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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105984
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】自動梱包機のバンド先端検出装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
B65B13/18 F
B65B13/18 G
B65B13/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007060
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】390007386
【氏名又は名称】株式会社イチネンMTM
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】金城 優子
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA02
3E052AA21
3E052BA03
3E052BA11
3E052CA01
3E052CA02
3E052CB04
3E052CB05
3E052CB07
3E052CB08
3E052FA01
3E052GA07
3E052HA01
3E052JA02
3E052LA05
3E052LA10
3E052LA15
(57)【要約】
【課題】バンドが腰の弱い極薄フィルム等であっても作動し、簡素な構造で価格や運用コストを低減でき、半自動梱包機への適用も可能なバンド先端検出装置を提供する。
【解決手段】対象物2に巻き掛けたバンド1を引き締めて、バンド1の先端部とその重合部との溶着及び切断を行い、対象物2を梱包する自動梱包機に備えられ、先端検出レバー21と近接スイッチ22とを有するバンド先端検出装置において、先端検出レバー21の支持軸21aが水平方向に延びるように配置され、先端検出レバー21は、バンド1の先端1aが突き当たっていない状態では、自重により垂下しており、バンド1の先端1aが突き当たって押されると、上方へ回転するように揺動し、先端部が近接スイッチ22により感知されて、バンド1の先端1aが所定位置に達したことが検出されるものとする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(2)に巻き掛けたバンド(1)を引き締めて、前記バンド(1)の先端部とその重合部との溶着及び切断を行い、対象物(2)を梱包する自動梱包機に備えられ、
前記バンド(1)の先端(1a)が突き当たって揺動する先端検出レバー(21)と、前記先端検出レバー(21)の接近に伴い前記バンド(1)の先端(1a)が所定位置に達したことを検出する近接スイッチ(22)とを有する自動梱包機のバンド先端検出装置において、
前記先端検出レバー(21)の支持軸(21a)が水平方向に延びるように配置され、前記先端検出レバー(21)は、前記バンド(1)の先端(1a)が突き当たっていない状態では、自重により垂下しており、
前記バンド(1)の先端(1a)が前記先端検出レバー(21)に突き当たると、前記先端検出レバー(21)が前記バンド(1)の先端(1a)で押されて上方へ回転するように揺動し、その揺動に伴い、前記近接スイッチ(22)により前記先端検出レバー(21)の先端部が感知されて、前記バンド(1)の先端(1a)が所定位置に達したことが検出されることを特徴とする自動梱包機のバンド先端検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対象物をバンド(フィルム、紙テープを含む)で巻き締め、バンドの溶着及び切断を行う自動梱包機(結束機、帯封機を含む)に適用され、送り込まれたバンドの先端が所定位置に達したことを検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、図6(a)に示すように、対象物2を載置するテーブル51の上に門型のアーチ52が起立し、アーチ52で誘導したバンド1を対象物2に巻き掛けて引き締め、バンド1の先端部とその重合部とを溶着して、溶着部の後続部分を切断することにより、対象物2を梱包する全自動梱包機が使用されている。
【0003】
また、図6(b)に示すように、テーブル51にアーチがなく、バンド1の先端部を人手でテーブル51のバンド挿入口53に差し込んで、対象物2をバンド1で巻き締め、バンド1の溶着及び切断を行う半自動梱包機も使用されている。
【0004】
これらの自動梱包機には、バンド1が自動又は人手で送り込まれて、バンド1の先端が所定位置まで達したことを検出するバンド先端検出装置が設けられる。
【0005】
図7(a)に示す従来のバンド先端検出装置の第1例は、先端検出レバー61とマイクロスイッチ62の組合わせからなり、細い帯板状の先端検出レバー61の先端がバンド1の通路に臨み、先端検出レバー61の後端が枢軸63を中心に平面的に回動自在とされ、先端検出レバー61は背面がマイクロスイッチ62の突出した検出子62aに当接する状態で保持されている。そして、バンド1の先端が先端検出レバー61に突き当たり、先端検出レバー61を介してマイクロスイッチ62の検出子62aを押し込むことにより、バンド1の先端を電気的に検出することになる。
【0006】
図7(b)に示す従来のバンド先端検出装置の第2例は、先端検出レバー64と近接スイッチ65の組合わせからなり、ばね材を用いた先端検出レバー64の先端がバンド1の通路に臨み、先端検出レバー64の後端が取付軸66に固定され、先端検出レバー64の背面側に近接スイッチ65が配置されている。そして、バンド1の先端が先端検出レバー64に突き当たり、先端検出レバー64が弾力的に撓んで近接スイッチ65に接近することにより、バンド1の先端を電気的に検出することになる。
【0007】
このように、上記いずれの例のバンド先端検出装置においても、バンド1が先端検出レバー61,64を押してマイクロスイッチ62又は近接スイッチ65を作動させるには、先端検出レバー61、64を作動させる力と、ばね力に抗して押す力が必要になる。このばね力は、第1例のバンド先端検出装置の場合、マイクロスイッチ62の検出子62aを突出させるための付勢力であり、また、第2例のバンド先端検出装置の場合、先端検出レバー64が備えている自身の弾力性によるものである。
【0008】
ところで、自動梱包機で使用するバンド1には、対象物の条件に合わせて幅や厚み及び材質が選択されることになるが、例えば、アーチの中を走行することによって帯電し易いフイルムやP.Pのバンドのほか、厚みが40μmや60μmのような極薄のフイルムが用いられることがある。
【0009】
上記のような極薄のフイルムを用いたバンド1は、腰が弱く後押し状態で先端検出レバー61、64に当接するため、先端で物を押す力は極めて小さく、ばね力に抗してマイクロスイッチ62又は近接スイッチ65を作動させるのに困難性がある。
【0010】
このため、下記特許文献1においては、従来のバンド先端検出装置の第3例として、図7(c)に示すように、先端検出レバー67が枢軸68を中心として平面的に回動自在に設けられ、バンド1が当接する先端検出レバー67の一面側に電磁ソレノイド69が配置されると共に、先端検出レバー67を挟んで電磁ソレノイド69の反対側に近接スイッチ70が配置されたものが提案されている。
【0011】
このバンド先端検出装置では、待機状態において電磁ソレノイド69の吸着鉄心69aにより先端検出レバー67を先端検出位置に保持しておき、バンド1の先端が先端検出レバー67に到達する前に電磁ソレノイド69への通電を遮断し、先端検出レバー67を外部力から開放することにより、僅かな力で先端検出レバー67を容易に作動させることができる。このため、バンド1が極薄のフイルムや帯電し易いものであっても、バンド1の先端が到達したことを確実に検出することができる。そして、バンド1で結束した対象物が取り除かれると、通電された電磁ソレノイド69の吸着鉄心69aにより先端検出レバー67が吸着されて、初期位置に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011―57279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記第3例のバンド先端検出装置では、バンド1の先端の位置に応じて電磁ソレノイド69への通電、遮断を切り替える必要があり、また、待機状態で電磁ソレノイド69を通電状態にしておかなければならず、制御機器が高額となり、運用にもコストが嵩むほか、半自動梱包機への適用が困難であるという問題があった。
【0014】
そこで、この発明は、バンドが腰の弱い極薄フィルム等であっても作動し、簡素な構造で価格や運用コストを低減でき、半自動梱包機への適用も可能なバンド先端検出装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような課題を解決するため、この発明は、対象物に巻き掛けたバンドを引き締めて、前記バンドの先端部とその重合部との溶着及び切断を行い、対象物を梱包する自動梱包機に備えられ、
前記バンドの先端が突き当たって揺動する先端検出レバーと、前記先端検出レバーの接近に伴い前記バンドの先端が所定位置に達したことを検出する近接スイッチとを有する自動梱包機のバンド先端検出装置において、
前記先端検出レバーの支持軸が水平方向に延びるように配置され、前記先端検出レバーは、前記バンドの先端が突き当たっていない状態では、自重により垂下しており、
前記バンドの先端が前記先端検出レバーに突き当たると、前記先端検出レバーが前記バンドの先端で押されて上方へ回転するように揺動し、その揺動に伴い、前記近接スイッチにより前記先端検出レバーの先端部が感知されて、前記バンドの先端が所定位置に達したことが検出されるものとしたのである。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係るバンド先端検出装置は、バンドの先端がばね力に抗して先端検出レバーを押さなくても、先端検出レバーが揺動するので、バンドが腰の弱い極薄フィルムや紙テープであっても作動し、多様な結束材に対応できる。
【0017】
そして、先端検出レバーが外部力によらず自重で初期位置に復帰するので、先端検出レバーを初期位置に復帰させる電磁ソレノイドや、バンドの先端位置に応じて電磁ソレノイドの通電と遮断とを切り替える制御機器等が不要となり、簡素な構造で価格が抑えられ、運用コストも低減することができ、半自動梱包機にも容易に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明に係るバンド先端検出装置を備えた自動梱包機の概略正面図
図2】同上の概略平面図
図3】同上のバンドの通路を示す概略正面図
図4】同上の先端検出レバーと近接スイッチ付近を示す上部平面図
図5】同上の(a)バンド先端の検出前の状態、(b)バンド先端の検出状態をそれぞれ示す要部拡大正面図
図6】同上のバンド先端検出装置を適用可能な(a)全自動梱包機の例、(b)半自動梱包機の例をそれぞれ示す斜視図
図7】従来のバンド先端検出装置の(a)第1例、(b)第2例、(3)第3例をそれぞれ示す概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、このバンド先端検出装置が備えられた自動梱包機の基本機構においては、梱包用のバンド1が巻回されたバンドコイル10がコイル支持軸11に回動自在に掛けられて、送り引締めモーター12により駆動されるフィードローラー13の正逆回転に伴い、バンド1がバンドコイル10からバンド溶着切断ユニット14へ向けて繰り出され、又はバンド溶着切断ユニット14から引き戻される。
【0021】
また、フィードローラー13によるバンド1の送り込み又は引き戻しのため、バンド1は、補助ローラー13aによりフィードローラー13に押し付けられ、テンションローラー13bにより張力が調整されるようになっている。フィードローラー13とバンド溶着切断ユニット14との間では、バンド1はバンドガイド13cに沿って走行する。
【0022】
バンド溶着切断ユニット14のバンド1が送り出される側には、バンド1の下面に沿うレール15が延びており、その反対側には、図3に示すように、バンド1の先端1aに臨む部分をバンド溶着切断ユニット14へ案内する挿入ベース16が設けられている。
【0023】
また、図3及び図4に示すように、バンド溶着切断ユニット14は、バンドガイド13cに続く送込ベース14aと、その上方に位置するシールプレート14bと、梱包工程モーター14cと、梱包工程モーター14cに駆動されて所定のタイミングで昇降する第1クランプ14d、第2クランプ14e、加圧部材14f、図示省略したヒーター及びカッターとを備えている。
【0024】
このような自動梱包機の基本機構に設けられるバンド先端検出装置は、図3乃至図5に示すように、送込ベース14aに備えられ、バンド1の先端が突き当たって揺動する先端検出レバー21と、先端検出レバー21の先端部の接近に伴いバンド1の先端が所定位置に達したことを検出する近接スイッチ22とを有する。先端検出レバー21の材質としては、近接スイッチ22が反応するものが使用されている。
【0025】
先端検出レバー21の支持軸21aは、水平方向に延びるように配置され、図5(a)に示すように、先端検出レバー21は、バンド1の先端1aが突き当たっていない状態では、自重により重心位置が支持軸21aの軸心から垂下している。
【0026】
バンド溶着切断ユニット14に送り込まれたバンド1は、送込ベース14aを通過し、自動又は手動でバンド溶着切断ユニット14の上方へ回されて、先端側がシールプレート14bの下面と送込ベース14aの上面との間に挿入される。
【0027】
そして、図5(b)に示すように、先端検出レバー21にバンド1の先端1aが突き当たると、先端検出レバー21は、バンド1の先端1aで押されて上方へ回転するように揺動し、その揺動に伴い、近接スイッチ22により先端検出レバー21の先端部が感知されて、バンド1の先端1aが所定位置に達したことが検出される。
【0028】
バンド1の先端1aが所定位置に達すると、送込ベース14aが先端検出レバー21及び近接スイッチ22と共にバンド1の下面に沿った位置から退避し、先端検出レバー21は、自重により支持軸21aから垂下した状態に戻る。
【0029】
次に、対象物2の梱包過程では、バンド溶着切断ユニット14において、第1クランプ14dが上昇し、対象物2の底面に沿ったシールプレート14bと第1クランプ14dとでバンド1の先端1aに近接した部分が挟持され、その状態でバンド1が引き戻され、対象物2の外周がバンド1で巻き締められる。
【0030】
続いて、第2クランプ14eが上昇して、シールプレート14bと第2クランプ14eとでバンド1の先端部とその重合部とが挟持され、加圧部材14fが上昇して、バンド1の先端部とその重合部とがヒーターにより加熱されて溶着されると共に、溶着部の後続部分がカッターにより切断され、対象物2とバンド1の間からシールプレート14bが抜き取られて梱包が完了する。
【0031】
その後、次の梱包のために、送込ベース14aが先端検出レバー21及び近接スイッチ22と共に、バンド1の通路に復帰し、バンド1が送込ベース14aに沿ってバンド溶着切断ユニット14に送り込まれる。
【0032】
上記のようなバンド先端検出装置は、バンド1の先端1aがばね力に抗して先端検出レバー21を押さなくても、先端検出レバー21が揺動するので、バンド1が腰の弱い極薄フィルムや紙テープであっても作動し、多様な結束材に対応できる。
【0033】
そして、先端検出レバー21が外部力によらず自重で初期位置に復帰するので、先端検出レバー21を初期位置に復帰させる電磁ソレノイドや、バンド1の先端1aの位置に応じて電磁ソレノイドの通電と遮断とを切り替える制御機器等が不要となり、簡素な構造で価格が抑えられ、運用コストも低減することができる。
【0034】
また、上記バンド先端検出装置は、図6(a)に示すような全自動梱包機だけでなく、図6(b)に示すような半自動梱包機にも容易に適用できる。
【0035】
図6(a)に示す全自動梱包機の場合には、先端検出レバー21は、バンド1のアーチ52を経た供給の完了を検出し、これにより、梱包工程の準備状態となる。
【0036】
図6(b)に示す半自動梱包機の場合には、先端検出レバー21は、バンド1の先端側がバンド挿入口53に差し込まれたことを検出し、これにより、梱包工程が始動される。
【0037】
なお、このバンド先端検出装置が適用される自動梱包機には、製造や物流の過程で大型資材等の梱包に使用され、結束材として厚手のポリプロピレン製バンドを使用する梱包機だけでなく、事務所やレジなどで書類や小物の結束に使用され、結束材のバンドとして熱溶着性のフィルムや紙テープを使用する結束機や帯封機が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0038】
1 バンド
1a 先端
2 対象物
10 バンドコイル
11 コイル支持軸
12 送り引締めモーター
13 フィードローラー
13a 補助ローラー
13b テンションローラー
13c バンドガイド
14 バンド溶着切断ユニット
14a 送込ベース
14b シールプレート
14c 梱包工程モーター
14d 第1クランプ
14e 第2クランプ
14f 加圧部材
15 レール
16 挿入ベース
21 先端検出レバー
21a 支持軸
22 近接スイッチ
51 テーブル
52 アーチ
53 バンド挿入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7