(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106310
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 201F
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205586
(22)【出願日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2022-0008472
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0067773
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】朴 珍受
(72)【発明者】
【氏名】▲チョ▼ 義鉉
(72)【発明者】
【氏名】金 俊亨
(72)【発明者】
【氏名】金 厦廷
(72)【発明者】
【氏名】具 賢熙
(72)【発明者】
【氏名】成 佑慶
(72)【発明者】
【氏名】朴 明俊
(72)【発明者】
【氏名】全 炳俊
(72)【発明者】
【氏名】李 哲承
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
(57)【要約】
【課題】めっき時に発生する水素ガスの浸透を防止して信頼性に優れ、放射クラックの発生が抑制され、反り強度に優れた積層型電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される内部電極を含む本体と、上記内部電極と連結され、Niを含む第1電極層及び上記第1電極層上に配置され、Ni-Cu合金を含む第2電極層を含む外部電極とを含み、上記第2電極層のCu含有量は、Ni及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molであることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される内部電極を含む本体と、
前記内部電極と連結され、Niを含む第1電極層及び前記第1電極層上に配置され、Ni-Cu合金を含む第2電極層を含む外部電極と、を含み、
前記第2電極層のCu含有量は、Ni及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molである、積層型電子部品。
【請求項2】
前記第2電極層のNi及びCuの合計含有量100molに対するCu含有量の標準偏差は3.21mol以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1電極層が含むNiの含有量は、前記第2電極層が含むNiの含有量より多い、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記本体は、前記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面から第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含み、
前記第1電極層は、前記第1面から第6面のうち第3面及び第4面にのみ配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第2電極層は、前記第1面、第2面、第5面及び第6面のそれぞれの一部まで延びる、請求項4に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記本体の第1方向の中央で測定した前記第1電極層の厚さをt1、前記本体の第1方向の最外側に配置された内部電極で測定した前記第1電極層の厚さをt1’とすると、t1’/t1は0.8以上1.0以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1電極層はガラスをさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第1電極層はNiめっき層である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記外部電極は、前記第2電極層上に配置される第3電極層を含み、
前記第3電極層はNiを含む第1層及びSnを含む第2層を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される内部電極を含み、前記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、前記第1面から第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、
前記内部電極と連結され、Niを含む第1電極層、及び前記第1電極層上に配置され、Ni-Cu合金を含む第2電極層を含む外部電極と、を含み、
前記第1電極層は、前記第1面から第6面のうち第3面及び第4面にのみ配置され、前記第2電極層は、前記第1面、第2面、第5面及び第6面のそれぞれの一部まで延びる、積層型電子部品。
【請求項11】
前記第2電極層のNi及びCuの合計含有量100molに対するCu含有量の標準偏差は3.21mol以下である、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1電極層が含むNiの含有量は、前記第2電極層が含むNiの含有量より多い、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記本体の第1方向の中央で測定した前記第1電極層の厚さをt1、前記本体の第1方向の最外側に配置された内部電極で測定した前記第1電極層の厚さをt1’とすると、t1’/t1は0.8以上1.0以下である、請求項10に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記外部電極は、前記第2電極層上に配置される第3電極層を含み、
前記第3電極層はNiを含む第1層及びSnを含む第2層を含む、請求項10に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。コンピュータ、モバイル機器などの各種電子機器が小型化、高出力化され、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
一般的に、積層セラミックキャパシタは、基板上の実装が容易になるように、外部電極上にニッケル(Ni)及び/またはスズ(Sn)めっきを行う。上記めっき工程は、一般的に電気めっき(Electronic Deposition)または電解めっきなどの方式で行われるが、この場合、めっき液が内部に浸透するか、めっき時に発生する水素ガスが内部電極に浸透して、積層セラミックキャパシタの絶縁抵抗が劣化し、これによって、積層セラミックキャパシタの信頼性が低下するという問題点が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの目的の一つは、めっき時に発生する水素ガスの浸透を防止して信頼性に優れる積層型電子部品を提供することである。
【0006】
本発明のいくつかの目的の一つは、放射クラックの発生が抑制された積層型電子部品を提供することである。
【0007】
本発明のいくつかの目的の一つは、反り強度に優れる積層型電子部品を提供することである。
【0008】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される内部電極を含む本体と、上記内部電極と連結され、Niを含む第1電極層及び上記第1電極層上に配置され、Ni-Cu合金を含む第2電極層を含む外部電極とを含み、上記第2電極層のCu含有量は、Ni及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molであることができる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される内部電極を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面を含む本体と、上記内部電極と連結され、Niを含む第1電極層及び上記第1電極層上に配置され、Ni-Cu合金を含む第2電極層を含む外部電極とを含み、上記第1電極層は、上記第1面から第6面のうち第3面及び第4面にのみ配置され、上記第2電極層は、上記第1面、第2面、第5面及び第6面のそれぞれの一部まで延びることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果の一つとして、めっき時に発生する水素ガスの浸透を防止して信頼性に優れる積層型電子部品を提供することができる。
【0012】
本発明の様々な効果の一つとして、放射クラックの発生が抑制された積層型電子部品を提供することができる。
【0013】
本発明の様々な効果の一つとして、反り強度に優れる積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図2】
図1の積層型電子部品の本体を概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【
図4】
図1のI-I’線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【
図5】
図1のII-II’線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による積層型電子部品の断面のSEM(Scanning Electronic Microscope)イメージである。
【
図8】
図7のD1地点をEDS(Energy Disperse X-ray Spectrometer)で分析した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及びサイズなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0016】
なお、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面に示された各構成のサイズ及び厚さは説明の便宜のために任意で示したため、本発明が必ずしも図示によって限定されるものではない。また、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、
図2は、
図1の積層型電子部品の本体を概略的に示した斜視図であり、
図3は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して概略的に示した分解斜視図であり、
図4は、
図1のI-I’線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、
図5は、
図1のII-II’線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
【0018】
図1~
図5を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される内部電極121、122を含む本体110と、上記内部電極と連結され、Niを含む第1電極層131a、132a及び上記第1電極層上に配置され、Ni-Cu合金を含む第2電極層131b、132bを含む外部電極131、132とを含み、上記第2電極層のCu含有量は、Ni及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molであることができる。
【0019】
上述のように、積層セラミックキャパシタの外部電極上のニッケル(Ni)及び/またはスズ(Sn)めっき層の形成時にめっき液が内部に浸透するか、めっき時に発生する水素ガスが内部電極に浸透して積層セラミックキャパシタの絶縁抵抗が劣化し、これにより積層セラミックキャパシタの信頼性が低下することがある。
【0020】
しかし、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の外部電極131、132は、Ni-Cu合金を含む第2電極層131b、132bを含み、上記第2電極層のCu含有量がNi及びCu合計含有量100molに対して70mol~90molを満たすことで、水素ガスの内部電極121、122の内部への浸透を防いで、積層型電子部品100の信頼性をより向上させることができる。
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100に含まれる各構成についてより詳細に説明する。
【0022】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように、本体110は六面体状またはこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮やエッジ部の研磨により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0023】
本体110は、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面1、2と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、第1面から第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有することができる。
【0024】
本体110は、第1面と第3面を連結する第1-3コーナーC1-3、上記第1面と第4面を連結する第1-4コーナーC1-4、上記第2面と第3面を連結する第2-3コーナーC2-3、上記第2面と第4面を連結する第2-4コーナーC2-4を含むことができる。また、第1面と第5面を連結する第1-5コーナー、第1面と第6面を連結する第1-6コーナー、第2面と第5面を連結する第2-5コーナー、第2面と第6面を連結する第2-6コーナーを含むことができる。上記コーナーは、本体110の各面を連結するエッジを別の工程を行ってラウンド処理するにつれてラウンド形態を有することもできる。本体110の第1面から第6面は、概ね平坦な面であることができ、平坦でない領域をコーナーとして見なすことができる。
【0025】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0026】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを用意した後、上記セラミックグリーンシートを焼成することで形成することができる。セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム系(BaTiO3)系粉末を用いることができる。
【0027】
誘電体層の平均厚さtdは特に限定する必要はない。一方、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成するためには、誘電体層111の厚さを薄くして積層数を増加させる必要があるが、従来の場合、誘電体層111の厚さが薄くなるほど絶縁抵抗の劣化が発生しやすくなり、これによって積層型電子部品100の信頼性が低下するという問題点がある。
【0028】
一方、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の場合、第2電極層131b、132bがNi-Cu合金を含み、上記第2電極層のCu含有量がNi及びCu合計含有量100molに対して70mol~90molを満たすことで誘電体層の平均厚さteは0.4μm以下であることができ、この場合、本発明による信頼性の向上効果がより顕著になることができる。
【0029】
ここで、誘電体層の平均厚さtdは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。誘電体層の平均厚さtdは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、1つの誘電体層111の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、後述する容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0030】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置されることができ、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されることができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0031】
複数の第1内部電極121は、それぞれ第4面4と離隔し、第3面3と連結されるように配置されることができる。また、複数の第2内部電極122は、それぞれ第3面3と離隔して第4面4と連結されるように配置されることができる。
【0032】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上であることができ、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に所定の厚さで導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することで形成されることができる。内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
内部電極の平均厚さteは特に限定する必要はない。このとき、内部電極121、122の厚さは、内部電極121、122の第1方向への長さを意味することができる。一方、上述したように、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100の場合、第2電極層131b、132bがNi-Cu合金を含み、上記第2電極層のCu含有量がNi及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molを満たすことで内部電極の平均厚さteは0.4μm以下であることができ、この場合、本発明による信頼性の向上効果が顕著になることができる。
【0035】
ここで、内部電極の平均厚さteは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、1つの内部電極121、122の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、後述する容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0036】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122を含んで、容量が形成される容量形成部Acと容量形成部Acの第1方向に向かい合う両端面上に配置される第1カバー部112及び第2カバー部113を含むことができる。カバー部112、113は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ構成を有することができる。
【0037】
カバー部の平均厚さtcは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、カバー部の平均厚さtcは20μm以下であることができる。上述したように、カバー部の平均厚さtcが20μm以下である場合にも、第2電極層131b、132bのCu含有量がNi及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molを満たすことで積層型電子部品100の信頼性をより向上させることができる。ここで、カバー部の平均厚さtcは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0038】
カバー部112、113の平均厚さは、カバー部112、113の第1方向への平均長さを意味することができ、本体110の第1方向及び第2方向の断面で等間隔の5つの地点で測定した第1方向への長さを平均した値であることができる。
【0039】
本体110は、容量形成部Acの第3方向に向かい合う両端面上に配置されるマージン部114、115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面において、内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。このとき、マージン部114、115は、本体110の第5面5と連結される第1マージン部114及び本体110の第6面6と連結される第2マージン部115を含むことができる。
【0040】
マージン部114、115は、内部電極121、122を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0041】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて、内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することで形成されたものであることができる。または、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極121、122が本体の第5面及び第6面5、6と連結されるように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向に向かい合う両端面上に積層することでマージン部114、115を形成することもできる。
【0042】
マージン部114、115の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、マージン部114、115の平均厚さは20μm以下であることができる。上述したように、マージン部114、115の平均厚さが20μm以下である場合にも、第2電極層131b、132bのCu含有量がNi及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molを満たすことで積層型電子部品100の信頼性をより向上させることができる。ここで、マージン部114、115の平均厚さは、第1マージン部114及び第2マージン部115のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0043】
マージン部114、115の平均厚さは、マージン部114、115の第3方向への平均長さを意味することができ、本体110の第1方向及び第3方向の断面で等間隔の5つの地点で測定した第3方向への長さを平均した値であることができる。
【0044】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置されることができ、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。
【0045】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置され、内部電極121、122と連結され、Niを含む第1電極層131a、132a、上記第1電極層上に配置され、Ni-Cu合金を含む第2電極層132a、132b及び上記第2電極層上に配置される第3電極層131c、132cを含むことができる。
【0046】
第1電極層131a、132aは、Niを含むことにより放射クラックが発生することを抑制することができる。第1電極層に含まれる金属としてCuを用い、内部電極がNiを含む場合、NiがCuに拡散する速度に比べてCuがNiに拡散する速度がはるかに速いため、大量のCuが内部電極側に拡散するにつれて内部電極の体積が膨張するようになり、これによって放射クラックが発生するおそれがある。
【0047】
本発明では、第1電極層131a、132aがNiを含むことにより、第1電極層131a、132aがCuを含む場合に比べて内部電極の体積が膨張することを抑制することができ、これにより放射クラックが発生することを抑制することができる。また、内部電極がNi以外の金属を含む場合にも、Agを除いたほとんどの金属よりCuの拡散速度が速いため、第1電極層131a、132aがNiを含むことによって第1電極層131a、132aがCuを含む場合に比べて内部電極の体積が膨張することを抑制することができる。
【0048】
この観点から第1電極層131a、132aが含むNiの含有量は、第2電極層131b、132bが含むNiの含有量よりも多いことができる。すなわち、内部電極121、122と連結される第1電極層131a、132aが含むNiの含有量が第2電極層131b、132bが含むNiの含有量より多いことで、内部電極の体積が膨張することを抑制し、これにより放射クラックが発生することを防止することができる。
【0049】
第1電極層131a、132a及び第2電極層131b、132bのNi含有量は、本体の第3方向の中央において第1及び第2方向に切断した第1及び第2電極層の断面を1000倍以上の倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したイメージを得た後、上記イメージをエネルギー分散型分光分析法(EDS)を介して成分分析することで測定したものであることができる。
【0050】
一実施形態において、第1電極層131a、132aは、上記本体110の第1面から第6面のうち第3面及び第4面にのみ配置されることができる。これにより、積層型電子部品100の反り強度を向上させることができ、積層型電子部品のサイズが大きくなることを防止して単位体積当たり容量を向上させることができる。
【0051】
但し、めっき工程によって発生した水素ガス及び/または外部水分は、内部電極121、122までの距離が短い本体110のコーナーに浸透する傾向があるため、第1外部電極131の第1電極層131aの端部は、第1-3コーナーC1-3及び第2-3コーナーC2-3上に配置されることができ、第2外部電極132の第1電極層132aの端部は、第1-4コーナーC1-4及び第2-4コーナーC2-4上に配置されることができる。これにより、水素ガス及び/または外部水分が本体110のコーナーに浸透することを抑制することができる。
【0052】
一実施形態において、本体110の第1方向の中央で測定した第1電極層131a、132aの厚さをt1、本体110の第1方向の最外側に配置された内部電極で測定した第1電極層131a、132aの厚さをt1’とすると、t1’/t1は0.8以上1.0以下であることができる。第1電極層131a、132aが均一な厚さを有するにつれて、第1電極層の厚さを薄く形成することができ、積層型電子部品の単位体積当たり容量を向上させることができる。
【0053】
一方、t1’/t1を0.8以上1.0以下に制御する方法は特に限定する必要はない。例えば、Niを含むシートを本体110の第3面及び第4面3、4に転写した後に焼成するか、Niを含むシートに本体110を圧着して上記シートを本体110に付着させて焼成する工程により、t1’/t1を0.8以上1.0以下に制御することができる。t1及びt1’は、本体の第3方向の中央において第1及び第2方向に切断した第1電極層の断面を2000倍以上の倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察して測定したものであることができる。
【0054】
また、第1電極層131a、132aの平均厚さは特に限定する必要はないが、積層型電子部品の単位体積当たり容量の向上のために9μm以下であることができる。第1電極層131a、132aの平均厚さは、積層型電子部品を本体110の第3方向の中央において第1及び第2方向に切断した断面で測定したものであることができ、第1方向に均一な間隔を有する5つの地点で測定した厚さを平均した値であることができる。また、本体110の第3方向の中央で第1電極層131a、132aの第1及び第2方向の断面を2000倍以上の倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察して測定したものであることができる。第1電極層131a、132aの平均厚さの下限は特に限定する必要はないが、例えば0.1μm以上であることができる。
【0055】
一実施形態において、第1電極層131a、132aはガラスをさらに含むことができる。本体110の第3面及び第4面3、4上に配置される第1電極層131a、132aがガラスを含むことにより、本体110との結合力を向上させることができる。
【0056】
第2電極層131b、132bはNi-Cu合金を含むことができる。第2電極層131a、132aがNi-Cu合金を含むことにより、第2電極層がNiまたはCuを単独で含む場合に比べて水素ガスの内部電極121、122への浸透を抑制することができる。
【0057】
このとき、第2電極層131b、132bのCu含有量は、Ni及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molであることができる。第2電極層131b、132bのCu含有量がNi及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molを満たすことで水素ガスの内部電極121、122への浸透をより効果的に抑制して積層型電子部品の絶縁抵抗及び信頼性が向上することができる。
【0058】
本出願人は、第2電極層131b、132bがNi-Cu合金を含む場合、第2電極層がNiまたはCuを単独で含む場合に比べて水素ガスの浸透を抑制することができることが確認でき、特に第2電極層131b、132bのCu含有量がNi及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molを満たすと、水素浸透の抑制効果がさらに顕著になることを確認した。
【0059】
すなわち、第2電極層131b、132bのCu含有量が70モル未満または90モル超過である場合、第2電極層131b、132bの緻密度が低下して電極形成が不可能になるか、第2電極層131b、132bに発生した空孔(pore)を介して水素ガス及び/または外部水分が本体110の内部に容易に浸透し、積層型電子部品の信頼性が低下することがある。
【0060】
第2電極層131b、132bは、本体110の第1面、第2面、第5面及び第6面1、2、5、6のそれぞれの一部まで延びることもでき、これにより本体110のコーナーを介した水素ガス及び/または外部水分の浸透をさらに効果的に抑制することができる。
【0061】
第2電極層131b、132bのCu含有量は、本体の第3方向の中央において第1及び第2方向に切断した第2電極層の断面を1000倍以上の倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したイメージを得た後、第2電極層のガラス領域を除いた金属領域内で互いに1μm以上離れた任意の10個の地点をエネルギー分散型分光分析法(EDS)を介して成分分析し、測定された10個の地点におけるCu含有量を平均した値であることができる。
【0062】
一実施形態において、第2電極層131b、132bのNi及びCuの合計合計量100molに対するCu含有量の標準偏差は3.21mol以下であることができる。第2電極層131b、132bのCu含有量の標準偏差がNi及びCuの合計含有量100molに対して3.21mol以下を満たすということは、第2電極層131b、132bに含まれたCuが第2電極層131b、132b内に均一に分布するということを意味することができる。
【0063】
第2電極層131b、132bのCu含有量の標準偏差がNi及びCuの合計含有量100molに対して3.21mol以下を満たす場合、第2電極層131b、132b内にCuが均一に分布することで第2電極層131b、132bが水素ガスの浸透に脆弱な領域を含まないことができる。第2電極層131b、132bのCu含有量の標準偏差の下限は特に制限されないが、例えば、Ni及びCuの合計含有量100molに対して0.01mol以上であることができる。
【0064】
一方、第2電極層131b、132bのCu含有量の標準偏差を3.21mol以下に制御する方法は特に限定する必要はない。例えば、Ni-Cu合金粉末を含む導電性ペーストを介して第2電極層を形成するか、上記塗布された導電性ペーストを焼成する条件を制御することで第2電極層131b、132bのCu含有量の標準偏差を3.21mol以下に制御することができる。
【0065】
第2電極層131b、132bのCu含有量の標準偏差は、本体の第3方向の中央において第1及び第2方向に切断した第2電極層の断面を1000倍以上の走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したイメージを得た後、第2電極層のガラス領域を除いた金属領域内で互いに1μm以上離れた任意の10個の地点をエネルギー分散型分光分析法(EDS)を介して成分分析し、測定された各地点のCu含有量によって測定したものであることができる。
【0066】
第2電極層131b、132bは、Sn、Bi、Al、Ag、Zn、Au、In、Ga、Ge、Si及びこれらの合金のうち1つ以上をさらに含むことができる。上記金属は、Ni-Cu合金とともに水素ガスの浸透を効果的に抑制することができる。
【0067】
第2電極層131b、132bはガラスをさらに含むことができる。第2電極層131b、132bに含まれたガラスは、第2電極層を形成する導電性ペーストに含まれた金属粉末、例えば、Ni-Cu合金粉末が焼成過程で収縮するときに発生する空孔(pore)を充填することで第2電極層の緻密度を高めることができる。
【0068】
第3電極層131c、132cは実装特性を向上させることができる。第3電極層131c、132cの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及び/またはこれらを含む合金などを含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることもできる。第3電極層131c、132cは、例えば、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることもできる。また、第3電極層131c、132cは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0069】
第1外部電極131は、本体110の第3面上に配置された第1接続部A1と、第1接続部から本体110の第1面、第2面、第5面及び第6面のそれぞれの一部まで延びる第1バンド部B1を含み、第2外部電極132は、本体110の第4面上に配置された第2接続部A2と、第2接続部から本体110の第1面、第2面、第5面及び第6面のそれぞれの一部まで延びる第2バンド部B2を含むことができる。
【0070】
バンド部B1、B2の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、一実施形態において、バンド部B1、B2の平均厚さは10μm以上であることができる。ここで、バンド部B1、B2の厚さとは、バンド部B1、B2の第1方向への長さを意味し、第1バンド部B1及び第2バンド部B2のそれぞれの平均厚さを意味する。バンド部B1、B2は、接続部A1、A2よりも厚さが比較的薄いため、水素ガスの浸透が容易であることができる。したがって、バンド部B1、B2の平均厚さが10μm以上に形成して、水素ガスの浸透をより効果的に抑制することができる。一方、バンド部B1、B2の平均厚さの上限は特に限定する必要はないが、単位体積当たり容量を考慮して15μm以下であることができる。
【0071】
バンド部B1、B2の平均厚さは、第2方向に均一な間隔を有する5つの地点で測定した厚さを平均した値であることができる。また、本体の第3方向の中央で外部電極131、132の第1方向及び第2方向の断面を2000倍以上の倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察して測定したものであることができる。
【0072】
同様の観点から第1バンド部B1の第2方向への長さL1は特に限定する必要はないが、例えば10μm以上であることができる。第1バンド部の第2方向への長さL1が10μm以上である場合、水素ガスの浸透をより効果的に抑制することができる。一方、第1バンド部の第2方向への長さL1の上限は特に限定する必要はないが、例えば15μm以下であることができる。また、第2バンド部B2は、第1バンド部B1と第2方向において対称となる関係であることができるため、第2バンド部B2にも同様に適用することができる。
【0073】
ここで、第1バンド部B1の第2方向への長さL1は、本体110の第3面から第1外部電極131の端までの第2方向の距離を意味し、第2バンド部B2の第2方向への長さは、本体110の第4面から第2外部電極132の端までの第2方向の距離を意味することができる。また、バンド部B1、B2の第2方向への長さは、本体の第3方向の中央で外部電極131、132の第1方向及び第2方向の断面を2000倍以上の倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察して測定したものであることができる。
【0074】
【0075】
本発明の変形例によると、第1電極層131a’、132a’はNiめっき層であることができる。第1電極層131a’、132a’がNiめっき層である場合、上述した放射クラックをさらに効果的に抑制することができ、外部電極131’、132’の厚さを低減することで単位体積当たり容量が向上することができる。
【0076】
以下、本発明の他の一実施形態に係る積層型電子部品について説明する。但し、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、上述した本発明の一実施形態に係る積層型電子部品と同様の構成を有することができる。したがって、上述した本発明の一実施形態と重複する説明は省略する。
【0077】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される内部電極121、122を含み、上記第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を含む本体と、上記内部電極と連結され、Niを含む第1電極層131a、132a及び上記第1電極層上に配置され、Ni-Cu合金を含む第2電極層131b、132bを含む外部電極131、132とを含み、上記第1電極層131a、132aは上記第1面から第6面のうち第3面及び第4面にのみ配置され、上記第2電極層131b、132bは、上記第1面、第2面、第5面及び第6面のそれぞれの一部まで延びることができる。
【0078】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、第1電極層131a、132aが上記本体110の第1面から第6面のうち第3面及び第4面にのみ配置されることで積層型電子部品100の反り強度を向上させることができ、積層型電子部品のサイズが大きくなることを防止して単位体積当たり容量を向上させることができる。
【0079】
また、第2電極層131a、132aがNi-Cu合金を含むことで、第2電極層がNiまたはCuを単独で含む場合に比べて水素ガスの内部電極121、122への浸透を抑制することができ、第2電極層131b、132bが本体110の第1面、第2面、第5面及び第6面1、2、5、6のそれぞれの一部まで延びることで本体110のコーナーを介した水素ガス及び/または外部水分の浸透をさらに効果的に抑制することができる。これにより、絶縁抵抗が劣化することを抑制し、積層型電子部品の信頼性をより向上させることができる。
【0080】
(実験例)
<第2電極層のCu含有量及び標準偏差の分析>
まず、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末を含むスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数個のセラミックグリーンシートを用意した。この後、上記セラミックグリーンシート上に内部電極用導電性ペーストを塗布し、上記内部電極用導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを複数回積層した後、焼成して誘電体層及び内部電極を含む本体を形成した。
【0081】
上記本体上にNiを含むシートに本体を圧着して上記シートを本体に付着させて焼成して第1電極層を形成した後、上記第1電極層が形成された本体をNi-Cu合金粉末を含む導電性ペーストにディッピング(dipping)した後、焼成して第1電極層上に第2電極層を形成されたサンプルチップを用意した。
【0082】
図7は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の断面のSEM(Scanning Electronic Microscope)イメージである。
【0083】
図7に示したように、サンプルチップを本体110の第3方向の中央において第1及び第2方向に切断した後、第2電極層131b、132bの断面を1000倍の倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したイメージを得た。この後、上記イメージにおいて第2電極層131b、132bのガラス領域gを除いた金属領域m内で互いに1μm以上離れた任意の10個の地点D1~D10をエネルギー分散型分光分析法(EDS)を介して成分分析した。
【0084】
図8は、
図7のD1地点をEDS(Energy Disperse X-ray Spectrometer)で分析した結果である。この後、EDS分析結果により測定したD1~D10地点のNi及びCuの合計含有量100molに対するCu含有量を平均した値と、Ni及びCuの合計含有量100molに対するCu含有量の標準偏差を下記表1に記載した。
【0085】
<信頼性テスト>
第2電極層のCu含有量と、Cu含有量の標準偏差による絶縁抵抗を評価するために高温信頼性テストを行った。高温信頼性テストは、下記試験片番号別に各400個のサンプルの第2電極層上にNiめっき層及びSnめっき層を順に形成し、基板上に実装した後、相対湿度85%、85℃条件で定格電圧1.2Vを2時間印加しながら絶縁抵抗を測定する方法で行われた。このとき、全てのサンプルの絶縁抵抗が107Ω以上を維持すると良好(O)、1つのサンプルでも絶縁抵抗が107Ω以上を維持できなければ不良(X)と判定して下記表1に記載した。
【0086】
【0087】
試験片番号1及び7は、Cu含有量がNi及びCuの合計含有量100molに対して70mol未満または90molを超過して信頼性テストで不良が発生したことが確認できた。また、試験片番号1の場合、緻密度が実現されず、第2電極層の形成が不可能であり、これによりCu含有量の標準偏差を測定することができなかった。一方、試験片番号2~6は、第2電極層のCu含有量がNi及びCuの合計含有量100molに対して70mol~90molの範囲内に属し、上記Ni及びCuの合計含有量100molに対するCu含有量の標準偏差が3.21mol以下を満たすことで信頼性テストで不良が発生しないことが確認できた。これにより、第2電極層のCu含有量及びその標準偏差が所定範囲内である積層型電子部品は信頼性に優れることが分かった。
【0088】
本発明は、上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定しようとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【0089】
なお、「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に記載されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0090】
さらに、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素とを区別するために用いるものであり、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名することもでき、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名することもできる。
【符号の説明】
【0091】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 第1電極層
131b、132b 第2電極層
131c、132c 第3電極層
m 金属領域
g ガラス領域