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特開2023-106057送信装置、送信機、送信方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106057
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】送信装置、送信機、送信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20230725BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20230725BHJP
   H03F 1/30 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H04B1/04 E
H03F3/24
H03F1/30 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007176
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】岡田 喜仁
【テーマコード(参考)】
5J500
5K060
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC02
5J500AC88
5J500AF17
5J500AF18
5J500AH02
5J500AH10
5J500AH19
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH35
5J500AH39
5J500AH43
5J500AK51
5J500AK55
5J500AK68
5J500AM13
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT07
5J500NC04
5J500ND02
5J500NF07
5J500NF08
5J500NF10
5J500NF11
5J500NH05
5J500NH08
5J500NH09
5J500NH10
5J500NH14
5J500NH15
5J500NH17
5J500NH20
5J500WU08
5K060BB03
5K060EE01
5K060FF06
5K060HH06
5K060JJ07
5K060JJ23
5K060LL11
5K060LL24
(57)【要約】
【課題】PINダイオードのような所定の電力以下に送信信号を制限する素子による電力の制約を受けない、送信信号を扱うことのできる送信装置を提供する。
【解決手段】送信装置は、指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する第1素子を介さずに増幅する増幅器と、前記増幅器による増幅後の信号を送信する出力装置と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する第1素子を介さずに増幅する増幅器と、
前記増幅器による増幅後の信号を送信する出力装置と、
を備える送信装置。
【請求項2】
前記第1素子は、
PINダイオードである、
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記増幅後の信号を検出する検出装置と、
前記送信信号の生成を指示する指令信号と、前記検出装置が検出した信号とに基づいて、前記増幅器の電圧利得を制御する制御信号を生成する制御装置と、
を備える請求項1または請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
送信装置が備えられる送信機における温度を検出する検出装置と、
前記検出装置が検出した温度に基づいて、前記増幅器の電圧利得を制御する制御信号を生成する制御装置と、
を備える請求項1または請求項2に記載の送信装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の送信装置と、
前記送信装置に送信信号を出力する生成装置と、
を備える送信機。
【請求項6】
指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する第1素子を介さずに増幅することと、
増幅後の信号を送信することと、
を含む送信方法。
【請求項7】
コンピュータに、
指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する第1素子を介さずに増幅することと、
増幅後の信号を送信することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信装置、送信機、送信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな分野で通信技術が用いられている。通信を行う送信機では、所定の電力の信号を送信することが求められる。特許文献1には、関連する技術として、アンテナの送出レベルを調整することのできる送信機に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-289260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、送信機では、PINダイオードを有する可変減衰器が用いられる場合がある。PINダイオードは、一般的に、送信機における他の素子に比べて入力可能な電力が小さい。そのため、PINダイオードを用いる送信機では入力可能な電力が制限される。そのため、送信機では、PINダイオードのような所定の電力以下に送信信号を制限する素子による電力の制約を受けない、送信信号を扱うことのできる技術が求められている。
【0005】
本開示の各態様は、上記の課題を解決することのできる送信装置、送信機、送信方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、送信装置は、指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する第1素子を介さずに増幅する増幅器と、前記増幅器による増幅後の信号を送信する出力装置と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、送信機は、前記送信装置と、前記送信装置に送信信号を出力する生成装置と、を備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、送信方法は、指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する第1素子を介さずに増幅することと、増幅後の信号を送信することと、を含む。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する第1素子を介さずに増幅することと、増幅後の信号を送信することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の各態様によれば、所定の電力以下に送信信号を制限する素子による電力の制約を受けない、送信信号を扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1実施形態による送信機の構成の一例を示す図である。
図2】本開示の第1実施形態による電力増幅器の構成の一例を示す図である。
図3】本開示の第1実施形態による記憶装置が記憶するデータテーブルの一例を示す図である。
図4】本開示の第1実施形態による送信機の処理フローの一例を示す図である。
図5】比較対象の送信機の構成の一例を示す図である。
図6】本開示の第2実施形態による送信機の構成の一例を示す図である。
図7】本開示の第2実施形態による記憶装置が記憶するデータテーブルの一例を示す図である。
図8】本開示の第2実施形態による送信機の処理フローの一例を示す図である。
図9】本開示の実施形態による送信装置の最小構成を示す図である。
図10】本開示の実施形態による最小構成の送信装置の処理フローの一例を示す図である。
図11】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
<第1実施形態>
図1は、本開示の第1実施形態による送信機1の構成の一例を示す図である。送信機1は、図1に示すように、入力装置10、信号生成装置20、および送信装置30を備える。送信機1は、送信機1内の温度の変化に伴い送信信号の振幅が変化するのを、送信装置30により所定の振幅の送信信号に補正する送信機である。
【0013】
入力装置10は、ユーザの操作に基づいて指令信号を生成する。入力装置10の例としては、タッチパネル、マイク、キーボードなどが挙げられる。ユーザが入力装置10に対して送信機1からある情報を送信する操作を行うと、入力装置10は、ユーザが行ったその操作に応じた指令信号を生成する。送信機1から送信する情報の例としては、音声、画像、ファイルなどの情報が挙げられる。入力装置10は、指令信号を信号生成装置20および送信装置30に出力する。
【0014】
信号生成装置20は、入力装置10が出力する指令信号に基づいて、送信信号を生成する。送信信号の例としては、音声、画像、ファイルなどの情報を送信する送信信号であって、位相偏移変調(PSK;Phase Shift Keying)や、直交振幅変調(QAM;Quadrature Amplitude Modulation)などの変調が行われた送信信号が挙げられる。信号生成装置20は、送信信号を送信装置30に出力する。
【0015】
送信装置30は、送信機1内の温度が変化した場合であっても、送信機1が送信する送信信号を所定の振幅の送信信号(所定の電力、つまりは所定の電波強度)に補正する装置である。送信装置30は、図1に示すように、電力増幅器301(増幅器の一例)、電力検出器302(出力装置の一例)、検波器303(検出装置の一例)、AD(Analog to Digital)変換器304、制御装置305、および記憶装置306を備える。
【0016】
電力増幅器301は、入力された信号の振幅を、制御装置305による制御に基づいて決定される電力増幅器301の電圧利得Gv倍した信号の振幅まで増幅する。電力増幅器301は、増幅後の信号を電力検出器302に出力する。
【0017】
図2は、本開示の第1実施形態による電力増幅器301の構成の一例を示す図である。例えば、電力増幅器301は、図2に示すように、トランジスタ3011、キャパシタ3012、3013、抵抗3014、3015a1、3015a2、・・・、3015a(n-1)、3015an、スイッチ3016a1、3016a2、・・・、3016a(n-1)、3016anを備える。なお、抵抗3015a1、3015a2、・・・、3015a(n-1)、3015anを総称して、抵抗3015aという。また、スイッチ3016a1、3016a2、・・・、3016a(n-1)、3016anを総称して、スイッチ3016aという。
【0018】
トランジスタ3011は、シリコンなどの半導体により構成され、信号を増幅する。トランジスタ3011の例としては、MOSFET(Metal Oxcide Semiconductor Field Effect Transistor)、バイポーラトランジスタなどが挙げられる。
【0019】
キャパシタ3012は、電力増幅器301に入力された信号における直流成分を除去する。キャパシタ3013は、トランジスタ3011から出力される信号における直流成分を除去する。抵抗3014は、外部からのバイアス電圧Vgをトランジスタ3011の第1端子に供給するとともに、キャパシタ3012からトランジスタ3011の第1端子に入力される信号(交流成分)をそのバイアス電圧Vgに重畳させることを可能にする。
【0020】
抵抗3015aのそれぞれは、直列に接続される。直列に接続された抵抗3015a全体の両端間の抵抗値は、後述するように、スイッチ3016aのそれぞれがオン状態であるかオフ状態であるかにより変化する。抵抗3015aは、トランジスタ3011のトランスコンダクタンスgmとともに、電力増幅器301の電圧利得Gvを決定する。例えば、直列に接続された抵抗3015a全体の両端間の抵抗値がRdである場合、電力増幅器301の電圧利得Gvは、トランスコンダクタンスgmと抵抗値Rdとを乗算したgm・Rdとなる。
【0021】
スイッチ3016aのそれぞれは、制御装置305による制御の下、オン状態またはオフ状態になる。スイッチ3016aのそれぞれは、例えば、MOSFETによるトランジスタスイッチである。スイッチ3016aのそれぞれが、制御装置305による制御の下、オン状態またはオフ状態になることにより、直列に接続された抵抗3015a全体の抵抗値が所望の抵抗値に調整する。例えば、図2に示すように、抵抗3015a1に並列にスイッチ3016a1が接続され、抵抗3015a2に並列にスイッチ3016a2が接続され、抵抗3015a(n-1)にスイッチ3016a(n-1)が接続され、抵抗3015anに並列にスイッチ3016anが接続される。スイッチ3016aの何れかがオン状態になった場合、そのオン状態になったスイッチ3016aに並列に接続されている1つの抵抗3015aの両端が短絡された状態になる。すなわち、スイッチ3016a1がオン状態の場合、抵抗3015a1の両端間の抵抗値がゼロになり、スイッチ3016a2がオン状態の場合、抵抗3015a2の両端間の抵抗値がゼロになり、スイッチ3016a(n-1)がオン状態の場合、抵抗3015a(n-1)の両端間の抵抗値がゼロになり、スイッチ3016anがオン状態の場合、抵抗3015a1の両端間の抵抗値がゼロになる。このように、抵抗3015aの何れかの両端間がスイッチ3016aによって短絡されることにより、直列に接続された抵抗3015a全体の抵抗値が変化する。よって、制御装置305が、スイッチ3016aのそれぞれを所望のオン状態またはオフ状態に制御することにより、直列に接続された抵抗3015a全体の抵抗値が所望の抵抗値となる。
【0022】
図2に示す電力増幅器301において、トランジスタ3011の第1端子は、キャパシタ3012の第1端子および抵抗3014の第1端子に接続される。トランジスタ3011の第2端子は、キャパシタ3013の第1端子、抵抗3015a1の第1端子、およびスイッチ3016a1の第1端子に接続される。抵抗3015a1の第2端子は、抵抗3015a2の第1端子、スイッチ3016a1の第2端子、およびスイッチ3016a2の第1端子に接続される。抵抗3015a2の第2端子は、抵抗3015a3の第1端子、スイッチ3016a2の第2端子、およびスイッチ3016a3の第1端子に接続される。同様に、抵抗3015a(n-2)の第2端子は、抵抗3015a(n-1)の第1端子、スイッチ3016a(n-2)の第2端子、およびスイッチ3016a(n-1)の第1端子に接続される。抵抗3015a(n-1)の第2端子は、抵抗3015anの第1端子、スイッチ3016a(n-1)の第2端子、およびスイッチ3016anの第1端子に接続される。そして、抵抗3015anの第2端子は、スイッチ3016anの第2端子に接続される。
【0023】
電力増幅器301は、端子GND、端子Vin、端子Vout、端子Vg、および端子Vddを有する。端子GNDは、電力増幅器301の基準電圧となるグラウンド端子である。端子Vinは、送信機1が送信する送信信号を電力増幅器301に入力する端子である。端子Voutは、送信機1が送信する送信信号を電力増幅器301から出力する端子である。端子Vgは、外部からのバイアス電圧Vgをトランジスタ3011に供給する端子である。端子Vddは、外部からのドレインに電圧を印加するための電圧Vddを抵抗3015aに供給する端子である。
【0024】
トランジスタ3011の第3端子は、端子GNDである。キャパシタ3012の第2端子は、端子Vinである。キャパシタ3013の第2端子は、端子Voutである。抵抗3014の第2端子は、端子Vgである。抵抗3015anの第2端子は、端子Vddである。
【0025】
電力検出器302は、電力増幅器301が出力する電力の一部を取り出す。例えば、電力検出器302は、トランスを有し、電力増幅器301が出力する信号をそのトランスの1次側コイルに入力し、そのトランスの2次側コイルから、電力増幅器301が出力する信号に応じた信号を、電力増幅器301が出力する電力の一部として取り出す。電力検出器302は、取り出した電力の一部(すなわち、電力増幅器301が出力する信号に応じた信号)を検波器303に出力する。なお、電力検出器302は、マイクロストリップライン方式の方向性結合器を使用したものであってもよい。
【0026】
検波器303は、電力検出器302が出力する信号の包絡線を検出する。検波器303は、検出した包絡線を示すアナログ信号をAD変換器304に出力する。なお、検波器303による信号の包絡線の検出は、既存の技術を用いるものであってよい。既存の技術の例としては、ダイオードを用いて電流を順方向にだけ流し、抵抗とキャパシタにより構成されるLPFを用いて高周波成分をカットすることにより、信号の包絡線を検出する技術などが挙げられる。
【0027】
AD変換器304は、検波器303が検出した包絡線を示すアナログ信号をデジタル信号に変換する。このデジタル信号は、実際に送信する送信信号の振幅に1対1で対応する信号である。AD変換器304は、変換後のデジタル信号を制御装置305に出力する。
【0028】
制御装置305は、入力装置10が出力する指令信号、およびAD変換器304が出力するデジタル信号に基づいて、電力増幅器301の電圧利得Gvを制御する制御信号を生成する。制御装置305は、入力装置10が出力する指令信号により、送信機1がどのような振幅の送信信号を送信すべきであるか、目標となる送信信号の振幅を特定することができる。また、デジタル信号は、実際に送信する送信信号の振幅に1対1で対応する信号であるため、制御装置305は、デジタル信号から実際に送信する送信信号の振幅を特定することができる。よって、例えば、制御装置305は、入力装置10が出力する指令信号から目標となる送信信号の振幅を特定する。また、制御装置305は、デジタル信号から実際の送信信号の振幅を特定する。そして、制御装置305は、目標となる送信信号の振幅の値を実際の送信信号の振幅の値で除算する。制御装置305は、その除算結果が得られたときの電力増幅器301の電圧利得Gvにその除算結果を乗算した電圧利得となるように、電力増幅器301の電圧利得を調整する制御信号を生成すればよい。
【0029】
具体的には、抵抗3015a全体の両端間の抵抗値がRdであり、目標となる送信信号の振幅の値を実際の送信信号の振幅の値で除算結果がkであった場合、制御装置305は、抵抗値が(Rd・k)になるように、スイッチ3016aそれぞれの状態(すなわち、オン状態またはオフ状態)を制御すればよい。例えば、制御装置305は、後述する記憶装置306が記憶するスイッチ3016aそれぞれの状態と、抵抗3015a全体の両端間の抵抗値との関係を示すデータテーブルTBL1において、抵抗値が(Rd・k)である抵抗3015a全体の両端間の抵抗値を特定し、特定した抵抗値に関連付けられているスイッチ3016aそれぞれの状態とする信号が制御信号である。制御装置305は、その制御信号を用いてスイッチ3016aそれぞれを制御(すなわち、電力増幅器301の電圧利得を制御)すればよい。
【0030】
記憶装置306は、送信装置30が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。例えば、記憶装置306は、制御装置305が抵抗3015a全体の両端間の抵抗値を変更するために使用するデータテーブルTBL1を記憶する。図3は、本開示の第1実施形態による記憶装置306が記憶するデータテーブルTBL1の一例を示す図である。データテーブルTBL1は、図3に示すように、スイッチ3016aそれぞれの状態と、抵抗3015a全体の両端間の抵抗値とを関連付けたデータテーブルである。このデータテーブルTBL1から、電力増幅器301の電圧利得変更後の抵抗値(Rd・k)を特定した場合、スイッチ3016aのそれぞれをどのような状態にすべきか(すなわち、オン状態にすべきかオフ状態にすべきか)を特定することができる。
【0031】
次に、送信機1が行う処理について説明する。図4は、本開示の第1実施形態による送信機1の処理フローの一例を示す図である。なお、電力増幅器301の電圧利得は、Gv倍に設定されているものとする。
【0032】
入力装置10は、ユーザの操作に基づいて指令信号を生成する。入力装置10は、指令信号を信号生成装置20および送信装置30に出力する。
【0033】
信号生成装置20は、入力装置10が出力する指令信号に基づいて、送信信号を生成する。信号生成装置20は、送信信号を送信装置30に出力する。
【0034】
送信装置30は、送信機1内の温度が変化した場合であっても、送信機1が送信する送信信号を所定の振幅の送信信号(所定の電力、つまりは所定の電波強度)に補正する装置である。送信装置30は、図1に示すように、電力増幅器301、電力検出器302、検波器303、AD(Analog to Digital)変換器304、制御装置305、および記憶装置306を備える。
【0035】
電力増幅器301は、入力された信号の振幅を、制御装置305による制御に基づいて決定される電力増幅器301の電圧利得Gv倍した信号の振幅まで増幅する(ステップS1)。電力増幅器301は、増幅後の信号を電力検出器302に出力する。
【0036】
電力検出器302は、電力増幅器301が出力する電力の一部を取り出す(ステップS2)。電力検出器302は、取り出した電力の一部(すなわち、電力増幅器301が出力する信号に応じた信号)を検波器303に出力する。
【0037】
検波器303は、電力検出器302が出力する信号の包絡線を検出する(ステップS3)。検波器303は、検出した包絡線を示すアナログ信号をAD変換器304に出力する。
【0038】
AD変換器304は、検波器303が検出した包絡線を示すアナログ信号をデジタル信号に変換する(ステップS4)。AD変換器304は、変換後のデジタル信号を制御装置305に出力する。
【0039】
制御装置305は、入力装置10が出力する指令信号、およびAD変換器304が出力するデジタル信号に基づいて、電力増幅器301の電圧利得Gvを制御する(この場合、変更する)制御信号を生成する(ステップS5)。例えば、制御装置305は、入力装置10が出力する指令信号から目標となる送信信号の振幅を特定する。また、制御装置305は、デジタル信号から実際の送信信号の振幅を特定する。そして、制御装置305は、目標となる送信信号の振幅の値を実際の送信信号の振幅の値で除算する。制御装置305は、その除算結果が得られたときの電力増幅器301の電圧利得Gvにその除算結果を乗算した電圧利得となるように、電力増幅器301の電圧利得を調整する制御信号を生成する。
【0040】
具体的には、抵抗3015a全体の両端間の抵抗値がRdであり、目標となる送信信号の振幅の値を実際の送信信号の振幅の値で除算結果がkであった場合、制御装置305は、抵抗値が(Rd・k)になるように、スイッチ3016aそれぞれの状態(すなわち、オン状態またはオフ状態)を制御する。例えば、制御装置305は、記憶装置306が記憶するスイッチ3016aそれぞれの状態と、抵抗3015a全体の両端間の抵抗値との関係を示すデータテーブルTBL1において、抵抗値が(Rd・k)である抵抗3015a全体の両端間の抵抗値を特定し、特定した抵抗値に関連付けられているスイッチ3016aそれぞれの状態とする信号が制御信号である。制御装置305は、制御信号を用いてスイッチ3016aそれぞれを制御(すなわち、電力増幅器301の電圧利得を制御)する(ステップS6)。
【0041】
以上、本開示の第1実施形態による送信機1について説明した。ここで、比較対象の送信機1aについて説明する。図5は、比較対象の送信機1aの構成の一例を示す図である。送信機1aは、図5に示すように、入力装置10、信号生成装置20、および送信装置50を備える。
【0042】
送信装置50は、図5に示すように、可変減衰器501、電力増幅器502、電力検出器503、検波器504、AD変換器505、制御装置506、DA変換器507、およびレベル変換器508を備える。可変減衰器501は、PINダイオード501a(第1素子の一例)を備える。PIN502aは、指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する。このように、PINダイオード501aを用いる送信装置50では、PINダイオード501aが扱うことのできる電力の制約により、送信機1aが扱う送信信号の電力にも制約が生じる。
【0043】
なお、本開示の第1実施形態による送信機1は、PINダイオードを用いないため、送信機1aのような送信信号の制約は生じない。送信機1において、電力増幅器301(増幅器の一例)は、指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する第1素子を介さずに増幅する。電力検出器302(出力装置の一例)は、前記電力増幅器301による増幅後の信号を送信する。そのため、送信機1は、PINダイオードのような所定の電力以下に送信信号を制限する素子による電力の制約を受けない、送信信号を扱うことができる。
【0044】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態による送信機1について説明する。図6は、本開示の第2実施形態による送信機1の構成の一例を示す図である。第2実施形態による送信機1は、図6に示すように、図1に示す第1実施形態による送信機1と同様に、入力装置10、信号生成装置20、および送信装置30を備える。また、第2実施形態による送信機1は、図6に示すように、さらに、温度検出装置40を備える。ここでは、第2実施形態による送信機1と第1実施形態による送信機1との主に違いについて説明する。
【0045】
入力装置10は、ユーザの操作に基づいて指令信号を生成する。入力装置10は、指令信号を信号生成装置20に出力する。つまり、第2実施形態による入力装置10は、指令信号を送信装置30に出力しない。
【0046】
温度検出装置40は、送信機1の内部の温度を検出する。温度検出装置40は、検出した温度を示す情報を送信装置30に出力する。
【0047】
送信装置30は、送信機1内の温度が変化した場合であっても、送信機1が送信する送信信号を所定の振幅の送信信号(所定の電力、つまりは所定の電波強度)に補正する装置である。送信装置30は、図1に示す第1実施形態による送信装置30と同様に、電力増幅器301、電力検出器302、検波器303、AD変換器304、制御装置305、および記憶装置306を備える。第2実施形態による送信装置30と第1実施形態による送信装置30との主な違いは、制御装置305および記憶装置306である。
【0048】
記憶装置306は、送信装置30が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。例えば、温度検出装置40により送信機1内の温度を検出しながら、第1実施形態による送信機1が行う処理を実行する。記憶装置306は、この処理において温度検出装置40が検出した各温度と、各温度における電力増幅器301の補正値(すなわち、目標となる送信信号の振幅の値を実際の送信信号の振幅の値で除算結果であり、電力増幅器301の電圧利得の補正倍率)とを関連付けて、データテーブルTBL2として記憶する。図7は、本開示の第2実施形態による記憶装置306が記憶するデータテーブルTBL2の一例を示す図である。データテーブルTBL2は、図7に示すように、スイッチ3016aそれぞれの状態と、抵抗3015a全体の両端間の抵抗値とを関連付けたデータテーブルである。このデータテーブルTBL2は、予め上述の処理を行って作成しておく。また、記憶装置306は、データテーブルTBL1を記憶する。
【0049】
制御装置305は、温度検出装置40が検出した温度に基づいて電力増幅器301の電圧利得Gvを制御する制御信号を生成する。具体的には、制御装置305は、記憶装置306が記憶するデータテーブルTBL2において、温度検出装置40が検出した温度を特定し、その温度に関連付けられている補正値を特定する。制御装置305は、記憶装置306が記憶するデータテーブルTBL1において、その補正値を特定したときのスイッチの状態を特定し、特定したスイッチの状態に関連付けられている抵抗値を特定する。そして、制御装置305は、特定した抵抗値に特定した補正値を乗算した乗算結果に最も近い抵抗値を、データテーブルTBL1において特定し、特定した抵抗値に関連付けられているスイッチの状態を特定する。制御装置305は、特定したスイッチの状態が示すスイッチ3016aそれぞれの状態とする信号を制御信号としてスイッチ3016aそれぞれを制御(すなわち、電力増幅器301の電圧利得を制御)すればよい。
【0050】
次に、送信機1が行う処理について説明する。図8は、本開示の第2実施形態による送信機1の処理フローの一例を示す図である。なお、記憶装置306は、データテーブルTBL1、TBL2を記憶しているものとする。
【0051】
入力装置10は、ユーザの操作に基づいて指令信号を生成する。入力装置10は、指令信号を信号生成装置20に出力する。
【0052】
信号生成装置20は、入力装置10が出力する指令信号に基づいて、送信信号を生成する。信号生成装置20は、送信信号を送信装置30に出力する。
【0053】
温度検出装置40は、送信機1の内部の温度を検出する。温度検出装置40は、検出した温度を示す情報を送信装置30に出力する。
【0054】
制御装置305は、温度検出装置40が検出した温度に基づいて電力増幅器301の電圧利得Gvを制御する制御信号を生成する。具体的には、制御装置305は、記憶装置306が記憶するデータテーブルTBL2において、温度検出装置40が検出した温度を特定する(ステップS11)。そして、制御装置305は、データテーブルTBL2において、その温度に関連付けられている補正値を特定する(ステップS12)。制御装置305は、記憶装置306が記憶するデータテーブルTBL1において、その補正値を特定したときのスイッチの状態を特定する(ステップS13)。そして、制御装置305は、データテーブルTBL1において、特定したスイッチの状態に関連付けられている抵抗値を特定する(ステップS14)。制御装置305は、特定した抵抗値に特定した補正値を乗算した乗算結果に最も近い抵抗値を、データテーブルTBL1において特定する(ステップS15)。そして、制御装置305は、特定した抵抗値に関連付けられているスイッチの状態を特定する(ステップS16)。制御装置305は、データテーブルTBL1において、特定したスイッチの状態が示すスイッチ3016aそれぞれの状態とする信号を制御信号としてスイッチ3016aそれぞれを制御(すなわち、電力増幅器301の電圧利得を制御)する(ステップS17)。
【0055】
以上、本開示の第2実施形態による送信機1について説明した。この送信機1は、温度検出装置40を備える。そのため、送信機1において、送信装置30は、第1実施形態で説明した処理を行ってデータテーブルTBL2を用意した場合、温度検出装置40が検出した送信機1内の温度に基づいて、電力増幅器301の電圧利得を調整することができる。その結果、PINダイオードのような所定の電力以下に送信信号を制限する素子による電力の制約を受けない、送信信号を扱うことができる。
【0056】
<第1実施形態および第2実施形態の変形例>
第1実施形態および第2実施形態の変形例では、電力増幅器301として、オペアンプと抵抗を用いた反転増幅器や正転増幅器において抵抗値を制御装置305により、第1実施形態や第2実施形態の制御装置305と同様の方法で変更するものであってもよい。
【0057】
図9は、本開示の実施形態による送信装置30の最小構成を示す図である。送信装置30は、図9に示すように、増幅器301および出力装置302を備える。増幅器301は、指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する第1素子を介さずに増幅する。出力装置302は、前記増幅器301による増幅後の信号を送信する。
【0058】
図10は、本開示の実施形態による最小構成の送信装置30の処理フローの一例を示す図である。次に、図10を参照して、本開示の実施形態による最小構成の送信装置30による処理について説明する。
【0059】
増幅器301は、指令信号に応じて生成された送信信号を所定の電力以下に送信信号を制限する第1素子を介さずに増幅する(ステップS21)。出力装置302は、前記増幅器301による増幅後の信号を送信する(ステップS22)。
【0060】
以上、本開示の実施形態による最小構成の送信装置30について説明した。送信装置30により、PINダイオードのような所定の電力以下に送信信号を制限する素子による電力の制約を受けない、送信信号を扱うことができる。
【0061】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0062】
本開示の実施形態について説明したが、上述の送信機1、入力装置10、信号生成装置20、送信装置30、温度検出装置40、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
【0063】
図11は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ5は、図11に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
【0064】
例えば、上述の送信機1、入力装置10、信号生成装置20、送信装置30、温度検出装置40、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0065】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0066】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0068】
1・・・送信機
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・入力装置
20・・・信号生成装置
30・・・送信装置
40・・・温度検出装置
301・・・電力増幅器
302・・・電力検出器
303・・・検波器
304・・・AD変換器
305・・・制御装置
306・・・記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11