(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106070
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】プリント基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
H05K1/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007197
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】竹内 淳朗
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA10
5E344AA12
5E344AA19
5E344BB02
5E344BB04
5E344CC06
5E344DD02
5E344EE12
(57)【要約】
【課題】主プリント基板と、タンパ検知パターンが形成されるフレキシブルプリント基板とを備えるプリント基板において、主プリント基板のセキュリティ性を確保するための構成を小型化することが可能なプリント基板を提供する。
【解決手段】このプリント基板では、フレキシブルプリント基板3は、箱状に形成される箱部3aと、箱部3aの外周側に広がる被固定部3b~3dとを備えている。タンパ検知パターンの一端部をなす内部ランド35~38は、主プリント基板に電気的に接続されるとともに箱部3aの内側に配置され、タンパ検知パターンの他端部をなす外部ランド45~48は、被固定部3b~3dに形成され主プリント基板に固定されるとともに主プリント基板に電気的に接続されている。外部ランド45~48のそれぞれは互いに絶縁されており、外部ランド45~48は他の外部ランド45~48と電気的に接続されていない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主プリント基板と、前記主プリント基板に固定されるフレキシブルプリント基板とを備え、
前記フレキシブルプリント基板は、前記主プリント基板側が開口する箱状に形成される箱部と、前記箱部の外周側に広がるとともに前記主プリント基板に固定される被固定部とを備え、
前記フレキシブルプリント基板には、複数のタンパ検知パターンが形成され、
前記タンパ検知パターンは、前記タンパ検知パターン自身が断線したことおよび他の前記タンパ検知パターンと短絡したことの少なくともいずれか一方を検知するために設けられ、
前記タンパ検知パターンの一端部をなす内部ランドは、前記主プリント基板に電気的に接続されるとともに前記箱部の内側に配置され、
前記タンパ検知パターンの他端部をなす外部ランドは、前記被固定部に形成され前記主プリント基板に固定されるとともに、前記主プリント基板に電気的に接続され、
複数の前記外部ランドのそれぞれは、互いに絶縁されており、前記外部ランドは、他の前記外部ランドと電気的に接続されていないことを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
前記主プリント基板は、平板状に形成され、
前記フレキシブルプリント基板は、前記内部ランドが形成される基板接続部を備え、
前記主プリント基板の厚さ方向から見たときの前記箱部の形状は、長方形状または正方形状となっており、
前記被固定部は、前記主プリント基板の厚さ方向から見たときの形状が長方形状または正方形状をなす前記箱部の3辺のそれぞれに繋がり、
前記基板接続部は、前記箱部の、前記被固定部が繋がっていない残りの1辺に繋がるとともに、前記箱部の内側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のプリント基板。
【請求項3】
3個の前記被固定部のそれぞれに少なくとも2個の前記外部ランドが形成されていることを特徴とする請求項2記載のプリント基板。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板は、複数の前記タンパ検知パターンが形成されるタンパ検知パターン層と、前記フレキシブルプリント基板の厚さ方向の一方側から複数の前記タンパ検知パターンを覆うグランドパターンが形成されるとともに前記タンパ検知パターン層に重なるグランドパターン層とを備え、
前記タンパ検知パターン層は、前記箱部および前記被固定部において前記主プリント基板側に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプリント基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードの挿入と抜取りとを手動で行ってカードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの書込みを行うための手動式のカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダは、カードリーダ本体と、カードリーダ本体を覆うケース体とを備えている。カードリーダ本体は、複数のIC接点バネを有するIC接点ブロックを備えており、IC接点バネは、カードに形成されるICチップの外部接続端子に接触する。カードリーダ本体には、IC接点ブロックから引き出されるケーブルが接続されるプリント基板が取り付けられている。ケース体は、プリント基板を覆う第2ケース体を備えている。
【0003】
特許文献1に記載のカードリーダでは、第2ケース体の内側面に、フレキシブルプリント基板が貼り付けられている。フレキシブルプリント基板には、自身が断線したことおよび短絡したことを検知するためのタンパ検知パターンが形成されている。フレキシブルプリント基板は、第2ケース体の内側面に沿って第2ケース体の内側面の全体を覆うように第2ケース体に貼り付けられており、プリント基板は、フレキシブルプリント基板によって覆われている。また、フレキシブルプリント基板は、ケース体の内部に配置されており、カードリーダの外部からは見えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカードリーダでは、タンパ検知パターンが形成されるフレキシブルプリント基板によってプリント基板が覆われているため、プリント基板に対して何らかの不正行為が行われようとされていることを、タンパ検知パターンを利用して検知することが可能になっている。すなわち、このカードリーダでは、プリント基板のセキュリティ性を確保することが可能になっている。しかしながら、このカードリーダでは、フレキシブルプリント基板が第2ケース体に貼り付けられており、フレキシブルプリント基板によってプリント基板を覆うためには、第2ケース体が必要になる。したがって、このカードリーダでは、プリント基板のセキュリティ性を確保するための構成を小型化することは困難である。
【0006】
そこで、本発明の課題は、主プリント基板と、タンパ検知パターンが形成されるフレキシブルプリント基板とを備えるプリント基板において、主プリント基板のセキュリティ性を確保するための構成を小型化することが可能なプリント基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のプリント基板は、主プリント基板と、主プリント基板に固定されるフレキシブルプリント基板とを備え、フレキシブルプリント基板は、主プリント基板側が開口する箱状に形成される箱部と、箱部の外周側に広がるとともに主プリント基板に固定される被固定部とを備え、フレキシブルプリント基板には、複数のタンパ検知パターンが形成され、タンパ検知パターンは、タンパ検知パターン自身が断線したことおよび他のタンパ検知パターンと短絡したことの少なくともいずれか一方を検知するために設けられ、タンパ検知パターンの一端部をなす内部ランドは、主プリント基板に電気的に接続されるとともに箱部の内側に配置され、タンパ検知パターンの他端部をなす外部ランドは、被固定部に形成され主プリント基板に固定されるとともに、主プリント基板に電気的に接続され、複数の外部ランドのそれぞれは、互いに絶縁されており、外部ランドは、他の外部ランドと電気的に接続されていないことを特徴とする。
【0008】
本発明のプリント基板では、複数のタンパ検知パターンが形成されるフレキシブルプリント基板は、主プリント基板に固定される被固定部を備えており、フレキシブルプリント基板は、主プリント基板に直接固定されている。そのため、本発明では、特許文献1に記載のカードリーダのように、フレキシブルプリント基板が貼り付けられる第2ケース体を設ける必要がない。したがって、本発明では、主プリント基板のセキュリティ性を確保するための構成を小型化することが可能になる。
【0009】
また、本発明では、タンパ検知パターンの他端部をなす外部ランドが被固定部に形成され主プリント基板に固定されているとともに主プリント基板に電気的に接続されている。そのため、本発明では、犯罪者が、主プリント基板に対する不正行為を行うために、主プリント基板からフレキシブルプリント基板を取り外そうとして、主プリント基板から外部ランドを剥がしたときに、フレキシブルプリント基板が主プリント基板から取り外されそうになったことを検知することが可能になる。したがって、本発明では、主プリント基板のセキュリティ性を高めることが可能になる。
【0010】
また、本発明では、複数の外部ランドが互いに絶縁されており、外部ランドが他の外部ランドと電気的に接続されていないため、被固定部に形成される外部ランド同士を犯罪者が電気的に接続しても、電気的に接続された外部ランド間で所定のタンパ検知パターン自体を短絡させることはできない。すなわち、本発明では、外部ランド同士を犯罪者が電気的に接続しても、タンパ検知パターンの機能を損なわせることはできない。したがって、本発明では、主プリント基板にフレキシブルプリント基板を直接固定するための外部ランドが、フレキシブルプリント基板の箱部の外側に配置される被固定部に形成されていても、主プリント基板のセキュリティ性を高めることが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、主プリント基板は、平板状に形成され、フレキシブルプリント基板は、内部ランドが形成される基板接続部を備え、主プリント基板の厚さ方向から見たときの箱部の形状は、長方形状または正方形状となっており、被固定部は、主プリント基板の厚さ方向から見たときの形状が長方形状または正方形状をなす箱部の3辺のそれぞれに繋がり、基板接続部は、箱部の、被固定部が繋がっていない残りの1辺に繋がるとともに、箱部の内側に配置されている。
【0012】
この場合には、3個の被固定部のそれぞれに少なくとも2個の外部ランドが形成されていることが好ましい。このように構成すると、犯罪者が、主プリント基板に対する不正行為を行うために、主プリント基板からフレキシブルプリント基板を取り外そうとしたときに、主プリント基板から外部ランドが剥がれやすくなる。したがって、フレキシブルプリント基板が主プリント基板から取り外されそうになったことを検知しやすくなる。すなわち、犯罪者の不正行為を検知しやすくなる。
【0013】
本発明において、フレキシブルプリント基板は、複数のタンパ検知パターンが形成されるタンパ検知パターン層と、フレキシブルプリント基板の厚さ方向の一方側から複数のタンパ検知パターンを覆うグランドパターンが形成されるとともにタンパ検知パターン層に重なるグランドパターン層とを備え、タンパ検知パターン層は、箱部および被固定部において主プリント基板側に配置されていることが好ましい。すなわち、本発明では、箱部および被固定部において、複数のタンパ検知パターンを覆うグランドパターン層は、タンパ検知パターン層の外側に配置されていることが好ましい。
【0014】
このように構成すると、箱部および被固定部の外側からタンパ検知パターン層が見えなくなる。したがって、フレキシブルプリント基板に複数のタンパ検知パターンが形成されていることを犯罪者は認識しにくくなる。また、このように構成すると、犯罪者が、主プリント基板に対する不正行為を行うために、たとえば、箱部の外側からフレキシブルプリント基板に穴をあけたときに、タンパ検知パターンが断線しなくても、グランドパターンの銅箔によって隣接するタンパ検知パターンを短絡させることが可能になる。したがって、犯罪者の不正行為を検知しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、主プリント基板と、タンパ検知パターンが形成されるフレキシブルプリント基板とを備えるプリント基板において、主プリント基板のセキュリティ性を確保するための構成を小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるプリント基板の斜視図である。
【
図3】
図1の示す主プリント基板の構成を説明するためのブロック図である。
【
図4】(A)は、
図1に示すフレキシブルプリント基板を異なる方向から示す斜視図であり、(B)は、(A)に示すフレキシブルプリント基板の展開図である。
【
図6】
図4に示すフレキシブルプリント基板の断面図である。
【
図7】
図4に示すフレキシブルプリント基板の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(プリント基板の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるプリント基板1の斜視図である。
図2は、
図1に示す主プリント基板2の斜視図である。
図3は、
図1の示す主プリント基板2の構成を説明するためのブロック図である。
図4(A)は、
図1に示すフレキシブルプリント基板3を異なる方向から示す斜視図であり、
図4(B)は、
図4(A)に示すフレキシブルプリント基板3の展開図である。
図5は、
図4(B)のE部の拡大図である。
図6は、
図4に示すフレキシブルプリント基板3の断面図である。
図7は、
図4に示すフレキシブルプリント基板3の構成を説明するためのブロック図である。
【0019】
本形態のプリント基板1は、たとえば、カード等の情報記憶媒体やスマートフォン等の携帯機器等との間で通信されるデータを処理するためのものであり、決済端末機に搭載されて使用される。プリント基板1は、主プリント基板2と、主プリント基板2のセキュリティ性を確保するためのフレキシブルプリント基板3(以下、「FPC3」とする。)とを備えている。本形態のプリント基板1は、主プリント基板2とFPC3とによって構成されている。
【0020】
FPC3は、主プリント基板2に固定されている。FPC3には、複数のタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が形成されている(
図7参照)。本形態では、6本のタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8がFPC3に形成されている。タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8は、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8自身が断線したことおよびタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が他のタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8と短絡したことを検知するために設けられている。
【0021】
主プリント基板2は、ガラスエポキシ基板等の剛性を有するリジッド基板である。主プリント基板2は、平板状に形成されている。具体的には、主プリント基板2は、長方形の平板状に形成されている。上述のように、プリント基板1は、たとえば、決済端末機に搭載されている。主プリント基板2には、たとえば、カードやスマートフォン等と非接触でデータの通信を行うためのアンテナコイル、カードに形成されるIC接点の外部接続端子に接触してデータの通信を行うためのIC接点バネ、および、カードに記録された磁気データの読取り等を行うための磁気ヘッドの少なくともいずれか1つが電気的に接続されている。
【0022】
また、主プリント基板2には、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が断線したことおよびタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が他のタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8と短絡したことを検知するためのタンパ検知回路6が実装されている。タンパ検知回路6は、CPU(Central Processing Unit)である。タンパ検知回路6は、主プリント基板2の一方の面に実装されている。タンパ検知回路6は、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が断線したことおよびタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が他のタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8と短絡したことを検知するために、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8を流れるタンパ検知信号を発生させる。
【0023】
主プリント基板2には、タンパ検知回路6が発生させるタンパ検知信号をタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8に伝えるための複数の信号パターンP11~P18、P25~P28が形成されている。本形態では、12本の信号パターンP11~P18、P25~P28が主プリント基板2に形成されている。信号パターンP11~P18、P25~P28の一端は、タンパ検知回路6に繋がっている。また、主プリント基板2には、信号パターンP11の他端部をなす端子11と、信号パターンP12の他端部をなす端子12と、信号パターンP13の他端部をなす端子13と、信号パターンP14の他端部をなす端子14とが形成されている。
【0024】
また、主プリント基板2には、信号パターンP15の他端部をなすランド(ポート)15と、信号パターンP16の他端部をなすランド16と、信号パターンP17の他端部をなすランド17と、信号パターンP18の他端部をなすランド18と、信号パターンP25の他端部をなすランド25と、信号パターンP26の他端部をなすランド26と、信号パターンP27の他端部をなすランド27と、信号パターンP28の他端部をなすランド28とが形成されている。
【0025】
また、主プリント基板2には、FPC3を主プリント基板2に固定するためのランド21、23が形成されている。ランド21、23は、タンパ検知回路6に電気的に繋がっていない。端子11~14およびランド15~18、21、23、25~28は、タンパ検知回路6が実装される主プリント基板2の一方の面に形成されている。以下の説明では、主プリント基板2の、ランド15~18、21、23、25~28等が形成される側の面をおもて面2aとし、おもて面2aの反対側の面を裏面とする。なお、
図2では、タンパ検知回路6および端子11~14の図示を省略している。
【0026】
主プリント基板2は、多層基板である。主プリント基板2は、信号パターンP11~P18、P25~P28が形成される回路パターン層と、複数のタンパ検知パターンが形成されるタンパ検知パターン層と、グランドパターンが形成されるグランドパターン層とを備えている。主プリント基板2のタンパ検知パターン層に形成される複数のタンパ検知パターンは、タンパ検知パターン自身が断線したことおよびタンパ検知パターンが他のタンパ検知パターンと短絡したことを検知するために設けられている。
【0027】
タンパ検知パターン層は、回路パターン層よりも主プリント基板2の裏面側に配置され、グランドパターン層は、タンパ検知パターン層よりも主プリント基板2の裏面側に配置されている。タンパ検知パターン層に形成される複数のタンパ検知パターンは、主プリント基板2の、セキュリティ性の確保が必要な領域を、主プリント基板2の裏面側から覆っている。本形態では、主プリント基板2の全域にタンパ検知パターンが形成されている。グランドパターン層に形成されるグランドパターンは、タンパ検知パターン層に形成される複数のタンパ検知パターンを、主プリント基板2の裏面側から覆っている。本形態では、主プリント基板2の全域にグランドパターンが形成されている。
【0028】
FPC3は、主プリント基板2のおもて面2aに固定されている。FPC3は、主プリント基板2側が開口する箱状に形成される箱部3aと、箱部3aの外周側に広がるとともに主プリント基板2に固定される被固定部3b~3dと、箱部3aの内側に配置される基板接続部3eとを備えている。FPC3は、柔軟性を有する平らなフィルム状のフレキシブルプリント基板(
図4(B)参照)を所定形状に折り曲げて固定することで形成されている(
図4(A)参照)。
【0029】
箱部3aは、扁平な直方体の箱状に形成されている。主プリント基板2の厚さ方向から見たときの箱部3aの形状は、長方形状になっている。箱部3aは、主プリント基板2の、セキュリティ性の確保が必要な領域を、主プリント基板2のおもて面2a側から覆っている。具体的には、箱部3aは、タンパ検知回路6等をおもて面2a側から覆っている。また、本形態では、上述のように、主プリント基板2は、タンパ検知パターン層を備えており、主プリント基板2の、セキュリティ性の確保が必要な領域は、主プリント基板2のタンパ検知パターン層と箱部3aとよって、主プリント基板2の厚さ方向の両側から覆われている。
【0030】
被固定部3b~3dは、主プリント基板2の厚さ方向から見たときの形状が長方形状をなす箱部3aの3辺のそれぞれに繋がっている。すなわち、箱部3aの開口側の3辺のそれぞれから外側に向かって折り曲げられた部分が被固定部3b~3dとなっており、被固定部3b~3dは、箱部3aの開口側の3辺から箱部3aの外周側に向かって鍔状に広がっている。基板接続部3eは、箱部3aの、被固定部3b~3dが繋がっていない残りの1辺に繋がっている。すなわち、箱部3aの開口側の残りの1辺から内側に向かって折り曲げられた部分が基板接続部3eとなっている。本形態のFPC3は、箱部3aと3個の被固定部3b~3dと基板接続部3eとによって構成されている。
【0031】
被固定部3b~3dは、細長い長方形状に形成されている。基板接続部3eは、細長い長方形状に形成されるランド形成部3fと、ランド形成部3fから箱部3aの内側に向かって伸びる細長い帯状の帯状部3gとから構成されている。被固定部3bは、主プリント基板2の厚さ方向から見たときの形状が長方形状をなす箱部3aの長辺の一方に繋がり、被固定部3cは、箱部3aの長辺の他方に繋がっている。また、被固定部3dは、箱部3aの短辺の一方に繋がり、基板接続部3eは、箱部3aの短辺の他方に繋がっている。被固定部3b~3dおよび基板接続部3eは、主プリント基板2に接触している。
【0032】
また、FPC3は、6本のタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が形成されるタンパ検知パターン層29と、FPC3の厚さ方向の一方側から6本のタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8を覆うグランドパターンが形成されるグランドパターン層30とを備えている(
図6参照)。タンパ検知パターン層29とグランドパターン層30とは、FPC3の厚さ方向において重なっている。タンパ検知パターン層29とグランドパターン層30との間には、絶縁層(図示省略)が配置されている。タンパ検知パターン層29は、FPC3の一方の面を構成し、グランドパターン層30は、FPC3の他方の面を構成している。タンパ検知パターン層29の表面およびグランドパターン層30の表面は、絶縁性の被膜によって覆われている。
【0033】
タンパ検知パターン層29では、6本のタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が不規則に引き回されている。また、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8は、タンパ検知パターン層29の全域で引き回されている。すなわち、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8は、箱部3a、被固定部3b~3dおよび基板接続部3eにおいて引き回されている。グランドパターン層30では、グランドパターン層30の全域にグランドパターンが形成されている。タンパ検知パターン層29は、箱部3aおよび被固定部3b~3dにおいて主プリント基板2側に配置されている。すなわち、グランドパターン層30は、箱部3aおよび被固定部3b~3dにおいて、タンパ検知パターン層29の外側に配置されており、タンパ検知パターン層29を外側から覆っている。
【0034】
FPC3には、タンパ検知パターンP1の一端部をなす端子31と、タンパ検知パターンP1の他端部をなす端子32と、タンパ検知パターンP3の一端部をなす端子33と、タンパ検知パターンP3の他端部をなす端子34とが形成されている。また、FPC3には、タンパ検知パターンP5の一端部をなす内部ランド(ポート)35と、タンパ検知パターンP6の一端部をなす内部ランド36と、タンパ検知パターンP7の一端部をなす内部ランド37と、タンパ検知パターンP8の一端部をなす内部ランド38とが形成されている。
【0035】
また、FPC3には、タンパ検知パターンP5の他端部をなす外部ランド(ポート)45と、タンパ検知パターンP6の他端部をなす外部ランド46と、タンパ検知パターンP7の他端部をなす外部ランド47と、タンパ検知パターンP8の他端部をなす外部ランド48とが形成されている。また、FPC3には、FPC3を主プリント基板2に固定するためのランド41、43が形成されている。ランド41、43は、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8に電気的に繋がっていない。
【0036】
図5に示すように、端子31~34は、帯状部3gの先端部に形成されている。内部ランド35~38は、ランド形成部3fに形成されている。すなわち、内部ランド35~38は、基板接続部3eに形成されている。また、端子31~34および内部ランド35~38は、箱部3aの内側に配置されており、箱部3aの外側で露出していない。
【0037】
端子31~34は、細長い帯状をなす帯状部3gの短手方向において間隔をあけた状態で配置されている。また、端子31、33、32、34が帯状部3gの短手方向においてこの順番で配置されている。内部ランド35~38は、細長い長方形状をなすランド形成部3fの長辺方向において間隔をあけた状態で配置されている。また、内部ランド35~38は、ランド形成部3fの長辺方向において、被固定部3b側からこの順番で配置されている。
【0038】
ランド41、43および外部ランド45~48は、被固定部3b~3dに形成されている。具体的には、ランド41および外部ランド48は、被固定部3bに形成され、ランド43および外部ランド45は、被固定部3cに形成され、外部ランド46、47は、被固定部3dに形成されている。ランド41、43および外部ランド45~48は、箱部3aの外側で露出している。
【0039】
ランド41および外部ランド48は、細長い長方形状に形成される被固定部3bの長辺方向において間隔をあけた状態で配置されている。また、ランド41は、基板接続部3e側に配置され、外部ランド48は、被固定部3d側に配置されている。ランド43および外部ランド45は、被固定部3cの長辺方向において間隔をあけた状態で配置されている。また、外部ランド45は、基板接続部3e側に配置され、ランド43は、被固定部3d側に配置されている。外部ランド46、47は、被固定部3dの長辺方向において間隔をあけた状態で配置されている。また、外部ランド46は、被固定部3c側に配置され、外部ランド47は、被固定部3b側に配置されている。
【0040】
端子31は、端子11に電気的に接続され、端子32は、端子12に電気的に接続され、端子33は、端子13に電気的に接続され、端子34は、端子14に電気的に接続されている。また、内部ランド35は、ランド15に電気的に接続され、内部ランド36は、ランド16に電気的に接続され、内部ランド37は、ランド17に電気的に接続され、内部ランド38は、ランド18に電気的に接続されている。すなわち、端子31~34および内部ランド35~38は、主プリント基板2に電気的に接続されている。
【0041】
本形態では、たとえば、主プリント基板2に実装されるコネクタ(図示省略)に帯状部3gの先端部が差し込まれると、端子31と端子11とが接触して電気的に接続され、端子32と端子12とが接触して電気的に接続され、端子33と端子13とが接触して電気的に接続され、端子34と端子14とが電気的に接続される。主プリント基板2において、端子11~14のそれぞれは、端子31~34のそれぞれに対応する位置に配置されている。
【0042】
内部ランド35は、ランド15に半田付けされて固定され、内部ランド36は、ランド16に半田付けされて固定され、内部ランド37は、ランド17に半田付けされて固定され、内部ランド38は、ランド18に半田付けされて固定されている。すなわち、内部ランド35~38は、主プリント基板2に固定されている。主プリント基板2において、ランド15~18のそれぞれは、内部ランド35~38のそれぞれに対応する位置に配置されている。
【0043】
外部ランド45は、ランド25に電気的に接続され、外部ランド46は、ランド26に電気的に接続され、外部ランド47は、ランド27に電気的に接続され、外部ランド48は、ランド28に電気的に接続されている。すなわち、外部ランド45~48は、主プリント基板2に電気的に接続されている。
【0044】
また、ランド41は、ランド21に半田付けされて固定され、ランド43は、ランド23に半田付けされて固定され、外部ランド45は、ランド25に半田付けされて固定され、外部ランド46は、ランド26に半田付けされて固定され、外部ランド47は、ランド27に半田付けされて固定され、外部ランド48は、ランド28に半田付けされて固定されている。すなわち、ランド41、43および外部ランド45~48は、主プリント基板2に固定されている。主プリント基板2において、ランド21、23、25~28のそれぞれは、ランド41、43および外部ランド45~48のそれぞれに対応する位置に配置されている。
【0045】
タンパ検知パターンP1は、信号パターンP11、P12と電気的に接続されている。タンパ検知パターンP3は、信号パターンP13、P14と電気的に接続されている。また、タンパ検知パターンP5は、信号パターンP15、P25と電気的に接続され、タンパ検知パターンP6は、信号パターンP16、P26と電気的に接続され、タンパ検知パターンP7は、信号パターンP17、P27と電気的に接続され、タンパ検知パターンP8は、信号パターンP18、P28と電気的に接続されている。
【0046】
タンパ検知パターンP1と、タンパ検知パターンP3と、タンパ検知パターンP5と、タンパ検知パターンP6と、タンパ検知パターンP7と、タンパ検知パターンP8とは、互いに絶縁されており、互いに電気的に接続されていない。すなわち、4個の外部ランド45~48のそれぞれは、互いに絶縁されており、外部ランド45~48は、他の外部ランド45~48と電気的に接続されていない。また、外部ランド45~48のそれぞれは、2個のランド41、43と絶縁されており、ランド41、43と電気的に接続されていない。
【0047】
タンパ検知パターンP1を流れるタンパ検知信号と、タンパ検知パターンP3を流れるタンパ検知信号と、タンパ検知パターンP5を流れるタンパ検知信号と、タンパ検知パターンP6を流れるタンパ検知信号と、タンパ検知パターンP7を流れるタンパ検知信号と、タンパ検知パターンP8を流れるタンパ検知信号とは、互いに異なる信号となっている。すなわち、タンパ検知回路6は、タンパ検知パターンP1、タンパ検知パターンP3、タンパ検知パターンP5、タンパ検知パターンP6、タンパ検知パターンP7およびタンパ検知パターンP8のそれぞれに対して互いに異なるタンパ検知信号を発生させている。
【0048】
本形態では、犯罪者が主プリント基板2からデータを不正に取得するために何らかの行為を行って、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が断線したり、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が他のタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8と短絡したり、外部ランド45~48がランド25~28から剥がされたりすると、たとえば、タンパ検知信号が流れなくなるため、タンパ検知回路6で不正行為が行われていることが検知される。不正行為が行われていることが検知されると、主プリント基板2では、主プリント基板2に記憶されているデータを消去したり主プリント基板2を使用不可な状態にしたりする等の所定の異常処理が実行されて、主プリント基板2からのデータの不正取得が防止される。
【0049】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、主プリント基板2のセキュリティ性を確保するためのFPC3は、主プリント基板2に固定される被固定部3b~3dを備えており、FPC3は、主プリント基板2に直接固定されている。そのため、本形態では、上記の特許文献1に記載のカードリーダのように、FPC3が貼り付けられるケース体を設ける必要がない。したがって、本形態では、主プリント基板2のセキュリティ性を確保するための構成を小型化することが可能になる。
【0050】
本形態では、タンパ検知パターンP5~P8の他端部をなす外部ランド45~48が被固定部3b~3dに形成され、主プリント基板2に固定されているとともに主プリント基板2に電気的に接続されている。そのため、本形態では、犯罪者が、主プリント基板2に対する不正行為を行うために、主プリント基板2からFPC3を取り外そうとして、ランド25~28から外部ランド45~48を剥がしたときに、上述のように、不正行為が行われていることがタンパ検知回路6で検知される。また、本形態では、不正行為が行われていることが検知されると、主プリント基板2に記憶されているデータを消去したりする等の所定の異常処理が実行されている。したがって、本形態では、主プリント基板2のセキュリティ性を高めることが可能になる。
【0051】
本形態では、4個の外部ランド45~48のそれぞれは、互いに絶縁されており、外部ランド45~48は、他の外部ランド45~48と電気的に接続されていない。そのため、本形態では、被固定部3b~3dに形成される外部ランド45~48同士を犯罪者が電気的に接続しても、電気的に接続された外部ランド45~48の間で、タンパ検知パターンP5自体、タンパ検知パターンP6自体、タンパ検知パターンP7自体またはタンパ検知パターンP8自体を短絡させることはできない。
【0052】
たとえば、外部ランド45と外部ランド46とを電気的に接続しても、タンパ検知パターンP5自体を短絡させることはできず、タンパ検知パターンP6自体を短絡させることもできない。また、たとえば、外部ランド47と外部ランド48とを電気的に接続してもタンパ検知パターンP7自体を短絡させることはできず、タンパ検知パターンP8自体を短絡させることもできない。すなわち、本形態では、外部ランド45~48同士を犯罪者が電気的に接続しても、タンパ検知パターンP5~P8の機能を損なわせることはできない。
【0053】
したがって、本形態では、主プリント基板2にFPC3を直接固定するための外部ランド45~48が、箱部3aの外側に配置される被固定部3b~3dに形成されていても、主プリント基板2のセキュリティ性を高めることが可能になる。なお、本形態では、外部ランド45~48同士を犯罪者が電気的に接続すると、タンパ検知パターンP5~P8が他のタンパ検知パターンP5~P8と短絡したことが検知される。
【0054】
本形態では、箱部3aおよび被固定部3b~3dにおいて、グランドパターン層30は、タンパ検知パターン層29の外側に配置されており、タンパ検知パターン層29を外側から覆っている。そのため、本形態では、箱部3aおよび被固定部3b~3dの外側からタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が見えなくなる。したがって、本形態では、FPC3にタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が形成されていることを犯罪者は認識しにくくなる。
【0055】
また、本形態では、箱部3aおよび被固定部3b~3dにおいて、グランドパターン層30がタンパ検知パターン層29の外側に配置されているため、犯罪者が、主プリント基板2に対する不正行為を行うために、たとえば、箱部3aの外側からFPC3に穴をあけたときに、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が断線しなくても、グランドパターンの銅箔によって隣接するタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8を短絡させることが可能になる。したがって、本形態では、犯罪者の不正行為を検知しやすくなる。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0057】
上述した形態において、FPC3に形成されるタンパ検知パターンの数は、2本以上5本以下であっても良い。また、上述した形態において、FPC3に形成されるタンパ検知パターンの数は、7本以上であっても良い。FPC3に形成されるタンパ検知パターンの数が8本以上である場合には、3個の被固定部3b~3dのそれぞれに少なくとも2個の外部ランドが形成されていることが好ましい。
【0058】
3個の被固定部3b~3dのそれぞれに少なくとも2個の外部ランドが形成されていれば、犯罪者が、主プリント基板2に対する不正行為を行うために、主プリント基板2からFPC3を取り外そうとしたときに、主プリント基板2に形成されるランドから外部ランドが剥がれやすくなる。したがって、主プリント基板2からFPC3が取り外されそうになったことを検知しやすくなる。すなわち、犯罪者の不正行為を検知しやすくなる。
【0059】
上述した形態において、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8は、タンパ検知パターンP1、P3、P5~P8自身が断線したことおよびタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8が他のタンパ検知パターンP1、P3、P5~P8と短絡したことのいずれか一方のみを検知するために設けられていても良い。また、上述した形態において、主プリント基板2のタンパ検知パターン層に形成されるタンパ検知パターンは、タンパ検知パターン自身が断線したことおよびタンパ検知パターンが他のタンパ検知パターンと短絡したことのいずれか一方のみを検知するために設けられていても良い。
【0060】
上述した形態では、FPC3を主プリント基板2に固定するための2個のランド41、43がFPC3に形成されているが、FPC3を主プリント基板2に固定するための1個のランドがFPC3に形成されていても良いし、3個以上のランドがFPC3に形成されていても良い。また、上述した形態において、ランド41、43がFPC3に形成されていなくても良い。
【0061】
上述した形態において、主プリント基板2の厚さ方向から見たときの箱部3aの形状は、正方形状になっていても良い。また、上述した形態において、主プリント基板2は、フレキシブルプリント基板であっても良い。また、上述した形態において、プリント基板1は、決済端末機以外の機器に搭載されて使用されても良い。たとえば、プリント基板1は、手動式またはカード搬送式のカードリーダに搭載されて使用されても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 プリント基板
2 主プリント基板
3 FPC(フレキシブルプリント基板)
3a 箱部
3b~3d 被固定部
3e 基板接続部
29 タンパ検知パターン層
30 グランドパターン層
35~38 内部ランド
45~48 外部ランド
P5~P8 タンパ検知パターン