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特開2023-106102隣接周波数帯の通信への干渉の影響を抑制する端末装置、基地局装置、制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106102
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】隣接周波数帯の通信への干渉の影響を抑制する端末装置、基地局装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20230725BHJP
   H04W 72/54 20230101ALI20230725BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W72/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007242
(22)【出願日】2022-01-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅原 雅人
(72)【発明者】
【氏名】柴山 昌也
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 遼一
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067DD34
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
5K067LL11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】柔軟に無線リソースを運用するセルラ通信システムにおいて、隣接する周波数帯への干渉の影響を十分に抑制する端末装置、基地局装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】端末装置102は、第1の周波数帯を使用する第1の通信システムに属する第1の基地局装置101から、第1の周波数帯と異なると共に第2の通信システムにおいて使用される第2の周波数帯における測定の設定を示す設定情報を取得しS501、その設定情報に基づいて第2の通信システムに属する第2の基地局装置111から送信された所定の信号を測定しS504、測定の結果を第1の基地局装置101へ通知しS506、その測定の結果に基づいて第1の基地局装置101によって行われるスケジューリングに従って第1の基地局装置101と通信するS509。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数帯を使用する第1の通信システムに属する第1の基地局装置から、前記第1の周波数帯と異なると共に第2の通信システムにおいて使用される第2の周波数帯における測定の設定を示す設定情報を取得する取得手段と、
前記設定情報に基づいて前記第2の通信システムに属する第2の基地局装置から送信された所定の信号を測定する測定手段と、
前記測定の結果を前記第1の基地局装置へ通知する通知手段と、
前記測定の結果に基づいて前記第1の基地局装置によって行われるスケジューリングに従って前記第1の基地局装置と通信する通信手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記第1の基地局装置に接続する際の無線リソース制御(RRC)メッセージにおける情報要素から前記設定情報を取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記情報要素は、MeasObjectNR、MeasObjectCLI、MeasReportの少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記設定情報は、前記第2の周波数帯を示す情報、前記第2の周波数帯における測定対象とする所定の周波数を示す情報、前記第2の周波数帯の帯域幅、前記所定の信号を特定する情報の少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記所定の信号は、前記第2の基地局装置から所定の周波数および時間リソースにおいて周期的に送信されることが規定されている信号である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項6】
前記所定の信号は、同期信号および物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)、または、Non Cell-Defined(NCD)-SSBを含む、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記取得手段は、前記測定の結果を前記第1の基地局装置に通知するための条件を示す情報をさらに取得し、
前記通知手段は、前記条件が満たされた場合に前記測定の結果を前記第1の基地局装置に通知する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項8】
前記条件は、前記所定の信号が所定の電力以下の電力で検出されたことを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の端末装置。
【請求項9】
前記通知手段は、前記測定の結果として、前記所定の信号の受信電力を示す情報と、前記所定の信号に関連する周波数の情報との少なくともいずれかを、前記第1の基地局装置に通知する、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項10】
第1の周波数帯を使用する第1の通信システムに属する基地局装置であって、
前記第1の周波数帯と異なると共に第2の通信システムにおいて使用される第2の周波数帯における測定の設定を示す設定情報を端末装置へ通知する通知手段と、
前記設定情報に基づいて前記端末装置で行われた、前記第2の通信システムに属する他の基地局装置から送信された所定の信号の測定の結果を受信する受信手段と、
前記測定の結果に基づいて、所定の時間リソースにおいて前記第1の周波数帯に含まれる所定の周波数リソースを用いて前記端末装置が信号を送信することを許容するか否かを判定し、当該判定に基づいて前記端末装置との間の通信をスケジューリングするスケジューリング手段と、
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項11】
前記通知手段は、前記端末装置が前記基地局装置に接続する際の無線リソース制御(RRC)メッセージにおける情報要素を用いて、前記設定情報を通知する、ことを特徴とする請求項10に記載の基地局装置。
【請求項12】
前記情報要素は、MeasObjectNR、MeasObjectCLI、MeasReportの少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項11に記載の基地局装置。
【請求項13】
前記設定情報は、前記第2の周波数帯を示す情報、前記第2の周波数帯における測定対象とする所定の周波数を示す情報、前記第2の周波数帯の帯域幅、前記所定の信号を特定する情報の少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項14】
前記所定の信号は、前記第2の通信システムに属する他の基地局装置から所定の周波数および時間リソースにおいて周期的に送信されることが規定されている信号である、ことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項15】
前記所定の信号は、同期信号および物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)、または、Non Cell-Defined(NCD)-SSBを含む、ことを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項16】
前記通知手段は、前記端末装置が前記測定の結果を前記基地局装置に通知するための条件を示す情報をさらに通知する、ことを特徴とする請求項10から15のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項17】
前記条件は、前記所定の信号が所定の電力以下の電力で検出されたことを含む、ことを特徴とする請求項16に記載の基地局装置。
【請求項18】
前記測定の結果は、前記所定の信号の受信電力を示す情報と、前記所定の信号に関連する周波数の情報との少なくともいずれかを含む、ことを特徴とする請求項10から17のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項19】
端末装置によって実行される制御方法であって、
第1の周波数帯を使用する第1の通信システムに属する第1の基地局装置から、前記第1の周波数帯と異なると共に第2の通信システムにおいて使用される第2の周波数帯における測定の設定を示す設定情報を取得することと、
前記設定情報に基づいて前記第2の通信システムに属する第2の基地局装置から送信された所定の信号を測定することと、
前記測定の結果を前記第1の基地局装置へ通知することと、
前記測定の結果に基づいて前記第1の基地局装置によって行われるスケジューリングに従って前記第1の基地局装置と通信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項20】
第1の周波数帯を使用する第1の通信システムに属する基地局装置によって実行される制御方法であって、
前記第1の周波数帯と異なると共に第2の通信システムにおいて使用される第2の周波数帯における測定の設定を示す設定情報を端末装置へ通知することと、
前記設定情報に基づいて前記端末装置で行われた、前記第2の通信システムに属する他の基地局装置から送信された所定の信号の測定の結果を受信することと、
前記測定の結果に基づいて、所定の時間リソースにおいて前記第1の周波数帯に含まれる所定の周波数リソースを用いて前記端末装置が信号を送信することを許容するか否かを判定し、当該判定に基づいて前記端末装置との間の通信をスケジューリングすることと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項21】
コンピュータを、請求項1から9のいずれか1項に記載の端末装置として機能させるためのプログラム。
【請求項22】
コンピュータを、請求項10から18のいずれか1項に記載の基地局装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接周波数帯の通信への干渉の影響を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムでは、一般に、基地局装置から端末装置へ向かう方向の下りリンクの信号と端末装置から基地局装置へ向かう方向の上りリンクの信号とを、時間や周波数帯で分離して、それらの信号が相互に干渉しないようにしている。このような手法は、単一の通信事業者による通信における干渉を十分に抑制することができる。また、複数の通信事業者による通信においても、上りリンクと下りリンクとの分離を同様の手法で行い、かつ、隣接する周波数帯の間で十分なガードバンドを設けることにより、干渉を十分に抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無線通信が様々な用途で使用されるようになり、セルラ通信システムにおいても柔軟な運用が要求されるようになってきている。このような状況では、従来では発生しないような干渉が発生しうる。例えば、第1の通信事業者において下りリンクの信号が送信される周波数帯と隣接する周波数帯で、第2の通信事業者において上りリンクの信号が送信される状況が想定されうる。このような状況では、端末装置間の距離が極めて近いことがありうるため、ガードバンドを設けていても、第2の通信事業者の上りリンクの信号の帯域外成分が第1の通信事業者の端末装置において十分に強く受信されてしまい、下りリンクの信号に干渉してしまいうる。特に、端末装置が複数の通信事業者の周波数帯を含んだ一定の周波数帯の信号をまとめて受信するように構成されうるため、第1の通信事業者の端末装置において受信される信号のうち、第2の通信事業者の上りリンクの信号の成分が電力的に支配的になり、自装置宛ての下りリンクの信号が埋没してしまいうる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、柔軟に無線リソースを運用するセルラ通信システムにおいて、隣接する周波数帯への干渉の影響を十分に抑制することを可能とする手法を提供する。
【0005】
本発明の一態様による端末装置は、第1の周波数帯を使用する第1の通信システムに属する第1の基地局装置から、前記第1の周波数帯と異なると共に第2の通信システムにおいて使用される第2の周波数帯における測定の設定を示す設定情報を取得する取得手段と、前記設定情報に基づいて前記第2の通信システムに属する第2の基地局装置から送信された所定の信号を測定する測定手段と、前記測定の結果を前記第1の基地局装置へ通知する通知手段と、前記測定の結果に基づいて前記第1の基地局装置によって行われるスケジューリングに従って前記第1の基地局装置と通信する通信手段と、を有する。
【0006】
本発明の別の一態様による基地局装置は、第1の周波数帯を使用する第1の通信システムに属する基地局装置であって、前記第1の周波数帯と異なると共に第2の通信システムにおいて使用される第2の周波数帯における測定の設定を示す設定情報を端末装置へ通知する通知手段と、前記設定情報に基づいて前記端末装置で行われた、前記第2の通信システムに属する他の基地局装置から送信された所定の信号の測定の結果を受信する受信手段と、前記測定の結果に基づいて、所定の時間リソースにおいて前記第1の周波数帯に含まれる所定の周波数リソースを用いて前記端末装置が信号を送信することを許容するか否かを判定し、当該判定に基づいて前記端末装置との間の通信をスケジューリングするスケジューリング手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、柔軟に無線リソースを運用するセルラ通信システムにおいて、隣接する周波数帯への干渉の影響を十分に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】通信環境の例を示す図である。
図2】基地局装置および端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】端末装置の機能構成例を示す図である。
図4】基地局装置の機能構成例を示す図である。
図5】実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(通信環境)
図1に、本実施形態で検討する通信環境の例を示す。図1の環境では、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)で規定された第5世代(5G)のセルラ無線通信規格に従う無線通信システムが複数存在する。本環境では、例えば、第1の通信事業者によって提供される第1の無線通信システムに属する第1の基地局装置101と第1の端末装置102、及び、第1の通信事業者とは異なる第2の通信事業者によって提供される第2の無線通信システムに属する第2の基地局装置111と第2の端末装置112が存在するものとする。なお、これは一例であり、他の規格に従って動作する無線通信システムが用いられてもよく、また、3つ以上の無線通信システムが存在してもよい。また、図1では、各無線通信システムに属する1つの基地局装置と1つの端末装置のみが示されているが、これより多数の基地局装置及び端末装置が当然に存在しうる。なお、ここでは、2つの通信事業者がそれぞれ提供する2つの無線通信システムが存在する場合の例について示しているが、例えば少なくとも一方の無線通信システムが、通信事業者とは異なる運営主体によって提供されるローカル5Gシステムであってもよい。すなわち、運用主体が異なる限りにおいて、無線通信システムが通信事業者によって提供される必要はない。
【0011】
本実施形態では、第1の無線通信システムでは第1の周波数帯が使用され、第2の無線通信システムでは、第1の周波数帯と異なる第2の周波数帯が使用されるものとする。一例において、第1の周波数帯と第2の周波数帯とは隣接する周波数帯であるが、隣接関係にない周波数帯であってもよい。例えば、第1の端末装置102と第2の端末装置112は、共に、第1の周波数帯及び第2の周波数帯の両方を含んだ周波数帯域の信号を一括して受信して、その受信信号に対するフーリエ変換などの処理を実行して自装置宛ての信号を抽出する。このとき、例えば、第2の端末装置112は、第2の基地局装置111からの信号の受信タイミングを基準としてフーリエ変換を実行しうる。
【0012】
ここで、第1の無線通信システム及び第2の無線通信システムにおいてフレーム同期が確立されており、かつ、上りリンクと下りリンクのタイミングが一致しているものとする。この場合、第2の端末装置112は、第1の基地局装置101からの信号を受信したとしても、その信号が第2の基地局装置111からの信号と同期しているため、信号の直交性が担保されているため、第1の基地局装置101からの干渉を無視することができる。一方で、様々な無線通信のニーズに対応するために無線通信システムの自由度を向上させることが要求されている。このため、例えば、各無線通信システムにおいて上りリンクと下りリンクとのタイミングを独自に決定することが想定される。この場合、第2の端末装置112において、第1の端末装置102からの信号が第2の基地局装置101と並行して到来することとなる。このとき、例えば、第1の端末装置102は、第1の基地局装置101に所定のタイミングで届くようにフレームの基準となるタイミングより早く信号を送信するため、その信号は、第2の基地局装置111からの信号とフレームタイミングが一致せず、第2の端末装置112において、フーリエ変換時に直交性が担保されず、無視できないレベルの干渉となりうる。特に、第1の端末装置102と第2の端末装置112との位置が近接している場合、第2の端末装置112において、第1の端末装置102からの信号が非常に大きい電力で受信されうる。ただし、第2の端末装置112において、第2の基地局装置111からの信号を十分な電力で受信することができる場合には、第1の端末装置102からの信号の影響を相対的に小さくすることができる。
【0013】
本実施形態では、このような事情に鑑み、第1の端末装置102が、第2の無線通信システムの信号を検出することを可能とする。そして、第1の端末装置102において第2の無線通信システムの信号が十分に大きい電力で検出される場合には、第1の端末装置102の周囲に存在する、第2の無線通信システムの端末装置(例えば第2の端末装置112)において、第2の無線通信システムの信号を十分な強度で受信可能であると想定される。したがって、このような状況では、第1の端末装置102が信号を送信しても、その信号が第2の無線通信システムへ与える影響は十分に小さくなることが想定される。このため、第1の端末装置102による信号送信時に、干渉の影響を低減するような制御を行う必要はないと判定されうる。一方で、第1の端末装置102において第2の無線通信システムの信号が所定の電力以下の電力で検出される場合には、第1の端末装置102の周囲に存在する、第2の無線通信システムの端末装置(例えば第2の端末装置112)において、第2の無線通信システムの信号の受信強度が相対的に低いことが予想される。このため、第1の端末装置102が信号を送信すると、その信号が第2の無線通信システムへ与える影響が大きいことが予想される。このため、第1の端末装置102による信号送信時に、干渉の影響を低減するような制御を行う必要があると判定されうる。なお、第2の無線通信システムの信号が検出されない場合は、その信号の受信電力が所定の電力以下である場合と同じように扱ってもよいが、第2の無線通信システムが存在しないものとして扱い、第1の端末装置102が送信した信号の影響はないと判定されてもよい。
【0014】
このように、第1の端末装置102が、自装置の属する無線通信システムと異なる無線通信システムにおいて送受信される無線信号を測定することを可能とし、その測定結果に基づいて、その第1の端末装置102から送信される信号による干渉を低減すべきか否かが制御されるようにする。なお、干渉を低減する制御は、例えば、第2の無線通信システムにおいて下りリンクの通信が行われる期間において、第1の端末装置102が上りリンクの信号を送信しないようにする制御を含みうる。また、干渉を低減する制御は、例えば、第2の無線通信システムにおいて下りリンクの通信が行われる期間において、第2の無線通信システムの第2の周波数帯と、周波数領域において十分に離間した周波数リソースを用いて、第1の端末装置102による上りリンクの信号の送信が行われるようにしうる。すなわち、第1の端末装置102の周囲において、第2の無線通信システムの信号の受信電力が十分でない場合に、その第2の無線通信システムにおいて下りリンク信号が送信されうる周波数リソースに漏れ込む電力がなくなる又は十分に小さくなるようなスケジューリングが行われるようにしうる。スケジューリングは、例えば、時間リソースや周波数リソースの調整により、第2の無線通信システムにおいて下りリンク信号が送信されうる周波数リソースに漏れ込む信号成分の電力が所定値以下となるように行われうる。なお、第1の無線通信システムにおけるスケジューリングが行われるのではなく、第2の無線通信システムにおけるスケジューリングが行われるようにしてもよい。例えば、第1の端末装置102が信号を送信した場合に一定レベル以上の電力で干渉が発生する無線リソースが第2の無線通信システムにおいて下りリンクの通信に使用されないように、第2の無線通信システムにおけるスケジューリングが行われるようにしてもよい。
【0015】
本実施形態では、上述のような制御を行うために、例えば第1の端末装置102が第1の基地局装置101に接続する際の無線リソース制御(RRC)メッセージによって、第2の無線通信システムの測定に関する設定情報が、第1の基地局装置101から第1の端末装置102へ通知される。すなわち、第1の基地局装置101は、第2の無線通信システムにおいて使用される周波数帯の測定のための設定情報を、RRCメッセージ内の情報要素(IE)を用いて、第1の端末装置102へ通知する。第1の端末装置102は、RRCメッセージを解析して、他の無線通信システムの測定のための情報を含んだIEから、測定の設定情報を取得する。なお、RRCメッセージを用いた設定情報の通知は一例であり、例えば、ブロードキャスト信号を用いて、接続状態の端末装置のみならず非接続状態の端末装置に対しても設定情報が通知されてもよい。
【0016】
RRCメッセージを用いて設定情報が通知される場合、例えば、RRCメッセージのMeasObjectNR、MeasObjectCLI、MeasReportの少なくともいずれかによって、その設定情報が通知されうる。また、他の無線通信システム(例えば他の通信事業者によって提供される無線通信システム)の測定の設定情報を通知するためにRRCメッセージに含められる、新たなIEが定義されてもよい。
【0017】
ここで、設定情報は、例えば、測定が行われるべき周波数帯を示す情報を含みうる。ここでの周波数帯の情報は、例えば、第2の無線通信システムで使用される第2の周波数帯の情報を含みうる。なお、測定が行われるべき周波数帯を示す情報は、例えば、周波数帯の下端及び上端の周波数を示す情報や、周波数帯に事前に割り当てられたインデクスなど、周波数帯を特定可能な任意の情報でありうる。また、設定情報は、例えば、第2の周波数帯などの測定が行われるべき周波数帯の中で、特に測定対象とする所定の周波数を示す情報を含んでもよい。この所定の周波数を示す情報は、例えば、Absolute Radio-Frequency Channel Number(ARFCN)を含みうる。一例において、第2の無線通信システムにおけるNR-ARFCNが、所定の周波数を示す情報として通知されてもよい。また、設定情報は、測定が行われるべき周波数帯(例えば第2の周波数帯)の帯域幅を含んでもよい。また、設定情報は、測定対象とする信号を示す情報を含みうる。なお、測定対象とする信号を示す情報は、一例において、その信号が送信される時間リソース及び周波数リソースの位置を示す情報でありうる。この時間リソースの位置は、例えば、フレーム番号や時刻情報などの時間リソースを直接指定する情報であってもよいし、基準となるフレームや時刻からのオフセット値などの時間リソースを間接指定する情報であってもよい。また、時間リソースの位置は、周期情報を含んでもよい。また、周波数リソースの位置は、周波数の値やリソースブロックのインデクスなど周波数リソースを直接指定する情報であってもよいし、基準となる周波数(例えば、周波数帯の下端や上端の周波数など)からのオフセット値などの周波数リソースを間接指定する情報であってもよい。また、観測対象の信号が周波数ホッピングする場合に、ホッピングパターン等の情報が周波数リソースの位置を示す情報として用いられてもよい。なお、設定情報は、上述の情報のいずれか1つであってもよいし、それらの情報の2つ以上の組み合わせを含んでもよい。また、設定情報として、上述の情報以外の情報が含められてもよい。
【0018】
なお、測定対象とする信号は、例えば、第2の無線通信システムにおいて所定の周波数および時間リソースにおいて周期的に送信されることが規定されている所定の信号でありうる。所定の信号は、例えば、同期信号および物理ブロードキャストチャネルブロック(SSB)、又はNon Cell-Defined(NCD)-SSBを含みうる。なお、SSB(又は、Cell-Defined(CD)-SSB)は、システムに必須の信号である。SSBは、下りリンクの時間同期の確立や、Master Information Block(MIB)などのシステム情報の提供のために周期的に特定の周波数および時間リソースにおいて送信される。NCD-SSBは、システムにおいて必須ではないが、SSBと同様に周期的に特定の周波数および時間リソースにおいて送信されるように構成されうる信号である。また、所定の信号は、一例において、所定の参照信号であってもよい。この参照信号として、既存の参照信号が用いられてもよいし、他の無線通信システムの端末装置が測定するための新規の参照信号が定義されてもよい。なお、測定対象とする所定の信号が事前に定められている場合には、第1の基地局装置101から第1の端末装置102へ測定対象の信号を示す情報が通知されなくてもよい。
【0019】
なお、第1の基地局装置101は、その所定の信号が送信される周波数および時間リソースを特定可能とする情報を第1の端末装置102へ通知しうる。第1の基地局装置101は、所定の信号が送信される周波数および時間リソースの情報を、第2の基地局装置111から取得してもよいし、例えば第1の無線通信システムを提供する通信事業者による事前設定などを介して事前に保持しておいてもよい。なお、所定の信号が送信される周波数および時間リソースを特定可能な情報として、上述のような周波数帯の情報や周波数帯域幅の情報、ARFCNなどの所定の信号に関連する周波数の情報が用いられてもよい。すなわち、周波数帯の情報や周波数帯域幅の情報、ARFCNなどの周波数の情報によって、所定の信号が送信される周波数および時間リソースが特定可能となるように事前決定されうる。なお、第1の端末装置102は、例えば、所定の信号がSSBであり、ARFCNの情報を取得しなかった場合に、測定の対象となる周波数帯ごとにサーチを行い、SSBの検出を行うようにしてもよい。
【0020】
第1の端末装置102は、上述のようにして取得した設定情報に基づいて、第2の基地局装置111から送信された所定の信号(例えばSSBやNCD-SSB)を測定し、測定の結果を、第1の基地局装置101へ通知する。測定の結果は、例えば、所定の信号の受信電力を示す情報を含みうる。一例において、測定の結果は、測定対象の所定の信号が参照信号である場合に、参照信号受信電力(RSRP)が用いられてもよい。また、測定の結果は、同期信号に基づくSS-RSRPが用いられてもよい。また、RSRPの、所定の値(例えば以前に報告されたRSRPの測定値又は共に報告される別のRSRPの測定値)との差分値が通知されてもよい。また、測定の結果として、例えば、所定の電力以下で(又は所定の電力を超えて)所定の信号が検出された周波数帯におけるARFCN等の周波数の情報が通知されてもよい。また、所定の電力以下で(又は所定の電力を超えて)所定の信号が検出された周波数帯を特定可能な他の情報が、測定の結果として通知されてもよい。
【0021】
なお、この通知のための条件(イベント)が設定されてもよい。第1の端末装置102は、通知のための条件が満たされた場合に、測定の結果の第1の基地局装置101への通知を行うようにしてもよい。なお、第1の端末装置102は、例えば周期的に通知を行ってもよい。なお、通知のための条件は、例えば、第2の無線通信システムの所定の信号が所定の電力以下で検出されたことを含みうる。すなわち、第1の端末装置102が信号を送信した場合に所定レベル以上の干渉の影響を与えうる状況であることを条件として、第1の端末装置102から第1の基地局装置101への測定の結果の通知が行われるようにしうる。また、通知のための条件は、例えば、第2の無線通信システムの所定の信号が所定の電力を超えて検出されたことを含んでもよい。すなわち、第1の端末装置102が信号を送信しても、その信号が与える干渉レベルが第2の基地局装置111からの信号の受信電力と比して十分に低くなることを条件として、第1の端末装置102から第1の基地局装置101への測定の結果の通知が行われるようにしてもよい。また、通知のための条件は、測定のための設定情報が通知されたことによって起動される所定のタイマが満了したことを含んでもよい。すなわち、第1の端末装置102は、設定情報の取得後、一定時間が経過したことに応じて測定の結果を第1の基地局装置101へ通知するようにしてもよい。なお、通知のための条件は、例えば設定情報と共に、第1の基地局装置101から第1の端末装置102へ通知されてもよいし、例えば第1の端末装置102の製造時等に事前設定されていてもよい。また、通知のための条件は、上述の条件のうちのいずれか1つまたは複数であってもよいし、上述の条件以外の条件を含んでもよい。
【0022】
第1の基地局装置101は、上述のような測定の結果の報告を第1の端末装置102から受信すると、その測定の結果に基づいて、第1の端末装置102との通信のスケジューリングを実行する。第1の基地局装置101は、例えば、第2の基地局装置111が信号を送信する所定の時間リソースにおいて、第1の無線通信システムで使用される第1の周波数帯に含まれる所定の周波数リソースを用いて、第1の端末装置102が信号を送信することを許容するか否かを判定する。すなわち、第1の基地局装置101は、第1の端末装置102が信号を送信した場合に第2の周波数帯での通信に干渉を与えうる所定の周波数リソースを第1の端末装置102に割り当ててよいか否かを、測定の結果に基づいて判定しうる。例えば、第1の基地局装置101は、第1の端末装置102が第2の周波数帯で所定の信号を所定の電力以下で検出した場合に、上述の所定の時間リソースにおいて、その所定の周波数リソースを第1の端末装置102に割り当てるべきではないと判定しうる。この場合、第1の基地局装置101は、例えば、所定の時間リソースにおいて、所定の周波数リソースと異なる別の周波数リソースを第1の端末装置102の信号送信に割り当ててもよいし、その所定の時間リソースの間は第1の端末装置102の信号送信を許容しないようにしてもよい。また、第1の基地局装置101は、その所定の時間リソースにおいて、第1の端末装置102に対する下りリンクの信号送信を行うようにしてもよい。このように、第1の基地局装置101は、第1の端末装置102の信号送信によって第2の無線通信システムに与える干渉の影響が十分に小さくなるように、スケジューリングを行い、そのスケジューリングに従って第1の端末装置102との通信を行う。なお、これは一例であり、第1の基地局装置101は、例えば第2の基地局装置111に測定の結果を通知して、その所定の時間リソースにおいて信号を送信させないようにしてもよい。
【0023】
本実施形態では、以上のように、第1の端末装置102が第2の無線通信システムにおける下りリンクの信号を測定することを可能とし、その測定の結果に基づいて、第1の端末装置102のスケジューリングが行われるようにする。これにより、第1の端末装置102の信号送信による第2の無線通信システムにおける通信(特に下りリンクの通信)に与える影響を抑制することが可能となる。
【0024】
(装置構成)
図2を用いて、第1の基地局装置101および第1の端末装置102のハードウェア構成例について説明する。第1の基地局装置101および第1の端末装置102は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、第1の基地局装置101および第1の端末装置102が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、LTEや5Gの無線通信用の回路によって構成される。なお、図2では、1つの通信回路305が図示されているが、第1の基地局装置101および第1の端末装置102は複数の通信回路を有しうる。例えば、第1の基地局装置101および第1の端末装置102は、LTE用および5G用の無線通信回路と共通のアンテナを有しうる。なお、第1の基地局装置101および第1の端末装置102は、LTE用のアンテナと5G用のアンテナとを別個に有してもよい。また、第1の基地局装置101は、例えば他の基地局装置やネットワークノードとの通信のための有線通信用の通信回路を有してもよく、第1の端末装置102は、無線LAN等の他の無線通信システムのための通信回路を有してもよい。なお、第1の基地局装置101および第1の端末装置102は、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路205を有してもよいし、それらの周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路205を有してもよい。
【0025】
図3は、第1の端末装置102の機能構成例を示す図である。第1の端末装置102は、その機能として、例えば、設定情報取得部301、測定部302、測定結果通知部303、及び、通信制御部304を含んで構成される。なお、これらの機能部は、例えば、プロセッサ201が、ROM202や記憶装置204に記憶されたプログラムを実行することによって実現されうる。なお、第1の端末装置102が実行すべき処理については上述したため、ここでは第1の端末装置102の機能構成を大まかに概説するにとどめ、詳細については繰り返さない。
【0026】
設定情報取得部301は、第1の端末装置102が属する第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムの第2の基地局装置111から送信された信号を測定するための設定情報を、第1の基地局装置101から取得する。この設定情報は、上述のように、第2の基地局装置111から所定の周波数および時間リソースにおいて周期的に送信される所定の信号を第1の端末装置102が測定することを可能とするための情報である。なお、第1の端末装置102において、第2の基地局装置111から送信される所定の信号の情報が事前に保持されている場合や、特定の情報なしに所定の信号を検出可能である場合には、例えば、他のシステムの信号を測定すべきことを示す情報のみが、設定情報として取得されてもよい。設定情報取得部301は、設定情報と共に、測定結果を通知するための条件を示す情報を取得してもよい。なお条件を示す情報は、設定情報の一要素として通知されてもよい。測定部302は、設定情報取得部301によって取得された設定情報に基づいて、第2の基地局装置111から送信された所定の信号(例えばSSBやNCD-SSBなど)を測定する。測定部302は、例えば、所定の信号の受信電力レベルを測定する。測定結果通知部303は、測定部302による測定の結果を第1の基地局装置101へ通知する。なお、測定結果通知部303は、測定の結果を通知するための条件が設定されている場合には、その条件が満たされたことを契機に、測定の結果を第1の基地局装置101へ通知する。通信制御部304は、測定の結果に基づいて第1の基地局装置101によって行われたスケジューリングに従って、第1の基地局装置101との間で通信を行うように制御する。
【0027】
図4は、第1の基地局装置101の機能構成例を示す図である。第1の基地局装置101は、その機能として、例えば、設定情報通知部401、測定結果受信部402、及び、スケジューリング部403を含んで構成される。なお、これらの機能部は、例えば、プロセッサ201が、ROM202や記憶装置204に記憶されたプログラムを実行することによって実現されうる。なお、第1の基地局装置101が実行すべき処理については上述したため、ここでは第1の基地局装置101の機能構成を大まかに概説するにとどめ、詳細については繰り返さない。
【0028】
設定情報通知部401は、第1の基地局装置101が属する第1の無線通信システムとは異なる第2の無線通信システムの第2の基地局装置111から送信された信号を第1の端末装置102が測定するための設定情報を、第1の端末装置102へ通知する。この設定情報は、上述のように、第2の基地局装置111から所定の周波数および時間リソースにおいて周期的に送信される所定の信号を第1の端末装置102が測定することを可能とするための情報である。なお、第1の端末装置102において、第2の基地局装置111から送信される所定の信号の情報が事前に保持されている場合や、特定の情報なしに所定の信号を検出可能である場合には、例えば、他のシステムの信号を測定すべきことを示す情報のみが、設定情報として通知されてもよい。また、設定情報通知部401は、設定情報と共に、測定結果を通知するための条件を示す情報を取得してもよい。なお、条件を示す情報は、設定情報の一要素として通知されてもよい。測定結果受信部402は、通知した設定情報に基づいて第1の端末装置102によって行われた第2の基地局装置111からの信号の測定の結果を、第1の端末装置102から受信する。スケジューリング部403は、測定の結果に基づいて、第1の端末装置102から送信される信号が第2の無線通信システムの通信に与える影響を推定する。そして、スケジューリング部403は、第2の基地局装置111が信号を送信する所定の時間リソースにおいて、第1の端末装置102が信号を送信した場合に第2の周波数帯へ所定レベルの干渉を与えうる無線リソースを、その第1の端末装置101の信号送信に割り当てることが許容されるか否かを判定する。スケジューリング部403は、その判定結果に基づいて、第1の端末装置102の通信のためのスケジューリングを行う。なお、これらは一例であり、第1の基地局装置101は、第2の基地局装置111との間で交渉を行い、第1の端末装置102が信号を送信する期間において、第2の基地局装置111が、第1の端末装置102の送信信号による影響を所定レベルで受ける周波数リソースでは信号を送信しないようにしてもよい。すなわち、測定の結果の利用方法は様々なバリエーションが存在し、スケジューリング部403は、通常の手順と同様にして、第1の端末装置102の通信をスケジューリングしてもよい。
【0029】
(処理の流れ)
続いて、図5を用いて、第1の無線通信システムに属する第1の基地局装置101及び第1の端末装置102において実行される処理の流れの例について説明する。なお、第1の基地局装置101及び第1の端末装置102が実行する処理については、上述の通りであるため、ここでは処理の流れを概説するにとどめ、その詳細については繰り返さない。
【0030】
まず、第1の基地局装置101は、自装置及び第1の端末装置102が属さない(また、第1の端末装置102が接続しないことが想定される)第2の無線通信システムにおいて送信されることとなっている下りリンクの所定の信号を観測するように、第1の端末装置102に指示を送信する。このときに、第1の基地局装置101は、第1の端末装置102に対して測定を可能とする設定情報を送信する(S501)。なお、第1の基地局装置101は、例えば、第1の端末装置102が接続処理を実行する際のRRCメッセージによってこの指示及び設定情報の送信を行い、接続状態の第1の端末装置102によって測定が行われるようにしうる。ただし、これは一例であり、例えば、RRC_Idle状態の端末装置において第2の無線通信システムの下りリンクの信号を観測してログとして記憶しておき、接続状態となった際にそのログを通知するように第1の端末装置102を構成してもよい。この場合、第1の基地局装置101は、第1の端末装置102が接続状態となった間に、ログを取得するための設定情報を通知してもよいし、RRC_Idle状態の第1の端末装置102が設定情報を取得することができるようにシステム情報によってその設定情報を通知してもよい。端末装置102は、S501において通知された設定情報を保持し、その設定情報に基づく測定を実行可能な状態とする(S502)。
【0031】
その後、第2の無線通信システムに属する第2の基地局装置111から所定の信号が送信され(S503)、第1の端末装置102は、設定情報を用いてその所定の信号を測定する(S504)。なお、ここでの所定の信号はSSB又はNCD-SSBであるものとするが、これら以外の信号が所定の信号として用いられてもよい。第1の端末装置102は、S504における測定の結果を、第1の基地局装置101へ報告する(S506)。なお、第1の端末装置102は、例えばS501において測定の結果の通知を行う条件を取得した場合や、例えば規格等によって事前にそのような条件が設定されている場合には、その条件が満たされていることを確認してから(S505)、測定結果の報告を行いうる(S506)。
【0032】
第1の基地局装置101は、測定の結果を受信すると、その測定の結果に基づいて、第1の端末装置102の通信のためのスケジューリングを行い、第1の端末装置102の通信に割り当てるリソースを決定する(S507)。なお、第1の基地局装置101は、例えば測定の結果の通知条件が設定されている場合に、その測定の結果が通知されなかった場合には、条件が満たされなかった(例えば、第1の端末装置102において、所定電力以下の第2の無線通信システムの所定の信号は検出されなかった)と判定して、その判定結果に基づくスケジューリングを実行しうる。第1の基地局装置101は、その決定したスケジューリングに従って、下りリンクの信号送信及び上りリンクの信号受信のためのリソースを第1の端末装置102に割り当てて(S508)、そのリソース割り当てに従って通信を行う(S509)。
【0033】
このように、本実施形態では、第1の端末装置102が、自装置が属さない(接続することが想定されていない)第2の無線通信システムにおける下りリンクの信号を測定して、第1の基地局装置101(第1の無線通信システムのネットワーク)にその測定結果を通知することを可能とする。そして、第1の無線通信ネットワークは、第1の端末装置102が送信した信号によって第2の無線通信システムにおいて第2の端末装置112が受信する信号に対して与える干渉の影響を考慮して、第1の端末装置102の(特に上りリンクの)通信に対するリソース割り当てを決定する。これにより、例えば隣接する周波数帯を用いる他の無線通信システムにおける通信へ与える影響を抑制しながら、セルラ通信システムを柔軟に運用することが可能となり、よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0034】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5