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特開2023-105971光デバイス、光送信装置、光受信装置及び光通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105971
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】光デバイス、光送信装置、光受信装置及び光通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/07 20130101AFI20230725BHJP
   H04B 10/50 20130101ALI20230725BHJP
   H04B 10/61 20130101ALI20230725BHJP
【FI】
H04B10/07
H04B10/50
H04B10/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007039
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大坪 孝二
(72)【発明者】
【氏名】高林 和雅
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】牧野 俊太郎
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA41
5K102AD15
5K102AH02
5K102AH14
5K102AH24
5K102AH26
5K102AH27
5K102LA04
5K102LA05
5K102LA11
5K102LA52
5K102MH02
5K102MH03
5K102MH16
5K102MH22
5K102MH23
5K102PB01
5K102PH01
5K102PH15
5K102PH22
5K102PH23
5K102PH31
5K102PH42
5K102PH49
5K102PH50
5K102RD02
(57)【要約】
【課題】SOAを評価できる光デバイス等を提供することを目的とする。
【解決手段】光デバイスは、光源からの光信号を入力する光カプラと、光カプラからの光信号を増幅する半導体光増幅器と、半導体光増幅器からの自然放出光を受光する受光素子と、を有する。光カプラは、光源からの光信号を入力する第1の入力ポートと、受光素子の入力段と接続する、第1の入力ポートと異なる第2の入力ポートと、半導体光増幅器の入力段と接続し、第1の入力ポートからの光信号を半導体光増幅器に出力する出力ポートと、を有する。受光素子は、出力ポートと第2の入力ポートとを経て、半導体光増幅器からの自然放出光を受光する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光信号を入力する光カプラと、前記光カプラからの光信号を増幅する半導体光増幅器と、前記光カプラを経て、前記半導体光増幅器からの自然放出光を受光する受光素子と、を有し、
前記光カプラは、
前記光源からの前記光信号を入力する第1の入力ポートと、
前記受光素子の入力段と接続する、前記第1の入力ポートと異なる第2の入力ポートと、
前記半導体光増幅器の入力段と接続し、前記第1の入力ポートからの光信号を前記半導体光増幅器に出力する出力ポートと、を有し、
前記受光素子は、
前記出力ポートと前記第2の入力ポートとを経て、前記半導体光増幅器からの前記自然放出光を受光することを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記半導体光増幅器は、
前記光カプラが形成された光集積回路と異なる直接遷移の化合物半導体で形成されることを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記出力ポートは、
第1の出力ポートと、
前記第1の出力ポートと異なる第2の出力ポートとを有し、
前記半導体光増幅器は、
第1の光変調器と前記第1の出力ポートとの間に接続し、前記第1の出力ポートからの前記光信号を増幅する第1の半導体光増幅器と、
前記第1の光変調器と異なる第2の光変調器と前記第2の出力ポートとの間に接続し、前記第2の出力ポートからの前記光信号を増幅する第2の半導体光増幅器と、を有し、
前記受光素子は、
前記出力ポートと前記第2の入力ポートとを経て前記第1の半導体光増幅器及び前記第2の半導体光増幅器からの前記自然放出光を受光することを特徴とする請求項1又は2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記出力ポートは、
第1の出力ポートと、
前記第1の出力ポートと異なる第2の出力ポートとを有し、
前記半導体光増幅器は、
電気信号を用いて前記光信号を変調する光変調器と前記第1の出力ポートとの間に接続し、前記第1の出力ポートからの前記光信号を増幅する第1の半導体光増幅器と、
前記光信号を用いて受信光から電気信号を得る光受信器と前記第2の出力ポートとの間に接続し、前記第2の出力ポートからの前記光信号を増幅する第2の半導体光増幅器と、を有し、
前記受光素子は、
前記出力ポートと前記第2の入力ポートとを経て前記第1の半導体光増幅器及び前記第2の半導体光増幅器からの前記自然放出光を受光することを特徴とする請求項1又は2に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記第1の出力ポートと前記第1の半導体光増幅器との間に接続し、前記第1の出力ポートからの前記光信号を分岐する光分岐部を備え、
前記第1の半導体光増幅器は、
前記光分岐部と前記光変調器内の第1の光変調器との間に接続し、前記光分岐部からの前記光信号を増幅する第1の変調器用半導体光増幅器と、
前記光分岐部と前記光変調器内の第2の光変調器との間に接続し、前記光分岐部からの前記光信号を増幅する第2の変調器用半導体光増幅器と、を有し、
前記受光素子は、
前記出力ポートと前記第2の入力ポートとを経て前記第1の変調器用半導体光増幅器、前記第2の変調器用半導体光増幅器及び前記第2の半導体光増幅器からの前記自然放出光を受光することを特徴とする請求項4に記載の光デバイス。
【請求項6】
光源からの光信号を入力する光カプラと、前記光カプラからの光信号を増幅する半導体光増幅器と、前記半導体光増幅器で増幅された前記光信号を、電気信号を用いて光変調する光変調器と、前記光カプラを経て、前記半導体光増幅器からの自然放出光を受光する受光素子と、を有し、
前記光カプラは、
前記光源からの前記光信号を入力する第1の入力ポートと、
前記受光素子の入力段と接続する、前記第1の入力ポートと異なる第2の入力ポートと、
前記半導体光増幅器の入力段と接続し、前記第1の入力ポートからの光信号を前記半導体光増幅器に出力する出力ポートと、を有し、
前記受光素子は、
前記出力ポートと前記第2の入力ポートとを経て前記半導体光増幅器からの前記自然放出光を受光することを特徴とする光送信装置。
【請求項7】
光源からの光信号を入力する光カプラと、前記光カプラからの光信号を増幅する半導体光増幅器と、前記半導体光増幅器で増幅された前記光信号を用いて、受信光から電気信号を得る光受信器と、前記光カプラを経て、前記半導体光増幅器からの自然放出光を受光する受光素子と、を有し、
前記光カプラは、
前記光源からの前記光信号を入力する第1の入力ポートと、
前記受光素子の入力段と接続する、前記第1の入力ポートと異なる第2の入力ポートと、
前記半導体光増幅器の入力段と接続し、前記第1の入力ポートからの光信号を前記半導体光増幅器に出力する出力ポートと、を有し、
前記受光素子は、
前記出力ポートと前記第2の入力ポートとを経て前記半導体光増幅器からの前記自然放出光を受光することを特徴とする光受信装置。
【請求項8】
光源からの光信号を入力する光カプラと、前記光カプラからの光信号を増幅する第1の半導体光増幅器及び第2の半導体光増幅器と、前記第1の半導体光増幅器で増幅された前記光信号を、電気信号を用いて光変調する光変調器と、前記第2の半導体光増幅器で増幅された前記光信号を用いて、受信光から電気信号を得る光受信器と、前記光カプラを経て、前記第1の半導体光増幅器及び前記第2の半導体光増幅器からの自然放出光を受光する受光素子と、を有し、
前記光カプラは、
前記光源からの前記光信号を入力する第1の入力ポートと、
前記受光素子の入力段と接続する、前記第1の入力ポートと異なる第2の入力ポートと、
前記第1の半導体光増幅器の入力段と接続し、前記第1の入力ポートからの光信号を前記第1の半導体光増幅器に出力する第1の出力ポートと、
前記第2の半導体光増幅器の入力段と接続し、前記第1の入力ポートからの光信号を前記第2の半導体光増幅器に出力する第2の出力ポートと、
を有し、
前記受光素子は、
前記第2の入力ポートを経て前記第1の半導体光増幅器及び前記第2の半導体光増幅器からの前記自然放出光を受光することを特徴とする光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス、光送信装置、光受信装置及び光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信分野において大容量の情報を長距離伝送するための手段として、例えば、DP-QPSK(Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)や多値QAM(Quadrature Amplitude Modulation)といった変調方式を用いるデジタルコヒーレント通信技術が知られている。
【0003】
デジタルコヒーレント光通信の光通信装置では、例えば、高出力や狭線幅のレーザ光を発光する可変光源と、電気信号を用いて、レーザ光をDP-QPSK信号や多値QAM信号に変調する光変調器とを有する。更に、光通信装置は、例えば、DP-QPSK信号や多値QAM信号を復調して電気信号を得る光受信器を有する。これらの要素の小型化を図る上で、光変調器及び光受信器はシリコンフォトニクス技術により光集積回路として1つのチップに集積可能である。
【0004】
しかしながら、例えば、400~800Gbps(Giga bit per second)の情報を長距離伝送するためには、光信号の高出力化や高感度受信の実現が求められている。従って、その実現には、光の増幅機能を光集積回路に配置する必要がある。そこで、光源と光変調器との間に半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)を配置することで、SOAは、光源からのレーザ光を光増幅し、光増幅後のレーザ光を光変調器に出力する。その結果、光変調器は、光信号の高出力化を実現できる。また、光源と光受信器との間にSOAを配置することで、SOAは、光源からのローカル光を光増幅し、光増幅後のローカル光を光受信器に出力する。その結果、光受信器は、高感度受信を実現できる。
【0005】
しかしながら、例えば、光変調器や光カプラ等の光集積回路はシリコンで製作が可能だが、SOA等の素子は間接遷移のシリコンで実現できない。従って、SOAは、光集積回路と異なる直接遷移の化合物半導体で形成され、光集積回路にハイブリッド集積されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-57412号公報
【特許文献2】特開2003-29069号公報
【特許文献3】米国特許第10754091号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
SOAは光集積回路にハイブリッド集積されるため、ハイブリッド集積前にSOAの初期不良を事前に取り除く必要がある。そこで、SOAを評価するバーンイン工程では、高温雰囲気で通電し、SOAからの光出力を検出し、光出力の変動が基準値以下のSOAを選別し、選別したSOAを光集積回路にハイブリッド集積する。また、光出力が基準値未満のSOAを取り換えることになる。
【0008】
しかしながら、光集積回路にSOAをハイブリッド集積した後、SOAを評価する場合には、SOAと後段で接続する光変調器の損失等で全体の入出力ポートからの自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)の検出が困難となる。そこで、光集積回路素子内に組み込まれたSOAからの光信号の光強度を検出するには、光集積回路内のSOAの後段に光分岐部を設けて分岐先に受光素子を集積し、その受光素子で検出した光信号の光強度でSOAを評価することになる。しかしながら、SOA後段に配置された光分岐部は、通常の通信中の状態(運用中)では不要であり使用しないので、この受光素子への光分岐は余計な光損失を加えることとなる。
【0009】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、半導体光増幅器(SOA)を評価できる光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願が開示する光デバイスは、1つの態様において、光源からの光信号を入力する光カプラと、光カプラからの光信号を増幅する半導体光増幅器と、半導体光増幅器からの自然放出光を受光する受光素子と、を有する。光カプラは、光源からの光信号を入力する第1の入力ポートと、受光素子の入力段と接続する、第1の入力ポートと異なる第2の入力ポートと、半導体光増幅器の入力段と接続し、第1の入力ポートからの光信号を半導体光増幅器に出力する出力ポートと、を有する。受光素子は、出力ポートと第2の入力ポートとを経て、半導体光増幅器からの自然放出光を受光する。
【発明の効果】
【0011】
本願が開示する光デバイス等の1つの態様によれば、半導体光増幅器(SOA)からの自然放出光を用いてSOAを評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例1の光通信装置の構成の一例を示す説明図である。
図2図2は、実施例1の光変調器の構成の一例を示す平面模式図である。
図3図3は、図2に示す光変調器内の第1のMPD及び光カプラの一例を示す説明図である。
図4図4は、SOA評価基準の一例を示す説明図である。
図5図5は、第1の評価処理に関わるDSPの処理動作の一例を示すフロー図である。
図6図6は、実施例2の光通信装置の構成の一例を示す説明図である。
図7図7は、実施例2の光変調器及び光受信器の構成の一例を示す平面模式図である。
図8図8は、図7に示す光変調器及び光受信器内の第1のMPD及び光カプラの一例を示す説明図である。
図9図9は、第2の評価処理に関わるDSPの処理動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願が開示する光デバイス等の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例0014】
図1は、実施例1の光通信装置1の構成の一例を示す説明図である。図1に示す光通信装置1は、出力側の光ファイバ2A(2)及び入力側の光ファイバ2B(2)と接続する。光通信装置1は、DSP(Digital Signal Processor)3と、光源4と、光変調器5と、光受信器6とを有するデジタルコヒーレント送受信機である。DSP3は、デジタル信号処理を実行する電気部品である。DSP3は、例えば、送信データの符号化等の処理を実行し、送信データを含む電気信号を生成し、生成した電気信号を光変調器5に出力する。また、DSP3は、受信データを含む電気信号を光受信器6から取得し、取得した電気信号の復号等の処理を実行して受信データを得る。
【0015】
光源4は、例えば、レーザダイオード等を備え、所定の波長のCW(Continuous Wave)光を発生させて光変調器5及び光受信器6へ供給する。光変調器5は、DSP3から出力される電気信号によって、光源4から供給されるレーザ光を変調し、得られた光送信信号を光ファイバ2Aに出力する光デバイスである。光変調器5は、例えば、シリコン光導波路と変調部とを備える光変調器等の光デバイスである。シリコン導波路は、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板上に形成される。光変調器5は、光源4から供給されるレーザ光がシリコン導波路を伝搬する際に、このレーザ光を変調部へ入力される電気信号によって変調することで、光送信信号を生成する。
【0016】
光受信器6は、光ファイバ2Bから光信号である受信光を受信し、光源4から供給されるレーザ光であるローカル光を用いて受信光を復調する。そして、光受信器6は、復調した受信光を電気信号に変換し、変換後の電気信号をDSP3に出力する。
【0017】
図2は、実施例1の光変調器5の構成の一例を示す平面模式図である。図2に示す光変調器5は、例えば、DP-IQ(Dual Polarization-Inphase and Quadratuer)光変調器である。光変調器5は、入力部11と、光カプラ12と、第1のSOA(Semiconductor Optical Amplifier)13A及び第2のSOA13Bと、X偏波成分の第1のIQ光変調器14Aと、Y偏波成分の第2のIQ光変調器14Bとを有する。更に、光変調器5は、第3のSOA15A及び第4のSOA15Bを有する。光変調器5は、第1のVOA(Variable Optical Attenuator)16A及び第2のVOA16Bと、PR(Polarization Rotator)17と、PBC(Polarization Beam Combiner)18と、出力部19と、を有する。更に、光変調器5は、受光素子である第1のMPD(Monitor Photo Diode)21と、第2のMPD22A及び第3のMPD22Bとを有する。
【0018】
入力部11は、光源4からの接続ファイバ4A経由でレーザ光を入力する部位である。光カプラ12は、例えば、2入力ポート及び2出力ポートの光カプラである。光カプラ12は、入力部11からのレーザ光を光分岐し、光分岐後のレーザ光を第1のSOA13A及び第2のSOA13Bに出力する。光カプラ12は、第1の入力ポート12Aと、第2の入力ポート12Bと、第1の出力ポート12Cと、第2の出力ポート12Dとを有する。第1の入力ポート12Aは、入力部11と接続し、入力部11からのレーザ光を入力するポートである。第2の入力ポート12Bは、第1のMPD21と接続し、第1のSOA13A及び第2のSOA13BからのASEをモニタするポートである。第1の出力ポート12Cは、第1のSOA13Aと接続し、レーザ光を第1のSOA13Aに出力するポートである。第2の出力ポート12Dは、第2のSOA13Bと接続し、レーザ光を第2のSOA13Bに出力するポートである。
【0019】
第1のSOA13Aは、光カプラ12内の第1の出力ポート12Cからのレーザ光を光増幅し、光増幅後のレーザ光を第1のIQ光変調器14Aに出力する第1の変調器用半導体光増幅器である。第2のSOA13Bは、光カプラ12内の第2の出力ポート12Dからのレーザ光を光増幅し、光増幅後のレーザ光を第2のIQ光変調器14Bに出力する第2の変調器用半導体光増幅器である。
【0020】
第1のIQ光変調器14Aは、第1のSOA13Aからの光増幅後のレーザ光を変調し、変調後のX偏波のIQ成分の信号光を第3のSOA15Aに出力する第1の光変調器である。第2のIQ光変調器14Bは、第2のSOA13Bからの光増幅後のレーザ光を変調し、変調後のY偏波のIQ成分の信号光を第4のSOA15Bに出力する第2の光変調器である。
【0021】
第3のSOA15Aは、第1のIQ光変調器14AからのX偏波のIQ成分の信号光を光増幅し、光増幅後のX偏波のIQ成分の信号光を第1のVOA16Aに出力する。第4のSOA15Bは、第2のIQ光変調器14BからのY偏波のIQ成分の信号光を光増幅し、光増幅後のY偏波のIQ成分の信号光を第2のVOA16Bに出力する。
【0022】
第1のVOA16Aは、X偏波のIQ成分の信号光の出力を調整し、調整後のX偏波のIQ成分の信号光をPBC18に出力する。第2のVOA16Bは、Y偏波のIQ成分の信号光の出力を調整し、調整後のY偏波のIQ成分の信号光をPR17に出力する。PR17は、Y偏波のIQ成分の信号光を偏波回転し、偏波回転後のY偏波のIQ成分の信号光をPBC18に出力する。PBC18は、X偏波のIQ成分の信号光と、偏波回転後のY偏波のIQ成分の信号光とを合波し、合波後のXY偏波の信号光を出力部19に出力する。出力部19は、合波後のXY偏波の信号光を光ファイバ2Aに出力する。
【0023】
第1のIQ光変調器14Aは、第1の分岐部31Aと、第1のI成分変調器32Aと、第1のQ成分変調器33Aと、第1の合波部34Aとを有する。第1の分岐部31Aは、第1のSOA13Aからの光増幅後のレーザ光を光分岐し、光分岐後のレーザ光を第1のI成分変調器32A及び第1のQ成分変調器33Aに出力する。
【0024】
第1のI成分変調器32Aは、第1の分岐部31Aからのレーザ光をX偏波のI成分の信号光に光変調し、X偏波のI成分の信号光を第1の合波部34Aに出力する。第1のQ成分変調器33Aは、第1の分岐部31Aからのレーザ光をX偏波のQ成分の信号光に光変調し、X偏波のQ成分の信号光を第1の合波部34Aに出力する。第1の合波部34Aは、第1のI成分変調器32AからのX偏波のI成分の信号光と、第1のQ成分変調器33AからのX偏波のQ成分の信号光とを合波し、X偏波のIQ成分の信号光を第3のSOA15Aに出力する。
【0025】
第1のI成分変調器32Aは、第3の分岐部41と、2個のRFPS(Radio Frequency Phase Shifter)42と、2個の子側DCPS(Direct Current Phase Shifter)43と、第3の合波部44と、親側DCPS45とを有する。第3の分岐部41は、第1の分岐部31からのレーザ光を光分岐し、光分岐したレーザ光を各RFPS42に出力する。RFPS42は、例えば、数10GHzの帯域をもつ高速信号を入力し、高速変調を行うMZI(Mach-Zehnder Interferometer)である。RFPS42は、RF電極からの高速信号に応じてレーザ光を高速変調し、高速変調後のレーザ光を子側DCPS43に出力する。
【0026】
子側DCPS43は、例えば、ヒータ電極で構成され、ヒータ電極に電流を流して光導波路を加熱することで光導波路の屈折率を変化させ、信号光の位相を調整するMZIである。子側DCPS43は、高速変調後のレーザ光をDC電極からの電気信号に応じて位相変調し、位相変調後のI成分の信号光を第3の合波部44に出力する。第3の合波部44は、各子側DCPS43からのI成分の信号光を合波し、合波後のI成分の信号光を親側DCPS45に出力する。親側DCPS45は、DC電極からの駆動電圧信号に応じて位相変調後のI成分の信号光を直交変調し、直交変調後のX偏波のI成分の信号光を第1の合波部34Aに出力する。
【0027】
第1のQ成分変調器33Aは、第3の分岐部41と、2個のRFPS42と、2個の子側DCPS43と、第3の合波部44と、親側DCPS45と、を有する。第3の分岐部41は、第1の分岐部31からのレーザ光を光分岐し、光分岐したレーザ光を各RFPS42に出力する。RFPS42は、RF電極からの高速信号に応じてレーザ光を高速変調し、高速変調後のレーザ光を子側DCPS43に出力する。子側DCPS43は、高速変調後のレーザ光をDC電極からのデータ信号に応じて位相変調し、位相変調後のQ成分の信号光を第3の合波部44に出力する。第3の合波部44は、各子側DCPS43からのQ成分の信号光を合波し、合波後のQ成分の信号光を親側DCPS45に出力する。親側DCPS45は、DC電極からの駆動電圧信号に応じて位相変調後のQ成分の信号光を直交変調し、直交変調後のX偏波のQ成分の信号光を第1の合波部34Aに出力する。第1の合波部34Aは、親側DCPS45からのX偏波のI成分の信号光と、親側DCPS45からのX偏波のQ成分の信号光とを合波し、合波後のX偏波のIQ成分の信号光を第3のSOA15Aに出力する。
【0028】
第2のIQ光変調器14Bは、第2の分岐部31Bと、第2のI成分変調器32Bと、第2のQ成分変調器33Bと、第2の合波部34Bとを有する。第2の分岐部31Bは、第2のSOA13Bからの光増幅後の信号光を光分岐し、光分岐後の信号光を第2のI成分変調器32B及び第2のQ成分変調器33Bに出力する。第2のI成分変調器32Bは、第2の分岐部31Bからの信号光をY偏波のI成分の信号光に光変調し、Y偏波のI成分の信号光を第2の合波部34Bに出力する。第2のQ成分変調器33Bは、第2の分岐部31Bからの信号光をY偏波のQ成分の信号光に光変調し、Y偏波のQ成分の信号光を第2の合波部34Bに出力する。第2の合波部34Bは、第2のI成分変調器32BからのY偏波のI成分の信号光と、第2のQ成分変調器33BからのY偏波のQ成分の信号光とを合波し、Y偏波のIQ成分の信号光を第2の合波部34Bに出力する。
【0029】
第2のI成分変調器32Bは、第3の分岐部41と、2個のRFPS42と、2個の子側DCPS43と、第3の合波部44と、親側DCPS45とを有する。第3の分岐部41は、第2の分岐部31Bからの信号光を光分岐し、光分岐した信号光を各RFPS42に出力する。RFPS42は、RF電極からの高速信号に応じてレーザ光を高速変調し、高速変調後のレーザ光を子側DCPS43に出力する。子側DCPS43は、高速変調後のレーザ光をDC電極からの電気信号に応じて位相変調し、位相変調後のI成分の信号光を第3の合波部44に出力する。第3の合波部44は、各子側DCPS43からのI成分の信号光を合波し、合波後のI成分の信号光を親側DCPS45に出力する。親側DCPS45は、DC電極からの駆動電圧信号に応じて位相変調後のI成分の信号光を直交変調し、直交変調後のY偏波のI成分の信号光を第2の合波部34Bに出力する。
【0030】
第2のQ成分変調器33Bは、第3の分岐部41と、2個のRFPS42と、2個の子側DCPS43と、第3の合波部44と、親側DCPS45と、を有する。第3の分岐部41は、第2の分岐部31Bからの信号光を光分岐し、光分岐した信号光を各RFPS42に出力する。RFPS42は、RF電極からの高速信号に応じてレーザ光を高速変調し、高速変調後のレーザ光を子側DCPS43に出力する。子側DCPS43は、高速変調後のレーザ光をDC電極からの電気信号に応じて位相変調し、位相変調後のQ成分の信号光を第3の合波部44に出力する。第3の合波部44は、各子側DCPS43からのQ成分の信号光を合波し、合波後のQ成分の信号光を親側DCPS45に出力する。親側DCPS45は、DC電極からの駆動電圧信号に応じて位相変調後のQ成分の信号光を直交変調し、直交変調後のY偏波のQ成分の信号光を第2の合波部34Bに出力する。第2の合波部34Bは、親側DCPS45からのY偏波のI成分の信号光と、親側DCPS45からのY偏波のQ成分の信号光とを合波し、合波後のY偏波のIQ成分の信号光を第4のSOA15Bに出力する。
【0031】
第2のMPD22Aは、第1のVOA16Aで出力調整後のX偏波のIQ成分の信号光の一部をモニタし、モニタ結果に基づき、第1のVOA16Aの減衰量を調整する。また、第3のMPD22Bは、第2のVOA16Bで出力調整後のY偏波のIQ成分の信号光の一部をモニタし、モニタ結果に基づき、第2のVOA16Bの減衰量を調整する。
【0032】
図3は、図2に示す光変調器5内の第1のMPD21及び光カプラ12の一例を示す説明図である。第1のMPD21は、第1のSOA13Aの通電に応じて光カプラ12内の第1の出力ポート12C及び第2の入力ポート12Bを経由して第1のSOA13AからのASEを検出する。SOAは電流を注入して入力された光を増幅して出力する素子だが、駆動原理はLEDと同じで電流注入によりSOA自身で光の入力側と出力側からASEを発生する。つまり、第1のSOA13Aは、通電に応じてレーザ光を光増幅する際に第1のSOA13Aの全方向、例えば、第1のSOA13Aの入力ポート及び出力ポートからASEが放出されることになる。第1のMPD21は、検出したASEの光強度をMPD電流に電気変換する。更に、第1のMPD21は、第2のSOA13Bの通電に応じて光カプラ12内の第2の出力ポート12D及び第2の入力ポート12Bを経由して第2のSOA13BからのASEを検出する。尚、第2のSOA13Bは、通電に応じてレーザ光を光増幅する際に第2のSOA13Bの全方向、例えば、第2のSOA13Bの入力ポート及び出力ポートからASEが放出されることになる。第1のMPD21は、検出したASEの光強度をMPD電流に電気変換する。
【0033】
次に実施例1の光変調器5の第1のSOA13A及び第2のSOA13Bの評価方法について説明する。図4は、SOA評価基準の一例を示す説明図である。SOA評価は、一定の評価条件下の高温雰囲気でSOAに通電し、バーンイン時間経過後の第1のMPD21のMPD電流が基準値以下であるか否かでSOAを評価する。一定の評価条件としては、例えば、雰囲気温度:80℃~120℃、SOAへの通電の電流値:300mA~500mA、評価時間:6時間~24時間、基準値:ASEの光強度の変動が初期から5%~10%以内である。尚、評価条件は、SOAの素子構造や実装条件に応じて適宜変更可能である。DSP3は、運用開始前、例えば、工場出荷前に第1の評価処理を実行し、SOAのASEの光強度に応じたMPD電流が基準値未満の場合、SOA異常と評価し、SOAのASEの光強度に応じたMPD電流が基準値以上の場合、SOA正常と評価する。尚、運用とは、光通信装置1を使用して信号光を通信する通信中の状態である。
【0034】
図5は、第1の評価処理に関わるDSP3の処理動作の一例を示すフロー図である。第1の評価処理は、工場出荷前に、一定の評価条件で光変調器5内の第1のSOA13A及び第2のSOA13Bを評価する処理である。図5においてDSP3は、第1のSOA13A及び第2のSOA13Bに高温雰囲気下で通電する(ステップS11)。DSP3は、第1のMPD21を通じて第1のSOA13A及び第2のSOA13BからのASEの光強度に対するMPD電流を測定する(ステップS12)。尚、第1のMPD21は、光カプラ12内の第1の出力ポート12C及び第2の出力ポート12Dを経て第2の入力ポート12Bから第1のSOA13A及び第2のSOA13BからのASEの光強度を検出する。第1のMPD21は、ASEの光強度をMPD電流に電気変換し、電気変換後のMPD電流をDSP3に出力する。
【0035】
DSP3は、第1のMPD21で測定したMPD電流が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS13)。DSP3は、MPD電流が基準値以上である場合(ステップS13:Yes)、第1のSOA13A及び第2のSOA13Bが正常と評価し(ステップS14)、評価結果を出力し(ステップS15)、図5に示す処理動作を終了する。
【0036】
DSP3は、MPD電流が基準値以上でない場合(ステップS13:No)、第1のSOA13Aを指定し(ステップS16)、高温雰囲気下で第1のSOA13Aにのみ通電する(ステップS17)。DSP3は、第1のMPD21を通じて第1のSOA13AからのASEの光強度に対するMPD電流を測定する(ステップS18)。尚、第1のMPD21は、光カプラ12内の第1の出力ポート12Cを経て第2の入力ポート12Bから第1のSOA13AからのASEの光強度を検出する。第1のMPD21は、ASEの光強度をMPD電流に電気変換し、電気変換後のMPD電流をDSP3に出力する。
【0037】
DSP3は、第1のMPD21で測定したMPD電流が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS19)。DSP3は、MPD電流が基準値以上である場合(ステップS19:Yes)、第1のSOA13Aが正常と評価する(ステップS20)。また、DSP3は、MPD電流が基準値以上でない場合(ステップS19:No)、第1のSOA13Aが異常と評価する(ステップS21)。つまり、第1のMPD21は、第1のSOA13Aを個別に評価することになる。
【0038】
更に、DSP3は、ステップS20にて第1のSOA13Aが正常と評価した後、又は、ステップS21にて第2のSOA13Bが異常と評価した後、第2のSOA13Bを指定する(ステップS22)。そして、DSP3は、高温雰囲気下で第2のSOA13Bにのみ通電する(ステップS23)。DSP3は、第1のMPD21を通じて第2のSOA13BからのASEの光強度に対するMPD電流を測定する(ステップS24)。尚、第1のMPD21は、光カプラ12内の第2の出力ポート12Dを経て第2の入力ポート12Bから第2のSOA13BからのASEの光強度を検出する。第1のMPD21は、ASEの光強度をMPD電流に電気変換し、電気変換後のMPD電流をDSP3に出力する。
【0039】
DSP3は、第1のMPD21で測定したMPD電流が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS25)。DSP3は、MPD電流が基準値以上である場合(ステップS25:Yes)、第2のSOA13Bが正常と評価し(ステップS26)、評価結果を出力すべく、ステップS15に移行する。
【0040】
また、DSP3は、MPD電流が基準値以上でない場合(ステップS25:No)、第2のSOA13Bが異常と評価し(ステップS27)、評価結果を出力するべく、ステップS15に移行する。つまり、第1のMPD21は、第2のSOA13Bを個別に評価することになる。
【0041】
実施例1の光カプラ12は、光源4からのレーザ光を入力する第1の入力ポート12Aと、第1のMPD21の入力段と接続する第2の入力ポート12Bとを有する。更に、光カプラ12は、第1のSOA13Aの入力段と接続し、第1の入力ポート12Aからのレーザ光を第1のSOA13Aに出力する第1の出力ポート12Cを有する。更に、光カプラ12は、第2のSOA13Bの入力段と接続し、第1の入力ポート12Aからのレーザ光を第2のSOA13Bに出力する第2の出力ポート12Dを有する。第1のMPD21は、第1の出力ポート12Cと第2の入力ポート12Bとを経て、第1のSOA13AからのASEを受光すると共に、第2の出力ポート12Dと第2の入力ポート12Bとを経て、第2のSOA13BからのASEを受光する。その結果、DSP3は、工場出荷前に、ASEの光強度に対応するMPD電流を用いて第1のSOA13A及び第2のSOA13Bを評価できる。しかも、第1のMPD21は、光カプラ12の第2の入力ポート12Bに接続するため、運用中の信号損失の要因になることはなく、SOAを評価できる。
【0042】
第1のSOA13A及び第2のSOA13Bは、光集積回路と異なる直接遷移の化合物半導体で形成される。その結果、DSP3は、第1のSOA13A及び第2のSOA13Bが光集積回路上にハイブリッド集積されたとしても、ASEの光強度に対応するMPD電流を用いて第1のSOA13A及び第2のSOA13Bを評価できる。
【0043】
光変調器5は、第1のIQ光変調器14Aと第1の出力ポート12Cとの間に接続し、第1の出力ポート12Cからのレーザ光を増幅する第1のSOA13Aを有する。更に、光変調器5は、第2のIQ光変調器14Bと第2の出力ポート12Dとの間に接続し、第2の出力ポート12Dからのレーザ光を増幅する第2のSOA13Bを有する。第1のMPD21は、第1の出力ポート12Cと第2の入力ポート12Bとを経て、第1のSOA13AからのASEを受光すると共に、第2の出力ポート12Dと第2の入力ポート12Bとを経て、第2のSOA13BからのASEを受光する。その結果、DSP3は、ASEの光強度に対応するMPD電流を用いて光変調器5内の第1のSOA13A及び第2のSOA13Bを評価できる。しかも、第1のMPD21は、光カプラ12の第2の入力ポート12Bに接続するため、運用中の信号損失の要因になることはなく、SOAを評価できる。
【0044】
また、DSP3が工場出荷前に第1の評価処理を実行する場合を例示したが、DSP3の代わりに、図示せぬ評価装置を接続して、評価装置が工場出荷前に第1の評価処理を実行しても良く、適宜変更可能である。
【0045】
尚、実施例1の光変調器5の第1のSOA13A及び第2のSOA13Bの他に、光受信器6の第5のSOA65を評価する光通信装置の実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。尚、実施例1の光通信装置1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例0046】
図6は、実施例2の光通信装置1Aの構成の一例を示す説明図である。図6に示す光通信装置1Aは、光源4と光変調器5との間を接続すると共に、光源4と光受信器6との間を接続する光カプラ12を配置する。更に、光通信装置1Aは、光カプラ12の第2の入力ポート12Bに接続する第1のMPD21Aを用いて、光変調器5側の第1のSOA13A及び第2のSOA13Bと、光受信器6側の第5のSOA65とからのASEの光強度を検出する。
【0047】
図7は、実施例2の光変調器5及び光受信器6の構成の一例を示す平面模式図、図8は、図7に示す光変調器5及び光受信器6内の第1のMPD21A及び光カプラ12の一例を示す説明図である。光カプラ12は、第1の入力ポート12Aと、第2の入力ポート12Bと、第1の出力ポート12Cと、第2の出力ポート12Dとを有する。第1の入力ポート12Aは、光源4と接続し、光源4からのレーザ光を入力するポートである。第2の入力ポート12Bは、第1のMPD21Aと接続し、第1のSOA13A、第2のSOA13B及び第5のSOA65からのASEをモニタするポートである。尚、第5のSOA65は、通電に応じてローカル光を光増幅する際に第5のSOA65の全方向、例えば、第5のSOA65の入力ポート及び出力ポートからASEが放出されることになる。第1の出力ポート12Cは、光変調器5内の第1のSOA13及び第2のSOA13Bに接続する光分岐部8と接続し、レーザ光を光分岐部8に出力するポートである。光分岐部8は、第1の出力ポート12Cからのレーザ光を第1のSOA13A及び第2のSOA13Bに分岐出力する。第2の出力ポート12Dは、光受信器6側の第5のSOA65と接続し、レーザ光を第5のSOA65に出力するポートである。
【0048】
光受信器6は、受信側入力部61と、第3のVOA62と、PBS(Polarization Beam Splitter)63と、PR64と、第5のSOA65と、受信側分岐部66とを有する。光受信器6は、第1の光ハイブリッド回路67Aと、第2の光ハイブリッド回路67Bと、4個のPD68Aと、4個のPD68Bと、第4のMPD69Aと、第5のMPD69Bとを有する。
【0049】
受信側入力部61は、光ファイバ2Bからの受信光を入力する。第3のVOA62は、受信側入力部61からの受信光の出力レベルを調整し、調整後の受信光をPBS63に出力する。PBS63は、受信光からX偏波のIQ成分の信号光とY偏波のIQ成分の信号光とに分波し、X偏波のIQ成分の信号光を第1の光ハイブリッド回路67Aに出力すると共に、Y偏波のIQ成分の信号光をPR64に出力する。PR64は、Y偏波のIQ成分の信号光を90度偏波回転し、偏波回転後のY偏波のIQ成分の信号光を第2の光ハイブリッド回路67Bに出力する。
【0050】
光カプラ12は、光源4からのレーザ光を光変調器5前段の光分岐部8に出力すると共に、光受信器6の第5のSOA65に出力する。第5のSOA65は、光カプラ12内の第2の出力ポート12Dからのレーザ光であるローカル光を光増幅し、光増幅後のローカル光を受信側分岐部66に出力する。
【0051】
受信側分岐部66は、第5のSOA65からの光増幅後のローカル光を第1の光ハイブリッド回路67A及び第2の光ハイブリッド回路67Bに出力する。
【0052】
第1の光ハイブリッド回路67Aは、受信光のX偏波成分にローカル光を干渉させてI成分及びQ成分の光信号を取得する。第1の光ハイブリッド回路67Aは、X偏波成分の内、I成分の光信号をPD68Aに出力する。第1の光ハイブリッド回路67Aは、X偏波成分の内、Q成分の光信号をPD68Aに出力する。
【0053】
第2の光ハイブリッド回路67Bは、受信光のY偏波成分にローカル光を干渉させてI成分及びQ成分の光信号を取得する。第2の光ハイブリッド回路67Bは、Y偏波成分の内、I成分の光信号をPD68Bに出力する。第2の光ハイブリッド回路67Bは、Y偏波成分の内、Q成分の光信号をPD68Bに出力する。
【0054】
PD68Aは、第1の光ハイブリッド回路67AからのX偏波成分のI成分の光信号を電気変換し、電気変換後のI成分の電気信号を出力する。また、PD68Aは、第1の光ハイブリッド回路67AからのX偏波成分のQ成分の光信号を電気変換し、電気変換後のQ成分の電気信号を出力する。PD68Bは、第2の光ハイブリッド回路67BからのY偏波成分のI成分の光信号を電気変換し、電気変換後のI成分の電気信号を出力する。PD68Bは、第2の光ハイブリッド回路67BからのY偏波成分のQ成分の光信号を電気変換し、電気変換後のQ成分の電気信号を出力する。
【0055】
次に実施例2の光通信装置1Aの動作について説明する。図9は、第2の評価処理に関わるDSP3の処理動作の一例を示すフロー図である。第2の評価処理は、工場出荷前に、一定の評価条件で光変調器5内の第1のSOA13A及び第2のSOA13Bと、光受信器6内の第5のSOA65を評価する処理である。図9においてDSP3は、全SOAに高温雰囲気下で通電する(ステップS31)。尚、全SOAとは、例えば、光変調器5内の第1のSOA13A及び第2のSOA13B、光受信器6内の第5のSOA65である。DSP3は、第1のMPD21を通じて全SOAからのASEの光強度に対するMPD電流を測定する(ステップS32)。尚、第1のMPD21は、光カプラ12内の第1の出力ポート12Cを経て第2の入力ポート12Bから第1のSOA13A及び第2のSOA13BからのASEの光強度を検出する。第1のMPD21は、ASEの光強度をMPD電流に電気変換し、電気変換後のMPD電流をDSP3に出力する。更に、第1のMPD21は、光カプラ12内の第2の出力ポート12Dを経て第2の入力ポート12Bから第5のSOA65からのASEの光強度を検出する。第1のMPD21は、ASEの光強度をMPD電流に電気変換し、電気変換後のMPD電流をDSP3に出力する。
【0056】
DSP3は、第1のMPD21で測定したMPD電流が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS33)。DSP3は、MPD電流が基準値以上である場合(ステップS33:Yes)、全SOAが正常と評価し(ステップS34)、評価結果を出力し(ステップS35)、図9に示す処理動作を終了する。尚、全SOAは、例えば、光変調器5内の第1のSOA13A及び第2のSOA13Bと、光受信器6内の第5のSOA65とを有する。
【0057】
DSP3は、MPD電流が基準値以上でない場合(ステップS33:No)、SOAを指定する(ステップS36)。尚、DSP3は、例えば、第1のSOA13A、第2のSOA13B及び第5のSOA65から一つのSOAを指定する。DSP3は、高温雰囲気下で指定SOAにのみ通電する(ステップS37)。DSP3は、第1のMPD21を通じて指定SOAからのASEの光強度に対するMPD電流を測定する(ステップS38)。尚、第1のMPD21は、光カプラ12内の第2の入力ポート12Bから指定SOAからのASEの光強度を検出する。第1のMPD21は、ASEの光強度をMPD電流に電気変換し、電気変換後のMPD電流をDSP3に出力する。
【0058】
DSP3は、第1のMPD21で測定したMPD電流が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS39)。DSP3は、MPD電流が基準値以上である場合(ステップS39:Yes)、指定SOAが正常と評価し(ステップS40)、全SOAの中から未指定のSOAがあるか否かを判定する(ステップS42)。つまり、第1のMPD21Aは、指定SOAを個別に評価することになる。尚、全SOAは、例えば、光変調器5内の第1のSOA13A及び第2のSOA13Bと、光受信器6内の第5のSOA65とを有する。
【0059】
DSP3は、未指定のSOAがある場合(ステップS42:Yes)、未指定のSOAを指定すべく、ステップS36の処理に移行する。また、DSP3は、未指定のSOAがない場合(ステップS42:No)、評価結果を出力すべく、ステップS35の処理に移行する。
【0060】
また、DSP3は、MPD電流が基準値以上でない場合(ステップS39:No)、指定SOAが異常と評価し(ステップS41)、未指定のSOAがあるか否かを判定すべく、ステップS42の処理に移行する。
【0061】
実施例2の光通信装置1Aは、電気信号を用いて光信号を変調する光変調器5と第1の出力ポート12Cとの間に接続し、第1の出力ポート12Cからのレーザ光を増幅する第1のSOA13A及び第2のSOA13Bと、光信号を用いて受信光から電気信号を得る光受信器6と第2の出力ポート12Dとの間に接続し、第2の出力ポート12Dからのローカル光を増幅する第5のSOA65と、を有する。第1のMPD21Aは、光分岐部8及び第1の出力ポート12Cを経て光変調器5内の第1のSOA13A及び第2のSOA13BのASEを検出すると共に、第2の出力ポート12Dを経て光受信器6内の第5のSOA65のASEを検出する。その結果、DSP3は、工場出荷前に、ASEの光強度に対応するMPD電流を用いて光変調器5内の第1のSOA13A及び第2のSOA13Bと、光受信器6内の第5のSOA65とを評価できる。しかも、第1のMPD21Aは、光カプラ12の第2の入力ポート12Bに接続するため、運用中の信号損失の要因になることはなく、SOAを評価できる。
【0062】
また、DSP3が工場出荷前に第2の評価処理を実行する場合を例示したが、DSP3の代わりに、図示せぬ評価装置を接続して、評価装置が工場出荷前に第2の評価処理を実行しても良く、適宜変更可能である。
【0063】
尚、実施例2の光通信装置1Aでは、光変調器5及び光受信器6を内蔵し、光カプラ12の第1の出力ポート12Cに光分岐部8を接続し、光カプラ12内の第2の出力ポート12Dに光受信器6側の第5のSOA65を接続する場合を例示した。しかしながら、光変調器5のみを内蔵した光送信装置にも本願発明は適用可能であり、この場合、第1のMPD21Aを通じて光変調器5内の第1のSOA13A及び第2のSOA13BからのASEを検出できる。
【0064】
また、光受信器6のみを内蔵した光受信装置にも本願発明は適用可能であり、この場合、第1のMPD21Aを通じて光受信器6内の第5のSOA65からのASEを検出できる。
【0065】
また、光カプラ12は、2入力×2出力ポートで例示したが、入力ポートはm個のポート、出力ポートはn個のポートであればよく、適宜変更可能である。尚、mは2以上、nは1以上である。
【0066】
光通信装置1では、例えば、DP-QPSKやQAM方式の通信装置にも適用可能であるため、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0067】
1、1A 光通信装置
4 光源
5 光変調器
6 光受信器
8 光分岐部
12 光カプラ
12A 第1の入力ポート
12B 第2の入力ポート
12C 第1の出力ポート
12D 第2の出力ポート
13A 第1のSOA
13B 第2のSOA
14A 第1のIQ光変調器
14B 第2のIQ光変調器
21、21A 第1のMPD
65 第5のSOA
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9