(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106185
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、情報処理方法、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20230725BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007360
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】517111387
【氏名又は名称】株式会社SMALL WORLDS
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正宏
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC16
(57)【要約】
【課題】仮想空間における資産の管理をNFTにより行うコンピュータプログラム等の提供すること。
【解決手段】コンピュータプログラムは、ミニチュアテーマパークに対応付けられる仮想空間における資産の識別情報と、前記資産の取得を希望するユーザの識別情報を受け付け、前記資産の取得に関連して、前記ミニチュアテーマパークの対応する資産の識別情報と、前記ユーザの識別情報とを対応付けて保有資産記憶部に記憶し、前記ユーザに前記仮想空間における前記資産に対応するブロックチェーンシステム上の資産NFT(Non-Fungible Token)を前記ユーザへ付与する処理をコンピュータに実行させる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミニチュアテーマパークに対応付けられる仮想空間における資産の識別情報と、前記資産の取得を希望するユーザの識別情報を受け付け、
前記資産の取得に関連して、前記ミニチュアテーマパークの対応する資産の識別情報と、前記ユーザの識別情報とを対応付けて保有資産記憶部に記憶し、
前記ユーザに前記仮想空間における前記資産に対応するブロックチェーンシステム上の資産NFT(Non-Fungible Token)を前記ユーザへ付与する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記資産を利用する賃借ユーザから徴収した賃借料を、前記資産を取得した前記ユーザへ分配する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記資産を前記ユーザから第2ユーザへ譲渡する場合、前記資産NFTの所有者を前記第2ユーザへ変更する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記資産NFTの譲渡はスマートコントラクトにしたがって処理され、前記スマートコントラクトにより、譲渡費用の一部を前記ミニチュアテーマパークの運営者へ還元する
ことを特徴とする請求項3に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記仮想空間はメタバースであり、前記資産は前記メタバースにおける土地であり、
前記土地の購入により、前記メタバース上の前記土地を更地の状態へ変更し、前記土地に対応する前記ミニチュアテーマパークにおける土地も更地の状態とする指示を出力する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記仮想空間はメタバースであり、該メタバースにおける土地の識別情報と、前記土地上へ建築する構造物の情報とを受け付け、
前記構造物の建築に関連して前記ミニチュアテーマパークの対応する土地上の構造物の識別情報と、前記ユーザの識別情報とを対応付けて前記保有資産記憶部に記憶し、
前記ユーザに前記構造物に対応する前記ブロックチェーンシステム上の構造物NFTを付与する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記構造物NFTを有する前記ユーザに前記ミニチュアテーマパーク上での税金を請求する
ことを特徴とする請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記仮想空間における前記構造物の建築申請により、前記仮想空間上の土地上に前記構造物を生成し、前記ミニチュアテーマパークにおける土地上にも対応する構造物が作成されている
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記構造物の識別情報、前記ユーザの識別情報、及び、第2ユーザの識別情報を含む前記構造物を前記ユーザから前記第2ユーザへの譲渡要求を受け付け、
前記構造物NFTの所有者を前記ユーザから前記第2ユーザへ変更する
ことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記構造物は建築物であり、前記建築物への入居要求を第3ユーザから受け付け、
前記入居要求に関連して前記ミニチュアテーマパークの対応する建築物を前記第3ユーザに対応付け、
前記第3ユーザに前記建築物に対応するブロックチェーンシステム上の入居NFTを付与する
ことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記入居NFTを有する前記ユーザに前記ミニチュアテーマパーク上での第3の税を請求する
ことを特徴とする請求項10に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
ミニチュアテーマパークに対応付けられる仮想空間における資産の識別情報と、前記資産の取得を希望するユーザの識別情報を受け付け、
前記資産の取得に関連して、前記ミニチュアテーマパークの対応する資産の識別情報と、前記ユーザの識別情報とを対応付けて保有資産記憶部に記憶し、
前記ユーザに前記仮想空間における前記資産に対応するブロックチェーンシステム上の資産NFT(Non-Fungible Token)を前記ユーザへ付与する
処理を行うことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
前記仮想空間はメタバースであり、前記資産は前記メタバースにおける土地であり、
前記土地の購入により、前記メタバース上の土地を更地の状態へ変更し、前記土地に対応する前記ミニチュアテーマパークにおける土地も更地の状態とする
ことを特徴とする請求項12に記載の情報処理方法。
【請求項14】
ミニチュアテーマパークに対応付けられる仮想空間における資産の識別情報と、前記資産の取得を希望するユーザの識別情報を受け付ける受付部と、
前記資産の取得に関連して、前記ミニチュアテーマパークの対応する資産の識別情報と、前記ユーザの識別情報とを対応付けて保有資産記憶部に記憶する記憶実行部と、
前記ユーザに前記仮想空間における前記資産に対応するブロックチェーンシステム上の資産NFT(Non-Fungible Token)を前記ユーザへ付与する付与部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
ミニチュアテーマパークに対応付けられる仮想空間における土地の識別情報、及び、ユーザの識別情報を含む購入要求を送信し、
前記土地と対応付けられたNFTを取得し、
取得したNFTの選択を受け付けた場合に、前記仮想空間における土地の画像、及び、前記ミニチュアテーマパークにおける土地の画像を表示する
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間における資産の管理をNFT(Non-Fungible Token)により行うコンピュータプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータの真贋や所有権を保証するものとして、NFTが注目されている。NFTは非代替性トークンであり、ブロックチェーン上に構築される。NFTはブロックチェーン上に構築するため、暗号通貨と同様、その真贋や所有、譲渡に関する記録を改ざんすることが非常に困難である。そのため、NFTにより、デジタルデータの唯一性を確保しながら安全に、デジタルデータの所有や取引が可能となる。
【0003】
NFTを用いることにより、ビデオゲーム等の仮想空間において、資産の管理が行われている。例えば、特許文献1には、ゲーム内非代替資産をNFTとしてゲーム内とゲーム外との間で送受信することが可能なゲームシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、仮想空間の一つとしてメタバース(metaverse)が注目されている。メタバースはインターネット上に構築される仮想の三次元空間である。メタバースにおいて、NFTの活用が注目されている。しかしながら、ビデオゲーム以外の仮想空間において、NFTの活用は進んでいない。本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。その目的は、仮想空間における資産の管理をNFTにより行うコンピュータプログラム等の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の一態様に係るコンピュータプログラムは、ミニチュアテーマパークに対応付けられる仮想空間における資産の識別情報と、前記資産の取得を希望するユーザの識別情報を受け付け、前記資産の取得に関連して、前記ミニチュアテーマパークの対応する資産の識別情報と、前記ユーザの識別情報とを対応付けて保有資産記憶部に記憶し、前記ユーザに前記仮想空間における前記資産に対応するブロックチェーンシステム上の資産NFT(Non-Fungible Token)を前記ユーザへ付与する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本願の一観点によれば、仮想空間における資産の管理をNFTにより行う事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】資産管理システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】処理サーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】ユーザ端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図10】資産設定処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図11】課税処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図12】資産譲渡処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図13】賃貸借契約処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図14】賃料徴収処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図16】入居処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図17】資産処理の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、仮想空間はメタバースと同様に、仮想の三次元空間を想定している。仮想空間において、ユーザが保有可能な不動産や動産を資産という。各資産にはNFTが付随し、取引の安全が図られる。資産には、仮想空間におけるユーザの化身であるアバターを含めてもよい。
【0010】
ミニチュアテーマパークは、疑似空間を実現し来場者に観覧させる施設である。疑似空間は現実世界を模する空間又は仮想世界を実空間上で表現したものである。現実世界を模する疑似空間は、現実の都市、町又は農村を模した空間である。現代だけでなく過去の都市等を模してもよい。例えば、昭和30年代の東京を再現したものである。仮想世界を実空間に表現した疑似空間は、現実には存在しない仮想世界を題材にしたものである。映画、アニメーション映画、漫画、テレビドラマ、テレビアニメーション、小説に登場する町や都市を題材にした空間である。現実の都市等の未来を創造したものも含む。疑似空間は縮小したミニチュア空間である。縮尺は、例えば、鉄道模型のHOゲージに準じたもので、1/87である。縮尺として、鉄道模型のNゲージ程度の1/148から1/160でもよい。
【0011】
疑似空間には、建築物や移動体のミニチュアが配置される。建築物のミニチュアには、ビルディング、マンション、家屋、店舗、駅舎などのミニチュアを含む。移動体のミニチュアには、電車、汽車、飛行機、自動車、自転車、馬車、牛車、人力車、手押し車などのミニチュアを含む。移動体のミニチュアには、人、動物などの生物のミニチュアを含めてもよい。人のミニチュアとして、ユーザを模したミニチュアを作成してもよい。また、仮想世界を実空間に表現した疑似空間において、移動体のミニチュアには、人型兵器、宇宙船などのミニチュアを含めてもよい。
【0012】
仮想空間は疑似空間と関連性を持たせる。関連性を持たせるとは、例えば、疑似空間における土地の所有権をユーザが取得すると、当該ユーザは対応する仮想空間における土地の所有権を取得することをいう。同様に、ユーザが仮想空間における住居を取得した場合、当該ユーザは対応する疑似空間における住居を取得する。このように、仮想空間と疑似空間とに関連を持たせることにより、仮想空間における資産の取引と疑似空間における資産の取引とが連動する。それにより、疑似空間における取引の安全が、NFTにより担保される。
【0013】
図1は資産管理システムの構成例を示す説明図である。資産管理システム100は処理サーバ1(情報処理装置)、ユーザ端末2、ブロックチェーンシステム3(以下、「ブロックチェーン3」と略記する。)及びミニチュアテーマパーク4を含む。処理サーバ1、ユーザ端末2、ブロックチェーン3及びミニチュアテーマパーク4はネットワークNにより、互いに通信可能に接続されている。
【0014】
処理サーバ1は仮想の三次元空間(以下、単に「仮想空間」という。)をユーザに提供する。処理サーバ1はサーバコンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)等で構成する。また、処理サーバ1を複数のコンピュータからなるマルチコンピュータ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン又は量子コンピュータで構成しても良い。さらに、処理サーバ1の機能をクラウドサービスで実現してもよい。ユーザ端末2は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートパソコン等で構成する。
図1にはユーザ端末2が2台記載されているが、1台でも3台以上でもよい。
【0015】
ミニチュアテーマパーク4には、ミニチュア等の管理を行う運営者の端末が設置されている。運営者は仮想空間とミニチュアテーマパーク4が提供する疑似空間とが、同期するように、疑似空間を構成するミニチュアのメンテナンスを行う。
【0016】
ブロックチェーン3は、複数のノードにより構成され、分散型台帳技術又は分散型ネットワークである。ブロックチェーン3は、ブロックと呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、鎖のように連結していくことによりデータを保管する。ブロックチェーン3は、ピアツーピア(Peer to Peer)ネットワークと分散型タイムスタンプサーバーの使用により自律的に管理される。鎖状に保存することによって、ブロック内のデータを一度記憶した場合、該データを遡及的に変更することができない。なお、ブロックチェーン3は、パブリック型、プライベート型のいずれであってもよい。
【0017】
図2は処理サーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。処理サーバ1は制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14及び読み取り部15を含む。制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14及び読み取り部15はバスBにより接続されている。
【0018】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部13に記憶された制御プログラム1P(コンピュータプログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、処理サーバ1に係る種々の情報処理、制御処理等を行い、受付部、記憶実行部、付与部等の機能部を実現する。
【0019】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。主記憶部12は主として制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0020】
補助記憶部13はハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pや各種DB(Database)を記憶する。補助記憶部13は、ユーザDB131、土地DB132、建物DB133、部屋DB134、賃貸借DB135、課税資産DB136及び住民DB137を記憶する。補助記憶部13は処理サーバ1と別体で、処理サーバ1に外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部13に記憶する各種DB等を、処理サーバ1とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。土地DB132、建物DB133、部屋DB134は保有資産記憶部の例である。
【0021】
通信部14はネットワークNを介して、ユーザ端末2、ブロックチェーン3、ミニチュアテーマパーク4と通信を行う。また、制御部11が通信部14を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。
【0022】
読み取り部15はCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読み取り部15を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、補助記憶部13に記憶してもよい。また、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでもよい。
【0023】
図3はユーザ端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。ユーザ端末2は制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、通信部24、入力部25及び表示部26を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0024】
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部21は、補助記憶部23に記憶された制御プログラム2P(コンピュータプログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、種々の機能を提供する。
【0025】
主記憶部22は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部22は主として制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0026】
補助記憶部23はハードディスク又はSSD等であり、制御部21が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。補助記憶部23はユーザ端末2と別体で、外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部23に記憶する各種データを、データベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0027】
通信部24はネットワークNを介して、処理サーバ1と通信を行う。また、制御部21が通信部24を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム2Pをダウンロードし、補助記憶部23に記憶してもよい。
【0028】
入力部25はキーボードやマウスである。表示部26は液晶表示パネル等を含む。表示部26は処理サーバ1が出力した仮想空間などを表示する。また、入力部25と表示部26とを一体化し、タッチパネルディスプレイを構成してもよい。なお、ユーザ端末2は外部の表示装置に表示を行ってもよい。
【0029】
図4はユーザDBの例を示す説明図である。ユーザDB131は仮想空間、ミニチュアテーマパークを利用するユーザの情報を記憶する。ユーザDB131はユーザID列、氏名列、及びウォレットアドレス列を含む。ユーザID列はユーザを一意に特定可能なユーザIDを記憶する。氏名列はユーザの氏名を記憶する。ウォレットアドレス列はウォレットを特定するウォレットアドレスを記憶する。ウォレットはユーザが保有する暗号資産(仮想通貨)等を保管している。
【0030】
図5は土地DBの例を示す説明図である。土地DB132は仮想空間及び当該仮想空間に対応するミニチュアテーマパーク4の疑似空間における土地の情報を記憶する。土地は資産の一例である。土地DB132は土地ID列、住所/所在地列、地目列、地積列、所有者ID列及びNFT列を含む。土地ID列は土地を一意に特定する土地IDを記憶する。住所/所在地列は仮想空間及び疑似空間における土地の住所を記憶する。地目列は地目すなわち土地の用途を記憶する。地目は例えば、田、畑、宅地等である。地目は土地の情報を土地DB132に初期登録する際、運営者が初期設定する。地積列は仮想空間及び疑似空間における土地の面積を記憶する。疑似空間はミニチュアの空間であるから、地積列に記憶する土地の面積は、疑似空間における物理的な土地の面積とは異なる。例えば疑似空間の縮尺が1/80の場合、6400平方メートルの土地は、疑似空間における物理的な面積は、1平方メートルとなる。所有者ID列は土地を所有するユーザのユーザIDを記憶する。例外として、運営者にもユーザIDが付されており、土地を運営者が所有している場合、運営者のIDを所有者ID列は記憶する。他の資産についても土地と同様に運営者が所有している場合がある。NFT列は土地と対応付けられたNFTのIDを記憶する。NFTは所有者のIDや、取引の履歴等を記憶しており、仮想空間及び疑似空間において、土地の所有者等を公証する役割を担う。
【0031】
図6は建物DBの例を示す説明図である。建物DB133は建物(構造物)の情報を記憶する。建物は資産の一例である。建物DB133は建物ID列、土地ID列、住所/所在地列、種別列、名称列、所有者列及びNFT列を含む。建物ID列は建物を一意に特定するIDを記憶する。土地ID列は建物が所在する土地の土地IDを記憶する。住所/所在地列は建物の所在地を記憶する。種別列は建築物の種別を記憶する。種別は例えば、集合住宅(共同住宅)、戸建て住宅、オフィスビル等である。名称列は建物の名称を記憶する。所有者列は建物を所有するユーザのユーザIDを記憶する。NFT列は建物と対応付けられたNFTのIDを記憶する。NFTは所有者のIDや、取引の履歴等を記憶しており、仮想空間及び疑似空間において、建物の所有者等を公証する役割を担う。
【0032】
図7は部屋DBの例を示す説明図である。部屋DB134は部屋の情報を記憶する。部屋は集合住宅やオフィスビル等の個々の部屋である。部屋は資産の一例である。部屋DB134は部屋ID列、建物列、部屋番号列、所有者列及びNFT列を含む。部屋ID列は部屋を特定するIDを記憶する。建物列は部屋が所在する建物の建物IDを記憶する。部屋番号列は部屋の番号を記憶する。所有者列は部屋を所有しているユーザのユーザIDを記憶する。NFT列は部屋と対応付けられたNFTのIDを記憶する。NFTは所有者のIDや、取引の履歴等を記憶しており、仮想空間及び疑似空間において、部屋の所有者等を公証する役割を担う。
【0033】
図8は賃貸借DBの例を示す説明図である。賃貸借DB135は資産が所有者以外のユーザに貸し出されている場合、その貸借の情報を記憶する。賃貸借DB135は資産ID列、種別列、賃貸人列、賃料列、賃借人列及びNFT列を含む。資産ID列は貸借の対象となっている資産のIDを記憶する。例えば、貸借の対象が土地であれば土地IDを、資産ID列は記憶する。種別列は資産の種別を記憶する。種別は土地、建物、部屋等である。賃貸人列は資産を貸しているユーザのユーザIDを記憶する。賃料列は所定期間毎、例えば1ヶ月毎の資産の賃料を記憶する。賃料はスマートコントラクトで利用できる暗号資産での値であるが、法定通貨での値を記憶してもよい。ここでの所定期間は現実世界での時間の流れを元にすることが望ましい。演出の都合上等により、仮想空間及び疑似空間における時間流れが、現実世界での時間流れと常に比例するとは限らないからである。例えば、あるとき、仮想空間及び疑似空間における1日が現実世界での2時間であったとしても、別のときに仮想空間及び疑似空間における1日が現実世界での2時間になるとは限らないからである。賃借人列は資産を借りているユーザのユーザIDを記憶する。NFT列は貸借の情報と対応付けられたNFTのIDを記憶する。NFTは賃貸人のID、賃借人のID、賃料等を記憶しており、賃貸人と賃借人とで交わされた賃貸借契約の内容等を公証する役割を担う。
【0034】
図9は課税資産DBの例を示す説明図である。課税資産DB136は仮想空間及び疑似空間において、資産に対する課税の情報を記憶する。課税資産DB136は資産ID列、区分列、課税標準額列及び所有者列を含む。資産ID列は課税対象となる資産のIDを記憶する。区分列は資産の区分を記憶する。区分は土地、建物等である。課税標準額列は課税額を算出する際の基になる資産の評価額を記憶する。評価額はスマートコントラクトで利用できる暗号資産での値であるが、法定通貨での値を記憶してもよい。所有者列は納税すべき所有者のユーザIDを記憶する。
【0035】
NFTの例を説明する。例えば、NFTはERC721(Ethereum Request for Comments 721)に準拠したものとする。NFTはインデックスデータとメタデータとを含む。インデックスデータはTokenID、保有者アドレス、及び、TokenURIを含む。TokenIDはNFTを一意に特定するIDであり、本実施の形態においてはNFTのIDに相当する。保有者アドレスはNFTの保有者の識別情報であり、本実施の形態においては、ユーザIDに相当する。TokenURIはメタデータの場所を示すURI(Uniform Resource Identifier)を記憶する。メタデータはname、description、imageを含む。nameはNFTの名前を記憶する。descriptionはNFTの説明を記憶する。imageはNFTと対応付けられたコンテンツデータの位置を示すURL(uniform resource locator)を記憶する。
【0036】
図10は資産設定処理の手順例を示すフローチャートである。資産設定処理は仮想空間及び疑似空間における資産を設定する処理である。初期状態においては運営者が流通させる土地、建物、部屋を設定する。処理サーバ1の制御部11は運営者から資産の情報を取得する(ステップS1)。資産の情報は土地であれば、土地DB132に記憶される情報のうちマスター情報(住所/所在地、地目、地積等)及び、所有者のIDである。初期状態での所有者は運営者を想定している。制御部11はブロックチェーン3に対して、NFTの発行要求を送信する(ステップS2)。その際、NFTにも記憶させる情報として、少なくとも所有者のIDを、制御部11は送信する。ブロックチェーン3は発行要求を受信する(ステップS3)。ブロックチェーン3は新たにNFTを作成する(ステップS4)。当該NFTは資産と対応付けられるNFTであるので、資産NFTという。また、資産が土地である場合は、土地NFTともいい、資産が建物等の構造物である場合は、構造物NFTともいう。ブロックチェーン3は作成したNFTの保有者アドレスとして、所有者のIDを設定する。所有者が指定されていない場合、ブロックチェーン3は運営者のIDを保有者アドレスとして設定する。ブロックチェーン3は作成したNFTのIDを処理サーバ1へ送信する(ステップS5)。処理サーバ1の制御部11はNFTのIDを受信する(ステップS6)。制御部11はNFTのIDと資産の情報とを、データベースに記憶する(ステップS7)。制御部11は資産が土地であれば、NFTのIDと資産の情報とを、土地DB132に記憶する。制御部11は資産が建物であれば、NFTのIDと資産の情報とを、建物DB133に記憶する。制御部11は資産が部屋であれば、NFTのIDと資産の情報とを、部屋DB134に記憶する。制御部11は設定完了の通知する(ステップS8)。例えば、制御部11は通知をメール、SMS(Short Message Service)、プッシュ通知により、運営者の端末へ送信する。資産が土地である場合、設定は運営者のみが行えるとするが、資産が建物や部屋の場合は、ユーザでも設定可能としてもよい。
【0037】
運営者は別途、仮想空間及び疑似空間に資産を設定する。資産が建物の場合、運営者が建設する場合は自らが決めた仕様で、ユーザが建築申請する場合はユーザの仕様で建物を設定する。ミニチュアテーマパーク4での疑似空間においては、仕様に従った建物のミニチュアが作成され設置される。なお、建物の場合、建設する土地を、ユーザは予め購入は又は借りておく必要がある。
【0038】
資産が部屋の場合、運営者が設定する場合は自らが決めた仕様で、ユーザが設定する場合はユーザの仕様で部屋を構築する。ミニチュアテーマパーク4での疑似空間においては、仕様に従った部屋のミニチュアが指定の建物に作成される。なお、部屋の場合、部屋が構築される建物の区画を、ユーザは予め購入は又は借りておく必要がある。
【0039】
図11は課税処理の手順例を示すフローチャートである。課税処理は資産に対して課税をし、ユーザから税金を徴収する処理である。処理サーバ1の制御部11は課税資産DB136から課税情報を1レコード取得する(ステップS21)。制御部11は課税情報に基づき、徴収する税額を計算する(ステップS22)。例えば、課税標準額列の値に、1.4%を掛けた値を税額とする。制御部11は税徴収のトランザクションを実行するための情報をブロックチェーン3に送信する(ステップS23)。ここでのトランザクションの内容はスマートコントラクトとして予めブロックチェーン3上に構築されている。ブロックチェーン3に送信する内容としてはトランザクションを特定する情報、資産ID、所有者ID、税額、所有者のウォレットアドレス等である。ブロックチェーン3はトランザクション実行のための情報を受信する(ステップS24)。ブロックチェーン3はスマートコントラクトによるトランザクションを開始する。ブロックチェーン3は税が徴収可能か否かを判定する(ステップS25)。例えば、資産IDと対応付けられているNFTを参照して、資産の所有者が受信した所有者IDを持つユーザであるか否かを判定する。また、所有者のウォレットアドレスにより、所有者が保有している暗号資産の量を取得し、税額を払える量であるか否かを判定する。ブロックチェーン3は税が徴収可能と判定した場合(ステップS25でYES)、税金を徴収する(ステップS26)。例えば、ブロックチェーンは、税額分の暗号資産を所有者のウォレットから、運営者のウォレットに移転させる。ブロックチェーン3は徴収完了を処理サーバ1へ送信する(ステップS27)。処理サーバ1の制御部11は徴収完了を受信する(ステップS28)。制御部11は未処理の課税情報レコードが有るか否かを判定する(ステップS29)。制御部11は未処理の課税情報レコードが有ると判定した場合(ステップS29でYES)、処理をステップS21へ戻し、未処理のレコードに関する処理を行う。制御部11は未処理の課税情報レコードがないと判定した場合(ステップS29でNO)、課税処理を終了する。ブロックチェーン3は税が徴収可能でないと判定した場合(ステップS25でNO)、徴収不可を処理サーバ1へ送信する(ステップS30)。この際、ブロックチェーン3から徴収不可となった理由を処理サーバ1へ送信することが望ましい。処理サーバ1の制御部11は徴収不可を受信する(ステップS31)。制御部11はエラー処理を行い(ステップS32)、ステップS29以降を実行する。エラー処理は所有者や運営者への未徴収の通知や、後日改めて徴収するためのジョブの計画等である。
【0040】
なお、課税処理はバッチ処理等により、所定期間が経過する毎に繰り返し実行される。課税処理において、スマートコントラクトにより実行されるトランザクションの範囲を、
図11に点線の四角形で示したが、それに限らない。NFTに課税情報を持たせることで、税額の計算等もトランザクションに組み込んでもよい。また、徴収不可となった場合の再徴収のトランザクションをスマートコントラクトとして構築しておき、徴収不可となった場合に起動してもよい。この場合、トランザクションを開始する条件として、対象ユーザの暗号資産の保有量が税額を上回った場合と設定する。
【0041】
図12は資産譲渡処理の手順例を示すフローチャートである。資産譲渡処理は運営者とユーザとの間、又は、ユーザ間において、資産の譲渡を行う場合に実行する処理である。処理サーバ1の制御部11は、資産の譲渡人(ユーザ)、若しくは、譲受人(第2ユーザ)の一方から、又は、譲渡人及び譲受人の両方から、譲渡情報を取得する(ステップS41)。譲渡情報は譲渡する資産のID、譲渡額、譲渡人のユーザID、譲受人のユーザIDを含む。制御部11が譲渡情報を取得することは、譲渡要求を受け付けることに相当する。制御部11は資産譲渡のトランザクションを実行するための情報をブロックチェーン3に送信する(ステップS42)。ここでのトランザクションの内容はスマートコントラクトとして予めブロックチェーン3上に構築されている。ブロックチェーン3に送信する内容としてはトランザクションを特定する情報、譲渡情報、譲渡人及び譲受人のウォレットアドレス等である。ブロックチェーン3はトランザクション実行のための情報を受信する(ステップS43)。ブロックチェーン3はスマートコントラクトによるトランザクションを開始する。ブロックチェーン3は取引可能か否かを判定する(ステップS44)。例えば、資産IDと対応付けられているNFTを参照して、資産の所有者が受信した譲渡人のIDを持つユーザであるか否かを判定する。また、譲受人のウォレットアドレスにより、譲受人が保有している暗号資産の量を取得し、譲渡額を払える量であるか否かを判定する。ブロックチェーン3は税が徴収可能と判定した場合(ステップS44でYES)、決済を行う(ステップS45)。ブロックチェーンは、譲渡額分の暗号資産を譲受人のウォレットから、譲渡人のウォレットに移転させる。ブロックチェーン3はNFTが記憶する資産の所有者を変更する(ステップS46)。すなわち、ブロックチェーン3はNFTの保有者アドレスを、譲受人のIDに変更する。ブロックチェーン3は取引完了を処理サーバ1へ送信する(ステップS47)。処理サーバ1の制御部11は取引完了を受信する(ステップS48)。制御部11は資産の所有者を更新する(ステップS49)。資産が土地であれば土地DB132を、資産が建物であれば建物DB133を、資産が部屋であれば部屋DB134を、制御部11は更新する。制御部11は取引完了通知を譲渡人及び譲受人の端末、ユーザ端末2又は運営者の端末へ送信し(ステップS50)、資産譲渡処理を終了する。ブロックチェーン3は取引可能でないと判定した場合(ステップS44でNO)、取引不可を処理サーバ1へ送信する(ステップS51)。処理サーバ1の制御部11は取引不可を受信する(ステップS52)。この際、ブロックチェーン3から取引不可となった理由を処理サーバ1へ送信することが望ましい。制御部11はエラー処理を行い(ステップS53)、資産譲渡処理を終了する。エラー処理は譲渡人及び譲受人への取引失敗の通知(理由も含めることが望ましい。)等である。
【0042】
資産譲渡処理において、スマートコントラクトにより実行されるトランザクションの範囲を
図12に点線の四角形で示したが、それに限らない。例えば、資産譲渡しに関するトランザクションをスマートコントラクトとして、ブロックチェーン3に構築しておき、資産の譲渡人が資産売出しのスマートコントラクトを利用する。資産が売り出されていることを関知した譲受人は、購入を希望する資産の資産IDと希望譲渡額とをブロックチェーン3に送信する。ブロックチェーン3は受信した資産IDの資産が売出し中で、希望譲渡額が、譲渡人が設定した譲渡額にマッチすると判定した場合、スマートコントラクトに基づくトランザクションを実行し、譲渡処理を行う。同様に、資産買取りのスマートコントラクトを構築してもよい。
【0043】
また、資産譲渡を行なわれた場合に、譲渡額(譲渡費用)の一部を運営者が徴収してもよい。この場合、徴収処理をスマートコントラクトに含めておくことが望ましい。
【0044】
図13は賃貸借契約処理の手順例を示すフローチャートである。賃貸借契約処理は資産を保有しないユーザが、資産を保有するユーザから借り受ける契約を結ぶ処理である。処理サーバ1の制御部11は、資産の賃貸人、若しくは、賃借人の一方から、又は、賃貸人及び賃借人の両方から、契約情報を取得する(ステップS61)。契約情報は賃貸借する資産のID、賃料、賃貸人のユーザID、賃借人のユーザIDを含む。契約情報に契約時に賃借人から賃貸人に支払う一時金、例えば礼金等の金額や、契約期間等を含めてもよい。制御部11は賃貸借契約のトランザクションを実行するための情報をブロックチェーン3に送信する(ステップS62)。ここでのトランザクションの内容はスマートコントラクトとして予めブロックチェーン3上に構築されている。ブロックチェーン3に送信する内容としてはトランザクションを特定する情報、契約情報、賃貸人及び賃貸人のウォレットアドレス等である。ブロックチェーン3はトランザクション実行のための情報を受信する(ステップS63)。ブロックチェーン3はスマートコントラクトによるトランザクションを開始する。ブロックチェーン3は契約可能か否かを判定する(ステップS64)。例えば、資産IDと対応付けられているNFTを参照して、資産の所有者が受信した賃貸人のIDを持つユーザであるか否かを判定する。また、賃借人のウォレットアドレスにより、賃借人が保有している暗号資産の量を取得し、賃料を払える十分な量であるか否かを判定する。例えば、賃料の3倍に相当する暗号資産を賃借人が保有していたら、十分であると判定される。ブロックチェーン3は契約可能と判定した場合(ステップS64でYES)、契約内容を示すNFTを作成する(ステップS65)。例えば、資産IDと対応付けられているNFTについて、分割共有の技術を用いて、保有者と賃借人とでNFTを共有する。賃借人のメタデータには賃借人であることを示す情報を記憶させ、運用上、保有者と賃借人とは区別可能にする。賃借人が保有するNFTが賃貸借の情報を記憶するNFTである。当該NFTにおいて、ブロックチェーン3は保有者アドレスとして賃借人のIDを設定する。ブロックチェーン3は契約完了を処理サーバ1へ送信する(ステップS66)。処理サーバ1の制御部11は契約完了を受信する(ステップS67)。制御部11は契約内容を賃貸借DB135に記憶する(ステップS68)。制御部11は取引完了通知を賃貸人及び賃借人の端末へ送信し(ステップS69)、賃貸借契約処理を終了する。ブロックチェーン3は契約可能でないと判定した場合(ステップS64でNO)、契約不可を処理サーバ1へ送信する(ステップS70)。処理サーバ1の制御部11は契約不可を受信する(ステップS71)。この際、ブロックチェーン3から契約不可となった理由を処理サーバ1へ送信することが望ましい。制御部11はエラー処理を行い(ステップS72)、賃貸借契約処理を終了する。エラー処理は賃貸人及び賃借人への契約失敗の通知(理由も含めることが望ましい。)等である。上述の説明では保有者と賃借人でNFTを共有するとしたが、それに限らない。NFTを共有するのではなく、賃貸借情報を資産NFTのメタデータとして持つようにしてもよい。この場合、NFTの保有者は資産の保有者のままである。
【0045】
賃貸借契約処理において、スマートコントラクトにより実行されるトランザクションの範囲を
図13に点線の四角形で示したが、それに限らない。例えば、資産賃貸しに関するトランザクションをスマートコントラクトとして、ブロックチェーン3に構築しておき、資産の賃貸人が資産賃貸しのスマートコントラクトを利用する。資産の賃借人が募集されていることを関知した賃借人は、賃借を希望する資産の資産IDと希望賃料とをブロックチェーン3に送信する。ブロックチェーン3は受信した資産IDの資産の賃借人が募集中で、希望賃料が、賃貸人が設定した賃料に適合すると判定した場合、スマートコントラクトに基づくトランザクションを実行し、契約処理を行う。同様に、資産の賃貸希望のスマートコントラクトを構築してもよい。
【0046】
また、賃貸借契約が行なわれた場合に、賃料に応じた額を運営者が徴収してもよい。この場合、徴収処理をスマートコントラクトに含めておくことが望ましい。さらに、賃借する資産が集合住宅の部屋等の住居である場合、運営者は、賃借人から所定期間経過毎に所定額を徴収してもよい。
【0047】
図14は賃料徴収処理の手順例を示すフローチャートである。賃料徴収処理は、資産の賃借人から賃料を徴収し、賃貸に賃料を支払う処理である。処理サーバ1の制御部11は賃貸借DB135から賃貸借契約情報を1レコード取得する(ステップS81)。制御部11は賃料徴収のトランザクションを実行するための情報をブロックチェーン3に送信する(ステップS82)。ここでのトランザクションの内容はスマートコントラクトとして予めブロックチェーン3上に構築されている。ブロックチェーン3に送信する内容としてはトランザクションを特定する情報、資産ID、賃貸人ID、賃貸人ID、賃料、賃貸人及び賃貸人のウォレットアドレス等である。ブロックチェーン3はトランザクション実行のための情報を受信する(ステップS83)。ブロックチェーン3はスマートコントラクトによるトランザクションを開始する。ブロックチェーン3は税が決済可能か否かを判定する(ステップS84)。例えば、資産IDと対応付けられているNFTを参照して、資産の所有者が受信した賃貸人IDを持つユーザであるか否かを判定する。また、賃借人のウォレットアドレスにより、賃借人が保有している暗号資産の量を取得し、賃料を払える量であるか否かを判定する。ブロックチェーン3は決済可能と判定した場合(ステップS84でYES)、決済を実行する(ステップS85)。例えば、ブロックチェーンは、賃料分の暗号資産を賃借人(賃借ユーザ)のウォレットから、賃貸人のウォレットに移転させる。ブロックチェーン3は決済完了を処理サーバ1へ送信する(ステップS86)。処理サーバ1の制御部11は決済完了を受信する(ステップS87)。制御部11は決済の完了の通知を、賃貸人及び賃借人のユーザ端末2へ送信し(ステップS88)、賃料徴収処理を終了する。ブロックチェーン3は決済可能でないと判定した場合(ステップS84でNO)、決済不可を処理サーバ1へ送信する(ステップS89)。この際、ブロックチェーン3から決済不可となった理由を処理サーバ1へ送信することが望ましい。処理サーバ1の制御部11は決済不可を受信する(ステップS90)。制御部11はエラー処理を行い(ステップS91)、賃料徴収処理を終了する。エラー処理は賃貸人や賃借人への賃料未払いの通知や、後日改めて決済するためのジョブの計画等である。
【0048】
賃料徴収処理において、スマートコントラクトにより実行されるトランザクションの範囲を、
図14に点線の四角形で示したが、それに限らない。決済不可となった場合の再決済のトランザクションをスマートコントラクトとして構築しておき、決済不可となった場合に起動してもよい。この場合、トランザクションを開始する条件として、賃借人の暗号資産の保有量が賃料を上回った場合と設定する。
【0049】
また、賃料徴収処理を行なわれた場合に、賃料(賃借料)の一部を手数料として、賃貸人から運営者が徴収してもよい。この場合、徴収処理をスマートコントラクトに含めておくことが望ましい。
【0050】
本実施の形態においては、仮想空間における資産(土地、建物、部屋等)と、ミニチュアテーマパークの疑似空間における資産とを関連付けをする。そして、仮想空間における資産にNFTを付している。それよって、仮想空間における資産と疑似空間における資産とを、NFTにより管理することが可能となる。NFTはブロックチェーン上に実装されているので、資産の保有者を改ざんすることは極めて困難である。また、NFTの変更履歴もブロックチェーンに記録されるので、資産の保有者の変遷が正確に記録される。また、資産の譲渡や賃貸借により、ユーザが資産の運用による収益を上げることが可能となる。さらに、運営者においては、資産に対する課税や、取引等に対する手数料を徴収することで、仮想空間や疑似空間を維持運営するための経費を得ることが可能となる。
【0051】
上述において、資産の例として土地、建物、部屋の不動産を上げたが、それに限らず動産を含めてもよい。例えば、自動車や船舶、仮想空間におけるアバター及び疑似空間における自身のフィギュアを資産としてもよい。
【0052】
また、上述において、各資産の所有者は、ユーザ1名又は運営者であることを前提に説明したが、それに限らない。一つの資産を複数者で共同所有してもよい。例えば、土地を共同所有する場合、土地DB132における該当レコードの所有者ID列に共有者のユーザIDを記憶する。また、該当する土地に対応するNFTを複数の共有者で共有する。各共有者の持ち分を設定する場合、当該持ち分はメタデータに記憶する。上述したERC721に沿ったNFTを採用する場合、ERC846を利用して、一つNFTを複数の共有者で分割所有が可能となる。
【0053】
ユーザが仮想空間や疑似空間において、生活していることをより実感できるように、住民登録サービスを提供してもよい。
図15は住民DBの例を示す説明図である。住民DB137は仮想空間や疑似空間において、住民登録したユーザの情報を記憶する。住民DB137はユーザID列、世帯ID列、氏名列、登録日列、住所列及びNFT列を含む。ユーザID列は住民のユーザIDを記憶する。世帯ID列は世帯を一意に特定する世帯IDを記憶する。世帯IDにより、同一世帯である住民のグループ構成、家族の構成を特定可能となる。氏名列は住民の氏名を記憶する。登録日列は住民として登録した日を記憶する。住所列には住民が住む建物の建物IDや部屋の部屋IDを記憶する。NFT列は住民の情報と対応付けられたNFTのIDを記憶する。NFTは住民の氏名、住所等を記憶しており、仮想空間や疑似空間における住民であることを公証する役割を担う。なお、住民としての存在は、仮想空間や疑似空間限りであるので、氏名や世帯構成は、現実世界と一致させる必要はない。ユーザの希望に従い自由に設定してもよい。
【0054】
図16は入居処理の手順例を示すフローチャートである。入居処理はユーザが所有又は賃貸する住居(建物や部屋)に入居する際に実行される処理である。処理サーバ1の制御部11は住民情報を取得する(ステップS101)。制御部11が住民情報を取得することは、入居要求を受け付けることの一例である。住民情報はユーザがユーザ端末2から処理サーバ1へ送信してもよいし、運営者がミニチュアテーマパーク4に設置した運営者端末から送信してもよい。住民情報はユーザID、氏名、住所(建物ID、部屋ID)等を含む。すでに住民登録を受けているユーザの場合は、住民情報として、世帯ID、NFTのIDを含める。制御部11は入居処理のトランザクションを実行するための情報をブロックチェーン3に送信する(ステップS102)。ここでのトランザクションの内容はスマートコントラクトとして予めブロックチェーン3上に構築されている。ブロックチェーン3に送信する内容としてはトランザクションを特定する情報と住民情報とである。ブロックチェーン3はトランザクション実行のための情報を受信する(ステップS103)。ブロックチェーン3はスマートコントラクトによるトランザクションを開始する。ブロックチェーン3は住民登録可能か否かを判定する(ステップS104)。ブロックチェーン3は住所として送信された建物IDや部屋IDと対応付けられている資産NFTを参照して、建物や部屋の所有者がユーザであるか否かを判定する。また、ユーザが建物や部屋の所有者ではない場合は、建物IDや部屋IDと対応付けられている貸借情報のNFTを参照して、ユーザが賃借人であるか否かを判定する。さらに、ユーザが他のユーザが世帯主である世帯に加わる場合は、住民情報に含まれる世帯IDを元に、NFTを参照して、世帯主が住民であるかを判定する。これらの結果に基づき、ブロックチェーン3はステップS104の判定を行う。ブロックチェーン3は登録可能と判定した場合(ステップS104でYES)、NFTを作成、又は、更新する(ステップS105)。当該NFTは入居NFTの一例である。入居NFTは資産NFTを分割したものとし、保有者アドレスとして入居者のIDを記憶する。上述した賃貸借の場合と同様に、外形上、保有者は資産を入居者と共有することになるが、入居NFTのメタデータに入居者であることを示す情報を記憶させ、保有者とは区別可能とする。ブロックチェーン3は完了を処理サーバ1へ送信する(ステップS106)。処理サーバ1の制御部11は完了を受信する(ステップS107)。制御部11は住民情報を記憶する(ステップS108)。新規の住民登録の場合、制御部11は住民DB137を記憶する。引越しなどによる登録内容の更新の場合、制御部11は住民情報の更新内容を住民DB137へ記憶する。制御部11は完了の通知を、住民のユーザ端末2又は運営者の端末へ送信し(ステップS109)、入居処理を終了する。ブロックチェーン3は登録可能でないと判定した場合(ステップS104でNO)、登録不可を処理サーバ1へ送信する(ステップS110)。この際、ブロックチェーン3から登録不可となった理由を処理サーバ1へ送信することが望ましい。処理サーバ1の制御部11は登録不可を受信する(ステップS111)。制御部11はエラー処理を行い(ステップS112)、入居処理を終了する。ユーザが住民登録を行った場合、運営者はユーザのフィギュアを作成し、当該フィギュアを疑似空間に設置することが望ましい。なお、上述においては、ユーザが住民登録を受けるためには、世帯主が住居となる建物や部屋を所有するか、賃借していることを前提としているが、それに限らない。ユーザが所定の登録料を支払うことにより、住民登録を許可してもよい。
【0055】
入居処理を実行する手数料として、運営者はユーザから、所定量の暗号資産を徴収してもよい。この場合、徴収処理をスマートコントラクトに含めておくことが望ましい。また、住民登録しているユーザ(第3ユーザ)から住民税(第3の税)を徴収してもよい。住民税の額は、全住民で一律としてもよいし、住んでいる地域毎に設定してもよい。また、住民が資産の賃貸により収入を得ている場合は、収入額により、住民税額を定めてもよい。
【0056】
住民登録したユーザに対しては、住民であることの証明書を発行可能としてもよい。当該証明書により、ユーザは仮想空間や疑似空間において、生活していることを実感できる。
【0057】
ユーザが保有している資産の表示機能について説明する。ユーザは自分を保有する資産を、ユーザ端末2に表示して確認可能である。
図17は資産処理の手順例を示すフローチャートである。ユーザはユーザ端末2を操作して資産表示機能を起動する。それを契機にユーザ端末2の制御部21は資産一覧の要求を処理サーバ1へ送信する(ステップS121)。処理サーバ1の制御部11は要求を受信する(ステップS122)。制御部11は、ユーザが保有している資産の情報を土地DB132等から収集する。この際、制御部11は各資産と対応付けられたNFTを参照し、ユーザが確かに保有していることを確認してもよい。制御部11は資産一覧を作成する(ステップS123)。制御部11は資産一覧をユーザ端末2へ送信する(ステップS124)。ユーザ端末2の制御部21は資産一覧を受信する(ステップS125)。制御部21は資産一覧を表示する(ステップ126)。制御部21はユーザからの操作を受け付ける(ステップS127)。制御部21は受け付けた操作が資産の選択であるか否かを判定する(ステップS128)。制御部21は受け付けた操作が資産の選択であると判定した場合(ステップS128でYES)、ユーザ選択した資産のIDを処理サーバ1へ送信する(ステップS129)。処理サーバ1の制御部11は資産のIDを受信する(ステップS130)。制御部11はユーザが選択した資産の情報をユーザ端末2へ送信する(ステップS131)。資産の情報は、仮想空間における資産の画像、資産の所在を示すURL、ミニチュアテーマパークに設置されている資産の映像をストリーミング受信するための情報等である。ユーザ端末2の制御部21は資産の情報を受信する(ステップS132)。制御部21は、資産の情報に含まれるストリーミング受信するための情報を用いて、ミニチュアテーマパークの映像配信サーバへ接続要求を送信する(ステップS133)。映像配信サーバは受信した接続要求に基づきユーザに認証を行う(ステップS134)。映像配信サーバはユーザ端末2の接続を許可する(ステップS135)。ユーザ端末2の制御部21は接続の完了を検知する(ステップS136)。制御部21は仮想空間における資産の画像と、ミニチュアテーマパークにおける資産の映像とを、表示部26に表示する(ステップS137)。制御部21は戻る操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS138)。制御部21は戻る操作を受け付けていないと判定した場合(ステップS138でNO)、ステップS137を繰り返す。制御部21は戻る操作を受け付けたと判定した場合(ステップS138でYES)、処理をステップS126へ戻す。制御部21は受け付けた操作が資産の選択でないと判定した場合(ステップS128でNO)、受け付けた操作が終了である否かを判定する(ステップS139)。制御部21は受け付けた操作が終了でないと判定した場合(ステップS139でNO)、受け付けた操作に対応する処理を行い(ステップS140)、処理をステップS126へ戻す。受け付けた操作が終了であると判定した場合(ステップS139でYES)、処理を終了する。
【0058】
図18は資産表示画面の例を示す説明図である。資産表示画面は資産一覧領域181、資産画像領域182、資産映像領域183、資産名称領域184、詳細領域185を含む。資産一覧領域181はユーザが保有する資産を表示する。
図18では画像のサムネイルで各資産を表示している。資産一覧領域181には3つの資産が表示されている。資産1811は構造物NFTと対応づいた建物である。資産1812は土地NFTと対応づいた土地である。サムネイルは、土地が更地の状態であることを表現している。資産1812は自動車NFTと対応づいた自動車である。また、
図18では一番上の資産1811が選択されている。資産画像領域182は選択している資産1811の仮想空間での画像を表示する。資産映像領域183は選択している資産のミニチュアテーマパークの疑似空間での状況を表示する。
図18の例では、疑似空間に設置されたカメラで撮影したライブ映像をストリーミング表示している。疑似空間に設置されたカメラで撮影した映像は録画したものを表示してもよい。資産名称領域184は資産の名称を表示する。詳細領域185は資産の属性等を表示する。
図18では表示している資産が戸建て住宅であるので、詳細領域185には、所在地、土地面積、間取り、建物面積、利用料が表示されている。
【0059】
なお、資産表示画面での表示は以下のようにしてもよい。ユーザが土地を譲り受けた場合に、ミニチュアテーマパークの疑似空間において、当該土地を更地にする作業を行っているときは、ユーザ端末2には疑似空間の土地の映像は表示しないようにしてもよい。一方、ユーザが建物の建築申請をした場合には、ミニチュアテーマパークの疑似空間において、建築が進む状況をユーザが随時、確認できるようにしてもよい。
【0060】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
100 資産管理システム
1 処理サーバ
11 制御部
12 主記憶部
13 補助記憶部
131 ユーザDB
132 土地DB
133 建物DB
134 部屋DB
135 賃貸借DB
136 課税資産DB
137 住民DB
14 通信部
15 読み取り部
1P 制御プログラム
1a 可搬型記憶媒体
1b 半導体メモリ
2 ユーザ端末
21 制御部
22 主記憶部
23 補助記憶部
24 通信部
25 入力部
26 表示部
2P 制御プログラム
3 ブロックチェーンシステム
4 ミニチュアテーマパーク
B バス
N ネットワーク