IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・パック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-紙袋の製造方法 図1
  • 特開-紙袋の製造方法 図2
  • 特開-紙袋の製造方法 図3
  • 特開-紙袋の製造方法 図4
  • 特開-紙袋の製造方法 図5
  • 特開-紙袋の製造方法 図6
  • 特開-紙袋の製造方法 図7
  • 特開-紙袋の製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106217
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】紙袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/81 20170101AFI20230725BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20230725BHJP
   B65D 33/20 20060101ALI20230725BHJP
   B65D 30/12 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
B31B70/81
B65D33/00 C
B65D33/20
B65D30/12 H
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007415
(22)【出願日】2022-01-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000106715
【氏名又は名称】ザ・パック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】籾井 貴哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 達也
【テーマコード(参考)】
3E064
3E075
【Fターム(参考)】
3E064AA13
3E064AB05
3E064BA01
3E064EA12
3E064HM01
3E064HN02
3E064HP02
3E064HP03
3E075AA04
3E075BA48
3E075BA70
3E075BB14
3E075BB15
3E075CA02
3E075DB02
3E075DB14
3E075DB17
3E075DB19
3E075DB23
3E075DB24
3E075DC43
3E075DC45
3E075DC46
3E075DC48
3E075DD02
3E075DD42
3E075DD45
3E075DE12
3E075GA05
(57)【要約】
【課題】再封緘機能と易開封機能とを備えた複雑な構成の紙袋を簡便に製造する技術を提供する。
【解決手段】本発明の紙袋の製造方法は、不要部分切除工程、筒状部形成工程、底形成工程、封緘シール貼着工程を単一の第1ラインで行い、第1ラインとは別の第2ラインにおいて、封緘用接着剤が塗布された剥離紙を塗布箇所が2箇所含まれる紙片単位毎に切断する切断工程、紙片を塗布箇所が1箇所含まれる封緘シールに分離する分離工程と、を行い、筒状部工程で切り離された筒状部の封緘用フラップに対して封緘シールを貼着し、封緘シールの貼着を行う前後で開封用のミシン目を形成するミシン目加工工程を行い、封緘シール貼着工程で封緘シールの一方をミシン目の一方側、または折り返し時にミシン目の一方側の内面と対面する筒状部の外面に貼着し、封緘シールの他方をミシン目の他方側、または折り返し時にミシン目の一方側の内面と対面する筒状部の外面に貼着する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回ロールより連続的に繰り出されるシート状原紙に対し、封緘用フラップ形成のための不要部分の切除を行う不要部分切除工程と、前記不要部分を切除したシート状原紙に袋単位の筒状部を形成する筒状部形成工程と、前記筒状部形成工程で形成された筒状部に袋単位で底を形成して封緘用フラップの先端縁で切り離す底形成工程と、封緘用接着剤が剥離紙に塗布された封緘シールを、封緘用フラップになる位置の内面、または、封緘用フラップの内面と折り返し時に対面する筒状部の外面に貼着する封緘シール貼着工程と、を前記シート状原紙の給紙から単一ラインとして連続する第1ラインで行い、
前記第1ラインとは別の第2ラインにおいて、封緘用接着剤が塗布された剥離紙の原紙を前記封緘用接着剤の塗布箇所が2箇所含まれる紙片単位毎に切断する切断工程と、切断された紙片をさらに前記塗布箇所が1箇所含まれる封緘シールに分離する分離工程と、を行い、
前記第1ラインの底形成工程で切り離された袋の封緘用フラップに対して、前記封緘シール貼着工程を行う前に、または、前記封緘シール貼着工程を行った後に、開封用のミシン目を形成するミシン目加工工程を行い、
前記第1ラインの封緘シール貼着工程において、前記第2ラインの分離工程で分離された封緘シールの一方を、前記ミシン目加工工程で形成されたミシン目の一方側、または、封緘フラップの折り返し時にミシン目の一方側の内面と対面することになる筒状部の外面に貼着すると共に、前記封緘シールの他方を、前記ミシン目加工工程で形成されたミシン目の他方側、または、封緘フラップの折り返し時にミシン目の一方側の内面と対面することになる筒状部の外面に貼着することを特徴とする紙袋の製造方法。
【請求項2】
前記第2ラインの切断工程の前に、前記剥離紙の原紙に対し、距離をあけて前記封緘用接着剤を2箇所にわたって塗布する封緘用接着剤塗布工程を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の紙袋の製造方法。
【請求項3】
前記ミシン目加工工程において、前記開封用のミシン目を互いに平行に2本形成すると共に、前記開封用のミシン目の少なくとも一端にノッチを形成し、
前記2本のミシン目の間を開封用の切取片とする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の紙袋の製造方法。
【請求項4】
前記ミシン目は、切れている穴部分と、穴部分の間に存在する切れ残っているつなぎ部分とが、ミシン目の形成方向に沿って交互に配備される構成とされており、
前記2本のミシン目は、一方のミシン目と他方のミシン目で目がずれた配置とされている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の紙袋の製造方法。
【請求項5】
前記不要部分切除工程、前記筒状部形成工程、及び前記底形成工程を、前記巻回ロールより繰り出された連続したシート状原紙に対して行い、
前記第1ラインの底形成工程で切り離された袋の封緘用フラップに対して、前記封緘シール貼着工程を行う前に、または、前記封緘シール貼着工程を行った後に、折り目を形成する折り目加工と、開封用のミシン目を形成するミシン目加工とを、同時または先後に分けて行う折り目及びミシン目加工工程を行い、
前記折り目及びミシン目加工工程を前記第1ラインにおいて袋単位に切り分けられた筒状部に対して行う
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の紙袋の製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかの製造方法にて製造した紙袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に通販等の宅配に用いられる紙袋であって、封緘された袋内から商品等を取り出した後、返送のための再封緘が可能であり、開封も容易に行える紙袋、及びこの紙袋を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通販等に用いられる宅配袋の製造技術としては、特許文献1に示す封緘フラップ付きの角底袋の製造方法が知られている。
特許文献1の封緘フラップ付きの角底袋の製造方法は、一般的なロール状の製袋原紙から角底を有する紙袋を連続製造ラインにて製造するものとなっている。具体的には、連続製造ラインでは、まず製袋原紙に対して封緘用フラップ形成のための不要部分の切除が行われる。そして、不要部分を切除した製袋原紙に対しては、原紙送り方向の両端を中央側に向かって折り返すことで筒状部が形成される。次に、形成された筒状部は袋単位に切り離され、次いで封緘用フラップが形成された側の反対側の開口に角底が形成される。このようにして、特許文献1の製造方法では開口に封緘用フラップが形成された角底を有する紙袋が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-001730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今は衣服などの商品を通販で購入する機会が増加しており、発送時の紙袋を再利用して商品を発送元に返送する機能の要求も増大している。例えば、衣服などの商品を通販で購入し、手元に到着した購入後の商品を確認すると、画面などで確認したものと異なるサイズである場合や思ったような外観でないという場合がある。このような場合に、通販サイトによっては商品を発送時の紙袋に再度収容して、発送元に返送する返品サービスが可能なことがある。このような返送サービスに対応すべく、一旦開封した後も封緘シールで簡単に再封緘できるように、商品発送時の封緘シールの他に商品返送時の封緘シールを予め設けた紙袋が開発されている。
【0005】
また、紙袋には、使い勝手を良くするために、封緘フラップにミシン目(切り取り線)を追加して易開封機能を付けたいというニーズもある。封緘フラップにミシン目を形成しておけば、封緘フラップ(袋)が開封しやすくなり、紙袋に易開封性を付与することができる。
しかし、封緘シールを貼付したり、封緘フラップにミシン目を追加したりすると、別の加工ラインの設備を利用した二次加工が必要となり、紙袋の製造方法が複雑なものとなる。
【0006】
例えば、再封緘機能を付与すべく再封緘用の封緘シールを封緘フラップに貼付する場合は、複数の封緘シールの貼着が必要となり、連続製造ライン上で加工しづらくなる。そのため、別の加工ラインに角底を成形した紙袋を供給し、封緘シールを封緘フラップに貼り合わせる二次加工を行わなくてはならない。
また、封緘フラップにミシン目を追加する場合も、角底を成形した紙袋を別の加工ラインに供給し、ミシン目加工用のロールを用いてミシン目を封緘フラップに追加する二次加工が必要となる。例えば、張力付与下で原反にミシン目を追加しようとすると、原反の破断が起こりやすくなるからである。
【0007】
それゆえ、再封緘機能と易開封機能とを備えた複雑な構成の紙袋を製造する際には、連続製造ラインで製造された紙袋をさらに二次加工する必要があり、工程が複雑で手間や時間を必要とするものとなっていた。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、再封緘機能と易開封機能とを備えた複雑な構成の紙袋、及びこの紙袋を簡便に製造する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の紙袋の製造方法は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の紙袋の製造方法は、巻回ロールより連続的に繰り出されるシート状原紙に対し、封緘用フラップ形成のための不要部分の切除を行う不要部分切除工程と、前記不要部分を切除したシート状原紙に袋単位の筒状部を形成する筒状部形成工程と、前記筒状部形成工程で形成された筒状部に袋単位で底を形成して封緘用フラップの先端縁で切り離す底形成工程と、封緘用接着剤が剥離紙に塗布された封緘シールを、封緘用フラップになる位置の内面、または、封緘用フラップの内面と折り返し時に対面する筒状部の外面に貼着する封緘シール貼着工程と、を前記シート状原紙の給紙から単一ラインとして連続する第1ラインで行い、前記第1ラインとは別の第2ラインにおいて、封緘用接着剤が塗布された剥離紙の原紙を前記封緘用接着剤の塗布箇所が2箇所含まれる紙片単位毎に切断する切断工程と、切断された紙片をさらに前記塗布箇所が1箇所含まれる封緘シールに分離する分離工程と、を行い、前記第1ラインの底形成工程で切り離された袋の封緘用フラップに対して、前記封緘シール貼着工程を行う前に、または、前記封緘シール貼着工程を行った後に、開封用のミシン目を形成するミシン目加工工程を行い、前記第1ラインの封緘シール貼着工程において、前記第2ラインの分離工程で分離された封緘シールの一方を、前記ミシン目加工工程で形成されたミシン目の一方側、または、封緘フラップの折り返し時にミシン目の一方側の内面と対面することになる筒状部の外面に貼着すると共に、前記封緘シールの他方を、前記ミシン目加工工程で形成されたミシン目の他方側、または、封緘フラップの折り返し時にミシン目の一方側の内面と対面することになる筒状部の外面に貼着することを特徴とする。
【0009】
なお、工程の前に、前記剥離紙の原紙に対し、距離をあけて前記封緘用接着剤を2箇所にわたって塗布する封緘用接着剤塗布工程を行うとよい。
なお、前記ミシン目加工工程において、前記開封用のミシン目を互いに平行に2本形成すると共に、前記開封用のミシン目の少なくとも一端にノッチを形成し、前記2本のミシン目の間を開封用の切取片とするとよい。
【0010】
なお、前記ミシン目は、切れている穴部分と、穴部分の間に存在する切れ残っているつなぎ部分とが、ミシン目の形成方向に沿って交互に配備される構成とされており、前記2本のミシン目は、一方のミシン目と他方のミシン目で目がずれた配置とされているとよい。
なお、前記不要部分切除工程、前記筒状部形成工程、及び前記底形成工程を、前記巻回ロールより繰り出された連続したシート状原紙に対して行い、前記第1ラインの底形成工程で切り離された袋の封緘用フラップに対して、前記封緘シール貼着工程を行う前に、または、前記封緘シール貼着工程を行った後に、折り目を形成する折り目加工と、開封用のミシン目を形成するミシン目加工とを、同時または先後に分けて行う折り目及びミシン目加工工程を行い、前記折り目及びミシン目加工工程を前記第1ラインにおいて袋単位に切り分けられた筒状部に対して行うとよい。
【0011】
また、本発明の紙袋は、上述したいずれかの製造方法にて製造したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、再封緘機能と易開封機能とを備えた複雑な構成の紙袋を簡便に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は商品を入れるために開口が広げられた状態の本実施形態の紙袋を示した斜視図であり、(b)は畳まれた状態の本実施形態の紙袋を示した斜視図である。
図2】(a)は封緘用フラップを拡大して示した斜視図であり、(b)は図1(a)のA-A線断面図である。
図3】第1ラインで行われる本実施形態の製造方法の不要部分切除工程から封緘シール貼着工程までを示した図である。
図4】第2ラインで行われる本実施形態の製造方法の封緘用接着剤塗布工程、切断工程、及び分離工程を示した図である。
図5】本実施形態の製造方法で製造される紙袋に対して被収容物を収容して封緘する手順を示した図である。
図6】封緘済の紙袋から被収容物を取り出す手順を示した図である。
図7】開封済の紙袋に被収容物を収容して再封緘する手順を示した図である。
図8】本実施形態の製造方法で製造される紙袋の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本実施形態]
以下、本発明の紙袋1、及び紙袋1の製造方法の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。なお、製造方法の内容の説明に先立ち、本発明の製造方法で製造される紙袋1について説明する。
図1(a)及び図1(b)は、本実施形態の製造方法で製造される紙袋1を模式的に示したものである。本実施形態の紙袋1は、開口2を前方に向けるように配備された有底角状の紙製の袋である。図1(a)は商品を入れるために開口2が広げられた状態の紙袋1であり、図1(b)は折り畳まれた状態の紙袋1である。
【0015】
なお、以降の紙袋1の説明において、紙袋1の開口2を正面に見た場合の上下左右前後を、紙袋1の構成を説明する際の上下左右前後とする。これらの方向は、図1(a)中に適宜矢印を用いて示している。
図1(a)に示すように、紙袋1は、開口2を正面に見た場合に、上面3、下面4、左面5、右面6、後面7の5面が紙面で囲まれた角箱形状の紙袋本体8を有している。紙袋本体8の前端には商品を出し入れする開口2が形成されており、開口2から被収容物Pを後方(袋内の奥)に向かって入れることができるようになっている。また、開口2の下縁には開口2を閉鎖可能な封緘用フラップ10が設けられている。つまり、本実施形態の紙袋1は、紙袋本体8と、封緘用フラップ10とで構成されている。
【0016】
この封緘用フラップ10は、開口2の下縁を揺動中心として前下方から前方を経由して後上方までの間を前後に揺動することで、開口2を開閉可能となっている。また、上面3の前端には、封緘用フラップ10を後方に折り返した際に、封緘用フラップ10の内面と面状態で接触する位置に、衝合部43が形成されている。この衝合部43には、封緘シールを貼る場合と、封緘用フラップ10に封緘シール28を貼り、封緘時に(剥離紙14を剥離して接着剤層11を)衝合部43に貼り付ける場合とがある。
【0017】
紙袋本体8の左面5及び右面6には、上下方向の中途側に、前後方向に沿って延びる罫線aが形成されている。紙袋本体8の左面5及び右面6は、罫線aを境に上下に2つ折り状に折り返し可能となっている。具体的には、紙袋本体8の左面5は折り返し端を右方(幅方向内方)に突出させるように折り畳まれ、紙袋本体8の右面6は折り返し端を左方(幅方向内方)に突出させるように折り畳まれる。つまり、紙袋本体8は、左面5及び右面6を前方から見た場合にM字を横倒ししたような形状に折りたたむことができ、それぞれがマチを形成可能となっている。
【0018】
紙袋本体8の後面7(底面)は、紙袋本体8の後端の左面5及び右面6を幅方向内方に向かって折り返し、次に紙袋本体8の上面3及び下面4を上下方向内方に向かって折り返すことで、上下左右の4面が内側に折り込まれた構造に形成されている。言い換えれば、紙袋1の後面7は、紙袋本体8の後側の左右面5、6と上下面3、4とをそれぞれ観音折りして重合状に貼り合わせたものである。なお、後面7の成形については、後ほど底形成工程26において詳しく説明する。
【0019】
紙袋本体8は、後端より少し前方の上面3に、左右方向に沿って延びる罫線bを有している。この罫線bは、上述したように左右上下に折り返すことで形成される紙袋本体8の後面7(底面)を、前方に向かって折り返すために形成されている。罫線bは、紙袋本体8の下面4には形成されておらず、紙袋本体8の上面3のみに形成されており、紙袋本体8の後面7が上面3に重なり合うように折り畳み可能とされている。
【0020】
図1(b)に示すように、本実施形態の紙袋1は、図1(a)に示す紙袋1に対して、罫線aに沿って左面5および右面6を二つ折りすると共に、罫線bに沿って後面7を前方
に折り畳むことで、薄く積層状に収容できるようになっている。この薄く折り畳まれた状態では、紙袋1は、紙袋本体8の上面3及び下面4との間に隙間がほとんど無く、被収容物Pを収容するための開口2が閉じられており、開口2から被収容物Pを入れることはできない。開口2より被収容物Pを袋内に入れる場合は、図1(a)のように開口2を前方に向けるように紙袋1を上下に広げる必要がある。図1(b)に示すように薄く折りたたむことで、本実施形態の紙袋1は、小さな収容スペースでも積層状態で多数の収容が可能となっている。
【0021】
図2(a)に示すように、上述した封緘用フラップ10は、紙袋本体8の下面4の前縁に連結された左右方向に長い角状の紙片であり、紙袋1の開口2を閉鎖可能とされている。
より詳しくは、本実施形態の封緘用フラップ10は、開口2を閉鎖した場合に後方を向く面(以降、内面という場合がある)に、封緘用の接着剤層11が形成されている。封緘用の接着剤層11は、紙袋本体8の上面3(の衝合部43)に接着されることで開口2を封緘可能となっている。なお、本実施形態では、封緘シールを、封緘用フラップ10の内面に封緘用の接着剤層11が形成されている例を挙げるが、本発明の紙袋1は封緘用フラップ10の内面と折り返し時に対面する衝合部43(袋単位に切り離された筒状部33の外面の一部であって、封緘用フラップ10の内面と折り返し時に対面する部分)に封緘用の接着剤層11を形成したものであっても良い。
【0022】
封緘用の接着剤層11には、被収容物P(商品)を最初に発送する際に用いる発送用の接着剤層12と、被収容物P(商品)を送り返す際に用いる返送用の接着剤層13とが合わせて2箇所設けられている。本実施形態の場合、封緘用フラップ10における紙袋本体8の開口2から遠い部分に発送用の接着剤層12が形成され、開口2に近い部分に返送用の接着剤層13が形成されている。
【0023】
図2(b)に示すように、上述した封緘用の接着剤層11は、酢酸ビニル系接着剤、変性酢酸ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)系接着剤、ゴムなどのエラストマー系接着剤などで形成されており、袋の開口2を封緘するに十分な接着強度を発揮可能とされている。なお、発送用の接着剤層12に用いられる接着剤と、返送用の接着剤層13に用いられる接着剤とは、互いに異なる種類の接着剤で形成されていても良いし、同じ種類の接着剤で形成されていても良い。
【0024】
また、封緘用の接着剤層11の表面には、剥離紙14が擬似接着状態(摘んで剥がせる程度の弱い接着力で接着された状態)で配備されている。剥離紙14は、接着層の接着面を被覆することで接着面にゴミや異物などが接着することを抑制可能となっている。剥離紙14にも、発送用の接着剤層12の接着面を被覆する発送用の剥離紙15と、返送用の接着剤層13の接着面を被覆する返送用の剥離紙16と、がある。これらの剥離紙15、16は、いずれも接着面から剥離可能とされており、接着面を露出状態とすることで接着層の接着を可能としている。
【0025】
さらに、封緘用フラップ10には左右方向に沿って延びる開封用のミシン目17が2本形成されている。これらのミシン目には、図1(a)の開口が広げられた状態において、封緘用フラップ10の前側に形成されたミシン目17′と、後側に形成されたミシン目17″とがある。2本のミシン目17′、17″の双方を切り取ることで、ミシン目17′、17″間に形成される切取片18を切り取り可能となっており、封緘用フラップ10を2片に分離可能となっている。また、ミシン目17′、17″の左右両端には、それぞれノッチ19が形成されており、ノッチ19を起点にミシン目17に沿ったスムーズな切取り(切開)が可能となっている。上述した2本のミシン目17′、17″は、略平行に形成されており、切取片18をスムーズに切り離し可能とされている。
【0026】
具体的には、それぞれのミシン目17′、17″は、切れている穴部分17aと、切れ残っているつなぎ部分17bとで形成されている。穴部分17aとつなぎ部分17bとは、ミシン目17の形成方向に沿って直線状且つ交互に並んで配備されている。穴部分17aとつなぎ部分17bとの並び方は、2本のミシン目17で異なっている。詳しく言えば、2本のミシン目のうち、一方のミシン目17と、他方のミシン目17とは、目がずれた配置とされている。それゆえ、前側のミシン目17の穴部分17aの後方には、後側のミシン目17のつなぎ部分17bが配備される。つまり、2本のミシン目17′、17″は、穴部分17a同士やつなぎ部分17b同士が前後に並ぶことを避けるような千鳥配置、あるいは穴部分17a同士やつなぎ部分17b同士が前後に部分的に重なりあうような配置とされている。穴部分17a同士やつなぎ部分17b同士が前後に部分的に重なりあう配置は、穴部分17aとつなぎ部分17bとの長さが異なる場合(例えば、17aの長さ>17bの長さとなる場合)などに採用される。
【0027】
また、上述したミシン目17′、17″は、封緘用フラップ10の前後方向の中途側に形成されている。それゆえ、前後方向の中途側に設けられた切取片18を切り取ると、封緘用フラップ10は、紙袋本体8の開口2に近い基端側10aと、紙袋本体8の開口2から遠い先端側10bと、に分離される。基端側の封緘用フラップ10aには返送用の接着剤層13が形成され、先端側の封緘用フラップ10bには発送用の接着剤層12が形成されている。つまり、封緘用フラップ10は、切取片18の切り取りにより、返送用の接着剤層13が形成された基端側の封緘用フラップ10aを残して、発送用の接着剤層12が形成された先端側の封緘用フラップ10bを切り離すことが可能となっている。それゆえ、発送用の接着剤層12を紙袋本体8に接着させた状態で切取片18を切り取れば、返送用の接着剤層13を封緘用フラップ10に残したまま、開口2の封緘を解除することができる。
【0028】
ところで、上述した接着剤層11の左端及び右端は、封緘用フラップ10の左右方向の端縁よりも距離Dだけ幅方向内側で終端している。また、ミシン目17の左右両端に設けられたノッチ19の形成長さ、言い換えれば封緘用フラップ10の左右方向の端縁から幅方向内側に向かって切り込まれるノッチ19の切込み深さは、少なくとも距離D以上とされるのが好ましい。なお、ミシン目17の左右両端に位置するミシン目17の穴部分17aは、ノッチ19とは異なる部位であり、異なる長さに形成されるのが好ましい。例えば、ノッチ19の切込み深さは穴部分17aよりも長く形成されるとよい。上述したようにノッチ19の切込み深さを距離D以上とすれば、剥離用フラップ10のほうが両端の際近くまで接着剤層11で接着されるようになり、剥離用フラップ10がミシン目17の切取の邪魔になる可能性が低くなり、ミシン目17に沿った切取をスムーズに行うことが可能となる。
【0029】
次に、本実施形態の紙袋1の使用方法について説明する。
図5に示すように、紙袋1に被収容物Pを収容する場合は、図1(b)の状態に折り畳まれた紙袋1に対して、紙袋本体8の前側を上下方向に開いて開口2を開放する。次に、開放された開口2から、被収容物Pを袋内に入れる。そして、封緘用フラップ10に設けられた発送用の剥離紙15を剥がし、発送用の接着剤層12を露出させる。最後に、封緘用フラップ10を後方に折り返して開口2を閉鎖した状態で、露出した発送用の接着剤層12を紙袋本体8に接着する。このようにすれば、発送のための紙袋1の封緘が可能となる。
【0030】
図6に示すように、紙袋1内の被収容物Pを取り出す場合は、切取片18の端を指で摘みながら、開封用の2本のミシン目17、17に沿って切取を行い、ミシン目17、17間に設けられた切取片18を切り取る。開封用の2本のミシン目17、17の両端にはいずれもノッチ19が形成されているため、ミシン目17の切取りを右方向にも左方向にも行うことができ、右利きであっても、左利きであっても、切取片18の切り取りが容易に行える。
【0031】
切取片18を切り取ると、封緘用フラップ10の先端側10bが基端側10aから切り離される。そして、封緘用フラップ10の先端側に設けられた発送用の接着剤層12を紙袋本体8に接着させたまま、封緘用フラップ10の基端側10aのみを前方に揺動可能となり、開口2を開放することが可能となる。
図7に示すように、被収容物Pを返送する場合は、封緘用フラップ10の基端側10aに設けられた返送用の剥離紙16を剥がし、返送用の接着剤層13を露出させる。最後に、封緘用フラップ10を後方に折り返して開口2を閉鎖した状態で、露出した返送用の接着剤層13を紙袋本体8に接着する。このようにすれば、返送のための紙袋1の再封緘が容易に行える。
【0032】
次に、上述した紙袋1を製造する製造方法、言い換えれば本発明の紙袋1の製造方法について説明する。
本実施形態の紙袋1の製造方法は、巻回ロール20より連続的に繰り出されるシート状原紙21に対し、不要部分切除工程24、筒状部形成工程25、底形成工程26を、シート状原紙21の給紙から単一ラインとして連続する第1ライン22で行い紙袋1を製造するものとなっている。この第1ライン22は、直線状に各工程が繋がった1本のラインであり、このような直線的な第1ライン22で製造可能なことも、本実施形態の製造方法の特徴となっている。なお、図3では、第1ライン22の工程図を配置上二段にわけて図示しているが、第1ライン22は実際には一直線で連続するものである。また、第1ライン22には、上述した工程の他に、折り目及びミシン目加工工程38と、封緘シール貼着工程27とが設けられている。これらの折り目及びミシン目加工工程38と、封緘シール貼着工程27とは、いずれが先でも、いずれが後でも良い。しかし、折り目及びミシン目加工工程38は、筒状部形成工程25より下工程で行われる必要がある。筒状部形成工程25では筒状部33が袋単位で切断されており、袋単位に切り離されるまではシート状原紙21には張力が作用している。張力作用下でミシン目17を封緘用フラップ10に加工すると、用紙の断裂が起こる可能性があるため、ミシン目加工は筒状部形成工程25の後で行われる必要がある。このような各工程の工程順番に関する制約によって、本実施形態の紙袋1の製造方法は複数の工程順序を選択しうる。なお、複数の工程順序については後述する。
【0033】
第1ライン22とは別の第2ライン23では、封緘シール貼着工程27で貼着される封緘シール28が製造されている。この第2ライン23で製造された封緘シール28を封緘シール貼着工程27に用いることで、第1ライン22ではシート状原紙21から連続して再封緘機能と易開封機能とを備えた複雑な構成の紙袋1を製造することが可能となっている。第2ライン23は、切断工程30と、分離工程31と、を有しており、さらには封緘用接着剤塗布工程29を任意に設けることができる。
【0034】
次に、第1ライン22で行われる不要部分切除工程24、筒状部形成工程25、底形成工程26、封緘シール貼着工程27、および折り目及びミシン目加工工程38、また第2ライン23で行われる切断工程30、分離工程31、さらには第2ライン23で任意に行われる封緘用接着剤塗布工程29について説明する。
なお、以降の製造方法の説明において、シート状に繰り出されるシート状原紙21を、巻回ロール20から見た場合の上下左右を、製造方法を説明する際の上下左右とする。また、上流側から下流側に向かって搬送されるシート状原紙21の送り方向を、搬送方向という。
【0035】
不要部分切除工程24は、巻回ロール20より連続的に繰り出されるシート状原紙21に対して、紙袋本体8及び封緘用フラップ10以外の不要な部分を切除する工程である。
具体的には、巻回ロール20より連続的に繰り出されるシート状原紙21に対しては、シート状原紙21の左右方向の両端に対して縦筋をつける縦筋付与(罫線入れ)が行われる。つまり、この縦筋付与では、巻回ロール20(製造工程の上流側)よりシート状原紙21を見た場合に、左右両側に3本の縦筋の罫線がそれぞれ形成される。そして、これら3本の罫線は、互いにほぼ等間隔をあけて形成されており、左側及び右側に形成される3本の罫線のうち、幅方向の中央側から2番目に位置する罫線が、上述した紙袋1の左面5及び右面6を二つ折りするための罫線aとなっている。また、3本の罫線のうち、罫線aの幅方向の内側に形成される縦筋の罫線cが、紙袋1のマチを形成する左面5及び右面6の下縁の折り返し線となっている。また、3本の罫線のうち、罫線aの幅方向の外側に形成される縦筋の罫線dが、紙袋1のマチを形成する左面5及び右面6の上縁の折り返し線となっている。縦筋付与で3本の罫線a、c、dが紙袋1下面側の左右両側に形成されたら、封緘用フラップ10の左右両側の部分を不要部分として切除する。この不要部分の搬送方向に沿った長さは、封緘用フラップ10の折り返し厚みと等しくされている。また、
不要部分の左右方向に沿った幅は、シート状原紙21の横幅から、紙袋1の横幅を差し引いた寸法とされる。なお、不要部分の切除は、例えば表面に左右方向に幅広いコ字状の切断刃が配備された加工ロールを用意しておき、加工ロールにシート状原紙21を押圧して不要部分の切除を行えば良い。
【0036】
このようにして不要部分切除工程24が終了したシート状原紙21は、図8の展開図に示すような外形形状の(製函後の外形形状が図8の展開図のようになる)紙袋1を1袋単位で搬送方向に連ねたものとなっている。
筒状部形成工程25は、不要部分の切除が行われたシート状原紙21に対して、シート状原紙21の左右両側を罫線a、c、dに沿って折り返し、筒状に折り返されたシート状原紙21の左右両端を貼り合わせて筒状部33を形成するものとなっている。
【0037】
具体的には、本実施形態の製造方法では、不要部分の切除が行われたシート状原紙21に対しては、マチを形成するために三つの折り返しが行われる。
1つ目の折り返しは、罫線cを境にシート状原紙21の左端及び右端を、幅方向内側に向かって谷折り状に折り返すものである。この罫線cは3本の罫線のうち幅方向の最も内側に位置するものであり、1つ目の折り返しによってシート状原紙21が幅方向内側に折り返される。
【0038】
2つ目の折り返しは、罫線aを境にシート状原紙21の左端及び右端を、幅方向外側に向かって山折り状に折り返すものである。2つ目の折り返しによって、シート状原紙21の左端及び右端が正面から見た場合にZ状になるように折り返される。
3つ目の折り返しは、罫線dを境にシート状原紙21の左端及び右端を、幅方向内側に向かって谷折り状に折り返すものである。このようにシート状原紙21の左端及び右端を3つの罫線a、c、dに沿って折り返せば、シート状原紙21の両端にMを横倒しにしたようなマチを形成することができる。なお、罫線a、c、dに沿った折り返しは、それぞれ単独で行ってもよいし、一部或いは全部を同時に行ってもよい。
【0039】
このようにしてマチが形成されたシート状原紙21では、3つ目の折り返しで形成されたシート状原紙21の右端の上に、3つ目の折り返しで形成されたシート状原紙21の左端を重ね合わせることができる。そこで、マチの形成と同時、あるいはマチの形成よりも前に、重なり合う部分に接着剤を塗工しておき、罫線dに沿った折り返しに合わせて、ロールなどで圧着することでシート状原紙21の右端に左端を貼り合わせる。このようにすればシート状原紙21の左右両端が接合された筒状部33を形成することが可能となる。
【0040】
なお、筒状部33の形成に用いる接着剤としては、上述した酢酸ビニル系接着剤、変性酢酸ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)系接着剤、ゴムなどのエラストマー系接着剤などを用いることができる。
このようにして形成された筒状部33は、図示を省略する互いにニップされた引き出しロールによってカッティングロールまで搬送され、カッティングロールで1袋ずつに切断される。なお、カッティングロールは、袋1枚分の筒状部33が通過する際に1回転する軸に設けられており、筒状部33を封緘用フラップ10の先端で左右方向に切断し、一袋分に切り分けられた筒状部33を得ることができる。
【0041】
上述した筒状部形成工程25で形成された一袋分の筒状部33に対しては、底形成工程26、折り目及びミシン目加工工程38、及び封緘シール貼着工程のいずれかを行うことができる。以降では、各工程の内容についてまず説明する。
底形成工程26は、封緘用フラップ10が形成された端とは反対側(搬送方向の下流側)の端に対して底面を形成する工程である。具体的には、底形成工程26は、搬送方向の下流側の端に、左右方向に延びる罫線を形成する底筋付け35と、底筋付け35で形成された罫線に沿って筒状部33を折り返すと共に糊付けして、底面を形成する底折り工程36と、を有している。
【0042】
底筋付け工程35は、筒状部33における搬送方向の下流側の端部に、左右方向に延びる2本の罫線を形成するものである。2本の罫線のうち、搬送方向の上流側(封緘用フラップ10に近い側)に位置する罫線は、紙袋1の説明で既に述べた罫線bに他ならない。本実施形態では、罫線bは、筒状部33の上面3に形成されている。なお、実施形態によっては、筒状部33の下面4等にも製造上の線が形成されることがある。つまり、本発明の製造方法は、図8の展開図に図示されないような罫線等が製造において筒状部33の各面に形成される場合を含むものである。
【0043】
2本の罫線のうち、搬送方向の下流側(封緘用フラップ10から遠い側)に位置する罫線は、紙袋1の底面を構成する4辺のうち左右方向に延びる長辺に対応した罫線eである。左右マチを全部広げた場合の上面3から下面4までの距離を「紙袋1の厚み」とした場合、罫線eは、罫線bに対して、紙袋1の厚みの1/2の距離だけ搬送方向の下流側にずれた位置に形成される。また、罫線eは筒状部33の上面3、下面4だけでなく左右面5、6にも形成されており、筒状部33の後側を全周に亘って囲むように形成される。
【0044】
なお、2本の罫線b、eを形成する際には、左右方向に延びる直線状の刃(凸条)が形成された加工ロールを、シート状原紙21に押し付けるなどして、罫線を形成すれば良い。
底筋付け35で罫線b、eが形成された筒状部33に対しては、底折り工程36で罫線に沿った折り込みが行われる。具体的には、罫線bに沿って筒状部33の上面3だけを搬送方向に沿って搬送方向の上流側に折り返す。このとき、折り返した筒状部33のマチを広げるようにすると共に、広げたマチの左右両端を筒状部33の左右両端に揃えるように幅方向内側に折り返す。そうすると、筒状部33の搬送方向の下流側に、筒状部33と左右方向の幅が等しい八角形の成形中間体が形成される。
【0045】
次に、八角形の成形中間体を、罫線eを境に折り返す。この八角形の成形中間体は、罫線eの外側に台形状の底フラップを備えており、罫線eを境に底フラップを折り返すことで、筒状部33の下流側の端に底面を形成することができる。つまり、罫線eは、底フラップを搬送方向に沿って折り返すための折返し罫線とされている。
なお、底形成工程26でも、筒状部形成工程25と同様に、折り返されたシート状原紙21同士が重なり合う部分に接着剤を予め塗工しておき、折り返しに合わせて貼り合わせを行う。この底成形に用いる接着剤も、筒状部33の形成と同じ接着剤を用いると良い。
【0046】
封緘シール貼着工程27は、封緘用接着剤が剥離紙14に塗布された封緘シール28を、封緘用フラップ10になる位置の内面、あるいは内面と折り返し時に対面することになる筒状部33の外面(衝合部43)に貼着するものである。
開封用のミシン目17がすでに形成されている場合は、封緘シール28は、形成済の開封用のミシン目17を基準に貼着が行われる。つまり、封緘シール28の貼着を行う前に、ミシン目加工を行って、開封用のミシン目17と、を予め形成しておく。そして、ミシン目加工で形成されたミシン目17を基準に貼着を行う。
【0047】
開封用のミシン目17がまだ形成されていない場合は、後でミシン目加工を行った際にミシン目17となることが予定される位置を基準に、封緘シール28の貼着を行う。
なお、図3に示す本実施形態の紙袋1の製造方法は、折り目及びミシン目加工工程38→底形成工程26→封緘シール貼着工程27の順で、紙袋1を製造するものとなっている。
【0048】
折り目及びミシン目加工工程38は、筒状部形成工程25で切り離された筒状部33の封緘用フラップ10に対して、折り目を形成する折り目加工と、開封用のミシン目17を形成するミシン目加工とを、同時または先後に分けて行うものである。つまり、本実施形態の紙袋1の製造方法は、ミシン目加工だけでなく、ミシン目加工と折り目加工とを双方行う折り目及びミシン目加工工程38を行うものであり、ミシン目と折り目を双方加工する製造手順の例(最も好適な製造手順の例)を示したものとなっている。
【0049】
折り目加工は、左右方向に沿って直線状の刃(凸条)が表面に形成されたロールを、封緘用フラップ10と紙袋本体8との間に押し付けて、折り目を形成するものである。例えば、底形成工程26で切り離された袋を1袋搬送する間に1回転する軸に折り目加工用の筋付けロールを取り付け、筋付けロールの表面に筋付け用のブレードを設けておく。そして、筋付け用のブレードを、封緘用フラップ10と紙袋本体8との間に押し付けて、折り目を形成するとよい。
【0050】
また、ミシン目加工は、ミシン目加工用のミシン刃が表面に形成されたロールを、封緘
用フラップ10の表面に押し付けて、ミシン目を形成するものである。例えば、底形成工程26で切り離された袋を1袋搬送する間に1回転する軸にミシン目加工用の加工ロールを取り付け、加工ロールの表面にミシン目加工用のミシン刃を設けておく。そして、ミシン刃を、封緘用フラップ10の表面に押し付けて、折り目を形成するとよい。
【0051】
なお、上述したミシン目加工用の加工ロールや折り目加工用の筋付けロールに対しては、表面に軟質の刃受けが設けられたロールを用いるのが好ましい。このような軟質の刃受けを用いれば、筋付け用のブレードやミシン目加工用のミシン刃により刃受けが傷つきにくくなり、また傷が付いた場合でも復元が容易となるので、刃受けのみならずブレードやミシン刃の劣化や摩耗を未然に防止することが可能となる。
【0052】
上述したミシン目を2本あるいは複数本形成するためには、2個あるいは複数個のミシン刃を加工ロールに取り付ける必要があるが、この場合には2個あるいは複数個のミシン刃の間に刃間隔を調整するためのスペーサを挟み、スペーサで刃間隔を調整すると良い。このようにすればミシン目を所定の間隔で容易に形成することができる。
また、上述した折り目加工用の筋付けロールと、ミシン目加工用の加工ロールとは、どちらが搬送方向の上流側に設けられても良い。例えば、折り目加工用の筋付けロールを搬送方向の上流側に配備すると共にミシン目加工用の加工ロールを搬送方向の下流側に配備すれば、封緘用フラップ10に折り目加工を行い、次に折り目加工済の封緘用フラップ10にミシン目加工を行うことができる。また、ミシン目加工用の加工ロールを搬送方向の上流側に配備すると共に折り目加工用の筋付けロールを搬送方向の下流側に配備すれば、封緘用フラップ10にミシン目加工を行い、次にミシン目加工済の封緘用フラップ10に折り目加工を行うことができる。さらに、ミシン刃と筋付け用のブレードとが1本の加工ロールに形成されたものを用いれば、折り目加工とミシン目加工とをほぼ同時に加工することができる。
【0053】
ところで、本実施形態の紙袋1の製造方法は、筒状部形成工程25、底形成工程26、折り目及びミシン目加工工程38の工程順番として、以下の(1)及び(2)の2つを採用しうる。
(1)筒状部形成工程25→折り目及びミシン目加工工程38→底形成工程26
(2)筒状部形成工程25→底形成工程26→折り目及びミシン目加工工程38
一方、封緘シール貼着工程27は、上述した3つの工程に関わらず、どの工程順番で行っても良い。
【0054】
例えば、(1)の工程順番において、筒状部形成工程25の前に封緘シール貼着工程27を行っても良いし、筒状部形成工程25の後であって、且つ折り目及びミシン目加工工程38の前に封緘シール貼着工程27を行っても良い。また、折り目及びミシン目加工工程38の後であって、且つ底形成工程26の前に封緘シール貼着工程27を行っても良いし、底形成工程26の前に封緘シール貼着工程27を行っても良い。
【0055】
なお、上述した筒状部形成工程25で袋単位に切断された筒状部33は、分離されているため、ウェブとして搬送することができない。そのため、筒状部形成工程25で切断された筒状部33は、搬送ロールを用いて搬送される。なお、ロール間の距離が離れている場合は、搬送ベルトを用いて筒状部33は搬送される。
その他、例えば、底形成工程26ではロール表面に形成された袋保持部を用いてもよく、具体的には、袋保持部は、ロール表面に左右に距離をあけて並んで配備された爪状の部材であり、筒状部33における搬送方向の下流側を把持することで、筒状部33をロール表面に沿って案内可能としてもよい。また、上流側のロールから下流側のロールに筒状部33を移動させる場合は、搬送方向の上流側のロールに対して下流側のロールの逆方向に回転させ、爪状の袋保持部の受け方向を逆にすることで、筒状部33の受け渡しが可能となる。
【0056】
このような搬送機構を用いることで、袋単位に切断された筒状部33に対する加工も、単一の第1ライン22で行うことができる。
次に、第2ライン23で行われる各工程について説明する。
第2ライン23では、封緘用接着剤が塗布された剥離紙14の原紙(接着剤付き剥離紙
ロールから巻出された原紙)から一袋分の封緘シール28が製造される。この「一袋分の封緘シール28」とは、塗布箇所が1箇所含まれる封緘シール28を2枚含むものである。2枚の封緘シール28の一方は発送用、もう一方は返送用である。
【0057】
具体的には、第2ライン23では、剥離紙14の原紙を封緘用接着剤の塗布箇所が2箇所含まれる紙片単位毎に切断する切断工程30と、切断された紙片をさらに塗布箇所が1箇所含まれる封緘シール28に分離する分離工程31と、が行われる。なお、剥離紙14の原紙には、予め封緘用接着剤が塗布された原紙のロール(接着剤付き剥離紙ロール)を用いても良いし、封緘用接着剤塗布工程29を切断工程30の前に設けて、接着剤未塗工の剥離紙14の原紙(接着剤未塗工の剥離紙ロールから巻出された原紙)に封緘用接着剤を塗布しても良い。封緘用接着剤塗布工程29としては、グラシン紙などの剥離紙14の原紙に対して、酢酸ビニル系接着剤、変性酢酸ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)系接着剤、ポリオレフィン系接着剤などの封緘用接着剤を、ホットメルトのアプリケータを用いて塗工する工程を採用できる。接着剤が塗工された原紙は、切断工程30に送られる。
【0058】
分離工程31は、2列の封緘用接着剤層ごとにカッティングされたシール片41に対して、2列の封緘用接着剤層の間でさらにカッティングを行い、1列毎の最小シール片42に分離し、分離した最小シール片42を封緘シール28として封緘シール貼着工程27において貼着するものである。
なお、分離工程31で、2列の封緘用接着剤層を有するシール片41を1列毎の最小シール片42にカッティングすると共に分離する場合は、封緘シール28を供給する供給ロールと、分離用の回転刃を備えた分離切断ロールとの周速度の差を利用すると良い。
【0059】
すなわち、封緘シール28を供給する供給ロールのロール表面に、負圧吸着部分を設けておき、この負圧吸着部分にシール片41を一時的に姿勢保持する。この供給ロールは周速度V1で回転している。一方、分離切断ロールは、周速度V2で異なる回転方向に回転している。ここで、負圧吸着部分に保持されたシール片41が、分離切断ロールの回転刃により切断される場合を考える。
【0060】
回転刃によりシール片41が切断分離されると同時に、V1とV2の周速度の差に応じて、切断された最小シール片42が押し上げられる。この時、封緘シール供給ロール上では負圧で封緘シ-ル(最小シール片)が保持されているので、平行に隙間が出来、且つ、貼着の姿勢が保持される。
つまり、分離工程31では、シール片41を分離切断用の刃により最小シール片42に切断すると同時に、供給ロール上の下流にある最小シール片42を下流側に押し上げることで、最小シール片42への切断分離と最小シール片42同士の所定間隔への離間が行うことができる。供給ロール上では負圧による吸着機構により、シール片41の姿勢を保持したまま、安定した切断分離と離間が行われ、また封緘シ-ルの貼着の姿勢が保持される。
【0061】
このようにして分離された最小シール片42は、ミシン目加工で形成された2本のミシン目の一方側と他方側とにそれぞれ貼着され、易開封機能及び返送機能を備えた紙袋1として製造される。
なお、切取片18の表面には、開封用のミシン目17に沿った開封を促進させるガイドテープが貼着されていてもよい。このガイドテープは、一般にテアテープと呼ばれるフィルムで構成されたテープであり、テープの端縁が開封用のミシン目17に沿うように貼り付けられることで、ミシン目から逸脱した切開を抑制し、ミシン目に沿った開封を促進させて易開封機能をより向上させることができる。
【0062】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【0063】
上述した実施形態では、底形成工程26において罫線b、eを折り返し罫線として距離
をあけて2本形成し、2本の罫線b、eを境に底フラップを左右方向及び搬送方向に沿うように折り返すことで、角底状の底を形成する例を挙げた。しかし、折り返し罫線を1本だけ形成し、1本の折り返し罫線で折り合わせて筒状部の外面に底フラップを貼り合わせることで、V字状の底が形成された紙袋1を製造することもできる。
【0064】
上述した実施形態では、ミシン目17が直線状に形成された例を挙げた。しかし、ミシン目17は直線状に限らず、穴部分17aがL字状やY字状に形成されたものであっても良い。
また、上述した実施形態では、ミシン目17の両端にノッチ19をそれぞれ設けた例を挙げた。しかし、ノッチ19はミシン目17の一方端だけに設けても良い。
【0065】
さらに、上述した実施形態では、ミシン目17が2本形成された例を挙げた。しかし、ミシン目は1本だけでもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 紙袋
2 紙袋本体の開口
3 紙袋本体の上面
4 紙袋本体の下面
5 紙袋本体の左面
6 紙袋本体の右面
7 紙袋本体の後面
8 紙袋本体
P 被収容物
10 封緘用フラップ
10a 封緘用フラップの基端側
10b 封緘用フラップの先端側
11 封緘用の接着剤層
12 発送用の接着剤層
13 返送用の接着剤層
14 剥離紙
15 発送用の剥離紙
16 返送用の剥離紙
17 開封用のミシン目
17a 穴部分
17b つなぎ部分
18 切取片
19 ノッチ
20 巻回ロール
21 シート状原紙
22 第1ライン
23 第2ライン
24 不要部分切除工程
25 筒状部形成工程
26 底形成工程
27 封緘シール貼着工程
28 封緘シール
29 封緘用接着剤塗布工程
30 切断工程
31 分離工程
32 縦筋付与工程
33 筒状部
35 底筋付け工程
36 底折り工程
37 折り目
38 折り目及びミシン目加工工程
39 封緘シール用原紙
40 封緘用接着剤層
41 シール片
42 最小シール片
43 衝合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回ロールより連続的に繰り出されるシート状原紙に対し、封緘用フラップ形成のための不要部分の切除を行う不要部分切除工程と、前記不要部分を切除したシート状原紙に袋単位の筒状部を形成する筒状部形成工程と、前記筒状部形成工程で形成された筒状部に袋単位で底を形成して封緘用フラップの先端縁で切り離す底形成工程と、封緘用接着剤が剥離紙に塗布された封緘シールを、封緘用フラップになる位置の内面、または、封緘用フラップの内面と折り返し時に対面する筒状部の外面に貼着する封緘シール貼着工程と、を前記シート状原紙の給紙から単一ラインとして連続する第1ラインで行い、
前記第1ラインとは別の第2ラインにおいて、封緘用接着剤が塗布された剥離紙の原紙を前記封緘用接着剤の塗布箇所が2箇所含まれる紙片単位毎に切断する切断工程と、切断された紙片をさらに前記塗布箇所が1箇所含まれる封緘シールに分離する分離工程と、を行い、
前記第1ラインの底形成工程で切り離された袋の封緘用フラップに対して、前記封緘シール貼着工程を行う前に、または、前記封緘シール貼着工程を行った後に、開封用のミシン目を形成するミシン目加工工程を行い、
前記第1ラインの封緘シール貼着工程において、前記第2ラインの分離工程で分離された封緘シールの一方を、前記ミシン目加工工程で形成されたミシン目の一方側、または、封緘フラップの折り返し時にミシン目の一方側の内面と対面することになる筒状部の外面に貼着すると共に、前記封緘シールの他方を、前記ミシン目加工工程で形成されたミシン目の他方側、または、封緘フラップの折り返し時にミシン目の一方側の内面と対面することになる筒状部の外面に貼着することを特徴とする紙袋の製造方法。
【請求項2】
前記第2ラインの切断工程の前に、前記剥離紙の原紙に対し、距離をあけて前記封緘用接着剤を2箇所にわたって塗布する封緘用接着剤塗布工程を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の紙袋の製造方法。
【請求項3】
前記ミシン目加工工程において、前記開封用のミシン目を互いに平行に2本形成すると共に、前記開封用のミシン目の少なくとも一端にノッチを形成し、
前記2本のミシン目の間を開封用の切取片とする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の紙袋の製造方法。
【請求項4】
前記ミシン目は、切れている穴部分と、穴部分の間に存在する切れ残っているつなぎ部分とが、ミシン目の形成方向に沿って交互に配備される構成とされており、
前記2本のミシン目は、一方のミシン目と他方のミシン目で目がずれた配置とされている
ことを特徴とする請求項に記載の紙袋の製造方法。
【請求項5】
前記不要部分切除工程、前記筒状部形成工程、及び前記底形成工程を、前記巻回ロールより繰り出された連続したシート状原紙に対して行い、
前記第1ラインの底形成工程で切り離された袋の封緘用フラップに対して、前記封緘シール貼着工程を行う前に、または、前記封緘シール貼着工程を行った後に、折り目を形成する折り目加工と、開封用のミシン目を形成するミシン目加工とを、同時または先後に分けて行う折り目及びミシン目加工工程を行い、
前記折り目及びミシン目加工工程を前記第1ラインにおいて袋単位に切り分けられた筒状部に対して行う
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の紙袋の製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、主に通販等の宅配に用いられる紙袋であって、封緘された袋内から商品等を取り出した後、返送のための再封緘が可能であり、開封も容易に行える紙袋を製造する方法に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
それゆえ、再封緘機能と易開封機能とを備えた複雑な構成の紙袋を製造する際には、連続製造ラインで製造された紙袋をさらに二次加工する必要があり、工程が複雑で手間や時間を必要とするものとなっていた。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、再封緘機能と易開封機能とを備えた複雑な構成の紙袋を簡便に製造する技術を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
[本実施形態]
以下、本発明の紙袋1の製造方法の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。なお、製造方法の内容の説明に先立ち、本発明の製造方法で製造される紙袋1について説明する。
図1(a)及び図1(b)は、本実施形態の製造方法で製造される紙袋1を模式的に示したものである。本実施形態の紙袋1は、開口2を前方に向けるように配備された有底角状の紙製の袋である。図1(a)は商品を入れるために開口2が広げられた状態の紙袋1であり、図1(b)は折り畳まれた状態の紙袋1である。