および、各工事の実施に要する工事日数を含む工程表マスタデータを記憶する工程表マスタデータ記憶手段と、
この工程表マスタデータ記憶手段に記憶された工程表マスタデータの工事識別情報、相対開始日、および工事日数を含むデータをコピーして建築物毎の個別工程表データを作成する処理を実行する工程表作成手段と、
工程表作成手段により作成された個別工程表データ、および基準日を用いて、各工事の工事開始日を示す日付を計算し、この計算結果に従って工程表を画面表示および/または印刷する処理を実行する工程表出力手段とを備え、
個別工程表データは、
複数の大グループのデータを含み、各大グループは、複数の工事の集合からなり、
工程表作成手段は、
ユーザによる各大グループの基準日の入力を受け付け、受け付けた各大グループの基準日、並びに、個別工程表データに含まれる各大グループに属する工事の相対開始日および工事日数を用いて、各大グループの工事実施期間を算出し、算出した各大グループの工事実施期間が重なるか否かを判断し、重なる場合には、その旨の警告を表示する処理を実行する構成とされていることを特徴とするものである。
【0043】
このような工程表作成システムにおいては、個別工程表データが、相対開始日で工程を定める構成とされているので、各大グループの開始日(基準日)の決定過程で、暫定的に日付を入力することにより、工事日程の調整作業を行うことができる。従って、各大グループの開始日は、ユーザ(施工主の会社やその従業員)と関係者(業者や施主)との打ち合わせにより決定されるが、工程表作成システムを、その打ち合わせ時に使用するツールとして活用することができる。
【発明の効果】
【0044】
以上に述べたように本発明によれば、工程表マスタデータおよびこれを用いて作成された建築物毎の個別工程表データの中に、各工事についての直接グループおよび/または間接グループへの帰属情報が含まれているので、この帰属情報を用いて、直接関連工事や間接関連工事の内容に応じた工程の変更を行うことができるため、工程変更時のユーザの手間を軽減することができるとともに、知識や経験に乏しいユーザでも適切な工程の変更を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態の工程表作成システムの全体構成図。
図2】前記実施形態の工程表マスタデータの一例を示す図。
図3】前記実施形態の工程表作成画面の一例を示す図。
図4】前記実施形態の現場情報記憶手段の構成図。
図5】前記実施形態の工程表作成の流れを示す第1の説明図。
図6】前記実施形態の工程表の表示例を示す第1の図。
図7】前記実施形態の工程表作成の流れを示す第2の説明図。
図8】前記実施形態の工程表の表示例を示す第2の図。
図9】前記実施形態の個別工程表データへの割込み工事の配置の説明図。
図10】前記実施形態の個別工程表データへの割込み工事の配置の別の説明図。
図11】前記実施形態のシフト設定画面の一例を示す図。
図12】前記実施形態の工程の変更の具体例を示す図。
図13】前記実施形態の工程の変更の別の具体例を示す図。
図14】前記実施形態の天候情報に基づく注意喚起表示処理の説明図。
図15】前記実施形態の天候情報に基づく注意喚起表示処理の別の説明図。
図16】前記実施形態の工程表における空白期間および予備日の説明図。
図17】前記実施形態のグループ移動(期間長維持型)の移動方法の説明図。
図18】前記実施形態のグループ移動(期間長調整型)の移動方法の説明図。
図19】前記実施形態の一括移動(期間長維持型)の移動方法の説明図。
図20】前記実施形態の積算データ記憶手段の構成図。
図21】前記実施形態の発注書の一例を示す図。
図22】前記実施形態の工程表作成システムによる処理の全体的な流れを示すフローチャートの図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の工程表作成システム10の全体構成が示されている。図2には、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶された工程表マスタデータの一例が示され、図3には、工程表作成画面100の一例が示され、図4には、現場情報登録画面200および現場情報記憶手段48に記憶された現場情報の一例が示され、図5には、工程表マスタデータから個別工程表データが作成され、更に日付の算出処理が行われる流れが示され、図6には、日付の算出処理を経て画面表示された工程表の一例が示され、図7および図8には、現場情報に基づき相対開始日の置換を行った場合の個別工程表データの作成および日付の算出処理、並びに、画面表示された工程表の一例が示され、図9および図10には、個別工程表データへの割込み工事の配置方法が示されている。また、図11には、シフト設定画面300の一例が示され、図12および図13には、工程の変更の具体例が示されている。さらに、図14および図15は、天候情報に基づく注意喚起表示処理の説明図であり、図16は、工程表における空白期間および予備日の説明図であり、図17図19は、移動方法の説明図である。また、図20には、積算データ記憶手段41の構成が示され、図21には、発注書700の一例が示され、図22には、工程表作成システム10による処理の全体的な流れがフローチャートで示されている。
【0047】
<工程表作成システム10の全体構成>
【0048】
図1において、工程表作成システム10は、1台または複数台のコンピュータにより構成されたシステム本体11と、例えば液晶ディスプレイ等の表示手段12と、例えばマウスやキーボード等の入力手段13とを備えている。また、図示は省略されているが、印刷装置を備えていてもよい。
【0049】
システム本体11は、工程表の作成に関する各種の処理を実行する処理手段20と、この処理手段20による処理に必要な各種のデータを記憶する記憶手段40とを備えている。
【0050】
処理手段20は、連携データ取得手段21と、休日データ登録手段22と、マスタ編集手段23と、工程表作成手段24と、工程表出力手段25と、工程表変更手段26と、現場情報収集手段27と、代替工程登録手段28と、個別工程表編集手段29と、発注書フォーム編集手段30と、発注書作成手段31とを含んで構成されている。
【0051】
これらの処理手段20に含まれる各手段21~31は、システム本体11を構成するコンピュータの内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラムにより実現される。各手段21~31の詳細は、後述する。
【0052】
また、記憶手段40は、積算データ記憶手段41と、発注先記憶手段42と、建築概要記憶手段43と、休日データ記憶手段44と、工程表マスタデータ記憶手段45と、工程表作成用基礎情報記憶手段46と、個別工程表データ記憶手段47と、現場情報記憶手段48と、代替工程記憶手段49と、発注書フォーム記憶手段50とを含んで構成されている。各記憶手段41~50の詳細は、後述する。
【0053】
この記憶手段40は、データの保持形態としては、例えば、市販の表計算ソフトウェア専用のファイルやCSVファイル等のファイルとしてもよく、データベースとしてもよい。また、この記憶手段40に含まれる各記憶手段41~50は、1つのファイルや1つのデータベースにまとめてもよく(例えば、ファイルを構成する幾つかのシートや、データベースを構成する幾つかのテーブルで機能毎に分ける等により、1つにまとめてもよく)、幾つかのファイルや幾つかのデータベースに分散させてもよい。ハードウェアとしては、例えばHDDやSSD等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、例えば、USBメモリやDVD等の記録媒体を採用してもよい。
【0054】
また、システム本体11には、建築積算システム70と、外部システム80とが通信回線1を介して接続されている。通信回線1は、インターネット等の外部ネットワーク、LANやイントラネット等の内部ネットワーク、またはこれらの組合せであり、有線・無線の別は問わない。
【0055】
建築積算システム70は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、見積書や原価計算書等の各種の建築関連帳票を作成するために建築物の施工に必要な各部材およびそれらの数量をまとめた積算データを出力するシステムである。例えば、本願出願人により開発された建築積算システム(特開2017-91015参照)等であり、この建築積算システムは、建築物の設計図を画面上でトレースして得られた積算データを出力するシステムである。
【0056】
外部システム80は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、天候情報を提供するシステムであり、具体的には、気象庁のサイト等の公的な情報提供システム、または天候情報を有償または無償で提供するベンダーのシステム等である。
【0057】
<処理手段20/連携データ取得手段21の構成>
【0058】
連携データ取得手段21は、建築積算システム70から通信回線1を介して連携データとして積算データ、発注先データ、建築概要データを取得し、それぞれ積算データ記憶手段41、発注先記憶手段42、建築概要記憶手段43に記憶させる処理を実行するものである。なお、通信回線1を介して取得するのではなく、建築積算システム70から、DVDやUSBメモリ等の記録媒体に連携データを出力して記憶させ、連携データ取得手段21が、記録媒体から連携データを読み込んで、積算データ記憶手段41、発注先記憶手段42、建築概要記憶手段43に記憶させてもよい。
【0059】
<処理手段20/休日データ登録手段22の構成>
【0060】
休日データ登録手段22は、ユーザ(施工主である会社、またはその従業員)による休日データの登録を受け付け、受け付けた休日データを休日データ記憶手段44に記憶させる処理を実行するものである。
【0061】
登録する休日データには、先ず、曜日の取り扱い情報があり、例えば、日曜日を休日とする(デフォルト値)、土曜日および日曜日を休日とする等の情報であり、曜日単位で休日を指定できるようになっている。いずれの曜日も指定せずに、曜日で定まる休日を設けない設定とすることもできる。
【0062】
次に、祝日情報があり、国民の祝日に関する法律で定められた日がデフォルト値として休日データ記憶手段44に記憶されているが、年によって祝日が変更される場合や、特定の祝日を休日としたくない場合(例えば、長期の連休を作るため、その祝日を平日と振り替えたい場合等)もあるので、手動で追加・削除・変更できるようになっている。全ての祝日を削除すれば、祝日としての休日を設けない設定とすることもできる。
【0063】
また、ユーザ(施工主の会社)が自身の都合で指定した休日情報もある。例えば、年末年始、お盆、ユーザの創立記念日や社員旅行日、あるいはクリスマス等の海外の行事日等の任意の日を、休日として指定できるようになっている。
【0064】
さらに、工事の発注先の業者(取引先)の都合による休日情報もあり、ユーザが業者から得た情報に基づき、その業者限りの休日(その業者が工事を実施することができない日)として任意の日を指定し、取引先識別情報と関連付けて休日データ記憶手段44に登録しておくことができる。工程表マスタデータ(図2参照)およびそれに基づき作成された個別工程表データには、各工事のデータ(各行のデータ)内に科目コードがあり、発注先記憶手段42には、科目コード(工事区分)と発注先となる業者(取引先識別情報)との関係が記憶されているので、ある任意の工事について、取引先識別情報を用いて、その工事を担当者する業者の休日情報を休日データ記憶手段44から取得することができる。
【0065】
<処理手段20/マスタ編集手段23の構成>
【0066】
マスタ編集手段23は、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶された工程表マスタデータについてのユーザによる編集作業を受け付ける処理を実行するものである。この編集作業は、例えば、工程表マスタデータが、市販の表計算ソフトウェア専用のファイルやCSVファイル等のファイルに格納されている場合には、市販の表計算ソフトウェアや、汎用エディタで行ってもよい。また、工程表マスタデータが、データベースに格納されている場合には、DBMS(データベース管理システム)を介しての編集処理となる。なお、本実施形態では、ユーザが工程表作成システム10を導入(購入)した時点で、標準的な工程表マスタデータが用意されているので、ユーザはそれをそのまま使用するか、自社用に編集すればよいが、一から工程表マスタデータを作成し、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶させてもよい。
【0067】
(工程表マスタデータの構成:図2参照)
図2において、工程表マスタデータは、複数の工事のデータにより構成されている。工程表マスタデータが市販の表計算ソフトウェア専用のファイルやCSVファイル等のファイルに格納されている場合には、各工事のデータ(任意の1つの工事のデータ)は、行のデータであり、データベースのテーブルに格納されている場合には、レコードのデータである。従って、以下において、工事のデータについて、「行」、「行のデータ」、「行データ」等というときは(但し、図6図8のように画面表示または印刷された工程表の「行」は除く。)、レコードやそのレコードに格納されたデータのことも指すものとする。
【0068】
工程表マスタデータの各工事のデータ(行データ)は、複数のカラム(欄)を備えている。具体的には、図2に示すように、工事名(工事識別情報)、科目コード(工事区分の識別情報)、工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)、工程変更判定用最大数量、工程変更項目データ、カラーデータ、休日許可データ、相対開始日、工事日数、工事時間帯、行位置、間接グル―プへの帰属情報、直接グル―プへの帰属情報、現場情報参照指示データ、置換用相対開始日、置換用時間帯等の各カラムが設けられている。
【0069】
なお、本実施形態では、工程表作成用基礎情報記憶手段46(図3参照)に、ユーザにより入力指定される各大グループの開始日(各大グループに属する各工事の相対開始日の基準日、すなわち各大グループの先頭の工事についての工事開始日)と関連付けて、各大グループの先頭の工事についての工事名(工事識別情報)が記憶されているので、工程表マスタデータの各工事のデータ(行データ)には、大グループへの帰属情報は含まれていないが、大グループへの帰属情報を含ませてもよい。
【0070】
ここで、工事名は、工程表に表示または印刷する工事名称である。本願では、ガードマン、納品、検査といった通常の概念では工事と呼ばないものも、コストを発生させる要素として、工事と呼び、工事として取り扱う。なお、工事には、発注先の業者が納品だけを行う工事と、業者が納品した部材を用いて大工が取付作業を行う工事と、業者が納品し、かつ、その納品業者が納品した部材の取付作業を行う工事とがあるが、例えば、それぞれ「○○納品」、「○○大工取付」、「○○取付(納品業者)」等という工事名で登録しておき、工事名でその工事の内容が容易に把握できるようにしておくことが好ましく、そうすることで、工程表マスタデータの編集時や工程変更時に、「○○大工取付」を追加すると、大工工程がその工事日数の分だけずれ、「○○納品」や「○○取付(納品業者)」を追加しても、大工工程および全体工程はずれないことが、工事名を見て直感できるようになり、作業が容易になる。また、本願では、工程表マスタデータにおいて、工事識別情報として工事名を用いているが、工事コードを用いてもよく、その場合は、工事コードと工事名との対応関係を、別の記憶手段(工事名記憶手段)に記憶しておけばよい。
【0071】
科目コードは、各工事を区分けした工事区分の識別情報であり、この科目コードは、工事の発注先となる業者に対応している。科目コードと発注先となる業者との対応関係は、発注先記憶手段42に記憶されている。
【0072】
工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)は、予め定められた標準工程に対し、追加する追加工事、または、割り込ませる割込み工事に必要となる部材についての部材名称であり、工程変更項目データのカラム(欄)における追加工事または割込み工事の指示情報と対応している。この工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)と同一の部材名称(部材識別情報)が、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に含まれている場合には、工程表作成手段24により、追加工事または割込み工事が、個別工程表データに配置されるが、この処理については、下記の工程表作成手段24の説明で詳述する。なお、本願では、工程表マスタデータにおいて、工程変更判定用部材識別情報として工程変更判定用部材名称を用いているが、部材コード(工程変更判定用部材コード)を用いてもよく、その場合には、部材コードと部材名称との対応関係を、別の記憶手段(部材名称記憶手段)に記憶しておけばよい。
【0073】
工程変更判定用最大数量は、割込み工事の行データにおいて設定されている工事日数で取り扱うことができる工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)の部材の最大数量であり、工程変更項目データのカラム(欄)における割込み工事の指示情報と対応している。但し、割込み工事の指示情報がある行データ(割込み工事のデータ)であっても、工程変更判定用最大数量が設定されていない行データもある。同じ工事名(工事識別情報)の複数の割込み工事の行データにおいて、工程変更判定用最大数量が、異なる数量で設定され、かつ、工事日数も、異なる日数で設定されているので、工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)と同一の部材名称(部材識別情報)が、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に含まれている場合には、工程表作成手段24により、積算データから、その部材の数量を取得し、取得した数量と、複数の工程変更判定用最大数量の各々とを比較することにより、同じ工事名(工事識別情報)の複数の割込み工事の行データの中から、個別工程表データに配置する割込み工事の行データを選択する(つまり、適切な工事日数の方の行データを選択する)が、この処理については、下記の工程表作成手段24の説明で詳述する。
【0074】
工程変更項目データは、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)の中に、工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)と同一の部材名称(部材識別情報)がある場合、すなわち、工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)として設定されている部材が、対象の建築物の施工で使用される場合に、どのように工程を変更するか(予め定められた標準工程に対し、どのような変更を行うか)を定めるデータである。この工程変更項目データには、標準工程に対して追加する工事であることを示す追加工事の指定情報、または、標準工程に対して割込みを行う工事であることを示す割込み工事の指定情報がある。追加工事や割込み工事の意味は、下記の工程表作成手段24の説明で詳述する。なお、工程変更項目データには、標準工程から削除される工事であることを示す省略工事の指定情報が含まれていてもよく、この省略工事の指定情報がある行データについては、工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)と同一の部材名称(部材識別情報)が、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に含まれていない場合に、工程表作成手段24により、その省略工事の指定情報がある行データ(省略工事のデータ)を削除して個別工程表データに配置しないようにし、その省略工事の後の工事の相対開始日を、省略工事の工事日数の分だけ詰めるようにすればよい。
【0075】
カラーデータは、工程表のセル内に工事名を表示する際のセルの背景色を定めるデータである。なお、工程表を印刷する場合は、カラーデータを、工程表のセルの背景色として用いてもよく(この際、工事名の文字色は、黒である)、あるいは工事名の文字色として用いてもよい(この際、セルの背景色は、白である)。
【0076】
休日許可データは、休日における工事の実施、すなわち工程表に休日の工事を配置することを許可するフラグデータである。この休日許可データの欄に「1」と入力された行データの工事については、休日データ記憶手段44(図3参照)に休日として登録されている日であっても、その休日に該当する日に工事を配置し、工程表に表示または印刷させる。
【0077】
相対開始日は、ユーザにより入力指定された各大グループの起点となる工事の開始日(大グループの先頭の工事についての工事開始日)を基準日=「1」とし、大グループに属する各工事についての工事開始日を、基準日からの相対日数で定めるものである。基準日は、大グループ毎に入力指定されるので(図3参照)、相対開始日は、大グループ単位のものである。また、相対開始日は、休日データ記憶手段44(図3参照)に休日として登録されている日は、除いて設定されるので、例えば日曜日が休日として登録されている場合には、金曜日が相対開始日=「1」であれば、土曜日が相対開始日=「2」となり、日曜日ではなく、翌週の月曜日が相対開始日=「3」となる。
【0078】
工事日数は、工事に要する日数である。なお、工事時間帯としてAM(午前)、PM(午後)等が指定され、工事が半日または短時間で終了するものについても、工事日数は「1」と入力しておく。
【0079】
工事時間帯は、特にAM、PM等の時間帯を指定して工事を行う必要がある場合に設定しておく。
【0080】
行位置は、工程表のセルに工事名を表示または印刷する際に、上から第何番目の行のセルに表示または印刷するのかを指定するデータである。本実施形態では、図6図8に示すように、工程表は6行で構成されているので、1日に最大6つのセルに工事名を表示することができる。なお、工程表の行数は、6行に限定されるものではなく、任意である。
【0081】
間接グル―プへの帰属情報は、当該帰属情報がある行データの工事(当該工事)が属する間接グル―プの番号(識別情報)である。この間接グループは、相対開始日で定まる工事の前後関係を必ずしも維持する必要のない間接関連工事の集合からなるグループである。従って、工程の変更を行う際に、当該工事と同じ番号(識別情報)を有する、すなわち同じ間接グループに属する間接関連工事の日程が変更(相対開始日が移動)された場合に、当該工事を付随して変更するか否かにつき、ユーザ(工程の変更の作業を行っているオペレータ)の指示が必要となる。なお、本実施形態では、間接グループの識別情報は、番号とされているが、グループ名称としてもよい。また、本実施形態では、大グループ内で唯一となる番号を付しているので、ある大グループに番号=「1」の間接グループが存在し、別の大グループにも番号=「1」の間接グループが存在する状態であるが、全工程を通して唯一となる番号を付してもよい。
【0082】
直接グル―プへの帰属情報は、当該帰属情報がある行データの工事(当該工事)が属する直接グル―プの番号(識別情報)である。この直接グループは、相対開始日で定まる工事の前後関係を維持する必要がある直接関連工事の集合からなるグループである。従って、工程の変更を行う際に、当該工事と同じ番号(識別情報)を有する、すなわち同じ直接グループに属する直接関連工事の日程が変更(相対開始日が移動)された場合に、当該工事を全く同じように(つまり、同じ日数分だけ)強制変更する。なお、本実施形態では、直接グループの識別情報は、番号とされているが、グループ名称としてもよい。また、本実施形態では、大グループ内で唯一となる番号を付しているので、ある大グループに番号=「1」の直接グループが存在し、別の大グループにも番号=「1」の直接グループが存在する状態であるが、全工程を通して唯一となる番号を付してもよい。
【0083】
現場情報参照指示データは、当該現場情報参照指示データがある行データの工事(当該工事)について、工程表の作成時や変更時に、現場情報記憶手段48に記憶された現場情報を参照し、参照した現場情報に従って各種の判断処理を行うことを指示するデータ(本実施形態では、現場情報の種類に対応する番号)である。本実施形態では、この現場情報参照指示データには、2種類のスペースに関する現場情報の参照を指示するグループ変更要否判断指示情報(番号=「1」)および相対開始日置換要否判断指示情報(番号=「2」)と、天候情報の参照を指示する天候考慮指示情報(番号=「30」)とが含まれる。このうち、グループ変更要否判断指示情報(番号=「1」)、天候考慮指示情報(番号=「30」)は、工程表変更手段26による処理で使用されるが、この処理の詳細は、工程表変更手段26の説明で後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。また、相対開始日置換要否判断指示情報(番号=「2」)は、原則的には、工程表作成手段24による処理で使用され、工程表の作成時に現場情報が未入力の場合には、例外的に、事後的に現場情報の入力が行われた際に、工程表変更手段26による事後反映処理で使用されるが(図4参照)、これらの処理の詳細は、工程表作成手段24や工程表変更手段26の説明で後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。なお、現場情報参照指示データに基づき参照される現場情報は、これらの番号=「1」、「2」、「30」に対応する現場情報に限定されるものではなく、その他の例については、後述する。
【0084】
置換用相対開始日および置換用時間帯は、現場情報参照指示データとして相対開始日置換要否判断指示情報(番号=「2」)がある行データの工事について、相対開始日の置換、あるいは、相対開始日および工事時間帯の置換(工事時間帯の指定が無い状態から、指定がある状態への置換を含む)が必要と判断された場合に使用する置換後の相対開始日および工事時間帯を指定するものである。なお、これらの置換用相対開始日および置換用時間帯は、工程表マスタデータの中で指定するのではなく、工事名(工事識別情報)と関連付けて置換用相対開始日記憶手段(不図示)に記憶しておいてもよい。
【0085】
(用意する工程表マスタデータの種類)
本実施形態では、大工人数に応じて3種類の工程表マスタデータ、すなわち、1人大工の2階建ての工程表マスタデータと、2人大工の2階建ての工程表マスタデータと、3人大工の2階建ての工程表マスタデータとを用意する。従って、大工人数に応じて3種類の標準工程を用意した状態となる。大工人数は、工程表の作成時に、ユーザにより入力指定され、工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶されるので(図3参照)、このデータを用いて、対象の建築物用の個別工程表データの作成に使用するテンプレートとしての工程表マスタデータが選択されることになる。なお、施工例は少ないが、4人以上の大工用の工程表マスタデータを用意してもよい。
【0086】
また、建築物が1階建てや3階建ての場合には、本実施形態では、2階建ての工程表マスタデータを標準工程として用意しているので、次のように、2階建ての工程表マスタデータ内の工程変更項目データに、追加工事、割込み工事、省略工事の指定情報を設定しておけばよい。なお、建築物の階数は、建築積算システム70から取得して建築概要記憶手段43に記憶されている(図3参照)。
【0087】
例えば、3階建ての建築物であることに起因し、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に、ある部材が出現する場合には、その部材を用いて行われる工事の行データの工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)の欄に、その部材の部材名称(部材識別情報)を設定するとともに、工程変更項目データの欄に、追加工事や、割込み工事の指定情報を設定しておけばよく、逆に、3階建ての建築物であることに起因し、ある部材が出現しなくなることがある場合には、その部材を用いて行われる工事の行データの工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)の欄に、その部材の部材名称(部材識別情報)を設定するとともに、工程変更項目データの欄に、省略工事の指定情報を設定しておけばよい。4階建て以上の建築物も同様である。
【0088】
また、1階建ての建築物であることに起因し、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に、ある部材が出現しない場合には、その部材を用いて行われる工事の行データの工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)の欄に、その部材の部材名称(部材識別情報)を設定するとともに、工程変更項目データの欄に、省略工事の指定情報を設定しておけばよく、逆に、1階建ての建築物であることに起因し、ある部材が出現することがある場合には、その部材を用いて行われる工事の行データの工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)の欄に、その部材の部材名称(部材識別情報)を設定するとともに、工程変更項目データの欄に、追加工事や、割込み工事の指定情報を設定しておけばよい。
【0089】
なお、1人大工、2人大工、3人大工、…の3階建ての工程表マスタデータや、1人大工、2人大工、3人大工、…の1階建ての工程表マスタデータ、あるいは、1人大工、2人大工、3人大工、…の4階立て以上の工程表マスタデータを用意してもよい。
【0090】
(大工工程マスタデータ)
マスタ編集手段23は、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶された大工工程マスタデータについてのユーザによる編集作業を受け付ける処理も実行する。大工工程マスタデータは、工程表マスタデータ(全工程)の大工工程の位置に嵌め込むものであるため、大工工程マスタデータにおける各工事のデータ(行データ)の構成は、工程表マスタデータにおける各工事のデータ(行データ)の構成と同じである。大工工程は、例えば、土台日グループという大グループに属する各工事からなる工程である。
【0091】
本実施形態では、全工程のうちの一部に相当する大工工程について期間長(所要日数)の異なる複数の大工工程マスタデータを用意し、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶している。工程表マスタデータ(全工程)の中には、大工工程の位置に、汎用の大工工程が予め組み込まれているので、ユーザは、この汎用の大工工程が組み込まれている汎用の工程表マスタデータ(全工程)を用いて、対象の建築物の個別工程表データを作成してもよく、あるいは、汎用の大工工程の部分の各行データを、大工工程マスタデータと入れ替えて、対象の建築物の個別工程表データを作成してもよい(図3参照)。この際、入れ替えに使用する大工工程マスタデータは、工程表作成手段24により、ユーザの選択に従って金額ベースまたは坪数ベースで算出した大工工程日数を用いて、予め用意された複数の大工工程マスタデータの中から選択決定されるが(図3参照)、この選択決定処理の詳細は、工程表作成手段24の説明で後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0092】
<処理手段20/工程表作成手段24の構成>
【0093】
工程表作成手段24は、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶された工程表マスタデータ(図2参照)を用いて、建築物毎の個別工程表データを作成し、作成した個別工程表データを、個別工程表データ記憶手段47に記憶させる処理を実行するものである。そして、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶された工程表マスタデータが、複数の建築物の工程表の作成に使用されるテンプレートの役割を果たす標準的な工程表のデータであるのに対し、個別工程表データ記憶手段47に記憶させる個別工程表データは、対象の建築物の施工に使用されるその建築物限りの工程表のデータである。従って、ある1つの建築物の個別工程表データが作成されると、市販の表計算ソフトウェア専用のファイルやCSVファイル等の新規ファイルが増えるか、データベースの新規テーブルが増える。
【0094】
(工程表作成手段24による基本的な処理)
工程表作成手段24は、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶された工程表マスタデータ(図2参照)のうち、工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)、工程変更判定用最大数量、および工程変更項目データの3つの欄(カラム)を除くデータをコピーして個別工程表データを作成する。これらの3つの欄は、個別工程表データを作成する際に使用するデータであり、個別工程表データの作成を終了した後は必要ないからである。但し、これらの3つの欄を含めて全ての欄のデータをコピーして個別工程表データを作成してもよい。
【0095】
また、工程表作成手段24は、上記の工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)、工程変更判定用最大数量、および工程変更項目データの3つの欄(カラム)のデータを用いて、個別工程表データに追加工事を組み込む追加工事配置処理と、個別工程表データに割込み工事を組み込む割込み工事配置処理とを実行する。なお、個別工程表データに省略工事を配置しないようにする省略工事削除処理を実行してもよい。
【0096】
(工程表作成手段24による追加工事配置処理:図2図5参照)
工程表作成手段24は、次のような追加工事配置処理を実行する。先ず、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶された工程表マスタデータの中に、工事変更項目データとして追加工事の指定情報(図2の例では「追加」の文字)が含まれている行データがある場合には、それは追加工事の行データであるから、その行データの中に追加工事の指定情報に対応する状態で含まれている工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)を取得し、取得した工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)と同一の部材名称(部材識別情報)が、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に含まれているか否かを判断する。
【0097】
次に、工程表作成手段24は、工程変更判定用部材名称と同一の部材名称が、積算データに含まれている場合には、工程表マスタデータの各工事(処理中の追加工事の行データ以外の各行データ)の相対開始日を変更することなく、追加工事の行データ(予め設定された当該追加工事の相対開始日および工事日数を含む)を組み込んだ個別工程表データを作成する。一方、工程変更判定用部材名称と同一の部材名称が、積算データに含まれていない場合には、追加工事の行データは、個別工程表データに組み込まない。
【0098】
具体的には、例えば、図2の工程表マスタデータにおいて、工事名=「1回目ガードマン」および「2回目ガードマン」という工事の行データには、工程変更項目データの欄に追加工事の指定情報(「追加」)があるので、これらは追加工事の行データである。これらの行データの工程変更判定用部材名称の欄には、「ガードマン」という部材名称があるので、工程表作成手段24は、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に「ガードマン」という部材名称が含まれているか否かを判断する。ここでは、含まれていると判断した、すなわち積算データに「ガードマン」という部材が出現しているものとする。この場合、「1回目ガードマン」および「2回目ガードマン」という工事の行データは、個別工程表データに追加で組み込まれ、その配置位置は、工程表マスタデータにおける当該追加工事の配置位置と同じである。すなわち、図5の左上の工程表マスタデータ(但し、説明に必要な部分のみを記載)から、図5の左下の個別工程表データ(同様に、説明に必要な部分のみを記載)のように、追加工事の行データのコピーが行われる。この際、他の行データの相対開始日は、図5に示すように変化しない。この点が、追加工事と割込み工事との違いである。
【0099】
なお、この例では、「ガードマン」という1つの部材の出現に対し、「1回目ガードマン」および「2回目ガードマン」という2つの追加工事が配置されるようになっているが、部材と追加工事との関係を1対1にしたい場合には、例えば、「〇〇工事用ガードマン」や「ガードマン(〇〇工事)」等のように部材名称を工事毎に分けて付しておけばよい。同様に、全く同じ部材(例えば、同じサイズのラワン合板)が、異なる複数の工事で使用される場合には、「〇〇工事用ラワン合板」等として工事毎に部材名称を分け、数量も分けておくことにより、それらの複数の工事の各々を担当する業者が異なる場合でも、それぞれの業者への発注書を作成することができる。
【0100】
また、図2の工程表マスタデータにおいて、工事名=「鉄骨階段設置」という工事の行データには、工程変更項目データの欄に追加工事の指定情報(「追加」)があるので、これは追加工事の行データである。この行データの工程変更判定用部材名称の欄には、「鉄骨階段」という部材名称があるので、工程表作成手段24は、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に「鉄骨階段」という部材名称が含まれているか否かを判断する。ここでは、含まれていないと判断した、すなわち積算データに「鉄骨階段」という部材は出現していないものとする。この場合、「鉄骨階段設置」という工事は、個別工程表データに組み込まれず、削除される。すなわち、図5の左上の工程表マスタデータには、「鉄骨階段設置」という工事の行データがあるが、図5の左下の個別工程表データでは、「鉄骨階段設置」という工事の行データは削除されて無くなっている。この際、他の行データの相対開始日は、図5に示すように変化しない。
【0101】
(工程表作成手段24による割込み工事配置処理:図2図9図10参照)
工程表作成手段24は、次のような割込み工事配置処理も実行する。先ず、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶された工程表マスタデータの中に、工事変更項目データとして割込み工事の指定情報(図2の例では「割込み」の文字)が含まれている行データがある場合には、それは割込み工事の行データであるから、その行データの中に割込み工事の指定情報に対応する状態で含まれている工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)を取得し、取得した工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)と同一の部材名称(部材識別情報)が、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に含まれているか否かを判断する。
【0102】
次に、工程表作成手段24は、工程変更判定用部材名称と同一の部材名称が、積算データに含まれている場合には、個別工程表データに割込み工事を組み込むことが決まるので、さらに処理内容を分岐させるため、割込み工事の行データの中に割込み工事の指定情報に対応する状態で設定されている工程変更判定用最大数量があるか否かを判断する。
【0103】
続いて、工程表作成手段24は、割込み工事の行データの中に工程変更判定用最大数量が設定されていない場合には、当該割込み工事よりも後に実施する各工事の相対開始日を、当該割込み工事の工事日数だけ移動させるとともに、当該割込み工事の行データ(予め設定された当該割込み工事の相対開始日および工事日数を含む)を組み込んだ個別工程表データを作成する。
【0104】
一方、工程表作成手段24は、割込み工事の行データの中に工程変更判定用最大数量が設定されている場合には、工事名(工事識別情報)が同一の複数の割込み工事の行データ(工事名は同一であるが、工程変更判定用最大数量およびそれに応じた工事日数は異なっている。)があるので、積算データ記憶手段41から工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)と同一の部材名称(部材識別情報)に関連付けて記憶されている当該部材の数量を取得し、取得した当該部材の数量と、工事名(工事識別情報)が同一の複数の割込み工事の工程変更判定用最大数量の各々とを比較し、取得した部材の数量以上であり、かつ、取得した部材の数量に最も近い工程変更判定用最大数量を選択する。そして、選択した工程変更判定用最大数量に対応する割込み工事(工事名が同一の複数の割込み工事のうち、選択した工程変更判定用最大数量が設定されている行データの割込み工事)よりも後に実施する各工事の相対開始日を、選択した工程変更判定用最大数量に対応する割込み工事の工事日数だけ移動させるとともに、選択した工程変更判定用最大数量に対応する割込み工事の行データ(予め設定された当該割込み工事の相対開始日および工事日数を含む)を組み込んだ個別工程表データを作成する。
【0105】
また、工程表作成手段24は、工程変更判定用部材名称と同一の部材名称が、積算データに含まれていない場合には、割込み工事の行データは、個別工程表データに組み込まない。従って、工程表マスタデータの中にあった割込み工事の行データ(工事名が同一の複数の割込み工事の行データがある場合には、それらの複数の行データの全部)は削除され、個別工程表データでは、当該割込み工事の行データは無くなっている。
【0106】
具体的には、例えば、図2の工程表マスタデータにおいて、工事名=「パイピング」、「下屋組」という工事の行データには、工程変更項目データの欄に割込み工事の指定情報(「割込み」)があるので、これらは割込み工事の行データである。
【0107】
先ず、図2において、「パイピング」という工事の行データの工程変更判定用部材名称の欄には、「土間パイピング」という部材名称があるので、工程表作成手段24は、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に「土間パイピング」という部材名称が含まれているか否かを判断する。ここで、含まれていると判断した場合、すなわち積算データに「土間パイピング」という部材が出現している場合には、さらに「パイピング」という工事の行データの中に工程変更判定用最大数量が設定されているか否かを判断する。
【0108】
ここで、図2に示すように、「パイピング」という工事の行データには工程変更判定用最大数量は設定されていないので、工程変更判定用最大数量を用いた行データの選択処理を行うことなく、工程表作成手段24により、「パイピング」という工事の行データが、個別工程表データに割込みで組み込まれ、その配置位置は、工程表マスタデータにおける当該割込み工事の配置位置と同じである。すなわち、図2の工程表マスタデータにおいて、「パイピング」工事は、「土間背筋」工事と「基礎天端検査」工事との間に配置されているので、図9の上部に示す個別工程表データでも、太線の枠内に示すように、「パイピング」工事は、「土間背筋」工事と「基礎天端検査」工事との間に配置される。この際、「パイピング」工事の行データのうち、相対開始日(=19)および工事日数(=1)等のコピー対象のデータ(すなわち、工程変更判定用部材名称、工程変更判定用最大数量、および工程変更項目データの3つの欄を除くデータ)は、すべてそのまま工程表マスタデータから個別工程表データにコピーされる。また、図2の工程表マスタデータにおける「パイピング」工事の行データよりも下側に配置された各工事の行データ(「パイピング」工事よりも後の各工事の行データ)は、図9の上部に示すように、それぞれの相対開始日を、「パイピング」工事の工事日数(=1)だけ移動させた状態で、個別工程表データにコピーされる。つまり、「基礎天端検査」工事、「土間コン」工事、「建材 土台納品」工事、「足場設置」工事の各相対開始日は、図2の工程表マスタデータでは、19,19,21,21であったが、図9の上部に示す個別工程表データでは、太線の枠内に示すように、1日ずつずれて、20,20,22,22となる。
【0109】
一方、積算データに「土間パイピング」という部材名称が含まれていないと判断した場合、すなわち積算データに「土間パイピング」という部材が出現していない場合には、工程表作成手段24は、図2の工程表マスタデータにあった「パイピング」工事の行データを削除し、図9の下部に示す個別工程表データには組み込まない。この際、図2の工程表マスタデータにおける「パイピング」工事の行データよりも下側に配置された各工事の行データ(「パイピング」工事よりも後の各工事の行データ)は、図9の下部の太線の枠内に示すように、それぞれの相対開始日を変更せずに、そのままの状態で個別工程表データにコピーする。
【0110】
次に、図2において、「下屋組」という工事の行データの工程変更判定用部材名称の欄には、「下屋根造作」という部材名称があるので、工程表作成手段24は、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に「下屋根造作」という部材名称が含まれているか否かを判断する。ここで、含まれていると判断した場合、すなわち積算データに「下屋根造作」という部材が出現している場合には、さらに「下屋組」という工事の行データの中に工程変更判定用最大数量が設定されているか否かを判断する。
【0111】
ここで、図2に示すように、「下屋組」という工事の行データには工程変更判定用最大数量が設定されている。そして、「下屋組」という同じ工事名の複数(図2の例では、2つ)の割込み工事の行データがあり、これらの複数(2つ)の行データの中に、異なる数量(図2の例では、「1」と「2」の2つの数量)の工程変更判定用最大数量が設定され、かつ、これらに応じて異なる工事日数(図2の例では、「1」と「2」)が設定されているので、工程表作成手段24は、これらの複数(2つ)の工程変更判定用最大数量を用いた行データの選択処理を行う。
【0112】
すなわち、工程表作成手段24は、積算データ記憶手段41から工程変更判定用部材名称(図2の例では「下屋根造作」)と同一の部材名称に関連付けて記憶されている当該部材の数量を取得し、取得した当該部材の数量と、「下屋組」という同じ工事名の複数(2つ)の割込み工事の行データにおける工程変更判定用最大数量の各々(「1」、「2」)とを比較し、取得した部材の数量以上であり、かつ、取得した部材の数量に最も近い工程変更判定用最大数量を選択する。
【0113】
ここで、積算データ記憶手段41から取得した当該部材の数量=2だった場合には、複数(2つ)の工程変更判定用最大数量(「1」、「2」)のうちの2が選択されることになるので、図10の上部に示す個別工程表データには、太線の枠内に示すように、工程変更判定用最大数量=2のほうの行データ(すなわち、工事日数=2のほうの行データ)が選択されて配置される。そして、選択した工程変更判定用最大数量(=2)に対応する割込み工事の行データ(すなわち、工事日数=2のほうの行データ)よりも後に実施する各工事の相対開始日を、選択した工程変更判定用最大数量(=2)に対応する割込み工事の工事日数(=2)だけ移動させるとともに、選択した工程変更判定用最大数量(=2)に対応する割込み工事の行データ(予め設定された当該割込み工事の相対開始日(=11)および工事日数(=2)を含む)を組み込んだ個別工程表データを作成する。つまり、「ルーフィング」工事、「ダクト」工事、「JIO躯体検査」工事の各相対開始日は、図2の工程表マスタデータでは、12,12,13であったが、図10の上部に示す個別工程表データでは、太線の枠内に示すように、2日ずつずれて、14,14,15となる。
【0114】
また、仮に積算データ記憶手段41から取得した当該部材の数量=1だった場合には、工程変更判定用最大数量(=1)が選択されることになり、それに対応する割込み工事の工事日数=1であるから(図2参照)、「ルーフィング」工事、「ダクト」工事、「JIO躯体検査」工事の各相対開始日は、図2の工程表マスタデータでは、12,12,13であったが、個別工程表データ(図示は省略する)では、1日ずつずれて、13,13,14となる。
【0115】
なお、工程表作成手段24により工程変更判定用最大数量を選択する際には、積算データ記憶手段41から取得した部材の数量以上であり、かつ、取得した部材の数量に最も近い工程変更判定用最大数量を選択するので、例えば、工程変更判定用最大数量として20,40,60の3つが設定されているときに、積算データ記憶手段41から取得した部材の数量=19であれば、工程変更判定用最大数量(=20)が選択され、取得した部材の数量=23であれば、工程変更判定用最大数量(=40)が選択され、取得した部材の数量=47であれば、工程変更判定用最大数量(=60)が選択されることになり、取得した部材の数量が60を超えることはあり得ない(想定されていない)ことになる。
【0116】
一方、積算データに「下屋根造作」という部材名称が含まれていないと判断した場合、すなわち積算データに「下屋根造作」という部材が出現していない場合には、工程表作成手段24は、図2の工程表マスタデータにあった複数(2つ)の「下屋組」工事の行データの全てを削除し、図10の下部に示す個別工程表データには組み込まない。この際、図2の工程表マスタデータにおける「下屋組」工事の行データよりも下側に配置された各工事の行データ(「下屋組」工事よりも後の各工事の行データ)は、図10の下部の太線の枠内に示すように、それぞれの相対開始日を変更せずに、そのままの状態で個別工程表データにコピーする。つまり、「ルーフィング」工事、「ダクト」工事、「JIO躯体検査」工事の各相対開始日は、図2の工程表マスタデータでは、12,12,13であったので、図10の下部に示す個別工程表データでも、太線の枠内に示すように、12,12,13のままとなる。
【0117】
(工程表作成手段24による省略工事削除処理)
工程表作成手段24は、次のような省略工事削除処理を実行してもよい。すなわち、工程表作成手段24は、図2の工程表マスタデータにおける工程変更項目データの欄に、省略工事の指定情報(例えば「省略」の文字)が設定されている行データがある場合は、それは省略工事の行データであるから、その行データの中に含まれている工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)と同一の部材名称(部材識別情報)が、積算データ記憶手段41に記憶された積算データ(図20参照)に含まれているか否かを判断する。そして、含まれていない場合には、当該省略工事の行データを削除して個別工程表データに配置しないようにする。また、当該省略工事の行データよりも下側の各行データ(当該省略工事の後の各工事の行データ)における相対開始日を、省略工事の工事日数の分だけ詰めるように(数値を減らすように)変更する。
【0118】
(工程表作成手段24による相対開始日置換処理:図5図8参照)
工程表作成手段24は、工程表マスタデータ(図2参照)の現場情報参照指示データの欄に、相対開始日置換要否判断指示情報(本実施形態では、番号=「2」)が含まれている行データがある場合には、その行データの工事について、次のような相対開始日置換処理を実行する。この相対開始日置換処理には、相対開始日の置換(相対開始日および工事時間帯を置換する場合も含む)、および間接関連工事から直接関連工事への変更の各処理が含まれる。
【0119】
ここで、相対開始日置換要否判断指示情報(番号=「2」)は、間接グループに属し、かつ、直接グループに属さない工事(つまり、直接関連工事になっていない間接関連工事)について、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶された現場情報(現場情報参照指示データ=「2」に対応する現場情報)を用いて、別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更の要否を判断する工事であることを示す情報である。
【0120】
従って、工程表作成手段24は、先ず、工程表マスタデータ(図2参照)の現場情報参照指示データの欄に、相対開始日置換要否判断指示情報(番号=「2」)が設定されている間接関連工事の行データがある場合には、現場情報記憶手段48(図4参照)から、番号=「2」に対応する現場情報を取得する。本実施形態では、番号=「2」に対応する現場情報は、図4に示すように、「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当するか否かを示す情報である。
【0121】
なお、相対開始日置換要否判断指示情報に対応する現場情報は、この「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当するか否かを示す情報に限定されるものではなく、また、1種類の現場情報に限定されるものでもなく、この点については、現場情報収集手段27の説明で後述する。
【0122】
次に、工程表作成手段24は、取得した現場情報を用いて、別の相対開始日への置換、および間接関連工事から直接関連工事への変更をするか否かを判断する。本実施形態では、「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当する場合には、別の相対開始日への置換、および間接関連工事から直接関連工事への変更をすると判断し、当該間接関連工事の相対開始日を、予め指定された別の相対開始日(または別の相対開始日および工事時間帯)に置換するとともに、当該間接関連工事を、当該間接関連工事が属する間接グループの他の間接関連工事が属する直接グループに帰属させる。つまり、間接関連工事および直接関連工事の双方に該当する工事を介して、帰属先の直接グループを決定する。また、置換後の当該間接関連工事(但し、置換後は直接関連工事に変更されている。)の行データの配置位置は、置換後の相対開始日と同じ相対開始日の他の工事がある場合には、それらの他の工事の行データの下側(最も下側)の位置とする。なお、相対開始日置換処理では、他の工事の相対開始日の変更はなく、この点では、追加工事配置処理と同様である。
【0123】
本実施形態では、置換先となる別の相対開始日(あるいは、別の相対開始日および工事時間帯)は、工程表マスタデータ(図2参照)の中の当該間接関連工事の行データにおける置換用相対開始日および置換用時間帯の各欄に設定されている。但し、工程表マスタデータの中ではなく、工事名(工事識別情報)と関連付けて置換用相対開始日記憶手段(不図示)に記憶しておいてもよい。
【0124】
一方、「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当しない場合には、上記の置換よび変更を行わずに、工程表マスタデータ(図2参照)の中の当該間接関連工事の行データ(但し、工程変更判定用部材名称、工程変更判定用最大数量、および工程変更項目データの3つの欄を除くデータ)を、そのままコピーして個別工程表データを作成する。
【0125】
具体的には、例えば、図2の工程表マスタデータの中には、「足場ネット設置」という工事名の工事の行データがあり、この行データにおける現場情報参照指示データの欄には、相対開始日置換要否判断指示情報(番号=「2」)が設定されている。従って、工程表作成手段24は、現場情報記憶手段48(図4参照)から、番号=「2」に対応する現場情報、すなわち「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当するか否かを示す情報を取得する。
【0126】
ここで、「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当しない場合には、工程表マスタデータ(図5の左上、図2を参照)における相対開始日(=8)、工事日数(=1)、行位置(=2)等は、図5の左下の太線の枠内に示すように、そのままの状態で、個別工程表データにコピーされる。これにより、図6に示すように、元々、例えば9/10(金)(工事時間帯の指定なし)の上から2番目の行のセルに表示されることになっていた「足場ネット設置」という工事名は、そのままその位置に表示される。
【0127】
一方、「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当する場合には、図2の工程表マスタデータにおいて、置換用相対開始日=6、置換用時間帯=PMと設定されているので、「足場ネット設置」工事は、図7の左部の太線の枠内に示すように、相対開始日=6、工事時間帯=PMに置換された状態で、個別工程表データにコピーされる。この際、工事日数=1であり、置換の前後で変化はない。また、行位置は、2から5に変化する。置換後の相対開始日=6には、他の工事が幾つか実施されるので、それらの他の工事と表示が重ならないようにするため、空いている行位置(通常は、既に埋まっているセルのうちの最下部のセルの下側の行位置でよい)である5を自動決定している。さらに、個別工程表データにおける置換後の行データの配置位置は、図7の左部の太線の枠内に示すように、相対開始日=6となっている幾つかの他の工事(図7の例では、「2回目クレーン」工事、「2回目ガードマン」工事、「プレカット2便」工事)の行データの下側となるように自動決定される。なお、図2の工程表マスタデータには、相対開始日=6となっている「鉄骨階段設置」工事の行データもあるが、これは追加工事の行データであり、積算データに「鉄骨階段」という部材が出現していないので、個別工程表データでは、削除されて無くなっている。これにより、図8の矢印で示すように、元々、例えば9/10(金)(工事時間帯の指定なし)の上から2番目の行のセルに表示されることになっていた「足場ネット設置」という工事名は、9/8(水)(PM(午後)という工事時間帯の指定あり)の上から5番目の行のセルに表示される。なお、セル中の「(P)」という文字は、PM(午後)を指し、「(A)」という文字は、AM(午前)を指している。
【0128】
このように「足場ネット設置」工事の置換の要否判断を行うのは、建築物と隣地の離れが十分でない場合は、「足場ネット設置」工事を「2回目クレーン」工事の終了直後に実施しなければならないという現場状況になるため、ユーザ(オペレータ)により入力された現場情報に応じた流動的な工程とする必要があるからである。
【0129】
さらに、「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当する場合には、上記の置換に加え、グループ変更の処理も実行する。図2の工程表マスタデータにおいて、「足場ネット設置」工事は、間接グループ=2に属しているので、同じ間接グループ=2に属し、かつ、直接グループにも属する「2回目クレーン」工事を抽出する。そして、抽出した「2回目クレーン」工事が属するのは直接グループ=1であるから、「足場ネット設置」工事は、この直接グループ=1に属する直接関連工事に変更する。この際、「足場ネット設置」工事を、直接グループ=1に帰属させるとともに、間接グループ=2への帰属を外してもよく、間接グループ=2への帰属は外さずに、「2回目クレーン」工事と同様に直接グループ=1および間接グループ=2の双方に帰属させてもよい。
【0130】
(工程表作成手段24による大工工程日数算出処理、および大工工程選択処理:図3参照)
工程表作成手段24は、後述する図3の工程表作成画面100でのユーザの選択操作に従って、次のような金額ベースまたは坪数ベースの大工工程日数算出処理を実行するとともに、大工工程日数の算出結果に従って大工工程選択処理を実行する。なお、坪数ベースの「坪数」は、施工面積と等価であるものとして説明しているので、計算に用いる単位は、坪数ではなく、例えば、平米、平方フィート等でもよい。
【0131】
金額ベースの大工工程日数算出処理は、ユーザによる大工人数、大工工事金額、および1人工(にんく)当たりの単価(大工1人当たりの1日の単価)の入力を受け付け、受け付けた大工工事金額を1人工当たりの単価で割って得られる日数を、大工人数で割ることにより、大工工程日数を算出する処理である。例えば、大工工事金額=100万円、1人工当たりの単価=2万円の場合には、100万円÷2万円=50日となり、2人工程のときは、さらにこの50日を大工人数=2で割ることにより、大工工程日数=25日が算出される。
【0132】
坪数ベースの大工工程日数算出処理は、ユーザによる大工人数、施工対象の建築物の坪数、および1坪当たりの人工数(にんくすう)を受け付け、受け付けた坪数に1坪当たりの人工数を乗じて得られる日数を、大工人数で割ることにより、大工工程日数を算出する処理である。例えば、坪数=25坪、1坪当たりの人工数=2の場合には、25×2=50日となり、2人工程のときは、さらにこの50日を大工人数=2で割ることにより、大工工程日数=25日が算出される。
【0133】
なお、より適切な工程表を作成するという観点で、金額ベースおよび坪数ベースの双方の大工工程日数算出処理を行うことができる構成としておくことが好ましいが、いずれか一方の大工工程日数算出処理を行う構成としてもよい。1人工(にんく)当たりの単価(大工1人当たりの1日の単価)や、1坪当たり人工数(にんくすう)は、ユーザ(施工主の会社)により異なり、また、職人の技量でも異なるからである。但し、汎用の大工工程を含む汎用の工程表マスタデータが用意されているので、これらの金額ベースや坪数ベースの大工工程日数算出処理を行う機能の設置を省略してもよい。なお、汎用の工程表マスタデータは、建築物の大きさによって工数は変わらない前提で作成するので、標準的な30坪~35坪程度の建築物だとした場合に、2人大工工程であれば、土台日グループ(大工工程)の日数は、例えば37日~41日等となり、1人大工工程であれば、例えば58日~63日等となるように作成しておくことができる。1人大工工程の日数が、2人大工工程の日数を単純に2倍した日数になっていないのは、1人大工工程では、全ての工事が1人の作業でよい工事になっているわけではなく、1人の作業が困難な工事(例えば、クレーン工事や、重たい部材(サッシ)の取付工事等)も含まれているので、このような2人で行う必要のある工事も加味して1人大工工程の日数を設定しているからである。
【0134】
大工工程選択処理は、予め用意されて工程表マスタデータ記憶手段45に記憶されている期間長(所要日数)の異なる複数の大工工程マスタデータの中から、金額ベースまたは坪数ベースの大工工程日数算出処理で得られた大工工程日数に応じて、大工工程マスタデータを選択し、選択した大工工程マスタデータを、予め用意されて工程表マスタデータ記憶手段45に記憶されている工程表マスタデータ(本実施形態では、3種類の工程表マスタデータの中から、大工人数に応じて選択された工程表マスタデータ)の大工工程の位置に嵌め込むことにより、個別工程表データを作成する処理である。
【0135】
この際、工程表作成手段24による大工工程マスタデータの選択処理は、期間長(所要日数)の異なる複数の大工工程マスタデータのうち、(1)算出した大工工程日数に最も近い期間長を有するか、(2)算出した大工工程日数以下で、かつ、算出した大工工程日数に最も近い期間長を有するか、または、(3)算出した大工工程日数以上で、かつ、算出した大工工程日数に最も近い期間長を有する大工工程マスタデータを選択する処理のいずれでもよい。例えば、金額ベースの大工工程日数算出処理を行った場合に、得られた大工工程日数を超えないようにして、入力した大工工事金額を超えないようにするのであれば、(2)の処理を行えばよい。また、坪数ベースの大工工程日数算出処理を行った場合に、得られた大工工程日数以上になるようにして、入力した坪数の施工を達成できるようにするのであれば、(3)の処理を行えばよい。
【0136】
具体的には、例えば、20日、25日、30日、35日、40日、45日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日等の大工工程マスタデータを用意していたとする。この場合、(1)算出した大工工程日数に最も近い期間長を有する大工工程マスタデータを選択する処理を行うとすると、算出した大工工程日数=32日であれば、30日の大工工程マスタデータが選択され、算出した大工工程日数=49日であれば、50日の大工工程マスタデータが選択されることになる。また、(2)算出した大工工程日数以下で、かつ、算出した大工工程日数に最も近い期間長を有する大工工程マスタデータを選択する処理を行うとすると、算出した大工工程日数=32日であれば、30日の大工工程マスタデータが選択され、算出した大工工程日数=49日であれば、45日の大工工程マスタデータが選択されることになる。さらに、(3)算出した大工工程日数以上で、かつ、算出した大工工程日数に最も近い期間長を有する大工工程マスタデータを選択する処理を行うとすると、算出した大工工程日数=32日であれば、35日の大工工程マスタデータが選択され、算出した大工工程日数=49日であれば、50日の大工工程マスタデータが選択されることになる。なお、用意しておく複数の期間長は、一定の日数間隔である必要はなく、例えば、算出される確率の高い大工工程日数の付近を細かく刻んで用意してもよい。また、間隔をあけることなく、あらゆる日数(例えば、20日、21日、22日、…、78日、79日、80日等)の大工工程マスタデータを用意しておいてもよい。
【0137】
(工程表作成画面:図3参照)
図3には、工程表作成手段24により表示される工程表作成画面100が示されている。この工程表作成画面100には、工事名(物件名)の表示部101と、施工対象の建築物の階数の表示部102と、工事場所(住所)の表示部103と、天候情報取得対象地域を選択する選択部110と、大工人数を入力する入力部120とが設けられている。工事名(物件名)、階数、工事場所(住所)は、工程表作成手段24により建築概要記憶手段43から取得されて表示される。天候情報取得対象地域は、工程表作成手段24により工事場所(住所)から自動決定された地域がデフォルト表示されるが、ユーザが手動操作で、別の地域や、取得しない(天候情報を利用しない)ことを選択することもでき、選択部110で選択された天候情報取得対象地域は、工程表作成手段24により現地情報記憶手段48に記憶される。入力部120で入力された大工人数は、工程表作成手段24により工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶される。
【0138】
また、図3の工程表作成画面100には、工程表作成方法の選択部130が設けられ、この選択部130では、3通りの工程表作成方法を選択することができ、「汎用の工程表マスタから対象物件の工程表を作成する」ことを選択する選択部131と、「金額ベースで大工工程日数を算出して工程表を作成する」ことを選択する選択部132と、この選択部132を選択した場合に、大工工事金額を入力する入力部133および1人工(にんく)当たりの単価を入力する入力部134と、「坪数ベースで大工工程日数を算出して工程表を作成する」ことを選択する選択部135と、この選択部135を選択した場合に、坪数を入力する入力部136および1坪当たりの人工数(にんくすう)を入力する入力部137とが設けられている。選択部130で選択または入力された情報は、工程表作成手段24により工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶される。
【0139】
さらに、図3の工程表作成画面100には、各大グループの開始日を入力する入力部140が設けられ、この入力部140には、(1)やり方立会日の入力部141と、(2)仮設電気日の入力部142と、(3)杭工事日の入力部143と、(4)掘削日の入力部144と、(5)土台日の入力部145と、(6)内装工事日の入力部146とが設けられている。入力部140で入力された情報は、工程表作成手段24により工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶される。
【0140】
入力部141~146に入力される日は、やり方立会日グループ、仮設電気日グループ、杭工事日グループ、掘削日グループ、土台日グループ、内装工事日グループの各開始日であり、これらのグループは、大グループである。各大グループの開始日は、各大グループに属する先頭の工事の工事開始日であり、各大グループに属する各工事の相対開始日の基準日である。従って、基準日は、大グループ毎に存在するので、各大グループ内において、基準日を相対開始日=1とし、各大グループに属する各工事の相対開始日から、各工事の工事開始日(何年何月何日)が計算される。
【0141】
また、図3の工程表作成画面100には、ユーザが休日を登録するための「休日の登録」ボタン150と、ユーザが現場情報を登録するための「現場情報の登録」ボタン160と、初回の工程表の作成および表示・印刷を行うための「工程表作成」ボタン170と、作成済の工程表の表示・印刷を行うための「工程表出力」ボタン180とが設けられている。
【0142】
ユーザが「休日の登録」ボタン150をクリックすると、休日データ登録手段22により休日登録画面(不図示)が表示されるので、ユーザは、その画面で休日データの登録のための入力作業を行う。入力された休日データは、休日データ登録手段22により受け付けられて休日データ記憶手段44に記憶されるが、この処理は、休日データ登録手段22の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0143】
ユーザが「現場情報の登録」ボタン160をクリックすると、現場情報収集手段27の現場情報入力受付手段27Aにより図4の現場情報登録画面200が表示されるので、ユーザは、この画面200で現場情報の登録のための入力作業を行う。入力された現場情報は、現場情報入力受付手段27Aにより受け付けられて現地情報記憶手段48に記憶されるが、この処理の詳細は、現場情報入力受付手段27Aの説明で後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0144】
ユーザが「工程表作成」ボタン170をクリックするのは、次のタイミングである。すなわち、ユーザが、図3の工程表作成画面100において、選択部110で天候情報取得対象地域を選択し、入力部120で大工人数を入力し、選択部130で工程表作成方法を選択するとともに必要な情報を入力し、入力部140で各大グループの開始日(基準日)を入力(但し、詳細は後述するが、打ち合わせ用ツールの機能があり、必ずしも全ての開始日を入力しなくてもよい。)した後、「工程表作成」ボタン170をクリックすると、工程表作成手段24により、選択部130で選択された工程表作成方法や入力された情報に従って、工程表マスタデータ記憶手段45から、個別工程表データの作成に使用する工程表マスタデータや大工工程マスタデータが取得される。
【0145】
この際、選択部130で、ユーザが「汎用の工程表マスタから対象物件の工程表を作成する」という選択部131を選択した場合には、工程表作成手段24は、入力部120で入力された大工人数に従って、工程表マスタデータ記憶手段45から、1人大工の2階建て、2人大工の2階建て、3人大工の2階建ての3種類の工程表マスタデータのうちのいずれか1つを取得し、取得した工程表マスタデータを用いて、施工対象の建築物の個別工程表データの初回の作成処理を実行し、作成した個別工程表データを個別工程表データ記憶手段47に記憶させる。この作成処理(追加工事配置処理、割込み工事配置処理、相対開始日置換処理等を含む)の内容は、既に詳述している通りである。
【0146】
また、選択部130で、ユーザが「金額ベースで大工工程日数を算出して工程表を作成する」という選択部132を選択した場合には、工程表作成手段24は、入力部133で入力された大工工事金額、および入力部134で入力された1人工(にんく)当たりの単価、並びに、入力部120で入力された大工人数を用いて、金額ベースの大工工程日数算出処理を実行し、この大工工程日数算出処理で得られた大工工程日数を用いて、使用する大工工程マスタデータを選択する大工工程選択処理を実行する。これらの大工工程日数算出処理および大工工程選択処理は、既に詳述している通りである。そして、入力部120で入力された大工人数に従って、工程表マスタデータ記憶手段45から取得した工程表マスタデータの大工工程の部分に、選択した大工工程マスタデータを嵌め込むことにより、施工対象の建築物の個別工程表データの初回の作成処理を実行し、作成した個別工程表データを個別工程表データ記憶手段47に記憶させる。この作成処理(追加工事配置処理、割込み工事配置処理、相対開始日置換処理等を含む)の内容は、既に詳述している通りである。
【0147】
さらに、選択部130で、ユーザが「坪数ベースで大工工程日数を算出して工程表を作成する」という選択部135を選択した場合には、工程表作成手段24は、入力部136で入力された坪数、および入力部137で入力された1坪当たりの人工数(にんくすう)、並びに、入力部120で入力された大工人数を用いて、坪数ベースの大工工程日数算出処理を実行し、この大工工程日数算出処理で得られた大工工程日数を用いて、使用する大工工程マスタデータを選択する大工工程選択処理を実行する。これらの大工工程日数算出処理および大工工程選択処理は、既に詳述している通りである。そして、入力部120で入力された大工人数に従って、工程表マスタデータ記憶手段45から取得した工程表マスタデータの大工工程の部分に、選択した大工工程マスタデータを嵌め込むことにより、施工対象の建築物の個別工程表データの初回の作成処理を実行し、作成した個別工程表データを個別工程表データ記憶手段47に記憶させる。この作成処理(追加工事配置処理、割込み工事配置処理、相対開始日置換処理等を含む)の内容は、既に詳述している通りである。
【0148】
続いて、工程表作成手段24による個別工程表データの作成後に、工程表出力手段25は、作成された個別工程表データ、および入力部140で入力された各大グループの開始日(基準日)、並びに、休日データ記憶手段44に記憶された休日データを用いて、初回の工程表の表示・印刷処理を実行する。この工程表の表示・印刷処理の詳細は、工程表出力手段25の説明で後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0149】
ユーザが「工程表出力」ボタン180をクリックするのは、次のように、その後の任意のタイミングである。すなわち、その後の任意の段階で、工程表作成手段24は、ユーザによる作成済みの個別工程表データの選択を受け付け、図3の工程表作成画面100を表示する。この際、ユーザは、個別工程表データ記憶手段47に記憶されている作成済みの個別工程表データの中から、工程表の表示・印刷を行いたい施工対象の建築物についての作成済みの個別工程表データを選択するので、工程表作成手段24は、個別工程表データ記憶手段47から、ユーザにより選択された作成済みの個別工程表データを取得する。
【0150】
また、工程表作成手段24は、工程表の表示・印刷を行いたい施工対象の建築物についての工事名(物件名)、階数、工事場所(住所)を、建築概要記憶手段43から取得して表示部101,102,103に表示し、天候情報取得対象地域を、現地情報記憶手段48から取得して選択部110に表示し、大工人数を、工程表作成用基礎情報記憶手段46から取得して入力部120に表示する。
【0151】
さらに、工程表作成手段24は、工程表作成方法等を、工程表作成用基礎情報記憶手段46から取得して選択部130に表示する。但し、選択部130で選択または入力された情報は、個別工程表データの初回作成に使用されるだけであるため、表示を省略してもよい。
【0152】
また、工程表作成手段24は、各大グループの開始日(基準日)を、工程表作成用基礎情報記憶手段46から取得して入力部140に表示する。ユーザは、この段階で、入力部140に表示された各大グループの開始日(基準日)を変更することもできる。変更された各大グループの開始日(基準日)は、各大グループの先頭の工事の工事名と関連付けて工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶される。
【0153】
そして、以上のようにして工程表作成手段24により図3の工程表作成画面100の表示が行われた状態で、ユーザが、「工程表出力」ボタン180をクリックすると、工程表出力手段25は、ユーザにより選択されて取得した作成済の個別工程表データ、および入力部140に表示された各大グループの開始日(基準日)若しくはその後に変更された各大グループの開始日(基準日)、並びに、休日データ記憶手段44に記憶された休日データを用いて、2回目以降の工程表の表示・印刷処理を実行する。この工程表の表示・印刷処理の詳細は、工程表出力手段25の説明で後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0154】
(工程表作成手段24による暫定の工程表作成処理:打ち合わせ用ツールの機能)
工程表作成手段24は、図3の入力部140に各大グループの開始日(基準日)のうちの一部しか入力されていない状態、あるいは開始日(基準日)が1つも入力されていない状態でも、対象の建築物の個別工程表データを作成することができる。但し、工程表出力手段25による工程表の表示・印刷を行うことができるという意味ではなく、後述するように一部の開始日(基準日)が未入力の状態でも工程表の表示・印刷が可能な場合はあるが、開始日(基準日)が1つも入力されていなければ、何年何月何日という日付を定めるための情報がないので、当然、工程表の表示・印刷を行うことはできない。そして、このような状態で作成された暫定の個別工程表データは、個別工程表データ記憶手段47に保存してもよく、主メモリ上で作成するだけとし、保存せずに破棄してもよい。保存せずに破棄したとしても、再度、工程表マスタデータ(あるいは大工工程マスタデータ)から容易に自動作成することができる。
【0155】
上記のような状態で暫定の個別工程表データの作成が可能となるのは、工程表マスタデータや大工工程マスタデータが、相対開始日で設定されていて、かつ、これをコピーして作成される個別工程表データも、相対開始日で構成されるからである。このため、使用する工程表マスタデータ(あるいは大工工程マスタデータ)を選択し、それらをコピーして個別工程表データを作成した後は、その個別工程表データは、大グループ毎に期間長(所要日数)が固定されることになる。工程表作成手段24による割込み工事配置処理を実行すると、割込み工事の工事日数の分だけ期間長が伸びることになるが、割込み工事配置処理後には、やはり大グループ毎に期間長(所要日数)が固定されることに変わりはない。
【0156】
大グループの期間長(工事実施期間の日数:休日は除く)は、その大グループの最後の工事の相対開始日および工事日数で計算することができる。例えば、最後の工事の相対開始日=48、工事日数=3の場合は、その大グループの期間長は、48+3-1=50日(休日は除く)である。また、休日を考慮して大グループの期間長(その大グループの先頭の工事の開始日から最後の工事の終了日までの期間)を計算する場合は、その大グループの基準日、および休日データ記憶手段44に記憶された休日データを用いて、休日が介在することにより増える日数を計算する。この計算に基準日が必要となるのは、例えば、上記の50日(休日は除く)のうちの、いずれの位置に休日が入り込むのかが、基準日がないと定まらないからである。
【0157】
以上のような個別工程表データの構成(相対開始日で工程を定めている。)から導かれる性質を利用して、本システムでは、各大グループの開始日(基準日)の決定過程における調整作業を行うことができる。従って、各大グループの開始日は、ユーザ(施工主の会社やその従業員)と関係者(業者や施主)との打ち合わせにより決定されるが、工程表作成システム10は、その打ち合わせ時に使用するツールとして活用することができる。より詳細には、図3の(1)やり方立会日は、顧客(施主)の都合で決定するので必ず入力するが、(2)仮設電気日、(3)杭工事日、(4)掘削日(基礎工程)は、ユーザ(施工主の会社やその従業員)と業者との工事日程調整により入力するので、その調整作業時に活用することができる。なお、(5)土台日(大工工程)および(6)内装工事日は、業者との日程調整が必要な場合もあるが、元請けの工程に準ずる場合が多いので、未入力にしておくと、工程表出力手段25による工程表の表示・印刷の際には、(4)掘削日グループ(基礎工程)の最終日の翌日から(5)土台日グループ(大工工程)となり、(5)土台日グループ(大工工程)の最終日の翌日から(6)内装工事日グループとなる。
【0158】
例えば、図3に示された(1)~(6)の6つの大グループのうちの杭工事日グループ、掘削日グループ、土台日グループ、内装工事日グループについては、ある大グループの工事実施期間(その大グループの先頭の工事の開始日から最後の工事の終了日までの期間)と、その後続の大グループの工事実施期間とは、重なってはいけないという取り決めをしたとする。このとき、上述したように各大グループの期間長(休日は除く)は固定されているので、工事日程の打ち合わせ時に、図3の入力部140の各入力部141~146に、各大グループの開始日として、暫定的な日付を入力すると、入力された暫定的な日付、および休日データ記憶手段44に記憶された休日データを用いて、工程表作成手段24により、前後の大グループに重なりが生じるか否かの確認のための計算をすること、さらには、どのくらいの日数の重なりが生じるのかを計算すること、あるいは、どのくらいの日数の空白期間(休日ではないのに工事の無い日)が生じるのかを計算することができる。この工程表作成手段24による重なり確認の計算は、工程表出力手段25による作成済の個別工程表データ(保存前の主メモリにある状態のものを含む)を用いた工程表の画面表示および/または印刷のための計算と同様である。従って、ユーザは、それらの情報を表示した画面を見ることにより、暫定的に入力した日付が適切であるか否かが容易にわかるので、工事日程の打ち合わせの円滑化を図ることができる。
【0159】
本実施形態では、工程表作成手段24は、図3の入力部140の各入力部141~146の全部に日付(基準日)を入力した場合に限らず、各入力部141~146の一部だけに日付(基準日)を入力した場合でも、それらを入力した状態で、図3の「工程表作成」ボタン170をクリックすると、入力された日付と、工程表マスタデータ(あるいは大工工程マスタデータ)から作成された個別工程表データにおける各大グループの最後の工事の相対開始日および工事日数と、休日データ記憶手段44に記憶された休日データとを用いて、大グループ同士の工事実施期間の重なりの有無の判断処理を実行する。また、重なった場合の当該重なった日数や、重ならなかった場合の空白期間の日数の計算処理を実行してもよい。そして、重なってはいけない取り決めになっている大グループ同士の工事実施期間が重なった場合には、その旨の警告表示処理を実行する。また、重なった日数や、大グループ間に生じた空白期間の日数の表示を行ってもよい。なお、警告表示処理が行われる状態でも、工程表作成手段24による個別工程表データの作成処理は行うことができるが、作成した個別工程表データを用いた工程表出力手段25による工程表の表示・印刷は行うことができない。
【0160】
そして、工程表作成手段24は、大グループ同士の工事実施期間が重なったか否かを判断する際に、大グループの終端に予備日が設定されている場合には、当該予備日は、その大グループに属する直接関連工事として取り扱い、当該予備日を含めて大グループの工事実施期間であるとみなして、重なったか否かを判断する。当該予備日は、入力された日付により大グループ間に生じる空白期間(休日ではないのに工事の無い日)とは異なり、ユーザが必要と判断して積極的に確保した日だからである。但し、当該予備日を大グループの工事実施期間に含めないで考えて、重なったか否かを判断する構成としてもよい。すなわち、ある大グループの終端に設定されている予備日が、後続の大グループの工事実施期間と重なっても、それは大グループ同士の工事実施期間の重なりではないという判断をする構成としてもよい。
【0161】
なお、例えば、杭工事日グループ、掘削日グループ、土台日グループ、内装工事日グループについては、互いに工事実施期間が重なってはいけない等の取り決めは、工程表作成手段24を実現するプログラム内に記述しておいてもよいが、大グループの設定画面(不図示)または図3の工程表作成画面100において、各大グループについて、後続の大グループとの重なりを許可するか否かを自在に設定できるようにしておき、それらの設定情報を、大グループ設定記憶手段(不図示)または工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶しておくことが好ましい。
【0162】
<処理手段20/工程表出力手段25の構成:図5図8参照>
【0163】
工程表出力手段25は、工程表作成手段24により作成されるか、または工程表変更手段26により変更されて個別工程表データ記憶手段47(保存前であれば、主メモリ上)に記憶されている個別工程表データと、ユーザにより入力指定されて工程表作成用基礎情報記憶手段46(保存前であれば、主メモリ上)に記憶されている各大グループの開始日(基準日)と、休日データ記憶手段44に記憶された休日データとを用いて、対象の建築物の工程表を画面表示および/または印刷する処理を実行するものである。なお、個別工程表データを作成するのは、工程表作成手段24であるから、この工程表出力手段25は、既に作成されている個別工程表データ(保存前の主メモリにある状態のものを含む)を用いて、各工事の工事開始日(何年何月何日という日付)を計算し、その計算結果を用いて、工程表の画面表示および/または印刷を行う。
【0164】
この工程表出力手段25による処理は、本実施形態では、次のようなタイミングで実行される。(1)ユーザが図3の「工程表作成」ボタン170をクリックしたタイミングで実行される。この場合は、工程表作成手段24による個別工程表データの作成処理が実行され、その処理に続いて、この工程表出力手段25による処理が実行される。また、(2)ユーザが図3の「工程表出力」ボタン180をクリックしたタイミングで実行される。この場合は、ユーザの選択で、個別工程表データ記憶手段47に記憶されている作成済みの個別工程表データが取得され、この工程表出力手段25による処理が実行される。さらに、(3)ユーザが図11の「OK」ボタン340をクリックしたタイミングで実行される。この場合は、工程表変更手段26による個別工程表データの変更処理が実行され、その処理に続いて、この工程表出力手段25による処理が実行される。
【0165】
具体的には、工程表出力手段25は、先ず、基準日を用いて、各工事の相対開始日から、各工事の工事開始日(何年何月何日という日付)を計算する。図5の左下に示すように、大グループである土台日グループの先頭の工事は、「土台」という工事名の工事であり、その工事の行データでは、相対開始日=1、工事日数=3、行位置=1となっている。図5の右下に示すように、工程表作成用基礎情報記憶手段46には、土台日グループの開始日(基準日)として、2021年9月2日(「9/2(木)」と略記する)が記憶されている。なお、曜日は、システムで用意されている関数(日付から曜日を取得する関数)により自動取得するので、ユーザが入力する必要はない。
【0166】
工事終了日は、「工事開始日+工事日数-1」(休日を除く)という計算で得られる。「土台」工事では、相対開始日=1、工事日数=3であるから、基準日である9/2(木)が工事開始日であり、その2日後(工事日数-1)である9/4(土)が工事終了日となる。なお、この間に、休日データ記憶手段44に記憶されている休日が介在すれば、計算結果は変わるが、ここでは、日曜日だけが休日として指定され、土曜日は休日に指定されていないものとするので、工事終了日は、9/4(土)でよい。従って、図5の左下の表から右下の表への計算に関与する休日は、9/5(日)である。その次の休日は、9/12(日)であるので、図5の計算例には、関与しない。
【0167】
また、図5の左下に示すように、「1回目クレーン」工事の行データでは、相対開始日=4、工事日数=1、行位置=2となっている。基準日である9/2(木)が相対開始日=1であるから、相対開始日=4は、その3日後((4-1)日後)であり、休日を考えなければ、9/5(日)となるが、9/5(日)は、休日に指定されている日曜日であるため、「1回目クレーン」工事の工事開始日は、休日明けの9/6(月)となる。そして、工事日数=1であるから、工事終了日も、9/6(月)である。他の工事についても、同様にして、工事開始日および工事終了日の計算を行うと、図5の右下の表のようになる。図7の左の表から右の表への計算も同様である。
【0168】
これらの計算結果(図5の右下の表や図7の右の表に示された各工事の日付)は、本実施形態では、主メモリ上に保持するだけであるので、再表示・再印刷を行う際には、再計算することになる。なお、これらの計算結果を、個別工程表データに含めて個別工程表データ記憶手段47に記憶させておいてもよく、その場合は、工程表出力手段25により再表示・再印刷を行う際には、同じ計算を行うことなく、個別工程表データに含めた状態で記憶されている計算結果を用いて再表示・再印刷を行えばよい。
【0169】
工程表出力手段25は、上記のようにして各工事の日付を計算した後に、その計算結果、および個別工程表データに含まれる各工事のカラーデータおよび行位置を用いて、図6図8に示すような工程表の表示および/または印刷を行う。この際、工程表を構成する各工事について、工事名を表示するセルの左右方向(時間軸の方向)の位置は、計算した日付で定まり、上下方向の位置(同日中における工事の順番を示すものではない。)は、行位置の欄のデータで定まり、セルの色は、カラーデータで定まる。
【0170】
カラーデータは、業者やユーザ自身が工程表を見やすくなるように、マスタ編集手段23により、ユーザが工程表マスタデータや大工工程マスタデータの中に予め設定しておき(任意に設定することができる)、そのカラーデータが、工程表作成手段24により、そのまま個別工程表データにコピーされる。工事名の表示がないセルは、白色またはその他の背景色である。
【0171】
行位置は、工程表に法則性を持たせて見やすくなるように、ユーザが工程表マスタデータや大工工程マスタデータの中に予め設定しておき、その行位置のデータが、工程表作成手段24により、そのまま個別工程表データにコピーされる。但し、相対開始日置換処理が実行されると、図8に示すように、個別工程表データの作成時に、行位置が変更される場合がある。本実施形態では、1行目にメイン工事、2行目に付帯工事(サブメイン)(2)、3行目に付帯工事(2)、4行目に付帯工事(3)、5行目に検査など、6行目に納品という設定にしている。
【0172】
<処理手段20/工程表変更手段26の構成>
【0173】
工程表変更手段26は、工事開始日を変更する工事および移動日数についてのユーザの入力指定を受け付け、個別工程表データ記憶手段47に記憶された個別工程表データを用いて、変更対象の工事以降の工事について相対開始日を変更する工程変更を行い、工程変更後の個別工程表データを、個別工程表データ記憶手段47に記憶させる処理を実行するものである。
【0174】
なお、工程変更を行う理由には、大きな事件や自然災害等があり、台風接近等による悪天候を避ける場合が多いが、天候以外の変更理由としては、例えば、変電所火災等による広域の停電、電力不足による計画停電、水道工事による給水停止、地震直後の物流ストップ、付近に生じた土砂崩れや道路工事等による交通遮断、輸入規制等の政治的な影響による物資の不足等がある。また、関係者(業者やユーザ自身)の都合による個別の事情もあり、例えば、取引先の倒産、取引先の臨時休業、職人のケガや病気、クレーン等の機器の故障等である。
【0175】
(工程表変更手段26による基本的な処理:図12図13参照)
工程表変更手段26は、図11に示すシフト設定画面300で工事開始日を変更する工事および移動日数についてのユーザの入力指定を受け付け、個別工程表データに含まれる変更対象の工事以降の工事の行データの中に設定されているそれらの工事の直接グループや間接グループへの帰属情報に従って、変更対象の工事以降の工事の相対開始日を変更する。
【0176】
より詳細には、工程表変更手段26は、先ず、個別工程表データを用いて、変更対象の工事以降の工事について、変更対象の工事が属する直接グループ(この直接グループと相対開始日の基準日が同じである別の直接グループがある場合には、その別の直接グループも含む。)の直接関連工事の相対開始日を、入力指定された移動日数だけ移動する。同じ直接グループに属する直接関連工事は、1つの工事を移動すると、その後の工事も強制的に同じ日数だけ移動する取り決めだからである。この際、何年何月何日という日付ではなく、相対開始日を移動するので、休日データ記憶手段44に記憶された休日を考慮する必要はない。
【0177】
次に、工程表変更手段26は、直接グループに属する直接関連工事を移動した場合に、その移動した直接グループに属し、かつ、間接グループにも属する工事がある場合には、この双方に属する工事と同じ間接グループに属する間接関連工事の相対開始日を、移動日数だけ移動するか否かをユーザに確認し、ユーザの移動指示があった場合に移動日数だけ移動する。なお、直接グループおよび間接グループの双方に属する工事自体は、直接グループに属する直接関連工事であるから、それが変更対象の工事そのものであれば、当然に移動されており、また、変更対象の工事よりも後の工事であれば、強制的に移動されていることになる。
【0178】
具体的には、例えば、図2の工程表マスタデータには、大グループである掘削日グループ(基礎工程)の最後の直接関連工事として、「土間コン」工事があり、相対開始日=19、間接グループ=3、直接グループ=4となっている。そして、図12の右上の表に示すように、個別工程表データにも、相対開始日=19、間接グループ=3、直接グループ=4がコピーされている。図11のシフト設定画面300において、ユーザが、この「土間コン」工事を、変更対象の工事として指定し、かつ、移動日数=2と指定し、「OK」ボタン340をクリックすると、先ず、この「土間コン」工事の移動処理が実行される。
【0179】
すると、図12に示すような確認画面400が表示される。この確認画面400には、「土間コン」工事が、例えば8/23(月)から8/25(水)に変更された旨の表示が行われる。なお、この図12の例における8/23(月)という日付は、図3の(4)掘削日の入力部144への入力例として示した日付とは無関係であり、この図12限りの日付の例である。
【0180】
さらに、図12の確認画面400には、ユーザに対し、「土間コン」工事に間接関連工事が存在することを知らせ、それらの間接関連工事の変更が可能かを業者に確認することを促す確認表示が行われる。図12の右上の表(図2でも同様)に示すように、「土間コン」工事は、間接グループ=3、直接グループ=4の双方に属する工事であり、この間接グループ=3に属する間接関連工事には、「建材 土台納品」工事、「足場設置」工事がある。従って、図12の確認画面400には、「建材土台納品」工事も、「土間コン」工事と同様に2日ずらして、8/25(水)から8/27(金)に変更するか否かにつき、変更することを選択する「はい」の選択部411と、変更しないことを選択する「いいえ」の選択部412とが設けられている。また、「足場設置」工事も、「土間コン」工事と同様に2日ずらして、8/25(水)から8/27(金)に変更するか否かにつき、変更することを選択する「はい」の選択部421と、変更しないことを選択する「いいえ」の選択部422とが設けられている。
【0181】
図12の確認画面400において、ユーザが、「はい」の選択部411および選択部421にチェックを入れて「OK」ボタン430をクリックすると、「建材 土台納品」工事および「足場設置」工事の移動処理が実行される。この結果、図12の右上の表では、「土間コン」工事、「建材 土台納品」工事、「足場設置」工事の相対開始日は、19,21,21であったが、変更後には、図12の右下の表の太線の枠内に示すように、全て2日ずつずれて、21,23,23になる。
【0182】
一方、「いいえ」の選択部412および選択部422にチェックを入れて「OK」ボタン430をクリックするか、または、どこにもチェックを入れない状態(若しくはどこかにチェックを入れた状態でもよい)で「キャンセル」ボタン440をクリックすると、「建材 土台納品」工事および「足場設置」工事の移動処理は実行されず、これらの相対開始日はそのままとなる。この結果、「土間コン」工事は、直接関連工事であるから、相対開始日は19から21に変更されるが、「建材 土台納品」工事および「足場設置」工事の各相対開始日は、共に21のままである。
【0183】
なお、「建材 土台納品」工事、「足場設置」工事についての変更可能か否かの確認は、独立しているので、いずれか一方を変更し、他方を変更しないこともできる。その場合には、いずれか一方について「はい」にチェックを入れ、他方について「いいえ」にチェックを入れた状態で、「OK」ボタン430をクリックすればよい。
【0184】
また、図2の工程表マスタデータには、大グループである土台日グループ(大工工程)の中間位置の直接関連工事として、「2回目クレーン」工事があり、相対開始日=6、間接グループ=2、直接グループ=1となっている。そして、図13の右上の表に示すように、個別工程表データにも、相対開始日=6、間接グループ=2、直接グループ=1がコピーされている。図11のシフト設定画面300において、ユーザが、この「2回目クレーン」工事を、変更対象の工事として指定し、かつ、移動日数=2と指定し、「OK」ボタン340をクリックすると、先ず、この「2回目クレーン」工事の移動処理が実行され、さらに、「2回目クレーン」と同じ直接グループ=1に属する直接関連工事のうち、「2回目クレーン」工事の後の各工事(下側の行データの各工事)についても、強制的に、「2回目クレーン」工事の移動日数と同じ日数(=2)の移動処理が実行される。なお、土台日グループの中に、直接グループ=1の直接関連工事と相対開始日の基準日が同じである別の直接グループがある場合には、その別の直接グループの直接関連工事のうち、「2回目クレーン」工事の後の各工事(下側の行データの各工事)についても、強制的に、「2回目クレーン」工事の移動日数と同じ日数(=2)の移動処理が実行される。
【0185】
すると、図13に示すような確認画面500が表示される。この確認画面500には、「2回目クレーン」工事が、例えば9/8(水)AMから9/10(金)AMに変更された旨の表示が行われる。また、「2回目クレーン」工事の工程変更に伴い、直接関連工事の「2回目ガードマン」工事も、9/8(水)AMから9/10(金)AMに変更された旨、「プレカット2便」工事も、9/8(水)から9/10(金)に変更された旨、「プレカット検査」工事も、9/10(金)から9/13(月)に変更された旨(途中に休日である日曜日が入っている。)、「小屋組」工事も、9/10(金)から9/13(月)に変更された旨(途中に休日あり)、「間柱・金物」工事も、9/11(土)から9/14(火)に変更された旨(途中に休日あり)の表示が行われる。
【0186】
さらに、図13の確認画面500には、ユーザに対し、「2回目クレーン」工事に間接関連工事が存在することを知らせ、それらの間接関連工事の変更が可能かを業者に確認することを促す確認表示が行われる。図13の右上の表(図2でも同様)に示すように、「2回目クレーン」工事は、間接グループ=2、直接グループ=1の双方に属する工事であり、この間接グループ=2に属する間接関連工事には、「足場ネット設置」工事、「ゴミかご設置」工事がある。なお、図2では、「足場ネット設置」工事の行データには、現場情報参照指示データ=「2」(相対開始日置換要否判断指示情報)が設定され、「ゴミかご設置」工事の行データには、現場情報参照指示データ=「1」(グループ変更要否判断指示情報)が設定されているが、ここでは、それらの現場情報参照指示データがないものとして説明を行う。従って、図13の確認画面500には、「足場ネット設置」工事も、「2回目クレーン」工事と同様に2日ずらして、9/10(金)から9/13(月)に変更するか否かにつき、変更することを選択する「はい」の選択部511と、変更しないことを選択する「いいえ」の選択部512とが設けられている。また、「ゴミかご設置」工事も、「2回目クレーン」工事と同様に2日ずらして、9/10(金)から9/13(月)に変更するか否かにつき、変更することを選択する「はい」の選択部521と、変更しないことを選択する「いいえ」の選択部522とが設けられている。
【0187】
図13の確認画面500において、ユーザが、「はい」の選択部511および選択部521にチェックを入れて「OK」ボタン530をクリックすると、「足場ネット設置」工事および「ゴミかご設置」工事の移動処理が実行される。この結果、図13の右上の表では、「2回目クレーン」工事、「2回目ガードマン」工事、「プレカット2便」工事、「プレカット検査」工事、「小屋組」工事、「足場ネット設置」工事、「ゴミかご設置」工事、「間柱・金物」工事の相対開始日は、6,6,6,8,8,8,8,9であったが、変更後には、図13の右下の表の太線の枠内に示すように、全て2日ずつずれて、8,8,8,10,10,10,10,11になる。
【0188】
一方、「いいえ」の選択部512および選択部522にチェックを入れて「OK」ボタン530をクリックするか、または、どこにもチェックを入れない状態(若しくはどこかにチェックを入れた状態でもよい)で「キャンセル」ボタン540をクリックすると、「足場ネット設置」工事および「ゴミかご設置」工事の移動処理は実行されず、これらの相対開始日はそのままとなる。この結果、「2回目クレーン」工事は、直接関連工事であるから、相対開始日は6から8に変更されるが、「足場ネット設置」工事および「ゴミかご設置」工事の各相対開始日は、共に8のままである。
【0189】
なお、「足場ネット設置」工事、「ゴミかご設置」工事についての変更可能か否かの確認は、独立しているので、いずれか一方を変更し、他方を変更しないこともできる。その場合には、いずれか一方について「はい」にチェックを入れ、他方について「いいえ」にチェックを入れた状態で、「OK」ボタン530をクリックすればよい。
【0190】
(工程表変更手段26による現場情報に基づくグループ変更要否判断処理)
工程表変更手段26は、個別工程表データの現場情報参照指示データの欄に、グループ変更要否判断指示情報(本実施形態では、番号=「1」)が含まれている行データがある場合には、その行データの工事について、次のようなグループ変更要否判断処理を実行する。
【0191】
ここで、グループ変更要否判断指示情報(本実施形態では、番号=「1」)は、間接グループに属し、かつ、直接グループに属さない工事(つまり、直接関連工事になっていない間接関連工事)について工程変更を行う際に、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶された現場情報(現場情報参照指示データ=「1」に対応する現場情報)を用いて、間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更を行うか否かを判断する工事であることを示す情報である。このグループ変更要否判断指示情報は、工程表マスタデータ(あるいは大工工程マスタデータ)に予め設定され、個別工程表データにもコピーされる情報である。
【0192】
従って、工程表変更手段26は、先ず、間接関連工事について工程変更を行う際に、個別工程表データに含まれる当該間接関連工事の行データにおける現場情報参照指示データの欄に、グループ変更要否判断指示情報(番号=「1」)が設定されているか否かを判断し、設定されている場合には、当該間接関連工事について、現場情報記憶手段48(図4参照)から、番号=「1」に対応する現場情報を取得する。本実施形態では、番号=「1」に対応する現場情報は、図4に示すように、「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当するか否かを示す情報である。
【0193】
なお、グループ変更要否判断指示情報に対応する現場情報は、この「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当するか否かを示す情報に限定されるものではなく、また、1種類の現場情報に限定されるものでもなく、この点については、現場情報収集手段27の説明で後述する。
【0194】
次に、工程表変更手段26は、取得した現場情報を用いて間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更をするか否かを判断する。本実施形態では、「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当する場合には、間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更をすると判断する。
【0195】
そして、工程表変更手段26は、取り扱いの変更をすると判断した場合には、グループ変更要否判断指示情報が設定されている間接関連工事の相対開始日を、直接関連工事の取り扱いと同様に、ユーザへの確認をすることなく強制的に、ユーザにより入力指定された移動日数だけ移動する。
【0196】
一方、工程表変更手段26は、取り扱いの変更をしないと判断した場合には、間接関連工事の本来の取り扱いとして、ユーザにより入力指定された移動日数だけ移動するか否かをユーザに確認し、ユーザの移動指示があった場合に移動日数だけ移動する。
【0197】
具体的には、例えば、図2の工程表マスタデータには、「野地・スタイロ納品」工事、「ゴミかご設置」の行データがあり、これらの行データにおける現場情報参照指示データの欄には、グループ変更要否判断指示情報(番号=「1」)が設定されている。個別工程表データにも同様に設定されている。
【0198】
この状況下で、例えば、土台日グループに属する直接グループ=1の直接関連工事である「1階床水平検査」工事(図2参照)を、1日延期したとする。このとき、「1階床水平検査」工事の行データの1つ下の行データの「1回目クレーン」工事も、同じ直接グループ=1に属しているので、強制的に1日延期される。そして、「1回目クレーン」工事については、間接グループ=1にも属しているので、同じ間接グループ=1の「野地・スタイロ納品」の行データの処理に移る。
【0199】
上述したように、「野地・スタイロ納品」工事の行データにおける現場情報参照指示データの欄には、グループ変更要否判断指示情報(番号=「1」)が設定されているので、現場情報記憶手段48(図4参照)から、番号=「1」に対応する現場情報(本実施形態では、「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当するか否かを示す情報)を取得する。
【0200】
ここで、「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当する場合には、「野地・スタイロ納品」工事について、間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更を行う。すなわち、ユーザに対し、業者に変更可能かを確認してください等のメッセージによる確認表示を行うことなく、強制的に「野地・スタイロ納品」工事を1日延期する。
【0201】
一方、「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当しない場合には、「野地・スタイロ納品」工事は、本来の間接関連工事の取り扱いとし、ユーザに対し、業者に変更可能かを確認することを促す確認表示を行い、ユーザによる変更指示があった場合(変更可能な場合)に、「野地・スタイロ納品」工事を1日延期する。これに対し、ユーザによる変更指示がない場合(業者に確認した結果、変更できないことがわかった場合、または業者に確認できなかった場合)には、「野地・スタイロ納品」工事の延期は行わない。
【0202】
さらに、「2回目クレーン」工事も、「1階床水平検査」工事と同じ直接グループ=1に属しているので、「1回目クレーン」工事等の直接関連工事とともに、強制的に1日延期されている。そして、この「2回目クレーン」工事については、間接グループ=2にも属しているので、同じ間接グループ=2の「足場ネット設置」や「ゴミかご設置」の行データの処理に移る。
【0203】
上述したように、「ゴミかご設置」工事の行データにおける現場情報参照指示データの欄には、グループ変更要否判断指示情報(番号=「1」)が設定されている。なお、「足場ネット設置」工事の行データには、相対開始日置換要否判断指示情報(番号=「2」)が設定されているので、ここで説明しているグループ変更要否判断処理とは関係がない。従って、「ゴミかご設置」工事について、現場情報記憶手段48(図4参照)から、番号=「1」に対応する現場情報(本実施形態では、「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当するか否かを示す情報)を取得する。
【0204】
ここで、「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当する場合には、「ゴミかご設置」工事について、間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更を行う。すなわち、ユーザに対し、業者に変更可能かを確認してください等のメッセージによる確認表示を行うことなく、強制的に「ゴミかご設置」工事を1日延期する。
【0205】
一方、「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当しない場合には、「ゴミかご設置」工事は、本来の間接関連工事の取り扱いとし、ユーザに対し、業者に変更可能かを確認することを促す確認表示を行い、ユーザによる変更指示があった場合(変更可能な場合)に、「ゴミかご設置」工事を1日延期する。これに対し、ユーザによる変更指示がない場合(業者に確認した結果、変更できないことがわかった場合、または業者に確認できなかった場合)には、「ゴミかご設置」工事の延期は行わない。
【0206】
(工程表変更手段26による天候情報に基づく注意喚起表示処理)
工程表変更手段26は、工事開始日を変更する工事および移動日数についてのユーザの入力指定を受け付ける際(図11のシフト設定画面300の表示中)または受け付けた際(図12図13の確認画面400,500の表示中)に、個別工程表データの現場情報参照指示データの欄に、天候考慮指示情報(本実施形態では、番号=「30」)が含まれている行データがある場合には、その行データの工事のうちの未実施の残工事について、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶された天候情報を用いて、工事開始日を変更する必要があるか否かを判断し、その判断結果をユーザに伝達する注意喚起表示処理を実行する。
【0207】
ここで、天候考慮指示情報(本実施形態では、番号=「30」)は、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶された天候情報(現場情報参照指示データ=「30」に対応する現場情報)を用いて工事開始日の変更の要否を判断する工事であることを示す情報である。この天候考慮指示情報は、工程表マスタデータ(あるいは大工工程マスタデータ)に予め設定され、個別工程表データにもコピーされる情報である。
【0208】
この工程表変更手段26により実行される注意喚起表示処理には、ユーザの入力指定に従って変更対象の工事およびその後続の工事についての移動処理を行う前に実行する事前注意喚起表示処理と、この移動処理を行った後に実行する事後注意喚起表示処理とがある。図4に示したスペースに関する現場情報(現場情報参照指示データ=「1」、「2」に対応する現場情報)が日付に左右されない情報(時間変化のない情報)であるのに対し、天候情報は、日付(時間の経過)によって変化する情報であることから、ユーザが天候情報を知る機会を増やすため、事前注意喚起表示処理と、事後注意喚起表示処理とを設けている。なお、これらの処理のうちのいずれか一方の処理を実行する構成としてもよい。
【0209】
(工程表変更手段26による事前注意喚起表示処理)
そして、事前注意喚起表示処理は、残工事の現状の工事開始日(何年何月何日という日付)および工事日数で定まる現状の工事実施期間(何年何月何日から何年何月何日までという1つの残工事の期間であり、移動されていない状態の工事実施期間)に対応する日付の天候情報を用いて、残工事について工事開始日を変更する必要があるか否かを判断し、その判断結果をユーザに伝達する処理である。この事前注意喚起表示処理は、ユーザが図11のシフト設定画面300の「天候情報参照(事前)」ボタン350をクリックしたときに実行される。ユーザは、いずれかの工事を移動させようという明確な意思を持たない状態で図11のシフト設定画面300を表示し、「天候情報参照(事前)」ボタン350をクリックして天候情報の影響を確認することもできるので、その確認作業は、いつでも行うことができる。
【0210】
(工程表変更手段26による事後注意喚起表示処理)
また、事後注意喚起表示処理は、ユーザの入力指定に従って工事実施期間の移動が行われた残工事については、移動後の工事実施期間(何年何月何日から何年何月何日までという1つの残工事の期間)に対応する日付の天候情報を用いて、既に行った移動処理とは別に、更なる工事開始日の変更が必要であるか否かを判断し、工事実施期間の移動が行われなかった残工事については、移動が行われなかった工事実施期間(何年何月何日から何年何月何日までという1つの残工事の期間であり、移動されていない状態の工事実施期間)に対応する日付の天候情報を用いて、工事開始日を変更する必要があるか否かを判断する処理である。この事後注意喚起表示処理は、ユーザが、図12の確認画面400の「天候情報参照(事後)」ボタン450や、図13の確認画面500の「天候情報参照(事後)」ボタン550をクリックしたときに実行される。
【0211】
(工程表変更手段26による注意喚起表示処理の具体例:図14図15参照)
具体的には、例えば、図14に示すように、工事A,B,C,D,E,F,Gの相対開始日が、3,4,5,6,7,8,9であり、工事日数は、すべて1であり、すべて直接関連工事であるとする。そして、工事C,Fの行データにおける現場情報参照指示データの欄に、天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されているとする。また、図3の工程表作成画面100でユーザにより入力指定された大グループの開始日(基準日)が2021年9月3日(金)であるとする。従って、2021年9月3日(金)が相対開始日=1に対応する日付であるから、図14の右上部に示すように、相対開始日=3に対応する日付は、2021年9月5日(日)が休日であるため、2021年9月6日(月)である。なお、図14および図15の日付は、図3の日付の入力例とは無関係であり、図14および図15限りの日付の例である。
【0212】
(工程表変更手段26による事前注意喚起表示処理の具体例:図14の上部参照)
図11のシフト設定画面300において、変更対象の工事や移動日数を未だ入力していない段階、または入力はしているが「OK」ボタン340をクリックしていない段階で、「天候情報参照(事前)」ボタン350をクリックすると、工程表変更手段26による事前注意喚起表示処理が実行され、図14に示すような事前注意喚起表示画面600が表示される。この事前注意喚起表示処理には、個別判定処理と、複合判定処理とが含まれる。
【0213】
ユーザは、「天候情報参照(事前)」ボタン350をクリックすることにより、天候以外の理由で、ある工事の日程変更が必要と考えて図11のシフト設定画面300を開いていた場合でも、悪天候により変更(延期)が必要な工事があることを知ることができる。また、悪天候により変更(延期)が必要な工事があると考えて図11のシフト設定画面300を開いていた場合でも、それ以外の工事も悪天候の影響を受けることや、考えていた工事とは別の工事が悪天候の影響を受けること、あるいは変更(延期)すべき日数を知ることができる。
【0214】
(工程表変更手段26による事前注意喚起表示処理のうちの個別判定処理の具体例)
図14の事前注意喚起表示画面600には、工程表変更手段26による事前注意喚起表示処理のうちの個別判定処理の結果が、<個別判定>という部分に表示されている。天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事C(2021年9月8日(水))は、図14の右上部に示すように、2021年9月8日(水)、2021年9月9日(木)が悪天候のため、2021年9月10日(金)に変更したほうがよい旨が表示される。また、同じく個別判定処理の結果として、天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事F(2021年9月11日(土))は、2021年9月11日(土)が悪天候のため、2021年9月13日(月)に変更したほうがよい旨が表示される。
【0215】
このように個別判定処理は、天候情報取得対象期間内に実施が予定されている各工事のうち、天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている各工事(図14の例では工事C,F)について、それらの工事同士の影響(それらの工事間の工程変更時の連動性:先の工事を移動すると、それに伴って、後の工事も同じ日数だけ移動するという取り決め)を考慮することなく、すなわち、天候情報取得対象期間内に実施が予定されている各工事の中に天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事が1つしかないものと仮定して、それらの工事(工事C,F)の各々を実施する予定の日付の天候情報を用いて、それらの工事(工事C,F)の各々の工事開始日を変更(延期)すべきか否かを判断し、その判断結果を画面表示する処理である。
【0216】
このような個別判定処理を行うのは、天候情報取得対象期間内の各工事のうち天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている複数の工事(工事C,F)について、天候情報を用いて注意喚起表示を行ったとしても、ユーザは、必ずしもその注意喚起に従ってそれらの全ての工事(工事C,F)を変更(延期)する必要はなく、各工事を変更(延期)するか否かの判断を、工事毎に個別に行うからである。つまり、天候情報取得対象期間内に実施が予定されている各工事の中に天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている複数の工事(工事C,F)がある場合に、ユーザが、それらの工事(工事C,F)のうちの一部の工事について変更(延期)し、残りの工事については変更(延期)しないという判断をすることもあり得るので、そのような判断がなされたときでも、有用な注意喚起表示を行うことができるようにするために個別判定処理の結果を表示する。換言すれば、次の複合判定処理は、変更(延期)すべき工事は変更(延期)することを前提として実行されるので、複合判定処理の結果だけでは、有用な注意喚起表示にならない場合があるため、個別判定処理の結果を表示する。
【0217】
(工程表変更手段26による事前注意喚起表示処理のうちの複合判定処理の具体例)
また、図14の事前注意喚起表示画面600には、工程表変更手段26による事前注意喚起表示処理のうちの複合判定処理の結果が、<複合判定>という部分に表示されている。天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事C(2021年9月8日(水))は、2021年9月8日(水)、2021年9月9日(木)が悪天候のため、2021年9月10日(金)に変更したほうがよい旨が表示される。しかし、上述した個別判定処理の結果とは異なり、天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事F(2021年9月11日(土))については、注意喚起表示がない。これは、工事Cを2021年9月10日(金)に変更(延期)すると、工事Cの相対開始日が5から7に2日ずれることになり、この結果、工事Fの相対開始日も8から10に2日ずれるので、工事Fの工事開始日は、2021年9月14日(火)となり、悪天候に該当しないため、注意喚起表示を行う必要がないからである。
【0218】
このように複合判定処理は、天候情報取得対象期間内に実施が予定されている各工事のうち、天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている各工事(図14の例では工事C,F)について、それらの工事同士の影響を考慮し、すなわち、天候情報取得対象期間内に実施が予定されている各工事の中に天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている複数の工事(工事C,F)がある場合には、先に実施される工事(図14の例では工事C)について、その工事(工事C)を実施する予定の日付の天候情報を用いて、その工事(工事C)の工事開始日を変更(延期)すべきか否かを判断し、変更(延期)すべきであると判断した場合には、その工事(工事C)の相対開始日を変更(延期)したと仮定し、さらに、先の工事(工事C)の相対開始日の変更(延期)に伴って、その後に実施される工事(図14の例では工事F)の相対開始日も変更(延期)したと仮定し、その状態(変更後の状態)で、後の工事(工事F)を実施する予定の日付(変更後の日付)の天候情報を用いて、後の工事(工事F)の工事開始日を変更(延期)すべきか否かを判断し、その判断結果を画面表示する処理である。
【0219】
従って、複合判定処理は、先の工事(工事C)の工事開始日を変更(延期)したと仮定する処理であるため、ユーザが先の工事(工事C)を変更(延期)しないという判断をする場合には、複合判定処理の結果だけを表示してもユーザの役に立たないので、個別判定処理の結果も併せて表示する。
【0220】
(工程表変更手段26による事後注意喚起表示処理の具体例:図14の下部参照)
図11のシフト設定画面300において、ユーザが変更対象の工事および移動日数を入力指定し、「OK」ボタン340をクリックすると、図12図13に示すような確認画面400,500が表示される。この確認画面400,500で、ユーザが「天候情報参照(事後)」ボタン450,550をクリックすると、工程表変更手段26による事後注意喚起表示処理が実行され、図14に示すような事後注意喚起表示画面610,620,630が表示される。この事後注意喚起表示処理には、上述した事前注意喚起表示処理の場合と同様に、個別判定処理と、複合判定処理とが含まれる。
【0221】
ユーザは、「天候情報参照(事後)」ボタン450,550をクリックすることにより、図11の「OK」ボタン340のクリックによる工程変更を行った後の状態において、悪天候により変更(延期)すべき工事が、未だ残っていることを知ることができる。
【0222】
この事後注意喚起表示処理が行われる前の段階において、ユーザが図11のシフト設定画面300で、事前注意喚起表示処理の結果を見て、その結果を考慮して悪天候を避けようとして変更対象の工事および移動日数を入力指定したのか、事前注意喚起表示処理の結果を見たのではなく、自ら把握した天候情報に基づき、悪天候を避けようとして変更対象の工事および移動日数を入力指定したのか、事前注意喚起表示処理の結果を見たか否かにかかわらず、天候以外の理由で、ある工事を変更(延期)しようとしたのか、あるいはそれ以外のケースなのかは不明である。しかし、ユーザが、どのような理由で変更対象の工事および移動日数を入力指定していたとしても、入力指定した変更対象の工事および移動日数が同じであれば、事後注意喚起表示処理の結果は、同じになる。一方、入力指定した変更対象の工事および移動日数が異なっていれば、事後注意喚起表示処理の結果は、異なってくるので、以下では、ケース1~3について説明する。
【0223】
(ケース1)は、ユーザが、図11のシフト設定画面300において、変更対象の工事=工事B、移動日数=1を入力指定し、「OK」ボタン340をクリックし、工事B以降の各工事についての移動処理(相対開始日の変更)が行われた場合である。従って、図14の下部の太線の枠内に示すように、工事B以降の各工事の相対開始日は、すべて1日ずつ変更(延期)されている。
【0224】
(ケース2)は、ユーザが、図11のシフト設定画面300において、変更対象の工事=工事C、移動日数=2を入力指定し、「OK」ボタン340をクリックし、工事C以降の各工事についての移動処理(相対開始日の変更)が行われた場合である。従って、図14の下部の太線の枠内に示すように、工事C以降の各工事の相対開始日は、すべて2日ずつ変更(延期)されている。
【0225】
(ケース3)は、ユーザが、図11のシフト設定画面300において、変更対象の工事=工事D、移動日数=2を入力指定し、「OK」ボタン340をクリックし、工事D以降の各工事についての移動処理(相対開始日の変更)が行われた場合である。従って、図14の下部の太線の枠内に示すように、工事D以降の各工事の相対開始日は、すべて2日ずつ変更(延期)されている。
【0226】
(工程表変更手段26による事後注意喚起表示処理の具体例:ケース1)
(ケース1)の事後注意喚起表示画面610には、工程表変更手段26による事後注意喚起表示処理の結果が表示されている。事前注意喚起表示画面600の場合とは異なり、<個別判定>、<複合判定>の区別がないが、これは、個別判定処理と複合判定処理の結果が同じになるからである。天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事C(相対開始日=6、2021年9月9日(木))は、図14の右上部に示すように、2021年9月9日(木)が悪天候のため、2021年9月10日(金)に変更したほうがよい旨が表示される。一方、天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事F(相対開始日=9、2021年9月13日(月))は、2021年9月13日(月)が悪天候に該当しないため、注意喚起表示は行われない。なお、(ケース1)では、工事C,Fのいずれも、図11の「OK」ボタン340のクリックにより、既に日程変更されている状態である。
【0227】
複合判定処理では、工事C(相対開始日=6、2021年9月9日(木))が、相対開始日=7、2021年9月10日(金)に変更(延期)されたと仮定し、さらにこれに伴って、工事F(相対開始日=9、2021年9月13日(月))も、相対開始日=10、2021年9月14日(火)に変更(延期)されたと仮定する。2021年9月14日(火)は、図14の右上部に示すように、悪天候に該当しないので、工事Fについての注意喚起表示は行われない。
【0228】
(工程表変更手段26による事後注意喚起表示処理の具体例:ケース2)
(ケース2)の事後注意喚起表示画面620には、工程表変更手段26による事後注意喚起表示処理の結果が表示されている。事前注意喚起表示画面600の場合とは異なり、<個別判定>、<複合判定>の区別がないが、これは、個別判定処理と複合判定処理の結果が同じになるからである。天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事C(相対開始日=7、2021年9月10日(金))は、図14の右上部に示すように、2021年9月10日(金)が悪天候に該当しないため、注意喚起表示は行われない。また、天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事F(相対開始日=10、2021年9月14日(火))は、2021年9月14日(火)が悪天候に該当しないため、注意喚起表示は行われない。なお、(ケース2)では、工事C,Fのいずれも、図11の「OK」ボタン340のクリックにより、既に日程変更されている状態である。
【0229】
複合判定処理では、上記の個別判定処理で日程を変更(延期)すべきと判断された工事が存在しないので、必然的に、個別判定処理の結果と同じになる。
【0230】
(工程表変更手段26による事後注意喚起表示処理の具体例:ケース3)
(ケース3)の事後注意喚起表示画面630には、工程表変更手段26による事後注意喚起表示処理の結果が表示されている。事前注意喚起表示画面600の場合とは異なり、<個別判定>、<複合判定>の区別がないが、これは、個別判定処理と複合判定処理の結果が同じになるからである。天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事C(相対開始日=5、2021年9月8日(水))は、図14の右上部に示すように、2021年9月8日(水)、2021年9月9日(木)が悪天候のため、2021年9月10日(金)に変更したほうがよい旨が表示される。一方、天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事F(相対開始日=10、2021年9月14日(火))は、2021年9月14日(火)が悪天候に該当しないため、注意喚起表示は行われない。なお、(ケース3)では、工事Cについては、図11の「OK」ボタン340のクリックによる日程変更の影響を受けていないが(工事Cは、変更対象の工事=工事Dよりも前の工事だからである。)、工事Fについては、その影響を受けて既に日程変更されている状態である。このように天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事と、ユーザにより入力指定された変更対象の工事との位置関係により、事後注意喚起表示処理の結果が異なってくる。
【0231】
複合判定処理では、工事C(相対開始日=5、2021年9月8日(水))が、相対開始日=7、2021年9月10日(金)に変更(延期)されたと仮定し、さらにこれに伴って、工事F(相対開始日=10、2021年9月14日(火))も、2日ずれて、相対開始日=12、2021年9月16日(木)に変更(延期)されたと仮定する。2021年9月16日(木)は、図14の右上部に示すように、悪天候に該当しないので、工事Fについての注意喚起表示は行われない。
【0232】
(工程表変更手段26による事前注意喚起表示処理の別の具体例:図15参照)
図15の右部には、前述した図14の右上部とは異なる天候情報が記載されている。天候情報が異なれば、事前注意喚起表示処理の結果も異なってくるので、図15の左部に示された事前注意喚起表示画面640には、前述した図14の左上部に示された事前注意喚起表示画面600とは異なる結果が表示されている。
【0233】
図15の事前注意喚起表示画面640には、工程表変更手段26による事前注意喚起表示処理のうちの個別判定処理の結果が、<個別判定>という部分に表示されている。天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事C(2021年9月8日(水))は、図15の右部に示すように、2021年9月8日(水)が悪天候のため、2021年9月9日(木)に変更したほうがよい旨が表示される。また、同じく個別判定処理の結果として、天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事F(2021年9月11日(土))は、2021年9月11日(土)、2021年9月13日(月)が悪天候のため、2021年9月14日(火)に変更したほうがよい旨が表示される。なお、2021年9月12日(日)は、休日に指定されているので、悪天候であるか否かにかかわらず、その日への日程変更は考慮されない。
【0234】
また、図15の事前注意喚起表示画面640には、工程表変更手段26による事前注意喚起表示処理のうちの複合判定処理の結果が、<複合判定>という部分に表示されている。天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事C(2021年9月8日(水))は、2021年9月8日(水)が悪天候のため、2021年9月9日(木)に変更したほうがよい旨が表示される。また、天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事F(2021年9月11日(土))については、工事Cを2021年9月9日(木)に変更(延期)したと仮定すると、工事Cの相対開始日が5から6に1日ずれることになり、これに伴って、工事Fの相対開始日も8から9に1日ずれるので、工事Fの工事開始日は、2021年9月13日(月)となる。2021年9月13日(月)は、悪天候のため、工事Fは、2021年9月14日(火)に変更したほうがよい旨が表示される。
【0235】
(工程表変更手段26による天候情報に基づく工事日数に関する注意喚起表示処理)
工程表変更手段26による天候情報に基づく注意喚起表示処理は、天候考慮指示情報(本実施形態では、番号=「30」)が含まれている行データの工事について、天候情報を用いて、工事開始日を変更する必要があるか否かを判断し、その判断結果をユーザに伝達する処理である場合(図14図15参照)が多い。しかし、工事開始日の変更ではなく、工事日数の変更を促す注意喚起表示処理を実行してもよい。
【0236】
この工事日数に関する注意喚起表示処理では、工事日数用の天候考慮指示情報(番号は、「30」ではなく、例えば「50」等の別の番号にしておく。)が含まれている行データの工事について、工事開始日ではなく、工事日数を変更する必要があるか否か(工事の延期ではなく、期間延長の要否)を判断し、その判断結果をユーザに伝達する。具体的には、例えば、気温が低いとコンクリートが乾きにくいので、標準工程よりも、ゆっくりと工事を進める必要がある場合等である。この場合、工程表変更手段26は、最低気温や最高気温等に基づき、注意喚起の要否(工事日数の変更の要否)を判断する。工事日数の変更が必要と判断した場合には、例えば、「工事Xは、工事日数をN1からN2に変更したほうがよいです。」等の表示を行う。N2は、乗算によりN1の2倍、3倍等の倍数にしてもよく、加算によりN1+1、N1+2等としてもよい。また、工事日数を増やしても、他の工事に影響が出ない場合もあるが、その後に実施される工事について工事開始日の変更(延期)が必要な場合には、「工事Xは、工事日数をN1からN2に変更し、その次の工事Yは、〇年〇月〇日に変更したほうがよいです。」等の表示を行う。
【0237】
ユーザは、工事日数を変更すると判断した場合は、個別工程表編集手段29により、注意喚起表示を参考にして工事日数を変更する。また、後続の工事について工事開始日を変更(延期)する必要がある場合には、工程表変更手段26により工事開始日を変更するが、この処理は、通常の工程変更処理であるから、直接関連工事の強制移動や、間接関連工事の確認作業を伴うことになる。
【0238】
工事日数の変更、および後続の工事の工事開始日の変更の双方の作業を行う場合、いずれの作業を先に行ってもよいが、工事日数の変更を先に行った場合には、工事日数を変更した工事と、後続の工事とが、一時的に重なるので、その変更途中の状態の工程に従った工事進行は実現できない状態になるとともに、工程表の表示・印刷もできない状態(工程表のセル内の表示が重なってしまう状態)になる。
【0239】
(工程表変更手段26による天候情報に基づく付随的注意喚起表示処理)
工程表変更手段26は、図14および図15に示したように、天候情報に基づく注意喚起表示処理(事前注意喚起表示処理および事後注意喚起表示処理)を実行するが、この注意喚起表示処理を実行するタイミングで、天候情報に基づく付随的注意喚起表示処理(付随的事前注意喚起表示処理および付随的事後注意喚起表示処理)も実行する。
【0240】
天候情報に基づく注意喚起表示処理は、既に詳述した通り、個別工程表データにおける現場情報参照指示データの欄に天候考慮指示情報(番号=「30」)が設定されている工事について実行される。これに対し、天候情報に基づく付随的注意喚起表示処理は、個別工程表データにおける現場情報参照指示データの欄に指示情報がない場合であっても実行される。すなわち、特定の工事と結び付けることなく、天候情報に基づく付随的な注意喚起表示を行う。この付随的な注意喚起表示は、付随的事前注意喚起表示処理の場合には、例えば、図14および図15の事前注意喚起表示画面600,640の下部において行われ、付随的事後注意喚起表示処理の場合には、例えば、図15の事後注意喚起表示画面610,620,630の下部において行われる。
【0241】
具体的には、工程表変更手段26は、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶されている天候情報を取得し、取得した天候情報を用いて、現在進行中の工程に対応させて予め定められた特定事項に関する付随的な注意喚起表示を行う必要があるか否かを判断し、必要があると判断した場合に、予め定められた注意喚起表示を行う。
【0242】
ここで、現在進行中の工程とは、天候情報取得対象期間(天候情報の取得処理の時点から、例えば1週間先、2週間先までの期間等)に対応する工程であり、例えば、土台日グループ、あるいはその中の直接グループの進行中であれば、それらの土台日グループや直接グループである。
【0243】

また、現在進行中の工程に対応させて予め定められた特定事項とは、ある工程の進行中に実施される工事に関連する事項である。例えば、土台日グループ(大工工程)であれば、足場のネットが設置されている期間があるので、その大工工程に対応する特定事項として、足場のネットを外す作業を予め定めておくことができる。この場合の特定事項に関する付随的な注意喚起表示は、例えば、「台風が接近しているので(〇月〇日あたりに台風が接近するので)、足場のネットが設置されている場合には、その取り外しを検討してください。」等の表示である。この場合に参照する天候情報は、主として風速、台風警報等である。その他、天候情報に日付だけでなく、時間帯も付帯していれば、例えば、降雪確率や大雪警報等に基づき「〇月〇日未明に大雪が降るので、△△してください。」、落雷警報等に基づき「明日の夕方に落雷の可能性があるので、△△してください。」等の表示としてもよい。
【0244】
大工工程には、その他の特定事項が対応付けられていてもよい。また、大工工程以外の工程でも同様である。例えば、台風や強風で吹き飛んでしまうおそれのある設置物がある場合には、安全策をとるように促す注意喚起表示を行うことができ、大雪に埋もれると見つけにくい部材がある場合には、部材の置き場所の検討を促す注意喚起表示を行うことができ、気温が低いと固まって使えなくなってしまう部材(液体の材料)がある場合には、その保管場所の検討を促す注意喚起表示を行うことができる。
【0245】
各工程(大グループや直接グループ)と特定事項との対応関係、特定事項と天候情報のうちのいずれの項目(風速、台風警報、降雪確率、最低気温等)を使用するのかという情報との対応関係、および特定事項に関する付随的な注意喚起表示の内容(表示用のフォーマット)は、工程表変更手段26を実現するプログラム内に記述しておいてもよく、付随的注意喚起表示データ記憶手段(不図示)に記憶しておいてもよい。
【0246】
ユーザは、この付随的な注意喚起表示を見ることにより、悪天候に起因して実施するべき作業を把握することができるので、個別工程表編集手段29により、その作業を行うことができる。
【0247】
(工程表変更手段26による代替工程提示処理)
工程表変更手段26は、ユーザの入力指定に従って変更対象の工事以降の工事についての移動処理を行った結果、移動した工程部分(本実施形態では、ある大グループの全部または一部)と、ユーザにより入力指定された基準日の異なる後続の工程部分(本実施形態では、後続の大グループ)とが重なった場合には、重なった旨の警告表示を実行する。
【0248】
また、工程表変更手段26は、上記の警告表示に加え、移動処理を行った工程部分(ある大グループの全部または一部であり、ユーザにより入力指定された変更対象の工事以降の各工事)の工事名(工事識別情報)を用いて、代替工程記憶手段49に記憶されている代替工程データの中から、移動処理を行った工程部分またはその一部と入れ替えることが可能な代替工程データを抽出し、ユーザに対し、抽出した代替工程データを用いて代替工程を画面上で提示し、提示した代替工程の中からユーザが選択した代替工程に対応する代替工程データを、移動処理を行った工程部分またはその一部と入れ替える代替工程提示処理を実行する。
【0249】
具体的には、例えば、ユーザにより入力指定された変更対象の工事が、土台日グループ(大工工程)に属する「2階床合板」工事(図2参照)であったとすると、工程表変更手段26は、土台日グループに属する工事のうちの「2階床合板」工事以降の各工事の工事実施期間(各工事の相対開始日および工事日数で定まる期間:休日を除く)またはその一部が、現状の工事実施期間よりも短くなっている代替工程データを、代替工程記憶手段49から抽出し、ユーザに対し、抽出した代替工程データの内容(期間長、各工事の相対開始日および工事日数等)や、その内容と現状の工程の内容との対比情報を、代替工程の情報として画面上で提示し、ユーザによる入替指示(複数の代替工程の情報を提示した場合には、いずれの代替工程を用いて入れ替えを行うのかの選択情報を含む)を受け付ける。
【0250】
なお、工程表変更手段26による代替工程データを用いての代替工程の提示方法は、代替工程登録手段28による代替工程データの登録方法と併せて、後述する代替工程登録手段28の説明で詳述する。
【0251】
(工程表変更手段26によるシフト設定の受付:図11
工程表変更手段26は、ユーザの工程変更の要求に応じ、図11に示すシフト設定画面300を表示し、ユーザによる移動方法の選択、変更対象の工事および移動日数等の入力を受け付け、受け付けた入力情報を用いて、工程変更を行い、工程変更後の個別工程表データを個別工程表データ記憶手段47に記憶させる処理を実行する。
【0252】
図11のシフト設定画面300には、移動方法の選択肢として、(1)単独移動の選択部301と、(2)グループ移動(期間長維持型)の選択部302と、(3)グループ移動(期間長調整型)の選択部303と、(4)間接グループ移動の選択部304と、(5)一括移動(期間長維持型)の選択部305と、(6)一括移動(期間長調整型)の選択部306と、(7)直接グループ移動の選択部307とが設けられている。これらの各移動方法の詳細は、後述する。
【0253】
また、シフト設定画面300には、変更対象の工事、または(4)、(7)の場合の変更対象の間接グループ、直接グループを選択するための「参照」ボタン310と、選択された変更対象の工事、または変更対象の間接グループを入力指定する入力部320と、入力指定された変更対象の工事、または入力された変更対象の間接グループに属する間接関連工事の相対開始日を移動させる移動日数を入力指定する入力部330とが設けられている。
【0254】
ユーザは、選択部301~307で、(1)~(7)の移動方法のうちの1つを選択する。また、「参照」ボタン310をクリックして施工対象の建築物の個別工程表データに含まれる各工事の工事名を示す参照画面を表示させ、この参照画面で変更対象の工事を選択すると(変更対象の工事以降の各工事が移動されることになるが、その先頭である変更対象の工事を選択するだけでよい。)、選択した変更対象の工事が、入力部320に入力される。また、(4)の場合には、参照画面で変更対象の間接グループに属する間接関連工事(間接グループに属し、かつ、直接グループに属さない工事)のうちの1を選択すると、同じ間接グループに属し、かつ、直接グループに属さない間接関連工事の全てが、入力部320に入力される。(7)の場合には、参照画面で変更対象の直接グループに属する直接関連工事のうちの1を選択すると、同じ直接グループまたはそれと並列の直接グループに属する直接関連工事の全てが、入力部320に入力される。さらに、ユーザは、入力部330で移動日数を入力指定する。通常は、プラスの日数を入力指定するが(つまり、工事の延期を行うが)、例えば、一旦延期した工事日程を何らかの理由で元に戻す場合、(1)単独移動の場合、(4)間接グループの移動の場合等には、マイナスの日数を入力指定することができる。
【0255】
そして、この状態で、ユーザが「OK」ボタン340をクリックすると、工程表変更手段26により、選択部301~307で選択された移動方法に従って、工程変更の処理が実行される。すると、工程表変更手段26により、図12図13に示すような確認画面400,500が表示される。また、ユーザが「キャンセル」ボタン341をクリックすると、各情報の選択・入力の有無にかかわらず、工程変更の処理は実行されない。
【0256】
(工程を構成する各種のグループ、基準日、空白期間、予備日:図16参照)
図16は、工程を構成する各種のグループ、基準日、空白期間、予備日等の関係を示す説明図である。選択部301~307で選択される(1)~(7)の各移動方法の内容を定めるための用語は、この説明図に準ずる。
【0257】
大グループは、通常、複数の工事からなり、本実施形態では、大グループには、(1)やり方立会日グループ、(2)仮設電気日グループ、(3)杭工事日グループ、(4)掘削日グループ、(5)土台日グループ(大工工程)、(6)内装工事日グループがある。大グループの開始日は、その大グループに属する先頭の工事の工事開始日であり、その大グループに属する各工事の相対開始日の基準日であるから、相対開始日=1である。この基準日は、図3に示すように、ユーザにより大グループ毎に入力指定される日であるから、全工程を繋げた1つの工程表において複数の基準日があるが、1つの大グループに対しては1つの基準日となる。従って、同じ大グループに属する各工事の相対開始日の基準日は、同じ日である。
【0258】
いずれの大グループにも属さない工事(直接グループにも、間接グループにも属さない。)もあるが、工程表に含めるためには、日付(何年何月何日)を指定する必要があるので、その日付を基準日と考えれば、その工事は、1つの工事からなる大グループに属する工事であるとみなしてもよい。例えば、新築工事完成までに電力会社により電柱を立てる工事や、新築工事完成までに設備業者により水道管の引込みを行う工事などがあるが、これらの工事を、いずれの大グループ、直接グループ、間接グループにも属さない工事に設定することができる。また、これらの工事を、1つの工事からなる大グループとみなした場合は、その大グループには、相対開始日=1(但し、工事日数は1である必要はない。)の工事しかないことになる。また、大グループとみなした場合には、土台日グループ等のような複数の工事からなる他のグループとの工事実施期間の重なりを許容するように設定しておくことで、(1)単独移動を何らの制約なく自在に行うことができ、工程変更が容易になる。
【0259】
さらに、大グループには属するが、直接グループにも、間接グループにも属さない工事があってもよく、この場合は、大グループへの帰属性を有することになるので、その大グループの開始日(基準日)を基準とする相対開始日を有する工事となる。この工事の相対開始日は、基準日に工事を実施するのであれば、相対開始日=1でもよいが、その大グループに属する他の工事が存在するので、例えば、相対開始日=18等のような1以外の数値でもよい。この工事は、直接関連工事ではないので、他の工事の相対開始日の変更に伴い、強制的に相対開始日が変更されることはない。この工事の相対開始日を変更する場合は、(1)単独移動を行う。なお、他の工事の相対開始日の変更に伴って強制的に相対開始日の変更が行われるようにしたい場合には、その大グループ内のいずれかの直接グループに帰属させればよいので、もはや、ここで言及している工事には該当しない。
【0260】
図16に示すように、1つの大グループの中には、少なくとも1つの直接グループが含まれる。但し、前述したように、1つの工事を、1つの工事からなる大グループとみなす場合は除く。1つの大グループの中に、複数の直接グループが含まれる場合には、それらの各直接グループに属する各工事の相対開始日の基準日は、同じ日である。1つの大グループには、1つの基準日しかないからである。また、1つの大グループの中に、1つの直接グループしかない場合もある。
【0261】
直接グループは、複数の直接関連工事からなり、工程表変更手段26による基本的な処理(図12図13参照)の説明で既に詳述した通り、同じ直接グループに属する直接関連工事は、ある直接関連工事の相対開始日が変更されると、その後に実施される直接関連工事(原則的には、変更対象の直接関連工事と相対開始日が同日の直接関連工事も含む。)の相対開始日も、強制時に同じ日数だけ変更される。また、1つの大グループの中に、複数の直接グループが含まれる場合には、それらの直接グループに属する全ての工事の相対開始日は、同じ日(1つの基準日)を基準に設定されているので、ある直接グループに属する直接関連工事の相対開始日が変更されると、その後(原則的には同日を含む。)に実施される同じ大グループ内の他の直接グループに属する直接関連工事の相対開始日も、強制時に同じ日数だけ変更される。このように直接グループは、工程変更のルールを定めるために設けられているので、1つの直接グループには、必ず複数の工事が帰属しており、1つの工事しかない直接グループは、設定する意味がない。
【0262】
図16には示されていないが、1つの大グループの中には、複数の間接グループが含まれていてもよく(図2参照)、1つの間接グループしか含まれていなくてもよく、間接グループが1つもない大グループがあってもよい。
【0263】
間接グループは、複数の間接関連工事からなり(図2参照)、工程表変更手段26による基本的な処理(図12図13参照)の説明で既に詳述した通り、同じ間接グループに属する間接関連工事は、その中の1つの間接関連工事の相対開始日が変更されても、他の間接関連工事の相対開始日が、直接関連工事のように強制時に同じ日数だけ変更されることはなく、ユーザによる当該工事の担当業者への確認を経て、ユーザの変更指示を受けて、他の間接関連工事の相対開始日が変更される。従って、ユーザの変更指示がなければ、他の間接関連工事の相対開始日の変更は行われない。このように間接グループは、工程変更のルールを定めるために設けられているので、1つの間接グループには、必ず複数の工事が帰属しており、1つの工事しかない間接グループは、設定する意味がない。
【0264】
なお、同じ間接グループに属する間接関連工事のうちの1つの間接関連工事の相対開始日が変更される場合には、その間接グループに属し、かつ、直接グループにも属する工事(つまり、間接関連工事でもあり、かつ、直接関連工事でもある工事)の相対開始日が、同じ直接グループに属する他の直接関連工事の相対開始日の変更に伴って、直接関連工事として強制的に変更される場合がある他、間接グループおよび直接グループの双方に属する工事が、ユーザにより入力指定された変更対象の工事そのものである場合、間接関連工事について(1)単独移動を行う場合等がある。
【0265】
図16の例では、1つの大グループの中に、先頭の直接グループ(直接グループ識別情報=1)と、それに続く直接グループ(直接グループ識別情報=2A)と、さらにそれに続く最後(大グループ内の最後)の直接グループ(直接グループ識別情報=3)と、直接グループ(番号=2A)に属する各工事と同時並行的に実施される各工事からなる直接グループ(直接グループ識別情報=2B)とが含まれている。直接グループ=1,2A,3は、直列の直接グループであり、直接グループ=2A,2Bは、並列の直接グループである。
【0266】
具体的には、内部工事と外部工事とは並行して進めていくべき工事であるので、直接グループ=1が、例えば、相対開始日=1~20の(外部)工事で構成されている場合には、相対開始日=21から始まる(外部)工事は、直接グループ=2Aになる。そして、相対開始日=21から並行して始まる(内部)工事は、直接グループ=2Bになる。このように1つの大グループの中に、複数の直接グループが存在する場合は、必ず直接グループ=1が終了してから、直接グループ=2A,2Bの工事が始まるように設定する。但し、ここで言及していることは、識別情報である番号に1,2,3,4,…のように連続性を持たせるべきことではなく、直列の直接グループ同士の工事実施期間に重なりがないように設定すべきことである。従って、識別情報(番号)自体は、工程の上流側から下流側に向かって、例えば、8,3,5,7,2,…等のように不規則に付されていてもよく、重複がなければよい。また、内部工事と外部工事のように並列の直接グループ同士の工事実施期間が重なるのは、あえて重なる設定としているので当然であるが、直列の直接グループ同士の工事実施期間が重なるように設定するのは無意味なことであり、重なる状態にすべき工事なのであれば、それらの工事は、同じ直接グループに帰属させるべきである。なお、ここで言及している重なりは、工程変更に起因する重なりのことではなく、工程表マスタデータ(あるいは大工工程マスタデータ)を準備する段階での重なりのことである。
【0267】
本実施形態では、直接グループ識別情報は、大グループ内で唯一となる識別情報(番号)であるが、全工程で唯一となる識別情報(番号)としてもよい。同様に、本実施形態では、間接グループ識別情報は、大グループ内で唯一となる識別情報(番号)であるが、全工程で唯一となる識別情報(番号)としてもよい。
【0268】
直接グループの工事実施期間(その直接グループの先頭の工事の開始日から、その直接グループの最後の工事の終了日までの期間)の中間位置には、空白期間(休日ではないのに工事が無い日)を設定してもよい。例えば、工事X(相対開始日=3、工事日数=2)の次に、工事Y(相対開始日=6、工事日数=1)を設定したとすると、相対開始日=5が、空白期間になる。具体的には、例えば、図6および図8の9/9(金)が空白期間である。
【0269】
また、直接グループ同士の間に、空白期間を設定してもよい。例えば、直接グループ=1の最後の工事X(相対開始日=20、工事日数=3)、直接グループ=2Aの先頭の工事Y(相対開始日=24、工事日数=1)を設定したとすると、相対開始日=23が、空白期間になる。なお、直接グループ間の空白期間は、前後の直接グループのいずれにも属さない。従って、先行の直接グループに属するわけではないため、本願では、この空白期間は、先行の直接グループの終端の外側にあると考える。
【0270】
直接グループの工事実施期間の中間位置には、予備日を設定してもよい。予備日は、工事として取り扱うものであり、個別工程表データに「予備日」工事の行データを配置し、その行データに直接グループ識別情報を含めておき、工程変更時に直接関連工事として取り扱う。工程表出力手段25による工程表の表示・印刷時には、空白期間については、図6および図8の9/9(金)のように、工程表のセルに何も表示・印刷されず、ブランクの状態になるが、予備日については、「予備日」という工事名が表示・印刷される。予備日と、空白期間とは、作業を行わないという点で同じであり、工程表マスタデータ(あるいは大工工程マスタデータ)を準備する段階で、ユーザがどちらを選択しても殆ど同じような効果となるが、工程表変更手段26による工程変更の処理時には、定義が異なるものであるため、異なる取り扱いとなる場合がある。
【0271】
直接グループの終端に、予備日を設定してもよい。予備日は、直接関連工事として取り扱われ、直接グループへの帰属性を有するので、空白期間の場合とは異なり、本願では、直接グループの終端の内側にあると考える。前後の直接グループのうちの先行の直接グループの終端に予備日を設定し、さらに前後の直接グループ間に空白期間を設定し、予備日と空白期間とを連続配置してもよい。
【0272】
大グループ同士の間に、空白期間を設定してもよい。この空白期間は、先行の大グループ内の最後の直接グループに属する最後の工事(「予備日」工事でもよい)の終了日と、後続の大グループ内の先頭の直接グループに属する先頭の工事の開始日との間の期間である。この空白期間は、ユーザによる大グループの開始日(基準日)の入力指定によって作り出される。なお、大グループ内の最後の直接グループに属する最後の工事が、「予備日」工事である場合は、その予備日は、大グループ内の最後の直接グループの終端の予備日であり、その大工グループの終端の予備日でもある。また、大グループ間の空白期間は、前後の大グループのいずれにも属さない。従って、先行の大グループに属するわけではないため、本願では、この空白期間は、先行の大グループの終端の外側にあると考える。
【0273】
また、前後の大グループのうちの先行の大グループの終端に予備日を設定し、さらに前後の大グループ間に空白期間を設定し、予備日と空白期間とを連続配置してもよい。
【0274】
そして、大グループの中間位置の予備日には、直接グループの中間位置の予備日と、その大グループ内の最後の直接グループ以外の直接グループの終端の予備日とが含まれる。また、大グループの中間位置の空白期間には、直接グループ間の空白期間と、直接グループの中間位置の空白期間とが含まれる。
【0275】
(工程表変更手段26による(1)単独移動の処理:図11参照)
図11のシフト設定画面300において、ユーザが選択部301を選択した場合に実行される(1)単独移動の移動方法による処理では、1つの工事を単独で移動(相対開始日を変更)する。例えば、間接グループに属し、かつ、直接グループには属さない工事(間接関連工事)を単独で移動することができる。
【0276】
具体的には、図12図13の確認画面400,500で、ユーザが業者の都合を直ぐに確認できず、「キャンセル」ボタン440,540をクリックするか、または、一部の間接関連工事を選択して「OK」ボタン430,530をクリックし、残りの間接関連工事に対する工程変更の指示を出さなかったときに、その後、業者の都合を確認して工程変更をするような場合等に選択することができる。また、大グループに属するが、直接グループにも間接グループにも属さない工事を移動する場合等にも選択することができる。
【0277】
(工程表変更手段26による(2)グループ移動(期間長維持型)の処理:図11図17参照)
図11のシフト設定画面300において、ユーザが選択部302を選択した場合に実行される(2)グループ移動(期間長維持型)の処理では、変更対象の工事が属する大グループの中間位置に予備日または空白期間がある場合でも、それらの予備日または空白期間をそのまま維持し、大グループの終端にある予備日または空白期間を使用して直接グループを移動するとともに、間接グループも確認しながら移動する。後続の大グループの工程は変更しない。従って、後続の大グループの工程と重なってしまう場合には、警告を表示するとともに、代替工程記憶手段49に記憶された代替工程データを取得し、ユーザに対し、局所的な代替工程を提示する。
【0278】
図17において、先行の大グループは開始日K1から始まり、後続の大グループは開始日K2から始まる。先行の大グループには、3つの直接グループが含まれ、1番目の直接グループの中間位置には、空白期間W1があり、1番目の直接グループの終端には、予備日Y1がある。2番目の直接グループの中間位置には、空白期間W2および予備日Y2がある。3番目の直接グループの中間位置には、空白期間W3および予備日Y3,Y4があり、3番目の直接グループの終端(すなわち、先行の大グループの終端)には、予備日Y5がある。また、先行の大グループと、後続の大グループとの間には、空白期間W4がある。さらに、1番目と2番目の直接グループ間には、空白期間W5があり、2番目と3番目の直接グループ間には、空白期間W6がある。
【0279】
(2)グループ移動(期間長維持型)では、図17中の期間長L1を維持する。この期間長L1は、ユーザにより入力指定された変更対象の工事(先行の大グループに属する工事)の工事開始日から、先行の大グループの終端の予備日Y5の前日までの期間である。このため、先行の大グループの終端の予備日Y5または空白期間W4を使用して工程変更を行う。予備日Y5を使用する場合は、予備日Y5の行データを削除し、空白期間W4を使用する場合は、空白期間W4が短くなるだけなので、何もしなくてよい。従って、大グループの中間位置にある予備日Y1,Y2,Y3,Y4および空白期間W1,W2,W3,W5,W6は使用せずに、そのまま維持する。なお、予備日Y5または空白期間W4のいずれを優先して使用するかは、システムで予め定めておいてもよく、ユーザが事前に、図11のシフト設定画面300から遷移できる詳細設定画面(不図示)等で設定してもよい。
【0280】
また、(2)グループ移動(期間長維持型)では、後続の大グループの工程は変更しないので、後続の大グループの開始日K2以降の工程は変わらず、先行の大グループとは基準日が異なるので、後続の大グループに属する各工事の相対開始日は変わらない。そして、工程表変更手段26は、予備日Y5や空白期間W4を使用しても、先行の大グループの工程が、後続の大グループの工程と重なってしまう場合には、その旨の警告を表示するとともに、既に詳述したように、代替工程記憶手段49に記憶された代替工程データを取得し、ユーザに対し、局所的な代替工程を提示する代替工程提示処理を実行する。
【0281】
図17の(ケース1)では、空白期間W4の一部を使用し、(ケース2)では、空白期間W4の全部を使用し、(ケース3)では、空白期間W4の全部および予備日Y5を使用することにより、それぞれ後続の大グループの工程との重なりを避けている。しかし、(ケース4)では、空白期間W4の全部および予備日Y5を使用しても、後続の大グループの工程との重なりが生じるので、警告を表示し、代替工程を提示している。図17の例では、1番目の直接グループの一部(ユーザにより入力指定された変更対象の工事およびその後続の各工事)と入替可能な代替工程1-1,1-2と、2番目の直接グループと入替可能な代替工程2-1,2-2と、3番目の直接グループと入替可能な代替工程3-1,3-2とが提示されている。
【0282】
(工程表変更手段26による(3)グループ移動(期間長調整型)の処理:図11図18参照)
図11のシフト設定画面300において、ユーザが選択部303を選択した場合に実行される(3)グループ移動(期間長調整型)の処理では、変更対象の工事が帰属する大グループの中間位置に予備日または空白期間がある場合には、それらの予備日または空白期間を使用し、さらに必要な場合は大グループの終端にある予備日または空白期間も使用して直接グループを移動するとともに、間接グループも確認しながら移動する。後続の大グループの工程は変更しない。後続の大グループの工程と重なってしまう場合には、警告を表示するとともに、局所的な代替工程を提示する。
【0283】
(3)グループ移動(期間長調整型)では、図18中の期間長L2は、予備日と空白期間の使用により調整される。この期間長L2は、ユーザにより入力指定された変更対象の工事(先行の大グループに属する工事)の工事開始日から、後続の大グループの開始日K2の前日までの期間である。従って、(2)グループ移動(期間長維持型)の場合とは異なり、大グループの終端にある予備日Y5や空白期間W4を使用する前に、先ず、大グループの中間位置にある予備日Y1,Y2,Y3,Y4および空白期間W1,W2,W3,W5,W6を使用し、それでも調整しきれない場合に、予備日Y5や空白期間W4を使用する。
【0284】
大グループの中間位置にある予備日Y1,Y2,Y3,Y4、空白期間W1,W2,W3,W5,W6のうち、いずれを優先して使用するかは、システムで予め定めておいてもよく、ユーザが事前に、図11のシフト設定画面300から遷移できる詳細設定画面(不図示)等で設定してもよい。例えば、予備日であるか空白期間であるかにかかわらず、ユーザにより入力指定された変更対象の工事に近いものから優先して使用するというルールの詳細設定、予備日であるか空白期間であるかにかかわらず、ユーザにより入力指定された変更対象の工事に遠いものから優先して使用するというルールの詳細設定、または予備日よりも空白期間を優先して使用するというルールの詳細設定、空白期間よりも予備日を優先して使用するというルールの詳細設定、あるいはこれらを組み合わせたルール(変更対象の工事に対する遠近の別と、予備日・空白期間の別との組合せ)の詳細設定を行うことができる。
【0285】
図18の(ケース1)では、大グループの中間位置にある予備日Y1,Y2,Y3,Y4の全部および空白期間W1,W2,W3,W5,W6の全部を使用し、さらに、予備日Y5および空白期間W4の双方を使用することにより、後続の大グループの工程との重なりを避けている。しかし、(ケース2)では、(ケース1)と同様に全ての予備日および空白期間を使用しても、後続の大グループの工程との重なりが生じるので、警告を表示し、代替工程を提示している。
【0286】
(工程表変更手段26による(4)間接グループ移動の処理:図11参照)
図11のシフト設定画面300において、ユーザが選択部304を選択した場合に実行される(4)間接グループ移動の処理では、同一の間接グループに属し、かつ、直接グループに属さない複数の間接関連工事をまとめて移動する。選択部301を選択して(1)単独移動の処理を複数回繰り返しても同じ工程変更を達成することができるが、この選択部304を選択すると、まとめて実行されるので、ユーザの手間を軽減することができる。
【0287】
(工程表変更手段26による(5)一括移動(期間長維持型)の処理:図11図19参照)
図11のシフト設定画面300において、ユーザが選択部305を選択した場合に実行される(5)一括移動(期間長維持型)の処理では、変更対象の工事以降に予備日または空白期間がある場合でも、それらの予備日または空白期間をそのまま維持し、変更対象の工事が属する大グループ(変更対象の工事およびその後続の各工事)およびその後続の各大グループを含めて全ての工事を移動する。従って、後続の大グループの工程は変更される。この際、直接グループに属し、かつ、間接グループにも属する工事が、直接関連工事として強制移動された場合には、原則通り、同じ間接グループに属する他の間接関連工事も、業者への確認を行いながら移動の可否を決める。
【0288】
(5)一括移動(期間長維持型)では、図19中の期間長L3は、維持される。この期間長L3は、ユーザにより入力指定された変更対象の工事(先行の大グループに属する工事)の工事開始日から、後続の大グループの開始日K2の前日までの期間である。また、開始日K2の後続の大グループおよび更にそれに続く各大グループも、それぞれの期間長や、大グループ間の空白期間を維持した状態で移動される。後続の全ての大グループの開始日(基準日)が変更されるので、必要な場合には、ユーザ(施工主の会社またはその従業員)は、関係者(業者や施主)との調整を行う。
【0289】
(工程表変更手段26による(6)一括移動(期間長調整型)の処理:図11参照)
図11のシフト設定画面300において、ユーザが選択部306を選択した場合に実行される(6)一括移動(期間長調整型)の処理では、変更対象の工事以降に予備日または空白期間がある場合には、それらの予備日または空白期間を使用して変更対象の工事が属する大グループ(変更対象の工事およびその後続の各工事)およびその後続の各大グループを含めて全ての工事を移動する。従って、後続の大グループの工程は変更される。但し、予備日または空白期間の使用により、後続の大グループの工程の変更を回避できる場合もある。
【0290】
(6)一括移動(期間長調整型)では、前述した(3)グループ移動(期間長調整型)の場合(図18参照)の場合と同様に、先ず、変更対象の工事が属する大グループの中間位置に予備日または空白期間がある場合には、それらの予備日または空白期間を使用し、さらに必要な場合は大グループの終端にある予備日または空白期間も使用して直接グループを移動するとともに、間接グループも確認しながら移動する。従って、後続の大グループの工程の変更を回避できる場合もあり、その場合は、結果的に(3)グループ移動(期間長調整型)の処理と同じになる。
【0291】
続いて、変更対象の工事が属する大グループの中間位置や終端にある全ての予備日、全ての空白期間を使用しても、後続の大グループの工程との重なりが生じる場合には、後続の大グループの開始日(基準日)を移動する。そして、後続の大グループの中間位置に予備日または空白期間がある場合には、それらの予備日または空白期間を使用し、さらに必要な場合は後続の大グループの終端にある予備日または空白期間も使用して直接グループを移動するとともに、間接グループも確認しながら移動する。それでも更にその後続の大グループの工程との重なりが生じる場合には、その更なる後続の大グループの開始日(基準日)を移動し、更なる後続の大グループの中間位置や終端にある予備日または空白期間を使用し、このような処理を繰り返していく。いずれかの後続の大グループの開始日(基準日)が変更されるときは、必要な場合には、ユーザ(施工主の会社またはその従業員)は、関係者(業者や施主)との調整を行う。
【0292】
(工程表変更手段26による(7)直接グループ移動の処理:図11参照)
図11のシフト設定画面300において、ユーザが選択部307を選択した場合に実行される(7)直接グループ移動の処理では、同じ大グループ内の直接グループ間の連動性を解除して直接グループを移動する。既に詳述している通り、1つの大グループの中に複数の直接グループがある場合には、それらの各直接グループに属する各工事の相対開始日は、同じ日(1つの基準日)を基準に設定されているので、ある直接グループに属する直接関連工事の相対開始日が変更されると、その後(原則的には同日を含む。)に実施される同じ大グループ内の他の直接グループに属する直接関連工事の相対開始日も、強制時に同じ日数だけ変更される。従って、同じ大グループ内の各直接グループは、強制変更を受けるという連動性を有している。しかし、この(7)直接グループ移動では、その連動性を断ち切って、ある1つの直接グループだけの工程変更を、同じ大グループ内の他の直接グループの工程を変更することなく、実現することができる。
【0293】
(7)直接グループ移動では、ユーザは、変更対象の直接グループを入力指定する。この際、図16に示すように、大グループ内には、直列の直接グループ、並列の直接グループがあるので、ユーザは、直列の直接グループの集合のうちの1つの直接グループを変更対象として入力指定するか、あるいは、並列の直接グループの集合がある場合には、並列の直接グループの集合を一体として入力指定する。工程表変更手段26は、この入力指定を受け付け、入力指定された1つの直接グループ、または並列の直接グループの集合の移動処理を実行するが、後続の直接グループの工程を変更しないことが前提である。従って、変更対象として入力指定された1つの直接グループ、または並列の直接グループの各々について、それらの中間位置や終端に予備日または空白期間があることが前提であり、それらの予備日または空白期間を使用して変更対象の直接グループを移動する。
【0294】
この際、変更対象として入力指定された1つの直接グループ、または並列の直接グループの各々の中間位置や終端に予備日または空白期間がある場合に、[1]終端にある予備日または空白期間だけを使用するか、[2]中間位置にある予備日または空白期間だけを使用するか、[3]終端にある予備日または空白期間と、中間位置にある予備日または空白期間との双方を使用するか、[3]の場合に、終端にある予備日等と、中間位置にある予備日等とのうち、いずれを優先して使用するか、[1]~[3]の場合に、予備日と、空白期間とのうち、いずれを優先して使用するかは、システムで予め定めておいてもよく、ユーザが事前に、図11のシフト設定画面300から遷移できる詳細設定画面(不図示)等で設定してもよい。
【0295】
図16の例であれば、1番目の直接グループ(番号=1)の工程を変更する際には、2番目の直接グループ(番号=2A)およびそれと並列の直接グループ(番号=2B)の工程を変更しないようにする。また、2番目の直接グループ(番号=2A)およびそれと並列の直接グループ(番号=2B)の工程を変更する際には、3番目の直接グループ(番号=3)の工程を変更しないようにする。
【0296】
また、(7)直接グループ移動では、変更対象として入力指定された直接グループ(並列の直接グループの集合である場合も含む。)の移動とともに、業者への確認を伴う間接関連工事の移動も行う。従って、変更対象として入力指定された直接グループに属し、かつ、間接グループにも属する工事が、直接関連工事として強制移動された場合には、原則通り、同じ間接グループに属する他の間接関連工事も、業者への確認を行いながら移動の可否を決める。すなわち、この(7)直接グループ移動というタイトルは、直接グループだけの移動を行う(従って、間接グループの移動は行わない)という意味ではなく、同じ大グループ内に複数の直接グループがある場合において直接グループ間の連動性を解除してそれぞれの直接グループを別々に取り扱う(但し、並列の直接グループの連動性は解除しない)ことを示すものであるため、直接グループに属し、かつ、間接グループにも属する工事がある場合には、既に詳述した基本的な処理を行うことになる。
【0297】
さらに、変更対象として入力指定する直接グループ(並列の直接グループの集合である場合も含む。)は、現在進行中の直接グループでもよく、これから先(未来)の時点で実施される直接グループでもよい。前者の場合には、変更対象として入力指定された直接グループのうち、未だ実施されていない直接関連工事(残工事)が移動対象となる。
【0298】
(工程表変更手段26による現場情報の反映処理:図4参照)
工程表変更手段26は、工程表作成手段24による個別工程表データの作成時に、番号=「2」に対応する現場情報(図4の選択部220の「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当するか否かを示す情報)が未入力だった場合には、既に詳述した工程表作成手段24による相対開始日置換処理(図5図8参照)を実行することができないので、工程表作成手段24に代わり、事後的に相対開始日置換処理と同様な処理を実行する。
【0299】
相対開始日置換処理は、個別工程表データにおける行データの配置位置の変更を伴う処理であるため(図5および図7の「足場ネット設置」工事の配置位置を参照)、原則的には、工程表作成手段24により実行されるが、ユーザによる現場情報の入力が遅れた場合には、この相対開始日置換処理を実行することができないので、工程表変更手段26により、事後的に実行する。
【0300】
すなわち、ユーザが、事後的に、図4の現場情報登録画面200において選択部220への入力を行い、「登録」ボタン230をクリックすると、番号=「2」に対応する現場情報が、事後的に現場情報記憶手段48に記憶される。なお、同時に、選択部210への入力も行われているので、番号=「1」に対応する現場情報も、事後的に現場情報記憶手段48に記憶されることになるが、番号=「1」に対応する現場情報は、元々、工程表変更手段26による処理で使用される情報であるため、ここでいう事後的な反映処理には該当しない。
【0301】
そして、この状態で、ユーザが、図4の現場情報登録画面200において、「事後反映」ボタン250をクリックすると、工程表変更手段26は、作成済みの個別工程表データ(工程表作成手段24による処理では、工程表マスタデータであった。)の現場情報参照指示データの欄に、相対開始日置換要否判断指示情報(番号=「2」)が含まれている行データがある場合には、その行データの工事について、相対開始日の置換(相対開始日および工事時間帯を置換する場合も含む)、および間接関連工事から直接関連工事への変更の各処理を実行する。
【0302】
<処理手段20/現場情報収集手段27の構成>
【0303】
現場情報収集手段27は、現場情報入力受付手段27Aと、現場情報オンライン取得手段27Bとを含んで構成されている。
【0304】
(現場情報入力受付手段27Aの構成)
現場情報入力受付手段27Aは、ユーザにより図3の工程表作成画面100の「現場情報の登録」ボタン160がクリックされたときに、図4の現場情報登録画面200を表示し、この現場情報登録画面200でユーザによる現場情報の登録のための入力を受け付け、受け付けた現場情報を、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶させる処理を実行するものである。
【0305】
なお、ここで登録する現場情報とは、ある具体的な現場状況に該当するか否かを示す情報である。本実施形態では、具体的な現場状況は、図4に示すように、ユーザ(オペレータ)に対して画面上で提示することができる文章またはそれを読み上げる音声で定義するが、例えば、画面上で、ある現場状況に相当する画像、または、ある現場状況に相当しない画像、あるいはそれらの双方の画像を提示し、提示した画像に状況が近いか否か、あるいは、いずれの画像に状況が近いかを、ユーザに判断させてもよい。
【0306】
図4において、現場情報登録画面200には、現場情報参照指示データ=「1」に対応する現場情報である「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当するか否かの選択部210、現場情報参照指示データ=「2」に対応する現場情報である「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当するか否かの選択部220等の選択部が設けられている。本実施形態では、各選択部はチェックボックスとされ、チェックを入れると、その現場状況に該当することの選択、チェックを入れないと、その現場状況に該当しないことの選択となる。ユーザが、選択部210,220等の選択部に、チェックを入れ、または入れずに「登録」ボタン230をクリックすると、これらの選択部での選択結果(チェックを入れたか否か、すなわち各現場状況に該当するか否かの情報)が、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶される。また、各選択部にチェックを入れているか否かにかかわらず、「キャンセル」ボタン240をクリックすると、登録は行われない。
【0307】
本実施形態では、現場情報参照指示データ=「1」は、グループ変更要否判断指示情報であり、現場情報参照指示データ=「2」は、相対開始日置換要否判断指示情報である。グループ変更要否判断指示情報は、この情報が設定されている行データの工事について、工程表変更手段26によるグループ変更要否判断処理に移行することを指示する現場情報参照指示データであり、相対開始日置換要否判断指示情報は、工程表作成手段24による相対開始日置換処理に移行することを指示する現場情報参照指示データであり、工程表変更手段26や工程表作成手段24の説明で既に詳述している通りである。従って、グループ変更要否判断指示情報や相対開始日置換要否判断指示情報は、これらの情報が設定されている行データの工事について、予め定められた特定処理(他の工事では、実行する必要のない処理)を実行することを指示するための現場情報参照指示データである。
【0308】
現場情報参照指示データの欄に設定しておく「1」、「2」等の番号と、様々な具体的な現場状況(「建築敷地内に十分な空き地が無い」等)との対応関係は、本実施形態の例に限定されるものではなく、図示されない現場状況設定画面(注意:図4の現場情報登録画面200のことではない。)で、任意に設定することができる。また、「1」、「2」等の番号と、グループ変更要否判断指示情報や相対開始日置換要否判断指示情報等のような特定処理の実行を指示する情報との対応関係も、本実施形態の例に限定されるものではなく、任意に設定してよい。従って、特定処理の実行を指示する情報と、具体的な現場状況との対応関係も、以下に示すように、本実施形態の例に限定されるものではない。
【0309】
すなわち、グループ変更要否判断指示情報に対応する現場情報は、「建築敷地内に十分な空き地が無い」という現場状況に該当するか否かを示す情報に限定されるものではなく、また、1種類の現場情報に限定されるものでもない。同様に、相対開始日置換要否判断指示情報に対応する現場情報も、「建築物と隣地との十分な離れが無い」という現場状況に該当するか否かを示す情報に限定されるものではなく、また、1種類の現場情報に限定されるものでもない。従って、特定処理の実行を指示する情報と、具体的な現場状況との対応関係は、本実施形態の例に限定されるものではなく、また、1対1である必要もなく、1対多でもよい。1対多の場合は、幾つかの現場状況のいずれかに該当するときは、ある1つの特定処理を実行し、別の幾つかの現場状況のいずれかに該当するときは、別の1つの特定処理を実行するという対応関係になる。
【0310】
例えば、「建築敷地内に十分な空き地が無い」等のような具体的な現場状況として、現場状況A,B,C,D,E,F,G,Hを用意し、これらに対し、番号=1,2,3,4,5,6,7,8を割り当て(この割り当ては任意である。)、グループ変更要否判断処理等のような特定処理として、特定処理α,β,γ,δを用意したとする。このとき、例えば、現場情報参照指示データの欄に番号=「1」が設定されていれば、現場情報記憶手段48に記憶された現場状況Aに該当するか否かを示す現場情報を取得し、現場情報参照指示データの欄に番号=「2」が設定されていれば、現場情報記憶手段48に記憶された現場状況Bに該当するか否かを示す現場情報を取得し、いずれの場合も、それらの現場情報を用いた判断を伴う特定処理αを実行するように定めてもよい。また、番号=「3」が設定されていれば、現場状況Cに該当するか否かを示す現場情報を取得し、番号=「4」が設定されていれば、現場状況Dに該当するか否かを示す現場情報を取得し、いずれの場合も、特定処理βを実行するように定めてもよい。同様に、番号=「5」、「6」が設定されていれば、それぞれ現場状況E,Fに該当するか否かを示す現場情報を取得し、いずれの場合も、特定処理γを実行し、番号=「7」、「8」が設定されていれば、それぞれ現場状況G,Hに該当するか否かを示す現場情報を取得し、いずれの場合も、特定処理δを実行するように定めてもよい。
【0311】
より詳細には、具体的な現場状況に該当するか否かを示す現場情報としては、本実施形態のようなスペースに関する2種類の現場情報の他に、例えば、土地の傾斜情報、高地か否か、海岸付近か否か、市街地か否か、土壌の状態等のような様々な現場情報を採用することができる。また、スペースに関する現場情報は、平面的な(面積上の)余裕度に限らず、高さ方向の余裕度や、3次元的な余裕度を示す現場情報としてもよい。
【0312】
また、上記の例は、時間が経過しても状態が変わらない現場情報であるが、時間の経過に伴って状態が変化する現場情報を、特定処理と対応付けてもよく、例えば、建築物の設置地域の計画停電等の電気情報、周囲の水道工事等の水道情報、周囲のガス工事等のガス情報、周囲の道路工事等の道路情報等を、ユーザの入力により日付と関連付けて現場情報記憶手段48に登録しておくとともに、電気、水道、ガス、物流(道路事情)等の影響を受ける工事の行データに、それらの現場情報の参照を指示する現場情報参照指示データを設定しておき、それらの現場情報を用いた判断を伴う特定処理を実行してもよい。
【0313】
さらに、特定処理としては、工程表変更手段26によるグループ変更要否判断処理、工程表作成手段24による相対開始日置換処理の他に、例えば、現場情報を用いて業者の変更が必要か否かを判断する処理等がある。具体的には、周囲の道路事情が悪い場合には、大型の重機を使用することができないので、工事を担当する業者を変更するケース等である。変更後の業者は、個別工程表データに含めておいてもよく、科目コード(工事区分)と関連付けて発注先記憶手段42に記憶しておいてもよい。現場情報(道路情報)を用いて業者を変更すると判断した場合には、発注先記憶手段42に記憶されている工事の担当業者を入れ替える業者変更処理を実行するが、この処理は、初回の工程表作成時には、工程表作成手段24により実行され、事後的に現場情報を反映させる場合(図4の現場情報登録画面200の「事後反映」ボタン250をクリックする場合)は、工程表変更手段26により実行される。
【0314】
(現場情報オンライン取得手段27Bの構成)
現場情報オンライン取得手段27Bは、外部システム80から通信回線1を介して天候情報を取得し、取得した天候情報を、日付と関連付けて現場情報として現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶させる処理を実行するものである。
【0315】
ここで、取得する天候情報は、施工対象の建築物の設置地域に対応させて予め定められた天候情報取得対象地域における天候情報である。天候情報取得対象地域は、図3の工程表作成画面100の選択部110で選択されて現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶されているので、現場情報オンライン取得手段27Bが、現場情報記憶手段48から取得する。また、天候情報を取得する天候情報取得対象期間は、確実性の低い長期の天気予報は不要であるから、取得処理を実行する時点から、比較的短い一定期間(例えば1週間先、2週間先までの期間等)である。
【0316】
また、現場情報オンライン取得手段27Bによる天候情報の取得処理は、気象庁の天気予報のサイトや米軍の気象情報サイト等から取得したWEBデータをスクレイピングすることにより天候情報取得対象地域に対応する天候情報を取得する処理でもよく、天候情報を提供するベンダーシステム(有償、無償を問わない)から定型フォームで送信されてくる天候情報を受信する処理でもよい。
【0317】
図4の例では、現場情報記憶手段48に記憶されている天候情報は、降雨確率、降雪確率、最高気温、最低気温、湿度、風速、警報(台風警報、強風警報、大雨警報、大雪警報、落雷警報、竜巻警報等)、および、これらに基づき現場情報オンライン取得手段27Bにより自動判定された総合判定結果(悪天候に該当するか否かの情報)である。
【0318】
本実施形態では、天候情報は、現場情報参照指示データ=「30」に対応する現場情報であり、現場情報参照指示データの欄に番号=「30」(天候考慮指示情報)が設定されている行データの工事について、工程表変更手段26による天候情報に基づく注意喚起表示処理が実行される。具体的には、風速の影響を受ける工事の例であれば、例えば、風速10(m/s)以上でクレーン作業を延期すべき旨の注意喚起表示を行うことができる。また、天候情報は、既に工程表変更手段26の説明で詳述した通り、工事ではなく、工程(大グループや直接グループ)との対応付けによる付随的注意喚起表示処理でも使用される。具体的には、例えば、風速12(m/s)以上で足場ネット撤去作業の追加を促す注意喚起表示を行うことができる。
【0319】
また、本実施形態では、工程表変更手段26による注意喚起表示処理の判断で使用されるのは、総合判定結果である。この総合判定結果は、降雨確率、降雪確率、風速等の各評価項目について、良いか悪いかの2段階判定用の閾値や判定基準、または中間的な評価を含む点数付けのための多段階判定用の閾値や判定基準を設けておき、現場情報オンライン取得手段27Bが、全ての評価項目の個別判定結果を統合し、悪天候に該当するか否かを判定した総合的な結果である。個別判定結果を統合する際には、例えば、各評価項目を一律・均等に、または軽重を付けて取り扱うために、各評価項目の点数の平均や加重平均を求めてもよい。また、予め定めた1つ若しくは幾つかの評価項目の個別判定結果が悪ければ、そのことをもって総合判定結果を、悪天候に該当するものとしてもよく、この場合、例えば、風速が閾値を超えているだけで、悪天候に該当すると判定してもよく、降雨確率および風速の双方が閾値を超えていれば、悪天候に該当すると判定してもよく、降雨確率、降雪確率、風速のうちのいずれかが閾値を超えていれば、悪天候に該当するとしてもよく、任意の判定アルゴリズムを採用することができる。
【0320】
さらに、本実施形態では、現場情報参照指示データの欄に設定する天候考慮指示情報に対応する現場情報は、天候情報のうちの総合判定結果としているが、これに限定されるものでなく、天候考慮指示情報(番号=「30」)を複数に分割し、それぞれを1つの評価項目だけの天候情報に対応させるようにしてもよい。例えば、現場情報参照指示データの欄に、降雨確率考慮指示情報(番号=「31」)、降雪確率考慮指示情報(番号=「32」)、風速考慮指示情報(番号=「33」)、警報考慮指示情報(番号=「34」)等を設定したり、警報考慮指示情報(番号=「34」)を更に細分化して、台風警報考慮指示情報(番号=「35」)、強風警報考慮指示情報(番号=「36」)、大雨警報考慮指示情報(番号=「37」)、大雪警報考慮指示情報(番号=「38」)等を設定しておき、降雨確率だけ、降雪確率だけ、風速だけ、警報だけ、更には、台風警報だけ、強風警報だけ、大雨警報だけ、大雪警報だけを現場情報として取得し、工程表変更手段26による注意喚起表示処理を実行するようにしてもよい。悪天候により影響を受ける作業を伴う工事には、様々な工事があるが、大半が雨か雪の影響だからである。また、雨か雪の他には、例えば、強風によりクレーン作業等を延期することがあるからである。
【0321】
また、天候考慮指示情報(番号=「30」)、あるいはそれを細分化した降雨確率考慮指示情報(番号=「31」)等は、他の現場情報参照指示データ(番号=「1」や「2」等)が設定されている工事に、重ねて設定することができる。
【0322】
<処理手段20/代替工程登録手段28の構成>
【0323】
代替工程登録手段28は、全工程の一部に相当する局所的な工程(大グループまたはその一部)について工程表マスタデータ(あるいは大工工程マスタデータ)とは異なる期間長を有する代替工程データの登録を受け付け、受け付けた代替工程データを、工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶されている大工人数または使用された工程表マスタデータの識別情報(本実施形態では、1人大工の2階建て、2人大工の2階建て、3人大工の2階建ての3種類の工程表マスタデータがあるので、いずれを使用したのかを示す情報)とともに、代替工程記憶手段49に記憶させる処理を実行するものである。大工人数または使用された工程表マスタデータの識別情報を登録するのは、ユーザに対して代替工程を提示するときに、いずれの標準工程に代替可能な工程であるのかを示す情報が必要だからである。
【0324】
ユーザがこの代替工程データを登録するタイミングは、例えば、次の通りである。ユーザが工程変更手段26による工程変更を試みた際に、前後の大グループが重なる等の事情により、思い通りの工程変更(満たしたい条件の全部または略全部を満たす工程変更)を行うことができなかったとする。この場合、ユーザは、個別工程表編集手段29により、工程表マスタデータ(あるいは大工工程マスタデータ)として予め用意されている標準工程よりも期間長の短い工程データ(大グループまたはその一部)を、手動または半自動で作成することができる。例えば、工程表マスタデータ(あるいは大工工程マスタデータ)では、工事日数=4とされているところ、これを3に変更すること等を行うことができる。そして、工事日数=3に変更した状態で工事が無事に終了したとき、または無事に終了すると予想されるとき(通常、無事に終了しないと予想される状態に工程を変更することはない。)、ユーザは、作成した期間長の短い工程データを、後で他の建築物の工程変更時に利用できるかもしれないと考え、代替工程データとして代替工程記憶手段49に登録しておくことができる。なお、結果的に、変更した工程で工事が無事に終了しなかったときは、登録した代替工程データを削除することができる。
【0325】
登録する代替工程データは、通常、標準工程(工程表マスタデータに設定されている工程)よりも期間長が短い状態にするので、短くなった工程部分だけを登録すればよく、登録範囲(いずれの工事から、いずれの工事までを登録するか)は、ユーザが任意に決めることができる。この際、ユーザは、短縮効果が得られる部分を含む範囲を登録することになるが、広い範囲にすれば、する程、代替可能性(工程表変更手段26によりユーザに対して代替工程として提示することができる可能性)が低くなるので、適度な範囲にすることが好ましい。なぜなら、工程表マスタデータ(図2参照)から作成された個別工程表データには、追加工事や割込み工事が含まれている場合があり、また、工程表作成手段24による相対開始日置換処理(図5図8参照)が実行されている場合もあるので、同じ工程表マスタデータから作成された個別工程表データであっても、異なる状態になっていることがあるため、広い範囲を登録すると、代替工程の中に、現状の工程とは異なる部分が含まれる可能性が高くなり、単純な工程の入替えが困難になるからである。
【0326】
例えば、工事A,B,C,D,E,F,G,H,…からなる直接グループのうち、工事Cを2日(休日を除き2日)延期し、工事Eおよび工事Gの工事日数をそれぞれ1日ずつ短縮し、後続の各工事の相対開始日をその短縮日数の分だけ詰めるように調整したとする。この場合、工事Aからのトータルの期間長は変わっていないので、工事Aから始まる各工事A,B,C,D,E,F,G,H,…の行データ(相対開始日および工事日数を含む)の全部を登録するわけではなく、工事Cから始まる各工事C,D,E,F,G,H,…の行データ、工事Dから始まる各工事D,E,F,G,H,…の行データ、あるいは工事Eから始まる各工事E,F,G,H,…の行データのいずれかを、標準工程よりも2日(休日を除き2日)短くなった代替工程データとして登録する。
【0327】
また、代替可能性を高くする(登録範囲を適度な範囲にする)という観点で、直接グループの最後の工事まで登録するのではなく、工事Cから始まる各工事C,D,E,F,G(工事H以降は含めない)、工事Dから始まる各工事D,E,F,G(工事H以降は含めない)、あるいは工事Eから始まる各工事E,F,G(工事H以降は含めない)を代替工程データとして登録してもよい。
【0328】
なお、工事Fから始まる各工事F,G,H,…若しくは各工事F,Gの行データ、あるいは工事Gから始まる各工事G,H,…若しくは工事Gの行データを登録してもよいが、その場合は、工事Gの工事日数を1日短縮したことは代替工程データに反映されるが、工事Eの工事日数を1日短縮したことは反映されない。
【0329】
そして、登録の際には、[1]代替工程の全ての工事の相対開始日をそのままの状態(工事Cの相対開始日を2日ずらして調整された状態)で登録してもよく、[2]代替工程の先頭の工事(工事C,D,Eのいずれか、または工事F,Gでもよい。)の相対開始日を1にし、かつ、後続の各工事の相対開始日も同じ日数だけずらして(つまり、代替工程の全体の相対開始日を同じ日数ずらして)登録してもよく、[3]代替工程の先頭の工事(工事C,D,Eのいずれか、または工事F,Gでもよい。)の相対開始日を、工事Cの延期を行う前の数値に戻し、かつ、後続の各工事の相対開始日も同じ日数だけずらして(つまり、代替工程の全体の相対開始日を同じ日数ずらして)登録してもよく、[4]代替工程が、直接グループから切り出した局所的な工程であることを明示するため、代替工程の先頭の工事(工事C,D,Eのいずれか、または工事F,Gでもよい。)の相対開始日を、例えば10,000のような通常は設定しない数値とし、かつ、後続の各工事の相対開始日も同じ日数だけずらして(つまり、代替工程の全体の相対開始日を同じ日数ずらして)登録してもよい。
【0330】
上記の[1]~[4]のいずれの登録方法を採用した場合でも、工程表変更手段26によりユーザに対して代替工程を提示する際には、代替工程記憶手段49に登録されている代替工程データの先頭の工事の相対開始日を、その代替工程データを入替挿入しようとしている工程部分の先頭の工事の相対開始日に一致させ、かつ、後続の各工事の相対開始日も同じ日数だけずらして提示することになる。例えば、工事A,B,C,D,E,F,G,H,…という直接グループがあり、工事Bを延期したい場合に、工事D,E,Fと入れ替えることが可能な代替工程データとして工事D2,E2,F2が登録されていたとすると、工程表変更手段26は、工事D2の相対開始日を、工事Bを延期したと仮定したときの工事Dの相対開始日と一致させ、かつ、後続の工事E2,F2の相対開始日も、同じ日数ずらしてから、工事D,E,Fと入れ替えることが可能な代替工程である工事D2,E2,F2をユーザに提示する。
【0331】
また、提示する際には、ずらした後の工事D2,E2,F2だけを提示してもよく、あるいは、工事Bを延期したい場合であるから、工事B,C,D,E,F,G,H,…に対し、工事D2,E2,F2を入替挿入した状態で提示してもよい。後者の場合には、工事B,C,D2,E2,F2,G2,H2,…を提示することになり、工事G,H,…も、工事G2,H2,…に置き換えられる。この置き換えを行うのは、工事D,E,Fよりも、工事D2,E2,F2のほうが、期間が短いので、工事G,H,…の相対開始日も、その短くなった日数の分だけ、ずらす(詰める)必要があるからである。
【0332】
なお、通常、標準工程(工程表マスタデータに設定されている工程)よりも期間長が短い代替工程データを登録するが、標準工程よりも期間長が長い代替工程データを登録してもよい。例えば、工程表変更手段26の説明で既に詳述した通り、工程表変更手段26による天候情報に基づく工事日数に関する注意喚起表示処理の結果を見て、ユーザが、個別工程表編集手段29により、工事日数を増やした場合には、標準工程よりも期間長が長い工程になるが、それを代替工程データとして登録しておき、他の建築物の施工時に活用してもよい。具体的には、例えば、天候情報に基づき、気温が低いので、コンクリートが乾きにくいため、ゆっくりと工事を進める必要があるということがわかった場合等である。
【0333】
<処理手段20/個別工程表編集手段29の構成>
【0334】
個別工程表編集手段29は、個別工程表データ記憶手段47に記憶されている作成済みの個別工程表データを手作業または半自動で編集し、編集後の個別工程表データを個別工程表データ記憶手段47に記憶させる処理を実行するものである。この編集には、行データの追加や削除、行データの一部の修正が含まれる。
【0335】
例えば、台風の接近により足場のネットを外す作業、あるいは一旦外したネットを復旧させる作業が発生する場合には、それらの作業のための工事の行データを追加することができる。なお、ユーザは、既に詳述している通り、工程表変更手段26による付随的注意喚起表示処理の表示を見て、足場のネットを外す作業が必要なことを把握することができる。また、積算データに事後的に部材が追加された場合に、その部材を使用する工事の行データを追加することができる。その他、顧客(施主)の要望で工事が事後的に追加された場合には、それをコストに反映させる必要があるため、追加された工事の行データを個別工程表データに追加(挿入)する。ここで追加する工事の行データのフォーマット(工事名、科目コード、カラーデータ、休日許可データ、工事日数、行位置等を含む。)は、予め用意して工事データ記憶手段(不図示)に記憶させておき、それを用いてユーザが編集作業を行うようにしてもよく、ユーザが、その都度、行データの内容を1から考えて作成してもよい。
【0336】
また、行データの追加や削除、行データの一部の修正(例えば、相対開始日や工事日数等の修正)を行った際に、他の行データの内容は変更しない場合には、比較的容易な編集作業となるが、他の行データの相対開始日も変更する場合(例えば、追加した行データの下側の各行データの相対開始日を、追加した行データの工事日数の分だけ移動させる場合等)は、工程表変更手段26による工程変更処理と同様であるから、直接グループや間接グループを考慮した慎重な編集作業が必要となる。後者の場合には、行データの追加や削除、行データの一部の修正という編集作業を行った後に、一旦、個別工程表編集手段29による編集作業を終了し、その後、工程表変更手段26により、他の行データの相対開始日を変更してもよい。
【0337】
<処理手段20/発注書フォーム編集手段30の構成>
【0338】
発注書フォーム編集手段30は、図21に示す各工事の担当業者宛の発注書700の作成に用いられる工事毎の発注フォーム(雛形)を編集し、編集した各工事用の発注フォームを、発注書700の送信先となる業者(取引先)の取引先識別情報または科目コードと関連付けて発注書フォーム記憶手段50に記憶させる処理を実行するものである。この発注フォームには、発注書700の送信先となる業者が工事で使用する可能性のある全ての部材の部材名称(部材識別情報)を含ませておき、それらの部材名称が積算データに出現したときに、その部材の数量を積算データから取得し、発注書700に転記できるように編集する。
【0339】
<処理手段20/発注書作成手段31の構成:図21参照>
【0340】
発注書作成手段31は、発注書フォーム記憶手段50に記憶された発注書フォーム(雛形)と、積算データ記憶手段41に記憶された施工対象の建築物の積算データ(図20参照)と、個別工程表データ記憶手段47に記憶された施工対象の建築物の個別工程表データと、発注先記憶手段42に記憶された発注先の業者の会社名(取引先識別情報)およびその住所・電話番号・ファクシミリ番号・電子メールアドレス等の取引先情報と、建築概要記憶手段43に記憶された建築概要データ(工事名を含む)と、工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶された大グループの開始日(基準日)と、休日データ記憶手段44に記憶された休日データとを用いて、図21に示す発注書700を作成し、ファクシミリ送信用紙に印刷するか、または電子メール送信用データ(例えばPDFファイル等)を出力する処理を実行するものである。なお、ファクシミリ(FAX)や電子メールの自動送信を行ってもよく、ユーザが手動操作で送信してもよい。
【0341】
この発注書700の作成処理は、発注書700の中に工程表の日付と連動する納入日(日付)が含まれるので、工程表作成手段24による個別工程表データの作成が終了してから実行される。また、工程表変更手段26による工程変更があると、個別工程表データの内容が変わり、工程表の日付と連動する納入日(日付)も変わるので、工程変更後にも発注書700の修正版の作成処理が実行される。
【0342】
図21において、発注書700には、送信日701と、送信先702と、物件名703と、送信元704と、納入日710と、納入時間帯(朝一・AM・PMの別)720と、納入場所(現場入れ資材・センター入れの別)730とが記載されている。また、発注する各部材(工事で使用する各部材)の部材名称(部材識別情報)を記載する品名欄740と、各部材の数量を記載する数量欄750とが設けられ、その他に各部材の寸法、単位、備考を記載する各欄が設けられている。
【0343】
送信日701には、最初の発注書700の送信時、または工程変更に伴って変更された納入日710を記載した発注書700の修正版の送信時が記載される。送信先702には、個別工程表データ(図2参照)を構成する各工事の行データに含まれる科目データに関連付けられて発注先記憶手段42に記憶されている会社名(取引先識別情報)を記載する。物件名703には、建築概要記憶手段43に記憶された工事名を記載する。送信元704には、ユーザ(施工主の会社)の会社名、担当者、住所・電話番号・ファクシミリ番号等を記載する。
【0344】
また、納入日710には、個別工程表データを構成する各工事の行データに含まれる相対開始日および工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶された各工事が属する大グループの開始日(基準日)、並びに休日データ記憶手段44に記憶された休日データを用いて発注書作成手段31により計算された各工事の工事開始日の日付が記載され、これは工程表(図6図8参照)に表示・印刷される各工事の日付と同じである。
【0345】
納入時間帯(朝一・AM・PMの別)720、および納入場所(現場入れ資材・センター入れの別)730は、各工事の内容に応じて予め定めて発注書フォームに含ませておいた情報である。
【0346】
品名欄740、数量欄750、および寸法、単位、備考の各欄には、発注書作成手段31により積算データから取得した情報が転記される。すなわち、発注書作成手段31は、積算データ記憶手段41に記憶された施工対象の建築物の積算データの中に、予め定めて発注書フォームに含ませておいた部材名称(部材識別情報)が出現しているか否かを判断し、出現している場合には、積算データから、その部材についての数量、および寸法、単位等を取得し、品名欄740、数量欄750等に転記する。例えば、図20に示す積算データの中には、「針葉樹合板(野地板)」および「屋根用断熱材ミラフォーム」という部材名称(部材識別情報)が含まれている(出現している)。そして、発注書フォームにもこれらの部材名称が予め設定されているので、図20の積算データから、これらの「針葉樹合板(野地板)」および「屋根用断熱材ミラフォーム」という部材の数量(見積数量または実行数量)を取得し、発注書フォームに転記することにより、発注書700を作成する。
【0347】
<記憶手段40の構成>
【0348】
積算データ記憶手段41は、図20に示すように、建築物の施工に必要な部材の数量を、積算データとして部材名称(部材識別情報)と関連付けて記憶するものである。なお、より詳細には、本実施形態では、積算データとして、規格、単位、見積数量、見積単価、見積金額、実行数量、実行単価、実行金額、粗利率等が、部材名称(部材識別情報)と関連付けて記憶される。
【0349】
発注先記憶手段42は、科目コード(工事区分の識別情報)と関連付けて、工事の発注先の業者となる取引先(仕入先)の会社名(取引先識別情報)およびその住所・電話番号・ファクシミリ番号・電子メールアドレス等の取引先情報を記憶するものである。いずれの科目コード(工事区分)に対し、いずれの業者(取引先)を割り当てるかを決定し、それらの対応関係を示す発注先データを記憶する作業は、建築積算システム70で実行されているので、その発注先データを連携データとして工程表作成システム10の連携データ取得手段21が取得することになる。建築積算システム70には、多くの取引先の情報(会社名、電話番号やファクシミリ番号等の連絡先など)が記憶され、それらの取引先の中から、対象の建築物の各科目コード(各工事区分)の工事を請け負う業者を決定するので、発注先データは、建築物毎(物件毎)のデータである。なお、科目コード(工事区分)と、それに属する各工事との関係は、予め定められており、例えば、図2に示すように、基礎天端検査、1階床水平検査、2階床水平検査、プレカット検査、JIO躯体検査という各工事(本発明では、検査も工事として取り扱う。)は、科目コード=1000という同じ工事区分とされているので、同じ業者が担当することになるが、複数の業者に割り振りたい場合には、複数の科目コードに分けて、それぞれの科目コードに、異なる業者を割り当てればよい。
【0350】
建築概要記憶手段43は、図3に示すように、工事名(対象の建築物の物件名:物件識別情報)、建築物の階数、工事場所(住所)等の建築概要データを記憶するものである。
【0351】
休日データ記憶手段44は、図3に示すように、曜日の取り扱い情報と、祝日情報と、ユーザ(施工主)が自身の都合で指定した休日情報と、発注先の業者の都合による休日情報(取引先識別情報に関連付けられた休日情報)とを、休日データとして記憶するものである。これらの各情報の内容は、休日データ登録手段22の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0352】
工程表マスタデータ記憶手段45は、複数種類の工程表マスタデータ(本実施形態では、一例として、1人大工の2階建て、2人大工の2階建て、3人大工の2階建ての3種類の工程表マスタデータ)と、期間長(所要日数)の異なる複数の大工工程マスタデータとを記憶するものである。これらの工程表マスタデータおよび大工工程マスタデータの内容については、マスタ編集手段23の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0353】
工程表作成用基礎情報記憶手段46は、図3に示すように、各大グループの開始日(各大グループ内における各工事の相対開始日の起点となる基準日、すなわち相対開始日から工事開始日(何年何月何日)を計算するための基準日)と、これらの開始日に関連付けられた各大グループの先頭の工事についての工事名(工事識別情報)と、大工人数と、工程表作成方法(3つの工程表作成方法のうち、いずれを選択したかの情報)と、大工工事金額および1人工当たりの単価と、施工対象の建築物の坪数および1坪当たりの人工数(にんくすう)とを記憶するものである。
【0354】
個別工程表データ記憶手段47は、建築物の施工用の工程表(図6図8参照)の表示・印刷に用いられる個別工程表データを建築物毎に記憶するものである。
【0355】
現場情報記憶手段48は、図4に示すように、対象の建築物について、ユーザにより入力された各種の現場情報、並びに、外部システム80から通信回線1を介して取得した各種の現場情報および取得処理に必要な情報を記憶するものである。
【0356】
ここで、ユーザにより入力される現場情報としては、本実施形態では、2種類のスペースに関する情報がある。すなわち、現場情報参照指示データ=「1」に対応する「建築敷地内に十分な空き地が無い」に該当するか否かを示す情報と、現場情報参照指示データ=「2」に対応する「建築物と隣地との十分な離れが無い」に該当するか否かを示す情報とがある。これらの各情報の内容は、現場情報収集手段27の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0357】
また、外部システム80から通信回線1を介して取得する各種の現場情報としては、本実施形態では、現場情報参照指示データ=「30」に対応する各日の天候情報(日付に関連付けられた天候情報)があり、取得処理に必要な情報としては、天候情報取得対象地域がある。これらの各情報の内容は、現場情報収集手段27の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
【0358】
代替工程記憶手段49は、ユーザにより登録された代替工程データを、工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶されている大工人数または個別工程表データの作成に使用された工程表マスタデータの識別情報(本実施形態では、1人大工の2階建て、2人大工の2階建て、3人大工の2階建ての3種類の工程表マスタデータのうち、いずれを使用したのかを示す情報)とともに記憶するものである。
【0359】
発注書フォーム記憶手段50は、工事の発注先の業者(取引先)にファクシミリ(FAX)送信または電子メール送信する発注書700(図21参照)の作成に用いられる発注書フォーム(雛形)を、取引先識別情報または科目コードと関連付けて記憶するものである。
【0360】
<工程表作成システム10による処理の全体的な流れ>
【0361】
このような本実施形態においては、以下のようにして工程表作成システム10により工程表の作成処理が実行される。処理手段20に含まれる各手段21~31による処理内容、および各記憶手段41~50の構成は、既にそれぞれの説明で詳述しているので、以下では、それらの詳しい説明は省略し、全体的な流れを説明する。
【0362】
図22において、ユーザは、事前準備を行う(ステップS1)。先ず、ユーザは、マスタ編集手段23により、工程表マスタデータ(図2参照)や大工工程マスタデータを編集し、工程表マスタデータ記憶手段45に登録する。システム導入時には、システム開発者が用意した工程表マスタデータや大工工程マスタデータが存在するので、ユーザはそれらをそのまま使用してもよく、自社用に編集してもよい。
【0363】
次に、連携データ取得手段21により、建築積算システム70から通信回線1を介して、またはDVDやUSBメモリ等の記録媒体により、連携データ(積算データ、発注先データ、建築概要)を取得し、積算データ記憶手段41(図20参照)、発注先記憶手段42、建築概要記憶手段43に保存する。
【0364】
続いて、発注書フォーム編集手段30により、発注書700(図21参照)の作成に使用する発注書フォーム(雛形)を編集し、発注書フォーム記憶手段50に登録する。また、休日データ登録手段22により、休日データを設定し、休日データ記憶手段44に登録する。
【0365】
次に、ユーザは、現場情報収集手段27の現場情報入力受付手段27Aにより、スペースに関する現場情報(図4参照)を入力し、現場情報記憶手段48に登録する(ステップS2)。
【0366】
それから、ユーザは、工程表作成手段24により、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶された工程表マスタデータ(図2参照)や大工工程マスタデータを用いて、施工対象の建築物の個別工程表データを自動作成し(図5図7図9図10参照)、個別工程表データ記憶手段47に保存する(ステップS3)。
【0367】
この際、ユーザは、図3の工程表作成画面100において、工程表作成方法を選択し、大工人数を入力し、金額ベースの大工工程日数算出処理を実行する場合には、大工工事金額および1人工(にんく)当たりの単価を入力し、坪数ベースの大工工程日数算出処理を実行する場合には、坪数および1坪当たりの人工数(にんくすう)を入力し、さらに各大グループの開始日(基準日)の一部(または全部でもよい。)を暫定的に入力する。また、ユーザは、天候情報取得対象地域を選択する。そして、この状態で、ユーザが「工程表作成」ボタン170をクリックすると、工程表作成手段24により、工程表マスタデータ記憶手段45に記憶された幾つかの工程表マスタデータ(図2参照)や大工工程マスタデータの中から、個別工程表データの作成に使用する工程表マスタデータ等が自動決定され、決定した工程表マスタデータ等の大部分をコピーして施工対象の建築物の個別工程表データが自動作成され、個別工程表データ記憶手段47に保存される。天候情報取得対象地域
は、現場情報記憶手段48(図4参照)に登録され、暫定入力した各大グループの開始日(基準日)の一部または全部は、工程表作成用基礎情報記憶手段46に登録される。
【0368】
続いて、工程表作成手段24により個別工程表データが自動作成されると、工程表出力手段25により、その個別工程表データ、および休日データ記憶手段44に記憶された休日データを用いて、暫定的な工程表の自動作成(日付の計算)が行われ、その暫定的な結果が画面表示および/または印刷される(図6図8参照)。
【0369】
その後、ユーザが、業者等との工事日程の調整を行いながら、ステップS3で暫定的に入力していたか、または入力していなかった各大グループの開始日(基準日)を決定し、決定した基準日を図3の工程表作成画面100で入力し、「工程表出力」ボタン180をクリックすると、工程表出力手段25により、個別工程表データ記憶手段47に記憶された作成済の個別工程表データおよび休日データ記憶手段44に記憶された休日データを用いて、工程表の自動作成(日付の計算)が行われ、その結果が画面表示および/または印刷され(図6図8参照)、決定した各大グループの開始日(基準日)が工程表作成用基礎情報記憶手段46に保存される(ステップS4)。
【0370】
続いて、各大グループの開始日(基準日)を決定した後に、発注書作成手段31により、発注書フォーム記憶手段50に記憶された発注書フォーム(雛形)と、積算データ記憶手段41に記憶された施工対象の建築物の積算データ(図20参照)と、個別工程表データ記憶手段47に記憶された施工対象の建築物の個別工程表データと、発注先記憶手段42に記憶された発注先の業者の会社名(取引先識別情報)およびその住所・電話番号・ファクシミリ番号・電子メールアドレス等の取引先情報と、建築概要記憶手段43に記憶された建築概要データ(工事名を含む)と、工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶された大グループの開始日(基準日)と、休日データ記憶手段44に記憶された休日データとを用いて、図21に示す発注書700を作成し、ファクシミリ送信用紙に印刷するか、または電子メール送信用データ(例えばPDFファイル等)を出力し、発注書700をファクシミリ送信または電子メール送信する(ステップS5)。
【0371】
それから、工程表(図6図8参照)に従って各工事(検査を含む)を実施していく(ステップS6)。この際、検査方法のガイダンス表示等が行われる。
【0372】
その後の任意の段階で、ユーザは、悪天候等の理由で、工程表変更手段26により工程変更を行うことができる(ステップS7)。この際、ユーザは、図11のシフト設定画面300で、移動方法の選択、変更対象の工事および移動日数の入力指定を行う。そして、ユーザが、この状態で「OK」ボタン340をクリックすると、工程表変更手段26により工程変更処理が実行され、変更後の個別工程表データが自動作成され、個別工程表データ記憶手段47に保存される。この工程変更処理では、直接関連工事の強制移動、間接関連工事の変更可否の確認等が行われる。また、代替工程記憶手段49に記憶された代替工程データを用いて、ユーザに対して代替工程が提示され、ユーザが代替工程を選択することもある。
【0373】
さらに、工程表出力手段25により、個別工程表データ記憶手段47に記憶された変更後の個別工程表データを用いて、変更後の工程表の自動作成(日付の計算)が行われ、その結果が画面表示および/または印刷される(図6図8参照)。また、現場情報収集手段27の現場情報オンライン取得手段27Bにより、外部システム80からの天候情報のオンライン取得が行われ、工程表変更手段26により、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶された天候情報に基づき、事前または事後の注意喚起表示が行われる(図14図15参照)。
【0374】
また、発注書作成手段31により、発注書フォーム記憶手段50に記憶された発注書フォーム(雛形)と、積算データ記憶手段41に記憶された施工対象の建築物の積算データ(図20参照)と、個別工程表データ記憶手段47に記憶された変更後の個別工程表データと、発注先記憶手段42に記憶された発注先の業者の会社名(取引先識別情報)およびその住所・電話番号・ファクシミリ番号・電子メールアドレス等の取引先情報と、建築概要記憶手段43に記憶された建築概要データ(工事名を含む)と、工程表作成用基礎情報記憶手段46に記憶された大グループの開始日(基準日)と、休日データ記憶手段44に記憶された休日データとを用いて、図21に示す発注書700の修正版(修正された納入日を含む)を作成し、ファクシミリ送信用紙に印刷するか、または電子メール送信用データ(例えばPDFファイル等)を出力し、発注書700の修正版をファクシミリ送信または電子メール送信する。
【0375】
さらに、ユーザによる現場情報(図4参照)の登録が遅れた場合には、工程表変更手段26による現場情報の反映処理が行われる。
【0376】
そして、個別工程表データの作成後の任意の段階で、ユーザは、個別工程表編集手段29により、作成済の個別工程表データの編集を行い、個別工程表データ記憶手段47に保存する(ステップS8)。
【0377】
<本実施形態の効果>
【0378】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、工程表作成システム10では、工程表マスタデータおよびこれを用いて作成された建築物毎の個別工程表データの中に、各工事についての直接グループや間接グループへの帰属情報が含まれているので、この帰属情報を用いて、直接関連工事や間接関連工事の内容に応じた工程の変更を行うことができる。このため、様々な内容の多くの工事が行われる建築物の施工であっても、工程変更時のユーザ(施工主またはその従業員)の手間を軽減することができるとともに、知識や経験に乏しいユーザでも適切な工程変更を行うことができる。
【0379】
また、工程表作成システム10では、工程表マスタデータ(図2参照)の中に、工程変更項目データ、工程変更判定用部材名称(工程変更判定用部材識別情報)、および工程変更判定用最大数量の各欄が含まれているので、工程表作成手段24により工程表マスタデータから建築物毎の個別工程表データを作成する際に、既に得られている積算データから、建築物の施工に使用される部材や、その数量の情報を取得し、取得した情報に応じた個別工程表データを作成することができる。このため、積算データを算出する建築積算システム70との連携を図ることができるうえ、用意する標準工程の数、すなわち用意する工程表マスタデータの数を適度な数に抑えることができ、事前に行う工程表マスタデータの準備や編集作業の容易化を図ることができる。
【0380】
さらに、工程表変更手段26は、個別工程表データにおける現場情報参照指示データの欄にグループ変更要否判断指示情報(番号=「1」)がある間接関連工事について、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶された現場情報を取得し、取得した現場情報を用いて間接関連工事から直接関連工事への取り扱いの変更の要否を判断することができる。このため、本来は間接関連工事であるが、現場の状況によっては、工程の変更をする際に直接関連工事として取り扱った方がよいケースがあれば、そのような状況を反映させて工程の変更を行うことができるので、より適切な工程の変更を実現することができる。
【0381】
また、工程表作成手段24は、工程表マスタデータ(図2参照)における現場情報参照指示データの欄に相対開始日置換要否判断指示情報(番号=「2」)がある間接関連工事について、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶された現場情報を取得し、取得した現場情報を用いて別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更の要否を判断することができる(図5図8、特に図8参照)。このため、工程表作成手段24により工程表マスタデータから個別工程表データを作成する際に、現場の状況によっては、別の相対開始日への置換を行い、かつ、本来は間接関連工事であるが、直接関連工事として取り扱った方がよいケースがあれば、そのような状況を反映させて個別工程表データを作成することができるので、より適切な工程表を作成することができる。
【0382】
そして、工程表作成手段24により工程表マスタデータから個別工程表データを作成する時点(すなわち、初回の工程表の作成時点)で、参照すべき現場情報が現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶されていない場合には、その後、工程表変更手段26により、作成済の個別工程表データを用いて同様な処理(現場情報を用いて別の相対開始日への置換および間接関連工事から直接関連工事への変更の要否を判断する処理、並びに、置換および変更をすると判断した場合における置換および変更の処理)を行うことができる。このため、ユーザによる現場情報の登録が遅れても、事後的に現場の状況を反映させて個別工程表データを修正することができるので、より適切な工程表を作成することができる。
【0383】
また、工程表変更手段26は、現場情報記憶手段48(図4参照)に記憶された天候情報を用いて、個別工程表データにおける現場情報参照指示データの欄に天候考慮指示情報(番号=「30」)がある工事のうちの未実施の残工事について工事開始日を変更する必要があるか否かを判断し、その判断結果をユーザに伝達する注意喚起表示処理を実行することができる。このため、天候情報の影響を受ける工事があるときに、外部システム80から取得した天候情報取得対象地域における天候情報(予報)に基づき、工事開始日を変更する必要があるか否かを判断し、その判断結果をユーザに伝達することができるので、ユーザは、適切な工程の変更を行うことができる。
【0384】
さらに、工程表変更手段26は、事前注意喚起表示処理(図11参照)および事後注意喚起表示処理(図12図13参照)を実行することができるので、天候情報を考慮したユーザの工程変更判断機会を増やすことができる。
【0385】
また、工程表変更手段26は、事前注意喚起表示処理(図11参照)および事後注意喚起表示処理(図12図13参照)のいずれを実行する場合でも、個別判定処理および複合判定処理を実行するので、ユーザに対し、有効な工程変更判断用の情報を提供することができる。
【0386】
さらに、工程表作成手段24は、金額ベースまたは坪数ベースの大工工程日数を算出して個別工程表データを作成することができるので、建築物毎の個別の事情を、より的確に反映した工程表を作成することができる。
【0387】
また、工程表作成システム10は、代替工程登録手段28および代替工程記憶手段49を備えているので、工程表変更手段26は、変更対象の工事以降の工事についての移動処理を行った結果、移動した工程部分(変更対象の工事が属する大グループ)と、基準日の異なる後続の工程部分(大グループ)とが重なったときに、代替工程を提示することができる。このため、提示された代替工程をユーザが選択することにより、基準日の異なる後続の工程部分(大グループ)を移動しなくても、移動した工程部分と、基準日の異なる後続の工程部分との重なりを回避することができ、より適切な工程の変更を行うことができる。
【0388】
さらに、工程表作成システム10は、個別工程表データが、相対開始日で工程を定める構成とされているので、各大グループの開始日(基準日)の決定過程で、暫定的に日付を入力することにより、工事日程の調整作業を行うことができる。従って、各大グループの開始日は、ユーザ(施工主の会社やその従業員)と関係者(業者や施主)との打ち合わせにより決定されるが、工程表作成システム10を、その打ち合わせ時に使用するツールとして活用することができる。
【0389】
<変形の形態>
【0390】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0391】
例えば、前記実施形態の図1では、工程表作成システム10は、システム本体11に表示手段12および入力手段13が直結する状態で描かれ、スタンドアロン型のシステムに見えるように記載されているが、工程表作成システム10は、スタンドアロン型のシステムとしてもよく、サーバ・クライアント型のシステムとしてもよい。後者の構成とする場合には、システム本体11を構成する1台または複数台のサーバと、表示手段12および入力手段13を有する少なくとも1つのユーザ端末とを、通信回線1を介して接続することになる。後者の構成とし、複数のユーザ端末からの同時期の接続操作を許容する場合には、記憶手段40は、ファイルシステムではなく、データベース管理システム(DBMS)を介したデータベースシステムとすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0392】
以上のように、本発明の工程表作成システムおよびプログラムは、例えば、見積書や原価計算書等の各種の建築関連帳票を作成するために建築物の設計図から算出された積算データを利用して、当該建築物の施工用の工程表を自動作成する場合等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0393】
1 通信回線
10 工程表作成システム
24 工程表作成手段
25 工程表出力手段
26 工程表変更手段
28 代替工程登録手段
41 積算データ記憶手段
44 休日データ記憶手段
45 工程表マスタデータ記憶手段
46 工程表作成用基礎情報記憶手段
47 個別工程表データ記憶手段
48 現場情報記憶手段
49 代替工程記憶手段
80 外部システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17
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図19
図20
図21
図22