(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106322
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】車両内の技術システムの状態量許容限界値を決定する方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/00 20060101AFI20230725BHJP
B60W 30/02 20120101ALI20230725BHJP
【FI】
B60W50/00
B60W30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023001281
(22)【出願日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】10 2022 200 560.0
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】バイスヴェンガー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ロット,パトリック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両内の技術システムの状態量許容限界値を決定する方法を提供する。
【解決手段】ASIL特性数に基づいてサブシステムの可制御性を確定し、前記可制御性から前記状態量限界値を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における走行状態量に影響を与えることができる、前記車両内の技術システムの状態量許容限界値(MZmax)を決定する方法であって、前記技術システムのリスクポテンシャルを特徴づけるとともに、走行状況の状態量の頻度分布に関連した発生確率(E)に対する特性量と、前記走行状況での誤作動の場合における危険状況の可制御性(C)に対する特性量と、前記危険状況の重大度(S)に対する特性量とから構成されるASIL特性数(Automotive Safety Integrity Level)に基づいており、その際各ASIL特性数に、発生確率(E)と可制御性(C)と重大度(S)との合計から成るASIL合計数(n)が関連付けられている前記方法において、以下の方法ステップを備え、すなわち
-前記技術システムのサブシステム(1)の前記ASIL特性数を設定または決定する方法ステップと、
-前記サブシステム(1)の1つの状態量(ay)の前記頻度分布に関連した現時点での前記発生確率(E)を除いて、且つ、前記サブシステム(1)の1つの状態量(ay)から確定される現時点での前記重大度(S)を除いて、前記サブシステム(1)の前記ASIL合計数(n)から前記サブシステム(1)の前記可制御性(C)を確定する方法ステップと、
-確定した前記サブシステム(1)の前記可制御性(C)を基礎にして、且つ、前記技術システムおよび/または現時点での前記走行状況に対し予め設定したASIL特性数(ASIL D)を考慮して、前記技術システムの前記状態量許容限界値(MZmax)を確定する方法ステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記走行状況が、前記車両における制動過程および/または操舵過程であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サブシステム(1)が、前記車両内のセンサ装置として形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両内の前記技術システムが、自律型または部分自律型ドライバーアシストシステムとして形成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記車両内の前記技術システムが、電子スタビリティコントロールシステムとして形成され、たとえば電子スタビリティプログラム(ESP)として形成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記サブシステム(1)の前記状態量の前記頻度分布に関連した前記発生確率(E)を、前記状態量に関連した前記状態量の分布を示す特性曲線から決定することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記サブシステム(1)の前記状態量が、前記車両の横方向加速度(ay)であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
確定した前記サブシステムの前記可制御性(C)から確定される前記状態量許容限界値は、前記技術システムの障害量に関わるものであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
確定した前記サブシステムの前記可制御性(C)から確定される前記状態量許容限界値(MZmax)は、障害ヨーモーメントに関わるものであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記サブシステム(1)の前記可制御性(C)を基礎にして確定される前記技術システムの前記状態量許容限界値(MZmax)を、前記サブシステムの前記可制御性(C)に由来する実験的関係から算出することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記サブシステム(1)の前記可制御性(C)を基礎にして確定される前記技術システムの前記状態量許容限界値(MZmax)を、物理学的関係から直接に算出するか、または、前記サブシステムの前記可制御性(C)から間接的に算出することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(ブロックC)前記サブシステム(1)の前記可制御性(C)を、前記現時点での発生確率(E)を除いた且つ前記現時点での重大度(S)を除いた前記サブシステム(1)の前記ASIL合計数(n)よりも小さな値にセットすることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項または複数項に記載の方法を実施するために構成されている手段を含む制御器。
【請求項14】
請求項13に記載の制御器を備えた、走行状態量に影響を与えるための、車両内の技術システム、たとえばESPシステム。
【請求項15】
プログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品において、前記プログラムコードは、請求項13による制御器内で前記コンピュータプログラム製品が作動しているときに請求項1~12のいずれか一項に記載の方法のステップを実施するために構成されている、前記コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において走行状態量に影響を与えることができる、車両内の技術システムの状態量許容限界値を決定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両内の技術システムに、当該技術システムのリスクポテンシャルを特徴づけるリスク格付け特性量を関連付けることは公知である。ASIL(Automotive Safety Integrity Level)と呼ばれるリスク格付け特性量は、車両内の種々の技術システムに対しリスクポテンシャルに応じて程度が異なっていてよい。4つのASIL特性数A,B,C,Dの間で区別が行われ、この場合ASIL Aは比較的低いリスクポテンシャルを含むにすぎず、ASIL Dは高いリスクポテンシャルを示している。ブレーキシステムまたは操舵システムのような安全上高い重要性を持つ車両内の技術システムは、通常ASIL Dに格付けされる。
【0003】
ASIL特性数は、走行状況の状態量の頻度分布に関連した発生確率に対する特性量と、この走行状況での誤作動の場合における危険状況の可制御性に対する特性量と、危険状況の重大度に対する特性量とから構成される。これらの特性量のそれぞれに数値が関連付けられ、この場合ASIL特性数は、これら数値の合計から得られる。
【発明の概要】
【0004】
本発明による方法を用いると、ASIL特性数を基礎として、車両内の技術システムの状態量許容限界値を、車両内の技術システムのASIL特性数を遵守できるように決定することが可能である。複数のステップで進行するこの方法では、まず技術システムの構成要素であるサブシステムを観察するが、しかしながら技術システムの内部で固有のASIL特性数を用いて査定する。第1のステップでサブシステムに1つのASIL特性数を割り当てるが、これは、サブシステムのリスクポテンシャルを査定することで定義によって行うか、或いは、サブシステムの異なる特性量に基づいて査定を行い、この査定からASIL特性数を決定できることで、決定または確定によって行う。
【0005】
サブシステムは、観察される技術システムの内部で1つの構成ユニットを形成して、技術システムの実施を実現するために寄与することができる。サブシステムとは、たとえば、走行中に1つまたは複数の走行状態量(たとえば車両の横方向加速度)を検出する車両内のセンサ装置である。
【0006】
サブシステムのASIL特性数を設定した後、次のステップで、発生確率および重大度とともに3つの特性量のうちの1つを示し、ASIL特性数を付加的に構成している、サブシステムの可制御性を確定する。サブシステムの可制御性は、サブシステムの1つの状態量の頻度分布に関連した現時点での発生確率を除いて、且つ、サブシステムの1つの状態量から確定される現時点での重大度を除いて、前もって確定したサブシステムのASIL特性数から決定する。サブシステムの発生確率は、有利な態様では、サブシステムの該当する状態量のフィールドデータまたは実験データに基づいて決定し、この場合フィールドデータまたは実験データは既知のものとして前提とされ、たとえば以前に行った複数の参照走行から既知である。サブシステムの重大度は、たとえば実験データ層に基づいてサブシステムの1つの状態量から決定する。好ましくは、サブシステムの発生確率および重大度の基礎になっている同じ状態量、たとえば車両の横方向加速度が重要である。
【0007】
サブシステムの可制御性を確定した後、次のステップで、可制御性の値を技術システムの状態量許容限界値の検出に取り込む。ここでは、サブシステムの可制御性以外に、技術システム全体に対し適用されるASIL特性数をも考慮する。択一的にまたは付加的に、技術システム全体に関連した現時点での走行状況に対するASIL特性数を考慮してよい。
【0008】
この処置態様により、比較的少ない出発情報を基礎にして、技術システムの状態量許容限界値が決定される。必要なのは、サブシステムおよび技術システムのASIL特性数の認知、サブシステムの発生確率および重大度、並びに、求められる状態量限界値とサブシステムの可制御性およびこれに関係づけられる技術システムのASIL特性数との機能的または実験的関係性である。本発明による方法において決定されるサブシステムの可制御性は、求められる状態量限界値を確定する入口になる。
【0009】
本方法は、異なるサブシステムを含む種々の技術システムと種々の走行状況とに適用可能である。考慮に値するのは、たとえば制動過程、加速過程および/または操舵過程を含んでいる走行状況への適用である。これに対応して、本方法は縦方向および/または横方向における動的走行状況に適用可能である。サブシステムの現時点での重大度が検出されるサブシステムの状態量を観察する場合、問題になるのはたとえば車両の横方向加速度である。
【0010】
車両内の技術システムの部分システムとして機能するサブシステムは、たとえば車両内のセンサ装置として形成され、このセンサ装置を介して1つまたは複数の車両状態量を、車両の縦方向ダイナミックスおよび/または横方向ダイナミックスのために、場合によっては鉛直方向ダイナミックスのためにも確定することができる。センサ装置を介して、たとえば、とりわけ車両の横方向加速度を確定可能である。センサ装置には、実施態様に応じて特定のASIL値を関係づけることができ、たとえば値ASIL B、または、異なるセンサ源の組み合わせによってより高いASIL特性数、たとえばASIL Cを関係づけることができる。この場合ASIL特性数は、センサ装置を用いて確定される特定の状態量に関わるものであってよく、たとえば横方向加速度に関わるものであってよい。
【0011】
本方法は、車両内の種々の技術システムおよび種々の走行状況に適用することができる。有利な実施形態では、本発明が関わる車両内の技術システムは、自律型または部分自律型ドライバーアシストシステムとして形成されている。自律型または部分自律型ドライバーアシストシステムとは、例を挙げると、たとえば電子スタビリティプログラムESPのような電子スタビリティシステムである。ドライバーアシストシステムの場合、車両内の技術システムは車両内のブレーキシステムおよび駆動システムのような種々の構成ユニットを含んでいてよい。
【0012】
サブシステムの可制御性のために確定されねばならず、状態量の頻度分布に関わる、サブシステムの状態量の現時点での発生確率は、有利な実施形態によれば、この状態量の分布を同じ状態量に関連して示す特性曲線から決定することができる。この特性曲線とは、有利な態様では、実験データを基礎とする特性曲線である。
【0013】
また、更なる有利な実施形態によれば、状態量許容限界値は技術システムの障害量に関わる。障害量とは、たとえば車両の障害モーメントである。サブシステムの可制御性を基礎にした状態量許容限界値の算出は、更なる有利な実施形態によれば、可制御性に由来する実験的関係から算出することができる。択一的に、物理学的関係も考慮に値する。
【0014】
また、更なる有利な実施形態によれば、サブシステムの可制御性を、現時点での発生確率を除いた且つ現時点での重大度を除いたサブシステムのASIL合計数よりも小さな値にセットする。安全上の理由から、可制御性を、発生確率を除いた且つ重大度を除いたASIL合計数から生じる値よりも小さな値にセットし、特に値1だけ減少させる。
【0015】
本発明は、さらに、上述の方法を実施するために構成されている手段を含む制御器に関する。前記手段は、少なくとも1つの記憶ユニットと、少なくとも1つの演算ユニットと、制御器入力部と、制御器出力部とを含んでいる。制御器を用いて、特に技術システムの調整可能な構成要素を起動でき、たとえば技術システムを電子スタビリティプログラムとして実施していれば、たとえばESPポンプのようなブレーキシステムの構成ユニットを起動することができる。制御器においては、たとえばドライブダイナミックスコントロールを実施する場合、状態量限界値を考慮することができる。
【0016】
本発明は、さらに、たとえばESPシステムのような車両内の技術システムに関し、この場合技術システムを用いて1つの走行状態量または複数の走行状態量に影響を与えることができる。技術システムは、上述の制御器を備えるように構成されている。
【0017】
本発明は、さらに、上述の方法ステップを実施するために構成されているプログラムコードを備えたコンピュータプログラム製品に関する。コンピュータプログラム製品は、上述の制御器内で作動する。
【0018】
更なる利点および合目的な実施形態は、他の請求項、図面を用いた説明および図面から読み取れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ASIL特性数を考慮して車両内の技術システムの状態量許容限界値を決定するための方法ステップを備えたブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
状態量許容限界値を決定するための方法のスケジュールが
図1に図示されている。状態量限界値は、たとえばブレーキシステムへの自動介入を実施することができる電子スタビリティプログラムESPのような車両内の技術システムに適用する。ESPシステムの基礎になっているのは、ブロック1で車両のセンサ装置を介して検知されるセンサ情報である。これは、特に、速度面上および加速度面上での車両縦方向および車両横方向における車両状態量を問題としている。車両高さ方向軸線のまわりでのヨーモーメントも検知してよい。
【0021】
センサ装置を備えたブロック1は、車両の技術システム(ESPシステム)におけるサブシステムを示している。ブロック1によるサブシステムは、技術システムの構成要素と見なすことができ、この場合センサ情報は車両内の他のシステムにも提供される。
【0022】
この方法の目的は、ブロック5の出口で、安全上の理由から、技術システム内で越えてはならない状態量許容限界値を提供することである。
図1および
図2の具体的な実施形態では、状態量許容限界値とは許容障害ヨーモーメントである。
【0023】
この方法は、ブロック1によるセンサ装置のサブシステムに対しても、技術システム全体に対しても、ASIL特性数を利用する。ASIL特性数は、状態量の頻度分布に関連した発生確率Eに対する特性量と、走行状況での誤作動の場合における危険状況の可制御性Cに対する特性量と、危険状況の重大度Sに対する特性量とからその都度付加的に構成される。発生確率Eと可制御性Cと重大度Sとの合計から成るASIL合計数Nは、最大で値10を占めることができる。発生確率Eは整数値1と4の間にあり、この場合1は極めて稀である、4は常にある、を示している。可制御性Cは整数値0と3の間にあり、この場合0は誰にでも制御可能を意味し、3は特定の人間グループにとっては90%以下で制御可能と見なされる。重大度Sは整数値0と3の間にあり、この場合0は危険なしを意味し、3は潜在的に重傷および死を意味している。
【0024】
ASIL合計数Nは、通常は7と10の間の値範囲内にある。N=7はASIL Aで特徴づけられ、N=8はASIL Bで、N=9はASIL Cで、N=10はASIL Dで特徴づけられている。ASIL Aは最も低い安全レベルを示し、ASIL Dは最も高い安全レベルを示している。
【0025】
たとえばブレーキシステムのような、車両において安全上重要な技術システムに対しては、通常ASIL Dが適用される。
【0026】
十分な安全性を備えた技術システムにおいて危険状況を回避するには、発生確率Eに対する特性量と、可制御性Cに対する特性量と、重大度Sに対する特性量との合計が、関連付けられているASIL合計数Nよりも小さくなければならない。
【0027】
E+C+S<n(ASIL)
【0028】
たとえば技術システムにはASIL Dの査定がされているので(N=10)、E+C+Sの合計は9あればよい。
【0029】
ブロック1によるセンサ装置は横方向加速度ayを提供し、横方向加速度に対し、本実施形態では特性数ASIL Cが設定されている。ブロック2による次の方法ステップで、測定された横方向加速度ayをイメージ化して現時点での発生確率Eを形成させ、これは実験によるフィールドデータを用いて実施する。本実施形態では、発生確率Eはおよそ値3である。
【0030】
次のブロック3による方法ステップで、可制御性Cに付属の値を確定する。ブロック3は、入力量として、発生確率Eと、重大度Sと、ブロック1のサブシステム、すなわちセンサ装置のASIL特性数とを含んでいる。重大度Sは、安全上の理由から最大値3にセットする。ASIL特性数はほぼCであり、このことはASIL特性数N=9に相当している。これらの入力量を用いて、
【0031】
C<n(ASIL)-E-S
【0032】
の関係から、ブロック1によるサブシステムの可制御性Cを確定する。N=9,E=3,S=3に対しては、前記の不等式から、可制御性Cに対する値が得られ、この値は3よりも小さくなければならず、したがって値2にセットする。
【0033】
可制御性Cのこの値は、入力量として次のブロック4へ流れ込み、ブロック4において可制御性Cから最大許容障害ヨーレート
【数1】
を確定し、最大許容障害ヨーレートは、エラー介入効果と結果的に得られる可制御性との間の関係を確立している。障害ヨーレート
【数2】
は、実験的関係から確定することができる。
【0034】
ブロック4で確定された許容障害ヨーレート
【数3】
は、入力量として次のブロック5に取り込み、ブロック5で許容障害ヨーモーメントM
Zmaxを確定する。これは、たとえば車両の数学的代替モデルをベースにして、物理学的関係を用いて行う。ブロック4での障害ヨーレート
【数4】
の確定も、ブロック5での障害ヨーモーメントM
Zmaxの確定も、技術システムに対するASIL特性数Dが基礎になっている。
【0035】
図2には、ブロック5が詳細に図示されている。カーブ内側回転事例(ブロック5.1、ブロック5.2)とカーブ外側回転事例(ブロック5.3、ブロック5.4)とに対して別個の観察を行い、このことは物理学的に発生したものであり、結果的に振幅が異なる。しかしながら、基本的な物理学的モデルはカーブ内側回転事例に対してもカーブ外側回転事例に対しても同一であり、単に入力側での許容障害ヨーレート
【数5】
に対して異なる符号を与えているにすぎない。
【0036】
ブロック5.1で、カーブ内側回転事例に対し、まず許容ヨーレート変更を行い、これを入力量としてブロック5.2に取り込み、ブロック5.2で、物理学的関係から、カーブ内側回転事例に対する許容ヨーモーメントを確定する。ブロック5.3およびブロック5.4では、カーブ外側回転事例に対する対応的な確定を行う。ブロック5の出口で、内側回転事例および外側回転事例に対する許容ヨーモーメントによって画定された、許容障害ヨーモーメントMZmaxのコリドーが得られる。
【符号の説明】
【0037】
1 サブシステム
ay 横方向加速度(状態量)
C 可制御性
E 発生確率
MZmax 状態量許容限界値
S 重大度
【外国語明細書】