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特開2023-106351高電圧同軸導体配線を含む血管内デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106351
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】高電圧同軸導体配線を含む血管内デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023006497
(22)【出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/301,082
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/065,709
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケシャバ・ダッタ
(72)【発明者】
【氏名】アナンド・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】タン・グエン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ブイ・セルキー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK16
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】カテーテル本体を通してIREアブレーション信号を供給するように構成され、アブレーション中の絶縁破壊、アーク放電、及びノイズに対して耐性がある配線を提供すること。
【解決手段】配線は、高伝導性コアと、コアよりも低い電気伝導率及び/又は熱伝導率を有するコアを囲む伝導性カバーと、伝導性カバーを囲む絶縁ジャケットとを含む。そのような配線を含むカテーテルは、IREアブレーションを実行するために電気信号を組織に供給するのに好適であり得る。いくつかの実施例では、そのようなカテーテルはまた、可逆的エレクトロポレーション及び/又はRFアブレーションに好適であり得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内デバイスであって、
長手方向軸に沿って延在し、血管系を横断するように寸法決めされた、細長いシャフトと、
不可逆的エレクトロポレーションのために少なくとも900VDCを送達するように構成された複数の電極を含む遠位部分と、
前記複数の電極のうちのそれぞれの電極に各々電気的に接合された複数のワイヤであって、前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、前記細長いシャフトの少なくとも一部分を通って延在し、前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、それぞれ、
第1の電気伝導率を含む電気伝導性コア材料と、
前記第1の電気伝導率よりも低い第2の電気伝導率を含む電気伝導性カバー材料であって、前記電気伝導性コア材料を取り囲む、電気伝導性カバー材料と、
各電極への少なくとも900ボルトの送達中に前記複数のワイヤ間に電気アークが生成されないように、前記電気伝導性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットと、を含む、複数のワイヤと、を備える、血管内デバイス。
【請求項2】
前記電気伝導性コア材料が、約12%~約50%の銀を含む、請求項1に記載の血管内デバイス。
【請求項3】
前記電気伝導性コア材料が、約28%~約33%の銀を含む、請求項2に記載の血管内デバイス。
【請求項4】
前記電気伝導性コア材料が、約12%~約50%の銅を含む、請求項1に記載の血管内デバイス。
【請求項5】
前記第1の電気伝導率が、20℃で測定されたときに約4×10S/m~約6×10S/mである、請求項1に記載の血管内デバイス。
【請求項6】
前記第2の電気伝導率が、20℃で測定されたときに約1×10S/mである、請求項1に記載の血管内デバイス。
【請求項7】
前記第1の電気伝導率が、20℃で測定されたときに前記第2の電気伝導率よりも少なくとも10倍大きい、請求項1に記載の血管内デバイス。
【請求項8】
前記電気伝導性コア材料が、第1の熱伝導率を含み、
前記電気伝導性カバー材料が、前記第1の熱伝導率よりも小さい第2の熱伝導率を含む、請求項1に記載の血管内デバイス。
【請求項9】
前記第1の熱伝導率が、約300W/mK~約400W/mKである、請求項8に記載の血管内デバイス。
【請求項10】
前記第2の熱伝導率が、約11.2W/mKである、請求項8に記載の血管内デバイス。
【請求項11】
前記第1の熱伝導率が、前記第2の熱伝導率の少なくとも10倍である、請求項8に記載の血管内デバイス。
【請求項12】
前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、約1.4Ω/ft(4.6Ω/m)~約1.8Ω/ft(5.8Ω/m)と測定される、ワイヤの長さ当たりの抵抗を含む、請求項1に記載の血管内デバイス。
【請求項13】
前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、約10Ω~約12Ωのワイヤ抵抗を含む、請求項1に記載の血管内デバイス。
【請求項14】
前記複数のワイヤの前記電気伝導性カバー材料の各々が、約0.0031インチ(79マイクロメートル)~約0.0040インチ(102マイクロメートル)と測定される直径を含む、請求項1に記載の血管内デバイス。
【請求項15】
血管内デバイスであって、
長手方向軸に沿って延在し、血管系を横断するように寸法決めされた、細長いシャフトと、
複数の電極を含む遠位部分と、
前記複数の電極のうちのそれぞれの電極に各々電気的に接合された複数のワイヤであって、前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、前記細長いシャフトの少なくとも一部分を通って延在し、前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、それぞれ、
複数のストランドであって、各ストランドがそれぞれ、第1の電気伝導率を含む電気伝導性コア材料と、前記第1の電気伝導率よりも低い第2の電気伝導率を含む電気伝導性カバー材料と、を含み、前記電気伝導性カバー材料が前記電気伝導性コア材料を取り囲む、複数のストランドと、
少なくとも900ボルトが各電極に提供されるときに前記複数のワイヤ間に電気アークが生成されないように、前記複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットと、を含む、複数のワイヤと、を備える、血管内デバイス。
【請求項16】
前記ストランドの各々の前記電気伝導性コア材料が、約41%の銀(Ag)を含む、請求項15に記載の血管内デバイス。
【請求項17】
各ストランドが、約0.002インチ(51マイクロメートル)と測定される直径を含む、請求項15に記載の血管内デバイス。
【請求項18】
前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの少なくとも一部分が、正確に4つのストランドを含む、請求項15に記載の血管内デバイス。
【請求項19】
前記複数のストランドのうちの前記ストランドの少なくとも一部分が、約20Ωの抵抗を含む、請求項15に記載の血管内デバイス。
【請求項20】
前記複数のワイヤの各々が、前記複数のワイヤにおける2つのワイヤ間に約1,500ボルト~約2,000ボルトの電圧差をもたらす双極パルスに耐えるように構成されている、請求項19に記載の血管内デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年1月20日に出願された先願の米国特許仮出願第63/301,082号の、米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容全体は、本明細書に完全に記載されるように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、アブレーションカテーテルに関し、特に、アブレーション中、例えば、本明細書では不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)とも称されるパルスフィールドアブレーション(pulsed field ablation、PFA)中に印加される高電圧に耐えるのに好適な配線を有するアブレーションカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動などの心不整脈は、心組織の領域から隣接組織に電気信号が異常に伝導する場合に発生し、これにより、正常な心周期が乱されて非同期的リズムを引き起こす。望ましくない信号源は、典型的には、心房及び心室の組織に位置する。発信源に関わらず、望ましくない信号は、心臓組織を通って他の場所に伝わり、不整脈を引き起こすか、又は不整脈を継続させる場合がある。
【0004】
心不整脈の治療は、患者の血管系を通して心臓内に細長いカテーテルを挿入することと、心臓組織をアブレーションするために電気信号を印加し、それによって不整脈を引き起こす電気信号の伝導経路を破壊することとを含むことができる。アブレーションは、心臓のある部分から他の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正する役割を果たす。現在、最も一般的なアブレーション技術は、電極を介して無線周波数(radio frequency、RF)電気信号を組織に印加して熱を発生させることを含む。不可逆的エレクトロポレーション(IRE)アブレーション(パルスフィールドアブレーション)は、組織全体に二相性で電極間に短い持続時間の高電圧パルスを印加して細胞死を引き起こすことを含む、より最近開発された技術である。
【0005】
概して、RFアブレーションに好適なカテーテル及びIREアブレーションに好適なカテーテルの構造は、同様であることができ、いくつかのカテーテルは、RF及びIREアブレーションの両方に好適であり得る。しかしながら、波形形状、電圧振幅などを含む電気信号の印加、並びに標的部位での電極の幾何学的形状の違いは、RF及びIREアブレーションカテーテルについての設計考慮事項が分かれる結果をもたらし得る。概して、IREアブレーション信号は、より高い電圧振幅を有する短いパルス(不可逆的エレクトロポレーションを誘発するために細胞にわたって電場を誘発するのに好適である)を含むが、RFアブレーション信号は、より低い電圧振幅を有する連続正弦波である。
【0006】
現在の典型的なアブレーション実践は、RFアブレーションのみを利用し、いくつかの治療ではIREアブレーションのみを利用する。各々参照により本明細書に組み込まれ、優先出願米国特許第63/301,082号の付録に添付された、米国特許出願公開第2021/0161592号、同第2021/0169550号、及び同第2021/0177503号は各々、単一の治療におけるRF及びIREアブレーションの両方に好適なそれぞれのシステムを開示し、またアブレーション中に印加されるRF信号とIRE信号との間の差異を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
心不整脈を治療するためのIREアブレーションは、典型的には、双極構成にあるときに約900V以上の電圧を必要とする。既存の配線を通るこの高い電圧は、より多くのアーク放電を可能にする、絶縁を劣化させる可能性がある。心不整脈を治療するために使用されるデバイスのサイズ及び生体適合性制約を考慮すると、配線の位置付け及び寸法は、これらの影響を補償するように変更することができない。したがって、新しい材料が、配線のために必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に提示される実施例は、概して、アブレーション中の絶縁破壊、アーク放電、及びノイズに対して耐性がある、カテーテル本体を通してIREアブレーション信号を供給するように構成された配線を含む。配線は、高伝導性コアと、コアよりも低い電気伝導率及び/又は熱伝導率を有するコアを囲む伝導性カバーと、伝導性カバーを囲む絶縁ジャケットとを含む。そのような配線を含む血管内デバイス(例えば、カテーテル)は、IREアブレーションを実行するために電気信号を組織に供給するのに好適であり得る。いくつかの実施例では、そのような血管内デバイスはまた、可逆的エレクトロポレーション及び/又はRFアブレーションに好適であり得る。
【0009】
第1の例示的な血管内デバイスは、細長いシャフトと、遠位部分と、複数のワイヤとを含むことができる。細長いシャフトは、長手方向軸に沿って延在することができる。細長いシャフトは、血管系を横断するように寸法決めされることができる。遠位部分は、不可逆的エレクトロポレーションのために少なくとも900ボルトを送達するように構成された複数の電極を含むことができる。複数のワイヤは各々、複数の電極のうちのそれぞれの電極に電気的に接合することができる。ワイヤの各々は、細長いシャフトの少なくとも一部分を通って延在することができる。ワイヤの各々は、それぞれ、第1の電気伝導率を有する電気伝導性コア材料と、電気伝導性コア材料を取り囲み、第1の電気伝導率よりも低い第2の電気伝導率を有する電気伝導性カバー材料とを含むことができる。ワイヤの各々はまた、各電極への少なくとも900ボルトの送達中に複数のワイヤ間に電気アークが生成されないように、電気伝導性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットをそれぞれ含むことができる。
【0010】
電気伝導性コア材料は、約12%~約50%の銀を含むことができる。
【0011】
電気伝導性コア材料は、約28%~約33%の銀を含むことができる。
【0012】
電気伝導性コア材料は、約12%~約50%の銅を含むことができる。
【0013】
(コア材料の)第1の電気伝導率は、20℃で測定されたときに約4×10S/m~約6×10S/mと測定されることができる。
【0014】
(カバー材料の)第2の電気伝導率は、20℃で測定されたときに約1×10S/mと測定されることができる。
【0015】
第1の電気伝導率は、20℃で測定されたときに第2の電気伝導率よりも少なくとも10倍大きく測定され得る。
【0016】
電気伝導性コア材料は、第1の熱伝導率を有することができ、電気伝導性カバー材料は、第1の熱伝導率よりも小さい第2の熱伝導率を有することができる。
【0017】
第1の熱伝導率は、約300ワット/ミリケルビン(W/mK)~約400W/mKであり得る。
【0018】
第2の熱伝導率は、約11.2W/mKであり得る。
【0019】
第1の熱伝導率は、第2の熱伝導率の少なくとも10倍であり得る。
【0020】
ワイヤの各々は、約1.4オーム/フィート(Ω/ft)(4.6Ω/m)~約1.8Ω/ft(5.8Ω/m)と測定される、ワイヤの長さ当たりの抵抗を有することができる。
【0021】
ワイヤの各々は、約10オーム(Ω)~約12Ωのワイヤ抵抗を有することができる。
【0022】
各ワイヤの電気伝導性カバー材料は、約0.0031インチ(79マイクロメートル又はミクロン)~約0.0040インチ(102マイクロメートル)と測定される直径を有することができる。
【0023】
第2の例示的な血管内デバイスは、細長いシャフトと、遠位部分と、複数のワイヤとを含むことができる。細長いシャフトは、長手方向軸に沿って延在することができ、血管系を横断するように寸法決めされることができる。遠位部分は、複数の電極を含むことができる。ワイヤは各々、複数の電極のうちのそれぞれの電極に電気的に接合することができる。ワイヤの各々は、細長いシャフトの少なくとも一部分を通って延在することができる。ワイヤの各々は、複数のストランドをそれぞれ含むことができ、各ストランドは、第1の電気伝導率を有する電気伝導性コア材料と、コア材料を取り囲み、第1の電気伝導率よりも低い第2の電気伝導率を有する電気伝導性カバー材料とをそれぞれ含む。各ワイヤはまた、少なくとも900ボルトが各電極に提供されるときに複数のワイヤ間に電気アークが生成されないように、複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットを含むことができる。
【0024】
ストランドの各々の電気伝導性コア材料は、約41%の銀(Ag)を含むことができる。
【0025】
各ストランドは、約0.002インチ(51マイクロメートル)と測定される直径を有することができる。
【0026】
ワイヤの少なくとも一部分は、正確に4つのストランドを有することができる。
【0027】
ストランドの少なくとも一部分は、約20Ωの抵抗を有することができる。
【0028】
ワイヤの各々は、2つのワイヤ間に約1,500ボルト~約2,000ボルトの電圧差をもたらす双極パルスに耐えるように構成されることができる。
【0029】
ワイヤの各々は、複数のワイヤにおける2つのワイヤ間に約1,500ボルトの電圧差をもたらす双極パルスに耐えるように構成されることができる。
【0030】
ワイヤの各々は、複数のワイヤにおける2つのワイヤ間に約1,800ボルトの電圧差をもたらす双極パルスに耐えるように構成されることができる。
【0031】
第1の例示的な血管内デバイス及び/又は第2の血管内デバイスは、遠位部分が複数の電極が取り付けられるラッソ(lasso)領域を含むように、構成されることができる。ラッソ領域は、長手方向軸に位置合わせされた細長い構成と、長手方向軸に概して直交する円形形状との間で移動するように構成されることができる。
【0032】
第1の例示的な血管内デバイス及び/又は第2の血管内デバイスは、遠位部分が複数の電極が取り付けられる複数のスパインを含むように、構成されることができる。スパインは、スパインが長手方向軸から外向きに曲がって拡張形態を形成するように、長手方向軸に位置合わせされた細長い構成から移動するように構成されることができる。
【0033】
第1の例示的な血管内デバイス及び/又は第2の血管内デバイスは、複数のワイヤが12~8本のワイヤを含むように、構成されることができる。
【0034】
第1の例示的な血管内デバイス及び/又は第2の血管内デバイスは、細長いシャフトが約8.5フレンチ(2.8ミリメートル)の直径を有することができるように、構成されることができる。
【0035】
第1の例示的な血管内デバイス及び/又は第2の血管内デバイスは、複数のワイヤが絶縁スリーブ内に束ねられるように、構成されることができる。
【0036】
第1の例示的な血管内デバイス及び/又は第2の血管内デバイスは、複数のワイヤの各ワイヤが約0.0053インチ(130マイクロメートル)と測定される直径を含むように、構成されることができる。
【0037】
第1の例示的な血管内デバイス及び/又は第2の血管内デバイスは、絶縁ジャケットが約0.0008インチ(20マイクロメートル)~約0.00125インチ(32マイクロメートル)と測定される壁厚を有するように、構成されることができる。
【0038】
第1の例示的な血管内デバイス及び/又は第2の血管内デバイスは、電気伝導性カバー材料が、約33%~約37%のニッケル、約30%~約38%のコバルト、約19%~約21%のクロム、及び約9%~約10.5%のモリブデンを含むように、構成されることができる。
【0039】
第1の例示的な血管内デバイス及び/又は第2の血管内デバイスは、電気伝導性カバー材料が約1%の鉄を更に含むように、構成されることができる。
【0040】
第1の例示的な血管内デバイス及び/又は第2の血管内デバイスは、電気伝導性カバー材料が、炭素、マンガン、ケイ素、リン、硫黄、チタン、及びホウ素からなる元素群のうちの少なくとも1つの元素を1%未満更に含むように、構成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することに主眼が置かれている。図は、限定としてではなく単なる例解として、本発明のデバイスの1つ又は2つ以上の実装形態を描写している。
図1】本発明の態様による、例示的な単線(solid core wire)の図である。
図2】本発明の態様による、単線の例示的なワイヤ束の図である。
図3】本発明の態様による、例示的な撚線の図である。
図4】本発明の態様による、撚線の例示的なワイヤ束の図である。
図5】本発明の態様による、例示的なカテーテルの側面図の図である。
図6図5に示されるような例示的なカテーテルの断面図の図である。
図7図5に示されるような例示的なカテーテルの端面図の図である。
図8】本発明の態様による、別の例示的なカテーテルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。この説明は、当業者が本発明を製造及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物及び使用を説明する。
【0043】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、記載された値の±10%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指してもよい。
【0044】
本明細書で述べる「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であってよい。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、種々のあらゆる該当する種類のものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。被験者は、例えば、あらゆる該当するヒト患者でよいことを理解するべきである。
【0045】
本明細書で論じられるように、「オペレータ」及び「ユーザ」は、医師、外科医、技術者、科学者、又は本明細書で開示される治療のための多電極カテーテルの送達と関連付けられる任意の他の個人若しくは送達器具類を含むことができる。
【0046】
本明細書で論じられるように、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語は、本開示全体を通して交換可能にパルスフィールドアブレーション(PFA)と称される不可逆的エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって細胞における不規則な心臓信号の生成を低減又は防止するように構成された構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関するアブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織のアブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0047】
本明細書で論じられるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるIREアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、双方とも治療部位に位置付けられた2つの電極間の電流経路を利用するIREアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するIREアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を有する1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を有する第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0048】
本明細書で論じられるように、「二相性パルス」及び「単相性パルス」という用語は、それぞれの電気信号を指す。「二相性パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称される)及び負電圧相パルス(本明細書では「負相」と称される)を有する電気信号を指す。「単相性パルス」は、正相のみ又は負相のみを有する電気信号を指す。好ましくは、二相性パルスを提供するシステムは、直流電圧(direct current voltage、DC)の患者への適用を防止するように構成されている。例えば、二相性パルスの平均電圧は、地面又は他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。追加的又は代替的に、システムは、コンデンサ又は他の保護構成要素を含むことができる。二相性パルス及び/又は単相性パルスの電圧振幅が本明細書に記載されている場合、発現された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相の各々の近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相性パルス及び単相性パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分中に本質的に一定の電圧振幅を有する正方形を有する。二相性パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相性パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間にほぼ等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相性パルスの相の持続時間の約25%である。
【0049】
本明細書で論じられるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、テーパ状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0050】
本開示は、心不整脈を治療するために心臓組織のIREアブレーションのためのシステム、方法、又は使用及び装置に関する。アブレーションエネルギーは、アブレーションされるべき組織にアブレーションエネルギーを送達することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に提供され得る。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造を含み、三次元構造上に位置付けられた様々な電極からアブレーションエネルギーを投与するように構成されている。そのような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、蛍光透視法を使用して可視化することができる。
【0051】
機能不全の心臓を矯正するために、無線周波数(RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技法の適用を使用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技法を使用するアブレーションを成功させるために、心臓の電極電位は、心筋の様々な位置で測定される必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定は、アブレーションの有効性を可能にするためのデータを提供する。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。しかしながら、RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながる可能性がある、リスクを有する可能性がある。冷凍アブレーションは、RFアブレーションに関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操縦し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、概して、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって到達され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0052】
RFアブレーション及び冷凍アブレーションは、局所的組織壊死を誘発するための熱エネルギー伝達に基づくが、本開示の解決策は、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を利用することによって、これら及び他の問題を解決する。本開示で論じられるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスが、心筋の細胞構造を破壊するために印加される。二相性パルスは、非正弦波形であり、細胞の電気生理に基づいて標的細胞に調整されることができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療領域において熱を生成し、治療領域内の全ての細胞を無差別に加熱する。したがって、IREは、アブレーション又は分離モダリティで知られている可能性のある合併症の低減に利益を与えるであろう、隣接する熱感受性構造又は組織を救う能力を有する。追加的に、又は代替的に、単相性パルスを、利用することができる。
【0053】
エレクトロポレーションは、細胞膜内の細孔の可逆的な(一時的な)又は不可逆的な(永久的な)生成を引き起こすために、生物学的細胞にパルス電界を適用することによって誘発され得る。可逆的エレクトロポレーションは、IREと同様にパルス状電気信号を利用するが、電極で印加された電気は、標的組織の電界閾値を下回り、細胞が修復することを可能にする。細胞は、パルス電界の印加時に休止電位を超えて増加する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は、依然として閾値電位を下回ったままであるが、エレクトロポレーションは、可逆的であり、これは、印加されたパルス電界が除去されたときに細孔が閉じることができ、細胞が自己修復及び生存することができることを意味する。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増加する場合、エレクトロポレーションは不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、ホメオスタシスの喪失に起因して死滅し、典型的にはアポトーシスによって死亡する。概して、異なるタイプの細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞は、約500V/cmの閾値電位を有するが、骨については、それは3000V/cmである。閾値電位におけるこれらの違いは、IREが閾値電位に基づいて組織を選択的に標的とすることを可能にする。
【0054】
本開示の解決策は、心筋組織にエレクトロポレーションを誘発するのに有効なパルス電界を生成するために、心筋組織の近傍に位置付けられたカテーテル電極から電気信号を印加するためのシステム及び方法を含む。システム及び方法は、不可逆的エレクトロポレーションを誘発することによって標的組織をアブレーションするのに有効であり得る。いくつかの実施例では、システム及び方法は、診断処置の一部として可逆的エレクトロポレーションを誘発するのに有効であることができる。可逆的エレクトロポレーションは、標的化された組織での不可逆的エレクトロポレーションの結果を予測するために使用することができる心臓内の電気的活動の変化の観察を可能にするために、標的化された心筋組織を通る電気的活性化信号を一時的に中断することができる。可逆的エレクトロポレーションを通して誘発された一時的に中断された電気的活性化信号は、細胞自己修復として再開することができる。
【0055】
パルス電界、並びに可逆的及び/又は不可逆的エレクトロポレーションを誘発するその有効性は、システムの物理的パラメータ及び電気信号の二相性パルスパラメータによって影響を受ける可能性がある。物理的パラメータは、電極接触面積、電極間隔、電極形状などを含むことができる。本明細書に提示される実施例は、概して、可逆的及び/又は不可逆的エレクトロポレーションを効果的に誘発するように適合された物理的パラメータを含む。電気信号の二相性パルスパラメータは、電圧振幅、パルス持続時間、パルス相互相遅延、パルス間遅延、総印加時間、送達エネルギーなどを含むことができる。いくつかの実施例では、電気信号のパラメータは、同じ物理的パラメータを与えられた可逆的及び不可逆的エレクトロポレーションの両方を誘発するために調整することができる。IREを含む様々なシステム及びアブレーション方法の実施例は、米国特許出願公開第2021/0169550号、同第2021/0169567号、同第2021/0169568号、同第2021/0161592号、同第2021/0196372号、同第2021/0177503号、及び同第2021/0186604号に提示されており、これらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願米国特許第63/301,082号の付録に添付される。可逆的エレクトロポレーションのための例示的なシステム及び方法は、米国特許出願公開第2021/0162210に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願米国特許第63/301,082号の付録に添付される。
【0056】
図1は、電気伝導性コア102と、電気伝導性カバー104とを含む二重層導体を有する例示的な単線100の図である。単線100は、伝導性カバー104を覆う絶縁ジャケット106を更に含む。伝導性コア102は、隣接するワイヤ間のアーク放電若しくはイオン化の可能性を低減し、及び/又はワイヤがIREアブレーションのための電極に電気エネルギーを送達するように構成されているカテーテルにおける電気信号ノイズを低減するために、伝導性カバー104よりも高い電気伝導率を有することができる。心房細動のためのIREアブレーションは、双極モードにおいて電極間に約900ボルト~2,500ボルト超の電圧を必要とする可能性があり、カテーテルにおけるワイヤ間に対応する電圧差をもたらす。比較すると、RFアブレーション中に印加される電圧は、典型的には、10~200ボルトの範囲であることができる。IREアブレーション中に印加されるより高い電圧、より短い持続時間の電気パルスは、RFアブレーション中に印加されるより低い電圧の正弦波信号と比較して、ワイヤ間のノイズ、イオン化、及び/又はアーク放電のより大きな可能性を提示する可能性がある。例示的なワイヤ100は、均一な導体材料を有する既知の典型的な単線と比較して、いくつかの例示的なカテーテルにおけるノイズ、イオン化、及び/又はアーク放電を軽減することができる。
【0057】
いくつかの実施例では、単線100は、各電極への少なくとも900ボルトの送達中にワイヤ間に電気アークが発生しないように構成されることができる。いくつかの実施例では、ワイヤ100は、約1,500ボルト~約2,000ボルトの送達中にワイヤ間に電気アークが発生しないように構成されることができる。いくつかの実施例では、ワイヤ100は、約1,800ボルトの送達中にワイヤ間に電気アークが発生しないように構成されることができる。
【0058】
伝導性コア102は、好ましくは、伝導性カバー104と比較して伝導性コア102における電流密度が高くなるように、高い電気伝導率を有する。そのために、伝導性コア102は、銅又は銀などの高伝導性材料を含むことができる。いくつかの実施例では、伝導性コア102の材料は、約12%~約50%の銀及び/又は銅を含むことができる。例えば、電気伝導性コア材料は、約12%~約50%の銀、好ましくは、約28%~約33%の銀を含むことができる。いくつかの実施例では、伝導性コア102の材料は、約12%~約50%の銅を含むことができる。代替的に、伝導性コア102は、当業者によって理解されるように、本明細書に開示される伝導性コア102の材料組成と同様の電気伝導率及び/又は熱伝導率を達成するために、本明細書に列挙されていない材料を含むことができる。
【0059】
電気伝導性カバー104の材料は、伝導性コア102と比較してより低い電気伝導率を有する材料を含むことができる。伝導性カバー104の材料は、Fort Wayne Metals(Fort Wayne Indiana,USA)による35N LT(登録商標)ワイヤと同様に、約33%~約37%のニッケル、約30%~約38%のコバルト、約19%~約21%のクロム、及び約9%~約10.5%のモリブデンを含むことができる。代替的に、伝導性カバー104は、当業者によって理解されるように、本明細書に開示される伝導性カバー104の材料組成と同様の電気伝導率及び/又は熱伝導率を達成するために、本明細書に列挙されていない材料を含むことができる。
【0060】
伝導性コア102の材料の電気伝導率は、20℃で測定されたときに約4×10S/m~約6×10S/mを測定することができる。
【0061】
伝導性カバー104の材料の電気伝導率は、20℃で測定されたときに約1×10S/mを測定することができる。
【0062】
コア102の材料の電気伝導率は、20℃で測定されたときにカバー104の材料の電気伝導率よりも少なくとも10倍大きく測定され得る。
【0063】
伝導性コア102の材料は、伝導性カバー104の材料の熱伝導率よりも大きい熱伝導率を有することができる。
【0064】
伝導性コア102の材料は、約300W/mK~約400W/mKの熱伝導率を有することができる。伝導性カバー104の材料は、約11.2W/mKであることができる熱伝導率を有することができる。
【0065】
伝導性コア102の材料の熱伝導率は、伝導性カバー104の材料の熱伝導率の少なくとも10倍であり得る。
【0066】
ワイヤ100は、約1.4Ω/ft(4.6Ω/m)~約1.8Ω/ft(5.8Ω/m)と測定される、ワイヤの長さ当たりの抵抗を有することができる。
【0067】
カバー104は、約0.0031インチ(79マイクロメートル)~約0.0040インチ(102マイクロメートル)と測定される直径D2を有することができる。
【0068】
絶縁ジャケット106は、約0.0053インチ(130マイクロメートル)と測定されるワイヤの直径D3を画定することができる。
【0069】
絶縁ジャケット106は、約0.0008インチ(20マイクロメートル)~約0.00125インチ(32マイクロメートル)と測定される壁厚T1を有することができる。
【0070】
図2は、単線100の例示的なワイヤ束140の図である。ワイヤ束140は、ワイヤ100を囲む絶縁スリーブ148を含むことができる。ワイヤ束140における各ワイヤ100は、アブレーション、好ましくは、IREアブレーションのための電気エネルギーを送達するように構成された電極に接続することができ、したがって、ワイヤ束140は、カテーテルのアブレーション電極の数に等しい多数のワイヤを含むことができる。ワイヤ束140は、8~12本のワイヤ100、好ましくは、図示されるように10本のワイヤを含むことができる。
【0071】
図3は、例示的な撚線200の図である。撚線200は、多数のストランド210を含むことができる。各ストランド210は、電気伝導性コア202と、電気伝導性カバー204とを含む二重層導体を含むことができる。撚線200は、ストランド210の上に絶縁ジャケット206を更に含む。伝導性コア202は、隣接するワイヤ間のアーク放電若しくはイオン化の可能性を低減し、及び/又はワイヤが図1に示された単線100に関連して記載されたのと同様にIREアブレーションのための電極に電気エネルギーを送達するように構成されているカテーテルにおける電気信号ノイズを低減するために、伝導性カバー204よりも高い電気伝導率を有することができる。伝導性コア202は、図1に示される単線100の伝導性コア102と同様の材料特性(例えば、電気伝導率及び熱伝導率)を有することができる。伝導性コア202は、図1に示される単線100の伝導性コア102と同様の材料組成を有することができる。伝導性カバー204は、図1に示される単線100の伝導性カバー104と同様の材料特性(例えば、電気伝導率及び熱伝導率)を有することができる。伝導性カバー204は、図1に示される単線100の伝導性カバー104と同様の材料組成を有することができる。
【0072】
いくつかの実施例では、撚線200は、各電極への少なくとも900ボルトの送達中にワイヤ間に電気アークが発生しないように構成されることができる。いくつかの実施例では、ワイヤ200は、約1,500ボルト~約2,000ボルトの送達中にワイヤ間に電気アークが発生しないように構成されることができる。いくつかの実施例では、ワイヤ200は、約1,800ボルトの送達中にワイヤ間に電気アークが発生しないように構成されることができる。
【0073】
図4は、撚線200の例示的なワイヤ束240の図である。ワイヤ束240は、ワイヤ200を囲む絶縁スリーブ248を含むことができる。ワイヤ束240における各ワイヤ200は、アブレーション、好ましくは、IREアブレーションのための電気エネルギーを送達するように構成された電極に接続することができ、したがって、ワイヤ束240は、カテーテルのアブレーション電極の数に等しい多数のワイヤを含むことができる。ワイヤ束240は、8~12本のワイヤ、好ましくは、図示されるように10本のワイヤを含むことができる。
【0074】
図5は、例示的な単線100及び/又は例示的な撚線200を含む複数のワイヤを含むことができる例示的なカテーテル10の側面図の図である。カテーテル10は、カテーテル10の細長いシャフト12によって画定される長手方向軸L-Lを概して横断する円形領域を有する遠位部分15を含む。カテーテル10は、細長いシャフト12から遠位に長手方向軸L-Lに沿って延在する中間部分14を含む。中間部分14は、カテーテル10の近位端におけるハンドル16の操作に応答して、長手方向軸L-Lから偏向することができる。示されるように、中間部分14は、おおよそ180°曲げることが可能であり得る。
【0075】
例示的な治療では、好適なガイドシースは、その遠位端が所望の治療位置に位置付けられた状態で患者の体内に挿入される。例示的なカテーテル10と共に使用するための好適なガイドシースの実施例は、Biosense Webster,Inc.(California,USA)から市販されているVizigo(商標)Braiding Guiding Sheathである。シースの遠位端は、心房の1つの内部に案内される。カテーテル10がガイドシースを通して供給されると、遠位部分15は、シースを通して適合するようにまっすぐにされる。カテーテルの遠位端が所望の治療位置に位置付けられると、ガイドシースは、近位に引っ張られ、中間部分14及び遠位部分15がシースの外側に延在することを可能にし、遠位部分15は、その円形形状に自由に移動する。次いで、遠位部分は、遠位部分15の外周が管状領域内の周縁に接触するように、肺静脈又は他の管状領域(冠静脈洞、上大静脈、若しくは下大静脈など)内に挿入される。
【0076】
カテーテル10におけるワイヤ100、200は、約7フィート、すなわち2mの長さを有することができる。ワイヤ100、200の各々は、約10Ω~約12Ωのワイヤ抵抗を有することができる。
【0077】
図6は、図5に示されるような例示的なカテーテル10の断面図の図である。中間部分14は、4つの管腔41、43、44、47を中に有する内側中間チューブ17を含む。中間チューブ17は、本明細書の教示に従って関連技術における当業者によって理解されるように、代替数の管腔を含むように修正することができる。カテーテル10は、中間部分14の第1の管腔41内に固定された近位端を有する支持部材54を含む。支持部材54は、遠位部分15を円形形状に形成するために、カテーテルの遠位部分15内に延在することができる。カテーテル10は、ハンドル16から、シャフト12を通り、中間チューブ17内の第2の管腔43を通って延在する第1のプルワイヤ/収縮ワイヤ35を含む。ハンドル16の操作は、遠位部分15に直径における収縮を生じさせるために、収縮ワイヤ35に張力を生じさせることができる。第2の管腔43内で、カテーテル10は、収縮ワイヤ35を取り囲む圧縮コイル61を含むことができる。
【0078】
カテーテル10は、制御ハンドル16から、シャフトを通り、中間チューブ17の第3の管腔44の少なくとも一部分を通って延在する第2のプルワイヤ/偏向ワイヤ36を含む。中間部分14は、制御ハンドル16による偏向ワイヤ36の操作に応答して長手方向軸L-Lから偏向するように構成されることができる。第3の管腔44内で、カテーテル10は、偏向ワイヤ36を取り囲む圧縮コイル62を含むことができる。
【0079】
カテーテル10は、ハンドル16から中間チューブ17における第1の管腔41を通って遠位部分15内に延在するナビゲーションセンサアセンブリ60を含むことができる。
【0080】
カテーテル10は、遠位領域15上の電極26から、第4の管腔47を通り、中間チューブ17を通り、シャフト12を通り、制御ハンドル16を通って近位方向に延在し、マッピングのための電気信号を受信し、及び/又はアブレーションのためのエネルギーを伝送するように構成された適切なシステムに接続されたコネクタ(図示されず)における近位端で終端するリード線100を含むことができる。リード線100は、任意の適合する従来の技術によって遠位領域15の電極26に取り付けることができる。リード線100は、個々に絶縁され、ワイヤ束140を形成するために絶縁スリーブ148内で束ねられることができる。リード線は、示されるような単線100及び/又は撚線200であることができる。
【0081】
カテーテル10は、中間チューブ17を取り囲み、中間部分14に構造的安定性を提供するように構成された外側チューブ19を含むことができる。
【0082】
図7は、図5に示されるような例示的なカテーテル10の遠位端面図の図である。概して円形の遠位領域15は、時計回り方向又は反時計回り方向に湾曲することができる。遠位領域15は、半径方向に収縮することができる。収縮していないとき、遠位領域15は、好ましくは、約25mm~約35mmの範囲の外径を有することができる。遠位領域15は、収縮したときに、好ましくは、約15mm~約25mmの範囲の外径を有することができる。
【0083】
カテーテル10は、好ましくは、電極26A~26JからIREアブレーション電圧パルスを提供するように構成されている。IREは、数ミリ秒間にせいぜい数度だけ組織温度の上昇を引き起こす、主に非熱的プロセスである。したがって、IREは、組織温度を20~70℃上昇させ、加熱により細胞を破壊するRF(高周波)アブレーションとは異なる。IREは、単相性パルス又は二相性パルスを利用することができる。IREパルスは、単独で、又はRFアブレーションと組み合わせて、優先権出願米国特許第63/301,082号の付録に添付された参考文献に記載されているような様々な治療で生成及び印加されることができる。
【0084】
1つの例示的な治療では、電圧パルスは、IREアブレーションを実行するために三連(triplet)シーケンスで印加されることができる。三連シーケンスの第1の三連では、二相性パルスは、隣接する電極26A、26Bの第1の対の間に印加されることができ、次に、同様の振幅の二相性パルスは、隣接する電極26B、26Cの第2の対の間に印加されることができ、次に、前の二相性パルスの振幅の約2倍の二相性パルスは、隣接する電極の前の2つの対から1つ置いた電極26A、26Cの間に印加されることができる。三連シーケンスは、第1の三連からの2つの隣接する電極26B、26Cと新しい隣接する電極26Dとを含む第2の三連で継続することができる。第2の三連は、隣接する電極26B、26Cの第1の対の間の二相性パルス、次に、隣接する電極26C、26Dの第2の対の間の同様の振幅の二相性パルス、次に、1つ置いた電極26B、26Dの間の約2倍の振幅の二相性パルスで第1の三連の同様のパターンに続くことができる。三連シーケンスは、次の3つの電極26C、26D、26Eを有する第3の三連、次の3つの電極26D、26E、26Fを有する第4の三連、次の3つの電極26E、26F、26Gを有する第5の三連、次の3つの電極26F、26G、26Hを有する第6の三連、次の3つの電極26G、26H、26Iを有する第7の三連、及び次の3つの電極26H、26I、26Jを有する第8の三連で継続することができる。三連パターンは、第1の三連で再び開始して繰り返すことができる。カテーテル10は、好ましくは、約900ボルトの振幅を有する隣接する電極間の二相性パルス及び約1,800ボルトの振幅を有する1つ置いた電極間の二相性パルスに耐えるように構成されている。代替的に、カテーテル10は、IREに好適であり、本明細書の他の場所及び/又は優先権出願米国特許第63/301,082号の付録に開示されるような電圧振幅を有する、二相性及び/又は単相性パルスに耐えるように構成されることができる。
【0085】
図8は、IREアブレーションのために構成され、複数のスパイン30上に配置された電極26’を有する別の例示的なカテーテル10’の図である。カテーテル10’は、シャフト14’を通って延在する電極26’の各々へのワイヤ100、200を含む。カテーテル10’は、12個の電極26’、したがって12本のワイヤ100、200を含む。
【0086】
示されるように、スパイン30は、おおよそ球形であるバスケット形状を形成するために、長手方向軸L-Lから拡張されている。スパイン30は、血管系を横断するように寸法決めされた細長い構成に、長手方向軸L-Lに対して圧縮されることができる。電極26’は、図示されるようにスパイン30上に位置付けられることができ、又は別様に、当業者によって理解されるようにスパイン30に取り付けられることができる。
【0087】
カテーテル10’は、好ましくは、電極26’の対の間にIREアブレーション電圧パルスを提供するように構成されている。IREパルスは、単独で、又はRFアブレーションと組み合わせて、優先権出願米国特許第63/301,082号の付録に添付された参考文献に記載されているような様々な治療で生成及び印加されることができる。
【0088】
本開示はまた、本明細書に開示されるような例示的ワイヤ100、200を各々が含む、追加の例示的カテーテルを含む。例えば、例示的なカテーテルは、米国特許第5,718,241号、同第6,198,974号、同第6,484,118号、同第6,987,995号、同第7,142,903号、同第7,274,957号、同第7,377,906号、同第7,591,799号、同第7,593,760号、同第7,720,517号、同第7,853,302号、同第8,000,765号、同第8,021,327号、同第8,275,440号、及び同第11,071,585号に開示された特徴を含むことができ、これらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願米国特許第63/301,082号の付録に添付される。優先権出願米国特許第63/301,082号の付録に開示されたカテーテルは、関連技術の当業者によって理解されるように、アブレーション電極へのワイヤ100、200を含むように修正されることができる。
【0089】
本開示はまた、関連技術の当業者によって理解されるように、本明細書に示される例示的カテーテル10、10’及び/又は前段落に開示されるような修正されたカテーテルを利用するように修正された可逆的及び/又は不可逆的エレクトロポレーションのための追加の例示的なシステム及び方法を含む。例えば、例示的なシステム及び方法は、米国特許出願公開第2021/0169550号、同第2021/0169567号、同第2021/0169568号、同第2021/0161592号、同第2021/0196372号、同第2021/0177503号、同第2021/0186604号、及び同第2021/0162210号に開示された特徴を含むことができ、これらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願米国特許第63/301,082号の付録に添付される。更に、これらの公開物に開示されたカテーテルは、関連技術の当業者によって理解されるように、アブレーション電極へのワイヤ100、200を含むように修正されることができる。
【0090】
本開示のデバイス及び/又は方法は、IRE電流の印加中のアーク放電及びノイズを低減及び/又は排除した。特有の構成、材料の選択、並びに様々な要素のサイズ及び形状は、設計仕様又は制約に従って変更することができる。そのような変更は、開示する技術の範囲内に包含されることが意図される。したがって、本明細書に開示する実施形態は、あらゆる観点から限定的ではなく例示的であると考えられる。したがって、上記から、本開示の特定の形態について図示及び説明したが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を加えることができ、その意味及び均等物の範囲内のあらゆる変更は、本開示に包含されることが意図されることが明らかであろう。
【0091】
以下の条項は、本開示の非限定的な実施形態を列挙する。
1.血管内デバイスであって、
長手方向軸に沿って延在し、血管系を横断するように寸法決めされた、細長いシャフトと、
不可逆的エレクトロポレーションのために少なくとも900VDCを送達するように構成された複数の電極を含む遠位部分と、
複数の電極のうちのそれぞれの電極に各々電気的に接合された複数のワイヤであって、該複数のワイヤのうちのワイヤの各々が、細長いシャフトの少なくとも一部分を通って延在し、複数のワイヤのうちのワイヤの各々が、それぞれ、
第1の電気伝導率を含む電気伝導性コア材料と、
第1の電気伝導率よりも低い第2の電気伝導率を含む電気伝導性カバー材料であって、電気伝導性コア材料を取り囲む、電気伝導性カバー材料と、
各電極への少なくとも900ボルトの送達中に複数のワイヤ間に電気アークが生成されないように、電気伝導性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットと、を備える、複数のワイヤと、を備える、血管内デバイス。
2.電気伝導性コア材料が、約12%~約50%の銀を含む、条項1に記載の血管内デバイス。
3.電気伝導性コア材料が、約28%~約33%の銀を含む、条項2に記載の血管内デバイス。
4.電気伝導性コア材料が、約12%~約50%の銅を含む、条項1~3のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
5.第1の電気伝導率が、20℃で測定されたときに約4×10S/m~約6×10S/mである、条項1~4のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
6.第2の電気伝導率が、20℃で測定されたときに約1×10S/mである、条項1~5のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
7.第1の電気伝導率が、20℃で測定されたときに第2の電気伝導率よりも少なくとも10倍大きい、条項1~6のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
8.電気伝導性コア材料が、第1の熱伝導率を含み、
電気伝導性カバー材料が、第1の熱伝導率よりも小さい第2の熱伝導率を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
9.第1の熱伝導率が、約300W/mK~約400W/mKである、条項8に記載の血管内デバイス。
10.第2の熱伝導率が、約11.2W/mKである、条項8又は9に記載の血管内デバイス。
11.第1の熱伝導率が、第2の熱伝導率の少なくとも10倍である、条項8~10のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
12.複数のワイヤのうちのワイヤの各々が、約1.4Ω/ft(4.6Ω/m)~約1.8Ω/ft(5.8Ω/m)と測定される、ワイヤの長さ当たりの抵抗を含む、条項1~11のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
13.複数のワイヤのうちのワイヤの各々が、約10Ω~約12Ωのワイヤ抵抗を含む、条項1~12のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
14.複数のワイヤの電気伝導性カバー材料の各々が、約0.0031インチ(79マイクロメートル)~約0.0040インチ(102マイクロメートル)と測定される直径を含む、条項1~13のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
15.血管内デバイスであって、
長手方向軸に沿って延在し、血管系を横断するように寸法決めされた、細長いシャフトと、
複数の電極を含む遠位部分と、
複数の電極のうちのそれぞれの電極に各々電気的に接合された複数のワイヤであって、複数のワイヤのうちのワイヤの各々が、細長いシャフトの少なくとも一部分を通って延在し、複数のワイヤのうちのワイヤの各々が、それぞれ、
複数のストランドであって、各ストランドがそれぞれ、第1の電気伝導率を含む電気伝導性コア材料と、第1の電気伝導率よりも低い第2の電気伝導率を含む電気伝導性カバー材料と、を含み、電気伝導性カバー材料が該電気伝導性コア材料を取り囲む、複数のストランドと、
少なくとも900ボルトが各電極に提供されるときに複数のワイヤ間に電気アークが生成されないように、複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットと、を含む、複数のワイヤと、を備える、血管内デバイス。
16.ストランドの各々の電気伝導性コア材料が、約41%の銀(Ag)を含む、条項15に記載の血管内デバイス。
17.各ストランドが、約0.002インチ(51マイクロメートル)と測定される直径を含む、条項15又は16に記載の血管内デバイス。
18.複数のワイヤのうちのワイヤの少なくとも一部分が、正確に4つのストランドを含む、条項15~17のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
19.複数のストランドのうちのストランドの少なくとも一部分が、約20Ωの抵抗を含む、条項15~18のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
20.複数のワイヤの各々が、複数のワイヤにおける2つのワイヤ間に約1,500ボルト~約2,000ボルトの電圧差をもたらす双極パルスに耐えるように構成されている、条項1~19のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
21.複数のワイヤの各々が、複数のワイヤにおける2つのワイヤ間に約1,500ボルトの電圧差をもたらす双極パルスに耐えるように構成されている、条項20に記載の血管内デバイス。
22.複数のワイヤの各々が、複数のワイヤにおける2つのワイヤ間に1,800ボルト~2,000ボルトの電圧差をもたらす双極パルスに耐えるように構成されている、条項20に記載の血管内デバイス。
23.遠位部分が、複数の電極が取り付けられるラッソ領域を含み、ラッソ領域が、長手方向軸に位置合わせされた細長い構成と、長手方向軸に概して直交する円形形状との間で移動するように構成されている、条項1~22のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
24.遠位部分が、複数の電極が取り付けられる複数のスパインを含み、スパインが、スパインが長手方向軸から外向きに曲がって拡張形態を形成するように、長手方向軸に位置合わせされた細長い構成から移動するように構成されている、条項1~22のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
25.複数のワイヤが、12~8本のワイヤを含む、条項1~24のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
26.細長いシャフトが、約8.5フレンチ(2.8ミリメートル)の直径を有する、条項1~25のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
27.複数のワイヤが、絶縁スリーブ内に束ねられている、条項1~26のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
28.複数のワイヤの各ワイヤが、約0.0053インチ(130マイクロメートル)と測定される直径を含む、条項1~27のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
29.絶縁ジャケットが、約0.0008インチ(20マイクロメートル)~約0.00125インチ(32マイクロメートル)と測定される壁厚を含む、条項1~28のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
30.電気伝導性カバー材料が、約33%~約37%のニッケル、約30%~約38%のコバルト、約19%~約21%のクロム、及び約9%~約10.5%のモリブデンを含む、条項1~29のいずれか一項に記載の血管内デバイス。
31.電気伝導性カバー材料が、約1%の鉄を更に含む、条項30に記載の血管内デバイス。
32.電気伝導性カバー材料が、炭素、マンガン、ケイ素、リン、硫黄、チタン、及びホウ素からなる元素群のうちの少なくとも1つの元素を1%未満更に含む、条項30又は21に記載の血管内デバイス。
【0092】
〔実施の態様〕
(1) 血管内デバイスであって、
長手方向軸に沿って延在し、血管系を横断するように寸法決めされた、細長いシャフトと、
不可逆的エレクトロポレーションのために少なくとも900VDCを送達するように構成された複数の電極を含む遠位部分と、
前記複数の電極のうちのそれぞれの電極に各々電気的に接合された複数のワイヤであって、前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、前記細長いシャフトの少なくとも一部分を通って延在し、前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、それぞれ、
第1の電気伝導率を含む電気伝導性コア材料と、
前記第1の電気伝導率よりも低い第2の電気伝導率を含む電気伝導性カバー材料であって、前記電気伝導性コア材料を取り囲む、電気伝導性カバー材料と、
各電極への少なくとも900ボルトの送達中に前記複数のワイヤ間に電気アークが生成されないように、前記電気伝導性カバー材料を取り囲む絶縁ジャケットと、を含む、複数のワイヤと、を備える、血管内デバイス。
(2) 前記電気伝導性コア材料が、約12%~約50%の銀を含む、実施態様1に記載の血管内デバイス。
(3) 前記電気伝導性コア材料が、約28%~約33%の銀を含む、実施態様2に記載の血管内デバイス。
(4) 前記電気伝導性コア材料が、約12%~約50%の銅を含む、実施態様1に記載の血管内デバイス。
(5) 前記第1の電気伝導率が、20℃で測定されたときに約4×10S/m~約6×10S/mである、実施態様1に記載の血管内デバイス。
【0093】
(6) 前記第2の電気伝導率が、20℃で測定されたときに約1×10S/mである、実施態様1に記載の血管内デバイス。
(7) 前記第1の電気伝導率が、20℃で測定されたときに前記第2の電気伝導率よりも少なくとも10倍大きい、実施態様1に記載の血管内デバイス。
(8) 前記電気伝導性コア材料が、第1の熱伝導率を含み、
前記電気伝導性カバー材料が、前記第1の熱伝導率よりも小さい第2の熱伝導率を含む、実施態様1に記載の血管内デバイス。
(9) 前記第1の熱伝導率が、約300W/mK~約400W/mKである、実施態様8に記載の血管内デバイス。
(10) 前記第2の熱伝導率が、約11.2W/mKである、実施態様8に記載の血管内デバイス。
【0094】
(11) 前記第1の熱伝導率が、前記第2の熱伝導率の少なくとも10倍である、実施態様8に記載の血管内デバイス。
(12) 前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、約1.4Ω/ft(4.6Ω/m)~約1.8Ω/ft(5.8Ω/m)と測定される、ワイヤの長さ当たりの抵抗を含む、実施態様1に記載の血管内デバイス。
(13) 前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、約10Ω~約12Ωのワイヤ抵抗を含む、実施態様1に記載の血管内デバイス。
(14) 前記複数のワイヤの前記電気伝導性カバー材料の各々が、約0.0031インチ(79マイクロメートル)~約0.0040インチ(102マイクロメートル)と測定される直径を含む、実施態様1に記載の血管内デバイス。
(15) 血管内デバイスであって、
長手方向軸に沿って延在し、血管系を横断するように寸法決めされた、細長いシャフトと、
複数の電極を含む遠位部分と、
前記複数の電極のうちのそれぞれの電極に各々電気的に接合された複数のワイヤであって、前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、前記細長いシャフトの少なくとも一部分を通って延在し、前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの各々が、それぞれ、
複数のストランドであって、各ストランドがそれぞれ、第1の電気伝導率を含む電気伝導性コア材料と、前記第1の電気伝導率よりも低い第2の電気伝導率を含む電気伝導性カバー材料と、を含み、前記電気伝導性カバー材料が前記電気伝導性コア材料を取り囲む、複数のストランドと、
少なくとも900ボルトが各電極に提供されるときに前記複数のワイヤ間に電気アークが生成されないように、前記複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットと、を含む、複数のワイヤと、を備える、血管内デバイス。
【0095】
(16) 前記ストランドの各々の前記電気伝導性コア材料が、約41%の銀(Ag)を含む、実施態様15に記載の血管内デバイス。
(17) 各ストランドが、約0.002インチ(51マイクロメートル)と測定される直径を含む、実施態様15に記載の血管内デバイス。
(18) 前記複数のワイヤのうちの前記ワイヤの少なくとも一部分が、正確に4つのストランドを含む、実施態様15に記載の血管内デバイス。
(19) 前記複数のストランドのうちの前記ストランドの少なくとも一部分が、約20Ωの抵抗を含む、実施態様15に記載の血管内デバイス。
(20) 前記複数のワイヤの各々が、前記複数のワイヤにおける2つのワイヤ間に約1,500ボルト~約2,000ボルトの電圧差をもたらす双極パルスに耐えるように構成されている、実施態様19に記載の血管内デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】