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特開2023-105939検体容器保管容器、および検体保管キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105939
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】検体容器保管容器、および検体保管キット
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/42 20060101AFI20230725BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G01N1/42
G01N1/10 N
G01N1/10 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006976
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】521381093
【氏名又は名称】武井 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】武井 克博
(72)【発明者】
【氏名】谷内 貴
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA29
2G052AD26
2G052AD46
2G052DA27
2G052EB13
(57)【要約】
【課題】検体を低温状態で保管するとともに、容易に運搬可能な検体容器保管容器等を提供する。
【解決手段】
採取された検体を収容した検体容器を保管する検体容器保管容器であって、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材が封入されたベース側蓄冷材容器2と、前記ベース側蓄冷材容器に対向して配置され、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材が封入された蓋側蓄冷材容器3と、を備え、ベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とが対向して配置される対向姿勢となるベース側蓄冷材容器2において蓋側蓄冷材容器3に対向するベース側対向面2aには、蓋側蓄冷材容器3から離れる方向に窪むとともに蓋側蓄冷材容器3との間に検体容器110を配置する検体容器配置空間Sを形成するベース側凹部21が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取された検体を収容した検体容器を保管する検体容器保管容器であって、
冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材が封入されたベース側蓄冷材容器と、
前記ベース側蓄冷材容器に対向して配置される蓋体と、
を備え、
前記ベース側蓄冷材容器と前記蓋体とが対向して配置される対向姿勢となる前記ベース側蓄冷材容器において前記蓋体に対向するベース側対向面には、該蓋体から離れる方向に窪むとともに該記蓋体との間に前記検体容器を配置する検体容器配置空間を形成するベース側凹部が設けられている検体容器保管容器。
【請求項2】
前記ベース側凹部の内面は、前記検体容器の外面に対応した形状をなしている請求項1に記載の検体容器保管容器。
【請求項3】
前記蓋体は、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材が封入された蓋側蓄冷材容器である請求項1または2に記載の検体容器保管容器。
【請求項4】
前記対向姿勢において、前記ベース側対向面に対向する前記蓋側蓄冷材容器の蓋側対向面には、前記ベース側対向面から離れる方向に窪むとともに前記ベース側凹部との間に前記検体容器配置空間を形成する蓋側凹部が設けられている請求項3に記載の検体容器保管容器。
【請求項5】
前記蓋側凹部の内面は、前記検体容器の外面に対応した形状をなしている請求項4に記載の検体容器保管容器。
【請求項6】
前記ベース側凹部の深さ方向の寸法は、前記検体容器が前記検体容器配置空間に配置された収容状態において、前記検体容器の前記深さ方向の幅寸法よりも小さい請求項4または5に記載の検体容器保管容器。
【請求項7】
前記ベース側凹部は、前記ベース側対向面のみに開口している請求項1から6のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項8】
前記ベース側凹部は、前記ベース側対向面のみに開口し、
前記蓋側凹部は、前記蓋側対向面のみに開口している請求項4から6のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項9】
前記ベース側蓄冷材容器および前記蓋体のそれぞれには、該ベース側蓄冷材容器と該蓋体とが対向する対向方向に交差する交差方向を向くスライド規制面が設けられ、
前記ベース側蓄冷材容器における前記スライド規制面と、前記蓋体における前記スライド規制面とは、前記対向姿勢において前記交差方向に対向する請求項1から8のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項10】
前記スライド規制面として、前記交差方向のうちの第一方向を向く面と、前記交差方向のうちの前記第一方向に直交する第二方向を向く面とが設けられている請求項9に記載の検体容器保管容器。
【請求項11】
前記ベース側蓄冷材容器における前記スライド規制面は、前記交差方向に互いに反対側を向くように対をなして設けられ、
前記蓋体における前記スライド規制面は、前記交差方向に互いに反対側を向くように対をなして設けられている請求項9また10に記載の検体容器保管容器。
【請求項12】
前記ベース側対向面、および、前記対向姿勢となる前記蓋体において前記ベース側対向面に対向する蓋側対向面のうちの一方には、前記対向姿勢において前記ベース側凹部の周囲に配置され、前記対向方向に突出するとともに前記スライド規制面を形成する係合凸部が設けられ、
前記ベース側対向面および前記蓋側対向面のうちの他方には、前記係合凸部に係合可能な形状をなすとともに前記スライド規制面を形成する係合凹部が設けられている請求項9から11のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項13】
前記ベース側対向面、および、前記対向姿勢となる前記蓋体において前記ベース側対向面に対向する蓋側対向面は同一形状をなし、
前記ベース側対向面および前記蓋側対向面には、前記対向姿勢において前記ベース側凹部の周囲に配置され、前記ベース側対向面と前記蓋側対向面とが対向する対向方向に突出するとともに前記スライド規制面を形成する係合凸部、および前記対向方向に窪んで前記係合凸部に係合可能な形状をなすとともに前記スライド規制面を形成する前記係合凹部が設けられ、
前記ベース側対向面と前記蓋側対向面とをそれぞれ正面視した際に、前記係合凸部の前記ベース側対向面における配置位置と、前記係合凸部の前記蓋側対向面における配置位置とは同一であり、かつ、前記係合凹部の前記ベース側対向面における配置位置と、前記係合凹部の前記蓋側対向面における配置位置とは同一である請求項9から12のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項14】
前記蓋体は、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材が封入される蓋側蓄冷材容器であり、
前記ベース側蓄冷材容器および前記蓋側蓄冷材容器には、上方に開口して前記蓄冷材を導入可能とする蓄冷材導入口がそれぞれ設けられ、
前記ベース側対向面および前記蓋側対向面は矩形状または略矩形状をなし、
前記ベース側対向面および前記蓋側対向面のそれぞれにおける四つの角には、前記係合凸部または前記係合凹部が一つずつ設けられ、
前記係合凸部および前記係合凹部のそれぞれは、前記ベース側対向面および前記蓋側対向面のそれぞれにおいて隣り合う二つの前記角に対をなして設けられている請求項13に記載の検体容器保管容器。
【請求項15】
前記蓋体は、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材が封入される蓋側蓄冷材容器であり、
前記ベース側対向面および前記蓋側対向面は矩形状または略矩形状をなし、
前記ベース側対向面および前記蓋側対向面のそれぞれにおける四つの角には、前記係合凸部または前記係合凹部が一つずつ設けられ、
前記係合凸部および前記係合凹部のそれぞれは、前記ベース側対向面および前記蓋側対向面のそれぞれにおいて対角線上に位置する二つの前記角に対をなして設けられている請求項13に記載の検体容器保管容器。
【請求項16】
前記ベース側蓄冷材容器および前記蓋体のそれぞれには、前記スライド規制面を形成するとともに、前記交差方向に延びるリブが設けられている請求項9から15のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項17】
前記ベース側蓄冷材容器および前記蓋体のそれぞれには、該ベース側蓄冷材容器と該蓋体とが対向する対向方向を向く対向移動規制面が設けられ、
前記ベース側蓄冷材容器における前記対向移動規制面と、前記蓋体における前記対向移動規制面とは、前記対向姿勢において前記対向方向に対向する請求項1から16のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の検体容器保管容器と、
前記検体容器保管容器に収容された前記検体容器と、
を備える検体保管キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を保管するための検体容器保管容器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人体や動物から採取した尿、便、血液、唾液等の検体を分析した検査結果を、病気の診断や健康状態の確認に用いている。例えば検体が尿である場合には、特許文献1に示すような採尿用容器に尿を自身で採取し、病院や検査機関へ提出するといった手法が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-49202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら検査機関が遠方にある場合、検体を採取してから検査が行われるまでに時間を要してしまう。この結果、検体中に菌が繁殖し検査の精度が低下しまうおそれがある。また仮に検査機関が遠方にあっても病院内等で検体の採取を行うのであれば、採取された検体を低温状態で保存する保冷装置(冷蔵庫、冷凍庫等)を使用できるため検体中の菌の繁殖を抑えることが可能である。しかしながら自宅等で検体を採取するような場合には、採取された検体を低温状態に保ったまま検査機関まで運搬することは難しいのが現状である。
【0005】
そこで本発明は、検体を低温状態で保管しつつ、運搬が容易な検体容器保管容器、および検体保管キットを提供する。
【0006】
本発明の一態様に係る検体容器保管容器は、採取された検体を収容した検体容器を保管する検体容器保管容器であって、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材が封入されたベース側蓄冷材容器と、前記ベース側蓄冷材容器に対向して配置される蓋体と、を備え、前記ベース側蓄冷材容器と前記蓋体とが対向して配置される対向姿勢となる前記ベース側蓄冷材容器おいて前記蓋体に対向するベース側対向面には、該蓋体から離れる方向に窪むとともに該記蓋体との間に前記検体容器を配置する検体容器配置空間を形成するベース側凹部が設けられている。
【0007】
上記検体容器保管容器では、前記ベース側凹部の内面は、前記検体容器の外面に対応した形状をなしていてもよい。
【0008】
上記検体容器保管容器では、前記蓋体は、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材が封入された蓋側蓄冷材容器であってもよい。
【0009】
上記検体容器保管容器では、前記対向姿勢において、前記ベース側対向面に対向する前記蓋側蓄冷材容器の蓋側対向面には、前記ベース側対向面から離れる方向に窪むとともに前記ベース側凹部との間に前記検体容器配置空間を形成する蓋側凹部が設けられていてもよい。
【0010】
上記検体容器保管容器では、前記蓋側凹部の内面は、前記検体容器の外面に対応した形状をなしていてもよい。
【0011】
上記検体容器保管容器では、前記ベース側凹部の深さ方向の寸法は、前記検体容器が前記検体容器配置空間に配置された収容状態において、前記検体容器の前記深さ方向の幅寸法よりも小さくなっていてもよい。
【0012】
上記検体容器保管容器では、前記ベース側凹部は、前記ベース側対向面のみに開口していてもよい。
【0013】
上記検体容器保管容器では、前記ベース側凹部は、前記ベース側対向面のみに開口し、
前記蓋側凹部は、前記蓋側対向面のみに開口している
【0014】
上記検体容器保管容器では、前記ベース側蓄冷材容器および前記蓋体のそれぞれには、該ベース側蓄冷材容器と該蓋体とが対向する対向方向に交差する交差方向を向くスライド規制面が設けられ、前記ベース側蓄冷材容器における前記スライド規制面と、前記蓋体における前記スライド規制面とは、前記対向姿勢において前記交差方向に対向してもよい。
【0015】
上記検体容器保管容器では、前記スライド規制面として、前記交差方向のうちの第一方向を向く面と、前記交差方向のうちの前記第一方向に直交する第二方向を向く面とが設けられていてもよい。
【0016】
上記検体容器保管容器では、前記ベース側蓄冷材容器における前記スライド規制面は、前記交差方向に互いに反対側を向くように対をなして設けられ、前記蓋体における前記スライド規制面は、前記交差方向に互いに反対側を向くように対をなして設けられていてもよい。
【0017】
上記検体容器保管容器では、前記ベース側対向面、および、前記対向姿勢となる前記蓋体において前記ベース側対向面に対向する蓋側対向面のうちの一方には、前記対向姿勢において前記ベース側凹部の周囲に配置され、前記対向方向に突出するとともに前記スライド規制面を形成する係合凸部が設けられ、
前記ベース側対向面および前記蓋側対向面のうちの他方には、前記係合凸部に係合可能な形状をなすとともに前記スライド規制面を形成する係合凹部が設けられていてもよい。
【0018】
上記検体容器保管容器では、前記ベース側対向面、および、前記対向姿勢となる前記蓋体において前記ベース側対向面に対向する蓋側対向面は同一形状をなし、前記ベース側対向面および前記蓋側対向面には、前記対向姿勢において前記ベース側凹部の周囲に配置され、前記ベース側対向面と前記蓋側対向面とが対向する対向方向に突出するとともに前記スライド規制面を形成する係合凸部、および前記対向方向に窪んで前記係合凸部に係合可能な形状をなすとともに前記スライド規制面を形成する前記係合凹部が設けられ、
前記ベース側対向面と前記蓋側対向面とをそれぞれ正面視した際に、前記係合凸部の前記ベース側対向面における配置位置と、前記係合凸部の前記蓋側対向面における配置位置とは同一であり、かつ、前記係合凹部の前記ベース側対向面における配置位置と、前記係合凹部の前記蓋側対向面における配置位置とは同一であってもよい。
【0019】
上記検体容器保管容器では、前記蓋体は、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材が封入される蓋側蓄冷材容器であり、前記ベース側蓄冷材容器および前記蓋側蓄冷材容器には、上方に開口して前記蓄冷材を導入可能とする蓄冷材導入口がそれぞれ設けられ、前記ベース側対向面および前記蓋側対向面は矩形状または略矩形状をなし、前記ベース側対向面および前記蓋側対向面のそれぞれにおける四つの角には、前記係合凸部または前記係合凹部が一つずつ設けられ、前記係合凸部および前記係合凹部のそれぞれは、前記ベース側対向面および前記蓋側対向面のそれぞれにおいて隣り合う二つの前記角に対をなして設けられていてもよい。
【0020】
上記検体容器保管容器では、前記蓋体は、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材が封入される蓋側蓄冷材容器であり、前記ベース側対向面および前記蓋側対向面は矩形状または略矩形状をなし、前記ベース側対向面および前記蓋側対向面のそれぞれにおける四つの角には、前記係合凸部または前記係合凹部が一つずつ設けられ、前記係合凸部および前記係合凹部のそれぞれは、前記ベース側対向面および前記蓋側対向面のそれぞれにおいて対角線上に位置する二つの前記角に対をなして設けられていてもよい。
【0021】
上記検体容器保管容器では、前記ベース側蓄冷材容器および前記蓋体のそれぞれには、前記スライド規制面を形成するとともに、前記交差方向に延びるリブが設けられていてもよい。
【0022】
上記検体容器保管容器では、前記ベース側蓄冷材容器および前記蓋体のそれぞれには、該ベース側蓄冷材容器と該蓋体とが対向する対向方向を向く対向移動規制面が設けられ、前記ベース側蓄冷材容器における前記対向移動規制面と、前記蓋体における前記対向移動規制面とは、前記対向姿勢において前記対向方向に対向してもよい。
【0023】
本発明の一態様に係る検体保管キットは、上記の検体容器保管容器と、前記検体容器保管容器に収容された前記検体容器と、を備える。
【発明の効果】
【0024】
上記の検体容器保管容器等によれば、検体を低温状態で保管しつつ、容易に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る検体保管キットを示す全体斜視図であって、蓄冷材容器同士を対向方向に離れた位置に配置した状態を示す図である。
図2】上記検体保管キットを示す全体側面図であって、蓄冷材容器同士を対向方向に接触させて対向姿勢となった状態を示す図である。
図3】上記検体保管キットの外ケースを示す正面図である。
図4】上記検体保管キットの蓋側蓄冷材容器を蓋側対向面から見た正面図である。
図5】上記実施形態の第一変形例に係る検体保管キットのベース側蓄冷材容器または蓋側蓄冷材容器を、ベース側対向面または蓋側対向面から見た正面図である。
図6】上記実施形態の第二変形例に係る検体保管キットを示す側面図である。
図7】上記実施形態の第三変形例に係る検体保管キットを示す側面図である。
図8】上記実施形態の第四変形例に係る検体保管キットを示す側面図である。
図9】上記実施形態の第五変形例に係る検体保管キットのベース側蓄冷材容器または蓋側蓄冷材容器を、ベース側対向面または蓋側対向面から見た正面図である。
図10】上記実施形態の第六変形例に係る検体保管キットのベース側蓄冷材容器および蓋側蓄冷材容器を示す斜視図であって、蓄冷材容器同士を対向方向に離れた位置に配置した状態を示す図である。
図11】上記第六変形例の検体保管キットに導入口キャップを取り付ける様子を示す側面図であって、(a)は導入口キャップを取り付ける前の状態を示し、(b)は導入口キャップを取り付けた後に、蓄冷材容器同士を離間動作させた状態を示す。
図12】上記第六変形例の検体保管キットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係る検体保管キット100について図面を参照しながら詳細に説明する。
現在、微量の尿を検体として採取し、線虫を用いてがん検査を行うN-NOSE(登録商標)という新な検査手法に注目が集まっている。本実施形態の検体保管キット100は、このN-NOSE(登録商標)で検査される検体を冷却して保管するのに好適である。
(全体構成)
図1および図2に示すように検体保管キット100は、採取された検体(尿、便、血液、唾液等)を収容する検体容器110と、検体が収容された検体容器110を保持した状態で保管可能な検体容器保管容器1と、を備えている。
【0027】
(検体容器)
検体容器110は、内側に検体(不図示)を密閉して収容可能な容器である。検体容器110は被検者が自身で採取した検体を収容する簡易的な容器になっている。検体容器110は、本実施形態ではポリプロピレン等の樹脂製であるが、材質は特には限定されずアルミニウム等の金属製であってもよい。図示はしないが検体容器110には検体を採取した個人を識別するため、例えばQRコード(登録商標)等が貼り付けられている。
【0028】
また検体容器の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態の検体容器110は円筒状をなし、上部にキャップ111が設けられていることで、上部が下部に比べて大径になっている。
【0029】
(検体容器保管容器)
検体容器保管容器1は検体容器110を間に挟み込むようにして対向配置される二つの蓄冷材容器、すなわちベース側蓄冷材容器2および蓋側蓄冷材容器(蓋体)3を備えている。以下、ベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とが対向して配置され、かつベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とが接触した姿勢を対向姿勢とする。また対向姿勢においてベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とが対向する方向を対向方向とする。また図3に示すように、本実施形態の検体容器保管容器1は対向姿勢となった状態において、ベース側蓄冷材容器2および蓋側蓄冷材容器3を収容する外ケース4をさらに備えている。
【0030】
(ベース側蓄冷材容器)
図1に戻って、ベース側蓄冷材容器2は、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷材を封入する例えば樹脂製の容器であって略直方体形状をなしている。蓄冷材はいわゆる保冷剤であって、種類は特に限定されないが例えば水に高吸水性ポリマーを加えたもの等が好適である。蓄冷材は-20℃~-16℃の冷凍庫内において48時間以内で凍結するものが好ましいが、凍結しないままゲル状または液状で存在するものであってもよい。
【0031】
またベース側蓄冷材容器2の上部には蓄冷材導入口20が設けられている。蓄冷材導入口20は上方に開口し、蓄冷材を導入可能となっている。
【0032】
またベース側蓄冷材容器2には、詳しく後述する蓋側蓄冷材容器3に対して上記の対向姿勢において対向するベース側対向面2aが設けられている。ベース側対向面2aは平面状で、かつ矩形状をなしている。よってベース側対向面2aには四つの角2xが形成されている。また各々の角2xはR状をなしている。なおベース側対向面2aは完全な矩形状をなしていなくともよく、例えば全体が曲線によって形成されて完全な角が無いような略矩形状等をなしていてもよい。
【0033】
ベース側対向面2aには対向方向に窪むベース側凹部21が形成されている。ベース側凹部21の内側には検体容器110が配置される。そしてベース側凹部21の内面は、検体容器110の外面に対応した形状をなしている。よってベース側凹部21の内面は検体容器110の外面に沿った曲面状をなしており、検体容器110のキャップ111に対応するように、ベース側凹部21の上部は下部に比べて深さ方向(対向方向)の寸法が大きくなっている。
【0034】
さらにベース側凹部21の下部の深さ方向(対向方向)の寸法は、検体容器110がベース側凹部21に配置された収容状態において、検体容器110における上記の深さ方向(対向方向)の幅寸法、すなわち検体容器110の直径よりも小さくなっている。同様にベース側凹部21の上部の深さ方向(対向方向)の寸法は、検体容器110がベース側凹部21に配置された収容状態において、キャップ111における上記の深さ方向(対向方向)の幅寸法、すなわちキャップ111の直径よりも小さくなっている。よって収容状態では、検体容器110およびキャップ111の一部がベース側凹部21から対向方向に突出した状態となる。本実施形態ではベース側凹部21の深さ方向の寸法は、収容状態における検体容器110における上記幅寸法の1/2よりも大きくなっている。
【0035】
またベース側凹部21はベース側対向面2aのみに開口している。すなわちベース側凹部21内へは、対向方向からのみアクセス可能となっている。
【0036】
またベース側凹部21の周囲においてベース側対向面2aには対向方向に窪むとともに、対向方向に交差する交差方向(例えば左右方向)に延びる溝状のリブ60、および対向方向に窪む円形孔状のリブ61が設けられている。なおベース側対向面2aに対して対向方向に反対側を向く裏面2bにもリブ60が設けられ、リブ61はベース側蓄冷材容器2を対向方向に貫通してベース側対向面2aおよび裏面2bに開口している。
【0037】
そしてベース側対向面2aには、対向姿勢においてベース側凹部21の周囲に配置されて対向方向に突出する係合凸部22、および対向方向に窪む係合凹部23が設けられている。
【0038】
本実施形態では、ベース側対向面2aにおける四つの角に、係合凸部22または係合凹部23が一つずつ設けられている。そして係合凸部22および係合凹部23のそれぞれは、ベース側対向面2aにおいて隣り合う二つの角2xに対をなして設けられていることで二つずつ設けられている。具体的には、対向方向からベース側対向面2aを正面視した際に、左上および左下に係合凸部22が設けられ、右上および右下に係合凹部23が設けられている。
【0039】
(係合凸部)
係合凸部22は、ベース側対向面2aにおける角2x、すなわちベース側蓄冷材容器2の外面に滑らかに連続するように対向方向に突出している。したがって、この係合凸部22によって角2xの部分において、ベース側蓄冷材容器2における対向方向の肉厚が他の部分に比べて大きくなっている。そして各々の係合凸部22はスライド規制面22aを形成している。スライド規制面22aはベース側対向面2aに直交するようにベース側対向面2aから対向方向に立ち上がっている。
【0040】
スライド規制面22aとしては、対向方向に交差する上下方向(第一方向)を向く第一スライド規制面22xと、対向方向に交差するとともに上下方向に直交する左右方向(第二方向)を向く第二スライド規制面22yとが設けられている。ベース側対向面2aを正面視して左上の係合凸部22の第一スライド規制面22xは下方を向き、ベース側対向面2aを正面視して左下の係合凸部22の第一スライド規制面22xは上方を向いている。また、第二スライド規制面22yはベース側対向面2aを正面視して右方を向いている。本実施形態では、各々の係合凸部22において第一スライド規制面22xおよび第二スライド規制面22yは滑らかに接続されて全体として曲面状をなし、係合凸部22の外面を構成している。
【0041】
(係合凹部)
係合凹部23は、ベース側対向面2aにおける角2xに連続し、すなわちベース側蓄冷材容器2の外面に開口して対向方向に窪んでいる。したがって、この係合凹部23によって角2xの部分において、ベース側蓄冷材容器2の対向方向の肉厚が他の部分に比べて小さくなっている。そして各々の係合凹部23はスライド規制面23aを形成している。スライド規制面23aはベース側対向面2aに直交するようにベース側対向面2aから対向方向に窪んでいる。
【0042】
スライド規制面23aとしては、対向方向に交差する上下方向(第一方向)を向く第一スライド規制面23xと、対向方向に交差するとともに上下方向に直交する左右方向(第二方向)を向く第二スライド規制面23yとが設けられている。ベース側対向面2aを正面視して右上の係合凹部23の第一スライド規制面23xは上方を向き、ベース側対向面2aを正面視して右下の係合凹部23の第一スライド規制面23xは下方を向いている。また、第二スライド規制面23yはベース側対向面2aを正面視して右方を向いている。本実施形態では、各々の係合凹部23において第一スライド規制面23xおよび第二スライド規制面23yは滑らかに接続されて全体として曲面状をなし、係合凹部23の内面を構成している。
【0043】
(蓋側蓄冷材容器)
本実施形態において蓋側蓄冷材容器3は、ベース側蓄冷材容器2と同一構造、および同一形状をなしている。よって蓋側蓄冷材容器3には蓄冷材が封入され、上記対向姿勢においてベース側対向面2aに対向する蓋側対向面3aが設けられている。
【0044】
また図4に示すように蓋側対向面3aには、ベース側凹部21と同一形状をなして対向方向に窪む蓋側凹部31が形成されている。蓋側凹部31は、対向姿勢においてベース側凹部21に対して対向方向から見て完全に重なる位置において対向し、ベース側凹部21との間に検体容器110を配置する検体容器配置空間Sを形成している。また蓋側蓄冷材容器3の上部には蓄冷材導入口30が設けられている。
【0045】
蓋側対向面3aを正面視した際、蓋側対向面3aには、ベース側対向面2aにおける係合凸部22と同一の位置に係合凸部32が配置され、ベース側対向面2aにおける係合凹部23と同一の位置に係合凹部33が配置されている。すなわち、係合凸部32および係合凹部33のそれぞれは、蓋側対向面3aにおいて隣り合う二つの角3xに対をなして設けられていることで、二つずつ設けられている。
【0046】
そして上記対向姿勢において、ベース側対向面2aにおける係合凸部22が蓋側対向面3aにおける係合凹部33内に配置されてこれら係合凸部22と係合凹部33とが係合し、ベース側対向面2aにおける係合凹部23内に蓋側対向面3aにおける係合凸部32が配置されてこれら係合凹部23と係合凸部32とが係合する。
【0047】
この際、蓋側対向面3aのスライド規制面33a(第一スライド規制面33x)が図1に示すベース側対向面2aの第一スライド規制面23xに対して上下方向に対向、接触し、蓋側対向面3aのスライド規制面33a(第二スライド規制面33y)が図2に示すベース側対向面2aの第二スライド規制面23yに対して左右方向に対向、接触する。
【0048】
(外ケース)
図3に戻って外ケース4は、対向姿勢となったベース側蓄冷材容器2および蓋側蓄冷材容器3を収容可能に、袋状をなしている。すなわち外ケース4の内側には、対向姿勢となったベース側蓄冷材容器2および蓋側蓄冷材容器3と同等か、または対向姿勢となったベース側蓄冷材容器2および蓋側蓄冷材容器3よりも若干大きな容積の空間S1が形成されている。外ケース4には空間S1へのベース側蓄冷材容器2および蓋側蓄冷材容器3の出し入れを行うための開口4aが形成されている。
【0049】
またシート状の蓋5が、外ケース4と一体に外ケース4の開口4aの縁から延びるように設けられており、開口4aの位置で蓋5を折り返すことで開口4aを封止可能となっている。なお開口4aは例えばファスナー等を用いて封止可能となっていてもよく、蓋5は設けなくともよい。本実施形態において外ケース4および蓋5は、例えばアルミ蒸着樹脂フィルム(アルミ蒸着PETフィルム)によって形成されている。外ケース4は、対向姿勢となったベース側蓄冷材容器2および蓋側蓄冷材容器3を収容した収容姿勢において、対向方向から見て略矩形状をなしている。収容姿勢において外ケース4の横幅方向の寸法は300mm以下であり、縦幅方向の寸法は210mm以下であり、また対向方向の厚さ寸法は25mm以下であることが好ましい。すなわち収容姿勢において外ケース4はA4サイズに収まるとよい。
【0050】
(作用効果)
以上説明した本実施形態の検体保管キット100によれば、ベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とが対向姿勢となった状態で、検体容器110をベース側凹部21と蓋側凹部31とによって形成された検体容器配置空間Sに収容することができる。したがって検体容器110をベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とによって挟み込むようにして保持することができ、ベース側凹部21の周囲に存在するベース側蓄冷材容器2内の蓄冷材、および、蓋側凹部31の周囲に存在する蓋側蓄冷材容器3内の蓄冷材によって検体容器110の周囲を蓄冷材によって取り囲むようにして、検体容器110を冷却することができる。
【0051】
この結果、検体容器110中の検体を低温状態で保管することができ、運搬中の検体における菌の繁殖を抑えつつ容易に運搬が可能となる。よって検体の採取を自宅で行うことができ、検体を冷却した状態のまま検査機関や病院に郵送したり持ち込んだりすることができる。このため検査機関や病院から離れた地域に居住する被検者であっても検体検査を受けることが可能となり、検査の普及にもつながる。
【0052】
さらに本実施形態ではベース側凹部21の内面および蓋側凹部31の内面が検体容器110の外面に対応した形状をなしているため、検体容器配置空間Sに隙間なく、もしくは微小な隙間をあけて検体容器110を配置することができる。よって、蓄冷材と検体容器110の外面とを近接させることができ、検体容器110の保冷効果を高めることができる。また外ケース4を設けることによっても、検体容器110の保冷効果を高めることができる。
【0053】
特に収容姿勢において外ケース4の横幅方向の寸法が300mm以下であり、縦幅方向の寸法が210mm以下であり、厚さ寸法が25mm以下であれば、郵送の際にポストへの投函も可能であるため、検体容器保管容器10の運搬性をさらに向上することができる。
【0054】
さらに、ベース側対向面2aの係合凸部22と蓋側対向面3aの係合凹部33とを係合させ、ベース側対向面2aの係合凹部23と蓋側対向面3aの係合凸部32とを係合させることで、ベース側凹部21と蓋側凹部31とを対向姿勢においてちょうど対向させることができ、ベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3との間に検体容器配置空間Sを容易に形成でき、検体容器110を容易にベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3との間に挟み込むことができる。さらに係合凸部22と係合凹部33とが係合することで、係合凸部22における第一スライド規制面22xと係合凹部33の第一スライド規制面33xとが対向して接触し、係合凸部22における第二スライド規制面22yと係合凹部33の第二スライド規制面33yとが対向して接触する。この結果、ベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とが対向方向に交差する交差方向(上下方向および左右方向)に相対的にスライド移動してしまうことを回避でき、対向姿勢を維持することができ、検体容器110を確実にベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3との間に挟み込んで保持することができる。
【0055】
さらには、係合凸部22、32および係合凹部23、33を設けたことで、例えば外力によって対向方向に交差する交差方向(上下方向、左右方向)へベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とが相対的にスライド移動しようとした際には、その外力を検体容器110ではなく、係合凸部22、32のスライド規制面22a、32aおよび係合凹部23、33のスライド規制面23a、33aで受けることができる。よって外力が検体容器110に直接的に作用することを回避でき、運搬の検体容器110の損傷を回避できる。
【0056】
また係合凸部22、32は、ベース側対向面2aおよび蓋側対向面3aのそれぞれにおいて角2x、3xに設けられているため、係合凸部22、32が設けられた角2x、3xではベース側蓄冷材容器2および蓋側蓄冷材容器3の肉厚を大きくでき、これら角2x、3xの強度を向上することができる。
【0057】
そして本実施形態では、係合凸部22、32および係合凹部23、33のそれぞれは、ベース側対向面2aおよび蓋側対向面3aのそれぞれにおいて隣り合う二つの角2x、3xに配置され、かつ、係合凸部22、32および係合凹部23、33のそれぞれは、ベース側対向面2aおよび蓋側対向面3aのそれぞれにおいて、これら対向面2a、3aを正面視した際に同一の位置に配置されているため、ベース側蓄冷材容器2の上部に対して蓋側蓄冷材容器3の下部を対向させてしまうことがなくなる。すなわち、仮にベース側蓄冷材容器2の上部に対して蓋側蓄冷材容器3の下部を対向させようとしても、ベース側対向面2aの係合凸部22と、蓋側対向面3aの係合凸部32とが対向してしまい、ベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とを対向方向に接触させて対向姿勢とすることができない。したがって使用者は検体容器110を検体容器保管容器1における所定の位置に確実に収容でき、検体容器110を確実に保冷することができる。
【0058】
またベース側凹部21の深さ方向の寸法は、検体容器110が検体容器配置空間Sに配置された収容状態において検体容器110の深さ方向の幅寸法よりも小さいため、収容状態において検体容器110はベース側凹部21内と蓋側凹部31内との両方にわたって配置されることになり、ベース側蓄冷材容器2および蓋側蓄冷材容器3の両方からの冷却効果を得ることができ、保冷効果をさらに高めることができる。
【0059】
またベース側凹部21はベース側対向面2aのみに開口し、蓋側凹部31は蓋側対向面3aのみに開口しているため、対向姿勢では検体容器配置空間Sは閉塞されることになり、検体容器110の保冷効果を高めることができるとともに、検体容器保管容器1からの検体容器110の脱落を防ぐことができる。
【0060】
またベース側蓄冷材容器2および蓋側蓄冷材容器3が樹脂製や金属製であれば、繰り返し使用しても劣化しにくいため再利用が可能となる。よって検体容器保管容器1のコストを下げることが可能となり、かつ、エコフレンドリーである。またベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とが同一構造、同一形状をなしている同一品であるため、再利用する際にもベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とを分別する必要がなくなり、製造者側、使用者側ともに利便性が向上する。
【0061】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0062】
例えば図5に示すように、係合凸部22、32および係合凹部23、33のそれぞれは、ベース側対向面2aおよび蓋側対向面3aのそれぞれにおいて対角線上に位置する二つの角2x、3xに対をなして設けられてもよい。この場合、ベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とが上下双方および左右双方へ相対的にスライド移動することを規制できる。よって運搬時のベース側蓄冷材容器2と蓋側蓄冷材容器3とのズレを抑制し、検体容器110の保冷性、運搬性を向上できる。
【0063】
またベース側蓄冷材容器と蓋側蓄冷材容器とが異なる形状をなしていてもよい。この場合、例えば図6に示すように、ベース側蓄冷材容器2Aと蓋側蓄冷材容器3Aとのうちの一方に対して他方を外側から被せるようにして対向姿勢とすることができる。具体的には、ベース側対向面2aよりも蓋側対向面3aを大きく形成し、ベース側蓄冷材容器2Aの外周面に対して交差方向(上下方向および左右方向の少なくとも一方)から対向するように、蓋側蓄冷材容器3Aの蓋側対向面3Aaに対向方向に突出する凸部35を形成してもよい。この場合、ベース側蓄冷材容器2Aの外周面がベース側蓄冷材容器2Aのスライド規制面25aとなり、蓋側蓄冷材容器3Aの凸部35の側面が蓋側蓄冷材容器3Aのスライド規制面35aとなる。
【0064】
また図7に示すように、ベース側蓄冷材容器2Bと蓋側蓄冷材容器3Bとが対向方向に相対移動することを規制するように、ベース側蓄冷材容器2Bおよび蓋側蓄冷材容器3Bのそれぞれに対向移動規制面28a、38aを形成してもよい。具体的には例えばベース側対向面2Baよりも蓋側対向面3Baを大きく形成する。そしてベース側蓄冷材容器2Bでは、ベース側対向面2Baに対して対向方向に反対側を向く裏面が対向移動規制面28aとなる。また蓋側蓄冷材容器3Bには蓋側対向面3Baから対向方向に突出するように断面L字状の凸部38を形成し、かつ、この凸部38にはベース側蓄冷材容器2Bにおける上記裏面に対して対向方向に対向する対向移動規制面38aを形成する。すると蓋側蓄冷材容器3Bの凸部38がベース側蓄冷材容器2Bの裏面に引っ掛かり、対向移動規制面28aと対向移動規制面38aとが対向、接触してベース側蓄冷材容器2Bと蓋側蓄冷材容器3Bとの対向方向への離間動作を規制することができる。したがって運搬時のベース側蓄冷材容器2Bと蓋側蓄冷材容器3Bとのズレを抑制し、検体容器110の保冷性、運搬性をさらに向上できる。
【0065】
また図8に示すように、蓋側蓄冷材容器に代えて蓄冷材を封入しない例えば板状の蓋体3Cを設けてもよい。さらには蓋体3C(蓋側蓄冷材容器3、3A、3Bでもよい)には必ずしも上記の蓋側凹部31を設けなくともよい。この場合、ベース側蓄冷材容器2(2A、2B)のベース側凹部21と、蓋体3C(または蓋側蓄冷材容器3、3A、3B)の蓋側対向面3Caとの間に検体容器配置空間Sが形成され、ベース側凹部21内に検体容器110の全体が収容される。
【0066】
また、ベース側凹部21(蓋側凹部31)は、必ずしもベース側対向面2a(蓋側対向面3a)のみに開口していなくともよい。具体的には図9に示すように、ベース側凹部21D(蓋側凹部31D)は上下方向に延びてベース側蓄冷材容器2D(蓋側蓄冷材容器3D)の他の面にも開口するようにしてもよい。例えばベース側蓄冷材容器2D(蓋側蓄冷材容器3D)の下面にもベース側凹部21D(蓋側凹部31)が開口している場合、ベース側蓄冷材容器2Dと蓋側蓄冷材容器3Dとが対向姿勢となった状態においても、検体容器110を下方から検体容器配置空間Sに挿入するようにして配置することが可能である。なおこの場合、図7に示すような対向移動規制面28aをベース側蓄冷材容器2Dに設け、対向移動規制面38aを蓋側蓄冷材容器3Dに設け、対向姿勢を維持できるようにするとよい。
【0067】
また、図10に示すようにベース側蓄冷材容器2Eおよび蓋側蓄冷材容器3Eは、例えば外周面が曲面によって構成されていることで雫形状をなしていてもよい。ベース側蓄冷材容器2Eには係合凹部23Eが三つ設けられ、蓋側蓄冷材容器3Eには係合凸部32Eが三つ設けられている。そして図11および図12に示すように蓄冷材導入口20、30には導入口キャップ70が着脱可能に設けられる。導入口キャップ70はベース側封止体72と、蓋側封止体73と、これら封止体72、73同士を接続して一体化するヒンジ部74とを有している。ヒンジ部74は封止体72、73にくらべて肉薄になっており可撓性を有している。これにより、図11(b)に示すように導入口キャップ70が導入口20、30に取り付けられた状態で、ベース側蓄冷材容器2Eと蓋側蓄冷材容器3Eとを導入口20、30から離れた下端において近接離間するように動作させ、検体容器配置空間S(図10参照)へのアクセスを可能としている。
【0068】
また係合凸部と係合凹部とを嵌合するようにし、ベース側蓄冷材容器2(2A、2B、2D、2E)と蓋側蓄冷材容器3(3A、3B、3D、3E、蓋体3C)との対向方向への離間動作を規制してもよい。
【0069】
またリブ60、61(図1参照)自体を係合凸部、および係合凹部としてもよい。すなわち、リブ60、61がスライド規制面を形成していてもよい。
【0070】
また外ケース4は、発砲ポリエチレンの表面にアルミの蒸着フィルムを設けた高い断熱効果を有する保温バッグ等であってもよい。また外ケース4は必須ではなく、例えばベース側蓄冷材容器2(2A、2B、2D、2E)と蓋側蓄冷材容器3(3A、3B、3D、3E、蓋体3C)とが対向方向に離間しないよう、結束バンド等を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の検体容器保管容器等によれば、検体を低温状態で保管するとともに、運搬が容易である。
【符号の説明】
【0072】
1 検体容器保管容器
2(2A、2B、2D、2E) ベース側蓄冷材容器
2a ベース側対向面
2b 裏面
2x 角
3(3A、3B、3D、3E) 蓋側蓄冷材容器
3C 蓋体
3a 蓋側対向面
3a 蓋側蓄冷材容器
3a 蓋側対向面
3x 角
20 蓄冷材導入口
21 ベース側凹部
22 係合凸部
22a スライド規制面
22x 第一スライド規制面
22y 第二スライド規制面
23、23E 係合凹部
23a スライド規制面
23x 第一スライド規制面
23y 第二スライド規制面
25a スライド規制面
28a 対向移動規制面
30 蓄冷材導入口
31 蓋側凹部
32、32E 係合凸部
33 係合凹部
33a スライド規制面
33x 第一スライド規制面
33y 第二スライド規制面
35 凸部
35a スライド規制面
38 凸部
38a 対向移動規制面
60、61 リブ
100 検体保管キット
110 検体容器
111 キャップ
S 検体容器配置空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12