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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105921
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20230725BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230725BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/34
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006955
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】志賀 一貴
(72)【発明者】
【氏名】田邉 伸哉
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC432
4C083AC621
4C083AC622
4C083AC851
4C083AD272
4C083BB55
4C083CC41
4C083DD23
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE31
(57)【要約】
【課題】トラネキサム酸を配合した場合であっても、その製剤の経時的変色を抑制することができ、外観安定性に優れ、かつ、使用感に優れた口腔用組成物を提供する。
【解決手段】 本発明に係る口腔用組成物は、(A)成分:トラネキサム酸と、(B)成分:中性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)成分:糖アルコール及び/又はグリセリンとを含有する。前記(A)成分の含有量は、0.001~4質量%であることが好ましい。また、前記(B)成分は、グリシン、イソロイシン、トリプトファン、アルギニン、アラニン、グルタミン酸、セリン、テアニン、トレオニン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:トラネキサム酸と、
(B)成分:中性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
(C)成分:糖アルコール及び/又はグリセリンとを含有する、口腔用組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の含有量は、0.001~4質量%である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記(B)成分は、グリシン、イソロイシン、トリプトファン、アルギニン、アラニン、グルタミン酸、セリン、テアニン、トレオニン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の含有量は、0.01~30質量%である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
前記(A)成分の含有量をX質量%、前記(B)成分の含有量をY質量%としたとき、0.002≦X/Y≦350の関係を満足する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
前記糖アルコールは、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、マンニトールよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
液体歯磨剤、練状歯磨剤、潤製歯磨剤、または洗口剤である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の口腔用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、歯周病に対する予防意識の向上に伴い、歯周病ケアのカテゴリーである口腔ケア製品に対するニーズが高まっている。特に、歯周病に伴う歯茎からの出血は、例えば、歯磨き後の吐出物に混在し、視覚的にも認知され易いことから、止血効果のある口腔ケア製品が求められている。
口腔用として用いることが可能な止血作用がある成分としてトラネキサム酸が知られているが、トラネキサム酸は配合組成によって経時的に安定性が低下し製剤変色が生じることがある。
【0003】
このトラネキサム酸と類似した物質であるε-アミノカプロン酸に関して、水溶性アルミニウム塩及びα-アミノ酸をε-アミノカプロン酸と共に配合することで、アルミニウム化合物との共存下で生じるε-アミノカプロン酸の不安定化を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、トラネキサム酸の特有の苦みを解決するために、酢酸l-メンチルを用いることによって、トラネキサム酸とトリクロサンとの併用によるしつこい苦味を改善する技術が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6513360号
【特許文献2】特開平04-139117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1において、トラネキサム酸に置き換えたとしても、トラネキサム酸の特有の苦みについては改善することはできない。
また、特許文献2の方法では、酢酸l-メンチル自身に刺激感があるため、使用者の嗜好に合わない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、トラネキサム酸を配合した場合であっても、その製剤の経時的変色を抑制することができ、外観安定性に優れ、かつ、使用感に優れた口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る口腔用組成物は、(A)成分:トラネキサム酸と、
(B)成分:中性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、
(C)成分:糖アルコール及び/又はグリセリンとを含有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トラネキサム酸を配合した場合であっても、その製剤の経時的変色を抑制することができ、外観安定性に優れ、かつ、使用感に優れた口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の口腔用組成物の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中における口腔用組成物は、練状歯磨剤、潤製歯磨剤、粉歯磨剤、液状歯磨剤、液体歯磨剤などの歯磨剤類、トローチ剤、錠剤、クリーム剤、軟膏剤、貼付剤、洗口剤、及びチューインガム等を含むものである。これらの中でも、本発明の口腔用組成物は、液体歯磨剤、練状歯磨剤、潤製歯磨剤、または洗口剤に適用することが好ましい。
【0010】
本発明の口腔用組成物は、(A)成分:トラネキサム酸と、(B)成分:中性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種と、(C)成分:糖アルコール及び/又はグリセリンとを含有するものである。
これら成分を含むことにより、製剤の経時的変色を抑制することができ、外観安定性に優れ、かつ、使用感に優れた口腔用組成物とすることができる。
【0011】
<(A)成分>
本発明の口腔用組成物は、(A)成分として、トラネキサム酸を含有する。
トラネキサム酸は、人工合成されたアミノ酸の一種で、アミノ基とカルボキシル基の両方を有し、酸性と塩基性の両方の性質を持つ両性化合物である。このトラネキサム酸は、従来から、止血剤・抗炎症剤として出血の予防・治療に用いられる成分である。
本発明の口腔用組成物において、(A)成分であるトラネキサム酸の含有量は、特に限定されないが、0.001~4質量%であることが好ましく、0.005~3質量%であることがより好ましく、0.01~2質量%であることがさらに好ましい。これにより、製剤の経時的変色をより効果的に抑制することができる。
【0012】
<(B)成分>
本発明の口腔用組成物は、(B)成分として、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含む。言い換えると、トラネキサム酸以外のアミノ酸及びその塩の内の少なくとも1種を含む。後述する成分(C)とともに成分(B)を含むことで、トラネキサム酸の苦みを抑制するとともに、製剤の経時的変色を抑制することができる。
【0013】
中性アミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン等の脂肪族アミノ酸、セリン、トレオニン(スレオニン)等のオキシアミノ酸(ヒドロキシアミノ酸)、システイン、メチオニン等の含硫アミノ酸、アスパラギン、グルタミン、テアニン等のアミノ酸アミド、プロリン等のイミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン等の芳香族アミノ酸が挙げられる。
酸性アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
塩基性アミノ酸としては、例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン等が挙げられる。
【0014】
これらの中でも、(B)成分として、グリシン、イソロイシン、トリプトファン、アルギニン、アラニン、グルタミン酸、セリン、テアニン、トレオニン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、及びこれらの塩よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、グリシン、イソロイシン、トリプトファン、アルギニン、アラニン、グルタミン酸、セリン、テアニン、トレオニン、バリン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニンよりなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましく、グリシン、イソロイシン、トリプトファン、アルギニン、アラニンよりなる群から選択される少なくとも1種を用いることがさらに好ましい。これにより、製剤の経時的変色をより効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明の口腔用組成物において、(B)成分の含有量は、特に限定されないが、0.01~30質量%であることが好ましく、0.03~20質量%であることがより好ましく、0.05~10質量%であることがさらに好ましい。これにより、(B)成分自体の味への影響を抑えつつ、トラネキサム酸の苦みをより効率よく抑制することができる。また、製剤の経時的変色をより効率よく抑制することができる。
また、(A)成分の含有量をX質量%、(B)成分の含有量をY質量%としたとき、0.002≦X/Y≦350の関係を満足することが好ましく、0.003≦X/Y≦100の関係を満足することがより好ましく、0.004≦X/Y≦60の関係を満足することがさらに好ましい。これにより、トラネキサム酸の苦みをさらに効率よく抑制するとともに、製剤の経時的変色をさらに効率よく抑制することができる。
【0016】
<(C)成分>
本発明の口腔用組成物は、(C)成分として、糖アルコール及び/又はグリセリンを含有する。(B)成分と共に(C)成分を含有することにより、トラネキサム酸の苦みを抑制するとともに、製剤の経時的変色を抑制することができる。
【0017】
糖アルコールとしては、例えば、トレイトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、スレイトール、グリトール、タリトール、ガラクチトール、アリトール、アルトリトール、ドルシトール、イディトール、イノシトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ツラニトール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
これらの中でも、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、マンニトールからなる群より選ばれる1種を用いることが好ましい。
【0019】
本発明の口腔用組成物において、(C)成分の含有量は、特に限定されないが、1~66質量%であることが好ましく、3~60質量%であることがより好ましく、5~40質量%であることがさらに好ましい。これにより、(C)成分自体の味への影響を抑えつつ、トラネキサム酸の苦みをより効率よく抑制することができる。また、製剤の経時的変色をより効率よく抑制することができる。
【0020】
<その他の成分>
本発明の口腔用組成物には、その剤型等に応じて、種々の成分を配合してもよい。例えば、本発明の口腔用組成物には、研磨剤、湿潤剤(グリセリン、糖アルコール以外の湿潤剤)、粘結剤、発泡剤、甘味剤、防腐剤、香料成分、薬用成分等を配合することができる。
研磨剤としては、シリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物等の歯磨用リン酸水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0021】
グリセリン、糖アルコール以外の湿潤剤としては、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられ、これらの内、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
溶剤としては、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の有機溶剤、水等が挙げられる。これら溶剤は単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
粘結剤としては、カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0023】
香料としては、l-メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナミックアルデヒド、トランス-2-ヘキセナール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油等を配合してもよい。また、上記香料成分に加え、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトン等の香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。
【0024】
賦形剤としては、例えば、ショ糖、乳糖、デンプン、ブドウ糖、結晶性セルロース、パラチノース、トレハロース、ラクチュロース、カップリングシュガー、ガムベース、アラビアガム、ゼラチン、セチルメチルセルロース、軽質無水ケイ酸、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウムなどが挙げられる。
【0025】
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0026】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、パントテン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、または、リン酸水素二ナトリウム等のこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウムなどが挙げられ、これらは、組成物のpHが適切な範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0027】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸及びその塩、サリチル酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0028】
乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアロイル乳酸ナトリウム、大豆リン脂質、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
可溶化剤としては、例えば、エステル類、ポリエチレングリコール誘導体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタンの脂肪酸エステル類、硫酸化脂肪アルコール類などが挙げられる。
【0029】
発泡剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、N-アシルグルタメート等のN-アシルアミノ酸塩、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、硬化油などが挙げられる。
油としては、抗菌成分として使用される上記精油や上記香料として使用される油以外の油、例えば、ココナッツ油、オリーブ油、ごま油、落花生油、パセリ油、パセリ種子オイル、紅花油などが挙げられる。
【0030】
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、α - オレフィンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、N-アシルグルタミン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、アルキルグリコシド類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルエタノールアマイド、ココイルサルコシン酸ナトリウム、N-ラウロイルメチルタウリンナトリウム液などが挙げられる。
【0031】
また、本発明の口腔用組成物には、トラネキサム酸のほか、更なる有効成分を配合してもよい。そのような有効成分として塩化リゾチーム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼオライト、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩類、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、イソプロピルメチルフェノール、ビサボロール、アスコルビン酸および/またはその誘導体、酢酸トコフェロール、ε-アミノカプロン酸、アルミニウムヒドロキシルアラントイン、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、ジヒドロコレステロール、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合することができる。
【0032】
また、本発明の口腔用組成物には、上記のほか、生薬抽出物を配合してもよい。
生薬抽出物としては、例えば、生薬エキスの例として、カミツレエキス、カノコソウエキス、ナツメエキス、ホップエキス、ラベンダーエキス、リンデンエキス、カリンエキス、キンギンカエキス、クマザサエキス、グミエキス、チョウジエキス、デンシチニンジンエキス、サルビアエキス、ムクロジエキス、キキョウエキス、ジオウエキス、シャクヤクエキス、サンザシエキス、トウキエキス、チャエキス、ウラジロガシエキス、オオバクエキス、シラカバエキス、ニンジンエキス、アセンヤクエキス、ウコンエキス、ローズマリーエキス等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
本発明の口腔用組成物は、常法に準じて製造することができ、その製法は特に限定されるものではない。
また、得られた口腔用組成物の組成物は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトル、エアゾール容器等に充填して使用することができる。
【0034】
以上、本発明の口腔用組成物について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の口腔用組成物には、前述した成分の他に、任意の機能を有する成分を配合することができる。
【実施例0035】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
<口腔用組成物の製造>
(実施例1~31、比較例1、2)
表1~4に示す成分を表1~4に示す含有量となるように調製し、口腔用組成物(練状歯磨剤)を常法に準じて製造した。
【0036】
<評価方法>
(変色安定性の評価)
各実施例及び各比較例の口腔用組成物を、ラミネートチューブに100g充填し、60℃で1週間保存し、口腔用組成物の変色の程度を目視により評価した。変色安定性の評価は、以下の評価基準で行った。
A:まったく変色しない
B:ほぼ変色しない
C:少し変色した
D:変色が顕著であった
【0037】
(口腔用組成物の味(使用感)評価)
10人の被験者に、各実施例及び各比較例の口腔用組成物を使用してもらい、以下の基準で評価してもらい、その平均値を用いて以下の基準に従って評価した。
・味(評価基準)
5点:苦味を感じない
4点:苦味をほとんど感じない
3点:苦味をやや感じる
2点:苦味を感じる
1点:苦味を非常に感じる
【0038】
・平均点の評価
A:平均点が4.0点以上
B:平均点が3.0点以上4.0点未満
C:平均点が2.0点以上3.0点未満
D:平均点が2.0点未満
これらの結果を表1~4に合わせて示した。
【0039】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0040】
表1~4から解るように、実施例では、変色安定性にも使用感にも優れるものであり、本発明の口腔用組成物は、製剤の経時的変色を抑制することができ、外観安定性に優れ、かつ、使用感に優れたものであった。これに対して、比較例では満足のいく結果が得られなかった。
なお、液体歯磨剤、潤製歯磨剤、洗口剤についても、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量を上記各実施例及び上記各比較例と同様の含有量の製剤を製造し、上記と同様の評価を行ったところ、同様の結果が得られた。