(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106347
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】改善された組織接触及び電流送達のための球形バスケットを形成する三脚型スパインのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023006438
(22)【出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/301,180
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/065,939
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・マーク・オカルスキ
(72)【発明者】
【氏名】ケシャバ・ダッタ
(72)【発明者】
【氏名】アブバカール・バー
(72)【発明者】
【氏名】タン・グエン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK17
4C160KK38
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】医療用プローブを提供すること。
【解決手段】開示された技術は、長手方向軸に沿って延在し、近位端部及び遠位端部を含む、管状シャフトを備える、医療用プローブを含む。医療用プローブは、管状シャフトの遠位端部に近接する拡張可能なバスケットアセンブリを更に備える。バスケットアセンブリは、第1の一体型三脚構造体と、第2の一体型三脚構造体と、を備え、各三脚構造体は、各中央スパイン交差部で収束する3本の線状スパインを含むそれぞれの平面状材料シートから形成され、1つ以上の電極はスパインのそれぞれに連結され、各電極は、スパインが1つ以上の電極のそれぞれのルーメンを通って延在するように、電極を通してルーメンを画定する。各三脚構造体は、それぞれの中央スパイン交差部で収束する3本の線状スパインを含むそれぞれの平面状材料シートから形成される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブであって、
近位端部及び遠位端部を含む管状シャフトであって、前記管状シャフトが長手方向軸に沿って延在する、管状シャフトと、
前記管状シャフトの前記遠位端部に近接した拡張可能なバスケットアセンブリであって、第1の一体型三脚構造体及び第2の一体型三脚構造体を備え、各三脚構造体が、それぞれの中央スパイン交差部で収束する3本の線状スパインを含むそれぞれの平面状材料シートから形成され、各三脚構造体の各スパインが、前記管状シャフトの前記遠位端部に接続されたそれぞれの端部を含み、各三脚構造体の前記中央スパイン交差部が、前記バスケットアセンブリの遠位端部において前記長手方向軸上に位置決めされている、拡張可能なバスケットアセンブリと、
前記スパインのそれぞれに連結された1つ以上の電極であって、各電極が前記電極を通るルーメンを画定し、前記スパインが前記1つ以上の電極のそれぞれの前記ルーメンを通って延在する、1つ以上の電極と、を備える、医療用プローブ。
【請求項2】
前記3本の線状スパインが、それぞれ隣接するスパイン間のそれぞれの角度がほぼ等しいように、等角パターンで前記中央スパイン交差部から延在する、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項3】
前記それぞれの三脚構造体の前記スパインが重なり合わないように、前記第1の一体型三脚構造体及び前記第2の一体型三脚構造体が前記長手方向軸に沿って回転される、請求項2に記載の医療用プローブ。
【請求項4】
前記拡張可能なバスケットアセンブリが、ほぼ偏球体である、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項5】
前記拡張可能なバスケットアセンブリが、少なくとも1つの三脚構造体の前記中央スパイン交差部に近接して配置される、少なくとも1つの個別のカットアウト部を備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項6】
前記拡張可能なバスケットアセンブリが、各三脚構造体の前記中央スパイン交差部に近接して配置される、少なくとも1つの個別のカットアウト部を備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項7】
前記平面状材料シートがニチノールを含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項8】
前記管状シャフトの前記遠位端部に近接して配置されたスパイン保持ハブ部を更に備え、前記スパイン保持ハブ部が、複数の起伏部領域を含む円筒形部材を備え、前記起伏部領域は、前記円筒形部材の外面上に配置され、各スパインが起伏部領域内へと嵌合されてその中で保持されることを可能にし、前記保持ハブ部が、前記保持ハブ部の遠位部分に配置された少なくとも1つの電極を更に含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項9】
前記電極のルーメンが、前記電極の長手方向軸に対してオフセットで配置されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項10】
各電極が、1つ以上のワイヤが前記ルーメンに隣接して延在することを可能にするための、前記ルーメンに隣接したワイヤ起伏部を備える、請求項9に記載の医療用プローブ。
【請求項11】
前記1つ以上の電極が、不可逆電気穿孔法のための電気パルスを送達するように構成されており、前記パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項12】
前記管状シャフトの前記遠位端部に近接して配置された灌注開口部を更に備え、前記灌注開口部が、灌注流体を前記1つ以上の電極に送達するように構成されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項13】
前記それぞれの所与のスパインを覆って、かつ前記それぞれの電極の前記ルーメン内にそれぞれ配置された複数の絶縁スリーブを更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項14】
複数の絶縁スリーブを更に備え、各絶縁スリーブが、内部を通って前記それぞれの所与のスパインが延在する第1のルーメンと、内部を通って電気ワイヤが延在する第2のルーメンと、を備え、前記第1のルーメン及び前記第2のルーメンが互いに異なり、各絶縁スリーブが、前記それぞれの電極の前記ルーメン内に延在する、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項15】
前記1つ以上の電極のうちのそれぞれの電極に、それぞれ電気的に連結された、複数のワイヤを更に備え、
前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの少なくとも一部分が、第1の導電率を含む導電性コア材料と、前記第1の導電率未満の第2の導電率を含み、前記導電性コア材料を取り囲む導電性カバー材料と、前記導電性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットと、をそれぞれ備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項16】
前記1つ以上の電極のうちのそれぞれの電極に、それぞれ電気的に連結された、複数のワイヤを更に備え、
前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの少なくとも一部分が、複数のストランドと、前記複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットと、をそれぞれ備え、
前記複数のストランドのうちの各ストランドが、第1の導電率を含む導電性コア材料と、前記第1の導電率未満の第2の導電率を含み、前記導電性コア材料を取り囲む導電性カバー材料と、をそれぞれ備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項17】
医療用プローブを構築する方法であって、前記方法が、
第1の平面状材料シートを切断して、第1の中央スパイン交差部を含む3本のスパインを備える第1の構造体を形成することと、
第2の平面状材料シートを切断して、第2の中央スパイン交差部を含む3本のスパインを備える第2の構造体を形成することと、
前記第1の構造体及び前記第2の構造体の前記中央スパイン交差部を、重ね合わせることと、
前記それぞれの構造体の各スパインを、少なくとも電極のルーメン内へと挿入することと、
前記中央スパイン交差部が前記医療用プローブの遠位端部に位置付けられ、それぞれのスパインが管状構成から弓状構成へと移行可能であるように、前記それぞれの構造体の前記スパインの端部を、脈管構造を通過するようにサイズ決定された管状シャフトに篏合させることと、を含む、方法。
【請求項18】
長手方向切り込み線及び横方向切り込み線を含むパターンから、各構造体のスパインを切断することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの構造体の前記中央スパイン交差部において、個別のカットアウト部を切断することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記それぞれの構造体の前記スパインが重なり合わないように、少なくとも1つの構造体を長手方向軸に沿って回転させる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、先願の米国特許仮出願番号第63/301,180号(2022年1月20日出願)の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、医療用デバイス、特に、電極を伴うカテーテルに関し、更に、排他的ではないが、心臓組織の不可逆電気穿孔法(Irreversible electroporation、IRE)を誘導するための使用に好適なカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動(Atrial Fibrillation、AF)などの心不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝達する場合に生じる。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための特定の処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びこのような信号の伝導路を分断することが挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが、場合によっては可能である。
【0004】
当該技術分野における多くの現行のアブレーションアプローチは、高周波(Radiofrequency、RF)電気エネルギーを利用して組織を加熱する傾向がある。RFアブレーションは、組織の炭化、燃焼、蒸気破裂、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得る、熱細胞損傷のリスクの高まりなどの、操作者の技能に起因する特定の稀な欠点を有し得る。冷凍アブレーションは、一般に、RFアブレーションと関連する熱的リスクを低減するが、このようなデバイスの超低温性質に起因して組織損傷を示す場合のある、RFアブレーションに対する代替的アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操縦し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気アブレーションデバイスによって到達され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0005】
いくつかのアブレーションアプローチは、非熱的アブレーション方法を使用して心臓組織をアブレーションするために、不可逆電気穿孔法(IRE)を使用する。IREは、高電圧の短いパルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用した組織へのIREエネルギーの送達が、特許文献で以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの実施例は、米国特許公開第2021/0169550A1号、同第2021/0169567A1号、同第2021/0169568A1号、同第2021/0161592A1号、同第2021/0196372A1号、同第2021/0177503A1号、及び同第2021/0186604A1号に開示されており、そのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれ、優先米国特許出願第63/301,180号の附属書類に添付されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
心臓組織の領域は、異常な電気信号を識別するためにカテーテルによってマッピングされ得る。同じカテーテル又は異なるカテーテルを使用して、アブレーションを実施し得る。いくつかの代表的なカテーテルは、その上に電極が位置付けられたいくつかのスパインを含む。電極は、一般に、スパインに取り付けられ、はんだ付け、溶接によって、又は接着剤を使用して、定位置に固定される。更に、3本のスパインを含む三脚構造体は、一般に、3本のスパインの端部を管状シャフト(例えば、押し出し用チューブ)に取り付けて球形バスケットを形成することによって、共に組み立てられる。しかしながら、スパイン及び電極の小型のサイズに起因して、電極をスパインに接着し、次に、2つ以上の三脚構造体から球形バスケットを形成することは困難な作業であり、製造時間及びコスト、並びに不適切な結合又は不整合に起因した電極故障の可能性を増加させ得る。したがって、必要とされるものは、バスケットアセンブリ幾何形状及び代替的バスケットアセンブリ幾何形状全般を製造するために必要とされる時間を短縮することに役立ち得る、改善されたバスケットアセンブリを形成するデバイス及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
医療用プローブ及び関連する方法の種々の実施形態が、記載及び図示される。医療用プローブは、管状シャフトと、拡張可能なバスケットアセンブリと、1つ以上の電極と、を含んでもよい。管状シャフトは、近位端部及び遠位端部を有し得る。管状シャフトは、長手方向軸に沿って延在し得る。拡張可能なバスケットアセンブリは、管状シャフトの遠位端部に近接し得る。バスケットアセンブリは、第1の一体型三脚構造体及び第2の一体型三脚構造体を含み得る。各三脚構造体は、それぞれの中央スパイン交差部で収束する3本の線状スパインを含むそれぞれの平面状材料シートから形成され得る。各三脚構造体の各スパインは、管状シャフトの遠位端部に接続されたそれぞれの端部を有し得る。各三脚構造体の中央スパイン交差部は、バスケットアセンブリの遠位端部において、長手方向軸上に位置付けられ得る。1つ以上の電極は、スパインのそれぞれに連結され得る。各電極は、スパインが1つ以上の電極のそれぞれのルーメンを通って延在するように、電極を通してルーメンを画定し得る。
【0008】
開示された技術は、医療用プローブを構築する方法を含み得る。本方法は、第1の平面状材料シートを切断して、第1の中央スパイン交差部を含む3本のスパインを備える第1の構造体を形成することと、第2の平面状材料シートを切断して、第2の中央スパイン交差部を含む3本のスパインを備える第2の構造体を形成することと、第1の構造体及び第2の構造体の中央スパイン交差部を、重ね合わせることと、それぞれの構造体の各スパインを少なくとも電極のルーメン内へと挿入することと、中央スパイン交差部が医療用プローブの遠位端部に位置付けられ、それぞれのスパインが管状構成から弓状構成へと移行可能であるように、それぞれの構造体のスパインの端部を、脈管構造を横断するようにサイズ決定された管状シャフトに篏合させることと、含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態による、その遠位端部が電極を伴うバスケットアセンブリを有する、医療用プローブを含む医療用システムの概略絵図である。
【
図2A】本発明の実施形態による、拡張形態における医療用プローブの斜視図を示す概略絵図である。
【
図2B】本発明の実施形態による、拡張形態における医療用プローブの斜視図を示す概略絵図である。
【
図2C】本発明の実施形態による、萎んだ形態の医療用プローブの側面図を示す概略絵図である。
【
図2D】本発明の実施形態による、医療用プローブの分解組立側面図を示す概略絵図である。
【
図2E】本発明の実施形態による、医療用プローブの分解組立側面図を示す概略絵図である。
【
図3A】本発明の実施形態による、所与の医療用デバイスのバスケットアセンブリの輪郭図を示す概略絵図である。
【
図3B】本発明の実施形態による、所与の医療用デバイスのバスケットアセンブリの輪郭図を示す概略絵図である。
【
図4】本発明の実施形態による、バスケットアセンブリを形成する3本のスパインを含む三脚構造体の側面図を示す概略絵図である。
【
図5A】本発明の実施形態による、バスケットアセンブリを形成する方法の概略絵図である。
【
図5B】本発明の実施形態による、バスケットアセンブリを形成する方法の概略絵図である。
【
図6A】本発明の実施形態による、中央交差部の種々の実施例を示す、バスケットアセンブリの上面下向き図の概略絵画図である。
【
図6B】本発明の実施形態による、中央交差部の種々の実施例を示す、バスケットアセンブリの上面下向き図の概略絵画図である。
【
図6C】本発明の実施形態による、中央交差部の種々の実施例を示す、バスケットアセンブリの上面下向き図の概略絵画図である。
【
図6D】本発明の実施形態による、中央交差部の種々の実施例を示す、バスケットアセンブリの上面下向き図の概略絵画図である。
【
図7A】本発明の実施形態による、種々の代表的な電極の斜視図を示す概略絵図である。
【
図7B】本発明の実施形態による、種々の代表的な電極の斜視図を示す概略絵図である。
【
図7C】本発明の実施形態による、種々の代表的な電極の斜視図を示す概略絵図である。
【
図7D】本発明の実施形態による、種々の代表的な電極の斜視図を示す概略絵図である。
【
図7E】本発明の実施形態による、種々の代表的な電極の斜視図を示す概略絵図である。
【
図7F】本発明の実施形態による、種々の代表的な電極の斜視図を示す概略絵図である。
【
図7G】本発明の実施形態による、種々の代表的な電極の斜視図を示す概略絵図である。
【
図7H】本発明の実施形態による、種々の代表的な電極の斜視図を示す概略絵図である。
【
図7I】本発明の実施形態による、種々の代表的な電極の斜視図を示す概略絵図である。
【
図7J】本発明の実施形態による、種々の代表的な電極の斜視図を示す概略絵図である。
【
図8A】本発明の実施形態による、所与の医療用デバイスの種々の絶縁ジャケットを示す概略絵図である。
【
図8B】本発明の実施形態による、所与の医療用デバイスの種々の絶縁ジャケットを示す概略絵図である。
【
図9A】本発明の実施形態による、医療用プローブの所与のワイヤの断面図を示す概略絵図である。
【
図9B】本発明の実施形態による、医療用プローブの所与のワイヤの断面図を示す概略絵図である。
【
図10A】本発明の実施形態による、平面状材料シートからの、3本のスパインを含む三脚構造体パターンの切断の、概略絵図である。
【
図10B】本発明の実施形態による、平面状材料シートからの、3本のスパインを含む三脚構造体パターンの切断の、概略絵図である。
【
図11】本発明の実施形態による、バスケットアセンブリを組み立てる別の方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく実施例として本発明の原理を示す。本説明は、当業者が本発明を製造及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形形態、代替物及び使用を説明する。
【0011】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する用語「約」又は「およそ」とは、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、記載された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指してもよい。
【0012】
本明細書で使用される場合、用語「患者」、「受容者」、「ユーザ」及び「被検者」とは、任意のヒト又は動物の対象体を指し、本システム又は本方法をヒトへの使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用により、好ましい実施形態が表される。なお、「患者」、「受容者」、「ユーザ」、及び「被検者」の脈管構造は、ヒト又は任意の動物の脈管構造であり得る。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、種々のあらゆる該当する種類のものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。被検者は、例えば、任意の適用可能なヒト患者であり得ることを理解されたい。同様に、用語「近位」は、操作者又は医師により近い位置を示す一方で、「遠位」は、操作者又は医師からより遠く離れた位置を示す。
【0013】
本明細書で論じられるように、「操作者」は、被検者への薬剤抵抗性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達に関連する、医師、外科医、技術者、科学者、又は任意のその他の個人若しくは送達計装を含み得る。
【0014】
本明細書で論じられるように、用語「アブレーションする(ablate)」又は「アブレーション(ablation)」とは、本開示のデバイス及び対応するシステムに関するため、本開示の全体を通してパルス電界(pulsed electric field、PEF)及びパルス電界アブレーション(pulsed field ablation、PFA)と互換的に称される、不可逆電気穿孔法(IRE)などの非熱的エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則な心臓信号の生成を低減又は防止するように構成された構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する際の、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室性頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない、特定の状態に対する心臓組織の非熱的アブレーションを参照して、本開示の全体を通して使用される。用語「アブレーションする」又は「アブレーション」はまた、当業者によって理解されるように、種々の形態の身体組織アブレーションを達成するための周知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0015】
本明細書で論じられるように、用語「双極」及び「単極」とは、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に位置付けられた2つの電極間の電流経路を利用する、アブレーションスキームを指し、電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極のそれぞれにおいてほぼ等しい。「単極」とは、高電流密度及び高電束密度を含む1つの電極が、治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を含む第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。
【0016】
本明細書で論じられるように、用語「二相パルス」及び「単相パルス」とは、それぞれの電気信号を指す。「二相パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称される)及び負電圧相パルス(本明細書では「逆相」と称される)を含む、電気信号を指す。「単相パルス」は、正相のみ又は逆相のみを含む、電気信号を指す。好ましくは、二相パルスを提供するシステムは、直流電圧(Direct Current voltage、DC)の患者への印加を防止するように構成されている。例えば、二相パルスの平均電圧は、接地又はその他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。加えて、又は代替的に、システムは、コンデンサ又はその他の保護構成要素を含み得る。二相パルス及び/又は単相パルスの電圧振幅が本明細書に記載されている場合、発現された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相のそれぞれの近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相パルス及び単相パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分の間に本質的に一定の電圧振幅を含む正方形を有する。二相パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間にほぼ等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相パルスの相の持続時間の約25%である。
【0017】
本明細書で論じられるように、用語「管状(tubular)」及び「管(tube)」とは、広義に解釈されるものとし、直円柱である構造か、又は断面が厳密に円形である構造、若しくはその長さの全体を通して均一な断面の構造に限定されるものではない。例えば、管状構造は、一般に、実質的に直円柱構造として図示される。しかしながら、管状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、テーパ状又は湾曲状の外側表面を有してもよい。
【0018】
本明細書で使用される場合の用語「温度定格」とは、構成要素の溶融又は熱劣化(例えば、炭化及び崩壊)などの熱損傷を引き起こすことなく、構成要素がその寿命の間に耐え得る最大連続温度として定義される。
【0019】
本開示は、スパインに添着された電極を含むエンドエフェクタを利用するシステム、方法又は使用、及びデバイスに関する。本開示の代表的なシステム、方法、及びデバイスは、心不整脈を治療するための心臓組織のIREアブレーションに特に適し得る。アブレーションエネルギーは、典型的には、アブレーションされる組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達し得るカテーテルの先端部分によって、心臓組織に提供される。いくつかの代表的カテーテルは、先端部分に三次元構造を含み、三次元構造上に位置付けられた種々の電極からアブレーションエネルギーを投入するように構成されている。このような代表的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、蛍光透視法を使用して可視化され得る。
【0020】
機能不全の心臓を矯正するために、高周波(RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術の適用を使用する、心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用してアブレーションを成功させるために、心筋の種々の位置で心臓の電極電位を測定する必要がある。なお、アブレーション中の温度測定は、アブレーションの有効性を可能にするデータを提供する。典型的には、熱的技術を使用したアブレーション処置について、実際のアブレーションの前、間、及び後に、電極電位及び温度が測定される。
【0021】
RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、蒸気破裂、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得るリスクを有し得る。冷凍アブレーションは、RFアブレーションに関連する若干の熱的リスクを低減し得る、RFアブレーションに対する代替的アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操縦し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難であり、したがって、冷凍アブレーションは、電気アブレーションデバイスによって到達され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0022】
本開示で論じられるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用され得る非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相電圧パルスが心筋の細胞構造を破壊するために印加される。二相パルスは、非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて、標的細胞に対して調整し得る。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が印加されて、治療領域において熱を生成し、治療領域内の全ての細胞を無差別に加熱する。したがって、IREは、アブレーション様式又は隔離様式で知られている起こり得る合併症の低減に有益であろう、隣接する熱感受性構造又は組織を温存する能力を有する。加えて、又は代替的に、単相パルスが利用され得る。
【0023】
電気穿孔法は、細胞膜内の細孔の可逆的(一時的)又は不可逆的(永久的)生成を引き起こすために、生物学的細胞にわたってパルス電界を印加することによって誘導され得る。細胞は、パルス電界の印加時に静止電位を超えて増大する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は閾値電位を下回ったままであるが、電気穿孔法は可逆的であり、これは、印加されたパルス電界が除去された場合に細孔が閉じ得、細胞が自己修復及び生存し得ることを意味する。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増大する場合、電気穿孔法は不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、恒常性の喪失に起因して死滅し、典型的には、プログラムされた細胞死又は細胞自滅(アポトーシス)によって死滅するが、これは、その他のアブレーション様式と比較して、残る瘢痕組織がより少ないと考えられている。一般に、異なる種類の細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞は、約500V/cmの閾値電位を有するが、骨については3000V/cmである。閾値電位のこれらの差異は、IREが閾値電位に基づいて組織を選択的に標的とすることを可能にする。
【0024】
本開示の解決策は、好ましくは、心筋組織に電気穿孔法を誘導するために有効なパルス電界を印加することによって、心筋組織の近傍に位置付けられたカテーテル電極から電気信号を印加するためのシステム及び方法を含む。本システム及び方法は、不可逆電気穿孔法を誘導することによって標的組織をアブレーションするために、有効であり得る。いくつかの実施例では、本システム及び方法は、診断処置の一部として可逆電気穿孔法を誘導するために、有効であり得る。可逆電気穿孔法は、電極で印加された電気が、細胞が修復することを可能にする、標的組織の電界閾値を下回る場合に発生する。可逆電気穿孔法は、細胞を死滅させないが、医師が、標的位置の近傍で電気活性化信号に対する可逆電気穿孔法の効果を見ることを可能にする。可逆電気穿孔法のための代表的なシステム及び方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、優先米国特許出願第63/301,180号の附属書類に添付されている、米国特許公開第2021/0162210号に開示されている。
【0025】
可逆電気穿孔法及び/又は不可逆電気穿孔法を誘導するためのパルス電界並びにその有効性は、システムの物理的パラメータ及び電気信号の二相パルスパラメータによる影響を受け得る。物理的パラメータは、電極接触領域、電極間隔、電極幾何形状等を含み得、本明細書に提示される実施例は、一般に、可逆電気穿孔法及び/又は不可逆電気穿孔法を効果的に誘導するように適合された物理的パラメータを含む。電気信号の二相パルスパラメータは、電圧振幅、パルス持続時間、パルス相間遅延、パルス間遅延、総印加時間、送達エネルギー等を含み得る。いくつかの実施例では、電気信号のパラメータを調節して、同じ物理的パラメータを与えられた可逆電気穿孔法及び不可逆電気穿孔法の両方を誘導し得る。IREを含むアブレーションの種々のシステム及び方法の実施例は、米国特許公開第2021/0169550A1号、同第2021/0169567A1号、同第2021/0169568A1号、同第2021/0161592A1号、同第2021/0196372A1号、同第2021/0177503A1号、及び同第2021/0186604A1号に提示されており、そのそれぞれの全体は、参照により本明細書に組み込まれ、優先米国特許出願第63/301,180号の附属書類に添付されている。
【0026】
IRE(不可逆電気穿孔法)処置においてパルス電界アブレーション(PFA)を送達するために、電極は、十分に広い表面積を有するアブレーションされている組織に接触するべきである。以下に記載されるように、医療用プローブは、近位端部及び遠位端部を含む管状シャフトと、管状シャフトの遠位端部におけるバスケットアセンブリと、を含む。バスケットアセンブリは、中央交差部で収束する3本の線状スパインと、スパインのそれぞれに連結した1つ以上の電極と、を含む、少なくとも1つの三脚構造体を含む。線状スパインは、屈曲して、ほぼ球形又は偏球体のバスケットアセンブリを形成し得る。
【0027】
図1は、本発明の実施形態による、医療用プローブ22と、制御コンソール24と、を含む、医療用システム20の概略絵図である。医療用システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(31 Technology Drive,Suite 200,Irvine,CA 92618 USA)によって製造されたCARTO(登録商標)システムに基づいてもよい。以下に記載される実施形態では、医療用プローブ22は、患者28の心臓26においてアブレーション処置を実施するためなど、診断処置又は治療処置のために使用され得る。代替的に、医療用プローブ22は、必要な変更を加えて、心臓又はその他の身体器官において、その他の治療目的及び/又は診断目的で使用されてもよい。
【0028】
医療用プローブ22は、可撓性挿入管30と、管状シャフトの近位端部に連結されたハンドル32と、を含む。医療処置中に、医療専門家34は、医療用プローブの遠位端部36が心臓26の腔などの体腔に進入するように、患者28の脈管構造を通してプローブ22を挿入し得る。遠位端部36が心臓26の腔に進入すると、医療専門家34は、医療用プローブ22の遠位端部36に接近してバスケットアセンブリ38を展開させ得る。バスケットアセンブリ38は、以下の
図2A及び
図2Bを参照する説明に記載されるように、複数のスパイン214に添着された複数の電極40を含み得る。不可逆電気穿孔法(IRE)アブレーションなどの医療処置の実施を開始するために、医療専門家34は、電極40が1か所又は複数の所望の位置で心臓組織に係合するように、ハンドル32を操作して遠位端部36を位置付け得る。電極40が心臓組織に係合するように遠位端部36を位置付けると、医療専門家34は、電極40によって電気パルスが送達されてIREアブレーションを実施するように、医療用プローブ22を作動させ得る。
【0029】
医療用プローブ22は、ガイドシースと、治療用カテーテルと、を含み得、ガイドシースは、可撓性挿入管30と、ハンドル32と、を含み、治療用カテーテルは、バスケットアセンブリ38と、電極40と、管状シャフト84と、を含む(
図2A~
図2Eを参照)。治療用カテーテルは、バスケットアセンブリ38が心臓26内に位置付けられるように、ガイドシースを通して並進される。医療用プローブ22の遠位端部36は、バスケットアセンブリ38が可撓性挿入管30内に収容される場合にはガイドシースの遠位端部に対応し、医療用プローブ22の遠位端部36は、バスケットアセンブリ38がガイドシースの遠位端部から延在される場合にはバスケットアセンブリ38の遠位端部に対応する。医療用プローブ22は、代替的に、当業者によって理解されるように、治療用カテーテル上の第2のハンドル及びその他の特徴を含むように構成され得る。
【0030】
図1に示される構成では、制御コンソール24は、ケーブル42によって、典型的には、患者28に添着される接着性皮膚パッチ44を含む体表面電極に接続される。制御コンソール24は、追跡モジュール48と併せて、心臓26の内側の遠位端部36の位置座標を決定するプロセッサ46を含む。位置座標は、発生した磁場の存在下にある場合にカテーテルの遠位部分から提供される電磁位置センサ出力信号に基づいて決定され得る。位置座標は、加えて、又は代替的に、接着性皮膚パッチ44と、バスケットアセンブリ38に添着されている電極40と、の間で測定された、インピーダンス及び/又は電流に基づき得る。医療処置中に位置センサとして使用されることに加えて、電極40は、心臓内の組織をアブレーションすることなどのその他の作業を実施してもよい。
【0031】
上記に記載されるように、追跡モジュール48と併せて、プロセッサ46は、接着性皮膚パッチ44と電極40との間で測定されたインピーダンス及び/又は電流に基づいて、心臓26の内側の遠位端部36の位置座標を決定してもよい。このような決定は、典型的には、インピーダンス又は電流を遠位端部の周知の位置に関連付ける較正プロセスが実施された後のものである。本明細書に提示される実施形態は、好ましくは、IREアブレーションエネルギーを心臓26内の組織に送達するように構成されている電極40を記載するが、任意のその他の種類のアブレーションエネルギーを任意の体腔内の組織に送達するように電極40を構成することは、本発明の趣旨及び範囲内であるとみなされる。更に、IREアブレーションエネルギーを心臓26内の組織に送達するように構成されている電極40であることに関連して記載されているが、当業者は、開示された技術が、患者28の身体の器官又はその他の部分の種々の特性をマッピング及び/又は決定するために使用される電極に適用可能であり得ることを、理解するであろう。
【0032】
プロセッサ46は、典型的には、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable gate array、FPGA)として構成された実時間ノイズ低減回路50と、続いてアナログ-デジタル(analog-to-digital、A/D)信号変換集積回路52と、を含んでもよい。プロセッサは、1つ以上のアルゴリズムを実施するようにプログラムされ得、医療専門家34がIREアブレーション処置を実施することを可能にするために、回路50及び回路52並びにモジュールの特徴を使用する。
【0033】
制御コンソール24はまた、制御コンソール24が電極40及び接着性皮膚パッチ44から信号を転送する、並びに/又はそれらに信号を転送することを可能にする、入力/出力(input/output、I/O)通信インターフェース54を含む。
図1に示される構成では、制御コンソール24は、追加的に、IREアブレーションモジュール56と、スイッチングモジュール58と、を含む。
【0034】
IREアブレーションモジュール56は、数十キロワットの範囲内のピーク電力を含むIREパルスを発生させるように構成されている。いくつかの実施例では、電極40は、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を含む電気パルスを送達するように構成されている。医療用システム20は、IREパルスを電極40に送達することによって、IREアブレーションを実施する。好ましくは、医療用システム20は、スパイン上の電極40間に二相パルスを送達する。加えて、又は代替的に、医療用システム20は、電極40のうちの少なくとも1つと皮膚パッチとの間に単相パルスを送達する。
【0035】
システム20は、管状シャフト84内のチャネル(図示せず)を介して遠位端部36及び電極40に灌注流体(例えば、生理食塩水)を供給してもよい(
図2A~
図2Cを参照)。灌注は、場合によっては、アブレーション電極付近の血餅形成又は血液の鬱血を低減するために、あるいはアブレーション中に電極内で発生したいずれかの熱を移動させるために、利用されてもよい。加えて、又は代替的に、可撓性挿入管30を通して、灌注流体を供給し得る。制御コンソール24は、灌注流体の圧力及び温度などの灌注パラメータを監視及び制御するための灌注モジュール60を含む。医療用プローブの代表的実施形態の選好は、IRE又はPFA用であるが、医療用プローブを、RFアブレーションのためのみに別個に使用すること(外部接地電極を用いた単極モード又は双極モード)、又はIREアブレーションとRFアブレーションとを組み合わせて順次使用すること(IREモードにおける特定の電極及びRFモードにおけるその他の電極)、若しくは同時に使用すること(IREモードにおける電極の群及びRFモードにおけるその他の電極の群)もまた、本発明の範囲内であることに、留意されたい。
【0036】
電極40及び/又は接着性皮膚パッチ44から受信した信号に基づいて、プロセッサ46は、患者の体内における遠位端部36の位置を示す電気解剖学的マップ62を生成し得る。処置中、プロセッサ46は、ディスプレイ64上でマップ62を医療専門家34に提示し、電気解剖学的マップを表すデータをメモリ66に記憶させ得る。メモリ66は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなどの任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、医療専門家34は、1つ以上の入力デバイス68を使用して、マップ62を操作し得る。代替実施形態では、ディスプレイ64は、マップ62を提示することに加えて、医療専門家34からの入力を受容するように構成され得るタッチスクリーンを含んでもよい。
【0038】
図2A及び
図2Bは、挿入管30の遠位端部36において挿入管のルーメン80から外に前進させられることなどによって拘束されていない場合の、拡張形態のバスケットアセンブリ38を含む、医療用プローブ22の斜視図を示す概略絵図である。
図2A及び
図2Bに図示される医療用プローブ22は、
図1に図示されるガイドシースを欠いている。
図2Cは、ガイドシースの挿入管30内の萎んだ形態のバスケットアセンブリを示す。拡張形態(
図2A及び
図2B)では、スパイン214は、半径方向外向きに湾曲し、萎んだ形態(
図2C)では、スパインは、一般に、挿入管30の長手方向軸86に沿って配設されている。
【0039】
図2Aに示すように、バスケットアセンブリ38は、管状シャフト84の端部でバスケットアセンブリ38を形成するためにスパインを屈曲させることを可能にする、独立した可撓性の、平面状材料シートから形成された3本のスパイン214を含む第1の一体型三脚構造体213Aを含む。医療処置中、医療専門家34は、管状シャフト84を挿入管30から延在させて、バスケットアセンブリ38を挿入管30から退出させ、拡張形態へと移行させることによって、バスケットアセンブリ38を展開し得る。スパイン214は、楕円形(例えば、円形)又は長方形(平坦に見える場合がある)の断面を有してもよく、本明細書でより詳細に記載されるように、支柱を形成する可撓性で弾性の材料(例えば、ニチノールとしても知られているニッケルチタンなどの形状記憶合金)を含む。
【0040】
図2Aに示すように、第1の一体型三脚構造体213Aは、第1の中央スパイン交差部211Aで収束する3本の線状スパイン214を含む。いくつかの実施例では、第1の中央スパイン交差部211Aは、三脚構造体213の可撓性を変更し、スパイン214のより大きな屈曲を可能にする1つ以上のカットアウト部212を含み得る。(本明細書に記載及び図示される種々の構成における)カットアウト部は、座屈又は塑性変形を伴わずに、展開されていない(又は送達シース内への後退を受ける)場合に、はるかに小さい形状係数を可能にすることに留意されたい。
【0041】
図2Bに示すように、バスケットアセンブリ38は、第1の一体型三脚構造体213A及び第2の一体型三脚構造体213Bを含み得、同様に、中央スパイン交差部(第2の中央スパイン交差部211B)で収束する3本の線状スパイン214を含む。第2の中央スパイン交差部211Bは、
図2Bに示されるように、第1の中央スパイン交差部211Aと同様の1つ以上のカットアウト部212を含み得るが、いくつかの実施例では、第1の中央スパイン交差部211A又は第2の中央スパイン交差部211Bは、中実(カットアウト部なし)であり得る、又は1つのみの三脚構造体213A、213B上にカットアウト部が存在する。
【0042】
本明細書に記載される実施形態では、バスケットアセンブリ38のスパイン214上に位置付けられた1つ以上の電極40は、アブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を心臓26内の組織に送達するように構成され得る。加えて、又は代替的に、電極はまた、バスケットアセンブリ38の位置を決定するために、及び/又は心臓26内の組織上のそれぞれの位置で局所表面電位などの生理学的特性を測定するために、使用され得る。電極40は、1つ以上の電極40が、内向きよりもバスケットアセンブリ38から外向きに(すなわち、心臓26の組織に向かって)より大量の電気エネルギーを送達するように、1つ以上の電極40のより多くの部分がバスケットアセンブリ38から外向きに面するように、付勢され得る。
【0043】
電極40を形成するために理想的に好適な材料の実施例としては、金、白金、及びパラジウム(並びにそれらのそれぞれの合金)が挙げられる。これらの材料はまた、高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で発生した(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通して電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に伝導され、次に、心臓26内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0044】
図2Dを参照すると、バスケットアセンブリ38は、平面状材料シート210、210Aから形成された3本の線状スパイン214を含む第1の一体型三脚構造体213Aを含む(
図4及び
図5Aにより明確に示される)。
図2Eは、第1の三脚構造体213Aに重なる第2の一体型三脚構造体213Bを含むバスケットアセンブリ38を示す。ここでは図示されているが、バスケットアセンブリ38は、2つ以上の一体型三脚構造体を含み得る。
【0045】
本明細書に開示される任意の実施形態では、各三脚構造体213A、213B上のスパインは、管状シャフト84の遠位端部及び/又は管状シャフト84内に配置されたスパイン保持ハブ部90に連結するように構成された、それぞれのスパイン取り付け端部216を有し得る。医療用プローブ22は、管状シャフト84の遠位端部85に近接して配置されたスパイン保持ハブ部90を有し得る。スパイン保持ハブ部90は、管状シャフト84内へと挿入されて、管状シャフト84に取り付けられ得る。スパイン保持ハブ部90は、複数の起伏部領域96、多数の灌注開口部98、及び少なくとも1つのスパイン保持ハブ部電極99を含む、円柱形部材94を含み得る。起伏部領域96は、円柱形部材94の外側表面上に配置され得、各スパインの取り付け端部216などの各スパイン214の少なくとも一部分が、それぞれの起伏部領域96内へと嵌合されることを可能にするように、構成され得る。取り付け端部216は、一般に、スパイン214の線状端部であり得る。取り付け端部216は、バスケットアセンブリ38がスパイン保持ハブ部90から遠位に位置付けられ、その結果として、管状シャフト84から遠位に位置付けられるように、スパイン保持ハブ部90から遠位に延在するように構成され得る。このようにして、スパイン214は、バスケットアセンブリが展開される場合に、バスケットアセンブリ38を管状シャフト84の遠位端部から遠位に、かつ挿入管30の遠位端部から遠位に位置付けるように構成され得る。
【0046】
上記に記載されるように、制御コンソール24は、灌注流体を遠位端部36に送達する灌注モジュール60を含む。複数の灌注開口部98は、所与の電極40又は心臓26内の組織のいずれかに灌注流体を噴霧するか、又は別様に分散させるように角度付けされ得る。電極40は、灌注流体を送達する灌注開口部を含まないため、上記に記載される構成は、熱が組織から(すなわち、アブレーション処置中に)スパイン214の内側にある電極の部分に伝達されることを可能にし、灌注開口部98を介して、スパイン214の内側にある電極40の部分に灌注流体を向けることによって、電極40を冷却し得る。保持ハブ部90の遠位端部に配置されたスパイン保持ハブ部電極99は、スパイン214上の電極40と組み合わせて使用され得るか、又は代替的に、基準マッピング若しくはアブレーションのために電極40から独立して使用され得る。
【0047】
図3A及び
図3Bは、本発明の実施形態による、所与の医療用デバイス22のバスケットアセンブリ38A、38Bのスパイン214の外形輪郭を示す概略絵図である。例示のために、バスケットアセンブリは、バスケットアセンブリ38Aが拡張形態にある場合にほぼ球形を形成するようにほぼ円形である、
図3Aに示されるような輪郭を有し得る。別の実施例として、バスケットアセンブリは、バスケットアセンブリ38Bが拡張された形態にある場合に、ほぼ楕円形であってほぼ偏球体を形成する、
図3Bに示されるような輪郭を有し得る。形状の全ての変形形態が本明細書に示されているか、又は記載されているわけではないが、当業者は、スパイン214が、特定の用途に好適であるようなその他の種々の形状を形成するように更に構成され得ることを、理解するであろう。
【0048】
拡張形態にある場合に種々の形状を形成するように構成されたスパイン214を含むことによって、バスケットアセンブリ38は、スパイン214に取り付けられた種々の電極40を種々の場所に位置付けるように構成され得、各場所は、管状シャフト84の遠位端部により近いか、又はそこからより遠位である。例えば、スパイン214の中央付近で
図3Aに図示されるスパイン214に取り付けられた電極40は、バスケットアセンブリ38が拡張形態である場合に、
図3Bに図示されるスパイン214よりも管状シャフト84の遠位端部から遠くにあり得る。なお、各スパイン214は、楕円形(例えば、円形)又は長方形(平坦に見える場合がある)の断面を有してもよく、可撓性で弾性の材料(例えば、ニッケルチタン(ニチノールとしても知られている)、コバルトクロム、又は任意のその他の好適な材料などの形状記憶合金)を含む。
【0049】
図4、
図5A及び
図5Bは、バスケットアセンブリ38を形成する第1の構造体213A(
図4)と、バスケットアセンブリ38を形成する第1の構造体213A及び第2の構造体213Bの両方(
図5A及び
図5B)と、の図を示す、概略絵画図である。特に、
図4は、平面状材料シート210が、管状シャフト84と共に組み立てられ得、それによって、それぞれの取り付け端部216がスパイン保持ハブ部90に接続される場合に、各スパイン214が屈曲又は湾曲する様子の一実施例を提供する。
図5Aに示すように、第1の構造体213Aを第2の構造体213Bと重ね合わせることができ、両方とも平面状材料シート210A、210Bの単一シートから形成され、平らに置かれた場合に、一般に、3つ星型構造を形成する。換言すれば、各第1の構造体213A及び第2の構造体213Bのスパイン214は、スパイン214がそれぞれの中央交差部211A、211Bに向かって収束するように、単一の平面状材料シートから形成され得る。交差部211A、211Bは、(
図5Aに示されるように)中実材料片であり得るか、又は(
図5Bに示されるように)カットアウト部212を含み得る。バスケットアセンブリ38は、3本のスパインを含む多数の構造体を含み得る。当業者によって理解されるように、平面状材料シートから形成される3つを含む重なり合う追加的構造は、バスケットアセンブリ38の可撓性を変化させ、電極40の数を増加させ得る。
【0050】
図6A~
図6Dは、中央交差部211の1つ以上のカットアウト部212の種々の実施例を示す、バスケットアセンブリ38の上面下向き図の概略絵図である。図示のように、交差部211は、単一の個別のカットアウト部212を含み得る。図示されていないが、交差部211はまた、2つ以上のカットアウト部を含み得る。1つ以上のカットアウト部212は、スパイン214間の均等な屈曲を可能にするための中心対称(すなわち、中心点に対して対称)、及び等角(すなわち、等しい角度を含む)、並びに構造安定性を変更するためにスパイン214の不均等な屈曲を可能にするための不均衡及び非対称などの、種々のパターンを含み得る。特定の場合には、バスケットアセンブリ38が第1の構造213A以上を含む場合、バスケットアセンブリ38は、
図6C及び
図6Dに示されるように、2つ以上のカットアウト部212を含み得る。本明細書に記載される実施形態のいずれにおいても、カットアウト部212は、各スパイン214の一部分に沿って延在し得る。
【0051】
スパイン214は、スパイン214の各それぞれの取り付け端部216が、管状シャフト84の遠位端部85及びスパイン保持ハブ部90の起伏部領域96内へと挿入され得るように、折り畳まれるか、又は別様に屈曲され得る。
図5A及び
図5Bには示されていないが、スパインが管状シャフト84に挿入されてバスケットアセンブリ38を形成する前に、電極40をスパイン214に取り付け得ることが理解されるであろう。前述のように、スパイン214は、バスケットアセンブリ38が管状シャフト84から展開される場合に、バスケットアセンブリ38が(
図2A及び
図2Bに示されるような)その拡張形態へと移行することを可能にし得る、可撓性で弾性の材料(例えば、ニチノールとしても知られているニッケルチタンなどの形状記憶合金)を含み得る。本開示の全体を通して明白となるように、スパイン214は、電極40から電気的に絶縁されて、電極40からそれぞれのスパイン214へのアーク放電を防止し得る。
【0052】
本開示の利益を享受する当業者によって理解されるように、平面状材料シートから形成され、中央交差部で収束するスパイン214を含む、
図2A~
図2Eに示されるバスケットアセンブリ38は、単に例証目的のために提供され、開示された技術は、バスケットアセンブリ38のその他の構成に適用可能であり得る。例えば、開示された技術は、単一のスパイン214又は各スパイン214が両端に取り付けられた複数のスパイン214から形成されたバスケットアセンブリ38に適用可能であり得る。その他の実施例では、バスケットアセンブリ38は、バスケットアセンブリ38の遠位端部39において複数のスパイン214を共に接続する保持ハブ部を含み得る。更にその他の実施例では、バスケットアセンブリ38は、螺旋を形成するように構成された単一のスパイン214、螺旋を形成するように構成された複数のスパイン214、1つの三脚若しくは複数の三脚を形成するように構成された複数のスパイン214、又はバスケットアセンブリ38の任意のその他の形状を含み得る。したがって、
図2A~
図2Cは、バスケットアセンブリ38の具体的な構成を図示するが、開示された技術は、このように限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0053】
図2A~
図2Eに戻って参照すると、1つ以上の電極40をスパイン214に取り付けて、バスケットアセンブリ38を形成し得る。いくつかの実施例では、各電極40は、導電性材料(例えば、金、白金及びパラジウム(並びにそれらのそれぞれの合金))を含み得る。
図7A~
図7Jを参照すると、電極40は、電極740A~740Eで実施例として提供されるように、種々の断面形状、曲率、長さ、ルーメン数、及びルーメン形状を有し得る。電極740A~740Eは、医療用デバイス22と共に使用され得る電極40の種々の構成を図示すために提供されているが、限定されるものとして解釈されるべきではない。当業者は、電極40の種々のその他の構成が、本開示の範囲から逸脱することなく、開示された技術と共に使用され得ることを理解するであろう。
【0054】
各電極740A~740Eは、電極740から外向きに面する外側表面774と、電極740に向かって内向きに面する内側表面776と、を有し得、少なくとも1つのルーメン770が、電極740を通して形成される。ルーメン770は、スパイン214が電極740を通過し得るように、スパイン214を受容するようにサイズ決定及び構成され得る。ルーメン770は、電極740A~740Eを通した対称開口部であり得、それぞれの電極の長手方向軸L-Lに対してオフセットで配置され得る。その他の実施例では、ルーメン770は、それぞれの電極の長手方向軸L-Lに対して、一般に、横方向に電極740を通過し得る。更に、ルーメン770は、特定の構成に応じて、電極740の底部表面のより近くで、上部表面のより近くで、又は中央のより近くで、電極740内に位置付けられ得る。
図7A、
図7C、及び
図7E~
図7Jでは、上部表面(上側)は、図面の上部に向かって配向され、底部表面(下側)は、図面の底部に向かって配向され、中央は、上部表面と底部表面との間にある。換言すると、各電極740A~740Eは、電極740A~740Eの重心に対してオフセットされているルーメン770を含み得る。
【0055】
なお、
図7A~
図7Fに示されるように、電極740A~740Eは、1つ以上のワイヤがそれぞれのスパイン214と共にルーメン770を通過するために、ルーメン770に隣接して電極740に陥凹又はくぼみを形成する、ワイヤ起伏部772を有し得る。起伏部772は、電極740が制御コンソール24と電気通信し得るように、電極740のワイヤが電極740を通過するための空間を提供するようにサイズ決定され得る。
【0056】
代替的に、又はそれに加えて、ワイヤは、
図7G~
図7Jの代表的電極740D及び740Eに示されるように、ワイヤルーメン773を通過し得る。示されていないが、電極40は、ルーメン770に隣接したワイヤ起伏部772及びワイヤルーメン773の両方を含んでもよい。このような電極は、追加のワイヤが電極本体を通過することを可能にし得る。
【0057】
図7A~
図7Jに示されるように、電極740A~740Cは、用途に応じて種々の形状を含み得る。例えば、
図7A及び
図7Bに示されるように、電極740Aは、丸みを帯びた縁部を有する実質的に直方体形状を有し得る。その他の実施例では、電極740Bは、(
図7C及び
図7Dに図示されるように)実質的に卵形の形状を有し得るか、電極740C、740Dは、(
図7E~
図7Hに図示されるように)凸側及び凹側を含む輪郭形状を有し得るか、又は電極740Eは、(
図7I及び
図7Jに図示されるように)電極740Eの下側よりも上側に近接して実質的により多くの材料を含む輪郭形状を有し得る。当業者によって理解されるように、
図7A~
図7Jに示され、本明細書に記載される種々の代表的な電極740A~740Eは、例証目的のために提供され、限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0058】
図8A及び
図8Bは、本発明の実施形態による、所与の医療用デバイス22の種々の絶縁ジャケット880A、880Bを示す概略絵図である。
図8Aが、絶縁ジャケット880A、880Bの正面図である一方で、
図8Bは、それらの斜視図である。絶縁ジャケット880A、880Bは、ポリアミド-ポリエーテル(Pebax)コポリマー、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ウレタン、ポリイミド、パリレン、シリコーンなどの生体適合性の電気絶縁材料から作製され得る。いくつかの実施例では、絶縁材料は、限定されるものではないが、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone、PEEK)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid、PGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー(poly(lactic-co-glycolic acid)、PLGA)、ポリカプロラクトン(polycaprolactive、PCL)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(poly(3-hydroxybutyrate-co-3-hydroxyvalerate)、PHBV)、ポリ-L-ラクチド、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、及びポリ無水物を含む、生体適合性ポリマーを含み得、特定のポリマーの比は、炎症反応の程度を制御するように選択される。絶縁ジャケット880A、880Bはまた、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛等などの、1種以上の添加剤若しくは充填剤を含んでもよい。絶縁ジャケット880A、880Bは、スパイン214及び/又は絶縁ジャケット880A、880Bを通過するワイヤを電極40から絶縁して、電極40からスパイン214へのアーク放電及び/又は絶縁ジャケット880A、880Bを通過するワイヤの機械的磨耗を防止することに役立ち得る。
【0059】
図8A及び
図8Bに図示されるように、絶縁ジャケット880A、880Bは、実質的に台形である断面形状を含み得る。絶縁ジャケットは、単一ルーメン構成又は多重ルーメン構成からなってもよい。多重ルーメンジャケットは、合金フレーム及びワイヤが単一のルーメンを共有する一方で、第2のルーメンが灌注に使用され得るように構成されてもよい。合金フレーム及びワイヤはまた、記載されるように、別個のルーメンを占有してもよい。本実施形態は、灌注ジャケットを利用しない。これらの設計については、絶縁ジャケットは、連続的である(各合金フレーム支柱の近位端部から遠位端部まで延在する個々のスリーブ)か、セグメント化される(電極間隙の間に架橋する)か、又は両方の組み合わせであってもよい。更に、絶縁ジャケット880A、880Bは、第1のルーメン882A、882B及び第2のルーメン884A、884Bを含み得る。第1のルーメン882A、882Bは、スパイン214を受容するように構成され得る一方で、第2のルーメン884A、884Bは、ワイヤを受容するように構成され得る、又はその逆も同様である。その他の実施例では、第1のルーメン882A、882B及び第2のルーメン884A、884Bはそれぞれ、1つ以上の電極40に接続され得る1つ以上のワイヤを受容するように構成され得る。更に、
図8Bに図示されるように、絶縁ジャケット880A、880Bは、内部を通ってワイヤを電極40に電気的に接続し得る、開口部886A、886Bを含み得る。絶縁ジャケット880A、880Bの底部に近接するものとして
図8Bに図示されているが、開口部886A、886Bは、絶縁ジャケット880A、880Bの上部又は側面に近接して位置付けされ得る。更に、絶縁ジャケット880A、880Bは、複数の開口部886A、886Bを含み得、各開口部は、用途に応じて、絶縁ジャケットの同じ側(すなわち、上部、底部、左、右)、又は絶縁ジャケットの異なる側に配置される。
【0060】
図9A及び
図9Bは、本発明の実施形態による、所与の電極40に接続され得る所与のワイヤ900、950の断面図を示す、概略絵図である。
図9Aは、中実コアワイヤ900を図示する。
図9Bは、ストランドワイヤ950を図示する。各ワイヤ900、950は、管状シャフト84及び管状シャフト84の少なくとも一部分を通って延在し得る。中実コアワイヤ900は、導電性コア材料902と、導電性コア材料902を取り囲む導電性カバー材料904と、を含み得る。同様に、ストランドワイヤ950は、それぞれ、導電性コア材料952と、導電性コア材料952を取り囲む導電性カバー材料954と、を含む、ストランドを含み得る。各ワイヤ900、950は、導体を取り囲む絶縁ジャケット906を含み得る。ワイヤ900、950は、IREパルスを送達するために十分な隣接するワイヤの電圧差に耐えるように、構成され得る。好ましくは、ワイヤ900、950は、隣接するワイヤ間で少なくとも900V、より好ましくは少なくとも1,800Vに耐え得る。隣接するワイヤの導体間の誘電破壊の可能性を低減するために、導電性カバー材料904、954は、コア材料902、952と比較してより低い導電率を有し得る。
【0061】
絶縁ジャケット906は、(例えば、摂氏300度の温度における)電極40へのワイヤ900のはんだ付け中に電気絶縁ジャケット906が溶融又は劣化(例えば、炭化及び崩壊)し、したがって、ワイヤ900の絶縁ジャケット906を機械的に剥離する必要がないように、摂氏150~200度の温度定格を有するように構成され得る。その他の実施例では、絶縁ジャケット906は、医療用プローブ22の製造中及び/又は使用中に電気絶縁材料902が溶融又は劣化(例えば、炭化及び崩壊)することを防止するために、摂氏200度を超える温度定格を有し得る。ワイヤ900が電極40に電気的に接続される前に、絶縁ジャケット906をワイヤ900から機械的に剥離し得る。
【0062】
図10A及び
図10Bは、3本の線状スパインを含む平面状シート材料210のから三脚構造体パターン1002を切断する、概略絵図である。上述したように、平面状材料シート210は、3本のスパイン214を含み得る。
図10Aに図示されるように、平面状材料シート210は、中央交差部1011と、長手方向切り込み線1017及び横方向切り込み線1018の一方又は両方を含むスパインパターン1002Aと、を含み得る。本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、平面状材料シート210はまた、スパイン間に等角パターン1013を含み得る。
図10Bは、中央交差部1011上に1つ以上のカットアウト部1012を形成するための1つ以上のカットアウトパターン1002Bを含む、代表的スパインパターン1002Bを提供する。
【0063】
図11は、本発明の実施形態による、バスケットアセンブリ38を製造する方法1100を図示するフローチャートである。方法1100は、第1の中央スパイン交差部211Aを含む3本のスパイン214を含む第1の構造体213Aを形成するために、第1の平面状材料シート210Aを切断する工程1102を含み得る。方法1100は、第2の中央スパイン交差部211Bを含む3本のスパイン214を含む第2の構造体213Bを形成するために、第2の平面状材料シート210Bを切断する工程1104を含み得る。第1の構造体213A及び第2の構造体213Bを切断する工程1102、1104は、平面状材料シート210からの長手方向切り込み線1017及び横方向切り込み線1018を含むパターン1002A、1002Bから切断することを含み得る。平面状材料シートは、ニッケルチタン(ニチノールとしても知られている)、コバルトクロム、又は任意のその他の好適な材料などの形状記憶合金を含み得る。方法1100は、第1の構造体213A及び第2の構造体213Bの中央スパイン交差部211A、211Bを重ね合わせる工程1106を含み得る。方法1100は、各スパインを少なくとも1つの電極40のルーメン70内へと挿入する工程1108を含み得る。電極は、隣接するスパイン上の電極間で電極がオフセットされるように位置付けられ得る。方法1100は、中央スパイン交差部が医療用プローブ22の遠位端部39に位置付けられ、それぞれのスパイン214が管状構成から弓状構成へと移行可能であるように、それぞれの構造体213A、213Bのスパイン214の端部を、脈管構造を通過するようにサイズ決定された管状シャフト84に篏合させる工程1110を含む。本開示の利益を享受する当業者によって理解されるように、スパインの端部を管状シャフト内へと嵌合させる工程1106は、スパイン214をスパイン保持ハブ部90に取り付けることを含み得る。更に、スパイン保持ハブ部90及び/又はスパイン214並びに管状シャフト84は、可撓性挿入管30内へと挿入されて、医療用プローブ22を形成し得る。方法1100はまた、工程1110で終了され得る、又は中央スパイン交差部211A、211Bの一方又は両方で個別のカットアウト部214を切断する工程を更に含み得る。上記に記載されるように、個別のカットアウト部214は、単一のカットアウト部又は2つ以上のカットアウト部であり得る。なお、1つ以上の個別のカットアウト部は、各スパインの少なくとも一部分に沿って延在するパターンで切断され得る。方法1100は、スパインの端部を管状シャフト84内へと嵌合する工程1110後に終了することができる、又はワイヤを1つ以上の電極に電気的に接続することを更に含み得る。方法1100はまた、スパインを覆って、かつそれぞれの電極のルーメン内に、絶縁スリーブを配置することを含み得る。
【0064】
当業者によって理解されるように、方法1100は、本明細書に記載される開示された技術の種々の特徴のうちのいずれかを含み得、特定の構成に応じて変更され得る。したがって、方法1100は、本明細書に明示的に記載される特定の工程及び工程の順序に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0065】
本明細書に記載される開示された技術は、以下の条項に従って更に理解され得る。
【0066】
条項1:医療用プローブであって、近位端部及び遠位端部を含む管状シャフトであって、管状シャフトが長手方向軸に沿って延在する、管状シャフトと、管状シャフトの遠位端部に近接した拡張可能なバスケットアセンブリであって、第1の一体型三脚構造体及び第2の一体型三脚構造体を備え、各三脚構造体が、それぞれの中央スパイン交差部で収束する3本の線状スパインを含むそれぞれの平面状材料シートから形成され、各三脚構造体の各スパインが、管状シャフトの遠位端部に接続されたそれぞれの端部を含み、各三脚構造体の中央スパイン交差部が、バスケットアセンブリの遠位端部において長手方向軸上に位置決めされている、拡張可能なバスケットアセンブリと、スパインのそれぞれに連結された1つ以上の電極であって、各電極が電極を通るルーメンを画定し、スパインが1つ以上の電極のそれぞれのルーメンを通って延在する、1つ以上の電極と、を備える、医療用プローブ。
【0067】
条項2:3本の線状スパインが、それぞれ隣接するスパイン間のそれぞれの角度がほぼ等しいように、等角パターンで中央スパイン交差部から延在する、条項1に記載の医療用プローブ。
【0068】
条項3:それぞれの三脚構造体のスパインが重なり合わないように、第1の一体型三脚構造体及び第2の一体型三脚構造体が長手方向軸に沿って回転される、条項1又は2に記載の医療用プローブ。
【0069】
条項4:拡張可能なバスケットアセンブリが、ほぼ球形である、条項1に記載の医療用プローブ。
【0070】
条項5:拡張可能なバスケットアセンブリが、ほぼ偏球体である、条項1に記載の医療用プローブ。
【0071】
条項6:管状シャフトの遠位端部に近接して配置されたスパイン保持ハブ部を更に備え、スパイン保持ハブ部が、複数の起伏部領域を含む円筒形部材を備え、起伏部領域は、円筒形部材の外面上に配置され、各スパインが起伏部領域内へと嵌合されてその中で保持されることを可能にし、保持ハブ部が、保持ハブ部の遠位部分に配置された少なくとも1つの電極を更に含む、条項1~5のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0072】
条項7:電極のルーメンが、電極の長手方向軸に対してオフセットで配置されている、条項6に記載の医療用プローブ。
【0073】
条項8:拡張可能なバスケットアセンブリが、少なくとも1つの三脚構造体の中央スパイン交差部に近接して配置される、少なくとも1つの個別のカットアウト部を備える、条項1~7のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0074】
条項9:拡張可能なバスケットアセンブリが、各三脚構造体の中央スパイン交差部に近接して配置される、少なくとも1つの個別のカットアウト部を備える、条項1~7のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0075】
条項10:1つ以上のカットアウト部が、中心対称パターンを含む、条項8又は9に記載の医療用プローブ。
【0076】
条項11:1つ以上のカットアウト部が、等角パターンを含む、条項8又は9に記載の医療用プローブ。
【0077】
条項12:1つ以上のカットアウト部が、各スパインの少なくとも一部分に沿って延在する、条項8~11のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0078】
条項13:各電極が、1つ以上のワイヤがルーメンに隣接して延在することを可能にするための、ルーメンに隣接したワイヤ起伏部を備える、条項1~12のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0079】
条項14:電極のルーメンが、電極の長手方向軸に対して対称に配置されている、条項13に記載の医療用プローブ。
【0080】
条項15:1つ以上の電極が、不可逆電気穿孔法のための電気パルスを送達するように構成されており、パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を含む、条項1~14のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0081】
条項16:管状シャフトの遠位端部に近接して配置された灌注開口部を更に備え、灌注開口部が、灌注流体を1つ以上の電極に送達するように構成されている、条項13~15のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0082】
条項17:それぞれの所与のスパインを覆って、かつそれぞれの電極のルーメン内にそれぞれ配置された複数の絶縁スリーブを更に備える、条項1~16のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0083】
条項18:複数の絶縁スリーブを更に備え、各絶縁スリーブが、内部を通ってそれぞれの所与のスパインが延在する第1のルーメンと、内部を通って電気ワイヤが延在する第2のルーメンと、を備え、第1のルーメン及び第2のルーメンが互いに異なり、各絶縁スリーブが、それぞれの電極のルーメン内に延在する、条項1~16のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0084】
条項19:1つ以上の電極のうちのそれぞれの電極にそれぞれ電気的に連結された複数のワイヤを更に備え、複数のワイヤのうちのワイヤの少なくとも一部分が、第1の導電率を含む導電性コア材料と、第1の導電率未満の第2の導電率を含み、導電性コア材料を取り囲む導電性カバー材料と、導電性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットと、をそれぞれ備える、条項13~18のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0085】
条項20:1以上の電極のそれぞれの電極にそれぞれ電気的に連結された複数のワイヤを更に備え、複数のワイヤのうちのワイヤの少なくとも一部分が、それぞれ、複数のストランドと、複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットと、を備え、複数のストランドのうちの各ストランドが、それぞれ、第1の導電率を含む導電性コア材料と、第1の導電率未満の第2の導電率を含み、導電性カバー材料が、導電性コア材料を取り囲む、条項13~19のいずれか1つに記載の医療用プローブ。
【0086】
条項21:平面状材料シートがニチノールを含む、条項1~20のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0087】
条項22:平面状材料シートがコバルトクロムを含む、条項1~20のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
【0088】
条項23:医療用プローブを構築する方法であって、本方法が、第1の平面状材料シートを切断して、第1の中央スパイン交差部を含む3本のスパインを備える第1の構造体を形成することと、第2の平面状材料シートを切断して、第2の中央スパイン交差部を含む3本のスパインを備える第2の構造体を形成することと、第1の構造体及び第2の構造体の中央スパイン交差部を重ね合わせることと、それぞれの構造体の各スパインを少なくとも電極のルーメン内へと挿入することと、中央スパイン交差部が医療用プローブの遠位端部に位置付けられ、それぞれのスパインが管状構成から弓状構成へと移行可能であるように、それぞれの構造体のスパインの端部を、脈管構造を横断するようにサイズ決定された管状シャフトに篏合させることと、を含む、方法。
【0089】
条項24:長手方向切り込み線及び横方向切り込み線を含むパターンから、各構造体のスパインを切断することを更に含む、条項23に記載の方法。
【0090】
条項25:少なくとも1つの構造体の中央スパイン交差部において、個別のカットアウト部を切断することを更に含む、条項23又は24に記載の方法。
【0091】
条項26:各構造体の中央スパイン交差部において、個別のカットアウト部を切断することを更に含む、条項23又は24に記載の方法。
【0092】
条項27:それぞれの構造体の各スパインの少なくとも一部分に沿って各個別のカットアウト部を切断することを更に含む、条項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【0093】
条項28:隣接するスパイン間で電極をオフセットすることを更に含む、条項23~27のいずれか一項に記載の方法。
【0094】
第29項:第1の構造体及び第2の構造体の中央スパイン交差部を重ね合わせることが、それぞれの構造体のスパインが重なり合わないように、少なくとも1つの構造体を長手方向軸に沿って回転させることを更に含む、条項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【0095】
上記実施形態は一例として引用され、本発明は、上記に具体的に示されかつ記載されているものによって限定されるものではない。むしろ、本発明の範囲は、上記に記載及び図示される種々の特徴の組み合わせ及び副次的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むと当業者に想起されるであろう、従来技術で開示されていないそれらの変形形態及び修正を含む。
【0096】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブであって、
近位端部及び遠位端部を含む管状シャフトであって、前記管状シャフトが長手方向軸に沿って延在する、管状シャフトと、
前記管状シャフトの前記遠位端部に近接した拡張可能なバスケットアセンブリであって、第1の一体型三脚構造体及び第2の一体型三脚構造体を備え、各三脚構造体が、それぞれの中央スパイン交差部で収束する3本の線状スパインを含むそれぞれの平面状材料シートから形成され、各三脚構造体の各スパインが、前記管状シャフトの前記遠位端部に接続されたそれぞれの端部を含み、各三脚構造体の前記中央スパイン交差部が、前記バスケットアセンブリの遠位端部において前記長手方向軸上に位置決めされている、拡張可能なバスケットアセンブリと、
前記スパインのそれぞれに連結された1つ以上の電極であって、各電極が前記電極を通るルーメンを画定し、前記スパインが前記1つ以上の電極のそれぞれの前記ルーメンを通って延在する、1つ以上の電極と、を備える、医療用プローブ。
(2) 前記3本の線状スパインが、それぞれ隣接するスパイン間のそれぞれの角度がほぼ等しいように、等角パターンで前記中央スパイン交差部から延在する、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(3) 前記それぞれの三脚構造体の前記スパインが重なり合わないように、前記第1の一体型三脚構造体及び前記第2の一体型三脚構造体が前記長手方向軸に沿って回転される、実施態様2に記載の医療用プローブ。
(4) 前記拡張可能なバスケットアセンブリが、ほぼ偏球体である、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(5) 前記拡張可能なバスケットアセンブリが、少なくとも1つの三脚構造体の前記中央スパイン交差部に近接して配置される、少なくとも1つの個別のカットアウト部を備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0097】
(6) 前記拡張可能なバスケットアセンブリが、各三脚構造体の前記中央スパイン交差部に近接して配置される、少なくとも1つの個別のカットアウト部を備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(7) 前記平面状材料シートがニチノールを含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(8) 前記管状シャフトの前記遠位端部に近接して配置されたスパイン保持ハブ部を更に備え、前記スパイン保持ハブ部が、複数の起伏部領域を含む円筒形部材を備え、前記起伏部領域は、前記円筒形部材の外面上に配置され、各スパインが起伏部領域内へと嵌合されてその中で保持されることを可能にし、前記保持ハブ部が、前記保持ハブ部の遠位部分に配置された少なくとも1つの電極を更に含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(9) 前記電極のルーメンが、前記電極の長手方向軸に対してオフセットで配置されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(10) 各電極が、1つ以上のワイヤが前記ルーメンに隣接して延在することを可能にするための、前記ルーメンに隣接したワイヤ起伏部を備える、実施態様9に記載の医療用プローブ。
【0098】
(11) 前記1つ以上の電極が、不可逆電気穿孔法のための電気パルスを送達するように構成されており、前記パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(12) 前記管状シャフトの前記遠位端部に近接して配置された灌注開口部を更に備え、前記灌注開口部が、灌注流体を前記1つ以上の電極に送達するように構成されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(13) 前記それぞれの所与のスパインを覆って、かつ前記それぞれの電極の前記ルーメン内にそれぞれ配置された複数の絶縁スリーブを更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(14) 複数の絶縁スリーブを更に備え、各絶縁スリーブが、内部を通って前記それぞれの所与のスパインが延在する第1のルーメンと、内部を通って電気ワイヤが延在する第2のルーメンと、を備え、前記第1のルーメン及び前記第2のルーメンが互いに異なり、各絶縁スリーブが、前記それぞれの電極の前記ルーメン内に延在する、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(15) 前記1つ以上の電極のうちのそれぞれの電極に、それぞれ電気的に連結された、複数のワイヤを更に備え、
前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの少なくとも一部分が、第1の導電率を含む導電性コア材料と、前記第1の導電率未満の第2の導電率を含み、前記導電性コア材料を取り囲む導電性カバー材料と、前記導電性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットと、をそれぞれ備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0099】
(16) 前記1つ以上の電極のうちのそれぞれの電極に、それぞれ電気的に連結された、複数のワイヤを更に備え、
前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの少なくとも一部分が、複数のストランドと、前記複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットと、をそれぞれ備え、
前記複数のストランドのうちの各ストランドが、第1の導電率を含む導電性コア材料と、前記第1の導電率未満の第2の導電率を含み、前記導電性コア材料を取り囲む導電性カバー材料と、をそれぞれ備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(17) 医療用プローブを構築する方法であって、前記方法が、
第1の平面状材料シートを切断して、第1の中央スパイン交差部を含む3本のスパインを備える第1の構造体を形成することと、
第2の平面状材料シートを切断して、第2の中央スパイン交差部を含む3本のスパインを備える第2の構造体を形成することと、
前記第1の構造体及び前記第2の構造体の前記中央スパイン交差部を、重ね合わせることと、
前記それぞれの構造体の各スパインを、少なくとも電極のルーメン内へと挿入することと、
前記中央スパイン交差部が前記医療用プローブの遠位端部に位置付けられ、それぞれのスパインが管状構成から弓状構成へと移行可能であるように、前記それぞれの構造体の前記スパインの端部を、脈管構造を通過するようにサイズ決定された管状シャフトに篏合させることと、を含む、方法。
(18) 長手方向切り込み線及び横方向切り込み線を含むパターンから、各構造体のスパインを切断することを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 少なくとも1つの構造体の前記中央スパイン交差部において、個別のカットアウト部を切断することを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(20) 前記それぞれの構造体の前記スパインが重なり合わないように、少なくとも1つの構造体を長手方向軸に沿って回転させる、実施態様17に記載の方法。
【外国語明細書】