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特開2023-106345組織との接触及び電流送出を改善するための球状バスケットを形成する単一螺旋電極組立体のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106345
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】組織との接触及び電流送出を改善するための球状バスケットを形成する単一螺旋電極組立体のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230725BHJP
   A61N 1/32 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
A61B18/14
A61N1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023006417
(22)【出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/301,096
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/065,766
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・マーク・オカルスキ
(72)【発明者】
【氏名】ケシャバ・ダッタ
(72)【発明者】
【氏名】アブバカール・バー
(72)【発明者】
【氏名】タン・グエン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C160
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ23
4C160KK17
4C160KK36
4C160KK38
4C160KK57
4C160KK63
4C160KK64
4C160MM33
(57)【要約】
【課題】医療用プローブを提供すること。
【解決手段】本開示の技術は、近位端及び遠位端を有する管状シャフトを含む医療用プローブを含む。管状シャフトは、長手方向軸に沿って延在することができる。医療用プローブは、管状シャフトの遠位端に近接する拡張可能なバスケット組立体を含むことができる。拡張可能なバスケット組立体は、折り畳まれた形態で長手方向軸に沿って略直線状に延在し、拡張形態で略球状の外周を画定する螺旋部材を形成する弾性材料を備える単一のスパインを含むことができる。1つ又は2つ以上の電極を単一のスパインに結合することができる。各電極は、電極の重心に対してオフセットされたルーメンを含むことができ、単一のスパインが1つ又は2つ以上の電極の各々のルーメンを通って延在する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブであって、
近位端及び遠位端を有し、長手方向軸に沿って延在する管状シャフトと、
前記管状シャフトの前記遠位端に近接する拡張可能なバスケット組立体であって、
折り畳まれた形態で前記長手方向軸に沿って略直線状に延在し、拡張形態で略球状の外周を画定する螺旋部材を形成する弾性材料を備える単一のスパインと、
前記単一のスパインに結合された1つ又は2つ以上の電極であって、各電極が前記電極の重心に対してオフセットされたルーメンを備え、前記単一のスパインが前記1つ又は2つ以上の電極の各々の前記ルーメンを通って延在する、1つ又は2つ以上の電極とを備える、拡張可能なバスケット組立体と、を備える医療用プローブ。
【請求項2】
前記単一のスパインは、第1の端部と第2の端部とを備え、前記第1の端部は、前記管状シャフトの前記遠位端に近接して位置付けられており、前記第2の端部は、前記折り畳まれた形態では前記医療用プローブの遠位端に近接して位置付けられている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項3】
前記拡張形態では、前記単一のスパインは、(1)前記第1の端部から前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記単一のスパインに沿って位置付けられた第1の位置まで外向きに、且つ(2)前記第1の位置から前記第2の端部まで内向きに、螺旋状になるように構成されている、請求項2に記載の医療用プローブ。
【請求項4】
前記単一のスパインは、前記弾性材料の平面シートから形成される単一の一体構造を備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項5】
前記単一のスパインは、前記略球状の外周を形成するようにコイル状に巻かれた前記弾性材料の連続した細長い片を備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項6】
前記単一のスパインはニチノールを備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項7】
前記単一のスパインは、略扁球形状を形成している、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項8】
前記管状シャフトの前記遠位端に近接して配置されたスパイン保持ハブを更に備え、前記スパイン保持ハブは、レリーフランドを備える円筒状部材を含み、前記レリーフランドは、前記円筒状部材の外面上に配置され、前記単一のスパインが前記レリーフランド内に嵌合され、その中に保持されることを可能にし、前記スパイン保持ハブは、前記スパイン保持ハブの遠位部分に配置された少なくとも1つの電極を更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項9】
各電極は、ワイヤが前記ルーメンに隣接して延在することを可能にするように、前記ルーメンに隣接するレリーフを備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項10】
前記ワイヤは、前記単一のスパインから電気的に絶縁されており、前記1つ又は2つ以上の電極のうちの1つの電極に電気的に接続されている、請求項9に記載の医療用プローブ。
【請求項11】
前記ワイヤの少なくとも一部は、第1の導電性を有する導電性コア材料と、前記第1の導電性よりも低い第2の導電性を有し、前記導電性コア材料を取り囲む導電性カバー材料と、前記導電性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットとを備える、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項12】
前記ワイヤの少なくとも一部は、複数のストランドと、前記複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットとを備え、
前記複数のストランドのうちの各ストランドは、それぞれ、第1の導電性を有する導電性コア材料と、前記第1の導電性よりも低い第2の導電性を有し、前記導電性コア材料を取り囲む導電性カバー材料とを備える、請求項10に記載の医療用プローブ。
【請求項13】
前記1つ又は2つ以上の電極は、不可逆的エレクトロポレーションのための電気パルスを送出するように構成されており、前記パルスは、少なくとも900ボルト(V)の電圧を有する、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項14】
前記管状シャフトの前記遠位端に近接して配置された灌注開口部を更に備え、前記灌注開口部は、前記1つ又は2つ以上の電極に近接する領域に灌注流体を送出するように構成されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項15】
前記単一のスパインの上、且つ前記それぞれの電極の前記ルーメン内に配置された絶縁スリーブを更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項16】
前記絶縁スリーブは、支柱が通って延在する第1のルーメンと、電気ワイヤが通って延在する第2のルーメンとを備え、前記第1のルーメン及び前記第2のルーメンは互いに別個である、請求項15に記載の医療用プローブ。
【請求項17】
各電気絶縁スリーブの断面形状は、実質的に台形形状を備える、請求項16に記載の医療用プローブ。
【請求項18】
医療用プローブを作製する方法であって、
単一のスパインを形成するために2つの接続された螺旋を弾性材料の平面シートに切断することと、
前記単一のスパインを略球状螺旋形状を有する所定の形状に形成することであって、前記単一のスパインが、折り畳まれた形態にある時の細長い形状から拡張形態にある時の前記所定の形状に移行するように構成される、ことと、
電極の少なくとも1つのルーメンを通して前記単一のスパインを挿入することと、
血管系を横断するようにサイズ決定された管状シャフトに前記単一のスパインの端部を嵌合することであって、前記単一のスパインの第1の端部が前記管状シャフトの遠位端の近位に位置付けられ、前記単一のスパインの第2の端部が前記医療用プローブの遠位端に近接して位置付けられる、こととを含む、方法。
【請求項19】
前記拡張形態にある時、前記単一のスパインは、(1)前記第1の端部から前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記単一のスパインに沿って位置付けられた第1の位置まで外向きに、且つ(2)前記第1の位置から前記第2の端部まで内向きに、螺旋状になるように構成されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
2つの接続された螺旋を弾性材料の平面シートに切断することは、前記2つの螺旋を接続する直線部分を形成することを更に含み、前記直線部分は、各それぞれの螺旋の中心点から最も遠い各螺旋のそれぞれの端部に近接して前記2つの螺旋に接続されている、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年1月20日に出願された先に出願された米国仮特許出願第63/301,096号に対する米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張し、その全内容は、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に医療デバイス、特に電極を有するカテーテルに関し、更に、心臓組織の不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を誘発するための使用に好適なカテーテルに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0003】
心房細動(atrial fibrillation:AF)などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝達する時に生じる。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することがある。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。
【0004】
当該技術分野における多くの現在のアブレーションアプローチは、高周波(RF)電気エネルギーを利用して組織を加熱する傾向がある。RFアブレーションは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得る熱細胞傷害のリスクが高まるなど、作業者の技能に起因する特定のまれな欠点を有し得る。冷凍アブレーションは、一般に、RFアブレーションに関連する熱リスクを低減するが、そのようなデバイスの非常に低い温度性質に起因して組織損傷を与える可能性があるRFアブレーションの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによってのみ達成される可能性がある特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0005】
いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送出し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用する組織へのIREエネルギーの送出は、特許文献において以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号及び同第2021/0186604(A1)号に開示されており、これらの各々は、参照によりその全体が、あたかも完全に記載されているかのように本出願に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/301,096号の付録に添付されている。
【0006】
心臓組織の領域は、異常な電気信号を識別するためにカテーテルによってマッピングすることができる。同じ又は異なるカテーテルを使用してアブレーションを実行することができる。いくつかの例示的なカテーテルは、その上に電極が位置付けられた多数のスパインを含む。電極は、一般に、スパインに取り付けられ、はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することによって定位置に固定される。更に、複数の直線状スパインは、一般に、直線状スパインの両端を管状シャフト(例えば、プッシャチューブ)に取り付けて球状バスケットを形成することによって一緒に組み立てられる。しかしながら、スパイン及び電極のサイズが小さいことに起因して、スパインに電極を接着し、複数の直線状スパインから球状バスケットを形成することは困難な作業であり得、製造時間及びコストを増加させ、不適切な結合又は位置ずれに起因して電極が機能しなくなる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、必要とされているのは、バスケット組立体の全体的な製造の複雑さを低減しながらも、拡張状態にある時に電極を適切な位置に位置付けることができる改善されたバスケット組立体を形成するデバイス及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
医療用プローブの様々な実施形態が、それに関連する特定の方法を含めて提供される。(多くのうちの)1つの例示的実施形態では、医療用プローブは、近位端及び遠位端を有する管状シャフトを含む。管状シャフトは、長手方向軸に沿って延在することができる。医療用プローブは、管状シャフトの遠位端に近接する拡張可能なバスケット組立体を含むことができる。拡張可能なバスケット組立体は、折り畳まれた形態で長手方向軸に沿って略直線状に延在し、拡張形態で略球状の外周を画定する螺旋部材を形成する弾性材料を備える単一のスパインを含むことができる。1つ又は2つ以上の電極を単一のスパインに結合することができる。各電極は、電極の重心に対してオフセットされたルーメンを含むことができ、単一のスパインが1つ又は2つ以上の電極の各々のルーメンを通って延在する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による、医療用プローブを備え、医療用プローブの遠位端が電極を有するバスケット組立体を備える、医療用システムの概略描画図である。
図2】本発明の一実施形態による、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図3】本開示の技術による、拡張形態の医療用プローブの分解側面図を示す概略描画図である。
図4】本開示の技術による、折り畳まれた形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図5】本開示の技術による、弾性材料の平面シートからスパインを形成する方法の概略描画図である。
図6】本開示の技術による、弾性材料の円筒状中空チューブからスパインを形成する方法の概略描画図である。
図7A】本開示の技術による、様々な例示的電極の斜視図を示す、概略描画図である。
図7B】本開示の技術による、様々な例示的電極の斜視図を示す、概略描画図である。
図7C】本開示の技術による、様々な例示的電極の斜視図を示す、概略描画図である。
図7D】本開示の技術による、様々な例示的電極の斜視図を示す、概略描画図である。
図7E】本開示の技術による、様々な例示的電極の斜視図を示す、概略描画図である。
図7F】本開示の技術による、様々な例示的電極の斜視図を示す、概略描画図である。
図7G】本開示の技術による、様々な例示的電極の斜視図を示す、概略描画図である。
図7H】本開示の技術による、様々な例示的電極の斜視図を示す、概略描画図である。
図7I】本開示の技術による、様々な例示的電極の斜視図を示す、概略描画図である。
図7J】本開示の技術による、様々な例示的電極の斜視図を示す、概略描画図である。
図8A】本発明の実施形態による、所与の医療デバイスの様々な絶縁ジャケットを示す概略描画図である。
図8B】本発明の実施形態による、所与の医療デバイスの様々な絶縁ジャケットを示す概略描画図である。
図9A】本発明の一実施形態による、医療用プローブの所与のワイヤの断面図を示す概略描画図である。
図9B】本発明の一実施形態による、医療用プローブの所与のワイヤの断面図を示す概略描画図である。
図10】本発明の一実施形態による、バスケット組立体を組み立てる方法を示すフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態による、バスケット組立体を組み立てる別の方法を示すフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態による、バスケット組立体を組み立てる別の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。この説明は、当業者が本発明を製造及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物及び使用を説明する。
【0011】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、記載された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指してもよい。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「近位」は、作業者に近い方の位置を示す一方、「遠位」は、作業者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0013】
本明細書で述べる「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であってよい。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、種々のあらゆる該当する種類のものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。被験者は、例えば、あらゆる該当するヒト患者でよいことを理解するべきである。
【0014】
本明細書で論じられるように、「作業者」は、医師、外科医、技術者、科学者、又は被験者への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送出に関連する任意の他の個人若しくは送出器具を含むことができる。
【0015】
本明細書で論じられるように、用語「アブレーションする」又は「アブレーション」は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、本開示全体を通して、パルス電界(PEF)及びパルス場アブレーション(PFA)と互換的に称される、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則心臓信号の生成を低減又は防止するように構成される、構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0016】
本明細書で論じられるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に位置付けられた2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を有する1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を有する第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0017】
本明細書で論じられるように、「二相性パルス」及び「単相性パルス」という用語は、それぞれの電気信号を指す。「二相性パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称される)及び負電圧相パルス(本明細書では「負相」と称される)を有する電気信号を指す。「単相性パルス」は、正相のみ又は負相のみを有する電気信号を指す。好ましくは、二相性パルスを提供するシステムは、直流電圧(direct current voltage、DC)の患者への適用を防止するように構成されている。例えば、二相性パルスの平均電圧は、地面又は他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。加えて、又は代替的に、システムは、コンデンサ又は他の保護構成要素を含むことができる。二相性パルス及び/又は単相性パルスの電圧振幅が本明細書に記載されている場合、発現された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相の各々の近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相性パルス及び単相性パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分の間に本質的に一定の電圧振幅を有する正方形の形状を有する。二相性パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相性パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間にほぼ等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相性パルスの相の持続時間の約25%である。
【0018】
本明細書で論じられるように、「管状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、又は断面が厳密に円形である構造、若しくはその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、管状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、管状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、テーパ状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0019】
本明細書で使用される「温度定格」という用語は、構成要素が、構成要素の溶融又は熱劣化(例えば、炭化及び崩壊)などの熱損傷を引き起こすことなく、その寿命の間に耐えることができる最大連続温度として定義される。
【0020】
本開示は、スパインに取り付けられた電極を有するエンドエフェクタを利用するシステム、方法、又は使用、及びデバイスに関する。本開示の例示的なシステム、方法、及びデバイスは、心臓不整脈を治療するための心臓組織のIREアブレーションに特に適する可能性がある。アブレーションエネルギーは、通常、アブレーションすべき組織に沿ってアブレーションエネルギーを送出することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に供給される。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造を含み、三次元構造上に位置付けられた様々な電極からアブレーションエネルギーを供給するように構成される。このような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化することができる。
【0021】
機能不全の心臓を改善するために、高周波(RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術を適用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用して首尾よくアブレーションするために、心筋の様々な位置で心電位を測定する必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定により、アブレーションの効力を有効にするデータを提供する。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。
【0022】
しかしながら、RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得るリスクを有し得る。冷凍アブレーションは、RFアブレーションに関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによってのみ達成できる特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0023】
本開示で論じられるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスを印加して心筋の細胞構造を破壊する。二相性パルスは非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて標的細胞に調整することができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療領域において熱を生成し、治療領域内のすべての細胞を無差別に加熱する。IREはしたがって、隣接する感熱性構造又は組織を侵襲しないことができ、これは、アブレーションモダリティ又は隔離モダリティで知られている起こり得る合併症の低減において有益となろう。加えて、又は代替的に、単相性パルスが利用され得る。
【0024】
エレクトロポレーションは、生物学的細胞にパルス電界を適用することによって誘発することができ、これは、細胞膜内に細孔を可逆的に(reversable)(一時的に)又は不可逆的に(永久的に)形成する。細胞は、パルス電界の印加時に静止電位を超えて増加する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は閾値電位未満のままであるが、エレクトロポレーションは可逆的であり、これは、印加されたパルス電界が除去されると細孔が閉じることができ、細胞は自己修復して生存することができることを意味する。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増加する場合、エレクトロポレーションは不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、恒常性の喪失に起因して死滅し、典型的には、プログラムされた細胞死又はアポトーシスによって死滅し、これは、他のアブレーションモダリティと比較して、より少ない瘢痕組織を残すと考えられている。一般に、異なるタイプの細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞はおよそ500V/cmの閾値電位を有するが、骨は3000V/cmの閾値電位を有する。閾値電位のこれらの差は、IREが閾値電位に基づいて組織を選択的に標的とすることを可能にする。
【0025】
本開示の解決策は、好ましくは心筋組織にエレクトロポレーションを誘発するのに有効なパルス電界を印加することによって、心筋組織の近傍に位置付けられたカテーテル電極から電気信号を印加するためのシステム及び方法を含む。本システム及び方法は、不可逆的エレクトロポレーションを誘発することによって標的組織をアブレーションするのに有効であり得る。いくつかの例では、システム及び方法は、診断処置の一部として可逆的エレクトロポレーションを誘発するのに有効であり得る。可逆的エレクトロポレーションは、細胞が修復することを可能にする、電極で印加された電気が標的組織の電界閾値を下回る時に行われる。可逆的エレクトロポレーションは細胞を死滅させないが、医師が、標的位置の近傍で電気活性化信号に対する可逆的エレクトロポレーションの効果を見ることを可能にする。可逆的エレクトロポレーションのための例示的なシステム及び方法は、米国特許出願公開第2021/0162210号に開示されており、参照によりその全体が、あたかも完全に記載されているかのように本出願に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/301,096号の付録に添付されている。
【0026】
パルス電界、並びに可逆的及び/又は不可逆的エレクトロポレーションを誘発するパルス電界の有効性は、システムの物理パラメータ及び電気信号の二相性パルスパラメータによって影響を受け得る。物理パラメータは、電極接触面積、電極間隔、電極幾何形状などを含むことができ、本明細書に提示される例は、概して、可逆的エレクトロポレーション及び/又は不可逆的エレクトロポレーションを有効に誘発するように適合される物理パラメータを含む。電気信号の二相性パルスパラメータは、電圧振幅、パルス持続時間、パルス相間遅延、パルス間遅延、総印加時間、送出エネルギーなどを含むことができる。いくつかの例では、電気信号のパラメータは、同じ物理パラメータが与えられると、可逆的エレクトロポレーション及び不可逆的エレクトロポレーションの両方を誘発するように調整することができる。IREを含むアブレーションの様々なシステム及び方法の例は、米国特許公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号及び同第2021/0186604(A1)号に提示されており、これらの各々は、参照によりその全体が、あたかも完全に記載されているかのように本出願に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/301,096号の付録に添付されている。
【0027】
IRE(不可逆的エレクトロポレーション)処置でパルス場アブレーション(PFA)を送出するために、電極は、アブレーションされる組織と十分に大きな表面積で接触しなければならない。以下に記載されるように、医療用プローブは、近位端及び遠位端を有する管状シャフトと、管状シャフトの遠位端にあるバスケット組立体とを含む。バスケット組立体は、スパインと複数の電極組立体とを含む。スパインは、拡張形態にある時に略球状の外周を画定する螺旋部材を形成することができる。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による、医療用プローブ22と、制御コンソール24とを含む医療用システム20の概略描画図である。医療用システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(31 Technology Drive,Suite 200,Irvine,CA 92618 USA)によって製造されたCARTO(登録商標)システムに基づき得る。以下に説明する実施形態では、医療用プローブ22は、患者28の心臓26においてアブレーション処置を実行するためなど、診断的処置又は治療的処置のために使用することができる。代替的に、医療用プローブ22は、必要な変更を加えて、心臓又は他の身体器官における他の治療及び/又は診断目的のために使用されてもよい。
【0029】
医療用プローブ22は、可撓性挿入チューブ30と、挿入管の近位端に結合されたハンドル32とを含む。医療処置の間、医療専門家34は、医療用プローブの遠位端36が心臓26の室などの体腔に入るように、患者28の血管系を通してプローブ22を挿入することができる。遠位端36が心臓26の室に入ると、医療専門家34は、医療用プローブ22の遠位端36に近接してバスケット組立体38を展開することができる。バスケット組立体38は、以下図2A及び図2Bを参照する説明に記載されているように、複数のスパインに取り付けられた複数の電極40を含むことができる。不可逆的エレクトロポレーション(IRE)アブレーションなどの医療処置の実行を開始するために、医療専門家34は、電極40が所望の位置(単数又は複数)で心臓組織に係合するように、ハンドル32を操作して遠位端36を位置決めすることができる。電極40が心臓組織に係合するように遠位端36を位置決めすると、医療専門家34は、電気パルスが電極40によって送出されてIREアブレーションを実行するように、医療用プローブ22を作動させることができる。
【0030】
医療用プローブ22は、ガイドシースと治療用カテーテルとを含むことができ、ガイドシースは、可撓性挿入チューブ30とハンドル32とを含み、治療用カテーテルは、バスケット組立体38と電極40と管状シャフト84とを含む(図2図4参照)。治療用カテーテルは、バスケット組立体38が心臓26内に位置付けられるように、ガイドシースを通して平行移動される。医療用プローブ22の遠位端36は、バスケット組立体38が可撓性挿入チューブ30内に収容されている時にはガイドシースの遠位端に対応し、医療用プローブ22の遠位端36は、バスケット組立体38がガイドシースの遠位端から延在している時にはバスケット組立体38の遠位端に対応する。医療用プローブ22は、代替的に、治療用カテーテル上の第2のハンドルと当業者によって理解される他の特徴とを含むように構成することができる。
【0031】
図1に示される構成では、制御コンソール24は、ケーブル42によって体表面電極に接続され、体表面電極は典型的には、患者28に取り付けられている接着性皮膚パッチ44を含む。制御コンソール24は、追跡モジュール48とともに、心臓26内の遠位端36の位置座標を決定するプロセッサ46を含む。位置座標は、生成された磁場が存在する時にカテーテルの遠位部分から提供される電磁位置センサ出力信号に基づいて決定することができる。位置座標は、加えて、又は代替的に、接着性皮膚パッチ44とバスケット組立体38に取り付けられた電極40との間で測定されたインピーダンス及び/又は電流に基づくことができる。医療処置中に位置センサとして使用されることに加えて、電極40は、心臓内の組織をアブレーションするなど、他のタスクを実行することができる。
【0032】
これまで述べたように、追跡モジュール48とともに、プロセッサ46は、接着性皮膚パッチ44と電極40との間で測定されたインピーダンス及び/又は電流に基づいて、心臓26内の遠位端36の位置座標を判定してもよい。このような決定は、典型的には、インピーダンス又は電流を遠位端の既知の位置に関連付ける較正プロセスが実行された後に行われる。本明細書に提示される実施形態は、好ましくは心臓26内の組織にIREアブレーションエネルギーを送出するように構成された電極40を説明しているが、任意の体腔内の組織に任意の他のタイプのアブレーションエネルギーを送出するように電極40を構成することは、本発明の精神及び範囲内にあると考えられる。更に、IREアブレーションエネルギーを心臓26内の組織に送出するように構成された電極40であるという文脈で説明されているが、当業者は、本開示の技術が、患者28の身体の器官又は他の部分の様々な性質をマッピング及び/又は決定するために使用される電極に適用可能であり得ることを理解するであろう。
【0033】
プロセッサ46は、典型的にはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として構成されたリアルタイムノイズ低減回路50と、それに続くアナログ-デジタル(A/D)信号変換集積回路52とを含んでもよい。プロセッサは、1つ又は2つ以上のアルゴリズムを実行するようにプログラムすることができ、医療専門家34がIREアブレーション処置を実行することを可能にするために、回路50及び回路52並びにモジュールの特徴を使用する。
【0034】
制御コンソール24はまた、制御コンソール24が電極40及び接着性皮膚パッチ44から信号を転送し、且つ/又はそれらに信号を転送することを可能にする入出力(I/O)通信インタフェース54を含む。図1に示される構成では、制御コンソール24は、IREアブレーションモジュール56とスイッチングモジュール58とを更に含む。
【0035】
IREアブレーションモジュール56は、数十キロワットの範囲のピーク出力を有するIREパルスを生成するように構成される。いくつかの例では、電極40は、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する電気パルスを送出するように構成される。医療用システム20は、IREパルスを電極40に送出することによってIREアブレーションを実行する。好ましくは、医療用システム20は、スパイン上の電極40間に二相性パルスを送出する。加えて、又は代替的に、医療用システム20は、電極40のうちの少なくとも1つと皮膚パッチとの間に単相性パルスを送出する。
【0036】
システム20は、管状シャフト84(図2図4参照)内のチャネル(不図示)を介して遠位端36及び電極40に灌注流体(例えば、生理食塩水)を供給してもよい。灌注は、血餅形成、血流の停滞を低減するために、又は電極を介したアブレーションによって生成される熱さえ低減するために利用されることがある。加えて、又は代替的に、灌注流体は、可撓性挿入チューブ30を通して供給され得る。制御コンソール24は、灌注流体の圧力及び温度などの灌注パラメータを監視及び制御するための灌注モジュール60を含む。医療用プローブの例示的な実施形態の好ましいものはIRE又はPFAであるが、医療用プローブをRFアブレーション(外部接地電極を有する単極モード又は双極モード)のみについて別々に使用すること、又はIRE及びRFアブレーションと順次(IREモードの特定の電極及びRFモードの他の電極)又は同時に(IREモードの電極及びRFモードの他の電極のグループ)組み合わせて使用することも本発明の範囲内であることに留意されたい。
【0037】
電極40及び/又は接着性皮膚パッチ44から受信した信号に基づいて、プロセッサ46は、患者の体内における遠位端36の位置を示す電気解剖学的マップ62を生成することができる。処置中、プロセッサ46は、ディスプレイ64上でマップ62を医療専門家34に提示し、電気解剖学的マップを表すデータをメモリ66に記憶することができる。メモリ66は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなど、任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、医療専門家34は、1つ又は2つ以上の入力デバイス68を使用して、マップ62を操作することができる。代替的な実施形態では、ディスプレイ64は、マップ62を提示することに加えて、医療専門家34からの入力を受け入れるように構成することができるタッチスクリーンを含んでもよい。
【0039】
図2は、挿入チューブ30の遠位端36において挿入チューブルーメン80から前進させられることなどによって拘束されていない時の拡張形態のバスケット組立体38を有する医療用プローブ22の斜視図を示す概略描画図である。図2に示される医療用プローブ22は、図1に示されるガイドシースを欠いている。図3は、医療用プローブ22及びバスケット組立体38の分解図であり、バスケット組立体38を拡張形態で示し、図4は、バスケット組立体38をガイドシースの挿入チューブ30内で折り畳まれた形態で示す。拡張形態(図2及び図3)では、スパイン214は球状螺旋形状を形成し、折り畳まれた形態(図4)では、スパイン214は、概して、挿入チューブ30の長手方向軸86に沿って配置される。
【0040】
図2に示されるように、バスケット組立体38は、管状シャフト84の端部に取り付けられた単一のスパイン214を含む。医療処置中、医療専門家34は、管状シャフト84を(図4に示される)挿入チューブ30から延在させてバスケット組立体38を挿入チューブから出して拡張形態に移行させることによって、バスケット組立体38を展開することができる。スパイン214は、楕円形(例えば、円形)又は(平坦に見えることがある)長方形の断面を有してもよく、可撓性の弾性材料(例えば、(ニチノールとしても知られる)ニッケル-チタン、コバルトクロム、又は任意の他の好適な材料などの形状記憶合金)を含んでもよい。
【0041】
本明細書に記載の実施形態では、電極40は、アブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を心臓26内の組織に送出するように構成することができる。加えて、又は代替的に、電極を使用して、バスケット組立体38の位置を決定し、且つ/又は心臓26の組織のそれぞれの位置での局所表面電位などの生理学的特性を測定することもできる。本明細書に更に記載されるように、電極40は、電極40のより大きな部分がバスケット組立体39から外向きに面するように付勢することができ、その結果、電極40は、バスケット組立体38に向かって内向きよりもバスケット組立体38から離れて外向きに(すなわち、心臓26の組織に向かって)より多くの量の電気エネルギーを送出する。
【0042】
電極40を形成するのに理想的に適した材料の例には、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)を含む。これらの材料はまた、非常に高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送出されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に、次に心臓26内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0043】
図2に示されるように、スパイン214は、拡張形態にある時、略球状螺旋形状を形成することができる。例えば、スパイン214は、管状シャフト84の遠位端に近接して配置される第1の端部と、医療用プローブ22の遠位端36に近接して位置付けられる第2の端部とを有することができる(すなわち、スパイン214の第2の端部は、バスケット組立体38が拡張形態にある時、医療用プローブ22の遠位端36であることができる)。拡張形態にある時、スパイン214は、第1の端部から、第1の端部と第2の端部との間にあるスパインに沿った第1の位置まで外向きに螺旋状になり得る。スパイン214は、第1の位置から第2の端部まで内向きに螺旋状になって、球状螺旋形状を完成することができる。
【0044】
電極40は、電極40が外向きに面するように構成され、バスケット組立体38が拡張形態にある時に心臓組織に接触する、又はほぼ接触するように位置付けられるように、スパイン214に沿って離間することができる。このようにして、バスケット組立体38は、IREアブレーション処置を容易にするように電極40を位置決めするように構成することができる。例えば、電極40は、螺旋の第1巻きに沿って配置される電極が、螺旋の第2巻きに沿って配置される第2の電極40に対してオフセットされ得るように、スパイン214に沿って離間することができる。換言すれば、電極40は、バスケット組立体38が心臓組織に電気パルスを十分に送出することができることを確実にするために、隣接する電極40からオフセットされ得る。
【0045】
図3は、本開示の技術による、拡張形態の医療用プローブ22の分解側面図を示す概略描画図である。図3に示されるように、スパイン214は、バスケット組立体38の周囲が拡張形態にある時に略球状形状を形成するように、螺旋形状であり得る。スパイン214は、拡張形態にある時、所定の直径Dを有する略球状形状を形成するように構成することができる。直径Dは、バスケット組立体38が心臓の室内に嵌合することができることを確実にし、電極40がIREアブレーション処置を実行するために十分に離間されるようなサイズにすることができる。スパイン214はまた、バスケット38の近位端と遠位端との間の距離が、球状形状バスケットと比較して互いにより近くなるように拡張形態にある時に、バスケット組立体38の周囲が扁球形状を形成するように構成することができる。扁球形状は、球状形状と同じ直径Dを有することができ、バスケット組立体38が心臓の室内に嵌合することができることを確実にし、電極40がIREアブレーション処置を実行するように十分に離間されるようなサイズにすることができる。
【0046】
医療用プローブ22は、管状シャフト84の遠位端85に近接して配置されたスパイン保持ハブ90を含むことができる。スパイン保持ハブ90は、管状シャフト84内に挿入され得、管状シャフト84に取り付けられ得る。スパイン保持ハブ90は、円筒状部材の外面上に配置されたレリーフランド97を備える円筒状部材を含むことができ、スパイン214がレリーフランド97内に嵌合され、その中に保持されることを可能にする。例えば、スパイン保持ハブ90は、スパイン214の取り付け端部216を受容するようなサイズにされたレリーフランド97を含むことができる。取り付け端部216は、スパイン214の略直線状の端部であり得る。取り付け端部216は、バスケット組立体38がスパイン保持ハブ90から外向きに、したがって管状シャフト84から外向きに位置付けられるように、スパイン保持ハブ90から外向きに延在するように構成することができる。このようにして、スパイン214は、バスケット組立体が展開される時に、バスケット組立体38を管状シャフト84の遠位端から遠位に、且つ挿入チューブ30の遠位端から遠位に位置決めするように構成することができる。スパイン保持ハブ90は、スパイン保持ハブ90の遠位部分に配置された少なくとも1つの電極99を更に含むことができる。保持ハブ90の遠位端に配置された電極99は、スパイン214上の電極40と組み合わせて使用することができ、或いは、基準マッピング又はアブレーションのために電極40から独立して使用することができる。
【0047】
上述したように、制御コンソール24は、灌注流体を遠位端36に送出する灌注モジュール60を含む。スパイン保持ハブ90は、1つ又は2つ以上の灌注開口部98を含むことができ、各所与の灌注開口部98は、所与の電極40又は心臓26内の組織のいずれかに灌注流体を噴霧又は他の方法で分散させるように角度を付けることができる。電極40は灌注流体を送出する灌注開口部を含まないので、本明細書に記載の構成は、組織から(すなわち、アブレーション処置中に)スパイン214の内側の電極の部分に熱を伝達することを可能にし、電極40は、灌注開口部98を介して、スパイン214の内側の電極40の部分に灌注流体を向けることによって冷却され得る。
【0048】
図4は、本開示の技術による、折り畳まれた形態の医療用プローブ22の側面図を示す概略描画図である。図4に示されるように、バスケット組立体38は、折り畳まれた形態にある時にスパイン214が医療用プローブ22の長手方向軸86に沿って略直線状に配置されるように、可撓性挿入チューブ30内に引き込むことができる。換言すれば、管状シャフト84が可撓性挿入チューブ30内に引き込まれる時、バスケット組立体38は、可撓性挿入チューブ30内に沿って引き込まれ得る。バスケット組立体38は、可撓性の弾性材料から作製されたスパイン214を備えるので、バスケット組立体38は、スパイン214(及び必然的にバスケット組立体38)が医療用プローブ22の長手方向軸86に沿って略直線状に配置されるように細長くすることができる。しかしながら、理解されるように、スパイン214は可撓性弾性材料を備えるので、スパイン214は、完全に直線状の構成を形成しなくてもよく、可撓性挿入チューブ30内に引き込まれる時に様々な屈曲部又は湾曲部を含んでもよい。
【0049】
図5は、本開示の技術による、弾性材料502の平面シートからスパイン214を形成する方法の概略描画図である。スパイン214は、第1の螺旋214A及び第2の螺旋214Bを弾性材料502(例えば、(ニチノールとしても知られる)ニッケル-チタン、コバルトクロム、又は任意の他の好適な材料などの形状記憶合金)の平面シートに切断することによって形成することができる。第1の螺旋214A及び第2の螺旋214Bは、直線部分214Cによって互いに取り付けることができる。第1の螺旋214A及び第2の螺旋214Bは各々、サイズが等しい直径Dを有することができる。直線部分214Cは、直径Dと同じサイズ又は直径Dとは異なるサイズである長さLを有することができる。
【0050】
弾性材料502の平面シートから第1の螺旋214A、第2の螺旋214B、及び直線部分214Cを切断した後、第1の螺旋214A、第2の螺旋214B、及び直線部分214Cを球状螺旋形状に形成することによって、スパイン214を形成することができる。例えば、第1の螺旋214Aは、三次元螺旋を形成するように第1の方向に拡張することができ、第2の螺旋214Bは、第2の三次元螺旋を形成するように第2の方向に拡張することができ、直線部分214Cは、球状螺旋を完成させるように第1の螺旋214Aと第2の螺旋214Bとの間でコイル状に巻かれるか、又は丸められることができる。スパイン214は、球状螺旋形状を保持するように曲げられ得る。代替的に、又は加えて、スパイン214は、球状螺旋形状を保持するように加熱処理することができる。同様に、スパイン組立体210A又は210Bは、円筒状の中空ストック材料をレーザ切断することによって形成することができ、それによって、レーザは、円筒状ストックを切断しながら、円筒状ストックの長手方向軸を中心に回転する(及びそれに対して平行移動する)ように取り付けられる。理解されるように、記載された方法は、単に例示目的のために提供され、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0051】
図6は、本開示の技術による、弾性材料602の円筒状中空チューブからスパイン214の少なくとも一部を形成する方法の概略描画図である。図6に示されるように、スパイン214は、弾性材料602(例えば、ニッケル-チタン(ニチノールとしても知られている)、コバルトクロム、又は任意の他の好適な材料などの形状記憶合金)の円筒状中空チューブから、弾性材料602の円筒状中空チューブを螺旋部分に切断することによって形成することができる。例えば、弾性材料602の円筒状中空チューブの1つの端部から開始し、弾性材料602の円筒状中空チューブをある角度で切断することによって、弾性材料602の円筒状中空チューブの螺旋部分を形成することができる。スパイン214は、例えば、弾性材料602の円筒状中空チューブを回転させ、ナイフ、レーザ、又は他の切断デバイスを弾性材料602の円筒状中空チューブの長さに沿って長手方向に移動させることによって切断することができる。代替的に、円筒状中空チューブは、切断デバイスが円筒状中空チューブを中心に回転する間、静止したままであってもよい。
【0052】
弾性材料602の円筒状中空チューブからスパイン214を切断した後、スパイン214を球状螺旋形状に曲げることによって、スパイン214を球状螺旋に形成することができる。スパイン214は、球状螺旋形状に曲げるだけで、球状螺旋形状を保持することができる。代替的に、又は加えて、スパイン214は、球状螺旋形状を保持するように加熱処理することができる。理解されるように、今説明した方法は、単に例示目的で提供されており、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0053】
代替的に、又は加えて、スパイン214は、球状螺旋を形成するように、円形ワイヤ、平坦ワイヤ、圧印平坦ワイヤ、又は他の類似タイプのワイヤ若しくは材料を巻くことによって形成することができる。例えば、スパイン214は、所望の球状螺旋形状が達成されるまで、円形ワイヤ(又は他の選択されたワイヤタイプ)を曲げることによって形成することができる。
【0054】
図2図4に戻って参照すると、バスケット組立体38を形成するために、1つ又は2つ以上の電極40をスパイン214に取り付けることができる。いくつかの実施例では、各電極40は、導電性材料(例えば、金、白金及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金))を含むことができる。図7A図7Jを参照すると、電極40は、電極740A~740Eにおいて例として提供されるように、様々な断面形状、曲率、長さ、ルーメン数、及びルーメン形状を有することができる。電極740A~740Eは、医療デバイス22とともに使用することができる電極40の様々な構成を示すために提供されるが、限定するものとして解釈されるべきではない。当業者は、電極40の様々な他の構成が、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の技術とともに使用することができることを理解するであろう。
【0055】
各電極740A~740Eは、電極740から外向きに面する外面774と、電極740に向かって内向きに面する内面776とを有することができ、少なくとも1つのルーメン770が電極740を通って形成される。ルーメン770は、スパイン214が電極740を通過することができるように、スパイン214を受容するようなサイズ及び構成にすることができる。ルーメン770は、電極740A~740Eを通る対称な開口部であり得、それぞれの電極の長手方向軸L-Lに対してオフセットして配置することができる。他の実施例では、ルーメン770は、それぞれの電極の長手方向軸L-Lに対して略横方向に電極740を通過することができる。更に、ルーメン770は、特定の構成に応じて、電極740の底面のより近く、上面のより近く、又は電極740の中間のより近くに位置付けることができる。図7A図7C、及び図7E図7Jにおいて、上面は図面の上に向けられ、底面は図面の下に向けられ、中間は上面と底面との間である。換言すれば、各電極740A~740Eは、電極740A~740Eの重心に対してオフセットされたルーメン770を含むことができる。
【0056】
加えて、図7A~7Fに示されるように、電極740A~740Cは、1つ又は2つ以上のワイヤがそれぞれのスパイン214とともにルーメン770を通過するために、ルーメン770に隣接する電極740内に凹部又はくぼみを形成するワイヤレリーフ772を有することができる。レリーフ772は、電極740が制御コンソール24と電気的に通信することができるように、電極740のワイヤが電極740を通過するための空間を提供するようなサイズにすることができる。
【0057】
代替的に、又は加えて、ワイヤは、図7G~7Jの例示的電極740D及び740Eに示されるように、ワイヤルーメン773を通過することができる。図示されていないが、電極40は、ルーメン770に隣接するワイヤレリーフ772とワイヤルーメン773の両方を含んでもよい。そのような電極は、追加のワイヤが電極本体を通過することを可能にする可能性がある。
【0058】
図7A図7Jに示されるように、電極740A~740Eは、用途に応じて様々な形状を含むことができる。例えば、図7A及び7Bに示されるように、電極740Aは、丸みを帯びた縁部を有する実質的に長方形の直方体形状を含むことができる。他の実施例では、電極740Bは、(図7C及び図7Dに示されるように)実質的に卵形の形状を含むことができ、電極740C、740Dは、(図7E図7Hに示されるように)凸側及び凹側を有する輪郭形状を有することができ、又は電極740Eは、(図7I及び図7Jに示されるように)電極740Eの下側よりも上側に近接して実質的により多くの材料を有する輪郭形状を有することができる。当業者によって理解されるように、図7A~7Jに示され、本明細書で説明される様々な例示的な電極740A~740Eは、例示目的で提供され、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0059】
図8A及び8Bは、本発明の実施形態による、所与の医療デバイス22の様々な絶縁ジャケット880A、880Bを示す概略描画図である。図8Aは正面図であり、図8Bは絶縁ジャケット880A、880Bの斜視図である。絶縁ジャケット880A、880Bは、ポリアミド-ポリエーテル(Pebax)コポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ウレタン、ポリイミド、パリレン、シリコーンなどの生体適合性の電気絶縁材料から作製することができる。いくつかの実施例では、絶縁材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBV)、ポリ-L-ラクチド、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、及びポリ無水物を含むがこれらに限定されない生体適合性ポリマーを含むことができ、特定のポリマーの比は、炎症反応の程度を制御するように選択される。絶縁ジャケット880A、880Bはまた、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛などの1つ又は2つ以上の添加剤又は充填剤を含んでもよい。絶縁ジャケット880A、880Bは、スパイン214及び/又は絶縁ジャケット880A、880Bを通過するワイヤを電極40から絶縁して、電極40からスパイン214へのアーク放電及び/又は絶縁ジャケット880A、880Bを通過するワイヤの機械的磨耗を防止するのに役立ち得る。
【0060】
図8A及び図8Bに示されるように、絶縁ジャケット880A、880Bは、実質的に台形である断面形状を含むことができる。絶縁ジャケットは、単一ルーメン又は複数ルーメン構成から成ってもよい。複数ルーメンジャケットは、合金フレーム及びワイヤが単一ルーメンを共有し、第2のルーメンが灌注に使用されてもよいように構成されてもよい。合金フレーム及びワイヤはまた、記載されるように、別個のルーメンを占有してもよい。これらの設計では、絶縁ジャケットは、連続的(各合金フレーム支柱の近位端から遠位端に延在する個々のスリーブ)、分割的(電極間隙間を架橋)、又は両方の組み合わせであってもよい。更に、絶縁ジャケット880A、880Bは、第1のルーメン882A、882B及び第2のルーメン884A、884Bを含むことができる。第1のルーメン882A、882Bは、スパイン214を受容するように構成することができ、第2のルーメン884A、884Bは、ワイヤを受容するように構成することができ、又はその逆も同様である。他の実施例では、第1のルーメン882A、882B及び第2のルーメン884A、884Bは各々、1つ又は2つ以上の電極40に接続され得る1つ又は2つ以上のワイヤを受容するように構成され得る。更に、図8Bに示されるように、絶縁ジャケット880A、880Bは、開口部886A、886Bを含むことができ、それを通してワイヤを電極40に電気的に接続することができる。図8Bでは、絶縁ジャケット880A、880Bの底部に近接して示されているが、開口部886A、886Bは、絶縁ジャケット880A、880Bの上部又は側部に近接して位置付けることができる。更に、絶縁ジャケット880A、880Bは、複数の開口部886A、886Bを含むことができ、各開口は、用途に応じて、絶縁ジャケットの同じ側(すなわち、上、下、左、右)、又は絶縁ジャケットの異なる側に配置される。
【0061】
図9A及び図9Bは、本発明の一実施形態による、所与の電極40に接続することができる所与のワイヤ900、950の断面図を示す概略描画図である。図9Aは、中実コアワイヤ900を示す。図9Bは、ストランドワイヤ950を示す。各ワイヤ900、950は、管状シャフト84の少なくとも一部を通って延在することができる。中実コアワイヤ900は、導電性コア材料902と、導電性コア材料902を取り囲む導電性カバー材料904とを含むことができる。同様に、ストランドワイヤ950は、各々が導電性コア材料952と、導電性コア材料952を取り囲む導電性カバー材料954とを含むストランドを含むことができる。各ワイヤ900、950は、導体を取り囲む絶縁ジャケット906を含むことができる。ワイヤ900、950は、IREパルスを送出するのに十分な隣接するワイヤの電圧差に耐えるように構成することができる。好ましくは、ワイヤ900、950は、隣接するワイヤ間で少なくとも900V~2000V、より好ましくは少なくとも1,800V~4,000Vに耐えることができる。隣接するワイヤの導体間の絶縁破壊の可能性を低減するために、導電性カバー材料904、954は、コア材料902、952と比較してより低い導電性を有することができる。
【0062】
絶縁ジャケット906は、ワイヤ900の電極40へのはんだ付け中に(例えば、300℃の温度で)電気絶縁ジャケット906が溶融又は劣化(例えば、炭化及び崩壊)し、したがってワイヤ900の絶縁ジャケット906を機械的に剥がす必要がないように、150~200℃の温度定格を有するように構成することができる。他の実施例では、絶縁ジャケット906は、医療用プローブ22の製造中及び/又は使用中に電気絶縁材料902が溶融又は劣化(例えば、炭化及び崩壊)するのを防止するために、200℃を超える温度定格を有することができる。ワイヤ900が電極40に電気的に接続される前に、絶縁ジャケット906をワイヤ900から機械的に剥がすことができる。
【0063】
図10は、本発明の一実施形態による、バスケット組立体38を組み立てる方法1000を示すフローチャートである。方法100は、(例えば、図5に関連して説明したように)2つの接続された螺旋を形成するために弾性材料の平面シートを切断すること1002を含むことができる。弾性材料の平面シートは、(ニチノールとしても知られる)ニッケル-チタン、コバルトクロム、又は任意の他の好適な材料などの形状記憶合金を含むことができる。方法1000は、2つの接続された螺旋から球状螺旋形状を有するスパインを形成すること1004を含むことができる。2つの螺旋は、直線部分と接続することができる。方法1006は、スパインを1つ又は2つ以上の電極のルーメン内に挿入すること1006と、スパインの端部を、血管系を横断するようなサイズにされた管状シャフトに嵌合すること1008とを更に含むことができる。本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、スパインの端部を管状シャフト内に嵌合すること1008は、スパイン214をスパイン保持ハブ90に取り付けることを含むことができる。更に、スパイン保持ハブ90及び/又はスパイン214及び管状シャフト84は、可撓性挿入チューブ30内に挿入されて医療用プローブ22を形成することができる。
【0064】
図11は、本発明の一実施形態による、バスケット組立体38を組み立てる別の方法1100を示すフローチャートである。方法1100は、(例えば、図6に関連して説明したように)螺旋を形成するために弾性材料の円筒状中空チューブを切断すること1102を含むことができる。方法1100は、螺旋から球状螺旋形状を有するようにスパインを形成すること1104と、スパインを1つ又は2つ以上の電極のルーメン内に挿入すること1106と、スパインの端部を、血管系を横断するようなサイズにされた管状シャフト内に嵌合すること1108とを含むことができる。方法1000と同様に、スパインの端部を管状シャフトに嵌合すること1108は、スパイン214をスパイン保持ハブ90に取り付けることを含むことができる。更に、スパイン保持ハブ90及び/又はスパイン214と管状シャフト84とは、可撓性挿入チューブ30内に挿入されて医療用プローブ22を形成することができる。
【0065】
図12は、本発明の一実施形態による、バスケット組立体38を組み立てる別の方法1200を示すフローチャートである。方法1200は、弾性材料の細長い片を巻いて、球状螺旋形状を有するスパインを形成すること1202を含むことができる。方法1200は、スパインを1つ又は2つ以上の電極のルーメン内に挿入すること1204と、スパインの端部を管状シャフトサイズに嵌合して血管系を横断すること1206とを含むことができる。前述のように、スパインの端部を管状シャフトに嵌合すること1208は、スパイン214をスパイン保持ハブ90に取り付けることを含むことができる。更に、スパイン保持ハブ90及び/又はスパイン214及び管状シャフト84を可撓性挿入チューブ内に挿入して医療用プローブ22を形成することができる。
【0066】
別々に又は互いに様々な置換で使用することができる例を以下に記載し、そのような例を(様々な置換で)使用して本発明の範囲を定義してもよい。
【0067】
実施例1)単一のスパインは、第1の端部及び第2の端部を含むことができる。第1の端部は、管状シャフトの遠位端に近接して位置付けることができ、第2の端部は、折り畳まれた形態では医療用プローブの遠位端に近接して位置付けることができる。
【0068】
実施例2)拡張形態では、単一のスパインは、(1)第1の端部から、第1の端部と第2の端部との間の単一のスパインに沿って位置付けられた第1の位置まで外向きに、且つ(2)第1の位置から第2の端部まで内向きに、螺旋状になるように構成することができる。
【0069】
実施例3)単一のスパインは、弾性材料の平面シートから形成される単一の一体構造であり得る。単一のスパインは、2つの螺旋を弾性材料の平面シートに切断することによって、弾性材料の平面シートから形成することができる。2つの螺旋は、互いに接続することができる。2つの螺旋は、例えば、直線部分によって互いに接続することができる。直線部分は、各それぞれの螺旋の中心点から最も遠い各螺旋のそれぞれの端部に近接して2つの螺旋に接続することができる。拡張形態では、2つの螺旋及び直線部分は、単一のスパインの略球状外周を形成するようにコイル状に巻くことができる。
【0070】
実施例4)単一のスパインは、略球状の外周を形成するようにコイル状に巻かれた弾性材料の連続した細長い片を備えることができる。単一のスパインは、ニチノール、コバルトクロム、又は任意の他の好適な材料を含むことができる。単一のスパインは、略扁球形状を形成することができる。
【0071】
実施例5)医療用プローブは、管状シャフトの遠位端に近接して配置されたスパイン保持ハブを更に備えることができる。スパイン保持ハブは、レリーフランドを備える円筒状部材を含み、レリーフランドは、円筒状部材の外面上に配置され、単一のスパインがレリーフランドに嵌合され、その中に保持されることを可能にする。保持ハブは、保持ハブの遠位部分に配置された少なくとも1つの電極を更に備えることができる。
【0072】
実施例6)各電極は、ワイヤがルーメンに隣接して延在することを可能にするように、ルーメンに隣接するレリーフを備えることができる。ワイヤは、単一のスパインから電気的に絶縁することができる。ワイヤは、1つ又は2つ以上の電極に電気的に接続することができる。ワイヤの少なくとも一部は、第1の導電性を有する導電性コア材料と、第1の導電性よりも低い第2の導電性を有する導電性カバー材料と、絶縁ジャケットとを含むことができる。導電性カバー材料は導電性コア材料を取り囲むことができ、絶縁ジャケットは導電性カバー材料を取り囲むことができる。
【0073】
実施例7)ワイヤの少なくとも一部は、複数のストランドと、複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットとを含むことができる。複数のストランドのうちの各ストランドは、第1の導電性を有する導電性コア材料と、第1の導電性よりも低い第2の導電性を備える導電性カバー材料とを含むことができる。導電性カバー材料は、導電性コア材料を取り囲むことができる。
【0074】
実施例8)医療用プローブは、別個のルーメンを更に含むことができ、別個のルーメンは、絶縁体を有するワイヤを受容するように構成されており、ワイヤは、絶縁体の絶縁破壊なしに少なくとも900ボルト(V)を伝達することができる。1つ又は2つ以上の電極は、不可逆的エレクトロポレーションのための電気パルスを送出するように構成することができる。パルスは、少なくとも900ボルト(V)の電圧を有することができる。
【0075】
実施例9)医療用プローブは、管状シャフトの遠位端に近接して配置された灌注開口部を更に含むことができる。灌注開口部は、1つ又は2つ以上の電極に近接する領域に灌注流体を送出するように構成することができる。
【0076】
実施例10)医療用プローブは、単一のスパインの上、且つそれぞれの電極のルーメン内に配置された絶縁スリーブを更に含むことができる。絶縁スリーブは、支柱が通って延在する第1のルーメンと、電気ワイヤが通って延在する第2のルーメンとを含むことができ、第1のルーメン及び第2のルーメンは互いに別個である。各電気絶縁スリーブの断面形状は、実質的に台形形状とすることができる。
【0077】
実施例11)電極は、細長い本体を通って延在するルーメンを有する細長い本体型電極を含むことができる。電極は、バルジング型電極を含むことができる。
【0078】
実施例12)本発明の別の実施形態による、医療用プローブを作製する方法が提供される。本方法は、単一のスパインを形成するために2つの接続された螺旋を弾性材料の平面シートに切断することを含むことができる。本方法は、単一のスパインを略球状螺旋形状を有する所定の形状に形成することであって、単一のスパインが折り畳まれた形態にある時の細長い形状から拡張形態にある時の所定の形状に移行するように構成される、こととを更に含むことができる。本方法は、電極の少なくとも1つのルーメンを通して単一のスパインを挿入することと、血管系を横断するようなサイズにされた管状シャフトに単一のスパインの端部を嵌合することであって、単一のスパインの第1の端部が管状シャフトの遠位端の近位に位置付けられ、単一のスパインの第2の端部が医療用プローブの遠位端に近接して位置付けられる、こととを含むことができる。
【0079】
実施例13)拡張形態では、単一のスパインは、(1)第1の端部から、第1の端部と第2の端部との間の単一のスパインに沿って位置付けられた第1の位置まで外向きに、且つ(2)第1の位置から第2の端部まで内向きに、螺旋状になるように構成することができる。
【0080】
実施例14)2つの接続された螺旋を弾性材料の平面シートに切断することは、2つの螺旋を接続する直線部分を形成することを含むことができる。直線部分は、各それぞれの螺旋の中心点から最も遠い各螺旋のそれぞれの端部に近接して2つの螺旋に接続することができる。
【0081】
実施例15)単一のスパインは、ニチノール、コバルトクロム、又は任意の他の好適な材料を含むことができる。単一のスパインは、所定の形状において略扁球形状を形成することができる。
【0082】
実施例16)各電極は、ワイヤがルーメンに隣接して延在することを可能にするように、ルーメンに隣接するレリーフを含むことができる。ワイヤは、単一のスパインから電気的に絶縁され得る。本方法は、ワイヤを1つ又は2つ以上の電極に電気的に接続することを更に含むことができる。ワイヤの少なくとも一部は、第1の導電性を有する導電性コア材料と、第1の導電性よりも低い第2の導電性を備える導電性カバー材料と、絶縁ジャケットとを含むことができる。導電性カバー材料は導電性コア材料を取り囲むことができ、絶縁ジャケットは導電性カバー材料を取り囲むことができる。ワイヤの少なくとも一部は、複数のストランドと、複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットとを含むことができる。複数のストランドのうちの各ストランドは、第1の導電性を備える導電性コア材料と、第1の導電性よりも低い第2の導電性を備える導電性カバー材料とを含むことができる。導電性カバー材料は、導電性コア材料を取り囲むことができる。
【0083】
実施例17)医療用プローブは、絶縁体を有するワイヤを受容するように構成された別個のルーメンを含むことができ、ワイヤは、絶縁体の絶縁破壊なしに少なくとも900Vを送出することができる。1つ又は2つ以上の電極は、不可逆的エレクトロポレーションのための電気パルスを送出するように構成することができる。パルスは、少なくとも900ボルト(V)の電圧であり得る。
【0084】
実施例18)医療用プローブは、管状シャフトの遠位端に近接して配置された灌注開口部を更に含むことができる。灌注開口部は、1つ又は2つ以上の電極に近接する領域に灌注流体を送出するように構成することができる。
【0085】
実施例19)本方法は、単一のスパインの上、且つそれぞれの電極のルーメン内に、絶縁スリーブを配置することを更に含むことができる。絶縁スリーブは、支柱が通って延在する第1のルーメンと、電気ワイヤが延在する第2のルーメンとを含むことができる。第1のルーメン及び第2のルーメンは互いに別個であり得る。各電気絶縁スリーブの断面形状は、実質的に台形形状とすることができる。
【0086】
実施例20)電極は、細長い本体を通って延在するルーメンを有する細長い本体型電極であり得る。電極はまた、バルジング型電極であり得る。
【0087】
当業者には理解されるように、今説明した方法1000、1100、及び1200は、本明細書に記載された本開示の技術の様々な特徴のいずれかを含むことができ、特定の構成に応じて変更することができる。したがって、方法1000、1100、及び1200は、本明細書で明示的に記載された特定のステップ及びステップの順序に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0088】
これまで述べた実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示し述べたものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、これまで述べた様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読めば当業者が想到するであろう、先行技術に開示されていないそれらの変形及び修正を含む。
【0089】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブであって、
近位端及び遠位端を有し、長手方向軸に沿って延在する管状シャフトと、
前記管状シャフトの前記遠位端に近接する拡張可能なバスケット組立体であって、
折り畳まれた形態で前記長手方向軸に沿って略直線状に延在し、拡張形態で略球状の外周を画定する螺旋部材を形成する弾性材料を備える単一のスパインと、
前記単一のスパインに結合された1つ又は2つ以上の電極であって、各電極が前記電極の重心に対してオフセットされたルーメンを備え、前記単一のスパインが前記1つ又は2つ以上の電極の各々の前記ルーメンを通って延在する、1つ又は2つ以上の電極とを備える、拡張可能なバスケット組立体と、を備える医療用プローブ。
(2) 前記単一のスパインは、第1の端部と第2の端部とを備え、前記第1の端部は、前記管状シャフトの前記遠位端に近接して位置付けられており、前記第2の端部は、前記折り畳まれた形態では前記医療用プローブの遠位端に近接して位置付けられている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(3) 前記拡張形態では、前記単一のスパインは、(1)前記第1の端部から前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記単一のスパインに沿って位置付けられた第1の位置まで外向きに、且つ(2)前記第1の位置から前記第2の端部まで内向きに、螺旋状になるように構成されている、実施態様2に記載の医療用プローブ。
(4) 前記単一のスパインは、前記弾性材料の平面シートから形成される単一の一体構造を備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(5) 前記単一のスパインは、前記略球状の外周を形成するようにコイル状に巻かれた前記弾性材料の連続した細長い片を備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0090】
(6) 前記単一のスパインはニチノールを備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(7) 前記単一のスパインは、略扁球形状を形成している、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(8) 前記管状シャフトの前記遠位端に近接して配置されたスパイン保持ハブを更に備え、前記スパイン保持ハブは、レリーフランド(relief land)を備える円筒状部材を含み、前記レリーフランドは、前記円筒状部材の外面上に配置され、前記単一のスパインが前記レリーフランド内に嵌合され、その中に保持されることを可能にし、前記スパイン保持ハブは、前記スパイン保持ハブの遠位部分に配置された少なくとも1つの電極を更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(9) 各電極は、ワイヤが前記ルーメンに隣接して延在することを可能にするように、前記ルーメンに隣接するレリーフを備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(10) 前記ワイヤは、前記単一のスパインから電気的に絶縁されており、前記1つ又は2つ以上の電極のうちの1つの電極に電気的に接続されている、実施態様9に記載の医療用プローブ。
【0091】
(11) 前記ワイヤの少なくとも一部は、第1の導電性を有する導電性コア材料と、前記第1の導電性よりも低い第2の導電性を有し、前記導電性コア材料を取り囲む導電性カバー材料と、前記導電性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットとを備える、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(12) 前記ワイヤの少なくとも一部は、複数のストランドと、前記複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットとを備え、
前記複数のストランドのうちの各ストランドは、それぞれ、第1の導電性を有する導電性コア材料と、前記第1の導電性よりも低い第2の導電性を有し、前記導電性コア材料を取り囲む導電性カバー材料とを備える、実施態様10に記載の医療用プローブ。
(13) 前記1つ又は2つ以上の電極は、不可逆的エレクトロポレーションのための電気パルスを送出するように構成されており、前記パルスは、少なくとも900ボルト(V)の電圧を有する、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(14) 前記管状シャフトの前記遠位端に近接して配置された灌注開口部を更に備え、前記灌注開口部は、前記1つ又は2つ以上の電極に近接する領域に灌注流体を送出するように構成されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(15) 前記単一のスパインの上、且つ前記それぞれの電極の前記ルーメン内に配置された絶縁スリーブを更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0092】
(16) 前記絶縁スリーブは、支柱が通って延在する第1のルーメンと、電気ワイヤが通って延在する第2のルーメンとを備え、前記第1のルーメン及び前記第2のルーメンは互いに別個である、実施態様15に記載の医療用プローブ。
(17) 各電気絶縁スリーブの断面形状は、実質的に台形形状を備える、実施態様16に記載の医療用プローブ。
(18) 医療用プローブを作製する方法であって、
単一のスパインを形成するために2つの接続された螺旋を弾性材料の平面シートに切断することと、
前記単一のスパインを略球状螺旋形状を有する所定の形状に形成することであって、前記単一のスパインが、折り畳まれた形態にある時の細長い形状から拡張形態にある時の前記所定の形状に移行するように構成される、ことと、
電極の少なくとも1つのルーメンを通して前記単一のスパインを挿入することと、
血管系を横断するようにサイズ決定された管状シャフトに前記単一のスパインの端部を嵌合することであって、前記単一のスパインの第1の端部が前記管状シャフトの遠位端の近位に位置付けられ、前記単一のスパインの第2の端部が前記医療用プローブの遠位端に近接して位置付けられる、こととを含む、方法。
(19) 前記拡張形態にある時、前記単一のスパインは、(1)前記第1の端部から前記第1の端部と前記第2の端部との間の前記単一のスパインに沿って位置付けられた第1の位置まで外向きに、且つ(2)前記第1の位置から前記第2の端部まで内向きに、螺旋状になるように構成されている、実施態様18に記載の方法。
(20) 2つの接続された螺旋を弾性材料の平面シートに切断することは、前記2つの螺旋を接続する直線部分を形成することを更に含み、前記直線部分は、各それぞれの螺旋の中心点から最も遠い各螺旋のそれぞれの端部に近接して前記2つの螺旋に接続されている、実施態様18に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
【外国語明細書】