(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106025
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置
(51)【国際特許分類】
H02B 3/00 20060101AFI20230725BHJP
H02B 7/06 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H02B3/00 M
H02B7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007126
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000144108
【氏名又は名称】株式会社三英社製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 伸治
(72)【発明者】
【氏名】西川 勇
(57)【要約】
【課題】地中機器の低地上高化に伴って外箱ごと地中配電機器を下げた場合であっても外箱内で検電端子に接触でき、外箱の底板を開けて手を差し込んだり、ハンドホール内に入孔しなくても検電できる。
【解決手段】多回路開閉器塔1内に収納した開閉器2の下に機器直結形ケーブル端末3を接続し、当該機器直結形ケーブル端末3に設けた既存検電端子部4が、前記多回路開閉器塔1の底板以下に設けられた地中配電機器において、前記既存検電端子部10の検電端子に一端が電気的に接続された絶縁電線6の他端を前記多回路開閉器塔1内に導出して当該多回路開閉器塔1内に設けた新設検電端子部7の検電端子に電気的に接続した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱内に収納した地中配電機器の下に機器直結形ケーブル端末を接続し、当該機器直結形ケーブル端末に設けた既存検電端子が、前記外箱の底板以下に設けられた地中配電機器において、
前記既存検電端子に一端が電気的に接続されたシールド線又は絶縁線の他端を前記外箱内に導入して当該外箱内に設けた新設検電端子に電気的に接続したことを特徴とする、地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置。
【請求項2】
前記シールド線又は絶縁線の一端は既存検電端子に被せる検電キャップ内に導入して設け、当該検電キャップを既存検電端子に被せると前記シールド線又は絶縁線の一端が既存検電端子に電気的に接続され、前記シールド線又は絶縁線の他端は前記新設検電端子に電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置。
【請求項3】
前記既存検電端子とシールド線又は絶縁線との接続部分、又は、既存検電端子に被せた検電キャップと既存検電端子との合わせ目部分及び前記シールド線又は絶縁線は水密構造となっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に通っているケーブルを地中から立ち上げて、地上に設けた外箱内の開閉器等の地中配電機器に前記ケーブルの端末を接続している機器のケーブル端末の検電端子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中配電線路では、電気を高圧から低圧に変換したり、電気の流れを変えるため、地上に設置した外箱内の変圧器や開閉器等の機器に地中のケーブルを立ち上げて接続している。これらの地中配電機器への前記ケーブルの接続には特許文献1の
図1で示すような機器直結形ケーブル端末が用いられている。
【0003】
そして、これらの地上機器の修理や点検の際は、外箱の扉を開けて外箱内に位置している機器直結形ケーブル端末に設けている検電端子(イ)のキャップを開けて検電端子に検電器を接触させて検電している。
【0004】
ところが、昨今の無電柱化と合わせて、各電力会社で使用されている地中配電機器では、社会的ニーズとして機器の低地上高化が求められている。
【0005】
そのため、従来の外箱の背丈を小さくして、当該外箱内に既存の地中配電機器を収納し、地中配電機器から垂下した機器直結形ケーブル端末をハンドホール内に配置し、前記外箱の地上高を低くしている。それ故、
図6に示すように、前記機器直結形ケーブル端子に設けられている検電端子(イ)もハンドホール内に位置している状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この様に外箱内で地中配電機器の下に接続されている機器直結形ケーブル端末に設けられた検電端子は外箱の底板より下のハンドホール内に位置しているため外箱の扉を開けただけでは検電作業が困難であり、底板を外して手を差し込んで行うか、または、ハンドホール内部に入孔する必要があり、検電作業に手間がかかる。また、前記ハンドホール内の前記ケーブル端末が一時的に水没しているときは、検電電圧が漏洩し、検電作業が不可能となる。
【0008】
そこで、この発明はこれらの問題点に着目して発明されたもので、このような地中機器の低地上高化に伴って外箱ごと地中配電機器を下げた場合であっても外箱内で検電端子に接触でき、外箱の底板を開けて手を差し込んで行ったり、ハンドホール内に入孔しなくても検電できる地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、外箱内に収納した地中配電機器の下に機器直結形ケーブル端末を接続し、当該機器直結形ケーブル端末に設けた既存検電端子が、前記外箱の底板以下に設けられた地中配電機器において、前記既存検電端子に一端が電気的に接続されたシールド線又は絶縁線の他端を前記外箱内に導入して当該外箱内に設けた新設検電端子に電気的に接続した、地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置とした。
【0010】
また、請求項2の発明は、前記シールド線又は絶縁線の一端は既存検電端子に被せる検電キャップ内に導入して設け、当該検電キャップを既存検電端子に被せると前記シールド線又は絶縁線の一端が既存検電端子に電気的に接続され、前記シールド線又は絶縁線の他端は前記新設検電端子に電気的に接続されている、請求項1に記載の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置とした。
【0011】
また、請求項3の発明は、前記既存検電端子とシールド線又は絶縁線との接続部分、又は、既存検電端子に被せた検電キャップと既存検電端子との合わせ目部分及び前記シールド線又は絶縁線は水密構造となっている、請求項1又は2に記載の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置とした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、地中配電機器を収納した外箱が低地上高化しても地中配電機器のケーブル端末の既存検電端子が外箱の底板より下になっても、検電を行う際は前記外箱の扉を開ければ、新設検電端子が外箱内にあるため、作業者は地上に居ながら容易に検電することが出来き、検電作業が迅速かつ確実に行える。
【0013】
また、特に請求項2の発明によれば、既存の機器直結形ケーブル端末の検電端子を使用して、新たに設けたシールド線又は絶縁線の一端を検電キャップに接続した当該検電キャップを既存検電端子に被せれば、当該既存検電端子とシールド線または絶縁線が電気的に接続され、さらに、新設検電端子と既存検電端子とが電気的に接続されるので、従来から使用している地中配電機器をそのまま使用でき、外箱内の地中配電機器に新設検電端子を設ければ使用でき、経済的である。従って、作業者は新設検電端子の検電キャップを取れば従来と同様の手順で検電作業が行え、便利である。
【0014】
また、請求項3の発明によれば、既存の機器直結形ケーブル端末の検電端子が、ハンドホール内で一時的に浸水している状態でも、既存検電端子に被せた検電キャップやシールド線又は絶縁線が水密構造となっているため、新設検電端子は水の影響を受けずに検電作業が行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の実施の形態例1の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置を設けた多回路開閉器塔の扉を外した状態の正面図である。
【
図2】この発明の実施の形態例1の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置を設けた多回路開閉器塔の側面断面図である。
【
図3】この発明の実施の形態例1の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置の既存検電端子に検電キャップを被せた拡大断面図である。
【
図4】この発明の実施の形態例1の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置の既存検電端子から検電キャップを外した拡大断面図である。
【
図5】この発明の実施の形態例1の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置の新設検電端子に検電キャップを被せた状態の縦断面図である。
【
図6】従来の地中配電機器のケーブル端末の検電端子箇所を示す多回路開閉器塔の扉を開けた正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態例1)
この発明の実施の形態例1の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置Aを
図1~5に基づいて説明する。
【0017】
この実施の形態例1の地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置Aは、
図1及び
図2に示すように、多回路開閉器塔1内の各開閉器2及びその下方で接続されている機器直結形ケーブル端末3に跨って設けられている。
【0018】
前記機器直結形ケーブル端末3に既存検電端子部4が設けられているが、この既存検電端子部4が設けられている箇所は前記多回路開閉器塔1の下方のハンドホール5内である。
【0019】
この既存検電端子部4に一端を接続した絶縁電線6の他端は、多回路開閉器塔1の底板を貫通して多回路開閉器塔1内まで導入され、各開閉器2の下部前面まで伸び、当該箇所で新設検電端子部7に接続されている。
【0020】
前記既存検電端子部4は、検電端子10と検電キャップ11とから成り、
図3に示すように、機器直結形ケーブル端末3はその外周を絶縁ゴム層8及び導電性ゴム層9で被われており、その一側の導電性ゴム層9から絶縁ゴム層8が略円柱状突起部8aとして突出している。そして、この略円柱状突起部8a内に一端が埋め込まれた他端を外部に突出させた前記検電端子10が設けられている。この検電端子10には前記機器直結形ケーブル端末3内部の導電部3aに電圧が生じると、誘導電圧が発生し、この電圧を検電に利用するものである。
【0021】
なお、新設検電端子部7に電圧を導くことにより電圧が低下することが考えられ、端末の種類によるそれぞれの特性により、高圧検電としての電圧より低下する場合には、抵抗分圧により低圧検電用の電圧を作り出し、低圧検電で運用することも可能である。
【0022】
この検電端子10を被って略円柱状突起部8aの外周に常時固定された検電キャップ11が設けられ、この検電キャップ11内に前記絶縁電線6の一端が導入され、検電キャップ11内の接触スプリング12に接続されている。そして、検電キャップ11を検電端子10に被せた状態では、接触スプリング12が検電端子10に押圧接触し、絶縁電線6と検電端子10とが電気的に接続されている。また、この検電キャップ11を略円柱状突起部8aから外すと、検電端子10は外部に露出される。
【0023】
この検電キャップ11は
図4に示すように、絶縁ゴムから成るキャップ本体13内の凹部13a内に前記絶縁電線6の一端が導入され、当該凹部13a内に一端を固定された前記接触スプリング12と接続されている。また、前記キャップ本体13の外周は導電性ゴム層14で被われ、一端からハンドル15が突出している。また、前記絶縁電線6の検電キャップ11内に入る箇所は導電性熱収縮チューブ16でシールドされている。また、その上から防水テープ17が被っている。これにより絶縁電線6と検電キャップ11との接続部は水密構造となっている。
【0024】
また、前記新設検電端子部7は
図5に示すように、新設検電端子18と新設検電キャップ19とから成る。新設検電端子18は、絶縁ゴム層から成る端子基台20の略円柱状突起部20aに一端が埋設され、他端が外部に突出している。端子基台20は前記略円柱状突起部20aと反対側が凹部20bとなっており、当該凹部20b内に前記絶縁電線6の他端が導入され、前記新設検電端子18と電気的に接続されている。
【0025】
また、前記端子基台20は嵌合体21を前記凹部20bの開口部に嵌めて密封され、さらに、前記略円柱状突起部20aの周囲の端子基台20は外側から押さえ金具22に押さえられている。
【0026】
また、前記新設検電キャップ19は前記検電キャップ11と同じように導電性ゴムから成り、新設検電端子18を被って、端子基台20の略円柱状突起部20aの外周に嵌合させたものである。また、略円柱状突起部20aの外周に導電性ゴム膜23が設けられ、前記押さえ金具22と検電キャップ19とを導電部材で接続している。
【0027】
この多回路開閉器塔1内の開閉器2の機器直結形ケーブル端末3の検電をするには、多回路開閉器塔1の扉(図示省略)を開けると、多数の開閉器2の下部に新設検電端子部7が設けられており、その新設検電キャップ19を外すと、新設検電端子18が現れ、当該新設検電端子18を用いて、従来と同様に検電できる。
【0028】
当該機器直結形ケーブル端末3内の導電部3aに電圧が生じていれば、既存検電端子部4の検電端子10に電圧が誘起され、当該電圧は絶縁電線6を通じて新設検電端子18に電圧がかかる。
【0029】
なお、前記既存検電端子部4の検電キャップ11及び新設検電端子部7の新設検電キャップ19は、従来から使用されている検電キャップと形状はほぼ同じであり、作業者が検電する際、直ぐに検電キャップと分かるものである。また、既存検電端子部4の検電キャップ11及び新設検電端子部7の新設検電キャップ19を外せば、検電端子10又は新設検電端子18の点検等が容易に行える。また、既存ケーブル端末の検電キャップをそのまま新設検電端子部7の検電キャップとしても使用することができる。
【0030】
なお、上記実施の形態例1では、地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置Aを多回路開閉器塔1に使用した例を示したが、当該多回路開閉器塔1以外の変圧器を収納した変圧器塔やその他の地中配電機器に使用できる。また、多回路開閉器塔1と表現したが地中配電機器を収納する、扉の付いた外箱でもよい。
【0031】
また、上記実施の形態例1では絶縁電線6を用いたが、これはシールド線でもよい。また、既存検電端子部4の検電キャップ11と絶縁電線6との水密構造は上記実施の形態例1のもの限るものではなく、適宜の水密構造であればよい。
【符号の説明】
【0032】
A 地中配電機器のケーブル端末の検電端子装置
1 多回路開閉器塔 2 開閉器
3 機器直結形ケーブル端末 3a 導電部
4 既存検電端子部 5 ハンドホール
6 絶縁電線 7 新設検電端子部
8 絶縁ゴム層 8a 略円柱状突起部
9 導電性ゴム層 10 検電端子
11 検電キャップ 12 接触スプリング
13 キャップ本体 13a 凹部
14 導電性ゴム層 15 ハンドル
16 導電性熱収縮チューブ 17 防水テープ
18 新設検電端子 19 新設検電キャップ
20 端子基台 20a 略円柱状突起部
20b 凹部 21 嵌合体
22 押さえ金具 23 導電性ゴム膜