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特開2023-105890吊り上げ治具および搬送治具搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105890
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】吊り上げ治具および搬送治具搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/88 20060101AFI20230725BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B65G47/88 Z
B65G47/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006900
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居村 真人
【テーマコード(参考)】
3F017
3F072
【Fターム(参考)】
3F017CA01
3F017CB01
3F017CD02
3F017CD03
3F017DA01
3F017DA08
3F017EA02
3F017FA01
3F017FA05
3F017FA06
3F017FC01
3F072AA06
3F072GG06
3F072GG11
3F072KD01
3F072KD07
3F072KD23
3F072KE11
(57)【要約】
【課題】搬送治具を所定の位置で吊り上げやすくすることができ、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができる吊り上げ治具および搬送治具搬送システムを提供する。
【解決手段】突出部を有している搬送治具を吊り上げる吊り上げ治具1であって、第1受け部10と、第1受け部10とは異なる位置に配されている第2受け部20と、を有しており、第1受け部10が突出部を受けたときの該突出部の突出方向から第1受け部10を観察したときの第1スペースの外形は、第2受け部20が突出部を受けたときの該突出部の突出方向から第2受け部20を観察したときの第2スペースの外形と異なっている吊り上げ治具1、および、上記吊り上げ治具1と第1受け部10および第2受け部20が受ける突出部とを有している搬送治具とを有する搬送治具搬送システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突出部を有している搬送治具を吊り上げる吊り上げ治具であって、
突出部を受ける第1スペースを区画する第1受け部と、
前記第1受け部とは異なる位置に配されており、突出部を受ける第2スペースを区画する第2受け部と、を有しており、
前記第1受け部が突出部を受けたときの該突出部の突出方向から前記第1受け部を観察したときの前記第1スペースの外形は、前記第2受け部が突出部を受けたときの該突出部の突出方向から前記第2受け部を観察したときの前記第2スペースの外形と異なっている吊り上げ治具。
【請求項2】
前記第1スペースの外形は水平方向における幅が下方に向かって狭くなる所定区間を有しており、
前記第2スペースの外形は水平方向における幅が下方に向かって狭くなる所定区間を有していない請求項1に記載の吊り上げ治具。
【請求項3】
前記第1受け部が突出部を受けて前記搬送治具を吊り上げている状態において、前記第1受け部のうち前記所定区間に存在する部分と突出部とが当接している請求項2に記載の吊り上げ治具。
【請求項4】
前記第1スペースの外形は三角形状であり、前記第2スペースの外形は四角形状である請求項1~3のいずれか一項に記載の吊り上げ治具。
【請求項5】
前記第1受け部および前記第2受け部が突出部を受けて前記搬送治具を吊り上げている状態において、前記第2受け部と鉛直方向における突出部の最下部とが当接しており、前記第1受け部と鉛直方向における突出部の最下部とが当接していない請求項1~4のいずれか一項に記載の吊り上げ治具。
【請求項6】
前記第2受け部が突出部を受けて前記搬送治具を吊り上げている状態において、前記第2受け部が受けている突出部は水平方向に移動可能である請求項1~5のいずれか一項に記載の吊り上げ治具。
【請求項7】
前記第1受け部が突出部を受けて前記搬送治具を吊り上げている状態において、前記第1受け部が受けている突出部は水平方向に移動不可能である請求項6に記載の吊り上げ治具。
【請求項8】
前記第1受け部の数と前記第2受け部の数は同じである請求項1~7のいずれか一項に記載の吊り上げ治具。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の吊り上げ治具と、
前記第1受け部が受ける第1突出部および前記第2受け部が受ける第2突出部を有する前記搬送治具と、を有している搬送治具搬送システム。
【請求項10】
前記第1受け部は前記第2突出部を受けることが可能であり、前記第2受け部は前記第1突出部を受けることが可能である請求項9に記載の搬送治具搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する際に使用する吊り上げ治具および当該吊り上げ治具を用いた搬送治具搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、搬送対象物の種類に関わらず搬送の機械化が進められており、搬送対象物の搬送をするための搬送治具や搬送治具を搬送するためのシステムの開発が進められている。
【0003】
特許文献1には、側面に引掛け部を設けた箱内にパレットを収納し、この箱を垂直方向に積上げた状態から垂直方向に分離維持するセパレータ部と、セパレータ部によって分離された複数の箱の内の任意の1つを取出して所定の高さまで下降させるリフター部と、このリフター部から箱を受けて所定の位置まで横方向に移動させる搬送部と、この搬送部から箱を受けて箱内のパレットのみを上昇させ部品組立加工装置に部品を供給するエレベータ部からなることを特徴とする部品自動ハンドリング装置について記載されている。
【0004】
特許文献2には、底板部材と側壁部材と天板部材とを有し、これらの部材が組立てられた状態では互いに不動に結合された状態となっている折りたたみ式貨物容器若しくはコンテナについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61-33423号公報
【特許文献2】特開平5-254590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されている装置および特許文献2に記載されている容器若しくはコンテナにおいては、所定の場所から持ち上げ、他の場所に置く際の機能面において、未だ改善の余地があった。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定の位置で吊り上げやすくすることができ、目的の場所に載置しやすくするための機能を有する吊り上げ治具および搬送治具搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決できた本発明の吊り上げ治具の一実施態様は、突出部を有している搬送治具を吊り上げる吊り上げ治具であって、突出部を受ける第1スペースを区画する第1受け部と、第1受け部とは異なる位置に配されており、突出部を受ける第2スペースを区画する第2受け部と、を有しており、第1受け部が突出部を受けたときの該突出部の突出方向から第1受け部を観察したときの第1スペースの外形は、第2受け部が突出部を受けたときの該突出部の突出方向から第2受け部を観察したときの第2スペースの外形と異なっている点に要旨を有する。吊り上げ治具が有している第1受け部と第2受け部が、搬送治具が有する突出部を受けることによって、搬送治具を吊り上げることができる。このとき、第1受け部が突出部を受けたときの該突出部の突出方向から第1受け部を観察したときの第1スペースの外形が、第2受け部が突出部を受けたときの該突出部の突出方向から第2受け部を観察したときの第2スペースの外形と異なっていることにより、第1受け部において突出部が安定する領域と、第2受け部において突出部が安定する領域が異なることになる。これにより、第1受け部と第2受け部の距離と、第1受け部が受ける突出部と第2受け部が受ける突出部の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の受け部に合わせて突出部が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の受け部において突出部が移動することができる。これにより、搬送治具が第1受け部および第2受け部に対して所定の位置で吊り上げやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができる。
【0009】
第1スペースの外形は水平方向における幅が下方に向かって狭くなる所定区間を有しており、第2スペースの外形は水平方向における幅が下方に向かって狭くなる所定区間を有していないことが好ましい。
【0010】
第1受け部が突出部を受けて搬送治具を吊り上げている状態において、第1受け部のうち所定区間に存在する部分と突出部とが当接していることが好ましい。
【0011】
第1スペースの外形は三角形状であり、第2スペースの外形は四角形状であることが好ましい。
【0012】
第1受け部および第2受け部が突出部を受けて搬送治具を吊り上げている状態において、第2受け部と鉛直方向における突出部の最下部とが当接しており、第1受け部と鉛直方向における突出部の最下部とが当接していないことが好ましい。
【0013】
第2受け部が突出部を受けて搬送治具を吊り上げている状態において、第2受け部が受けている突出部は水平方向に移動可能であることが好ましい。
【0014】
第1受け部が突出部を受けて搬送治具を吊り上げている状態において、第1受け部が受けている突出部は水平方向に移動不可能であることが好ましい。
【0015】
第1受け部の数と第2受け部の数は同じであることが好ましい。
【0016】
上記課題を解決できた本発明の搬送治具搬送システムの一実施態様は、上記吊り上げ治具と、第1受け部が受ける第1突出部および第2受け部が受ける第2突出部を有する搬送治具と、を有している点に要旨を有する。吊り上げ治具が有している第1受け部と第2受け部が、搬送治具が有する第1突出部および第2突出部を受けることによって、搬送治具を吊り上げることができる。このとき、第1受け部が第1突出部を受けたときの第1突出部の突出方向から第1受け部を観察したときの第1スペースの外形が、第2受け部が第2突出部を受けたときの第2突出部の突出方向から第2受け部を観察したときの第2スペースの外形と異なっていることにより、第1受け部において第1突出部が安定する領域と、第2受け部において第2突出部が安定する領域が異なることになる。これにより、第1受け部と第2受け部の距離と、第1突出部と第2突出部の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の受け部に合わせて突出部が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の受け部において突出部が移動することができる。これにより、搬送治具が第1受け部および第2受け部に対して所定の位置で吊り上げやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができる。
【0017】
第1受け部は第2突出部を受けることが可能であり、第2受け部は第1突出部を受けることが可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の吊り上げ治具および搬送治具搬送システムは、搬送治具が第1受け部および第2受け部に対して所定の位置で吊り上げやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る吊り上げ治具の一例を示す斜視図を表す。
図2】本発明の実施の形態に係る吊り上げ治具によって吊り上げられる搬送治具の一例を示す斜視図を表す。
図3図1に示す吊り上げ治具が有する第1受け部を拡大した正面図を表す。
図4図1に示す吊り上げ治具が有する第2受け部を拡大した正面図を表す。
図5図3に示す第1受け部の変形例を示す正面図を表す。
図6】本発明の実施の形態に係る吊り上げ治具の変形例を示す斜視図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各図において、便宜上、ハッチングや符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図を参照するものとする。また、図面における種々部品の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0021】
本発明の吊り上げ治具の一実施態様は、突出部を有している搬送治具を吊り上げる吊り上げ治具であって、突出部を受ける第1スペースを区画する第1受け部と、第1受け部とは異なる位置に配されており、突出部を受ける第2スペースを区画する第2受け部と、を有しており、第1受け部が突出部を受けたときの該突出部の突出方向から第1受け部を観察したときの第1スペースの外形は、第2受け部が突出部を受けたときの該突出部の突出方向から第2受け部を観察したときの第2スペースの外形と異なっている点に要旨を有する。
【0022】
まず、図1図6を参照して吊り上げ治具の全体構成について説明する。本図面においては、水平方向をx、鉛直方向をyで示している。水平方向xは、鉛直方向yに垂直な方向であるが、図1図6では鉛直方向yに垂直な一方向のみを示している。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る吊り上げ治具の一例を示す斜視図を表す。図1に示すように、吊り上げ治具1は、後述する突出部を有している搬送治具を吊り上げるものである。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係る吊り上げ治具によって吊り上げられる搬送治具の一例を示す斜視図を表す。図2に示すように、搬送治具100は突出部110を有しており、吊り上げ治具1によって吊り上げられるものである。
【0025】
図1に示すように、吊り上げ治具1は、突出部を受ける第1受け部10と、第1受け部10とは異なる位置に配されており、突出部を受ける第2受け部20と、を有している。
【0026】
図3は、図1に示す吊り上げ治具1が有する第1受け部10を拡大した正面図であって、第1受け部10が突出部110を受けたときの該突出部110の突出方向から第1受け部10を観察している状態を表す図であり、第1受け部10が突出部110を受けている状態を表す。
【0027】
図4は、図1に示す吊り上げ治具1が有する第2受け部20を拡大した正面図であって、第2受け部20が突出部110を受けたときの該突出部110の突出方向から第2受け部20を観察している状態を表す図であり、第2受け部20が突出部110を受けている状態を表す。
【0028】
図5は、図3に示す第1受け部10の変形例を示す正面図であって、突出部110を受けている状態を表す。
【0029】
図3図5に示すように、第1受け部10は突出部110を受ける第1スペース14を区画する。図3図5に示すように、第1スペース14は第1受け部10に囲まれているスペースである。図3では、第1スペース14と外部との境界を二点鎖線で示している。
【0030】
図4に示すように、第2受け部20は突出部110を受ける第2スペース24を区画する。図4に示すように、第2スペース24は第2受け部20に囲まれているスペースである。図4では、第2スペース24と外部との境界を二点鎖線で示している。
【0031】
図1図3図4において、第1受け部10が突出部110を受けたときの該突出部110の突出方向から第1受け部10を観察したときの第1スペース14の外形は、第2受け部20が突出部110を受けたときの該突出部110の突出方向から第2受け部20を観察したときの第2スペース24の外形と異なっている態様が示されている。本明細書内では、第1受け部10が突出部110を受けたときの該突出部110の突出方向から第1受け部10を観察したときの第1スペース14の外形を、単に第1スペース14の外形と称する。同様に、第2受け部20が突出部110を受けたときの該突出部110の突出方向から第2受け部20を観察したときの第2スペース24の外形を、単に第2スペース24の外形と称する。
【0032】
図3図5に示すように、吊り上げ治具1が有している第1受け部10と第2受け部20が、搬送治具が有する突出部110を受けた状態で第1受け部10と第2受け部20が上方に移動することによって、搬送治具を吊り上げることができる。このとき、第1受け部10が突出部110を受けたときの該突出部110の突出方向から第1受け部10を観察したときの第1スペース14の外形が、第2受け部20が突出部110を受けたときの該突出部110の突出方向から第2受け部20を観察したときの第2スペース24の外形と異なっていることにより、第1受け部10において突出部110が安定する領域と、第2受け部20において突出部110が安定する領域が異なることになる。これにより、第1受け部10と第2受け部20の距離と、第1受け部10が受ける突出部110と第2受け部20が受ける突出部110の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の受け部に合わせて突出部110が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の受け部において突出部110が移動することができる。これにより、搬送治具が第1受け部10および第2受け部20に対して所定の位置で吊り上げやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができる。
【0033】
図6は、本発明の実施の形態に係る吊り上げ治具の変形例を示す斜視図を表す。
【0034】
第1スペース14の外形と第2スペース24の外形は、互いに異なるものであれば特に限定されるものではない。例えば、半円形状、円形状、長円形状、多角形状、星形状、またはこれらを組み合わせた形状等にすることができる。なお、長円形状には楕円形状、卵形状等が含まれる。多角形は、隅丸形状であってもよい。図3に示すように、第1スペース14の外形を三角形状に、図4に示すように、第2スペース24の外形を四角形状にしても構わない。また、図6に示すように、第1スペースの外形を三角形状に、第2スペースの外形を半円形状にしても構わない。
【0035】
第1受け部10において突出部110が安定する領域は、第2受け部20において突出部110が安定する領域よりも狭い構成とすることができる。また、第1受け部10において突出部110が安定する領域は、第2受け部20において突出部110が安定する領域よりも広い構成とすることも可能である。
【0036】
図3図5に示すように、吊り上げ治具1は、第1スペース14の外形の水平方向xにおける幅11が、突出部110の水平方向xにおける最大幅112よりも狭い区間を有していることが好ましい。第1スペース14の外形の下方半分の部分の水平方向xにおける幅11が、突出部110の水平方向xにおける最大幅112よりも狭い区間を有していることが好ましい。当該構成により、突出部110を受けて搬送治具を吊り上げた時の第1受け部10における突出部110の安定する領域を狭くしやすくすることができる。
【0037】
第2スペース24の外形の下方半分の部分には、水平方向xにおける幅21が下方に向かって狭くなっている所定区間を有していないことが好ましい。この場合、第2スペース24の外形の上方半分の部分には、水平方向xにおける幅21が下方に向かって狭くなっている所定区間を有している構成としても構わない。図4に示すように、第2スペース24の外形は、水平方向xにおける幅21が下方に向かって狭くなっている所定区間を有していないことが好ましい。第2スペース24の外形の下方半分または全体において、水平方向xにおける幅21が下方に向かって狭くなっている所定区間を有していないことにより、突出部110を受けて搬送治具を吊り上げた時の第2受け部20における突出部110の安定する領域を広くしやすくすることができる。
【0038】
第1スペース14の外形は水平方向xにおける幅11が下方に向かって狭くなる所定区間12を有しており、第2スペース24の外形は水平方向xにおける幅21が下方に向かって狭くなる所定区間を有していないことが好ましい。当該構成により、第1受け部10において突出部110が安定する領域を、第2受け部20において突出部110が安定する領域よりも狭くしやすくすることができる。これにより、第1受け部10と第2受け部20の距離と、第1受け部10が受ける突出部110と第2受け部20が受ける突出部110の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の第1受け部10に合わせて突出部110が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の第2受け部20において突出部110が移動することができる。これにより、搬送治具が第1受け部10および第2受け部20に対して所定の位置で吊り上げやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができる。
【0039】
図示しないが、第2スペースの外形は水平方向xにおける幅が下方に向かって広くなる区間を有していてもよい。また、図4に示すように、第2スペース24の外形は水平方向xにおける幅21がいずれの場所に置いても全て同じ長さに設定されていてもよい。このような構成とすることにより、第1受け部と第2受け部が突出部を受けて搬送治具を吊り上げている時の第2受け部における突出部の安定する領域を広くしやすくすることができる。
【0040】
なお、第2スペースの外形の下方半分、若しくは、第2スペースの外形全体が、水平方向xにおける幅が下方に向かって狭くなる区間を有している構成とすることもできるが、その場合は、第2スペースの外形の水平方向における幅が、突出部の水平方向における最大幅よりも狭い区間を有していない構成とすることが好ましい。これにより、第1受け部と第2受け部が突出部を受けて搬送治具を吊り上げている時の第2受け部における突出部の安定する領域を広くしやすくすることができる。
【0041】
鉛直方向yにおいて、第1スペース14の外形の最下部の位置と第2スペース24の外形の最下部の位置は同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、吊り上げ治具が、第1スペースの外形が半円形状の第1受け部と、第2スペースの外形が四角形状の第2受け部を有している場合は、第1スペースの外形の最下部の位置と第2スペースの外形の最下部の位置は同じであることが好ましい。吊り上げ治具1が、図3に示すような第1スペース14の外形が三角形状の第1受け部10と、図4に示すような第2スペース24の外形が四角形状の第2受け部20を有している場合は、鉛直方向yにおける第1スペース14の外形の最下部の位置と第2スペース24の外形の最下部の位置は異なる位置であることが好ましく、第1スペース14の外形の最下部の位置は第2スペース24の外形の最下部の位置よりも下方に位置していることがより好ましい。当該構成を有する吊り上げ治具1によって、第1受け部10が受ける突出部110の鉛直方向yにおける位置と第2受け部20が受ける突出部110の鉛直方向yにおける位置が揃えられた搬送治具100を吊り上げることによって、吊り上げたときの安定性を高めやすくすることができる。
【0042】
図3図5に示すように、第1受け部10が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第1受け部10のうち所定区間12に存在する部分と突出部110とが当接していることが好ましい。当該構成とすることで、第1受け部10において突出部110が安定する領域を、第2受け部20において突出部110が安定する領域よりも狭くしやすくすることができる。これにより、第1受け部10と第2受け部20の距離と、第1受け部10が受ける突出部110と第2受け部20が受ける突出部110の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の第1受け部10に合わせて突出部110が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の第2受け部20において突出部110が移動することができる。これにより、搬送治具が第1受け部10および第2受け部20に対して所定の位置で吊り上げやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができる。
【0043】
第1受け部10および第2受け部20が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、図4に示すように、第2受け部20と鉛直方向yにおける突出部110の最下部111とが当接していることが好ましい。また、図3図5に示すように、第1受け部10および第2受け部20が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第1受け部10と鉛直方向yにおける突出部110の最下部111とが当接していないことが好ましい。当該構成とすることで、第1受け部10において突出部110が安定する領域を、第2受け部20において突出部110が安定する領域よりも狭くしやすくすることができる。これにより、第1受け部10と第2受け部20の距離と、第1受け部10が受ける突出部110と第2受け部20が受ける突出部110の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の第1受け部10に合わせて突出部110が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の第2受け部において突出部110が移動することができる。これにより、搬送治具が第1受け部10および第2受け部20に対して所定の位置で吊り上げやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができる。
【0044】
第2受け部20が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第2受け部20が受けている突出部110は水平方向xに移動可能であることが好ましい。第2受け部20が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第2受け部20が受けている突出部110は、第2スペース24の外形の幅21方向に移動可能であることも好ましい。例えば、図4に示すように、第2スペース24の外形が四角形状であるような場合、突出部110を第2受け部20が受けて吊り上げている状態において、突出部110は、水平方向x、特に第2スペース24の外形の幅21方向に移動可能となる。これにより、水平方向x、特に第2スペース24の外形の幅21方向において、吊り上げ治具1により吊り上げている状態の第2受け部20における突出部110の安定する領域を広くしやすくすることができる。
【0045】
第1受け部10が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第1受け部10が受けている突出部110は水平方向xに移動不可能であることが好ましい。第1受け部10が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第1受け部10が受けている突出部110は、第1スペース14の外形の幅11方向に移動不可能であることも好ましい。例えば、第1スペース14の外形が図3に示すような三角形状であるような場合、第1受け部10が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第1受け部10が受けている突出部110は水平方向x、特に第1スペース14の外形の幅11方向に移動不可能となる。これにより、水平方向x、特に第1スペース14の外形の幅11方向において、吊り上げ治具1により吊り上げている状態の第1受け部10における突出部110の安定する領域を狭くしやすくすることができる。
【0046】
第2受け部20が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第2受け部20が受けている突出部110は水平方向xに移動可能であり、かつ、第1受け部10が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第1受け部10が受けている突出部110は水平方向xに移動不可能であることが好ましい。また、第2受け部20が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第2受け部20が受けている突出部110は、第2スペース24の外形の幅21方向に移動可能であり、かつ、第1受け部10が突出部110を受けて搬送治具100を吊り上げている状態において、第1受け部10が受けている突出部110は、第1スペース14の外形の幅11方向に移動不可能であることも好ましい。当該構成とすることで、第1受け部10において突出部110が安定する領域を、第2受け部20において突出部110が安定する領域よりも狭くしやすくすることができる。これにより、第1受け部10と第2受け部20の距離と、第1受け部10が受ける突出部110と第2受け部20が受ける突出部110の距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の第1受け部10に合わせて突出部110が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の第2受け部20において突出部110が移動することができる。これにより、搬送治具が第1受け部10および第2受け部20に対して所定の位置で吊り上げやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具を載置しやすくすることができる。
【0047】
鉛直方向yにおける第1スペース14の外形が有する所定区間12の長さは、水平方向xにおける突出部110の最大幅112の長さよりも長くてもよいし、短くてもよい。鉛直方向yにおける第1スペース14の外形が有する所定区間12の長さは、突出部110の最大幅112の長さの1/2の長さよりも長くてもよいし、短くてもよい。鉛直方向yにおける第1スペース14の外形が有する所定区間12の長さは、突出部110の最大幅112の長さと同じであってもよい。
【0048】
第1受け部10の数は図6に示すように1つであってもよいし、図1に示すように2つであってもよいし、それ以上であってもよい。第2受け部20の数についても同様である。第1受け部10の数が2つ以上である場合、各第1受け部10は、突出部110の突出方向において対向していることが好ましい。第2受け部20についても同様である。第1受け部10の数と第2受け部20の数は同じであってもよいし、異なっていてもよいが、第1受け部10の数と第2受け部20の数は同じであることが好ましい。これにより、搬送治具100を吊り上げ治具1によって吊り上げたときの重量バランスを取りやすくすることができる。
【0049】
第1スペース14は、図5に示すように第1受け部10に形成されている穴であっても構わない。図示しないが、第2スペースについても第2受け部に形成されている穴であっても構わない。この場合、第1受け部に形成されている穴の深さ方向から観察したときの第1受け部に形成されている穴の外形は、第2受け部に形成されている穴の深さ方向から観察したときの第2受け部に形成されている穴の外形と異なっていることが好ましい。
【0050】
第1受け部10および第2受け部20の一部は、図1図6に示すように支持部40に固定されていてもよい。支持部40は、第1受け部10および第2受け部20を支持するための部分である。
【0051】
詳細には図示しないが、支持部の一部が搬送用のロボットに接続されていることが好ましい。
【0052】
例えば、図3図5に示すように、第1受け部10の内面13と第2受け部20の内面23の部分で突出部110を受けることが可能である。
【0053】
吊り上げ治具1を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属等があげられる。
【0054】
ここまで、本発明の実施の形態に係る吊り上げ治具1について説明した。次に、図1図6を参照して、搬送治具搬送システムについて説明する。
【0055】
本発明の搬送治具搬送システムの一実施態様は、上記吊り上げ治具1と、第1受け部10が受ける第1突出部110aおよび第2受け部20が受ける第2突出部110bを有する搬送治具100と、を有している点に要旨を有する。
【0056】
図2に示すように、搬送治具100は第1受け部が受ける第1突出部110aおよび第2受け部が受ける第2突出部110bを有する。
【0057】
吊り上げ治具1が有している第1受け部10と第2受け部20が、搬送治具100が有する第1突出部110aおよび第2突出部110bを受けることによって、搬送治具100を吊り上げることができる。このとき、第1受け部10が第1突出部110aを受けたときの第1突出部110aの突出方向から第1受け部10を観察したときの第1スペース14の外形が、第2受け部20が第2突出部110bを受けたときの第2突出部110bの突出方向から第2受け部20を観察したときの第2スペース24の外形と異なっていることにより、第1受け部10において第1突出部110aが安定する領域と、第2受け部20において第2突出部110bが安定する領域が異なることになる。これにより、第1受け部10と第2受け部20の距離と、第1突出部110aと第2突出部110bの距離とにずれがある場合であっても、安定する領域が狭い方の受け部に合わせて突出部が配置されるのに伴い、安定する領域が広い方の受け部において突出部が移動することができる。これにより、搬送治具100が第1受け部10および第2受け部20に対して所定の位置で吊り上げやすくすることができるため、目的の場所に搬送治具100を載置しやすくすることができる。
【0058】
第1受け部10は第2突出部110bを受けることが可能であり、第2受け部20は第1突出部110aを受けることが可能であることが好ましい。これにより、吊り上げ治具1が搬送治具100をよりスムーズに吊り上げやすくすることができる。
【0059】
第1突出部110aおよび第2突出部110bの形状は特に限定されるものではないが、棒状、柱状、円柱状、多角柱状、またはこれらを組み合わせた形状等にすることができる。第1突出部110aおよび第2突出部110bの形状は、同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0060】
第1突出部110aおよび第2突出部110bは水平方向xに延在していることが好ましい。当該構成により、搬送治具100を吊り上げ治具1によって吊り上げたときの安定性を高めやすくすることができる。
【0061】
鉛直方向yにおける第1突出部110aの最下部111aの位置と第2突出部110bの最下部111bの位置は、異なっていてもよいが、同じ位置であることが好ましい。当該構成により、搬送治具100を吊り上げ治具1によって吊り上げたときの安定性を高めやすくすることができる。
【0062】
搬送治具100が有する第1突出部110aおよび第2突出部110bの合計の数と、吊り上げ治具1が有する第1受け部10および第2受け部20の合計の数とは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0063】
搬送治具の形状は特に限定されないが、袋状であってもよいし、図2に示すような箱状であってもよい。
【0064】
搬送治具100を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属等があげられる。
【0065】
搬送治具100に入れたり、固定したりする搬送対象物の形状は特に限定されるものではないが、例えば、袋状、立方体や直方体などの箱状のものなどがあげられる。搬送対象物の重さについても特に限定されるものではない。搬送対象物のより具体的な例としては、例えば、ハンドドライヤーや電子レンジなどの家電製品が段ボールで形成された箱で包装された家電製品包装体や、シリンジやカテーテルなどの医療用具が袋で包装された医療用具包装体などがあげられる。これらの搬送対象物が搬送治具100に入れられ、または、固定されて搬送される。
【符号の説明】
【0066】
1:吊り上げ治具
10:第1受け部
11:幅
12:所定区間
13:内面
14:第1スペース
20:第2受け部
21:幅
23:内面
24:第2スペース
40:支持部
100:搬送治具
110:突出部
110a:第1突出部
110b:第2突出部
111:最下部
112:最大幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6