(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106244
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】外観検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20230725BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230725BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G06T7/00 610
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007460
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】592081117
【氏名又は名称】株式会社ヒューモラボラトリー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝通
(72)【発明者】
【氏名】樋野 貴仁
【テーマコード(参考)】
2G051
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051BA20
2G051BB01
2G051BC01
2G051CA04
2G051CB01
2G051CC11
2G051EB05
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA02
5L096DA02
5L096HA08
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】凸曲面鏡面を有する被検査体の外観検査を容易に精度良く行う。
【解決手段】外観検査装置1は、基準軸80上に凸曲面鏡面91を有する被検査体90が配置されるように構成された基台10と、変更可能な所定の模様を含む照明光を基準軸80に沿った方向に放射するように構成された照明装置20と、基準軸80に対して傾斜した反射面32が基準軸80周りの空間を囲むように設けられ、照明装置20から放射されて被検査体90の周囲を通過した照明光を反射面32で凸曲面鏡面91に向けて反射するように構成された全周ミラー30と、全周ミラー30の基準軸80周りの空間を介して、凸曲面鏡面91の方向を撮影するように構成された撮像装置40と、撮像装置40によって得られた画像に含まれる模様を含む照明光の凸曲面鏡面91による反射のパターンに基づいて、凸曲面鏡面91の表面に関する解析を行う情報処理装置50とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準軸上に凸曲面鏡面を有する被検査体が配置されるように構成された基台と、
前記凸曲面鏡面の凸側と反対側に配置され、電子ディスプレイを含み、変更可能な所定の模様を含む照明光を前記基準軸に沿った方向に放射するように構成された照明装置と、
前記基台に対して前記照明装置と反対側に配置され、前記基準軸に対して傾斜した反射面が前記基準軸周りの空間を囲むように設けられ、前記照明装置から放射されて前記被検査体の周囲を通過した前記照明光を前記反射面で前記凸曲面鏡面に向けて反射するように構成された全周ミラーと、
前記全周ミラーに対して前記基台と反対側に配置され、前記全周ミラーの前記基準軸周りの空間を介して、前記凸曲面鏡面の方向を撮影するように構成された撮像装置と、
前記撮像装置によって得られた画像に含まれる前記模様を含む照明光の前記凸曲面鏡面による反射のパターンに基づいて、前記凸曲面鏡面の表面に関する解析を行う情報処理装置と
を備える外観検査装置。
【請求項2】
前記照明装置は、液晶パネルとバックライトとを有し、前記バックライトから出射した光が前記液晶パネルを通過することで前記模様を含む照明光が放射されるように構成されている、請求項1に記載の外観検査装置。
【請求項3】
前記基台は、前記被検査体が載置されるように構成された透明部を有し、
前記照明装置から放射された光は、前記透明部を透過して前記全周ミラーに至るように構成されている、
請求項1又は2に記載の外観検査装置。
【請求項4】
前記模様は、前記基準軸を中心として放射状に延びる明部と暗部とが円周方向に交互に繰り返すパターンを含む、又は、
前記模様は、前記基準軸を中心とした同心円状の明部と暗部とが半径方向に交互に繰り返すパターンを含む、
請求項1乃至3の何れかに記載の外観検査装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、良品の画像を教師データとして誤差逆伝搬法により作成した学習済みモデルを用いて、前記被検査体の良品又は不良品の判定を行うように構成されている、請求項1乃至4の何れかに記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査体の外観検査方法として、光を当てた被検査体を撮像装置で撮影し、得られた画像に対して所定の画像処理を行うことで、被検査体表面の傷等の欠陥の有無を検査する方法が知られている。この方法では、被検査体に欠陥があると、欠陥部で被検査体に当てた光が拡散反射するため、欠陥部に関して撮像装置に入射する光量の増加又は減少といった変化が認められる。画像処理でこのような変化を検出することで、欠陥の特定が行われ得る。一方、被検査体が鏡面である場合には、照明光以外の環境が被検査体に映り込んだり、照射した光の反射光が強く欠陥部の拡散反射が反射光で打ち消されてしまったりして、同様の方法で欠陥部を検出することは一般に困難である。
【0003】
被検査体が鏡面である場合の外観検査方法として、例えば特許文献1に開示されているように、鏡面に対して縞状の明暗パターンを投射し、その画像を取得する方法が知られている。この方法では、傷等の欠陥がある場合、その部分で縞状の明暗パターンが歪むため、画像に基づいて欠陥部を検出しやすい。このような方法を用いる場合、被検査体の形状等に応じて、パターンの投射方法、撮影方法等について、適切に設定する必要があることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、凸曲面鏡面を有する被検査体の外観検査を容易に精度良く行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、外観検査装置は、基準軸上に凸曲面鏡面を有する被検査体が配置されるように構成された基台と、前記凸曲面鏡面の凸側と反対側に配置され、電子ディスプレイを含み、変更可能な所定の模様を含む照明光を前記基準軸に沿った方向に放射するように構成された照明装置と、前記基台に対して前記照明装置と反対側に配置され、前記基準軸に対して傾斜した反射面が前記基準軸周りの空間を囲むように設けられ、前記照明装置から放射されて前記被検査体の周囲を通過した前記照明光を前記反射面で前記凸曲面鏡面に向けて反射するように構成された全周ミラーと、前記全周ミラーに対して前記基台と反対側に配置され、前記全周ミラーの前記基準軸周りの空間を介して、前記凸曲面鏡面の方向を撮影するように構成された撮像装置と、前記撮像装置によって得られた画像に含まれる前記模様を含む照明光の前記凸曲面鏡面による反射のパターンに基づいて、前記凸曲面鏡面の表面に関する解析を行う情報処理装置とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、凸曲面鏡面を有する被検査体の外観検査を容易に精度良く行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る外観検査装置の構成例の概略を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施例において用いた被検査体の形状を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例において液晶パネルに提示させた明暗のパターンの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例において撮像装置の撮影により得られた画像の一例である。
【
図5】
図5は、
図4に示す画像を、学習済みモデルに入力した際の出力画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
外観検査装置の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の外観検査装置は、凸曲面鏡面を有する被検査体を検査する装置であり、特に、凸曲面鏡面に打痕傷等の欠陥があるか否かを検査する装置である。凸曲面には、外側に凸の様々な曲面が含まれ得る。凸曲面は、例えば、球体、楕円体等の外表面の一部を含む曲面であってもよい。
【0010】
[外観検査装置の構成]
図1は、本実施形態に係る外観検査装置1の構成例の概略を模式的に示している。
図1に示すように、外観検査装置1は、基台10と、照明装置20と、全周ミラー30と、撮像装置40と、情報処理装置50とを備える。
図1には、被検査体として、円柱体の上部に半球状の凸曲面鏡面91が設けられている被検査体90が示されている。
【0011】
基台10は、被検査体90が配置される構造体である。この例では、基台10の載置面12は水平に設けられている。基台10の中央に鉛直に基準軸80を設けることとする。この例では、外観検査装置1は、被検査体90がその円柱体の中心軸を基準軸80と一致させるようにして基台10の載置面12の上に載置されるように構成されている。基台10の中央部には、後述の照明光を透過させる透明部14が設けられている。透明部14は、例えばガラス板によって形成されている。基台10は、中央部分の透明部14のみが例えばガラス板によって形成されていてもよいし、基台10の全体がガラス板によって形成されていてもよい。
【0012】
ここで示した基台10の構成は一例であり、基台は、基準軸80上に凸曲面鏡面91を有する被検査体90が配置されるように構成されていれば、他の構成を有していてもよい。例えば、基台は、被検査体90を固定するための治具を備えていてもよい。被検査体90の円柱体の中心軸が水平となるように基台が被検査体90を保持する場合には、基準軸80が水平となり、以下で説明する他の部分もそれに応じて配置が変更されることになる。基台は、被検査体90の周囲を後述の照明光が通過できるように構成されていれば、どのような構成を有していてもよい。
【0013】
照明装置20は、基台10の下方に配置されている。すなわち、照明装置20は、凸曲面鏡面91の凸側と反対側に配置されている。照明装置20は、液晶パネル22と、バックライト24とを備える。液晶パネル22は、バックライト24の基台10側に設けられている。液晶パネル22は、多数の画素を有しており、画素ごとに少なくとも実質的に光が透過する状態と透過しない状態とで切り替えられるように構成されている。バックライト24から出射した光は、液晶パネル22を透過して基台10の方向に照射される。照明装置20の投射光軸は基準軸80と一致するように、照明装置20は配置されている。この照明光は、被検査体90の周囲を通り抜けるように、十分広い面積に照射される。
【0014】
液晶パネル22がパターンを提示することで、バックライト24から出射して液晶パネル22を透過した照明光は、明部と暗部とを含む模様を有する照明光となる。この模様は、例えば、明部と暗部とが交互に繰り返す縞状のパターンである。このパターンは、例えば、基準軸80を中心として放射状に延びる明部と暗部とが円周方向に交互に繰り返すパターンであり得る。また、このパターンは、例えば、基準軸80を中心とした同心円状の明部と暗部とが半径方向に交互に繰り返すパターンであり得る。明部と暗部との幅や数が異なる複数のパターンが用意され得る。
【0015】
ここで示した照明装置20の構成は一例であり、照明装置は、各種の電子ディスプレイを含み、変更可能な所定の模様を含む照明光が基準軸80に沿って進行するように放射されるように構成されていれば、他の構成を有していてもよい。例えば、照明装置20は、有機ELディスプレイのような電子ディスプレイを含んでいてもよい。ここで、基準軸80に沿ってとは、照明光の照射方向が基準軸80に沿った方向であればよく、照明光が平行光である必要はないし、光軸が一致している必要などもない。
【0016】
全周ミラー30は、基台10に対して照明装置20と反対側に、すなわち、基台10の上方に設けられている。全周ミラー30は、円錐台の内側面の形状の反射面32を有する。全周ミラー30は、この円錐台の上底面及び下底面にあたる部分が開放された形状を有する。ここで、全周ミラー30は、この円錐台の中心軸が基準軸80と一致するように、円錐台の下底面を基台10の方向に向けて設けられている。すなわち、反射面32は、基準軸80に対して傾斜しており、基準軸80の周りの空間を囲むように設けられている。反射面32は、被検査体90の凸曲面鏡面91を囲むように設けられている。全周ミラー30は、照明装置20から照射され、基台10の透明部14を透過して、被検査体90の周囲を通過した照明光を、反射面32で被検査体90の凸曲面鏡面91に向けて反射するように構成されている。
【0017】
撮像装置40は、撮影レンズ及びイメージエリアセンサを備える。撮像装置40は、全周ミラー30の上方に、すなわち、全周ミラー30に対して基台10と反対側に、配置されている。撮像装置40は、全周ミラー30の開放された円錐台の上底面及び下底面を介して、すなわち、全周ミラー30内の基準軸80周りの空間を介して、被検査体90の凸曲面鏡面91側を撮影するように構成されている。被検査体90の凸曲面鏡面91が基準軸80に対して対称形状である場合には特に、撮像装置40は、その撮影光軸を基準軸80に一致させるように配置されることが好ましい。撮像装置40は、撮影により得られた画像情報を情報処理装置50に送信するように構成されている。
【0018】
情報処理装置50は、各種集積回路を有するコンピュータを備える。情報処理装置50は、記録装置等に記録されたプログラムに従って動作する。情報処理装置50は、照明装置20の動作を制御する。情報処理装置50には、上述の照明装置20から放射される照明光の複数のパターン、すなわち、液晶パネル22が提示する複数のパターンの情報が記録されている。情報処理装置50は、記録されたパターンの情報を用いて照明装置20の動作を制御する。情報処理装置50は、液晶パネル22によるパターンの提示について制御する。また、情報処理装置50は、バックライト24の出射光量等について制御する。また、情報処理装置50は、撮像装置40の動作を制御する。情報処理装置50は、撮像装置40による露出、焦点距離等の撮影条件、撮影タイミングなどを制御する。
【0019】
また、情報処理装置50は、撮像装置40から取得した画像情報に基づいて、被検査体90に関する解析を行う。特に、情報処理装置50は、撮像装置40によって得られた画像に含まれる模様を含む照明光の凸曲面鏡面91による反射のパターンに基づいて、凸曲面鏡面91の表面に関する解析を行う。情報処理装置50は、例えば、被検査体90の良又は不良の判定や、欠陥部分の検出などといった解析のためのプログラムを備える。この解析には、人工知能が用いられてもよい。例えば、情報処理装置50は、予め誤差逆伝搬法等の手法を用いて例えば良品の画像を教師データとした機械学習により構築された学習済みモデルを備えていてもよい。情報処理装置50は、この学習済みモデルを用いて、撮像装置40から取得した画像情報に基づいて、被検査体90の良品又は不良品の判定、すなわち、欠陥の有無の判定を行うことができる。
【0020】
[外観検査装置の動作]
外観検査装置1の動作について説明する。情報処理装置50は、照明装置20の動作を制御して、照明装置20に照明光を放射させる。より具体的には、情報処理装置50の制御下で液晶パネル22は、例えば明部と暗部とが交互に繰り返すパターンを提示する。バックライト24は、情報処理装置50の制御下で液晶パネル22の方向へ光を放射する。バックライト24から出射した光は、液晶パネル22を通過することで、液晶パネル22が提示したパターンを含む照明光となる。この照明光は、基台10の透明部14を透過し、被検査体90の周囲を通過し、全周ミラー30の反射面32に至る。反射面32は、この照明光を被検査体90の凸曲面鏡面91に向けて反射させる。その結果、液晶パネル22で提示されたパターンが、投射面である被検査体90の凸曲面鏡面91に投射される。
【0021】
撮像装置40は、情報処理装置50の制御下で、パターンが投射された被検査体90の特に凸曲面鏡面91の部分を撮影する。撮像装置40は、撮影により得られた画像情報を情報処理装置50へ送信する。情報処理装置50は、撮像装置40から取得した画像情報に基づいて、被検査体90の凸曲面鏡面91に関する欠陥の有無等を判定する。
【0022】
なお、1つの被検査体90に対する検査において、1回の撮影により得られた1枚の画像に基づいて解析が行われてもよいし、複数の画像に基づいて解析が行われてもよい。すなわち、被検査体90に複数種類のパターンが投射されて複数の画像が取得され、これら複数の画像に基づいて解析が行われてもよい。例えば、明暗の縞模様の線が細いほど(間隔が狭いほど)高分解能が得られるところ、傷等の大きさなどに応じて検出されやすい投射パターンの線幅が異なることがある。そこで、線幅が異なる複数のパターンを用いて解析が行われてもよい。また、明部と暗部とを横切るように傷等が存在する場合に、当該傷等が検出されやすいところ、例えば傷等が明部内又は暗部内に収まっていると、当該傷等が検出されないおそれがある。そこで、明暗のパターンを移動させることで、このような傷等も検出することができるようになる。また、放射状の縞模様と同心円状の縞模様とといったように、パターンを変更することによってこのような傷等も検出することができるようになる。
【0023】
[実施例]
外観検査装置1の実施例について説明する。
図2は、本実施例に用いた被検査体90の形状を示す図である。この被検査体90は、円柱部92の上に凸曲面鏡面91が設けられた形状を有している。凸曲面鏡面91の頂部93は水平に切断された形状となっており、中央部には中心軸に沿って孔94が設けられている。このような被検査体90を外観検査装置1の基台10の載置面12の上に、その中心軸が基準軸80と一致するように載置した。
【0024】
図3は、液晶パネル22に提示させた明暗のパターンを示す。この図に示すように、本実施例では、基準軸80を中心として放射状に延びる明部と暗部とが円周方向に交互に繰り返すパターンを用いた。
【0025】
図4は、撮像装置40の撮影により得られた画像例である。被検査体90の凸曲面鏡面91の周縁部に、被検査体90の中心軸を中心として放射状に延びる明部と暗部とが円周方向に交互に繰り返すパターンが投射されている。得られた画像には、このパターンの反射パターンが認められる。
【0026】
予め誤差逆伝搬法を用い、良品の画像を教師データとした機械学習により学習済みモデルを生成した。情報処理装置50において、この学習済みモデルに、撮像装置40で取得した画像を入力した。
図5は、
図4に示す画像を、学習済みモデルに入力した際の出力画像の一例である。
図5より、白色である部分82に欠陥があることが分かった。
図4を見ると、この部分81では、明暗の縞模様が乱れていることがわかる。
【0027】
以上の通り、本実施形態に係る外観検査装置1を用いることで、凸曲面鏡面91における欠陥を検出することができ、凸曲面鏡面91について、良品又は不良品の判定が可能であることが明らかになった。
【0028】
[外観検査装置について]
上述の実施形態の外観検査装置1では、凸曲面鏡面91を検査するにあたり、明暗の縞模様を投射する。撮影によって鏡面の画像を得る場合、一般には画像から微細な表面形状を特定することは困難であるが、縞模様のパターンを投射してその反射パターンを撮影することによって、鏡面の微細な表面形状が特定しやすくなる。
【0029】
被検査体90にパターンを投射する方法はさまざまあり得る。例えば、縞模様を印刷した透過フィルムを円筒形にして被検査体90の周囲に配置して外側から光を投射する方法などが考えられる。これに対して、本実施形態が対象としているような凸曲面鏡面91の検査では、被検査体90の上方から縞模様を投射した方が、パターンがきれいに投射されることが見出された。
【0030】
また、透過フィルムにパターンを印刷する場合には、線幅に印刷技術に応じた制限があったり、種々のパターンを変更しながら投射するには複数の透過フィルムを用意してそれらを交換する必要があったり、パターンを移動させるには物理的に透過フィルムを移動させる移動機構が必要となったりする。例えば、明暗パターンが一定であると、検出できる傷等の大きさ、位置等が制限されることがある。また、被検査体に応じて異なる透過フィルムを用意する必要も生じ得る。これに対して、液晶パネル22を用いて照明光のパターンを形成することで、種々のパターンを比較的容易に形成することができ、パターンを変更したり移動させたりすることも容易となり、検査時間を短くすることもできる。
【0031】
照明装置20には、有機ELディスプレイなどといった自発光パネルを使用してもよい。ただし、有機ELディスプレイなどでは、十分な輝度を得ることが比較的困難である。これに対して、本実施形態のように、液晶パネル22及びバックライト24で照明装置20を構成することで、バックライト24に高輝度光源を用いることが容易となる。その結果、十分な光量を容易に得ることができる。したがって、液晶パネル22及びバックライト24を用いることは、一つの好ましい態様である。
【0032】
平面の液晶パネル22を用いて形成された照明光を、上方から被検査体90の凸曲面鏡面91に投射する必要があるところ、被検査体90を挟むように互いに対向する照明装置20と円錐台内側面形状の反射面32を有する全周ミラー30とを配置することで、これを良好に実現できることが見出された。
【0033】
画像の解析において、機械学習により作成した学習済みモデルを用いることで、高精度に傷等に由来するパターンの歪を検出することが可能であることが見出された。
【0034】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0035】
1 外観検査装置
10 基台
12 載置面
14 透明部
20 照明装置
22 液晶パネル
24 バックライト
30 全周ミラー
32 反射面
40 撮像装置
50 情報処理装置
80 基準軸
90 被検査体
91 凸曲面鏡面