(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105938
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/60 20060101AFI20230725BHJP
F04D 13/06 20060101ALI20230725BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
F04D29/60 E
F04D13/06 E
F04D29/42 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006974
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 岳
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB46
3H130AC30
3H130BA95A
3H130CA21
3H130DA02Z
3H130DD03X
3H130EA02A
3H130EB01A
3H130EC02A
3H130EC03A
3H130EC17A
3H130ED01A
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制することができるポンプ装置を提供すること。
【解決手段】ポンプ装置1は、ロータ3およびステータ4を備えるモータ2と、ロータ3の一方側L1に配置されロータ3と一体に回転する樹脂製のインペラ5と、インペラ5を収容するポンプ室60を区画するケース6と、一方側L1からケース6が被せられてポンプ室60を区画するとともに、ロータ3とステータ4との間に配置される樹脂製の隔壁部材7と、ステータ4を覆うとともに隔壁部材7が一方側L1から重ねられる樹脂封止部材8と、隔壁部材7と樹脂封止部材8とを着脱可能に固定する固定機構9とを有する。ケース6および隔壁部材7は、第1の樹脂材料によって形成され、樹脂封止部材8は、第1の樹脂材料とは異なる第2の樹脂材料によって形成される。ケース6と隔壁部材7とは、溶着によって固定される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータおよび前記ロータの外周側に筒状に配置されたステータを備えるモータと、
前記ロータの回転中心軸線が延在する軸線方向の一方側に配置され、前記ロータと一体に回転する樹脂製のインペラと、
前記インペラを収容するポンプ室を区画するケースと、
前記一方側から前記ケースが被せられて前記ポンプ室を区画するとともに、前記ロータと前記ステータとの間に配置される隔壁部材と、
前記ステータを覆うとともに前記隔壁部材が前記一方側から重ねられる樹脂封止部材と、
前記隔壁部材と前記樹脂封止部材とを着脱可能に固定する固定機構とを有し、
前記ケースおよび前記隔壁部材は、第1の樹脂材料によって形成され、
前記樹脂封止部材は、前記第1の樹脂材料とは異なる第2の樹脂材料によって形成され、
前記ケースと前記隔壁部材とは、溶着によって固定されることを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
前記第1の樹脂材料は、ポリフェニレンサルファイドであり、
前記第2の樹脂材料は、ポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記固定機構は、スナップフィット構造であることを特徴とする請求項1または2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記隔壁部材は、前記ロータと前記ステータとの間に配置される円筒部と、前記円筒部の前記一方側の端部から径方向の外側に広がる鍔部と、前記円筒部の前記軸線方向の他方側の端部を塞ぐ端板部と、を備え、
前記固定機構は、前記樹脂封止部材の外周面に設けられた第1固定部と、前記鍔部から前記他方側へ延びて前記第1固定部と係合する第2固定部とを備えることを特徴とする請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記樹脂封止部材は、前記円筒部を内側に収容し前記ステータを封止する筒状の本体部を備え、
前記本体部は、前記鍔部と前記軸線方向に対向する対向面を備え、
前記対向面と前記鍔部との間には、環状の弾性部材が前記軸線方向に弾性変形した状態で配置されることを特徴とする請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記モータは、回路基板を備え、
前記樹脂封止部材は、前記本体部の前記他方側を塞ぐ底部と、前記本体部から前記底部の前記他方側へ延びる筒部とを備え、
前記回路基板は、前記筒部の内側に収容されることを特徴とする請求項5に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記第1固定部は、第1係止部と、前記第1係止部に対して周方向に離隔した第2係止部を備え、
前記第2固定部は、前記第1係止部と前記第2係止部の間に挿入される第1フック部および第2フック部を備え、
前記第1フック部と前記第2フック部のそれぞれは、前記他方側へ延びるアーム部と、前記アーム部の先端に設けられた爪部を備え、
前記第1係止部と前記第2係止部のそれぞれは、前記他方側を向く係合面を備え、
前記係合面に前記爪部が他方側から係合することを特徴とする請求項4から6の何れか一項に記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記鍔部は、前記他方側を向く第1面を備え、
前記第1フック部と前記第2フック部の少なくとも一方は、前記第1面から前記他方側へ突出する基部を備え、前記アーム部は、前記基部から前記他方側へ延びており、
前記第1係止部と前記第2係止部の少なくとも一方は、前記基部に対して前記軸線方向に対向する壁面と、前記壁面から前記一方側へ突出する凸部を備え、
前記係合面に前記爪部が前記他方側から係合する際、前記凸部は、前記基部に前記他方側から当接して前記軸線方向に潰されることを特徴とする請求項7に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記固定機構は、前記軸線の周方向に等間隔で複数設けられることを特徴とする請求項1から8のうち何れか一項に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ室を形成するケースおよび隔壁部材が互いに溶着されたポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置は、特許文献1に記載されている。特許文献1のポンプ装置は、エンジンの冷却水を循環させるために用いられる。特許文献1のポンプ装置は、ロータおよびステータを備えたモータと、ロータの一方側に配置されロータと一体に回転するインペラと、インペラを収容する樹脂製のポンプハウジングと、ステータを覆う樹脂製のモータハウジングとを備える。モータハウジングには、インペラと対向する対向面と、ロータを収容するロータ室と、ロータ室の底部である隔壁とが一体に形成されている。
【0003】
ポンプハウジングのモータハウジング側端部には、円形のポンプ側フランジが形成されている。モータハウジングのポンプハウジング側端部には、円形のモータ側フランジが形成されている。ポンプ側フランジとモータ側フランジとを溶着によって互いを接合することによって、ポンプハウジングは、モータハウジングの一方側から固定されている。このとき、モータハウジング、対向面、ロータ室および隔壁は、ポンプ室を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポンプ装置の製造時において、ポンプハウジングとモータハウジングとの溶着不良が発生する場合がある。この場合、溶着不良個所から冷却水が漏れるため、溶着不良箇所を構成する部材を廃棄して新しい部材に交換しなければならないが、特許文献1では、モータハウジングがステータと一体化されている。したがって、モータが正常であっても、モータハウジングと共にステータまでも廃棄対象となってしまう。このため、ポンプ装置の製造コストが嵩むという問題があった。
【0006】
また、ポンプ装置が循環する冷却水は高温・高圧となるため、ポンプ室を形成する部分には、耐水性の優れた樹脂を使用する必要がある。一方で、ステータを覆う樹脂は耐水性の低い安価な樹脂を用いることができるが、特許文献1の構成では、冷却水と接する対向面、ロータ室および隔壁がステータを覆う樹脂と一体化されてモータハウジングを形成しており、安価な樹脂でもよい部分(ステータを覆う部分)まで高価な耐水性の樹脂で成形されている。この結果、モータハウジングの原価が高くなるので、ポンプ装置の製造コストが嵩むという問題がある。
【0007】
以上の問題に鑑みて、本発明の課題は、製造コストを抑制することができるポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、ロータおよび前記ロータの外周側に筒状に配置されたステータを備えるモータと、前記ロータの回転中心軸線が延在する軸線方向の一方側に配置され、前記ロータと一体に回転する樹脂製のインペラと、前記インペラを収容するポンプ室を区画するケースと、前記一方側から前記ケースが被せられて前記ポンプ室を区
画するとともに、前記ロータと前記ステータとの間に配置される隔壁部材と、前記ステータを覆うとともに前記隔壁部材が前記一方側から重ねられる樹脂封止部材と、前記隔壁部材と前記樹脂封止部材とを着脱可能に固定する固定機構とを有し、前記ケースおよび前記隔壁部材は、第1の樹脂材料によって形成され、前記樹脂封止部材は、前記第1の樹脂材料とは異なる第2の樹脂材料によって形成され、前記ケースと前記隔壁部材とは、溶着によって固定されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、インペラを収容するポンプ室を区画するケースと、ケースが被せられてポンプ室を区画する隔壁部材とは、溶着によって固定される。隔壁部材と樹脂封止部材とは、着脱可能な固定機構によって固定される。したがって、ケースと隔壁部材との溶着不良が生じても、隔壁部材を樹脂封止部材から外して廃棄できるので、ステータおよび樹脂封止部材を廃棄する必要がない。これにより、ポンプ装置の製造コストを抑制することができる。
【0010】
また、ケースおよび隔壁部材は、第1の樹脂材料によって形成され、樹脂封止部材は、第1の樹脂材料とは異なる第2の樹脂材料によって形成される。したがって、ポンプ室を構成するケースおよび隔壁部材の樹脂材料を耐水性の優れた樹脂材料とし、樹脂封止部材の樹脂材料を耐水性の劣る樹脂材料とすることできるので、全ての部材を耐水性の優れた樹脂材料とした場合と比較して、ポンプ装置の製造コストを抑制することができる。
【0011】
本発明において、前記第1の樹脂材料は、ポリフェニレンサルファイドであり、前記第2の樹脂材料は、ポリブチレンテレフタレートであるものとすることができる。
【0012】
本発明において、前記固定機構は、スナップフィット構造であることが好ましい。スナップフィット構造は、樹脂部材の弾性を利用して機械的に係合させる構造であるため、隔壁部材と樹脂封止部材とを容易に着脱できるとともに、隔壁部材と樹脂封止部材とがガタつくことを抑制できる。
【0013】
本発明において、前記隔壁部材は、前記ロータと前記ステータとの間に配置される円筒部と、前記円筒部の前記一方側の端部から径方向の外側に広がる鍔部と、前記円筒部の前記軸線方向の他方側の端部を塞ぐ端板部と、を備え、前記固定機構は、前記樹脂封止部材の外周面に設けられた第1固定部と、前記鍔部から前記他方側へ延びて前記第1固定部と係合する第2固定部とを備えることが好ましい。このようすれば、軸線方向に着脱可能な固定機構を設けることが容易である。
【0014】
本発明において、前記樹脂封止部材は、前記円筒部を内側に収容し前記ステータを封止する筒状の本体部を備え、前記本体部は、前記鍔部と前記軸線方向に対向する対向面を備え、前記対向面と前記鍔部との間には、環状の弾性部材が前記軸線方向に弾性変形した状態で配置されることが好ましい。このようにすれば、弾性部材がシール部材として機能し、隔壁部材と樹脂封止部材との隙間を密封できる。したがって、防水性を高めることができる。また、環状部と鍔部との間において、弾性部材の付勢力が軸線方向に働くので、固定機構によって隔壁部材と樹脂封止部材とを軸線方向に着脱可能に固定した際、隔壁部材と樹脂封止部材とがガタつくことを抑制することができる。
【0015】
本発明において、前記モータは、回路基板を備え、前記樹脂封止部材は、前記本体部の前記他方側を塞ぐ底部と、前記本体部から前記底部の前記他方側へ延びる筒部とを備え、前記回路基板は、前記筒部の内側に収容されることが好ましい。このようにすれば、ポンプ室等から漏れた液体が弾性部材を通過して本体部の内側まで侵入しても、本体部の内側は、底部によって、筒部の内部と隔てられているので、液体が回路基板に到達することを抑制することができる。
【0016】
本発明において、前記第1固定部は、第1係止部と、前記第1係止部に対して周方向に離隔した第2係止部を備え、前記第2固定部は、前記第1係止部と前記第2係止部の間に挿入される第1フック部および第2フック部を備え、前記第1フック部と前記第2フック部のそれぞれは、前記他方側へ延びるアーム部と、前記アーム部の先端に設けられた爪部を備え、前記第1係止部と前記第2係止部のそれぞれは、前記他方側を向く係合面を備え、前記係合面に前記爪部が他方側から係合することが好ましい。このようにすると、スナップフィット構造の固定機構を構成することができ、アーム部を撓ませることによって爪部と係合面とを機械的に係合させることができる。したがって、容易に着脱可能で、且つ、ガタつきの少ない固定機構を構成できる。
【0017】
本発明において、前記鍔部は、前記他方側を向く第1面を備え、前記第1フック部と前記第2フック部の少なくとも一方は、前記第1面から前記他方側へ突出する基部を備え、前記アーム部は、前記基部から前記他方側へ延びており、前記第1係止部と前記第2係止部の少なくとも一方は、前記基部に対して前記軸線方向に対向する壁面と、前記壁面から前記一方側へ突出する凸部を備え、前記係合面に前記爪部が前記他方側から係合する際、前記凸部は、前記基部に前記他方側から当接して前記軸線方向に潰されることが好ましい。このようにすると、第1固定部と第2固定部の寸法精度および位置精度が低くても、凸部を潰すことによって隔壁部材と樹脂封止部材との軸線方向の隙間をなくすことができるので、隔壁部材と樹脂封止部材との軸線方向のガタつきを抑制できる。
【0018】
本発明において、前記固定機構は、前記軸線の周方向に等間隔で複数設けられることが好ましい。このようにすれば、隔壁部材を樹脂封止部材に対して均等に固定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、隔壁部材と樹脂封止部材とは、着脱可能な固定機構によって固定される。よって、ケースと隔壁部材との溶着不要が生じても、隔壁部材を樹脂封止部材から外すことができるので、ステータを覆う樹脂封止部材を廃棄する必要がない。これにより、ポンプ装置の製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を適用したポンプ装置1の斜視図である。
【
図2】
図1に示すポンプ装置1を一方側から見た分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すポンプ装置1を他方側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を適用したポンプ装置の実施形態について説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は、本発明を適用したポンプ装置1の斜視図である。
図2は、
図1に示すポンプ装置1を一方側から見た分解斜視図である。
図3は、
図1に示すポンプ装置1を他方側から見た分解斜視図である。
図4は、
図1に示すポンプ装置の断面図である。以下の説明において、後述するモータにおけるロータの回転中心軸線が延在する方向を軸線方向Lとして説明する。また、軸線方向Lにおいて、一方側にはL1を付し、他方側にL2を付して説明する。また、以下の説明において、ロータの回転中心軸線を中心とする径方向および周方向を各々、単に「径方向」および「周方向」とする。
【0023】
図1~
図4に示すように、ポンプ装置1は、ロータ3およびロータ3の外周側に筒状に配置されたステータ4を備えるモータ2と、ロータ3の一方側L1に配置されロータ3と一体に回転する樹脂製のインペラ5と、インペラ5を収容するポンプ室60を区画するケース6と、を備える。また、ポンプ装置1は、一方側L1からケース6が被せられてポンプ室60を区画する隔壁部材7と、ステータ4を覆うとともに隔壁部材7が一方側L1から重ねられる樹脂封止部材8と、隔壁部材7と樹脂封止部材8とをスナップフィット構造により固定する固定機構9とを備える。ポンプ装置1は、インペラ5がロータ3と一体に回転することによりポンプ室60内の流体を移動させる。
【0024】
(モータ)
図2~
図4に示すように、モータ2は、ロータ3と、ロータ3の外周側に筒状に配置されたステータ4と、回路基板21とを備える。モータ2は、DCブラスレスモータである。ロータ3は、軸線方向Lに延びる円筒状のホルダ31と、ホルダ31の内側に固定された円筒状のラジアル軸受22と、ホルダ31の外周面に保持された円筒状の磁石23と、ラジアル軸受22を介してロータ3を回転可能に支持する支持軸24とを備える。
【0025】
ホルダ31は、樹脂製である。ホルダ31は、外周面に磁石23を保持する小径筒部32と、磁石23の一方側L1の端部と当接する円形のフランジ部33と、フランジ部33から一方側L1に突出する大径筒部34とを備える。小径筒部32の外径寸法は、大径筒部34の外径寸法より小さい。小径筒部32と大径筒部34とは、同軸に設けられている。小径筒部32は、内部にラジアル軸受22を保持する。
【0026】
磁石23は、ネオジムボンド磁石である。この磁石23は、全体が樹脂のスキン層で覆われる。磁石23の外径寸法は、フランジ部33の外径寸法と略同一である。磁石23と小径筒部32との間に接着剤を塗布することにより、磁石23と小径筒部32とは接着されている。
【0027】
支持軸24は、金属製の棒状部材である。支持軸24の中心軸線がロータ3の回転中心軸線と一致する。支持軸24の他方側L2の端部は、隔壁部材7に形成された孔部74に圧入されている。支持軸24の一方側L1の端部には、円環状のスラスト軸受25が取り付けられている。スラスト軸受25は、ラジアル軸受22の一方側L1の端部と当接する。支持軸24の一方側L1の端部は、ケース6に設けられた筒部26に保持される。筒部26は、ケース6の径方向の中央に設けられた吸入管61の内周面から他方側L2へ延びる支持部27に接続される。スラスト軸受25は、ラジアル軸受22と筒部26との間に配置される。
【0028】
ステータ4は、ステータコア41と、ステータコア41にインシュレータ42を介して巻回されたコイル43とを有する。詳細な説明を省略するが、ステータコア41は、円環状に延在する円環部と、円環部から径方向の内側へ突出する複数の突極とを備える。コイル43は、突極を覆うインシュレータ42の径方向内側の端に設けられた第1鍔部421と径方向外側の端に設けられた第2鍔部422との間に巻回される。本形態において、モータ2は3相モータであり、コイル43には、U相コイル、V相コイル、およびW相コイルが含まれている。
【0029】
回路基板21は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平面状に形成されている。回路基板21は、樹脂封止部材8の他方側L2の端部に配置され、ネジ等により樹脂封止部材8に固定される。回路基板21は、樹脂封止部材8の他方側L2の端部に固定されたカバー10によって覆われている。
【0030】
(インペラ)
インペラ5は、樹脂製である。
図2~
図4に示すように、インペラ5は、円形の第1プレート51と、第1プレート51から一方側L1に突出するとともに周方向に一定の間隔で配置された複数の羽根部52と、羽根部52の他方側L2の先端部と当接する円形の第2プレート53とを備える。第1プレート51は、ロータ3のホルダ31と一体に形成されており、ホルダ31の大径筒部34の一方側L1の端部から径方向外側へ延びている。
【0031】
(ケース)
ケース6は、樹脂製である。
図1~
図4に示すように、ケース6は、インペラ5に一方側L1で対向する対向壁64と、周方向に延在する側壁65と、側壁65の他方側L2の端部から径方向の外側に広がる鍔部66とを備える。対向壁64および側壁65は、ポンプ室60を構成する。ケース6は、軸線方向Lに沿って延在する吸入管61と、軸線方向Lに対して直交する方向に延在する吐出管62とを備える。吸入管61および吐出管62は各々、端部に吸入口61aおよび吐出口62aを備える。吐出管62は、インペラ5の径方向外側に位置する。ここで、モータ2の駆動によってロータ3と一体にインペラ5が回転中心軸線を中心に回転すると、羽根部54によってポンプ室60内の流体が回転方向に流動する。これにより、流体は、遠心力を生じて、径方向内側は低圧、径方向外側は高圧となって、ケース6の吸入口61aから吸入され、ケース6の吐出口62aから吐出される。
【0032】
(隔壁部材)
隔壁部材7は、樹脂製である。
図1~
図4に示すように、隔壁部材7は、ケース6とともにポンプ室60を区画する。後述するように、ケース6および隔壁部材7は、溶着によって固定される。そのため、ケース6および隔壁部材7は、同一の樹脂材料からなる。また、ケース6および隔壁部材7は、ポンプ室60を区画するため、耐水性および耐薬品性に優れた第1の樹脂材料からなる。より具体的には、第1の樹脂材料は、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Poly Phenylene Sulfide)である。
【0033】
隔壁部材7は、ロータ3とステータ4との間に配置される円筒部71と、円筒部71の一方側L1の端部から径方向の外側に広がる鍔部72と、円筒部71の他方側L2の端部を塞ぐ端板部73と、を備える。円筒部71は、軸線方向Lに延在する。円筒部71の内周面は、磁石23の外周面と対向する。
図2、
図3に示すように、円筒部71の外周面には、軸線方向Lに直線状に延びる複数の縦リブ71aが周方向に等間隔で並んでいる。また、端板部73の中央部分には、支持軸24の端部が圧入される孔部74が設けられている(
図4参照)。
【0034】
鍔部72の外径寸法は、ケース6の鍔部66の外径寸法と同じである。鍔部72は、他方側L2を向く環状の第1面75を備えており、第1面75には、回転中心軸線を中心に円弧状に延びるリブ76が複数設けられている。
図3に示すように、本形態では、同一円上に3本のリブ76が周方向に等間隔で配置される。周方向で隣り合うリブ76の間には、後述する固定機構9の第2固定部96が配置される。各リブ76の内周面は、隔壁部材7を一方側L1から樹脂封止部材8に重ねた際に、樹脂封止部材8の外周面81aに当接する。これにより、隔壁部材7は、樹脂封止部材8に対して、周方向に位置決めされる。
【0035】
ケース6と隔壁部材7とは、溶着によって固定される。溶着方法としては、振動溶着や超音波溶着などが採用される。本形態では、ケース6の鍔部66と隔壁部材7の鍔部72との間には、ケース6と隔壁部材7とを接合する溶着部11が設けられる。ケース6の鍔部66は、他方側L2に突出する環状の溶着用凸部661を備える。隔壁部材7の鍔部72は、溶着用凸部661に他方側L2から対向する環状の溶着用凹部721を備える。溶着用凹部721は、鍔部72の外周縁から一方側L1に突出する環状凸部722の先端面
において一方側L1に開口する。ケース6の鍔部66と隔壁部材7の環状凸部722とを軸線方向Lに当接させ、溶着用凸部661と溶着用凹部721とを嵌合させた状態で、振動溶着もしくは超音波溶着によって溶着用凸部661と溶着用凹部721を溶着することにより、環状の溶着部11が形成される。なお、ケース6の鍔部66に一方側L1に凹んだ溶着用凹部を設け、隔壁部材7の鍔部72に一方側L1に突出する溶着用凸部を設けた構成を採用してもよい。
【0036】
(樹脂封止部材)
樹脂封止部材8は、樹脂製である。
図4に示すように、樹脂封止部材8は、ポンプ室60を構成しないので、隔壁部材7およびケース6を構成する第1の樹脂材料とは異なる第2の樹脂材料によって形成される。第2の樹脂材料は、第1の樹脂材料より耐水性および耐薬品性が劣る樹脂材料が選択される。より具体的には、第2の樹脂材料は、ポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene terephthalate)である。ポリブチレンテレフタレートは、ポリフェニレンサルファイドより耐水性および耐薬品性が劣る分、安価である。樹脂封止部材8は、ステータ4をインサート成形することによって形成されている。
【0037】
図1~
図4に示すように、樹脂封止部材8は、ステータ4を封止する円筒状の本体部81を備える。本体部81の外周面81aは円筒形状である。本体部81の外径寸法は、隔壁部材7の鍔部72の外径寸法より小さい。本体部81は、円筒部71を囲む筒状の内周面82と、内周面82の一方側L1から径方向外側に広がるとともに、鍔部72の第1面75と軸線方向Lに対向する対向面83を備える。内周面82は、隔壁部材7の円筒部71の外周面に接している。
図2に示すように、内周面82には、円筒部71の縦リブ71aに対応する位置に、軸線方向Lに直線状に延びる縦溝82aが設けられている。したがって、隔壁部材7が一方側L1から樹脂封止部材8に重ねられた際、円筒部71の縦リブ71aは内周面82の縦溝82aに嵌め込まれる。これにより、隔壁部材7は、樹脂封止部材8に対して、周方向に位置決めされる。
【0038】
樹脂封止部材8は、筒状の本体部81の他方側L2を塞ぐ底部84と、本体部81から他方側L2へ延びる円筒状の筒部85を備える。筒部85は、底部84よりも他方側L2まで延びており、他方側L2に開口する。筒部85の内部には、回路基板21が収容される。回路基板21は、ネジ等によって筒部85の内部に固定される。底部84は、本体部81の内側の空間を回路基板21が配置される空間から区画し、隔壁部材7の端板部73を他方側L2から覆う。回路基板21は、筒部85の他方側の端部に固定されるカバー10と底部84との間に収容される。
【0039】
(固定機構)
図5は、固定機構9の斜視図である。
図6は、固定機構9の分解斜視図である。固定機構9は、スナップフィット構造である。
図5および
図6に示すように、固定機構9は、樹脂封止部材8の外周面81aから径方向に突出する第1固定部91と、鍔部72の第1面75から他方側L2に延びる第2固定部96を備える。固定機構9は、周方向に等間隔で複数箇所に設けられている。
図2および
図3に示すように、本形態では、固定機構9は、周方向に等間隔で3つ設けられている。
【0040】
図5および
図6に示すように、第1固定部91は、第1係止部91aと、第1係止部91aに対して周方向に離れた第2係止部91bとを備える。第1係止部91aと第2係止部91bとは、軸線方向Lに沿って延びる直線に対して線対称の形状を備える。第1係止部91aおよび第2係止部91bは、それぞれ、他方側L2を向く係合面92と、一方側L1を向く壁面93と、壁面93の端部から他方側L2に向かって外側に傾斜する傾斜面94と、係合面92と傾斜面94と接続して軸線方向Lに延在する案内面94aとを備え
る。第1係止部91aの傾斜面94と第2係止部91bの傾斜面94は周方向に対向する。また、第1係止部91aおよび第2係止部91bは、壁面93から一方側L1に突出する凸部95を備える。
【0041】
図5および
図6に示すように、第2固定部96は、第1係止部91aに係合する第1フック部96aと、第2係止部91bに係合する第2フック部96bとを備える。第1フック部96aと第2フック部96bとは、軸線方向Lに沿って延びる直線に対して線対称の形状を備える。第1フック部96aおよび第2フック部96bは、鍔部72の第1面75から突出し他方側L2を向く当接面98aを有する基部98と、基部98の当接面98aから他方側L2に延びるアーム部99と、アーム部99の先端に設けられた爪部97とを備える。
【0042】
隔壁部材7を樹脂封止部材8に固定する際、隔壁部材7が一方側L1から樹脂封止部材8に重ねられると、第1フック部96aおよび第2フック部96bは、第1係止部91aと第2係止部91bとの間に一方側L1から挿入される。第1フック部96aおよび第2フック部96bは、第1係止部91aと第2係止部91bとの間を通過するときに爪部97の先端が傾斜面94に沿って移動し、アーム部99が周方向に弾性変形する。爪部97が第1係止部91aと第2係止部91bの間を通りぬけると、アーム部99が元の形状に復帰して爪部97が係合面92に他方側L2から係合する。これにより、隔壁部材7と樹脂封止部材8とは、固定機構9によって軸線方向Lに固定される。
【0043】
第1係止部91aと第2係止部91bの壁面93から突出する凸部95は、第1フック部96aおよび第2フック部96bが第1係止部91aと第2係止部91bとの間を通り抜けるまでの間に、基部98の当接面98aに当接し、軸線方向Lに潰される潰し部95aを備える。これにより、第1係止部91aと第2係止部91bは、それぞれ、爪部97と当接面98aとの間に隙間なく挟まれる。よって、固定機構9は、第1固定部91と第2固定部96とが軸線方向Lに相対移動することが規制される。
【0044】
ここで、樹脂封止部材8の対向面83と、対向面83に一方側L1から重ねられる隔壁部材7の第1面75との間には、環状の弾性部材12が配置される。弾性部材12は、Oリング120である。Oリング120は、対向面83に設けられた環状の溝部83aに配置され、第1面75に当接する。隔壁部材7と樹脂封止部材8とが固定機構9によって固定された際、Oリング120は、軸線方向Lに弾性変形した状態で、対向面83と第1面75とに密着している。
【0045】
次に、隔壁部材7を樹脂封止部材8から外す際、第1フック部96aおよび第2フック部96bの爪部97が係合面92から外れるように、アーム部99を周方向に弾性変形させて爪部97を周方向に移動させ、第1フック部96aと第2フック部96bを周方向に当接させる。これにより、第1係止部91aの案内面94aと第2係止部91bの案内面94aの間を第1フック部96aと第2フック部96bが通過できるようになる。したがって、隔壁部材7を樹脂封止部材8に対して一方側L1に移動させれば、固定機構9は、第1固定部91と第2固定部96の係合が解除されるので、隔壁部材7を樹脂封止部材8から外すことができる。
【0046】
(作用効果)
本形態のポンプ装置1は、インペラ5を収容するポンプ室60を区画するケース6と、ケース6が被せられてポンプ室60を区画する隔壁部材7とが溶着によって固定される。また、隔壁部材7と樹脂封止部材8とが固定機構9によって軸線方向Lに着脱可能に固定される。したがって、ケース6と隔壁部材7との溶着不良が生じても、隔壁部材7を樹脂封止部材8から外すことができるので、ステータ4を覆う樹脂封止部材8を廃棄する必要
がない。これにより、ポンプ装置1の製造コストを抑制することができる。
【0047】
また、ケース6および隔壁部材7は、第1の樹脂材料によって形成され、樹脂封止部材8は、第1の樹脂材料とは異なる第2の樹脂材料によって形成される。より具体的には、ケース6および隔壁部材7は、ポリフェニレンサルファイドによって形成され、樹脂封止部材8は、ポリブチレンテレフタレートによって形成される。ここで、ポリブチレンテレフタレートは、ポリフェニレンサルファイドより耐水性および耐薬品性が劣る分、安価である。したがって、樹脂封止部材を第1の樹脂材料であるポリフェニレンサルファイドによって形成した場合と比較して、ポンプ装置1の製造コストを抑制することができる。なお、第1の樹脂材料は、ポリフェニレンサルファイドに限定されない。第2の樹脂材料は、ポリブチレンテレフタレートに限定されない。
【0048】
本形態のポンプ装置1では、隔壁部材7は、ロータ3とステータ4との間に配置される円筒部71と、円筒部71の一方側L1の端部から径方向の外側に広がる鍔部72と、円筒部71の他方側L2の端部を塞ぐ端板部73と、を備える。また、固定機構9は、樹脂封止部材8の外周面81aに設けられた第1固定部91と、鍔部72から他方側L2へ延びて第1固定部91と係合する第2固定部96とを備える。よって、樹脂封止部材8に設けられた第1固定部91と隔壁部材7に設けられた第2固定部96とで軸線方向Lに着脱可能な固定機構9を構成できる。
【0049】
本形態のポンプ装置1では、樹脂封止部材8は、円筒部71を内側に収容しステータ4を封止する筒状の本体部81を備え、本体部81は、鍔部72と軸線方向Lに対向する環状の対向面83を備える。また、対向面83と鍔部72の第1面75との間には、環状の弾性部材12が弾性変形した状態で配置される。したがって、対向面83と鍔部72との間において、弾性部材12の弾性復帰力が軸線方向Lに働くので、固定機構9によって隔壁部材7と樹脂封止部材8とを固定した際、隔壁部材7と樹脂封止部材8とがガタつくことを抑制することができる。
【0050】
本形態のポンプ装置1では、モータ2は、ステータ4のコイル43に接続される回路基板21を備える。樹脂封止部材8は、本体部81の他方側L2を塞ぐ底部84と、本体部81から他方側L2へ延びる筒部85とを備えており、回路基板21は、筒部85の内側に収容される。したがって、ポンプ室60等から漏れた液体が弾性部材12を通過して内周面82まで侵入しても、本体部81の内側は、底部84によって、筒部85の内部と隔てられているので、液体が回路基板21に到達することを抑制することができる。
【0051】
本形態の固定機構9において、第1固定部91は、第1係止部91aと、第1係止部91aに対して周方向に離隔した第2係止部91bを備える。第2固定部96は、第1係止部91aと第2係止部91bの間に挿入される第1フック部96aおよび第2フック部96bを備える。第1フック部96aと第2フック部96bのそれぞれは、他方側L2へ延びるアーム部99と、アーム部99の先端に設けられた爪部97を備える。第1係止部91aと第2係止部91bのそれぞれは、他方側L2を向く係合面92を備え、係合面92に爪部97が他方側L2から係合する。このような構成により、スナップフィット構造の固定機構9を構成することができ、アーム部99を撓ませることによって爪部97と係合面92とを機械的に係合させることができる。したがって、容易に着脱可能で、且つ、ガタつきの少ない固定機構9を構成できる。
【0052】
本形態の固定機構9において、鍔部72は、他方側L2を向く第1面75を備える。第1フック部96aと第2フック部96bのそれぞれは、第1面75から他方側L2へ突出する基部98を備え、アーム部99は、基部98から他方側L2へ延びている。第1係止部91aと第2係止部91bのそれぞれは、基部98に対して軸線方向Lに対向する壁面
93と、壁面93から一方側L1へ突出する凸部95を備える。係合面92に爪部97が他方側L2から係合する際、凸部95は基部98に他方側L2から当接して軸線方向Lに潰されるので、第1固定部91と第2固定部96の寸法精度および位置精度が低くても、凸部95を潰すことによって隔壁部材7と樹脂封止部材8との軸線方向Lの隙間をなくすことができる。したがって、隔壁部材7と樹脂封止部材8との軸線方向Lのガタつきを抑制できる。
【0053】
本形態のポンプ装置1では、固定機構9は、軸線の周方向に等間隔で3つ設けられる。したがって、隔壁部材7を樹脂封止部材8に対して均等に固定することができる。
【0054】
(変形例)
(1)上記形態では、第1係止部91aと第2係止部91bのそれぞれが凸部95を備えているが、第1係止部91aと第2係止部91bの一方のみが基部98と軸線方向Lに対向する壁面93から一方側L1へ突出する凸部95を備えている構成とすることができる。
【0055】
(2)上記形態では、第1固定部91(第1係止部91aおよび第2係止部91b)は、樹脂封止部材8の外周面81aから径方向に突出する突出部であるが、樹脂封止部材8の外周面81aに第2固定部96が一方側L1から挿入される凹部を形成し、凹部の内面に第1固定部91を設けた構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0056】
1…ポンプ装置、2…モータ、2…前記第、3…ロータ、4…ステータ、5…インペラ、6…ケース、7…隔壁部材、8…樹脂封止部材、9…固定機構、10…カバー、11…溶着部、12…弾性部材、21…回路基板、22…ラジアル軸受、23…磁石、24…支持軸、25…スラスト軸受、26…筒部、27…支持部、31…ホルダ、32…小径筒部、33…当接部、34…大径筒部、41…ステータコア、42…インシュレータ、43…コイル、51…第1プレート、52…羽根部、53…第2プレート、54…羽根部、60…ポンプ室、61…吸入管、61a…吸入口、62…吐出管、62a…吐出口、64…対向壁、65…側壁、66…鍔部、71…円筒部、71a…縦リブ、72…鍔部、73…端板部、74…孔部、75…第1面、76…リブ、81a…外周面、81…本体部、82…内周面、82a…縦溝、83…対向面、83a…溝部、84…底部、85…筒部、91…第1固定部、91a…第1係止部、91b…第2係止部、92…係合面、93…壁面、94…傾斜面、94a…案内面、95…凸部、95a…潰し部、96…第2固定部、96a…第1フック部、96b…第2フック部、97…爪部、98…基部、98a…当接面、99…アーム部、120…Oリング、421…第1鍔部、422…第2鍔部、661…溶着用凸部、721…溶着用凹部、722…環状凸部、L…軸線方向、L1…一方側、L2…他方側