(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106296
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20230725BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20230725BHJP
H01F 27/02 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/00 A
H01F27/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189132
(22)【出願日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0008473
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミ グム
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジャエ フン
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB08
5E070BA12
5E070BB03
5E070CB03
5E070CB13
5E070DA15
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外部電極が実装面のみに露出して小型化、集積化に有利であり、隣接部品間のショートが防止されて部品間距離を最小化するコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品1000は、コイル部の引き出し部が露出し、互いに向かい合う第1面101及び第2面102、第1面及び第2面と連結され、互いに向かい合う第3面及び第4面及び第1面から第4面と連結され、互いに向かい合う第5面105及び第6面106を有する本体100、本体に配置され、コイル部と連結され、第1面を覆う第1連結部410及び第1連結部よりも幅が狭く、第6面を覆う第1パッド部420を含む第1外部電極400、本体に配置され、コイル部と連結され、第2面を覆う第2連結部510及び第2連結部よりも狭が幅く、第6面を覆う第2パッド部520を含む第2外部電極500並びに本体の第1面及び第2面において、第1連結部及び第2連結部を夫々覆う絶縁層600を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配置されたコイル部を含み、前記コイル部の引き出し部が露出し、互いに向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、互いに向かい合う第3面及び第4面、そして、前記第1面から前記第4面と連結され、互いに向かい合う第5面及び第6面を有する本体と、
前記本体に配置され、前記コイル部と連結され、前記第1面を覆う第1連結部及び前記第1連結部よりも狭い幅を有し、前記第6面を覆う第1パッド部を含む第1外部電極と、
前記本体に配置され、前記コイル部と連結され、前記第2面を覆う第2連結部及び前記第2連結部よりも狭い幅を有し、前記第6面を覆う第2パッド部を含む第2外部電極と、
前記本体の前記第1面及び前記第2面において、前記第1連結部及び前記第2連結部をそれぞれ覆う絶縁層と、を含む、コイル部品。
【請求項2】
前記第1パッド部及び前記第2パッド部は、前記本体の前記第3面及び前記第4面から離隔した、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1連結部及び前記第2連結部の幅は、前記本体の前記第3面と垂直な方向に測定した前記第1連結部及び前記第2連結部の大きさであり、
前記第1パッド部及び前記第2パッド部の幅は、前記本体の前記第3面と垂直な方向に測定した前記第1パッド部及び前記第2パッド部の大きさである、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第3面と垂直な方向を基準として、前記本体の幅に対する前記第1パッド部及び前記第2パッド部が前記本体の前記第3面及び前記第4面と離隔した間隔の比は、0.0167以上0.0833以下である、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記絶縁層は、前記本体の前記第3面及び前記第4面を覆うように延長した、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記絶縁層は、前記本体の前記第5面を覆うように延長した、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記絶縁層は、前記本体の前記第6面に延長して前記第1パッド部及び前記第2パッド部の一部を覆う、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1面と垂直な方向を基準に、前記本体の長さに対する前記絶縁層が前記本体の前記第6面に延長した長さの比は、0.01以上0.04以下である、請求項7に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記絶縁層は、前記本体の前記第6面に延長して前記第1パッド部及び前記第2パッド部の一部を覆う、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第1面と垂直な方向を基準に、前記本体の長さに対する前記絶縁層が前記本体の前記第6面に延長する長さの比は、0.01以上0.04以下である、請求項9に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第1連結部及び前記第2連結部と前記第1パッド部及び前記第2パッド部は、それぞれ第1金属層を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第1連結部及び前記第1パッド部の前記第1金属層は、一体に形成され、
前記第2連結部及び前記第2パッド部の前記第1金属層は、一体に形成された、請求項11に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記第1パッド部及び前記第2パッド部は、前記第1金属層に配置された第2金属層をさらに含む、請求項12に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記第1パッド部及び前記第2パッド部は、前記第2金属層に配置された第3金属層をさらに含む、請求項13に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記本体内に配置され、少なくとも一面に前記コイル部が配置された基板をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項16】
前記コイル部は巻線型コイルである、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コイル部品のうち一つであるインダクタ(inductor)は、抵抗(resistor)及びキャパシタ(capacitor)とともに電子機器に用いられる代表的な受動電子部品である。
【0003】
電子機器がますます高性能化され、小さくなるにつれて電子機器に利用される電子部品はその数が増加し、小型化してきている。
【0004】
電子部品の集積化に伴い、外部電極を実装面のみに露出させた下面電極構造に対する要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0022363号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、外部電極が実装面のみに露出して小型化、集積化に有利なコイル部品を提供するためである。
【0007】
本発明の他の目的は、隣接部品間のショートが防止されて部品間距離を最小化することができるコイル部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によると、内部に配置されたコイル部を含み、上記コイル部の引き出し部が露出し、互いに向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、互いに向かい合う第3面及び第4面、そして上記第1面から第4面と連結され、互いに向かい合う第5面及び第6面を有する本体、上記本体に配置され、上記コイル部と連結され、上記第1面を覆う第1連結部及び上記第1連結部よりも狭い幅を有し、上記第6面を覆う第1パッド部を含む第1外部電極、上記本体に配置され、上記コイル部と連結され、上記第2面を覆う第2連結部及び上記第2連結部よりも狭い幅を有し、上記第6面を覆う第2パッド部を含む第2外部電極、及び上記本体の第1面及び第2面において、上記第1連結部及び第2連結部をそれぞれ覆う絶縁層を含むコイル部品が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、外部電極が実装面のみに露出して小型化、集積化に有利なコイル部品を提供することができる。
【0010】
また、本発明によると、隣接部品間のショートが防止されて部品間距離を最小化することができるコイル部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施例によるコイル部品を概略的に示した斜視図である。
【
図4】
図1のI-I'線に沿った断面を示した図面である。
【
図5】
図1のII-II'線に沿った断面を示した図面である。
【
図6】本発明の第2実施例によるコイル部品を示した図面であり、
図2に対応する図面である。
【
図7】本発明の第2実施例によるコイル部品を示した図面であり、
図4に対応する図面である。
【
図8】本発明の第3実施例によるコイル部品を示した図面であり、
図4に対応する図面及び部分拡大図である。
【
図9】本発明の第4実施例によるコイル部品を概略的に示した斜視図である。
【
図10】
図9のIII-III'線に沿った断面を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本出願で用いられる用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解することができる。尚、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。
【0013】
また、結合とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触される場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素間に介在して、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触されている場合まで包括する概念として用いられる。
【0014】
図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明は必ずしも示されたものに限定されない。
【0015】
図面において、L方向は第1方向または長さ方向、W方向は第2方向または幅方向、T方向は第3方向または厚さ方向に定義することができる。
【0016】
以下、本発明の実施例によるコイル部品を添付図面を参照して、詳細に説明し、添付図面を参照して説明することにおいて、同一または対応する構成要素は、同一の図面番号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0017】
電子機器には様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間にはノイズ除去などを目的に、様々な種類のコイル部品が適宜用いられることができる。
【0018】
すなわち、電子機器におけるコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、共通モードフィルタ(Common Mode Filter)などで利用されることができる。
【0019】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例によるコイル部品1000を概略的に示した斜視図であり、
図2は、
図1をA方向から見た底面図であり、
図3は、
図1をB方向から見た側面図であり、
図4は、
図1のI-I'線に沿った断面を示した図面であり、
図5は、
図1のII-II'線に沿った断面を示した図面である。
【0020】
図1~
図5を参照すると、本発明の一実施例によるコイル部品1000は、本体100、コイル部300、外部電極400、500、絶縁層600を含み、基板200をさらに含むことができる。
【0021】
本体100は、本実施例によるコイル部品1000の外観をなし、内部にコイル部300を埋設する。
【0022】
本体100は、全体的に六面体状に形成されることができる。
【0023】
以下では、例示的に本体100が六面体状であることを前提に本発明の一実施例を説明する。しかしながら、このような説明が六面体以外の形状に形成された本体を含むコイル部品を本実施例の範囲から除くものではない。
【0024】
図1~
図5を参照すると、本体100は、長さ方向Lに互いに向かい合う第1面101と第2面102、幅方向Wに互いに向かい合う第3面103と第4面104、厚さ方向Tに向かい合う第5面105及び第6面106を含む。本体100の第1から第4面101、102、103、104のそれぞれは、本体100の第5面105と第6面106を連結する本体100の壁面に該当する。以下において、本体100の両端面(一端面及び他端面)は、本体100の第1面101及び第2面102を意味し、本体100の両側面(一側面及び他側面)は、本体100の第3面103及び第4面104を意味することができる。また、本体100の一面及び他面は、それぞれ本体100の第6面106と第5面105を意味することができる。プリント回路基板などの実装基板に本実施例によるコイル部品1000を実装する際に、本体100の第6面106は実装基板の実装面に向かうように配置されて実装基板に実装されることができる。
【0025】
本体100は、例示的に、後述する外部電極400、500、絶縁層600が形成された本実施例によるコイル部品1000が2.5mmの長さ、2.0mmの幅及び1.0mmの厚さを有するか、2.0mmの長さ、1.2mmの幅及び0.65mmの厚さを有するか、1.6mmの長さ、0.8mmの幅及び0.8mmの厚さを有するか、1.0mmの長さ、0.5mmの幅及び0.5mmの厚さを有するか、または0.8mmの長さ、0.4mmの幅及び0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されるものではない。一方、コイル部品1000の長さ、幅及び厚さに対して上述した例示的な数値は、工程誤差を反映しない数値であるため、工程誤差と認められる範囲の数値は、上述の例示的な数値に該当すると見なす必要がある。
【0026】
上述したコイル部品1000の長さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示したコイル部品1000の長さ方向Lに向かい合う2つの最も外側の境界線を長さ方向Lと平行に連結し、厚さ方向Tに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味することができる。または、コイル部品1000の長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最小値を意味することができる。または、コイル部品1000の長さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、長さ方向Lと平行な複数の線分は、厚さ方向Tに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0027】
上述したコイル部品1000の厚さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示したコイル部品1000の厚さ方向Tに向かい合う2つの最も外側の境界線を厚さ方向Tと平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味することができる。または、コイル部品1000の厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最小値を意味することができる。または、コイル部品1000の厚さは、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、厚さ方向Tと平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0028】
上述したコイル部品1000の幅とは、コイル部品1000の厚さ方向Tの中央部でとった長さ方向L-幅方向Wの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに示したコイル部品1000の幅方向Wに向かい合う2つの最も外側の境界線を幅方向Wと平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最大値を意味することができる。または、コイル部品1000の幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の最小値を意味することができる。または、コイル部品1000の幅は、上述した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、幅方向Wと平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0029】
または、コイル部品1000の長さ、幅及び厚さのそれぞれは、マイクロメータ測定法で測定されることもできる。マイクロメータ測定法は、Gage R&R(Repeatability and Reproducibility)されたマイクロメータでゼロ点を設定し、マイクロメータのチップ(tip)の間に本実施例によるコイル部品1000を挿入し、マイクロメータの測定レバー(lever)を回して測定することができる。一方、マイクロメータ測定法でコイル部品1000の長さを測定することにおいて、コイル部品1000の長さは1回測定された値を意味することもでき、複数回測定された値の算術平均を意味することもできる。これは、コイル部品1000の幅及び厚さにも同様に適用することができる。
【0030】
本体100は、磁性物質及び樹脂を含むことができる。具体的には、本体100は、磁性物質が樹脂に分散された磁性複合シートを一つ以上積層して形成されることができる。但し、本体100は、磁性物質が樹脂に分散された構造以外に他の構造を有することもできる。例えば、本体100は、フェライトなどの磁性物質からなることもでき、非磁性体からなることもできる。
【0031】
磁性物質は、フェライトまたは金属磁性粉末であることができる。
【0032】
フェライトは、例えば、Mg-Zn系、Mn-Zn系、Mn-Mg系、Cu-Zn系、Mg-Mn-Sr系、Ni-Zn系などのスピネル型フェライト、Ba-Zn系、Ba-Mg系、Ba-Ni系、Ba-Co系、Ba-Ni-Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト及びLi系フェライトの少なくとも一つ以上であることができる。
【0033】
金属磁性粉末は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Al系合金粉末の少なくとも一つ以上であることができる。
【0034】
金属磁性粉末は、非晶質または結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe-Si-B-Cr系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0035】
フェライト及び金属磁性粉末は、それぞれ平均直径が約0.1μm~30μmであることができるが、これに制限されるものではない。
【0036】
本体100は、樹脂に分散した2種類以上の磁性物質を含むことができる。ここで、磁性物質が異なる種類であるとは、樹脂に分散した磁性物質が平均直径、組成、結晶性、及び形状のいずれか一つで互いに区別されることを意味する。
【0037】
樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
本体100は、後述するコイル部300を貫通するコア110を含むことができる。コア110は、磁性複合シートがコイル部300の貫通孔を充填することで形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0039】
基板200は本体100の内部に配置される。基板200は、後述するコイル部300を支持する構成である。基板200の側面は、本体100の第1面及び第2面101、102に露出して、第1及び第2外部電極400、500とそれぞれ接することができる。
【0040】
基板200は、エポキシ樹脂などの熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性絶縁樹脂または感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成されるか、このような絶縁樹脂にガラス繊維またはフィラーなどの補強材が含浸された絶縁資材で形成されることができる。一例として、基板200は、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)樹脂、PID(Photo Imagable Dielectric)などの絶縁資材で形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0041】
フィラーとしてはシリカ(二酸化ケイ素、SiO2)、アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO4)、タルク、泥、雲母粉、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)及びジルコン酸カルシウム(CaZrO3)からなる群から選択された少なくとも一つ以上が用いられることができる。
【0042】
基板200が補強材を含む絶縁資材で形成される場合、基板200はより優れた剛性を提供することができる。基板200がガラス繊維を含まない絶縁資材で形成される場合、本実施例によるコイル部品1000の厚さを薄型化する上で有利である。また、同一サイズの本体100を基準として、コイル部300及び/または金属磁性粉末が占める体積を増加させることができ、部品特性を向上させることができる。基板200が感光性絶縁樹脂を含む絶縁資材で形成される場合、コイル部300を形成するための工程数が減って、生産費の削減に有利であり、微細なビア320を形成することができる。
【0043】
基板200の厚さは、例えば、10μm以上50μm以下であることができるが、これに制限されるものではない。
【0044】
コイル部300は本体100の内部に配置され、コイル部品の特性を発現する。例えば、本実施例のコイル部品1000がパワーインダクタとして活用される場合、コイル部300は、電場を磁場として蓄積し、出力電圧を維持することで電子機器の電源を安定させる役割を果たすことができる。
【0045】
図4及び
図5を参照すると、コイル部300はコイルパターン311、312、引き出し部331、332及びビア320を含む。具体的には、本体100の第6面106と向かい合う基板200の下面に第1コイルパターン311及び第1引き出し部331が配置され、基板200の下面と向かい合う基板200の上面に第2コイルパターン312及び第2引き出し部332が配置される。基板200の下面において第1コイルパターン311は、第1引き出し部331と接触連結される。基板200の上面において第2コイルパターン312は、第2引き出し部332と接触連結され、ビア320は基板200を貫通して第1コイルパターン311及び第2コイルパターン312のそれぞれの内側端部に接触連結される。このようにすることで、コイル部300は全体的に一つのコイルとして機能することができる。
【0046】
第1コイルパターン311及び第2コイルパターン312のそれぞれは、コア110を軸として少なくとも一つのターン(turn)を形成した平面螺旋の形態であることができる。一例として、第1コイルパターン311は、基板200の下面でコア110を軸として少なくとも一つのターン(turn)を形成することができる。
【0047】
引き出し部331、332は、それぞれ本体100の第1及び第2面101、102に露出する。すなわち、第1引き出し部331はそれぞれ本体100の第1面101に露出し、第2引き出し部332は本体100の第2面102に露出する。
【0048】
コイルパターン311、312、ビア320、及び引き出し部331、332の少なくとも一つは、少なくとも一つ以上の金属層を含むことができる。一例として、
図4及び
図5の方向を基準に、第2コイルパターン312、ビア320及び第2引き出し部332を基板200の上面にめっき形成する場合、第2コイルパターン312、ビア320及び第2引き出し部332のそれぞれは、無電解めっき層などのシード層と、電解めっき層を含むことができる。ここで、電解めっき層は単層構造であることもでき、多層構造であることもできる。多層構造の電解めっき層は、いずれか一つの電解めっき層をもう一つの電解めっき層が覆うコンフォーマル(conformal)な膜構造で形成されることもでき、いずれか一つの電解めっき層の一面にのみもう一つの電解めっき層が積層された形状に形成されることもできる。第2コイルパターン312のシード層、ビア320のシード層及び第2引き出し部332のシード層は一体に形成されて相互間に境界が形成されないことがあるが、これに制限されるものではない。第2コイルパターン312の電解めっき層、ビア320の電解めっき層及び第2引き出し部332の電解めっき層は一体に形成されて、相互間に境界が形成されないことがあるが、これに制限されるものではない。
【0049】
コイルパターン311、312、ビア320及び引き出し部331、332のそれぞれは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。一例として、第1コイルパターン311は、基板200と接する銅(Cu)を含むシード層と、シード層に配置されて銅(Cu)を含む電解めっき層を含むことができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0050】
絶縁膜IFは、コイル部300と本体100との間、及び基板200と本体100との間に配置される。
【0051】
図4及び
図5を参照すると、絶縁膜IFは、第1及び第2コイルパターン311、312、第1及び第2引き出し部331、332が形成された基板200の表面に沿って形成されることができるが、これに制限されるものではない。絶縁膜IFは、第1及び第2コイルパターン311、312の各隣接ターンの間、及び第1及び第2引き出し部331、332のそれぞれと第1及び第2コイルパターン311、312との間を充填してコイルターン間を絶縁することができる。
【0052】
絶縁膜IFは、コイル部300と本体100を絶縁させるためのものであり、パリレンなどの公知の絶縁物質を含むことができるが、これに制限されるものではない。別の例として、絶縁膜IFは、パリレンではなくエポキシ樹脂などの絶縁物質を含むこともできる。絶縁膜IFは気相蒸着法で形成されることができるが、これに制限されるものではない。別の例として、絶縁膜IFは、コイル部300が形成された基板200の両面に絶縁膜IFを形成するための絶縁フィルムを積層及び硬化することで形成されることもでき、コイル部300が形成された基板200の両面に絶縁膜IFを形成するための絶縁ペーストを塗布及び硬化することで形成されることもできる。一方、上述した理由で、絶縁膜IFは、本実施例で省略可能な構成である。すなわち、本実施例によるコイル部品1000の設計された作動電流及び電圧で本体100が十分な電気的抵抗を有する場合であれば、絶縁膜IFは本実施例で省略可能である。
【0053】
外部電極400、500は、本体100の一面106に互いに離隔配置され、それぞれコイル部300と連結される。具体的には、本実施例の場合、第1外部電極400は、本体100の第1面101に配置されて第1引き出し部331と接触連結される第1連結部410と、第1連結部410から本体100の第6面106に延長する第1パッド部420を含む。第2外部電極500は、本体100の第2面102に配置されて第2引き出し部332と接触連結される第2連結部510と、第2連結部510から本体100の第6面106に延長する第2パッド部520を含む。
【0054】
図2を参照すると、第1及び第2パッド部420、520は、本体100の第6面106で互いに離隔して配置されることができる。本体100の第6面106で第1及び第2パッド部420、520の間の領域には、後述する絶縁層600が配置されることができる。
【0055】
図1~
図3を参照すると、第1及び第2パッド部420、520の幅Wpは、それぞれ第1及び第2連結部410、510の幅Wcよりも狭く形成されることができる。このとき、第1及び第2連結部410、510の幅Wcは、本体100の幅Wbと実質的に同一に形成されることができるが、これに制限されるものではない。ここで、実質的に同一であるという意味は、製造工程上発生する工程誤差や位置偏差、測定時の誤差を含んで同一であるという意味である。
【0056】
一例として、第1連結部410の幅Wcに対する第1パッド部420の幅Wpの比Wp/Wcは、0.5超過1.0未満で形成されることができ、第2連結部510の幅Wcに対する第2パッド部520の幅Wpの比Wp/Wcは、0.5超過1.0未満で形成されることができるが、これに制限されるものではない。第1連結部410の幅Wcに対する第1パッド部420の幅Wpの比Wp/Wcが0.5未満である場合、同一サイズのコイル部品においてパッド部420、520の面積確保が十分に行われないため、実装時の固着強度が劣化することがある。
【0057】
ここで、第1及び第2パッド部420、520の幅Wpは、本体100の幅方向Wに沿って測定した第1及び第2パッド部420、520の大きさを意味することができる。一例として、コイル部品1000の実装面、すなわち、本体100の第6面106から第5面106に向かう方向に100倍~1000倍の倍率で撮影した長さ方向L-幅方向Wに対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに現れたパッド部420、520の幅方向Wに向かい合う2つの最も外側の境界線を幅方向Wと平行に連結し、長さ方向Lに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、幅方向W及び平行な複数の線分は、長さ方向Lに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0058】
なお、第1及び第2連結部410、510の幅Wcは、本体100の幅方向Wに沿って測定した第1及び第2連結部410、510の大きさを意味することができる。一例として、コイル部品1000を本体100の第1及び第2面101、102の方向で100倍~1000倍の倍率で撮影した幅方向W-厚さ方向Tに対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに現れた連結部410、510の幅方向Wに向かい合う2つの最も外側の境界線を幅方向Wと平行に連結し、厚さ方向Tに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、幅方向Wと平行な複数の線分は、厚さ方向Tに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0059】
図2を参照すると、第1及び第2パッド部420、520は、いわゆるウィンドウ(window)構造に該当する下面電極構造に該当する。すなわち、第1及び第2パッド部420、520が実装面のみに露出することで実装面積を減らすことができる。また、長さ方向L及び幅方向Wにそれぞれ絶縁層600によるマージンが形成され、隣接したコイル部品間のショート危険が減少されることで集積化に有利な効果を有することができる。
【0060】
図2を参照すると、幅方向Wを基準に、本体100の幅Wbに対する第1及び第2パッド部420、520が本体100の第3面及び第4面103、104と離隔した間隔W1の比W1/Wbは、0.0167以上0.0833以下であることができる。
【0061】
上記離隔間隔W1は、本体100の第6面106に後述する絶縁層600を形成した後、一部を除去して外部電極400、500のめっきをガイドするオープニング領域の形成位置及び大きさによって決定されることができる。
【0062】
【0063】
上記表1及び
図2を参照すると、幅方向の絶縁マージンW1は、パッド部420、520が本体100の第3面103及び第4面104から幅方向Wにそれぞれ離隔した間隔W1を意味することができる。Chip shifting評価は、コイル部品をプリント回路基板に実装した後、コイル部品が定位置から外れた不良を評価するものであり、パッド部420、520のサイズが小さい場合に発生されることができる。実装時のはんだ露出の評価は、実装面のはんだがコイル部品の最も外側領域から外れる不良を評価するものであり、パッド部420、520の周辺の絶縁マージンが小さい場合に発生されることができる。
【0064】
パッド部420、520が本体100の第3面103及び第4面104から幅方向Wにそれぞれ離隔した間隔W1を調節して実験した結果、本体100の幅Wbに対するパッド部420、520の幅方向の絶縁マージン、すなわち、離隔間隔W1の比W1/Wbが0.0167未満である実験例#1、#2の場合、実装時にはんだが露出する不良が発生した。また、本体100の幅Wbに対するパッド部420、520の幅方向の離隔間隔W1の比W1/Wbが0.0833を超過する実験例#9の場合、Chip shifting不良が発見された。
【0065】
したがって、本体100の幅Wbに対するパッド部420、520の幅方向の離隔間隔W1の比W1/Wbを0.0167以上0.0833以下形成する場合にChip shifting不良がなく、実装時にはんだが露出しないコイル部品1000を提供することができる。
【0066】
一方、
図2に示したように、本体100の第3面及び第4面103、104にも絶縁層600が延長することができるが、この場合、上述した実装面の方向SEMイメージ上におけるパッド部420、520の幅方向Wの離隔距離から本体100の第3面及び第4面103、104上の絶縁層600の厚さを除くことで、幅方向の絶縁マージンW1を算出することができる。または、パッド部420、520を含むように幅方向W-厚さ方向Tの断面に対するSEMイメージをとり、上記イメージに現れたパッド部420、520の最も外側の境界線と幅方向Wに向かい合う本体100の第3面103の最も外側の境界線を幅方向Wと平行に連結し、厚さ方向Tに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、幅方向Wと平行な複数の線分は、厚さ方向Tに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0067】
図2を参照すると、本体100の長さLbに対するパッド部420、520が本体100の第1面101及び第2面102から長さ方向Lにそれぞれ離隔した間隔L1の比L1/Lbは、0.01以上0.04以下であることができる。上記離隔間隔L1は、本体100の第1面101及び第2面102にそれぞれ配置された第1及び第2連結部410、510を覆う絶縁層600が本体100の第6面106に延長してパッド部420、520の一部をさらに覆う領域の長さに応じて決定されることができる。
【0068】
したがって、長さ方向Lを基準として、本体100の長さに対する絶縁層600が本体100の第6面106に延長した長さL1の比L1/Lbは0.01以上0.04以下形成されることができる。
【0069】
【0070】
上記表2及び
図2を参照すると、長さ方向の絶縁マージンL1は、本体100の第1面101及び第2面102にそれぞれ配置された第1及び第2連結部410、510を覆う絶縁層600が本体100の第6面106に延長してパッド部420、520の一部をさらに覆う領域の長さを意味することができる。
【0071】
絶縁層600が本体100の第6面106に延長してパッド部420、520の一部を覆う領域の長さL1を調節して実験した結果、本体100の長さLbに対するパッド部420、520の長さ方向の絶縁マージン、すなわち絶縁層600の延長長さL1の比L1/Lbが0.01未満である実験例#1、#2の場合、実装時にはんだが露出する不良が発生した。また、本体100の長さLbに対するパッド部420、520の長さ方向の絶縁マージン、すなわち絶縁層600の延長長さL1の比L1/Lbが0.04を超える実験例#8、#9の場合、Chip shifting不良が発見された。
【0072】
したがって、本体100の長さLbに対するパッド部420、520の長さ方向の絶縁マージン、すなわち絶縁層600の延長長さL1の比L1/Lbを0.01以上0.04以下形成する場合にChip shifting不良がなく、実装時にはんだが露出しないコイル部品1000を提供することができる。
【0073】
一方、
図2に示したように、絶縁層600が本体100の第6面106に延長してパッド部420、520の一部を覆う領域の長さL1は、一例として、コイル部品1000の実装面、すなわち本体100の第6面106から第5面106に向かう方向に100倍~1000倍の倍率で撮影した長さ方向L-幅方向Wに対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、上記イメージに現れたパッド部420、520の最も外側の境界線と長さ方向Lに向かい合うコイル部品1000の最も外側の境界線を長さ方向Lと平行に連結し、幅方向Wに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、長さ方向Lと平行な複数の線分は、幅方向Wに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0074】
図3を参照すると、第1及び第2連結部410、510の幅Wcは、本体100の第1面101及び第2面102の幅Wbと実質的に同一であることができる。ここで、実質的に同一であるという意味は、製造工程上発生する工程誤差や位置偏差、測定時の誤差を含んで同一であるという意味である。
【0075】
第1及び第2連結部410、510は、それぞれ本体100の第1面101及び第2面102を覆うことができる。一例として、第1及び第2連結部410、510は、それぞれ本体100の第1面101及び第2面102の全体に配置されることができるが、これに制限されるものではない。
【0076】
第1及び第2連結部410、510の面積が増加する場合、引き出し部331、332との連結信頼性が向上することができ、Rdc特性も向上することができる。
【0077】
一方、パッド部420、520が上述した幅方向W、長さ方向Lの絶縁マージンを有する場合、実装面に露出する面積が減少するにつれて実装時の固着強度が劣化することがある。
【0078】
本実施例によるコイル部品1000において、パッド部420、520の幅方向W、長さ方向Lの絶縁マージンがそれぞれ上述の範囲で最大になると、本体100の実装面の面積に対するパッド部420、520の露出面積の比が0.30に近づくことができる。
【0079】
下記の表3を参照すると、この場合にも基準値(10N)以上の固着強度が確保されることが確認できた。
【0080】
【0081】
外部電極400、500は、本体100の表面に形成された後述する絶縁層600をめっきレジストとして電解めっきを行うことで、本体100の表面に形成されることができる。本体100が金属磁性粉末を含む場合、金属磁性粉末は本体100の表面に露出することができる。本体100の表面に露出した金属磁性粉末により、電解めっき時に本体100の表面に導電性が付与されることができ、本体100の表面に外部電極400、500を電解めっきで形成することができる。
【0082】
外部電極400、500の連結部410、510及びパッド部420、520は、同一のめっき工程で形成され、相互間に境界が形成されないことがある。すなわち、第1連結部410及び第1パッド部420は、一体に形成されることができ、第2連結部510及び第2パッド部520は、一体に形成されることができる。また、連結部410、510及びパッド部420、520は、互いに同一の金属で構成されることができる。但し、このような説明が連結部410、510とパッド部420、520が互いに異なるめっき工程で形成され、相互間に境界が形成された場合を本発明の範囲から除くものではない。
【0083】
外部電極400、500は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0084】
外部電極400、500のそれぞれは、複数の層で形成されることができる。一例として、外部電極400、500は、銅(Cu)を含む金属層、ニッケル(Ni)を含む金属層、及びスズ(Sn)を含む金属層13を含む層状構造を有することができる。
【0085】
外部電極400、500は、銅、銀、及びスズの少なくとも一つ以上を含む導電性粉末及び熱硬化性樹脂を含む導電性ペーストを塗布及び硬化して形成されることができる。または、外部電極400、500は、めっき法またはスパッタリングなどの気相蒸着法などで形成されることができる。
【0086】
絶縁層600は、コイル部品を電気的に保護し、リーク電流(leakage current)を減少させ、外部電極400、500をめっきで形成する際にめっきレジストとして機能することができる。
【0087】
図1~
図5を参照すると、絶縁層600は本体100の表面に配置される。
【0088】
図4を参照すると、絶縁層600は、本体100の第1及び第2面101、102にそれぞれ配置された第1及び第2連結部410、510を覆うことができる。絶縁層600は、第1及び第2連結部410、510を覆うことで、本実施例によるコイル部品1000がプリント回路基板などの実装基板に実装される際に、隣接して実装された他の電子部品と短絡(short-circuit)されることを防止することができる。また、第1及び第2外部電極400、500を実装面のみに露出させることで、同一サイズに対する実装面積を減少させることができる。
【0089】
絶縁層600は、本体100の第3面103及び第4面104を覆うように延長することができる。また、絶縁層600は、本体100の第5面105を覆うように延長することができる。また、絶縁層600は、本体100の第6面106に延長して第1及び第2パッド部420、520の一部を覆うことができる。
【0090】
すなわち、絶縁層600は、本体100の第3から第6面103、104、105、106のうち、第1及び第2外部電極400、500が配置される領域を除いた残りの領域を覆うことができ、さらに、第1及び第2連結部410、510の外側面、そして第1及び第2パッド部420、520の一部を覆うことができる。結果的に、本実施例によるコイル部品1000の外部電極400、500は、第1及び第2パッド部420、520の全部または一部のみが実装面に露出することができる。
【0091】
絶縁層600は、外部電極400、500の少なくとも一部をめっきで形成する際に、めっきレジストとして機能することができるが、これに制限されるものではない。一例として、外部電極400、500のめっき形成する際に、まず本体100の第6面106に絶縁層600を配置した後、パッド部420、520を形成する領域に対して絶縁層600を除去することで、オープニングを形成することができる。
【0092】
絶縁層600は、本体100の各面で互いに一体に形成されることもでき、相互間に境界が形成されることもできる。制限されない例として、本体100の第5及び第6面105、106のそれぞれに形成された絶縁層600と、本体100の第3及び第4面103、104のそれぞれに形成された絶縁層600は、互いに異なる工程で形成されることで相互間に境界が形成されることができる。
【0093】
絶縁層600は、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系などの熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキド系などの熱硬化性樹脂、感光性樹脂、パリレン、SiOxまたはSiNxを含むことができる。
【0094】
絶縁層600は接着機能を有することができる。一例として、絶縁フィルムを本体100に積層して絶縁層600を形成する場合、絶縁フィルムは接着成分を含んで本体100の表面に接着することができる。このような場合、絶縁層600の本体100と接する一面には接着層が別途形成されていることができる。但し、半硬化状態(B-stage)の絶縁フィルムを用いて絶縁層600を形成する場合などのように、絶縁層600の一面に別途の接着層が形成されていないこともできる。
【0095】
絶縁層600は、液状の絶縁樹脂を本体100の表面に塗布したり、絶縁ペーストを本体100の表面に塗布したり、絶縁フィルムを本体100の表面に積層したり、気相蒸着で絶縁樹脂を本体100の表面に形成することで形成されることができる。絶縁フィルムの場合、感光性絶縁樹脂を含むドライフィルム(DF)、感光性絶縁樹脂を含まないABF(Ajinomoto Build-up Film)またはポリイミドフィルムなどを用いることができる。
【0096】
絶縁層600は、10nm~100μmの厚さ範囲で形成されることができるが、これに制限されるものではない。絶縁層600の厚さが10nm未満である場合には、Q特性(Q factor)減少、降伏電圧(break down voltage)減少及び磁気共振周波数(Self-resonant Frequency、SRF)減少など、コイル部品の特性が減少することができ、絶縁層600の厚さが100μm超過である場合には、コイル部品の全長さ、幅、厚さが増加して薄型化に不利である。
【0097】
ここで、絶縁層600の厚さとは、コイル部品1000の幅方向Wの中央部でとった長さ方向L-厚さ方向Tの断面(cross-section)に対する光学顕微鏡イメージまたはSEM(Scanning Electron Microscope)イメージを基準に、各領域において、上記イメージに示した絶縁層600の長さ方向Lに向かい合う最も外側の境界線を長さ方向Lと平行に連結し、厚さ方向Tに互いに離隔した複数の線分のそれぞれの数値(dimension)の少なくとも3つ以上の算術平均値を意味することができる。ここで、長さ方向Lと平行な複数の線分は、厚さ方向Tに互いに等間隔であることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。
【0098】
(第2実施例)
図6は、本発明の第2実施例によるコイル部品2000を示した図面であり、
図2に対応する図面であり、
図7は、本発明の第2実施例によるコイル部品2000を示した図面であり、
図4に対応する図面である。
【0099】
図2及び
図4と、
図6及び
図7を比較すると、本実施例によるコイル部品2000は、本発明の一実施例によるコイル部品1000と比較するとき、本体100の第6面106においてパッド部420、520が絶縁層600のオープニングを介して形成される領域、及びパッド部420、520が絶縁層600によって一部覆われる領域が異なる。したがって、本実施例によるコイル部品2000を説明する際に、本発明の第1実施例と異なるパッド部420、520が露出する領域についてのみ説明する。本実施例の残りの構成は、本発明の一実施例における説明がそのまま適用されることができる。
【0100】
図6を参照すると、本実施例によるコイル部品2000は、パッド部420、520が本体100の第3面103及び第4面104から幅方向Wにそれぞれ離隔した間隔W2が第1実施例によるコイル部品1000のパッド部420、520が本体100の第3面103及び第4面104から幅方向Wにそれぞれ離隔した間隔W1よりも大きく形成されることができる。これは、第1及び第2パッド部420、520を形成する際に、めっきレジストとして機能する絶縁層600のオープニングの幅Wpをより狭く形成することで得られる構造である。
【0101】
図6及び
図7を参照すると、本実施例によるコイル部品2000は、絶縁層600が本体100の第6面106に延長してパッド部420、520の一部を覆う領域の長さL2が第1実施例によるコイル部品1000の絶縁層600が本体100の第6面106に延長してパッド部420、520の一部を覆う領域の長さL1よりも長く形成されることができる。すなわち、パッド部420、520の長さ方向Lの絶縁マージンが大きく形成されることができる。
【0102】
本実施例によるコイル部品2000は、第1実施例によるコイル部品1000と比較するとき、パッド部420、520の周辺の絶縁マージンが増加して、実装時の隣接コイル部品間のショート防止効果が向上されるため、実装時の集積度をさらに高めることができる有利な効果を有することができる。
【0103】
但し、パッド部420、520の露出面積が減少される場合、これによって実装時の固着強度が劣化することがあるため、本実施例によるコイル部品2000のパッド部420、520の露出面積は、パッド部420、520の周辺の絶縁マージンがない場合のパッド部420、520の露出面積の50%以上形成することが好ましい。
【0104】
(第3実施例)
図8は、本発明の第3実施例によるコイル部品3000を示した図面であり、
図4に対応する図面及び部分拡大図である。
【0105】
図4及び
図8を比較すると、本実施例によるコイル部品3000は、本発明の一実施例によるコイル部品1000と比較するとき、パッド部420、520の構成が異なる。したがって、本実施例によるコイル部品3000を説明する際に、本発明の第1実施例と異なるパッド部420、520の層状構造についてのみ説明する。本実施例の残りの構成は、本発明の一実施例における説明がそのまま適用されることができる。
【0106】
図8を参照すると、本実施例によるコイル部品3000の外部電極400、500のそれぞれは、複数の層で形成されることができる。一例として、第1外部電極400は、第1金属層11、第1金属層11に配置された第2金属層12、及び第2金属層に配置された第3金属層13を含むことができるが、上述した第1連結部410及び第1パッド部420は、第1金属層11を意味することができる。したがって、第2及び第3金属層12、13は、第1パッド部420上にのみ配置され、第1連結部410には延長しないことがある。但し、本実施例の範囲がこれに制限されるものではない。
【0107】
一方、第1金属層11は、本体100の第1面101、第2面102、及び第6面106に一体に配置されることができる。具体的には、第1外部電極400の第1金属層11は、本体100の第1面101に配置され、第6面106に沿って延長することができる。また、第2外部電極500の第1金属層11は、本体100の第2面102に配置され、第6面106に沿って延長することができる。
【0108】
図8を参照すると、パッド部420、520は、銅(Cu)を含む第1金属層11、第1金属層11に配置され、ニッケル(Ni)を含む第2金属層12、及び第2金属層に配置され、スズ(Sn)を含む第3金属層13を含むことができる。
【0109】
本実施例によるコイル部品3000は、第1金属層11の配置後、連結部410、510の第1金属層11が絶縁層600で覆われ、その後に、第2及び第3金属層12、13がさらに配置されることができる。
【0110】
(第4実施例)
図9は、本発明の第4実施例によるコイル部品4000を概略的に示した斜視図である。
図10は、
図9のIII-III'線に沿った断面を示した図面である。
【0111】
図1及び
図4と、
図9及び
図10を比較すると、本実施例によるコイル部品4000は、本発明の一実施例によるコイル部品1000と比較するとき、基板200の構成が省略されており、コイル部300が異なる。したがって、本実施例によるコイル部品3000を説明する際に、本発明の第1実施例と異なるコイル部300についてのみ説明する。本実施例の残りの構成は、本発明の第1実施例における説明がそのまま適用されることができる。
【0112】
図9及び
図10を参照すると、コイル部300は、銅ワイヤなどの金属ワイヤMW及び金属ワイヤMWの表面を被覆する絶縁膜IFを含む線材をスパイラル(spiral)状で巻いた巻線形コイルであることができる。
【0113】
コイル部300は、コア110を中心に少なくとも一つのターン(turn)を形成した巻回部310と、巻回部310の両端からそれぞれ延長して本体100の第1面101及び第2面102にそれぞれ露出した引き出し部331、332を含む。
【0114】
第1引き出し部331は、巻回部310の一端から延長して本体100の第1面101に露出し、第2引き出し部332は、巻回部310の他端から延長して、本体100の第2面102に露出する。
【0115】
巻回部310は、上述した線材をスパイラル(spiral)状に巻くことで形成されることができる。
図10を参照すると、本実施例によるコイル部品3000は、長さ方向L-厚さ方向Tの断面上で、巻回部310の各ターン(turn)の表面が絶縁膜IFで被覆された形態を有することができる。巻回部310は、少なくとも一つの層で構成されることができる。巻回部310の各層は平面螺旋状に形成され、少なくとも一つのターン(turn)数を有することができる。
【0116】
引き出し部331、332は、巻回部310と一体に形成されることができる。例えば、上述した線材を巻いて巻回部310を形成し、巻回部310から延長した線材の領域を引き出し部331、332とすることができる。
【0117】
金属ワイヤMWは、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)またはこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0118】
絶縁膜IFは、エナメル、パリレン、エポキシ、ポリイミドなどの絶縁物質を含むことができる。絶縁膜IFは、2以上の層で構成されることができる。制限されない例として、絶縁膜IFは、金属ワイヤMWと接する被覆層と、被覆層に形成された融着層を含むことができる。融着層は、線材である金属ワイヤMWをコイル状に巻いた後、熱及び圧力によって互いに隣接するターンを構成する金属ワイヤMWの融着層と互いに結合されることができる。このような構造の絶縁膜IFを含む金属ワイヤMWで巻いた場合には、巻回部310における複数のターン(turn)の融着層は互いに融着して一体化することができる。
【0119】
なお、
図9及び
図10は、本実施例のコイル部300がアルファ(alpha)型巻線であることを示しているが、本実施例の範囲がこれに制限されるものではなく、エッジワイズ(edge-wise)巻線も本実施例に属するといえる。
【0120】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更または削除などによって本発明を多様に修正及び変更させることができ、これも本発明の権利範囲内に属するといえる。
【符号の説明】
【0121】
11 第1金属層
12 第2金属層
13 第3金属層
100 本体
110 コア
200 基板
300 コイル部
310 巻回部
311、312 コイルパターン
320 ビア
331、332 引き出し部
400、500 外部電極
410、510 連結部
420、520 パッド部
600 絶縁層
MW 金属ワイヤ
IF 絶縁膜
L1、L2 長さ方向の絶縁マージン
W1、W2 幅方向の絶縁マージン
Wc 連結部の幅、Wp パッド部の幅
1000、2000、3000、4000 コイル部品