(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106198
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】通信制御装置、車両、通信制御方法及び通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 41/0803 20220101AFI20230725BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H04L41/0803
H04L12/28 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007382
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 康広
(72)【発明者】
【氏名】宮内 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】大武 生祥
(72)【発明者】
【氏名】山根 遼
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】泉 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】小方 賢太
(72)【発明者】
【氏名】菊地 慶剛
(72)【発明者】
【氏名】浦山 博史
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA06
5K033BA06
5K033EC01
(57)【要約】
【課題】ネットワークの通信設定の変更に伴って必要となる新たなネットワーク設定を、通信制御装置も、通信制御装置に接続された切替制御部も知らない場合であっても、ネットワークの設定変更後の通信が上手くいかないことに起因する問題が発生する可能性を低減させることができる。
【解決手段】通信制御装置としてのセントラルECU22は、センタサーバ40から車内ネットワーク14の通信設定の変更に係る変更通知を受け付ける受付部200と、変更通知に伴って必要となる車内ネットワーク14の新たな設定情報を、セントラルECU22及びイーサネットスイッチ30の少なくとも何れか一方が記憶しているかを判定する判定部250と、セントラルECU22及びイーサネットスイッチ30の何れも設定情報を記憶していないと判定した場合、設定情報をセンタサーバ40に要求する要求部270と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークの通信を制御する通信制御装置であって、
前記ネットワークの通信設定の変更に係る変更通知を受け付ける受付部と、
前記変更通知に伴って必要となる前記ネットワークの新たな設定情報を、前記通信制御装置及び前記通信制御装置に接続された切替制御部の少なくとも何れか一方が記憶しているかを判定する判定部と、
前記判定部が前記通信制御装置及び前記切替制御部の何れも前記設定情報を記憶していないと判定した場合、前記設定情報を前記ネットワーク外の外部装置に要求する要求部と、
を備える通信制御装置。
【請求項2】
前記変更通知は、前記ネットワークに接続された機器におけるソフトウェアの更新に係る通知であって、
前記判定部は、更新される前記ソフトウェアの情報に基づいて前記設定情報が記憶されているかを判定する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記受付部は、前記変更通知を前記外部装置から受け付ける、
請求項1又は2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記受付部は、前記ネットワーク上の制御装置において実行されるソフトウェアの更新と共に前記変更通知を受け付ける請求項1~3の何れか1項に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記受付部は、前記ネットワークに新たな制御装置が接続された場合に前記変更通知を受け付ける請求項1~4の何れか1項に記載の通信制御装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の通信制御装置と、
一又は複数の前記切替制御部と、
前記切替制御部に接続された制御装置と、
を備えた車両。
【請求項7】
ネットワークの通信を制御する通信制御方法であって、
前記ネットワークの通信設定の変更に係る変更通知を受け付け、
前記変更通知に伴って必要となる前記ネットワークの新たな設定情報を、通信制御装置及び前記通信制御装置に接続された切替制御部の少なくとも何れか一方が記憶しているかを判定し、
前記通信制御装置及び前記切替制御部の何れも前記設定情報を記憶していないと判定した場合、前記設定情報を前記ネットワーク外の外部装置に要求する、
処理をコンピュータが実行する通信制御方法。
【請求項8】
ネットワークの通信を制御する通信制御プログラムであって、
前記ネットワークの通信設定の変更に係る変更通知を受け付け、
前記変更通知に伴って必要となる前記ネットワークの新たな設定情報を、通信制御装置及び前記通信制御装置に接続された切替制御部の少なくとも何れか一方が記憶しているかを判定し、
前記通信制御装置及び前記切替制御部の何れも前記設定情報を記憶していないと判定した場合、前記設定情報を前記ネットワーク外の外部装置に要求する、
処理をコンピュータに実行させる通信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークの通信を制御する通信制御装置、車両、通信制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワークにおける通信設定(以下、「ネットワーク設定」ともいう。)を変更することができるSDN(Software Defined Networking)技術が開示されている。SDNネットワークは、SDNコントローラ及び複数のSDNスイッチを含み、SDNコントローラがネットワーク設定をSDNスイッチに配信することにより、SDNスイッチがネットワーク制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、配信パッケージ(OTA:Over The Air)によるソフトウェアのアクティベートや、プラグアンドプレイ追加等、外部システムの変更に伴って必要となる新たなネットワーク設定をSDNコントローラやSDNスイッチが知らない場合、ネットワークの設定変更後の通信が上手くいかず、問題が発生することが懸念される。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、ネットワークの通信設定の変更に伴って必要となる新たなネットワーク設定を、通信制御装置も、通信制御装置に接続された切替制御部も知らない場合であっても、ネットワークの設定変更後の通信が上手くいかないことに起因する問題が発生する可能性を低減させることができる通信制御装置、車両、通信制御方法、及び通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の通信制御装置は、ネットワークの通信を制御する通信制御装置であって、前記ネットワークの通信設定の変更に係る変更通知を受け付ける受付部と、前記変更通知に伴って必要となる前記ネットワークの新たな設定情報を、前記通信制御装置及び前記通信制御装置に接続された切替制御部の少なくとも何れか一方が記憶しているかを判定する判定部と、前記判定部が前記通信制御装置及び前記切替制御部の何れも前記設定情報を記憶していないと判定した場合、前記設定情報を前記ネットワーク外の外部装置に要求する要求部と、を備える。
【0007】
請求項1に記載の通信制御装置では、ネットワークの通信を制御する通信制御装置であって、受付部が前記ネットワークの通信設定の変更に係る変更通知を受け付け、判定部が前記変更通知に伴って必要となる前記ネットワークの新たな設定情報を、前記通信制御装置及び前記通信制御装置に接続された切替制御部の少なくとも何れか一方が記憶しているかを判定し、要求部が前記通信制御装置及び前記切替制御部の何れも前記設定情報を記憶していないと判定した場合、前記設定情報を前記ネットワーク外の外部装置に要求する。そのため、当該通信制御装置によれば、ネットワークの通信設定の変更に伴って必要となる新たなネットワーク設定を、通信制御装置も、切替制御部も知らない場合であっても、ネットワークの設定変更後の通信が上手くいかないことに起因する問題が発生する可能性を低減させることができる。
【0008】
請求項2に記載の通信制御装置は、請求項1に記載の通信制御装置において、前記変更通知は、前記ネットワークに接続された機器におけるソフトウェアの更新に係る通知であって、前記判定部は、更新される前記ソフトウェアの情報に基づいて前記設定情報が記憶されているかを判定する。
【0009】
請求項2に記載の通信制御装置によれば、更新されるソフトウェアの情報に基づいて設定情報が記憶されているかを判定することができる。
【0010】
請求項3に記載の通信制御装置は、請求項1又は2に記載の通信制御装置において、前記受付部は、前記変更通知を前記外部装置から受け付ける。
【0011】
請求項3に記載の通信制御装置によれば、ネットワーク外の装置から変更通知を受け付けることができる。
【0012】
請求項4に記載の通信制御装置は、請求項1~3の何れか1項に記載の通信制御装置において、前記受付部は、前記ネットワーク上の制御装置において実行されるソフトウェアの更新と共に前記変更通知を受け付ける。
【0013】
請求項4に記載の通信制御装置によれば、ソフトウェアの更新と共に変更通知を受け付けることができる。
【0014】
請求項5に記載の通信制御装置は、請求項1~4の何れか1項に記載の通信制御装置において、前記受付部は、前記ネットワークに新たな制御装置が接続された場合に前記変更通知を受け付ける。
【0015】
請求項5に記載の通信制御装置によれば、ネットワークに新たな制御装置が接続された場合に変更通知を受け付けることができる。
【0016】
請求項6に記載の車両は、請求項1~5の何れか1項に記載の通信制御装置と、一又は複数の前記切替制御部と、前記切替制御部に接続された制御装置と、を備える。
【0017】
請求項6に記載の車両によれば、ネットワークの通信設定の変更に伴って必要となる新たなネットワーク設定を、通信制御装置も、切替制御部も知らない場合であっても、ネットワークの設定変更後の通信が上手くいかないことに起因する問題が発生する可能性を低減させることができる。これにより、車両の走行の安全を担保することができる。
【0018】
請求項7に記載の通信制御方法は、ネットワークの通信を制御する通信制御方法であって、前記ネットワークの通信設定の変更に係る変更通知を受け付け、前記変更通知に伴って必要となる前記ネットワークの新たな設定情報を、通信制御装置及び前記通信制御装置に接続された切替制御部の少なくとも何れか一方が記憶しているかを判定し、前記通信制御装置及び前記切替制御部の何れも前記設定情報を記憶していないと判定した場合、前記設定情報を前記ネットワーク外の外部装置に要求する、処理をコンピュータが実行する。
【0019】
請求項7に記載の通信制御方法は、ネットワークの通信を制御する通信制御方法であって、コンピュータが前記ネットワークの通信設定の変更に係る変更通知を受け付け、前記変更通知に伴って必要となる前記ネットワークの新たな設定情報を、通信制御装置及び前記通信制御装置に接続された切替制御部の少なくとも何れか一方が記憶しているかを判定し、前記通信制御装置及び前記切替制御部の何れも前記設定情報を記憶していないと判定した場合、前記設定情報を前記ネットワーク外の外部装置に要求する。そのため、当該通信制御方法によれば、ネットワークの通信設定の変更に伴って必要となる新たなネットワーク設定を、通信制御装置も、切替制御部も知らない場合であっても、ネットワークの設定変更後の通信が上手くいかないことに起因する問題が発生する可能性を低減させることができる。
【0020】
請求項8に記載の通信制御プログラムは、ネットワークの通信を制御する通信制御プログラムであって、前記ネットワークの通信設定の変更に係る変更通知を受け付け、前記変更通知に伴って必要となる前記ネットワークの新たな設定情報を、通信制御装置及び前記通信制御装置に接続された切替制御部の少なくとも何れか一方が記憶しているかを判定し、前記通信制御装置及び前記切替制御部の何れも前記設定情報を記憶していないと判定した場合、前記設定情報を前記ネットワーク外の外部装置に要求する、処理をコンピュータに実行させる。
【0021】
請求項8に記載の通信制御プログラムは、ネットワークの通信を制御する通信制御プログラムであって、コンピュータに次の処理を実行させる。すなわち、コンピュータは前記ネットワークの通信設定の変更に係る変更通知を受け付け、前記変更通知に伴って必要となる前記ネットワークの新たな設定情報を、通信制御装置及び前記通信制御装置に接続された切替制御部の少なくとも何れか一方が記憶しているかを判定し、前記通信制御装置及び前記切替制御部の何れも前記設定情報を記憶していないと判定した場合、前記設定情報を前記ネットワーク外の外部装置に要求する。そのため、当該プログラムによれば、ネットワークの通信設定の変更に伴って必要となる新たなネットワーク設定を、通信制御装置も、切替制御部も知らない場合であっても、ネットワークの設定変更後の通信が上手くいかないことに起因する問題が発生する可能性を低減させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ネットワークの通信設定の変更に伴って必要となる新たなネットワーク設定を、通信制御装置も、通信制御装置に接続された切替制御部も知らない場合であっても、ネットワークの設定変更後の通信が上手くいかないことに起因する問題が発生する可能性を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施形態に係る通信制御システムの概略構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態の車両におけるECUのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態の通信制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態の通信制御システムにおけるOTA処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図5】第1の実施形態の通信制御システムにおけるOTA処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】第1の実施形態の通信制御システムにおけるOTA処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】第1の実施形態のセントラルECUにおいて実行される照会処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第1の実施形態において、ユーザに提供される表示の例を示す正面図である。
【
図9】第1の実施形態の通信制御システムにおけるプラグアンドプレイ処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図10】第1の実施形態の通信制御システムにおけるプラグアンドプレイ処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図11】第2の実施形態の車両におけるECUのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図12】第3の実施形態の車両におけるECUのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図13】第3の実施形態の通信制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の通信制御装置を含む通信制御システムについて説明する。通信制御システムは、車両における通信を行うシステムであって、SDN(Software Defined Networking)に対応しており、必要に応じて車外のサーバから通信の設定に係る設定情報を取得可能に構成されている。
【0025】
[第1の実施形態]
(全体構成)
図1に示されるように、第1の実施形態の通信制御システム10は、車両12と、外部装置としてのセンタサーバ40と、を含んで構成されている。センタサーバ40は、車両12の製造元等の通信制御システム10の管理、運営を行う事業所に設置されている。車両12及びセンタサーバ40は、公衆ネットワークNを通じて相互に接続されている。
【0026】
(車両)
本実施形態の車両12では、複数のECU20と、複数のイーサネットスイッチ30と、DCM(Data Communication Module)32と、を含む車内ネットワーク14が構成されている。車内ネットワーク14はネットワークの一例である。また、ECU20は、車両12の制御を統括するセントラルECU22と、セントラルECU22により通信が制御されるECU24と、を含んでいる。ECU24としては、ADAS(Advanced Driver Assistance System)-ECU、ステアリングECU、ボデーECU及び情報系ECUが例示される。ECU24は制御装置の一例である。
【0027】
図2に示されるように、ECU20は、SDNコントローラとして機能する制御部21を少なくとも含み、必要に応じてイーサネットスイッチ30を含んで構成されている。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、車内通信I/F(Interface)20D、及び入出力I/F20Eを含んで構成されている。CPU20A、ROM20B、RAM20C、車内通信I/F20D、及び入出力I/F20Eは、内部バス20Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU20Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20Aは、ROM20Bからプログラムを読み出し、RAM20Cを作業領域としてプログラムを実行する。
【0029】
ROM20Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。本実施形態のROM20Bには、通信を含むECU20の制御を行う制御プログラム100が記憶されている。また、ROM20Bには、ECU20によりアプリケーションを実現するためのアプリケーションプログラム110が記憶されている。制御プログラム100は通信制御プログラムの一例である。
RAM20Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0030】
車内通信I/F20Dは、各ECU20と接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、イーサネット(登録商標)による通信規格が用いられる。車内通信I/F20Dは、外部バス20Hに対して接続されている(
図1参照)。
【0031】
入出力I/F20Eは、制御部21とECU20を構成する他の機器とを接続するインタフェースである。例えば、セントラルECU22の入出力I/F20Eには、イーサネットスイッチ30が接続されている。
【0032】
イーサネットスイッチ30は、イーサネット(登録商標)による通信を行う中継装置であって、本実施形態のイーサネットスイッチ30は、SDNスイッチとして機能する。イーサネットスイッチ30は、車内ネットワーク14の通信設定に係る通信情報に基づいてECU20間の通信を行う。また、イーサネットスイッチ30は、制御部21又は他のイーサネットスイッチ30から通信情報を取得可能に構成されている。イーサネットスイッチ30は、切替制御部の一例である。
【0033】
DCM32は、5G、4G、LTE等の通信規格により通信を行うモジュールである。DCM32は、公衆ネットワークNに対して接続されている(
図1参照)。なお、車両12においてDCM32は、セントラルECU22の制御部21に対して接続されているが、この限りではなく、セントラルECU22や他のECU24に内蔵していてもよい。
【0034】
(セントラルECU)
セントラルECU22は、制御部21及びイーサネットスイッチ30を搭載したECU20である。本実施形態のセントラルECU22では、CPU20Aが、制御プログラム100を実行することで、
図3に示す統括制御部50及び通信制御部52として機能する。セントラルECU22は、通信制御装置の一例である。
【0035】
統括制御部50はアプリケーションプログラム110等のソフトウェアの更新に伴うダウンロードや、新たなECU20を車内ネットワーク14に接続した場合のプラグアンドプレイの実行を制御する。統括制御部50は、受付部200、照会部210及び実行部220を含んで構成されている。
【0036】
受付部200は、アプリケーションプログラム110のダウンロード、及びECU20のプラグアンドプレイの検知を受け付ける機能を有している。また、本実施形態の受付部200は、車内ネットワーク14の通信設定の変更に係る変更通知を受け付ける。
【0037】
照会部210は、車両12のユーザに対して車内ネットワーク14の設定を変更するか否かの照会を行う機能を有している。
【0038】
反映部としての実行部220は、ソフトウェアのダウンロード又はプラグアンドプレイの実行に伴う車内ネットワーク14の設定変更の実行を行う機能を有している。本実施形態の実行部220は、ソフトウェアの更新に際しては、アプリケーションプログラム110のダウンロードが完了したことを契機に設定情報を通信制御部52及びイーサネットスイッチ30に反映させる。また、実行部220は、プラグアンドプレイの実行に際しては、車両12が再起動したこと(つまり、イグニッションがOFFからONになったこと)を契機に設定情報を通信制御部52及びイーサネットスイッチ30に反映させる。
【0039】
通信制御部52はSDNコントローラとして機能する。通信制御部52は、判定部250、通知部260及び要求部270を含んで構成されている。
【0040】
判定部250は、ソフトウェアのダウンロード又はプラグアンドプレイに際し、通信制御部52及びイーサネットスイッチ30が適切な設定情報を有しているか否か判定を行う機能を有している。
【0041】
通知部260は、統括制御部50に対して、通信制御部52及びイーサネットスイッチ30の状態を通知する機能を有している。本実施形態の通知部260は、車内ネットワーク14に障害が生じている場合に、統括制御部50に対してダイアグコードを送信する。これにより、統括制御部50を通じてダイアグコードを取得したセンタサーバ40等は、障害の原因を把握することができる。
【0042】
要求部270は、通信制御部52及びイーサネットスイッチ30が適切な設定情報を有していない場合に適切な設定情報を要求する機能を有している。この場合、本実施形態の要求部270は、統括制御部50又はセンタサーバ40に対して、設定情報を要求する。
【0043】
(制御の流れ)
本実施形態の通信制御システム10において実行される処理の流れについて、
図4~
図6のシーケンス図、
図7のフローチャート、
図8の表示画面、並びに
図9及び
図10のシーケンス図を用いて説明する。セントラルECU22における処理は、CPU20Aが統括制御部50及び通信制御部52として機能することにより実行される。
【0044】
まず、センタサーバ40、セントラルECU22の制御部21、イーサネットスイッチ30、及びECU24におけるシステム全体の処理の流れについて説明する。なお、各シーケンス図では、イーサネットスイッチ30及びECU24が1台ずつしか図示されていないが、この限りではなく、車内ネットワーク14上のイーサネットスイッチ30及びECU24が対象となる。
【0045】
図4のステップS10において、センタサーバ40は、制御部21の統括制御部50に対して、パッケージプログラムを送信する。パッケージプログラムには、アプリケーションプログラム110及び車内ネットワーク14の設定情報が含まれている。
【0046】
ステップS11において、制御部21の統括制御部50は、通信制御部52に対して、設定情報を送信する。
【0047】
ステップS12において、制御部21の通信制御部52は、イーサネットスイッチ30に対して、設定情報を送信する。
【0048】
ステップS13において、制御部21の通信制御部52は、検証処理を実行する。具体的に、制御部21の通信制御部52は、適切な設定情報を記憶しているか否かを検証する。ここで、適切な設定情報とは、ステップS10においてダウンロードされたアプリケーションプログラム110を車内ネットワーク14において動作させることが可能な設定情報である。
【0049】
ステップS14において、制御部21の通信制御部52は、イーサネットスイッチ30に対して、検証要求を行う。具体的に、通信制御部52は、イーサネットスイッチ30に対して、イーサネットスイッチ30が適切な設定情報を記憶しているか否かの検証結果を送信するように要求する。
【0050】
ステップS15において、イーサネットスイッチ30は、検証処理を実行する。具体的に、イーサネットスイッチ30は、適切な設定情報を記憶しているか否かを検証する。
【0051】
ステップS16において、イーサネットスイッチ30は、制御部21の通信制御部52に対して、検証結果を送信する。具体的に、イーサネットスイッチ30は、通信制御部52に対して、イーサネットスイッチ30が設定情報を記憶しているか否かの検証結果を送信する。
【0052】
ステップS17において、制御部21の通信制御部52は、判定処理を実行する。具体的に、通信制御部52は、通信制御部52及びイーサネットスイッチ30が適切な設定情報を有しているか否か判定を行う。
【0053】
ステップS18において、制御部21の通信制御部52は、統括制御部50に対して、ステップS17において実行した判定処理の判定結果を送信する。
【0054】
ステップS19において、制御部21の統括制御部50は、通信制御部52及びイーサネットスイッチ30のうち少なくとも何れか一方が適切な設定情報を記憶している、すなわち設定情報に従って、通信制御部52及びイーサネットスイッチ30が動作可能か否かを判定する。統括制御部50は通信制御部52及びイーサネットスイッチ30が動作可能であると判定した場合(ステップS19:YES)、ステップS40に移行する。一方、統括制御部50は通信制御部52及びイーサネットスイッチ30が動作不能であると判定した場合(ステップS19:NO)、ステップS30に移行する。
【0055】
次に、制御部21の統括制御部50が、通信制御部52及びイーサネットスイッチ30が動作不能であると判定した場合のセンタサーバ40、制御部21、イーサネットスイッチ30、及びECU24におけるシステム全体の処理の流れを説明する。
【0056】
図5のステップS30において、制御部21の統括制御部50は、センタサーバ40に対して、イーサネットスイッチ30が動作可能となる設定情報を要求する。ここで、統括制御部50はステップS19において、通信制御部52及びイーサネットスイッチ30が動作不能であると判定した場合に、動作不能である旨、及び動作不能の原因を示すダイアグコードを生成している。そして、統括制御部50は設定情報を要求するコマンドと共に、車内ネットワーク14においてECU20及びイーサネットスイッチ30が動作不能である旨、及び動作不能の原因を示すダイアグコードを送信する。
【0057】
ステップS31において、センタサーバ40は、制御部21の統括制御部50に対して、アプリケーションプログラム110を車内ネットワーク14において動作させることが可能な設定情報を送信する。
【0058】
そして、センタサーバ40、制御部21、イーサネットスイッチ30、及びECU24は、
図4に示したステップS11からステップS18までの処理と同じ処理を実行する。
【0059】
次に、制御部21の統括制御部50が、通信制御部52及びイーサネットスイッチ30が動作可能であると判定した場合のセンタサーバ40、制御部21、イーサネットスイッチ30、及びECU24におけるシステム全体の処理の流れを説明する。
【0060】
図6のステップS40において、制御部21の統括制御部50は、照会処理を実行する。照会処理の詳細については、後述する。
【0061】
ステップS41において、制御部21の統括制御部50は、ステップS40の処理結果により、設定情報を反映可能であるか否か判定する。統括制御部50は、設定情報を反映可能であると判定した場合(ステップS41:YES)、ステップS42に移行する。一方、統括制御部50は、設定情報を反映可能でないと判定した場合(ステップS41:NO)、処理を終了する。
【0062】
ステップS42において、制御部21の統括制御部50は、アプリケーションプログラム110をインストールする対象となるECU24に対して、当該アプリケーションプログラム110を送信する。
【0063】
ステップS43において、ECU24は、制御部21の統括制御部50に対して、アプリケーションプログラム110のダウンロードが完了したことを通知する。
【0064】
ステップS44において、制御部21の統括制御部50は、通信制御部52に対して、アクティベートを要求する。具体的に、統括制御部50は、設定情報を通信制御部52に反映するように要求する。
【0065】
ステップS45において、制御部21の通信制御部52は、イーサネットスイッチ30に対して、アクティベートを要求する。具体的に、通信制御部52は、設定情報をイーサネットスイッチ30に反映するように要求する。
【0066】
ステップS46において、制御部21の通信制御部52は、反映処理を実行する。具体的に、通信制御部52は、設定情報を通信制御部52に反映する。
【0067】
ステップS47において、イーサネットスイッチ30は、反映処理を実行する。具体的に、イーサネットスイッチ30は、設定情報をイーサネットスイッチ30に反映する。
【0068】
ステップS48において、ECU24は、反映処理を実行する。具体的に、ECU24は、インストールされたアプリケーションプログラム110及び設定情報を反映させる。
【0069】
ステップS49において、イーサネットスイッチ30は、制御部21の通信制御部52に対して、イーサネットスイッチ30に設定情報を反映した旨を通知する。
【0070】
ステップS50において、制御部21の通信制御部52は、制御部21の統括制御部50に対して、イーサネットスイッチ30及び通信制御部52に設定情報を反映した旨を通知する。
【0071】
ステップS51において、ECU24は、制御部21の統括制御部50に対して、ECU24にインストールされたアプリケーションプログラム110及び設定情報を反映した旨を通知する。
【0072】
ステップS52において、制御部21、イーサネットスイッチ30、及びECU24は、ECU24にインストールされたアプリケーションプログラム110の実行に伴う通信を開始する。
【0073】
次に
図7の照会処理について説明する。
図7のステップS100において、統括制御部50は、車両12のインストルメントパネル、又はメータパネル等に設けられたモニタに照会内容を表示させる。具体的に、
図8に示されるように、アプリケーションプログラム110であるソフトウェアを反映させるためには、通信設定の更新が必要である旨、及び通信設定の更新中は車両12の再始動が一定時間行えない旨が表示される。車両12のユーザは、通信設定の更新を含むソフトウェアの反映を実行させる場合、「はい」と表示されたボタン80を選択する。一方、車両12のユーザは、通信設定の更新を含むソフトウェアの反映を実行させない場合、「いいえ」と表示されたボタン82を選択する。
【0074】
ステップS101において、統括制御部50は、タイマ時間内(例えば、照会内容の表示開始から1分間)であるか否かを判定する。統括制御部50は、タイマ時間内である場合(ステップS101:YES)、ステップS102に移行する。一方、統括制御部50は、タイマ時間が経過した場合(ステップS101:NO)、ステップS105に移行する。
【0075】
ステップS102において、統括制御部50は、通信設定を更新するか否かの選択を受け付けたか否かを判定する。統括制御部50は、通信設定を更新するか否かの選択を受け付けた場合(ステップS102:YES)、ステップS103に移行する。一方、統括制御部50は、通信設定を更新するか否かの選択を受け付けなかった場合(ステップS102:NO)、ステップS100に戻る。
【0076】
ステップS103において、統括制御部50は、通信設定が更新可能であるか否かを判定する。具体的に、統括制御部50は、ボタン80が選択されたか否かを判定する。統括制御部50は、通信設定が更新可能である場合(ステップS103:YES)、ステップS104に移行する。一方、統括制御部50は、通信設定が更新可能でない場合(ステップS103:NO)、ステップS105に移行する。
【0077】
ステップS104において、統括制御部50は、通信設定を更新することを決定する。
【0078】
ステップS105において、統括制御部50は、通信設定の更新を中断する。
【0079】
ステップS106において、統括制御部50は、車両12のユーザの選択結果を出力する。具体的に、統括制御部50は、ステップS102の判定に際して受け付けた通信設定を更新するか否かのユーザの選択結果を出力する。そして、統括制御部50は、本照会処理を終了し、
図6のステップS40に戻る。
【0080】
次に、新たなECU24を車内ネットワーク14に接続した場合のプラグアンドプレイ処理の流れを、
図9及び
図10を用いて説明する。
【0081】
図4に示す通信制御システム10における処理の流れと
図9に示す通信制御システム10における処理の流れとでは、ステップS10の処理に代えてステップS60の処理が適用されている点、及びステップS19において肯定判定であった場合にステップS70に移行する点が異なっている。なお、プラグアンドプレイに際して検証される設定情報は、新たに接続されたECU24を車内ネットワーク14において動作させることが可能な設定情報である。
【0082】
図4に示す通信制御システム10における処理の流れと同一の処理を実行するステップについては、
図4と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0083】
図9のステップS60において、ECU24は、制御部21の統括制御部50に対して、設定情報を送信する。
【0084】
次に、ステップS19において肯定判定であった場合のセンタサーバ40、制御部21、イーサネットスイッチ30、及びECU24におけるシステム全体の処理の流れを説明する。
【0085】
図10のステップS70において、制御部21の統括制御部50は、照会処理を実行する。照会処理の流れは
図7に示した処理の流れと同一である。
【0086】
ステップS71において、制御部21の統括制御部50は、ステップS70の処理結果より、設定情報を反映可能であるか否か判定する。統括制御部50は、設定情報を反映可能であると判定した場合(ステップS71:YES)、ステップS72に移行する。一方、統括制御部50は、設定情報を反映可能でないと判定した場合(ステップS71:NO)、処理を終了する。
【0087】
ステップS72において、車両12が再起動する。具体的に、イグニッションが一旦、OFFとなり、再びONになるように車両12を制御する。
【0088】
ステップS73において、制御部21の統括制御部50は、通信制御部52に対して、アクティベートを要求する。具体的に、統括制御部50は、設定情報を通信制御部52に反映するように要求する。
【0089】
ステップS74において、制御部21の通信制御部52は、イーサネットスイッチ30に対して、アクティベートを要求する。具体的に、通信制御部52は、設定情報をイーサネットスイッチ30に反映するように要求する。
【0090】
ステップS75において、制御部21の統括制御部50は、ECU24に対して、アクティベートを要求する。具体的に、統括制御部50は、設定情報をECU24に反映するように要求する。
【0091】
ステップS76において、制御部21の通信制御部52は、反映処理を実行する。具体的に、通信制御部52は、設定情報を通信制御部52に反映する。
【0092】
ステップS77において、イーサネットスイッチ30は、反映処理を実行する。具体的に、イーサネットスイッチ30は、設定情報をイーサネットスイッチ30に反映する。
【0093】
ステップS78において、ECU24は、反映処理を実行する。具体的に、ECU24は、設定情報をECU24に反映する。
【0094】
ステップS79において、イーサネットスイッチ30は、制御部21の通信制御部52に対して、イーサネットスイッチ30に設定情報を反映した旨を通知する。
【0095】
ステップS80において、制御部21の通信制御部52は、制御部21の統括制御部50に対して、イーサネットスイッチ30及び通信制御部52に設定情報を反映した旨を通知する。
【0096】
ステップS81において、ECU24は、制御部21の統括制御部50に対して、ECU24に設定情報を反映した旨を通知する。
【0097】
ステップS82において、制御部21、イーサネットスイッチ30、及びECU24は、通信を開始する。
【0098】
(まとめ)
本実施形態のセントラルECU22において、通信制御部52は、設定情報に従って、イーサネットスイッチ30が動作不能であると判定した場合、車両12のユーザに設定情報に従って、イーサネットスイッチ30が動作不能である旨、及びダイアグコードを通知する。そのため、設定情報に従ってイーサネットスイッチ30は動作不能である旨、及び動作不能の原因をユーザが把握することができる。
【0099】
また、本実施形態のセントラルECU22において、通信制御部52は、設定情報に従って、イーサネットスイッチ30が動作不能であると判定した場合、イーサネットスイッチ30が動作可能となる設定情報をセンタサーバ40に対して要求する。そのため、設定情報に従ってイーサネットスイッチ30が動作不能であっても、イーサネットスイッチ30が動作可能となる設定情報を取得することができる。
【0100】
また、本実施形態のセントラルECU22において、統括制御部50は、ECU24車両ネットワーク上の制御装置において実行されるアプリケーションプログラム110の更新と共に、変更通知を受け付ける。そのため、アプリケーションプログラム110の更新と共に変更通知を受け付けることができる。
【0101】
また、本実施形態のセントラルECU22において、統括制御部50は、ECU24が新たに接続された場合に変更通知を受け付ける。そのため、ECU24が新たに接続された場合に変更通知を受け付けることができる。
【0102】
本実施形態の変更通知は、アプリケーションプログラム110の更新に係る通知であって、セントラルECU22において、通信制御部52は、更新されるアプリケーションプログラム110に基づいて設定情報が記憶されているかを判定する。そのため、アプリケーションプログラム110の情報に基づいて設定情報が記憶されているかを判定することができる。
【0103】
また、本実施形態のセントラルECU22において、統括制御部50は、変更通知をセンタサーバ40から受け付ける。そのため、車内ネットワーク14外の装置から変更通知を受け付けることができる。
【0104】
また、本実施形態のセントラルECU22は、車内ネットワーク14の通信設定を変更する場合、通信設定の変更に係る変更通知を受け付けた後、所定の契機に新たな設定情報を通信制御部52及びイーサネットスイッチ30に反映させる。そのため、本実施形態によれば、車内ネットワーク14における通信制御部52及びイーサネットスイッチ30の通信設定が所定の契機に反映されるため、ネットワーク設定を変更する場合における通信の不具合が抑制される。
【0105】
特に、本実施形態によれば、OTAによるソフトウェアのダウンロードに際して通信設定が変更される場合における通信の不具合が抑制される。また、本実施形態によれば、新たなECU24の接続に伴うプラグアンドプレイの際に通信設定が変更される場合における通信の不具合が抑制される。
【0106】
また、本実施形態の車両12は、セントラルECU22と、一又は複数のイーサネットスイッチ30と、ECU24と、を備えている。本実施形態の車両12によれば、上述の通り、設定情報を、通信制御部52も、イーサネットスイッチ30も知らない場合であっても、ネットワークの設定変更後の通信が上手くいかないことに起因する問題が発生する可能性を低減させることができる。これにより、車両12の走行の安全を確保することができる。
【0107】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、イーサネットスイッチ30がセントラルECU22とは別体で構成されている点で、第1の実施形態と相違する。以下、第1の実施形態との相違点について説明する。
【0108】
図11に示されるように、セントラルECU22は、制御部21のみを含み、イーサネットスイッチ30を含まずに構成されている。すなわち、イーサネットスイッチ30は、セントラルECU22とは別体で構成されている。
【0109】
以上のように、本実施形態では、イーサネットスイッチ30がセントラルECU22とは別体で構成されている。そのため、本実施形態によれば、セントラルECU22がイーサネットスイッチ30を含んでいない場合であっても、ユーザ が認識しない状態でネットワークの通信設定が変更された場合に、事後的に、新たなネットワーク設定に従って切替制御部が動作できないことが顕在化することを抑制することができる
【0110】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、制御部21の統括制御部50が、セントラルECU22とは別のECU20により機能する点で、第1の実施形態と相違する。以下、第1の実施形態との相違点について説明する。
【0111】
図12に示されるように、本実施形態の車両12では、複数のECU20と、複数のイーサネットスイッチ30と、DCM32と、を含む車内ネットワーク14が構成されている。また、ECU20は、セントラルECU22と、ECU24と、管理ECU26と、を含んでいる。DCM32は管理ECU26を介して公衆ネットワークNに接続されている。
【0112】
セントラルECU22は、CPU20Aが、制御プログラム100を実行することで、
図13に示す通信制御部52として機能する。一方、管理ECU26は、CPU20Aが、制御プログラム100を実行することで、
図13に示す統括制御部50として機能する。すなわち、本実施形態の車両12では、複数のCPU20Aによりネットワーク設定の変更に係る通信制御部52及び統括制御部50の処理が実現される。
【0113】
以上、本実施形態では、制御部21の統括制御部50が、セントラルECU22とは別のECU20により機能する。そのため、本実施形態によれば、制御部21の統括制御部50が、セントラルECU22とは別のECU20により機能する場合であっても、ユーザ が認識しない状態でネットワークの通信設定が変更された場合に、事後的に、新たなネットワーク設定に従って切替制御部が動作できないことが顕在化することを抑制することができる
【0114】
[備考]
なお、上記の各実施形態におけるネットワーク設定の変更に係る処理は、ソフトウェアであるアプリケーションプログラム110をダウンロードした場合処理、及び、ECU24を車内ネットワーク14に追加した際のプラグアンドプレイの場合の処理として例示した。しかし、本実施形態のネットワーク設定の変更に係る処理が適用されるケースはこれに限らず、車両12の製造時に車内ネットワーク14の構成が構築される場合、車内ネットワーク14が外部から攻撃を受けてフェールセーフ状態になった場合、において適用されてもよい。
【0115】
上記実施形態でCPU20Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上述した各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0116】
また、上記実施形態において、各プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明した。例えば、ECU20における制御プログラム100はROM20Bに予め記憶されている。しかしこれに限らず、各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0117】
上記実施形態で説明した処理の流れは、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0118】
12 車両
14 車内ネットワーク(ネットワーク)
22 セントラルECU(通信制御装置)
24 ECU(制御装置)
30 イーサネットスイッチ(切替制御部)
40 センタサーバ(外部装置)
200 受付部
250 判定部
270 要求部
100 制御プログラム(通信制御プログラム)