(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106042
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】化粧シート
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20230725BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20230725BHJP
B32B 27/26 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/30
B32B27/26
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007152
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】392036821
【氏名又は名称】DICデコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】梅田 祐治
(72)【発明者】
【氏名】松島 一樹
(72)【発明者】
【氏名】大道 邦昭
(72)【発明者】
【氏名】工藤 育恵
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK15A
4F100AK25D
4F100AK42B
4F100AR00C
4F100AT00
4F100CA02D
4F100CC022
4F100CC02D
4F100EJ053
4F100EJ05D
4F100EJ421
4F100EJ42D
4F100EJ543
4F100EJ54D
4F100GB07
4F100HB31C
4F100JK172
4F100JK17D
4F100JL022
(57)【要約】
【課題】基材への貼り付け作業に要する時間及び労力を節減し得るUV硬化樹脂層を含む化粧シートを提供すること。
【解決手段】化粧シート10は、積み重ねられ互いに接着された、可撓性を有する複数の層からなる。複数の層は熱乾燥された紫外線硬化型アクリルポリマー(UV硬化型アクリルポリマー)からなるトップコート層12を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重ねられ互いに接着された、可撓性を有する複数の層からなる化粧シートであって、
複数の層は、熱乾燥された紫外線硬化型アクリルポリマーからなるトップコート層を含む、化粧シート。
【請求項2】
前記複数の層は、順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層、不透明なポリエチレンテレフタレート層又は不透明なポリエチレンテレフタレートグリコール層と、絵柄印刷層と、前記トップコート層とからなる、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記複数の層は、順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層、不透明なポリエチレンテレフタレート層又は不透明なポリエチレンテレフタレートグリコール層と、絵柄印刷層と、前記トップコート層とからなり、
前記トップコート層は、艶消し層部分及び該艶消し層部分を覆う艶出し層部分からなる、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記複数の層は、順次に積み重ねられ互いに接着された紙の層と、透明なポリエチレンテレフタレート層と、絵柄印刷層と、前記トップコート層とからなる、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記複数の層は、順次に積み重ねられ互いに接着された紙の層と、透明なポリエチレンテレフタレート層と、絵柄印刷層と、前記トップコート層とからなり、
前記トップコート層は、艶消し層部分及び該艶消し層部分を覆う艶出し層部分からなる、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記複数の層は、順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層と、絵柄印刷層と、透明なポリ塩化ビニル層と、前記トップコート層とからなる、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項7】
前記複数の層は、順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層と、絵柄印刷層と、透明なポリ塩化ビニル層と、前記トップコート層とからなり、
前記トップコート層は艶消し層部分及び該艶消し層部分を覆う艶出し層部分からなる、請求項1に記載の化粧シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材、特に玄関扉やキッチンの収納扉のような化粧板に用いられる化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧板に所要の表面硬さ、耐汚染性、耐擦傷性等(表面性能)を付与するため、化粧板の基材に貼り付け化粧板の表面を規定する化粧シートとして、紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)からなる層(UV硬化樹脂層)を表面層とするものが用いられている。
【0003】
ところで、UV硬化樹脂層は可撓性に乏しい。このため、UV硬化樹脂層を有する化粧シートは折り曲げあるいは湾曲させることができず、基材にその表面及びそのコーナー部の双方が覆われるように化粧シートを貼り付けることができないという難点があった。
【0004】
従来、この難点を解消する方法が提案されている。この提案においては、可撓性を有する層状の樹脂を湾曲させて、これを基材にその表面及びコーナー部を覆うように貼り付け、次いで貼り付けられた前記層状の樹脂上にUV硬化樹脂を塗布し、その後、UV硬化樹脂層を硬化させるための紫外線を照射することとされている。
【0005】
この提案によれば、基材の表面及びその湾曲したコーナー部の双方をUV硬化樹脂層を有する化粧シートで被うことが可能である。しかし、この提案においては、基材を化粧シートで被う作業にUV硬化樹脂の塗布作業が含まれており、この作業のために基材への化粧シートの貼り付けに時間と労力とを要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基材への貼り付け作業に要する時間及び労力を節減し得るUV硬化樹脂層を含む化粧シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る化粧シートは、積み重ねられ互いに接着された、可撓性を有する複数の層からなり、前記複数の層は、熱乾燥された紫外線硬化型アクリルポリマー(UV硬化型アクリルポリマー)からなるトップコート層を含む。
【0009】
本発明に係る化粧シートにおいて、積み重ねられた複数の層のうち最上位に位置し透明な表面層をなすトップコート層を構成する前記UV硬化型アクリルポリマーは、これを熱乾燥させることによりタックフリー及び可撓性を有する未硬化の状態におくことができ、また、前記熱乾燥後に紫外線を照射することにより硬化した状態とすることができる。このことから、前記熱乾燥させたUV硬化型アクリルポリマーからなるトップコート層を含む化粧シートは、これを基材の表面及びそのコーナー部の形状に沿って折り曲げ又は湾曲させて前記基材に貼り付けることができ、貼り付け後、前記UV硬化型アクリルポリマーへの紫外線照射によりこれを硬化させることができる。硬化した前記トップコート層は、従来におけると同様に、所要の表面硬さ、耐汚染性、耐擦傷性等の表面性能を有する。したがって、本発明によれば、前記化粧シートの基材への貼り付け作業において、従来におけるUV硬化樹脂の塗布作業を必要とせず、前記貼り付け作業に要する労力及び時間の節減が可能である。また、本発明に係る前記化粧シートは、その使用に供される前において、前記UV硬化型アクリルポリマーがタックフリーの状態にあることから、ロールに巻いた形態での保管、運搬等が可能である。
【0010】
前記複数の層は、例えば順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層、不透明なポリエチレンテレフタレート層又は不透明なポリエチレンテレフタレートグリコール層と、絵柄印刷層と、前記トップコート層とからなる。
【0011】
また、前記複数の層は、例えば順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層、不透明なポリエチレンテレフタレート層又は不透明なポリエチレンテレフタレートグリコール層と、絵柄印刷層と、前記トップコート層とからなり、前記トップコート層は、艶消し層部分及び該艶消し層部分を覆う艶出し層部分からなる。
【0012】
また、前記複数の層は、例えば順次に積み重ねられ互いに接着された紙の層と、透明なポリエチレンテレフタレート層と、絵柄印刷層と、前記トップコート層とからなる。
【0013】
また、前記複数の層は、例えば順次に積み重ねられ互いに接着された紙の層と、透明なポリエチレンテレフタレート層と、絵柄印刷層と、前記トップコート層とからなり、前記トップコート層は、艶消し層部分及び該艶消し層部分を覆う艶出し層部分からなる。
【0014】
また、前記複数の層は、例えば順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層と、絵柄印刷層と、透明なポリ塩化ビニル層と、前記トップコート層とからなる。
【0015】
また、前記複数の層は、例えば順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層と、絵柄印刷層と、透明なポリ塩化ビニル層と、前記トップコート層とからなり、 前記トップコート層は艶消し層部分及び該艶消し層部分を覆う艶出し層部分からなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】化粧シートのさらに他の例を示す断面図である。
【
図4】化粧シートのさらに他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照すると、本発明に係る化粧シートの一例が全体に符号10で示されている。
【0018】
化粧シート10は、基材、例えばパーティクルボード、木材合板、中密度繊維板等からなる木質系の基材(図示せず)をその貼り付けの対象とする。
【0019】
化粧シート10は、積み重ねられ互いに接着された、可撓性を有する複数の層からなり、前記複数の層は、熱乾燥された紫外線硬化型アクリルポリマーからなるトップコート層12を含む。
【0020】
トップコート層12を構成する前記UV硬化型アクリルポリマーは、これを熱乾燥させることによりタックフリー及び可撓性を有する未硬化の状態におくことができ、また、前記熱乾燥後に紫外線を照射することにより硬化した状態とすることができる。このことから、前記熱乾燥させたUV硬化型アクリルポリマーからなるトップコート層12を含む化粧シート10は、可撓性を有することから、これを前記基材の表面及びそのコーナー部の形状に沿って折り曲げ又は湾曲させて前記基材に貼り付けることができ、貼り付け後、前記UV硬化型アクリルポリマーへの紫外線照射によりこれを硬化させることができる。硬化したトップコート層12は、従来におけると同様に、所要の表面硬さ、耐汚染性、耐擦傷性等の表面性能を有する。したがって、化粧シート10の前記基材への貼り付け作業において、従来におけるUV硬化樹脂の塗布作業を必要とせず、前記貼り付け作業に要する労力及び時間の節減が可能である。また、化粧シート10は、その使用に供される前において、前記UV硬化型アクリルポリマーがタックフリーの状態にあることから、ロールに巻いた形態での保管、運搬等が可能である。
【0021】
図1に示す化粧シート10は、順次に積み重ねられ互いに接着された、フィルムからなる不透明なポリ塩化ビニル層14と、印刷インキからなる絵柄印刷層16と、コート剤であるトップコート層12とからなる。ここに、不透明なポリ塩化ビニル層14は、その特性として、比較的優れた加工性を有し、また、MDF(ミディアム デンシティ ファイバー)等の基材色を隠し、これを隠蔽する働きをなす。絵柄印刷層16の前記印刷インキは、例えば塩酢ビ系、塩酢ビ/アクリル系、ウレタン系、硝化綿系等の樹脂からなる。これらの樹脂は各種のフィルムに対する密着性及び加工性に優れる。層12~16は、いずれも、折り曲げや湾曲が可能である可撓性を有する。トップコート層12は絵柄印刷層16の保護層をなす。各層の厚さについては、一例として、トップコート層12の厚さが2μm、不透明なポリ塩化ビニル層14の厚さが70μm、絵柄印刷層16の厚さが1μmに設定されている。
【0022】
【0023】
図2に示す化粧シート10は、順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層14と、絵柄印刷層16と、トップコート層12とからなり、トップコート層12は、マットコート剤からなる艶消し層部分12a及び該艶消し層部分を覆うグロスコート剤からなる艶出し層部分12bからなる。艶消し層部分12aの厚さ及び艶出し層部分12bの厚さは、一例として、それぞれ2μmに設定されている。
【0024】
図3に示す化粧シート10は、順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層14と、絵柄印刷層16と、フィルムからなる透明なポリ塩化ビニル層18と、トップコート層12とからなる。透明なポリ塩化ビニル層18はその透明性によりその下の絵柄印刷層16の可視化に寄与する。また、透明なポリ塩化ビニル層18は優れた加工性を有する。透明なポリ塩化ビニル層18の厚さは、一例として、100μmに設定されている。
【0025】
図4に示す化粧シート10は、順次に積み重ねられ互いに接着された不透明なポリ塩化ビニル層14と、絵柄印刷層16と、透明なポリ塩化ビニル層18と、トップコート層12とからなる。この例において、トップコート層12は、意匠上の効果付与のため、マットコート剤からなる艶消し層部分12a及び該艶消し層部分を覆うグロスコート剤からなる艶出し層部分12bからなるものとされている。
【0026】
前記基材に対する密着性や化粧シートに対する要求性能に合わせて、
図1及び
図3に示す例における不透明なポリ塩化ビニル層14に代えて、フィルムからなる不透明なポリエチレンテレフタレート(PET)層又はフィルムからなる不透明なポリエチレンテレフタレートグリコール(PET‐G)層からなるものとすることが可能である。
【0027】
また、
図2及び
図4に示す例にあっては、不透明なポリ塩化ビニル層14に代えて、フィルムからなる透明なポリエチレンテレフタレート(PET)層及び紙(白色又は着色)の層からなるものとすることが可能である。ここにおいて、前記透明なポリエチレンテレフタレート層は前記紙の層上に積み重ねられ、該紙の層に接着されている。
【符号の説明】
【0028】
10 化粧シート
12 トップコート層
14 不透明なポリ塩化ビニル層
16 絵柄印刷層
18 透明なポリ塩化ビニル層