(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106123
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】飲料冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20230725BHJP
B67D 1/08 20060101ALI20230725BHJP
F28D 7/02 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
F25D11/00 102G
B67D1/08 A
F28D7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007264
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】泉川 尚斗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐真
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢二
【テーマコード(参考)】
3E082
3L045
3L103
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB03
3E082CC01
3E082EE04
3L045AA01
3L045BA01
3L045CA01
3L045DA02
3L045GA02
3L045PA04
3L103CC02
3L103DD05
(57)【要約】
【課題】冷却水槽内でコイル状に巻回された複数の飲料冷却管を備えた飲料冷却装置において、冷却水槽の内周面に配設した蒸発管の周囲に形成される蓄氷部の上下位置で氷の厚みの偏りを生じにくくする。
【解決手段】飲料冷却装置10は、冷却水槽20の内周面に螺旋状に配設された蒸発管31の内側にコイル状に巻回されて径方向に同軸的に並ぶように配設された複数の飲料冷却管22A~22Cとを備え、径方向の内側の飲料冷却管22B,22Cには、撹拌羽根43より下側位置に径方向の最も外側の飲料冷却管22Aの内周側に冷却水を通過させるコイル状の巻き間隔が広い疎巻部22Bd,22Cdが形成され、径方向の最も外側の飲料冷却管22Aには、撹拌羽根43より下側に撹拌羽根43による水流が通過しにくいコイル状の巻き間隔が狭い密巻部22Aaと、冷却水槽20内の底部の位置で冷却水を外側に通過させる冷却水通路25とが形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水を貯える冷却水槽と、
前記冷却水槽の内周面に螺旋状に配設されて周囲に冷却水を凍結させて蓄氷部を形成させる蒸発管と、
螺旋状の蒸発管の内側にて鉛直方向の中心軸でコイル状に巻回されて径方向に同軸的に並ぶように配設された複数の飲料冷却管と、
径方向の最も内側に配置されるコイル状の飲料冷却管の内側に回転可能に配設されて冷却水を下方に流す水流を発生させる撹拌羽根を有した撹拌装置とを備えた飲料冷却装置であって、
径方向の最も外側に配置される飲料冷却管より内側に配置される飲料冷却管には、前記撹拌羽根より下側位置に径方向の最も外側に配置される飲料冷却管の内周側に冷却水を通過させるコイル状の巻き間隔が広い疎巻部が形成され、
前記径方向の最も外側に配置される飲料冷却管には、前記撹拌羽根より下側位置に冷却水が通過しにくいコイル状の巻き間隔が狭い密巻部と、前記冷却水槽内の底部の位置で冷却水を外側に通過させる冷却水通路とが形成されたことを特徴とする飲料冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料冷却装置において、
前記冷却水槽内の底部には前記径方向の最も外側に配置される飲料冷却管より内側に配置される飲料冷却管の下部から冷却水が外側に流れるのを抑制するガイド手段を設けたことを特徴とする飲料冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール等の飲料を冷却水槽内に配設したコイル状の飲料冷却管を通過させることで冷却する飲料冷却装置に関し、径方向に同軸的に並ぶように配設された複数の飲料冷却管を備えた飲料冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはビール等の冷えた飲料を連続的に吐出させる発泡液吐出装置(飲料冷却装置)の発明が開示されている。特許文献1の発泡液吐出装置は、冷却水を貯える水槽と、水槽内の内周部に配設されて冷却水を冷却して蓄氷部を形成する蒸発管と、水槽内にて同軸状に配設された螺旋状の内側及び外側冷却コイル(飲料冷却管)と、冷却コイルの螺旋中心(径方向の中心部)に配設されて冷却水を撹拌して下方への水流を発生させる撹拌翼とを備えている。内側及び外側冷却コイルの各々にはビール等の飲料を充填した樽が接続され、各樽から供給される飲料は内側または外側冷却コイルで冷却されてバルブから注出される。
【0003】
特許文献1の
図1に示されている発泡液吐出装置においては、内側及び外側冷却コイルは飲料の流れの上流部が水槽の底部側に配設され、水槽の底部側に配設される内側及び外側冷却コイルの上流部は下流部よりも配管ピッチが疎(疎巻部)に形成されている。水槽の底部側に配設される内側及び外側冷却コイルの上流部は下流部よりも配管ピッチが疎に形成されているので、撹拌翼による撹拌によって下方に流れる冷却水は配管と配管との間を流れるようになり、内側及び外側冷却コイルの上流部を流れる飲料は疎に形成された部分の配管と配管との間を流れる冷却水によって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の
図1に示されている発泡液吐出装置においては、水槽の底部側に配設される内側及び外側冷却コイルの上流部は下流部よりも配管ピッチが疎に形成されているので、内側及び外側冷却コイルの上流部を流れる飲料は疎に形成されている部分を通過する冷却水によって冷却される。しかし、撹拌翼により下方に流れる冷却水は、内側及び外側冷却コイルの疎にした部分の上部を流れやすく、撹拌翼から離れた疎にした領域の下部を流れにくくなる。水槽の内周面に沿って設けた蒸発管の周囲に形成される蓄氷部は配管ピッチの疎に形成した領域の上部と対向する位置で厚みが減りやすいのに対し、配管ピッチの疎に形成した領域の下部と対向する位置で厚みが減りにくく、蓄氷部の上下方向で氷の厚みの偏りが生じることになる。蓄氷部の上下方向で氷の厚みの偏りが生じると、蓄氷部の下部が外側冷却コイルと接触するまで厚くなり、外側冷却コイル内の飲料が凍結するおそれがある。本発明は、冷却水槽内でコイル状に巻回されて径方向に同軸的に並ぶように配設された複数の飲料冷却管を備えた飲料冷却装置において、冷却水槽の内周面に配設した蒸発管の周囲に形成される蓄氷部の上下方向の位置によって氷の厚みの偏りが生じにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、冷却水を貯える冷却水槽と、冷却水槽の内周面に螺旋状に配設されて周囲に冷却水を凍結させて蓄氷部を形成させる蒸発管と、螺旋状の蒸発管の内側にて鉛直方向の中心軸でコイル状に巻回されて径方向に同軸的に並ぶように配設された複数の飲料冷却管と、径方向の最も内側に配置されるコイル状の飲料冷却管の内側に回転可能に配設されて冷却水を下方に流す水流を発生させる撹拌羽根を有した撹拌装置とを備えた飲料冷却装置であって、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管より内側に配置される飲料冷却管には、撹拌羽根より下側位置に径方向の最も外側に配置される飲料冷却管の内周側に冷却水を通過させるコイル状の巻き間隔が広い疎巻部が形成され、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管には、撹拌羽根より下側位置に冷却水が通過しにくいコイル状の巻き間隔が狭い密巻部と、冷却水槽内の底部の位置で冷却水を外側に通過させる冷却水通路とが形成されたことを特徴とする飲料冷却装置を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した飲料冷却装置においては、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管より内側に配置される飲料冷却管には、撹拌羽根より下側位置に径方向の最も外側に配置される飲料冷却管の内周側に冷却水を通過させるコイル状の巻き間隔が広い疎巻部が形成され、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管には、撹拌羽根より下側位置に冷却水が通過しにくいコイル状の巻き間隔が狭い密巻部と、冷却水槽内の底部の位置で冷却水を外側に通過させる冷却水通路とが形成されている。
【0008】
冷却水槽内の冷却水は径方向の最も内側に配置されるコイル状の飲料冷却管の内側で回転する撹拌羽根により遠心力が付与された状態で下方へ流れ、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管より内側に配置される飲料冷却管の疎巻部を通過して径方向の最も外側に配置される飲料冷却管の密巻部の内側を下方に流れる。径方向の最も外側に配置される飲料冷却管の密巻部の内側を下方に流れた冷却水は、冷却水槽の底部の位置の冷却水通路を通って外側に流れ、外側に流れた冷却水は冷却水槽の内周面に配設された蒸発管の周囲に形成される蓄氷部に沿って上昇する。このように、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管の上下方向の中間部から蓄氷部の上下方向の中間部に冷却水が直接流れず、複数の飲料冷却管を冷却した冷却水は冷却水槽の底部の冷却水通路から外側に流れてから、蒸発管の周囲に形成される蓄氷部に沿って上昇するので、蓄氷部は上下方向で局部的に氷の厚みに偏りが生じにくくなる。さらに、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管よりも内側に配置される飲料冷却管を通過する飲料は疎巻部を通る冷却水により冷却され、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管は密巻部に沿って下方に流れる冷却水により冷却され、複数の飲料冷却管を通過する飲料は径方向の位置によって冷却の程度に差異が生じにくくなる。
【0009】
上記のように構成した飲料冷却装置においては、冷却水槽内の底部には径方向の最も外側に配置される飲料冷却管より内側に配置される飲料冷却管の下部から冷却水が外側に流れるのを抑制するガイド手段を設けるのが好ましい。このようにしたときには、撹拌羽根により遠心力が付与された状態で下方へ流れる冷却水は、ガイド手段によって冷却水槽内の底部にて径方向の最も外側に配置される飲料冷却管より内側に配置される飲料冷却管から外側に流れが抑制され、内側に配置される飲料冷却管の疎巻部から複数の飲料冷却管の間に流入した冷却水は上側にも流れるようになる。これにより、複数の飲料冷却管を通過する飲料は疎巻部の上側に流入する冷却水によっても冷却されるようになり、飲料の冷却効率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の飲料冷却装置の一実施形態である飲料ディスペンサを示す斜視図である。
【
図2】左右方向の中央部の前後方向に沿った縦断面図である。
【
図3】
図2の冷却水槽内の上部を拡大した一部拡大断面図である。
【
図4】
図2の冷却水槽内の下部を拡大した一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明による飲料冷却装置の一実施形態である飲料ディスペンサを図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示したように、飲料ディスペンサ10は、ビール等の飲料を冷却水槽20内に配設したコイル状の飲料冷却管22(22A~22C)を通過させることで冷却して注出するものであり、コイル状の3つ(複数)の飲料冷却管22(22A~22C)を径方向にて同軸的に並ぶように配設したものであって、各飲料冷却管22(22A~22C)で冷却された飲料をハウジング11の前面に設けた注出コック50から注出可能としたものである。
【0012】
図2に示したように、飲料ディスペンサ10は、ハウジング11内の上部に冷却水槽20と、ハウジング11の下部の機械室12に冷却水槽20内の冷却水を冷却する冷凍装置30とを備えている。冷却水槽20は飲料を冷却する冷却水を貯えるものであり、上面が開口した略直方体形状をしている。冷却水槽20の外周面には断熱材21が設けられており、冷却水槽20内の冷却水は断熱材21によって温度が保たれやすくなっている。
【0013】
冷凍装置30は、冷却水槽20内の冷却水を冷却するものであり、機械室12内に冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮した冷媒ガスを冷却する凝縮器と、液化冷媒を膨張させる膨張手段としてキャピラリチューブ(何れも図示省略)とを備え、冷却水槽20の内周面に螺旋状に巻回されて膨張させた液化冷媒を気化させて冷却水を冷却する蒸発管31を備え、これらを連結して冷媒が循環する冷媒回路を構成している。冷凍装置30で冷媒を循環させたときには、冷却水槽20内の冷却水は蒸発管31に循環供給される液化冷媒が気化するときの気化熱により冷却され、冷却水槽20内の冷却水は蒸発管31の周囲で凍結して氷が形成される。冷却水槽20内には蒸発管31の周囲に形成される氷の厚みを検知する氷厚検知器(図示省略)が設けられている。冷凍装置30は氷厚検知器により検知された氷の厚みに基づいて運転制御されており、蒸発管31の周囲には所定の厚みの氷層よりなる蓄氷部Iが形成される。なお、蓄氷部Iは蒸発管31の周囲にて最も外側に配置される飲料冷却管22Aと接触しない厚みとなっている。
【0014】
図2に示したように、冷却水槽20内には螺旋状の蒸発管31の内側にコイル状に巻回された3つ(複数)の飲料冷却管22(22A~22C)が配設されており、飲料はこれらの飲料冷却管22(22A~22C)を通過するときに冷却される。3つの飲料冷却管22(22A~22C)は中心軸が鉛直方向に延びるようにして冷却水槽20の水平方向の中心部にて同軸的に配置されている。
【0015】
図2に示したように、冷却水槽20には冷却水を撹拌する撹拌装置40が設けられており、飲料冷却管22内を通過する飲料は冷却水槽20内で撹拌される冷却水によって冷却される。撹拌装置40は、冷却水槽20の上側の水平方向の略中央部に撹拌モータ41と、撹拌モータ41から冷却水槽20内にて下方に延びる回転シャフト42と、冷却水槽20内にて回転シャフト42の先端に設けた撹拌羽根43と、撹拌モータ41の下側に設けられた円筒形の網材を用いて撹拌モータ41の回転による渦の発生を抑える網筒体44とを備えている。回転シャフト42は冷却水槽20内で最も内側に配置される飲料冷却管22Cの内側で下方に延び、撹拌羽根43は冷却水槽20内にて最も内側に配置される飲料冷却管22Cの内側の上下方向の中間部に配設されている。
【0016】
冷却水槽20内で撹拌モータ41により撹拌羽根43を回転させると、撹拌羽根43は冷却水槽20内の上部の冷却水を外側への遠心力を付与させた状態で下方に流す水流F1を発生させている。冷却水槽20内の冷却水は、撹拌羽根43の回転によって径方向の最も内側に配置される飲料冷却管22Cの内側で下方に流れ(水流F1として示した)、冷却水槽20の底部から径方向の最も外側に配置される飲料冷却管20Aの外側を上昇し(水流F2として示した)、最も内側に配置される飲料冷却管22Cの内側と最も外側に配置される飲料冷却管22Aの外側との間を循環する。各飲料冷却管22A~22Cを通過する飲料は冷却水槽20内を循環する冷却水によって冷却される。
【0017】
図2に示したように、3つの飲料冷却管22(22A~22C)は、螺旋状の蒸発管31の内側にて鉛直方向の中心軸でコイル状に巻回されており、径方向に同軸的に並ぶように配設されている。各飲料冷却管22A~22Cの飲料の導入端部は冷却水槽20の底部からハウジング11の外側にて炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガスによって加圧状態のビア樽等の飲料容器(図示省略)に接続され、各飲料冷却管22A~22Cの飲料の導出端部は冷却水槽20の上部にてハウジング11の前面に左右に並んで設けられた注出コック50に接続されている。冷却水槽20内には3つの飲料冷却管22A~22Cを固定するためのブラケット23と脚部24が設けられており、各飲料冷却管22A~22Cの下側(下端部)にはこれらのブラケット23と脚部24とによって冷却水槽20の底部の位置に冷却水通路25が形成されている。なお、冷却水槽20内の底部にて各飲料冷却管22A~22Cの下端部に疎巻部を形成して、この疎巻部を冷却水が通過するための冷却水通路を形成するようにしてもよい。
【0018】
各飲料冷却管22A~22Cは、管材をコイル状に巻回したときの巻き間隔が狭い密巻部と、管材をコイル状に巻回したときの巻き間隔が広い疎巻部とを備え、密巻部は管材間を冷却水が通過しにくくなっており、疎巻部は管材間を冷却水が通過可能となっている。
図2~
図4に示したように、3つの飲料冷却管22A~22Cには撹拌羽根43と略同じ高さ位置として、撹拌羽根43と略同じ高さを含む撹拌羽根43の上下の領域に帯状の密巻部22Aa~22Caが形成されており、密巻部22Aa~22Caは撹拌羽根43による水流を水平方向に拡散させにくくして下方へ流すようにするとともに、最も内側に配置される飲料冷却管22Cの内側で撹拌羽根43の上下で差圧を発生させやすくしている。密巻部22Aa~22Caの上端の高さ位置は、径方向の外側に配置されるものが高く、径方向の内側に配置されるものが低くなっている。すなわち、最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの上端の高さ位置は径方向の外側から2番目に配置される飲料冷却管22Bの密巻部22Baの上端の高さ位置よりも高く、径方向の外側から2番目に配置される飲料冷却管22Bの密巻部22Baの上端の高さ位置は最も内側に配置される飲料冷却管22Cの密巻部22Caの上端の高さ位置よりも高くなっている。
【0019】
図2及び
図3に示したように、各飲料冷却管22A~22Cの密巻部22Aa~22Caの上側には帯状の疎巻部22Ab~22Cbが形成されており、疎巻部22Ab~22Cbは冷却水槽20内の上部にて蒸発管31の周囲の蓄氷部Iを通過した冷却水を撹拌羽根43の上側に導く通路として機能している。冷却水槽20内にて蒸発管31の周囲に形成された蓄氷部Iで冷却された冷却水は
図3に示した水流F3として疎巻部22Ab~22Cbを通って回転する撹拌羽根43に吸い込まれる。最も外側に配置される飲料冷却管22Aの疎巻部22Abは密巻部22Aaの上側から蒸発管31の上部位置まで形成されている。径方向の内側に配置される飲料冷却管22B,22Cの疎巻部22Bb,22Cbは、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aの疎巻部22Abと撹拌羽根43の上側とを結ぶ経路上に形成されている。径方向の外側から2番目に配置される飲料冷却管22Bの疎巻部22Bbは最も外側に配置される飲料冷却管22Aの疎巻部22Abよりも低い高さ位置に形成され、径方向の内側に配置される飲料冷却管22Cの疎巻部22Cbは径方向の外側から2番目に配置される飲料冷却管22Bの疎巻部22Bbよりも低い高さ位置に形成されている。これらの疎巻部22Ab~22Cbが蒸発管31の上部から撹拌羽根43の上側を結ぶ経路上で斜めに並んで配置されている。冷却水槽20内の冷却水は蒸発管31の周囲の蓄氷部Iを通過してから
図3に示した水流F3のように疎巻部22Ab~22Cbを通って撹拌羽根43の上側に吸い込まれ、飲料冷却管22A~22Cの上部を通過する飲料は疎巻部22Ab~22Cbを通過する冷却水によって冷却される。
【0020】
図2及び
図3に示したように、径方向の外側から2番目に配置される飲料冷却管22Bと径方向の最も内側に配置される飲料冷却管22Cの上部には疎巻部22Bb,22Cbより上側に上部密巻部22Bc,22Ccが形成されており、上部密巻部22Bc,22Ccは撹拌羽根43を回転させたときに径方向の最も内側に配置される飲料冷却管22Cの外側で渦の発生を抑制し、撹拌羽根43が渦による空気を巻き込むのを抑制する機能を有している。なお、この実施形態では、径方向の外側から2番目に配置される飲料冷却管22Bと径方向の最も内側に配置される飲料冷却管22Cの上部には疎巻部22Bb,22Cbより上側に上部密巻部22Bc,22Ccが形成されているが、少なくとも、径方向の最も内側に配置される飲料冷却管22Cの上部に上部密巻部22Ccが形成されていれば、径方向の最も内側に配置される飲料冷却管22Cの外側で渦の発生を抑制し、撹拌羽根43が渦による空気を巻き込むのを抑制することができる。
【0021】
図2及び
図3に示したように、径方向に並んで配置される3つの飲料冷却管22A~22Cは、外側に配置されるものの上端の高さ位置を内側に配置されるものの上端の高さ位置よりも低くしている。すなわち、最も外側に配置される飲料冷却管22Aの上端の高さ位置が最も低く、径方向の外側から2番目に配置される飲料冷却管22B、径方向の最も内側に配置される飲料冷却管22Cの上端の高さが順に高くなっている。冷却水槽20内にて径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aの外側と蒸発管31の周囲に形成される蓄氷部Iとの間を上昇する冷却水は、上述した水流F3によって疎巻部22Ab~22Cbを通過するだけでなく、水流F4により飲料冷却管22A~22Cの上端から内側にも流入する。
【0022】
径方向に並んで配置される3つの飲料冷却管22A~22Cは、外側に配置されるものの上端の高さ位置を内側に配置されるものの上端の高さ位置よりも低くしているので、冷却水は、飲料冷却管22Aの上端から内側に流入するだけでなく、外側に配置される飲料冷却管22Aの上端部によって妨げられることなく内側に配置される飲料冷却管22Bの上端から内側に流入し、外側に配置される飲料冷却管22A,22Bの上端部によって妨げられることなく内側に配置される飲料冷却管22Cの上端から内側に流入する。このように、冷却水は、飲料冷却管22A~22Cの上端から内側に流入するので、各飲料冷却管22A~22Cの上部を通過する飲料を径方向の位置に関わらず効率よく冷却することができる。
【0023】
図2及び
図4に示したように、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aは、上述した密巻部22Aaが撹拌羽根43の上下の領域に加えて飲料冷却管22Aの下端まで連続して形成されている。径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aより内側に配置される飲料冷却管22B,22Cには、密巻部22Ba,22Caより下側位置に最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの撹拌羽根43より下側位置の内周側に向けて冷却水を通過させるための疎巻部22Bd,22Cdが形成されている。冷却水槽20内の冷却水は最も内側に配置される飲料冷却管22Cの内側で回転する撹拌羽根43により遠心力が付与された状態で下方へ流れる。外側への遠心力が付与された状態で下方へ流れる冷却水は、
図4に示した水流F5により飲料冷却管22B,22Cの疎巻部22Bd,22Cdを通過して最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの内側に流れ、
図4に示した水流F6として最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの内側に沿って下方に流れる。飲料冷却管22B,22Cを通過する飲料は疎巻部22Bd,22Cdの間を流れる冷却水により冷却され、最も外側に配置される飲料冷却管22Aを通過する飲料は密巻部22Aaの内側に沿って流れる冷却水により冷却され、3つの飲料冷却管22A~22Cを通過する飲料は、径方向の位置によって冷却の程度に差異が生じにくくなる。なお、最も内側に配置される飲料冷却管22Cの密巻部22Caの下端位置は撹拌羽根43の少し下側位置で、撹拌羽根43の上下で十分な差圧を発生させることができ、撹拌羽根43による下方への水流に遠心力が十分に残る高さ位置に設定されている。
【0024】
また、最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの内側に沿って下方に流れる冷却水は冷却水槽20の底部にて最も外側に配置される飲料冷却管22Aの下側(下端部)に形成された冷却水通路25を通って外側に流れ、外側に流れた冷却水は水流F2として冷却水槽20の内周面に配設された蒸発管31の周囲に形成される蓄氷部Iに沿って上昇する。このように、最も外側に配置される飲料冷却管22Aの上下方向の中間部から蓄氷部Iの上下方向の中間部に冷却水が直接流れず、3つの飲料冷却管22A~22Cの下部を冷却した冷却水は冷却水槽20の底部から外側に流れてから蒸発管31の周囲に形成される蓄氷部Iに沿って上昇するので、蓄氷部Iは上下方向で局部的に氷の厚みに偏りが生じにくくなる。
【0025】
図2及び
図4に示したように、冷却水槽20内の底部には、飲料冷却管22Bの下部から冷却水が外側に流れるのを抑制するガイド手段として円筒形状のガイド筒26が設けられている。ガイド筒26は脚部24の下端部に設けたフランジ24aの上側に当接した状態で支持されており、ガイド筒26の下側には冷却水が通過する狭い通路27が形成されている。また、ガイド筒26の上端は径方向の外側から2番目に配置される飲料冷却管22Bの下端部に離間している。このように、ガイド筒26は下側の狭い通路27からのみ冷却水を外側に通過可能としたことで、冷却水槽20の底部にて冷却水が外側に流れるのを抑制している。
【0026】
冷却水槽20内にて最も内側に配置される飲料冷却管22Cの内側で撹拌羽根43により下方に流れる冷却水は、一部が
図4に示した水流F7によってガイド筒26の下側の狭い通路27を通ってから冷却水通路25に流れるので、内側に配置される飲料冷却管22B,22Cの下部を通過する飲料は径方向の最も内側に配置される飲料冷却管22Cの下部から通路27を通過する冷却水によって冷却される。また、冷却水槽20内にて最も内側に配置される飲料冷却管22Cの内側で撹拌羽根43により下方に流れる冷却水はガイド筒26により外側に流れにくくなっているので、撹拌羽根43により遠心力が付与された状態で下方へ流れる冷却水は、冷却水槽20内の底部にて飲料冷却管22B,22Cの下側(下部)から外側に流れが抑制され、疎巻部22Bd,22Cdを通過した冷却水は
図4に示す水流F8のように上側にも流れやすくなる。なお、この実施形態ではガイド手段として円筒形状のガイド筒26を設けるようにしたが、これに限られるものでなく、飲料冷却管22B,22Cの脚部24の高さを低く、または、脚部24を使用しないようにするとともに、飲料冷却管22B,22Cの下端部にガイド手段として密巻部を形成するようにして、最も外側に配置される飲料冷却管22Aより内側に配置される飲料冷却管22B,22Cから外側に冷却水を流れにくくして、疎巻部22Bd,22Cdを通過した冷却水を上側にも流れるようにさせてもよい。
【0027】
この飲料ディスペンサ10においては、撹拌モータ41を作動させた状態で冷凍装置30を運転制御することにより、冷却水槽20内の冷却水は撹拌羽根43により撹拌されながら冷凍装置30の蒸発管31の周囲で凍結するように冷却される。冷却水槽20内の冷却水は蒸発管31の周囲で凍結して、蒸発管31の周囲には所定の厚みの氷層となる蓄氷部Iが形成される。注出コック50の操作レバー51を操作して内部の弁機構部52を開放させると、ビア樽等の飲料容器内の飲料は炭酸ガスボンベから供給される炭酸ガスの圧力によって飲料冷却管22内に送出され、送出された飲料は飲料冷却管22内を通過するときに冷却水槽20内を循環する冷却水によって冷却されて注出コック50から注出される。
【0028】
また、撹拌モータ41を作動させた状態で冷凍装置30を運転制御したときに、冷却水槽20内の冷却水は回転する撹拌羽根43により径方向の最も内側に配置される飲料冷却管22Cの内側で下方に流れる。飲料冷却管22Cの内側で下方に流れる冷却水は、撹拌羽根43による回転により遠心力が付与されるので疎巻部22Cd、22Bdを通り、最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの内側に沿って下方に流れる。飲料冷却管22B,22Cの下部を通過する飲料は疎巻部22Bd,22Cdの間を流れる冷却水により冷却され、最も外側に配置される飲料冷却管22Aの下部を通過する飲料は密巻部22Aaの内側に沿って流れる冷却水により冷却されるので、3つの飲料冷却管22A~22Cの下部を通過する飲料は、径方向の位置によって冷却の程度に差異が生じにくい。
【0029】
また、最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの内側に沿って下方に流れてから冷却水通路25を通って外側に流れた冷却水は、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aの外側と蒸発管31の周囲の蓄氷部Iとの間を上昇し、冷却水は蓄氷部Iの内側を通過するときに冷却される。蓄氷部Iを通過するときに冷却された冷却水は、撹拌羽根43と同じ高さ位置の飲料冷却管22A~22Cの密巻部22Aa~22Caの上側の疎巻部22Ab~22Cbを通って撹拌羽根43の上側に吸い込まれるとともに、上端の高さ位置の異なる飲料冷却管22A~22Cの上部を通って径方向の最も内側に配置される飲料冷却管22Cの内側に流入して撹拌羽根43の上側に吸い込まれる。このように、飲料冷却管22A~22Cの上部を通過する飲料は、疎巻部22Ab~22Cbを通る冷却水や冷却水槽20の冷却水の水面近くで飲料冷却管22A~22Cの上部を通過する冷却水により冷却され、3つの飲料冷却管22A~22Cの上部を通過する飲料は、径方向の位置によって冷却の程度に差異が生じにくくなる。
【0030】
上述したように、撹拌羽根43の回転によって飲料冷却管22Cの内側で下方に流れる冷却水は疎巻部22Cd、22Bdを通って最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの内側に沿って下方に流れ、冷却水槽20内の底部の冷却水通路25を通って飲料冷却管22Aの外側に流れる。冷却水槽20内の底部にて飲料冷却管22Aの外側に流れた冷却水は、蒸発管31の周囲に形成される蓄氷部Iに沿って蒸発管31の上部の高さ位置まで上昇し、飲料冷却管22A~22Cの密巻部22Aa~22Caの上側の疎巻部22Ab~22Cb及び飲料冷却管22A~22Cの上部を通って撹拌羽根43の上側に吸い込まれる。このように、最も外側に配置される飲料冷却管22Aの上下方向の中間部から蓄氷部Iの上下方向の中間部に冷却水が直接流れず、3つの飲料冷却管22A~22Cの下部を冷却した冷却水は冷却水槽20の底部から外側に流れてから、蒸発管31の周囲に形成される蓄氷部Iに沿って蒸発管31の上部位置まで上昇するので、蓄氷部Iは上下方向で局部的に氷の厚みに偏りが生じにくくなる。
【0031】
上記のように構成した飲料ティスペンサ(飲料冷却装置)10においては、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aより内側に配置される飲料冷却管22B,22Cには、撹拌羽根43より下側位置に径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aの内周側に冷却水を通過させるコイル状の巻き間隔が広い疎巻部22Bd,22Cdが形成され、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aには、撹拌羽根43より下側位置に冷却水が通過しにくいコイル状の巻き間隔が狭い密巻部22Aaと、冷却水槽20内の底部の位置で冷却水を外側に通過させる冷却水通路25が形成されている。
【0032】
冷却水槽20内の冷却水は径方向の最も内側に配置されるコイル状の飲料冷却管22Cの内側で回転する撹拌羽根43により遠心力が付与された状態で下方へ流れ、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aより内側に配置される飲料冷却管22B,22Cの疎巻部22Bd,22Cdを通過して径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの内側を下方に流れる。径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの内側を下方に流れた冷却水は、冷却水槽20の底部の位置で冷却水通路25を通って外側に流れ、外側に流れた冷却水は冷却水槽20の内周面に配設された蒸発管31の周囲に形成される蓄氷部Iに沿って上昇する。このように、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aの上下方向の中間部から蓄氷部Iの上下方向の中間部に冷却水が直接流れず、3つ(複数)の飲料冷却管22Aを冷却した冷却水は冷却水槽20の底部の冷却水通路25から外側に流れてから、蒸発管31の周囲に形成される蓄氷部Iに沿って上昇するので、蓄氷部Iは上下方向で局部的に氷の厚みに偏りが生じにくくなる。
【0033】
さらに、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aよりも内側に配置される飲料冷却管22B,22Cを通過する飲料は疎巻部22Bd,22Cdを通る冷却水により冷却され、径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aは密巻部22Aaに沿って下方に流れる冷却水により冷却され、3つの飲料冷却管22A~22Cを通過する飲料は径方向の位置によって冷却の程度に差異が生じにくくなる。
【0034】
冷却水槽20内にて撹拌羽根43により遠心力が付与された状態で下方へ流れる冷却水は、上述したように疎巻部22Bd,22Cdを通過して径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aの密巻部22Aaの内側を下方に流れるだけでなく、飲料冷却管22Bと飲料冷却管22Cとの間、飲料冷却管22Cの内側を下方に流れる。冷却水槽20内の底部には径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aより内側に配置される飲料冷却管22Bの下側(下部)に冷却水が外側に流れるのを抑制するガイド手段としてガイド筒26が設けられている。
【0035】
このため、飲料冷却管22Bと飲料冷却管22Cとの間、飲料冷却管22Cの内側を下方に流れる冷却水はガイド筒26の下側の狭い通路27を通るだけで外側への流れが抑制され、飲料冷却管22Bと飲料冷却管22Cとの間を上側にも流れるようになる。これにより、飲料冷却管22B,22Cの疎巻部22Bd、22Cdを通過する飲料は疎巻部22Bd、22Cdの上側に流入する冷却水によっても冷却されるようになり、飲料の冷却効率を高くすることができる。なお、この実施形態では、冷却水槽20の底部には径方向の最も外側に配置される飲料冷却管22Aより内側に配置される飲料冷却管22Bの下部から冷却水が外側に流れるのを抑制するガイド手段としてガイド筒26を設けたが、ガイド手段を設けないときであっても上述した飲料冷却管22A~22Cの下部を通過する飲料の冷却効率は十分に確保される。
【0036】
本実施形態の飲料ディスペンサ10は、3つの飲料冷却管22A~22Cを径方向に同軸的に並ぶように配置したものであるが、本発明はこれに限られるものでなく、2つ以上の飲料冷却管を径方向に同軸的に並ぶように配置したものであっても上述したものと同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0037】
10…飲料冷却装置(飲料ディスペンサ)、20…冷却水槽、22(22A~22C)…飲料冷却管、22Aa~22Ca…密巻部、22Bd,22Cd…疎巻部、25…冷却水通路、26…ガイド手段(ガイド筒)、31…蒸発管、40…撹拌装置、43…撹拌羽根。I…蓄氷部