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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105999
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】プラスチックボトルおよび飲料製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20230725BHJP
   B65D 1/42 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B65D1/02 220
B65D1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007082
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 祐也
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA13
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB01
3E033EA04
3E033EA05
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】手で把持されることに対して相応の強度を発揮する一方で押し潰しが容易なプラスチックボトルを提供する。
【解決手段】プラスチッボトルは、口部、肩部、胴部および底部を有する。前記肩部は、肩上端部と、前記肩上端部から延びた肩主部とを含み、前記肩上端部は、縦断面において、前記プラスチックボトルの外側表面の曲率中心が前記外側表面の外側に位置するように構成され、前記肩部と前記胴部とは、第1周溝で区切られ、前記肩主部は、前記肩上端部から前記第1周溝まで至り、前記胴部は、前記第1周溝から前記底部に向けて延びた胴上部と、前記胴上部と前記底部との間に延びた胴下部とを含み、前記胴上部と前記胴下部とは第2周溝で区切られ、前記胴下部と前記底部とは第3周溝で区切られ、前記肩主部には、複数の肩部縦溝が等角度ピッチで設けられ、前記胴上部には、複数の胴部周溝が等間隔で設けられ、前記胴下部には、複数の胴部縦溝が等間隔で設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と、前記口部から延びた肩部と、底面を有する底部と、前記肩部と前記底部との間の胴部とを有するプラスチックボトルであって、
前記肩部は、前記口部に接続される肩上端部と、前記肩上端部から延びた肩主部とを含み、
前記肩上端部は、前記プラスチックボトルの縦断面において、前記プラスチックボトルの外側表面の曲率中心が前記外側表面の外側に位置するように構成され、
前記肩部と前記胴部とは、第1周溝で区切られていて、前記肩主部は、前記肩上端部から前記第1周溝まで至り、
前記胴部は、前記第1周溝から前記底部に向けて延びた胴上部と、前記胴上部と前記底部との間に延びた胴下部と、を含み、
前記胴上部と前記胴下部とは第2周溝で区切られ、
前記胴下部と前記底部とは第3周溝で区切られ、
前記胴上部には、前記胴上部の全周にわたって延びた複数の胴部周溝が設けられ、
前記胴下部には、前記第2周溝又はその近傍から前記第3周溝又はその近傍に至るように延びた複数の胴部縦溝が等間隔で設けられている、
ことを特徴とするプラスチックボトル。
【請求項2】
前記複数の胴部縦溝の深さは、前記複数の胴部周溝の深さより小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックボトル。
【請求項3】
口部と、前記口部から延びた肩部と、底面を有する底部と、前記肩部と前記底部との間の胴部とを有するプラスチックボトルであって、
前記肩部は、前記口部に接続される肩上端部と、前記肩上端部から延びた肩主部とを含み、
前記肩上端部は、前記プラスチックボトルの縦断面において、前記プラスチックボトルの外側表面の曲率中心が前記外側表面の外側に位置するように構成され、
前記肩部と前記胴部とは、第1周溝で区切られていて、前記肩主部は、前記肩上端部から前記第1周溝まで至り、
前記胴部は、前記第1周溝から前記底部に向けて延びた胴上部と、前記胴上部と前記底部との間に延びた胴下部と、を含み、
前記胴上部と前記胴下部とは第2周溝で区切られ、
前記胴下部と前記底部とは第3周溝で区切られ、
前記肩主部には、前記プラスチックボトルの中心軸に平行な方向に沿って延びた複数の肩部縦溝が等角度ピッチで設けられ、
前記胴上部には、前記胴上部の全周にわたって延びた複数の胴部周溝が設けられている、
ことを特徴とするプラスチックボトル。
【請求項4】
前記複数の肩部縦溝の深さは、前記複数の胴部周溝の深さより小さい、
ことを特徴とする請求項3に記載のプラスチックボトル。
【請求項5】
前記複数の胴部周溝の等間隔で設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項6】
口部と、前記口部から延びた肩部と、底面を有する底部と、前記肩部と前記底部との間の胴部とを有するプラスチックボトルであって、
前記肩部は、前記口部に接続される肩上端部と、前記肩上端部から延びた肩主部とを含み、
前記肩上端部は、前記プラスチックボトルの縦断面において、前記プラスチックボトルの外側表面の曲率中心が前記外側表面の外側に位置するように構成され、
前記肩部と前記胴部とは、第1周溝で区切られていて、前記肩主部は、前記肩上端部から前記第1周溝まで至り、
前記胴部は、前記第1周溝から前記底部に向けて延びた胴上部と、前記胴上部と前記底部との間に延びた胴下部と、を含み、
前記胴上部と前記胴下部とは第2周溝で区切られ、
前記胴下部と前記底部とは第3周溝で区切られ、
前記肩主部には、前記プラスチックボトルの中心軸に平行な方向に沿って延びた複数の肩部縦溝が等角度ピッチで設けられ、
前記胴上部には、前記胴上部の全周にわたって延びた複数の胴部周溝が設けられ、
前記胴下部には、前記第2周溝又はその近傍から前記第3周溝又はその近傍に至るように延びた複数の胴部縦溝が等間隔で設けられている、
ことを特徴とするプラスチックボトル。
【請求項7】
前記複数の胴部周溝の等間隔で設けられている、
ことを特徴とする請求項6に記載のプラスチックボトル。
【請求項8】
前記複数の肩部縦溝の深さ、および、前記複数の胴部縦溝の深さは、前記複数の胴部周溝の深さより小さい、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載のプラスチックボトル。
【請求項9】
前記複数の肩部縦溝の個数は、前記複数の胴部縦溝の個数と等しい、
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項10】
前記複数の肩部縦溝と前記複数の胴部縦溝とは、前記中心軸に平行な方向に関して整列している、
ことを特徴とする請求項9に記載のプラスチックボトル。
【請求項11】
前記複数の肩部縦溝の個数および前記複数の胴部縦溝の個数は、10以上かつ22以下である、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載のプラスチックボトル。
【請求項12】
前記複数の肩部縦溝の深さは、0.5mm以上かつ0.9mm以下であり、
前記複数の胴部縦溝の深さは、0.5mm以上かつ1.0mm以下である、
ことを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項13】
前記複数の肩部縦溝の各々は、および、前記複数の胴部縦溝の各々は、前記プラスチックボトルの横断面において、曲率半径が2.5mm以上かつ8.0mm以下の互いに対向する2つの面を有する、
ことを特徴とする請求項6乃至12のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項14】
前記横断面において、前記互いに対向する2つの面がなす最小角度は、90度以上かつ120度以下である、
ことを特徴とする請求項13に記載のプラスチックボトル。
【請求項15】
前記複数の胴部周溝の深さは、0.8mm以上かつ1.6mm以下である、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項16】
前記第1周溝、前記第2周溝および前記第3周溝の深さは、前記複数の胴部周溝の深さより大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項17】
前記第1周溝は、前記プラスチックボトルの高さの60%以上かつ70%以下の高さに位置し、
前記第2周溝は、前記プラスチックボトルの高さの25%以上かつ35%以下の高さに位置する、
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項18】
前記肩主部は、前記縦断面において、前記外側表面の曲率中心が前記外側表面の内側に位置するように構成され、
前記肩主部は、前記縦断面において、前記外側表面の曲率半径が30mm以上かつ40mm以下の部分を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項19】
前記複数の肩部縦溝のうち隣り合う2つの肩部縦溝の中間に、ブロー成形によるバリが位置する、
ことを特徴とする請求項3、4、6乃至14のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項20】
前記複数の胴部縦溝のうち隣り合う他の2つの胴部縦溝の中間に、ブロー成形によるバリが位置する、
ことを特徴とする請求項1、2、6乃至14のいずれか1項に記載のプラスチックボトル。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか1項に記載のプラスチックボトルと、
前記プラスチックボトルに充填された飲料と、
前記プラスチックボトルの前記口部に付されたキャップと、
を含むことを特徴とする飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックボトルおよび飲料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、座屈強度を維持しつつ胴部の径方向の剛性を高めることができる耐熱ボトルが記載されている。この耐熱ボトルは、口部、肩部、胴部および底部を有し、胴部には、その周方向の全長にわたって連続して延びた複数の環状凹溝が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-020703公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された環状凹溝のように全周にわたる周溝をプラスチックボトルの胴部に設けることは、プラスチックボトルを薄くしつつ必要な強度を確保するために有利である。
【0005】
しかし、中身である飲料を消費した後は、プラスチックボトルを簡単に潰すことができれば、嵩を減らすために便利である。
【0006】
本発明は、手で把持されることに対して相応の強度を発揮する一方で押し潰しが容易なプラスチックボトルおよび飲料製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、口部と、前記口部から延びた肩部と、底面を有する底部と、前記肩部と前記底部との間の胴部とを有するプラスチックボトルに係り、前記肩部は、前記口部に接続される肩上端部と、前記肩上端部から延びた肩主部とを含み、前記肩上端部は、前記プラスチックボトルの縦断面において、前記プラスチックボトルの外側表面の曲率中心が前記外側表面の外側に位置するように構成され、前記肩部と前記胴部とは、第1周溝で区切られていて、前記肩主部は、前記肩上端部から前記第1周溝まで至り、前記胴部は、前記第1周溝から前記底部に向けて延びた胴上部と、前記胴上部と前記底部との間に延びた胴下部と、を含み、前記胴上部と前記胴下部とは第2周溝で区切られ、前記胴下部と前記底部とは第3周溝で区切られ、前記胴上部には、前記胴上部の全周にわたって延びた複数の胴部周溝が設けられ、前記胴下部には、前記第2周溝又はその近傍から前記第3周溝又はその近傍に至るように延びた複数の胴部縦溝が等間隔で設けられている。
【0008】
本発明の第2の側面は、口部と、前記口部から延びた肩部と、底面を有する底部と、前記肩部と前記底部との間の胴部とを有するプラスチックボトルに係り、前記肩部は、前記口部に接続される肩上端部と、前記肩上端部から延びた肩主部とを含み、前記肩上端部は、前記プラスチックボトルの縦断面において、前記プラスチックボトルの外側表面の曲率中心が前記外側表面の外側に位置するように構成され、前記肩部と前記胴部とは、第1周溝で区切られていて、前記肩主部は、前記肩上端部から前記第1周溝まで至り、前記胴部は、前記第1周溝から前記底部に向けて延びた胴上部と、前記胴上部と前記底部との間に延びた胴下部と、を含み、前記胴上部と前記胴下部とは第2周溝で区切られ、前記胴下部と前記底部とは第3周溝で区切られ、前記肩主部には、前記プラスチックボトルの中心軸に平行な方向に沿って延びた複数の肩部縦溝が等角度ピッチで設けられ、前記胴上部には、前記胴上部の全周にわたって延びた複数の胴部周溝が設けられている。
【0009】
本発明の第3の側面は、口部と、前記口部から延びた肩部と、底面を有する底部と、前記肩部と前記底部との間の胴部とを有するプラスチックボトルに係り、前記肩部は、前記口部に接続される肩上端部と、前記肩上端部から延びた肩主部とを含み、前記肩上端部は、前記プラスチックボトルの縦断面において、前記プラスチックボトルの外側表面の曲率中心が前記外側表面の外側に位置するように構成され、前記肩部と前記胴部とは、第1周溝で区切られていて、前記肩主部は、前記肩上端部から前記第1周溝まで至り、前記胴部は、前記第1周溝から前記底部に向けて延びた胴上部と、前記胴上部と前記底部との間に延びた胴下部と、を含み、前記胴上部と前記胴下部とは第2周溝で区切られ、前記胴下部と前記底部とは第3周溝で区切られ、前記肩主部には、前記プラスチックボトルの中心軸に平行な方向に沿って延びた複数の肩部縦溝が等角度ピッチで設けられ、前記胴上部には、前記胴上部の全周にわたって延びた複数の胴部周溝が設けられ、前記胴下部には、前記第2周溝又はその近傍から前記第3周溝又はその近傍に至るように延びた複数の胴部縦溝が等間隔で設けられている。
【0010】
本発明の第4の側面は、飲料製品に係り、前記飲料製品は、前記1つの側面に係るプラスチックボトルと、前記プラスチックボトルに充填された飲料と、前記プラスチックボトルの前記口部に付されたキャップとを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、手で把持されることに対して相応の強度を発揮する一方で押し潰しが容易なプラスチックボトルおよび飲料製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態のプラスチックボトルの側面図。
図2】一実施形態のプラスチックボトルを図1のA-A面で切断した横断面図。
図3】一実施形態のプラスチックボトルを図1のB-B面で切断した横断面図。
図4】一実施形態のプラスチックボトルの平面図。
図5】一実施形態のプラスチックボトルを図4のC-C面で切断した縦断面図。
図6】一実施形態のプラスチックボトルを図1のA-A面またはB-B面で切断した横断面図。
図7】一実施形態のプラスチックボトルの機能を説明するための縦断面図。
図8】一実施形態のプラスチックボトルの形状を説明するための縦断面図。
図9】実施形態に従うプラスチックボトル(a)および比較例のプラスチックボトル(b)を示す図。
図10】一実施形態のプラスチックボトルを説明するための横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
図1は、一実施形態のプラスチックボトルPBの側面図である。図2は、プラスチックボトルPBを図1のA-A面で切断した横断面図(外形のみ図示)である。図3は、プラスチックボトルPBを図1のB-B面で切断した横断面図(外形のみ図示)である。図4は、プラスチックボトルPBを上方から見た平面図である。図5は、プラスチックボトルPBを図4のC-C面で切断した縦断面図(外形のみ)である。図6は、プラスチックボトルPBを図1のA-A面またはB-B面で切断した横断面図(外形のみ図示)である。図7は、プラスチックボトルPBの機能を説明するための図である。図8は、プラスチックボトルPBの形状を説明するための縦断面図である。
【0015】
プラスチックボトルPBは、口部10と、口部10から延びた肩部20と、底面を有する底部40と、肩部20と底部40との間の胴部30とを有しうる。プラスチックボトルPBには、飲料が充填された後、口部10にキャップ(不図示)が付され、これにより飲料製品が製造されうる。プラスチックボトルPBには、シュリンクラベルまたはロールラベルなどのラベルが付されてもよい。飲料は、例えば、茶(例えば、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶)、水、清涼飲料、果汁飲料等の非炭酸含有飲料であってよく、プラスチックボトルPBは、例えば、非炭酸含有飲料が充填されるように構成されてよい。
【0016】
肩部20は、口部10に接続される肩上端部21と、肩上端部21から延びた肩主部22とを含みうる。図8に示されるように、肩上端部21は、プラスチックボトルPBの縦断面において、プラスチックボトルPBの外側表面の曲率中心CC1が外側表面PBの外側に位置するように構成された部分でありうる。肩部20と胴部30とは、第1周溝51で区切られていて、肩主部22は、肩上端部21から第1周溝51まで至っている。胴部30は、第1周溝51から底部40に向けて延びた胴上部31と、胴上部31と底部40との間に延びた胴下部32とを含みうる。胴下部32は、第2溝52と第3周溝53とを接続するように延びた部分であるものとして理解されてもよい。胴上部31と胴下部32とは、第2周溝52で区切られうる。胴下部32と底部40とは、第3周溝53で区切られうる。
【0017】
肩主部22には、プラスチックボトルPBの中心軸CXに平行な方向(高さ方向(図1の縦方向))に沿って延びた複数の肩部縦溝25が等角度ピッチで設けられうる。複数の肩部縦溝25の個数は、例えば、10以上かつ22以下であってよく、好ましくは、14以上18以下であり、一例において、16である。複数の肩部縦溝25は、プラスチックボトルPBを中心軸CXに平行な方向に押し潰す力に対するプラスチックボトルPBの強度を高めるために有用である。一方、複数の肩部縦溝25は、プラスチックボトルPBを半径方向(中心軸CXに向かう方向)に押し潰す力(例えば、使用者が胴部30を握る力)に対するプラスチックボトルPBの強度を弱める方向に作用しうる。しかしながら、プラスチックボトルPBに対して半径方向に作用する力(例えば、使用者が胴部30を握る力)に対する強度は、以下で説明するように、胴上部31に設けられた複数の胴部周溝35によって補完されうる。
【0018】
胴上部31には、胴上部31の全周にわたって延びた複数の胴部周溝35が設けられうる。複数の胴部周溝35は、例えば等間隔で設けられる。複数の胴部周溝35の個数は、例えば、2以上かつ5以下であり、一例において、3である。複数の胴部周溝35は、プラスチックボトルPBに対して半径方向に作用する力に対するプラスチックボトルPBの強度を高めるために有用である。
【0019】
胴下部32には、第2周溝52又はその近傍から第3周溝53又はその近傍に至るように延びた複数の胴部縦溝36が等間隔で設けられうる。複数の胴部縦溝36の個数は、例えば、10以上かつ22以下であってよく、好ましくは、14以上18以下であり、一例において、16である。複数の胴部縦溝36は、プラスチックボトルPBを中心軸CXに平行な方向に押し潰す力に対するプラスチックボトルPBの強度を高めるために有用である。一方、複数の胴部縦溝36は、プラスチックボトルPBを半径方向に押し潰す力に対するプラスチックボトルPBの強度を弱める方向に作用しうる。しかしながら、プラスチックボトルPBに対して半径方向に作用する力に対するプラスチックボトルPBの強度は、胴上部31に設けられた複数の胴部周溝35によって補完されうる。
【0020】
図7に模式的に示されるように、胴下部32に複数の胴部縦溝36を設けた構成は、胴下部32に対してプラスチックボトルPBを半径方向に押し潰す力が加えられたときに、胴下部32がプラスチックボトルPBの内側に容易に凹む機能を提供する。胴下部32がプラスチックボトルPBの内側に凹んだ後は、胴上部31についても、プラスチックボトルPBの内側に容易に凹ませることができる。よって、プラチックボトルPBに充填された飲料を消費した後は、消費者等は、プラスチックボトルPBを簡単に潰し、その嵩を減らすことができる。一方、飲料を飲む際などに人によって握られる胴上部31には、複数の35が設けられているので、通常の使用状態においては、プラスチックボトルPBに対して半径方向に作用する力に対するプラスチックボトルPBの強度は複数の胴部周溝35によって確保されうる。
【0021】
図7には示されていないが、肩主部22に設けられた複数の肩部縦溝25も、肩主部22に対してプラスチックボトルPBを半径方向に押し潰す力が加えられたときに、肩主部22がプラスチックボトルPBの内側に容易に凹む機能を提供する。
【0022】
複数の肩部縦溝25の深さは、複数の胴部周溝35の深さより小さいことが望ましい。換言すると、複数の胴部周溝35の深さは、複数の肩部縦溝25の深さより大きいことが望ましい。同様に、複数の胴部縦溝36の深さは、複数の胴部周溝35の深さより小さいことが好ましい。換言すると、複数の胴部周溝35の深さは、複数の胴部縦溝36の深さより大きいことが望ましい。このような構成は、通常の使用状態において、プラスチックボトルPBに対して半径方向に作用する力に対する胴部30の強度を確保しつつ、飲料の消費後において、プラスチックボトルPBを半径方向に押し潰すために有用である。ここで、複数の肩部縦溝25の深さ、および複数の胴部縦溝36の深さの双方が複数の胴部周溝35の深さより小さいことが好ましい。
【0023】
複数の肩部縦溝25の個数は、複数の胴部縦溝36の個数と等しいことが望ましい。また、複数の肩部縦溝25と複数の胴部縦溝36とは、プラスチックボトルPBの中心軸CXに平行な方向に関して整列していること、換言すると、プラスチックボトルPBの中心軸CXから見た肩部縦溝25の方位とプラスチックボトルPBの中心軸CXから見た胴部縦溝36の方位とが等しいことが望ましい。
【0024】
複数の肩部縦溝25の深さは、例えば、0.5mm以上かつ0.9mm以下でありうる。複数の胴部縦溝36の深さは、0.5mm以上かつ1.0mm以下である。
【0025】
複数の胴部周溝35の深さは、例えば、0.5mm以上かつ3.0mm以下であり、0.8mm以上かつ1.6mm以下であることが望ましい。ここで、複数の胴部周溝35の深さは、当該数値範囲において、複数の肩部縦溝25の深さ、および複数の胴部縦溝36の深さよりも深いことが望ましい。
【0026】
第1周溝51、第2周溝52および第3周溝53の深さは、例えば、1.7mm以上かつ5.0mm以下であり、2.0mm以上かつ3.0mm以下であることが望ましい。ここで、第1周溝51、第2周溝52および第3周溝53の深さは、当該数値範囲において、複数の胴部周溝35の深さより深いことが望ましい。
【0027】
図6に模式的に示されるように、複数の肩部縦溝25の各々、および、複数の胴部縦溝36の各々は、プラスチックボトルPBの横断面において、互いに対向する2つの面SF1、SF2を有しうる。プラスチックボトルPBの横断面において、互いに対向する2つの面SF1、SF2の曲率半径RCは、例えば、2.5mm以上かつ8.0mm以下でありうる。互いに対向する2つの面SF1、SF2がなす最小角度αは、例えば、90度以上かつ120度以下でありうる。
【0028】
第1周溝51は、プラスチックボトルPBの高さの60%以上かつ70%以下の高さに位置しうる。第2周溝52は、プラスチックボトルPBの高さの25%以上かつ35%以下の高さに位置しうる。プラスチックボトルPBは、例えば、600mL以上かつ660mL以下の容量を有しうる。プラスチックボトルPBは、215mm以上かつ225mm以下の高さを有しうる。
【0029】
図8に模式的に示されるように、肩主部22は、プラスチックボトルPBの縦断面において、肩主部22の外側表面の曲率中心CC2が外側表面の内側に位置するように構成されうる。肩主部22は、該縦断面において、外側表面の曲率半径Rが30mm以上かつ40mm以下の部分を含みうる。このような構成は、プラスチックボトルPBの容量を増大させるために有利である。図9(a)、(b)には、容量の増大効果を確認するために試作されたプラスチックボトルが示されていて、図9(a)は、本実施形態に従うプラスチックボトル、図9(b)は、比較例のプラスチックボトルである。図9(a)のプラスチックボトルは、肩主部22の外側表面の曲率中心CC2が外側表面の内側に位置するように構成され、肩主部22は、該縦断面において、外側表面の曲率半径が35mmの部分を含む。図9(b)のプラスチックボトルは、肩主部22の外側表面の曲率中心CC2が外側表面の外側に位置するように構成され、肩主部22は、該縦断面において、外側表面の曲率半径が15mmの部分を含む。図9(a)のプラスチックボトルの容量は、630mLであり、図9(b)のプラスチックボトルの容量よりも約37mL大きい。
【0030】
プラスチックボトルPBは、ブロー成型によって形成されうる。図10に模式的に示されるように、複数の肩部縦溝25のうち隣り合う2つの肩部縦溝25の中間に、ブロー成形によるバリCFが位置しうる。あるいは、複数の胴部縦溝36のうち隣り合う他の2つの胴部縦溝36の中間に、ブロー成形によるバリCFが位置する。このような観点において、複数の肩部縦溝25の個数および複数の胴部縦溝36の個数は、偶数であることが好ましい。なお、図10において、バリCFは、誇張して示されている。上記のようにバリCFの位置を設計することにより、複数の肩部縦溝25を均一に形成することができ、また、複数の胴部縦溝36を均一に形成することができる。
【0031】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
10:口部、20:肩部、21:肩上端部、22:肩主部、25:肩部縦溝、30:胴部、31:胴上部、32:胴下部、35:胴部周溝、36:胴部縦溝、40:底部、51:第1周溝、52:第2周溝、53:第3周溝、CX:中心軸、SF1、SF2:対向する面、CC1、CC2:曲率中心、R:曲率半径、CF:バリ
図1
図2
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図8
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図10