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特開2023-106145シリンダ駆動システムおよび振動試験装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106145
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】シリンダ駆動システムおよび振動試験装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/04 20060101AFI20230725BHJP
   G01M 7/02 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
F15B11/04 G
G01M7/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007293
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久家 誠
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA22
3H089AA23
3H089AA32
3H089AA42
3H089AA43
3H089AA50
3H089AA61
3H089AA67
3H089BB17
3H089CC01
3H089DA02
3H089DB03
3H089DB63
3H089DB65
3H089DB75
3H089EE36
3H089FF03
3H089GG02
3H089JJ20
(57)【要約】
【課題】シリンダ駆動システムおよび振動試験装置において、ロッドの移動方向が切替るときの油圧の不連続な変化を抑制すると共に汎用性の低下を抑制する。
【解決手段】シリンダ内がピストンにより第1部屋と第2部屋とに区画されてピストンに連結されたロッドが第2部屋を貫通して外部に延出する流体シリンダ装置と、第1部屋に対する流体の第1給排量を調整可能な第1流量調整装置と、第2部屋に対する流体の第2給排量を調整可能な第2流量調整装置と、第1部屋と第2部屋の受圧面積比に応じて第1給排量と第2給排量とが相違するように第1流量調整装置および第2流量調整装置を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内がピストンにより第1部屋と第2部屋とに区画されて前記ピストンに連結されたロッドが前記第2部屋を貫通して外部に延出する流体シリンダ装置と、
前記第1部屋に対する流体の第1給排量を調整可能な第1流量調整装置と、
前記第2部屋に対する流体の第2給排量を調整可能な第2流量調整装置と、
前記第1部屋と前記第2部屋の受圧面積比に応じて前記第1給排量と前記第2給排量とが相違するように前記第1流量調整装置および前記第2流量調整装置を制御する制御装置と、
を備えるシリンダ駆動システム。
【請求項2】
前記制御装置は、目標給排量に応じて前記第1給排量を設定し、前記第1給排量に応じて前記第2給排量を設定する、
請求項1に記載のシリンダ駆動システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記ロッドを伸長させるとき、前記第2給排量としての第2排出量を、前記第1給排量としての第1供給量より少なく設定する、
請求項2に記載のシリンダ駆動システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ロッドを収縮させるとき、前記第2給排量としての第2供給量を、前記第1給排量としての第1排出量より少なく設定する、
請求項2または請求項3に記載のシリンダ駆動システム。
【請求項5】
前記流体シリンダ装置の駆動量を検出する駆動量検出部が設けられ、前記制御装置は、前記駆動量検出部の検出結果に基づいて前記第1給排量および前記第2給排量を補正する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリンダ駆動システム。
【請求項6】
前記第1流量調整装置と前記第2流量調整装置は、第1スプール弁と第2スプール弁であり、前記第1スプール弁は、第1給排部が前記第1部屋に連結され、第2給排部が閉止され、前記第2スプール弁は、第1給排部が閉止され、第2給排部が前記第2部屋に連結される、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシリンダ駆動システム。
【請求項7】
前記第1流量調整装置と前記第2流量調整装置は、第1スプール弁と第2スプール弁であり、前記第1スプール弁は、第1給排部が前記第1部屋に連結され、第2給排部が遮断弁を介して前記第2部屋に連結され、前記第2スプール弁は、第1給排部が遮断弁を介して前記第1部屋に連結され、第2給排部が前記第2部屋に連結される、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシリンダ駆動システム。
【請求項8】
前記第1スプール弁および前記第2スプール弁は、サーボ弁である、
請求項6または請求項7に記載のシリンダ駆動システム。
【請求項9】
ベース部と、
前記ベース部に移動自在に支持される振動台と、
前記ベース部に支持されて前記ロッドの先端部が前記振動台に連結される請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のシリンダ駆動システムと、
を備える振動試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、油圧シリンダを駆動するためのシリンダ駆動システムおよび振動試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物を載置した振動台を加振して振動させる振動試験装置が知られている。振動試験装置は、片ロッド型の加振装置を用いることで、全長を短くして装置の省スペース化を図ることができる。片ロッド型の加振装置は、例えば、片ロッド型の油圧シリンダと、油圧サーボ弁とにより構成される。油圧サーボ弁により油圧シリンダの内部に区画される2個の部屋に対して油圧を給排することで、ロッドが伸長または収縮する。
【0003】
片ロッド型の油圧シリンダは、ロッドの伸長と収縮との切替り時に、各部屋に供給される油圧が不連続に変化してしまう。片ロッド型の油圧シリンダは、各部屋を区画するピストンに外部から一方の部屋を貫通してロッドが連結されることから、各部屋の断面積が相違する。そのため、各部屋の圧力は断面積に応じて相違したものとなる。また、油圧シリンダの各部屋に供給若しくは各部屋から排出される流量は断面積に応じて相違したものとなる。油圧サーボ弁は、油圧シリンダの各部屋に対して同一の開口面積にて油の供給および排出を行うが、同一の開口面積であるため各部屋の油圧が不連続に変化してしまうという課題がある。このような課題を解決する技術として、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-132706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載された技術は、油圧シリンダの第1油圧室と第2油圧室との断面積比に応じて、第1油圧室に対する油圧サーボ弁の第1供給開口幅と第1排出開口幅、第2油圧室に対する油圧サーボ弁の第2供給開口幅と第2排出開口幅を決定するものである。ところが、油圧シリンダの油圧室の断面積比に応じて供給開口幅や排出開口幅を形成する加工が必要となり、加工コストが上昇してしまう。また、片ロッド型の油圧シリンダに対して特定の油圧サーボ弁を製造することとなり、油圧サーボ弁を別の油圧シリンダに対して適用することができず、汎用性が低下してしまうという課題がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、ロッドの移動方向が切替るときの油圧の不連続な変化を抑制すると共に汎用性の低下を抑制するシリンダ駆動システムおよび振動試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示のシリンダ駆動システムは、シリンダ内がピストンにより第1部屋と第2部屋とに区画されて前記ピストンに連結されたロッドが前記第2部屋を貫通して外部に延出する流体シリンダ装置と、前記第1部屋に対する流体の第1給排量を調整可能な第1流量調整装置と、前記第2部屋に対する流体の第2給排量を調整可能な第2流量調整装置と、前記第1部屋と前記第2部屋の受圧面積比に応じて前記第1給排量と前記第2給排量とが相違するように前記第1流量調整装置および前記第2流量調整装置を制御する制御装置と、を備える。
【0008】
また、本開示の振動試験装置は、ベース部と、前記ベース部に移動自在に支持される振動台と、前記ベース部に支持されて前記ロッドの先端部が前記振動台に連結される前記シリンダ駆動システムと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示のシリンダ駆動システムおよび振動試験装置によれば、ロッドの移動方向が切替るときの油圧の不連続な変化を抑制することができると共に汎用性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態のシリンダ駆動システムが適用された振動試験装置を表す概略構成図である。
図2図2は、シリンダ駆動システムの制御ブロックを表す概略図である。
図3図3は、第1給排量および第2給排量を設定する制御ブロックを表す概略図である。
図4図4は、シリンダ駆動システムの作動を説明するための概略図である。
図5図5は、従来のシリンダ駆動システムにおける圧力変動を表すグラフである。
図6図6は、第1実施形態のシリンダ駆動システムにおける圧力変動を表すグラフである。
図7図7は、第2実施形態のシリンダ駆動システムを表す概略図である。
図8図8は、シリンダ駆動システムの作動を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0012】
[第1実施形態]
<振動試験装置>
図1は、第1実施形態のシリンダ駆動システムが適用された振動試験装置を表す概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、振動試験装置10は、ベース部11と、振動台12と、シリンダ駆動システム13とを備える。
【0014】
ベース部11は、水平な床面に設置される。ベース部11は、上部に水平な支持面11aが形成される。ベース部11は、支持面11aに所定長さのガイドレール21が固定される。振動台12は、平板形状をなす。振動台12は、振動試験の対象となる構造物などの加振対象物200を載置して固定可能である。振動台12は、下部にガイド部材22が固定される。ガイド部材22は、ガイドレール21に移動自在に嵌合する。振動台12は、ガイド部材22およびガイドレール21を介してベース部11に水平方向に沿って移動自在に支持される。
【0015】
シリンダ駆動システム13は、加振装置として機能する。シリンダ駆動システム13は、振動台12に固定される加振対象物200を加振可能である。シリンダ駆動システム13は、油圧シリンダ(流体シリンダ装置)30と、第1サーボ弁(第1流量調整装置)31と、第2サーボ弁(第2流量調整装置)32と、制御装置33とを備える。
【0016】
油圧シリンダ30は、シリンダ41と、ピストン42と、ロッド43とを有する。シリンダ41は、円筒形状をなし、長手方向の一端と他端が閉塞される。ピストン42は、円板形状をなし、シリンダ41の内部に移動自在に支持される。シリンダ41は、内部がピストン42により第1部屋44と第2部屋45に区画される。ロッド43は、シリンダ41の第2部屋45を貫通し、軸方向の一端がピストン42に連結され、軸方向の他端がシリンダ41の外方に延出される。油圧シリンダ30は、ロッド43の先端部が連結部材23により振動台12の端部に連結される。
【0017】
そのため、振動試験装置10は、シリンダ駆動システム13における油圧シリンダ30を駆動し、振動台12を水平方向に沿って往復移動することで、振動台12に載置される加振対象物200を振動させる。
【0018】
<シリンダ駆動システムの構成>
シリンダ駆動システム13は、前述したように、油圧シリンダ30と、第1サーボ弁31と、第2サーボ弁32と、制御装置33とを備える。第1サーボ弁31は、スプール弁であり、油圧シリンダ30の第1部屋44に給排する油(流体)の第1給排量を調整可能である。第2サーボ弁32は、スプール弁であり、油圧シリンダ30の第2部屋45に給排する油(流体)の第2給排量を調整可能である。制御装置33は、第1サーボ弁31と第2サーボ弁32の駆動を制御可能である。
【0019】
油圧シリンダ30は、シリンダ41に第1部屋44に連通する第1給排ポート46が設けられると共に、第2部屋45に連通する第2給排ポート47が設けられる。
【0020】
第1サーボ弁31は、ケース51と、スプール52と、駆動部53とを有する。ケース51は、円筒形状をなし、第1給排部61と、第2給排部62と、油圧供給部63と、第1油圧排出部64と、第2油圧排出部65とが設けられる。スプール52は、円柱形状をなし、ケース51の内部に収容され、軸方向に移動自在である。スプール52は、第1弁体66と、第2弁体67と、第3弁体68とを有する。第1弁体66は、油圧供給部63を開閉自在であり、第2弁体67は、第1油圧排出部64を開閉自在であり、第3弁体68は、第2油圧排出部65を開閉自在である。
【0021】
駆動部53は、ケース51の外部に配置され、スプール52を軸方向に沿って往復移動可能である。
【0022】
第2サーボ弁32は、ケース71と、スプール72と、駆動部73とを有する。ケース71は、円筒形状をなし、第1給排部81と、第2給排部82と、油圧供給部83と、第1油圧排出部84と、第2油圧排出部85とが設けられる。スプール72は、円柱形状をなし、ケース71の内部に収容され、軸方向に移動自在である。スプール72は、第1弁体86と、第2弁体87と、第3弁体88とを有する。第1弁体86は、油圧供給部83を開閉自在であり、第2弁体87は、第1油圧排出部84を開閉自在であり、第3弁体88は、第2油圧排出部85を開閉自在である。
【0023】
駆動部73は、ケース71の外部に配置され、スプール72を軸方向に沿って往復移動可能である。
【0024】
第1サーボ弁31は、第1給排部61が流路91により油圧シリンダ30の第1給排ポート46に連結され、第2給排部62が閉止される。第2サーボ弁32は、第1給排部81が閉止され、第2給排部62が流路92により油圧シリンダ30の第2給排ポート47に連結される。
【0025】
シリンダ駆動システム13は、油圧ポンプ34を備える。油圧ポンプ34は、流路101により第1サーボ弁31の油圧供給部63に連結されると共に、流路102により第2サーボ弁32の油圧供給部83に連結される。また、油圧ポンプ34は、流路103によりタンク104に連結され、流路103にリリーフ弁105が設けられる。
【0026】
第1サーボ弁31は、第1油圧排出部64が流路106によりタンク104に連結され、第2油圧排出部65が流路107によりタンク104に連結される。第2サーボ弁32は、第1油圧排出部84が流路108によりタンク104に連結され、第2油圧排出部85が流路109によりタンク104に連結される。
【0027】
制御装置33は、第1サーボ弁31の駆動部53と第2サーボ弁32の駆動部73を駆動制御可能である。制御装置33は、第1サーボ弁31にて、駆動部53を駆動制御することでスプール52を移動し、油圧シリンダ30の第1部屋44への油の供給および第1部屋44からの油の排出を制御する。また、制御装置33は、第2サーボ弁32にて、駆動部73を駆動制御することでスプール72を移動し、油圧シリンダ30の第2部屋45への油の供給および第2部屋45からの油の排出を制御する。
【0028】
すなわち、第1サーボ弁31にて、スプール52が図1にて右方に移動すると、第1弁体66により油圧供給部63と第1給排部61が連通され、第2弁体67により第1油圧排出部64が閉止され、第3弁体68により第2油圧排出部65が開放される。つまり、第1サーボ弁31は、流路101と流路91が油圧供給部63および第1給排部61により連通し、その他の流路106,107が閉止される。このとき、第2サーボ弁32にて、スプール72が図1にて右方に移動すると、第1弁体86により油圧供給部83と第1給排部81が連通され、第2弁体87により第1油圧排出部84が閉止され、第3弁体88により第2油圧排出部85が開放される。つまり、第2サーボ弁32は、流路109と流路92が第2油圧排出部85および第2給排部82により連通し、その他の流路102,108が閉止される。
【0029】
すると、油圧ポンプ34の駆動により、油が流路101を介して第1サーボ弁31の油圧供給部63に供給され、ケース51の内部を通り第1給排部61から流路91を通って油圧シリンダ30の第1給排ポート46から第1部屋44に供給される。一方、油圧シリンダ30の第2部屋45の油が第2給排ポート47から流路92を通って第2サーボ弁32の第2給排部82に排出され、ケース71の内部を通り第2油圧排出部85から流路109を通ってタンク104に排出される。その結果、油圧シリンダ30は、ピストン42が図1にて右方に押され、ロッド43が伸長する。
【0030】
一方、第1サーボ弁31にて、スプール52が図1にて左方に移動すると、第1弁体66により油圧供給部63と第2給排部62が連通され、第2弁体67により第1油圧排出部64と第1給排部61が連通され、第3弁体68により第2油圧排出部65が閉止される。つまり、第1サーボ弁31は、流路106と流路91が第1油圧排出部64および第1給排部61により連通し、その他の流路101,107が閉止される。このとき、第2サーボ弁32にて、スプール72が図1にて左方に移動すると、第1弁体86により油圧供給部83と第2給排部82が連通され、第2弁体87により第1油圧排出部84と第1給排部81が連通され、第3弁体88により第2油圧排出部85が閉止される。つまり、第2サーボ弁32は、流路102と流路92が油圧供給部83および第2給排部82により連通し、その他の流路108,109が閉止される。
【0031】
すると、油圧ポンプ34の駆動により、油が流路102を介して第2サーボ弁32の油圧供給部83に供給され、ケース71の内部を通り第2給排部82から流路92を通って油圧シリンダ30の第2給排ポート47から第2部屋45に供給される。一方、油圧シリンダ30の第1部屋44の油が第1給排ポート46から流路91を通って第1サーボ弁31の第1給排部61に排出され、ケース51の内部を通り第1油圧排出部64から流路106を通ってタンク104に排出される。その結果、油圧シリンダ30は、ピストン42が図1にて左方に押され、ロッド43が収縮する。
【0032】
また、制御装置33は、油圧シリンダ30をフィードバック制御している。油圧シリンダ30は、駆動量としてのピストン42の移動量を検出する検出部(駆動量検出部)48が設けられる。検出部48は、検出結果を制御装置33に出力する。制御装置33は、検出部48の検出結果に基づいて第1サーボ弁31および第2サーボ弁32をフィードバック制御する。すなわち、制御装置33は、ピストン42の目標移動量と実際の移動量(検出部48の検出結果)とを比較し、第1サーボ弁31と第2サーボ弁32の第1給排量と第2給排量を補正する。
【0033】
<シリンダ駆動システムの制御>
図2は、シリンダ駆動システムの制御ブロックを表す概略図、図3は、第1給排量および第2給排量を設定する制御ブロックを表す概略図である。
【0034】
図1に示すように、制御装置33は、油圧シリンダ30における第1部屋44と第2部屋45の受圧面積比に応じて第1給排量と第2給排量が相違するように第1サーボ弁31および第2サーボ弁32を制御する。制御装置33は、目標給排量に応じて第1給排量を設定し、第1給排量に応じて第2給排量を設定する。
【0035】
油圧シリンダ30は、所謂、片ロッド型の流体シリンダである。すなわち、油圧シリンダ30は、シリンダ41の内部がピストン42により第1部屋44と第2部屋45とに区画され、ロッド43が第2部屋45を貫通してピストン42に連結されて構成される。そのため、第1部屋44と第2部屋45に対して油圧を供給するときの受圧面積が相違する。つまり、第1部屋44の受圧面積A1、第2部屋45の受圧面積A2とすると、A1>A2となる。そのため、第1部屋44および第2部屋45に対して同一の開口面積にて油を給排すると、ロッド43の移動方向が切替るとき、第1部屋44と第2部屋45に作用する圧力が相違し、部屋44,45の圧力が急激に変化してしまう。
【0036】
そこで、第1実施形態では、油圧シリンダ30を駆動するとき、第1部屋44と第2部屋45の受圧面積比に応じて第1部屋44と第2部屋45に対する給排量を相違させる。すなわち、制御装置33は、ロッド43を伸長させるとき、第2部屋45からの第2排出量(第2給排量)を第1部屋44への第1供給量(第1給排量)より少なく設定する。一方、制御装置33は、ロッド43を収縮させるとき、第2部屋45への第2供給量(第2給排量)を第1部屋44からの第1排出量(第1給排量)より少なく設定する。
【0037】
振動試験装置10は、加振対象物200(いずれも図1参照)に応じて試験の仕様が設定され、油圧シリンダ30の駆動量であるピストン42の目標移動量が設定される。ピストン42の目標移動量に応じて第1部屋44および第2部屋45に対して給排される目標給排量が設定される。目標給排量に応じて第1サーボ弁31のスプール52および第2サーボ弁32のスプール72の目標移動量が設定される。
【0038】
図2に示すように、制御装置33は、ピストン42の目標移動量に基づいて目標給排量を設定し、目標給排量に基づいて応じてサーボ弁31,32におけるスプール52,72の目標移動量(目標ストローク)Sを設定する。処理部110は、スプール52,72の目標移動量Sをスプール52の第1移動量Sに設定する。第1移動量Sは、分岐部111を介して比較部112に入力する。比較部112は、第1移動量Sと、分岐部114からフィードバックされた実際の第1移動量SD1とを比較し、引算することで偏差ΔSを算出する。偏差ΔSは、増幅部113を介して第1サーボ弁31の駆動部53に出力される。駆動部53は、偏差ΔS応じてスプール52を作動(伸長または収縮)する。
【0039】
記憶部115aおよび算出部116aは、第2サーボ弁32におけるスプール72の伸長時の処理を行い、記憶部115bおよび算出部116bは、スプール72の収縮時の処理を行う。記憶部115aは、スプール52の第1移動量Sに対するスプール72の第2移動量Sを表すマップを記憶する。算出部116aは、マップに基づいて第2移動量Sを算出する。記憶部115bは、スプール72が収縮するときのスプール52の第1移動量Sに対するスプール72の第2移動量Sを表すマップを記憶する。算出部116bは、マップに基づいて第2移動量Sを算出する。加算部117は、算出部116aが算出した第2移動量Sと算出部116bが算出した第2移動量Sとを加算する。
【0040】
第2移動量Sは、比較部118に入力する。比較部118は、第2移動量Sと、分岐部120からフィードバックされた実際の第1移動量SD2とを比較し、引算することで偏差ΔSを算出する。偏差ΔSは、増幅部119を介して第2サーボ弁32の駆動部73に出力される。駆動部73は、偏差ΔS応じてスプール72を作動(伸長または収縮)する。
【0041】
ここで、記憶部115および算出部116の処理について具体的に説明する。図3に示すように、処理部110は、スプール52,72の目標移動量Sをスプール52の第1移動量に設定する。記憶部115は、スプール52の第1移動量Sに対するスプール72の第2移動量Sを表すマップを記憶する。記憶部115のマップにて、点線は、従来の第1移動量Sと第2移動量Sとの関係を表し、実線は、第1実施形態の第1移動量Sと第2移動量Sとの関係を表す。
【0042】
マップにて、スプール52の第1移動量Sとスプール72の第2移動量Sは、比例関係にある。そして、従来のマップは、スプール52の第1移動量Sとスプール72の第2移動量Sとが同じ値である。一方、第1実施形態のマップは、スプール52の第1移動量Sとスプール72の第2移動量Sとが異なる値である。具体的に、スプール52の第1移動量Sとスプール72の第2移動量Sは、第1部屋44と第2部屋45との受圧面積比に応じて設定される。ここでは、受圧面積A1>受圧面積A2である。そのため、油圧シリンダ30のロッド43を伸長させるとき、スプール72の第2移動量S、つまり、第2部屋45からの第2排出量(第2給排量)は、スプール52の第1移動量S、つまり、第1部屋44への第1供給量(第1給排量)より少なくなる。同様に、油圧シリンダ30のロッド43を収縮させるとき、スプール72の第2移動量S、つまり、第2部屋45への第2供給量(第2給排量)は、スプール52の第1移動量S、つまり、第1部屋44からの第1排出量(第1給排量)より少なくなる。なお、第1部屋44に対する第1給排量と第1サーボ弁31のスプール52の第1移動量Sは比例する。また、第1部屋44に対する第2給排量と第2サーボ弁32のスプール72の第2移動量Sは比例する。
【0043】
例えば、第1部屋44の受圧面積A1=1.0、第2部屋45の受圧面積A2=0.8とする。油圧シリンダ30のロッド43を伸長させるとき、第1部屋44と第2部屋45の受圧面積比は、A2/A1=0.8/1.0=0.8となる。そのため、スプール52の第1移動量S=S×1.0=Sであり、スプール72の第2移動量S=S×0.8=0.8Sある。一方、油圧シリンダ30のロッド43を収縮させるとき、第1部屋44と第2部屋45の受圧面積比は、A2/A1=0.8/1.0=0.8となる。そのため、スプール52の第1移動量S=S×1.0=Sであり、スプール72の第2移動量S=S×0.8=0.8Sである。
【0044】
なお、制御装置33は、スプール52の第1移動量Sとスプール72の第2移動量Sを求め、第1移動量Sに基づいて第1サーボ弁31を制御すると共に、第2移動量Sに基づいて第2サーボ弁32を制御するものであるが、実際に、制御装置33が各駆動部53,73に出力するのは、第1移動量Sと第2移動量Sに応じて設定された第1制御指令値と第2制御指令値である。
【0045】
また、上述の説明では、ピストン42の目標移動量に基づいて目標給排量を設定し、目標給排量に基づいて応じてサーボ弁31,32におけるスプール52,72の目標移動量(目標ストローク)Sを設定し、目標移動量Sをスプール52の第1移動量Sに設定し、第1移動量Sに基づいて受圧面積比により第2移動量Sを設定したが、この方法に限定されるものではない。例えば、ピストン42の目標移動量に基づいて目標給排量を設定し、目標給排量を第1部屋44への第1給排量に設定し、第1給排量に基づいてスプール52の第1移動量Sを設定し、第1給排量に基づいて受圧面積比により第2部屋45への第2給排量に設定し、第2給排量に基づいてスプール72の第2移動量Sを設定してもよい。
【0046】
また、上述の説明では、第1サーボ弁31と第2サーボ弁32とが同じ構成および寸法であることを前提に説明したが、第1サーボ弁31と第2サーボ弁32とが同じ構成および寸法でなくてもよい。この場合も同様に、油圧シリンダ30における第1部屋44と第2部屋45の受圧面積比に応じて第1給排量と第2給排量が相違するように、第1サーボ弁31の第1移動量Sと第2サーボ弁32の第2移動量Sを設定すればよい。
【0047】
<シリンダ駆動システムの作動>
図4は、シリンダ駆動システムの作動を説明するための概略図である。
【0048】
図1および図4に示すように、油圧シリンダ30のロッド43を伸長させるとき、制御装置33は、第1サーボ弁31のスプール52を図4にて右方に第1移動量Sだけ移動する。すると、油圧供給部63と第1給排部61が連通し、第1油圧排出部64と第2油圧排出部65が閉止される。また、制御装置33は、第2サーボ弁32のスプール72を図4にて右方に第2移動量Sだけ移動する。すると、第2油圧排出部85と第2給排部82が連通し、油圧供給部83と第1油圧排出部84が閉止される。
【0049】
このとき、制御装置33は、第1部屋44と第2部屋45の受圧面積比A2/A1に応じて第1移動量Sと第2移動量Sを設定することから、第2移動量Sが第1移動量Sより小さくなる。すなわち、第2サーボ弁32における第2油圧排出部85と第2給排部82との連通開口が、第1サーボ弁31における油圧供給部63と第1給排部61との連通開口より小さくなる。すると、第1サーボ弁31から流路91を通って油圧シリンダ30の第1部屋44に供給される油の第1供給量より、油圧シリンダ30の第2部屋45から流路92を通って第2サーボ弁32に排出される油の第2排出量が少なくなる。
【0050】
そのため、油圧シリンダ30は、ロッド43が伸長してピストン42が図4にて右方に移動するとき、第1部屋44に供給する流量と、第2部屋45から排出する流量との比が各部屋の断面積比と同等となり、第1部屋44および第2部屋45の圧力変動(油圧の不連続な変化)が低減される。
【0051】
また、油圧シリンダ30のロッド43を収縮させるとき、制御装置33は、第1サーボ弁31のスプール52を図4にて左方に第1移動量Sだけ移動する。すると、第1油圧排出部64と第1給排部61が連通し、油圧供給部63と第2油圧排出部65が閉止される。また、制御装置33は、第2サーボ弁32のスプール72を図4にて左方に第2移動量Sだけ移動する。すると、油圧供給部83と第2給排部82が連通し、第1油圧排出部84と第2油圧排出部85が閉止される。
【0052】
このとき、制御装置33は、第1部屋44と第2部屋45の受圧面積比A2/A1に応じて第1移動量Sと第2移動量Sを設定することから、第2移動量Sが第1移動量Sより小さくなる。すなわち、第2サーボ弁32における油圧供給部83と第2給排部82との連通開口が、第1サーボ弁31における第1油圧排出部64と第1給排部61との連通開口より小さくなる。すると、第2サーボ弁32から流路92を通って油圧シリンダ30の第2部屋45に供給される油の第2供給量が、油圧シリンダ30の第1部屋44から流路91を通って第1サーボ弁31に排出される油の第1排出量より少なくなる。
【0053】
そのため、油圧シリンダ30は、ロッド43が伸長してピストン42が図4にて左方に移動するとき、第1部屋44から排出する流量と、第2部屋45に供給する流量との比が各部屋の断面積比と同等となり、第1部屋44および第2部屋45の圧力変動圧力変動(油圧の不連続な変化)が低減される。
【0054】
<シリンダ駆動システムの効果>
図5は、従来のシリンダ駆動システムにおける圧力変動を表すグラフ、図6は、第1実施形態のシリンダ駆動システムにおける圧力変動を表すグラフである。図5および図6にて、実線は、第1部屋44における圧力を表し、点線は、第2部屋45における圧力を表す。
【0055】
図5に示すように、従来のシリンダ駆動システムは、油圧シリンダ30の第1部屋44と第2部屋45に対して同量の油を給排するため、ロッド43の移動方向が切替る時間t1,t2,t3,t4,t5・・・にて、第1部屋44と第2部屋45に作用する圧力が相違し、各部屋44,45の圧力が急上昇してしまう。
【0056】
一方、第1実施形態のシリンダ駆動システム13は、油圧シリンダ30の第1部屋44と第2部屋45に対して受圧面積比に応じた量の油を給排するため、ロッド43の移動方向が切替る時間t1,t2,t3,t4,t5・・・にて、第1部屋44と第2部屋45に作用する圧力が近似し、各部屋44,45の圧力の上昇が抑制される。
【0057】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態のシリンダ駆動システムを表す概略図、図8は、シリンダ駆動システムの作動を説明するための概略図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
図7に示すように、シリンダ駆動システム13Aは、油圧シリンダ30と、第1サーボ弁31と、第2サーボ弁32と、制御装置33(図1参照)とを備える。油圧シリンダ30と第1サーボ弁31と第2サーボ弁32の基本的な構成は、第1実施形態と同様である。
【0059】
油圧シリンダ30は、シリンダ41と、ピストン42と、ロッド43とを有し、内部に第1部屋44と第2部屋45が区画される。油圧シリンダ30は、第1部屋44に第1給排ポート46a,46bが設けられ、第2部屋45に第2給排ポート47a,47bが設けられる。そして、第1給排ポート46bに第1遮断弁131が設けられ、第2給排ポート47bに第2遮断弁132が設けられる。
【0060】
第1サーボ弁31は、ケース51と、スプール52と、駆動部53とを有する。第1サーボ弁31は、第2サーボ弁32は、ケース71と、スプール72と、駆動部73とを有する。第1サーボ弁31は、第1給排部61が流路91aにより油圧シリンダ30の第1給排ポート46aに連結され、第2給排部62が流路92bにより油圧シリンダ30の第2給排ポート47bに連結される。第2サーボ弁32は、第1給排部81が流路91bにより油圧シリンダ30の第1給排ポート46bに連結され、第2給排部62が流路92aにより油圧シリンダ30の第2給排ポート47aに連結される。
【0061】
なお、第1遮断弁131は、第1給排部81や流路91bに設けられていてもよく、第2遮断弁132は、第2給排部62や流路92bに設けられていてもよい。
【0062】
制御装置33(図1参照)は、第1サーボ弁31の駆動部53と第2サーボ弁32の駆動部73を駆動制御可能である。第1サーボ弁31にて、制御装置33は、駆動部53を駆動制御することでスプール52を移動することで、油圧シリンダ30の第1部屋44への油の供給および第1部屋44からの油の排出を制御する。また、制御装置33は、駆動部73を駆動制御することでスプール72を移動することで、油圧シリンダ30の第2部屋45への油の供給および第2部屋45からの油の排出を制御する。
【0063】
さらに、制御装置33は、第1遮断弁131および第2遮断弁132を開閉制御可能である。制御装置33により第1遮断弁131および第2遮断弁132が閉止されると、第2実施形態のシリンダ駆動システム13Aは、第1実施形態のシリンダ駆動システム13と同様に機能する。一方、制御装置33により第1遮断弁131および第2遮断弁132が開放されると、第2実施形態のシリンダ駆動システム13Aは、第1実施形態のシリンダ駆動システム13とは異なるように機能する。
【0064】
制御装置33により第1遮断弁131および第2遮断弁132が閉止されると、制御装置33は、油圧シリンダ30における第1部屋44と第2部屋45の受圧面積比に応じて第1給排量と第2給排量が相違するように第1サーボ弁31および第2サーボ弁32を制御する。この場合の作動については、第1実施形態と同様であることから、説明は省略する。
【0065】
図8に示すように、制御装置33により第1遮断弁131および第2遮断弁132が開放されると、制御装置33は、油圧シリンダ30における第1部屋44と第2部屋45の受圧面積比に拘わらず第1給排量と第2給排量が同じになるように第1サーボ弁31および第2サーボ弁32を制御する。
【0066】
すなわち、制御装置33は、第1遮断弁131および第2遮断弁132を開放する。この状態で、第1サーボ弁31にて、スプール52が図8にて右方に移動すると、第1弁体66により油圧供給部63と第1給排部61が連通され、第2弁体67により第1油圧排出部64が閉止され、第3弁体68により第2油圧排出部65と第2給排部62が連通される。このとき、第2サーボ弁32にて、スプール72が図8にて右方に移動すると、第1弁体86により油圧供給部83と第1給排部81が連通され、第2弁体87により第1油圧排出部84が閉止され、第3弁体88により第2油圧排出部85と第1給排部81が連通される。
【0067】
すると、第1サーボ弁31の油圧供給部63に供給された油は、第1給排部61から流路91aを通って油圧シリンダ30の第1給排ポート46aから第1部屋44に供給される。また、油圧シリンダ30の第2部屋45の油が第2給排ポート47bから流路92bを通って第1サーボ弁31の第2給排部62に排出され、第2油圧排出部65に排出される。第2サーボ弁32も同様に、油圧供給部83に供給された油は、第1給排部81から流路91bを通って油圧シリンダ30の第1給排ポート46bから第1部屋44に供給される。また、油圧シリンダ30の第2部屋45の油が第2給排ポート47aから流路92aを通って第2サーボ弁32の第2給排部82に排出され、第2油圧排出部85に排出される。その結果、油圧シリンダ30は、第1部屋44および第2部屋45に対して多量の油が給排されることとなり、ピストン42が図8にて右方に迅速に押され、ロッド43が早期に伸長する。
【0068】
一方、第1サーボ弁31にて、スプール52が図8にて左方に移動すると、第1弁体66により油圧供給部63と第2給排部62が連通され、第2弁体67により第1油圧排出部64と第1給排部61が連通され、第3弁体68により第2油圧排出部65が閉止される。このとき、第2サーボ弁32にて、スプール72が図8にて左方に移動すると、第1弁体86により油圧供給部83と第2給排部82が連通され、第2弁体87により第1油圧排出部84と第1給排部81が連通され、第3弁体88により第2油圧排出部85が閉止される。
【0069】
すると、第1サーボ弁31の油圧供給部63に供給された油は、第2給排部62から流路92bを通って油圧シリンダ30の第2給排ポート47bから第2部屋45に供給される。また、油圧シリンダ30の第1部屋44の油が第1給排ポート46aから流路91aを通って第1サーボ弁31の第1給排部61に排出され、第1油圧排出部64に排出される。第2サーボ弁32も同様に、油圧供給部83に供給された油は、第2給排部82から流路92aを通って油圧シリンダ30の第2給排ポート47aから第2部屋45に供給される。また、油圧シリンダ30の第1部屋44の油が第1給排ポート46bから流路91bを通って第2サーボ弁32の第1給排部81に排出され、第1油圧排出部84に排出される。その結果、油圧シリンダ30は、第1部屋44および第2部屋45に対して多量の油が給排されることとなり、ピストン42が図8にて左方に迅速に押され、ロッド43が早期に収縮する。
【0070】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係るシリンダ駆動システムは、シリンダ41内がピストン42により第1部屋44と第2部屋45とに区画されてピストン42に連結されたロッド43が第2部屋45を貫通して外部に延出する油圧シリンダ(流体シリンダ装置)30と、第1部屋44に対する油(流体)の第1給排量を調整可能な第1サーボ弁(第1流量調整装置)31と、第2部屋45に対する油(流体)の第2給排量を調整可能な第2サーボ弁(第2流量調整装置)32と、第1部屋44と第2部屋45の受圧面積比に応じて第1給排量と第2給排量とが相違するように第1サーボ弁31および第2サーボ弁32を制御する制御装置33とを備える。
【0071】
第1の態様に係るシリンダ駆動システムによれば、油圧シリンダ30は、第1部屋44と第2部屋45に対して受圧面積比に応じて第1給排量と第2給排量が給排されることとなり、第1部屋44からピストン42に作用する圧力と、第2部屋45からピストン42に作用する圧力が同等となり、第1部屋44または第2部屋45での圧力変動を低減することができる。その結果、ロッド43の移動方向が切替るときの油圧シリンダ30での油圧の不連続な変化を抑制することができると共に、多種の油圧シリンダ30に適用することができ、汎用性の低下を抑制することができる。
【0072】
第2の態様に係るシリンダ駆動システムは、制御装置33が目標給排量に応じて第1給排量を設定し、第1給排量に応じて第2給排量を設定する。これにより、目標給排量である第1給排量に対して第2給排量を適切な値に設定することができる。
【0073】
第3の態様に係るシリンダ駆動システムは、制御装置33がロッド43を伸長させるとき、第2給排量としての第2排出量を第1給排量としての第1供給量より少なく設定する。これにより、油圧シリンダ30のロッド43が伸長するときの油圧の不連続な変化を効果的に低減することができる。
【0074】
第4の態様に係るシリンダ駆動システムは、制御装置33がロッド43を収縮させるとき、第2給排量としての第2供給量を第1給排量としての第1排出量より少なく設定する。これにより、油圧シリンダ30のロッド43が収縮するときの油圧の不連続な変化を効果的に低減することができる。
【0075】
第5の態様に係るシリンダ駆動システムは、油圧シリンダ30の駆動量を検出する検出部(駆動量検出部)48を設け、制御装置33が検出部48の検出結果に基づいて第1給排量および第2給排量を補正する。これにより、第1給排量および第2給排量を適正値に設定することができる。
【0076】
第6の態様に係るシリンダ駆動システムは、第1サーボ弁31と第2サーボ弁32が第1スプール弁と第2スプール弁であり、第1サーボ弁31の第1給排部61が第1部屋44に連結され、第2給排部62が閉止され、第2サーボ弁32の第1給排部81が閉止され、第2給排部82が第2部屋45に連結される。これにより、第1サーボ弁31および第2サーボ弁32をスプール弁とすることで、構造の簡素化を図ることができ、第1サーボ弁31と第2サーボ弁32を個別に制御することで、第1給排量と第2給排量を最適値に設定することができる。
【0077】
第7の態様に係るシリンダ駆動システムは、第1サーボ弁31と第2サーボ弁32が第1スプール弁と第2スプール弁であり、第1サーボ弁31の第1給排部61が第1部屋44に連結され、第2給排部62が第2遮断弁132を介して第2部屋45連結され、第2サーボ弁32の第1給排部81が第1遮断弁131を介して第1部屋44に連結され、第2給排部82が第2部屋45に連結される。これにより、第1サーボ弁31および第2サーボ弁32をスプール弁とすることで、構造の簡素化を図ることができ、第1遮断弁131および第2遮断弁132を開放することで、油圧シリンダ30に対して大容量の油を給排することができ、作動性を向上することができる。
【0078】
第8の態様に係るシリンダ駆動システムは、第1サーボ弁31および第2サーボ弁32を適用している。これにより、油圧シリンダに対して第1給排量および第2給排量を適切に付与することができる。
【0079】
第9の態様に係る振動試験装置は、ベース部11と、ベース部11に移動自在に支持される振動台12と、ベース部11に支持されてロッド43の先端部が振動台12に連結されるシリンダ駆動システム13とを備える。これにより、シリンダ駆動システム13にて、ロッド43の移動方向が切替るときの油圧シリンダ30での油圧の不連続な変化を抑制することができ、振動台12を安定して往復移動することで、振動試験精度を向上することができる。
【0080】
なお、上述した実施形態では、第1流量調整装置および第2流量調整装置をサーボ弁やスプール弁に適用して説明したが、この構成に限定されるものではない。第1流量調整装置および第2流量調整装置として、流量調整弁や油圧ポンプなどを適用してもよい。また、流体シリンダ装置として油圧シリンダを適用したが、エアシリンダなどを適用してもよい。さらに、シリンダ駆動システムを振動試験装置に適用したが、流体シリンダの駆動力により作動するものであれば、単装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0081】
10 振動試験装置
11 ベース部
12 振動台
13 シリンダ駆動システム
30 油圧シリンダ(流体シリンダ装置)
31 第1サーボ弁(第1流量調整装置)
32 第2サーボ弁(第2流量調整装置)
33 制御装置
34 油圧ポンプ
41 シリンダ
42 ピストン
43 ロッド
44 第1部屋
45 第2部屋
46,46a,46b 第1給排ポート
47,47a,47b 第2給排ポート
48 検出部(駆動量検出部)
51,71 ケース
52,72 スプール
53,73 駆動部
61,81 第1給排部
62,82 第2給排部
63,83 油圧供給部
64,84 第1油圧排出部
65,85 第2油圧排出部
66,86 第1弁体
67,87 第2弁体
68,88 第3弁体
91,91a,91b,92,92a,92b,101,102,103,106,107,108,109 流路
104 タンク
105 リリーフ弁
110 処理部
111 分岐部
112 比較部
113 増幅部
114 分岐部
115a,115b 記憶部
116a,116b 算出部
117 加算部
118 比較部
119 増幅部
120 分岐部
200 加振対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8