(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106075
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】不具合検出装置、制御盤及び給液装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230725BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007205
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】小島 研太
(72)【発明者】
【氏名】坂野 聖治
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA19
5H770AA29
5H770BA01
5H770DA03
5H770GA19
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770LA07W
5H770LA07Y
5H770LB05
5H770LB09
5H770LB10
(57)【要約】
【課題】電源側と負荷側とのいずれの不具合であるかを検出する。
【解決手段】本発明の一態様に係る不具合検出装置は、電圧検出部と、電流検出部と、不具合検出部とを備えている。電圧検出部は、給液装置を駆動するモータである負荷装置に電力を供給する電力変換装置に入力される3相分の交流電圧に基づいて、当該3相分の線間電圧波形を検出する。電流検出部は、前記電力変換装置から出力される3相分の交流電流のうち、少なくとも2相分の電流波形を検出する。不具合検出部は、前記電圧検出部の出力と、前記電流検出部の出力とを解析することにより、前記電力変換装置よりも電源側の不具合であるか又は負荷側の不具合であるかを区別して検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給液装置を駆動するモータである負荷装置に電力を供給する電力変換装置に入力される3相分の交流電圧に基づいて、当該3相分の線間電圧波形を検出する電圧検出部と、
前記電力変換装置から出力される3相分の交流電流のうち、少なくとも2相分の電流波形を検出する電流検出部と、
前記電圧検出部の出力と、前記電流検出部の出力とを解析することにより、前記電力変換装置よりも電源側の不具合であるか又は負荷側の不具合であるかを区別して検出する不具合検出部と
を備えた不具合検出装置。
【請求項2】
前記不具合検出部は、前記電流検出部の出力が前記2相分の電流波形を示す場合、当該2相分の電流波形における各々の瞬時電流と、当該各々の瞬時電流を含む3相分の瞬時電流の総和がゼロであることとに基づいて、前記検出していない1相分の電流波形を計算する、
請求項1記載の不具合検出装置。
【請求項3】
前記不具合検出部は、前記電圧検出部の出力に基づいて電源電圧不平衡率を計算し、
当該電源電圧不平衡率が第1閾値より大きい場合に、前記電源電圧不平衡率に関する前記電源側の不具合を検出する、
請求項1又は2記載の不具合検出装置。
【請求項4】
前記不具合検出部は、前記電圧検出部の出力に基づいて電源電圧不平衡率を計算し、前記電流検出部の出力に基づいて電流不平衡率を計算し、当該電源電圧不平衡率が第1閾値以下であり、且つ当該電流不平衡率が第2閾値より大きい場合に、前記電流不平衡率に関する前記負荷側の不具合を検出する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の不具合検出装置。
【請求項5】
前記不具合検出部は、前記電圧検出部の出力に基づいて、正弦波形が検出されない線間電圧を検出し、当該検出した線間電圧に応じて、前記3相のうちの欠相状態にあるR相、S相又はT相を導出することにより、欠相に関する前記電源側の不具合を検出する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の不具合検出装置。
【請求項6】
前記不具合検出部は、前記電流検出部の出力から得られる3相分の電流波形に基づいて、正弦波形が検出されない電流波形がある場合、又は前記3相分のいずれかの相の電流値が他の相の電流値に占める割合が第3閾値以下である場合、欠相に関する前記負荷側の不具合を検出する、
請求項2及び請求項2を引用する請求項3乃至5のうち、いずれか一項に記載の不具合検出装置。
【請求項7】
前記不具合検出部は、前記3相分の線間電圧波形の相順を検出し、当該相順が逆転した場合に、反相に関する前記電源側の不具合を検出する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の不具合検出装置。
【請求項8】
前記不具合検出部は、前記負荷装置の停止状態及び運転状態の各々において、前記電源側の不具合の検出を実行する、
請求項3、5又は7記載の不具合検出装置。
【請求項9】
前記不具合検出部により検出された不具合に関する警報を出力する出力部、
を更に備えた請求項1乃至8のいずれか一項に記載の不具合検出装置。
【請求項10】
前記不具合検出部により不具合が検出された場合、前記負荷装置を停止状態に制御する制御部、
を更に備えた請求項1乃至9のいずれか一項に記載の不具合検出装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の不具合検出装置及び電力変換装置を備えた制御盤。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の不具合検出装置、電力変換装置及び負荷装置を備えた給液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不具合検出装置、制御盤及び給液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置に代表される給液装置システムに関して、三相交流電源と三相負荷との間の三相のうち、二相の電流波形から電流実効値、電流最大値、および他方相がゼロクロスするタイミングでのゼロクロス時電流値を検出し、これらの検出値を比較して欠相検知する技術が知られている。
【0003】
また、3相3線式の商用周波数の入力交流電流の2つの相の電流値を電流センサによって計測し、計測された入力交流電流値に対してフーリエ変換を実行し、実行結果に基づいて欠相の有無を検知する技術が知られている。これに伴い、同時刻の当該2つの相の電流値から直流成分を差し引いて瞬時交流電流値として、2つの相の瞬時交流電流値にマイナス1を乗じたものを加算することにより、当該電流センサの取り付けてない第3の相の瞬時交流電流値を求める技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-227073号公報
【特許文献2】特許第6334993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような技術は、通常は特に問題ないが、本発明者の検討によれば、不具合を検出した際に、電源側と負荷側とのいずれの不具合であるかが不明なため、原因調査に手間と時間を要している。従って、電源側と負荷側とのいずれの不具合であるかを検出できることが望ましい。
【0006】
本発明は、電源側と負荷側とのいずれの不具合であるかを検出し得る不具合検出装置、制御盤及び給液装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る不具合検出装置は、電圧検出部と、電流検出部と、不具合検出部とを備えている。前記電圧検出部は、ポンプ装置に代表される給液装置を駆動するモータである負荷装置に電力を供給する電力変換装置に入力される3相分の交流電圧に基づいて、当該3相分の線間電圧波形を検出する。前記電流検出部は、前記電力変換装置から出力される3相分の交流電流のうち、少なくとも2相分の電流波形を検出する。前記不具合検出部は、前記電圧検出部の出力と、前記電流検出部の出力とを解析することにより、前記電力変換装置よりも電源側の不具合であるか又は負荷側の不具合であるかを区別して検出する。
【0008】
本発明の別の態様に係る制御盤は、不具合検出装置及び電力変換装置を備えている。
【0009】
本発明の更に別の態様に係る給液装置は、不具合検出装置、電力変換装置及び負荷装置を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電源側と負荷側とのいずれの不具合であるかを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る不具合検出装置を搭載したポンプ装置の構成を例示する模式図。
【
図2】一実施形態における動作例を説明するためのフローチャート。
【
図3】
図2のステップST30を説明するためのフローチャート。
【
図4】
図2のステップST50を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号及び/又は英小文字を用いることもある。
【0013】
なお、以降の説明において便宜上、給液装置についてポンプ装置を例に挙げて述べるが、給液装置は、水道水、汚水、排水、温泉水又は海水などの液体を供給先に供給するポンプ装置に限らず、原水ポンプを有し、当該原水ポンプから供給される原水から不純物を除去する水処理装置であってもよい。給液装置がポンプ装置の場合にはモータがポンプを駆動し、給液装置が水処理装置の場合にはモータが原水ポンプを駆動する。また、ポンプ装置は、受水槽又は井戸等に設置される水中ポンプを例に挙げて述べるが、ポンプ装置は水中ポンプに限らず、水道本管に直結されるポンプであってもよい。また、電力変換装置についてインバータを例に挙げて述べるが、電力変換装置は、交流-交流変換型の電力変換装置であれば、任意の装置が使用可能である。例えば、交流-交流変換型の電力変換装置としては、整流回路を含むインバータのように、直流を介する間接変換型の装置でもよく、マトリックスコンバータ等のように、直流を介さない直接変換型の装置でもよい。また、電力変換装置については、制御盤が保持する場合を例に挙げて述べるが、制御盤に保持されずに制御盤から離れた場所に配置してもよい。
【0014】
図1は、一実施形態に係るポンプ装置の構成を例示する模式図である。このポンプ装置1は、井戸等の水中に配置される縦軸の多段のポンプ11と、ポンプ11に接続されたモータ12と、モータ12に相毎のケーブル13を介して電力を供給する電力変換装置21とを備えている。電力変換装置21は、制御盤20に収容されており、電力変換装置21の入力側には相毎の電源配線14を介して3相3線式の交流電源30が接続されている。ポンプ装置1は、給液装置の一例である。
【0015】
ここで、ポンプ11は、例えば井戸に配置され、少なくともその一部が井戸内の流体、例えば井戸水、の水面下に位置する多段の深井戸用水中ポンプである。ポンプ11は回転軸を有し、当該回転軸がモータ12の回転子の軸に接続されている。ポンプ11は、井戸等の水中に配置されたモータ12に電力が供給されると、モータ12内の回転子が回転し、当該回転に追従して回転軸が回転する。ポンプ11の回転軸の回転により、複数のケーシング内のインペラが回転し、ケーシング内の水を増圧し、吐出ケーシングからポンプ11の二次側へと送水する。
【0016】
モータ12は、例えば水中モータであり、例えばポンプ11の直下の井戸水中に配置される。モータ12は、ケーブル13を介して電力変換装置21に接続される。電力変換装置21からケーブル13を介して電力が供給されると、モータ12は、回転子が回転し、当該回転に追従してポンプ11の回転軸を回転させることで、当該ポンプ11を駆動する。モータ12は、負荷装置の一例である。
【0017】
制御盤20は、電力変換装置21と、制御部22と、記憶部26と、通信部27と、入力部28と、表示部29と、スピーカ29aとを備えている。制御部22は、電圧検出部23と、R相電流検出回路24Rと、T相電流検出回路24Tと、マイコン25とを備えている。制御部22は、不具合検出装置の一例である。また、制御部22と、表示部29及び/又はスピーカ29aとは、不具合検出装置の他の一例である。また、制御部22及び電力変換装置21は、制御盤の一例である。また、制御部22及び電力変換装置21と、表示部29及び/又はスピーカ29aとは、制御盤の他の一例である。また、不具合検出装置、電力変換装置21及びモータ12は、給液装置の一例である。また、不具合検出装置及び電力変換装置を備えた制御盤と、モータ12である負荷装置とは、給液装置の他の一例である。
【0018】
電力変換装置21は、制御部22に制御され、交流電源30から電源配線14を介して供給される電力を変換し、当該変換した電力をケーブル13を介してモータ12に供給する。電力変換装置21は、出力周波数、即ちモータ12の運転周波数を可変可能に構成される。なお、電力変換装置21は、必ずしも制御盤20に収容される必要はなく、制御盤20の外部に配置してもよい。
【0019】
電圧検出部23は、ポンプ11を駆動するモータ12である負荷装置に電力を供給する電力変換装置21に入力される3相分の交流電圧に基づいて、当該3相分の線間電圧波形を検出する。具体的には、電圧検出部23は、交流電源30と電力変換装置21との間の電源配線14から3相分の線間電圧波形を検出する。
【0020】
R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tは、電力変換装置21から出力される3相分の交流電流のうち、2相分の電流波形を検出する。具体的には、R相電流検出回路24Rは、電力変換装置21とモータ12との間のケーブル13から変流器CT_Rを介してR相の電流波形を検出する。同様に、T相電流検出回路24Tは、電力変換装置21とモータ12との間のケーブル13から変流器CT_Tを介してT相の電流波形を検出する。なお、これらに限らず、制御部22は、S相電流検出回路を更に備えてもよい。R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tは、電力変換装置21から出力される3相分の交流電流のうち、少なくとも2相分の電流波形を検出する電流検出部の一例である。
【0021】
マイコン25は、制御盤20内の各部を統括して制御する制御中枢であって、プログラムやデータを記憶するメモリ(図示しない)と、このメモリに記憶されるプログラムやデータに基づく処理を実行するプロセッサ(図示しない)を備え、これらにより各種制御機能を実現する。なお、マイコン25は、CPU (central processing unit)、GPU (graphics processing unit)、FPGA (field programmable gate array)、DSP (digital signal processor)、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。
【0022】
マイコン25が実現する各種制御機能には、例えば、ポンプ制御を行う制御機能25aと、不具合を検出する不具合検出機能25bとが含まれる。不具合検出機能25bは、不具合検出部の一例である。
【0023】
制御機能25aは、通信部27又は入力部28からの入力に基づき、電力変換装置21を制御することにより、ポンプ11を駆動するモータ12の回転を制御する。また、制御機能25aは、不具合検出機能25bにより不具合が検出されば場合、電力変換装置21を制御することにより、ポンプ11を駆動するモータ12を停止状態に制御する。
【0024】
不具合検出機能25bは、電圧検出部23の出力と、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tの出力とを解析することにより、電力変換装置21よりも電源側の不具合であるか又は負荷側の不具合であるかを区別して検出する。なお、不具合検出機能25bとしては、以下の機能(i)~(vii)を適宜、含んでいてもよい。
【0025】
(i)電流検出部(24R,24T)の出力が2相分の電流波形を示す場合、当該2相分の電流波形における各々の瞬時電流と、当該各々の瞬時電流を含む3相分の瞬時電流の総和がゼロであることとに基づいて、検出していない1相分の電流波形を計算する機能。
【0026】
(ii)電圧検出部23の出力に基づいて電源電圧不平衡率を計算し、当該電源電圧不平衡率が第1閾値より大きい場合に、電源電圧不平衡率に関する電源側の不具合を検出する機能。
【0027】
(iii)電圧検出部23の出力に基づいて電源電圧不平衡率を計算し、電流検出部の出力に基づいて電流不平衡率を計算し、当該電源電圧不平衡率が第1閾値以下であり、且つ当該電流不平衡率が第2閾値より大きい場合に、電流不平衡率に関する負荷側の不具合を検出する機能。
【0028】
(iv)電圧検出部23の出力に基づいて、正弦波形が検出されない線間電圧を検出し、当該検出した線間電圧に応じて、3相のうちの欠相状態にあるR相、S相又はT相を導出することにより、欠相に関する電源側の不具合を検出する機能。
【0029】
(v)電流検出部(24R,24T)の出力から得られる3相分の電流波形に基づいて、正弦波形が検出されない電流波形がある場合、又は3相分のいずれかの相の電流値が他の相の電流値に占める割合が第3閾値以下である場合、欠相に関する負荷側の不具合を検出する機能。
【0030】
(vi)3相分の線間電圧波形の相順を検出し、当該相順が逆転した場合に、反相に関する電源側の不具合を検出する機能。
【0031】
(vii)ポンプ11を駆動するモータ12である負荷装置の停止状態及び運転状態の各々において、上記した電源側の不具合の検出を実行する機能。
【0032】
記憶部26は、例えば、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)又はHDD(Hard Disk Drive)である。記憶部26は、マイコン25内のメモリに記憶しないデータを記憶する。例えば、記憶部26は、ポンプ装置1の運転データのログ、不具合検出のログ、メンテナンス情報などのように、リアルタイムの制御に用いるデータではなく、長期保存のためのデータを記憶する。但し、これに限らず、記憶部26は、リアルタイムの制御に用いるデータのうち、制御パラメータや閾値などのデータを保存してもよい。
【0033】
通信部27は、制御部22により制御され、無線通信技術を用いて、通信端末などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部27は、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう)、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術、またはUSBなどの有線通信技術を用いて、通信端末等の外部装置に接続可能となっている。また、通信部27は、BLE規格などにより、スピーカ29aやマイク等を無線接続してもよい。なお、BLE規格は、BLEのバージョン4.0以上の規格であればよく、BLEの通信方式と互換性があればよい。これに伴い、「BLE規格」は、「Bluetooth 4.0以上の規格」と呼んでもよい。
【0034】
入力部28は、例えば、ボタンスイッチやセレクトスイッチを含む操作パネルやタッチスクリーンなどのユーザ入力を受け付ける装置と、図示しない水位センサやフロートスイッチなどのセンサとを含み得る。セレクトスイッチは、ポンプ運転指令を入力するものであり、ユーザの操作に応じて、ポンプの自動・停止・手動を切り替えるスイッチなどが適宜、使用可能となっている。
【0035】
表示部29は、マイコン25の処理に応じて、動画像、静止画像、テキスト、警報などを表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示デバイスや、ポンプ装置1のステータスを表示するLED(Light Emitting Diode)点灯部などを含み得る。表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力部28の機能を備えていてもよい。表示部29は、不具合検出部により検出された不具合に関する警報を出力する出力部の一例である。
【0036】
スピーカ29aは、制御部22から送出された音声情報に基づいて、警報又はガイド等の音声出力を行う装置であり、制御盤20に埋め込んでもよく、床置き又は壁掛けしてもよい。スピーカ29aは、有線又は無線を介して制御部22に接続可能となっている。スピーカ29aは、不具合検出部により検出された不具合に関する警報を出力する出力部の他の一例である。
【0037】
次に、以上のように構成されたポンプ装置の動作例について
図2乃至
図4のフローチャートを参照しながら説明する。この動作例は、全体の動作例(
図2)と、電源側の不具合検出に関する動作例(
図3)と、負荷側の不具合検出に関する動作例(
図4)とを含んでいる。以下、各動作例を順に述べる。
【0038】
(モータ始動前の停止状態)
いま、ポンプ装置1は、図示しない水位センサで検出された水位が通常の範囲内にあり、ポンプ11を駆動するモータ12が始動前の停止状態にあるとする。
【0039】
ステップST10において、ポンプ装置1の制御盤20では、電圧検出部23が、電力変換装置21に入力される3相分の交流電圧に基づいて、当該3相分の線間電圧波形を検出する。具体的には電圧検出部23は、交流電源30と電力変換装置21との間の電源配線14から3相分の線間電圧波形を検出する。
【0040】
ステップST10の後、ステップST20において、制御盤20では、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tが、電力変換装置21から出力される3相分の交流電流のうち、2相分の電流波形を検出する。但し、現在は、モータ12が始動前の停止状態にあるので、電流波形が検出されない。
【0041】
ステップST20の後、ステップST30~ST50において、制御盤20では、マイコン25が、電圧検出部23の出力と、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tの出力とを解析することにより、電力変換装置21よりも電源側の不具合であるか又は負荷側の不具合であるかを区別して検出する。但し、現在は、モータ12が始動前の停止状態にあるので、ステップST50の電流波形の解析が実行されない。
【0042】
このため、ステップST30において、マイコン25は、電圧検出部23の出力を解析することにより、電力変換装置21よりも電源側の不具合である場合を検出する。このステップST30は、
図3に示す如き、ステップST31~ST37を含んでいる。
【0043】
ステップST31において、マイコン25は、電圧検出部23の出力に基づいて、正弦波形が検出されない線間電圧があるか否かを判定し、判定の結果、正弦波形が検出されない線間電圧を検出すると(ST31:Yes)、ステップST32に移行する。
【0044】
ステップST32において、マイコン25は、当該検出した線間電圧に応じて、3相のうちの欠相状態にあるR相、S相又はT相を導出することにより、欠相に関する電源側の不具合を検出する。なお、電源側の欠相に関する不具合の場合、原因調査の際に、電力会社からの交流電源30や電源配線14の不具合を疑うことができる。ステップST32の後、ステップST30を終了し、ステップST40に移行する。一方、ステップST31の判定の結果、正弦波形が検出されない線間電圧がない場合には(ST31:No)、ステップST33に移行する。
【0045】
ステップST33において、マイコン25は、電圧検出部23の出力に基づいて、3相分の線間電圧波形の相順を検出し、相順が逆転したか否かを判定する。判定の結果、相順が逆転した場合には(ST33:Yes)、マイコン25は、反相に関する電源側の不具合を検出する(ステップST34)。なお、電源側の反相に関する不具合の場合、原因調査の際に、電源配線14の結線の誤りを疑うことができる。ステップST34の後、ステップST30を終了し、ステップST40に移行する。
【0046】
一方、ステップST33の判定の結果、相順が逆転していない場合には(ST33:No)、ステップST35に移行する。
【0047】
ステップST35において、マイコン25は、電圧検出部23の出力に基づいて電源電圧不平衡率を計算する。
【0048】
ステップST35の後、ステップST36において、マイコン25は、電源電圧不平衡率が第1閾値より大きいか否かを判定する。判定の結果、電源電圧不平衡率が第1閾値より大きい場合に(ST36:Yes)、マイコン25は、電源電圧不平衡率に関する電源側の不具合を検出する(ステップST37)。なお、電源側の電圧不平衡に関する不具合の場合、原因調査の際に、電力会社からの交流電源30や電源配線14の不具合を疑うことができる。ステップST37の後、ステップST30を終了し、ステップST40に移行する。
【0049】
一方、ステップST36の判定の結果、電源電圧不平衡率が第1閾値以下の場合には(ST36:No)、マイコン25は、電源側の不具合を検出せずにステップST30を終了し、ステップST40に移行する。
【0050】
図2に戻り、ステップST40において、マイコン25は、ポンプ11を駆動するモータ12である負荷装置が運転状態か否かを判定し、運転状態であればステップST50に移行する。現在は、モータ12が始動前の停止状態にあるので、ステップST50をスキップしてステップST60に移行する。
【0051】
ステップST60において、マイコン25は、例えば、ステップST32、ST34又はST37を実行したか否かに応じて、電源側の不具合を検出したか否かを判定する。判定の結果、否の場合にはステップST70に移行する。
【0052】
ステップST70において、マイコン25は、ステップST50内で負荷側の不具合を検出したか否かを判定する。判定の結果、否の場合にはステップST10に戻り、ステップST10~ST70の処理を繰り返し実行する。
【0053】
一方、ステップST60の判定の結果、電源側の不具合を検出した場合にはステップST80に移行する。同様に、ステップST70の判定の結果、負荷側の不具合を検出した場合にはステップST80に移行する。
【0054】
ステップST80において、マイコン25は、表示部29及びスピーカ29aの各々に警報を出力させる。表示部29は、例えば、警報を示すLED表示を行う。スピーカ29aは、警報を示すブザー音又はメッセージを音声出力する。
【0055】
また、ステップST80と並行してステップST90において、マイコン25は、モータ12である負荷装置の運転を停止する。現在は、モータ12が始動前の停止状態にあるので、モータ12の停止状態を継続する。ステップST90の後、ステップST10に戻り、ステップST10~ST90の処理を繰り返し実行する。
【0056】
(モータ始動後の運転状態)
いま、ポンプ装置1は、図示しない水位センサで検出された水位が通常の範囲内にあり、ポンプ11を駆動するモータ12が始動された後の運転状態にあるとする。
【0057】
ステップST10において、ポンプ装置1の制御盤20では、電圧検出部23が、前述同様に、電力変換装置21に入力される3相分の交流電圧に基づいて、当該3相分の線間電圧波形を検出する。
【0058】
ステップST10の後、ステップST20において、制御盤20では、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tが、電力変換装置21から出力される3相分の交流電流のうち、2相分の電流波形を検出する。
【0059】
ステップST20の後、ステップST30~ST50において、制御盤20では、マイコン25が、電圧検出部23の出力と、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tの出力とを解析することにより、電力変換装置21よりも電源側の不具合であるか又は負荷側の不具合であるかを区別して検出する。
【0060】
まず、ステップST30~ST40が前述同様に実行される。ステップST40において、マイコン25は、ポンプ11を駆動するモータ12である負荷装置が運転状態か否かを判定し、モータ12が運転状態であるので、ステップST50に移行する。
【0061】
ステップST50において、マイコン25は、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tの出力を解析することにより、電力変換装置21よりも負荷側の不具合である場合を検出する。このステップST50は、
図4に示す如き、ステップST51~ST57を含んでいる。
【0062】
ステップST51において、マイコン25は、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tの出力が示す2相分の電流波形に基づいて、検出していないS相の電流波形を計算する。すなわち、マイコン25は、当該2相分の電流波形における各々の瞬時電流と、当該各々の瞬時電流を含む3相分の瞬時電流の総和がゼロであることとに基づいて、検出していない1相分の電流波形を計算する。このように、マイコン25では、3相分の電流波形が得られる。
【0063】
ステップST51の後、ステップST52において、マイコン25は、当該得られた3相分の電流波形に基づいて、正弦波形が検出されない電流波形があるか否かを判定し、否の場合には(ST52:No)、ステップST53に移行する。
【0064】
ステップST53において、マイコン25は、当該得られた3相分の電流波形に基づいて、3相分のいずれかの相の電流値が他の相の電流値に占める割合が第3閾値以下であるか否かを判定し、否の場合には(ST53:No)、ステップST55に移行する。
【0065】
一方、ステップST52、ST53の判定の結果、正弦波形が検出されない電流波形がある場合(ST52:Yes)、又は3相分のいずれかの相の電流値が他の相の電流値に占める割合が第3閾値以下である場合(ST53:Yes)、ステップST54に移行する。
【0066】
ステップST54において、マイコン25は、欠相に関する負荷側の不具合を検出する(ステップST54)。なお、負荷側の欠相に関する不具合の場合、原因調査の際に、モータ12、ケーブル13の断線、結線の不具合を疑うことができる。また、ステップST54の後、ステップST50を終了し、ステップST60に移行する。
【0067】
他方、ステップST53の判定の結果、否の場合にはステップST55において、マイコン25は、当該得られた3相分の電流波形に基づいて、電流不平衡率を計算する。
【0068】
ステップST55の後、ステップST56において、マイコン25は、電流不平衡率が第2閾値より大きいか否かを判定する。判定の結果、電流不平衡率が第2閾値より大きい場合に(ST56:Yes)、マイコン25は、電流不平衡率に関する負荷側の不具合を検出する(ステップST57)。負荷側の電流不平衡に関する不具合の場合、原因調査の際に、モータ12、ケーブル13の断線、結線の不具合を疑うことができる。なお、ステップST57は、電源電圧不平衡率が第1閾値以下である場合で(ST36:No)、且つ電流不平衡率が第2閾値より大きい場合に(ST56:Yes)、実行される。
【0069】
ステップST57の後、ステップST50を終了し、ステップST60に移行する。一方、ステップST56の判定の結果、電流不平衡率が第2閾値以下の場合には(ST56:No)、マイコン25は、負荷側の不具合を検出せずにステップST50を終了し、ステップST60に移行する。
【0070】
以下、ステップST60移行の処理が前述同様に実行される。
【0071】
上述したように一実施形態によれば、電圧検出部と、電流検出部と、不具合検出部とを備えている。電圧検出部は、給液装置を駆動するモータである負荷装置に電力を供給する電力変換装置に入力される3相分の交流電圧に基づいて、当該3相分の線間電圧波形を検出する。電流検出部は、電力変換装置から出力される3相分の交流電流のうち、少なくとも2相分の電流波形を検出する。不具合検出部は、電圧検出部の出力と、電流検出部の出力とを解析することにより、電力変換装置よりも電源側の不具合であるか又は負荷側の不具合であるかを区別して検出する。従って、電源側と負荷側とのいずれの不具合であるかを検出し得る不具合検出装置を実現することができる。また、不具合の原因調査の際に、電源側と負荷側との一方を調査すればよいので、電源側と負荷側の両方を調査する場合に比べ、原因調査の時間を短縮することができる。例えば、不平衡、欠相、反相検出について、制御盤20から見て「電源側」(電源品質、又は電源配線)の不具合なのか、「負荷側」(モータ、ケーブル、又は顧客配線)の不具合なのか、を明確化できるため、不具合検出後に原因調査の時間短縮が可能となる。
【0072】
また、一実施形態によれば、不具合検出部は、電流検出部の出力が2相分の電流波形を示す場合、当該2相分の電流波形における各々の瞬時電流と、当該各々の瞬時電流を含む3相分の瞬時電流の総和がゼロであることとに基づいて、検出していない1相分の電流波形を計算してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、1相分の電流波形を検出するためのハードウェア構成(例、S相の変流器、S相電流検出回路)を省略することができる。補足すると、2相分の変流器及び電流検出回路を用いて、3相分の電流波形を得ることができる。
【0073】
また、一実施形態によれば、不具合検出部は、電圧検出部の出力に基づいて電源電圧不平衡率を計算し、当該電源電圧不平衡率が第1閾値より大きい場合に、電源電圧不平衡率に関する電源側の不具合を検出してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、電源電圧不平衡率に関する電源側の不具合を検出することができる。
【0074】
また、一実施形態によれば、不具合検出部は、電圧検出部の出力に基づいて電源電圧不平衡率を計算し、電流検出部の出力に基づいて電流不平衡率を計算し、当該電源電圧不平衡率が第1閾値以下であり、且つ当該電流不平衡率が第2閾値より大きい場合に、電流不平衡率に関する負荷側の不具合を検出してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、電流不平衡率に関する負荷側の不具合を検出することができる。
【0075】
また、一実施形態によれば、不具合検出部は、電圧検出部の出力に基づいて、正弦波形が検出されない線間電圧を検出し、当該検出した線間電圧に応じて、3相のうちの欠相状態にあるR相、S相又はT相を導出することにより、欠相に関する電源側の不具合を検出してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、欠相に関する電源側の不具合を検出することができる。
【0076】
また、一実施形態によれば、不具合検出部は、電流検出部の出力から得られる3相分の電流波形に基づいて、正弦波形が検出されない電流波形がある場合、又は3相分のいずれかの相の電流値が他の相の電流値に占める割合が第3閾値以下である場合、欠相に関する負荷側の不具合を検出してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、欠相に関する負荷側の不具合を検出することができる。
【0077】
また、一実施形態によれば、不具合検出部は、3相分の線間電圧波形の相順を検出し、当該相順が逆転した場合に、反相に関する電源側の不具合を検出してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、反相(逆相)に関する電源側の不具合を検出することができる。
【0078】
また、一実施形態によれば、不具合検出部は、負荷装置の停止状態及び運転状態の各々において、電源側の不具合の検出を実行してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、負荷装置の始動の有無によらず、仮に、負荷装置が始動前の状態でも、電源側の不具合を検出することができる。
【0079】
また、一実施形態によれば、不具合検出部により検出された不具合に関する警報を出力する出力部、を更に備えてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、不具合に関する警報を出力するので、不具合への対応を促すことができる。
【0080】
また、一実施形態によれば、不具合検出部により不具合が検出された場合、負荷装置を停止状態に制御する制御部、を更に備えてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、検出された不具合から負荷装置を保護することができる。
【0081】
また、一実施形態によれば、不具合検出装置及び電力変換装置を備えた制御盤を設けてもよい。この場合、前述した作用効果を奏する制御盤を実現することができる。
【0082】
また、一実施形態によれば、不具合検出装置、電力変換装置及び負荷装置を備えた給液装置を設けてもよい。この場合、前述した作用効果を奏する給液装置を実現することができる。
【0083】
(変形例)
なお、一実施形態に係る不具合検出装置は、給液装置の制御盤に搭載されたが、これに限定されない。例えば、不具合検出装置は、制御盤に搭載せず、メンテナンス要員が携帯可能な検査装置として実現してもよい。この場合、変流器CT_R、CT_Tとしては、後付け可能な分割形のものを使用すればよい。あるいは、変流器CT_R、CT_Tについては負荷側のケーブル13に配置しておいてもよい。いずれにしても、不具合検出装置を制御盤に搭載しない場合、給液装置及び制御盤の構成の簡素化を図ることができる。
【0084】
また、一実施形態では、電源側の不具合として、欠相、反相、及び電源電圧不平衡の全てを検出できる構成としたが、これに限定されない。例えば、電源側の不具合としては、欠相、反相、及び電源電圧不平衡のうちの少なくとも1つを検出できればよい。いずれかの検出項目を減らす場合、電源側の不具合を検出する処理の簡素化を図ることができる。
【0085】
また、一実施形態では、電源側の不具合を、欠相、反相、及び電源電圧不平衡の順序で検出できる構成としたが、これに限定されない。例えば、電源側の不具合を検出する順序を、任意の他の順序に変更してもよい。この場合、電源側の不具合を検出する処理の設計の自由度を向上させることができる。
【0086】
また、一実施形態では、負荷側の不具合として、欠相、及び電流不平衡の両者を検出できる構成としたが、これに限定されない。例えば、負荷側の不具合としては、欠相、及び電源電圧不平衡のうちのいずれか1つを検出できればよい。この場合、負荷側の不具合を検出する処理の簡素化を図ることができる。
【0087】
また、一実施形態では、負荷側の不具合を、欠相、及び電流不平衡の順序で検出できる構成としたが、これに限定されない。例えば、負荷側の不具合を検出する順序を、電流不平衡及び欠相の順序に変更してもよい。この場合、負荷側の不具合を検出する処理の設計の自由度を向上させることができる。
【0088】
また、一実施形態では、縦軸の多段のポンプ11を例示したが、これに限らず、例えば横軸の多段のポンプ、縦軸の単段のポンプ、横軸の単段のポンプ、のいずれとしてもよい。また、一実施形態では、水中ポンプを例示したが、これに限らず、種々の陸上ポンプ等の任意のポンプ装置に適用してもよく、原水ポンプを有する任意の水処理装置に適用してもよい。
【0089】
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
【0090】
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
【0091】
また、以上のような不具合検出装置、制御盤及び給液装置は、以下の[1]~[8]に示すように表現してもよい。同様に、以下の[1]~[8]に示すポンプ用制御盤保護装置は、不具合検出装置、制御盤、又は給液装置として表現してもよい。
【0092】
[1]ポンプを動作させるモータや制御盤を保護するために、少なくとも2相分の電流波形検出と、3相分の線間電圧波形検出を行い、マイコンにて解析することにより、電源側の不具合なのか、負荷側の不具合なのかを判断するポンプ用制御盤保護装置。このように、電源側不具合又は負荷側不具合を明確にするので、不具合検出後に原因調査の時間短縮を図ることができる。
【0093】
[2]上記[1]において、2相分のCT(current transformer:変流器)による負荷電流波形を測定する場合、各波形における瞬時電流は「U相+V相+W相=0[A]」を利用して測定していない相の電流波形を常時マイコンにて計算するポンプ用制御盤保護装置。このように、「U相+V相+W相=0A」という瞬時電流の関係を利用して、2相分のCTにて三相分の交流電流を測定することができる。
【0094】
[3]上記[1]又は[2]において、3相分の線間電圧波形検出にて電源電圧不平衡率を計算し、予め設定した電源電圧不平衡率不具合判定値よりも大きい場合に「電源側電圧不平衡不具合」として警報を発報したり、ポンプを動作させない様に強制的に停止し保護する、ポンプ用制御盤保護装置。このように、電源側電圧不平衡率不具合を検出することにより、原因調査の際に、電力会社や電源配線の不具合を疑うことができる。
【0095】
[4]上記[1]又は[2]において、3相分の線間電圧波形検出にて電源電圧不平衡率と、少なくとも2相分の電流波形検出にて3相分の電流波形における電流不平衡率を計算し、予め設定した電源電圧不平衡率不具合判定値より小さく、かつ、予め設定した電流不平衡率不具合判定値より大きい場合、「負荷側電流不平衡不具合」として警報を発報したり、ポンプを停止し保護する、ポンプ用制御盤保護装置。このように、負荷側不平衡率不具合を検出することにより、原因調査の際に、モータ、ケーブルの不具合を疑うことができる。
【0096】
[5]上記[1]又は[2]において、3相分の線間電圧波形検出にて、正弦波形が検出されない線間電圧から、R相、S相、T相の内どの相が電源側欠相を起こしているのかを導き、「電源側欠相不具合」として警報を発報したり、ポンプを停止し保護する、ポンプ用制御盤保護装置。このように、電源側電圧欠相の不具合を検出するので、ポンプ動作前であっても不具合を検出することができる。
【0097】
[6]上記[1]又は[2]において、少なくとも2相分の電流波形検出にて3相分の電流波形における負荷側電流を計算し、正弦波形が検出されない、又は、測定できる他相電流値との割合が予め設定した割合以下の場合、その相が欠相であると判断し、「負荷側欠相不具合」として警報を発報したり、ポンプを停止し保護する、ポンプ用制御盤保護装置。このように、負荷側電流欠相の不具合を検出するので、原因調査の際に、モータ、ケーブルの断線、結線の不具合を疑うことができる。
【0098】
[7]上記[1]又は[2]において、3相分の線間電圧波形検出にて相順を確認し、相順が逆転した場合、電源線が反相(逆相)結線であると判断し、「電源側反相(逆相)不具合」として警報を発報したり、ポンプを停止し保護する、ポンプ用制御盤保護装置。このように、電源側反相を検出するので、ポンプ動作前であっても不具合を検出することができる。
【0099】
[8]上記[3]、[5]、又は[7]において、ポンプ始動前の状態であっても、判断条件を満たした場合、警報を発報したり、ポンプを停止し保護する、ポンプ用制御盤保護装置。
【0100】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0101】
1・・・ポンプ装置、11・・・ポンプ、12・・・モータ、13・・・ケーブル、14・・・電源配線、20・・・制御盤、21・・・電力変換装置、22・・・制御部、23・・・電圧検出部、24R・・・R相電流検出回路、24T・・・T相電流検出回路、25・・・マイコン、25a・・・制御機能、25b・・・不具合検出機能、26・・・記憶部、27・・・通信部、28・・・入力部、29・・・表示部、29a・・・スピーカ。