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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106138
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 11/00 20210101AFI20230725BHJP
【FI】
G03B11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007285
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】黒木 博行
【テーマコード(参考)】
2H083
【Fターム(参考)】
2H083AA05
2H083AA15
2H083AA26
2H083AA36
(57)【要約】
【課題】撮像装置を大型化することなく、光学フィルタを撮像素子の撮像面の前方に選択的に配置する。
【解決手段】撮像装置は、撮像面22aを備える撮像素子22と、第1の光学フィルタ24を備える第1のフィルタユニット16と、第1のフィルタユニット16を、撮像面22aの法線方向である第1の方向に対して交差する第2の方向に、第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で平行移動させる駆動機構を有する。第1のフィルタリング位置が撮像面22aの前方に第1の光学フィルタ24が存在する位置であり、第1の退避位置が第1の光学フィルタ24が撮像面22aの前方から外れる位置である。駆動機構が、第1のフィルタユニット16に連結されたベルト部材40と、ベルト部材40が部分的に巻回された状態で回転し、第1のフィルタユニット16が連結されたベルト部材40の第1の部分40bを第2の方向に移動させるベルト駆動部材42を含んでいる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、
第1の光学フィルタを備える第1のフィルタユニットと、
前記第1のフィルタユニットを、前記撮像面の法線方向である第1の方向に対して交差する第2の方向に、且つ、第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で、平行移動させる駆動機構と、を有し、
前記第1のフィルタリング位置が、前記撮像素子の前記撮像面の前方に前記第1の光学フィルタが存在する位置であり、
前記第1の退避位置が、前記第1の光学フィルタが前記撮像面の前方から外れる位置であり、
前記駆動機構が、
前記第1のフィルタユニットに連結されたベルト部材、および
前記ベルト部材が部分的に巻回された状態で回転し、前記第1のフィルタユニットが連結された前記ベルト部材の第1の部分を前記第2の方向に移動させるベルト駆動部材を含んでいる、撮像装置。
【請求項2】
第2の光学フィルタを備え、前記第1のフィルタユニットと異なる前記第1の方向の位置で前記第2の方向に、且つ、第2のフィルタリング位置と第2の退避位置との間で、平行移動する第2のフィルタユニットを、さらに有し、
前記第2のフィルタリング位置が、前記撮像面の前方に前記第2の光学フィルタが存在する位置であり、
前記第2の退避位置が、前記第2の光学フィルタが前記撮像面の前方から外れる位置であり、
前記第2のフィルタユニットが、前記第1の部分の移動方向に対して逆方向に移動する前記ベルト部材の第2の部分に連結されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記ベルト部材および前記ベルト駆動部材が、前記第1および第2のフィルタユニットの前記第2の方向の移動範囲内に配置されている、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1および第2のフィルタユニットそれぞれを前記第2の方向に平行移動するようにガイドする第1および第2のガイド部材を、さらに有し、
前記第1および第2のガイド部材が、前記ベルト部材に囲まれたスペースに配置されている、請求項2または3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の光学フィルタが、光透過率が変更可能な電子式のNDフィルタであって、
前記第2の光学フィルタが、透明なガラスであって、
前記第2の光学フィルタが、前記第1の光学フィルタの光路長と同一の光路長を備える、請求項2から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記駆動機構が、前記ベルト駆動部材を回転駆動させる動力源として、前記ベルト駆動部材に連結されたモータを含んでいる、請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記モータが、前記撮像装置のグリップ部内に配置されている、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記駆動機構が、前記ベルト駆動部材を回転駆動させる動力源として、前記ベルト駆動部材に連結され、ユーザが操作するダイヤルを含んでいる、請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、撮像素子に入射する光を変化させる調光セルを備える撮像装置が開示されている。調光セルには、光学フィルタとして、印加電圧を変化させることによって光透過率が変化する透過率可変部と、光透過率が一定な、具体的には透明な透過率固定部とが設けられている。透過率可変部と透過率固定部の並列方向に調光セルを平行移動させることにより、撮像素子の撮像面の前方に透過率可変部または透過率固定部が選択的に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-212078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された撮像装置の場合、撮像素子の撮像面の法線方向視で、撮像素子の両側に、調光セルの透過率可変部と透過率固定部それぞれの退避スペースが必要になる。その結果、撮像装置が大型化する。
【0005】
そこで、本開示は、撮像装置を大型化することなく、光学フィルタを撮像素子の撮像面の前方に選択的に配置することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、
第1の光学フィルタを備える第1のフィルタユニットと、
前記第1のフィルタユニットを、前記撮像面の法線方向である第1の方向に対して交差する第2の方向に、且つ、第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で、平行移動させる駆動機構と、を有し、
前記第1のフィルタリング位置が、前記撮像素子の前記撮像面の前方に前記第1の光学フィルタが存在する位置であり、
前記第1の退避位置が、前記第1の光学フィルタが前記撮像面の前方から外れる位置であり、
前記駆動機構が、
前記第1のフィルタユニットに連結されたベルト部材、および
前記ベルト部材が部分的に巻回された状態で回転し、前記第1のフィルタユニットが連結された前記ベルト部材の第1の部分を前記第2の方向に移動させるベルト駆動部材を含んでいる、撮像装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、撮像装置を大型化することなく、光学フィルタを撮像素子の撮像面の前方に選択的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1に係る撮像装置の概略的な前方斜視図
図2】実施の形態1に係る撮像装置のフィルタモジュールの前方斜視図
図3】フィルタモジュールの後方斜視図
図4】フィルタモジュールの後面図
図5】フィルタモジュールの前方分解斜視図
図6】フィルタモジュールの後方分解斜視図
図7】第1および第2のフィルタユニットと駆動機構のベルト部材の連結を示す図
図8】第1のフィルタユニットが第1の退避位置に位置する状態のフィルタモジュールの後方斜視図
図9A】第1および第2のフィルタユニットを互いに逆方向に平行移動させる実施例の駆動機構を示し、第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に位置する状態を示す概略図
図9B】第1および第2のフィルタユニットを互いに逆方向に平行移動させる実施例の駆動機構を示し、第1のフィルタユニットが第1の退避位置に位置する状態を示す概略図
図10A】第1および第2のフィルタユニットを互いに逆方向に平行移動させる比較例の駆動機構を示し、第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に位置する状態を示す概略図
図10B】第1および第2のフィルタユニットを互いに逆方向に平行移動させる比較例の駆動機構を示し、第1のフィルタユニットが第1の退避位置に位置する状態を示す概略図
図11】本開示の実施の形態2に係る撮像装置の概略的な前方斜視図
図12】実施の形態2に係る撮像装置のフィルタモジュールの前方斜視図
図13】第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に位置する状態のフィルタモジュールの後方斜視図
図14】第1のフィルタユニットが第1の退避位置に位置する状態のフィルタモジュールの後方斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
以下、本開示の実施の形態に係る撮像装置について図面を参照しながら説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る撮像装置の概略的な前方斜視図である。また、図2は、実施の形態1に係る撮像装置のフィルタモジュールの前方斜視図である。また、図3は、フィルタモジュールの後方斜視図である。そして、図4は、フィルタモジュールの後面図である。なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の実施の形態の理解を容易にするためのものであって、本開示の実施の形態を限定するものではない。X軸方向は撮像装置の前後方向であって、Y軸方向は左右方向であって、Z軸方向は高さ方向である。なお、撮影時に被写体が存在する側を、撮像装置の前側とする。
【0013】
図1に示すように、本開示の実施の形態1に係る撮像装置10は、いわゆるレンズ交換式の一眼カメラであって、フィルタモジュール12が搭載されている。
【0014】
図2図4に示すように、本実施の形態1の場合、フィルタモジュール12は、筺体14と、第1のフィルタユニット16と、第2のフィルタユニット18とを有する。
【0015】
筺体14は、例えばアルミダイカストなどの金属材料から作製されており、第1および第2のフィルタユニット16、18を支持する。また、本実施の形態の場合、筺体14は、レンズ(図示せず)が取り付けられるレンズ取り付け部14aを備えるとともに、被写体からの光が透過する保護ガラス20を備える。
【0016】
図3および図4に示すように、保護ガラス20に対して間隔をあけて撮像装置10の光軸LAの延在方向(すなわち撮像装置10の前後方向(X軸方向))に対向し、被写体からの光が入射する撮像面22aを備える撮像素子22を、撮像装置10は有する。撮像素子22は、CCD、CMOSなどの光電変換素子であって、保護ガラス20を介して撮像面22aに入射した被写体からの光(被写体の像)から被写体の画像データを作成する。なお、光軸LAは、撮像素子22の撮像面22aの法線方向に延在し、矩形状の撮像面22aの中心を通過する。
【0017】
本実施の形態1の場合、図3および図4に示すように、第1のフィルタユニット16は、第1の光学フィルタ24と、第1の光学フィルタ24の外周部を支持する枠状の第1のフレーム構造体26とを備える。また、第2のフィルタユニット18は、第2の光学フィルタ28と、第2の光学フィルタ28の外周部を支持する第2のフレーム構造体30とを備える。
【0018】
本実施の形態1の場合、第1の光学フィルタ24は、撮像素子22の撮像面22aに入射する光の光量を調節するフィルタであって、例えば、光透過率が変更可能な電子式のNDフィルタである。NDフィルタは、例えば、液晶方式のフィルタである。第1の光学フィルタ24に印加する駆動電圧を変更することにより、第1の光学フィルタ24の光透過率が変化する。なお、第1の光学フィルタ24は、電子式のNDフィルタに限らず、非電子式の偏光フィルタ、特定の波長の光を透過する光学フィルタなどの別の光学フィルタであってもよい。第2の光学フィルタ28は、光透過率が変更不可能な、すなわち光透過率が固定のフィルタ、例えば、透明なガラスである。なお、第2の光学フィルタ28は、光透過率が固定のフィルタに限らず、第1の光学フィルタ24と異なる別の光学フィルタであればよい。本実施の形態1の場合、第1および第2の光学フィルタ24、28は、撮像素子22の撮像面22aと同様に、矩形状である。
【0019】
図5は、フィルタモジュールの前方分解斜視図である。また、図6は、フィルタモジュールの後方分解斜視図である。
【0020】
図4図6に示すように、第1および第2のフィルタユニット16、18それぞれは、撮像素子22の撮像面22aの法線方向に対して交差する方向に平行移動可能に、フィルタモジュール12の筺体14に支持されている。本実施の形態1の場合、第1および第2のフィルタユニット16、18それぞれは、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に平行移動する。
【0021】
本実施の形態1の場合、第1のフィルタユニット16の第1のフレーム構造体26は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に平行移動可能に、第1の上側ガイドレール32と第1の下側ガイドレール34に支持されている。第1の上側ガイドレール32と第1の下側ガイドレール34は、ポール状であって、撮像装置10の左右方向に延在するように且つ互いに平行に筺体14に取り付けられている。第1のフレーム構造体26の上部には、第1の上側ガイドレール32を保持した状態で撮像装置10の左右方向に移動可能な上側スライダ部26aが設けられている。また、第1のフレーム構造体26の下部には、第1の下側ガイドレール34を保持した状態で撮像装置10の左右方向に移動可能な下側スライダ部26bが設けられている。
【0022】
第2のフィルタユニット18の第2のフレーム構造体30は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に平行移動可能に、第2の上側ガイドレール36と第2の下側ガイドレール38に支持されている。第2の上側ガイドレール36と第2の下側ガイドレール38は、ポール状であって、撮像装置10の左右方向に延在するように且つ互いに平行に筺体14に取り付けられている。第2のフレーム構造体30の上部には、第2の上側ガイドレール36を保持した状態で撮像装置10の左右方向に移動可能な上側スライダ部30aが設けられている。また、第2のフレーム構造体30の下部には、第2の下側ガイドレール38を保持した状態で撮像装置10の左右方向に移動可能な下側スライダ部30bが設けられている。
【0023】
本実施の形態1の場合、第1のフィルタユニット16の第1のフレーム構造体26は、第2のフィルタユニット18の第2のフレーム構造体30に対して前方の位置で、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に平行移動する。すなわち、第1のフレーム構造体26と第2のフレーム構造体30は、撮像装置10の前後方向(X軸方向)について位置が異なる。
【0024】
なお、第1のフレーム構造体26および第2のフレーム構造体30を撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に平行移動可能にガイドするガイド部材は、ガイドレール32~38に限らない。例えば、筺体14に形成されて撮像装置10の左右方向に延在するガイド溝により、第1のフレーム構造体26および第2のフレーム構造体30を撮像装置10の左右方向に平行移動可能にガイドしてもよい。
【0025】
第1のフィルタユニット16および第2のフィルタユニット18それぞれを、撮像素子22の撮像面22aの法線方向に対して交差する方向(本実施の形態1の場合には撮像装置10の左右方向(Y軸方向))に平行移動させる駆動機構を、撮像装置10は有する。
【0026】
駆動機構は、ベルト部材40と、ベルト部材40が部分的に巻回された状態で回転するベルト駆動部材42と、ベルト駆動部材42を回転駆動する動力源44とを含んでいる。
【0027】
本実施の形態1の場合、ベルト部材40は、可撓性部材から作製され、無端状である。また、ベルト部材40は、内歯40aを備える。駆動機構は、ベルト部材40が部分的に巻回された状態で自由回転するベルト支持部材46を含んでいる。本実施の形態1の場合、ベルト駆動部材42とベルト支持部材46は、ベルト部材40の内歯40aと係合する外歯を備えるギヤである。また、ベルト駆動部材42とベルト支持部材46は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に間隔をあけて配置され、撮像装置10の前後方向(X軸方向)に延在する回転中心線を中心にして回転可能に筺体14に支持されている。
【0028】
本実施の形態1の場合、ベルト駆動部材42を回転駆動する動力源44は、モータ48と、モータ48とベルト駆動部材42とを連結する、例えば減速機構などの駆動連結機構50とから構成されている。本実施の形態1の場合、動力源44は、図1に示す前方に向かって突出する撮像装置10のグリップ部10a内に配置される。これにより、撮像装置10の意匠性、すなわちレンズ交換式の一眼カメラの意匠性を損なうことなく、動力源44を撮像装置10に設けることができる。
【0029】
第1のフィルタユニット16の第1のフレーム構造体26と第2のフィルタユニット18の第2のフレーム構造体30は、駆動機構のベルト部材40に連結されている。
【0030】
図7は、第1および第2のフィルタユニットと駆動機構のベルト部材の連結を示している。
【0031】
図7に示すように、ベルト部材40は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)に間隔をあけて配置されているベルト駆動部材42とベルト支持部材46それぞれに巻回されている。それにより、ベルト部材40は、ベルト駆動部材42とベルト支持部材46との間に、撮像装置10の左右方向に直線状に延在して互いに平行な直線状の第1の部分40bと第2の部分40cを備える。第1のフィルタユニット16の第1のフレーム構造体26は、その下側スライダ部26bを介して、ベルト部材40の第1の部分40bに連結されている。第2のフィルタユニット18の第2のフレーム構造体30は、その下側スライダ部30bを介して、ベルト部材40の第2の部分40cに連結されている。本実施の形態1の場合、第1のフレーム構造体26の下側スライダ部26bと第2のフレーム構造体30の下側スライダ部30bには、ベルト部材40の内歯40aと係合する係合歯26c、30cが形成されている。
【0032】
このような第1および第2のフィルタユニット16、18と駆動機構のベルト部材40の連結によれば、第1のフィルタユニット16が左方向または右方向に平行移動すると、第2のフィルタユニット18はその逆方向に平行移動する。
【0033】
具体的には、ユーザが、例えば撮像装置10の後面に設けられた所定の操作部(図示せず)に対して所定の操作を実行すると、動力源44のモータ48が、駆動連結機構50を介してベルト駆動部材42を回転駆動する。それにより、ベルト部材40の第1の部分40bが左方向または右方向に移動し、それとともに第2の部分40cが逆方向に移動する。その結果、ベルト部材40の第1の部分40bに連結された第1のフィルタユニット16が、第1の上側ガイドレール32および第1の下側ガイドレール34にガイドされて左方向または右方向に平行移動する。それとともに、ベルト部材40の第2の部分40cに連結された第2のフィルタユニット18が、第2の上側ガイドレール36および第2の下側ガイドレール38にガイドされ、第1のフィルタユニット16の移動方向に対して逆方向に平行移動する。
【0034】
なお、本実施の形態1の場合、無端状のベルト部材40に囲まれたスペースに、第1の下側ガイドレール34と第2の下側ガイドレール38とが配置されている。このように無端状のベルト部材40に囲まれたスペースを有効利用することにより、第1の下側ガイドレール34と第2の下側ガイドレール38がこのスペース以外の場所に配置される場合に比べて、フィルタモジュール12を小型化することができる。その結果、撮像装置10を小型化することができる。
【0035】
このような駆動機構のベルト部材40により、第1のフィルタユニット16は、第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で平行移動する。
【0036】
図3および図4に示すように、第1のフィルタユニット16は、駆動機構のベルト部材40によって平行移動し、第1のフィルタリング位置に配置される。具体的には、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置に位置するとき、第1の光学フィルタ24が撮像素子22の撮像面22aの前方に存在する。それにより、保護ガラス20を透過して撮像面22aに到達する前の被写体からの光が、第1の光学フィルタ24を透過する。その結果、第1の光学フィルタ24によってフィルタ処理された被写体からの光が撮像面22aに入射する。
【0037】
また、第1のフィルタユニット16は、駆動機構のベルト部材40によって平行移動し、第1の退避位置に配置される。
【0038】
図8は、第1のフィルタユニットが第1の退避位置に位置する状態のフィルタモジュールの後方斜視図である。
【0039】
図8に示すように、第1のフィルタユニット16は、第1の退避位置として、撮像素子22の撮像面22aの前方から外れた位置に退避する。本実施の形態1の場合、第1のフィルタユニット16は、撮像面22aの前方から左(撮像装置10の前方から見た場合)に退避する。これにより、被写体からの光が、第1のフィルタユニット16に妨害されることなく、すなわち第1の光学フィルタ24を透過することなく、撮像面22aに入射する。
【0040】
同様に、図8に示すように、第2のフィルタユニット18は、駆動機構のベルト部材40によって平行移動し、第2のフィルタリング位置に配置される。具体的には、第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置に位置するとき、第2の光学フィルタ28が撮像素子22の撮像面22aの前方に存在する。保護ガラス20を透過して撮像面22aに到達する前の被写体からの光が、第2の光学フィルタ28を透過する。その結果、第2の光学フィルタ28によってフィルタ処理された被写体からの光が撮像面22aに入射する。なお、第2のフィルタリング位置は、第1のフィルタリング位置に対して後方に位置する。
【0041】
また、図3および図4に示すように、第2のフィルタユニット18は、駆動機構のベルト部材40によって平行移動し、第2の退避位置に配置される。具体的には、第2のフィルタユニット18は、第2の退避位置として、撮像素子22の撮像面22aの前方から外れた位置に退避する。本実施の形態の場合、第2のフィルタユニット18は、撮像面22aの前方から左(撮像装置10の前方から見た場合)に退避する。これにより、被写体からの光が、第2のフィルタユニット18に妨害されることなく、すなわち第2の光学フィルタ28を透過することなく、撮像面22aに入射する。なお、第2の退避位置は、第1の退避位置に対して後方に位置する。
【0042】
図4に示すように、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置に位置するとき、第2のフィルタユニット18が第2の退避位置に位置する。また、図8に示すように、第1のフィルタユニット16が第1の退避位置に位置するとき、第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置に位置する。すなわち、撮像装置10の前後方向(X軸方向視)で、第1のフィルタユニット16と第2のフィルタユニット18が入れ替わる。そして、撮像素子22の前方には、第1のフィルタユニット16の第1の光学フィルタ24および第2のフィルタユニット18の第2の光学フィルタ28の一方が選択的に配置される。
【0043】
このように、撮像装置10の前後方向(X軸方向視)で、第1のフィルタユニット16と第2のフィルタユニット18が入れ替わることにより、撮像素子22の両側に、第1および第2のフィルタユニット16、18それぞれの退避スペースを設ける必要がなくなる。その結果、撮像素子22の両側に退避スペースが設けられる場合に比べて、撮像装置10の大型化が抑制される。
【0044】
例えば、ユーザが、撮像装置10の後面に設けられた所定の操作部に対して所定の操作を行う度に、第1のフィルタユニット16と第2のフィルタユニット18が入れ替わる。その結果、撮像素子22の前方に位置する光学フィルタが、第1の光学フィルタ24から第2の光学フィルタ28にまたはその逆に切り替わる。
【0045】
このように撮像素子22の前方に選択的に配置される第1および第2のフィルタユニット16、18を、ベルト部材40によって互いに逆方向に平行移動させる理由を、比較例を挙げながら説明する。
【0046】
図9Aおよび図9Bは、第1および第2のフィルタユニットを互いに逆方向に平行移動させる、実施例の駆動機構の概略図である。図9Aは、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置に位置する状態(すなわち第1の光学フィルタ24が撮像素子22の前方に配置された状態)を示している。また、図9Bは、第1のフィルタユニット16が第1の退避位置に位置する状態(すなわち第1の光学フィルタ24が撮像素子22の前方から外れた位置に配置された状態)を示している。
【0047】
図10Aおよび図10Bは、第1および第2のフィルタユニットを互いに逆方向に平行移動させる、比較例の駆動機構の概略図である。図10Aは、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置に位置する状態(すなわち第1の光学フィルタ24が撮像素子22の前方に配置された状態)を示している。また、図10Bは、第1のフィルタユニット18が第1の退避位置に位置する状態(すなわち第1の光学フィルタ24が撮像素子22の前方から外れた位置に配置された状態)を示している。
【0048】
図9A図9B図10A、および図10Bに示すように、第1および第2のフィルタユニット16、18は、撮像装置10の左右方向(Y軸方向)の所定の移動範囲SR内で平行移動する。
【0049】
図9Aおよび図9Bに示す実施例の場合、第1および第2のフィルタユニット16、18それぞれを互いに逆方向に平行移動させる駆動機構は、第1および第2のフィルタユニット16、18の所定の移動範囲SRから外部にはみ出ることなく配置可能である。すなわち、無端状のベルト部材40、ベルト駆動部材42、およびベルト支持部材46それぞれを、第1および第2のフィルタユニット16、18の所定の移動範囲SR内に収まるように、配置することが可能である。これにより、フィルタモジュール12の大型化、特に撮像装置10の左右方向(Y軸方向)の大型化が抑制されている。
【0050】
図10Aおよび図10Bに示すように、比較例の駆動機構は、いわゆるラックアンドピニオン構造であって、第1および第2のフィルタユニット16、18それぞれに設けられた第1および第2のラック102、104と、ラック102、104に対して係合するピニオンギヤ106から構成されている。
【0051】
第1および第2のラック102、104は、撮像装置の左右方向(Y軸方向)に移動可能に、フィルタモジュールの筺体に支持される。
【0052】
ピニオンギヤ106は、撮像装置の前後方向(X軸方向)に延在する回転中心線を中心にして回転可能に、フィルタモジュールの筺体に支持される。また、ピニオンギヤ106は、第1および第2のフィルタユニット16、18の所定の移動範囲SRの中心に対応する撮像装置の左右方向(Y軸方向)の位置に設けられる。第1のラック102は上方からピニオンギヤ106に係合し、第2のラック104は下方からピニオンギヤ106に係合する。
【0053】
図10Aおよび図10Bに示すラックアンドピニオン構造の比較例の駆動機構は、図9Aおよび図9Bに示す実施例の駆動機構と同様に、第1および第2のフィルタユニット16、18を互いに逆方向に平行移動させることができる。しかしながら、図10Aおよび図10Bに示すように、第1および第2のラック102、104は、その全体を、第1および第2のフィルタユニット16、18の所定の移動範囲SR内に収まることができない。すなわち、第1および第2のラック102、104の一部が、所定の移動範囲SRから、撮像装置の左右方向(Y軸方向)にはみ出る。この原因は、第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置に位置するとともに第2のフィルタユニット18が第2の退避位置に位置するとき、または、第1のフィルタユニット16が第1の退避位置に位置するとともに第2のフィルタユニット18が第2のフィルタリング位置に位置するときに、第1および第2のラック102、104それぞれが、ピニオンギヤ106に確実に係合している必要があるからである。その結果、比較例のフィルタモジュールは、撮像装置の左右方向に大型化する(図9Aおよび図9Bに示すベルト部材40を用いる実施例に比べて)。
【0054】
また、図10Aおよび図10Bに示すように、第1および第2のフィルタユニット16、18の所定の移動範囲SRの中心にピニオンギヤ106を設けると、そのピニオンギヤ106を回転駆動する動力源を撮像装置に設けることが困難になる可能性がある。例えば、図1に示すように撮像装置がいわゆるレンズ交換式の一眼カメラである場合、撮像装置のレンズ取り付け部と動力源が干渉する可能性がある。その干渉を回避するためには、撮像装置を高さ方向に大きくし、レンズ取り付け部と動力源とを前後方向にオーバーラップしないようにする必要がある。その結果、撮像装置が高さ方向に大型化する。
【0055】
これに対して、図9Aおよび図9Bに示すように、ベルト駆動部材42は、第1および第2のフィルタユニット16、18の所定の移動範囲SRの中心から外れた位置に設けられる。それにより、図3に示すように、ベルト駆動部材42を回転駆動する動力源44を、レンズ取り付け部14bから離れた位置に配置することができる。その結果、動力源44を、図1に示す撮像装置10のグリップ部10a内に配置することができる。
【0056】
以上のような本実施の形態1によれば、撮像装置を大型化することなく、光学フィルタを撮像素子の撮像面の前方に選択的に配置することができる。
【0057】
(実施の形態2)
本実施の形態2は、第1および第2のフィルタユニットを互いに逆方向に平行移動させる駆動機構の動力源が異なる点で、上述の実施の形態1と異なる。したがって、異なる点を中心に、本実施の形態2について説明する。なお、上述の実施の形態1の構成要素と実質的に同一の本実施の形態2の構成要素には、同一の符号が付されている。
【0058】
図11は、本開示の実施の形態2に係る撮像装置の概略的な前方斜視図である。また、図12は、実施の形態2に係る撮像装置のフィルタモジュールの前方斜視図である。さらに、図13は、第1のフィルタユニットが第1のフィルタリング位置に位置する状態のフィルタモジュールの後方斜視図である。そして、図14は、第1のフィルタユニットが第1の退避位置に位置する状態のフィルタモジュールの後方斜視図である。
【0059】
図11図14に示すように、第1および第2のフィルタユニット16、18それぞれを互いに逆方向に、且つ撮像装置210の左右方向(Y軸方向)に平行移動させる駆動機構は、上述の実施の形態1と異なり、手動式である。具体的には、本実施の形態2に係る駆動機構は、ベルト駆動部材242に連結されてユーザによって回転されるダイヤル244を、ベルト駆動部材242を回転駆動させる動力源として含んでいる。ダイヤル244は、図11に示すように、撮像装置210の前面に設けられている。ユーザがダイヤル244を正転または逆転させることにより、ベルト部材40およびベルト駆動部材242を介して、図13に示すように第1のフィルタユニット16が第1のフィルタリング位置(すなわち撮像素子22の前方の位置)に配置される、または図14に示すように第1のフィルタユニット16が第1の退避位置(すなわち撮像素子22の前方から外れた位置)に配置される。
【0060】
本実施の形態2も、上述の実施の形態1と同様に、撮像装置を大型化することなく、光学フィルタを撮像素子の撮像面の前方に選択的に配置することができる。
【0061】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の実施の形態を説明したが、本開示の実施の形態は上述の実施の形態に限定されない。
【0062】
例えば、上述の実施の形態の場合、図3に示すように、撮像装置10は、光透過率が変更不可能なガラスなどである第2の光学フィルタ28を有する。また、その第2の光学フィルタ28は、第1の光学フィルタ24の光路長と実質的に同一の光路長を備えている。これにより、第1の光学フィルタ24から第2の光学フィルタ28に変更しても、ピントが合った状態を維持することができる。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。第1の光学フィルタ24が第1のフィルタリング位置(撮像素子22の撮像面22aの前方位置)から退避してもピントが合った状態を別の機構で維持できるのであれば、第2の光学フィルタ28、すなわち第2のフィルタユニット18を省略することが可能である。例えば、第2のフィルタユニット18の代わりに、撮像素子22を撮像装置10の前後方向(X軸方向)にシフトさせてピントを合わせる機構が、撮像装置10に設けられる。
【0063】
すなわち、本開示の実施の形態に係る撮像装置は、広義には、被写体からの光が入射する撮像面を備える撮像素子と、第1の光学フィルタを備える第1のフィルタユニットと、前記第1のフィルタユニットを、前記撮像面の法線方向である第1の方向に対して交差する第2の方向に、且つ、第1のフィルタリング位置と第1の退避位置との間で、平行移動させる駆動機構と、を有し、前記第1のフィルタリング位置が、前記撮像素子の前記撮像面の前方に前記第1の光学フィルタが存在する位置であり、前記第1の退避位置が、前記第1の光学フィルタが前記撮像面の前方から外れる位置であり、前記駆動機構が、前記第1のフィルタユニットに連結されたベルト部材、および前記ベルト部材が部分的に巻回された状態で回転し、前記第1のフィルタユニットが連結された前記ベルト部材の第1の部分を前記第2の方向に移動させるベルト駆動部材を含んでいる。
【0064】
以上のように、本開示における技術の例示として、上述の実施の形態を説明してきた。そのために、図面および詳細な説明を提供している。したがって、図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上述の技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0065】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示は、光透過率が異なる複数のNDフィルタを備える撮像装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
16 第1のフィルタユニット
22 撮像素子
22a 撮像面
24 第1の光学フィルタ
40 ベルト部材
40b 第1の部分
42 ベルト駆動部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14