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特開2023-105889搬送治具および搬送治具搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105889
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】搬送治具および搬送治具搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 7/12 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
B65G7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006899
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居村 真人
(57)【要約】
【課題】所定の位置で吊り上げやすくすることができ、目的の場所に載置しやすくするための機能を有する搬送治具および搬送治具搬送システムを提供する。
【解決手段】第1穴10と、第1穴10とは異なる位置に配されている第2穴20と、を有しており、第1穴10の深さ方向から観察したときの第1穴10の外形は、第2穴20の深さ方向から観察したときの第2穴20の外形と異なっている搬送治具1、および、上記搬送治具1と、第1穴10および第2穴20に挿入される挿入部を有している吊り上げ治具とを有する搬送治具搬送システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部を有している吊り上げ治具によって吊り上げられる搬送治具であって、
挿入部を挿入可能な第1穴と、
前記第1穴とは異なる位置に配されており、挿入部を挿入可能な第2穴と、を有しており、
前記第1穴の深さ方向から観察したときの前記第1穴の外形は、前記第2穴の深さ方向から観察したときの前記第2穴の外形と異なっている搬送治具。
【請求項2】
前記第1穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有しており、
前記第2穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有していない請求項1に記載の搬送治具。
【請求項3】
挿入部が前記第1穴に挿入されて吊り上げられている状態において、前記第1穴の内面のうち前記所定区間に存在する部分と挿入部とが当接している請求項2に記載の搬送治具。
【請求項4】
前記第1穴の外形は三角形状であり、前記第2穴の外形は四角形状である請求項1~3のいずれか一項に記載の搬送治具。
【請求項5】
挿入部が前記第1穴および前記第2穴に挿入されて吊り上げられている状態において、前記第2穴の内面と鉛直方向における挿入部の最上部とが当接しており、前記第1穴の内面と鉛直方向における挿入部の最上部とが当接していない請求項1~4のいずれか一項に記載の搬送治具。
【請求項6】
挿入部が前記第2穴に挿入されて前記吊り上げ治具により吊り上げられた状態において、前記第2穴に挿入されている挿入部は水平方向に移動可能である請求項1~5のいずれか一項に記載の搬送治具。
【請求項7】
挿入部が前記第1穴に挿入されて前記吊り上げ治具により吊り上げられた状態において、前記第1穴に挿入されている挿入部は水平方向に移動不可能である請求項6に記載の搬送治具。
【請求項8】
前記第1穴の数と前記第2穴の数は同じである請求項1~7のいずれか一項に記載の搬送治具。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の搬送治具と、
前記第1穴に挿入可能な第1挿入部および前記第2穴に挿入可能な第2挿入部を有する前記吊り上げ治具と、を有している搬送治具搬送システム。
【請求項10】
前記第1挿入部は前記第2穴に挿入可能であり、前記第2挿入部は前記第1穴に挿入可能である請求項9に記載の搬送治具搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する際に使用する搬送治具および搬送治具搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、搬送対象物の種類に関わらず搬送の機械化が進められており、搬送対象物の搬送をするための搬送治具や搬送治具を搬送するためのシステムの開発が進められている。
【0003】
特許文献1には、側面に引掛け部を設けた箱内にパレットを収納し、この箱を垂直方向に積上げた状態から垂直方向に分離維持するセパレータ部と、セパレータ部によって分離された複数の箱の内の任意の1つを取出して所定の高さまで下降させるリフター部と、このリフター部から箱を受けて所定の位置まで横方向に移動させる搬送部と、この搬送部から箱を受けて箱内のパレットのみを上昇させ部品組立加工装置に部品を供給するエレベータ部からなることを特徴とする部品自動ハンドリング装置について記載されている。
【0004】
特許文献2には、底板部材と側壁部材と天板部材とを有し、これらの部材が組立てられた状態では互いに不動に結合された状態となっている折りたたみ式貨物容器若しくはコンテナについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61-33423号公報
【特許文献2】特開平5-254590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されている装置および特許文献2に記載されている容器若しくはコンテナにおいては、所定の場所から持ち上げ、他の場所に置く際の機能面において、未だ改善の余地があった。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定の位置で吊り上げやすくすることができ、目的の場所に載置しやすくするための機能を有する搬送治具および搬送治具搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決できた本発明の搬送治具の一実施態様は、挿入部を有している吊り上げ治具によって吊り上げられる搬送治具であって、挿入部を挿入可能な第1穴と、第1穴とは異なる位置に配されており、挿入部を挿入可能な第2穴と、を有しており、第1穴の深さ方向から観察したときの第1穴の外形は、第2穴の深さ方向から観察したときの第2穴の外形と異なっている点に要旨を有する。搬送治具が有している第1穴と第2穴に、吊り上げ治具が有している挿入部を挿入することによって、搬送治具を吊り上げることができる。このとき、第1穴の深さ方向から観察したときの第1穴の外形が第2穴の深さ方向から観察したときの第2穴の外形と異なっていることにより、第1穴の内腔において挿入部が安定する領域と、第2穴の内腔において挿入部が安定する領域が異なることになる。これにより、第1穴と第2穴の距離と、第1穴に挿入される挿入部と第2穴に挿入される挿入部の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の穴に合わせて挿入部が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の穴の内腔で挿入部が移動することができる。これにより、搬送治具が挿入部に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができる。
【0009】
第1穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有しており、第2穴は水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有していないことが好ましい。
【0010】
挿入部が第1穴に挿入されて吊り上げられている状態において、第1穴の内面のうち所定区間に存在する部分と挿入部とが当接していることが好ましい。
【0011】
第1穴の外形は三角形状であり、第2穴の外形は四角形状であることが好ましい。
【0012】
挿入部が第1穴および第2穴に挿入されて吊り上げられている状態において、第2穴の内面と鉛直方向における挿入部の最上部とが当接しており、第1穴の内面と鉛直方向における挿入部の最上部とが当接していないことが好ましい。
【0013】
挿入部が第2穴に挿入されて吊り上げ治具により吊り上げられた状態において、第2穴に挿入されている挿入部は水平方向に移動可能であることが好ましい。
【0014】
挿入部が第1穴に挿入されて吊り上げ治具により吊り上げられた状態において、第1穴に挿入されている挿入部は水平方向に移動不可能であることが好ましい。
【0015】
第1穴の数と第2穴の数は同じであることが好ましい。
【0016】
上記課題を解決できた本発明の搬送治具搬送システムの一実施態様は、上記搬送治具と、第1穴に挿入可能な第1挿入部および第2穴に挿入可能な第2挿入部を有する吊り上げ治具と、を有している点に要旨を有する。搬送治具が有している第1穴と第2穴に、吊り上げ治具が有している第1挿入部および第2挿入部を挿入することによって、搬送治具を吊り上げることができる。このとき、第1穴の深さ方向から観察したときの第1穴の外形が第2穴の深さ方向から観察したときの第2穴の外形と異なっていることにより、第1穴の内腔において第1挿入部が安定する領域と、第2穴の内腔において第2挿入部が安定する領域が異なることになる。これにより、第1穴と第2穴の距離と、第1挿入部と第2挿入部の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の穴に合わせて挿入部が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の穴の内腔で挿入部が移動することができる。これにより、搬送治具が第1挿入部および第2挿入部に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができる。
【0017】
第1挿入部は第2穴に挿入可能であり、第2挿入部は第1穴に挿入可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の搬送治具および搬送治具搬送システムは、搬送治具が挿入部に対して所定の位置で吊り上げやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る搬送治具の一例を示す斜視図を表す。
図2】本発明の実施の形態に係る搬送治具を吊り上げる吊り上げ治具の一例を示す斜視図を表す。
図3図1に示す搬送治具が有する第1穴を拡大した正面図を表す。
図4図1に示す搬送治具が有する第2穴を拡大した正面図を表す。
図5図3に示す第1穴の変形例を示す正面図を表す。
図6】本発明の実施の形態に係る搬送治具の変形例を示す正面図を表す。
図7図6に示す搬送治具のVII-VII線における断面図(一部側面図)を表す。
図8】本発明の実施の形態に係る搬送治具を吊り上げる吊り上げ治具の変形例を示す斜視図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各図において、便宜上、ハッチングや符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図を参照するものとする。また、図面における種々部品の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0021】
本発明の搬送治具の一実施態様は、挿入部を有している吊り上げ治具によって吊り上げられる搬送治具であって、挿入部を挿入可能な第1穴と、第1穴とは異なる位置に配されており、挿入部を挿入可能な第2穴と、を有しており、第1穴の深さ方向から観察したときの第1穴の外形は、第2穴の深さ方向から観察したときの第2穴の外形と異なっている点に要旨を有する。
【0022】
まず、図1図7を参照して搬送治具の全体構成について説明する。本図面においては、水平方向をx、鉛直方向をyで示している。水平方向xは、鉛直方向yに垂直な方向であるが、図1図7では鉛直方向yに垂直な一方向のみを示している。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送治具の一例を示す斜視図を表す。図1に示すように、搬送治具1は、搬送対象物を入れたり、固定したりする機能を有するもので、後述する吊り上げ治具によって吊り上げられるものである。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係る搬送治具を吊り上げる吊り上げ治具の一例を示す斜視図を表す。図2に示すように、吊り上げ治具100は挿入部110を有しており、搬送治具1を吊り上げるものである。
【0025】
図1に示すように、搬送治具1は、第1穴10と、第1穴10とは異なる位置に配されている第2穴20と、を有している。図1については斜視図であるが、第1穴10の深さ方向から観察したときの第1穴10の外形は、第2穴20の深さ方向から観察したときの第2穴20の外形と異なっている態様が示されている。本明細書内では、第1穴10の深さ方向から観察したときの第1穴10の外形を、単に第1穴10の外形と称する。同様に、第2穴20の深さ方向から観察したときの第2穴20の外形を、単に第2穴20の外形と称する。
【0026】
図3は、図1に示す搬送治具1が有する第1穴10を拡大した正面図であって、第1穴10を第1穴10の深さ方向から観察している状態を表す図であり、吊り上げ治具が有する挿入部110が挿入されている状態を表す。
【0027】
図4は、図1に示す搬送治具1が有する第2穴20を拡大した正面図であって、第2穴20を第2穴20の深さ方向から観察している状態を表す図であり、吊り上げ治具が有する挿入部110が挿入されている状態を表す。
【0028】
図5は、図3に示す第1穴10の変形例を示す正面図であって、吊り上げ治具が有する挿入部110が挿入されている状態を表す。
【0029】
図3図5に示すように、第1穴10と第2穴20には、吊り上げ治具に設けられている挿入部110を挿入可能である。第1穴10と第2穴20に挿入された状態で挿入部110が上方に移動することによって、吊り上げ治具が搬送治具1を吊り上げることができる。このとき、第1穴10の深さ方向から観察したときの第1穴10の外形が第2穴20の深さ方向から観察したときの第2穴20の外形と異なっていることにより、第1穴10の内腔において挿入部110が安定する領域と、第2穴20の内腔において挿入部110が安定する領域が異なることになる。これにより、第1穴10と第2穴20の距離と、第1穴10に挿入される挿入部110と第2穴20に挿入される挿入部110の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の穴に合わせて挿入部が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の穴の内腔で挿入部110が移動することができる。これにより、搬送治具1が挿入部110に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具1を載置しやすくすることができる。
【0030】
図6は、本発明の実施の形態に係る搬送治具の変形例を示す正面図を表す。図7は、図6に示す搬送治具1のVII-VII線における断面図を表しているが、第2穴20の部分のみ側面図で表しており、第2穴20の内面23が示されている。
【0031】
搬送治具1の形状は特に限定されることはなく、例えば、図1に示すような箱状であってもよいし、図6および図7に示すような袋状であってもよい。
【0032】
第1穴10の外形と、第2穴20の外形は、互いに異なるものであれば特に限定されるものではない。例えば、円形状、長円形状、多角形状、星形状、またはこれらを組み合わせた形状等にすることができる。なお、長円形状には楕円形状、卵形状等が含まれる。多角形は、隅丸形状であってもよい。図1に示すように、第1穴10の外形を三角形状に、第2穴20の外形を四角形状にしても構わない。また、図6に示すように、第1穴10の外形を菱形状に、第2穴20の外形を円形状にしても構わない。
【0033】
第1穴の内腔において挿入部が安定する領域は、第2穴の内腔において挿入部が安定する領域よりも狭い構成とすることができる。また、第1穴の内腔において挿入部が安定する領域は、第2穴の内腔において挿入部が安定する領域よりも広い構成とすることも可能である。
【0034】
図3図5に示すように、第1穴10は、水平方向xにおける幅11が上方に向かって狭くなる所定区間12を有していることが好ましい。図3に示すように第1穴10全体が所定区間12になっていても構わないし、図5に示すように第1穴10の一部の領域のみが所定区間12になっていても構わない。第1穴10が水平方向xにおける幅11が上方に向かって狭くなる所定区間12を有していることにより、挿入部10が挿入されて吊り上げられた時の第1穴10の内腔における挿入部110の安定する領域を狭くしやすくすることができる。
【0035】
図3図5に示すように、搬送治具1は、第1穴10の水平方向xにおける幅11が、挿入部110の水平方向xにおける最大幅112よりも狭い区間を有していることが好ましい。第1穴10の上方半分の部分において、第1穴10の水平方向xにおける幅11が、挿入部110の水平方向xにおける最大幅112よりも狭い区間を有していることも好ましい。当該構成により、挿入部10が挿入されて吊り上げられた時の第1穴10の内腔における挿入部110の安定する領域を狭くしやすくすることができる。
【0036】
第2穴20の上方半分の部分には、水平方向xにおける幅21が上方に向かって狭くなる所定区間を有していないことが好ましい。この場合、第2穴20の下方半分の部分については、水平方向xにおける幅21が上方に向かって狭くなる所定区間を有している構成としても構わない。図4に示すように、第2穴20は、水平方向xにおける幅21が上方に向かって狭くなる所定区間を有していないことがより好ましい。第2穴20の上方半分または全体において、水平方向xにおける幅21が上方に向かって狭くなる所定区間を有していないことにより、挿入部10が挿入されて吊り上げられた時の挿入部110の第2穴20の内腔における挿入部110の安定する領域を広くしやすくすることができる。
【0037】
第1穴10は水平方向xにおける幅11が上方に向かって狭くなる所定区間12を有しており、第2穴20は水平方向xにおける幅11が上方に向かって狭くなる所定区間を有していないことが好ましい。当該構成により、第1穴10の内腔において挿入部110が安定する領域を、第2穴20の内腔において挿入部110が安定する領域よりも狭くしやすくすることができる。これにより、第1穴10と第2穴20の距離と、第1穴10に挿入される挿入部110と第2穴20に挿入される挿入部110の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の第1穴10に挿入部110が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の第2穴20の内腔で挿入部110が移動しやすくすることができる。これにより、搬送治具1が挿入部110に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具1を載置しやすくすることができる。
【0038】
図示しないが、第2穴は、水平方向における幅が上方に向かって広くなる区間を有している構成にすることもできる。また、図4に示すように、水平方向xにおける幅21がいずれの場所に置いても全て同じ長さに設定されていてもよい。このような構成とすることにより、挿入部が挿入されて吊り上げられた時の第2穴の内腔における挿入部の安定する領域を広くしやすくすることができる。
【0039】
なお、第2穴の上方半分、若しくは、第2穴の全体が、水平方向における幅が上方に向かって狭くなる所定区間を有している構成とすることもできるが、その場合は、第2穴の水平方向における幅が挿入部の水平方向における最大幅よりも狭い区間を有していない構成とすることが好ましい。これにより、挿入部が挿入されて吊り上げられた時の第2穴の内腔における挿入部の安定する領域を広くしやすくすることができる。
【0040】
鉛直方向yにおいて、第1穴10の最上部の位置と第2穴20の最上部の位置は同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、搬送治具が円形状の第1穴と四角形状の第2穴を有している場合は、第1穴の最上部の位置と第2穴の最上部の位置は同じであることが好ましい。搬送治具1が図3に示す三角形状の第1穴10と図4に示す四角形状の第2穴20を有している場合は、鉛直方向yにおける第1穴10の最上部の位置と第2穴20の最上部の位置は異なる位置であることが好ましく、第1穴10の最上部の位置が第2穴20の最上部の位置よりも上方に位置していることがより好ましい。当該構成を有する搬送治具1を、第1穴10に挿入される挿入部110の鉛直方向yにおける位置と第2穴20に挿入される挿入部110の鉛直方向yにおける位置が揃えられた吊り上げ治具100によって吊り上げることにより、吊り上げたときの安定性を高めやすくすることができる。
【0041】
図3図5に示すように、挿入部110が第1穴10に挿入されて吊り上げられている状態において、第1穴10の内面13のうち所定区間12に存在する部分と挿入部110とが当接していることが好ましい。当該構成とすることで、第1穴10の内腔において挿入部110が安定する領域を、第2穴20の内腔において挿入部110が安定する領域よりも狭くしやすくすることができる。これにより、第1穴10と第2穴20の距離と、第1穴10に挿入される挿入部110と第2穴20に挿入される挿入部110の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の第1穴10に挿入部110が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の第2穴20の内腔で挿入部110が移動しやすくすることができる。これにより、搬送治具1が挿入部110に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具1を載置しやすくすることができる。
【0042】
挿入部110が第1穴10および第2穴20に挿入されて吊り上げられている状態において、図4に示すように、第2穴20の内面23と鉛直方向yにおける挿入部110の最上部111とが当接していることが好ましい。また、挿入部110が第1穴10および第2穴20に挿入されて吊り上げられている状態において、図3および図5に示すように、第1穴10の内面13と鉛直方向yにおける挿入部110の最上部111とが当接していないことが好ましい。当該構成とすることで、第1穴10の内腔において挿入部110が安定する領域を、第2穴20の内腔において挿入部110が安定する領域よりも狭くしやすくすることができる。これにより、第1穴10と第2穴20の距離と、第1穴10に挿入される挿入部110と第2穴20に挿入される挿入部110の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の第1穴10に挿入部110が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の第2穴20の内腔で挿入部110が移動しやすくすることができる。これにより、搬送治具1が挿入部110に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具1を載置しやすくすることができる。
【0043】
挿入部110が第2穴20に挿入されて吊り上げ治具100により吊り上げられた状態において、第2穴20に挿入されている挿入部110は水平方向xに移動可能であることが好ましい。挿入部110が第2穴20に挿入されて吊り上げ治具100により吊り上げられた状態において、第2穴20に挿入されている挿入部110は第2穴20の幅21方向に移動可能であることも好ましい。例えば、図4に示すように、第2穴20の外形が四角形状であるような場合、挿入部110が第2穴20に挿入されて吊り上げ治具100により吊り上げられた状態において、第2穴20に挿入されている挿入部110は水平方向x、特に第2穴20の幅21方向に移動可能となる。これにより、水平方向x、特に第2穴20の幅21方向において、吊り上げ治具100により吊り上げられた状態の第2穴20の内腔における挿入部110の安定する領域を広くしやすくすることができる。
【0044】
挿入部110が第1穴10に挿入されて吊り上げ治具100により吊り上げられた状態において、第1穴10に挿入されている挿入部110は水平方向xに移動不可能であることが好ましい。挿入部110が第1穴10に挿入されて吊り上げ治具100により吊り上げられた状態において、第1穴10に挿入されている挿入部110は第1穴10の幅11方向に移動不可能であることも好ましい。例えば、第1穴10の外形が、図3に示すような三角形状であるような場合、挿入部110が第1穴10に挿入されて吊り上げ治具により吊り上げられた状態において、第1穴10に挿入されている挿入部110は水平方向x、特に第1穴10の幅11方向に移動不可能となる。これにより、水平方向x、特に第1穴10の幅11方向において、吊り上げ治具により吊り上げられた状態の第1穴10の内腔における挿入部110の安定する領域を狭くしやすくすることができる。
【0045】
挿入部110が第2穴20に挿入されて吊り上げ治具100により吊り上げられた状態において、第2穴20に挿入されている挿入部110は水平方向xに移動可能であり、かつ、第1穴10に挿入されている挿入部110は水平方向xに移動不可能であることが好ましい。また、挿入部110が第2穴20に挿入されて吊り上げ治具100により吊り上げられた状態において、第2穴20に挿入されている挿入部110は第2穴20の幅21方向に移動可能であり、かつ、第1穴10に挿入されている挿入部110は第1穴10の幅11方向に移動不可能であることも好ましい。当該構成とすることで、第1穴10の内腔において挿入部110が安定する領域を、第2穴20の内腔において挿入部110が安定する領域よりも狭くしやすくすることができる。これにより、第1穴10と第2穴20の距離と、第1穴10に挿入される挿入部110と第2穴20に挿入される挿入部110の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の第1穴10に挿入部110が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の第2穴20の内腔で挿入部110が移動しやすくすることができる。これにより、搬送治具1が挿入部110に対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具1を載置しやすくすることができる。
【0046】
鉛直方向yにおける第1穴10が有する所定区間12の長さは、水平方向xにおける挿入部110の最大幅112の長さよりも長くてもよいし、短くてもよい。鉛直方向yにおける第1穴10が有する所定区間12の長さは、水平方向xにおける挿入部110の最大幅112の長さの1/2の長さよりも長くてもよいし、短くてもよい。鉛直方向yにおける第1穴10が有する所定区間12の長さは、水平方向xにおける挿入部110の最大幅112の長さと同じであってもよい。
【0047】
第1穴10の数は図6に示すように1つであってもよいし、図1に示すように2つであってもよいし、それ以上であってもよい。第2穴20の数についても同様である。第1穴10の数が2つ以上である場合、各第1穴は対向していることが好ましい。第2穴20についても同様である。第1穴10の数と第2穴20の数は同じであってもよいし、異なっていてもよいが、第1穴10の数と第2穴20の数は同じであることが好ましい。これにより、搬送治具1を吊り上げ治具100によって吊り上げたときの重量バランスを取りやすくすることができるため、安定して搬送治具1を搬送しやすくすることができる。
【0048】
搬送治具1に入れたり、固定したりする搬送対象物の形状は特に限定されるものではないが、例えば、袋状、立方体や直方体などの箱状のものなどがあげられる。搬送対象物の重さについても特に限定されるものではない。搬送対象物のより具体的な例としては、例えば、ハンドドライヤーや電子レンジなどの家電製品が段ボールで形成された箱で包装された家電製品包装体や、シリンジやカテーテルなどの医療用具が袋で包装された医療用具包装体などがあげられる。これらの搬送対象物が搬送治具1に入れられ、または、固定されて搬送される。
【0049】
搬送治具1を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属等があげられる。
【0050】
ここまで、本発明の実施の形態に係る搬送治具1について説明した。次に、図1図8を参照して、搬送治具搬送システムについて説明する。図8は、本発明の実施の形態に係る搬送治具を吊り上げる吊り上げ治具の変形例を示す斜視図を表す。
【0051】
本発明の搬送治具搬送システムの一実施態様は、上記搬送治具1と、第1穴10に挿入可能な第1挿入部110aおよび第2穴20に挿入可能な第2挿入部110bを有する吊り上げ治具100と、を有している点に要旨を有する。
【0052】
図2図8に示すように、吊り上げ治具100は第1挿入部110aおよび第2挿入部110bを有しており、搬送治具を吊り上げるものである。
【0053】
搬送治具1が有している第1穴10と第2穴20に、吊り上げ治具100が有している第1挿入部110aおよび第2挿入部110bを挿入することによって、搬送治具1を吊り上げることができる。このとき、第1穴10の深さ方向から観察したときの第1穴10の外形が第2穴20の深さ方向から観察したときの第2穴20の外形と異なっていることにより、第1穴10の内腔において第1挿入部110aが安定する領域と、第2穴20の内腔において第2挿入部110bが安定する領域が異なることになる。これにより、第1穴10と第2穴20の距離と、第1挿入部110aと第2挿入部110bの距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の穴に合わせて挿入部が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の穴の内腔で挿入部が移動することができる。これにより、搬送治具1が第1挿入部110aおよび第2挿入部110bに対して所定の位置で吊り上げられやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具1を載置しやすくすることができる。
【0054】
図示しないが、第1挿入部は第2穴に挿入可能であり、第2挿入部は第1穴に挿入可能であることが好ましい。これにより、よりスムーズに搬送治具を吊り上げ治具によって吊り上げやすくすることができる。なお、第1挿入部が第2穴に挿入不可能であり、第2挿入部が第1穴に挿入不可能である構成としても構わない。
【0055】
吊り上げ治具100を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属等があげられる。
【0056】
第1挿入部110aおよび第2挿入部110bの形状は特に限定されるものではないが、棒状、柱状、円柱状、多角柱状、またはこれらを組み合わせた形状等にすることができる。第1挿入部110aと第2挿入部110bの形状は、同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0057】
第1挿入部110aおよび第2挿入部110bは水平方向xに延在していることが好ましい。第1挿入部110aおよび第2挿入部110bはその全体が水平方向xに延在しているものであってもよい。また、第1挿入部110aと第2挿入部110bの一部のみが水平方向xに延在しており、残りの部分が他の方向に延在していても構わない。
【0058】
第1挿入部110aのうち水平方向xに延在している部分が第1穴10の内面13と接した状態で搬送治具1を吊り上げることが好ましい。第2挿入部110bのうち水平方向xに延在している部分が第2穴20の内面23と接した状態で搬送治具1を吊り上げることが好ましい。当該構成により、搬送治具1を吊り上げ治具100によって吊り上げたときの安定性を高めやすくすることができる。
【0059】
鉛直方向yにおける第1挿入部110aの最上部111aの位置と第2挿入部110bの最上部111bの位置は異なっていてもよいが、同じ位置であることが好ましい。当該構成により、搬送治具1を吊り上げ治具100によって吊り上げたときの安定性を高めやすくすることができる。
【0060】
搬送治具1が有する第1穴10および第2穴20の合計の数と、吊り上げ治具100が有する第1挿入部110aおよび第2挿入部110bの合計の数とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、1つの第1穴10に対して1つの第1挿入部110aを挿入し、1つの第2穴20に対して1つの第2挿入部110bを挿入するような場合は、搬送治具1が有する第1穴10および第2穴20の数の合計と、吊り上げ治具100が有する第1挿入部110aおよび第2挿入部110bの合計の数とが同じになる。図1に示す搬送治具1を図8に示す吊り上げ治具100で吊り上げるような場合がこれに該当する。その他、2つの第1穴10に対して1つの第1挿入部110aを挿入し、2つの第2穴20に対して1つの第2挿入部110bを挿入するような場合は、搬送治具1が有する第1穴10および第2穴20の合計の数と、吊り上げ治具100が有する第1挿入部110aおよび第2挿入部110bの合計の数とが異なる数になる。図1に示す搬送治具1を図2に示す吊り上げ治具100で吊り上げるような場合がこれに該当する。
【0061】
第1挿入部110aおよび第2挿入部110bの一端は、図2図8に示すように支持部120に固定されていることが好ましい。支持部120は、第1挿入部110aおよび第2挿入部110bを支持するための部分である。
【0062】
詳細には図示しないが、支持部の一部が搬送用のロボットに接続されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0063】
1:搬送治具
10:第1穴
11:幅
12:所定区間
13:内面
20:第2穴
21:幅
23:内面
30:搬送対象物
100:吊り上げ治具
110:挿入部
110a:第1挿入部
110b:第2挿入部
111:最上部
112:最大幅
120:支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8