(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105958
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】結束装置
(51)【国際特許分類】
E04G 21/12 20060101AFI20230725BHJP
B21F 15/06 20060101ALI20230725BHJP
B21F 27/08 20060101ALI20230725BHJP
B65B 13/18 20060101ALI20230725BHJP
B65B 27/10 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
E04G21/12 ESW
B21F15/06
B21F27/08
B65B13/18 G
B65B27/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007024
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新藤 茂輝
(72)【発明者】
【氏名】荒井 健一
(72)【発明者】
【氏名】野田口 洋成
【テーマコード(参考)】
3E052
4E070
【Fターム(参考)】
3E052AA08
3E052BA18
3E052CA18
3E052CB03
3E052CB05
3E052CB07
3E052DB05
3E052EA10
3E052FA09
3E052HA09
3E052JA01
3E052JA02
3E052JA11
3E052KA16
3E052KA20
3E052LA04
4E070AA01
4E070AB06
4E070AC03
4E070BA02
4E070BA18
(57)【要約】
【課題】結束に関連する情報を取得して、これを利用できるようにした結束装置を提供する。
【解決手段】結束装置である結束設備機器100Aは、ワイヤで鉄筋Sを結束する鉄筋結束機1Aと、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる移動機200Aとを備え、鉄筋結束機1Aは、ワイヤで鉄筋Sを結束する動作に関連する結束関連情報を取得する情報取得部101と、情報取得部101で取得した結束関連情報を情報処理装置110に通知する情報通信部102とを備える。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤで鉄筋を結束する結束機と、
前記結束機と鉄筋の相対的な動きで、前記結束機を結束箇所に移動させる移動機とを備え、
前記結束機は、ワイヤで鉄筋を結束する動作に関連する結束関連情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部で取得した結束関連情報を情報処理装置に通知する情報通信部とを備えた
結束装置。
【請求項2】
前記情報取得部で結束動作を妨げる情報が取得されると、前記情報処理装置に報知する
請求項1に記載の結束装置。
【請求項3】
前記情報取得部で結束動作を妨げる異物検出情報が取得されると、前記情報処理装置は、異物が検出されたことを報知する
請求項1に記載の結束装置。
【請求項4】
前記情報取得部は、結束動作を妨げる異物を検出するセンサを備えた
請求項3に記載の結束装置。
【請求項5】
前記情報取得部は、鉄筋の結束箇所を撮影するカメラを備え、
前記カメラで撮影された結束箇所の画像に基づき、前記情報処理装置は前記結束機及び移動機を制御する
請求項1に記載の結束装置。
【請求項6】
前記カメラで撮影された結束動作の実行後の結束箇所の画像に基づき、前記情報処理装置は結束動作が正常に実行されたか否か判断し、結束結果に応じて報知する
請求項5に記載の結束装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は、結束結果に応じて前記結束機及び移動機を制御する
請求項6に記載の結束装置。
【請求項8】
前記カメラで撮影された結束動作の実行前の結束箇所の画像に基づき、前記情報処理装置は結束箇所の鉄筋を識別する
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の結束装置。
【請求項9】
前記移動機は、前記結束機を着脱可能に取り付ける着脱部を備え、
前記移動機は、前記移動機から取り外され、手で持って操作可能なハンドル部を備えた
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄筋をワイヤで結束する結束機を備えた結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建造物には強度を向上させるために鉄筋が使用されており、コンクリート打設時に鉄筋が所定の位置からずれないように、ワイヤで結束している。
【0003】
従来から、2本以上の鉄筋にワイヤを巻き、鉄筋に巻いたワイヤを捩じって当該2本以上の鉄筋をワイヤで結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている。
【0004】
また、手で持って使用する結束機以外に、鉄筋網製造装置として、複数台の結束機を前後2列に配置し、鉄筋を供給しながら機械を上下に動かして抜き差しし、結束する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の鉄筋網製造装置では、鉄筋の結束前または結束後あるいは結束動作中に、結束に関連する情報を取得しておらず、結束に関連する情報に基づく報知や制御が行われていなかった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、結束に関連する情報を取得して、これを利用できるようにした結束装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、ワイヤで鉄筋を結束する結束機と、結束機と鉄筋の相対的な動きで、結束機を結束箇所に移動させる移動機とを備え、結束機は、ワイヤで鉄筋を結束する動作に関連する結束関連情報を取得する情報取得部と、情報取得部で取得した結束関連情報を情報処理装置に通知する情報通信部とを備えた結束装置である。
【0009】
本発明では、鉄筋をワイヤで結束する結束動作の前または後あるいは結束動作中に、結束機の情報取得部で結束関連情報が取得される。この結束関連情報に基づき、結束に関連する情報の報知、結束機及び移動機の制御が実行される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、結束機の情報取得部で取得した結束関連情報に基づき、結束に関連する情報の報知、結束機及び移動機の制御を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本実施の形態の結束設備機器の一例を示す斜視図である。
【
図1B】本実施の形態の結束設備機器の一例を示す斜視図である。
【
図1C】本実施の形態の結束設備機器の他の例を示す斜視図である。
【
図2】本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す側面図である。
【
図4A】結束設備機器の制御機能の一例を示すブロック図である。
【
図4B】結束設備機器の制御機能の一例を示すブロック図である。
【
図4C】結束設備機器の制御機能の一例を示すブロック図である。
【
図4D】結束設備機器の制御機能の一例を示すブロック図である。
【
図5】情報取得部を備えた鉄筋結束機の一例を示す側面図である。
【
図6】情報取得部で取得した結束関連情報に基づく情報処理装置での報知例を示す説明図である。
【
図7A】情報取得部を備えた鉄筋結束機の他の例を示す斜視図である。
【
図7B】情報取得部を備えた鉄筋結束機の他の例を示す斜視図である。
【
図8】結束姿の画像認識により取得した結束箇所画像情報による動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9A】ワイヤで結束された結束箇所の一例を示す斜視図である。
【
図9B】ワイヤで結束された結束箇所の一例を示す斜視図である。
【
図9C】ワイヤで結束された結束箇所の一例を示す斜視図である。
【
図10A】結束箇所画像情報の一例を示す説明図である。
【
図10B】結束箇所画像情報の一例を示す説明図である。
【
図11】結束箇所を特定するアドレスの一例を示す説明図である。
【
図13A】結束結果情報を位置情報と関連付ける動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13B】結束結果情報を位置情報と関連付ける動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13C】結束結果情報を位置情報と関連付ける動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13D】結束結果情報を位置情報と関連付ける動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13E】結束結果情報を位置情報と関連付ける動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14A】複数の鉄筋結束機を備えた結束設備機器の一例を示す斜視図である。
【
図14B】複数の鉄筋結束機を備えた結束設備機器の一例を示す斜視図である。
【
図14C】複数の鉄筋結束機を備えた結束設備機器の一例を示す平面図である。
【
図15】結束結果情報を結束機識別情報と関連付ける動作の一例を示すフローチャートである。
【
図16A】結束方向を切り替えた結束結果の一例を示す平面図である。
【
図16B】結束方向を切り替えた結束結果の一例を示す要部平面図である。
【
図16C】結束方向を切り替えた結束結果の一例を示す要部平面図である。
【
図17】鉄筋の画像認識により取得した鉄筋識別情報による動作の一例を示すフローチャートである。
【
図18A】結束前の結束箇所画像情報の一例を示す説明図である。
【
図18B】結束前の結束箇所画像情報の一例を示す説明図である。
【
図19】ワイヤの送り量により取得した鉄筋識別情報による動作の一例を示すフローチャートである。
【
図20】入力情報により取得した鉄筋識別情報による動作の一例を示すフローチャートである。
【
図22】結束動作の工程終盤で鉄筋結束機から鉄筋を抜くタイミングを判断する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図23】鉄筋結束機を鉄筋から離れる方向に移動させてワイヤの弛みを除去する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図24A】鉄筋結束機の着脱構造の一例を示す斜視図である。
【
図24B】鉄筋結束機の着脱構造の一例を示す斜視図である。
【
図25】鉄筋結束機を単独で使用する形態の一例を示す説明図である。
【
図26A】移動機の変形例を示す本実施の形態の結束設備機器の斜視図である。
【
図26B】移動機の変形例を示す本実施の形態の結束設備機器の斜視図である。
【
図27A】ワイヤの残量に基づく結束動作の一例を示すフローチャートである。
【
図27B】ワイヤの残量に基づく結束動作の一例を示すフローチャートである。
【
図28A】ワイヤ残量を算出する動作例を示すフローチャートである。
【
図28B】ワイヤ残量を算出する動作例を示すフローチャートである。
【
図28C】ワイヤ残量を算出する動作例を示すフローチャートである。
【
図29A】本実施の形態の結束設備機器の変形例を示す斜視図である。
【
図29B】リール収容部の要部構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の結束装置の実施の形態としての結束設備機器、結束設備機器に用いられる結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
【0013】
<本実施の形態の結束設備機器の全体構成例>
図1A、
図1Bは、本実施の形態の結束設備機器の一例を示す斜視図、
図1Cは、本実施の形態の結束設備機器の他の例を示す斜視図である。
図1A、
図1Bに示す結束設備機器100Aは、鉄筋Sを結束対象物とし、交差した2本の鉄筋Sの交点を結束箇所P10として、交差した2本の鉄筋Sの交点をワイヤWで結束する鉄筋結束機1Aと、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる移動機200Aを備える。
【0014】
移動機200Aは、例えば、複数のアームが軸を介して回転可能に連結されたロボットアーム等と称す機器で構成され、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sの配設面SFに対して近づく方向及び離れる方向と、配設面SFに対して沿った方向に移動させることで、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる。
【0015】
図1Cに示す結束設備機器100Bは、ワイヤWが巻かれたリール20を収容するリール収容部21を鉄筋結束機1Aと独立させた構成で、鉄筋結束機1Aと、鉄筋結束機1Aに対応して設けられるリール収容部21と、リール収容部21に収容されたリール20からワイヤWを引き出すワイヤ引き出し機構210を備える。また、結束設備機器100Bは、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる移動機200Bを備える。
【0016】
結束設備機器100Bは、図示しない搬送機構等の他の移動機で、鉄筋Sを配設面SFに対して沿った方向に移動させることで、結束箇所P10を鉄筋結束機1Aと対向する所定の位置に移動させる。また、移動機200Bは、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sの配設面SFに対して近づく方向及び離れる方向に移動させることで、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる。
【0017】
図1A、
図1B及び
図1Cに示す鉄筋結束機1Aは、ワイヤWで鉄筋Sを結束する結束動作を妨げる障害の有無を示す情報、結束動作で鉄筋Sを結束したワイヤWの状態(結束状態とも称す)を示す情報、鉄筋Sを識別する情報、結束箇所P10の位置を識別する情報等、ワイヤWで鉄筋Sを結束する結束動作に関連する結束関連情報を取得する情報取得手段の一例としての情報取得部101を備える。また、鉄筋結束機1Aは、情報取得部101で取得した結束関連情報を、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の情報処理装置110(110a、110b)に通知する情報通信部102を備える。
【0018】
<本実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図2は、本実施の形態の鉄筋結束機の一例を示す側面図である。鉄筋結束機1Aは結束機の一例で、交差した2本の鉄筋Sの交点をワイヤWで結束する。本例では、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送る動作で、2本の鉄筋Sの交点の周囲にワイヤWを巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回したワイヤWを、矢印Rで示す逆方向に送る動作で鉄筋Sに巻き付けて切断した後、ワイヤWを捩じり、2本の鉄筋Sの交点をワイヤWで結束する。
【0019】
鉄筋結束機1Aは、上述した機能を実現するため、ワイヤWが収容されるマガジン2と、ワイヤWを正方向及び逆方向に送るワイヤ送り部3と、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWをガイドするワイヤガイド4を備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部5と、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを切断する切断部6を備える。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7と、結束部7を駆動する駆動部8を備える。
【0020】
マガジン2は収容部の一例で、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収納される。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。
【0021】
1本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、1本のワイヤWがリール20の図示しないハブ部に巻かれ、リール20が回転しながら1本のワイヤWを引き出せるようになっている。また、複数本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、複数本のワイヤWがハブ部に巻かれ、リール20が回転しながら同時に複数本のワイヤWを引き出せるようになっている。例えば、2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、2本のワイヤWがハブ部に巻かれ、リール20が回転しながら同時に2本のワイヤWを引き出せるようになっている。
【0022】
なお、
図1Cに示す鉄筋結束機1Aでは、ワイヤWが巻かれたリール20を収容するリール収容部21を鉄筋結束機1Aと独立させた構成であるので、マガジン2を備えない構成で良い。また、
図1A、
図1Bに示す鉄筋結束機1Aにおいても同様に、リール20を収容するマガジン2を鉄筋結束機1Aと独立させた構成でも良く、鉄筋結束機1Aから独立させるマガジン2の形態は、
図2に示す形態に限るものではない。更に、複数本のワイヤWで鉄筋Sを結束する鉄筋結束機1Aにおいて、リール収容部21(マガジン2)を鉄筋結束機1Aと独立させた構成では、1本のワイヤWが巻かれた複数のリール20がリール収容部21(マガジン2)に収容され、それぞれのリール20から同時にワイヤWが引き出せるようにして、複数本のワイヤWを鉄筋結束機1Aに供給できるようにしても良い。
【0023】
ワイヤ送り部3は、ワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30を備える。ワイヤ送り部3は、送りモータ31(
図4A、
図4B、
図4C及び
図4D参照)の回転動作が伝達されて送りギア30が回転する。これにより、ワイヤ送り部3は、一対の送りギア30の間に挟持したワイヤWを、ワイヤWの延在方向に沿って送る。複数本、例えば2本のワイヤWを送り、鉄筋Sを結束する構成では、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
【0024】
ワイヤ送り部3は、送りモータ31の回転方向の正逆を切り替えることで、送りギア30の回転方向が切り替えられ、矢印Fで示す正方向にワイヤWを送るか、矢印Rで示す逆方向にワイヤWを送るか、ワイヤWの送り方向の正逆が切り替えられる。
【0025】
ワイヤガイド4は、ワイヤWを正方向に送る送り方向に対して、ワイヤ送り部3の上流側及び下流側の所定の位置に設けられる。2本のワイヤWを送り、鉄筋Sを結束する構成では、ワイヤ送り部3の上流側に設けられるワイヤガイド4は、2本のワイヤWの径方向の向きを規制し、進入してきた2本のワイヤWを並列にして、一対の送りギア30の間にガイドする。ワイヤ送り部3の下流側に設けられるワイヤガイド4は、2本のワイヤWの径方向の向きを規制し、進入してきた2本のワイヤWを並列にして、切断部6及びカール形成部5にガイドする。
【0026】
カール形成部5は、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖を付けられたワイヤWを結束部7に誘導する誘導ガイド51を備える。鉄筋結束機1Aでは、ワイヤ送り部3で送られるワイヤWの経路がカール形成部5で規制されることで、ワイヤWの軌跡が
図2に二点鎖線で示すようなループRuとなり、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻き回される。
【0027】
切断部6は、一対の刃部の相対的な動作でワイヤWを切断する構成で、本例では、固定刃部60と、固定刃部60を支点軸として回転する可動刃部61を備える。切断部6は、結束部7の動作が伝達部材62を介して可動刃部61に伝達され、可動刃部61の回転動作で固定刃部60と可動刃部61との間に挟んだワイヤWを切断する。
【0028】
結束部7は、ワイヤWを係止する係止部材70と、係止部材70を作動させるスリーブ71を備える。駆動部8は、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。
【0029】
結束部7は、駆動部8に駆動されることで、スリーブ71が係止部材70を作動させてワイヤWを係止する。また、結束部7は、スリーブ71の動作が伝達部材62を介して可動刃部61に伝達され、スリーブ71の動作と連動した切断部6によるワイヤWの切断後、ワイヤWを捩じって鉄筋Sを結束する。
【0030】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3、ワイヤガイド4、切断部6、結束部7,駆動部8等が本体部10の内部に収納される。鉄筋結束機1Aは、本体部10の延伸方向に沿った一方の端部である先端側(前側とも称す)の内部に結束部7が設けられ、他方の端部である後端側(後側とも称す)の内部に駆動部8が設けられる。
【0031】
また、鉄筋結束機1Aは、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51が、本体部10の前側の端部に設けられる。鉄筋結束機1Aは、カールガイド50と誘導ガイド51との間が、鉄筋Sが入れられる導入部18となる。更に、鉄筋結束機1Aは、導入部18に入れられた鉄筋Sが突き当てられる突き当て部16が、本体部10の前側の端部で、カールガイド50と誘導ガイド51との間に設けられる。
【0032】
更に、鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態のものを適用する場合、本体部10に手で持って操作可能なハンドル部11を備える。鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11が本体部10から下方向に延在し、ハンドル部11の下部にバッテリ15が着脱可能に取り付けられるバッテリ取付部17が設けられる。また、鉄筋結束機1Aは、マガジン2がハンドル部11の前方に設けられる。
【0033】
鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態のものを適用する場合、ハンドル部11の前側にトリガ12が設けられ、ハンドル部11の内部にスイッチ13が設けられる。鉄筋結束機1Aは、トリガ12の操作で押されるスイッチ13の状態に応じて、制御部14がモータ80及び送りモータ31を制御する。
【0034】
なお、結束設備機器100A及び結束設備機器100Bに使用される鉄筋結束機1Aにおいて、トリガ12を備えることで、情報処理装置110aによる制御を行わずに、鉄筋結束機1A単体で動作確認が可能である。但し、結束設備機器100A及び結束設備機器100Bに使用される鉄筋結束機1Aでは、トリガ12及びスイッチ13を備えない構成としても良い。
【0035】
図3Aは、結束部の一例を示す側面図、
図3Bは、結束部の一例を示す内部構成図、
図3C、
図3Dは、結束部の一例を示す要部平面図である。
【0036】
次に、各図を参照して、本実施の形態の結束部の一例について説明する。結束部7は、スリーブ71を移動、回転させて、係止部材70を作動させる回転軸72を備える。結束部7と駆動部8は、回転軸72とモータ80が減速機81を介して連結され、回転軸72が、減速機81を介してモータ80に駆動される。
【0037】
係止部材70は、回転軸72と連結されるセンターフック70Cと、センターフック70Cに対して開閉する第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを備える。
【0038】
結束部7において、センターフック70C及び第1のサイドフック70R、第2のサイドフック70Lが設けられた側を前側、回転軸72が減速機81と連結される側を後側とする。
【0039】
センターフック70Cは、回転軸72の一方の端部である前端に、回転軸72に対して回転可能、回転軸72と一体的に回転可能、かつ、回転軸72と一体的に軸方向への移動が可能な構成を介して連結される。
【0040】
第1のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して一方の側部に位置する。また、第1のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
【0041】
第2のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して他方の側部に位置する。また、第2のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
【0042】
これにより、係止部材70は、軸71bを支点とした回転動作で、第1のサイドフック70Rの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2のサイドフック70Lの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。
【0043】
スリーブ71は、矢印A1で示す前方向の端部から、回転軸72の軸方向に沿った所定の長さの範囲が、径方向に2分割された形状で、第1のサイドフック70R、第2のサイドフック70Lが入る形状である。また、スリーブ71は、回転軸72の周囲を覆う筒状で、回転軸72が挿入される筒状の空間の内周面に突出する図示しない凸部を有し、この凸部が、回転軸72の外周に軸方向に沿って形成された送りネジ72aの溝部に入る。
【0044】
スリーブ71は、回転軸72が回転すると、図示しない凸部と回転軸72の送りネジ72aの作用により、回転軸72の軸方向に沿った方向である前後方向へ、回転軸72の回転方向に応じて移動する。また、スリーブ71は、回転軸72の軸方向に沿って送りネジ72aの前方向の端部まで移動すると、回転軸72と一体的に回転する。
【0045】
スリーブ71は、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを開閉する開閉ピン71aを備える。第1のサイドフック70Rは、開閉ピン71aが挿入される開閉ガイド孔73Rを備え、第2のサイドフック70Lは、開閉ピン71aが挿入される開閉ガイド孔73Lを備える。
【0046】
開閉ガイド孔73R、73Lは、スリーブ71の移動方向に沿って延在する溝で構成される。開閉ガイド孔73Rは、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第1のサイドフック70Rの回転による開閉動作に変換する形状を有する。また、開閉ガイド孔73Lは、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第2のサイドフック70Lの回転による開閉動作に変換する形状を有する。
【0047】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lは、スリーブ71が矢印A2で示す後側に移動すると、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73R、73Lの形状により、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから離れる方向に移動する。
【0048】
これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開き、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に、ワイヤWが通る送り経路が形成される。
【0049】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開いた状態では、ワイヤ送り部3で正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通る。センターフック70Cと第1のサイドフック70Rとの間を通るワイヤWは、カール形成部5に誘導される。そして、カール形成部5のカールガイド50で巻き癖が付けられ、誘導ガイド51で結束部7に誘導されたワイヤWは、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間を通る。
【0050】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lは、スリーブ71が矢印A1で示す前側に移動すると、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73R、73Lの形状により、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから近づく方向に移動する。これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して閉じる。
【0051】
第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。また、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0052】
鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWは、ワイヤ送り部3でワイヤWを逆方向に送る動作では、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれた部位が、ワイヤWが送られる方向の上流側に位置し、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれた部位が、ワイヤWが送られる方向の下流側の位置する。
【0053】
これにより、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWは、ワイヤ送り部3でワイヤWを逆方向に送る動作で、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれた部位が、ワイヤ送り部3方向に引っ張られ、ループRuの径が小さくなって、鉄筋Sに巻き付けられる。
【0054】
スリーブ71は、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWの一方の端部である第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれた部位より先端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c1を備える。また、スリーブ71は、鉄筋Sに巻き付けられ、切断部6で切断されたワイヤWの他方の端部である終端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c2を備える。曲げ部71c1及び曲げ部71c2は、スリーブ71の矢印A1で示す前方向の端部に形成される。
【0055】
スリーブ71は、矢印A1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lで係止されたワイヤWの先端側を曲げ部71c1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、スリーブ71は、矢印A1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6で切断されたワイヤWの終端側を曲げ部71c2で押して、鉄筋S側へ曲げる。
【0056】
結束部7は、回転軸72の回転動作と連動した係止部材70及びスリーブ71の回転を規制する回転規制部74を備える。回転規制部74は、回転規制羽根74aをスリーブ71に備え、回転規制羽根74aが係止される図示しない回転規制爪を本体部10に備える。
【0057】
回転規制羽根74aは、スリーブ71の外周から径方向に突出する複数の凸部を、スリーブ71の周方向に所定の間隔で設けて構成される。回転規制羽根74aは、スリーブ71に固定され、スリーブ71と一体的に移動、回転する。
【0058】
回転規制部74は、係止部材70でワイヤWを係止し、ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けた後切断し、更に、スリーブ71の曲げ部71c1、71c2でワイヤWを折り曲げて成形する動作域では、回転規制羽根74aが係止される。回転規制羽根74aが係止されると、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制され、回転軸72の回転動作でスリーブ71が前後方向へ移動する。
【0059】
また、回転規制部74は、係止部材70で係止したワイヤWを捩じる動作域では、回転規制羽根74aの係止が解除される。回転規制羽根74aの係止が解除されると、回転軸72の回転に連動してスリーブ71が回転する。係止部材70は、スリーブ71の回転と連動して、ワイヤWを係止したセンターフック70C、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが回転する。
【0060】
<本実施の形態の鉄筋結束機の結束動作例>
次に、各図を参照して、本実施の形態の鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。
【0061】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤWが一対の送りギア30の間に挟持され、このワイヤWの先端が、送りギア30の挟持位置と、切断部6の固定刃部60との間に位置した状態が待機状態となる。また、鉄筋結束機1Aは、待機状態では、スリーブ71及びスリーブ71に取り付けられた第1のサイドフック70R、第2のサイドフック70L、センターフック70Cが、矢印A2で示す後方向に移動し、
図3Cに示すように、第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して開き、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して開いた状態である。
【0062】
待機状態から送りモータ31が正回転方向に駆動されると、ワイヤ送り部3でワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる。複数本、例えば2本のワイヤWを送る構成の場合、ワイヤガイド4により、2本のワイヤWが当該ワイヤWにより形成されるループRuの軸方向に沿って並列された状態で送られる。
【0063】
正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通り、カール形成部5のカールガイド50に送られる。ワイヤWは、カールガイド50を通ることで、カールガイド50と誘導ガイド51との間の導入部18に入れられた鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
【0064】
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは、誘導ガイド51に誘導され、更にワイヤ送り部3で正方向に送られることで、誘導ガイド51によりセンターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間に誘導される。そして、ワイヤWが所定の位置まで送られると、送りモータ31の駆動が停止される。
【0065】
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動される。スリーブ71は、係止部材70でワイヤWを係止する動作域では、回転規制羽根74aが係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、スリーブ71は、モータ80の回転が直線移動に変換され、前方向である矢印A1方向に移動する。
【0066】
係止部材70は、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73R、73Lの形状により、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cに近づく方向に移動する。
【0067】
これにより、
図3Dに示すように、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して閉じる。
【0068】
第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。
【0069】
これに対し、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0070】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが閉じる動作で、ワイヤWを係止する位置までスリーブ71を前進させた後、モータ80の回転を一時停止し、送りモータ31を逆回転方向に駆動する。
【0071】
これにより、一対の送りギア30が逆転し、一対の送りギア30の間に挟持されたワイヤWが、矢印Rで示す逆方向に送られる。ワイヤWの先端側が、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止されているので、ワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤWは鉄筋Sに巻き付けられる。
【0072】
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、送りモータ31の逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を更に矢印A1で示す前方向に移動させる。
【0073】
スリーブ71が前方向に移動する動作が伝達部材62で切断部6に伝達されることで可動刃部61が回転し、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cで係止されたワイヤWが、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。
【0074】
モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す前方向に移動させて、上述したように、ワイヤWを切断するとほぼ同時に、曲げ部71c1、71c2が鉄筋Sに接近する方向へ移動する。これにより、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lで係止されたワイヤWの先端側を、曲げ部71c1で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c1で挟まれた状態で保持される。
【0075】
また、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6で切断されたワイヤWの終端側を、曲げ部71c2で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c2で挟まれた状態で保持される。
【0076】
ワイヤWの先端側及び切断後の終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、スリーブ71が更に前方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動することで、係止部材70で係止したワイヤWを捩じる動作域に到達すると、回転規制羽根74aの係止が解除される。
【0077】
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、回転軸72と連動してスリーブ71が回転し、係止部材70で係止したワイヤWが捩じられる。
【0078】
ワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知されると、モータ80の正転が停止される。次に、モータ80が逆回転方向に駆動されることで、回転軸72が逆回転し、回転軸72の逆回転に追従してスリーブ71が逆回転すると、回転規制羽根74aが係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、スリーブ71は、後方向である矢印A2方向に移動する。
【0079】
スリーブ71が後方向に移動すると、曲げ部71c1、71c2がワイヤWから離れ、曲げ部71c1、71c2によるワイヤWの保持が解消される。また、スリーブ71が後方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73R、73Lを通過する。これにより、第1のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。また、第2のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。これにより、係止部材70からワイヤWが抜ける。
【0080】
<本実施の形態の結束設備機器の制御機能例>
図4A、
図4B、
図4C及び4Dは、結束設備機器の制御機能の一例を示すブロック図である。
図1A等に示す結束設備機器100Aは、
図4Aに示す制御機能例では、移動機200Aを制御する情報処理装置110aが、移動機200A及び移動機200Aに取り付けられた鉄筋結束機1Aに対して、移動機200A及び鉄筋結束機1Aを制御する信号等の送受が可能に接続される。
【0081】
また、
図1C等に示す結束設備機器100Bは、
図4Aに示す制御機能例では、移動機200Bを制御する情報処理装置110aが、移動機200B及び移動機200Bに取り付けられた鉄筋結束機1Aに対して、移動機200B及び鉄筋結束機1Aを制御する信号等の送受が可能に接続される。
【0082】
更に、結束設備機器100A、100Bは、鉄筋結束機1Aの情報通信部102が、クラウド等の通信網300に対して、鉄筋結束機1Aの情報取得部101で取得した結束関連情報等の送受が可能に接続される。
【0083】
また、結束設備機器100A、100Bは、鉄筋結束機1Aの情報取得部101で取得した結束関連情報が通知される情報処理装置110bが、通信網300に対して、結束関連情報等の送受が可能に接続される。
【0084】
図4Bに示す結束設備機器100A、100Bは、情報処理装置110aが移動機200A、200B及び移動機200A、200Bを介して鉄筋結束機1Aに接続され、情報処理装置110bが通信網300に接続されると共に、鉄筋結束機1Aの情報通信部102が通信網300に接続されず、情報処理装置110bが、鉄筋結束機1Aの情報通信部102に対して、結束関連情報等の送受が可能に接続される。
【0085】
図4Cに示す結束設備機器100A、100Bは、情報処理装置110aが移動機200A、200B及び移動機200A、200Bを介して鉄筋結束機1Aに接続され、情報処理装置110bが通信網300及び鉄筋結束機1Aの情報通信部102に接続されると共に、鉄筋結束機1Aの情報通信部102が通信網300に接続されず、情報処理装置110bが、情報処理装置110aに対して、結束関連情報等の送受が可能に接続される。
【0086】
図4Dに示す結束設備機器100A、100Bは、移動機200A、200Bを制御する情報処理装置110aが、鉄筋結束機1Aの情報取得部101で取得した結束関連情報が通知される情報処理装置110bの機能を持ち、情報処理装置110aが移動機200A、200B及び移動機200A、200Bを介して鉄筋結束機1Aに接続されると共に、通信網300及び鉄筋結束機1Aの情報通信部102に接続される。
【0087】
結束設備機器100Aは、情報処理装置110aが所定のプログラムに従い移動機200Aを制御し、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる。結束設備機器100Bは、情報処理装置110aが所定のプログラムに従い移動機200Bを制御し、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる。また、結束設備機器100Aは、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させると、情報処理装置110aが所定のプログラムに従い鉄筋結束機1Aを制御し、鉄筋結束機1Aに鉄筋Sを結束する動作を実行させる信号を出力する。鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sを結束する動作を実行する信号が入力されると、制御部14がモータ80及び送りモータ31を制御し、鉄筋SをワイヤWで結束する上述した一連の動作を実行する。
【0088】
なお、鉄筋結束機1Aは、単独で使用する形態では、
図2に示すトリガ12の操作で押されるスイッチ13の状態に応じて、制御部14がモータ80及び送りモータ31を制御し、鉄筋SをワイヤWで結束する一連の動作を実行する。
【0089】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤWで鉄筋Sを結束する結束動作に関連する結束関連情報を情報取得部101で取得し、情報取得部101で取得した結束関連情報を、制御部14が情報通信部102で情報処理装置110bに通知する。
図4Aに示す構成では、鉄筋結束機1Aは、情報取得部101で取得した結束関連情報を、情報通信部102でクラウド等の通信網300に通知する。情報処理装置110bは、通信網300から結束関連情報を取得する。
図4B、
図4Cに示す構成では、鉄筋結束機1Aは、情報取得部101で取得した結束関連情報を、情報通信部102で情報処理装置110bに通知する。
図4Dに示す構成では、鉄筋結束機1Aは、情報取得部101で取得した結束関連情報を、情報通信部102で情報処理装置110aに通知する。
【0090】
図4A、
図4B及び
図4Cに示す情報処理装置110bは、鉄筋結束機1Aの情報取得部101で取得した結束関連情報に基づく報知を実行する。
図4Dに示すように、情報処理装置110aが情報処理装置110bの機能を持つ構成の場合、情報処理装置110aは、鉄筋結束機1Aの情報取得部101で取得した結束関連情報に基づく報知、鉄筋結束機1A及び移動機200A、200Bの制御を実行する。鉄筋結束機1Aに設けた情報取得部101で取得した結束関連情報に基づく鉄筋結束機1A及び移動機200A、200Bの制御をフィードバック制御とも称す。
【0091】
結束関連情報は、例えば、結束動作の実行の可否を判断するために必要な情報、結束が正常に行われているか否かを判断するために必要な情報、結束箇所P10の位置を特定するために必要な情報、結束対象の鉄筋Sを識別するために必要な情報、ワイヤWの残量を判断するための情報等である。また、結束関連情報は、モータ80の電流値、送りモータ31の制御信号、各種の異常検出回数、結束回数等の情報である。
【0092】
図4A、
図4B及び
図4Cに示す情報処理装置110bは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報を報知する。
図4A、
図4B及び
図4Cに示す情報処理装置110bは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報に基づき、結束動作の実行の可否を判断し、結束動作の実行の可否を示す結束可否情報を報知しても良い。
【0093】
また、
図4A、
図4B及び
図4Cに示す情報処理装置110bは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報に基づき、結束が正常に行われているか否かの結束結果を判断し、結束結果を示す結束結果情報を報知しても良い。
【0094】
更に、
図4A、
図4B及び
図4Cに示す情報処理装置110bは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報に基づき、結束箇所P10の位置を特定し、結束箇所P10の位置を特定する位置情報を報知しても良い。
【0095】
また、
図4A、
図4B及び
図4Cに示す情報処理装置110bは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報に基づき、結束対象の鉄筋Sの直径や組み合わせ等を識別し、鉄筋識別情報を報知しても良い。
【0096】
更に、
図4A、
図4B及び
図4Cに示す情報処理装置110bは、結束結果情報と結束箇所P10の位置情報(アドレス)を関連付けて報知しても良い。
【0097】
また、
図4A、
図4B及び
図4Cに示す情報処理装置110bは、鉄筋結束機1Aまたはリール収容部21から取得した結束関連情報に基づき、ワイヤWの残量を判断し、ワイヤ残量情報を報知しても良い。
【0098】
図4Cに示す情報処理装置110bは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報を情報処理装置110aに通知する。
図4Cに示す情報処理装置110aは、情報処理装置110bから通知された結束関連情報を報知する。
【0099】
図4Cに示す情報処理装置110aは、情報処理装置110bから通知された結束関連情報に基づき、結束動作の実行の可否を判断し、結束動作の実行の可否を示す結束可否情報を報知しても良い。
【0100】
また、
図4Cに示す情報処理装置110aは、情報処理装置110bから通知された結束関連情報に基づき、結束が正常に行われているか否かの結束結果を判断し、結束結果を示す結束結果情報を報知しても良い。
【0101】
更に、
図4Cに示す情報処理装置110aは、情報処理装置110bから通知された結束関連情報に基づき、結束箇所P10の位置を特定し、結束箇所P10の位置を特定する位置情報を報知しても良い。
【0102】
また、
図4Cに示す情報処理装置110aは、情報処理装置110bから通知された結束関連情報に基づき、結束対象の鉄筋Sの直径や組み合わせ等を識別し、鉄筋識別情報を報知しても良い。
【0103】
更に、
図4Cに示す情報処理装置110aは、結束結果情報と結束箇所P10の位置情報(アドレス)を関連付けて報知しても良い。
【0104】
また、
図4Cに示す情報処理装置110aは、情報処理装置110bから取得した結束関連情報に基づき、ワイヤWの残量を判断し、ワイヤ残量情報を報知しても良い。
【0105】
図4Dに示す情報処理装置110aは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報を報知する。
図4Dに示す情報処理装置110aは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報に基づき、結束動作の実行の可否を判断し、結束動作の実行の可否を示す結束可否情報を報知しても良い。
【0106】
また、
図4Dに示す情報処理装置110aは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報に基づき、結束が正常に行われているか否かの結束結果を判断し、結束結果を示す結束結果情報を報知しても良い。
【0107】
更に、
図4Dに示す情報処理装置110aは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報に基づき、結束箇所P10の位置を特定し、結束箇所P10の位置を特定する位置情報を報知しても良い。
【0108】
また、
図4Dに示す情報処理装置110aは、鉄筋結束機1Aから取得した結束関連情報に基づき、結束対象の鉄筋Sの直径や組み合わせ等を識別し、鉄筋識別情報を報知しても良い。
【0109】
更に、
図4Dに示す情報処理装置110aは、結束結果情報と結束箇所P10の位置情報(アドレス)を関連付けて報知しても良い。
【0110】
また、
図4Dに示す情報処理装置110aは、鉄筋結束機1Aまたはリール収容部21から取得した結束関連情報に基づき、ワイヤWの残量を判断し、ワイヤ残量情報を報知しても良い。
【0111】
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、結束可否情報に基づき、鉄筋結束機1A及び移動機200A、200Bを制御しても良い。
【0112】
また、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、結束結果情報に基づき、鉄筋結束機1A及び移動機200A、200Bを制御しても良い。
【0113】
更に、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、結束箇所P10の位置情報に基づき、鉄筋結束機1A及び移動機200A、200Bを制御しても良い。
【0114】
また、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、鉄筋識別情報に基づき、鉄筋結束機1A及び移動機200A、200Bを制御しても良い。
【0115】
更に、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、結束結果情報と結束箇所P10の位置情報(アドレス)を関連付けて保存し、結束結果情報と結束箇所P10の位置情報の関係に基づき、鉄筋結束機1A及び移動機200A、200Bを制御しても良い。
【0116】
また、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、ワイヤ残量情報に基づき、鉄筋結束機1A及び移動機200A、200Bを制御しても良い。
【0117】
<センサによる情報取得部の構成例>
図5は、情報取得部を備えた鉄筋結束機の一例を示す側面図である。鉄筋結束機1Aは、情報取得部101としてセンサ120を備える。センサ120は、
図2に示す本体部10内で係止部材70が動作する結束空間19において何等かの物を検出可能な光学センサ、金属の物を検出可能な磁気センサ等で構成される。
【0118】
<結束関連情報の報知例>
図6は、情報取得部で取得した結束関連情報に基づく情報処理装置での報知例を示す説明図であり、次に、各図を参照して、センサ120で取得した結束関連情報に基づく報知の制御について説明する。
【0119】
結束設備機器100Aは、
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aで移動機200A、200Bが制御され、移動機200A、200Bが鉄筋結束機1Aを所定の結束箇所P10に移動させる。
【0120】
鉄筋結束機1Aは、情報取得部101であるセンサ120で結束空間19に異物があるか否かを検出し、結束関連情報である結束可否情報として、結束動作の実行の可否を判断する異物の有無の検出結果である異物検出情報を取得する。鉄筋結束機1Aの制御部14は、センサ120で結束空間19に異物があることを検出すると、異物検出情報を情報通信部102で、
図4A、
図4B、
図4Cに示す情報処理装置110b、
図4Dに示す情報処理装置110aに通知する。
【0121】
情報処理装置110a、110bは、鉄筋結束機1Aから異物検出情報を受信すると、結束動作の実行の可否を判断して、結束動作の実行の可否に応じて報知情報110Eを出力する。報知情報110Eは、画像や文字等、視覚的な情報で出力しても良いし、音等、聴覚的な情報で出力しても良い。
【0122】
なお、結束設備機器100Aを制御する情報処理装置110aがパーソナルコンピュータである場合に、パーソナルコンピュータで報知情報110Eを出力しても良い。また、結束設備機器100Aを制御する情報処理装置110aと通信可能に接続され、結束設備機器100Aの制御を行っていないスマートフォンやタブレット等の情報処理装置110bで報知情報110Eを出力しても良い。
【0123】
<カメラによる情報取得部の構成例>
図7A、
図7Bは、情報取得部を備えた鉄筋結束機の他の例を示す斜視図である。鉄筋結束機1Aは、情報取得部101としてカメラ121を備える。カメラ121は、カール形成部5の先方が撮影範囲となるように、本体部10の上面または側面に設けられる。
【0124】
<結束姿の画像認識により取得した結束箇所画像情報による動作例>
図8は、結束姿の画像認識により取得した結束箇所画像情報による動作の一例を示すフローチャートである。各図を参照して、結束関連情報に基づく制御として、カメラ121で取得した情報に基づく制御について説明する。結束設備機器100Aは、
図8のステップSA1で、上述した結束動作を実行すると、情報処理装置110aが所定のプログラムにより移動機200Aを制御して、
図8のステップSA2で、結束動作が終了した鉄筋結束機1Aを移動機200Aの動作で結束箇所P10から離れる方向に移動させる。
図1Cに示す結束設備機器100Bでは、上述した結束動作を実行すると、情報処理装置110aが所定のプログラムにより移動機200Bを制御して、結束動作が終了した鉄筋結束機1Aを移動機200Bの動作で結束箇所P10から離れる方向に移動させる。以下の動作は、結束設備機器100Aについて説明するが、結束設備機器100Bについても同様である。
【0125】
結束動作が終了した鉄筋結束機1Aを、結束箇所P10から離れる方向に移動させて、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間から鉄筋Sを抜く動作で、鉄筋Sを結束したワイヤWを含む結束箇所P10が、カメラ121の撮影範囲に入る位置に鉄筋結束機1Aが移動すると、鉄筋結束機1Aの制御部14は、カメラ121を制御して鉄筋Sを結束したワイヤWを含む結束箇所P10を撮影し、結束関連情報として、結束が正常に行われているか否かを判断するために必要なワイヤWによる結束姿を含む結束動作の実行後の結束箇所画像情報を取得する。なお、鉄筋結束機1Aの向きを変える等により、鉄筋Sを結束したワイヤWを含む結束箇所P10を複数方向から撮影しても良い。
【0126】
鉄筋結束機1Aの制御部14は、鉄筋Sを結束したワイヤWを含む結束箇所P10をカメラ121で撮影して取得した結束後の結束箇所画像情報を、
図4A、
図4B、
図4Cに示す実施の形態では情報処理装置110bに情報通信部102で通知し、
図4Dに示す実施の形態では情報処理装置110aに情報通信部102で通知する。
【0127】
図4A、
図4B、
図4Cに示す情報処理装置110b、
図4Dに示す情報処理装置110aは、結束箇所画像情報を報知しても良い。また、
図4Cに示す情報処理装置110bは、
図4Cに示す情報処理装置110aに結束箇所画像情報を通知する。
【0128】
図4C、
図4Dに示す情報処理装置110aは、
図8のステップSA3で、結束後の結束箇所画像情報を画像認識し、鉄筋Sを結束したワイヤWの形状等に基づき異常個所の有無を識別して、
図8のステップSA4で、結束が正常に行われたか否かを判断する。なお、情報処理装置110aは、結束箇所P10を複数方向から撮影して取得した2D画像の結束箇所画像情報を合成して3D画像を生成し、2D画像と3D画像から結束が正常に行われたか否かを判断しても良い。また、結束関連情報として、ワイヤWを捩じる動作でモータ80に流れる電流値等を利用して、結束が正常に行われたか否か判断しても良い。更に、
図4C、
図4Dに示す情報処理装置110aが、結束が正常に行われたか否かを示す結束結果情報を報知しても良いし、
図4A、
図4Bに示す情報処理装置110bが、結束が正常に行われたか否かを判断して、結束結果情報を報知しても良い。
【0129】
図9A、
図9B及び
図9Cは、ワイヤで結束された結束箇所の一例を示す斜視図、
図10A、
図10Bは、結束後の結束箇所画像情報の一例を示す説明図である。
図9Aに示すように、鉄筋Sを結束したワイヤWが切断等されておらず、正常に結束されていれば、
図10Aに示すように、該当する結束箇所P10を撮影した結束後の結束箇所画像情報Pc1において異常個所が非検出となる。これにより、
図4C、
図4Dに示す情報処理装置110aは、鉄筋SがワイヤWで正常に結束されたと判断し、
図8のステップSA5で、結束結果が正常であることを記録する。
【0130】
これに対し、2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する場合、
図9Bに示すように、1本のワイヤが切断されている、あるいは、
図9Cに示すように、2本のワイヤWが切断されていると、
図10Bに示すように、該当する結束箇所P10を撮影した結束後の結束箇所画像情報Pc1において異常個所が検出される。これにより、
図4C、
図4Dに示す情報処理装置110aは、鉄筋SがワイヤWで正常に結束できていないと判断し、
図8のステップSA6で、結束結果が異常であることを記録する。
【0131】
なお、
図4A、
図4B、
図4Cに示す情報処理装置110bが、結束結果を記録しても良い。また、
図4A、
図4Bに示す情報処理装置110bで報知された結束箇所画像情報に基づき、人が
図4A、
図4Bに示す情報処理装置110aに所定の情報を入力し、入力された情報に基づき
図4A、
図4Bに示す情報処理装置110aが、結束が正常に行われたか否かを判断して、結束結果を記録しても良い。
【0132】
<結束結果情報を位置情報と関連付ける動作例>
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、位置情報取得手段を構成し、結束動作を実行する結束箇所P10の位置情報(アドレス)を取得する。
図4Cに示す情報処理装置110aであれば、情報処理装置110bから通知された結束後の結束箇所画像情報Pc1、結束箇所画像情報Pc1に基づき判断した結束が正常に行われたか否かを示す結束結果情報及び結束箇所P10のアドレスを関連付けて記憶する。
【0133】
また、
図4Dに示す情報処理装置110aであれば、鉄筋結束機1Aから取得した結束後の結束箇所画像情報Pc1、結束箇所画像情報Pc1に基づき判断した結束結果情報及び結束箇所P10のアドレスを関連付けて記憶する。更に、
図4A及び
図4Bに示す情報処理装置110aであれば、情報処理装置110bに通知された結束箇所画像情報Pc1に基づく判断で人が入力した結束結果情報及び結束箇所P10のアドレスを関連付けて記憶する。
【0134】
図4A、
図4Bに示す情報処理装置110aであれば、結束箇所P10のアドレスと時刻を関連付けて保存する。鉄筋結束機1Aでは、結束が正常に行われたか否かを判断して結束結果情報を取得すると共に、結束結果情報と時刻を関連付けて保存する。これにより、情報処理装置110aに保存した情報と鉄筋結束機1Aに保存した情報を書き出して、時刻で突合させれば、結束結果情報と結束箇所P10のアドレスを関連付けることができる。また、情報処理装置110aに保存した情報と鉄筋結束機1Aに保存した情報に識別情報を付与することで、時刻を使用せずに結束結果情報と結束箇所P10のアドレスの突合が可能になる。
【0135】
図11は、結束箇所を特定するアドレスの一例を示す説明図である。鉄筋Sは、例えば格子状に配設されるので、行方向の鉄筋Sと列方向のSのそれぞれに、数字やアルファベット等で固有の識別子を付与する。そして、行方向の識別子Siと列方向の識別子Sjの組み合わせ(Si,Sj)で、結束箇所P10を特定するアドレスが生成される。
【0136】
図12A及び
図12Bは、結束結果の出力例を示す説明図である。例えば、アドレス(C,3)で特定される結束箇所P10で取得した結束箇所画像情報Pc1から、鉄筋Sを結束したワイヤWが切断等されておらず、結束結果が正常であると判断すると、情報処理装置110aは、結束結果が正常であることを示す結束結果情報及び結束箇所P10のアドレスを保存する。また、情報処理装置110aは、結束結果が正常であると判断すると、
図12Aに示すように、結束結果が正常であることを示す結束結果情報及び結束箇所P10のアドレスを含む報知情報110E1を、例えば視覚情報として出力する。
【0137】
これに対し、例えば、アドレス(C,5)で特定される結束箇所P10で取得した結束箇所画像情報Pc1から、鉄筋Sを結束したワイヤWが切断されている等、結束結果が異常であると判断すると、情報処理装置110aは、結束結果が異常であることを示す結束結果情報及び結束箇所P10のアドレスを保存する。また、情報処理装置110aは、結束結果が異常であると判断すると、
図12Bに示すように、結束結果が異常であることを示す結束結果情報及び結束箇所P10のアドレスを含む報知情報110E2を、例えば視覚情報として出力する。
【0138】
結束結果が正常であるか、異常であるかの判断は、今回の結束動作で取得した結束箇所画像情報Pc1を、当該結束結果を取得した結束箇所P10のアドレスで特定される過去の結束箇所画像情報Pc1と比較することで行っても良く、今回の結束動作で取得した結束箇所画像情報Pc1を、予め取得した結束が正常に行われている標準的な形態を示す結束箇所画像情報Pc1と比較することで行っても良い。なお、今回の結束動作で報知された結束箇所画像情報Pc1を、人が確認、比較して、結束結果が正常であるか、異常であるかの判断をし、結束結果情報を情報処理装置110aに入力しても良い。
【0139】
図13A、
図13B、
図13C、
図13D及び
図13Eは、結束結果情報を位置情報と関連付ける動作の一例を示すフローチャートである。情報処理装置110aは、
図13AのステップSB1で、結束箇所P10のアドレス(Si,Sj)を取得し、
図13AのステップSB2で、アドレス(Si,Sj)で特定される結束箇所P10で上述した結束動作を実行する。結束動作を実行すると、
図13AのステップSB3で、結束関連情報を取得する。結束関連情報は、例えば、結束箇所画像情報Pc1または結束箇所画像情報Pc1に基づく情報である。
【0140】
本例では、結束結果が正常である結束箇所画像情報Pc1を数値化した情報を集積して統計化した過去の結束箇所画像情報を、結束箇所P10のアドレス毎に保存する。そして、
図13AのステップSB4で、今回の結束動作で取得した結束箇所画像情報Pc1を、正常な結束結果を示す過去の結束箇所画像情報と比較して、その差が所定範囲内か、すなわち、正常な結束結果と近い形状であるか判断する。なお、今回の結束動作で取得した結束箇所画像情報Pc1を、当該結束結果を取得した結束箇所P10のアドレスで特定される正常な結果を示す過去の結束箇所画像情報と比較して、その差が所定範囲内か、すなわち、正常な結束結果と近い形状であるか判断しても良い。
【0141】
今回の結束動作で取得した結束箇所画像情報Pc1と、正常な結束結果を示す過去の結束箇所画像情報との差が所定範囲内であると、
図13AのステップSB5で、結束結果が正常であることを示す結束結果情報を記録する。これに対し、今回の結束動作で取得した結束箇所画像情報Pc1と、正常な結束結果を示す過去の結束結果情報との差が所定範囲を超えていると、
図13AのステップSB6で、結束結果が異常であることを示す結束結果情報を記録する。
【0142】
なお、情報処理装置110は、結束結果が異常であると判断すると、以後の結束動作を停止しても良い。また、結束関連情報として、ワイヤWを捩じる動作でモータ80に流れる電流値、鉄筋結束機1Aの図示しない操作部で設定された結束強度を示す情報等を、結束箇所P10のアドレスと関連付けて、アドレス毎に保存しても良いし、報知しても良い。更に、モータ80に流れる電流値等に基づき、結束が正常に行われたか否か判断して、結束結果情報を結束箇所P10のアドレスと関連付けて、アドレス毎に保存しても良い。
【0143】
また、結束結果情報及び結束箇所P10のアドレスを関連付けて記憶し、過去の結束結果情報から、同一の結束箇所P10で結束結果が異常であることが規定回数以上発生したと判断すると、異常が発生していると判断し、以後の結束動作を停止しても良く、報知情報を出力しても良い。
【0144】
すなわち、
図13BのステップSC1で、結束箇所P10のアドレス(Si,Sj)を取得し、
図13BのステップSC2で、アドレス(Si,Sj)で特定される結束箇所P10で上述した結束動作を実行する。結束動作を実行すると、
図13BのステップSC3で、結束関連情報を取得する。結束関連情報は、例えば、結束箇所画像情報Pc1または結束箇所画像情報Pc1に基づく情報である。
【0145】
図13BのステップSC4で、今回の結束動作で取得した結束箇所画像情報Pc1に基づき、結束が正常であるか異常であるか判断し、同一アドレスで特定される結束箇所ごとに集計された個別の結束結果が異常である回数が、所定回数内であるか判断する。
【0146】
同一アドレスで特定される結束箇所ごとに集計された個別の結束結果が異常である回数が所定回数内であると、
図13BのステップSC5で、個別の結束結果に基づき判定した同一の結束箇所に関する結束結果が正常であることを示す結束結果情報を記録する。これに対し、同一アドレスで特定される結束箇所ごとに集計された個別の結束結果が異常である回数が所定回数を超えていると、
図13BのステップSC6で、個別の結束結果に基づき判定した同一の結束箇所に関する結束結果が異常であることを示す結束結果情報を記録する。
【0147】
更に、結束設備機器100Aは、所定本数の鉄筋Sが格子状等に組まれ、複数の結束箇所P10が形成される構造物を製造する用途に使用されるが、同一の構造物内において、異なる複数の結束箇所P10の全体で集計されたそれぞれの結束箇所の個別の結束結果が異常である回数が、規定回数以上発生したと判断すると、異常が発生していると判断し、以後の結束動作を停止しても良く、報知情報を出力しても良い。
【0148】
すなわち、
図13CのステップSD1で、結束箇所P10のアドレス(Si,Sj)を取得し、
図13CのステップSD2で、アドレス(Si,Sj)で特定される結束箇所P10で上述した結束動作を実行する。結束動作を実行すると、
図13CのステップSD3で、結束関連情報を取得する。結束関連情報は、例えば、結束箇所画像情報Pc1または結束箇所画像情報Pc1に基づく情報である。
【0149】
図13CのステップSD4で、今回の結束動作で取得した結束箇所画像情報Pc1に基づき、結束が正常であるか異常であるか判断し、同一の構造物内において、異なる複数の結束箇所P10の全体で集計されたそれぞれの結束箇所の個別の結束結果が異常である回数が、所定回数内であるか判断する。
【0150】
同一の構造物内において、異なる複数の結束箇所P10の全体で集計されたそれぞれの結束箇所の個別の結束結果が異常である回数が所定回数内であると、
図13CのステップSD5で、個別の結束結果に基づき判定した同一の構造物内に関する結束結果が正常であることを示す結束結果情報を記録する。これに対し、同一の構造物内において、異なる複数の結束箇所P10の全体で集計されたそれぞれの結束箇所の個別の結束結果が異常である回数が所定回数を超えていると、
図13CのステップSD6で、個別の結束結果に基づき判定した同一の構造物内に関する結束結果が異常であることを示す結束結果情報を記録する。
【0151】
なお、鉄筋結束機1Aにおいて、結束が正常に行われたか否かを判断して結束結果情報を取得すると共に、結束結果情報と時刻を関連付けて保存することで、結束が行われた時刻から、一の構造物の製造(結束動作)が終了し、次の構造物の製造(結束動作)が開始したか否かを判断して、同一構造物で結束結果が異常である回数が所定回数内か否かを判断しても良い。
【0152】
また、結束結果が異常である結束箇所P10の分布によっては、構造物の強度が不足し、形状を保ったまま搬送をすることができない場合がある。そこで、同一構造物内において、結束結果が異常である結束箇所P10のアドレスに基づき、構造物の搬送が困難であると判断すると、以後の結束動作を停止しても良く、報知情報を出力しても良い。
【0153】
すなわち、
図13DのステップSE1で、結束箇所P10のアドレス(Si,Sj)を取得し、
図13DのステップSE2で、アドレス(Si,Sj)で特定される結束箇所P10で上述した結束動作を実行する。結束動作を実行すると、
図13DのステップSE3で、結束関連情報を取得する。結束関連情報は、例えば、結束箇所画像情報Pc1または結束箇所画像情報Pc1に基づく情報である。
【0154】
図13DのステップSE4で、今回の結束動作で取得した結束箇所画像情報Pc1に基づき、結束が正常であるか異常であるか判断し、同一構造物内において、結束結果が異常である結束箇所P10のアドレスに基づき、構造物の搬送が可能な結束状態であるか構造物の搬送が困難な結束状態であるか判断する。
【0155】
構造物の搬送が可能な結束状態であると、
図13DのステップSE5で、構造物の搬送の可否に関する結束結果が正常であることを示す結束結果情報を記録する。これに対し、構造物の搬送が困難な結束状態であると、
図13DのステップSE6で、構造物の搬送の可否に関する結束結果が異常であることを示す結束結果情報を記録する。
【0156】
更に、上述した結束動作で、送りモータ31を逆回転させてワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作では、鉄筋Sに巻き回されていたワイヤWが途中で切断されると、送りモータ31が停止するまでの回転量が通常時より多くなる。また、鉄筋Sに巻き回されていたワイヤWが途中で絡むと、送りモータ31が停止するまでの回転量が通常時より少なくなる。
【0157】
そこで、
図13EのステップSF1で、結束箇所P10のアドレス(Si,Sj)を取得し、
図13EのステップSF2で、アドレス(Si,Sj)で特定される結束箇所P10で上述した結束動作を実行する。結束動作を実行すると、
図13EのステップSF3で、結束関連情報を取得する。結束関連情報は、本例ではワイヤWの引き戻し量であり、情報取得手段として、制御部14は、送りモータ31を逆回転させる際の回転量を取得し、ワイヤWの引き戻し量である送りモータ31の回転量とアドレスを関連づける。
【0158】
そして、
図13EのステップSF4で、今回の結束動作で取得したワイヤWの引き戻し量である送りモータ31の回転量と、ワイヤ引き戻し時の送りモータ31の回転量の基準値を比較して、その差が所定値内か判断する。
【0159】
今回の結束動作で取得したワイヤWの引き戻し量である送りモータ31の回転量と、ワイヤ引き戻し時の送りモータ31の回転量の基準値との差が所定範囲内であると、
図13EのステップSF5で、結束結果が正常であることを示す結束結果情報を記録する。これに対し、今回の結束動作で取得したワイヤWの引き戻し量である送りモータ31の回転量と、ワイヤ引き戻し時の送りモータ31の回転量の基準値との差が所定範囲を超えていると、
図13EのステップSF6で、結束結果が異常であることを示す結束結果情報を記録する。また、アドレスで特定される該当結束箇所P10の確認を促す報知情報を出力しても良い。
【0160】
また、情報処理装置110は、結束結果が異常であると判断すると、結束結果が異常であることを示す結束結果情報に関連付けられたアドレスで特定される結束箇所P10に鉄筋結束機1Aを移動し、再度結束動作を実行しても良い。
【0161】
<複数の鉄筋結束機を備えた結束設備機器の構成例>
図14A、
図14Bは、複数の鉄筋結束機を備えた結束設備機器の一例を示す斜視図、
図14Cは、複数の鉄筋結束機を備えた結束設備機器の一例を示す平面図である。
図14A、
図14Bに示す複数の鉄筋結束機1Aを備えた結束設備機器100Aは、それぞれの鉄筋結束機1Aを異なる結束箇所P10及び同一の結束箇所P10に移動させることが可能な複数の移動機200Aを備える。
【0162】
図14Cに示す変形例の結束設備機器100Bは、
図1Cに示すように、ワイヤWが巻かれたリール20を収容するリール収容部21を鉄筋結束機1Aと独立させた構成で、複数の鉄筋結束機1Aと、それぞれの鉄筋結束機1Aに対応して設けられるリール収容部21と、それぞれのリール収容部21に収容されたリール20からワイヤWを引き出すワイヤ引き出し機構210を備える。また、結束設備機器100Bは、それぞれの鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させる複数の移動機200Bを備える。
【0163】
情報処理装置110aは、例えば
図14Aに示す結束設備機器100Aにおいて、ある鉄筋結束機1A1で実行された結束動作において、結束結果が異常であると判断すると、結束結果が異常であることを示す結束結果情報に関連付けられたアドレスで特定される結束箇所P10に、他の鉄筋結束機1A2を移動し、再度結束動作を実行しても良い。
【0164】
また、情報処理装置110aは、複数の鉄筋結束機1Aを備えた結束設備機器100Aにおいて、所定台数の鉄筋結束機1Aでの個別の結束結果が異常であると、装置を停止しても良い。
【0165】
<複数の鉄筋結束機を備えた結束設備機器の動作例>
図15は、結束結果情報を結束機識別情報と関連付ける動作の一例を示すフローチャートである。
図15のステップSG1で、結束動作を実行する鉄筋結束機1Aを識別する結束機識別情報を取得し、
図15のステップSG2で、結束機識別情報で識別された鉄筋結束機1Aで上述した結束動作を実行する。結束動作を実行すると、
図15のステップSG3で、結束関連情報を取得する。結束関連情報は、例えば、結束箇所画像情報Pc1または結束箇所画像情報Pc1に基づく情報である。
【0166】
図15のステップSG4で、今回の結束動作で取得した結束箇所画像情報Pc1に基づき、結束が正常であるか異常であるか判断し、結束動作を実行した鉄筋結束機1Aの結束機識別情報に基づき、任意の結束箇所の結束結果である個別の結束結果が異常である鉄筋結束機1Aの台数が所定値内であるか判断する。
【0167】
個別の結束結果が異常である鉄筋結束機1Aの台数が所定値内であると、
図15のステップSG5で、個別の結束結果が異常である鉄筋結束機1Aの台数に関する結束結果が正常であることを示す結束結果情報を記録する。これに対し、個別の結束結果が異常である鉄筋結束機1Aの台数が所定値を超えると、
図15のステップSG6で、個別の結束結果が異常である鉄筋結束機1Aの台数に関する結束結果が異常であることを示す結束結果情報を記録すると共に、結束設備機器100Aの運転を停止する。
【0168】
なお、複数の鉄筋結束機1Aを備えた結束設備機器100A及び結束設備機器100Bでは、情報処理装置110aは、複数の鉄筋結束機1Aで同時または、所定の時間内に結束結果が異常であると判断すると、すべての鉄筋結束機1Aで以後の結束動作を一時中断しても良い。
【0169】
<結束方向を切り替える動作例>
図16Aは、結束方向を切り替えた結束結果の一例を示す平面図、
図16B、
図16Cは、結束方向を切り替えた結束結果の一例を示す要部平面図である。
【0170】
情報処理装置110aは、結束後の結束箇所画像情報Pc1を取得した結束箇所P10のアドレスを取得し、結束箇所画像情報Pc1で特定されるワイヤWの結束方向とアドレスを関連づける。そして、結束箇所P10のアドレスに応じて、鉄筋結束機1Aを回転させ、結束方向を切り替えることで、結束方向が同一方向に偏ることを抑制する。
【0171】
例えば、
図16Aに示すアドレス(C,3)で特定される結束箇所P10と、アドレス(C,3)と隣り合うアドレス(C,4)で特定される結束箇所P10で、交差した2本の鉄筋Sの延伸方向に対して、ワイヤWが巻かれる向きを所定の角度、例えば略90°異ならせて、結束方向を切り替えても良い。
【0172】
<鉄筋の画像認識により取得した鉄筋識別情報による動作例>
図17は、鉄筋の画像認識により取得した鉄筋識別情報による動作の一例を示すフローチャートで、次に、各図を参照して、鉄筋Sの結束箇所P10の画像認識に基づき、結束関連情報として、鉄筋Sの直径等の鉄筋識別情報を取得して結束する動作について説明する。
【0173】
結束設備機器100Aは、
図17のステップSH1で、
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aが所定のプログラムにより移動機200Aを制御して、鉄筋結束機1Aを移動機200Aの動作で次の結束箇所P10に移動させる。結束設備機器100Bは、鉄筋Sを移動させて、結束箇所P10を鉄筋結束機1Aの位置に合わせる。以下の動作は結束設備機器100Aについて説明するが、結束設備機器100Bでも同様である。次の結束箇所P10がカメラ121の撮影範囲に入る位置まで、鉄筋結束機1Aが移動すると、鉄筋結束機1Aの制御部14は、カメラ121を制御して次の結束箇所P10を撮影して、結束関連情報の一例である鉄筋識別情報として、結束対象の鉄筋Sを識別するために必要な結束前の結束箇所画像情報を取得する。なお、鉄筋結束機1Aの向きを変える等により、次の結束箇所P10を複数方向から撮影しても良い。
【0174】
鉄筋結束機1Aの制御部14は、次の結束箇所P10をカメラ121で撮影して取得した結束動作の実行前の結束箇所画像情報を、情報通信部102で
図4A、
図4B及び
図4Cに示す情報処理装置110b、
図4Dに示す情報処理装置110aに通知する。
図4Cに示す情報処理装置110bであれば、鉄筋結束機1Aから通知された結束前の結束箇所画像情報を情報処理装置110aに通知する。
図4A及び
図4Bに示す情報処理装置110aであれば、情報処理装置110bに通知された結束箇所画像情報が人の操作で入力されても良い。
【0175】
図18A、
図18Bは、結束前の結束箇所画像情報の一例を示す説明図である。
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、
図17のステップSH2で、結束前の結束箇所画像情報Pc2を画像認識し、
図17のステップSH3で、鉄筋Sの直径を求める等により、結束箇所P10で交差した鉄筋Sの組み合わせを識別して、鉄筋識別情報を取得する。なお、情報処理装置110aは、結束箇所P10を複数方向から撮影して取得した2D画像の結束箇所画像情報を合成して3D画像を生成し、2D画像と3D画像から結束箇所P10で交差した鉄筋Sの組み合わせを識別しても良い。
【0176】
情報処理装置110aは、鉄筋Sの直径や組み合わせ等を識別する鉄筋識別情報に基づき、上述した結束動作におけるワイヤWの送り量や送り速度、例えば、ワイヤWを鉄筋Sに巻きつけるための逆方向への送り量や送り速度、ワイヤWを捩じる際の係止部材70の回転速度、回転量等を設定し、鉄筋Sの組み合わせ等に基づく設定情報を鉄筋結束機1Aに通知し、
図17のステップSH4で、結束動作における各設定を、鉄筋Sの直径や組み合わせに適した設定に切り替える。そして、
図17のステップSH5で、鉄筋結束機1Aを移動機200A、200Bの動作で結束箇所P10に近づく方向に移動させて、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込み、鉄筋結束機1Aを結束位置P10に移動させる。
【0177】
情報処理装置110aは、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込むと、鉄筋結束機1Aの動作を制御し、
図17のステップSH6で、鉄筋Sの直径や組み合わせに適したワイヤWの送り量や捩じり量等の設定に基づき、上述した結束動作を実行する。
【0178】
例えば、上述した結束動作で、送りモータ31を逆回転させてワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作では、鉄筋Sの直径が小さい場合、鉄筋Sの直径が大きい場合と比較して、ワイヤWを逆方向に送る量を多くする必要がある。そこで、鉄筋識別情報に基づき、ワイヤWを逆方向に送る動作での送りモータ31の回転量の大小が設定される。
【0179】
また、上述した結束動作で、モータ80を回転させてワイヤWを捩じる動作では、鉄筋Sの直径が小さい場合、鉄筋Sの直径が大きい場合と比較して、ワイヤWを捩じる量を多くする必要がある。そこで、鉄筋識別情報に基づき、ワイヤWを捩じる動作でのモータ80の回転量の大小が設定される。
【0180】
なお、適正な鉄筋Sの組み合わせ等を示す鉄筋識別情報を予め取得しておき、結束前の結束箇所画像情報等から取得した鉄筋識別情報が、結束に適さない鉄筋Sの組み合わせ等であると判断すると、結束動作を不可とする結束可否情報を報知しても良く、結束動作を不可とする結束可否情報に基づき、鉄筋結束機1A及び移動機200A、200Bを制御しても良い。
【0181】
<ワイヤの送り量により取得した鉄筋識別情報による動作例>
図19は、ワイヤの送り量により取得した鉄筋識別情報による動作の一例を示すフローチャートで、次に、各図を参照して、鉄筋SにワイヤWを巻きつける動作におけるワイヤWの送り量に基づき、鉄筋Sの直径等の鉄筋識別情報を取得して、結束する動作について説明する。
【0182】
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、移動機200Aを制御し、
図19のステップSJ1で、鉄筋結束機1Aを移動機200Aの動作により所定の結束箇所P10に移動させ、結束箇所P10に近づく方向に移動させて、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込み、鉄筋結束機1Aを結束位置P10に移動させる。
図1C等に示す結束設備機器100Bは、鉄筋Sを移動させて、結束箇所P10を鉄筋結束機1Aの位置に合わせる。以下の動作は結束設備機器100Aについて説明するが、結束設備機器100Bでも同様である。
【0183】
情報処理装置110aは、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込むと、鉄筋結束機1Aの動作を制御し、上述した結束動作を実行する。鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sを結束する動作では、
図19のステップSJ2で、送りモータ31を正回転させてワイヤWを正方向に送ることで、ワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回し、
図19のステップSJ3で、送りモータ31を逆回転させてワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付けて、ワイヤWを切断する。
【0184】
鉄筋結束機1Aは、送りモータ31を逆回転させてワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作で、送りモータ31の回転を開始してから停止させるまでの回転量を取得する。送りモータ31の逆回転を開始してから停止させるまでの回転量は、鉄筋Sの直径に応じて変わる。
【0185】
そこで、鉄筋結束機1Aは、送りモータ31の逆回転を開始してから停止させるまでの回転量を情報処理装置110aに通知する。情報処理装置110aは情報取得手段を構成し、
図19のステップSJ4で、この回転量に基づき、組み合わせられた(2本の)鉄筋Sの周長を求め、結束箇所P10で交差した鉄筋Sの組み合わせを識別する鉄筋識別情報を取得する。なお、制御部14で情報取得手段を構成し、制御部14がこの回転量に基づき、組み合わせられた鉄筋Sの周長を求め、結束箇所P10で交差した鉄筋Sの組み合わせを識別する鉄筋識別情報を取得して、鉄筋識別情報を情報処理装置110aに通知しても良い。また、情報処理装置110aは、鉄筋識別情報を報知しても良い。更に、
図4Cに示す情報処理装置110aは、鉄筋識別情報を情報処理装置110bに通知し、情報処理装置110bで鉄筋識別情報を報知しても良い。また、組み合わせられた鉄筋Sの周長に基づき、鉄筋Sの直径を参照しても良い。
【0186】
また、組み合わせられた鉄筋Sの周長に応じた送りモータ31の回転量(ワイヤWの逆方向への送り量)を「10」としたとき、例えば回転量が途中の「8」までは送りモータ31を第1の速度(第2の速度より大)で回転させてワイヤWを逆方向に送り、残りの「2」を第1の速度より低速の第2の速度で回転させてワイヤWを逆方向に送り、鉄筋SにワイヤWを巻き付ける。これにより、一連の結束動作の中で、鉄筋SにワイヤWを巻き付ける動作に掛かる時間が短縮され、結束時間を短縮できる。また、送りモータ31の逆回転を停止する前に、速度を低下させることで、鉄筋SにワイヤWが巻き付けられてワイヤWが送れない状態になってから若干量送りギア30が回転しても、送りギア30がワイヤWと擦れることにより与える影響を低減できる。
【0187】
情報処理装置110aは、送りモータ31の回転量から取得した鉄筋識別情報に基づき、上述した結束動作においてワイヤWを捩じる際の係止部材70の回転速度、回転量等を設定し、鉄筋Sの組み合わせに基づく設定情報を鉄筋結束機1Aに通知する。
【0188】
鉄筋結束機1Aは、
図19のステップSJ5で、結束動作における各設定を、鉄筋Sの直径や組み合わせに適した設定に切り替える。そして、
図19のステップSJ6で、鉄筋Sの直径や組み合わせに適したワイヤWの捩じり量や捩じり速度等の設定に基づき、上述した結束動作を実行する。
【0189】
<入力情報により取得した鉄筋識別情報による動作例>
図20は、入力情報により取得した鉄筋識別情報による動作の一例を示すフローチャートで、次に、各図を参照して、入力情報に基づき、鉄筋Sの直径等の鉄筋識別情報を取得して結束する動作について説明する。
【0190】
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aで情報取得手段を構成し、情報処理装置110aは、
図20のステップSK1で、鉄筋Sの直径、鉄筋Sの配列、交差する鉄筋Sの組み合わせ、各結束箇所P10の位置等の鉄筋識別情報を、情報処理装置110aのキーボード等の入力部の操作で入力、保存する。また、
図4Cに示す情報処理装置110bで情報取得手段を構成し、情報処理装置110bは、
図20のステップSK1で、鉄筋Sの直径、鉄筋Sの配列、交差する鉄筋Sの組み合わせ、各結束箇所P10の位置等の鉄筋識別情報を、情報処理装置110bのキーボード等の入力部の操作で入力、保存する。そして、情報処理装置110bで入力、保存された鉄筋識別情報を情報処理装置110aに通知し、情報処理装置110aで保存する。
【0191】
図21A及び
図21Bは、鉄筋の配列例を示す説明図である。
図21Aに示すように、鉄筋Sが平面状に配列されている構造物S10と、
図21Bに示すように、鉄筋Sが立体的に配列されている構造物S11では、各結束箇所P10において求められる結束性能が異なる場合がある。また、同一の構造物(S10、S11)の中でも、結束箇所P10の位置に応じて求められる結束性能が異なる場合がある。
【0192】
そこで、情報処理装置110aは、
図20のステップSK2で、入力、保存された鉄筋識別情報に基づき、上述した結束動作におけるワイヤWの送り量や送り速度、例えば、ワイヤWを鉄筋Sに巻きつけるための逆方向への送り量や送り速度、ワイヤWを捩じる際の係止部材70の回転速度、回転量等を、結束箇所P10の位置に合わせて設定し、鉄筋Sの組み合わせ及び結束箇所P10の位置等に基づく設定情報を鉄筋結束機1Aに通知する。また、情報処理装置110aは、入力、保存された鉄筋識別情報に基づき、鉄筋結束機1Aを移動すべき結束箇所P10の位置、結束箇所P10に移動する順番等を設定し、設定情報を移動機200Aに通知する。
【0193】
鉄筋結束機1Aは、
図20のステップSK3で、結束動作における各設定を、鉄筋識別情報に適した設定に切り替える。
【0194】
情報処理装置110aは、鉄筋識別情報に基づく設定情報に基づき、移動機200Aを制御し、
図20のステップSK4で、鉄筋結束機1Aを移動機200Aの動作により所定の結束箇所P10に移動させ、結束箇所P10に近づく方向に移動させて、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込み、鉄筋結束機1Aを結束位置P10に移動させる。
【0195】
情報処理装置110aは、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込むと、結束箇所P10に応じた設定情報で、鉄筋結束機1Aの動作を制御する。
【0196】
鉄筋結束機1Aは、
図20のステップSK5で、鉄筋識別情報に基づき切り替えられる設定情報で、制御部14がモータ80及び送りモータ31を制御し、鉄筋SをワイヤWで結束する一連の動作を実行する。
【0197】
なお、鉄筋Sを識別する鉄筋識別情報を取得する情報取得部は、カメラに限らず、物体の大きさを認識可能なセンサ等でも良い。
【0198】
<結束動作の工程終盤で鉄筋結束機から鉄筋を抜くタイミングを判断する動作例>
図22は、結束動作の工程終盤で鉄筋結束機から鉄筋を抜くタイミングを判断する動作の一例を示すフローチャートで、次に、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10から離れる方向に移動させる動作として、結束動作の工程終盤で、結束部7を駆動する駆動部8のモータ80の駆動が停止されるまでの間の所定のタイミングで、鉄筋結束機1Aと鉄筋Sとの相対的な移動により、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51との間から鉄筋Sを抜く動作について説明する。
【0199】
結束設備機器100A、100Bでは、鉄筋結束機1AがワイヤWで鉄筋Sを結束する動作を開始すると、鉄筋結束機1Aと結束箇所P10を離れる方向に移動させるタイミングが判断される。そして、移動機200A、200Bが、判断されたタイミングに応じて、鉄筋結束機1Aと鉄筋Sとの相対的な移動により、鉄筋結束機1Aと結束箇所P10を離れる方向に移動させる。
【0200】
以下の動作例では、係止部材70でのワイヤWの係止の有無として、結束動作の工程終盤で、係止部材70でワイヤWの係止が解除されたか否かの判断に基づき、鉄筋結束機1Aと結束箇所P10を離れる方向に移動させるタイミングが判断される。
【0201】
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、移動機200Aを制御し、
図22のステップSM1で、鉄筋結束機1Aを移動機200Aの動作により所定の結束箇所P10に移動させ、結束箇所P10に近づく方向に移動させて、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込み、鉄筋結束機1Aを結束位置P10に移動させる。
図1Cに示す結束設備機器100Bでは、鉄筋Sを移動させて、結束箇所P10を鉄筋結束機1Aの位置に合わせ、鉄筋結束機1Aを移動機200Bの動作により結束箇所P10に近づく方向に移動させて、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込み、鉄筋結束機1Aを結束位置P10に移動させる。
【0202】
情報処理装置110aは、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込むと、鉄筋結束機1Aの動作を制御し、上述した結束動作を実行する。鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sを結束する動作では、制御部14は、
図22のステップSM2で、送りモータ31を正回転させてワイヤWを正方向に送ることで、ワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す。
【0203】
制御部14は、ワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回すと、送りモータ31の回転を停止し、モータ80を所定量正回転させて、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに近づく方向に移動させ、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを係止部材70で係止すると、モータ80の回転を停止し、
図22のステップSM3で、送りモータ31を逆回転させてワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付けて、ワイヤWを切断する。制御部14は、ワイヤWを切断すると、
図22のステップSM4で、モータ80を正回転させて、係止部材70で係止したワイヤWを捩じる。
【0204】
鉄筋結束機1Aの制御部14は、上述したように、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに近づく方向に移動させ、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを係止部材70で係止し、
図22のステップSM4で、ワイヤWを捩じる動作を開始してから、ワイヤWで鉄筋Sを結束する動作が終了して、結束部7を駆動する駆動部8のモータ80の駆動が停止されるまでの間で、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10から離れる方向に移動させるタイミングを判断する。
【0205】
例えば、駆動部8の作動量であるモータ80の回転量、または、駆動部8に掛かる負荷であるモータ80に掛かる負荷のいずれか、あるいは、モータ80の回転量及びモータ80に掛かる負荷の両方に基づき、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10から離れる方向に移動させるタイミングを判断する。また、係止部材70の位置、状態を検知する検知手段としてのセンサを備え、係止部材70、スリーブ71の位置、状態等に基づき、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10から離れる方向に移動させるタイミングを判断する。
【0206】
上述したように、係止部材70を回転させてワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知される等により、ワイヤWが所定量捩じられると、モータ80の正転を停止させて、
図22のステップSM5で、ワイヤWを捩じる動作を終了した後、モータ80が逆回転方向に駆動される。
【0207】
モータ80が逆回転方向に駆動され、第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cから離れる方向に移動し、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cから離れる方向に移動すると、スリーブ71が初期位置に戻り、モータ80の逆転を停止させるより前に、鉄筋Sを結束したワイヤWが係止部材70から抜くことが可能な状態となる。
【0208】
鉄筋Sを結束したワイヤWを係止部材70から抜くことが可能な状態となると、スリーブ71が初期位置に戻り、モータ80の逆転を停止させるより前に、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10から離れる方向に移動させることができる。
【0209】
そこで、制御部14は、鉄筋Sを結束したワイヤWを係止部材70から抜くことが可能な状態となるまで、第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cから離れる方向に所定量移動し、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cから離れる方向に所定量移動したことを、例えばモータ80の回転量、または、図示しないセンサで取得した第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lの開閉状態等に基づき検知する。
【0210】
そして、モータ80の逆回転方向への回転を開始してからのモータ80の回転量等に基づき、係止部材70でワイヤWの係止が解除されたか否かを判断し、
図22のステップSM6で、係止部材70でのワイヤWの係止の有無に基づき、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10から離れる方向に移動させるタイミングであると判断すると、移動許可情報を通知する。
【0211】
情報処理装置110aは、鉄筋結束機1Aから移動許可情報が通知されると、
図22のステップSM7で、移動機200Aを制御して、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10から離れる方向に移動させ、更に、次の結束箇所に鉄筋結束機1Aを移動させる。
図1Cに示す結束設備機器100Bでは、移動機200Bを制御して、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10から離れる方向に移動させ、更に、次の結束箇所に鉄筋結束機1Aが位置するように、鉄筋Sを移動させる。
【0212】
これにより、ワイヤWで鉄筋Sを結束する動作が終了して、係止部材70を駆動するモータ80の駆動が停止される前に、鉄筋結束機1Aが結束箇所P10から離れる方向に移動を開始できるので、複数の結束箇所P10で連続して結束動作を行う場合に、処理時間を短縮できる。
【0213】
<鉄筋結束機を鉄筋から離れる方向に移動させてワイヤの弛みを除去する動作例>
図23は、鉄筋結束機を鉄筋から離れる方向に移動させてワイヤの弛みを除去する動作の一例を示すフローチャートである。鉄筋結束機1Aを結束箇所P10から離れる方向に移動させる動作として、結束動作の工程初期で、鉄筋結束機1Aと鉄筋Sとの相対的な移動により、ワイヤの弛みを除去する動作について説明する。
【0214】
以下の動作例では、係止部材70でのワイヤWの係止の有無として、結束動作の工程初期で、係止部材70でワイヤWが係止されたか否かの判断に基づき、鉄筋結束機1Aと結束箇所P10を離れる方向に移動させるタイミングが判断される。
【0215】
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、移動機200Aを制御し、
図23のステップSN1で、鉄筋結束機1Aを移動機200Aの動作により所定の結束箇所P10に移動させ、結束箇所P10に近づく方向に移動させて、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込み、鉄筋結束機1Aを結束位置P10に移動させる。
図1Cに示す結束設備機器100Bでは、鉄筋Sを移動させて、結束箇所P10を鉄筋結束機1Aの位置に合わせ、鉄筋結束機1Aを移動機200Bの動作により結束箇所P10に近づく方向に移動させて、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込み、鉄筋結束機1Aを結束位置P10に移動させる。
【0216】
情報処理装置110aは、カール形成部5のカールガイド50と誘導ガイド51の間に鉄筋Sを入れ込むと、鉄筋結束機1Aの動作を制御し、上述した結束動作を実行する。鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sを結束する動作では、制御部14が
図23のステップSN2で、送りモータ31を正回転させてワイヤWを正方向に送ることで、ワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す。
【0217】
制御部14は、ワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回すと、送りモータ31の回転を停止し、モータ80を所定量正回転させて、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lをセンターフック70Cに近づく方向に移動させ、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを係止部材70で係止すると、モータ80の回転を停止し、
図23のステップSN3で、送りモータ31を逆回転させてワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付けて、ワイヤWを切断する。
【0218】
鉄筋Sに巻き付けられ、係止部材70で係止されたワイヤWを、鉄筋Sから離れる方向に引っ張ると、ワイヤWを捩じる前の弛みが除去される。更に、鉄筋Sに巻き付けられ、係止部材70で係止されたワイヤWを、鉄筋Sから離れる方向に引っ張る力を加えながら捩じると、ワイヤWと鉄筋Sとの間に隙間が生じないようにして、ワイヤWが捩じられる。
【0219】
そこで、制御部14は、
図23のステップSN4で、係止部材70でワイヤWを係止してから、所定のタイミングになったことを、例えばモータ80の回転量に基づき検知し、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10から離れる方向に移動させるタイミングであると判断すると、移動許可情報を通知する。
【0220】
情報処理装置110aは、鉄筋結束機1Aから移動許可情報が通知されると、
図23のステップSN5で、移動機200A、200Bを制御して、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sから離れる方向に所定量移動させる。
【0221】
制御部14は、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sから離れる方向に所定量移動させると、
図23のステップSN6で、モータ80を正回転させて、係止部材70で係止したワイヤWを捩じる。そして、係止部材70を回転させてワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知される等により、ワイヤWが所定量捩じられると、
図23のステップSN7で、モータ80の正転を停止させて、ワイヤWを捩じる動作を終了する。
【0222】
これにより、ワイヤWで鉄筋Sを結束する動作を開始してから、ワイヤWで鉄筋Sを結束する動作が終了するまでの間において、結束動作の初期段階で、鉄筋結束機1Aを結束箇所P10Aから離れる方向に移動させることで、鉄筋Sに巻き付けられ、係止部材70で係止されたワイヤWが、鉄筋Sから離れる方向に引っ張られ、ワイヤWを捩じる前の弛みを除去することができる。
【0223】
<鉄筋結束機の着脱構成例>
図24A、
図24Bは、鉄筋結束機の着脱構造の一例を示す斜視図である。結束設備機器100Aは、移動機200Aに鉄筋結束機1Aを着脱可能に取り付ける着脱部201を備える。着脱部201は、
図24Aに示すように、移動機200Aに着脱可能に連結される連結部202を備える。また、着脱部201は、
図24Bに示すように、鉄筋結束機1Aのハンドル部11を着脱可能に保持する保持部203を備える。
【0224】
鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11が着脱部201の保持部203で保持され、鉄筋結束機1Aを保持した着脱部201の連結部202が移動機200Aに連結され、図示しない配線が接続されることで、情報処理装置110aによる制御が可能な状態で、移動機200Aに取り付けられる。なお、鉄筋結束機1Aは、無線で情報処理装置110a等と接続されても良い。
【0225】
また、鉄筋結束機1Aは、
図24Aに示すように、着脱部201が移動機200Aから外され、
図24Bに示すように、着脱部201からハンドル部11が外されることで、単独で使用できる形態となる。
【0226】
図25は、鉄筋結束機を単独で使用する形態の一例を示す説明図である。鉄筋結束機1Aを単独で使用する場合、バッテリ取付部17にバッテリ15を取り付ける。そして、ハンドル部11を手で持ち、トリガ12を操作することで、上述した結束動作が実行される。なお、鉄筋結束機1Aは、マガジン2が一体に設けられているので、手で持って使用する形態で、外部よりワイヤWの供給を受けることなく、鉄筋結束機1A単体で鉄筋SをワイヤWで結束する動作が実行可能である。
【0227】
<移動機の変形例>
図26Aは、移動機の変形例を示す本実施の形態の結束装置の斜視図、
図26Bは、移動機の変形例を示す本実施の形態の結束設備機器の斜視図である。
図26Aに示す結束装置100Cは、鉄筋結束機1Aと、鉄筋結束機1Aを鉄筋Sの配設面SFに沿って走行させる移動機200Cを備える。移動機200Cは、鉄筋Sに乗り、図示しないモータに駆動される無限軌道202Cを備える。移動機200Cは、無限軌道202Cが回転することで、鉄筋Sの延伸方向に沿って移動する。また、左右の無限軌道202Cの回転数を変えることで、移動機200Cの進行方向が変えられ、格子状に配設された鉄筋Sのそれぞれの延伸方向に沿って移動する。更に、移動機200Cは、鉄筋結束機1Aを、鉄筋Sの配設面SFに対して近づく方向と離れる方向に移動させる図示しない昇降機を備える。
【0228】
図26Bに示す結束設備機器100Dは、鉄筋結束機1Aと、鉄筋結束機1Aをフレーム203Dで吊下した移動機200Dを備える。移動機200Dは、格子状に配設された鉄筋Sの一の方向に沿って、矢印X1、X2方向にフレーム203Dが移動可能に構成されると共に、格子状に配設された鉄筋Sの他の方向に沿って、矢印Y1、Y2方向に鉄筋結束機1Aが移動可能に構成される。また、移動機200Dは、鉄筋結束機1Aを、鉄筋Sの配設面SFに対して近づく矢印Z1方向と離れる矢印Z2方向に移動させる昇降機204Dを備える。
【0229】
<ワイヤの残量に基づく結束動作例>
図27A、
図27Bは、ワイヤの残量に基づく結束動作の一例を示すフローチャートである。上述した鉄筋結束設備100A、100B、100D、結束装置100Cでは、ワイヤWの残量を検出し、結束関連情報としてワイヤWの残量に基づき、結束動作を制御しても良い。
【0230】
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dに示す情報処理装置110aは、結束予定数予測手段を構成し、
図27AのステップSP1で、構造物において鉄筋SをワイヤWで結束することが必要な結束予定数を、情報の入力、鉄筋Sの本数等に基づく算出等により予測する。
【0231】
また、情報処理装置110aは、ワイヤ必要量予測手段を構成し、
図27AのステップSP2で、鉄筋Sを結束するために必要なワイヤ必要量を、鉄筋SをワイヤWで結束することが必要な結束予定数と、鉄筋Sの直径等に基づく算出等により予測する。
【0232】
鉄筋結束機1Aの制御部14は、ワイヤ残量検出手段を構成し、例えば、送りモータ31の回転量に基づき、ワイヤWの正方向への送り量と逆方向への送り量の差分等からワイヤWが引き出された量を推定し、
図27AのステップSP3で、リール20に巻かれたワイヤ残量を取得する。また、制御部14は、ワイヤ残量を情報処理装置110aに通知する。ワイヤWの正方向への送り量は、鉄筋Sの直径等によらず、略一定である。これに対して、ワイヤWの逆方向への送り量は、ワイヤWが巻き付けられる鉄筋Sの直径等によって異なる。このため、ワイヤWの逆方向への送り量に基づき、リール20から引き出されたワイヤWの量を推定して、ワイヤWの残量を取得できる。なお、情報処理装置110aは、結束予定数、ワイヤ必要量を鉄筋結束機1Aに通知しても良い。
【0233】
情報処理装置110aは、
図27AのステップSP4で、ワイヤ必要量とワイヤ残量とを比較し、ワイヤ必要量に対するワイヤ残量の過不足を判断する。情報処理装置110aは、ワイヤ必要量に対してワイヤ残量が規定値以上あると判断すると、
図27AのステップSP5で、上述した結束動作を実行する。情報処理装置110aは、ワイヤ必要量に対してワイヤ残量が不足していると判断すると、
図27AのステップSP6で、報知情報を出力する。
【0234】
また、情報処理装置110aは、ワイヤ必要量に対してワイヤ残量が不足していると判断すると、結束動作を実行する結束箇所P10を設定し、該当する結束箇所P10のアドレスに基づき移動機200Aを制御して鉄筋結束機1Aを結束箇所P10に移動させると共に、移動機200A、200Bを制御して、鉄筋結束機1Aと鉄筋Sの相対的な移動で、鉄筋結束機1Aと結束箇所P10の位置を合わせると共に、鉄筋結束機1Aを制御して結束動作を実行しても良い。
【0235】
すなわち、情報処理装置110aは、結束予定数予測手段を構成し、
図27BのステップSQ1で、構造物において鉄筋SをワイヤWで結束することが必要な結束予定数を、情報の入力、鉄筋Sの本数等に基づく算出等により予測する。
【0236】
また、情報処理装置110aは、ワイヤ使用量予測手段を構成し、
図27BのステップSQ2で、鉄筋Sを結束するために必要なワイヤ必要量を、鉄筋SをワイヤWで結束することが必要な結束予定数と、鉄筋Sの直径等に基づく算出等により予測する。
【0237】
鉄筋結束機1Aの制御部14は、ワイヤ残量検出手段を構成し、例えば、送りモータ31の回転量に基づき、ワイヤWの正方向への送り量と逆方向への送り量の差分等からワイヤWが引き出された量を推定し、
図27BのステップSQ3で、リール20に巻かれたワイヤ残量を取得する。また、制御部14は、ワイヤ残量を情報処理装置110aに通知する。
【0238】
情報処理装置110aは、
図27BのステップSQ4で、ワイヤ必要量とワイヤ残量とを比較し、ワイヤ必要量に対するワイヤ残量の過不足を判断する。情報処理装置110aは、ワイヤ必要量に対してワイヤ残量が規定値以上あると判断すると、
図27BのステップSQ5で、結束箇所が制限されない上述した通常の結束動作を実行する。情報処理装置110aは、ワイヤ必要量に対してワイヤ残量が不足していると判断すると、
図27BのステップSQ6で、ワイヤ残量での結束可能範囲を算出する。
【0239】
鉄筋結束機1Aの待機位置が設定されている場合、
図27BのステップSQ7で、例えば待機位置に近い結束箇所P10を選択して、結束箇所の範囲を制限し、
図27BのステップSQ8で、結束箇所の範囲が制限された結束動作を実行する。これにより、例えば
図26Aに示す結束装置100Cで、待機位置から遠い結束箇所P10に鉄筋結束機1Aが移動したときに、ワイヤWが無くなることを抑制する。また、優先して結束すべき結束箇所として、例えば構造物の形状を保つために必要な結束箇所P10を選択し、すべての結束箇所P10が結束されていなくても、構造物の強度や形状を保てるようにする。
【0240】
図28A、
図28B及び
図28Cは、ワイヤ残量を算出する動作例を示すフローチャートである。ワイヤWの残量は、リール20の重量に基づき判断しても良い。すなわち、
図28AのステップSR1で、リール20の重量の現状値を取得し、
図28AのステップSR2で、リール20の重量の現状値から、予め取得したワイヤWが巻かれていないリール20の空重量を減算して、リール20に巻かれたワイヤWの重量を算出し、
図28AのステップSR3で、ワイヤWの重量からワイヤ残量を算出する。
【0241】
リール20に巻かれているワイヤWの量が多ければ、リール20の重量は重くなり、リール20に巻かれているワイヤWの量が少なければ、リール20の重量は軽くなる。このため、リール20の重量と、リール20に巻かれているワイヤWの残量を関連付けたテーブル等を作成しておけば、リール20の重量に基づき、リール20に巻かれているワイヤWの残量を推定することができる。
【0242】
また、ワイヤWの残量は、結束回数に基づき判断しても良い。すなわち、新規のリール20に巻かれたワイヤWの長さを求めておき、また、1回の結束動作で使用されるワイヤWの量を、鉄筋Sの直径等に応じて求めておくことで、新規のリール20の使用を開始してからの累積結束回数に基づき、リール20に巻かれているワイヤWの残量を推定することができる。
【0243】
例えば、
図28BのステップSS1で、リール20の交換後の結束回数を取得し、
図28BのステップSS2で、結束回数に基づき、ワイヤWを正方向に送った正方向送り量を算出し、
図28BのステップSS3で、結束回数に基づき、ワイヤWを逆方向に送った逆方向送り量を算出する。そして、
図28BのステップSS4で、正方向送り量と逆方向送り量の差分から、結束動作1回あたりのワイヤ使用量を算出し、
図28BのステップSS5で、結束動作1回あたりのワイヤ使用量と、結束回数に基づき、リール20の交換後のワイヤ使用量を算出し、ワイヤ使用量に基づきワイヤ残量を算出する。
【0244】
また、ワイヤWの残量は、リール20の回転回数に基づき判断しても良い。例えば、図示しないセンサでリール20の回転数を取得可能とし、
図28CのステップST1で、リール20の交換後の回転回数を取得する。
図28CのステップST2で、リール20の回転回数からワイヤWの送り量を算出し、
図28CのステップST3で、予め取得した新規のリール20に巻かれたワイヤWの長さと、ワイヤWの送り量に基づき、ワイヤ残量を算出する。
【0245】
図29Aは、本実施の形態の結束設備機器の変形例を示す斜視図、
図29Bは、リール収容部の要部構成を示す斜視図である。
図1C及び
図29A等に示す結束設備機器100Bのように、ワイヤWが巻かれたリール20を収容するリール収容部21を鉄筋結束機1Aと独立させた構成では、既存の鉄筋結束機1Aを流用しつつ、リール20に巻かれたワイヤWの残量を取得する構成を追加することができる。
【0246】
リール収容部21は、リール20に巻かれたワイヤWの残量を検出するワイヤ残量検出部21aを備える。なお、2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成では、リール収容部21に2個のリール20が回転可能に取り付けられる。
【0247】
ワイヤ残量検出部21aはワイヤ残量検出手段の一例で、例えば光学センサで構成される。ワイヤ残量検出部21aは、リール20の側面に設けられた開口20aに露出するワイヤWの図示しない芯部からの高さを検出することで、リール20に巻かれているワイヤWの残量を検出する。
【符号の説明】
【0248】
1A・・・鉄筋結束機、10・・・本体部、2・・・マガジン、3・・・ワイヤ送り部、30・・・送りギア、5・・・カール形成部、50・・・カールガイド、51・・・誘導ガイド、6・・・切断部、60・・・固定刃部、61・・・可動刃部、7・・・結束部、70・・・係止部材、70R・・・第1のサイドフック、70L・・・第2のサイドフック、70C・・・センターフック、71・・・スリーブ、71a・・・開閉ピン、72・・・回転軸、72a・・・送りネジ、8・・・駆動部、80・・・モータ、81・・・減速機、100A、100B、100D・・・結束設備機器、100C・・・結束装置、101・・・情報取得部(情報取得手段)、102・・・情報通信部、110・・・情報処理装置、200A、200B、200C、200D・・・移動機、201・・・着脱部、204D・・・昇降機、21・・・リール収容部、21a・・・ワイヤ残量検出部(ワイヤ残量検出手段)、W・・・ワイヤ