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特開2023-10606三次元(3D)プリンタにおいて温度を制御するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010606
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】三次元(3D)プリンタにおいて温度を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/17 20210101AFI20230113BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230113BHJP
   B22F 10/22 20210101ALI20230113BHJP
   B22F 12/53 20210101ALI20230113BHJP
   B22F 12/70 20210101ALI20230113BHJP
【FI】
B22F12/17
B33Y30/00
B22F10/22
B22F12/53
B22F12/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097917
(22)【出願日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】17/371,470
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エム.・ルフェーヴル
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・シー.・シェフリン
(72)【発明者】
【氏名】パルガット・エス.・ラメシュ
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA04
4K018AA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】印刷プロセス中に3D部品の温度を制御するための改善されたシステムを備えた3Dプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタは、部品の高さが約0mmから約30mmに増加するときに、プリンタによって印刷された部品の温度を所定の範囲内に留まるように構成された熱制御デバイス160を含む。所定の範囲は、約545℃~約600℃である。熱制御デバイス160は、部品に向かって下向き方向に熱を発生させるように構成されているヒートプレートを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を印刷するように構成されたプリンタであって、
前記部品の高さが約0mmから約30mmに増加するときに、前記部品の温度を所定の範囲内に留めるように構成されている熱制御デバイスであって、前記所定の範囲が、約545℃~約600℃であり、前記熱制御デバイスが、前記部品に向かって下向き方向に熱を発生させるように構成されているヒートプレートを備える、熱制御デバイスを備える、プリンタ。
【請求項2】
前記温度が、前記部品の上面で測定される、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記熱制御デバイスがまた、前記部品の高さが約0mmから約30mmに増加するときに、前記部品の前記温度が約5℃を超えて低下することを防止するように構成されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記温度が、前記部品の上面で測定される、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記ヒートプレートが、約375℃~約775℃の温度を有するように構成されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記ヒートプレートと前記部品との間の距離が、実質的に一定のままであり、前記部品の高さが増加する、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記部品を形成する複数の液滴を噴射するように構成されているノズルを更に備え、前記ヒートプレートと前記部品との間の距離が、前記ノズルと前記部品との間の距離と実質的に同じである、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記部品が印刷されたビルドプレートを更に備え、前記ヒートプレートの底面が、前記ビルドプレートの上面に実質的に平行である、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記熱制御デバイスが、前記部品の少なくとも一部分を少なくとも部分的に取り囲むガスカーテンを生成するように構成されているガスカーテン源を更に備える、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記ガスカーテンが、実質的に下向き方向に方向付けられており、前記ガスカーテンが、約40℃~約200℃の温度を有する、請求項9に記載のプリンタ。
【請求項11】
3Dプリンタであって、
ノズルを備えるポンプであって、前記ノズルが、そこを通る複数の液滴を噴射するように構成されており、前記液滴が、液体金属を含む、ポンプと、
前記液滴が上に着滴し、固化して3D部品を形成するように構成されているビルドプレートと、
前記ビルドプレートと前記3D部品の上面との間の距離が約0mmから約50mmに増加するときに、前記3D部品の前記上面の温度を所定の温度範囲内に留めるように構成された熱制御デバイスであって、前記所定の範囲が、約530℃~約600℃であり、前記熱制御デバイスが、
前記ビルドプレートの上方に位置付けられたヒートプレートを備え、前記ヒートプレートが、前記ノズルが延在するか、前記液滴が降下するか、又はその両方である、開口部を有し、前記ヒートプレートが、約475℃~約675℃の温度を有するように構成されており、前記3D部品に向かって下向き方向に熱を発生させる、3Dプリンタ。
【請求項12】
前記熱制御デバイスがまた、前記ビルドプレートと前記部品の前記上面との間の距離が約0mmから約50mmに増加するときに、前記部品の前記上面の温度が約20℃を超えて低下することを防止するように構成されている、請求項11に記載の3Dプリンタ。
【請求項13】
前記ヒートプレートと前記3D部品の前記上面との間の距離が、前記ビルドプレートと前記3D部品の前記上面との間の距離が増加するときに、一定のままであり、前記ヒートプレートと前記3D部品の前記上面との間の距離が、前記ノズルと前記3D部品の前記上面との間の距離と実質的に同じである、請求項11に記載の3Dプリンタ。
【請求項14】
前記ヒートプレートの底面が、前記ビルドプレートの上面に実質的に平行である、請求項11に記載の3Dプリンタ。
【請求項15】
前記熱制御デバイスが、ガスカーテンを下向き方向に方向付けるように構成されているガスカーテン源であって、前記ガスカーテンが、前記液滴が前記ノズルから前記ビルドプレートに向かって降下するときの前記液滴及び前記ビルドプレート上の前記3D部品を少なくとも部分的に取り囲み、前記ガスカーテンが、約60℃~約150℃の温度を有する、ガスカーテン源を更に備える、請求項11に記載の3Dプリンタ。
【請求項16】
3Dプリンタであって、
ノズルを備えるポンプと、
前記ポンプ内の固体金属を加熱し、それにより、前記固体金属を液体金属に変換するように構成されており、前記固体金属及び前記液体金属がアルミニウムを含む、加熱要素と、
前記ポンプの周囲に少なくとも部分的に巻き付けられているコイルと、
前記コイルに電圧パルスを送信するように構成されている電源であって、前記電圧パルスに応答して前記液体金属の複数の液滴を前記ノズルを通して噴射させ、前記液滴が、約550℃~約950℃の温度を有する、電源と、
前記ノズル、前記液滴、又はその両方の周囲に少なくとも部分的にシールドガスを導入するように構成されているシールドガス源と、
前記液滴が上に着滴し、固化して3D部品を形成するように構成されているビルドプレートであって、約350℃~約750℃の温度を有するように構成されているビルドプレートヒータを備え、これが、上向き方向に熱を発生させる、ビルドプレートと、
熱制御デバイスであって、
前記ビルドプレートの上方に位置付けられたヒートプレートを備え、前記ヒートプレートが、前記ノズルが延在するか、前記液滴が降下するか、又はその両方である、開口部を有し、前記ヒートプレートが、約525℃~約625℃の温度を有するように構成されており、前記3D部品に向かって下向き方向に熱を発生させる、熱制御デバイスと、
前記熱制御デバイスが、
前記3D部品の上面の温度が、前記ビルドプレートと前記3D部品の前記上面との間の距離が約0mmから約100mmに増加するときに、約60℃を超えて低下することを防止することと、
前記ビルドプレートと前記3D部品の前記上面との間の前記距離が約0mmから約100mmに増加するときに、前記3D部品の前記上面の前記温度を所定の範囲内に留めることであって、前記所定の範囲が、約490℃~約600℃である、留めることと、を行うように構成されている、3Dプリンタ。
【請求項17】
前記ヒートプレートと前記3D部品の前記上面との間の距離が、前記ビルドプレートと前記3D部品の前記上面との間の距離が増加するときに、実質的に一定のままである、請求項16に記載の3Dプリンタ。
【請求項18】
前記ヒートプレートと前記3D部品の前記上面との間の距離が、前記ノズルと前記3D部品の前記上面との間の距離と実質的に同じである、請求項16に記載の3Dプリンタ。
【請求項19】
前記ビルドプレートが、前記ビルドプレートを水平平面内で移動させるように構成されているビルドプレートモータを更に備え、前記ビルドプレートが、前記ビルドプレートが前記水平面内で移動するときに前記ビルドプレートが下方に留まり、前記ヒートプレートの外周内に位置付けられている、請求項16に記載の3Dプリンタ。
【請求項20】
前記熱制御デバイスが、前記ビルドプレートの上方に位置付けられたカーテンガス源を更に備え、前記カーテンガス源が、ガスカーテンを下向き方向に方向付けるように構成されており、前記ガスカーテンが、不活性ガスを含み、前記ガスカーテンが、前記液滴が前記ノズルから前記ビルドプレートに向かって下降するときの前記液滴及び前記ビルドプレート上の前記3D部品を少なくとも部分的に取り囲み、前記ガスカーテンが、約80℃~約120℃の温度を有する、請求項16に記載の3Dプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概して、三次元(three-dimensional、3D)印刷に関し、より具体的には、3Dプリンタによって印刷された3D部品の温度を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3Dプリンタは、通常、層上に材料層を連続的に堆積させることによって、コンピュータ支援設計(computer-aided design、CAD)モデルから3D部品を作り上げる(例えば、印刷する)。例えば、第1の層がビルドプレート上に堆積され得、次いで、第2の層が第1の層上に堆積され得る。3Dプリンタの1つの特定のタイプは、層上に液体金属層を堆積させて3D金属物体を形成するのに好適な磁気流体力学(magnetohydrodynamic、MHD)プリンタである。磁気流体力学とは、導電性流体の磁気的特性及び挙動の研究を指す。MHDプリンタでは、電流が金属コイルに流れることにより、液体金属組成物のリザーバ内に渦電流を誘導する時変磁場を作製する。液体金属内の磁場と電界との間の連結は、液体金属の液滴をプリンタのノズルを通して排出させる(噴射されるとも称される)ローレンツ力をもたらす。液滴は、ビルドプレート及び/又は先に堆積された液滴上に着滴することで3D部品を大きくする。
【0003】
ビルドプレートは、加熱されて、印刷されているときに3D部品に熱を送達し得る。3D部品が高くなるにつれて、3D部品の上面は、加熱されたビルドプレートからより遠くになり、これは、3D部品の上面を3D部品の下層よりも速く冷却させ得る。3D部品の特性は、印刷プロセス中に3D部品の温度に少なくとも部分的に依存し得る。より具体的には、3D部品の特性は、3D部品の異なる層が印刷プロセス中に実質的に同じ温度に曝されることに少なくとも部分的に依存し得る。したがって、必要とされるものは、印刷プロセス中に3D部品の温度を制御するための改善されたシステム及び方法である。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本教示の1つ以上の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要又は重要な要素を特定することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の前置きとして、1つ以上の概念を簡略化された形式で提示するだけである。
【0005】
部品を印刷するように構成されているプリンタが開示される。このプリンタは、部品の高さが約0mmから約30mmに増加するときに、部品の温度が約5℃を超えて低下することを防止するように構成された熱制御デバイスを含む。熱制御デバイスは、部品の少なくとも一部分を少なくとも部分的に取り囲むガスカーテンを生成するように構成されているガスカーテン源を含む。
【0006】
3Dプリンタも開示される。この3Dプリンタは、ノズルを有するポンプを含む。ノズルは、それを通る複数の液滴を噴射するように構成されている。液滴は、液体金属を含む。3Dプリンタはまた、液滴が上に着滴し、固化して3D部品を形成するように構成されているビルドプレートを含む。3Dプリンタはまた、3D部品の上面の温度が、ビルドプレートと3D部品の上面との間の距離が約0mmから約50mmに増加するときに、約20℃を超えて低下することを防止するように構成された熱制御デバイスを含む。熱制御デバイスは、ガスカーテンを実質的に下向き方向に方向付けるように構成されているガスカーテン源を含む。ガスカーテンは、液滴がノズルからビルドプレートに向かって降下するときの液滴及びビルドプレート上の3D部品を少なくとも部分的に取り囲む。ガスカーテンは、約60℃~約150℃の温度を有する。
【0007】
別の実施形態では、3Dプリンタは、ノズルを有するポンプを含む。3Dプリンタはまた、ポンプ内の固体金属を加熱し、それにより、固体金属を液体金属に変換するように構成されている加熱要素を含む。固体金属及び液体金属は、アルミニウムを含む。3Dプリンタは、ポンプの周囲に少なくとも部分的に巻き付けられているコイルを含む。3Dプリンタはまた、電圧パルスをコイルに送信するように構成された電源を備える。コイルは、電圧パルスに応答して、液体金属の複数の液滴をノズルを通して噴射させる。液滴は、約550℃~約950℃の温度を有する。3Dプリンタはまた、ノズル、液滴、又はその両方の周囲に少なくとも部分的にシールドガスを導入するように構成されているシールドガス源を含む。3Dプリンタはまた、液滴が上に着滴し、固化して3D部品を形成するように構成されているビルドプレートを含む。ビルドプレートは、約350℃~約750℃の温度を有するように構成されているビルドプレートヒータを含み、これは、上向き方向に熱を発生させる。3Dプリンタはまた、ビルドプレートの上方に位置付けられたガスカーテン源を含む熱制御デバイスを含む。ガスカーテン源は、ガスカーテンを実質的に下方に向けるように構成されている。ガスカーテンは、ビルドプレート、液滴がノズルからビルドプレートに向かって降下するときの液滴、及びビルドプレート上の3D部品、を少なくとも部分的に取り囲む。ガスカーテンは、約80℃~約120℃の温度を有する。熱制御デバイスは、3D部品の上面の温度が、ビルドプレートと3D部品の上面との間の距離が約0mmから約100mmに増加するときに、約60℃を超えて低下するのを防止するように構成されている。熱制御デバイスはまた、3D部品の上面の温度を、ビルドプレートと3D部品の上面との間の距離が約0mmから約100mmに増加するときに、所定の範囲内に留めるように構成されている。所定の範囲は、約490℃~約600℃である。
【0008】
別の実施形態では、部品を印刷するように構成されているプリンタが開示される。プリンタは、部品の温度を、部品の高さが約0mmから約30mmに増加するときに、所定の範囲内に留めるように構成された熱制御デバイスを含む。所定の範囲は、約545℃~約600℃である。熱制御デバイスは、部品に向かって下向き方向に熱を発生させるように構成されているヒートプレートを含む。
【0009】
別の実施形態では、3Dプリンタは、ノズルを有するポンプを含む。ノズルは、それを通る複数の液滴を噴射するように構成されている。液滴は、液体金属を含む。3Dプリンタはまた、液滴が上に着滴し、固化して3D部品を形成するように構成されているビルドプレートを含む。3Dプリンタはまた、ビルドプレートと3D部品の上面との間の距離が約0mmから約50mmに増加するときに、3D部品の上面の温度を所定の範囲内に留めるように構成されている熱制御デバイスを含み、所定の範囲は、約530℃~約600℃である。熱制御デバイスは、ビルドプレートの上方に位置付けられたヒートプレートを含む。ヒートプレートは、ノズルが延在するか、液滴が降下するか、又はその両方である、開口部を有する。ヒートプレートは、約475℃~約675℃の温度を有するように構成されており、3D部品に向かって下向き方向に熱を発生させる。
【0010】
別の実施形態では、3Dプリンタは、ノズルを有するポンプを含む。3Dプリンタはまた、ポンプ内の固体金属を加熱し、それにより、固体金属を液体金属に変換するように構成されている加熱要素を含む。固体金属及び液体金属は、アルミニウムを含む。3Dプリンタは、ポンプの周囲に少なくとも部分的に巻き付けられているコイルを含む。3Dプリンタはまた、電圧パルスをコイルに送信するように構成された電源を備える。コイルは、電圧パルスに応答して、液体金属の複数の液滴をノズルを通して噴射させる。液滴は、約550℃~約950℃の温度を有する。3Dプリンタはまた、ノズル、液滴、又はその両方の周囲に少なくとも部分的にシールドガスを導入するように構成されているシールドガス源を含む。3Dプリンタはまた、液滴が上に着滴し、固化して3D部品を形成するように構成されているビルドプレートを含む。ビルドプレートは、約350℃~約750℃の温度を有するように構成されているビルドプレートヒータを含み、これは、上向き方向に熱を発生させる。3Dプリンタはまた、ビルドプレートの上方に位置付けられたヒートプレートを含む熱制御デバイスを含む。ヒートプレートは、ノズルが延在する開口部を有し、液滴は、降下するか、又はその両方である。ヒートプレートは、約525℃~約625℃の温度を有するように構成されており、3D部品に向かって下向き方向に熱を発生させる。熱制御デバイスは、3D部品の上面の温度が、ビルドプレートと3D部品の上面との間の距離が約0mmから約100mmに増加するときに、約60℃を超えて低下するのを防止するように構成されている。熱制御デバイスはまた、3D部品の上面の温度を、ビルドプレートと3D部品の上面との間の距離が約0mmから約100mmに増加するときに、所定の範囲内に留めるように構成されている。所定の範囲は、約490℃~約600℃である。
【0011】
別の実施形態では、3Dプリンタが開示される。この3Dプリンタは、金属印刷材料を使用して3D部品を印刷するように構成されている。3Dプリンタは、3D部品の温度が、3D部品の高さが約0mmから約30mmに増加するときに、約5℃を超えて低下することを防止するように構成されている熱制御デバイスを含む。
【0012】
別の実施形態では、3Dプリンタが開示される。この3Dプリンタは、ノズルを有するポンプを含む。ノズルは、それを通る複数の液滴を噴射するように構成されている。液滴は、液体アルミニウムを含む。3Dプリンタはまた、液滴が上に着滴し、固化して3D部品を形成するように構成されているビルドプレートを含む。3Dプリンタはまた、3D部品の上面の温度が、ビルドプレートと3D部品の上面との間の距離が約0mmから約50mmに増加するときに、約20℃を超えて低下するのを防止するように構成されている熱制御デバイスを含む。熱制御デバイスはまた、3D部品の上面の温度を、ビルドプレートと3D部品の上面との間の距離が約0mmから約50mmに増加するときに、所定の範囲内に留めるように構成されている。所定の範囲は、約530℃~約600℃である。
【0013】
別の実施形態では、3Dプリンタが開示される。この3Dプリンタは、ノズルを有するポンプを含む。3Dプリンタはまた、ポンプ内の固体金属を加熱し、それにより、固体金属を液体金属に変換するように構成されている加熱要素を含む。固体金属及び液体金属は、アルミニウム会合(AA)6061アルミニウムを含む。3Dプリンタは、ポンプの周囲に少なくとも部分的に巻き付けられているコイルを含む。3Dプリンタはまた、電圧パルスをコイルに送信するように構成された電源を備える。コイルは、電圧パルスに応答して、液体金属の複数の液滴をノズルを通して噴射させる。液滴は、約550℃~約950℃の温度を有する。3Dプリンタはまた、ノズル、液滴、又はその両方の周囲に少なくとも部分的にシールドガスを導入するように構成されているシールドガス源を含む。3Dプリンタはまた、液滴が上に着滴し、固化して3D部品を形成するように構成されているビルドプレートを含む。ビルドプレートは、約350℃~約750℃の温度を有するように構成されているビルドプレートヒータを含み、これは、上向き方向に熱を発生させる。3Dプリンタはまた、ビルドプレートの上方に位置付けられたガスカーテン源を有する熱制御デバイスを含む。ガスカーテン源は、ガスカーテンを下向き方向に方向付けるように構成されている。ガスカーテンは、ビルドプレート、液滴がノズルからビルドプレートに向かって降下するときの液滴、及びビルドプレート上の3D部品、を少なくとも部分的に取り囲む。ガスカーテンは、約80℃~約120℃の温度を有する。熱制御デバイスはまた、ビルドプレートの上方に位置付けられたヒートプレートを含む。ヒートプレートは、ノズルが延在する開口部を有し、液滴は、降下するか、又はその両方である。ヒートプレートは、約525℃~約625℃の温度を有するように構成されており、下向き方向に熱を発生させる。熱制御デバイスは、3D部品の上面の温度が、ビルドプレートと3D部品の上面との間の距離が約0mmから約100mmに増加するときに、約60℃を超えて低下するのを防止するように構成されている。熱制御デバイスはまた、3D部品の上面の温度を、ビルドプレートと3D部品の上面との間の距離が約0mmから約100mmに増加するときに、所定の範囲内に留めるように構成されている。所定の範囲は、約490℃~約600℃である。
【0014】
方法もまた開示される。この方法は、複数の液滴を、プリンタのノズルを通して噴射して、部品を形成することを含む。方法はまた、熱制御デバイスを使用して部品の温度を制御することを含む。温度を制御することは、部品の高さが約0mmから約30mmに増加するときに、部品の温度が約5℃を超えて低下することを防止することを含む。
【0015】
別の実施形態では、方法は、複数の液滴を、プリンタのノズルを通してビルドプレート上に噴射して、部品を形成することを含む。方法はまた、熱制御デバイスを使用して部品の上面の温度を制御することを含む。温度を制御することは、部品の上面の温度が、ビルドプレートと部品の上面との間の距離が約0mmから約50mmに増加するときに、約20℃を超えて低下するのを防止することを含む。温度を制御することはまた、部品の上面の温度を、ビルドプレートと部品の上面との間の距離が約0mmから約50mmに増加するときに、所定の範囲内に留めることを含む。所定の範囲は、約530℃~約600℃である。
【0016】
別の実施形態では、方法は、複数の液滴を、プリンタのノズルを通してビルドプレート上に噴射して、部品を形成することを含む。部品は、垂直に積層された複数の層を含む。方法はまた、熱制御デバイスを使用して部品の上面の温度を制御することを含む。温度を制御することは、ガスカーテンを下向き方向に方向付けることを含む。ガスカーテンは、ビルドプレート、液滴がノズルからビルドプレートに向かって下降するときの液滴、及びビルドプレート上の部品、を少なくとも部分的に取り囲む。ガスカーテンは、約80℃~約120℃の温度を有する。温度を制御することはまた、ビルドプレートの上方に位置付けられたヒートプレートを使用して、下向き方向に熱を発生させることを含む。ヒートプレートは、ノズルが延在する開口部を有し、液滴は、降下するか、又はその両方である。ヒートプレートは、約525℃~約625℃の温度を有するように構成されており、下向き方向に熱を発生させる。熱制御デバイスは、部品の上面の温度が、ビルドプレートと部品の上面との間の距離が約0mmから約100mmに増加するときに、約60℃を超えて低下するのを防止するように構成されている。熱制御デバイスはまた、部品の上面の温度を、ビルドプレートと部品の上面との間の距離が約0mmから約100mmに増加するときに、所定の範囲内に留めるように構成されている。所定の範囲は、約490℃~約600℃である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を示し、本明細書とともに本開示の原理を説明する役割を果たす。図は以下のとおりである。
【0018】
図1】一実施形態による、3Dプリンタの概略断面図を表す。
【0019】
図2A】一実施形態による、2つの異なる印刷材料の温度の関数としての液滴制御及び液滴結合を示すグラフを表す。
図2B】一実施形態による、2つの異なる印刷材料の温度の関数としての液滴制御及び液滴結合を示すグラフを表す。
【0020】
図3】一実施形態による、熱制御デバイス(例えば、ガスカーテン源)の第1の例を含む3Dプリンタの一部の概略側面図を表す。
【0021】
図4】一実施形態による、熱制御デバイスを含む3Dプリンタの一部分の概略上面図を表す。
【0022】
図5】一実施形態による、熱制御デバイス(例えば、ヒートプレート)の第2の例を含む3Dプリンタの一部分の概略側面図を表す。
【0023】
図6】一実施形態による、ガスカーテン内の温度に対する3D部品の高さを示すグラフを表す。
【0024】
図7】一実施形態による、ビルド体積(例えば、ガスカーテンの内側)の概略上面図を表す。
【0025】
図8】一実施形態による、3D部品の表面(例えば、上面)の温度に対する3D部品の高さを示すグラフを表す。
【0026】
図9】一実施形態による、3D部品を印刷するための方法のフローチャートを表す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、本教示の例示の実施形態を詳細に参照し、この実施例を添付図面に示す。可能な限り、同じ参照番号が、同じ、類似、又は同様の部分を指すように図面全体にわたって使用される。
【0028】
本明細書に開示されるシステム及び方法は、三次元(3D)プリンタを対象とする。3Dプリンタは、3D部品を印刷する(すなわち、作り上げる)ように構成されている液滴オンデマンドプリンタであり得るか、又はそれを含み得る。以下でより詳細に説明するように、3Dプリンタは、射出パルスに応答して、少量の液体材料(例えば、金属)を噴射するために、磁気流体力学(MHD)プロセスを使用し得る。この技術を使用して、互いに結合する一連の液滴を排出することによって、3D部品を材料から作製することができる。
【0029】
3Dプリンタから排出された金属は、加熱されたビルドプレート上に堆積され得る。印刷プロセス全体を通して標的部品表面温度を送達する(すなわち、3D部品の表面の温度を制御する)ことは、標的物理的特性(引張強度、伸びなど)、並びに部品の形状完全性の部品「ビルドルール」の連続性を維持するのに役立ち得る。いくつかのアルミニウム合金(例えば、アルミニウム会合(AA)4008アルミニウム)では、所望の液滴結合態様並びに許容可能な部品品質を送達する液滴制御態様に対応することができるビルドプレート温度範囲(「スイートスポット」)が存在する。
【0030】
AA 4008について特定された部品表面温度の許容範囲に起因して、部品が高く、加熱されたビルドプレートから離れて作り上げられるとき(例えば、高さ最大150mm)の部品表面温度の低下は、その「範囲」に留まり、標的材料強度特性及び形状完全性を送達する能力を阻害しない。
【0031】
本明細書に記載のシステム及び方法は、上面温度を所定の範囲内に維持する目的で、3D部品の領域のすぐ周囲の温度に追加及びその温度を維持するための2つの異なる技術を使用する。一実施形態では、ビルド領域の外周の周りにガスカーテンを配置し得る。ガスカーテンは、加熱されたビルドプレートが実質的に水平面内で移動し、依然としてガスカーテン内に留まるように位置付けられ得る。別の実施形態では、プリントヘッド取り付け構造の下側にヒートプレートを設置し得る。ヒートプレートは、現在の印刷ヘッド間隙も維持しながら、液滴がそこを通って噴射され得るように、その中に開口部を有し得る。これら2つの実施形態の組み合わせが、3D部品の上/周囲の熱損失を低減するのに有効であることが示されており(例えば、3D部品がAA 6061を使用して作製されるとき)、上面温度3D部品を維持することができる。
【0032】
図1は、一実施形態による、3Dプリンタ100の概略断面図を表している。3Dプリンタ100は、ポンプ(ポンプ室又はエジェクタとも呼ばれる)110を含み得る。ポンプ110は、第1の(例えば、上部)部分112及び第2の(例えば、下部)部分114を含み得る。下部部分114は、ノズル116であってもよいし、ノズル116を含んでもよい。
【0033】
ポンプ110は、印刷材料120を受容するように構成されている内部容積を画定し得る。印刷材料120は、金属、ポリマー(例えば、フォトポリマー)などであってもよいし、又はこれらを含んでもよい。例えば、印刷材料120は、アルミニウム(例えば、アルミニウム線ひと巻き)であってもよいし、又はアルミニウムを含んでもよい。アルミニウムは、AA 4008、AA 6061、AA 7075などであり得る。別の実施形態では、印刷材料120は、銅であってもよいし、銅を含んでもよい。
【0034】
3Dプリンタ100はまた、1つ以上の加熱要素130を含んでもよい。加熱要素130は、ポンプ110の内容積部内で印刷材料120を溶融させるように構成されており、それにより、印刷材料120を、ポンプ110の内容積部内で固体材料から液体材料(例えば、液体金属)122に変換する。
【0035】
3Dプリンタ100はまた、電源132及び1つ以上の金属コイル134を含み得る。金属コイル134は、ポンプ110及び/又は加熱要素130の周囲に少なくとも部分的に巻き付けられている。電源132は、コイル134に連結され、それに電力を供給するように構成され得る。一実施形態では、電源132は、階段関数直流(direct current、DC)電圧プロファイル(例えば、電圧パルス)をコイル134に提供するように構成されてよく、コイル134は、増加する磁場を生成し得る。増加する磁場は、ポンプ110内に起電力を生じさせ得、ひいては液体金属122内に誘導電流を生じさせ得る。液体金属122内の磁場及び誘導電流は、ローレンツ力として知られる、半径方向内向きの力を液体金属122に生成し得る。ローレンツ力は、ポンプ110のノズル116の入口に圧力を生成する。この圧力は、液体金属122を1つ以上の液滴124の形態でノズル116を通して噴射させる。
【0036】
液滴124が噴射されると、新しい印刷材料120がポンプ110に供給され、ドロス(dross)がポンプ110内(例えば、上部部分112内)に蓄積し得る。本明細書で使用される場合、「ドロス」は、酸化物及び/又は他の汚染物質を指す。ドロスの蓄積は、ポンプ110を通る印刷材料120の総スループットの関数であり得る。ドロスがポンプ110内に蓄積すると、ポンプ110を詰まらせる可能性がある。ドロスは、(例えば、真空を使用して)除去され得る。
【0037】
3Dプリンタ100はまた、ノズル116の下方に位置付けられたビルドプレート(ビルド面又は基板とも呼ばれる)140を含み得る。ノズル116を通して噴射される液滴124は、ビルドプレート140上に着滴し、冷却及び固化して、3D部品126を生成し得る。ビルドプレート140は、ビルドプレート140及びその上の3D部品126の温度を増加させるように構成されているヒータ142をその中に含み得る。上述のように、3D部品126の高さが増加するにつれて、3D部品126の上面は、加熱されたビルドプレート140から遠くになり、3D部品126が高く成長するにつれて、3D部品126の上面をより速く冷却させ得る。
【0038】
3Dプリンタ100はまた、液滴124が噴射されて3D部品126が所望の形状及びサイズを有するようにするときに(すなわち、印刷プロセス中に)ビルドプレート140を移動させるように構成されているビルドプレート制御モータ144を含み得る。ビルドプレート制御モータ144は、ビルドプレート140を一次元(例えば、X軸に沿って)、二次元(例えば、X軸及びY軸に沿って)、又は三次元(例えば、X軸、Y軸、及びZ軸に沿って)で移動させるように構成され得る。本明細書で使用される場合、X及びY軸は水平面にあり、Z軸は垂直である。別の実施形態では、ポンプ110及び/又はノズル116はまた、若しくはその代わりに、一次元、二次元、又は三次元で移動するように構成され得る。
【0039】
3Dプリンタ100はまた、1つ以上のシールドガス源(150の1つが示されている)を含み得る。シールドガス源150は、ノズル116、液滴124、3D部品126、又はそれらの組み合わせを少なくとも部分的に取り囲むシールドガスを導入するように構成され得る。シールドガスは、アルゴンなどの不活性ガスであってもよいし、又はそれを含んでもよい。シールドガスは、液滴124がビルドプレート140に落下するにつれて酸化を低減し得る。
【0040】
3Dプリンタ100はまた、熱制御デバイス160を含み得る。熱制御デバイス160は、3D部品126から遠位の環境から3D部品126に近位の環境を少なくとも部分的に隔離するように構成され得る。より具体的には、熱制御デバイス160は、ビルド体積の内側の環境からビルド体積の外側の環境に逃れる熱の量を(例えば、印刷プロセスから)低減するのに役立ち得る。これは、ひいては、3D部品126の高さが増加するときに、3D部品126の表面(例えば、上面)の温度が低下する量を低減し得る。これは、以下でより詳細に説明される。
【0041】
3Dプリンタ100はまた、ビルド体積の内側及び/又は外側の温度を測定するように構成されている温度センサ170を含み得る。温度センサ170は、3D部品126の(又は周囲の)温度を測定するように構成され得る。例えば、温度センサ170は、3D部品126の高さが増加するときに、3D部品126の上面/層の(又は周囲の)温度を測定するように構成され得る。
【0042】
3Dプリンタ100はまた、コンピューティングシステム180を含んでもよい。コンピューティングシステム180は、印刷プロセスを制御するように構成され得る。より具体的には、コンピューティングシステム180は、ポンプ110、印刷材料120の導入、加熱要素130、電源132、ビルドプレート140、ヒータ142、制御モータ144、シールドガス源150、熱制御デバイス160、温度センサ170、又はそれらの組み合わせを制御するように構成されてもよい。
【0043】
図2A及び図2Bは、一実施形態による、2つの異なる印刷材料の温度の関数としての液滴制御及び液滴結合を示すグラフを表している。より具体的には、図2Aのグラフは、第1の印刷材料に対する温度の関数としての液滴制御及び液滴結合を示し、図2Bのグラフは、第2の印刷材料に対する温度の関数としての液滴制御及び液滴結合を示している。本明細書で使用される場合、「液滴制御」は、液滴124が指定された位置に着滴し、3D部品126の形状完全性を維持しながらその場所に留まる能力を指し、「液滴結合」は、材料強度目標が達成されるように、液滴124が3D部品126に適切に接合する能力を指す。
【0044】
第1及び第2の印刷材料は、両方とも金属であり得る。より具体的には、第1及び第2の印刷材料は、両方ともアルミニウム又はアルミニウム合金であってもよいし、又はそれを含んでもよい。例えば、第1の印刷材料は、AA 4008であってもよいし、又はそれを含んでもよく、第2の印刷材料は、AA 6061であってもよいし、又はそれを含んでもよい。第1及び第2の印刷材料は、異なる化学的性質及び/又は物理的特性を有し得る。例えば、第1の印刷材料中の一次合金元素は、マグネシウムであってもよいし、第2の印刷材料中の一次合金元素は、シリコンであってもよい。第1及び第2の印刷材料はまた、異なる溶融温度、異なる液体温度、異なる固相線温度、又はそれらの組み合わせを有し得る。
【0045】
いくつかのアルミニウム合金(例えば、AA 4008)では、所望の液滴結合態様及び液滴制御態様に対応して許容可能な部品品質を送達することができる、ビルドプレート140の温度範囲(すなわち、「スイートスポット」)が特定されている。結果として、第1の印刷材料(例えば、AA 4008)を使用して作り上げられた3D部品126の表面温度の許容範囲のために、3D部品126が高く作り上げられるとき(例えば、最大150mm)の3D部品126の表面温度の低下は、範囲内に留まり、標的材料強度特性及び形状完全性を送達する能力を阻害しない。
【0046】
第2の印刷材料(例えば、ASM 6061)は、第1の印刷材料と同じビルドプレート温度ラチチュードを有さない。実際、第2の印刷材料に、ビルドプレートの設計及び部品の高さが増加するときの上面部品温度の低下が与えられると、そのビルドプロセスになるときにネガティブラチチュード空間が存在する。本明細書で使用される場合、「ネガティブラチチュード空間」は、所望の性能レベルに到達するために、既知の制約のセット内でシステムが作動することができないことを指す。
【0047】
図3は、一実施形態による、熱制御デバイス160の第1の例を含む3Dプリンタ100の一部分の概略側面図を表している。図3に示される実施形態では、熱制御デバイス160は、ビルドプレート140、液滴124、3D部品126、又はそれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的にガスカーテン310を導入/生成するように構成されているガスカーテン源300であってもよく、又はそれを含んでもよい。ガスカーテン源300はまた、又は代わりに、ガスカーテン310が3D部品126全体を取り囲まない場合であっても、現在の印刷位置(例えば、液滴124が着滴する場所)の周囲に少なくとも部分的に、ガスカーテン310を導入し得る。一実施形態では、ビルド体積は、ノズル116とビルドプレート140との間で垂直に、かつガスカーテン310の壁内で横方向にあり得る。
【0048】
ガスカーテン310は、ガスカーテン310の内部の環境(例えば、ビルド体積)をガスカーテン310の外側の環境から少なくとも部分的に隔離するのに役立ち得る。より具体的には、ガスカーテン310は、熱(例えば、印刷プロセスから)がガスカーテン310の内側の環境からガスカーテン310の外側の環境に逃れるのを防止するのに役立ち得る。ガスカーテン310はまた、又は代わりに、ガスカーテン310の内部の環境内の実質的に均一な温度を維持するのに役立ち得るため、3D部品126の上面の温度は、3D部品126が高さが増加すると実質的に同じままである。ガスカーテン310の内部の温度は、約100℃~約600℃、約400℃~約600℃、又は約450℃~約600℃であり得る。周囲温度(例えば、ガスカーテン310の外側)は、約15℃~約40℃、約20℃~約35℃、又は約25℃~約30℃であり得る。ガスカーテン310は、空気であってもよいし、又はそれを含んでもよい。別の実施形態では、ガスカーテン310は、アルゴンなどの不活性ガスであってもよいし、又はそれを含んでもよい。ガスカーテン310は、シールドガスを少なくとも部分的に取り囲み得る。
【0049】
ガスカーテン310は、実質的に垂直に(例えば、下向きに)方向付けられ得る。一実施形態では、ガスカーテン源300は、ガスカーテン310の少なくとも一部分を下向きに、かつわずかに外向きに(例えば、ノズル116、3D部品126、及び/又はビルドプレート140から)、垂直に対して約5°~約30°の角度αで方向付け得る。結果として、ガスカーテン310の少なくとも一部分は、逆円錐の形状であり得る。別の実施形態では、プリンタ100は、ガスカーテン源300の下方に位置付けられたガスカーテン表面320を含み得る。ガスカーテン表面320は、ビルドプレート140であってもよく、又はビルドプレート140の周囲に少なくとも部分的に位置付けられてもよい。ガスカーテン表面320は、水平に対して角度βで配向され得る。角度βは、約5°~約30°であり得る。したがって、ガスカーテン表面320の少なくとも一部分は、逆円錐の形状であり得る。これらの実施形態のいずれか又は両方は、ガスカーテン310を3D部品126から離れるように(3D部品126に向かう反対方向に)方向付け得、その結果、ガスカーテン310は、印刷中に3D部品126に「ブローオン」しないようにし、これは、3D部品126の温度及び/又は固化に影響を及ぼし得る。
【0050】
図4は、一実施形態による、ガスカーテン310を含む3Dプリンタ100の一部分の概略上面図を表している。分かるように、ガスカーテン源300及び/又はガスカーテン310は、ポンプ110、ノズル116、ビルドプレート140、又はそれらの組み合わせの周囲に少なくとも部分的に位置付けられ得る。例えば、示される実施形態では、ガスカーテン310は、長方形を形成する4つの壁を有する。他の実施形態では、ガスカーテン310は、より多くの又はより少ない壁を含み得る。例えば、ガスカーテン310は、3つの壁を含み得、第4の壁は、構造的(例えば、グラナイト)であり得る。上述のように、ビルドプレート140は、液滴124が噴射され、3D部品126が印刷されている間に水平面内で移動するように構成され得る。ガスカーテン310の外周は、ビルドプレート140が移動しても、ビルドプレート140がガスカーテン310内に留まるようにサイズ決定及び位置決めされ得る。
【0051】
図5は、一実施形態による、熱制御デバイス160の第2の例を含む3Dプリンタ100の一部分の概略側面図を表している。熱制御デバイス160はまた、又は代わりに、ヒートプレート500を含み得る。ヒートプレート500は、ガスカーテン源300及び/又はガスカーテン310の代わりに、又はそれに加えて使用され得る。ヒートプレート500は、プリントヘッド取り付け構造の下側に位置付けられ得る。例えば、ヒートプレート500は、ポンプ110の下方に位置付けられ得る。ヒートプレート500は、ノズル116と少なくとも部分的に水平に整列され得る。ヒートプレート500は、ノズル116が延在し得る、及び/又は液滴124が通過し得る、開口部を有し得る。これは、現在の印刷ヘッド間隙を維持するのに役立ち得る。ヒートプレート500は、3D部品126及び/又はビルドプレート140の上方に位置付けられ得る。一実施形態では、ビルド体積は、ヒートプレート500とビルドプレート140との間で垂直に画定され得る。ビルド体積はまた、ヒートプレート500の外周内で横方向に、ビルドプレート140の外周内で横方向に、及び/又はガスカーテン310の外周内で横方向に画定され得る。
【0052】
ヒートプレート500と3D部品126の上面との間の距離は、ビルドプレート140と3D部品126の上面との間の距離が増加するときに、実質的に一定のままであり得る。ヒートプレート500と3D部品126の上面との間の距離は、ノズル116と3D部品126の上面との間の距離と実質的に同じであり得る。ヒートプレート500の下面は、ビルドプレート140の上面よりも大きい表面を有し得る。結果として、ビルドプレートモータ144が、ビルドプレート140を水平面内で移動させるとき、ビルドプレート140は、ヒートプレート500の下方に留まり、ヒートプレート500の外周内に位置付けられ得る。
【0053】
液滴124の温度は、約550℃~約950℃、約650℃~約850℃、又は約700℃~約800℃であり得る。ビルドプレート140の温度は、約350℃~約750℃、約450℃~約650℃、又は約500℃~約600℃であり得る。ヒートプレート500の温度は、約375℃~約775℃、約475℃~約675℃、又は約525℃~約625℃であり得る。ガスカーテン310の温度は、約40℃~約200℃、約60℃~約150℃、又は約80℃~約120℃であり得る。液滴124の質量は、約0.5g/10k~約10g/10k、約1.0g/10k~約5g/10k、又は約1.25g/10k~約1.75g/10kであり得る。液滴124がノズル116を通って噴射される周波数は、約100Hz~約500Hz、約200Hz~約400Hz、又は約250Hz~約350Hzであり得る。液滴124の(例えば、ビルドプレート140又は3D部品126上の)間隔は、約0.1mm~約2mm、約0.2mm~約1.0mm、又は約0.4mm~約0.6mmであり得る。線間隔は、約0.1mm~約2mm、約0.2mm~約1.0mm、又は約0.35mm~約0.55mmであり得る。ビルド材料は、アルミニウム(例えば、AA 6061)であり得る。周囲熱伝達係数は、約1W/mm-degK~約20W/mm-degK、約5W/mm-degK~約15W/mm-degK、又は約8W/mm-degK~約12W/mm-degKであり得る。ビルドプレート140の放射率は、約0.1~約0.5、約0.15~約0.4、又は約0.2~約0.3であり得る。周囲温度(例えば、ガスカーテン310の外側)は、約15℃~約45℃、約20℃~約40℃、又は約25℃~約35℃であり得る。
【0054】
モデルの繰り返しは、範囲のビルド高さ条件(すなわち、3D部品126の高さ)によって実行され得、3D部品126のビルド高さが増加するにつれて、ビルド面積全体の空気温度が低下し得る。z高さ温度に対するヒートプレート500の効果は、ヒートプレート500及びビルドプレート140からのその距離に起因して、ビルド体積の周囲温度に少なくとも部分的に依存し得る。z高さ温度に対するヒートプレート500の効果はまた、ヒートプレート500から3D部品126の上面の放射加熱に少なくとも部分的に依存し得る。本明細書で使用される場合、「z高さの温度」という用語は、3D部品126の高さの関数として、及び/又は加熱されたビルドプレート140から離れた距離の関数として、3D部品126の上面の温度を指す。
【0055】
ガスカーテン310がヒートプレート500と組み合わせて使用される場合、ガスカーテン310は、2つの熱源(例えば、加熱されたビルドプレート140及びヒートプレート500)から発生する熱をガスカーテン310の外側の「周囲」空気とは別に保持し得る。
【0056】
図6は、一実施形態による、ガスカーテン310内の温度に対する3D部品126の高さを示すグラフ600を表している。この実施形態の3D部品126は、50mm×5mmの水平断面形状を有する引張バーである。引張バーの高さは、最大100mmに作り上げられる。図6の結果は、以下の入力パラメータを有するモデルを使用して生成された。
・ビルドプレート温度:550℃
・周囲温度(例えば、ガスカーテン310の外側):30℃
・ヒートプレート温度:575℃
・ガスカーテン温度:100℃
【0057】
ガスカーテン310の内部のビルド体積温度を増加させるために、様々な選択肢を評価し得る。一例では、ビルド体積は、約660mm×660mm×(H+g)としてもよく、式中、Hは、3D部品126の高さであり、gは、ノズル116と3D部品126の上面との間の印刷ヘッド間隙である。モデル計算は、定常状態の、Hの各値の平均温度に対するものであってもよい。より具体的には、ビルドプレート140及び/又はヒートプレート500から追加されたエネルギーは、ガスカーテン310の側面を通って失われるエネルギーとバランスをとり得る。
【0058】
図7は、一実施形態による、ビルド体積700(例えば、ガスカーテン310の内側)の概略上面図を表している。ビルド体積700は、モデルに対して1つ以上(例えば、3つ)の領域に分割され得る。第1の領域710は、ノズル116を通って中心長手方向軸を中心とする100mm平方c/sであり得る。第1の領域710の温度は、3D部品126の周囲の温度を表し得る。第1の領域710によって包含される100mmの領域は、3D部品126のフットプリント内にないであろうガスカーテン310内に他の空気体積が存在するため、3Dプリンタ100によって印刷された3D部品126のフットプリントを表し得る。第2の領域720は、第1の領域710の周囲の100mm~330mmの正方形の環c/sであり得る。第3の領域730は、第2の領域720の周囲の330mm~660mmの正方形の環c/sであり得る。
【0059】
再び図6を参照すると、図7からのビルド体積700の第1の領域710内の様々な実施形態を表す6つの曲線が示されている。第1の曲線610は、ビルド体積が開いているとき(例えば、ガスカーテン310及びプレート500なし)の、ガスカーテン310内の温度に対する3D部品126の高さを表す。第1の曲線610では、バルク空気温度は低い(例えば、開始する275℃)、次いで、約150℃で平行になる。第2の曲線620は、プレート500が存在し、かつガスカーテン310が存在しないときの、ガスカーテン310内の温度に対する3D部品126の高さを表す。プレート500は、第2の曲線620の実施形態において熱を発生させていない。第3の曲線630は、ガスカーテン310が存在し、かつプレート500が存在しないときの、ガスカーテン310内の温度に対する3D部品126の高さを表す。第4の曲線640は、ガスカーテン310及びプレート500が両方とも存在するときの、ガスカーテン310内の温度に対する3D部品126の高さを表す。プレート500は、第4の曲線640の実施形態において熱を発生させていない。第5の曲線650は、プレート500が存在し、かつガスカーテン310が存在しないときの、ガスカーテン310内の温度に対する3D部品126の高さを表す。プレート500は、第5の曲線650の実施形態において熱を発生させている。第6の曲線660は、ガスカーテン310及びプレート500が両方とも存在するときの、ガスカーテン310内の温度に対する3D部品126の高さを表す。プレート500は、第6の曲線660の実施形態において熱を発生させている。第6の曲線660では、開始温度は、非常に550℃に近く、3D部品126が作り上げられる(例えば、上向き)、他の曲線と比較して温度降下は劇的ではない。例えば、3D部品126の高さが100mm(0.10m)であっても、空気温度は依然として約450℃である。
【0060】
図8は、一実施形態による、3D部品126の上層(例えば、上面)の温度に対する3D部品126の高さを示すグラフ800を表している。図8の3D部品126は、図6(例えば、引張バー)と同じである。グラフ800は、図6と同じ6つのシナリオを表す6つの曲線:810、820、830、840、850、860を含む。グラフ800の温度は、3D部品126の上面上の特定のXY位置(例えば、水平面内)で、最後の液滴124が着滴して固化した後であって、次の液滴124がその位置で着滴する前(Z方向の高さを増加させる前)に、測定される。液滴124は、着滴後に約5ミリ秒以下で固化する(すなわち、凍結とも呼ばれる)。最後の液滴着滴/固化と次の液滴着滴との間の持続時間は、約2秒~約2分であり得る。
【0061】
図8に示すように、ガスカーテン310及びヒートプレート500が存在するときの3D部品126の表面(例えば、上面)の温度に対する3D部品126の高さを表す第6の曲線860は、ビルドプレート140の温度からの少なくとも熱劣化の量を示す(例えば、550℃)。より具体的には、3D部品126が第6の曲線860の実施形態で印刷されると、3D部品126の上面の温度は、最大100mmまで約20℃だけ低下する。この性能は、「容易なベーク(easy-bake)」オーブンなどの構造的(例えば、ガスではない)壁を含む構造エンクロージャと同等である。
【0062】
構造エンクロージャと比較して、ガスカーテン310及び/又はヒートプレート500の利点は、最も部品向けである。例えば、ビルド体積の側面に位置し得るZ高さセンサは、従来の「容易なベークオーブン」アプローチの場合に、3D部品126を見るためのガラスの領域を透視し得る。Z高さセンサの光学系についてのこの影響は、ささいなことではない。例えば、これは、ガラスを通って見たときの画像歪みを考慮するために、設計の複雑さの増加(例えば、エアカーテン310及び/又はヒートプレート500のための複雑さを超える)を必要とする。これは、ガラスが経時的に汚れている場合に特に当てはまり、洗浄を必要とし得る。全体で、ガスカーテン310及びヒートプレート500は、3D部品126の上面を所望の温度範囲に保つためのより良好な選択肢のように見える。
【0063】
図9は、一実施形態による、3D部品126を印刷するための方法900のフローチャートを表している。より具体的には、方法900は、3D部品126が印刷されるときの、ビルド体積内の温度を制御することを含み得る。
【0064】
方法900は、室温の周囲温度にかなり近いかなり低い温度で溶融する非金属(例えば、インク)と比較して、液体金属液滴を噴射する際に遭遇する非常に急な温度勾配のために、3D印刷用途(非金属滴及び/又は非3D印刷用途とは対照的に)における液体金属液滴124に特に適用可能である。
【0065】
方法900の例示的な順序が以下に提供されているが、方法900の1つ以上のステップは、異なる順序で実行されても、同時に実行されても、組み合わされても、サブステップに分割されても、繰り返されても、省略されてもよい。方法900の1つ以上のステップは、コンピューティングシステム180によって(例えば、自動的に)実行され得る。
【0066】
方法900は、902の時点で、3Dプリンタ100のノズル116を通して、複数の液滴124を噴射することを含み得る。上述のように、第1の複数の液滴124が、ビルドプレート140上に着滴し、3D部品126の第1の層を形成し得る。次いで、第2の複数の液滴124が、第1の層上に着滴し、3D部品126の第2の層などを形成し得る。各後続の層は、3D部品126の高さを増加させ、したがって、(加熱された)ビルドプレート140と3D部品126の上面との間の距離を増加させる。
【0067】
方法900はまた、904の時点で、熱制御デバイス160を使用して、ビルド体積の温度を制御することを含み得る。このステップは、ステップ902と同時に行われ得る。温度を制御することは、906の時点で、ガスカーテン源300を使用して、ビルド体積の周囲に少なくとも部分的にガスカーテン310を生成(例えば、噴射)することを含み得る。温度を制御することはまた、又は代わりに、908の時点で、ヒートプレート500を使用して、熱をビルド体積に(例えば、下向きに)導入することを含み得る。
【0068】
方法900はまた、910の時点で、温度センサ170を使用して、ビルド体積の温度を測定することを含み得る。温度センサ170は、ビルド体積内の1つ以上の位置で温度を測定し得る。例えば、温度センサ170は、ビルド体積内の1つ以上の高さで温度を測定し得る。一実施形態では、温度センサ170は、ビルド体積内のガス(例えば、空気)の温度を測定し得る。別の実施形態では、温度センサ170は、ビルド体積内の液滴124及び/又は3D部品126の温度を測定し得る。例えば、温度センサ170は、3D部品126の高さが増加するときの、3D部品126の上面/層の温度を測定し得る。
【0069】
方法900はまた、912の時点で、測定された温度に応答して、熱制御デバイス160を使用して、ビルド体積の温度を調整することを含み得る。これは、ガスカーテン310の温度、ガスカーテン310の速度、ガスカーテン310の方向、又はそれらの組み合わせを調整することを含み得る。これはまた、ヒートプレート500によって発生する熱の量を調整することを含み得る。
【0070】
その結果、方法900は、3D部品126の高さ(例えば、ビルドプレート140と3D部品126の上面との間の距離)が増加するときに、3D部品126(例えば、の上面)の温度が所定の量を超えて低下するのを防止するように、熱制御デバイス160を制御することができる。例えば、熱制御デバイス160は、高さが約0mm(例えば、1mm)から約30mmに増加するときに、上面の温度が約3℃、約5℃、又は約10℃を超えて低下することを防止し得る。別の例では、熱制御デバイス160は、高さが約0mmから約50mmに増加するときに、上面の温度が約10℃、約15℃、又は約20℃を超えて低下することを防止し得る。別の例では、熱制御デバイス160は、高さが約0mmから約100mmに増加するときに、上面の温度が約25℃、約40℃、又は約60℃を超えて低下することを防止し得る。
【0071】
結果として、3D部品126の高さが増加するときに、3D部品126(例えば、の上面)の温度は、所定の範囲内に留まり得る。例えば、熱制御デバイス160は、高さが約0mmから約30mmに増加するときに、3D部品126の上面の温度を、約540℃~約600℃、約545℃~約600℃、又は約550℃~約600℃の所定の範囲内に留め得る。別の例では、熱制御デバイス160は、高さが約0mmから約50mmに増加するときに、3D部品126の上面の温度を約530℃~約600℃、約540℃~約600℃、又は約545℃~約600℃の所定の範囲内に留め得る。別の例では、熱制御デバイス160は、高さが約0mmから約50mmに増加するときに、3D部品126の上面の温度を約490℃~約600℃、約510℃~約600℃、又は約520℃~約600℃の所定の範囲内に留め得る。
【0072】
本教示の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に含まれる任意及び全てのサブ範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、0の最小値と10の最大値との間の(0の最小値と10の最大値とを含む)ありとあらゆるサブ範囲、すなわち、0以上の最小値及び10以下の最大値を有するありとあらゆるサブ範囲、例えば、1~5を含み得る。
【0073】
本教示は、1つ以上の実装態様に対して示されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、示された実施例に対して変更及び/又は修正が行われ得る。例えば、プロセスが一連の行為又は事象として説明されているが、本教示は、そのような行為又は事象の順序によって限定されないことが理解され得る。一部の行為は、異なる順序で、及び/又は本明細書に記載されているものとは別の他の行為若しくは事象と同時に発生する可能性がある。また、全てのプロセス段階が、本教示の1つ以上の態様又は実施形態に従う方法論を実装するために必要とされ得るわけではない。構造的物体及び/若しくは処理段階が追加され得るか、又は既存の構造的物体及び/若しくは処理段階が除去若しくは修正され得ることが理解され得る。更に、本明細書に示される行為のうちの1つ以上は、1つ以上の別個の行為及び/又は段階で実行され得る。更に、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、又はそれらの変形が発明を実施するための形態及び特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図されている。「少なくとも1つの」という用語は、列挙された項目のうちの1つ以上が選択され得ることを意味するように使用される。更に、本明細書における考察及び特許請求の範囲において、2つの材料に対して使用される「上」という用語、他方「上」の一方は、材料間の少なくとも一部の接触を意味し、一方、「の上」は、材料が、場合によっては、接触が可能であるが必要とされないように、1つ以上の追加の介在材料に近接していることを意味する。「上(on)」又は「の上(over)」のいずれも、本明細書で使用される場合にいかなる指向性も暗示しない。「共形」という用語は、下にある材料の角度が共形材料によって保持されるコーティング材料を記述する。「約」という用語は、変更が、示された実施形態に対してプロセス又は構造の不適合とならない限り、列挙される値が少し変更され得ることを示す。「結合する」、「結合される」、「接続する」、「接続」、「接続される」、「と接続して」、及び「接続している」という用語は、「と直接接続する」又は「1つ以上の中間要素又は部材を介して接続する」ことを指す。最後に、「例示の」又は「例示的な」という用語は、説明が理想的であることを意味するのではなく一例として使用されることを示す。本教示の他の実施形態は、本明細書及び本明細書での本開示の慣行を考慮して当業者に明らかであり得る。本明細書及び実施例は、例示としてのみみなされることが意図され、本教示の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。

図1
図2A
図2B
図3
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図7
図8
図9