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2023-106079介護保険実績データの集計に係る情報管理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106079
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】介護保険実績データの集計に係る情報管理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20230725BHJP
【FI】
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007210
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】599102435
【氏名又は名称】株式会社千早ティー・スリー
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 仁志
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】介護保険の実績に関する情報を正確に集計する情報管理システムを提供する。
【解決手段】情報管理システムはにおいて、集計サーバは、介護保険の被保険者毎に認定データと給付データとを突合した突合データを作成し、証記載保険者毎に突合データに基づき、提供月毎に、集計情報が集計された第1の集計データ、集計情報がサービス種類毎に集計された第2の集計データ、集計情報が明細毎に集計された第3の集計データ、集計情報が事業所単位でサービス種類毎に集計された第4の集計データ及び集計情報が事業所単位で明細毎に集計された第5の集計データを作成し、証記載保険者について作成された一連の集計データを、ネットワークを介して収集し、指定された分析条件に応じて、一連の集計データのうち少なくとも一部の集計データを抽出し、当該集計データを対象として集計情報を集計し、集計情報の集計結果に応じた情報を所定の出力先に出力する。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護保険の被保険者ごとに、当該被保険者の心身状態に係る認定データと、当該被保険者に介護サービスの提供結果に係る給付データと、を当該被保険者に割り当てられた被保険者番号に基づき突合することで突合データを作成する第1の作成手段と、
介護サービスの提供に係る証記載保険者ごとに、当該証記載保険者が管理対象とする一連の被保険者それぞれについて作成された前記突合データに基づき、
介護サービスの提供月ごとの当該突合データに含まれる情報のうち集計対象となる集計情報が集計された第1の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスのサービス種類ごとに集計された第2の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスの明細ごとに集計された第3の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる前記証記載保険者に属する事業所単位で前記サービス種類ごとに集計された第4の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、前記事業所単位で前記明細ごとに集計された第5の集計データと、
を作成する第2の作成手段と、
前記証記載保険者ごとに、当該証記載保険者について作成された前記第1の集計データ、前記第2の集計データ、前記第3の集計データ、前記第4の集計データ、及び前記第5の集計データを、ネットワークを介して、前記第1の集計データを第1のテーブルとし、前記第2の集計データ及び前記第3の集計データを第2のテーブルとし、前記第4の集計データ及び前記第5の集計データを第3のテーブルとして収集する収集手段と、
指定された分析条件に応じて、前記第1のテーブル、前記第2のテーブル、及び前記第3のテーブルのうち少なくとも一部のテーブルを抽出し、当該テーブルを対象として前記集計情報を集計する集計手段と、
前記集計情報の集計結果に応じた情報を所定の出力先に出力する出力制御手段と、
を備える、情報管理システム。
【請求項2】
前記第1の作成手段と、前記第2の作成手段と、を含む第1の端末装置と、
前記収集手段と、前記集計手段と、前記出力制御手段と、を含むサーバ装置と、
前記ネットワークを介して前記第1の集計データ、前記第2の集計データ、前記第3の集計データ、前記第4の集計データ、及び前記第5の集計データを前記サーバ装置に送信する第2の端末装置と、
を含む、請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記出力制御手段は、前記集計情報の集計結果に応じた情報を、前記ネットワークを介して第2の端末装置に送信する、
請求項2に記載の情報管理システム。
【請求項4】
介護保険の被保険者ごとに、当該被保険者の心身状態に係る認定データと、当該被保険者に介護サービスの提供結果に係る給付データと、を当該被保険者に割り当てられた被保険者番号に基づき突合することで突合データを作成する第1の作成手段と、
介護サービスの提供に係る証記載保険者ごとに、当該証記載保険者が管理対象とする一連の被保険者それぞれについて作成された前記突合データに基づき、
介護サービスの提供月ごとの当該突合データに含まれる情報のうち集計対象となる集計情報が集計された第1の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスのサービス種類ごとに集計された第2の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスの明細ごとに集計された第3の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる事業所単位で前記サービス種類ごとに集計された第4の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる事業所単位で前記明細ごとに集計された第5の集計データと、
を作成する第2の作成手段と、
を備え、
前記証記載保険者ごとに作成された前記第1の集計データ、前記第2の集計データ、前記第3の集計データ、前記第4の集計データ、及び前記第5の集計データから、前記第1の集計データが収集された第1のテーブルと、前記第2の集計データ及び前記第3の集計データが収集された第2のテーブルと、前記第4の集計データ及び前記第5の集計データが収集された第3のテーブルと、のうち指定された分析条件に応じて抽出されたテーブルを対象として前記集計情報が集計され、当該集計情報の集計結果に応じた情報が所定の出力先に出力される、
情報処理装置。
【請求項5】
証記載保険者ごとに、当該証記載保険者が管理対象とする一連の介護保険の被保険者それぞれについて、当該被保険者の心身状態に係る認定データと、当該被保険者に介護サービスの提供結果に係る給付データと、を当該被保険者に割り当てられた被保険者番号に基づき突合された突合データに基づき作成された、
介護サービスの提供月ごとの当該突合データに含まれる情報のうち集計対象となる集計情報が集計された第1の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスのサービス種類ごとに集計された第2の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスの明細ごとに集計された第3の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる事業所単位で前記サービス種類ごとに集計された第4の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる事業所単位で前記明細ごとに集計された第5の集計データと、
をネットワークを介して、前記第1の集計データを第1のテーブルとし、前記第2の集計データ及び前記第3の集計データを第2のテーブルとし、前記第4の集計データ及び前記第5の集計データを第3のテーブルとして収集する収集手段と、
指定された分析条件に応じて、前記第1のテーブル、前記第2のテーブル、及び前記第3のテーブルのうち少なくとも一部のテーブルを抽出し、当該テーブルを対象として前記集計情報を集計する集計手段と、
前記集計情報の集計結果に応じた情報を所定の出力先に出力する出力制御手段と、
を備える、情報処理装置。
【請求項6】
情報管理システムにより実行される情報処理方法であって、
介護保険の被保険者ごとに、当該被保険者の心身状態に係る認定データと、当該被保険者に介護サービスの提供結果に係る給付データと、を当該被保険者に割り当てられた被保険者番号に基づき突合することで突合データを作成する第1の作成ステップと、
介護サービスの提供に係る証記載保険者ごとに、当該証記載保険者が管理対象とする一連の被保険者それぞれについて作成された前記突合データに基づき、
介護サービスの提供月ごとの当該突合データに含まれる情報のうち集計対象となる集計情報が集計された第1の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスのサービス種類ごとに集計された第2の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスの明細ごとに集計された第3の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる前記証記載保険者に属する事業所単位で前記サービス種類ごとに集計された第4の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、前記事業所単位で前記明細ごとに集計された第5の集計データと、
を作成する第2の作成ステップと、
前記証記載保険者ごとに、当該証記載保険者について作成された前記第1の集計データ、前記第2の集計データ、前記第3の集計データ、前記第4の集計データ、及び前記第5の集計データを、ネットワークを介して、前記第1の集計データを第1のテーブルとし、前記第2の集計データ及び前記第3の集計データを第2のテーブルとし、前記第4の集計データ及び前記第5の集計データを第3のテーブルとして収集する収集ステップと、
指定された分析条件に応じて、前記第1のテーブル、前記第2のテーブル、及び前記第3のテーブルのうち少なくとも一部のテーブルを抽出し、当該テーブルを対象として前記集計情報を集計する集計ステップと、
前記集計情報の集計結果に応じた情報を所定の出力先に出力する出力制御ステップと
を含む、情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
介護保険の被保険者ごとに、当該被保険者の心身状態に係る認定データと、当該被保険者に介護サービスの提供結果に係る給付データと、を当該被保険者に割り当てられた被保険者番号に基づき突合することで突合データを作成する第1の作成ステップと、
介護サービスの提供に係る証記載保険者ごとに、当該証記載保険者が管理対象とする一連の被保険者それぞれについて作成された前記突合データに基づき、
介護サービスの提供月ごとの当該突合データに含まれる情報のうち集計対象となる集計情報が集計された第1の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスのサービス種類ごとに集計された第2の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスの明細ごとに集計された第3の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる事業所単位で前記サービス種類ごとに集計された第4の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる事業所単位で前記明細ごとに集計された第5の集計データと、
を作成する第2の作成ステップと、
を実行させ
前記証記載保険者ごとに作成された前記第1の集計データ、前記第2の集計データ、前記第3の集計データ、前記第4の集計データ、及び前記第5の集計データから、前記第1の集計データが収集された第1のテーブルと、前記第2の集計データ及び前記第3の集計データが収集された第2のテーブルと、前記第4の集計データ及び前記第5の集計データが収集された第3のテーブルと、のうち指定された分析条件に応じて抽出されたテーブルを対象として前記集計情報が集計され、当該集計情報の集計結果に応じた情報が所定の出力先に出力される、
プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
証記載保険者ごとに、当該証記載保険者が管理対象とする一連の介護保険の被保険者それぞれについて、当該被保険者の心身状態に係る認定データと、当該被保険者に介護サービスの提供結果に係る給付データと、を当該被保険者に割り当てられた被保険者番号に基づき突合された突合データに基づき作成された、
介護サービスの提供月ごとの当該突合データに含まれる情報のうち集計対象となる集計情報が集計された第1の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスのサービス種類ごとに集計された第2の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスの明細ごとに集計された第3の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる事業所単位で前記サービス種類ごとに集計された第4の集計データと、
前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる事業所単位で前記明細ごとに集計された第5の集計データと、
をネットワークを介して、前記第1の集計データを第1のテーブルとし、前記第2の集計データ及び前記第3の集計データを第2のテーブルとし、前記第4の集計データ及び前記第5の集計データを第3のテーブルとして収集する収集ステップと、
指定された分析条件に応じて、前記第1のテーブル、前記第2のテーブル、及び前記第3のテーブルのうち少なくとも一部のテーブルを抽出し、当該テーブルを対象として前記集計情報を集計する集計ステップと、
前記集計情報の集計結果に応じた情報を所定の出力先に出力する出力制御ステップと
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、介護保険実績データの集計に係る情報管理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
介護保険の実績に関するデータは、被保険者の心身状態や認定結果に関する情報を含む認定データと、被保険者に実際に提供された介護サービスに関する情報を含む給付データとの2種類のデータにより管理されている。これらのデータについては、それぞれの発生単位での集計結果が一般に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-323520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、被保険者の心身状態や認定結果に関する情報と、被保険者に実際に提供された介護サービスに関する情報とは、それぞれが別々のデータ(すなわち、認定データ及び給付データ)として管理されている。このような状況下では、例えば、認定データと給付データとを個別に集計するのみでは、被保険者の心身状態に応じて適切な介護サービスが提供されているか否かの評価等のような、複合的な心身状態に応じた介護サービスの評価は困難である。そのため、認定データと給付データとを組み合わせて情報の集計を可能とする仕組みの実現が求められている。例えば、特許文献1には、認定データと給付データとを突合することで心身状態に適した介護サービスが提供できているかを分析可能とする技術の一例が開示されている。
【0005】
一方で、状況によっては介護保険の実績の管理が複雑になり、認定データと給付データとを単純に組み合わせて利用するのみでは、意図する情報を正確に集計することが困難となる場合がある。
【0006】
本発明は上記の問題を鑑み、介護保険の実績に関する情報を条件に応じてより正確に集計可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報管理システムは、介護保険の被保険者ごとに、当該被保険者の心身状態に係る認定データと、当該被保険者に介護サービスの提供結果に係る給付データと、を当該被保険者に割り当てられた被保険者番号に基づき突合することで突合データを作成する第1の作成手段と、介護サービスの提供に係る証記載保険者ごとに、当該証記載保険者が管理対象とする一連の被保険者それぞれについて作成された前記突合データに基づき、介護サービスの提供月ごとの当該突合データに含まれる情報のうち集計対象となる集計情報が集計された第1の集計データと、前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスのサービス種類ごとに集計された第2の集計データと、前記提供月ごとの前記集計情報が、提供された介護サービスの明細ごとに集計された第3の集計データと、前記提供月ごとの前記集計情報が、介護サービスの提供元となる前記証記載保険者に属する事業所単位で前記サービス種類ごとに集計された第4の集計データと、前記提供月ごとの前記集計情報が、前記事業所単位で前記明細ごとに集計された第5の集計データと、を作成する第2の作成手段と、前記証記載保険者ごとに、当該証記載保険者について作成された前記第1の集計データ、前記第2の集計データ、前記第3の集計データ、前記第4の集計データ、及び前記第5の集計データを、ネットワークを介して、前記第1の集計データを第1のテーブルとし、前記第2の集計データ及び前記第3の集計データを第2のテーブルとし、前記第4の集計データ及び前記第5の集計データを第3のテーブルとして収集する収集手段と、指定された分析条件に応じて、前記第1のテーブル、前記第2のテーブル、及び前記第3のテーブルのうち少なくとも一部のテーブルを抽出し、当該テーブルを対象として前記集計情報を集計する集計手段と、前記集計情報の集計結果に応じた情報を所定の出力先に出力する出力制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、介護保険の実績に関する情報を条件に応じてより正確に集計することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報管理システムのシステム構成の一例を示した図である。
図2】集計管理サーバのハードウェア構成の一例を示した図である。
図3】クライアントのハードウェア構成の一例を示した図である。
図4】集計データ作成装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図5】情報管理システムが取り扱うデータの一例を示した図である。
図6】各種申請と認定結果との関係の一例を示した図である。
図7】審査の請求状況と給付データとの関係の一例を示した図である。
図8】突合データの作成に係る処理の一例について示した図である。
図9】第1の集計データの作成に係る処理の一例について示した図である。
図10】第2の集計データの作成に係る処理の一例について示した図である。
図11】第3の集計データの作成に係る処理の一例について示した図である。
図12】第4の集計データの作成に係る処理の一例について示した図である。
図13】第5の集計データの作成に係る処理の一例について示した図である。
図14】集計情報を管理するためのテーブルの構造の一例を示した図である。
図15】集計データの登録に係る処理の一例を示したシーケンス図である。
図16】アップロードする集計データの選択に係るUIの一例を示した図である。
図17】データベースへの集計データの登録結果の提示に係るUIの一例を示した図である。
図18】証記載保険者データのデータ構造の一例を示した図である。
図19】集計データの検索及び集計に係る処理の一例を示したシーケンス図である。
図20】分析対象を特定するための情報の指定に係るUIの一例を示した図である。
図21】分析対象に関する情報の提示に係るUIの一例を示した図である。
図22】比較対象を特定するための情報の指定に係るUIの一例を示した図である。
図23】比較対象に関する情報の提示に係るUIの一例を示した図である。
図24】集計単位の指定に係るUIの一例を示した図である。
図25】集権項目の指定に係るUIの一例を示した図である。
図26】集計データの集計結果に応じた情報の提示に係るUIの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<介護保険の実績の管理に関して>
まず、本開示に係る技術の特徴をよりわかりやすくするために、介護保険の実績の管理に関して、各種情報がどのようなデータで管理されているかを説明したうえで、情報の集計や分析を行う場合における技術的課題について概要を説明する。
なお、本開示においては、介護サービスの提供を受ける主体を被保険者とも称し、被保険者に対して介護サービスを提供する主体を保険者とも称する。保険者は、通常は市町村であり、被保険者が所有する保険証には、被保険者の住所地である市町村の番号が証記載保険者番号として記載されている。一方で、介護保険の運営を行う保険者と、保険証に番号が記載される保険者(すなわち、証記載保険者)とが異なる場合がある。具体的な一例として、保険者が政令指定都市の場合には、個々の行政区の番号が証記載保険者番号として記載される。また、他の一例として、複数の自治体が連合を組んで介護保険の運営を行っている広域連合が保険者となる場合には、被保険者の住所地の市町村の番号が証記載保険者番号として記載される。そこで、以降の説明では、被保険者が所有する保険証に証記載保険者番号が記載される保険者を示す場合には、当該保険者を「証記載保険者」と称するものとする。
【0012】
介護保険の実績に関するデータは、被保険者の心身状態や認定結果に関する情報を含む認定データと、被保険者に実際に提供された介護サービスに関する情報を含む給付データとの2種類のデータにより管理されている。これらのデータについては、それぞれの発生単位での集計結果が一般に開示されている。具体的な一例として、日本国では、介護保険事業報告が、全国集計、都道府県別と保険者別の集計結果として、毎月の介護保険事業における認定者数や受給者数とサービスごとの給付状況とが公開されている。
【0013】
ここで、認定データと給付データとのそれぞれの特性について、従来の仕組みにおける取り扱いに着目してより具体的に説明する。
認定データは、申請者の心身状態の状況等により、認定有効期間が異なり(例えば、3カ月、6カ月、1年、2年等)、被保険者の申請に応じて実施される要介護認定調査や要介護認定審査の結果として作成される。
給付データは、介護サービスを提供した事業所ごとに被保険者ごとのサービス内容に応じた請求データが毎月取りまとめられ、翌月に審査支払機関に送付され、審査支払機関が審査した結果(決定、査定、返戻)により、保険者ごとに取りまとめられることで保険者に提供される。つまり、従来の仕組みにおいては、給付データは、審査支払機関が審査した月(審査月)単位に作成され、実際に介護サービスを提供した月(提供月)単位で管理とはされているとは限らない。また、提供月の翌月に請求を行わずにさらに後の月で請求を行う所謂月遅れ請求が行われるような状況や、審査支払機関から返戻された請求が改めて過誤請求されるような状況下においても、審査月単位で給付データに取りまとめられる。
【0014】
上記のように、被保険者の心身状態や認定結果に関する情報と、被保険者に実際に提供された介護サービスに関する情報とは、それぞれが別々のデータとして管理されており、各情報の発生単位も異なる。このような状況下においては、各情報をそれぞれの単位で集計するような場合には統計的に考えれば問題ないが、各情報を組み合わせて集計する場合には、より正確な情報を得るために認定データと給付データとを提供月ごとに突合することが求められる場合がある。具体的な一例として、認知症であっても寝たきりであれば介護の手間はそれほど大きくならないが、自由に動ける認知症の場合は介護の手間が大きくなる傾向にある。この様に複合的な心身状態に応じた介護サービスの評価を行う場合には、認定データと給付データを突合する必要があり、より正確な情報を得るためには提供月で突合することが望ましい場合がある。
【0015】
保険者ごとの実績データは、心身状態や介護サービスの受給状況等の個人情報を含み、ネットワーク上で管理することが安全対策上容易ではなく、現状では、介護のサービス種類ごと等で集計した統計情報として公開されている。例えば、保険者ごとに認定データや給付データそれぞれが集計された結果を比較可能とする仕組み(地域包括ケア「見える化」システム)が国から提供されている。また、要介護認定の状況や給付の審査月ごとの実績については、全国や各保険者の集計状況を、国が介護保険事業状況報告として提供している。しかしながら、サービス種類ごとに集計した利用者数は、保険者単位で見た場合には、合計利用者数が、1人の被保険者が複数のサービスを利用した場合に延べ利用者数となる(すなわち、1人の被保険者が複数人として換算される)等の課題があった。
【0016】
介護サービスは、事業所により各被保険者に対してサービス種類ごとに提供される。被保険者は、その住所地の保険者に保険料を支払い、事業所も審査支払機関経由ではあるが、当該被保険者の保険者から支払いを受ける。しかしながら、事業所が保険者ごとに存在する訳ではなく、1つの事業所が複数の保険者それぞれの被保険者に対して介護サービスを提供するような状況も想定され得る。つまり、保険者ごとにサービスを集計するのみでは、当該保険者内の事業所のみにより介護サービスが提供できているのかを特定することが困難な場合がある。このような背景から、サービス種類単位の比較のみに限らず、事業所単位での比較も可能とする仕組みの実現も求められている。
【0017】
以上のような状況を鑑み、本開示では、介護保険の実績に関する各種の情報を、指定された条件に応じてより正確に集計可能とするための技術を提案する。
【0018】
<システム構成>
図1を参照して、本開示の一実施形態に係る情報管理システムのシステム構成の一例について説明する。本実施形態に係る情報管理システム1は、集計管理サーバ100と、複数のクライアント200と、複数の集計データ作成装置250とを含む。なお、図1に示す例では、複数のクライアント200として、クライアント200a~200cが設けられている。また、複数の集計データ作成装置250として、集計データ作成装置250a~250cが設けられており、クライアント200a~200cにそれぞれ対応付けられている。
【0019】
集計管理サーバ100と、複数のクライアント200それぞれとは、ネットワークN1を介して互いに情報を送受信可能に接続されている。
なお、ネットワークN1の種別は特に限定はされない。具体的な一例として、ネットワークN1は、インターネット、専用線、LAN(Local Area Network)、または、WAN(Wide Area Network)等により構成されていてもよい。また、ネットワークN1は、有線のネットワークにより構成されていてもよいし、5G、LTE(Long Term Evolution)、及びWi-Fi(登録商標)等の通信規格に基づくネットワークのような無線のネットワークにより構成されていてもよい。また、ネットワークN1は、複数のネットワークを含んでもよく、一部のネットワークとして、他のネットワークと異なる種別のネットワークが適用されてもよい。また、上述した各種情報処理装置間の通信が論理的に確立されていればよく、物理的には各種情報処理装置間の通信が他の通信装置等により中継されてもよい。
【0020】
また、複数の集計データ作成装置250のそれぞれは、ネットワークN1に接続されていないことが望ましい。これは、集計データ作成装置250が、介護保険の実績に関するデータ(例えば、認定データや給付データ等)のように、被保険者の個人情報を取り扱うためである。集計データ作成装置250に保持されたデータは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬媒体を利用することで、クライアント200に入力される。
【0021】
集計データ作成装置250は、少なくとも認定データと給付データとを含む介護保険の実績に関する一連のデータから集計対象となる情報(以下、集計情報とも称する)を抽出し、当該情報を含むデータ(以下、集計データとも称する)を作成する。この際に、集計データ作成装置250は、共通の被保険者について作成された認定データと給付データとを、当該被保険者に関する情報(例えば、被保険者番号)に基づき突合することで突合データを作成し、当該突合データに基づき集計データの作成を行ってもよい。なお、集計データについては作成方法とあわせて詳細を別途後述する。
【0022】
集計管理サーバ100は、集計データ作成装置250により作成された集計データを収集して管理し、指定された条件に基づき収集した集計データからの集計情報の抽出や、集計情報の抽出結果に基づく各種分析に係る処理を実行する。なお、集計管理サーバ100への集計データの送信にはクライアント200が利用される。
【0023】
クライアント200は、ネットワークN1を介して集計管理サーバ100にアクセスするためのインターフェースの役割を担う。具体的な一例として、クライアント200は、集計データ作成装置250により作成された集計データを、ネットワークN1を介して集計管理サーバ100に送信する。また、クライアント200は、ユーザから集計情報の集計や分析に係る条件の指定を受けて、当該条件に基づく集計情報の集計や分析を集計管理サーバ100に依頼してもよい。この場合には、クライアント200は、当該集計や分析の結果に応じた情報を当該集計管理サーバ100から取得して、所定の出力装置を介して当該情報をユーザに提示してもよい。
【0024】
なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、必ずしも本実施形態に係る情報管理システム1のシステム構成を限定するものではない。具体的な一例として、集計管理サーバ100に相当する構成要素が、複数の装置が協働することで実現されてもよい。具体的な一例として、集計管理サーバ100に相当する構成要素が、ネットワークN1を介したアクセスの受け付けに係るWebサーバと、各種データの管理に係るDBサーバとに分けて実現されてもよい。また、他の一例として、集計管理サーバ100に相当する構成要素が、所謂クラウドサービスとして実現されてもよい。この場合には、当該クラウドサービスが、複数のサーバ装置が協働することにより実現されてもよい。
【0025】
<ハードウェア構成>
本実施形態に係る情報管理システムを構成する集計管理サーバ100、クライアント200、及び集計データ作成装置250それぞれのハードウェア構成の一例について説明する。
【0026】
(集計管理サーバ100)
図2を参照して、集計管理サーバ100のハードウェア構成の一例について説明する。集計管理サーバ100は、CPU(Central Processing Unit)911と、主記憶装置912と、補助記憶装置913と、ネットワークI/F(Interface)914とを含む。CPU911と、主記憶装置912と、補助記憶装置913と、ネットワークI/F914とは、バスを介して相互に情報を送受信可能に接続されている。
【0027】
CPU911は、集計管理サーバ100の各種動作を制御する中央演算装置である。例えば、CPU911は、集計管理サーバ100全体の動作を制御してもよい。主記憶装置912は、CPU911の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。主記憶装置912は、例えば、RAM(Random Access Memory)等により実現され得る。補助記憶装置913は、CPU911で実行可能な制御プログラムやブートプログラムなどを記憶する。補助記憶装置913は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)に代表される不揮発性メモリ等や、これらの組み合わせにより実現され得る。
【0028】
ネットワークI/F914は、外部の装置(例えば、クライアント200)とのネットワークを介した通信に利用される。なお、ネットワークI/F914として適用されるデバイスは、通信経路の種別や適用される通信方式に応じて適宜変更されてもよい。
【0029】
集計管理サーバ100のプログラムは、例えば、CD-ROM等の記録媒体によって集計管理サーバ100に提供されるか、またはネットワーク等を介してダウンロードされてもよい。記録媒体によって集計管理サーバ100のプログラムが提供される場合には、記録媒体が所定のドライブ装置にセットされることで、当該記録媒体に記録されたプログラムが補助記憶装置913にインストールされる。
また、別途後述する集計管理サーバ100の各種機能は、CPU911が補助記憶装置913に記憶されたアプリケーション等のプログラムを主記憶装置912に展開して実行することで実現され得る。
【0030】
なお、図2に示す構成はあくまで一例であり、必ずしも集計管理サーバ100のハードウェア構成を限定するものではない。具体的な一例として、集計管理サーバ100は、各種情報の入力を受け付けるための入力装置や、各種情報を出力するための出力装置等を備えてもよい。また、他の一例として、集計管理サーバ100が実現する機能に応じた構成が適宜追加されてもよい。
【0031】
(クライアント200)
図3を参照して、クライアント200のハードウェア構成の一例について説明する。クライアント200は、CPU921と、主記憶装置922と、補助記憶装置923と、ネットワークI/F924と、入力I/F925とを含む。CPU921と、主記憶装置922と、補助記憶装置923と、ネットワークI/F924と、入力I/F925とは、バスを介して相互に情報を送受信可能に接続されている。
【0032】
CPU921は、クライアント200の各種動作を制御する中央演算装置である。例えば、CPU921は、クライアント200全体の動作を制御してもよい。主記憶装置922は、CPU921の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。主記憶装置922は、例えば、RAM等により実現され得る。補助記憶装置923は、CPU921で実行可能な制御プログラムやブートプログラムなどを記憶する。補助記憶装置923は、例えば、ROM、HDD、SSDに代表される不揮発性メモリ等や、これらの組み合わせにより実現され得る。
【0033】
ネットワークI/F924は、外部の装置(例えば、集計管理サーバ100)とのネットワークを介した通信に利用される。なお、ネットワークI/F924として適用されるデバイスは、通信経路の種別や適用される通信方式に応じて適宜変更されてもよい。
【0034】
入力I/F925は、各種データの入力を受け付けるために利用される。本実施形態に係る情報管理システム1では、入力I/F925は、クライアント200に対して、後述する集計データ作成装置250により作成された各種集計情報を含むデータを入力するために利用される。入力I/F925は、例えば、USBに代表される各種規格に基づき外部装置を接続するための接続インターフェースとして実現され得る。これにより、例えば、USBメモリ等の可搬媒体に各種データを記憶させたうえで、当該可搬媒体を入力I/F925に接続することで、当該可搬媒体に記憶されたデータをクライアント200に入力することが可能となる。また、他の一例として、入力I/F925に対して、DVD(Digital Versatile Disc)やBlu-ray(登録商標) Disc等のようなメディアを読み取り可能なドライブが接続されてもよい。これにより、所望のデータを記憶させたメディアを上記ドライブに読み取らせることで、当該データをクライアント200に入力することが可能となる。
【0035】
なお、図3に示す構成はあくまで一例であり、必ずしもクライアント200のハードウェア構成を限定するものではない。具体的な一例として、クライアント200は、各種情報の入力を受け付けるための入力装置や、各種情報を出力するための出力装置等を備えてもよい。また、他の一例として、クライアント200が実現する機能に応じた構成が適宜追加されてもよい。
【0036】
(集計データ作成装置250)
図4を参照して、集計データ作成装置250のハードウェア構成の一例について説明する。集計データ作成装置250は、CPU931と、主記憶装置932と、補助記憶装置933と、出力I/F934とを含む。CPU931と、主記憶装置932と、補助記憶装置933と、出力I/F934とは、バスを介して相互に情報を送受信可能に接続されている。
【0037】
CPU931は、集計データ作成装置250の各種動作を制御する中央演算装置である。例えば、CPU931は、集計データ作成装置250全体の動作を制御してもよい。主記憶装置932は、CPU931の主記憶メモリであり、ワークエリア又は各種プログラムを展開するための一時記憶領域として用いられる。主記憶装置932は、例えば、RAM等により実現され得る。補助記憶装置933は、CPU931で実行可能な制御プログラムやブートプログラムなどを記憶する。補助記憶装置933は、例えば、ROM、HDD、SSDに代表される不揮発性メモリ等や、これらの組み合わせにより実現され得る。
【0038】
出力I/F934は、集計データ作成装置250が保持する各種データを外部に出力するために利用される。本実施形態に係る情報管理システム1では、出力I/F934は、集計データ作成装置250により作成されたデータをクライアント200に入力するために、所望の可搬媒体に出力するために利用される。出力I/F934は、例えば、USBに代表される各種規格に基づき外部装置を接続するための接続インターフェースとして実現され得る。これにより、例えば、集計データ作成装置250に保持されたデータ(例えば、集計データ作成装置250により作成されて補助記憶装置933に記憶されたデータ)をクライアント200に入力するために、当該データをUSBメモリ等の可搬媒体に記憶させることが可能となる。また、他の一例として、出力I/F934は、DVD-R(DVD Recordable)やBD-R(Blu-ray Disc Recordable)等のようなメディアに対してデータを記録することが可能なドライブが接続されてもよい。これにより、集計データ作成装置250に保持されたデータをクライアント200に入力するために、当該データをメディアに記録することが可能となる。
【0039】
なお、図4に示す構成はあくまで一例であり、必ずしも集計データ作成装置250のハードウェア構成を限定するものではない。具体的な一例として、集計データ作成装置250は、各種情報の入力を受け付けるための入力装置や、各種情報を出力するための出力装置等を備えてもよい。また、他の一例として、集計データ作成装置250が実現する機能に応じた構成が適宜追加されてもよい。
【0040】
<取り扱いデータ>
本実施形態に係る情報管理システムが介護保険の実績に関する各種情報の収集の対象として取り扱うデータの一例として、前述した認定データ及び給付データのそれぞれと、突合データと、集計データとについて説明する。突合データは、認定データと給付データとを突合したデータである。また、集計データは、集計対象となる情報を含むデータに相当する。例えば、図5は、本実施形態に係る情報管理システムが取り扱うデータの一例について説明するための図である。
【0041】
(認定データ)
まず、認定データについて説明する。例えば、図5(1)は、認定データのデータ構造の一例を示している。認定データは、被保険者の申請に応じて、被保険者番号、申請情報、認定情報、及び心身状態情報等の情報を含むように作成され、これらの情報に対して認定有効期間として示すように有効期間が設定される。被保険者番号は、被保険者ごとに個別に割り当てられる、各被保険者を識別するための識別番号である。申請情報は、被保険者の申請内容に関する情報である。認定情報は、被保険者からの申請に基づき認定された情報である。心身状態情報は、被保険者からの申請に応じて認定された、当該被保険者の心身状態に関する情報である。また、認定有効期間は、認定が有効となる期間に関する情報であり、被保険者ごとに設定される。すなわち、認定データにより示された認定については、当該認定データに設定された認定有効期間において有効となる。
【0042】
(給付データ)
次いで、給付データについて説明する。給付データは、各事業所からの請求に基づき作成される、介護サービスを行った被保険者の保険証に記載された証記載保険者ごとに審査月単位でまとめられた実績データであり、被保年者ごとのサービス種類に従って請求される。請求のためのデータ(以下、請求データとも称する)は、種類データと明細データとの2種類がある。種類データについては、2桁のサービス種類番号で示される。また、明細データについては、2桁のサービス種類番号に加えて、サービスの明細を示す4桁のコードが示されており、この6桁のコードごとに利用料となるサービス単位数が定められている。例えば、サービス種類が訪問介護サービスの請求を行う場合には、種類データとして、被保険者単位で提供月における訪問介護サービスの合計請求額が示される。また、明細データには、提供月における訪問介護サービスに関して、当該被保険者に提供された明細コードごとの単位数と、回数によるサービス単位数とが示される。訪問介護サービスの明細コードは、身体介護と生活援助の違い、提供時間数、訪問人数、訪問時間帯等の組合せごとに単位数が定められており、明細コードの種類ごとに提供月に訪問が行われた回数に応じてサービス単位数が決まることになる。
【0043】
ここで、種類データと明細データとのそれぞれのデータ構造について一例を説明する。
例えば、図5(2a)は、種類データのデータ構造の一例を示している。種類データは、提供月、事業所番号、被保険者番号、種類番号、合計サービス単位数、及び審査月等の情報を含むように作成される。提供月は、対象となる介護サービスの提供が行われた月を示す情報である。これに対して、審査月は、審査が行われた月を示す情報である。事業所番号は、介護サービスの提供元となる事業所を識別するための識別番号である。被保険者番号は、各被保険者を識別するための識別番号である。種類番号は、上述した2桁のサービス種類番号に相当する。合計サービス単位数は、種類番号で示される介護サービスの提供に関するサービス単位数の合計を示す情報である。
このように、種類データには、提供月とサービス種類との組み合わせごとに、請求に係る情報がいつ審査されたかが示されている。また、種類データについては、提供月、事業所番号、被保険者番号、及び種類番号の組み合わせごとに1件のデータが作成される。
【0044】
また、図5(2b)は、明細データのデータ構造の一例を示している。明細データは、提供月、事業所番号、被保険者番号、種類番号、明細コード、日数・回数、サービス単位数、及び審査月等の情報を含むように作成される。提供月、事業所番号、被保険者番号、種類番号、及び審査月については、種類データと同様である。明細コードは、上述したサービスの明細を示す4桁のコードに相当する。日数・回数は、明細コードで示される明細ごとのサービスが提供された日数や回数に関する情報である。サービス単位数は、明細コードで示される明細ごとのサービスの提供に関するサービス単位数を示す情報である。
このように、明細データには、提供月と明細との組み合わせごとに、請求に係る情報がいつ審査されたかが示されている。明細データについては、提供月、事業所番号、被保険者番号、及び種類番号の組み合わせごとに複数件のデータが作成される場合がある。なお、この場合には、同一の明細コードについて複数のデータは作成されないが、互いに異なる明細コードそれぞれについてデータが作成される可能性がある。
【0045】
(突合データ)
次いで、突合データについて説明する。例えば、図5(3a)及び図5(3b)は、突合データのデータ構造の一例を示している。突合データは、認定データと給付データとを提供月ごとに突合したデータであり、提供月、被保険者番号、認定データの情報、及び給付データの情報を含むように作成される。提供月は、対象となる介護サービスの提供が行われた月を示す情報である。被保険者番号は、各被保険者を識別するための識別番号である。認定データの情報は、前述した認定データに含まれる情報を模式的に示している。同様に、給付データの情報は、前述した給付データに含まれる情報を模式的に示している。なお、提供月ごとに認定データと給付データとを突合する際には、認定データについては、認定有効期間内の一連の月それぞれにおいて同じ認定状況であったものとする。また、給付データについては、審査月ごとの月遅れ請求や過誤請求を提供月ごとに整理し直したうえで認定データとの突合がなされる。
また、給付データとして図5(2a)及び図5(2b)として示すように種類データと明細データとの2種類があるため、突合データも同様に、図5(3a)及び図5(3b)として示す2種類のデータが存在する。
なお、所望の被保険者番号を対象とした提供月ごとのデータに着目した場合には、認定データについては1つとなるが、給付データについては複数存在する場合がある。つまり、給付データの数だけ、同じ認定データの情報を含む突合データが作成されることとなる。
また、後述する集計データの作成に際し、給付データを集計する単位ごとに異なるファイルとして突合データが作成される。
【0046】
(集計データ)
次いで、集計データについて概要を説明する。集計データは、突合データから集計対象となる情報を抽出して集計したデータである。なお、集計データの作成については、集計の単位を、証記載保険者、サービス種類、及び事業所の3段階に分けて集計する。また、サービス種類単位と事業所単位との集計については、種類データを基準とした種類集計と、明細データを基準とした明細集計との2種類が行われる。そのため、集計データとしては以下に示す5種類のデータが作成される。
(1)証記載保険者単位の集計データ
(2)証記載保険者及びサービス種類の組み合わせ単位の種類集計データ
(3)証記載保険者及びサービス種類の組み合わせ単位の明細集計データ
(4)証記載保険者、サービス種類、及び事業所の組み合わせ単位の種類集計データ
(5)証記載保険者、サービス種類、及び事業所の組み合わせ単位の明細集計データ
【0047】
サービス種類単位の集計を行う場合には、サービス種類合計の比較を行うこととなるため、種類データを基準とした集計を行うことが望ましい。これに対して、サービス種類ごとに明細単位の集計を行う場合には、明細データを基準とした集計を行うことが望ましい。
例えば、訪問介護サービスについて集計を行う場合には、明細集計データでは、身体介護と生活援助の違いによる集計を行うことができる。具体的には、身体介護だけのサービス受給者数とその合計の回数とサービス単位数、生活援助だけのサービス受給者数とその合計の回数とサービス単位数、そして身体介護と生活援助の複合サービスの受給者数とその合計の回数とサービス単位数を集計することが可能である。一方で、1人の被保険者が身体介護と生活援助のサービスをその組み合わせを変えて複数回受給していた場合には、合計の受給者数は延べ数となり、種類集計データの受給者数と異なる値になる場合がある。種類データと明細データとは別々のデータであるため、集計データについても2種類のデータとなる。
【0048】
証記載保険者単位と、証記載保険者及びサービス種類の組み合わせ単位と、証記載保険者、サービス種類、及び事業所の組み合わせ単位とのそれぞれの集計についても同様である。すなわち、サービス種類単位で集計した受給者数は、証記載保険者単位で合計すると延べ受給者数となり、事業所単位で集計した受給者数も合計すると延べ受給者数となることから、実際の受給者数を正確に示すためには、比較する単位で集計することが望ましく、この場合にはそれぞれについて個別に集計データが必要となる。
【0049】
上述した(1)~(5)の集計データは、いずれも元は被保険者ごとの情報を含むデータから抽出した集計情報を集計することで作成されたデータであるため、各被保険者の個人情報が含まれていない(すなわち、除外された)統計情報となる。そのため、当該集計データについては、例えば、ネットワークを介してデータの送受信が行われるデータベースで管理するような状況を想定したとしても、被保険者の個人情報が漏洩するリスクを抑制できるため安全対策上において扱いやすいデータとも言える。また、認定データや給付データの個々の集計のみに限らず、例えば、認定データに含まれる心身状態の情報から、自由に動くことが可能な認知症の被保険者を対象とした介護サービスの提供に係る状況等のような複合的な集計情報の比較が可能となる。このように、上記に例示した(1)~(5)の集計データが作成されることで、証記載保険者、サービス種類に着目した種類単位及び明細単位、並びに事業所に着目した種類単位及び明細単位での各種集計情報の比較も可能となる。
【0050】
<突合データの作成>
認定データ及び給付データの特性について説明したうえで、突合データの作成に係る処理について具体的に説明する。
【0051】
(月ごとの認定データ)
図6を参照して、月ごとの認定データの取り扱いについて説明する。証記載保険者ごとの認定データは、被保険者が介護保険の申請をする度に作成され、認定有効期間内(月単位で複数月が設定される)に次の申請がなされることで更新される。申請情報には、申請日と申請種別(新規申請、更新申請、区分変更申請)とのそれぞれを示す情報が含まれる。新規申請は、初めて申請をする場合や認定有効期間が終わって新たな申請をする場合の申請である。更新申請は、認定有効期間が終わる前に当該期間を延長する場合の申請である。区分変更申請は、認定有効期間内に心身状態が悪化した場合等に当該認定有効期間を改めて、新たな認定と認定有効期間を受けるための申請である。認定有効期間については、被保険者の心身状態が安定してきた等の条件を満たす際の更新申請の場合において、長い期間にすることが認められている。
【0052】
例えば、図6は、各種申請と認定結果との関係の一例を示している。具体的には、まず新規申請α1が行われることで、認定有効期間内の月ごとの認定データには当該新規申請α1の認定結果が設定される。次いで、更新申請α2が行われると、その後の認定有効期間内の月ごとの認定データには当該更新申請α2の認定結果が設定される。同様に、更新申請α3が行われると、その後の認定有効期間内の月ごとの認定データには当該更新申請α3の認定結果が設定される。
【0053】
また、図6に示す例では、更新申請α3の有効期間内に区分変更申請α4が行われている。この場合には、区分変更申請α4が行われた後の月ごとの認定データには当該区分変更申請α4の認定結果が設定される。また、図6に示す例では、区分変更申請α4が行われた後に更新申請α5が行われている。この場合には、更新申請α5が行われ後の認定有効期間内の月ごとの認定データには当該更新申請α5の認定結果が設定される。
【0054】
(提供月ごとの給付データ)
図7を参照して、提供月ごとの給付データの取り扱いについて説明する。給付データは、種類データと明細データがあるが、いずれも事業所ごとに提供月ごとの介護診療報酬の請求がなされ、請求した翌月の審査月にデータは取りまとめられる。また、事業所によっては、翌月には請求できずに月遅れ請求を行う場合もあり、請求をやり直す過誤請求が後から発生する場合もある。
【0055】
例えば、図7は、被保険者が複数の介護サービスを受給した場合における、各介護サービスの提供に対する審査の請求状況の一例と、この場合における提供月ごとの給付データの一例とについて示している。図7に示す例では、被保険者は、サービスA、B、及びCとして示す3種類のサービスを、事業所X、Y、及びZとして示す3つの事業所から受給している。
具体的には、事業所Xは、被保険者に対してサービスA及びBの提供を行っており、これらのサービスの提供に対する審査の申請を提供月の翌月に行っている。また、事業所Yは、被保険者に対してサービスCの提供を行っており、このサービスの提供に対する審査の申請を提供月の翌々月に行っている(すなわち、月遅れ請求を行っている)。また、事業所Zは、被保険者に対してサービスCの提供を行っており、このサービスの提供に対する審査の申請を提供月の翌月に行っているが、何らかの瑕疵により、提供月の翌々月に審査の申請をやり直している(すなわち、過誤請求を行っている)。
【0056】
以上の様に、被保険者の住所地の保険者に立地している事業所か、他保険者に立地している事業所かの如何に関わらず、被保険者が受けた介護サービスについては、被保険者の住所地の保険者に対して請求がなされる。しかし、事業所によって、請求がずれることもあり、審査請求機関に返戻され、過誤請求が発生することもある。それらの過誤修正済の一連の給付データを、証記載保険者について提供月ごとに整理したデータが、提供月ごとの給付データとなる。
【0057】
(突合データの作成)
図8を参照して、突合データの作成に係る処理について説明する。前項までに説明したように、証記載保険者単位の月ごとの認定データと提供月ごとの給付データが作成された後に、被保険者ごとにこれらのデータが同じ月で突合されることで突合データが生成される。また、給付データは、1つの種類データと複数の明細データで構成される。そのため、突合データは、種類データと明細データとの組み合わせごとに作成される。なお、突合データの作成については、例えば、集計データ作成装置250により行われる。
【0058】
例えば、図8には、図7に示す例において説明した4つの給付データを突合の対象とした場合の一例について示している。なお、図8に示す例では、提供月が、図6に示す例における新規申請α1の期間内の月であるものとする。
具体的な一例としては、事業所XによるサービスAの提供については、明細としてA1、A2が含まれている。そのため、事業所XによるサービスAの提供に関する1つの種類データに対して、明細A1、A2それぞれに対応する2つの明細データが存在する。すなわち、事業所XによるサービスAの提供に関して、2つの突合データが生成されることとなる。
また、事業所XによるサービスBの提供については、明細としてB1が含まれている。そのため、事業所XによるサービスBの提供に関する1つの種類データに対して、明細B1に対応する1つの明細データが存在する。すなわち、事業所XによるサービスBの提供に関して、1つの突合データが生成されることとなる。
また、事業所YによるサービスCの提供については、明細としてC1が含まれている。そのため、事業所YによるサービスCの提供に関する1つの種類データに対して、明細C1に対応する1つの明細データが存在する。すなわち、事業所YによるサービスCの提供に関して、1つの突合データが生成されることとなる。
また、事業所ZによるサービスCの提供については、明細としてC1、C2が含まれている。そのため、事業所ZによるサービスCの提供に関する1つの種類データに対して、明細C1、C2それぞれに対応する2つの明細データが存在する。すなわち、事業所ZによるサービスCの提供に関して、2つの突合データが生成されることとなる。
【0059】
以上のようにして関連する一連の給付データ(種類データ及び明細データ)に対して、対処となる被保険者の該当する提供月の認定データが突合される。なお、認定データが作成されていたとしても、介護サービスの提供が行われていない月については、給付データが作成されないため、突合データが作成されない場合がある。一方で、介護サービスの提供が行われている月については、制度の特性上、認定データと給付データとの双方が作成されているため、これらのデータを突合した突合データが作成されることとなる。
【0060】
<集計データの作成>
集計データの作成に係る処理について具体的に説明する。前述したように、集計データは、集計の単位を、証記載保険者、サービス種類、及び事業所の3段階に分けて集計し、かつサービス種類単位と事業所単位との集計については種類集計と明細集計との2種類が行われるため、(1)~(5)として前述した5種類のデータが作成される。そこで、以降では、この5種類の集計データそれぞれの作成に係る処理についてより詳細に説明する。なお、各種集計データの作成については、例えば、集計データ作成装置250により行われる。
【0061】
(1)証記載保険者単位の集計データ
図9を参照して、証記載保険者単位の集計データの作成に係る処理について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、証記載保険者単位の集計データを「第1の集計データ」とも称する。
【0062】
第1の集計データは、種類データと認定データとを突合した突合データに含まれる集計情報を、証記載保険者、被保険者、及び提供月の組み合わせ単位で集計することで作成される。
例えば、一人の被保険者が、サービスAとサービスBとの2つのサービスを受給していた場合には、サービス単位で集計すると受給者数がそれぞれ1名となり、全体の受給者数が延べ数である2名として計算される。これを避けるために、種類データの突合データと明細データとを突合した突合データから集計情報を提供月ごとに集計することで第1の集計データが作成される。
【0063】
なお、最後の提供月単位での集計では、提供月単位で認定項目、種類項目、及び認定状況に応じた種類項目に対応する情報の集計が被保険者ごとに行われ、提供月単位での証記載保険者の受給者数により、合計単位数や平均単位数等が集計されることとなる。なお、認定項目は、認定データとして管理される情報の項目を示している。また、種類項目は、サービス種類として管理される情報の項目を示している。また、以降では、図9に示した認定集計項目、種類集計項目、及び認定・種類集計項目は、認定項目、種類項目、及び認定状況に応じた種類項目それぞれについての集計結果に応じた情報の項目を示している。
【0064】
上述した集計については、死亡や入院等の理由により介護サービスを受給していない被保険者が除外された受給者数を基にして行われる。
認定集計項目については、認定データに含まれた申請情報、認定情報と心身状態情報等のような集計対象となる情報が、項目ごとにもしくは項目を複合的にとらえて集計される。これにより、例えば、受給者の性別ごとや年齢階層ごとの集計、申請区分ごとや認定有効期間ごとの集計、心身状態ごとや心身状態の組合せごとの集計が可能になる。
種類集計項目については、受給されたサービス数や単位数の合計を受給者数で除することで、受給者1人当たりの平均受給サービス数やサービス単位数を算出することが可能である。
認定・種類集計項目については、認定集計項目に該当する要介護度別や年齢階層別等による種類集計項目に対応する集計情報を集計することが可能である。また、認定・種類集計項目については、認定集計項目に該当する心身状態ごとに種類集計項目に対応する集計情報を集計することも可能である。
【0065】
(2)証記載保険者及びサービス種類の組み合わせ単位の種類集計データ
図10を参照して、証記載保険者及びサービス種類の組み合わせ単位の種類集計データの作成に係る処理について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、証記載保険者及びサービス種類の組み合わせ単位の種類集計データを「第2の集計データ」とも称する。
【0066】
第2の集計データは、種類データと認定データとを突合した突合データに含まれる集計情報を、証記載保険者、被保険者、及び提供月の組み合わせごとにサービス種類単位で集計することで作成される。
例えば、一人の被保険者が、サービスAとサービスBとの2つのサービスを受給していた場合には、サービス単位で集計すると受給者数は、それぞれ1名となり、サービスごとの受給者数が計算される。第2の集計データの作成に係る集計には、種類データの突合データが使用される。
【0067】
図10に示す例では、元となる突合データにおいて、被保険者が同一のサービスCを複数の事業所(事業所Y及び事業所Z)において受給しており、最初の集計処理では、当該サービスCについて事業所ごとのデータが1つのデータとして集計されている。次いで、被保険者ごとのデータの集計がなされることで、証記載保険者及び提供月の組み合わせごとのサービス種類単位の集計データとされている。
次いで、証記載保険者、提供月、及びサービス種類の組み合わせ単位で集計情報の集計が行われることで、認定集計項目や種類集計項目に対応する情報の集計結果が得られ、認定情報による種類集計項目に対応する情報の集計結果についても得ることが可能となる。
【0068】
第2の集計データにおいては、集計結果は、サービス種類で共通の集計項目となるため、当該第2の集計データを利用することでサービス種類ごとの比較が可能になる。具体的な一例として、訪問介護と訪問看護との2つのサービス種類について、心身状態等毎の回数合計、単位数合計、受給者数、受給者平均の回数や単位数を比較することが可能である。そのため、例えば、回数合計や単位数合計によりどちらがより活用されているか、平均の回数や単位数により、どういう心身状態の場合にどちらのサービスが活用されているか等の比較が可能になる。
【0069】
(3)証記載保険者及びサービス種類の組み合わせ単位の明細集計データ
図11を参照して、証記載保険者及びサービス種類の組み合わせ単位の明細集計データの作成に係る処理について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、証記載保険者及びサービス種類の組み合わせ単位の明細集計データを「第3の集計データ」とも称する。
【0070】
第3の集計データは、明細データと認定データとを突合した突合データに含まれる集計情報を、証記載保険者、被保険者、及び提供月の組み合わせごとに明細集計項目単位で集計することで作成される。第3の集計データの作成に係る集計には、明細データの突合データが使用される。
【0071】
図11に示す例では、元となる突合データにおいて、被保険者が同一のサービスCを複数の事業所(事業所Y及び事業所Z)において受給しており、これらに対応する明細を含め、明細ごとのデータは、あらかじめ定められた明細集計項目ごとに集計が行われる。
具体的な一例として、訪問介護の場合であれば、身体介護と生活援助とが分けて集計が行われる等のように、深夜・早朝の訪問、2名による訪問等といった明細集計項目ごとに個別に集計が行われる。この場合には、身体介護を深夜に2名で訪問介護した場合の明細データは、身体介護、深夜・早朝の訪問、及び2名による訪問のそれぞれについて集計がお行われることになる。なお、明細コードについては比較的数が多くなる傾向にあるため、元々の明細コード単位に替えて、集計して意味のある明細集計項目単位で集計が行われてもよい。
【0072】
次いで、被保険者ごとのデータがサービス種類単位で集計され、認定情報から認定集計項目及び明細集計項目毎ごとであったデータがサービス種類単位のレコード内にまとめられ、認定情報による明細集計項目についても集計がなされる。これにより、例えば、サービス種類ごとに異なる明細項目ではあるが、証記載保険者、提供月、及びサービス種類の組み合わせ単位で、複数の認定集計項目、明細集計項目、及び認定による明細集計項目それぞれのデータにまとめられることになる。
【0073】
(4)証記載保険者、サービス種類、及び事業所の組み合わせ単位の種類集計データ
図12を参照して、証記載保険者、サービス種類、及び事業所の組み合わせ単位の種類集計データの作成に係る処理について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、証記載保険者、サービス種類、及び事業所の組み合わせ単位の種類集計データを「第4の集計データ」とも称する。
【0074】
第4の集計データは、前述した第2の集計データと同様の考え方に基づく集計に加えて、さらに事業所単位での集計がなされることで作成される。第4の集計データの作成に係る集計には、種類データの突合データが使用される。
上述した特性により、第4の集計データにおいては、同一のサービスの受給に関するデータであったとしても、異なる事業所による当該サービスの提供に係るデータについては、互いに異なるデータとして集計されることとなる。
【0075】
(5)証記載保険者、サービス種類、及び事業所の組み合わせ単位の明細集計データ
図13を参照して、証記載保険者、サービス種類、及び事業所の組み合わせ単位の明細集計データの作成に係る処理について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、証記載保険者、サービス種類、及び事業所の組み合わせ単位の明細集計データを「第5の集計データ」とも称する。
【0076】
第5の集計データは、前述した第3の集計データと同様の考え方に基づく集計に加えて、さらに事業所単位での集計がなされることで作成される。第5の集計データの作成に係る集計には、明細データの突合データが使用される。
上述した特性により、第5の集計データにおいては、同一の明細に関するデータであったとしても、異なる事業所の明細に係るデータについては、互いに異なるデータとして集計されることとなる。
【0077】
<集計データのデータベース登録>
前項にて説明した集計データの管理に係るデータベースの構成と、当該データベースへの当該集計データの登録に係る処理とについて説明する。
【0078】
(データベースの構成)
集計データ作成装置250により作成された集計データ(すなわち、第1の集計データ~第5の集計データ)は、情報の集計に伴い被保険者の個人情報を含まないデータとなり、クライアント200によりネットワークN1を介して集計管理サーバ100にアップロードされる。集計管理サーバ100は、クライアント200からアップロードされた各集計データを、自身が管理するデータベースに登録する。この際に、集計管理サーバ100は、第1の集計データ~第5の集計データそれぞれを、以下に(1)~(3)として示す3種類のテーブルで管理する。また、図14は、以下に(1)~(3)として示す3種類のテーブルそれぞれのテーブル構造の一例を示した図である。
(1)提供月及び証記載保険者の組み合わせ単位の認定集計項目及び種類集計項目
(2)提供月、証記載保険者、及びサービス種類の組み合わせ単位の認定集計項目、種類集計項目、及び明細集計項目
(3)提供月、証記載保険者、事業所、及びサービス種類の組み合わせ単位の認定集計項目、種類集計項目、及び明細集計項目
【0079】
図14(1)は、提供月及び証記載保険者の組み合わせ単位の認定集計項目及び種類集計項目それぞれに対応する集計情報を管理するためのテーブルの一例を示している。以降では、便宜上、図14(1)に示す当該テーブルを第1のテーブルとも称する。
第1のテーブルにおいては、提供月及び証記載保険者をデータベースのキーとして、認定集計項目、種類集計項目、及び認定・種類集計項目それぞれに対応する集計情報が管理される。前述した第1の集計データに含まれる集計情報は、第1のテーブルにより管理される。
【0080】
図14(2)は、提供月、証記載保険者、及びサービス種類の組み合わせ単位の認定集計項目、種類集計項目、認定・種類集計項目、明細集計項目、及び認定・明細集計項目それぞれに対応する集計情報を管理するためのテーブルの一例を示している。以降では、便宜上、図14(2)に示す当該テーブルを第2のテーブルとも称する。
第2のテーブルにおいては、提供月、証記載保険者、及びサービス種類をデータベースのキーとして、認定集計項目、種類集計項目、認定・種類集計項目、明細集計項目、及び認定・明細集計項目それぞれに対応する集計情報が管理される。前述した第2の集計データ及び第3の集計データは、一部のデータ内容が異なるものの、提供月、証記載保険者、及びサービス種類の組み合わせ単位のデータである点が共通している。そのため、第2の集計データ及び第3の集計データそれぞれに含まれる集計情報は、第2のテーブルにより管理される。
【0081】
図14(3)は、提供月、証記載保険者、事業所、及びサービス種類の組み合わせ単位の認定集計項目、種類集計項目、認定・種類集計項目、明細集計項目、及び認定・明細集計項それぞれに対応する集計情報を管理するためのテーブルの一例を示している。以降では、便宜上、図14(3)に示す当該テーブルを第3のテーブルとも称する。
第3のテーブルにおいては、提供月、証記載保険者、事業所、及びサービス種類をデータベースのキーとして、認定集計項目、種類集計項目、認定・種類集計項目、明細集計項目、及び認定・明細集計項目それぞれに対応する集計情報が管理される。前述した第4の集計データ及び第5の集計データは、一部のデータ内容が異なるものの、提供月、証記載保険者、事業所、及びサービス種類の組み合わせ単位のデータである点が共通している。そのため、第4の集計データ及び第5の集計データそれぞれに含まれる集計情報は、第3のテーブルにより管理される。
【0082】
(データベースへの登録処理)
図15を参照して、集計管理サーバ100が管理するデータベースへの集計データの登録に係る処理について説明する。図15は、集計管理サーバ100が管理するデータベースへの集計データの登録に係る処理の一例を示したシーケンス図である。
【0083】
S101において、クライアント200は、ユーザから指定された認証情報を集計管理サーバ100に送信することで、当該ユーザのアカウントでのログインを行う。
S102において、クライアント200は、ユーザに対して利用可能な機能の一覧が表示されたUI(User Interface)を提示し、当該ユーザから利用する機能の選択に係る指示を受け付ける。ここでは、集計データのアップロードに係る機能が選択されたものとする。クライアント200は、集計管理サーバ100に対して集計データのアップロードが選択されたことを通知する。
【0084】
S103において、クライアント200は、アップロードの対象となる集計データのファイルの選択に係る指定をユーザから受け付ける。例えば、図16は、アップロードの対象となる集計データのファイルの選択に係る指示をユーザから受け付けるためのUIの一例を示した図である。図16に示すUIは、S102における集計データのアップロードに係る機能の選択が受け付けられた場合に表示される。
S104において、クライアント200は、ユーザにより選択された集計データのファイルを集計管理サーバ100にアップロードする。具体的な一例として、クライアント200は、図16に示すUIにおいて、選択リストを介してアップロードの対象となる集計データの選択を受け付け、アップロード実行ボタンが押下されると、選択された当該集計データのファイルを集計管理サーバ100にアップロードする。
【0085】
S105において、集計管理サーバ100は、クライアント200からアップロードされた集計データのファイルに基づき、当該集計データをデータベースに登録する。
S106において、集計管理サーバ100は、S105におけるデータベースへの集計データの登録結果に応じた情報をクライアント200に送信する。
S107において、クライアント200は、S104におけるアップロードの結果を示す情報として、S106において集計管理サーバ100から通知された情報に基づき、集計データのファイルのアップロードの結果に応じた情報や、データベースへの当該集計データの登録の結果に応じた情報をユーザに提示する。例えば、図17は、クライアント200がユーザに対して集計データのファイルのアップロード結果やデータベースへの集計データの登録結果を提示するためのUIの一例を示している。図17に示す例では、保険者と証記載保険者とが一致しており、かつ提供月が2021年12月の集計データのファイルがアップロードされた場合における、当該アプロードの結果に応じた情報やデータベースへの当該集計データの登録結果に応じた情報が表示されている。
【0086】
<集計データの検索・集計>
データベースに登録された集計データの検索に利用されるテーブル(以下、検索用テーブルとも称する)の登録と、集計データの検索及び集計に係る処理とについて説明する。
【0087】
(検索用テーブルの登録)
集計データの管理に係るデータベースは、例えば、証記載保険者単位で作成される。データベースは、例えば、保険者間の相対評価を行う状況比較や事業所の状況比較のために活用される。
証記載保険者ごとのデータは、相互に独立しており、証記載保険者ごとの事業所のデータ、証記載保険者ごとのサービス種類、及び証記載保険者及び事業所の組み合わせごとのサービス種類についても相互に独立している。これは、証記載保険者の被保険者が独立していることに起因する。独立しているデータであれば、複数データを統合して、平均値を再計算することが可能である。ただし、証記載保険者の複数のサービスや複数の事業所を統合して、平均値を計算することは困難である。これは、証記載保険者の被保険者が、異なるサービスを受給することが可能であり、また異なる事業所からサービスを受給することが可能であることに起因する。
【0088】
つまり、上記のように各データを独立させるデータ構成とすることで、例えば、複数の証記載保険者をまたがる同一の認定データ、同一のサービス、及び同一の事業所を統合して平均値を再計算することができる。また、上述のようなデータ構成とすることで、保険者が政令指定都市や広域連合等であり複数の証記載保険者が存在する場合に、それらの証記載保険者のデータを統合して保険者のデータを再計算することも可能であり、保険者が所属する都道府県や地域のデータを再計算することも可能である。また、上述のようなデータ構成とすることで、複数の証記載保険者をまたがって介護サービスを提供する事業所のデータを再計算することが可能となる。
【0089】
データベースは、保険者または証記載保険者(以下、保険者等とも称する)の間での状況比較が主な目的であるが、当該データベースに登録されたデータは証記載保険者単位のデータであるため、保険者の情報、都道府県や地域等の情報が含まれていない。そこで、証記載保険者がどういう存在であるかを示す証記載保険者データをデータベースに追加登録することで、証記載保険者のみに限らず、保険者や都道府県等の単位での比較が可能になる。
【0090】
ここで、図18を参照して、データベースに追加登録される証記載保険者データの一例について説明する。図18は、証記載保険者データのデータ構造の一例を示した図である。図18に示すように、証記載保険者データは、証記載保険者番号、保険者暗号、及び都道府県番号等のような証記載保険者を特定するための情報や、地域コード、人口、及び人口密度等のような証記載保険者に関する各種統計情報等を含む。
これにより、例えば、証記載保険者単位の集計データを証記載保険者データの情報を活用して検索することが可能となる。具体的な一例として、比較対象となる一連の証記載保険者のデータがデータベースに登録されていれば、所定の保険者の管理下にある一連の証記載保険者それぞれのデータや、人口規模や高齢化率が類似する複数の証記載保険者それぞれのデータを、証記載保険者データを利用して検索して比較することが可能となる。
なお、検索用テーブルの登録については、例えば、集計管理システムの運営者が本システムの利用に際して事前に行えばよい。
【0091】
(集計データの検索・集計処理)
図19を参照して、集計管理サーバ100が管理するデータベースに登録された集計データの検索及び集計に係る処理について説明する。図19は、集計管理サーバ100が管理するデータベースに登録された集計データの検索及び集計に係る処理の一例を示したシーケンス図である。本実施形態に係る情報管理システムは、検索用テーブル登録が完了した段階で、データベースに登録された集計データの範囲内において、当該集計データの検索及び集計が可能となる。
【0092】
S201において、クライアント200は、ユーザから指定された認証情報を集計管理サーバ100に送信することで、当該ユーザのアカウントでのログインを行う。このように、集計データの検索及び集計に係る機能は、クライアント200から集計管理サーバ100へのログインがなされることで利用することが可能となる。なお、集計データの登録処理が行われた後の契機のように、既にログインが行われている場合には、改めてログインが要求されなくてもよい。
【0093】
S202において、クライアント200は、ユーザに対して利用可能な機能の一覧が表示されたUIを提示し、当該ユーザから利用する機能の選択に係る指示を受け付ける。ここでは、集計データの集計分析に係る機能が選択されたものとする。クライアント200は、集計管理サーバ100に対して集計データの集計分析が選択されたことを通知する。
S203において、集計管理サーバ100は、S202におけるクライアント200からの通知を受けて、分析対象の候補となる一連の保険者等の情報を検索する。そして、S204において、集計管理サーバ100は、S203において検索された分析対象の候補となる一連の保険者等の情報をクライアント200に通知する。
【0094】
S205において、クライアント200は、S204において集計管理サーバ100から通知された分析対象の候補となる一連の保険者等の情報をユーザに提示し、当該一連の保険者等の中から分析対象の特定に係る保険者等の情報(例えば、保険者や証記載保険者、提供月等の情報)の指定を当該ユーザから受け付ける。
例えば、図20は、分析対象の特定に係る保険者等の情報の指定をユーザから受け付けるためのUIの一例を示した図である。図20に示す例では、分析対象の特定に係る情報として、保険者、証記載保険者、及び提供月の指定をユーザから受け付けるためのインターフェースがUIに設けられている。図20に示す例の場合には、分析対象の特定に係る情報として、保険者及び証記載保険者の少なくともいずれかと提供月との指定をユーザから受け付けることとなる。
【0095】
ここで、改めて図19を参照する。S206において、クライアント200は、S205においてユーザから指定された分析対象の特定に係る保険者等の情報を集計管理サーバ100に送信する。S206の処理は、例えば、図20に示すUIにおいて次へボタンが押下された場合に実行される。
S207において、集計管理サーバ100は、S206においてクライアント200から送信された情報が示す条件に合致する集計データ(すなわち、分析対象となる集計データ)を検索することで当該集計データの数を計上する。そして、S208において、集計管理サーバ100は、S207において計上した集計データの数を示す情報をクライアント200に送信する。
S209において、クライアント200は、S207において集計管理サーバ100から送信された情報に基づき、S205においてユーザから指定された情報に基づき特定される分析対象を示す情報をユーザに提示する。例えば、図21は、分析対象をユーザが確認するために当該ユーザに提示されるUIの一例を示した図である。図21に示す例では、図20に示すUIを介して指定された分析対象の特定に係る情報と、当該情報が示す条件に該当するデータの件数とが提示されている。図21に示す画面において次へボタンが押下されると、後述する比較対象の保険者の指定に係るUIがユーザに提示される。
【0096】
ここで、改めて図19を参照する。S210において、集計管理サーバ100は、比較対象の候補となる一連の保険者の情報を検索する。そして、S211において、集計管理サーバ100は、S210において検索された比較対象の候補となる一連の保険者の情報をクライアント200に通知する。
【0097】
S212において、クライアント200は、S211において集計管理サーバ100から通知された比較対象の候補となる一連の保険者の情報をユーザに提示し、当該一連の保険者の中から比較対象の特定に係る保険者等(例えば、保険者や証記載保険者、提供月等)の情報の指定を当該ユーザから受け付ける。
例えば、図22は、比較対象の特定に係る保険者等の情報の指定をユーザから受け付けるためのUIの一例を示した図である。図22に示す例では、比較対象の特定に係る情報として、比較対象の指定方法及び提供月の指定をユーザから受け付けるためのインターフェースがUIに設けられている。
比較対象の指定方法としては、例えば、証記載保険者、保険者、都道府県、地域、人口、人口密度、及び高齢化率と、これらの条件以外を示すその他とが一覧として提示され、これらの条件のうちのいずれかが指定可能となっている。このようにして指定された条件と、証記載保険者データとが照合されることで、比較対象となる保険者が特定される。
また、上述のように、比較対象側についても分析対象とは個別に提供月を指定することが可能となっている。これにより、例えば、比較対象の保険者側について、分析対象の保険者側で指定された提供月の集計データが存在しない場合に、他の提供月の集計データを比較対象として指定することも可能となる。具体的な一例として、比較対象の保険者側について、分析対象の保険者側で指定された提供月の1年前の同月を指定したり、同年の1カ月前を指定することも可能となる。
なお、比較対象の保険者については、指定が必須とされていなくてもよい。また、比較対象の保険者について指定する場合には、比較対象の指定方法と、提供月との指定をユーザから受け付けることとなる。
【0098】
ここで、改めて図19を参照する。S213において、クライアント200は、S212においてユーザから指定された比較対象の特定に係る保険者等の情報を集計管理サーバ100に送信する。S213の処理は、例えば、図22に示すUIにおいて次へボタンが押下された場合に実行される。
S214において、集計管理サーバ100は、S213においてクライアント200から送信された情報が示す条件に合致する集計データ(すなわち、比較対象となる集計データ)を検索することで当該集計データの数を計上する。そして、S215において、集計管理サーバ100は、S214において計上した集計データの数を示す情報をクライアント200に送信する。
S216において、クライアント200は、S215において集計管理サーバ100から送信された情報に基づき、S212においてユーザから指定された情報に基づき特定される比較対象を示す情報をユーザに提示する。例えば、図23は、比較対象をユーザが確認するために当該ユーザに提示されるUIの一例を示した図である。図23に示す例では、図22に示すUIを介して指定された情報に基づき特定される比較対象の保険者に関する情報と、当該保険者に対応するデータ(換言すると、指定された条件に該当するデータ)の件数とが提示されている。図23に示す画面において次へボタンが押下されると、後述する分析条件の指定に係るUIがユーザに提示される。なお、この際に、分析対象の保険者のデータ件数が0の場合には、次のUIへの遷移が制限されてもよい。これは、比較対象の保険者が指定されており、かつ当該比較対象の保険者のデータ件数が0の場合においても同様である。
【0099】
S217において、クライアント200は、ユーザから分析条件として集計単位の指定を受け付ける。ここで指定された集権単位に応じて、図14(1)~図14(3)として説明した第1のテーブル~第3のテーブルそれぞれで管理されている集計データのうち、いずれのテーブルで管理されている集計データを集計の対象とするかが決定される。例えば、図24は、分析条件として集権単位の指定をユーザから受け付けるためのUIの一例を示した図である。図24に示すUIでは、集計単位として、証記載保険者単位、サービス種類単位、事業所単位、及び証記載保険者を跨った事業所のうちのいずれかを指定することが可能である。
証記載保険者単位が指定された場合には、図14(1)に示す第1のテーブルで管理された集計データが集計や分析の対象となる。
サービス種類単位が指定された場合には、図14(2)に示す第2のテーブルで管理された集計データが集計や分析の対象となる。
事業所単位が指定された場合には、図14(3)に示す第3のテーブルで管理された集計データが集計や分析の対象となる。
証記載保険者を跨った事業所が指定された場合には、図14(3)に示す第3のテーブルで管理された集計データが集計や分析の対象としたうえで、証記載保険者を無視し、事業所のサービス種類単位で再集計が行われてから集計や分析が行われる。
そして、次へボタンが押下されると、後述する集計項目の指定の受け付けに係るUIがユーザに提示される。
【0100】
ここで、改めて図19を参照する。S218において、クライアント200は、S217においてユーザから分析条件として指定された集計単位に関する情報を集計管理サーバ100に送信する。S218の処理は、例えば、図24に示すUIにおいて次へボタンが押下された場合に実行される。
S219において、集計管理サーバ100は、S218においてクライアント200から送信された情報が示す条件に合致する集計項目(すなわち、ユーザから指定された集計単位に対応する集計項目)を検索する。そして、S220において、集計管理サーバ100は、S219において検索結果として得られた集計項目を示す情報をクライアント200に送信する。なお、各集計単位に対応する集計項目の一例については詳細を別途後述する。
【0101】
ここで、改めて図19を参照する。S221において、クライアント200は、分析対象の保険者や比較対象の保険者の集計データの分析に係る集計項目の指定をユーザから受け付ける。例えば、図25は、分析条件として集権項目の指定をユーザから受け付けるためのUIの一例を示した図である。指定可能な集計項目については、例えば、S217において指定された集計単位に応じて、S218の処理(すなわち、指定された集計単位に対応する集計項目の検索)において制御される。また、集計単位が決定したとしても集計項目の数が依然として膨大となる可能性もあるため、集計や分析の対象とする集計項目が少なくとも1以上指定されるような制御(例えば、集計項目が未指定の場合に集計や分析の実行を制限する等の制御)が適用されてもよい。また、複数の集計項目が指定可能であってもよい。例えば、図25に示すUIでは、最大5種類の集計項目を指定可能となっているが、さらに多くの種類の集計項目が指定可能であってもよい。また、ここでは詳細な説明を省略するが、過去に指定された1以上の集計項目の組み合わせをパターンとして記憶しておき、記憶されたパターンを指定することで当該パターンに対応する1以上の集計項目を自動で入力する機能が設けられていてもよい。
【0102】
ここで、指定された集計単位に応じて指定可能な集計項目の一例について、図24に例示した一連の集計単位それぞれについて個別に説明する。
証記載保険者単位が指定された場合には、認定集計項目、種類集計項目、及び認定・種類集計項目のうち少なくともいずれかに対応する集計項目を指定することが可能となる。具体的な一例として、認定集計項目からは、要介護度別(受給者数、合計単位数、平均単位数)や心身状態の項目の認知症度別(受給者数、合計単位数、平均単位数)等を指定することが可能である。また、他の一例として、認定・種類集計項目からは、動ける認知症の受給者の訪問介護の受給状況(受給者数、合計単位数、平均単位数)等を指定することが可能である。
サービス種類単位が指定された場合には、先ずサービス種類が指定され、次いで認定集計項目、種類集計項目、認定・種類集計項目、明細集計項目、認定・明細集計項目のうちの少なくともいずれかが選択されることとなる。明細集計項目は、選択されているサービス種類に応じた項目になる。
事業所単位が指定された場合には、サービス種類単位が指定された場合と同様にサービス種類に応じた集計項目となるが、それとは別に事業所単位で集計結果を表示する際に、どれだけの事業所を表示するかを指定することとなる。具体的な一例として、上位10件、下位20件のような指定が行われることとなる。
証記載保険者を跨った事業所が指定された場合には、事業所単位が指定された場合と同様にサービス種類に応じた集計項目となり、表示する事業所数等を指定することとなる。集計結果は、証記載保険者ごとではなく、選択された証記載保険者のデータ内で、事業所ごとに再集計した値で表示される。
【0103】
ここで、改めて図19を参照する。S222において、クライアント200は、S221においてユーザから分析条件として指定された集計項目に関する情報を集計管理サーバ100に送信する。S222の処理は、例えば、図25に示すUIにおいて次へボタンが押下された場合に実行される。
S223において、集計管理サーバ100は、S222においてクライアント200から送信された情報が示す条件(すなわち、ユーザから指定された集計項目)に合致する集計データを検索及び集計を行う。そして、S224において、集計管理サーバ100は、S223において検索及び集計の結果として得られた情報をクライアント200に送信する。
S225において、クライアント200は、S224において集計管理サーバ100から送信された情報に基づき、S221においてユーザから指定された条件に基づく集計データの検索及び集計の結果に応じた情報をユーザに提示する。例えば、図26は、集計データの検索及び集計の結果に応じた情報(換言すると、集計データの分析結果に応じた情報)をユーザが確認するために当該ユーザに提示されるUIの一例を示した図である。図26に示す例では、分析対象の保険者に関する集計結果と、比較対象の保険者に関する集計結果とを個別に分けて表示するようにUIが構成されている。なお、この場合には、比較対象の保険者について指定が無かった場合には、当該比較対象の保険者に対応する表示領域への情報の表示が抑制される。また、集計単位として図24に例示した集計単位のうちの証記載保険者単位、サービス種類単位、または事業所単位が指定されており、かつ証記載保険者が複数指定されている場合には、例えば、証記載保険者ごとに集計結果が表示されたうえで、一連の証記載保険者それぞれの集計結果を統合した情報が表示されてもよい。
【0104】
<むすび>
以上説明したように、本開示の一実施形態に係る情報管理システムでは、集計データ作成装置250は、介護保険の被保険者ごとに、当該被保険者の心身状態に係る認定データと、当該被保険者に介護サービスの提供結果に係る給付データと、を当該被保険者に割り当てられた被保険者番号に基づき突合することで突合データを作成する。また、集計データ作成装置250は、介護サービスの提供に係る証記載保険者ごとに、当該証記載保険者が管理対象とする一連の被保険者それぞれについて作成された前記突合データに基づき、第1の集計データ~第5の集計データを作成する。第1の集計データは、介護サービスの提供月ごとの当該突合データに含まれる情報のうち集計対象となる集計情報が集計されたデータである。第2の集計データは、提供月ごとの集計情報が、提供された介護サービスのサービス種類ごとに集計されたデータである。第3の集計データは、提供月ごとの集計情報が、提供された介護サービスの明細ごとに集計されたデータである。第4の集計データは、提供月ごとの集計情報が、介護サービスの提供元となる証記載保険者に属する事業所単位でサービス種類ごとに集計されたデータである。第5の集計データは、提供月ごとの前記集計情報が、上記事業所単位で明細ごとに集計されたデータである。
集計データ作成装置250により作成された前記第1の集計データ、前記第2の集計データ、前記第3の集計データ、前記第4の集計データ、及び前記第5の集計データは、クライアント200からネットワークを介して集計管理サーバ100に送信されることで、当該集計管理サーバ100により、第1のテーブル、第2のテーブル、及び第3のテーブルとして収集される。
集計管理サーバ100は、指定された分析条件に応じて、前記第1のテーブル、前記第2のテーブル、及び前記第3のテーブルのうち少なくとも一部のテーブルを抽出し、当該テーブルを対象として集計情報を集計する。
【0105】
以上のような構成により、例えば、介護保険の実績に関する各種の情報を、サービス種類単位の比較や評価といった分析のみに限らず、事業所単位での当該分析も可能となる。すなわち、本実施形態に係る情報管理システムに依れば、介護保険の実績に関する各種の情報を、指定された条件に応じてより正確に集計することが可能となる。そのため、例えば、被保険者の心身状態に応じて適切な介護サービスが提供されているか否かの評価等のような、複合的な心身状態に応じた介護サービスの評価をより正確に行うことも可能となる。
【0106】
なお、上述した実施形態はあくまで一例であり、必ずしも本発明の構成や処理を限定するものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形や変更が加えられてもよい。
また、本発明には、上述した実施形態の機能を実現するプログラム、および、該プログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記録媒体が含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1 情報管理システム
100 集計管理サーバ
200 クライアント
250 集計データ作成装置
図1
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図3
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