(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106367
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】ゲーミング用チップと貨幣の交換装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/26 20190101AFI20230725BHJP
G07D 1/00 20060101ALI20230725BHJP
G07D 11/10 20190101ALI20230725BHJP
G07D 11/235 20190101ALI20230725BHJP
G07D 11/28 20190101ALI20230725BHJP
G06K 19/04 20060101ALI20230725BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20230725BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20230725BHJP
A63F 1/06 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
G07D11/26
G07D1/00 Z
G07D11/10
G07D11/235
G07D11/28
G06K19/04 070
G06K19/07 230
G06K7/10 264
A63F1/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063409
(22)【出願日】2023-04-10
(62)【分割の表示】P 2018128619の分割
【原出願日】2018-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、両替実施者を認識する機能を備えた、ゲーミング用チップと貨幣の交換装置を提供する。
【解決手段】本発明のゲーミング用チップと貨幣の交換装置では、ゲーミング用チップは外面に価値を表す色または表示を有し、貨幣挿入口と、前記貨幣挿入口から挿入された貨幣の真贋情報及び貨幣情報を取得する貨幣読取部と、前記貨幣読取部が取得した貨幣の金額を表示する挿入貨幣金額表示部と、前記ゲーミング用チップを種類別に保管するゲーミング用チップ保管部と、前記貨幣読取部が取得した貨幣の金額に対応するゲーミング用チップを前記ゲーミング用チップ保管部から払い出すゲーミング用チップ払出部と、前記払い出されたゲーミング用チップが置かれる取出部と、両替実施者を認識するユーザー認識部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーミング用チップと貨幣の交換装置であって、
前記ゲーミング用チップは外面に価値を表す色または表示を有し、
貨幣挿入口と、
前記貨幣挿入口から挿入された貨幣の真贋情報及び貨幣情報を取得する貨幣読取部と、
前記貨幣読取部が取得した貨幣の金額を表示する挿入貨幣金額表示部と、
前記ゲーミング用チップを種類別に保管するゲーミング用チップ保管部と、
前記貨幣読取部が取得した貨幣の金額に対応するゲーミング用チップを前記ゲーミング用チップ保管部から払い出すゲーミング用チップ払出部と、
前記払い出されたゲーミング用チップが置かれる取出部と、
前記ゲーミング用チップ払出部から払い出される前記ゲーミング用チップの異常の有無を判定する判定部と、
前記判定部が異常なしと判定した場合に、前記取出部のゲーミング用チップを取出可能にする制御部と、
を備え、
前記取出部は開閉可能な扉を更に備え、
前記判定部が判定中は、前記扉は閉扉され、前記判定部が異常なしと判定した場合に、前記扉を開扉する機能を備えた、ゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項2】
両替実施者を認識するユーザー認識部、を更に備えた、
請求項1に記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項3】
前記ユーザー認識部は、両替実行時に両替実施者をカメラを用いて撮像し、撮像したカメラ画像から前記両替実施者の顔の画像を抽出して特定する機能を備えた、請求項2に記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項4】
両替実施者のID情報を入力するユーザーID情報入力部、を更に備え、
前記ユーザー認識部は、前記ユーザーID情報入力部により取得された両替実施者情報から前記両替実施者を特定する機能を備えた、
請求項2または3に記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項5】
前記ユーザーID情報入力部は、メンバーズカードにより前記両替実施者の情報を取得する構成である、
請求項4に記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項6】
前記ユーザーID認識部が認識した特定のユーザーの所定期間における両替回数または両替金額の情報をデータベースに記憶するユーザー管理部、を更に備えた、
請求項2から5のいずれかに記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項7】
前記ユーザー管理部は、所定の条件で前記ユーザーにポイントまたはステイタスを付与し、これを出力可能な構成である、
請求項6に記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項8】
前記ユーザー管理部は、所定の条件で前記ユーザー毎に所定の交換比率を設定可能な構成を備えた、
請求項6または7に記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項9】
前記貨幣を種類別に保管する貨幣保管部と、
前記挿入口から挿入された貨幣を一時的に保持する貨幣保持部と、
を更に備え、
前記貨幣保持部は、両替実行時に、挿入された貨幣を種類別に前記貨幣保管部に移動させる機能を備えた、
請求項1から8のいずれかに記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項10】
前記ゲーミング用チップ払出部は、ゲーミング用チップを個別または一括で払い出す機能を備えた、
請求項1から9のいずれかに記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項11】
前記ゲーミング用チップはチップ情報を記憶した無線タグを内蔵し、
前記取出部に置かれたゲーミング用チップの無線タグを読み取り、ゲーミング用チップのチップ情報を取得する無線タグ読取部をさらに備え、
前記判定部は、前記無線タグ読取部から取得された前記ゲーミング用チップのチップ情報の異常の有無を判定する、
請求項1から10のいずれかに記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項12】
前記取出部に置かれたゲーミング用チップの外観を検査する外観検査部、を更に備えた、
請求項1から11のいずれかに記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項13】
前記取出部に置かれたゲーミング用チップの外観を検査する外観検査部、を更に備え、
前記外観検査部は、前記取出部に置かれたゲーミング用チップの枚数または価値を光学的に把握し、
前記判定部は、前記無線タグ読取部から取得された前記ゲーミング用チップのチップ情報と、前記外観検査部から得られた前記ゲーミング用チップの枚数または価値とを比較判定し、両者が一致する場合に、前記取出部に置かれたゲーミング用チップを異常なしと判定する、構成である、
請求項11に記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【請求項14】
前記ゲーミング用チップは、複数の色の異なるプラスチックの層が積層され、少なくとも中間に着色層を備え、前記中間の着色層の両側に白色層もしくは薄色層を積層した多層構造とすることで側面に積層方向の縞模様を形成し、前記着色層によりゲーミング用チップの種類が特定可能な構成を有し、
前記外観検査部は、前記着色層によりゲーミング用チップの枚数又は価値を把握する構成である、
請求項13に記載のゲーミング用チップと貨幣の交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーミング用チップと貨幣の交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カジノなどの遊技場において行われる多くのテーブルゲームの中にはバカラやブラックジャックがある。カジノにおいては、こうしたゲームに使用するために代用貨幣としてゲーミング用チップが使われる。ゲーミング用チップと貨幣(紙幣及び硬貨)の交換は、カジノ内の所定の交換所、あるいはゲームテーブル上で、両替担当員やゲームテーブルを担当しているディーラ等により対面により行われている。
【0003】
一方で、ゲーム施設で使用されるチップと貨幣の自動交換装置が提案されている。特許文献1に記載の景品チップの自動買上げ装置では、挿入した景品チップを自動的に仕分けし、真偽の識別を行った上で景品チップの価値に見合う換金額が自動的に払い出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カジノにおいても、無人で実施可能なゲーミング用チップと貨幣の交換装置の導入が求められているが、従来技術のチップと貨幣の交換装置では、両替行為の実施者を特定することができないため、不正行為の結果多額のゲーミング用チップを受け取ったことが疑われる顧客が行う両替の実施情報を把握できない、という課題が存在する。
【0006】
本発明は、当該事情に鑑み発明されたものであって、両替実施者を認識する機能を備えた、ゲーミング用チップと貨幣の交換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明のゲーミング用チップと貨幣の交換装置は、
ゲーミング用チップは外面に価値を表す色または表示を有し、
貨幣挿入口と、
前記貨幣挿入口から挿入された貨幣の真贋情報及び貨幣情報を取得する貨幣読取部と、
前記貨幣読取部が取得した貨幣の金額を表示する挿入貨幣金額表示部と、
前記ゲーミング用チップを種類別に保管するゲーミング用チップ保管部と、
前記貨幣読取部が取得した貨幣の金額に対応するゲーミング用チップを前記ゲーミング用チップ保管部から払い出すゲーミング用チップ払出部と、
前記払い出されたゲーミング用チップが置かれる取出部と、
を備える。
【0008】
さらに、両替実施者を認識するユーザー認識部、を備えている。
【0009】
さらに、前記ユーザー認識部は、両替実行時に両替実施者を、カメラを用いて撮像し、撮像したカメラ画像から前記両替実施者の顔の画像を抽出して特定する機能を備えていてもよい。
【0010】
さらに、両替実施者のID情報を入力するユーザーID情報入力部、を備えていてもよく、前記ユーザー認識部は、前記ユーザーID情報入力部により取得された両替実施者情報から前記両替実施者を特定する機能を備えていてもよい。
【0011】
さらに、前記ユーザーID情報入力部は、メンバーズカードにより前記両替実施者の情報を取得する構成であってもよい。
【0012】
さらに、前記ユーザー認識部が認識した特定のユーザーの所定期間における両替回数または両替金額の情報をデータベースに記憶するユーザー管理部、を備えていてもよい。
【0013】
さらに、前記ユーザー管理部は、所定の条件で前記ユーザーにポイントまたはステイタスを付与し、これを出力可能な構成であってもよい。
【0014】
さらに、前記ユーザー管理部は、所定の条件で前記ユーザー毎に所定の交換比率を設定可能な構成を備えていてもよい。
【0015】
さらに前記貨幣を種類別に保管する貨幣保管部と、前記挿入口から挿入された貨幣を一時的に保持する貨幣保持部と、を備え、前記貨幣保持部は、両替実行時に、挿入された貨幣を種類別に前記貨幣保管部に移動させる機能を備えていてもよい。
【0016】
さらに、前記ゲーミング用チップ払出部は、ゲーミング用チップを個別または一括で払い出す機能を備えていてもよい。
【0017】
さらに、前記取出部は開閉可能な扉を備え、前記判定部が判定中は、前記扉は閉扉され、前記判定部が異常なしと判定した場合に、前記扉を開扉する機能を備えていてもよい。
【0018】
さらに、前記ゲーミング用チップはチップ情報を記憶した無線タグを内蔵し、前記取出部に置かれたゲーミング用チップの無線タグを読み取り、ゲーミング用チップのチップ情報を取得する無線タグ読取部と、前記無線タグ読取部から取得された前記ゲーミング用チップのチップ情報の異常の有無を判定する判定部と、前記判定部が異常なしと判定した場合に、前記取出部のゲーミング用チップを取出可能にする制御部と、を備えていてもよい。
【0019】
さらに、前記取出部に置かれたゲーミング用チップの外観を検査する外観検査部、を備えていてもよい。
【0020】
さらに、前記取出部に置かれたゲーミング用チップの外観を検査する外観検査部、を備え、前記外観検査部は、前記取出部に置かれたゲーミング用チップの枚数または価値を光学的に把握し、前記判定部は、前記無線タグ読取部から取得された前記ゲーミング用チップのチップ情報と、前記外観検査部から得られた前記ゲーミング用チップの枚数または価値とを比較判定し、両者が一致する場合に、前記取出部に置かれたゲーミング用チップを異常なしと判定する、構成であってもよい。
【0021】
さらに、前記ゲーミング用チップは、複数の色の異なるプラスチックの層が積層され、少なくとも中間に着色層を備え、前記中間の着色層の両側に白色層もしくは薄色層を積層した多層構造とすることで側面に積層方向の縞模様を形成し、前記着色層によりゲーミング用チップの種類が特定可能な構成を有し、前記外観検査部は、前記着色層によりゲーミング用チップの枚数又は価値を把握する構成であってもよい。
【0022】
本発明の別の態様のゲーミング用チップと貨幣とを交換する装置は、
ゲーミング用チップは、貨幣情報を記憶した無線タグを内蔵するとともに外面に価値を表す色または表示を有し、
前記ゲーミング用チップが通過可能な挿入口と、
前記挿入口から挿入されたゲーミング用チップの無線タグを読み取り、ゲーミング用チップの貨幣情報を取得する無線タグ読取部と、
前記無線タグ読取部から取得された前記ゲーミング用チップの貨幣情報の異常の有無を判定する判定部と、
前記判定部が異常なしと判定したゲーミング用チップの金額を表示する挿入金額表示部と、
貨幣を種類別に保管する貨幣保管部と、
前記判定部が異常なしと判定したゲーミング用チップの金額に対応する貨幣を前記貨幣保管部から払い出す貨幣払出部と、を備える。
【0023】
さらに、両替実施者を認識するユーザー認識部、を備えている。
【0024】
さらに、前記ユーザー認識部は、両替実行時に両替実施者を、カメラを用いて撮像し、撮像したカメラ画像から前記両替実施者の顔の画像を抽出して特定する機能を備えていてもよい。
【0025】
さらに、両替実施者のID情報を入力するユーザーID情報入力部、を備え、前記ユーザー認識部は、前記ユーザーID情報入力部により取得された両替実施者情報から前記両替実施者を特定する機能を備えていてもよい。
【0026】
さらに、前記ユーザーID情報入力部は、メンバーズカードにより前記両替実施者の情報を取得する構成であってもよい。
【0027】
さらに、前記ユーザーID認識部が認識した特定のユーザーの所定期間における両替回数または両替金額の情報をデータベースに記憶するユーザー管理部、を備えていてもよい。
【0028】
さらに、前記ユーザー管理部は、所定の条件で前記ユーザーにポイントまたはステイタスを付与し、これを出力可能な構成であってもよい。
【0029】
さらに、前記ユーザー管理部は、所定の条件で前記ユーザー毎に所定の交換比率を設定可能な構成を備えていてもよい。
【0030】
さらに、前記ゲーミング用チップを種類別に保管するゲーミング用チップ保管部と、前記挿入口から挿入されたゲーミング用チップを一時的に保持するゲーミング用チップ保持部と、を備え、前記ゲーミング用チップ保持部は、両替実行時に、挿入されたゲーミング用チップを種類別に前記ゲーミング用チップ保管部に移動させる機能を備えていてもよい。
【0031】
さらに、前記挿入口から挿入されたゲーミング用チップの外観を検査する外観検査部、を備えていてもよい。
【0032】
さらに、前記外観検査部は、前記挿入口から挿入されたゲーミング用チップの枚数または価値を光学的に把握する機能を備え、前記判定部は、前記無線タグ読取部から取得された前記ゲーミング用チップのチップ情報と、前記外観検査部から得られた前記ゲーミング用チップの枚数または価値とを比較判定し、両者が一致する場合に、前記ゲーミング用チップを異常なしと判定する、構成であってもよい。
【0033】
さらに、前記ゲーミング用チップは、複数の色の異なるプラスチックの層が積層され、少なくとも中間に着色層を備え、前記中間の着色層の両側に白色層もしくは薄色層を積層した多層構造とすることで側面に積層方向の縞模様を形成し、前記着色層によりゲーミング用チップの種類が特定可能な構成を有し、前記外観検査部は、前記着色層によりゲーミング用チップの枚数又は価値を把握する構成であってもよい。
【0034】
また本発明の別の態様のゲーミング用チップと貨幣の交換装置では、
ゲーミング用チップは、貨幣情報を記憶した無線タグを内蔵するとともに外面に価値を表す色または表示を有し、
貨幣または前記ゲーミング用チップが通過可能な挿入口と、
前記挿入口から挿入された貨幣の真贋情報及び貨幣情報を取得する貨幣読取部と、
前記挿入口から挿入されたゲーミング用チップの無線タグを読み取り、ゲーミング用チップの貨幣情報を取得する無線タグ読取部と、
前記無線タグ読取部から取得された前記ゲーミング用チップの貨幣情報の異常の有無を判定する判定部と、
前記貨幣読取部が取得した貨幣の金額、または前記判定部が異常なしと判定したゲーミング用チップの金額を表示する挿入金額表示部と、
前記ゲーミング用チップを種類別に保管するゲーミング用チップ保管部と、
貨幣を種類別に保管する貨幣保管部と、
前記貨幣読取部が取得した貨幣の金額に対応するゲーミング用チップを前記ゲーミング用チップ保管部から払い出すゲーミング用チップ払出部と、
前記払い出されたゲーミング用チップが置かれる取出部と、
前記判定部が異常なしと判定したゲーミング用チップの金額に対応する貨幣を前記貨幣保管部から払い出す貨幣払出部と、を備える。
【発明の効果】
【0035】
本発明のゲーミング用チップと貨幣の交換装置によれば、当該装置を利用してゲーミング用チップと貨幣の交換を実施したユーザーを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態におけるゲーミング用チップを積上げた状態の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態のゲーミング用チップと貨幣の交換装置の全体構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態のゲーミング用チップと貨幣の交換装置における交換処理のフロー図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施の形態のゲーミング用チップと貨幣の交換装置の全体構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施の形態のゲーミング用チップと貨幣の交換装置における交換処理のフロー図である。
【
図6】
図6は、本発明の第3の実施の形態のゲーミング用チップと貨幣の交換装置の全体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0038】
なお、本説明の中で用いる貨幣とは、紙幣及び硬貨のことである。
【0039】
はじめに、本装置に使用するゲーミング用チップGの詳細を説明する。ゲーミング用チップGは、
図1に示すように、少なくとも中間に着色層101を備え、この中間の着色層101の両側に白色層102もしくは薄色層(図示しないが着色層101より色の薄い層であればよい)を積層した多層構造となっている。このように多層構造とすることで
図1に示すように側面に積層方向の縞模様を形成し、着色層101の色を変えることによりゲーミング用チップGの種類を特定できるようにしている。またゲーミング用チップGの内部には無線タグ103を内蔵している。具体的には、着色層101に一部くり抜きを設け、その中に無線タグ103を設置している。無線タグ103には、当該ゲーミング用チップGの価値(金額)情報に加えて、カジノ毎に設定された固有ID情報、製造ラインや製造日などの製造情報と関連する情報、チップ毎の個別ID情報、等が貨幣情報として記憶されている。
【0040】
図2は本発明の第1の実施の形態の、ゲーミング用チップGと貨幣Cの交換装置1を示している。ゲーミング用チップGと貨幣Cの交換装置1は、交換対象となるゲーミング用チップGを交換装置1に挿入するための、ゲーミング用チップGが通過可能な挿入口11を備える。
【0041】
交換装置1は、挿入口11から挿入されたゲーミング用チップGを一時的に保持するゲーミング用チップ保持部12を備える。
【0042】
交換装置1は、挿入口11から挿入され、ゲーミング用チップ保持部12に保持されたゲーミング用チップGの無線タグ103を読み取り、ゲーミング用チップGの貨幣情報を取得する無線タグ読取部131を備える。さらに無線タグ読取部131から取得されたゲーミング用チップGの貨幣情報の異常の有無を判定する判定部21を備える。判定部21は、例えば当該カジノの固有ID情報が読み取れない場合や、当該ゲーミング用チップGの製造日情報に基づくチップの使用期限に達している場合等を、貨幣情報の異常として予め設定しておき、予め設定した異常の基準に基づき、異常の有無を判定する。判定部21にて異常と判定した場合には、エラーとして処理し、交換装置1に設けられたディスプレイ31にエラー内容を表示する。ディスプレイ31の詳細については後述する。
【0043】
交換装置1はさらに、ゲーミング用チップ保持部12に保持されたゲーミング用チップGの外観を検査する外観検査部132を備えている。外観検査部132は、例えばカメラを利用して、光学的にゲーミング用チップの状態を把握し、破損や汚れ等を検知することができる。また赤外線カメラ等を用いてゲーミング用チップの表面に付与された特殊なマークM等を読み取り、真贋判定を行ってもよい。外観検査部132から取得されたゲーミング用チップGの外観情報に基づき、判定部21は、予め設定した異常の基準に基づく異常の有無を判定する。判定部21が異常と判定した場合には、エラーとして処理し、交換装置1に設けられたディスプレイ31にエラー内容を表示する。また外観検査部132は、外面の情報(例えば、表面に記載されている金額情報や、着色層101の色情報)を読み取って、挿入されたゲーミング用チップGの種類及び枚数を把握してもよい。
【0044】
なお、判定部21は、無線タグ読取部131から取得したゲーミング用チップGの貨幣情報と、外観検査部132から取得したゲーミング用チップGの貨幣情報とを比較判定し、両者が一致するか否かを判定し、一致した場合に、挿入されたゲーミング用チップGを異常なしと判定することもできる。
【0045】
交換装置1は、無線タグ読取部131または外観検査部132から取得したゲーミング用チップGの貨幣情報をもとに、挿入されたゲーミング用チップGの種類毎の枚数をカウントするチップカウンタ133を備える。チップカウンタ133はさらに、判定部21が異常なしと判定したゲーミング用チップGの個別の金額を加算し、挿入されたゲーミング用チップGの総額を算出する。
【0046】
チップカウンタ133が算出したゲーミング用チップGの総額は、挿入金額表示部32に表示される。なお、挿入金額表示部32はディスプレイ31と一体化していてもよい。
【0047】
ここで、交換装置1に設けられているディスプレイ31について説明する。ディスプレイ31には、両替開始ボタン31a、両替実行ボタン31b、両替取消ボタン31cがある。なお両替開始ボタン31a、両替実行ボタン31b、両替取消ボタン31cは必ずしもディスプレイ31に表示されている必要はなく、ディスプレイ31とは別に備え付けられていてもよい。両替開始ボタン31aについては後述する。
【0048】
挿入金額表示部32に挿入されたゲーミング用チップGの総額が表示されると、ディスプレイ31には両替実行ボタン31bと、両替取消ボタン31cが表示される。両替実施者Pにより挿入金額表示部32に表示された金額が確認され、両替がキャンセルされる場合には、両替取消ボタン31cが押下されることによって、ゲーミング用チップ保持部12に保持されているゲーミング用チップGを所定の返却口(図示せず)から両替実施者Pに返却する。両替が実行される場合には、両替実行ボタン31bが押下されることによって両替を実行し、ゲーミング用チップ保持部12に保持したチップをプッシャーまたはコンベアを用いてゲーミング用チップ保管部14に送る。
【0049】
ゲーミング用チップ保管部14は、両替実行時にゲーミング用チップ保持部12から送られたゲーミング用チップGを保管する。ゲーミング用チップ保管部14は、ゲーミング用チップGを種類別に保管することができる。ゲーミング用チップ保管部14は、交換装置本体から取り外せる構造になっており、これにより、カジノスタッフが行う交換装置1内のゲーミング用チップGの回収作業を容易に行うことができる。
【0050】
交換装置1は、払い出し用の貨幣Cを種類別に保管する貨幣保管部15を備えている。貨幣保管部15への貨幣Cのセットは、カジノのスタッフや交換装置1の管理担当者により定期的に行われ、複数の通貨の貨幣が保管できる構造になっていてもよい。さらに交換装置1は、貨幣保管部15から払い出し用の貨幣を払い出す貨幣払出部16を備える。貨幣払出部16は、装置全体を制御する制御装置2の指示により、判定部21が異常なしと判定したゲーミング用チップGの総額に対応する貨幣Cを、プッシャーまたはコンベアを用いて、貨幣保管部15から払い出す。貨幣払出部16は、貨幣カウンタ161を備えており、貨幣保管部15から払い出す貨幣の種類と枚数を確認する。両替実施者Pは払い出された貨幣Cを取出口(図示せず)から受け取る。
【0051】
装置全体を制御する制御装置2は、ユーザー認識部22及びユーザー管理部23を備えている。
【0052】
ユーザー認識部22は、両替実施者Pを特定するための特定情報を得る。特定情報とはデータベースDに登録される当該顧客の顔画像情報、またはユーザーIDである。両者は、データベース上で関連付けられている。
【0053】
交換装置1は、待機状態では、ディスプレイに両替開始ボタン31aが表示されている。両替開始ボタン31aを押下すると、ユーザー認識部22は、カメラ41を用いて両替実施者Pを撮像し、撮像した画像から両替実施者の顔を抽出する。抽出した顔画像をデータベースD上のカジノ顧客の顔画像データと照合し、データベースDにある特定の顔画像データと一致して当該顔画像データが特定されたときに、特定情報を得たとし、両替実施者Pを特定することができる。
【0054】
両替実施者Pの顔画像の抽出ができなかった場合や、両替実施者PがデータベースDに登録されていない新規ユーザーであった場合等、データベースDにある顔画像データとの照合ができずに特定情報が得られなかったときには、交換を実施できない旨を示すメッセージをディスプレイ31に表示する。併せて、カジノ内の所定の交換所での交換を促すメッセージを表示してもよい。
【0055】
カメラ41で撮像した画像から両替実施者Pの顔の画像を抽出する際や、抽出した顔画像をデータベースD上の顔画像と比較して、両替実施者Pを特定する際には、ディープラーニング技術を用いた人工知能型装置を用いることができる。
【0056】
カメラ41により両替実施者Pを撮像するのは、両替実施者Pがディスプレイ31に表示されている両替開始ボタン31aを押下した時であるが、両替実施後に撮像してもよいし、常時撮影していてもよい。
【0057】
交換装置1は、カメラ41の代わりにユーザーID情報入力部42により特定情報を得て、両替実施者Pを特定してもよい。この場合、メンバーズカードやパスポートの読取によって、データベースDにある顧客情報と照合し、データベースD上でユーザーIDを特定したときに特定情報を得たとし、両替実施者Pを特定する。またユーザーID情報入力部は、ディスプレイ31上でのキーボード入力やタッチパネル入力により、ユーザーIDを直接入力して特定情報を得てもよい。また顧客の指紋情報や静脈情報が特定情報としてデータベースDにあり、指紋認証や静脈認証により、データベースD上で顧客を特定することで、両替実施者Pを特定する構成であってもよい。
【0058】
さらに上述のカメラ41による両替実施者Pの特定と、上述のユーザーID情報入力部42による両替実施者Pの特定の両方を行ってもよい。また上述のカメラ41での特定ができなかった場合に、ユーザーID情報入力部42による両替実施者Pの特定に切り替える構成であってもよい。
【0059】
ユーザー管理部23は、ユーザー認識部22で特定したユーザー(両替実施者P)の所定期間における両替回数または両替金額の情報をデータベースDに記憶する。また、所定の条件に従って、ユーザーにポイントまたはステイタスを付与し、これを出力することができる。ポイントを利用して、例えばカジノに併設されたホテルやレストランでの優待を利用したり、所定のステイタスを獲得することにより、VIPルーム等の特別エリアへの入場資格が得られるようにしてもよい。
【0060】
さらに、所定の条件でユーザー毎に所定の交換比率を設定することが可能である。例えば、1ヶ月の両替総額が1万ドル以上であるユーザーには、100ドル相当の挿入ゲーミング用チップGに対して、110ドル分の貨幣Cを払い出す、といった設定が可能である。また換金率や配当率の異なる特別なゲーミング用チップGを提供するといった構成であってもよい。
【0061】
なお、ユーザー管理部23は外部システムや外部サーバーと有線または無線で接続されていてもよい。これにより例えば、カジノの顧客管理システムにある外部データベースOにアクセスして比較判定を行ったり、カジノ内の複数の交換装置1間での取得データの共有を行うことができる。
【0062】
次に、ゲーミング用チップGから貨幣Cへの両替処理動作を説明する。
図2はゲーミング用チップGから貨幣Cへの両替処理のフロー図である。
【0063】
交換装置1は、待機状態では、ディスプレイ31に両替開始ボタン31aが表示されている。または両替実施者Pが交換装置1前に来た時に、感知センサ等により両替実施者Pの存在を検知して、ディスプレイ31を起動し、両替開始ボタン31aを表示してもよい。なお両替開始ボタン31a、及び後述する両替実行ボタン31b、両替取消ボタン31cは必ずしもディスプレイ31に表示されている必要はなく、ディスプレイ31とは別に備え付けられていてもよい。
【0064】
両替実施者Pにより、両替開始ボタン31aが押下されると、両替処理が開始される(ステップS10)。両替動作は両替実施者Pを認識することから始まる。ユーザー認識部22が、カメラ41を用いて両替実施者Pを撮像(ステップS111)し、撮像した画像から両替実施者の顔を抽出し、抽出した顔画像をデータベースD上のカジノ顧客の顔画像データと照合し、両替実施者Pを特定する(ステップS12)。もう一つの認識方法は、ユーザーID情報入力部42によるメンバーズカード等を用いたユーザーIDの入力(ステップS112)によって、両替実施者Pを特定する方法である。
【0065】
ユーザー認識部22が両替実施者Pを特定できなかった場合には、エラー信号を出力し、ディスプレイ31に交換を実施できない旨のエラー表示を行う。またいわゆるブラックリストに入っているユーザーなど、交換装置1の使用制限を課しているユーザーであると認識した場合には、交換装置1の機能を停止したり、挿入口11へのチップの挿入を不可能にし、交換装置1が使用できないことをディスプレイ31での表示やアラームで通知するようになっていてもよい。
【0066】
ユーザー認識部22によって両替実施者Pを特定した後、データベースDに記憶されている過去の両替情報や特典情報に基づく、両替実施者Pへのゲーミング用チップGと貨幣Cとの交換比率の決定処理(ステップS131)を行う。
【0067】
両替実施者Pが特定されると、ディスプレイ31にゲーミング用チップGの挿入を促す通知が表示され、両替実施者Pがゲーミング用チップGを挿入する(S14)。挿入されたゲーミング用チップGは、ゲーミング用チップ保持部12へと送られる。
【0068】
ゲーミング用チップ保持部12に保持されたゲーミング用チップGは、無線タグ読取部131でゲーミング用チップGに内蔵されている無線タグ103が読み取られ、挿入されたゲーミング用チップGの真贋や価値の情報が取得される(ステップS151)。
【0069】
また外観検査部132でゲーミング用チップGの状態を把握し、破損や汚れ等を検知したり、真贋や価値の情報が取得される(S152)。
【0070】
無線タグ読取部131および外観検査部132で取得されたゲーミング用チップGの貨幣情報は、判定部21で判定され、ゲーミング用チップGがカジノで定めた所定の基準を満たしているか否か、及びゲーミング用チップGの真贋や価値が判定される(ステップS16)。基準を満たしていないゲーミング用チップGは異常品として、エラー信号を出力し、ディスプレイ31にエラー情報を通知する。
【0071】
ゲーミング用チップGに異常がなかった場合、挿入されたゲーミング用チップGの挿入金額が挿入金額表示部32に表示され(ステップS17)、両替実施者Pが、挿入金額表示部32に表示された金額を確認する。またディスプレイ31には両替実行ボタン31bおよび両替取消ボタン31cが表示される。両替をキャンセルする場合には、両替取消ボタン31cを押下することにより、ゲーミング用チップ保持部12に保持されているゲーミング用チップが所定の返却口(図示せず)から返却される。
【0072】
両替実行ボタン31bを押下することにより両替が実行され、ユーザー管理部23によって定められている、ユーザー毎のゲーミング用チップと貨幣との交換比率に基づいて決定された、挿入されたゲーミング用チップの金額に対応する金額の貨幣が貨幣払出部16から払い出され(ステップS18)、両替実施者Pは払い出された貨幣Cを取出口(図示せず)から受け取る。
【0073】
ユーザー管理部23では、当該両替情報(両替金額や両替時間等)のデータベースへの記憶(ステップS132)、及び当該両替情報に基づく両替実施者Pへのポイント付与(ステップS133)を行う。
【0074】
貨幣Cの払い出し後、ゲーミング用チップ保持部12は、ゲーミング用チップ保持部12に保持されていたゲーミング用チップGをゲーミング用チップ保管部14にプッシャーまたはコンベア機構により移動させる(ステップS19)。
【0075】
以上のように、本実施の形態によれば、ゲーミング用チップGから貨幣Cへの交換時に両替実施者Pを特定することが可能になり、両替実施者Pと両替情報との関連付けが可能になる。
【0076】
次に本発明の第2の実施の形態を
図4を用いて説明する。なお、第1の実施例と同様の動作を行う部品については、第2の実施例の説明においても第1の実施例の説明と同一の符号を用いて説明を行う。
【0077】
図4は第2の実施の形態の、貨幣Cとゲーミング用チップGの交換装置201を示している。貨幣Cとゲーミング用チップGの交換装置201は、交換対象となる貨幣Cを交換装置201に挿入するための、貨幣が通過可能な貨幣挿入口211を備える。
【0078】
交換装置201は、貨幣挿入口211から挿入された貨幣Cを一時的に保持する貨幣保持部212を備える。
【0079】
交換装置201は、貨幣挿入口211から挿入され、貨幣保持部212に保持された貨幣Cの真贋及び貨幣情報を取得する貨幣読取部2160を備える。さらに、交換装置1は、貨幣読取部2160から取得された貨幣の真贋及び貨幣情報をもとに、貨幣の異常を判定する貨幣判定部2211を備える。貨幣判定部2211は、例えば貨幣の真贋が不明な場合や、貨幣の種類を識別できない場合等を、貨幣情報の異常としてあらかじめ設定しておき、あらかじめ設定した異常の基準に基づき、異常の有無を判定する。貨幣判定部2211にて異常と判定した場合には、エラーとして処理し、交換装置201に設けられたディスプレイ31にエラー内容を表示する。ディスプレイ31の詳細については後述する。
【0080】
交換装置201は貨幣読取部2160から取得した貨幣情報を基に、挿入された貨幣Cの種類ごとの枚数をカウントする貨幣カウンタ2161を備える。貨幣カウンタ2161はさらに、貨幣判定部2211が異常なしと判定した貨幣Cの個別の金額を加算し、挿入された貨幣Cの総額を算出する。
【0081】
貨幣カウンタ2126が算出した貨幣Cの総額は、挿入貨幣金額表示部232に表示される。なお、挿入貨幣金額表示部232はディスプレイ31と一体化していてもよい。
【0082】
挿入貨幣金額表示部232に挿入された貨幣Cの総額が表示されると、ディスプレイ31に両替実行ボタン31bと、両替取消ボタン31cが表示される。両替実施者Pにより挿入貨幣金額表示部232に表示された金額が確認され、両替がキャンセルされる場合には、両替取消ボタン31cが押下されることによって、貨幣保持部212に保持されている貨幣Cを所定の返却口(図示せず)から両替実施者Pに返却する。両替が実行される場合には、両替実行ボタン31bが押下されることによって両替を実行し、貨幣保持部212に保持した貨幣Cをプッシャーまたはコンベアを用いて貨幣保管部214に送る。
【0083】
貨幣保管部214は、両替実行時に貨幣保持部212から送られた貨幣Cを保管する。貨幣保管部214は、貨幣Cを種類別に保管することができる。貨幣保管部214は、交換装置本体から取り外せる構造になっており、これにより、カジノスタッフが行う交換装置201内の貨幣Cの回収作業を容易に行うことができる。
【0084】
交換装置201は払出用のゲーミング用チップGを種類別に保管するゲーミング用チップ保管部215を備えている。ゲーミング用チップ保管部215へのゲーミング用チップGのセットは、カジノのスタッフや交換装置201の管理者により、定期的に行われる。さらに、交換装置201は、ゲーミング用チップ保管部215から払出用のゲーミング用チップGを払い出すゲーミング用チップ払出部216を備える。ゲーミング用チップ払出部216は、装置全体を制御する制御装置202の指示により、貨幣判定部2211が異常なしと判定した貨幣Cの総額に対応するゲーミング用チップGをプッシャーまたはコンベアを用いてゲーミング用チップ保管部215から払い出すゲーミング用チップGの種類と枚数を確認する。
【0085】
ゲーミング用チップ払出部216から払い出されたゲーミング用チップGは、ゲーミング用チップ取出部217へ送られる。
【0086】
交換装置201は、ゲーミング用チップ払出部216からゲーミング用チップ取出部217に送られたゲーミング用チップGの無線タグ103を読み取り、ゲーミング用チップGの貨幣情報を取得する無線タグ読取部2131を備える。さらに無線タグ読取部2131から取得されたゲーミング用チップGの貨幣情報の異常の有無を判定する判定部2212を備える。判定部2212は、例えば当該カジノの固有ID情報が読み取れない場合や、当該ゲーミング用チップGの製造日情報に基づくチップの使用期限に達している場合等を、貨幣情報の異常として予め設定しておき、予め設定した異常の基準に基づき、異常の有無を判定する。判定部2212にて異常と判定した場合には、エラーとして処理し、交換装置201に設けられたディスプレイ31にエラー内容を表示する。
【0087】
交換装置201はさらに、ゲーミング用チップ取出部217に送られたゲーミング用チップGの外観を検査する外観検査部2132を備えている。外観検査部2132は、例えばカメラを利用して、光学的にゲーミング用チップの状態を把握し、破損や汚れ等を検知することができる。また赤外線カメラ等を用いてゲーミング用チップの表面に付与された特殊なマークM等を読み取り、真贋判定を行ってもよい。外観検査部2132から取得されたゲーミング用チップGの外観情報に基づき、判定部2212は、予め設定した異常の基準に基づく異常の有無を判定する。判定部2212が異常と判定した場合には、エラーとして処理し、交換装置201に設けられたディスプレイ31にエラー内容を表示する。また外観検査部2132は、外面の情報(例えば、表面に記載されている金額情報や、着色層101の色情報)を読み取って、ゲーミング用チップ取り出し部217に送られたゲーミング用チップGの種類及び枚数を把握してもよい。
【0088】
なお、判定部2212は、無線タグ読取部2131から取得したゲーミング用チップGの貨幣情報と、外観検査部2132から取得したゲーミング用チップGの貨幣情報とを比較判定し、両者が一致するか否かを判定し、一致した場合に、挿入されたゲーミング用チップGを異常なしと判定することもできる。
【0089】
交換装置201は、無線タグ読取部2131または外観検査部2132から取得したゲーミング用チップGの貨幣情報をもとに、ゲーミング用チップ取出部217に送られたゲーミング用チップGの種類毎の枚数をカウントするチップカウンタ2133を備える。チップカウンタ2133はさらに、判定部2212が異常なしと判定したゲーミング用チップGの個別の金額を加算し、ゲーミング用チップ取出部217に送られたゲーミング用チップGの総額を算出する。
【0090】
ゲーミング用チップ取出部217には、ゲーミング用チップGの取り出しを制限する扉2171が備えられている。扉2171は、判定部2212が判定中は、閉扉されており、ゲーミング用チップ取出部217からのゲーミング用チップGの取り出しを制限する。判定部2212が異常なしと判定した場合に、制御部224が扉2171を開扉し、ゲーミング用チップ取出部217に置かれたゲーミング用チップGを取出し可能にする。
【0091】
装置全体を制御する制御装置202は、ユーザー認識部22及びユーザー管理部23を備えている。
【0092】
ユーザー認識部22は、両替実施者Pを特定するための特定情報を得る。特定情報とはデータベースDに登録される当該顧客の顔画像情報、またはユーザーIDである。両者は、データベース上で関連付けられている。
【0093】
交換装置201は、待機状態では、ディスプレイに両替開始ボタン31aが表示されている。両替開始ボタン31aを押下すると、ユーザー認識部22は、カメラ41を用いて両替実施者Pを撮像し、撮像した画像から両替実施者の顔を抽出する。抽出した顔画像をデータベースD上のカジノ顧客の顔画像データと照合し、データベースDにある特定の顔画像データと一致して当該顔画像データが特定されたときに、特定情報を得たとし、両替実施者Pを特定することができる。
【0094】
両替実施者Pの顔画像の抽出ができなかった場合や、両替実施者PがデータベースDに登録されていない新規ユーザーであった場合等、データベースDにある顔画像データとの照合ができずに特定情報が得られなかったときには、交換を実施できない旨を示すメッセージをディスプレイ31に表示する。併せて、カジノ内の所定の交換所での交換を促すメッセージを表示してもよい。
【0095】
カメラ41で撮像した画像から両替実施者Pの顔の画像を抽出する際や、抽出した顔画像をデータベースD上の顔画像と比較して、両替実施者Pを特定する際には、ディープラーニング技術を用いた人工知能型装置を用いることができる。
【0096】
カメラ41により両替実施者Pを撮像するのは、両替実施者Pがディスプレイ31に表示されている両替開始ボタン31aを押下した時であるが、両替実施後に撮像してもよいし、常時撮影していてもよい。
【0097】
交換装置201は、カメラ41の代わりにユーザーID情報入力部42により特定情報を得て、両替実施者Pを特定してもよい。この場合、メンバーズカードやパスポートの読取によって、データベースDにある顧客情報と照合し、データベースD上でユーザーIDを特定したときに特定情報を得たとし、両替実施者Pを特定する。またユーザーID情報入力部は、ディスプレイ31上でのキーボード入力やタッチパネル入力により、ユーザーIDを直接入力して特定情報を得てもよい。また顧客の指紋情報や静脈情報が特定情報としてデータベースDにあり、指紋認証や静脈認証により、データベースD上で顧客を特定することで、両替実施者Pを特定する構成であってもよい。
【0098】
さらに上述のカメラ41による両替実施者Pの特定と、上述のユーザーID情報入力部42による両替実施者Pの特定の両方を行ってもよい。また上述のカメラ41での特定ができなかった場合に、ユーザーID情報入力部42による両替実施者Pの特定に切り替える構成であってもよい。
【0099】
ユーザー管理部23は、ユーザー認識部22で特定したユーザー(両替実施者P)の所定期間における両替回数または両替金額の情報をデータベースDに記憶する。また、所定の条件に従って、ユーザーにポイントまたはステイタスを付与し、これを出力することができる。ポイントを利用して、例えばカジノに併設されたホテルやレストランでの優待を利用したり、所定のステイタスを獲得することにより、VIPルーム等の特別エリアへの入場資格が得られるようにしてもよい。
【0100】
さらに、所定の条件でユーザー毎に所定の交換比率を設定することが可能である。例えば、1ヶ月の両替総額が1万ドル以上であるユーザーには、100ドル相当の挿入貨幣Cに対して、110ドル相当分のゲーミング用チップGを払い出す、といった設定が可能である。また換金率や配当率の異なる特別なゲーミング用チップGを提供するといった構成であってもよい。
【0101】
なお、ユーザー管理部23は外部システムや外部サーバーと有線または無線で接続されていてもよい。これにより例えば、カジノの顧客管理システムにある外部データベースOにアクセスして比較判定を行ったり、カジノ内の複数の交換装置201間での取得データの共有を行うことができる。
【0102】
次に、貨幣Cからゲーミング用チップGへの両替処理動作を説明する。
図5は貨幣Cからゲーミング用チップGへの両替処理のフロー図である。
【0103】
交換装置201は、待機状態では、ディスプレイ31に両替開始ボタン31aが表示されている。または両替実施者Pが交換装置201前に来た時に、感知センサ等により両替実施者Pの存在を検知して、ディスプレイ31を起動し、両替開始ボタン31aを表示してもよい。なお両替開始ボタン31a、及び後述する両替実行ボタン31b、両替取消ボタン31cは必ずしもディスプレイ31に表示されている必要はなく、ディスプレイ31とは別に備え付けられていてもよい。
【0104】
両替実施者Pにより、両替開始ボタン31aが押下されると、両替処理が開始される(ステップS10)。両替動作は両替実施者Pを認識することから始まる。ユーザー認識部22が、カメラ41を用いて両替実施者Pを撮像(ステップS111)し、撮像した画像から両替実施者の顔を抽出し、抽出した顔画像をデータベースD上のカジノ顧客の顔画像データと照合し、両替実施者Pを特定する(ステップS12)。もう一つの認識方法は、ユーザーID情報入力部42によるメンバーズカード等を用いたユーザーIDの入力(ステップS112)によって、両替実施者Pを特定する方法である。
【0105】
ユーザー認識部22が両替実施者Pを特定できなかった場合には、エラー信号を出力し、ディスプレイ31に交換を実施できない旨のエラー表示を行う。またいわゆるブラックリストに入っているユーザーなど、交換装置201の使用制限を課しているユーザーであると認識した場合には、交換装置201の機能を停止したり、貨幣挿入口211への貨幣Cの挿入を不可能にし、交換装置201が使用できないことをディスプレイ31での表示やアラームで通知するようになっていてもよい。
【0106】
ユーザー認識部22によって両替実施者Pを特定した後、データベースDに記憶されている過去の両替情報や特典情報に基づく、両替実施者Pへの貨幣Cとゲーミング用チップGとの交換比率の決定処理(ステップS2131)を行う。
【0107】
両替実施者Pが特定されると、ディスプレイ31に貨幣Cの挿入を促す通知が表示され、両替実施者Pが貨幣Cを挿入する(S214)。挿入された貨幣Cは、貨幣保持部212へと送られる。
【0108】
貨幣保持部212に保持された貨幣Cは、貨幣読取部2160で挿入された貨幣Cの真贋や種類の情報が取得される(ステップS215)。
【0109】
貨幣読取部2160で取得された貨幣Cの情報は、貨幣判定部2211で判定され、貨幣Cがカジノで定めた所定の基準を満たしているか否か、及び貨幣Cの真贋や価値が判定される(ステップS216)。基準を満たしていない貨幣Cは異常品として、エラー信号を出力し、ディスプレイ31にエラー情報を通知する。
【0110】
貨幣Cに異常がなかった場合、挿入された貨幣Cの挿入金額が挿入貨幣金額表示部232に表示され(ステップS217)、両替実施者Pが、挿入貨幣金額表示部232に表示された金額を確認する。またディスプレイ31には両替実行ボタン31bおよび両替取消ボタン31cが表示される。両替をキャンセルする場合には、両替取消ボタン31cを押下することにより、貨幣保持部212に保持されている貨幣Cが所定の返却口(図示せず)から返却される。
【0111】
両替実行ボタン31bを押下することにより両替が実行され、ユーザー管理部23によって定められている、ユーザー毎の貨幣Cとゲーミング用チップGとの交換比率に基づいて決定された、挿入された貨幣Cの金額に対応する金額のゲーミング用チップGをゲーミング用チップ払出部216からゲーミング用チップ取出部217にプッシャーまたはコンベア機構により移動させる。(ステップS218)
【0112】
ゲーミング用チップ取出部217に送られたゲーミング用チップGは、無線タグ読取部2131でゲーミング用チップGに内蔵されている無線タグ103が読み取られ、ゲーミング用チップ取出部217に送られたゲーミング用チップGの真贋や価値の情報が取得される(ステップS2191)。
【0113】
また外観検査部2132でゲーミング用チップGの状態を把握し、破損や汚れ等を検知したり、真贋や価値の情報が取得される(S2192)。
【0114】
無線タグ読取部2131および外観検査部2132で取得されたゲーミング用チップGの貨幣情報は、判定部2212で判定され、ゲーミング用チップGがカジノで定めた所定の基準を満たしているか否か、及びゲーミング用チップGの真贋や価値が判定される(ステップS220)。基準を満たしていないゲーミング用チップGは異常品として、エラー信号を出力し、ディスプレイ31にエラー情報を通知する。
【0115】
ゲーミング用チップGの状態に異常がなかった場合、制御部224がゲーミング用チップ取出部217の扉2171を開扉する(ステップS221)。
【0116】
ユーザー管理部23では、当該両替情報(両替金額や両替時間等)のデータベースへの記憶(ステップS2132)、及び当該両替情報に基づく両替実施者Pへのポイント付与(ステップS2133)を行う。
【0117】
ゲーミング用チップGの払い出し後、貨幣保持部212は、貨幣保持部212に保持されていた貨幣Cを貨幣保管部214にプッシャーまたはコンベア機構により移動させる(ステップS222)。
【0118】
以上のように、本実施の形態によれば、貨幣Cからゲーミング用チップGへの交換時に両替実施者Pを特定することが可能になり、両替実施者Pと両替情報との関連付けが可能になる。
【0119】
次に本発明の第3の実施の形態を
図6を用いて説明する。なお、第1及び第2の実施例と同様の動作を行う部品については、第3の実施例の説明においても第1及び第2の実施例の説明と同一の符号を用いて説明を行う。
【0120】
図6は本発明の第3の実施の形態のゲーミング用チップGと貨幣Cの交換装置301を示している。
【0121】
交換装置301は、ゲーミング用チップGを交換装置301に挿入するための挿入口11と、貨幣Cを交換装置301に挿入するための貨幣挿入口211を備える。
【0122】
交換装置301はディスプレイ31を備えており、ディスプレイ31には、両替開始ボタン31a、両替実行ボタン31b、両替取消ボタン31cがある。なお両替開始ボタン31a、両替実行ボタン31b、両替取消ボタン31cは必ずしもディスプレイ31に表示されている必要はなく、ディスプレイ31と別に備えられていてもよい。
【0123】
挿入口11から挿入されたゲーミング用チップGは、実施例1の説明と同一の手順で貨幣Cとの交換が行われる。
【0124】
貨幣挿入口211から挿入された貨幣Cは、実施例2と同一の手順でゲーミング用チップGとの交換が行われる。
【0125】
なお、挿入口11及び、貨幣挿入口211は、ゲーミング用チップ及び、貨幣Cの挿入をともに可能にする1つの挿入口(図示せず)を共有してもよい。
【0126】
挿入されたゲーミング用チップGの金額を表示する挿入金額表示部32及び、挿入された貨幣Cの金額を表示する挿入金額表示部232は、挿入されたゲーミング用チップGの金額と挿入された貨幣Cの金額をともに表示する1つの挿入金額表示部(図示せず)を共有してもよい。
【0127】
交換装置301に備えられ、ゲーミング用チップGから貨幣Cへの交換時に、挿入されたゲーミング用チップGを保管するゲーミング用チップ保管部14及び、貨幣Cからゲーミング用チップGへの交換時に払出用のゲーミング用チップGを保管しているゲーミング用チップ保管部214は、ゲーミング用チップGの受け入れと払い出しがともに可能な、1つのゲーミング用チップ保管部(図示せず)を共有してもよい。
【0128】
交換装置301に備えられ、ゲーミング用チップGから貨幣Cへの交換時に払出用の貨幣Cを保管しているゲーミング用チップ保管部15及び、貨幣Cからゲーミング用チップGへの交換時に、挿入された貨幣Cを保管する貨幣保管部214は、貨幣Cの受け入れと払い出しがともに可能な、1つの貨幣保管部(図示せず)を共有してもよい。
【0129】
ゲーミング用チップGの挿入時にゲーミング用チップGの異常の有無を判定する判定部21、及びゲーミング用チップGの取り出し時にゲーミング用チップGの異常の有無を判定する判定部2212は、ゲーミング用チップGの挿入時、取り出し時ともにゲーミング用チップGの異常の有無を判定する1つの判定部(図示せず)を共有してもよい。
【0130】
交換装置301は、ゲーミング用チップGから貨幣Cへの交換時、貨幣Cからゲーミング用チップGへの交換時に実施例1、実施例2と同様にユーザーの認識を行う。ユーザー認識の際に用いられるカメラ42、ユーザーID情報入力部42、ユーザー認識部22、ユーザー管理部23、データベースDはゲーミング用チップGから貨幣Cへの交換時、貨幣Cからゲーミング用チップGへの交換時ともに同一のものを使用する。
【0131】
ユーザー認識部22がユーザーを認識できなかった場合やいわゆるブラックリストに入っているユーザーなど、交換装置301の使用を制限しているユーザーであると認識した場合には、交換装置301の機能を停止したり、ゲーミング用チップGと貨幣Cの挿入を不可能にし、交換装置301が使用できないことをディスプレイ31やアラームで通知するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0132】
G ゲーミング用チップ
C 貨幣
P 両替実施者
D データベース
O 外部データベース
M マーク
1 交換装置
11 挿入口
12 ゲーミング用チップ保持部
131 無線タグ読取部
132 外観検査部
133 チップカウンタ
14 ゲーミング用チップ保管部
15 貨幣保管部
16 貨幣払出部
161 貨幣カウンタ
2 制御装置
21 判定部
22 ユーザー認識部
23 ユーザー管理部
31 ディスプレイ
31a 両替開始ボタン
31b 両替実施ボタン
31c 両替取消ボタン
32 挿入金額表示部
41 カメラ
42 ユーザーID情報入力部