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特開2023-106283蓋体、蓋体付き容器、及び蓋体と容器の組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106283
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】蓋体、蓋体付き容器、及び蓋体と容器の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
B65D77/20 J
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125141
(22)【出願日】2022-08-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2022007500
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】320007734
【氏名又は名称】株式会社KY7
(72)【発明者】
【氏名】林 裕義
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AB01
3E067AB26
3E067AC01
3E067BA07A
3E067BB01A
3E067BB11A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067BC03A
3E067BC07A
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA06
3E067EA15
3E067EB03
3E067EB07
3E067EB11
3E067EB17
3E067EB29
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】再閉蓋性に優れた蓋体、及び蓋体と容器の組み合わせを提供する。
【解決手段】蓋体1は、口部と口部を囲む縁部とを有する容器に対して口部を覆うように端部に取り付けられた接合領域Rを形成した状態で用いられ、接合領域を含む本体2を有し、本体は、本体の外周縁に定められた縁部分から本体の内側に向けて本体の一部を本体の他部に対して変位することが可能となるように構成された変位容易化構造5を備え、本体の一部を第1部分3とし、本体の他部を第2部分4とした場合に、変位容易化構造は、縁部分の第1端部71A1と第2端部71A2のそれぞれから第1部分と第2部分との境界に沿って延びる案内部6を有し、案内部は、接合領域を横断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と前記口部を囲む縁部とを有する容器に対して前記口部を覆うように前記縁部に取り付けられた接合領域を形成した状態で用いられ、
前記接合領域を含む本体を有し、
前記本体は、前記本体の外周縁に定められた縁部分から前記本体の内側に向けて前記本体の一部を前記本体の他部に対して変位することが可能となるように構成された変位容易化構造を備え、
前記本体の前記一部を第1部分とし、前記本体の前記他部を第2部分とした場合に、
前記変位容易化構造は、前記縁部分の第1端部と第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を有し、
前記案内部は、前記接合領域を横断する、
蓋体。
【請求項2】
前記変位容易化構造は、さらに、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、
前記第1部分を前記第2部分に対して変位させる場合に、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分に対して立ち上がる、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記第1部分は、前記縁部分から前記本体の内側に向かって先細りした形状を有する、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項4】
前記本体には、前記縁部分から外側に向かって突出した突出部が設けられている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項5】
前記変位容易化構造は、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、
前記突出部は、前記突出部の内側に爪部を有し、
前記第2部分は、受部を有し、
前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分の上面側に折り返された場合に、
前記爪部と前記受部とが向かい合う、
請求項4に記載の蓋体。
【請求項6】
前記変位容易化構造は、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、
前記第2部分は、受部を有し、
前記第1部分を前記第2部分に対して変位させる場合に前記第1部分と一体的に変位し、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分の上面側に折り返された場合に、前記突出部が前記受部に差し込み可能な位置に変位する、
請求項4に記載の蓋体。
【請求項7】
前記縁部分の前記第1端部と前記第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を、それぞれ第1案内部及び第2案内部とした場合に、
前記第1案内部のうち前記接合領域に重なる部分の長さと、前記第2案内部のうち前記接合領域に重なる部分の長さとが異なる、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項8】
前記縁部分の前記第1端部と前記第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を、それぞれ第1案内部及び第2案内部とした場合に、
前記第1案内部は、前記第1端部から前記接合領域の内縁までの部分で形成された第1外側案内部と、前記第1外側案内部を除く第1内側案内部を有し、
前記第2案内部は、前記第2端部から前記接合領域の前記内縁までの部分で形成された第2外側案内部と、前記第2外側案内部を除く第2内側案内部を有し、
前記第1内側案内部と前記第2内側案内部の少なくとも一方が前記接合領域の前記内縁に沿って形成されている
請求項1に記載の蓋体。
【請求項9】
前記案内部は、切込構造、又は脆弱化構造を有する
請求項1に記載の蓋体。
【請求項10】
前記変位容易化構造は、前記第1部分の全体を前記第2部分から分離可能に形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項11】
前記変位容易化構造は、前記案内部に、前記第1部分から前記第2部分に向かって突出するように湾曲した突状湾曲部を形成している、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項12】
少なくとも前記第2部分には、前記接合領域の内側に、前記接合領域の非形成面を凹状にした凹み部が形成されており、
前記接合領域の内縁のうち前記縁部分から最も遠い位置を基準位置とした場合に、前記凹み部は、該基準位置から前記第1部分に向かって下り傾斜した傾斜面を有する、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項13】
前記接合領域の内側には、前記接合領域の非形成面を凹状にした溝が形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項14】
前記溝が第1部分を横切る曲線状に延びている、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項15】
前記溝が環状に形成されている、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項16】
前記本体は、前記溝よりも内側の内側領域のほうが、前記溝よりも外側の外側領域よりも上側に位置する、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項17】
前記溝は、同心状に複数形成されている、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項18】
前記溝は、前記第1部分に対して離れた位置から前記溝の延びる方向に沿って前記第1部分に近くなるにつれて該溝の深さが徐々に大きくなるように形成されている、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項19】
開口部を有する容器と、
請求項1から18のいずれか1項に記載の蓋体と、を備え、
容器の開口部の端縁と蓋体の接合領域とを接合する接合部が形成されている、
蓋体付き容器。
【請求項20】
前記接合部は、圧着法又は熱融着法により形成されている、
請求項19に記載の蓋体付き容器。
【請求項21】
開口部を有する容器と、請求項1から18のいずれか1項に記載の蓋体とを有する、
蓋体と容器の組み合わせ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体、蓋体付き容器、及び蓋体と容器の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
蓋体付き容器として、特許文献1に示すような口部の縁部に蓋体を融着させた容器が知られている。このような容器は、コーヒーなどの飲料や総菜などの内容物を収容する用途等の様々な用途で使用されている。このような蓋体付き容器において使用される蓋体としては、プラスチックを用いたフィルム材が広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-101357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓋体付き容器の内部に飲料などの液体が収容された場合、蓋体の内容物を摂取するために、使用者は、蓋体を形成するフィルム材を剥して容器の口部を露出させる。この場合、その後、露出した口部の部分を再び蓋体で覆われた状態(再閉蓋状態と呼ぶことがある)にしようとしても、蓋体で口部を覆った状態が解除されやすい。さらには、蓋体で口部を塞いで蓋体と口部との間に大きさの隙間ができやすい。このような場合、蓋体と口部の隙間から液体が漏れ出やすくなる。
【0005】
したがって、蓋体には、蓋体付き容器で用いられた場合における再閉蓋状態の安定性を向上させる点で改善が求められる。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、蓋体付き容器で用いられた場合における再閉蓋状態の安定性に優れた蓋体、蓋体付き容器、及び蓋体と容器の組み合わせを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、次の(1)から(21)にかかる発明を要旨とする。
(1)口部と前記口部を囲む縁部とを有する容器に対して前記口部を覆うように前記縁部に取り付けられた接合領域を形成した状態で用いられ、前記接合領域を含む本体を有し、前記本体は、前記本体の外周縁に定められた縁部分から前記本体の内側に向けて前記本体の一部を前記本体の他部に対して変位することが可能となるように構成された変位容易化構造を備え、前記本体の前記一部を第1部分とし、前記本体の前記他部を第2部分とした場合に、前記変位容易化構造は、前記縁部分の第1端部と第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を有し、前記案内部は、前記接合領域を横断する、蓋体。
(2)前記変位容易化構造は、さらに、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、前記第1部分を前記第2部分に対して変位させる場合に、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分に対して立ち上がる、上記(1)に記載の蓋体。
(3)前記第1部分は、前記縁部分から前記本体の内側に向かって先細りした形状を有する、上記(1)に記載の蓋体。
(4)前記縁部分から外側に向かって延び出た突出部が設けられている、上記(1)に記載の蓋体。
(5)前記変位容易化構造は、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、前記突出部は、前記突出部の内側に爪部を有し、前記第2部分は、受部を有し、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分の上面側に折り返された場合に、前記爪部と前記受部とが向かい合う、上記(4)に記載の蓋体。
(6)前記変位容易化構造は、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、前記第2部分は、受部を有し、前記第1部分を前記第2部分に対して変位させる場合に前記第1部分と一体的に変位し、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として第2部分の上面側に折り返された場合に、前記突出部が前記受部に差し込み可能な位置に変位する、上記(4)に記載の蓋体。
(7)前記縁部分の前記第1端部と前記第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を、それぞれ第1案内部及び第2案内部とした場合に、
前記第1案内部のうち前記接合領域に重なる部分の長さと、前記第2案内部のうち前記接合領域に重なる部分の長さとが異なる上記(1)に記載の蓋体。
(8)前記縁部分の前記第1端部と前記第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を、それぞれ第1案内部及び第2案内部とした場合に、
前記第1案内部は、前記第1端部から前記接合領域の内縁までの部分で形成された第1外側案内部と、前記第1外側案内部を除く第1内側案内部を有し、前記第2案内部は、前記第2端部から前記接合領域の前記内縁までの部分で形成された第2外側案内部と、前記第2外側案内部を除く第2内側案内部を有し、前記第1内側案内部と前記第2内側案内部の少なくとも一方が前記接合領域の前記内縁に沿って形成されている、上記(1)に記載の蓋体。
(9)前記案内部は、切込構造、又は脆弱化構造を有する、上記(1)に記載の蓋体。
(10)前記変位容易化構造は、前記第1部分の全体を前記第2部分から分離可能に形成されている、上記(1)に記載の蓋体。
(11)前記変位容易化構造は、前記案内部に、前記第1部分から前記第2部分に向かって突出するように湾曲した突状湾曲部を形成している、上記(1)に記載の蓋体。
(12)前記第2部分には、前記接合領域の内側に、前記接合領域の非形成面を凹状にした凹み部が形成されており、前記接合領域の内縁のうち前記第1部分に対応した部分から最も遠い位置を基準位置とした場合に、前記凹み部は、該基準位置から前記第1部分に向かって下り傾斜した傾斜面を有する、上記(1)に記載の蓋体。
(13)前記接合領域の内側には、前記接合領域の非形成面を凹状にした溝が形成されている、上記(1)に記載の蓋体。
(14)前記溝が第1部分を横切る曲線状に延びている、上記(13)に記載の蓋体。
(15)前記溝が環状に形成されている、上記(13)に記載の蓋体。
(16)前記本体は、前記溝よりも内側の内側領域のほうが、前記溝よりも外側の外側領域よりも上側に位置する、上記(13)に記載の蓋体。
(17)前記溝は、同心状に複数形成されている、上記(13)に記載の蓋体。
(18)前記溝は、前記第1部分に対して離れた位置から前記溝の延びる方向に沿って前記第1部分に近くなるにつれて該溝の深さが徐々に大きくなるように形成されている、上記(13)に記載の蓋体。
(19)開口部を有する容器と、上記(1)から(18)のいずれか1つに記載の蓋体と、を備え、容器の開口部の端縁と蓋体の接合領域とを接合する接合部が形成されている蓋体付き容器。
(20)前記接合部は、圧着法又は熱融着法により形成されている、上記(19)に記載の蓋体付き容器。
(21)開口部を有する容器と、上記(1)から(18)のいずれか1つに記載の蓋体とを有する、蓋体と容器の組み合わせ、を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓋体付き容器で用いられた場合における再閉蓋状態の安定性に優れた蓋体、蓋体付き容器、及び蓋体と容器の組み合わせが提供される。
【0009】
本発明では、蓋体付き容器の内部に飲料などの液体が収容された場合に、使用者が蓋体の内容物を摂取するためには、例えば、ヒンジ部を軸として蓋体の第1部分を折り返し、容器の口部を露出させる小開口部が形成された後、小開口部を再び第1部分で被覆することができる(再閉蓋状態を形成することができる)。このとき、第2部分と第1部分の境界のうち案内部では第1部分の側周縁の端面と第2部分の向き合い面とが接した状態を形成しやすくなる。したがって、第1部分と第2部分の境界から液体のもれを生じにくくすることができる。
【0010】
また、蓋体が紙系素材を有するものである場合、案内部で第1部分側の端面と第2部分の向き合い面とが互いに接した状態を形成した際に、案内部で第1部分側の端面と第2部分の向き合い面との間には摩擦力が作用しやすくなる。この場合、第1部分の端面と第2部分の端面とが接した状態がより強く維持されやすくなる。したがって、第1部分と第2部分の境界から液体のもれを生じにくい状態をより強く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(a)は、第1の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。図1(b)は、図1(a)のA-A線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図2図2(a)は、第1の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。図2(b)は、図2(a)のB-B線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図3図3(a)、図3(b)は、第1の実施形態の変形例の一実施例を説明するための平面図である。
図4図4(a)、図4(b)は、第1の実施形態の変形例の一実施例を説明するための平面図である。
図5図5(a)、図5(b)は、第1の実施形態の変形例の一実施例を説明するための平面図である。
図6図6は、第1の実施形態の変形例の一実施例を説明するための平面図である。
図7図7(a)、図7(b)は、第1の実施形態の一実施例における変位容易化構造を説明するための平面図である。図7(c)は、図7(b)のC-C線縦断面を模式的に示す断面図である。
図8図8は、第1の実施形態の変形例の一実施例を説明するための平面図である。
図9図9は、第1の実施形態の一実施例を説明するための部分拡大断面図である。
図10図10は、第1の実施形態にかかる蓋体を容器に取り付けた蓋体付き容器の一例を示す斜視図である。
図11図11は、図10のD-D線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図12図12は、第1の実施形態にかかる蓋体を容器に取り付けた蓋体付き容器の一例を示す斜視図である。
図13図13は、第1の実施形態にかかる蓋体を容器に取り付けた蓋体付き容器の一例を示す断面図である。
図14図14(a)は、第2の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。図14(b)は、図14(a)のE-E線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図15図15(a)は、図14(a)のF-F線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。図15(b)は、図14(a)のG-G線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。図15(c)は、図14(a)のH-H線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図16図16は、第2の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。
図17図17は、第2の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。
図18図18は、第2の実施形態の一実施例を説明するための断面図である。
図19図19は、第2の実施形態にかかる蓋体を容器に取り付けた蓋体付き容器の一例を示す斜視図である。
図20図20は、第2の実施形態にかかる蓋体を容器に取り付けた蓋体付き容器の一例を示す断面図である。
図21図21は、第2の実施形態の一実施例を説明するための部分拡大断面である。
図22図22(a)は、第3の実施形態の一実施例を説明するための平面図である。図22(b)は、図22(a)のI-I線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図23図23は、第3の実施形態の変形例にかかる蓋体を容器に取り付けた蓋体付き容器の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る蓋体について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明に係る蓋体は、コーヒーカップのような各種の飲料物を入れる容器(カップ)に対して用いられる蓋体を例として挙げて説明するが、飲料物を入れる容器の蓋体に限定されるものではなく、飲料物以外の食料品(例えば、総菜類やおにぎり等)を収容する容器の蓋体としても適用することが可能である。また、本発明に係る蓋体は、飲食物以外の各種物品、例えばボルトやナット等といった部品や、上記した以外の物品を収容することのできる容器にも適用することができる。さらに、本発明に係る蓋体は、平面視したときの形状が円形状であるものの例を用いて以下においては説明するが、蓋体の形状は平面視したときに円形状であるものに限定されることはなく、楕円形状、矩形状、三角形状などの多角形状、面取り矩形状、面取り多角形状等、円形状以外の各種の形状にも適用することができる。
【0013】
以下、本発明に関係した第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、及び適用例(蓋体付き容器、及び蓋体と容器の組み合わせ)について、順次、図面を参照しながら説明する。説明の順序は、最初に説明をするものから順に、1.第1の実施形態、2.第2の実施形態、3.第3の実施形態、及び4.適用例である。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
以下の説明は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容は、これらの実施の形態等に限定されるものではない。また、以下の説明において、説明の便宜を考慮して、前後、左右、上下等の方向及び水平面の方向を示すが、本発明の内容はこれらの方向に限定されるものではない。図1から図23の例では、Z軸方向を上下方向(上側が+Z方向、下側が-Z方向)であるものとし、Z軸方向を法線とする平面上に定められた互いに直交するX軸及びY軸に沿った方向をX軸方向及びY軸方向とし、さらにX軸とY軸で貼られた平面であるXY平面が水平面であるものとし、これらに基づき説明を行う。図1から図23の各図に示す大きさ等の相対的な大小比率は便宜上の記載であり、実際の大小比率を限定するものではない。
【0015】
[1 第1の実施形態]
[1-1 構成]
(蓋体)
第1の実施形態にかかる蓋体1は、容器101の口部102の縁部103に沿って接合されて用いられるものである。蓋体1は、容器101の口部102に接合された状態において口部102を覆うように、縁部103に取り付けられた状態(縁部103に接合された状態)を形成することが可能な形状に形成される。蓋体1は、図1に示すように、容器101の口部102の縁部103に接合される接合領域Rを有する。図1は、蓋体1の一実施例を示す図である。容器101としては、縁部103に可撓性を有するものがより好ましく用いられる。ただし、これらのことは容器101が、金属製の容器など可撓性の少ないあるいはほとんど認められないような容器であることを禁止するものではない。
【0016】
(蓋体の材質)
蓋体1の材質は、特に限定されないが、紙系素材であることが好ましい。紙系素材としては、繊維原料のスラリーを網上に抄き取り、乾燥ないし押圧乾燥、抄紙してシート状にして得られる、いわゆる紙や、パルプ系繊維等からなる原料シートを粉砕機で粉砕して得られる粉砕パルプ等の開繊繊維原料を空気流によって積繊し、積繊体の繊維相互をバインダーで固定して得られるいわゆるエアレイドシート等、植物繊維、その他の繊維を膠着させて製造される所謂紙類の他、化学繊維紙、合成紙、耐水紙、コート紙、代替紙、羊皮紙、羊毛紙、ガラス繊維紙、ストーンペーパー、陶紙等や、これらを複数枚積層したもの等が挙げられる。また、紙系素材としては、パルプだけからなるもののほか、非パルプ系の天然繊維や合成繊維、再生繊維等の繊維を含むものであっても良いが、パルプを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、更に80質量%以上含むものが好ましいが、特にパルプ100質量%からなるものが好ましい。紙系素材は、合成樹脂や天然樹脂のフィルムや不織布、木箔等の木質系素材等、さらにはアルミ箔等の素材との複合材料も用いることができるが、複合材料とする場合、複合材料全体としてパルプを50質量%以上含有することが好ましく、特に80質量%以上のパルプを含むものが好ましい。パルプ含有分の高いほど、紙系素材が生分解されやすくなるため好ましい。
【0017】
なお、蓋体1は、全体を上記した紙系素材で形成されていることが好適であるが、このことは一部もしくは全部が紙系素材とは異なる材質で形成されていることを禁止するものではない。例えば、蓋体1は、本体2を紙系素材と樹脂製のフィルム材の積層体などで形成されてよい。
【0018】
蓋体1は、図1(a)、図1(b)等に示すように、本体2を備える。蓋体1では、本体2に接合領域Rが含まれる。図1(a)、図1(b)は、それぞれ蓋体1の他の実施例の一つを示す平面図と断面図である。
【0019】
(接合領域)
接合領域Rは、蓋体1が容器101の口部102の上で縁部103に取り付けられた場合に、蓋体1の面のうち口部102に対する対向面のうち縁部103に接合される領域を形成する部分を示す。接合領域Rは、図1の例では、蓋体1の平面視上、容器101の口部102に応じた形状で口部102に沿っておおむね環状に形成される領域に対応する。接合領域Rの幅W(内外方向に沿った幅)は、口部102の縁部103の幅と同じ又はその幅よりも細い幅であることが通常である。ただし、このことは接合領域Rの幅Wが、口部102の縁部103の幅よりも太いことを禁止するものではない。また、接合領域Rは、本体2の外周縁71よりも内側に形成されてもよいし、本体2の外周縁71まで形成されていてもよい。なお、接合領域Rの内側は、蓋体1の平面視上、蓋体1のうち接合領域Rを形成する部分の内側を形成する部分を示すものとする。接合領域Rの内側は、内側領域Rnと称呼されることがある。接合領域Rの上とは、蓋体1の平面視上、蓋体1の接合領域Rに対応した部分の上面側(露出面70側)であることを示すものとする。
【0020】
(本体)
本体2は、蓋体1を容器101の口部102の上に取り付けられた状態において口部102と縁部103を覆う。本体2は、変位容易化構造5を備える。
【0021】
(変位容易化構造)
本体2において、変位容易化構造5は、本体2の外周縁71に定められた縁部分から本体2の内側に向けて本体2の一部を本体2の他部に対して変位することが可能となるように構成された構造部である。本明細書において、上記した縁部分を第1縁部(図1(a)等において符号71Aで示す)と称呼し、外周縁71のうち第1縁部71Aを除く部分を第2縁部71Bと呼ぶ。また、本体2のうち、第2部分4に対して相対的に変位することが可能な部分(上記した本体2の一部)を第1部分3とし、本体2の他部(本体のうち第1部分を除く部分)を第2部分4と定める。変位容易化構造5は、案内部6を有する。
【0022】
(案内部)
案内部6は、縁部分(第1縁部71A)の両端となる第1端部71A1と第2端部71A2から本体2の内側に向かって延びている部分を有する。案内部6は、第1部分3と第2部分4との少なくとも一部の境界K1を画する。図1(a)の例では、案内部6として、第1案内部6A及び第2案内部6Bが形成されている。この例では、第1案内部6Aは、第1端部71A1から本体2の内側に向かって延び、第1部分3と第2部分4との境界K1を形成する。第2案内部6Bは、第2端部71A2から本体2の内側に向かって延び、第1部分3と第2部分4との境界K1を形成する。なお、第1案内部6Aと第2案内部6Bを区別しない場合には、案内部6という語で総称する。
【0023】
案内部6は、接合領域Rを横断する。また、図1(a)の例では、案内部6は、線状に形成されている。案内部6は、第1部分3を第2部分4に対して変位させる場合に、第1部分3と第2部分4の境界K1に沿って第1部分3と第2部分4との分離構造が形成される部分として定められる。蓋体1と取り付けた容器101の未使用状態から第1部分3の変位を行う場合においては、容器101と蓋体1との剥離を伴うことから、接合領域R及びその近傍において、第1部分3と第2部分4との境界で強い力が付与されて蓋体1に内部破壊が生じやすい。内部破壊とは、蓋体1を形成する素材(紙系素材等)そのものの内部での層内剥離や、意図しない部分での破断(境界K1以外での破断)を示すものとする。蓋体1に、このような案内部6を有する変位容易化構造5が形成されていることで、接合領域R及びその近傍において第1部分3と第2部分4との境界で内部破壊を生じる虞を抑制することができ、第1部分3のスムーズな変位を実現することができる。
【0024】
案内部6の構造は、特に限定されないが、図1(a)の例では、上記したように切込構造となっている。ただし、このことは、案内部6が切込構造以外の構造であることを規制するものではない。例えば、案内部6は、脆弱化構造を有してもよい。
【0025】
なお、本明細書において、切込構造は、容器101に蓋体1を取り付けた場合に口部に対する非対向面(露出面70)側から対向面(裏面)まで全体に貫通したスリット状の貫通構造を示す。脆弱化構造は、例えばミシン目構造やハーフカット構造のように、その構造を付与されていない部分に比べて変位させるために要する力を少なくすることができるような構造部分を示す。ミシン目構造は、図7(a)に示すように、露出面70から裏面まで貫通する切込部30と、切り込みを避けた連続部31とが交互に形成された構造を示す。ハーフカット構造は、図7(b)本体2を形成する材料の厚み方向に貫通することを避けながら部分的に切り込まれた部分的切り込み部32を形成した構造(部分的切込構造)を示す。なお、ハーフカット構造は、本体2を構成する材料に対する切り込みの深さを特に限定されない。図7(a)は、案内部6がミシン目構造を有する場合の例を示す平面図であり、図7(b)は、案内部6がハーフカット構造を有する場合の例を示す平面図である。
【0026】
図1(a)等の例では、第1案内部6Aは、第1端部71A1から接合領域Rの内縁RAまでの部分で形成された第1外側案内部8Aと、第1外側案内部8Aを除く第1内側案内部9Aを有する。また、第2案内部6Bは、第2端部71A2から接合領域Rの内縁RAまでの部分で形成された第2外側案内部8Bと、第2外側案内部8Bを除く第1内側案内部9Bを有する。
【0027】
案内部6では、第1外側案内部8Aと第1内側案内部8Bとで、構造が異なってもよい。例えば、第1外側案内部8Aではハーフカット構造が形成されており、第1内側案内部9Aでは切込構造が形成されてもよい。このことは、第2外側案内部8Bと第2内側案内部9Bについても同様である。
【0028】
変位容易化構造5においては、第1案内部6Aと第2案内部6Bは、本体2の内側に向かって互いに近づいていくように延びている。これは一例であり、後述する第1の実施形態の変形例1等でも示すように第1案内部6Aと第2案内部6Bは、それらの少なくとも一方が接合領域Rの内縁RAに沿って形成されていてもよい。ただし、後述するように第1部分3の形状を第1縁部71Aから本体3の内側に向かって先細り形状とする観点からは、第1案内部6Aと第2案内部6Bは、第1端部71A1、第2端部71A2それぞれから本体2の内側に向かって互いに近づいていくように延びていることが好ましい。
【0029】
また、第1案内部及び第2案内部について、第1案内部のうち接合領域に重なる部分(第1重なり部)の長さと、第2案内部のうち前記接合領域に重なる部分(第2重なり部)の長さとが異なっていてもよい。
【0030】
このような場合、第1重なり部での粘着部分の長さと、第2重なり部での粘着部分の長さとを異ならせることができる。この場合、第1部分を変位させる際、第1外側案内部や第2外側案内部では容器101と蓋体1との粘着を解消しながら(剥離させながら)第1部分の変位が行われるため、使用者はある程度大きな力を用いて第1部分を変位させる。第1内側案内部や第2内側案内部では容器101と蓋体1との粘着を解消するための力は不要となるため、使用者は比較的小さな力を用いて第1部分を変位させることができる。このため、第1外側案内部から第1内側案内部に移行するタイミングと、第2外側案内部から第2内側案内部に移行するタイミングで蓋体に負荷される力が急に変化する。このとき、第1内側案内部や第2内側案内部で使用者によって力をかけた状態が続いてしまうと、蓋体に必要以上の負荷がかかる。そこで、第1重なり部での粘着部分の長さと、第2重なり部での粘着部分の長さとを異ならせることで、第1外側案内部から第1内側案内部に移行するタイミングと、第2外側案内部から第2内側案内部に移行するタイミングとをずらすことが容易となり、蓋体に必要以上の負荷がかかりにくくすることができる。
【0031】
(ヒンジ部)
図1(a)、図1(b)の例に示すように、変位容易化構造5は、ヒンジ部7を有していることが好ましい。ヒンジ部7は、案内部6の内側端に繋がっている。図1(a)、図1(b)の例では、第1案内部6Aと第2案内部6Bのそれぞれの内側端に対してヒンジ部7の端がつながっている。すなわち、内側案内部(第1内側案内部9A、第2内側案内部9B)の端部のうち外側案内部(第1外側案内部8A、第2外側案内部8B))との連結端側とは逆側にある端部で、案内部6はヒンジ部7の端部に繋がる。ヒンジ部7の構造は、切込構造以外であれば特に限定されず、非形成構造でもよいし、脆弱化構造でもよい。
【0032】
ヒンジ部7は、第1部分3が第2部分4に対して変位することをスムーズにすることができる。例えば、図1(a)、図1(b)の例では、蓋体1の未使用時においては、接合領域Rのうち第1部分3に対応する領域で第1部分3が容器101に接合された状態となっており、第1部分3の変位が規制されている。図2(a)、図2(b)に示すように、蓋体1の使用時には、第1部分3の外周縁(第1縁部71Aの外側端)から第1部分3を第2部分4に対して立ち上げる。このとき、第1部分3は容器101の縁部103から剥離される。そして、おおむね案内部6に沿って第1部分3と第2部分4が分離しながら第1部分3が第2部分4に対して徐々に立ち上がる。案内部6が、第1部分3と第2部分4との境界を規定する。
【0033】
第1部分3と第2部分4の分離が案内部6の内側端まで進むと、ヒンジ部7が形成されていることから、図2(b)に示すように第1部分3はヒンジ部7を軸として第2部分4に対してさらにスムーズに矢印F方向に回動することができる。そして第1部分3はヒンジ部7を軸として第2部分の露出面70側に向き合う位置までスムーズに折り返されることができる。このように、ヒンジ部7は、第1部分の変位をよりスムーズにすることができる部分となる。なお、ヒンジ部7は、第1部分3と第2部分4の分離部分をスムーズに形成する観点からは脆弱化構造を形成していることが好ましい。ただし、これは一例であり、ヒンジ部7を非形成部としてもよい。非形成部とは、切込構造及び脆弱化構造の形成を省略されている部分であることを示すものとする。
【0034】
(第1部分)
第1部分3は、容器101に蓋体1を取り付けた状態において変位容易化構造5で変位させることができる部分として定められる。また、第1部分3は、蓋体1の平面視上、本体2の外周縁71の一部(第1縁部71A)を基端として本体2の内側に向かって接合領域Rの内側に広がる所定の領域を形成する部分(内側領域Rnに定められた所定の部分)として定められる。
【0035】
(第1部分の形状)
第1部分3の形状は、変位容易化構造5の案内部6のレイアウトに応じて定められる。図1の例では、第1部分3が、2つの側縁部72としての第1側縁部72Aと第2側縁部72Bと、側縁部72の内側端で側縁部72に繋がる内縁部73とを有し、本体2の外周縁71のうち第1部分3に対応する第1縁部71Aは、第1部分3の前端縁部を兼ねる。第1部分3では、前端縁部(第1縁部71A)から内縁部73に向かう方向に、第1側縁部72Aと第2側縁部72Bが本体2の内側に向かって互いに交差する方向(互いに近づいていくように)に延びている。第1側縁部72Aは、第1案内部6Aで第1部分3と第2部分4が分離するにつれて形成される。第2側縁部72Bは、第2案内部6Bで第1部分3と第2部分4が分離するにつれて形成される。
【0036】
第1部分3の形状は、特に限定されるものではないが、図1(a)等に示すように、本体2の外周縁のうち第1部分3の基端(第1縁部71A)から本体2の内側に向かって先細りした形状を有することが好適である。
【0037】
このような第1部分3の形状は、例えば、案内部6のレイアウトとして、上記したように第1案内部6Aと第2案内部6Bが本体の内側に向かって交差する方向に延びるような第1案内部と第2案内部のレイアウトが採用されることで実現することができる。
【0038】
第1部分3がこのような形状に形成されている場合、第1部分3を第2部分4に対して変位させる際に、案内部6の延びる方向に沿って、第1部分3と第2部分4の分離を生じさせやすくなる。そして、第1部分3と第2部分4の分離に伴い、上記した第1側縁部72Aと、第2側縁部72Bが形成される。なお、変位容易化構造5のヒンジ部7は、内縁部73に対応する部分を形成する。
【0039】
(第2部分)
第2部分4は、蓋体1の平面視上、本体2のうち第1部分3で形成される領域を除く領域を形成する部分として定められ、すなわち本体2のうち第1部分3を除く部分である。図1の例では、第2部分4の少なくとも一部と第1部分3の少なくとも一部の境界K1は案内部6で分断された構造となっている。この例では、後述するヒンジ部7が、第2部分4と第1部分3との境界K1が連続した構造部分となっている。また、図2(a)に示すように、第2部分4のうち、第2部分4と第1部分3との境界K1に対応した部分は、第1部分3の輪郭の一部に対応した凹状の輪郭形状を有する部分となっている。
【0040】
(小開口部)
なお、図13に示すように第1部分3が変位された際(図2(a)等の例では、第1部分3がヒンジ部7を軸として折り返された際)には、図12に示すように、蓋体1と容器101とで口部102よりも開口面積が小さい小開口部10が形成される。図12図13は、第1の実施形態にかかる蓋体1を容器101に取り付けた蓋体付き容器150において、第1部分3を変位させた状態を説明する図である。これは、第1部分3の大きさとして小開口部10が形成できるような大きさを定められていることで実現することができる。また、小開口部10が形成された場合に、小開口部10から容器101の口部102や空間部105が露出する。小開口部10は、蓋体1の平面視上、容器101の縁部103と、第2部分4の向き合い面13の形成部分とヒンジ部7で囲まれた領域で形成される。このような蓋体1によれば、飲料を空間部105に注入された容器101の口部102に蓋体1を取り付けられた場合に、使用者が蓋体1の小開口部10を飲み口として容器101の内部の飲料を摂取することができる。
【0041】
(突出部)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、突出部11が設けられていることが好ましい。突出部11は、本体2の外周縁71のうち第1部分3に対応する部分から外側に向かって突出した部分である。この突出部11は、第1部分3を第2部分4に対して変位させる際に第1部分3を引き上げる摘みとして機能することができる。例えば、突出部11の先端部11Aやその近傍の部分をつまんだ状態で引き上げることで突出部11に伴って第1部分3が引き上げられる。なお先端部74とは、突出部11の先端を含む所定の部分を示す。突出部11と第1部分3との境界K2は、本体2の外周縁71の一部に位置しており、境界K2に沿って脆弱化構造が形成されていてもよい。この脆弱化構造は、変位容易化構造5で説明した脆弱化構造と同様の構造でよい。
【0042】
突出部11の大きさは特に限定されるものではないが、図1(a)、図1(b)の例では、第1部分3の第1縁部71Aの全体から外側方向に延び出た部分となっており、蓋体1の平面視上、三日月状に形成されている。
【0043】
図1(a)の例に示す第1の実施形態にかかる蓋体1においては、突出部11がその突出部11の内側に爪部21を有し且つ第2部分4に受部20が形成されている。ただし、このことは、蓋体1が爪部21と受部20を有する場合に限定するものではない。蓋体1が爪部21と受部20の少なくともいずれか一方を省略されていてもよい。
【0044】
(爪部)
変形例5においては、爪部21は、突出部11に形成された爪形成部24を突出部11から垂下させた状態とすることで形成される。爪形成部24は、切込構造で形成されている。爪形成部24は、突出部11の先端部74から本体2に向かって凸状の形状に形成されている。使用者が突出部11のうち先端部74やその近傍部分等を摘まんだ状態としつつ爪形成部24の先端部24Bの部分を下方向に向けるように爪形成部24の基端24Aから爪形成部24を折り曲げることで、爪形成部24が突出部11から垂下した状態となる。このとき垂下した部分が爪部21となる。
【0045】
(受部)
受部20は、爪部21を差し込み可能な形状を有している。具体的に図1(a)の例では、受部20は、突出部11の爪部21を差し入れ可能な形状に形成された切込構造となっている。変形例5においては、図2(b)に示すように第1部分3がヒンジ部7を軸として第2部分4の上面側に折り返されることに伴って、突出部11は、第1部分3と一体的に変位する。図2(b)は、第1部分3を第2部分4の上面側(露出面70上)に折り返した状態を示す平面図である。このとき、突出部11は、爪部21が受部20に差し込み可能となるような位置に変位する。すなわち、爪部21と受部20の相対的な位置については、第1部分3がヒンジ部7を軸として第2部分4の上面側に折り返された場合に、爪部21と受部20とが向かい合うような位置となっている。そして、突出部11の爪部21が受部20に差し込まれた場合には、第1部分3を第2部分4の上面側に折り返した状態を安定的に維持することができる。
【0046】
[1-2 作用及び効果]
第1の実施形態にかかる蓋体1によれば、変位容易化構造5が形成されており、変位容易化構造5によって第1部分3を第2部分4に対してスムーズに変位させることができる。このとき、第1部分3と第2部分4との境界で内部破壊が生じにくくなっている。このため、第1部分3が第2部分4に対して変位することで小開口部10が形成された後、再び第1部分3で小開口部10をできるだけ隙間なく塞ぐことが容易となる。なお、第1部分3が第2部分4に対して少なくとも部分的に分離した状態で、小開口部10が露出した状態を開蓋状態と呼ぶ。第1部分3で小開口部10が覆われた状態を閉蓋状態と呼ぶ。一旦、開蓋状態が形成された後に再び閉蓋状態となった状態を再閉蓋状態と呼ぶ。
【0047】
蓋体1によれば、開蓋状態を形成する際に第1部分3と第2部分4とが案内部6に沿って分離されやすいため、図9に示すように、第1部分3の側縁部72の端面12と、その端面12に対して向かい合う第2部分の面(向き合い面13)とが整合しやすく、再閉蓋状態において、第1部分3の側縁部72の端面12と、その端面12に対して向かい合う第2部分の面(向き合い面13)とが接触した状態となりやすい。図9は、第1部分3と第2部分4との接触状態を説明するための要部拡大図である。図9に示すような状態において蓋体1が紙系素材で形成されている場合には、紙系素材の繊維が、端面12と向き合い面13で露出しやすく、端面12と向き合い面13で摩擦を生じやすくなる。この場合、第1部分3と第2部分4が互いに摩擦を生じて第1部分3が第2部分4から簡単に離脱してしまう虞が抑制され、第1部分3で小開口部10を再閉鎖した状態をより安定的に保持することができる。ただし、蓋体1においては、開蓋状態となった際に少なくとも案内部6は第1部分3と第2部分4を分断する部分となっているため、再閉蓋状態となっても通気性を確保することができ、第1部分3と第2部分4の境界の少なくとも一部から蒸気を通じることは可能となる。
【0048】
[1-3 変形例]
次に、第1の実施形態にかかる蓋体1の変形例について述べる。
【0049】
(変形例1)
第1の実施形態にかかる蓋体1の例では、第1内側案内部9Aと第2内側案内部9Bは、本体2の内側に向かって交差する方向にのびているが、第1内側案内部9Aと第2内側案内部9Bのレイアウトは、図1で示した形状に特に限定されない。第1の実施形態にかかる蓋体1は、第1内側案内部9Aと第2内側案内部9Bの少なくとも一方は、図4(a)等に示すように、接合領域Rの内縁RAに沿って延びるように形成されてもよい(変形例1)。図4(a)は、第1の実施形態の変形例1にかかる蓋体1の一実施例を示す平面図である。図4(a)の例では、第1内側案内部9Aと第2内側案内部9Bの両方が、接合領域Rの内縁RAに沿った形状に形成される。また、この場合、第1部分3は、接合領域Rの内側の部分で、接合領域Rの内縁RAに沿って広がる輪郭形状を少なくとも一部に有する形状にて形成される。そして、それぞれの第1内側案内部9Aと第2内側案内部9Bの端部(第1外側案内部8A及び第2外側案内部8Bに繋がるほうの端部とは異なるほうの端部)に対してヒンジ部7の端部が繋がっている。
【0050】
(変形例2)
第1の実施形態の変形例1にかかる蓋体1の例では、第1内側案内部9Aと第2内側案内部9Bが接合領域Rの内縁RAに沿って形成され、且つ、ヒンジ部7が形成されていたが、図4(b)に示すように、ヒンジ部7が省略されてもよい(変形例2)。図4(b)は、第1の実施形態の変形例2にかかる蓋体1の一実施例を示す平面図である。この例では、第1部分3のうち接合領域Rの内側に形成された部分が、接合領域Rの内縁RAに沿った形状に形成される。図4(b)において、第1内側案内部9Aの端部9A1と第2内側案内部9Bの端部9B1がつながっている。このような場合、案内部6の第1内側案内部9Aと第2内側案内部9Bが接合領域Rの内縁RAに沿って形成され、ヒンジ部7が省略されているため、第1部分3を第2部分4に対して境界K1に沿って完全に分離することが容易となる。なお、この場合、小開口部10は、容器101の縁部103の一部(第1部分3の変位によって露出した部分に形成された縁部103の部分)と第2部分4の向き合い面13(内側の端面)とで囲まれた部分にて形成される。
【0051】
(変形例3)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、図8に示すように、変位容易化構造5は、案内部6に、第1部分3から第2部分4に向かって突出するように湾曲した突状湾曲部14を形成していてもよい(変形例3)。図8は、第1の実施形態の変形例3の蓋体の一実施例を示す平面図である。第1部分3において、突状湾曲部14に対応する部分が凸部15を形成する。図8に示す例では、第1部分3のうち接合領域Rの内側に形成された部分に、凸部15が形成されている。このとき、第2部分4は、凸部15の輪郭に対応した凹状形状部16を形成する。
【0052】
変形例3によれば、第1部分3と第2部分4との境界K1の長さが増え、第1部分3の端面12と第2部分4の向き合い面13の面積を増やすことができる。これにより、第1部分3で小開口部10を再閉鎖した再閉蓋状態をより安定的に保持することができる。
【0053】
(変形例4)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、図3(b)に示すように、第2部分4に受部20が形成されている場合に、突出部11の先端部74が、受部20の形状に対応した形状に形成されていてもよい。(変形例4)。図3(b)は、第1の実施形態の変形例4にかかる蓋体の一実施例を示す平面図である。
【0054】
変形例4においては、受部20は、突出部11の先端部74を差し入れ可能な形状に形成された切れ込みとなっている。変形例4においては、第1部分3がヒンジ部7を軸として第2部分4の上面側(露出面70側)に折り返されることに伴って、突出部11は、第1部分3と一体的に変位する。このとき、突出部11は、その先端部74が受部20に差し込み可能となるような位置に変位する。そして、突出部11の先端部74が受部20に差し込まれた場合には、第1部分3を第2部分4の上面側に折り返した状態を安定的に維持することができる。
【0055】
(変形例5)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、図3(b)に示すように、第1部分3がその第1部分3の内側に爪部21を有し且つ第2部分4に受部20が形成されていてもよい(変形例5)。図3(b)は、第1の実施形態の変形例5にかかる蓋体の一実施例を示す平面図である。爪部21と受部20の構造や、爪部21と受部20の相対的な位置は、変形例5と同様でよい。この場合において変形例5と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(変形例6)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、図6に示すように、本体2の外周縁71のうち第2部分4に対応する部分の一部から外側方向に突出した突出部22が形成されていてもよい(変形例6)。図6は、第1の実施形態の変形例6にかかる蓋体の一実施例を示す図である。この場合、本体2の外周縁71のうち第1部分3に対応する部分のから突出した突出部11を第1突出部11Aと称呼する。そして本体2の外周縁71のうち第2部分に対応する部分のから突出した突出部22を第2突出部22Aと称呼する。第1突出部11Aと第2突出部22Aは、蓋体1の平面視上、第1突出部11Aと第2突出部22Aの間に本体2の中心CPが存在しているように配置されていることが好ましい。この場合、例えば容器101に蓋体1を取り付ける作業者が第2突出部22Aをつまんで蓋体1を容器101に取り付ける作業を行い、容器101の使用者が第1突出部11Aをつまんで第1部分3を第2部分4に対して変位させることができる。すなわち、使用者以外の者が第1突出部11Aに触れることによって第1突出部11Aやその周囲が汚染される可能性が抑制される。
【0057】
(変形例7)
第1の実施形態の変形例7にかかる蓋体1においては、第1突出部11Aに爪部21を形成し、第2突出部22Aに受部20を形成してもよい(図示しない)。爪部21と受部20の構造や、爪部21と受部20の相対的な位置は、変形例5と同様でよい。この場合において変形例5と同様の効果を得ることができる。
【0058】
(変形例8)
第1の実施形態にかかる蓋体1においては、図5(a)、図5(b)に示すように、突出部11の外周縁75又は本体2の外周縁71にラベル23が設けられていてもよい(変形例8)。図5(a)、図5(b)は、第1の実施形態の変形例8にかかる蓋体1の一実施例を示す平面図である。図5(a)に示す蓋体1においては、複数のラベル23が、突出部11の外周縁75に設けられている。図5(b)に示す蓋体1においては、複数のラベル23が、本体2の外周縁71のうち第2部分4に対応する部分(第2縁部71B)に設けられている。図5(a)、図5(b)は、一例であり、ラベル23の数等はこの図に示されたものに限定されない。なお、それぞれのラベル23には、予め定められた内容の文字や図形等の飾り絵を印刷した印刷部が形成されていることが好適である。印刷部が形成されている場合、ラベル23の露出面側、裏面側の両面に印刷部が形成されていることが好ましい(図示しない)。
【0059】
(変形例9)
第1の実施形態の変形例9にかかる蓋体1は、爪部21を受部20に係止させず、蓋体1や容器101の縁部103等といった所定の場所に係止させるように構成してもよい。このように爪部21を係止させることで、小開口部10を開口形成した状態や、開口形成した小開口部10を再度閉止させた状態を維持することができる。なお、小開口部10の開口形成した状態を維持することのできる構成や小開口部10を再度閉止させた状態を維持することのできる構成は上記した以外のものであってもよい。
【0060】
[2 第2の実施形態]
[2-1 構成]
(蓋体)
第2の実施形態にかかる蓋体1は、図14(a)、図14(b)に示すように、蓋体1の平面視上、本体2の接合領域Rの非形成面(露出面70)には接合領域Rの内側に対応する領域(接合領域Rの内側領域Rn)に溝80が形成されている。図14(a)、図14(b)は、第2実施形態の変形例1にかかる蓋体1の一実施例を示す図である。第2の実施形態にかかる蓋体1は、溝80を形成している他の構成(変位容易化構造5等)については第1の実施形態と同様であるので、それらの説明を省略する。
【0061】
(溝)
第2実施形態にかかる蓋体1において、溝80は、接合領域Rの内側領域Rnで、接合領域Rの内縁RAに沿って延びるように形成されていることが好ましい。溝80の深さは特に限定されないが、図14a、図15(b)、図(c)に示すように第1部分3に対して遠い位置から溝80の延びる方向に沿って第1部分3に近づくにつれて徐々に深くなっているように構成されていることが好ましい。図15(b)、図15(c)にも示すとおり、第1部分3に対して遠い位置での溝80の深さD2は、溝80の延びる方向に沿って第1部分3に近い位置での溝80の深さD1よりも浅い。また、溝80は、図14(a)、図15(a)の例に示すように、第1部分3と第2部分4にも形成されていることが好ましい。この例では、第1部分3と第2部分4の境界K1を交差するように溝80が延びている。これは、溝80が案内部6に対しても交差するように形成されていることで実現することができる。また、図14(a)の例では、溝80は、第1部分3を横断するように形成されている。この例では、第1部分3では、溝80が内縁RAに沿った曲線状に延びた形状に形成されている。
【0062】
この例では、溝80は、接合領域Rの内縁RAに沿ってC字状に形成されている。ただし、これは溝80の全体の形状の一例であり、溝80の形状は特に限定されない。溝80は、例えば、図16に示すように、環状に形成されてもよい。
溝80が形成されている場合においても、案内部6は、切込構造を形成していてよいし、例えばハーフカット構造などの脆弱構造を形成していてもよい。ただし、案内部6がハーフカット構造を形成している場合においては、溝80がその深さを深くした状態とされ且つ溝80が案内部6を跨いで(第1部分3と第2部分4の境界K1を跨いで)形成されていても、案内部6と溝80の交差する位置で隙間がより生じにくくなる。
【0063】
(凸型条部)
蓋体1においては、図14(b)に示すように、溝80の形成位置に対応した位置且つ溝80の形成面(露出面70)とは逆面側の位置が凸型条部82となっていることが好ましい。この場合、図20に示すように、凸型条部82が、容器101の口部102の縁部103の内面側に接するような位置に形成されていることが好ましい。また、凸型条部82の高さは、容器101の口部102の縁部103に対して蓋体1の露出面70の面方向のズレを生じにくい程度の高さを確保されていることが好ましい。このような凸型条部82は、蓋体1にエンボス加工を施すことで実現することができる。エンボス加工により、蓋体1の露出面70側に溝80が形成され、溝80の形成位置に対応する逆面側の位置に溝80の深さに対応した高さの凸型条部82が形成される。そして、溝80を容器101の口部102の縁部103の内側に沿って形成することで、図20に示すように、凸型条部82を、容器101の口部102の縁部103の内端に沿い、且つ、容器101の口部102の縁部103の内面側に接するように形成することができる。なお、図20は、蓋体1を容器101に配置した一例を示す断面図である。
【0064】
このような凸型条部82が形成されていることで、容器101の口部102を覆うように蓋体1を配置する際に、容器101に対する蓋体1の位置あわせを行うことが容易となる。
【0065】
[2-2 作用及び効果]
第2実施形態にかかる蓋体1によれば、液体を収容した容器101の口部102に対して蓋体1を接合した場合に、蓋体1の露出面70上に容器101内部から液体が漏れ出たとしても、蓋体1の外側に液体がこぼれる前に、溝80に液体が流れ落ちるようにすることが可能となる。また、溝80が第1部分に向かって深くなるように形成されている場合には、溝80に流れこんだ液体を第1部分の位置に向かって流下させることができる。そして、第1部分を引き上げて小開口部10を露出させることで液体を小開口部10から容器内へと垂れ落ちるようにすることができる。なお、図19に示すように、第2の実施形態についても、第1の実施形態と同様に、小開口部10は、第1部分3を変位させた際に形成されており、例えば、ヒンジ部7、第2部分の向き合い面13に対応する部分と、縁部13とで囲まれた部分に形成される。
【0066】
また、溝80が第1部分3に形成されている場合、図21に示すように、再閉蓋状態を形成する場合に第1部分3を容器101の縁部103に押し付けた際、第1部分3は、その溝80の位置でややたわみを生じ、そのたわみからの回復力により容器101の縁部103を強く押し付けることができ、第1部分3と縁部103との接触をより強めることができると考えられる。これにより、第1部分3で小開口部10をよりしっかりと塞ぐことができる。
【0067】
[2-3 変形例]
第2の実施形態の変形例について述べる。
【0068】
(変形例1)
図17に示す第2の実施形態にかかる蓋体では、溝80の形成数は、複数でもよい。また、溝80のレイアウトについて、図17に示すように、溝80は、同心状に複数形成されてもよい。図17は、第2の実施形態の変形例1にかかる蓋体1の平面図である。この第2の実施形態の変形例1に示すように溝80の形成数が複数である場合、口部102の径の異なる複数種類の容器101に対して、1種類の蓋体1を多種類の容器101の口部102を覆うために用いることができる。
【0069】
(変形例2)
第2の実施形態にかかる蓋体では、溝80が環状に形成されている場合に、図18に示すように、本体2が、蓋体1の平面視上、溝80よりも内側領域に対応する部分(内側領域部90)のほうが、溝80よりも外側領域に対応する部分(外側領域部91)よりも上側に位置しているように形成されていてもよい。図18は、第2の実施形態の変形例2にかかる蓋体1の一実施例を示す断面図である。第2の実施形態の変形例2にかかる蓋体1によれば、液体を収容した容器101に蓋体1を取り付けた場合に、蓋体1の露出面70の内側領域部90上に液体が漏れ出たとしても、液体を蓋体1の露出面70上で内側領域部90から溝80に流れ込ませやすくなる。
【0070】
[3 第3の実施形態]
[3-1 構成]
(蓋体)
第3実施形態にかかる蓋体1においては、図22に示すように、第2部分4に、接合領域Rの内側(内側領域Rn)に、接合領域Rの非形成面(露出面70)の所定領域を凹状にした凹み部85が形成されていてもよい。図22は、第3実施形態にかかる蓋体1の一実施例を示す図である。第3の実施形態にかかる蓋体1は、凹み部85を形成している他の構成(変位容易化構造5等)については第1の実施形態と同様であるので、それらの説明を省略する。
【0071】
(凹み部)
凹み部85は、第2部分4において接合領域Rの内縁RAから本体2の中央に向かった所定の位置までの領域に形成されている。また、図22の例では、凹み部85の底面87は、接合領域Rの内縁RAのうち第1部分3に対応した部分から最も遠い位置を基準位置STPとした場合に、基準位置STPから第1部分3に向かって下り傾斜した傾斜面を有している。ただし、このことは、凹み部85の底面87が平面であることを禁止するものではない。
【0072】
(隆起部)
蓋体1においては、凹み部85の形成面(露出面70)とは逆面側の位置が隆起部86となっていることが好ましい。この場合、隆起部86の外周端が、容器101の口部102の縁部103の内面側に接するように形成されていることが好ましい。また、隆起部86の高さは、容器101の口部102に対してズレを生じにくい程度の高さを確保されていることが好ましい。このような隆起部86は、蓋体1にエンボス加工を施すことで実現することができる。エンボス加工により、蓋体1の露出面70側に凹み部85が形成され、凹み部85の形成位置に対応する逆面側の位置に凹み部85の深さに対応した高さの隆起部86が形成される。そして、凹み部85の輪郭形状が容器101の口部102に沿う形状となるように凹み部85が形成されることで、隆起部86を、容器101の口部102の縁部103の内面側に接するように形成することができる。
【0073】
[3-2 作用及び効果]
第3実施形態にかかる蓋体1によれば、液体を収容した容器101の口部102に対して蓋体1を接合した場合に、蓋体1の露出面70上に容器101内部から液体が漏れ出たとしても、蓋体1の外側に液体がこぼれる前に、凹み部85に液体が流れ落ちるようにすることが可能となる。
【0074】
[3-3 変形例]
第3の実施形態の変形例について述べる。
【0075】
(変形例)
第3の実施形態にかかる蓋体1によれば、図23に示すように、凹み部85が本体2の全体に形成されていてもよい。図23は、第3の実施形態の変形例にかかる蓋体1の一実施例を示す図である。第3の実施形態の変形例にかかる蓋体1では、凹み部85は本体2の外周縁71から本体2の中央に向かってすり鉢状に沈み込む形状となっている。第3の実施形態の変形例にかかる蓋体1によれば、液体を収容した容器101の口部102に対して蓋体1を接合した場合に、蓋体1の露出面70上のどの位置に液体が漏れ出たとしても、蓋体1の外側に液体がこぼれる前に、凹み部85に液体が流れ落ちるようにすることが可能となる。
【0076】
[4 適用例]
第1の実施形態にかかる蓋体1は、図10図11等に示すように蓋体付き容器150に用いることができる。図10図11は、それぞれ第1実施形態にかかる蓋体1を、口部102を有する容器101の口部102の縁部103に接合させた実施例を示す斜視図及び断面図である。蓋体付き容器150は、容器101と蓋体1とが接合する接合部151を有しており、接合部151を形成する蓋体1の領域が接合領域Rとなる。蓋体1と容器101との接合方法は特に限定されず、圧着法や、熱融着法(ヒートシール)等の接合方法と適宜用いることができる。以下では第1の実施形態にかかる蓋体1を蓋体付き容器150に使用した場合を例として説明する。
【0077】
容器101は、上方向にむかって径が太くなるような筒状の側壁104と底面部107を有し内部に空間部105を形成する本体と、本体の上端(側壁104の上端)で開口した口部102を有する。図示しないが、容器101の口部102は円形状に形成されている。ただし、ここに示す容器101は一例であり、容器101の構成を限定するものではない。たとえば、容器は口部を矩形状に形成されてもよい。容器は、蓋体で口部を被覆できるものであればよい。また、容器の内部に収納されるものは、特に限定されず、例えば液体状のもの、固形状のもの、またはそれらの組み合わせなどを例示することができる。
【0078】
図38に示す容器では、口部102の縁部103に、容器の本体を形成する部材を外向きに巻きまわされたカール部108が形成されていたが、容器101はこれに限定されない。口部102の縁部103に側壁104の端面が露出していてもよいし、図42に示すように、口部102の縁部103に、容器101の口部102の外側に向かって延びるつば部が形成されていてもよい。図41の例では、つば部で容器101と蓋体1とが接合されている。
【0079】
また、第1の実施形態にかかる蓋体は、口部を有する容器との組み合わせとされてもよい。
【0080】
上記した[4 適用例]で示したことは、第1の実施形態にかかる蓋体1を用いる場合に限定されず、第2の実施形態から第3の実施形態についても同様である。
【0081】
これまで説明したように、本発明に係る蓋体1は、このような多くの態様の蓋体1に対して適用することができる。また、上記した以外の態様の蓋体1に対しても適用することが可能である。以上、本発明に係る蓋体について詳細に説明したが、上記したのは本発明係る蓋体を例示したに過ぎず、これらに限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更してよい。また、上記した蓋体の構成は、それぞれの例の蓋体の構成を独立して用いてもよいし、それぞれの例の蓋体の構成を適宜組み合わせて適用してもよい。
【0082】
本発明は、下記の技術的思想を包含するものである。
(1)口部と前記口部を囲む縁部とを有する容器に対して前記口部を覆うように前記縁部に取り付けられた接合領域を形成した状態で用いられ、
前記接合領域を含む本体を有し、
前記本体は、前記本体の外周縁に定められた縁部分から前記本体の内側に向けて前記本体の一部を前記本体の他部に対して変位することが可能となるように構成された変位容易化構造を備え、
前記本体の前記一部を第1部分とし、前記本体の前記他部を第2部分とした場合に、
前記変位容易化構造は、前記縁部分の第1端部と第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を有し、
前記案内部は、前記接合領域を横断する、
蓋体。
(2)前記変位容易化構造は、さらに、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、
前記第1部分を前記第2部分に対して変位させる場合に、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分に対して立ち上がる、
上記(1)に記載の蓋体。
(3)前記第1部分は、前記縁部分から前記本体の内側に向かって先細りした形状を有する、
上記(1)又は(2)に記載の蓋体。
(4)前記本体には、前記縁部分から外側に向かって突出した突出部が設けられている、
上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の蓋体。
(5)前記変位容易化構造は、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、
前記突出部は、前記突出部の内側に爪部を有し、
前記第2部分は、受部を有し、
前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分の上面側に折り返された場合に、
前記爪部と前記受部とが向かい合う、
上記(4)に記載の蓋体。
(6)前記変位容易化構造は、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、
前記第2部分は、受部を有し、
前記第1部分を前記第2部分に対して変位させる場合に前記第1部分と一体的に変位し、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分の上面側に折り返された場合に、前記突出部が前記受部に差し込み可能な位置に変位する、
上記(4)に記載の蓋体。
(7)前記縁部分の前記第1端部と前記第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を、それぞれ第1案内部及び第2案内部とした場合に、
前記第1案内部のうち前記接合領域に重なる部分の長さと、前記第2案内部のうち前記接合領域に重なる部分の長さとが異なる、
上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の蓋体。
(8)前記縁部分の前記第1端部と前記第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を、それぞれ第1案内部及び第2案内部とした場合に、
前記第1案内部は、前記第1端部から前記接合領域の内縁までの部分で形成された第1外側案内部と、前記第1外側案内部を除く第1内側案内部を有し、
前記第2案内部は、前記第2端部から前記接合領域の前記内縁までの部分で形成された第2外側案内部と、前記第2外側案内部を除く第2内側案内部を有し、
前記第1内側案内部と前記第2内側案内部の少なくとも一方が前記接合領域の前記内縁に沿って形成されている
上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の蓋体。
(9)前記案内部は、切込構造、又は脆弱化構造を有する
上記(1)から(8)のいずれか1項に記載の蓋体。
(10)前記変位容易化構造は、前記第1部分の全体を前記第2部分から分離可能に形成されている、
上記(1)から(9)のいずれか1項に記載の蓋体。
(11)前記変位容易化構造は、前記案内部に、前記第1部分から前記第2部分に向かって突出するように湾曲した突状湾曲部を形成している、
上記(1)から(10)のいずれか1項に記載の蓋体。
(12)少なくとも前記第2部分には、前記接合領域の内側に、前記接合領域の非形成面を凹状にした凹み部が形成されており、
前記接合領域の内縁のうち前記縁部分から最も遠い位置を基準位置とした場合に、前記凹み部は、該基準位置から前記第1部分に向かって下り傾斜した傾斜面を有する、
上記(1)から(11)のいずれか1項に記載の蓋体。
(13)前記接合領域の内側には、前記接合領域の非形成面を凹状にした溝が形成されている、
上記(1)から(11)のいずれか1項に記載の蓋体。
(14)前記溝が第1部分を横切る曲線状に延びている、
上記(13)に記載の蓋体。
(15)前記溝が環状に形成されている、
上記(13)又は(14)に記載の蓋体。
(16)前記本体は、前記溝よりも内側の内側領域のほうが、前記溝よりも外側の外側領域よりも上側に位置する、
上記(13)から(15)のいずれか1項に記載の蓋体。
(17)前記溝は、同心状に複数形成されている、
上記(13)から(16)のいずれか1項に記載の蓋体。
(18)前記溝は、前記第1部分に対して離れた位置から前記溝の延びる方向に沿って前記第1部分に近くなるにつれて該溝の深さが徐々に大きくなるように形成されている、
上記(13)から(17)のいずれか1項に記載の蓋体。
(19)開口部を有する容器と、
上記(1)から(18)のいずれか1項に記載の蓋体と、を備え、
容器の開口部の端縁と蓋体の接合領域とを接合する接合部が形成されている、
蓋体付き容器。
(20)前記接合部は、圧着法又は熱融着法により形成されている、
上記(19)に記載の蓋体付き容器。
(21)開口部を有する容器と、上記(1)から(18)のいずれか1項に記載の蓋体とを有する、
蓋体と容器の組み合わせ。
【符号の説明】
【0083】
1 :蓋体
2 :本体
3 :第1部分
4 :第2部分
5 :変位容易化構造
6 :案内部
6A :第1案内部
6B :第2案内部
7 :ヒンジ部
8A :第1外側案内部
8B :第2外側案内部
9A :第1内側案内部
9B :第2内側案内部
10 :小開口部
11 :突出部
11A :第1突出部
12 :端面
13 :向き合い面
14 :突状湾曲部
15 :凸部
16 :凹状形状部
20 :受部
21 :爪部
22 :突出部
22A :第2突出部
23 :ラベル
24 :爪形成部
24A :基端
24B :先端部
70 :露出面
71 :外周縁
71A :第1縁部
71A1 :第1端部
71A2 :第2端部
71B :第2縁部
72 :側縁部
72A :第1側縁部
72B :第2側縁部
73 :内縁部
74 :先端部
75 :外周縁
80 :溝
82 :凸型条部
85 :凹み部
86 :隆起部
86a :外周端
87 :底面
90 :内側領域部
91 :外側領域部
101 :容器
102 :口部
103 :縁部
104 :側壁
105 :空間部
107 :底面部
108 :カール部
150 :蓋体付き容器
151 :接合部
K1 :境界
K2 :境界
R :接合領域
RA :内縁
Rn :内側領域
STP :基準位置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部と前記口部を囲む縁部とを有する容器に対して前記口部を覆うように前記縁部に取り付けられた接合領域を形成した状態で設けられ、
紙系素材で構成されており、
前記接合領域を含む本体を有し、
前記本体は、前記本体の外周縁に定められた縁部分から前記本体の内側に向けて前記本体の一部を前記本体の他部に対して変位することが可能となるように構成された変位容易化構造を備え、
前記本体の前記一部を第1部分とし、前記本体の前記他部を第2部分とした場合に、
前記変位容易化構造は、前記縁部分の第1端部と第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を有し、
前記本体には、前記第1部分に対応する部分から外側に向かって突出する突出部が形成され、
前記突出部の基端は、前記第1端部と前記第2端部の少なくとも一方を含む第1部分の第1縁部に対応しており、
前記案内部は、前記接合領域を横断するように形成され、
少なくとも前記第2部分には、前記接合領域の内側に、前記接合領域の非形成面を凹状にした凹み部が形成されている、
蓋体。
【請求項2】
前記変位容易化構造は、さらに、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、
前記第1部分を前記第2部分に対して変位させる場合に、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分に対して立ち上がる、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記第1部分は、前記縁部分から前記本体の内側に向かって先細りした形状を有する、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項4】
前記凹み部は、前記本体の外周縁から前記本体の中央に向かってすり鉢状に沈み込む形状を有する、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項5】
前記変位容易化構造は、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、
前記突出部は、前記突出部の内側に爪部を有し、
前記第2部分は、受部を有し、
前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分の上面側に折り返された場合に、前記爪部と前記受部とが向かい合う、
請求項4に記載の蓋体。
【請求項6】
前記変位容易化構造は、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、
前記第2部分は、受部を有し、
前記第1部分を前記第2部分に対して変位させる場合に前記第1部分と一体的に変位し、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分の上面側に折り返された場合に、前記突出部が前記受部に差し込み可能な位置に変位する、
請求項4に記載の蓋体。
【請求項7】
前記縁部分の前記第1端部と前記第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を、それぞれ第1案内部及び第2案内部とした場合に、前記第1案内部のうち前記接合領域に重なる部分の長さと、前記第2案内部のうち前記接合領域に重なる部分の長さとが異なる、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項8】
前記縁部分の前記第1端部と前記第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を、それぞれ第1案内部及び第2案内部とした場合に、
前記第1案内部は、前記第1端部から前記接合領域の内縁までの部分で形成された第1外側案内部と、前記第1外側案内部を除く第1内側案内部を有し、
前記第2案内部は、前記第2端部から前記接合領域の前記内縁までの部分で形成された第2外側案内部と、前記第2外側案内部を除く第2内側案内部を有し、
前記第1内側案内部と前記第2内側案内部の少なくとも一方が前記接合領域の前記内縁に沿って形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項9】
前記案内部は、切込構造、又は脆弱化構造を有する、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項10】
前記変位容易化構造は、前記第1部分の全体を前記第2部分から分離可能に形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項11】
前記変位容易化構造は、前記案内部に、前記第1部分から前記第2部分に向かって突出するように湾曲した突状湾曲部を形成している、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項12】
記接合領域の内縁の内前記縁部分から最も遠い位置を基準位置とした場合に、前記凹み部は、該基準位置から前記第1部分に向かって下り傾斜した傾斜面を有する、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項13】
前記接合領域の内側には、前記接合領域の非形成面を凹状にした溝が形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項14】
前記溝が第1部分を横切る曲線状に延びている、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項15】
前記溝が環状に形成されている、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項16】
前記本体は、前記溝よりも内側の内側領域のほうが、前記溝よりも外側の外側領域よりも上側に位置する、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項17】
前記溝は、同心状に複数形成されている、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項18】
前記溝は、前記第1部分に対して離れた位置から前記溝の延びる方向に沿って前記第1部分に近くなるにつれて該溝の深さが徐々に大きくなるように形成されている、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項19】
開口部を有する容器と、
請求項1から18のいずれか1項に記載の蓋体と、を備え、
容器の開口部の端縁と蓋体の接合領域とを接合する接合部が形成されている、
蓋体付き容器。
【請求項20】
前記接合部は、圧着法又は熱融着法により形成されている、
請求項19に記載の蓋体付き容器。
【請求項21】
開口部を有する容器と、請求項1から18のいずれか1項に記載の蓋体とを有する、
蓋体と容器の組み合わせ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、次の(1)から(21)にかかる発明を要旨とする。
(1)口部と前記口部を囲む縁部とを有する容器に対して前記口部を覆うように前記縁部に取り付けられた接合領域を形成した状態で設けられ、紙系素材で構成されており、前記接合領域を含む本体を有し、前記本体は、前記本体の外周縁に定められた縁部分から前記本体の内側に向けて前記本体の一部を前記本体の他部に対して変位することが可能となるように構成された変位容易化構造を備え、前記本体の前記一部を第1部分とし、前記本体の前記他部を第2部分とした場合に、前記変位容易化構造は、前記縁部分の第1端部と第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を有し、前記本体には、前記第1部分に対応する部分から外側に向かって突出する突出部が形成され、前記突出部の基端は、前記第1端部と前記第2端部の少なくとも一方を含む第1部分の第1縁部に対応しており、前記案内部は、前記接合領域を横断するように形成され、
少なくとも前記第2部分には、前記接合領域の内側に、前記接合領域の非形成面を凹状にした凹み部が形成されている、蓋体
(2)前記変位容易化構造は、さらに、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、前記第1部分を前記第2部分に対して変位させる場合に、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分に対して立ち上がる、上記(1)に記載の蓋体。
(3)前記第1部分は、前記縁部分から前記本体の内側に向かって先細りした形状を有する、上記(1)に記載の蓋体。
(4)前記凹み部は、前記本体の外周縁から前記本体の中央に向かってすり鉢状に沈み込む形状を有する、上記(1)に記載の蓋体。
(5)前記変位容易化構造は、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、前記突出部は、前記突出部の内側に爪部を有し、前記第2部分は、受部を有し、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分の上面側に折り返された場合に、前記爪部と前記受部とが向かい合う、上記(4)に記載の蓋体。
(6)前記変位容易化構造は、前記案内部に連続し前記接合領域の内側に形成されたヒンジ部を有し、前記第2部分は、受部を有し、前記第1部分を前記第2部分に対して変位させる場合に前記第1部分と一体的に変位し、前記第1部分が前記ヒンジ部を軸として前記第2部分の上面側に折り返された場合に、前記突出部が前記受部に差し込み可能な位置に変位する、上記(4)に記載の蓋体。
(7)前記縁部分の前記第1端部と前記第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を、それぞれ第1案内部及び第2案内部とした場合に、前記第1案内部のうち前記接合領域に重なる部分の長さと、前記第2案内部のうち前記接合領域に重なる部分の長さとが異なる、上記(1)に記載の蓋体。
(8)前記縁部分の前記第1端部と前記第2端部のそれぞれから前記第1部分と前記第2部分との境界に沿って延びる案内部を、それぞれ第1案内部及び第2案内部とした場合に、前記第1案内部は、前記第1端部から前記接合領域の内縁までの部分で形成された第1外側案内部と、前記第1外側案内部を除く第1内側案内部を有し、前記第2案内部は、前記第2端部から前記接合領域の前記内縁までの部分で形成された第2外側案内部と、前記第2外側案内部を除く第2内側案内部を有し、前記第1内側案内部と前記第2内側案内部の少なくとも一方が前記接合領域の前記内縁に沿って形成されている、上記(1)に記載の蓋体。
(9)前記案内部は、切込構造、又は脆弱化構造を有する、上記(1)に記載の蓋体。
(10)前記変位容易化構造は、前記第1部分の全体を前記第2部分から分離可能に形成されている、上記(1)に記載の蓋体。
(11)前記変位容易化構造は、前記案内部に、前記第1部分から前記第2部分に向かって突出するように湾曲した突状湾曲部を形成している、上記(1)に記載の蓋体。
(12)記接合領域の内縁の内前記縁部分から最も遠い位置を基準位置とした場合に、前記凹み部は、該基準位置から前記第1部分に向かって下り傾斜した傾斜面を有する、上記(1)に記載の蓋体。
(13)前記接合領域の内側には、前記接合領域の非形成面を凹状にした溝が形成されている、上記(1)に記載の蓋体。
(14)前記溝が第1部分を横切る曲線状に延びている、上記(13)に記載の蓋体。
(15)前記溝が環状に形成されている、上記(13)に記載の蓋体。
(16)前記本体は、前記溝よりも内側の内側領域のほうが、前記溝よりも外側の外側領域よりも上側に位置する、上記(13)に記載の蓋体。
(17)前記溝は、同心状に複数形成されている、上記(13)に記載の蓋体。
(18)前記溝は、前記第1部分に対して離れた位置から前記溝の延びる方向に沿って前記第1部分に近くなるにつれて該溝の深さが徐々に大きくなるように形成されている、上記(13)に記載の蓋体。
(19)開口部を有する容器と、上記(1)から(18)のいずれか1つに記載の蓋体と、を備え、容器の開口部の端縁と蓋体の接合領域とを接合する接合部が形成されている、蓋体付き容器。
(20)前記接合部は、圧着法又は熱融着法により形成されている、上記(19)に記載の蓋体付き容器。
(21)開口部を有する容器と、上記(1)から(18)のいずれか1つに記載の蓋体とを有する、蓋体と容器の組み合わせ、を要旨とする。