(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106377
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】キャピラリを収めるアダプタ構成物及びそのデバイスと使用方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/28 20060101AFI20230725BHJP
B01L 3/02 20060101ALI20230725BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
C12M1/28
B01L3/02 D
G01N1/00 101K
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067739
(22)【出願日】2023-04-18
(62)【分割の表示】P 2020505867の分割
【原出願日】2018-08-04
(31)【優先権主張番号】102017117789.2
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518329804
【氏名又は名称】アーエルエス オートメーティド ラブ ソルーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ボアンマン ゲアド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キャピラリを収める取り替え可能なアダプタ構成物及びそのデバイスと使用方法を提供すること。
【解決手段】キャピラリ3を収めるアダプタ1であって、前記キャピラリを収めるか、または収めることができる管2と、対応して形成された対応コーン中または対応コーン上に収められるように設計されたアダプタコーンと、を含み、前記アダプタコーンが、少なくとも上記アダプタコーンを前記対応コーンと接触させるために提供される部分に、前記対応コーンの材料よりも弾力性がある弾力材を有することを特徴とするアダプタと、前記アダプタに連結するように設計される対応物6と、を備えたアダプタ構成物である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャピラリ(3)を収めるアダプタ(1)であって、
前記キャピラリ(3)を収めるか、または収めることができる管(2)と、
対応して形成された対応コーン(7)中または対応コーン(7)上に収められるように設計されたアダプタコーン(4)と、を含み、
前記アダプタコーン(4)が、少なくとも上記アダプタコーンを前記対応コーン(7)と接触させるために提供される部分(4.2)に、前記対応コーン(7)の材料よりも弾力性がある弾力材(10)を有する
ことを特徴とするアダプタ(1)と、
前記アダプタ(1)に連結するように設計される対応物(6)と、
を備えたアダプタ構成物であって、
前記対応物(6)の前記対応コーン(7)に、前記アダプタ(1)の前記アダプタコーン(4)が接続されることで、前記アダプタ(1)が前記対応物(6)に接続され、また、前記アダプタコーン(4)の中に前記管(2)が備わり、
また、前記アダプタ(1)は、断面変化部(5)を有し、
前記断面変化部(5)の位置は、キャピラリ(3)の挿入される先端部と、アダプタコーン(4)との間であり、前記断面変化部(5)の形状は、対応コーン(7)からアダプタ(1)を取り外すためのストリッパ(11)にかみ合う円盤状の凸部である
ことを特徴とするアダプタ構成物。
【請求項2】
前記弾力材(10)が弾性率E=<10GPaである
請求項1に記載のアダプタ構成物。
【請求項3】
前記アダプタコーン(4)が、内側コーンまたは外側コーンとして設計される
請求項1または2に記載のアダプタ構成物。
【請求項4】
シール(9)が、前記アダプタコーン(4)の自由端部の端面に設けられる
請求項1ないし3のいずれかに記載のアダプタ構成物。
【請求項5】
前記部分(4.2)が、前記アダプタコーン(4)の自由端部の領域に形成される
請求項1ないし4のいずれかに記載のアダプタ構成物。
【請求項6】
前記アダプタコーン(4)が、少なくとも1つの外周密封要素(16)をさらに含む
請求項1ないし5のいずれかに記載のアダプタ構成物。
【請求項7】
キャピラリ(3)が前記管(2)に配置される
請求項1ないし6のいずれかに記載のアダプタ構成物。
【請求項8】
前記アダプタコーン(4)と接しているか、または前記アダプタコーン(4)と接触する部分に、弾性率が少なくとも20GPaの材料を有する対応コーン(7)を有する
請求項1ないし7のいずれかに記載のアダプタ構成物。
【請求項9】
前記対応物(6)をデバイス(13)に取り外し可能に連結するように設計される連結領域(8)を有する
請求項1ないし8のいずれかに記載のアダプタ構成物。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のアダプタ構成物を含む
ことを特徴とするデバイス(13)。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイス(13)を用いてキャピラリ(3)を自動的に取り替える方法であって、
前記方法が標的を定めて細胞、小細胞群、数マイクロメートル範囲の小粒子、及びナノリットル領域の容量を採取、放出するために使用され、
保管容器(12)からキャピラリ(3)を含む前記アダプタ(1)を取り上げる工程と、
前記細胞、細胞群、粒子及び/または容積を採取、及び/または移動、及び/または放出するために前記キャピラリ(3)を使用する工程と、
前記使用済みアダプタ(1)を取り外すか、または廃棄し、あるいは標的を定めて前記アダプタ(1)を指定可能な配置場所または待機場所に放す工程と、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
キャピラリ(3)を含む複数のアダプタ(1)を併用する
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1のプリアンブルに記載されたキャピラリを収めるアダプタに関する。さらに本発明は、キャピラリを含むアダプタ、組立体及びアダプタを含むデバイス、並びにアダプタを用いた方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞生物学の分野及び医療分野において、マイクロマニピュレータは個別の細胞、細胞成分または少量の培地を除去または添加するのに用いられる。このプロセスにおいて、通常ガラス製のキャピラリがツールとして用いられる。このようなキャピラリは手動で取り替えられるが、通常これは困難であり、エラーが起こりやすい。
【0003】
多くの科学研究及び臨床研究において、現在では細胞コロニーよりも個別の細胞を研究する傾向にある。同時に、個々の作業工程の質に関する要求が増しており、従って個別の細胞の供給、操作及び取扱いはこれらのプロセスにおける制限要因である。
【0004】
試験バッチの小型化は、極低容量を取り扱うこと、特にピペットを用いる必要があることを意味する。キャピラリはこの目的のために頻繁に用いられ、低から中マイクロメートル領域の開口径を有する。ナノリットル領域からマイクロリットルの最低領域まで極低容量を運ぶため、連結されるポンプシステムとの連結の気密に関して、特に高い要件を有する。現在、ガラスキャピラリをポンプシステムに連結するには、シールリング、取り付け部品または金環により固定されるか、あるいはアダプタが設けられてねじ込まれる。キャピラリが自動的に取り替えられる場合、これらの固定方法は適当でない。
【0005】
臨床及び薬理環境において、この技術の使用が急激に増加しているため、完全に無菌的に操作すること、汚染及び二次汚染のリスクを防止することはますます重要になっている。この目的のため、各細胞を採取した後、及び患者の試料を変更した後、使用するツールを滅菌ツールに取り替える必要がある。細胞を取り扱う領域においては、使用するキャピラリは滅菌キャピラリに取り替えられる。
【0006】
細胞の検出及び分離は数秒要するだけであるが、キャピラリを手動で取り替えるには数分を要する。従って、キャピラリを取り換えることは、自動化度を高め、処理量を増加させる上で障害となる。
【0007】
特許文献1は、ツールヘッドを有するデバイスを開示しており、このツールヘッドは内側コーン及び/または外側コーンで形成されるレセプタクルを含む。このデバイスはカニューレ状の取り外しツールを保持し、これはレセプタクルに適合する内側コーン及び/または外側コーンを有する。円錐状レセプタクルはこのツールによりキャピラリの自動センタリングを行い、高精度にキャピラリを配置することができる。円錐状レセプタクルの高い安定性により、力分布でさえも行うことができ、位置精度を失うことなく比較的高い横力に抵抗する。円錐状レセプタクル下に肥厚部を用いることで、取り替えられるキャピラリを取り外しデバイスにより再度このツールから取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が取り組む課題は、先行技術と比較して改善されたアダプタを含む取り替え可能なキャピラリの設計を提案すること、高いレベルの気密、同時に高い位置精度を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
キャピラリ用アダプタに関する課題は、請求項1の特徴により解決される。本発明の有利な発展は、従属請求項及び独立請求項に見出される。
【0011】
アダプタはキャピラリを収めるように設計され、キャピラリを収めるか、または収めることができる管を含む。また、アダプタは対応して形成された対応コーン中または対応コーン上に収められるように設計されたアダプタコーンを含む。
【0012】
本発明によれば、アダプタコーンは少なくともある部分に弾力材を有し、この部分は上記アダプタコーンを対応コーンに接触させるように提供、設計される。弾力材は対応コーンの材料よりも弾力性がある。
【0013】
この明細書の意味の範囲内で、弾力材はE=<10GPa、好ましくは5GPa以下、特に3GPa未満の弾性率を有する。このような弾力材は、例えばポリプロピレン(PP;E=1.3~1.8GPa)、ポリエチレン(PE;1GPa)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;0.4GPa)、ポリ塩化ビニル(PVC;3GPa)、ポリエチレンテレフタラート(PET;3GPa)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;3.6GPa)、ゴム(最大0.05GPa)または硬質ゴム(5GPa)などのプラスチック材料である。
【0014】
アダプタコーンは内側コーンまたは外側コーンとして設計することができる。対応コーンはアダプタに適合する対応物に形成され、内側対応コーンまたは外側対応コーンとして対応して適合する。
【0015】
本発明の重要な概念は、対応して成形され、特定の寸法に合わせた対応コーンにアダプタを安全、確実に連結させることができるため、高い横力を吸収することができ、同時に特にアダプタの管に位置するキャピラリの信頼できる接合を達成することである。アダプタコーンの弾力材は、生じる製作公差にも関わらず高いレベルの気密が確実に達成されるようにする。
【0016】
本発明は機械的インターフェースの設計及び実施に関し、ポンプシステムとの信頼できる緊密で、低デッドボリュームの連結を目的に、自動的にキャピラリを簡単に取り上げ、取り外す。また、提案の発明は、取り替え後、非常に正確にキャピラリの位置を再現する。これは移動させる小粒子(例えば、約10μmの細胞)に関係するキャピラリ先端の位置調整に非常に重要である。本発明は生物学、薬理学、生化学及び医薬分野における使用を意図しており、キャピラリはナノリットル領域における個別の小粒子、生体試料、細胞または少量の液体を連続的に採取し、移動させるのに使用される。
【0017】
本発明は、アダプタのコーン形状及び対応するコーン形状を調整し、同時に取り替え可能な技術的要素としての設計にも関わらず、気密及び機械的弾性を確実にするという技術的課題を解決する。例えば、製作公差の結果として、コーンの締め付け効果を失うことなく、アダプタコーンの上端が対応コーンの上端でもあることが有利に達成される。これは弾力材により達成され、その弾性は製作公差を相殺する。また、デッドボリュームの発生可能性が低減する。
【0018】
この場合、アダプタコーン全体を対応コーンの材料より著しく弾力性がある弾力材で形成することができる。本発明に記載のこのような実施形態を用い、製作公差は相殺され、高い気密が確保される。しかし、位置精度は低減することがあり、これは小さな物体、例えば細胞を採取するのが難しいことを意味する。
【0019】
対応コーンに直接接触することが意図される材料のみが、対応コーンの材料より弾力性を有することもできる。弾力材の内側においては、アダプタコーンはかなり堅い材料で形成することができる。
【0020】
弾力材はアダプタコーンに接合及び/または挿入されることができる。アダプタは、例えば2成分射出成型により作製することもできる。
【0021】
本発明に係るアダプタのさらなる有利な実施形態において、この部分はアダプタコーンの自由端部の領域に形成される。自由端部はアダプタコーンの端部であり、アダプタは最初に対応コーンにアダプタコーンと共にはめ込まれる。この実施形態において、対応コーンに接して存在するアダプタコーンの材料は、単に対応コーンの材料より弾力性が小さいか、または弾力性がない。弾力材を有する部分はアダプタコーンの自由端部に位置し、生じる場合があるデッドボリューム領域は対応コーンにアダプタがはめ込まれると最少となる。
【0022】
さらにまたは代替的に、シールをアダプタコーンの自由端部に設けることができ、その効果は端面をさらに密封することである。このシールは弾力材で作られた部分の一部でもよい。
【0023】
さらに、アダプタコーンは1つ、2つまたはそれ以上の密封要素を有することができ、例えばシールリング、シールリップ及び/またはOリング状に設計される。これらの密封要素は例えばアダプタコーンに押し込まれるか、または成形されることができ、アダプタコーンの関連する外周まで及ぶのが有利である。
【0024】
キャピラリはアダプタの管に配置することができる。アダプタコーンが対応コーンに連結したときの変形事象において、端面のシールが管を狭くするか、または閉鎖してしまうのを避けるため、シールをアダプタコーンの端面に容易に挿入することができる。キャピラリが突き出ていることで、変形したシールのために、管またはキャピラリの自由断面が好ましくなく低下するのを防止する。
【0025】
対応コーンからアダプタを容易に取り外すことができるように、アダプタはアダプタコーンと反対の領域に断面変化部を有する。断面変化部は把持具、エジェクタまたはストリッパをかみ合わせるように設計され、例えば溝、接合部、段または凸部として作製される。
【0026】
この断面変化部を用いて、アダプタを好ましくはキャピラリと共にラックまたは他のマガジンなどの保管容器に保管すること、例えば自動取り外しに利用することもできる。アダプタを例えば自動的に保管容器に放すこともできる。従って、アダプタコーンに隣接するアダプタの形状設計により、損傷しやすい先端を有するキャピラリを容易に取り外し、確実に保管することができる。
【0027】
対応コーンは、例えばピペットユニット、マイクロマニピュレータまたはピッカーユニットなどの装置の一部である、対応物に形成される。
【0028】
対応コーンは、アダプタコーンと接しているか、またはアダプタコーンと接触する部分に、弾性率が少なくとも20GPaである材料を有する。例えば、対応コーンは、V2A鋼(180GPa)、真鍮(78~123GPa)またはセラミック(160~440GPa)からなる。
【0029】
すでに述べたように、キャピラリを任意に保持することができるアダプタ、及び対応コーンは、高い位置精度を有し、同時に高い横力を吸収することができる組立体を形成する。アダプタは、コーンピッチ及び材料の組合せにより、対応する対応コーンに自動ロック式及び自動センタリング式に連結するように設計される。アダプタにより保持されるキャピラリは、アダプタが動くときでさえ、その相対位置及び方向を維持する。有利には、アダプタコーン及び対応コーンの寸法は、例えばコーンツールホルダ(Morseホルダ等)で知られているように、標準的なサイズ及びコーン角に基づくことができる。
【0030】
有利な発展において、対応物の連結領域が設けられ、対応物をデバイスに取り外し可能に連結するように設計される。このように対応物は、例えば異なるサイズのアダプタ、またはキャピラリを有する異なるサイズのアダプタが使用される場合、取り替えることができる。
【0031】
アダプタを固くキャピラリに連結するために、例えばキャピラリはアダプタに接合されるか、オーバーモールドすることができる。代替的にまたはさらに、シールは管に存在することができ、その効果はキャピラリを管にはめ込むことである。キャピラリは、ガラス、金属、セラミックス、プラスチック材料またはその組み合わせなど、異なる材料から作製されてよい。
【0032】
アダプタは、特に対応物と共に、キャピラリを自動的に取り替える方法で用いることができる。この方法は、標的を定めて細胞、小細胞群、小粒子(例、ビーズ)などの物体及びナノリットル領域の低容量を採取し、放出する働きをすることもできる。本方法は以下の、
保管容器からキャピラリを含むアダプタを取り上げる工程と、
上記物体及び/または容量を採取及び/または移動させるためにキャピラリを用いる工程と、
例えば固定式ストリッパに接近させること、または対応物に一体化することができるエジェクタを用いて、指定可能な配置場所または待機場所に標的を定めてアダプタを放すことにより、使用済みアダプタを取り外すまたは廃棄する工程と、を含んでよい。
【0033】
本方法は、キャピラリを含む複数のアダプタを用いて同時に実施し、処理量を増加させることもできる。
【0034】
本発明を実施例及び図に基づき、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】キャピラリを含む本発明に係るアダプタの第1実施形態の概略透視図である。
【
図3】対応物に挿入されるキャピラリを含むアダプタの第2実施形態の概略側面図である。
【
図4】挿入されたアダプタ、キャピラリ及び対応物の概略部分断面図である。
【
図5】
図4の丸で囲まれた挿入されたアダプタ、キャピラリ及び対応物の拡大詳細図の概略断面図である。
【
図6】本発明に係るアダプタの第3実施形態における拡大詳細図の概略断面図である。
【
図7】本発明に係るアダプタの第4実施形態における拡大詳細図の概略断面図である。
【
図8】本発明に係るアダプタの第5実施形態の概略図である。
【
図9】対応物に挿入されたキャピラリを含むアダプタの概略透視図である。
【
図10】キャピラリを含むアダプタ、対応物及びストリッパの概略図である。
【
図11】ラック状の保管容器、キャピラリを含むアダプタ、及び対応物の概略図である。
【
図12】対応物、アダプタ及びキャピラリを含むデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1の本発明に係るアダプタ1の第1実施形態の概略図において、キャピラリ3はアダプタ1の管2(
図4~7を参照のこと)に挿入され、堅く連結される。アダプタ1は外側コーン状のアダプタコーン4を含む。これは弾性率が<10、好ましくは<5GPaの弾力材10からなる。また、アダプタ1は回転対称の凸状断面変化部5を有する。
【0037】
図2は対応物6を模式的に示し、内側コーン状の対応コーン7及び連結領域8を有する。対応コーン7は、アダプタコーン4を挿入できるように特定の寸法にすることができ、2つのコーン4及び7を用いて、アダプタ1及び対応物6間はフォースロック/フォームロック式に取り外し可能に連結される。連結領域8は外側コーンとして設計され、対応物6をデバイス13に連結する働きをする(
図12を参照のこと)。
【0038】
本願に記載の実施形態において、アダプタコーン4は外側コーンとして設計され、対応コーン7は内側コーンとして設計される。アダプタ1及び対応物6のさらに可能性のある形態において、アダプタコーン4を内側コーンとして設計し、対応コーン7を外側コーンとして設計することができる。
【0039】
図3は対応物6に挿入されるキャピラリ3を含むアダプタ1の側面図である。断面A-Aの進路は、対応物6、アダプタ1及びキャピラリ3を長手方向に通る。
【0040】
断面A-Aは、本発明に係るアダプタ1の第2実施形態を示す(
図4)。上記アダプタは、アダプタコーン4の自由端部の端面にシール9を有する。アダプタコーン4は対応コーン7と接し、対応コーン7の後端まで伸びる。アダプタコーン4及び対応コーン7は、それぞれ金属、金属合金、セラミックスまたは硬質複合材料など硬質材料からなる。
【0041】
シール9は弾力材10から作られるOリングとして設計され、挿入されたアダプタ1は対応コーン7の後端にはめ込まれる(
図5)。シール9はアダプタ1の一部である。代替として、シール9はアダプタ1の一部ではないが、アダプタコーン4は少なくともその表面のある部分、特に端面に弾力材を有する。さらなる実施形態において、シール9はアダプタコーン4と組み合わせることもでき、このアダプタコーン4は少なくとも一部分に弾力材10を有するか、またはある部分に弾力材を含む。
【0042】
導管15を介して過圧または負圧をキャピラリ3に印加することができる。導管15は対応物6に存在し、管2及びキャピラリ3と連結する。
【0043】
図6に示す本発明に係るアダプタ1の第3実施形態において、そのアダプタコーン4の第1部分4.1は硬質材料からなり、第2部分4.2では弾力材10がアダプタコーン4に挿入される。代替的に、弾力材10は、アダプタコーン4よりも小さい径を有するアダプタ1の領域に適用することもできる。シール9(図示せず;
図5を参照のこと)をアダプタコーン4の自由端部に提供することもできる。
【0044】
次に、
図7に示す本発明に係るアダプタ1の第4実施形態は、硬質材料からなるアダプタコーン4の第1部分4.1を有する。第2部分4.2は弾力材10で連続的に形成される。
【0045】
図8はアダプタ1の第5実施形態を示す。第1及び第2部分4.1及び4.2に加えて、例えば、Oリング及び/またはシールリップとして設計される密封要素16が含まれる。他の配置では、1つのみまたは2つ超の密封要素16が存在することができ、アダプタコーン4は対応コーン7をさらに保持し、気密を高める。必要に応じて、代替的にまたはさらに、対応コーン7と比較してアダプタ1の柔軟性は密封要素16による影響を受け、例えば増加する。
【0046】
図9は対応物6に挿入されるキャピラリ3を含むアダプタ1の透視図である。
【0047】
断面変化部5は、ストリッパ11にはめ込むのに役立ち、その効果はアダプタ1を対応物6から引き出すことができることである。
【0048】
アダプタ1を保管容器12、例えばラックの溝に挿入することができる。
図11は保管容器12に保管されるアダプタ1を簡易的に示す。対応物6がアダプタコーン4に差し込まれると、アダプタ1を保管容器12から取り外すことができる。
【0049】
アダプタ1、キャピラリ3及び対応物6は、デバイス13の一部として用いることができる。デバイスの例としては、ピペットユニット、セルソータまたはマイクロマニピュレータである(
図12)。デバイス13の操作及びキャピラリ3における負圧または過圧の生成、並びにアダプタ1を収める動作、アダプタを廃棄する動作、及び場合により上記アダプタの位置調整の動作は、制御装置14により調整、作動される。
【符号の説明】
【0050】
1 アダプタ
2 管
3 キャピラリ
4 アダプタコーン
4.1 (アダプタコーン4の)第1部分
4.2 (アダプタコーン4の)第2部分
5 断面変化部
6 対応物
7 対応コーン
8 連結領域
9 シール
10 弾力材
11 ストリッパ
12 保管容器
13 デバイス
14 制御装置
15 導管
16 密封要素