IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロリク・テクノロジーズ・アーゲーの特許一覧

特開2023-106407液晶層におけるプレチルト角を安定化させるための新規光配向組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106407
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】液晶層におけるプレチルト角を安定化させるための新規光配向組成物
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20230725BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20230725BHJP
   G02B 5/30 20060101ALN20230725BHJP
【FI】
G02F1/1337 525
C08G73/10
G02B5/30
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023072543
(22)【出願日】2023-04-26
(62)【分割の表示】P 2019547621の分割
【原出願日】2018-02-27
(31)【優先権主張番号】17159210.8
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17165423.9
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518163910
【氏名又は名称】ロリク・テクノロジーズ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ROLIC TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】エッカール,ジャン-フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ブラットマン,イー-エー・ゾフィ
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 政人
(72)【発明者】
【氏名】タン,チアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液晶を配向し、そして、液晶層におけるプレチルト角を安定化させるための光配向組成物に関する。更に、本発明は、前記組成物から調製される液晶配向膜及びコーティング層、並びに光学及び電気光学的素子及び装置を製作するための使用に関する。
【解決手段】(a)シンナメート基である光配向基を含む光配向材料であって、前記光配向基が置換されていてもよく又は置換されていなくてもよい光配向材料と、
(b)特定の繰り返し構造単位(Ia)及び/又は(Ib)を含み、そして、任意選択的に、特定の繰り返し構造単位(IIIa)及び/又は(IIIb)を含むポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物と、を含む光配向組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・シンナメート基、スチルベン基、シアノスチルベン基、クマリン基、キノロン基、アゾ基、カルコン基、モノ-及びジ-アセチレン基;ベンジリデンフタルイミジン基、ベンジリデンアセトフェン基、フェニレンジアクリロイル基;クロモン基;クロメン基、及びスチルバゾール基からなる群から選択される光配向基を含む光配向材料であって、前記光配向基が置換されていてもよく又は置換されていなくてもよい光配向材料と、
・繰り返し構造単位(Ia)及び/又は(Ib)を含み、そして、任意選択的に、繰り返し構造単位(IIIa)及び/又は(IIIb)を含むポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物と、を含む光配向組成物であって、
前記繰り返し構造単位(Ia)及び(Ib)が、式:
【化53】

(式中、Qは、テトラカルボン酸二無水物の四価有機残基であり;そして、
nは≧1であり、そして、
Aは、ジアミンの二価有機残基であり、そして、式(II)
【化54】

(式中、Ar及びArは、互いに独立して、C-C40原子の非置換又は置換のアリール基であり;そして、
Cy及びCyは、互いに独立して、C-C40原子の置換又は非置換の複素環式基であり、前記複素環式基における少なくとも1つのC-、CH-、CH-の基は、窒素によって置換されており;そして、
Zは、連結基であり;そして、
、y、x、及びzは、互いに独立して、0、1、又は2であり;そして、
wは、0、1、2、3、又は4であり;そして、
x+z≧1であるが;
ただし、式(II)のAは、少なくとも1つのAr、Ar、Cy、又はCyにおいて式(Ia)及び/又は(Ib)に連結している)
によって表される)
によって表され;そして、
繰り返し構造単位(IIIa)及び(IIIb)が、式:
【化55】

(式中、mは≧0であり;そして、
Qは、上に定義されたのと同じ意味を有し;そして、
式(IIIa)又は(IIIb)の前記繰り返し構造単位におけるQは、式(Ia)又は(Ib)の前記繰り返し構造単位におけるQと同じであっても異なっていてもよく;そして、
Bは、二価ジアミン残基である)
によって表される光配向組成物。
【請求項2】
Ar及びArが、互いに独立して、非置換又は置換のチオフェニレン、フラニレン、フェナントリレン、ピレン、ナフチレン、アントラセン、キシレン、トルエン、又はフェニレンである、請求項1記載の光配向組成物。
【請求項3】
Cy及びCyが、非置換又は一置換若しくは多置換のピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、オキサジアゾール、チアオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチオキサゾール、ピラゾール、キナゾリノン、ピリミジン、トリアジン、トリアゾール、ピリミジノン、プテリジン、イソインドール、キノリン、アクリジン、カルバゾール、及びプリンからなる群から選択される、請求項1又は2記載の光配向組成物。
【請求項4】
Cy及びCyにおいて、前記複素環式基における追加のC-、CH-、CH-の基が、少なくとも1つの硫黄原子、少なくとも1つの酸素原子、又は少なくとも1つの追加の窒素原子によって置換されている、請求項1又は2記載の光配向組成物。
【請求項5】
Cy及びCyが、非置換であるか、又は1つ以上の=O、-OH、メチル、エチル、プロピル、C-Cアルコキシ、アミノ、フェニル、トリル、及びピペリジンによって一置換若しくは多置換されている、請求項4記載の光配向組成物。
【請求項6】
Bが、少なくとも1つのアリール基を含む二価ジアミン残基である、請求項1~5のいずれか一項記載の光配向組成物。
【請求項7】
mが0である場合、前記組成物が、式(IIIa)又は(IIIb)に係るポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物を更に含む、請求項1記載の光配向組成物。
【請求項8】
前記光配向材料が、ホモポリマー又はコポリマーである、請求項1~7のいずれか一項記載の光配向組成物。
【請求項9】
前記光配向材料が、シンナメート基、シアノスチルベン基、アゾ基、クマリン基からなる群から選択される基を含む、請求項1~8記載の光配向組成物。
【請求項10】
前記光配向材料が、非光配向基を更に含む、請求項1~9記載の光配向組成物。
【請求項11】
垂直配向された液晶のプレチルト角を配列及び安定化させるための、請求項1~10記載の液晶光配向組成物の使用。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか一項記載の光配向組成物を含む配列層。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項記載の光配向組成物又は請求項12記載の配列層を含む、構造化又は非構造化された、光学的及び電気光学的素子及び装置。
【請求項14】
溶媒又は溶媒混合物、及び、任意選択的に、少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項1~10のいずれか一項記載の光配向組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶又は液晶ポリマーを配向させるため、そして、液晶又は液晶ポリマーのプレチルト角を安定化させるための新規光配向組成物に関する。
【0002】
液晶装置は、多くの異なる用途で使用されている。例えば、光学フィルム、特に偏光フィルム及び位相差フィルムに加えて、贋造、偽造、及びコピーを防ぐためのセキュリティ機器、そしてまた、液晶ディスプレイ(LCD)がある。
【0003】
液晶ディスプレイは、現在、電子情報の可視化の分野を独占しつつある。LCDは、TV、自動車、及び通信機器において、コンピュータ、ラップトップ、及びタブレットPC用のモニタにおいて、並びにスマートフォン及びデジタルカメラにおいて広く利用されている。最近開発されたLCDは、早いレスポンスタイム、広視野角、高輝度、及び高コントラスト比を特徴とする。
【0004】
LCD装置の作製では、液晶(LC)分子を配向させる方法が重要な役割を果たす。通常、液晶分子の配列の方向を規定する配向層が使用される。その結果、液晶の長手方向軸が、配向層によって規定される配列の方向に配向されるようになる。この指向性配向に加えて、幾つかの用途では、配向層は、プレチルト角とも呼ばれる傾斜角を液晶分子に付与することもできなければならず、その結果、該分子が配向層の表面から角度を成して分子自身を配向させる。プレチルト角は、LCD装置の作製及び使用中に安定に保たれなければならない。多くの要因がプレチルト角の安定性に影響を及ぼす可能性があり、一例はイオン性汚染である。このようなイオン性汚染の原因は、基板が清浄ではないこと、又は液晶若しくは配向材料自体又はLCD装置の作製中に使用される他の化学物質、例えばシーラントの不純物であり得る。
【0005】
これら配向層を作製する方法は、当業者に公知である。従来法では、LCDガラス基板上のポリマー薄層(大部分はポリイミド型ポリマー)を、特殊な布で一方向に擦る。しかし、この方法は、例えば、集積エレクトロニクスに干渉する塵埃の形成、また、高解像度ディスプレイの製造において問題を引き起こす引っ掻き傷の形成等の一連の欠点を有する。更に、この擦るプロセス(ラビングプロセス)によって、構造化配向層の生産が非常に困難になる。
【0006】
このような不利点は、ラビングプロセスを介する配向を、偏光が照射されたポリマー薄層を使用する光配向法に置き換えることによって回避することができる。それによって、該層中のポリマーが一方向に配列され、次いで、この配列情報が隣接する液晶層に伝達される。例えば、“Photoalignment of Liquid Crystalline Materials: Physics and Applications”, by V.G. Chigrinov, V.M. Kozenkov, Hoi-S. Kwok, Wiley-SID Series in Display Technology, John Wiley & Sons, Ltd, 2008、及びこの中に引用されている参照文献を参照。光配向法を使用すると、隣接する液晶を垂直に(VA配向)又は水平に配列することができる。液晶の垂直配向が好ましい。
【0007】
光配向は、現在、VA(垂直配向)-LCDの生産において確立されている技術である。現行のディスプレイ性能要件を満たすために、配向材料は様々な材料特性を満たさなければならず、最も重要なのは、以下である:
・高い電圧維持(保持)率(VHR)。
・低い配向エネルギープロファイル(短い照射時間又は低い照射エネルギー)。
・AC残像の低減。
【0008】
電圧保持に関して、電荷は、画素電極に短時間印加され、その後、液晶材料の抵抗に起因して流れ出てはならない。電荷を保持し、そして、電圧降下を避ける能力は、いわゆる「電圧維持率」(VHR)によって定量される。これは、1フレーム周期内のある画素におけるRMS-電圧(電圧の二乗平均平方根値)と、印加される初期値との比である。
【0009】
光配向法のための配向膜に現在最も好ましいポリマー材料は、ポリアミド酸の分類に属する樹脂、対応するポリアミド酸に由来するポリイミド、ポリシロキサン又はポリ(メタ)アクリレートに由来する樹脂である。これらの材料は、例えば耐熱性、液晶材料に対する親和性、及び機械的強度等の優れた物性で知られている。このようなポリマーは、偏光又は非偏光を照射した際に、該ポリマー自体を一方向に配列することによって反応する場合、光反応性であるといわれる。光反応性化合物は、光配向基、例えば、シンナメート基を含む。
【0010】
一般的に、光配向組成物は、良好な性能を有する液晶ディスプレイを製造するための最終配合を微調整し、そして、最適化するために、光反応性ポリマー及び溶媒だけでなく、他の非光反応性ポリマー及び添加剤も含む。
【0011】
米国特許出願公開第2010/0266814(A1)号には、光配向基を含有する少なくとも(I)1つの光反応性ポリマーと、光配向基を含有しない少なくとも(II)1つの非光反応性ポリマーとを含む光配向組成物が記載されている。このような組成物は、ブレンドと呼ばれる。しかし、液晶ディスプレイにおいて使用するためのより経済的かつより効果的な光配向材料組成物を開発することに対するディスプレイ業界からの需要がますます高まっている。ブレンド組成物で使用される非光反応性ポリマー化合物(II)は、最終光配向組成物の性能に対して何らかの有害な効果を有していてはならない。したがって、非光反応性ポリマー化合物(II)を含む光配向組成物は、高い電圧維持率等の電気的特性を失うことなく、非常に良好な液晶配向特性を維持しなければならない。別の重要な要件は、非光反応性ポリマー化合物(II)が光反応性ポリマーによって付与される液晶配向情報を破壊してはならないことである。
【0012】
LCD製作中、いわゆる「液晶滴下法(one drop filling method)」を使用してLCDセルに液晶を充填する。この方法を使用することによって、LCDセルをシールするために使用される未硬化材料と液晶が接触することがあり、そして、液晶が未硬化封止材料で汚染されることがある。汚染された液晶は配列情報を失うことがある。この結果、液晶汚染に起因するディスプレイの欠陥が生じ得る。したがって、上記要件に加えて、製作プロセス中に液晶がシーラントで汚染されることに対する耐性のより高い光配向組成物を開発することが絶えず必要とされている。
【0013】
液晶汚染の1種は、高イオン性汚染である。高イオン性汚染は、液晶のプレチルト角を局所的に不安定化させ得る。この液晶層の不均一な配列の結果、特に、「斑(ムラ)効果」とも呼ばれる発光の不均一性が生じ得る。したがって、上記要件を全て満たし、そして、高イオン性汚染に対してより高い耐性を有する光配向組成物が必要とされている。
【0014】
驚くべきことに、本発明者らは、本発明に係る光配向組成物が、非常に良好な液晶配向特性を提供し、そして、イオン性汚染された場合でさえも、液晶のプレチルト角を安定化させることを見出した。該光配向組成物は、繰り返し構造単位(Ia)及び/又は(Ib)を含み、そして、任意選択的に、繰り返し構造単位(IIIa)及び/又は(IIIb)を含むポリイミド及び/又はポリアミド酸の分類に由来するポリマーと、少なくとも1つの光配向材料とを含む。該ポリマーは、繰り返し構造単位(Ia)及び/又は(Ib)を含み、該繰り返し構造単位(Ia)及び(Ib)は、ジアミンに由来し、そして、式
【化1】

(式中、Qは、テトラカルボン酸二無水物の四価有機残基であり;そして、
nは≧1であり、そして、
基Aは、ジアミンの二価有機残基であり、そして、式(II)
【化2】

(式中、Ar及びArは、互いに独立して、C-C40原子の非置換又は置換のアリール基であり;そして、
Cy及びCyは、互いに独立して、C-C40原子の置換又は非置換の複素環式基であり、該複素環式基における少なくとも1つのC-、CH-、CH-の基は、窒素によって置換されており;そして、
Zは、連結基であり;そして、
、y、x、及びzは、互いに独立して、0、1、又は2であり;そして、
wは、0、1、2、3、又は4であり;そして、
x+z≧1であるが;
ただし、式(II)のAは、少なくとも1つのAr、Ar、Cy、又はCyにおいて式(Ia)及び/又は(Ib)に連結している)
によって表される)
によって表される。
【0015】
また、前記ポリマーは、任意選択的に、式(IIIa)及び/又は(IIIb)
【化3】

(式中、mは≧1であり;そして、
Qは、上に定義されたのと同じ意味を有し;そして、
Qは、式(Ia)又は(Ib)の化合物におけるQと同じであっても異なっていてもよく;そして、
Bは、二価ジアミン残基である)
の繰り返し構造単位を含む。
【0016】
式(Ia)及び/又は(Ib)の繰り返し構造単位を含み、そして、式(IIIa)及び/又は(IIIb)の繰り返し構造単位を含むポリマーが好ましい。
【0017】
前記組成物中の式(Ia)及び/又は(Ib)のモノマーの合計と式(IIIa)及び/又は(IIIb)のモノマーの合計との間のモル比は、0.01:99.99~99.99:0.01に含まれる。
【0018】
また、該光配向組成物が、式(Ia)及び/又は(Ib)の繰り返し構造単位のみを含有するポリマーを含むことも想定し得る。該光配向組成物が、式(Ia)及び/又は(Ib)の繰り返し構造単位のみを含む前記ポリマーを含む場合、該光配向組成物は、式(IIIa)及び/又は(IIIb)の繰り返し構造単位を含む、好ましくは、式(IIIa)及び/又は(IIIb)の繰り返し構造単位のみを含む、追加のポリマーを更に含んでいなければならない。この場合も、該光配向組成物中の2つの構造繰り返し単位間のモル比は0.01:99.99~99.99:0.01である。
【0019】
好ましい実施態様では、環系Ar及びArは、互いに独立して、4~6個の原子の単環式環、又は5若しくは6個の原子の少なくとも2個の隣接する単環式環、又は8、9、若しくは10個の原子の縮合二環式環系、又は13若しくは14個の原子の縮合三環式環系から選択される非置換又は置換の炭素環式環基である。
【0020】
より好ましくは、アリール基Ar及びArは、非置換又は置換のフラニレン、フェナントリレン、ピレン、ナフチレン、アントラセン、キシレン、トルエン、及びフェニレンからなる群から選択される。
【0021】
Ar及びArは、置換されていなくてもよく、一置換又は多置換されていてもよく、
該一置換又は多置換はハロゲン原子、ヒドロキシル基、及び/又はニトロ、ニトリル、若しくはカルボキシ基のような極性基、及び/又は1~30個の炭素原子を有する環状、直鎖状、若しくは分枝状のアルキル残基、芳香族若しくは脂環式の基によってなされ、
前記アルキル残基は、メチル、フッ素、及び/若しくは塩素によって置換されていないか、一置換されているか、又は多置換されており、
前記アルキル残基の1個以上の-CH-基、好ましくは隣接していない-CH-基は、独立して、-O-、-CO-、-CO-O-、-O-CO-、-NR-、-NR-CO-、-CO-NR-、-NR-CO-O-、-O-CO-NR-、-NR-CO-NR-、-CH=CH-、-C≡C-、-O-CO-O-、及び-Si(CH-O-Si(CH-から選択される基によって置換されていてもよく、
式中、Rは、水素原子又は低級アルキルであるか、;並びに/又は1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有するアクリロイルオキシ、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキソカルボニルオキシ、メタクリロイルオキシ、ビニル、アリル、ビニルオキシ、及び/若しくはアリルオキシの基である。
【0022】
複素環式基Cy及びCyは、互いに独立して、C-C40原子の置換又は非置換の複素環式基であり、該複素環式基における少なくとも1つのC-、CH-、CH-の基は、少なくとも1つの窒素原子によって置換されている。
【0023】
本発明の更なる態様では、Cy及びCyにおいて、該複素環式基における追加のC-、CH-、CH-の基は、少なくとも1つの他の原子、例えば、少なくとも1つの硫黄原子、少なくとも1つの酸素原子、又は少なくとも1つの追加の窒素原子によって置換されていてもよい。
【0024】
Cy及びCyは、置換されていなくてもよく、あるいは一置換又は多置換されていてもよく、
該一置換又は多置換は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、及び/又はニトロ、ニトリル、若しくはカルボキシ基のような極性基、及び/又は1~30個の炭素原子を有する環状、直鎖状、若しくは分枝状のアルキル残基、芳香族若しくは脂環式の基によってなされ、
前記アルキル残基は、メチル、フッ素、及び/若しくは塩素によって置換されていないか、一置換されているか、又は多置換されており、
前記アルキル残基の1個以上の-CH-基、好ましくは隣接していない-CH-基が、独立して、-O-、-CO-、-CO-O-、-CO-O-、-O-CO-、-NR-、-NR-CO-、-CO-NR-、-NR-CO-O-、-O-CO-NR-、-NR-CO-NR-、-CH=CH-、-C≡C-、-O-CO-O-、及び-S-から選択される基によって置換されていてもよく、
式中、Rは、水素原子又は低級アルキルであるか;並びに/又は1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有するアクリロイルオキシ、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキソカルボニルオキシ、メタクリロイルオキシ、ビニル、アリル、ビニルオキシ、及び/若しくはアリルオキシの基である。
【0025】
より好ましくは、Cy及びCyは、置換されていなくてもよく、又は1つ以上の=O、-OH、メチル、エチル、プロピル、C-Cアルコキシ、アミノ、フェニル、トリル、ピペリジン断片、ピペリジニル、若しくはアニリンによって一置換若しくは多置換されていてもよい。
【0026】
好ましくは、Cy及びCyは、非置換又は一置換若しくは多置換のピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、オキサジアゾール、チアオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチオキサゾール、ピラゾール、キナゾリノン、ピリミジン、トリアジン、トリアゾール、ピリミジノン、プテリジン、イソインドール、キノリン、アクリジン、カルバゾール、及びプリンからなる群から選択される。
【0027】
より好ましくは、Cy及びCyは、置換又は非置換のイミダゾール、ベンズイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、オキサジアゾール、キナゾリノン、キノロン、ピリミジン、及びピリジンからなる群から選択される。
【0028】
用語「連結基」は、本発明との関係で使用されるとき、好ましくは、単結合、C-C30の非置換若しくは置換の、分枝若しくは直鎖状のアルキレン鎖、好ましくはC-Cアルキレンであって、1つ以上のC原子が「架橋基」によって置換されていてもよいアルキレン鎖;1つ以上の非置換若しくは置換の脂環式基、好ましくはシクロヘキシレン、1つ以上の非置換若しくは置換の芳香族基、例えばフェニレン;ヘテロ原子;-O-;-CO;-アリーレン-;-CO-O-;-O-CO-;-N=;-CN;-NH-;-NH-CO-;-NR10-;-NR10-CO-;-CO-NR10-;-NR10-CO-O-;-O-CO-NR10-;-NR10-CO-NR10-;-CH=CH-;-C≡C-;-O-CO-O-、又は-S-から選択され、そして、式中、
10は、水素原子又はC-Cアルキルを表すが;
ただし、連結基の酸素原子は互いに直接連結されない。
【0029】
用語「架橋基」は、本発明との関係で使用されるとき、単結合、芳香族基、好ましくはフェニレン、アリール基、好ましくはシクロヘキシレン、及び-O-から選択される。
【0030】
連結基の脂環式基又は芳香族基の、置換直鎖アルキレン鎖又は置換分枝アルキレン鎖の置換基は、1つ以上であってよく、そして、好ましくは、ハロゲン、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、そして、好ましくはフッ素及び/若しくは塩素、そして、より好ましくはフッ素であるか;又はC-Cアルコキシ、例えば、好ましくはメトキシ、若しくはトリフルオロメチル、若しくはOCFである。
【0031】
好ましくは、連結基は、単結合、窒素、非置換又は一置換若しくは多置換のC-Cアルキレン、好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、又はペンチレン、非置換又は一置換若しくは多置換のフェニル、非置換又は一置換若しくは多置換のナフタレン、非置換又は一置換若しくは多置換のアントラセン、あるいはアルコキシ基からなる群から選択される。
【0032】
本発明に係る基Aは、ジアミンの二価有機残基である。この二価有機残基は、式(Ia)又は(Ib)の繰り返し構造単位を含むポリイミド又はポリアミド酸に対して2つの連結を有する。これら連結は、任意の環Ar、Ar、Cy、又はCyのいずれに存在していてもよく、そして、両連結が同じ環に存在していても又は異なる環に存在していてもよい。
【0033】
式(II)の残基Aは、少なくとも1つのAr、Ar、Cy、又はCyにおいて式(Ia)及び/又は(Ib)に連結している。これは、二価残基Aが、Ar及びArを介して、又はAr及びCyを介して、又はAr及びCyを介して、又はCy及びCyを介して、又はCy及びArを介して、又はCy及びCyを介して、又はArで2回、又はCyで2回、又はCyで2回、又はArで2回連結していることを意味する。
【0034】
N-A-NHとも呼ばれる二価有機残基Aの基を含む、対応するジアミンの非限定的な例は、式(IVa)~(XVIII):
【化4】




(式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X13、X14は、上に定義された通りの連結基であり;好ましくは、単結合、又は1つ以上のC原子が上に定義された通りの「架橋基」によって置換されていてもよい直鎖若しくは分枝状の置換若しくは非置換のC-Cアルキレン基から選択され;そして、X12は、互いに独立して、N又はCのいずれかであるが、ただし、少なくとも1つのX12はNであり;そして、Aは、N、C、O、又はSから選択され、好ましくは、Aは、N、C、又はOであり;そして、nは、0、1、2、3、又は4である)
の化合物である。
【0035】
好ましくは、HN-A-NHジアミンは、以下の化合物:
【化5】


又はXがフェニル環であり、そして、AがOである式(VI)若しくは(VII)の化合物;
又は2つのX12がNである式(XVII)の化合物
から選択され;
式中、X、X、X、X、X、X、X、X、及びX10は、上記と同じ意味及び好ましい態様を有する。
【0036】
より好ましくは、HN-A-NHジアミンは、式(XIX)~(XXVI)の化合物である。
【化6】
【0037】
本発明に係る残基Qを含む四価有機残基を含むテトラカルボン酸二無水物は、特に限定されない。該テトラカルボン酸二無水物は、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、環式脂肪族/脂環式のテトラカルボン酸二無水物、又は芳香族脂肪族/芳香族のテトラカルボン酸二無水物を含む。環式脂肪族/脂環式のテトラカルボン酸二無水物が好ましい。テトラカルボン酸二無水物の多くは、液晶配向材料の分野の当業者に公知であり、そして、ラビング法又は光配向技術のための液晶配向膜を作製するためにモノマー又はコモノマーとして用いられる。該テトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2つ以上の組み合わせで用いてよい。該テトラカルボン酸二無水物は、以下の一般式(XXVII)によって表される。
【化7】
【0038】
本発明において有用な脂肪族又は環式脂肪族/脂環式のテトラカルボン酸二無水物の例は、
2,3,5-トリカルボキシ-シクロペンチル酢酸-1,2:3,4-二無水物(全ての異性体)
1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;
1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;
1,3-ジメチル-1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;
1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;
1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物;
2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物;
3,5,6-トリカルボキシノルボルナン-2-酢酸二無水物;
2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-5-メチル-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-5-エチル-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-7-メチル-3a,4,5,7a-テトラヒドロ-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-7-エチル-3a,4,5,7a-テトラヒドロ-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-6-メチルヘキサヒドロ-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン,
6-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-4-メチルヘキサヒドロ-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン,
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラール)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物;
ビシクロ[2.2.2]オクタ-7エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;
ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;
1,8-ジメチルビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;
テトラヒドロ-4,8-メタノフロ[3,4-d]オキセピン-1,3,5,7-テトロン;
3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物;
ヘキサヒドロフロ[3’,4’:4,5]シクロペンタ[1,2-c]ピラン-1,3,4,6-テトロン;
rel-[1S,5R,6R]-3-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン2’,5’-ジオン);
4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物、
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-フラン-3-イル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、
4-tert-ブチル-6-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン;
9-イソプロピルオクタヒドロ-4,8-エテノフロ[3’,4’:3,4]シクロブタ[1,2-f][2]ベンゾフラン-1,3,5,7-テトロン;
1,2,5,6-シクロオクタンテトラカルボン酸二無水物;
オクタヒドロ-4,8-エテノフロ[3’,4’:3,4]シクロブタ[1,2-f][2]ベンゾフラン-1,3,5,7-テトロン;
オクタヒドロフロ[3’,4’:3,4]シクロブタ[1,2-f][2]ベンゾフラン-1,3,5,7-テトロン;
テトラヒドロ-3,3’-ビフラン-2,2’,5,5’-テトロン;
テトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン
を含む。
【0039】
本発明において有用な脂肪族又は芳香族のテトラカルボン酸二無水物の例は、
ピロメリット酸二無水物;
3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物;
4,4’-オキジフタル酸二無水物;
3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物;
1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;
2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物;
3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物;
3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物;
1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物;
4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物;
4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物;
4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物;
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;
エチレングリコールビス(トリメリット酸)二無水物;
4,4’-(1,4-フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物;
4,4’-(1,3-フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物;
4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物;
4,4’-オキシジ(1,4-フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物;
4,4’-メチレンジ(1,4-フェニレン)ビス(フタル酸)二無水物;
4-tert-ブチル-6-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン
を含む。
【0040】
本発明において有用なテトラカルボン酸二無水物の特に好ましい例は、
1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;
1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物;
2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物;
テトラヒドロ-4,8-メタノフロ[3,4-d]オキセピン-1,3,5,7-テトロン;
3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物;
ヘキサヒドロフロ[3’,4’:4,5]シクロペンタ[1,2-c]ピラン-1,3,4,6-テトロン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物;
4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-5-メチル-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-7-メチル-3a,4,5,7a-テトラヒドロ-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン;
4-tert-ブチル-6-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン;
4,4’-(ヘキサフルオルネオイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、及び
ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;
テトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン
を含む。
【0041】
二価ジアミン残基Bを含む式(IIIa)及び/又は(IIIb)の繰り返し構造単位を含むポリイミド酸及び/又はポリアミド酸は、特に限定されない。式(IIIa)又は(IIIb)の繰り返し構造単位は、一般式HN-B-NHのジアミンと、上に記載した通りのテトラカルボン酸二無水物との重合反応生成物を表す。式HN-B-NHのジアミンは、光配向基を含有しない。式HN-B-NHの構造は、6~40個のC原子を有する。該式HN-B-NHのジアミンは、脂肪族ジアミン、環式脂肪族ジアミン、及び/又はアリール基を含むジアミンの分類に属する。これらの多くは、高分子化学及び液晶配向材料の分野の当業者に公知であり、そして、ラビング法又は光配向技術のための液晶配向膜を作製するためにモノマー又はコモノマーとして用いられる。該ジアミンは、単独で又は2つ以上の組み合わせで用いてよい。
【0042】
脂肪族ジアミンは、式(XXVIII)
【化8】

の化合物であり、
式中、用語「アルキレン」は、(C-C24)アルキレン、好ましくは(C-C12)アルキレンの意味をし、該アルキレンは、分枝状、直鎖状、置換、非置換、非中断、または中断しており、該中断は、上に定義された通りの連結基、又は脂環式基(例えば、シクロヘキシレン若しくはC17-C40脂環式基)、又は-Si(R-若しくは-O-Si(R-による中断であり、
式中、Rは、水素、フッ素、塩素、ニトリル、非置換又はフッ素で置換されたC-C12アルキル(1個以上のC原子、-CH=、又はCH-基は、連結基によって置換されていてもよい);好ましくは、Rは、水素、メチル、又はフッ素、そして、より好ましくは、Rは水素を表す。
【0043】
環式脂肪族ジアミンは、式(XXIX)~(XXX)
【化9】

の化合物であり、
式中、Xは、上に定義された通りの連結基(好ましくは、-COO-、-CONH-);単結合、-O-、-S-、メチレン、エチレン、プロピレン;より好ましくは、単結合、又はCF、OCF、Fで置換されているか若しくは非置換のメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、若しくはペンチレンであり;そして、シクロヘキシレン基は、置換されていなくてもよく、あるいは一置換若しくは多置換されていてもよく、該シクロヘキシレンの一置換若しくは多置換は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素環式若しくは複素環式の非芳香族基、又はC-C30アルキルによる互いに独立した置換であり、該C-C30アルキルは、分枝状、直鎖状、置換、非置換、非中断、若しくは中断されており、該中断は、上に記載された通りの連結基による中断されており、より好ましくは、炭素環式若しくは複素環式の非芳香族基(例えば、シクロヘキシレン若しくはC17-C40脂環式基)による中断であり、より好ましくは、該シクロヘキシレン基は、互いに独立して、ハロゲン、又は置換若しくは非置換のメチレン、エチレン、プロピレンによって置換されていてもよい。
【0044】
芳香族ジアミン又はアリール基を含むジアミンは、式(XXXI)~(XXXVI)の化合物である。
【0045】
式(XXXI)の化合物
【化10】

(式中、Xは、単結合又はC-C30アルキルであり、そして、フェニレン環は、置換されていなくてもよく、あるいは水素、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素環式若しくは複素環式の非芳香族基、又はC-C30アルキルによって置換されていてもよく、そして、好ましくは、C-C30アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルであるか、該フェニレン環は、置換されていないか、又はヘキシル、1,1’-シクロヘキシル、4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)-1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]、1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル、2-ピリジン、ピロリジン-2,5-ジオン(これは、置換されていないか、又はCF、OCF、F、ベンジル、ペンチル、安息香酸エステル、4-(フェノキシカルボニル)、カルボン酸、-SOH、-POH、-OR15(式中、R15は、C-C30アルキルである)によって置換されている);非置換若しくは置換のベンジルによって置換されている);
又は式(XXXII)の化合物
【化11】

(式中、Xは、上に定義された通りの連結基であり、そして、好ましくは、Xは、例えば、単結合、-O-、-S-、又は置換若しくは非置換、直鎖若しくは分枝状のC-Cアルキレン、-O-(CHCHO)-;-O-(C-C12アルキル)-O-、-S-(C-C12アルキル)n-S-、トリアジン、1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、1,1’-シクロヘキシレン、NR((C-Cアルキル)NR)、-(ピペリジン)n1-(C-Cアルキル)-(ピペリジン)(式中、nは、1~6の整数であり、そして、n1は、0~6の整数である)であり、好ましくは、X6は、単結合、直鎖若しくは分枝状のC-Cアルキレン、又は-O-であり;そして、R及びRは、互いに独立して、水素又はC-Cアルキル、好ましくは水素を表し;そして、フェニレン環は、置換されていないか、あるいは水素、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素環式若しくは複素環式の非芳香族基、C-C30アルキル、又は2-メチルヘプタンによって置換されており、そして、C-C30アルキルは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルであるか、該フェニレン環は、置換されていないか、又はヘキシル、1,1’-シクロヘキシル、4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)-1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]、1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル、2-ピリジン、ピロリジン-2,5-ジオン(これは、置換されていないか、又はCF、OCF、F、ベンジル、ペンチル、安息香酸エステル、4-(フェノキシカルボニル)、カルボン酸、-SOH、-POH、-OR15(式中、R15はC-C30アルキルである)によって置換されている);非置換若しくは置換のベンジルによって置換されている);
又は式(XXXIII)の化合物
【化12】

(式中、X及びXは、上に定義された通りの連結基である);
又は式(XXXIV)の化合物
【化13】

(式中、X、X10、及びX11は、上に定義された通りの連結基である);
又は式(XXXV)の化合物
【化14】

(式XXXVの化合物)
(式中、Xは、上に与えられた意味を有し、そして、X17は、CH、O、NHである);
又は式(XXXVI)の化合物
【化15】

(式中、R及びR10は、C-C30アルキルであり、そして、好ましくは、メチルであり、そして、R20は、2-メチルヘプタンであり、そして、n及びyは、0又は1であり、そして、yが1である場合nは0であり、そして、nが1である場合yは0であり、そして、y1は、単結合又は二重結合であり、そして、X17、X18、及びX19は、カルボニル又は単結合又はNHである);あるいは
【0046】
好ましい式(XXXI)の化合物は、
【化16】

(式中、R11は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素環式若しくは複素環式の非芳香族基、C-C30アルキル、又は2-メチルヘプタンから選択され、そして、C-C30アルキルは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルであるか、あるいはフェニレン環は、置換されていないか、又はヘキシル、1,1’-シクロヘキシル、4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)-1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]、1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル、2-ピリジン、ピロリジン-2,5-ジオン(これは、置換されていないか、又はCF、OCF、F、ベンジル、ペンチル、安息香酸エステル、4-(フェノキシカルボニル)、カルボン酸、-SOH、-POH、-OR15(式中、R15はC-C30アルキルである)によって置換されている);非置換若しくは置換のベンジルによって置換されており、好ましくは、R11は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヒドロキシルであり;そして、X15及びX16は、互いに独立して、単結合又はC-C30アルキル、好ましくは、C-Cアルキル、-COO-、及び-CONH-;-COO(C-Cアルキレン)-、-CONH(C-Cアルキレン)-である)
である。
【0047】
好ましい式(XXXII)の化合物は、
【化17】

(式中、X及びR11は、上に記載したのと同じ意味及び好ましい態様を有し、そして、R12、R13、及びR14は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素環式若しくは複素環式の非芳香族基、又はC-C30アルキルであり、好ましくは、C-C30アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルであるか、あるいはフェニレン環は、置換されていないか、又はヘキシル、1,1’-シクロヘキシル、4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)-1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]、1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル、2-ピリジン、ピロリジン-2,5-ジオン(これは、置換されていないか、又はCF、OCF、F、ベンジル、ペンチル、安息香酸エステル、4-(フェノキシカルボニル)、カルボン酸、-SOH、-POH、-OR15によって置換されており、そして、R15は、C-C30アルキルである);非置換若しくは置換のベンジルによって置換されている。好ましくは、R11及びR12は、水素、C-Cアルキル、ヒドロキシ、又は4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、又は3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)--1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]であり、好ましくは、R12、R13、及びR14は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヒドロキシルである)
である。
【0048】
より好ましい式(XXXII)の化合物は、
【化18】

(式中、nは0又は1であり、R、R10、R11、及びR12は、上に定義されたのと同じ意味を有し、X17は、CH、O、NHであり、Rは、水素、ハロゲン、又はニトリル;非置換又はハロゲンで置換されたC-C12アルキルであって、1つ以上のC-、CH-、CH-の基が連結基によって置換されていてもよいアルキルであり;好ましくは、Rは、水素、ニトリル、又はフッ素であり、そして、より好ましくは、Rは、水素及び/又はニトリルであり、そして、最も好ましくは、Rは水素であり、そして、X14は、上に定義された通りの連結基、好ましくは、-COO-、-CONH-;単結合、-O-、-S-、メチレン、エチレン、プロピレン、より好ましくは、単結合、又はCF、OCF、Fで置換されているか若しくは非置換のメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、若しくはペンチレンであり、そして、シクロヘキシレン基は、置換されていなくてもよく、あるいは互いに独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素環式若しくは複素環式の非芳香族基、又は分枝状、直鎖状、置換、非置換、非中断、若しくは上に記載された通りの連結基によって中断されたC-C30アルキルによって、より好ましくは、炭素環式又は複素環式の非芳香族基、例えば、シクロヘキシレン又はC17-C40脂環式基によって置換されていてもよく、より好ましくは、該シクロヘキシレン基は、互いに独立して、ハロゲン又は置換若しくは非置換のメチレン、エチレン、プロピレンによって置換されていてもよい)
である。
【0049】
更に好ましいのは、4,4’-ジアミノジフェニル、4,4’-ジアミノジフェニル-3,3’-ジメトキシ、4,4’-ジアミノジフェニル-3,3’-ジメチル、4,4’-ジアミノジフェニル-3,3’-ジヒドロキシ、4,4’-ジアミノ-ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-ジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノ-ジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルカルボニル、4,4’-ジアミノジフェニルオキソメチレン、4,4’-ジアミノジフェニル-ビス(トリフルオロメチル)-メチレン、4,4’-ジアミノジフェニル-ビス(トリフルオロメチル)メチレン-3,3’-ジメトキシ又は4,4’-ジアミノジフェニル-ビス(トリフルオロメチル)メチレン-3,3’-ジヒドロキシ、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル、4,4’-(p-フェニレン-イソ-プロピリデン)ビスアニリン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]-ヘキサフルオロ-プロパン、2,2’-ビス[4-4-アミノ-2-トリフルオロ-メチル-フェノキシ-)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス/トリフルオロメチル)-ビフェニル、4,4’-ビス[4-アミノ-2-トリフルオロメチル)フェノキシ]-オクタフルオロビフェニル、2-アミノ-4-[1-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-エチル]フェノールである。
【0050】
好ましくは、式(XXIX)及び(XXX)の化合物のX及びX、X及びX10、又はX11は、単結合又はC-C30アルキル又はC-C12アルコキシである。更により好ましくは、X及びX、X及びX10、又はX11は、互いに独立して、単結合、-O-アルコキシ-、例えば、-O-メチレン-、メチレン-O-;C-C12アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、又はヘキシレン、置換又は非置換の1,1’-シクロヘキシレン、-SO-、-S-、-SO-、-O-、-N(R25)-、-C(CH-、-C(CF-、1,1’-シクロヘキシル、置換又は非置換の4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、置換又は非置換の3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)-1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]、1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イルであり、R25は、C-Cアルキルの水素であり;好ましくは、X10は、-SO-、-SO-、-O-、-N(CH)-、-C(CH-、-C(CF-、1,1’-シクロヘキシル、4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)--1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]、又は1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イルであり、そして、好ましくは、X及びX11は同一であり、そして、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、又は-O-である;
【0051】
好ましい式(XXXIII)の化合物は、
【化19】

である。
【0052】
好ましい式(XXXIV)の化合物は、
【化20】

(式中、nは0又は1であり、そして、X、X10、及びX11は、上に記載したのと同じ意味及び好ましい態様を有する)
である。
【0053】
式(XXXVI)の好ましいジアミンは、
【化21】

であり、そして、更に、1-コレステリル-オキシ-2,4-ジアミノ-ベンゼン、1-コレスタニルオキシ-2,4-ジアミノベンゼン、コレステリルオキシ(3,5-ジアミノ-ベンゾイル)、コレスタン-イルオキシ(3,5-ジアミノベンゾイル)である。
【0054】
少なくとも1つのアリール基を含むジアミンが好ましい。
【0055】
脂肪族及び環式脂肪族のジアミンHN-B-NHの例は、:
トリメチレンジアミン;
テトラメチレンジアミン;
ヘキサメチレンジアミン;
オクタメチレンジアミン;
1,4-ジアミノシクロヘキサン;
4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン);
4,4’-メチレンビス(2-メチルシクロへキシルアミン);
イソホロンジアミン;
テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン;
1,3-アダマンタンジアミン
を含む。
【0056】
アリール基を含む好ましいジアミンHN-B-NHの例は、
1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン;
1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン;
m-フェニレンジアミン;
p-フェニレンジアミン;
1,5-ジアミノナフタレン;
4,4’-ジアミノジフェニルエーテル;
3,4’-ジアミノジフェニルエーテル;
4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド;
4,4-ジアミノ-2,2’-ジクロロジフェニルジスルフィド;
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン;
3,3’-ジアミノジフェニルスルホン;
4,4’-ジアミノジフェニルメタン;
3,3’-ジアミノジフェニルメタン;
3,4’-ジアミノジフェニルメタン;
4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン;
4,4’-ジアミノジフェニルエタン;
3,3’-ジアミノベンゾフェノン;
4,4’-ジアミノベンゾフェノン;
3,4’-ジアミノベンゾフェノン;
2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン;
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン;
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン;
1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン;
1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン;
4,4’-ジアミノ-ジフェニレン-シクロヘキサン;
3,5-ジアミノ-3’-トリフルオロメチルベンズアニリド;
3,5-ジアミノ-4’-トリフルオロメチルベンズアニリド;
4,4’-ジアミノベンズアニリド;
2-アミノ-4-[1-(3-アミノ-4-ヒドロキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]フェノール;
ジアミノフルオレン誘導体、例えば、2,7-ジアミノフルオレン;9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン;
ジアミノアントラキノン誘導体、例えば、1,5-ジアミノアントラキノン;
ベンジジン誘導体、例えば、4,4’-ジアミノビフェニル;4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル;4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル;テトラメチルベンジジン;4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル;2,2’,5,5’-テトラクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル;2,2‘-ジクロロ-4,4‘-ジアミノ-5,5‘-ジメトキシビフェニル;3,3‘-ジメトキシ-4,4‘-ジアミノビフェニル;
5-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン;
6-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン;
4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン);
4,4’-(p-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン;
4,4’-(m-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン;
ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン;
1,5-ジアミノナフタレン、2,7-ジアミノフルオレン
を含む。
【0057】
より好ましい芳香族ジアミンHN-B-NHの例は、
m-フェニレンジアミン;
p-フェニレンジアミン;
1,5-ジアミノナフタレン;
4,4’-ジアミノジフェニルエーテル;
3,4’-ジアミノジフェニルエーテル;
4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド;
4,4’-ジアミノジフェニルスルホン;
4,4’-ジアミノジフェニルメタン;
4,4’-ジアミノジフェニルエタン;
2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン;
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン;
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン;
1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン;
1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン;
2,7-ジアミノフルオレン;
4,4’-ジアミノビフェニル;
4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル;
4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル;
4,4’-(p-フェニレンビスイソプロピリデン)ビスアニリン;
4,4’-(m-フェニレンビスイソプロピリデン)ビスアニリン;
ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン;
2-アミノ-4-[1-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-エチル]フェノール
を含む。
【0058】
特に好ましい芳香族ジアミンHN-B-NHは、
p-フェニレンジアミン;
4,4’-ジアミノジフェニルエーテル;
3,4’-ジアミノジフェニルエーテル;
4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド;
4,4’-ジアミノジフェニルメタン;
4,4’-ジアミノジフェニルエタン;
2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン;
1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン;
1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン;
4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルビフェニル;
4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル;
4,4’-(p-フェニレンビスイソプロピリデン)ビスアニリン;
4,4’-(m-フェニレンビスイソプロピリデン)ビスアニリン;
ビス(4-アミノフェノキシ)-2,2-ジメチルプロパン;
2-アミノ-4-[1-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-エチル]フェノール
である。
【0059】
更により好ましい芳香族ジアミンHN-B-NHは、
4,4’-ジアミノジフェニルエーテル;
3,4’-ジアミノジフェニルエーテル;
4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル;
2-アミノ-4-[1-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-エチル]フェノール
である。
【0060】
本発明に係る光配向材料は、光配向基を含む光活性化合物である。必須の光配向特性を付与するためには、本発明の光配向組成物中に少なくとも1つの光配向材料が含まれていなければならない。該組成物は、1つ超の光配向材料を含んでいてもよいことが理解される。これら異なる光配向材料は、光配向基、重合性基、又は光配向基及び重合性基の両方が異なっていてよい。
【0061】
光配向基を含む光配向材料の多くは、液晶配向材料の分野の当業者に公知である。該材料は、光学及び電気光学的装置を製作するための液晶光配向膜の作製に用いられる。このような光配向法のための光配向材料及びその用途は、例えば、以下の刊行物に開示されている:O. Yaroshuk, Y. Renikov, J. Mater. Chem., 2012, 22, 286 -300及びこの中に引用されている参照文献;米国特許第5,389,698号;米国特許第5,838,407号;米国特許第5,602,661号;米国特許第6,160,597号;米国特許第6,369,869号;米国特許第6,717,644号;米国特許第6,215,539号;米国特許第6,300,991号、及び米国特許第6,608,661号。
【0062】
本発明との関係では、「光配向基」は、光放射を異方的に吸収する光活性官能基である。該光配向基は、配向光(ほとんどの場合偏光放射からなる)を照射することによって、液晶の異方性分子配向を誘導する。照射された際、本明細書に開示される光配向基は、光反応、例えば、光架橋反応、二量体化反応、cis/trans異性化反応、転移反応、及び分解反応を受ける。したがって、本発明の光配向基は、上記反応を受ける官能基である。
【0063】
一般的に、本発明に係る光配向基を含む光配向材料は、モノマー、オリゴマー、デンドリマー、プレポリマー、及びポリマー(コポリマーを含む)であり;光配向基が、光活性官能基、例えば、アルファ,ベータ-不飽和ニトリル基;エステル-、アミド、イミド、ヒドラジン、又はチオエステルの官能基(シンナマート及びカルコンを含む)の一部であってもよい、アルファ,ベータ-不飽和カルボニル基;
クマリン及びキノロン;
スチルベン及びシアノスチルベン;
アゾ基;
クロモン及びクロメン;
モノ-及びジ-アセチレン基、例えば、ジフェニルアセチレン基;
ベンジリデンフタルイミド基、ベンジリデンアセトフェン基、フェニレンジアクリロイル基;又は
光分解性ポリマー
を含み、
これら光活性官能基は、置換されていなくてもよく、又はハロゲン(フッ素、塩素、臭素);シアノ;C~C-アルコキシ;カルボン酸;任意選択的にフッ素若しくはシアノ基で置換されている、直鎖若しくは分枝状のC~C12アルキルを有するエステル基;任意選択的にフッ素若しくはシアノ基で置換されている、1~12個のC原子を有する直鎖若しくは分枝状のアルキル及びシクロアルキルの基;任意選択的に前述の基で置換されている、6~18個のC原子を有する芳香族基等の置換基を含んでいてもよい。
【0064】
光配向基を含む好ましい光配向材料は、オリゴマー、ポリマー(コポリマーを含む)であり;光配向基が、アルファ,ベータ-不飽和ニトリル基;エステル-、アミド、又はチオエステル官能基(シンナマート及びカルコンを含む)の一部であってもよい、アルファ,ベータ-不飽和カルボニル基;
クマリン;
スチルベン;及び
アゾ基
等の光活性官能基を含み、
これら光活性官能基が、置換されていなくてもよく、又はハロゲン(フッ素、塩素、臭素);シアノ;C~C-アルコキシ;カルボン酸;任意選択的にフッ素若しくはシアノ基で置換されている、直鎖若しくは分枝状のC~C12アルキルを有するエステル基;任意選択的にフッ素若しくはシアノ基で置換されている、1~12個のC原子を有する直鎖若しくは分枝鎖のアルキル及びシクロアルキルの基;任意選択的に前述の基で置換されている、6~18個のC原子を有する芳香族基等の置換基を含んでいてもよい。
【0065】
本発明に係る光配向材料は、1つ以上の異なる光配向基及び1つ以上の異なる重合性基を含有し得る。
【0066】
重合性基は、オリゴマー、デンドリマー、ポリマー、又はコポリマーを生成するために(任意選択的に、他のコモノマーとの)重合に供され得る官能基である。当業者にとって、任意の特定のポリマーについてどの官能基が対象とされるかは明らかである。したがって、例えば、指定のポリマー主鎖基が「イミドモノマー」の場合、ポリイミドを生成するために重合させるための実際のモノマー単位は、例えば、ジアミン及び二無水物であることが当業者には明らかである。同様に、「ウレタンモノマー」に関しては、実際のモノマー単位は、ジオール及びジイソシアネートである。
【0067】
したがって、本発明との関係では、「...、そして、少なくとも1つのモノマーに由来する」という言い回しは、光配向材料のモノマーの重合性基が、ポリマー、ホモポリマー若しくはコポリマー、又はオリゴマーにおけるその重合形態に適切に対応するという意味を有する。
【0068】
したがって、本発明は、好ましくは、モノマーをその重合形態で含む、ポリマー、ホモポリマー若しくはコポリマー、又はオリゴマーに関し、重合性基が、記載される重合性基に対応する重合された基を意味する。
【0069】
重合性基は、好ましくは、非置換又は置換のアクリレート、メタクリレート、2-クロロアクリレート、2-フェニルアクリレート、任意選択的にN-低級アルキルで置換されているアクリルアミド、メタクリルアミド、2-クロロアクリルアミド、2-フェニルアクリルアミド、ビニル、アリル、ビニルエーテル及びエステル、アリルエーテル及びエステル、炭酸エステル、アセタール、ウレア、マレインイミド、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、エポキシ、スチレン及びスチレン誘導体、例えば、アルファ-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、シロキサン、シラン、ジアミン、イミドモノマー、アミド酸モノマー及びそのエステル、マレイン酸及びマレイン酸誘導体、例えば、ジ-n-ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート等、フマル酸及びフマル酸誘導体、例えば、ジ-n-ブチルフマレート、ジ-(2-エチルヘキシル)フマレート等、ウレタン又はその対応するホモポリマー及びコポリマーから選択される。
【0070】
より好ましくは、該重合性基は、アクリレート、メタクリレート、ビニルエーテル及びエステル、エポキシ、スチレン誘導体、シロキサン、シラン、マレインイミド、ジアミン、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、イミドモノマー、アミド酸モノマー及びその対応するホモポリマー及びコポリマー、又は非置換若しくは置換の脂肪族、芳香族、及び/若しくは脂環式のジアミン基から選択される。
【0071】
更に好ましくは、重合性基は、非置換又は置換の脂肪族、芳香族、及び/又は脂環式のジアミン基、シロキサン、マレインイミド、特に1~40個の炭素原子を有するジアミン基を表し;該ジアミン基は、1つ以上のヘテロ原子及び/若しくは架橋基を含み得る脂肪族基;並びに/又は芳香族基;並びに/又は脂環式基を含む。
【0072】
したがって、重合性基は、好ましくは、非置換又は置換の重合性基、好ましくは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ-2-クロロアクリレート、ポリ-2-フェニルアクリレート、任意選択的にN-低級アルキルで置換されているポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ-2-クロロアクリルアミド、ポリ-2-フェニルアクリルアミド、ポリビニル、ポリアリル、ポリビニルエーテル及びポリエステル、ポリアリルエーテル及び/又はエステル、ポリ炭酸エステル、ポリアセタール、ポリウレア、ポリマレインイミド、ポリノルボルネン、ポリエポキシ、ポリスチレン及びポリスチレン誘導体、例えば、ポリ-アルファ-メチルスチレン、ポリ-p-メチルスチレン、ポリ-p-tert-ブチルスチレン、ポリ-p-クロロスチレン等、ポリシロキサン、ポリジアミン、ポリイミド、ポリアミド酸及びそのエステル、ポリアミドイミド、ポリマレイン酸及びポリマレイン酸誘導体、例えば、ポリ-ジ-n-ブチルマレエート、ポリ-ジメチルマレエート、ポリ-ジエチルマレエート等、ポリフマル酸及びポリフマル酸誘導体、例えば、ポリ-ジ-n-ブチルフマレート、ポリ-ジ-(2-エチルヘキシル)フマレート等、ポリ-ウレタン又はその対応するホモポリマー及びコポリマーから選択される。より好ましくは、重合基Dは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルエーテル及びポリビニルエステル、ポリエポキシ、ポリスチレン誘導体、ポリシロキサン、ポリジアミン、ポリノルボルネン、ポリイミド、ポリアミド酸並びにその対応するホモポリマー及びコポリマー、又は非置換若しくは置換の脂肪族、芳香族、及び/若しくは脂環式のポリジアミン基から選択される。
【0073】
光配向材料は、既に論じられた通りの光配向材料である少なくとも1つの繰り返し構造単位と、非光配向基を含む少なくとも1つの追加の繰り返し構造単位とのコポリマーであってよい。該非光配向基は、炭素環式若しくは複素環式の芳香族及び/若しくは脂環式又は脂肪族の基であり、これは、置換されていないか、又はアクリレート基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、マレインイミド基、直鎖若しくは分枝状のC-C16アルキル基、C-C16アルキルアクリレート基、C-C16アルキルビニル基、C-C16アルキルアリル基、C-C16アルキルエポキシ基、C-C16アルキルマレインイミド基によって置換されており、好ましくは、置換されていないか又はC-C16アルキルアクリレート基によって、より好ましくはC-Cアルキルアクリレート基によって置換されている。
【0074】
より好ましくは、非光配向基は、非置換又は置換のステロイド骨格、例えば、コレステロール基であり、これは、中断していないか又は少なくとも単一のヘテロ原子及び/若しくは上に定義された通りの少なくとも単一の連結基によって中断されている、あるいは、該非光配向基は、上に定義された通りの基Aである。好ましくは、コレステロール基は、コレステリル、コレスタニル、コレスタンである。本発明との関係では、非光配向基は、熱処理に対して反応性であってよく、そして、好ましくは、熱反応性基でもある。
【0075】
このような種類のコポリマーは、参考文献として本明細書に組み入れられる国際公開公報第2013/017467号に記載されている。
【0076】
したがって、本発明によれば、光配向材料は、ホモポリマー又はコポリマーであり、該コポリマーが、上に定義された通りの異なる光配向基を含むコポリマーであるか、又は該コポリマーが、上に定義された通りの1つ以上の光配向基と、上に定義された通りの1つ以上の非光配向基とを含み、該非光配向基が、上に定義された通りの非置換若しくは置換のステロイド骨格及び/又は上に定義された通りの基Aであってもよい。
【0077】
好ましい光活性化合物は、一般構造式(XXXVIIa)及び/又は(XXXVIIb):
【化22】

(式中、Qは、テトラカルボン酸二無水物の四価有機残基であり、そして、式(Ia)又は(Ib)又は(IIIa)又は(IIIb)の化合物について説明したのと同じ意味を有し、qは、分子鎖における繰り返し構造単位の数を示す整数であり;qは、少なくとも1の値を有し、そして、約3~約15000、特に4~500、更にとりわけ6~200の平均値を有し、そして、Pは、分子構造内に上述の光活性光配向基を含む芳香族ジアミンの二価残基である)によって表すことができる。このような光配向基は、以下の式(XXXVIII)~(XLIII)で表される。一般分子の末端における星印は、その基が残基Pに組み込まれ得る位置を示す。
【0078】
構造(XXXVIII)におけるXは、-O-、-S-、又はNR(式中、Rは、水素原子又はC~Cアルキル基を表す)を表す。
【0079】
該光配向基は、単結合、エステル基、チオエステル基、エーテル基、カーボネート基、アミド基、又はスルフィド基を介して、ポリマー主鎖に連結され得る。好ましくは、該光配向基は、幾つかのスペーサ基を併用することによってポリマー主鎖に連結される。用語「スペーサー基」とは、本発明との関係で使用されるとき、6~40個のC原子を有する、非置換又は置換の芳香族、炭素環式、若しくは複素環式の基であるか、又は好ましくは、1つ以上の隣接していない-CH-基が、互いに独立して、-O-、-CO-、-CO-O-、-O-CO、-NR-、-NR-CO-、-CO-NR-、-NR-CO-O-、-O-CO-NR-、-NR-CO-NR-、-CH=CH-、-C≡C-、-O-CO-O-、及び-(CHSi-O-Si(CH-から選択される基(式中、Rは、水素原子又はC-Cアルキル基を表す)によって置換されていてもよい環状、直鎖状、若しくは分枝状の置換若しくは非置換のC-C24アルキレン基である。
【0080】
1、2、又は3つの光配向基が、Pを含む二価ジアミン残基に含まれていてよい。
【化23】
【0081】
構造(XXXVIII)は、アルファ,ベータ-不飽和カルボニル基の例としてのシンナメート基を表し、式中、Xは、-O-;-S-、又は-NR-(Rは、H又はC-Cアルキルである)を含み、そして、subset.は、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素);シアノ;C-Cアルコキシ;カルボン酸;任意選択的にフッ素又はシアノ基で置換されていてもよい直鎖又は分枝状のC-C12アルキルを有するエステル基;任意選択的にフッ素又はシアノ基で置換されていてもよい、1~12個のC原子を有する直鎖又は分枝状のアルキル及びシクロアルキルの基;場合により前述の基で置換されている、6~18個のC原子を有する芳香族基等の置換基を意味する。3つ以下のこのような置換基が、構造(XXXVIII)の芳香族部分に含まれ得、そして、ジアミンNH-P-NHは、構造(XXXVIII)を1つ又は2つ有し得る。
【0082】
構造(XXXIX)は、カルコン基を表し、そして、subset.は、構造(XXXVIII)について記載したのと同じ意味を有する。
【0083】
構造(XL)は、アゾ基を表す。
【0084】
構造(XLI)は、スチルベン基を表し、式中、Yは、H、ニトリル(CN)、又は他の電子求引基であり、そして、subset.は、構造(XXXVIII)について記載したのと同じ意味を有する。
【0085】
構造(XLII)は、クマリン基を表し、そして、subset.は、構造(XXXVIII)について記載したのと同じ意味を有する。
【0086】
構造(XLIII)は、アルファ,ベータ-不飽和ニトリル基を表し、そして、subset.は、構造(XXXVIII)について記載したのと同じ意味を有する。
【0087】
特に好ましい光配向材料は、ポリイミド及び/又はポリアミド酸のポリマー及びコポリマーであり、光配向基がシンナマート(XXXVIII)、アゾ基(XL)、クマリン(XLII)、及びスチルベン(XLI)の群から選択される。これら光配向基は、置換されていなくてもよく、又はハロゲン(フッ素、塩素、臭素);シアノ;C~C-アルコキシ;カルボン酸;任意選択的にフッ素若しくはシアノ基で置換されていてもよい、直鎖若しくは分枝状のC~C12アルキルを有するエステル基;場合によりフッ素若しくはシアノ基で置換されている、1~12個のC原子を有する直鎖若しくは分枝状のアルキル及びシクロアルキルの基;任意選択的に前述の基で置換されていてもよい、6~18個のC原子を有する芳香族基等の置換基を含んでいてもよい。
【0088】
更により特に好ましい光配向材料は、ポリイミド及び/又はポリアミド酸のポリマー及びコポリマーであり、その光配向基が式(XLIX)の基である。
【化24】

(式中、
Zは、架橋基であり、
A及びBは、非置換又は置換の炭素環式又は複素環式の芳香族又は脂環式の基を表し、互いに独立して、5若しくは6個の原子からなる単環、2個の隣接する5若しくは6個の原子からなる単環、8、9、若しくは10個の原子からなる二環系、13若しくは14個の原子からなる三環系から選択される。好ましくは、A及びBは、中断していないか又は少なくとも単一のヘテロ原子及び/若しくは少なくとも単一の架橋基によって中断された、ベンゼン又はフェニレン、ピリジン、トリアジン、ピリミジン、ビフェニレン、ナフタレン、フェナントレン、トリフェニレン、テトラリンであり;好ましいのは、ベンゼン、フェニレン、ナフタレン、ビフェニレン、フェナントレン、又はトリフェニレンであり、そして、より好ましいのは、ベンゼン、フェニレン、及びビフェニレン、特にフェニレン、又はステロイド骨格であり;更に好ましいBは、シクロヘキシレン又はステロイド骨格であり;
及びRは、互いに独立して、水素、ハロゲン、又はニトリル;非置換又はハロゲンで置換されたC-C12アルキル(1つ以上のC-、CH-、CH-の基が連結基によって置換されていてもよい)であり;好ましくは、R及びRは、互いに独立して、水素、ニトリル、又はフッ素であり、そして、より好ましくは、R及びRは、水素及び/又はニトリルであり;
Uは、水素、あるいは直鎖又は分枝状の、非置換又は少なくとも1回、ハロゲン、ニトリル、エーテル、エステル、シロキサン、アミド、若しくはアミンで置換されているC-C16アルキル基、特にC-C12アルキル基、更にとりわけC-Cアルキル基を表し、ここで、1つ以上のC-、CH-、CH-の基は、互いに独立して、置換されていないか又は上に与えられた意味及び好ましい態様の連結基によって置換されており;特に、C-、CH-、CH-の基は、-NH-、-NCH-、-NH-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-CONH-、-NCH-、NCH-CO-、-CO-NCH-、-NCH-CO-O-、-O-CO-NCH-、-NCH-CONCH-、-O-、-CO、-CO-O-、-O-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-O-CO-O-、又は非置換若しくは置換のシクロヘキシレン、又は非置換若しくは置換のフェニレンによって置換されており;
好ましくは、Uは、水素;あるいは置換されていないか、又はハロゲン、ニトリル、エーテル、エステル、アミド、若しくはアミンで置換されているか;好ましくは、フッ素若しくはニトリルで置換されているか、特に1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個、更にとりわけ1、2、3、4、5、6、若しくは7個、そして、特にとりわけ1、2、3、若しくは5個のフッ素で置換されているQ-(C-Cアルキレン)であり、ここで、1つ以上のC-、CH-、CH-の基は、互いに独立して、置換されていないか又は上に与えられた意味及び好ましい態様内の連結基によって置換されており;特に、C-、CH-、CH-の基は、-NH-、-NCH-、-NH-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-CONH-、-NCH-、NCH-CO-、-CO-NCH-、-NCH-CO-O-、-O-CO-NCH-、-NCH-CONCH-、-O-、-CO、-CO-O-、-O-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-O-CO-O-、又は非置換若しくは置換のシクロヘキシレン、又は非置換若しくは置換のフェニレンによって置換されており;そして、
は、単結合、又は-NH-、-N(CH)-、-NH-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-CONH-、-CON(CH)-、-(CH)NCO-、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CF-O-、-CFS-、-SCF-、-CFNH-、-NHCF-、-S-、-CS-、-SCS-、-SCO-、-CH=CH-、-C?C-、若しくは-O-CO-O-を表し;
好ましくは、Qは、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は単結合、より好ましくは、-O-又は単結合であり;
好ましくは、フッ素置換基は、環Bへの連結の反対側において、アルキル基の末端位置に存在し;
より好ましくは、該アルキル基は、式-CF3、-CFH、-CHF、-CFCF、-CFCHF、-CFCHF、-CFHCF、-CFHCHF、-CFHCHF、-CFCH、-CFHCHF、-(CFCF、-(CFCHF、-(CFCHF、-(CFCH、-(CFCHF、-(CFCHF、-(CFCF、-CF(CF、又は-CF(CHF)CF、そして、最も好ましくは、式-CFH、-CFH、-CHF、-CF、-CFCF、-CFCHF;そして、特に最も好ましくは、式-CF、-CHF、-CFCF、特に-CFのフッ素アルキル残基を表すか、又は末端基として有し;
より好ましくは、Uは、水素、-CF3、-CFH、-CHF、-Q-(C-Cアルキレン)-CF、-Q-(C-Cアルキレン)-CFH、-Q-(C-Cアルキレン)-CHF、-Q-(C-Cアルキレン)-CFCF、-Q-(C-Cアルキレン)-CFCHF、-Q-(C-Cアルキレン)-CFCHF、-Q-(C-Cアルキレン)-CFHCF、-Q-(C-Cアルキレン)-CFHCHF、-Q-(C-Cアルキレン)-CFHCHF、-Q-(C-Cアルキレン)-CFCH、-Q-(C-Cアルキレン)-CFHCHF、-Q-(C-Cアルキレン)-(CFCF、-Q-(C-Cアルキレン)-(CFCHF、-Q-(C-Cアルキレン)-(CFCHF、-Q-(C-Cアルキレン)-(CFCH、-Q-(C-Cアルキレン)-(CFCHF、-Q-(C-Cアルキレン)-(CFCHF、-Q-(C-Cアルキレン)-(CFCF、-Q-(C-Cアルキレン)-CF(CF、-Q-(C-Cアルキレン)-CF(CHF)CFであり、
ここで、1つ以上のC-、CH-、CH-の基は、互いに独立して、置換されていないか、又は、上に与えられた意味及び好ましい態様内の連結基によって置換されており;特に、C-、CH-、CH-の基は、-NH-、-NCH-、-NH-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-O-、-O-CO-NH-、-NH-CONH-、-NCH-、-NCH-CO-、-CO-NCH-、-NCH-CO-O-、-O-CO-NCH-、-NCH-CONCH-、-O-、-CO、-CO-O-、-O-CO-、-CH=CH-、-C≡C-、-O-CO-O-、又は非置換若しくは置換のシクロヘキシレン、又は非置換若しくは置換のフェニレンによって置換されており;
-Q-は、上に与えられた意味及び好ましい態様を有し;
及びRは、互いに独立して、水素、フッ素、塩素、ニトリル、置換されていないか又はフッ素で置換されたC-C12アルキル(1つ以上のC-、CH-、CH-の基が連結基によって置換されていてもよい)を表し;好ましくは、R及びRは、互いに独立して、水素及び/又はニトリル、好ましくは、水素を表し;
Xは、二価芳香族基、例えばフェニレン、特に1,4-フェニレンであるか;又はXは、-CH-、-CO-、-CS-、-O(CO)-、-(CO)O-、-NH(CO)-、-(CO)NH-、-OCF-、-SCF-、-NH-CF-、((C-Cアルキル)-N)CO-、好ましくは、((CH)N)CO-、又は-S(CS)-、-O(CS)、-S(CO)、好ましくは-O(CO)-である。
【0089】
用語「架橋基」は、本発明との関係で使用されるとき、好ましくは、-O-、-CO-、-CH(OH)-、-CH(CO)-、-OCH-、-CHO-、-O-CH-O-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CF-、-CON(C-C16アルキル)-、-(C-C16アルキル)NCO-、-CONH-、-NHCO-、-HNOCO-、-OCONH-、-NHCONH-、-OCOO-、-CO-S-、-S-CO-、-CSS、-SOO-、-OSO-,-SOS-、-SO-、-CH(SO)-、-SO-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CH=N-、-C(CH)=N-、-N=N-、若しくは単結合;又は環状、直鎖状、若しくは分枝状の、置換若しくは非置換のC-C24アルキレン、(1つ以上のC原子、CH-、又はCH-の基は、互いに独立して、連結基によって置換されていてもよい)から選択される。
【0090】
好ましくは、該架橋基は、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-OCF-、-CFO-、-CON(CH)-、-(CH)NCO-、-CONH-、-NHCO-、-CO-S-、-S-CO-、-CSS、-SOO-、-OSO-、-CSS-、-SOO-、-OSO-、-CH(SO)-、-CH-CH-、-OCH-、-CHO-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、又は単結合である。
【0091】
より好ましくは、架橋基は、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-OCF-、-CFO-、-CON(CH)-、-(CH)NCO-、-CONH-、-NHCO-、-CO-S-、-S-CO-、-CS-S-、-SOO-、-OSO、特に、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CON(CH)-、-(CH)NCO-、-CONH-、-NHCO-、又は単結合である。
【0092】
最も好ましい架橋基は、単結合、-COO-、又は-OCO-である。
【0093】
特により好ましい光配向材料は、光配向基が、シンナメート基及びその誘導体、特に、式:
【化25】

のもの、そして、更にとりわけ、式:
【化26】

のものであるポリイミド及び/又はポリアミド酸のポリマー及びコポリマーであり、式中、芳香環は、置換されていないか又は置換されており、そして、
該化合物の残基(L)は、
【化27】

直鎖又は分枝状のC-C16フルオロアルキル基を表し、式中、
Fは、フッ素であり、そして、
xは、0~15の整数、好ましくは、0~10の整数;より好ましくは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9、そして、最も好ましくは0又は3、4、5、又は7であり;
Bは、そのフッ素置換基に加えて、置換されていないか、又は
ジ-(C-C16アルキル)アミノ、C-Cアルコキシ、ニトロ、シアノ、及び/又は塩素によって置換されており;そして、1つ以上の-CH-基が、互いに独立して、連結基によって置換されていてもよい、直鎖又は分枝状のC-C16アルキル基を表し;
及びSは、互いに独立して、上に定義された通りの架橋基を意味する。
【0094】
光配向組成物中の光配向材料の量は、該組成物の全不揮発性部分に対して0.001~30重量%、好ましくは0.01~20重量%、好ましくは1~20重量%、0.05~15重量%、より好ましくは0.1~10重量%、特により好ましくは0.1~7重量%、3重量%~6重量%、又は3重量%~4重量%である。該光配向材料の最も好ましい量は、該組成物の全不揮発性部分に対して3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、又は15重量%である。
【0095】
本発明との関係では、光配向材料は1つ以上の異なる光配向基を含有し得ると理解され、これは、特許請求されている組成物の光配向材料がコポリマーであってもよいことを意味する。
【0096】
光配向組成物は、1つ超の光配向ポリマー又はコポリマーを含有し得ることが本発明によって想定される。
【0097】
更なる実施態様では、本発明の光配向製剤は、
a)シンナメート基、スチルベン基、シアノスチルベン基、クマリン基、キノロン基、アゾ基、カルコン基、モノ-及びジ-アセチレン基;ベンジリデンフタルイミド基、ベンジリデンアセトフェン基、フェニレンジアクリロイル基;クロモン基;クロメン基、及びスチルバゾール基からなる群から選択される光配向基を含む少なくとも1つの光配向材料であって、該光配向基が置換されていてもよく又は置換されていなくてもよい光配向材料と、
b)式(Ia)又は(Ib)
【化28】

(式中、Qは、テトラカルボン酸二無水物の四価有機残基であり;そして、
nは≧1であり、そして、
Aは、式(II)
【化29】

(式中、Ar及びArは、互いに独立して、C-C40原子の非置換又は置換のアリール基であり;そして、
Cy及びCyは、互いに独立して、C-C40原子の置換又は非置換の複素環式基であり、該複素環式基における少なくとも1つのC-、CH-、CH-の基は、窒素によって置換されており;
Zは、連結基であり;そして、
y、x、及びzは、互いに独立して、0、1、又は2であり;そして、
wは、0、1、2、3、又は4であり;そして、
x+z≧1である)によって表される)
によって表される繰り返し構造単位;及び
式(IIIa)及び/又は(IIIb)
【化30】

(式中、mは≧1であり;そして、
Qは、上に定義されたのと同じ意味を有し;そして、
式(IIIa)又は(IIIb)の化合物におけるQは、式(Ia)又は(Ib)の化合物におけるQと同じであっても異なっていてもよく;そして、
Bは、二価ジアミン残基である)
の繰り返し構造単位を含み、そして、
該組成物中の式(Ia)又は(Ib)のモノマーと式(IIIa)又は(IIIb)のモノマーとの間のモル比が、0.01:99.99~99.99:0.01に含まれる、少なくとも1つのポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物と、
c)溶媒又は溶媒混合物と;
d)任意選択的に、少なくとも1つの添加剤と
を含む。
【0098】
化合物b)は、テトラカルボン酸二無水物に由来する酸無水物構造単位、少なくとも1つの窒素含有複素環を保有するジアミンに由来するアミン構造単位、及び既に記載された通りのジアミンに由来するアミン構造単位を含むポリマーである。
【0099】
本発明によれば、幾つかの異なる無水物構造単位及び/若しくは幾つかの異なるジアミン構造単位が存在するか、又は異なる基A若しくは異なる基Bを含む幾つかの異なる構造単位が存在する場合、化合物b)はコポリマーと呼ばれる。
【0100】
更に、化合物b)の主鎖分子構造は、式(Ib)又は(IIIb)の繰り返しアミド酸単位及び式(Ia)又は(IIIa)のイミド単位を含み、したがって、該イミド単位は、水分子の切断を伴う環化反応によって、主に形成されるアミド酸単位に由来する。アミド酸単位のイミド単位に対する比は反応条件に依存するが、一般的に、高温を適用して環化を誘起しなければならないか、又は無水酢酸等の脱水剤を更に用いなければならない。約-10℃~80℃の比較的低温におけるポリマー合成の標準的な条件下では、第1のコポリマー化合物は、主に、ポリアミド酸形態で得られる。
【0101】
本発明の状況では、用語「ポリイミド」は、部分的に又は完全にイミド化されたポリアミド酸又はポリアミド酸エステルの意味を有する。同様に、用語「イミド化」は、本発明との関係では、部分的又は完全なイミド化の意味を有する。
【0102】
ポリマー化合物b)は、少なくとも1つの式(II)の二価残基Aを保有する少なくとも1つのテトラカルボン酸二無水物、及び任意選択的に、少なくとも1つの二価ジアミン残基Bを保有する1つ又は幾つかのテトラカルボン酸二無水物を重合させることによって形成される。
【0103】
重合反応の性質によって、様々な数(n+m)の式(Ia)及び/又は(Ib)並びに(IIIa)及び/又は(IIIb)の繰り返し構造単位を有するポリマー鎖が得られ、鎖長の分布、そして、A、B、及びQの残基の様々な分子量を考慮して、ポリマー分子量の分布が生じる。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いてこの分布を測定することが可能であるが、平均分子量の相対的尺度として、0.5重量% ポリマー化合物溶液の固有粘度[η]を求めることがより便利である。固有粘度[η]は、0.01~10dL/gの範囲内、好ましくは、0.20~5.0dL/gの範囲内、更により好ましくは、0.20~1.0dL/gの範囲内、特により好ましくは、0.20~0.85dL/g、特により好ましくは、0.30~0.85dL/g、又は0.35dL/g、0.4dL/g、0.45dL/g、0.5dL/g、0.55dL/g、0.6dL/g、0.65dL/g、0.7dL/g、0.75dL/g、若しくは0.80 dL/gでなければならない。より好ましいのは、0.50dL/g、0.51dL/g、0.52dL/g、0.53dL/g、0.54dL/g、0.55dL/g、0.56dL/g、0.57dL/g、0.58dL/g、0.59dL/g、又は0.60dL/gの固有粘度である。
【0104】
繰り返し構造単位の平均合計(n+m)は、2~15000の繰り返し単位数(整数)、特に5~250、更にとりわけ6~100の繰り返し単位数(整数)である。
【0105】
ポリマー化合物b)の分子量が小さすぎる場合、すなわち、(n+m)が5未満である場合、前記組成物に由来する配向膜又はコーティング層は、劣った電気的特性、熱的特性、及び機械的特性を示す。(n+m)が200超である場合、本発明の組成物の粘度が高くなりすぎるので、取り扱い、そして、更には塗布が非常に困難になる。
【0106】
少なくとも1つの式(II)の基を保有するジアミンは、分子構造内に少なくとも1つの窒素含有複素環を含む。該ジアミンは、単独で又は2つ以上の組み合わせで用いてよい。
【0107】
ポリイミド及び/又はポリアミド酸ポリマー化合物b)は、高分子化学及び液晶配向材料の分野の当業者に公知の方法によって調製することができる。これら化合物は、好ましくは、少なくとも1つの式(LI)
【化31】

のテトラカルボン酸二無水物を、式(Ia)又は(Ib)又は(IIIa)又は(IIIb)の基を保有する少なくとも1つのジアミン、及び場合により任意選択的に、上記の意味及び好ましい態様に従う1つ又は幾つかの二価ジアミン残基Bと、有機溶媒又は溶媒混合物中で反応させることによって合成される。ポリマー化合物b)化合物中の式(Ia)又は(Ib)の基を保有するジアミンの量は、光配向製剤中の全てのジアミンの総モルに対して少なくとも0.01モル%である。
【0108】
合成において用いられるアミン官能基に対する無水物官能基の比率は任意に選択してよいが、例えば、その固有粘度[η]によって表される通り、得られるコポリマー化合物の平均分子量をある程度決定する。好ましくは、アミン分子当量に対する無水物の分子当量の比は、0.75~1.25の範囲である。
【0109】
有機溶媒又は溶媒混合物の種類は、本発明の光配向組成物の調製において用いられる溶媒と同じであってもよく、異なっていてもよい。該種類は、主に形成されるポリアミド酸が溶解する限り、特に限定されない。高い誘電率及び高い極性を有するが、酸性水素原子を有しない非プロトン性極性溶媒、例えば、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチルウレア、ヘキサメチルリン酸トリアミド、又はガンマ-ブチロラクトン等が好ましい。N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、又はN-メチルピロリドン及び/若しくはN-エチルピロリドンとガンマ-ブチロラクトンとの混合物が特に好ましい。
【0110】
溶媒又は溶媒混合物の量は、特に限定されない。好ましくは、反応混合物の総量(溶媒+二無水物+ジアミン)に対して約99重量%~60重量%の範囲内で選択する。ポリアミド酸溶液の取り扱いを容易にすることができ、また、例えば、他の成分と混合する前に溶媒を更に蒸発させることによってポリマー濃度を調整する必要なしに、本発明の光配向組成物の次の調製を実施できるように、溶媒の量を選択することが便利である。
【0111】
ポリマー合成は、-20℃~約150℃の温度、好ましくは、-10°~120℃の温度、より好ましくは、-10℃~80℃の温度で実施され、反応時間は、好ましくは、30分間~48時間の範囲である。
【0112】
最初に形成される反応生成物は、主に、アミン基の環状無水物基への開環付加に由来するポリアミド酸の形態である。それを、そのまま用いて本発明の光配向組成物を直接調製してもよく、又は水若しくはメタノール等の非溶媒中にポリマー溶液から沈殿させ、次いで、回収した固体ポリマーを減圧下で乾燥させることによって、コポリアミド酸化合物a)を固体形態で単離してもよい。更なる精製が必要な場合、ポリアミド酸を溶媒に溶解させ、そして、非溶媒で沈殿させる手順を繰り返してもよい。本発明に係る配向組成物を基板にコーティング又は印刷して、液晶の光配向のための配向層を提供する場合、ポリアミド酸構造の大部分をポリイミド構造に変換するためには、通常、80℃~230℃の温度範囲における熱処理工程が必須である。
【0113】
あるいは、80℃~200℃の温度に加熱することによって、及び/又は例えば無水酢酸若しくは無水トリフルオロ酢酸等の脱水剤を添加することによって、最初に形成されるポリアミド酸溶液を、本発明の組成物を調製する前に、部分的に又は完全にポリイミド溶液に変換することも可能である。脱水環化反応は、三級アミン、例えば、トリエチルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、又はピリジンによって触媒することもできる。これら環化手順を用いることによって、イミド環の一部が実際にはイソイミド構造の形態とすることも可能である。
【0114】
上記の通り調製されたポリイミドコポリマーをそのまま用いて本発明の光配向組成物を直接調製してもよく、又は水若しくはメタノール等の非溶媒中にポリマー溶液から沈殿させ、次いで、回収した固体ポリマーを減圧下で乾燥させることによって、ポリイミドコポリマーを固体形態で単離してもよい。更なる精製が必要な場合、ポリイミドを溶媒に溶解させ、そして、非溶媒で沈殿させる手順を繰り返してもよい。
【0115】
アミン分子当量に対する無水物分子当量の比を介して、ポリイミド及び/又はポリアミド酸コポリマーの適切な平均分子量を調整することに加えて、ポリマー合成中に、連鎖停止剤とも呼ばれる末端鎖修飾剤を添加することが有利である場合もある。ジアミンが化学量論的に過剰であるために第1のコポリマーがアミン末端基を含有する場合、二無水物に加えて一官能性無水物を用いてもよい。二無水物が化学量論的に過剰であるために第1のコポリマーが無水物末端基を含有する場合、ジアミンに加えて一官能性アミンを用いてもよい。
【0116】
末端鎖修飾剤の量は、好ましくは、合成において用いられる二無水物及びジアミンの総量に対して10重量%以下の範囲内である。末端鎖修飾剤の例は、一官能性無水物、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、n-デシルコハク酸無水物、n-ドデシルコハク酸無水物、n-テトラデシルコハク酸無水物、及びn-ヘキサデシルコハク酸無水物である。他の末端修飾剤は、モノアミン、例えば、アニリン、n-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、n-ノニルアミン、n-デシルアミン、n-ウンデシルアミン、及びn-ドデシルアミンである。
【0117】
本発明に係る更なる一実施態様は、反復ブロック単位を含むブロックコポリマーの形態の、本発明に係るコポリマー化合物である:
..[ブロックB]…[ブロックC]..
(式中、ブロックBは、少なくとも1つの分子型の二無水物
【化32】

及び少なくとも1つの分子型の式(Ia)及び/又は(Ib)
【化33】

に係る二価ジアミンに由来するプレ重合反復構造単位を含み、
そして、ブロックCは、少なくとも1つの分子型の二無水物
【化34】

及び少なくとも1つの分子型の式(IIIa)及び/又は(IIIb)
【化35】

の二価ジアミンに由来するプレ重合反復構造単位を含む。
b及びcは、ポリマー鎖中の反復ブロック単位の数を示す整数であり、そして、n及びmは、b×n+c×mが10~1000の値になるようなブロックB及びブロックC中の反復構造単位の数を示す整数である)。
【0118】
ブロックコポリマー..[ブロックB]…[ブロックC]..は、当技術分野において公知の幾つかの方法によって調製することができる。1つの方法(方法A)では、二無水物又はジアミンのいずれかを化学量論的にモル過剰用いて溶媒又は溶媒混合物中で第1の二無水物と第1のジアミンとを反応させることによって、第1のブロック(例えば、ブロックB)をプレ重合させる。二無水物が過剰の場合、第1のブロックは、プレポリマー鎖中に無水物末端基を含有する。ジアミンが過剰の場合、第1のブロックは、プレポリマー鎖中にアミン末端基を含有する。
【0119】
次いで、第2のブロック(例えば、ブロックC)の第2の二無水物及び第2のジアミンを、プレ重合させた第1のブロックの反応溶液に添加し、そして、反応させて、第2のブロックを与え、それによって、化学量論的にモル過剰の第2の二無水物又は第2のジアミンは、以下に従って選択される:
i)第1の二無水物が過剰であるために第1のブロックが無水物末端基を含有する場合、第2のブロックのための第2のジアミンをモル過剰で用いる。これにより、第2のブロックではアミン末端基が生じる。
ii)第1のジアミンが過剰であるために第1のブロックがアミン末端基を含有する場合、第2のブロックのための第2の二無水物をモル過剰で用いる。これにより、第2のブロックでは無水物末端基が生じる。
【0120】
i)に従ってアミン末端基を有する第2のブロックが形成されたとき、それは、無水物末端基を含有する第1のブロックと同時に反応して、ブロックコポリマーとして化合物(I)を生成する。
【0121】
ii)に従って無水物末端基を有する第2のブロックが形成されたとき、それは、アミン末端基を含有する第1のブロックと同時に反応して、ブロックコポリマーとして化合物(I)を生成する。
【0122】
非ブロックポリマーについて上に記載したのと同様に、化合物(I)の平均分子量を制限するために末端鎖修飾剤を用いてもよい。
【0123】
別の方法(方法B)では、二無水物又はジアミンのいずれかを化学量論的にモル過剰用いて溶媒又は溶媒混合物中で第1の二無水物と第1のジアミンとを反応させることによって、第1のブロック(例えば、ブロックB)をプレ重合させる。二無水物が過剰の場合、第1のブロックは、プレポリマー鎖中に無水物末端基を含有する。ジアミンが過剰の場合、第1のブロックは、プレポリマー鎖中にアミン末端基を含有する。次いで、二無水物又はジアミンのいずれかを化学量論的にモル過剰用いて、溶媒又は溶媒混合物中で第2の二無水物と第2のジアミンとを反応させることによって、第2のブロック(例えば、ブロックC)を別々に調製する。二無水物が過剰の場合、第2のブロックは、プレポリマー鎖中に無水物末端基を含有する。ジアミンが過剰の場合、第2のブロックは、プレポリマー鎖中にアミン末端基を含有する。次いで、第1のブロックを第2のブロックと反応させて、ブロックポリマーの形態の化合物(I)を生成するが、ただし、
i)第1のブロックが無水物末端基を含有する場合、第2のブロックは、アミン末端基を含有していなければならず、そして、
ii)第1のブロックがアミン末端基を含有する場合、第2のブロックは、無水物末端基を含有していなければならない。
【0124】
方法A及びBはいずれも、ブロックポリマーとして化合物b)を調製するのに等しく有用であるが、簡便性及び経済的優位性から方法Aが好ましい。
【0125】
ポリイミド及び/又はポリアミド酸のオリゴマー及びポリマー(コポリマーを含む)の分類の好ましい光反応性化合物は、高分子化学又は液晶配向材料の分野の当業者に公知の方法によって調製することができる。該化合物は、好ましくは、少なくとも1つのテトラカルボン酸二無水物
【化36】

を、分子構造中に光配向基を含む少なくとも1つのジアミンHN-P-NHと、有機溶媒又は溶媒混合物中で反応させることによって合成される。
【0126】
合成において用いられるアミン官能基に対する無水物官能基の比率は、任意に選択してよいが、例えば、その固有粘度[η]によって表される通り、得られる光活性ポリマー化合物の平均分子量をある程度決定する。好ましくは、アミン分子当量に対する無水物の分子当量の比は、0.75~1.25の範囲である。
【0127】
有機溶媒又は溶媒混合物の種類は、主に形成される光配向ポリアミド酸が溶解する限り、特に限定されない。高い誘電率及び高い極性を有するが、酸性水素原子を有しない非プロトン性極性溶媒、例えば、N-メチルピロリドン又はN-エチルピロリドン、及びガンマ-ブチロラクトン等が好ましい。N-メチルピロリドン及びN-エチルピロリドン、又はN-メチルピロリドン及び/若しくはN-エチルピロリドンとガンマ-ブチロラクトンとの混合物が特に好ましい。
【0128】
溶媒又は溶媒混合物の量は、特に限定されない。好ましくは、反応混合物の総量(溶媒+二無水物+ジアミン)に対して約99重量%~60重量%の範囲内で選択する。ポリアミド酸溶液の取り扱いを容易にし、また、ポリマー濃度を調整する、例えば、他の成分と混合する前に溶媒を更に蒸発させることによってポリマー濃度を調整する必要なしに、本発明の光配向組成物の次の調製を実施できるように、溶媒の量を選択することが便利である。
【0129】
ポリマー合成は、-20℃~約150℃、好ましくは、-10°~120℃、より好ましくは、-10℃~80℃の温度で実施され、反応時間は、好ましくは、30分間~48時間の範囲である。
【0130】
最初に形成される反応生成物は、主に、アミン基の環状無水物基への開環付加に由来するポリアミド酸の形態である。それを、そのまま用いて本発明の光配向組成物を直接調製してもよく、又は水若しくはメタノール等の非溶媒中にポリマー溶液から沈殿させ、次いで、回収した固体ポリマーを減圧下で乾燥させることによって、ポリアミド酸化合物(II)を固体形態で単離してもよい。更なる精製が必要な場合、ポリアミド酸を溶媒に溶解させ、そして、非溶媒で沈殿させる手順を繰り返してもよい。ポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物並びに本発明に係る光配向基を含む光活性化合物を用いる配向組成物を基板にコーティング又は印刷して、液晶の光配向のための配向層を提供する場合、ポリアミド酸構造の大部分をポリイミド構造に変換するためには、通常、80℃~230℃の温度範囲における熱処理工程が適用される。
【0131】
あるいは、80℃~200℃の温度に加熱することによって、及び/又は脱水剤、例えば無水酢酸若しくは無水トリフルオロ酢酸を添加することによって、本発明の組成物を調製する前に、最初に形成される光活性化合物のポリアミド酸溶液を部分的に又は完全にポリイミド溶液に変換することも可能である。脱水環化反応は、三級アミン、例えばトリエチルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、又はピリジンによって触媒することもできる。これら環化手順を用いることによって、イミド環の一部が実際にはイソイミド構造の形態とすることも可能である。
【0132】
上記の通り調製されたポリイミド化合物をそのポリマー溶液の形態で用いて本発明の光配向組成物を直接調製してもよく、又は水若しくはメタノール等の非溶媒中にポリマー溶液から沈殿させ、次いで、回収した固体ポリマーを減圧下で乾燥させることによって、ポリイミド化合物を固体形態で単離してもよい。更なる精製が必要な場合、ポリイミドを溶媒に溶解させ、そして、非溶媒で沈殿させる手順を繰り返してもよい。
【0133】
アミン分子当量に対する無水物分子当量の比を介して、ポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物の適切な平均分子量を調整することに加えて、ポリマー合成中に、連鎖停止剤とも呼ばれる末端鎖修飾剤を添加することが有利である場合もある。ジアミンが化学量論的に過剰であるために光活性化合物がアミン末端基を含有する場合、二無水物に加えて一官能性無水物を用いてもよい。二無水物が化学量論的に過剰であるために光活性化合物が無水物末端基を含有する場合、ジアミンに加えて一官能性アミンを用いてもよい。
【0134】
末端鎖修飾剤の量は、好ましくは、合成において用いられる二無水物及びジアミンの総量に対して10%以下の範囲内である。
【0135】
末端鎖修飾剤の例は、一官能性無水物、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、n-デシルコハク酸無水物、n-ドデシルコハク酸無水物、n-テトラデシルコハク酸無水物、及びn-ヘキサデシルコハク酸無水物である。他の末端修飾剤は、モノアミン、例えば、アニリン、n-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、n-ノニルアミン、n-デシルアミン、n-ウンデシルアミン、及びn-ドデシルアミンである。
【0136】
本発明の製剤の総重量に対する光配向化合物a)及び化合物b)の重量の合計は、0.5重量%~30重量%、好ましくは、1重量%~20重量%、より好ましくは、2重量%~10重量%、更により好ましくは、9重量%以下、又は8重量%以下、又は7重量%以下、又は6重量%以下、又は5重量%以下、又は4重量%以下、又は3重量%以下である。
【0137】
好ましくは、本発明に係る光配向組成物は、溶液の形態である。本願で用いられる溶媒又は溶媒混合物は、該光配向組成物を溶解することができ、そして、良好な取り扱い性能、良好な保存安定性、適切な粘度、及び溶液の基板材料への良好な塗布性又は印刷性等の必須の特性を提供する限り、任意の種類であってよい。
【0138】
本発明の組成物のための溶媒又は溶媒混合物(本発明の更なる実施態様の光配向組成物ではc)と称される)の非限定的な例は、以下の群の溶媒を含む:
(i)非プロトン性極性溶媒、例えば、N-メチルピロリドン;N-エチルピロリドン;N-ビニルピロリドン;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルアセトアミド;1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン;ジメチルスルホキシド。
(ii)エステル溶媒、例えば、酢酸メチル;酢酸エチル;酢酸n-プロピル;酢酸イソプロピレン;酢酸n-ブチル;酢酸イソブチル;酢酸n-アミル;酢酸イソアミル;プロピオン酸イソプロピル;プロピオン酸n-ブチル;プロピオン酸n-ペンチル;プロピオン酸イソブチル;イソ酪酸イソブチル;2-エチルヘキシルアセテート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート;プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート;1-メトキシプロピルアセテート;2-ヒドロキシエチルアセテート;2-ヒドロキシエチルプロピオネート;2-ヒドロキシ-2-メチルエチルプロピオネート;シクロヘキサノールアセテート;プロピレングリコールジアセテート;ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート;1,4-ブタンジオールジアセテート;1,6-ヘキサンジオールジアセテート;ブチルセロソルブアセテート;乳酸エチル;乳酸n-プロピル;乳酸イソプロピル;メチル3-メトキシプロピオネート;メチル3-エトキシプロピオネート;エチル3-メトキシプロピオネート;エチル3-エトキシプロピオネート。
(iii)ラクトン、例えば、ガンマ-ブチロラクトン;カプロラクトン。
(iv)ケトン、例えば、アセトン;メチルエチルケトン;メチルプロピルケトン;メチルイソブチルケトン;2-ヘプタノン;3-ヘプタノン;4-ヘプタノン;メチルイソアミルケトン(2-メチル-5-ヘキサノン);ジイソブチルケトン;5-メチル-3-ヘプタノン;2-オクタノン;イソホロン;メシチルオキシド;シクロヘキサノン;3,3,5-トリメチルシクロヘキサニオン;シクロペンタノン。
(v)カーボネート、例えば、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチル-プロピルカーボネート。
(iv)グリコール及びグリコールエーテル、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル;エチレングリコールモノブチルエーテル;エチレングリコールモノヘキシルエーテル;エチレングリコールモノイソプロピルエーテル;エチレングリコールモノプロピルエーテル;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;ジエチレングリコールモノブチルエーテル;ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル;ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノエチルエーテル;プロピレングリコールモノプロピルエーテル;プロピレングリコールモノブチルエーテル;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル;ジプロピレングリコールモノブチルエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル;ジエチレングリコールジエチルエーテル;プロピレングリコールジメチルエーテル;ジプロピレングリコールジメチルエーテル;ジプロピレングリコールメチルn-プロピルエーテル。
(vii)エーテル、例えば、アニソール;テトラヒドロフラン;2-メチルテトラヒドロフラン;ジオキサン;メチルtert-ブチルエーテル。
(viii)ニトリル、例えば、アセトニトリル;イソバレロニトリル;2-メチルブチロニトリル。
(ix)アセタール、例えば、エチラール(ホルムアルデヒドジエチルアセタール);プロピラール(ホルムアルデヒドジ-n-プロピルアセタール);ブチラール(ホルムアルデヒドジ-n-ブチルアセタール);1,3-ジオキソラン;2,5,7,10-テトラオキサウンデカン。
(x)アルコール、例えば、イソプロパノール;イソブタノール;ブタノール;ペンタノール;イソペンタノール;シクロヘキサノール;n-ヘキサノール;メチルイソ-ブチル-カルビノール;1-メトキシプロパノール;2-エチル-1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール。
(xi)ハロゲン化炭化水素溶媒、例えば、ジクロロメタン;1,2-ジクロロエタン;1,4-ジクロロブタン;トリクロロエタン;クロロベンゼン;o-ジクロロベンゼン;α,α,α-トリフルオロトルエン。
(xii)炭化水素、例えば、ヘキサン;ヘプタン;オクタン;ノナン;デカン;ウンデカン;ベンゼン;トルエン;キシレン。
【0139】
本発明の組成物中の溶媒又は溶媒混合物の種類及び割合は、主に、光学及び電気光学的素子及び装置を製作するための液晶配向膜又はコーティング層を調製するために用いられるコーティング又は印刷の方法に依存する。
【0140】
本発明の組成物を印刷又はコーティングする公知の方法は、スピンコーティング、ロールコーティング、及び印刷法、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、及びインクジェット印刷を含む。これらの中でも、特に、例えばTVディスプレイ等のより大きな装置を調製するために、インクジェット印刷が最近高い人気を博している。各種方法は、それぞれ、規格通りのコーティング厚さ、良好な展延性、及びコーティング欠陥が無い等の優れたコーティング結果を提供するために、製剤中の溶媒成分の種類及び濃度の適切なバランスを必要とする。該組成物は、特定のコーティング又は印刷の方法に限定されないので、溶媒の精密な選択肢を与えることはできない。
【0141】
更に、取り扱い特性、コーティング品質を改善するために、又は粘度を調整するために、前記製剤は、更に、極性のプロトン性若しくは非プロトン性の貧溶媒、又は無極性の貧溶媒を含んでいてもよい。極性のプロトン性又は非プロトン性の貧溶媒の例は、限定するものではないが、溶解したポリアミド酸及び/又はポリイミドが沈殿しない限り、例えば、アセタール、アルコール、モノアルキル化又はジアルキル化されたグリコール、カルボン酸エステル、好ましくは、高度に分岐したアルコキシ脂肪族カルボン酸エステル、ラクテート、ケトン、好ましくは、高度に分岐したエーテル、カーボネート、ニトリル等の群を含む。無極性の貧溶媒の例は、限定するものではないが、溶解したポリアミド酸及び/又はポリイミド(I)若しくは(III)又は光配向材料が沈殿しない限り、例えば、炭化水素及びハロゲン化炭化水素の溶媒等の群を含む。特に好ましい極性のプロトン性又は非プロトン性の貧溶媒は、モノアルキル化又はジアルキル化されたグリコールエーテル、及びアルコキシ脂肪族カルボン酸エステル、例えば、エチル3-エトキシプロピオネートを含む。
【0142】
本発明の組成物の総重量に対する溶媒又は溶媒混合物c)の重量は、99.5重量%~70重量%、好ましくは99重量%~80重量%、そして、より好ましくは98重量%~90重量%である。
【0143】
更に、本発明の光配向組成物は、任意選択的に、1つ又は幾つかの添加剤を含んでいてよい。該添加剤は、本組成物の特定の性能基準、例えば、コーティング及び印刷の挙動、保存安定性、並びに色形成の阻害等を改善することに加えて、例えば、本組成物から作製される配向層の機械的及び熱的特性、並びに光配向特性を改善するために、一般的に、少量使用される。該添加剤は、一般的に、抗酸化剤、阻害剤、安定剤、表面活性剤、流動性向上剤、消泡剤、増感剤、接着促進剤、チキソトロープ剤、顔料、反応開始剤、核形成剤、清澄剤、帯電防止剤、スリップ剤、シリカ、タルク、安定剤、UV安定剤、滑沢剤、カップリング剤、抗菌剤、架橋剤、界面活性剤、光活性剤、感光剤、光生成剤、及びその他等の群に分類される。シラン含有化合物及びエポキシ含有架橋剤等の添加剤を添加してもよい。好適なシラン含有添加剤は、Plast. Eng. 36 (1996), (Polyimides, fundamentals and applications), Marcel Dekker, Inc.に記載されている。好適なエポキシ含有架橋添加剤は、4,4’-メチレン-ビス-(N,N-ジグリシジルアニリン)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸1,2,4,5-N,N’-ジグリシジルジイミド、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、N,N-ジグリシジル-シクロヘキシルアミン等を含む。他の好適な添加剤は、2,2-ジメトキシフェニルエタノン、ジフェニルメタノンとN,N-ジメチルベンゼンアミン若しくはエチル4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートとの混合物、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、Irgacure(登録商標)500(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトンとベンゾフェノンとの1:1重量混合物)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、又はミヒラーケトンを含む。非限定的な例は、ヒドロキノン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)、4-エトキシフェノール、4-メトキシフェノール、フェノチアジン、及びN-フェニル-2-ナフチルアミンである。前記組成物中の添加剤の量は、一般的に、該組成物の総重量に対して20%未満、好ましくは10%未満、そして、より好ましくは5%未満である。
【0144】
本発明の定義及び好ましい態様に従う光配向組成物は、任意選択的に、有機溶媒を更に含む。有機溶媒の例は、クロロベンゼン、ピロリドン溶媒、好ましくは、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン;イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、トルエン、クロロホルム、有機エステル、例えば、アセチル酢酸エステル又はブチル酢酸エステル、ペンチル酢酸エステル、ヘキシル酢酸エステル;更に、ガンマ-ブチロラクトン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジペンチルエーテルジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジ-イソ-ブチルケトンモノエチレングリコールジメチルエーテル等である。これら溶媒は、単独で又はこれらの混合物で使用することができる。
【0145】
本発明は、式(Ia)及び/又は(Ib)のジアミン由来の繰り返し構造単位を含み、そして、任意選択的に、式(IIIa)及び/又は(IIIb)のジアミン由来の繰り返し構造単位を含む、ポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物の分類由来の非光反応性のポリマー又はコポリマーを特に含む、液晶を配向させるための光配向組成物に関する。これら組成物を上記配向組成物で使用したとき、該組成物は、電圧保持率及びACメモリ等の電気的性能に悪影響を及ぼすことなく、液晶のプレチルト角の安定性を改善する。
【0146】
例えば、ベーキング温度、印刷方法、LCD装置等の電気光学素子又は非構造化若しくは構造化された光学素子の調製中に使用されるシーラント及び他の化学化合物、並びに該組成物が塗布される基板等、液晶のプレチルト角に影響を与え得る多くの要因が存在する。
【0147】
本発明の光配向組成物は、該光配向組成物を含む配列層において使用される。該配列層は、任意選択的に、重合性液晶を更に含んでいてもよい。
【0148】
本発明の配列層は、ポリマーゲル、ポリマーネットワーク、ポリマーフィルム等の形態の配列層であり、液晶のための配列層として使用することができると理解される。このような配列層は、電気光学素子又は非構造化若しくは構造化された光学素子の製造において使用することができる。
【0149】
本発明との関係では、「配列層」という用語は、「配列膜」と同じ意味を有する。
【0150】
本発明との関係では、ポリマー又はオリゴマーの層は、好ましくは配列層である。
【0151】
本発明との関係では、「ポリマー又はオリゴマーの層」という用語は、「ポリマー層、コポリマー層、ホモポリマー層、又はオリゴマー層」の意味を有する。
【0152】
本発明に係る組成物は、用途に応じて、単独で使用してもよく、又は他の組成物若しくは材料と併用してもよい。したがって、製剤の組成を変化させることによって、特定の所望の特性、例えば、誘導されるプレチルト角、又は傾きの抑制、良好な配向品質、コントラスト比、良好な表面湿潤性、高い電圧保持率、特定のアンカリングエネルギー、残像(image sticking)等を制御することが可能であると理解される。
【0153】
配列層は、好適には、本発明に係る光配向組成物から調製される。該光配向組成物は、厚さ0.05~50μmの均質な層が生成されるように、任意選択的に電極でコーティングされた支持体[例えば、酸化インジウムスズ(ITO)でコーティングされたガラス板]に塗布される。このプロセスでは、スピンコーティング、メニスカスコーティング、ワイヤコーティング、スロットコーティング、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷等の様々なコーティング技術を使用してよい。次いで、又は任意選択的に、前のイミド化工程後に、偏光子、及び任意選択的に、構造のイメージを作成するためのマスクを使用して、例えば、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、又はパルス紫外線レーザで、配列される領域に照射する。
【0154】
照射時間は、個々のランプの出力に依存し、そして、数秒間~数時間で変動し得る。しかし、例えば、架橋反応に好適な放射線のみを通過させるフィルタを使用した均質な層の照射によって、光反応(二量体化、重合、架橋)を実行させることもできる。「光反応」が「光、好ましくは配向光に曝露することによる反応」を意味することは、本発明の意味の範囲内である。
【0155】
本発明の配列層は、少なくとも1層の配列層を有する光学又は電気光学的装置に加えて、非構造化及び構造化された光学素子並びに多層システムの生産において使用され得ることが理解される。
【0156】
本発明の更なる目的は、本発明に係る光配向組成物を配向光に曝露することによって配列層を調製する方法を提供することである。好ましくは、光配向材料の側鎖の光反応性基は、配向光に曝露されることによって反応する。
【0157】
本発明との関係では、光反応性基という用語は、光、好ましくは配向光との相互作用によって反応することができる基という意味を有する。
【0158】
配向光による処理は、単一工程又は幾つかの別個の工程で実施してよい。本発明の好ましい実施態様では、配向光による処理は、単一工程で実施される。
【0159】
本発明との関係では、光反応性基は、好ましくは、二量体化可能、異性化可能、重合可能、及び/又は架橋可能な基の意味を有する。
【0160】
本発明との関係では、配向光、好ましくは偏光は、光配向を開始させることができる波長の光である。好ましくは、該波長は、UV-A、UVB、及び/若しくはUV-Cの範囲、又は可視範囲内である。どの波長が適切であるかは光配向化合物に依存する。好ましくは、光反応性基は、可視光及び/又は紫外線に対して感受性である。本発明の更なる実施態様は、レーザ光による配向光の生成に関する。
【0161】
配向光の即時方向(instant direction)は、基板に対して垂直であってもよく又は任意の斜角を成していてもよい。
【0162】
より好ましくは、配向光は、少なくとも部分的な直線偏光、楕円偏光(例えば円偏光)であるか、又は非偏光であり;最も好ましくは、少なくとも円偏光若しくは部分的直線偏光、又は斜めに曝露される非偏光である。特に、最も好ましい配向光は、実質的に偏光している光、特に直線偏光している光を意味するか;又は配向光は、斜め照射によって印加される非偏光を意味する。
【0163】
偏光方向は、配向層表面と曝露中の偏光の偏光面との交差線を意味するものとする。偏光が楕円偏光している場合、偏光面は、光の入射方向及び偏光楕円の長軸によって画定される平面を意味するものとする。
【0164】
偏光方向という用語は、本発明との関係では、曝露プロセス時間中の方向を説明するだけでなく、曝露後に、曝露中に印加されたときの配向層上の偏光の方向を指すためにも使用される。
【0165】
ポリマー又はオリゴマーの層は、本発明の光配向組成物から容易に調製することができ、そして、本発明の更なる実施態様は、該光配向組成物を含み、そして、好ましくは配向光で処理することによって調製される配列層に関する。
【0166】
ポリマー又はオリゴマーの層は、好ましくは、本発明に係る光配向組成物を支持体に塗布し、続いて、溶媒及び/又は添加剤を蒸発させ、そして、イミド化後又はイミド化せずに、ポリマー又はオリゴマー又はポリマー混合物又はオリゴマー混合物に配向光を照射することによって調製される。このような配列層も本発明の目的である。配向光は、上に与えられた意味及び好ましい態様を有する。
【0167】
用語「支持体」は、本発明との関係で使用されるとき、好ましくは、透明であるか又は非透明であり、好ましくは、ガラス又はプラスチックの基板、任意選択的に、酸化インジウムスズ(ITO)でコーティングされたポリマーフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリプロピレンであるが、これらに限定されない。
【0168】
一般的に、本発明に係る光配向組成物は、当技術分野において公知の一般的なコーティング及び印刷の方法によって塗布され、例えば、スピンコーティング、メニスカスコーティング、ワイヤコーティング、スロットコーティング、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷を使用してよい。コーティング方法は、例えば、スピンコーティング、エアドクターコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースロールコーティング、転写ロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスロールコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダコーティング、電着コーティング、ディップコーティング、又はダイコーティングである。
【0169】
印刷方法は、例えば、レリーフ印刷(例えばフレキソ印刷)、インクジェット印刷、凹版印刷(例えば直接グラビア印刷又はオフセットグラビア印刷)、リソグラフ印刷(例えばオフセット印刷)、又はステンシル印刷(例えばスクリーン印刷)である。
【0170】
本発明の更なる実施態様は、非構造化又は構造化された配列層に関する。
【0171】
更に、本発明は、構造化されたポリマー層、コポリマー層、又はオリゴマー層の調製プロセスであって、該ポリマー又はオリゴマーの層内の配列方向及び/又はチルト角を変化させることを含むプロセスに関する。この配列方向及び/又はチルト角の変化は、例えば、配向光の照射方向を制御することによって実施することができる。該ポリマー又はオリゴマーの層の特定の領域に選択的に照射することによって、該層の極めて特定された領域を配向させることができると理解される。このように、既定のチルト角を有する層を提供することができる。
【0172】
照射時間は、個々のランプの出力に依存し、そして、数秒間~数時間で変動し得る。しかし、フィルター、例えば、反応に好適な放射線のみを通過させるフィルタを使用する均質な層の照射によって、光反応を実行させることもできる。
【0173】
更に好ましいのは、ポリマー層、コポリマー層、若しくはオリゴマー層を調製するプロセスであって;ポリマー層若しくはオリゴマー層の平面的多領域平面配向を調製するためのプロセス;及び/又は本発明の所与の意味及び好ましい態様内のチルト角を有するポリマー層、コポリマー若しくはオリゴマーの層を調製するためのプロセスである。
【0174】
本発明の更に好ましい実施態様は、本発明に係る1つ以上の光配向組成物を含む配列層に関する。
【0175】
本発明との関係では、配列層は、配向層と同じ意味及び好ましい態様を有する。
【0176】
本発明は、液晶を垂直配向するための上に記載した通りの、本発明に係る配列層に関する。本発明の好ましい実施態様では、該配列層は、液晶の垂直配向のため、そして、チルト角を不安定化させ得る材料の存在下でさえも該チルト角を安定化させるために使用される。
【0177】
チルト角という用語は、本発明との関係で使用されるとき、液晶ダイレクタと配向層の表面との間の角度である。液晶ダイレクタは、液晶分子の長軸の平均的方向を意味するものとする。本発明との関係では、垂直配向とは、チルト角が70°超、75°超、好ましくは、80超°、85°超、より好ましくは、85°~90°、更により好ましくは、86°~87°、又は87°~88°、88°~89°、又は89°~90°であることを意味するものとする。
【0178】
本発明の好ましい方法は、配向光の照射方向を制御することによって配列層内の配列方向を変化させる、及び/又は選択的に照射することによって配列層の特定の領域を配向させる方法に関する。
【0179】
更に、本発明は、好ましくは、隣接する液晶層の垂直配向を誘導するための、本発明に係る配列層の使用に関する。
【0180】
一般的に、液晶組成物又は液晶層は、特に限定されない。したがって、液晶組成物又は液晶層は、公的に知られている様々な液晶材料のいずれかで作製することができる。液晶組成物又は液晶層は、ディスプレイ用途と同じ又は異なる液晶材料で作製することができる。
【0181】
本発明の更なる実施態様は、液晶組成物の配向、特に垂直配向のための配列層の使用に関し、前記液晶組成物は、
-a)1つ以上の重合性液晶モノマーを含む、又は該重合性液晶モノマーの重合形態である1つ以上の液晶ポリマー若しくはオリゴマーを含む液晶組成物、及び/あるいは
-b)1つ以上の重合性液晶モノマーを含む、又は該重合性液晶モノマーの重合形態である1つ以上の液晶ポリマー若しくはオリゴマーを含む液晶組成物であって、一対の配列層の間に挟まれている液晶組成物、である。
【0182】
液晶ポリマー(LCP)の例は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2012/114907(A1)号に記載されている。
【0183】
本発明の液晶組成物は、重合性モノマー、又は該重合性モノマーの重合形態であるポリマー若しくはオリゴマーを含み得る。重合性モノマー又はポリマー若しくはオリゴマーは、二官能性である、及び/又は剛性コア(例えば、ベンゼン)を有する。更に好ましいのは、1つ以上の環又は縮合環構造と、該環又は縮合環構造に直接結合している官能基とを有する、重合性モノマー、又はポリマー若しくはオリゴマーである。
【0184】
更なる実施態様では、本発明は、液晶ディスプレイを製造する方法に関する。
【0185】
本発明との関係では、用語「ディスプレイ」は、用語「パネル」と同じ意味を有する。
【0186】
本発明に係る一実施態様では、液晶ディスプレイを製造する方法であって、本発明に従って調製される配列層上に少なくとも単一のLCP又は液晶型を塗布する工程と、任意選択的に、該LCPを重合させる工程とを含む方法に関する。
【0187】
液晶は、任意の量で配列層上に塗布してよいので、該量は特に限定されない。該量は、例えば、液晶層のそれぞれの厚さに従って適宜設定することができる。
【0188】
更に、本発明は、液晶ディスプレイを製造する方法であって、液晶組成物を本発明に係る少なくとも単一の配列層、好ましくは互いに対向する2層の配列層と接触させることを含む方法に関する。
【0189】
より具体的には、液晶ディスプレイ、好ましくは、液晶の垂直配向を含むLCD、更にとりわけ本発明に係る配列層及び電極を含むLCDを調製するプロセスは、材料の偏光への曝露、好ましくは第1の曝露を実施する工程を含み、該曝露は、偏光に対して垂直な液晶の配列方向を誘導する、又は/及び曝露、好ましくは第1の曝露は、液晶の配列方向及び偏光方向が70°超の角度となるように誘導する、又は/及び偏光への曝露、好ましくは第1の曝露は、該電極と該偏光方向との間の角度が>70°で実施される。該電極は、好ましくは、平行ストリップ、ジグザグ又は櫛状の電極の形態である。
【0190】
本発明の更なる目的は、本発明に係る組成物又は配列層を含む、非構造化又は構造化された光学又は電気光学的素子に関する。
【0191】
電気光学装置は、1層超の配列層を含み得る。該層又は各層は、異なる空間配列の1つ以上の領域を含有し得る。
【0192】
好ましい実施態様では、該素子は、液晶ディスプレイセルである。
【0193】
本発明との関係では、素子、装置、セル、構造は全て、本発明に係る配列層によって配列される液晶を含む対象物を指す。
【0194】
好ましくは、本発明は、更に、互いに対向する一対の基板を含む、非構造化又は構造化された素子、光学又は電気光学的装置、特にLCDであって、該基板が、本発明に係る一対の配列層と、
a)任意選択的に、その配列層上に形成されるLCPポリマーフィルム、又は
b)該一対の配列層の間に挟まれている液晶組成物と
を備える非構造化又は構造化された素子、光学又は電気光学的装置に関する。
【0195】
本発明は、また、液晶を配向させるためのこのような配列層の使用に関し、好ましくは非構造化又は構造化された光学又は電気光学的素子の製造における、好ましくは、ハイブリッド層素子の生産における、液晶を配向させるためのこのような配列層の使用に関する。これら光学又は電気光学的装置は、少なくとも1層の配列層に加えて、非構造化及び構造化された光学素子及び多層システムを有する。該層又は各層は、異なる空間配列の1つ以上の領域を含有し得る。
【0196】
好ましくは、本発明は、本発明に係る少なくとも1層のポリマー層、コポリマー若しくはオリゴマーの層を含む、非構造化又は構造化された光学及び電気光学的構成素子、好ましくは、液晶ディスプレイセル、多層及びハイブリッド層の素子に関する。
【0197】
本発明において、光学又は電気光学的素子という用語は、好ましくは、ディスプレイ導波管、セキュリティ又は銘柄保護素子、バーコード、光回折格子、フィルタ、位相差板(retarder)、補償フィルム、反射偏光フィルム、吸収偏光フィルム、異方散乱フィルム補償器及び位相差フィルム、ねじれ位相差フィルム、コレステリック液晶フィルム、ゲスト-ホスト型液晶フィルム、モノマー波形フィルム、スメクチック液晶フィルム、偏光子、圧電セル、非線形光学特性を示す薄膜、装飾光学素子、輝度向上フィルム、波長帯選択的補償用コンポーネント、多領域補償用コンポーネント、マルチビュー液晶ディスプレイ用コンポーネント、色消し位相差板、偏光状態補正/調節フィルム、光学又は電気光学的センサのコンポーネント、輝度向上フィルムのコンポーネント、光ベースの通信装置用コンポーネント、異方性吸収体を備えるG/H偏光子、反射円偏光子、反射直線偏光子、MC(モノマー波形フィルム)、ねじれネマティック(TN)液晶ディスプレイ、ハイブリッド配向ネマティック(HAN)液晶ディスプレイ、電気的に制御された複屈折(ECB)液晶ディスプレイ、超ねじれネマティック(STN)液晶ディスプレイ、光学的に補償された複屈折(OCB)液晶ディスプレイ、pi-セル液晶ディスプレイ、PLS技術(プレイン・トゥー・ラインスイッチング)、PS-IPS(ポリマー安定化IPS)、イン-プレインスイッチング(IPS)液晶ディスプレイ、例えば、S-IPS(スーパーIPS)、AS-IPS(アドバンスド・スーパーIPS)、E-IPS(エンハンスドIPS)、H-IPS(水平IPS)、UH-IPS、S-IPS II、e-IPS、p-IPS(パフォーマンスIPS)等のIPSモード;磁場誘起光反応性配向IPS、フリンジ場スイッチング(FFS)液晶ディスプレイ;(FPA)磁場誘起光反応性配向;ハイブリッドFPA;VA-IPSモード液晶ディスプレイ、又は青相液晶を使用するディスプレイを作製するための多層システム又は装置の意味を有し;上記ディスプレイ種は全て、透過又は反射又は半透過のモードのいずれかで適用される。
【0198】
更なる例は、本発明を更に説明する例の非限定的な選択である。更なる例は、本発明の組成物が良好な又は非常に良好な残像特性、コントラスト比、電圧保持率を有し、そして、液晶層が汚染された場合でさえも液晶のプレチルト角が安定化することを立証する。
【0199】
実施例
定義
NMP=N-メチル-ピロリドン
【0200】
以下の実施例は、本発明を非限定的に説明する。特に指定しない限り、使用される化合物の化学名はIUPAC規則に従う。
【0201】
UV/Visスペクトルは、室温においてNMPの溶液中でHitachi U2910分光計を用いて測定した。
【0202】
合成例1:
(1.1) 4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)安息香酸の生成
【化37】

4,4,4-トリフルオロブタン-1-オール 55.00g(0.408mol)をテトラヒドロフラン 550mLに溶解させ、トリエチルアミン 142mL(0.102mol)を室温で添加する。メタンスルホニルクロリド 38mL(0.490mol)を窒素下で滴下した。混合物を0~5℃で1時間撹拌する。ベージュ色の懸濁液をHyflo濾過し、そして、テトラヒドロフランで洗浄する。濾液を濃縮する。残渣をNMP 1.4Lに溶解させ、メチル4-ヒドロキシベンゾエート 62.70g(0.408mol)及び炭酸カリウム 226.00g(1.43mol)を淡褐色の溶液に添加する。反応懸濁液を80℃で14時間反応させる。1N NaOH溶液 1L(1.0mol)を上記混合物に添加する。反応が完了するまで、懸濁液を還流温度で30分間加熱する。反応混合物を室温で放冷し、そして、冷水に投入する。溶液を25% HCl溶液で慎重に酸性化し、そして、15分間撹拌する。生成物を濾取し、水で洗浄し、そして、真空下室温で一晩乾燥させて、白色の固形物として4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)安息香酸 99.00gを与える。
【0203】
(1.2) 4-ホルミルフェニル4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエートの生成
【化38】

4-ヒドロキシベンズアルデヒド 6.89g(56.4mmol)、4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)安息香酸 14.0g(56.4mmol)、4-ジメチルアミノピリジン 0.69g(5.6mmol)をジクロロメタン 100mLに溶解させる。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDC塩酸塩) 11.89g(62.0mmol)を0℃で添加する。溶液を0℃で1時間撹拌し、そして、室温で一晩撹拌する。室温で22時間後、反応混合物をジクロロメタンと水との間で分配し;有機相を水で繰り返し洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして、回転蒸発によって濃縮した。0℃で2-プロパノールから結晶化させて、無色の結晶として4-ホルミルフェニル4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート 17.1gを与える。
【0204】
(1.3) (E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エン酸の生成
【化39】

4-ホルミルフェニル4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート 5.00g(14.2mmol)及びマロン酸 3.00g(28.4mmol)をピリジン 18mL(227.1mmol)に溶解させる。ピペリジン 1.21g(14.2mmol)を懸濁液に添加し、これをアルゴン下100℃で1.5時間反応させる。次いで、黄色の溶液を氷上に投入する。溶液を25% HCl溶液でpH=1~2に慎重に酸性化し、そして、15分間撹拌する。生成物を濾取し、そして、真空下室温で10時間乾燥させて、白色の粉末として(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エン酸 5.2gを与える。
【0205】
(1.4) 2-(2,4-ジニトロフェニル)エタノールの生成
【化40】

2,4-ジニトロフェニル酢酸 22.6g(100mmol)をテトラヒドロフラン 150mLに溶解させ、そして、テトラヒドロフラン中1.0M ボラン-テトラヒドロフラン錯体溶液 300mL(300mmol)に2時間のうちに滴下する。25℃で3時間後、水 200mLを慎重に添加する。次いで、反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配し;有機相を水で繰り返し洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして、回転蒸発によって濃縮する。溶出剤として1:1 トルエン:酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲル 400gでクロマトグラフィに供し、そして、酢酸エチル:ヘキサン混合物から結晶化させて、黄色がかった結晶として2-(2,4-ジニトロフェニル)エタノール 20.7gを生成する。
【0206】
(1.5) [4-[(E)-3-[2-(2,4-ジニトロフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート
【化41】

2-(2,4-ジニトロフェニル)エタノール 2.50g(11.8mmol)、(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エン酸 4.65g(11.8mmol)、4-ジメチルアミノピリジン 144mg(1.2mmol)をジクロロメタン 30mLに溶解させる。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDC塩酸塩) 2.48g(13.0mmol)を0℃で添加する。溶液を0℃で1時間撹拌し、そして、室温で一晩撹拌する。室温で22時間後、反応混合物をジクロロメタンと水との間で分配する。有機相を水で繰り返し洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして、回転蒸発によって濃縮する。溶出剤として95:5 トルエン:酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲル 200gでクロマトグラフィに供し、そして、酢酸エチル:ヘキサン混合物から結晶化させて、わずかに黄色がかった結晶として[4-[(E)-3-[2-(2,4-ジニトロフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート 5.33gを生成する。
【0207】
(1.6) [4-[(E)-3-[2-(2,4-ジアミノフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエートの生成
【化42】

[4-[(E)-3-[2-(2,4-ジニトロフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート 5.04g(8.57mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド 54mL及び水 6mLの混合物に溶解させる。塩化第二鉄六水和物 13.9g(51.4mmol)を添加する。亜鉛粉 5.60g(85.7mmol)を60分間以内に少しずつ添加する。混合物を2時間反応させる。次いで、反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配し、そして、濾過する。有機相を水で繰り返し洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして、回転蒸発によって濃縮する。溶出剤としてトルエン:酢酸エチル(3:1)を使用して残渣をシリカゲル 200gで濾過し、そして、酢酸エチル:ヘキサン混合物から結晶化させて、黄色がかった結晶として[4-[(E)-3-[2-(2,4-ジアミノフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート 3.21gを生成した。MS: 528.1 [M+]
1H-NMR (CDCl3, 400MHz): 2.10 (m, 2H), 2.34 (m, 2H), 2.82 (t, 2H), 3.50 (s, 2H), 3.88 (s, 2H), 4.12 (t, 2H), 4.33 (t, 2H), 6.09 (m, 2H), 6.43 (d, 1H), 6.86 (d, 1H), 6.97 (m, 2H), 7.24 (m, 2H), 7.59 (m, 2H), 7.70 (d, 1H), 8.12 ppm (m, 2H).
【0208】
合成例2:
(2.1) 2-(2-カルボキシ-4-ニトロ-フェニル)-5-ニトロ-安息香酸の生成
【化43】

2-(2-カルボキシフェニル)安息香酸 30.0g(120.13mmol)を濃硫酸(96%) 469g(4.59mol)に室温で溶解させる。溶液を-15℃に冷却し、そして、混合物の温度が0℃未満で維持されるように、濃硝酸(69%) 92.4g(1.011mol)及び濃硫酸(96%) 12.0g(0.117mol)の混合物をゆっくり添加する。添加後、溶液を室温で24時間反応させる。混合物を砕氷上に注ぎ、形成された沈殿物を濾過によって回収し、水で洗浄し、そして、真空下室温で10時間乾燥させる。
【0209】
(2.2) [2-[2-(ヒドロキシメチル)-4-ニトロ-フェニル]-5-ニトロ-フェニル]メタノールの生成
【化44】

2-(2-カルボキシ-4-ニトロ-フェニル)-5-ニトロ-安息香酸 3.6g(10.83 mmol)をテトラヒドロフラン 25mLに溶解させ、そして、テトラヒドロフラン中1.0M ボラン-テトラヒドロフラン錯体溶液 65mL(65.02 mmol)に1時間のうちに滴下する。25℃で19時間後、水 50mLを慎重に添加する。1時間後、溶液を1N HCl溶液 10mLでpH=1~2に酸性化し、そして、30分間撹拌する。次いで、反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配し;有機相を水で繰り返し洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして、回転蒸発によって濃縮する。残渣、白色の粉末としての[2-[2-(ヒドロキシメチル)-4-ニトロ-フェニル]-5-ニトロ-フェニル]メタノール 4.2gを更に精製することなく使用する。
【0210】
(2.3) [4-[(E)-3-[[5-ニトロ-2-[4-ニトロ-2-[[(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エノイル]オキシメチル]フェニル]フェニル]メトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエートの調製
【化45】

[2-[2-(ヒドロキシメチル)-4-ニトロ-フェニル]-5-ニトロ-フェニル]メタノール 3.92g(12.8mmol)、(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エン酸 13.20g(33.5mmol)、4-ジメチルアミノピリジン 0.630mg(5.15mmol)をジクロロメタン 200mLに溶解させる。N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド 6.91g(11.16mmol)を0℃で添加する。溶液を0℃で2時間撹拌し、そして、室温で一晩撹拌する。室温で22時間後、反応混合物をジクロロメタンと水との間で分配する。有機相を水で繰り返し洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして、回転蒸発によって濃縮する。溶出剤として9:1 トルエン:酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲル 150gでクロマトグラフィに供して、白色の結晶として[4-[(E)-3-[[5-ニトロ-2-[4-ニトロ-2-[[(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エノイル]オキシメチル]フェニル]フェニル]メトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート 12.0gを生成した。
【0211】
(2.4) [4-[(E)-3-[[5-アミノ-2-[4-アミノ-2-[[(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エノイル]オキシメチル]フェニル]フェニル]メトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエートの調製
【化46】

[4-[(E)-3-[[5-ニトロ-2-[4-ニトロ-2-[[(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エノイル]オキシメチル]フェニル]フェニル]メトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート 2.27g(2.14mol)をN,N-ジメチルホルムアミド 40mL及び水 3mLの混合物に溶解させる。塩化第二鉄六水和物 3.48g(12.8mmol)を添加する。亜鉛粉 1.40g(21.4 mmol)を40分間以内に少しずつ添加する。混合物を2時間反応させる。次いで、反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配し、そして、濾過する。有機相を水で繰り返し洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして、回転蒸発によって濃縮する。溶出剤として7:3 トルエン:酢酸エチルを使用して残渣をシリカゲル 100gでクロマトグラフィに供して、黄色がかった結晶として[4-[(E)-3-[[5-アミノ-2-[4-アミノ-2-[[(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エノイル]オキシメチル]フェニル]フェニル]メトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート 1.74gを生成した。MS: 997.4 [M+H]+, 1014.4 [M+NH4]+
1H-NMR (DMSO-d6, 400MHz): 1.98 (m, 4H), 2.44 (m, 4H), 4.15 (t, 4H), 4.86 (s, 4H), 5.13 (s, 4H), 6.56 (m, 4H), 6.71 (m, 2H), 6.83 (d, 2H), 7.10 (d, 4H), 7.28 (d, 4H), 7.61 (d, 2H), 7.76 (d, 4H), 8.10 ppm (d, 4H).
【0212】
合成例3:
(3.1) N-(2-アミノフェニル)-3,5-ジニトロ-ベンズアミドの生成
【化47】

-78℃で、乾燥THF 80mLに溶解させた3,5-ジニトロベンゾイルクロリド 5g(21.69mmol)を、乾燥THF 175mLに溶解させたベンゼン-1,2-ジアミン 4.69g(43.37mmol)に滴下する。4時間後、反応混合物を室温に到達させ、そして、脱イオン水 約800mLを添加して、生成物を沈殿させた。沈殿物を濾取し、そして、脱イオン水 100mLですすいだ。酢酸エチル 400mL及びアセトニトリル 1300mL中で加熱還流し、続いて、熱濾過することによって、粗生成物を精製する。溶液を0℃に冷却し、形成された沈殿物を濾過し、酢酸エチル 100mLで洗浄し、そして、40℃のオーブンで乾燥させて、橙色の固形物としてN-(2-アミノフェニル)-3,5-ジニトロ-ベンズアミド 3.77g(収率57%)を与える。
1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 5.09 (s, 2H), 6.44-6.69 (m, 1H), 6.79 (dd, 1H), 6.99-7.05 (m, 1H), 7.15 (dd, 1H), 9.00 (t, 1H), 9.19 (d, 2H), 10.29 ppm (s, 1H).
【0213】
(3.2) 2-(3,5-ジニトロフェニル)-1H-ベンズイミダゾールの生成
【化48】

凝縮器及びNaOH出口を備える3つ口フラスコ内のN-(2-アミノフェニル)-3,5-ジニトロ-ベンズアミド 5.6g(18.53mmol)に、イートン試薬(MeSOH中7%w/w P) 47.5mL(37.06mmol、0.8M)を添加し、そして、130℃で3時間加熱する。反応混合物を室温に到達させ、そして、7% NaCO溶液 1.2Lに慎重に滴下する。沈殿物を濾過し、そして、脱イオン水 500mLで洗浄し、40℃のオーブンで乾燥させて、5.18gを与え、そのうちの4.6gをDMF 180mL中で再加熱し、室温に冷却し、そして、水 7mLを添加する。沈殿物を濾過し、そして、40℃のオーブンで乾燥させて、黄色の固形物として2-(3,5-ジニトロフェニル)-1H-ベンズイミダゾール 2.36g(収率44.8%)を与える。
1H-NMR (DMF-d7, 300 MHz): 7.31-7.38 (m, 2H), 7.73-7.79 (m, 2H), 8.97 (t, 1H), 9.47 (d, 2H), 13.67 ppm (s, 1H).
【0214】
(3.3) 5-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジアミンの生成
【化49】

2-(3,5-ジニトロフェニル)-1H-ベンズイミダゾール 2.5g(8.79mmol)をDMF 100mLに溶解させ、そして、80℃で0.1w% Pt/C及び4bar Hによって水素化する。1.5時間後、熱反応混合物をHyfloパッド上ですすぎ、そして、イソプロピルエーテル 400mL を添加する。赤色の下相を分離し、そして、濃縮乾固し、そして、40℃のオーブンで乾燥させる。固形物を2-プロパノール/トルエン及び2-プロパノール/nヘプタンで再結晶化させて、黄色がかった固形物として5-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジアミン 760mg(収率38.6%)を与える。
1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 4.93 (s, 4H), 5.96 (t, 1H), 6.61 (d, 2H), 7.11-7.23 (m, 2H), 7.51 (s, 2H), 12.51 (s, 1H).
【0215】
合成例4:
(4.1) N-(シアノ-4-ニトロフェニル)-4-ニトロベンズアミドの生成
【化50】

4-ニトロベンゾイルクロリド 28.5g (0.154mol)を、ピリジン 100mLに懸濁させた2-アミノ-5-ニトロベンゾニトリル 25g(0.153mol)に撹拌下で添加し、そして、更にピリジン 100mLを添加する。反応混合物を4時間加熱し、そして、ゆっくりと室温に到達させ、そして、2% HCL溶液 1.5Lに注ぐ。橙色の固形物を濾過し、そして、脱イオン水で十分洗浄する。湿潤粗生成物 67.7gをアセトン 750mL中で再加熱し、熱濾過し、そして、脱イオン水 750mLを添加し、10分間撹拌し、そして、沈殿物を濾過し、そして、40℃のオーブンで乾燥させて、N-(シアノ-4-ニトロフェニル)-4-ニトロベンズアミド 43.44g(収率91%)を与える。
1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 7.92 (d, 1H), 8.22-8.27 (m, 2H), 8.42-8.46 (m, 2H), 8.58 (dd, 1H), 8.81 (d, 1H), 11.36 ppm (s, 1H).
【0216】
(4.2) 6-ニトロ-2-(4-ニトロフェニル)-3H-キナゾリン-4-オンの生成
【化51】

イオン不含水 400mLに溶解させた16% NaOH溶液 320mL及び30% 過酸化水素 91.2mLを、N-(シアノ-4-ニトロフェニル)-4-ニトロベンズアミド 20g(0.064mol)に添加する。橙色の懸濁液を1.5時間加熱し、ゆっくりと室温に到達させ、そして、水 600mLで希釈する。反応混合物を5% HSO 1.2Lに注ぎ、室温で15分間撹拌し、0℃に冷却し、10分間撹拌する。白色の沈殿物を濾過し、そして、脱イオン水 400mLで洗浄する。粗生成物 83gをDMF 500mL中で150℃に再加熱し、ゆっくりと室温に到達させ、0℃で10分間撹拌する。沈殿物を40℃のオーブンで乾燥させて、6-ニトロ-2-(4-ニトロフェニル)-3H-キナゾリン-4-オン 15.48g(収率77.4%)を与える。
1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 7.94 (dd, 1H), 8.36-8.44 (m, 4H), 8.57 (dd, 1H), 8.81-8.82 (m, 1H), 13.25 ppm (s, 1H).
【0217】
(4.3) 6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)-3H-キナゾリン-4-オンの生成
【化52】

6-ニトロ-2-(4-ニトロフェニル)-3H-キナゾリン-4-オン 15.3g(0.049mol)をDMF 500mLに溶解させ、そして、80℃で0.1w% Pt/C及び4bar Hによって水素化する。1時間後、熱反応混合物をHyfloパッド上ですすぎ、そして、水 500mLを添加する。沈殿物を濾過し、そして、40℃のオーブンで乾燥させて、7.9gを与える。5.11gをテクニカルアルコール 700mL及び水 300mLに溶解させ、第1の沈殿物を廃棄し、別の脱イオン水 5Lを添加し、そして、一晩放置する。次の日、沈殿物を濾過し、40℃のオーブンで乾燥させて、黄色がかった固形物として6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)-3H-キナゾリン-4-オン 750mgを与える。
1H-NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 5.49 (s, 2H), 5.64 (s, 2H), 6.59-6.64 (m, 2H), 7.06 (dd, 1H), 7.19 (d, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.86 (d, 2H), 11.69 ppm (s, 1H). LC-MS: 253.1 [M+H]+.
【0218】
調製例1:
ポリアミド酸溶液PAA1の調製
機械的撹拌下で4,4’-ジアミノジフェニルエーテル 2.000gをNMP 15.79gに溶解させる。2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン 0.046gを添加する。混合物を冷却し、そして、更に撹拌する。1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物 1.799gを添加し、そして、室温で撹拌する。生じたポリアミド酸溶液PAA1は、2% の2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを含有し、30℃で0.40dL/gの固有粘度を有する。
【0219】
UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA1 9.8×10-6g/g(NMP)の濃度)中341nmにおいてPAA1に組み込まれた2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンの特徴的なバンドを示した。
【0220】
調製例2:
ポリアミド酸溶液PAA2の調製
調製例1と同様に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル 2.000g、NMP 16.14、2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン 0.093g、及び1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物 1.836gを使用してPAA2を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA2は、4%の2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを含有し、30℃で0.41dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA1と比べて約2倍の強度を有する)中341nmにおいてPAA2に組み込まれた2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンの特徴的なバンドを示した。
【0221】
調製例3:
ポリアミド酸溶液PAA3の調製
調製例1と同様に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル 2.000g、NMP 16.687g、2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン 0.169g、及び1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物 1.896gを使用してPAA3を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA3は、7%の2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを含有し、30℃で0.39dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液中341nmにおいてPAA3に組み込まれた2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンの特徴的なバンドを示した(PAA1と比べて約3.5倍の強度を有する)。
【0222】
調製例4:
ポリアミド酸溶液PAA4の調製
2,2'-ジメチルベンジジン 2.000g、NMP 16.86g、2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン 0.088g、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 2.068gを使用してPAA4を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA4は、4%の2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを含有し、30℃で0.53dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA4 9.8×10-6g/g(NMP)の濃度)中338nmにおいてPAA4に組み込まれた2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンの特徴的なバンドを示した。
【0223】
調製例5:
ポリアミド酸溶液PAA5の調製
調製例4と同様に、2,2'-ジメチルベンジジン 2g、NMP 17.4g、2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン 0.162g、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 2.14gを使用してPAA5を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA5は、7%の2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを含有し、30℃で0.52dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液中338nmにおいてPAA5に組み込まれた2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンの特徴的なバンドを示した(PAA4と比べて約1.75倍の強度を有する)。
【0224】
調製例6:
ポリアミド酸溶液PAA6の調製
調製例4と同様に、2,2'-ジメチルベンジジン 1g、NMP 8.4g、2-(4-アミノ-2-ピリジル)ピリジン-4-アミン 0.038g、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 1.03gを使用してPAA6を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA6は、4%の2-(4-アミノ-2-ピリジル)ピリジン-4-アミンを含有する、30℃で0.85dL/gの固有粘度を有する。
【0225】
調製例7:
ポリアミド酸溶液PAA7の調製
調製例4と同様に、2,2'-ジメチルベンジジン 2g、NMP 16.9g、(2-(4-アミノフェニル)-1,3-ベンズオキサゾール-6-アミン 0.045g、2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン 0.044g、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 2.09gを使用してPAA7を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA7は、2%の2-(4-アミノフェニル)-1,3-ベンズオキサゾール-6-アミン及び2% 2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを含有し、30℃で0.58dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA7 9.8×10-6g/g(NMP)の濃度)中342nmにおいてPAA7に組み込まれた2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン及び(2-(4-アミノフェニル)-1,3-ベンズオキサゾール-6-アミンの特徴的なバンドを示した。
【0226】
調製例8:
ポリアミド酸PAA8の調製:
調製例4と同様に、2,2'-ジメチルベンジジン 2g、NMP 16.9g、(2-(4-アミノフェニル)-1,3-ベンズオキサゾール-6-アミン 0.088g、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 2.09gを使用してPAA8を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA8は、4%の2-(4-アミノフェニル)-1,3-ベンズオキサゾール-6-アミンを含有し、30℃で0.57dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA8 9.8×10-6g/g(NMP)の濃度)中347nmにおいてPAA8に組み込まれた(2-(4-アミノフェニル)-1,3-ベンズオキサゾール-6-アミンの特徴的なバンドを示した。
【0227】
調製例9:
ポリアミド酸PAA9の調製:
合成例4に記載の通り合成された6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)-3H-キナゾリン-4-オン 0.1gをNMP 0.74gに懸濁させる。テトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 81.9mgを機械的撹拌下室温で添加する。得られたポリアミド酸溶液PAA9は、100% (6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)-3H-キナゾリン-4-オンを含有し、30℃で0.41dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA9 9.8×10-6g/g(NMP)の濃度)中λmax336nmにおいて(6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)-3H-キナゾリン-4-オンの特徴的なバンドを示した。
【0228】
調製例10:
ポリアミド酸PAA10の調製:
調製例4と同様に、2,2'-ジメチルベンジジン 1g、NMP 8.44g、(4-[5-(4-アミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]アニリン 0.050g、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 1.03gを使用してPAA10を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA10は、4%の(4-[5-(4-アミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]アニリンを含有し、30℃で0.60dL/gの固有粘度を有する。
【0229】
UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA10 9.8×10-6g/g(NMP)の濃度)中336nmにおいてPAA10に組み込まれた(4-[5-(4-アミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]アニリンの特徴的なバンドを示した。
【0230】
調製例11:
ポリアミド酸PAA11の調製:
2-アミノ-4-[1-(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチル-エチル]フェノール 2g、NMP 15.44g、2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン 0.072g、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 1.77gを使用してPAA11を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA11は、4%の2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを含有し、30℃で0.31dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA4と同様の強度を有する)中338nmにおいてPAA11に組み込まれた2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンの特徴的なバンドを示した。
【0231】
調製例12:
ポリアミド酸PAA12の調製:
2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン 0.5gをNMP 4gに懸濁させ、そして、テトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 0.5gを機械的撹拌下室温で添加する。生じたポリアミド酸溶液PAA12は、100%の2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを含有し、30℃で0.44dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA12 9.8×10-6g/g(NMP)の濃度)中λmax338nmにおいて2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンの特徴的なバンドを示した。
【0232】
調製例13:
ポリアミド酸PAA13の調製:
調製例4と同様に、2,2'-ジメチルベンジジン 1g、NMP 8.45g、合成例4に記載の通りの(6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)-3H-キナゾリン-4-オン 0.050g、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 1.03gを使用してPAA13を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA13は、4%の(6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)-3H-キナゾリン-4-オンを含有し、30℃で0.38dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液中λmax336nmにおいて(6-アミノ-2-(4-アミノフェニル)-3H-キナゾリン-4-オンの特徴的なバンドを示した。
【0233】
調製例14:
ポリアミド酸PAA14の調製:
調製例4と同様に、2,2'-ジメチルベンジジン 2g、NMP 16.83g、9H-カルバゾール-3,6-ジアミン 0.077g、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 2.07gを使用してPAA14を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA14は、4%の9H-カルバゾール-3,6-ジアミンを含有し、30℃で0.42dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA14 1.9×10-4g/g(NMP)の濃度)中355nmにおいてPAA14に組み込まれた(9H-カルバゾール-3,6-ジアミンの特徴的なバンドを示した。
【0234】
調製例15:
ポリアミド酸PAA15の調製:
調製例1と同様に、2,2'-ジメチルベンジジン 1g、NMP 8.44g、合成例3に記載の通り合成された5-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジアミン 0.044g、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン 1.03gを使用してPAA15を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA15は、4%の5-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジアミンを含有し、30℃で0.40dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA15 9.8×10-6g/g(NMP)の濃度)中309及び324nmにおいてPAA15に組み込まれた5-(1H-ベンズイミダゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジアミンの特徴的なバンドを示した。
【0235】
調製例16:
比較ポリアミド酸溶液PAAC1
比較ポリアミド酸溶液PAAC1は、2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを有しないことを除いてPAA2と同様であり、同様に調製され、そして、30℃で0.37dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、341nmにおいてバンドを示さなかった(λmax268nmにおいて1本のバンド)。
【0236】
調製例17:
比較ポリアミド酸溶液PAAC2
比較ポリアミド酸溶液PAAC2は、2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを有しないことを除いてPAA4と同様であり、同様に調製され、そして、30℃で0.51dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、338nmにおいてバンドを示さなかった(λmax266nmにおいて1本のバンド)。
【0237】
調製例18:
光配向ポリマー溶液LPP1
光配向ポリマー溶液LPP1は、NMP中、70モル%の[4-[(E)-3-[2-(2,4-ジアミノフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート(合成例1に記載の通り合成)、30モル%の[4-[(E)-3-[[5-アミノ-2-[4-アミノ-2-[[(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エノイル]オキシメチル]フェニル]フェニル]メトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート(合成例2に記載の通り合成)、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロンに基づく30% コポリアミド酸溶液として調製され、そして、30℃で0.35dL/gの固有粘度を有する。
【0238】
調製例19:
光配向ポリマー溶液LPP2
光配向ポリマー溶液LPP2は、NMP中、90モル% [4-[(E)-3-[2-(2,4-ジアミノフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート、6.1モル%の[4-[(E)-3-[[5-アミノ-2-[4-アミノ-2-[[(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エノイル]オキシメチル]フェニル]フェニル]メトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート、3.9モル%の3-(3,5-ジアミノベンゾエート)コレスタン-3-オール、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロンに基づく30% コポリアミド酸溶液として調製され、そして、30℃で0.26dL/gの固有粘度を有する。
【0239】
調製例20:
光配向ポリマー溶液LPP3
光配向ポリマー溶液LPP2は、NMP中、69モル%の[4-[(E)-3-[2-(2,4-ジアミノフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート、29モル%の[4-[(E)-3-[[5-アミノ-2-[4-アミノ-2-[[(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エノイル]オキシメチル]フェニル]フェニル]メトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート、2モル%の2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロンに基づく30% コポリアミド酸溶液として調製され、そして、30℃で0.26dL/gの固有粘度を有する。
【0240】
調製例21:
光配向ポリマー溶液LPP4
光配向ポリマー溶液LPP4は、NMP中、[4-[(E)-3-[2-(2,4-ジアミノフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロンに基づく30% コポリアミド酸溶液である。
【0241】
調製例22:
光配向ポリマー溶液LPP5
(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エン酸(合成例1.1~1.3に記載の通り合成) 1.7g(4.3mmol)及び(E)-3-[4-(4-ヘプチルシクロヘキサンカルボニル)オキシフェニル]プロパ-2-エン酸(国際公開公報第2008/145225(A2)号の実施例1.1~1.2の記載と同様に合成) 1.61(4.3mmol)を、4-メチル-2-ペンタノン 60mL及び水 0.62gに懸濁させる。テトラエチルアンモニウムブロミド 0.18g(0.86mmol)を添加して、白色の懸濁液を与える。2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン 5g(17.3mmol)を滴下する。混合物を48時間還流しながら撹拌する。懸濁液を放冷する。テトラヒドロフラン 20mL及び酢酸エチル 50mLを添加し、そして、混合物を水 40mLで2回抽出する。相を分離し、そして、有機相を濃縮する。生じた溶液を氷冷ジイソプロピルエーテル 500mLにゆっくり注ぐ。固形物を濾取し、そして、真空下で乾燥させて、ポリマー 5.6gを与える。
【0242】
製剤例1~21(F1~F21)及び製剤比較例1~3(FC1~FC3):
【0243】
対応するPAA及び/又はPAACをLPPと混合することによって製剤を得、そして、NMP、ガンマ-ブチロラクトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びエチルエトキシプロピオナートで固形分含量が4%になるように希釈する。
【0244】
適用例1:
「液晶滴下法」を使用して試験セルを調製する。シーラント材料をセルの縁部に印刷し、そして、封止材料の硬化前に、液晶を第1の基板に塗布する。第2の基板を該セル上に当てたときに紫外線を照射する。
【0245】
試験セルの作製
製剤F1~F21又は比較製剤FC1~FC3を、単一画素が8×8mmである酸化インジウムスズ(ITO)でコーティングされた一対の矩形ガラス板に、1200~1800rpmで30分間、スピンコーティングによって塗布する。フィルムを、80℃で1.5分間のプレベーキング及び200℃で40分間のポストベーキングに供する。生じた層の厚さは、約100nmである。ITOで被覆されたガラス板の両方に、22mJ/cm2の線量で偏光UV-B光を照射した。基板法線に対する入射光の方向は40°であり、そして、入射面は該基板の長辺と平行であった。3本のストライプ(stripes)の形態で、1枚の照射された板の画素領域付近に光及び/又は熱硬化性アクリル樹脂を塗布する。1本のストライプは画素までの基板間距離約0.5mmで右側に沿っており、そして、2本のストライプは画素までの基板間距離約0.5mmで該セルの左下側に加えて左上側に設けられる。該アクリル樹脂のストリップは、汚染源を模倣している。次いで、該照射された一対の板を使用して、外枠シーラントとしてUV硬化性シーラントPhotolec A-785(積水化学工業株式会社によって製造)を使用することによって、照射された表面が互いに対向するように逆平行に4.5μmの間隔を有するセルを構築する。次いで、該セルを高真空下室温で14時間維持し、その後、真空下室温でTFT液晶混合物MLC6610(Merck製)を充填する。セルのアニーリング及びシーラントの熱硬化を130℃で30分間処理により行う。
【0246】
適用例2:
プレチルト角θの決定
結晶回転法を用いて、プレチルト角の評価を行う。基板表面に対するプレチルト角を測定する。
【0247】
プレチルト角は、ガラス基板から液晶の平均長軸方向までの角度として定義される。
【0248】
中心位置及び該中心からアクリル樹脂のストライプの方向に3mm離れた2つの位置で、プレチルト角θ0を測定する。後者をプレチルト角θsと呼ぶ。少なくとも2つのセルをアクリル樹脂なしで作製するが、少なくとも3つのセルはアクリル樹脂を用いて作製する。各セルごとに、2つのθsのうちの最小値をΔθ=θ-θの計算に用いる。Δθ=θ-θの平均値を表1に要約する。
【0249】
適用例3:
電圧維持率(VHR)の決定
VHRは、液晶ディスプレイ又はセルの純度を評価するための電気的特性評価法である。手動(at hand)の場合、継続時間が64μsの電圧短パルス及び1V振幅(V0)をセルに適用し、そして、16.67ms(30Hzのセル駆動周波数に対応)の典型的なフレーム時間後に該セルにわたって残電圧(V1)を測定することによって、測定を実施する。60℃の温度で該測定を実施する。該セルのVHR値を以下の式によって計算する:
【数1】
【0250】
理想のVHR値は100%であり、そして、セルの純度が低いほど、VHR値は低くなる。
【表1】



【0251】
表1に示す通り、本発明に係る製剤は、汚染された場合に、例えばVHR等のセルの電気光学特性を損なうことなく、プレチルト角を安定化させる。本発明に係る製剤のΔθは、比較例よりもはるかに低い。比較組成物FC1、FC2、及びFC3は、アクリル樹脂で汚染された際、液晶のプレチルト角を安定化させない。汚染時のプレチルト角の安定化は、ポリシロキサン主鎖に基づくLPPを使用したとき又はLPPが式(Ia)又は(Ib)のモノマーを含有しているときにも達成される。これは、全ての光配向材料を本発明に係る組成物で使用できることを立証する。当業者は、ポリマーを含む本発明に係る光配向組成物が、例えばVHR等のセルの電気光学特性に影響を与えることなく、アクリル樹脂によって汚染されたセルのプレチルト角に対して安定化効果を有することを予測できなかったであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シンナメート基である光配向基を含む光配向材料であって、前記光配向基が置換されていてもよく又は置換されていなくてもよい光配向材料と、
(b)繰り返し構造単位(Ia)及び/又は(Ib)を含み、そして、任意選択的に、繰り返し構造単位(IIIa)及び/又は(IIIb)を含むポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物と
、を含む光配向組成物であって、
前記ポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物(b)の繰り返し構造単位(Ia)及び(Ib)が、式:
【化2】

よって表され;そして、
前記ポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物(b)の任意選択的な繰り返し構造単位(IIIa)及び(IIIb)が、式:
【化3】

によって表され、
(Ia)、(Ib)、(IIIa)及び(IIIb)中、Qは、互いに同一又は異なって、テトラカルボン酸二無水物の四価有機残基であり、
式(Ia)、(Ib)中のnは≧1、及び式(IIIa)及び(IIIb)中のmは≧0であり
式(Ia)及び(Ib)中のAは、ジアミンの二価有機残基であり、当該ジアミンH N-A-NH は、下記式(IVa)~(IVc),(VIII)、(IX),(XII)~(XIV),(XV'),(XVI')又は(XVIIIb):
【化4】


であり、
ここで、
,X ,X ~X ,X ~X 11 ,X 13 及びX 14 は、同一又は異なって、単結合、窒素;非置換又は一置換若しくは多置換のC -C アルキレン基[但し、前記C -C アルキレン基の一つ又は複数の炭素原子が「架橋基」によって置換されていてもよく、該「架橋基」は単結合、フェニレン基、シクロヘキシレン基、又は-O-によって表される]、非置換又は一置換若しくは多置換のフェニレン基、非置換又は一置換若しくは多置換のナフチレン基、非置換又は一置換若しくは多置換のアントレン基、又はアルキレンオキシ基である、連結基であり、
式(IVa)~(IVc)、(VIII)、(IX)、(XII)~(XIV) のA は、同一又は異なって、NH、H C、O又はSから選択され、
式(IIIa)及び(IIIb)中、Bは、二価ジアミン残基である、光配向組成物。
【請求項2】
前記光配向材料(a)が、シロキサン、イミドモノマー又はアミド酸モノマーから選ばれる重合性基により形成されたポリマー骨格を含み、
前記光配向材料(a)が、イミドモノマー及び/又はアミド酸モノマーから選ばれる重合性基により形成されたポリマー骨格を含む場合、下記式 (XXXVIIa) 及び/又は (XXXVIIb):
【化1】

で表わされる繰り返し単位構造を含み、
式 (XXXVIIa) 及び(XXXVIIb) 中のQ’は、同一又は異なって、
1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物;
1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物;
2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物;
テトラヒドロ-4,8-メタノフロ[3,4-d]オキセピン-1,3,5,7-テトロン;
3-(カルボキシメチル)―1,2,4―シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物;
ヘキサヒドロフロ[3’,4’:4,5]シクロペンタ[1,2-c]ピラン-1,3,4,6-テトロン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-3-メチル-3-シクロへキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物;
4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-5-メチル-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン;
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-7-メチル-3a,4,5,7a-テトラヒドロ-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン;
4-tert-ブチル-6-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-2-ベンゾフラン-1,3-ジオン;
4,4’-(ヘキサフルオロネオイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物;
ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物;及び
テトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロン;
からなる群から選択される、テトラカルボン酸二無水物の四価有機残基であり;
式 (XXXVIla)、(XXXVIlb) 中のPは、分子構造内に前記光配向基を含む芳香族ジアミンの二価残基であり、
式 (XXXVIla)、(XXXVIlb)中のqは≧1である、
請求項1に記載の光配向組成物。
【請求項3】
,X ~X ,X ~X 11 ,X 13 及びX 14 が、同一又は異なって、単結合、又は、非置換又は一置換若しくは多置換で直鎖若しくは分岐鎖のC -C アルキレン基から選択され、
前記C -C アルキレン基の一つ又は複数の炭素原子が「架橋基」によって置換されていてもよく、
該「架橋基」は単結合、フェニレン基、シクロヘキシレン基、又は-O-によって表される、
請求項1に記載の光配向組成物。
【請求項4】
前記ジアミンH N-A-NH が、以下の化合物:
【化5】


から選択され、
これらの式中、X ,X ~X ,X が、請求項1におけるものと同じ定義である、請求項1に記載の光配向組成物。
【請求項5】
前記ジアミンH N-A-NH が、以下の化合物(XIX)~(XXVI):
【化6】


から選択される。請求項1に記載の光配向組成物。
【請求項6】
mが0である場合、前記組成物が、式(IIIa‘) 又は(IIIb‘):
【化7】

で表わされる繰り返し単位構造を含むポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物(c)を更に含
前記ポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物(c)の式(IIIa‘) 及び(IIIb‘)のQ”が、テトラカルボン酸二無水物の四価有機残基であり、
B’は、二価ジアミン残基であり、
m’は、≧1である、請求項1記載の光配向組成物。
【請求項7】
前記光配向材料が、ホモポリマー又はコポリマーである、請求項1~のいずれか一項記載の光配向組成物。
【請求項8】
前記光配向材料が、非光配向基を更に含む、請求項1~のいずれか一項記載の光配向組成物。
【請求項9】
垂直配向された液晶のプレチルト角を配列及び安定化させるための、請求項1~のいずれか一項記載の液晶光配向組成物の使用。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項記載の光配向組成物を含む配列層。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項記載の光配向組成物又は請求項10記載の配列層を含む、構造化又は非構造化された、光学的及び電気光学的素子及び装置。
【請求項12】
溶媒又は溶媒混合物、及び、任意選択的に、少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項1~のいずれか一項記載の光配向組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、前記ポリマーは、任意選択的に、式(IIIa)及び/又は(IIIb)
【化3】

(式中、mは≧1であり;そして、
Qは、上に定義されたのと同じ意味を有し;そして、
Qは、式(Ia)又は(Ib)の化合物におけるQと同じであっても異なっていてもよく;
そして、
Bは、二価ジアミン残基である)
の繰り返し構造単位を含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
好ましくは、連結基は、単結合、窒素、非置換又は一置換若しくは多置換のC-Cアルキレン、好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、又はペンチレン、非置換又は一置換若しくは多置換のフェニレン、非置換又は一置換若しくは多置換のナフチレン、非置換又は一置換若しくは多置換のアントレン、あるいはアルキレンオキシ基からなる群から選択される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
N-A-NHとも呼ばれる二価有機残基Aの基を含む、対応するジアミンの非限定的な例は、式(IVa)~(XVIIIb):
【化4】




(式中、X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、X13、X14は、上に定義された通りの連結基であり;好ましくは、単結合、又は1つ以上のC原子が上に定義された通りの「架橋基」によって置換されていてもよい直鎖若しくは分枝状の置換若しくは非置換のC-Cアルキレン基から選択され;そして、X12は、互いに独立して、N又はCのいずれかであるが、ただし、少なくとも1つのX12はNであり;そして、Aは、N、C、O、又はSから選択され、好ましくは、Aは、N、C、又はOであり;そして、nは、0、1、2、3、又は4である)
の化合物である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
式(XXXI)の化合物
【化10】

(式中、Xは、単結合又はC-C30アルキルであり、そして、フェニレン環は、置換されていなくてもよく、あるいは水素、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素環式若しくは複素環式の非芳香族基、又はC-C30アルキルによって置換されていてもよく、そして、好ましくは、C-C30アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルであるか、該フェニレン環は、置換されていないか、又はヘキシル、1,1’-シクロヘキシル、4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)-1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]、1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル、2-ピリジン、ピロリジン-2,5-ジオン(これは、置換されていないか、又はCF、OCF、F、ベンジル、ペンチル、安息香酸エステル、4-(フェノキシカルボニル)、カルボン酸、-SOH、-POH、-OR15(式中、R15は、C-C30アルキルである)によって置換されている);非置換若しくは置換のベンジルによって置換されている);
又は式(XXXII)の化合物
【化11】

(式中、Xは、上に定義された通りの連結基であり、そして、好ましくは、Xは、例えば、単結合、-O-、-S-、又は置換若しくは非置換、直鎖若しくは分枝状のC-Cアルキレン、-O-(CHCHO)-;-O-(C-C12アルキル)-O-、-S-(C-C12アルキル)-S-、トリアジン、1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、1,1’-シクロヘキシレン、NR((C-Cアルキル)NR)、-(ピペリジン)n1-(C-Cアルキル)-(ピペリジン)(式中、nは、1~6の整数であり、そして、n1は、0~6の整数である)であり、好ましくは、X6は、単結合、直鎖若しくは分枝状のC-Cアルキレン、又は-O-であり;そして、R及びRは、互いに独立して、水素又はC-Cアルキル、好ましくは水素を表し;そして、フェニレン環は、置換されていないか、あるいは水素、ハロゲン、ヒドロキシル、炭素環式若しくは複素環式の非芳香族基、C-C30アルキル、又は2-メチルヘプタンによって置換されており、そして、C-C30アルキルは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルであるか、該フェニレン環は、置換されていないか、又はヘキシル、1,1’-シクロヘキシル、4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)-1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]、1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル、2-ピリジン、ピロリジン-2,5-ジオン(これは、置換されていないか、又はCF、OCF、F、ベンジル、ペンチル、安息香酸エステル、4-(フェノキシカルボニル)、カルボン酸、-SOH、-POH、-OR15(式中、R15はC-C30アルキルである)によって置換されている);非置換若しくは置換のベンジルによって置換されている);
又は式(XXXIII)の化合物
【化12】

(式中、X及びXは、上に定義された通りの連結基である);
又は式(XXXIV)の化合物
【化13】

(式中、X、X10、及びX11は、上に定義された通りの連結基である);
又は式(XXXV)の化合物
【化14】

(式XXXVの化合物)
(式中、Xは、上に与えられた意味を有し、そして、X17は、CH、O、NHである);
又は式(XXXVI)の化合物
【化15】

(式中、R及びR10は、C-C30アルキルであり、そして、好ましくは、メチルであり、そして、R20は、2-メチルヘプタンであり、そして、yは、0又は1であり、そして、X17、X18、及びX19は、カルボニル又は単結合又はNHである);あるいは
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
好ましくは、式(XXXIII)及び(XXXIV)の化合物のX及びX、X及びX10、又はX11は、単結合又はC-C30アルキル又はC-C12アルコキシである。更により好ましくは、X及びX、X及びX10、又はX11は、互いに独立して、単結合、-O-アルコキシ-、例えば、-O-メチレン-、メチレン-O-;C-C12アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、又はヘキシレン、置換又は非置換の1,1’-シクロヘキシレン、-SO-、-S-、-SO-、-O-、-N(R25)-、-C(CH-、-C(CF-、1,1’-シクロヘキシル、置換又は非置換の4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、置換又は非置換の3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)-1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]、1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イルであり、R25は、C-Cアルキル又は水素であり;好ましくは、X10は、-SO-、-SO-、-O-、-N(CH)-、-C(CH-、-C(CF-、1,1’-シクロヘキシル、4-(C-C30アルキル)-シクロヘキシル、3,4’’-ビス[4’-(C-C30アルキル)--1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イル]、又は1,1’-ビ(シクロヘキシル)-4-イルであり、そして、好ましくは、X及びX11は同一であり、そして、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、又は-O-である;
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0097
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0097】
更なる実施態様では、本発明の光配向製剤は、
a)シンナメート基、スチルベン基、シアノスチルベン基、クマリン基、キノロン基、アゾ基、カルコン基、モノ-及びジ-アセチレン基;ベンジリデンフタルイミド基、ベンジリデンアセトフェン基、フェニレンジアクリロイル基;クロモン基;クロメン基、及びスチルバゾール基からなる群から選択される光配向基を含む少なくとも1つの光配向材料であって、該光配向基が置換されていてもよく又は置換されていなくてもよい光配向材料と、
b)式(Ia)又は(Ib)
【化28】

(式中、Qは、テトラカルボン酸二無水物の四価有機残基であり;そして、
nは≧1であり、そして、
Aは、式(II)
【化29】

(式中、Ar及びArは、互いに独立して、C-C40原子の非置換又は置換のアリール基であり;そして、
Cy及びCyは、互いに独立して、C-C40原子の置換又は非置換の複素環式基であり、該複素環式基における少なくとも1つのC-、CH-、CH-の基は、窒素によって置換されており;
Zは、連結基であり;そして、
y、x、及びzは、互いに独立して、0、1、又は2であり;そして、
wは、0、1、2、3、又は4であり;そして、
x+z≧1である)によって表される)
によって表される繰り返し構造単位;及び
式(IIIa)及び/又は(IIIb)
【化30】

(式中、mは≧1であり;そして、
Qは、上に定義されたのと同じ意味を有し;そして、
式(IIIa)又は(IIIb)の化合物におけるQは、式(Ia)又は(Ib)の化合物におけるQと同じであっても異なっていてもよく;そして、
Bは、二価ジアミン残基である)
の繰り返し構造単位を含み、そして、
該組成物中の式(Ia)又は(Ib)のモノマーと式(IIIa)又は(IIIb)のモノマーとの間のモル比が、0.01:99.99~99.99:0.01に含まれる、少なくとも1つのポリイミド及び/又はポリアミド酸化合物と、
c)溶媒又は溶媒混合物と;
d)任意選択的に、少なくとも1つの添加剤と
を含む。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0117】
本発明に係る更なる一実施態様は、反復ブロック単位を含むブロックコポリマーの形態の、本発明に係るコポリマー化合物である:
..[ブロックB]…[ブロックC]..
(式中、ブロックBは、少なくとも1つの分子型の二無水物
【化32】

及び少なくとも1つの分子型の式(Ia)及び/又は(Ib)
【化33】

に係る二価ジアミンに由来するプレ重合反復構造単位を含み、
そして、ブロックCは、少なくとも1つの分子型の二無水物
【化34】

及び少なくとも1つの分子型の式(IIIa)及び/又は(IIIb)
【化35】

の二価ジアミンに由来するプレ重合反復構造単位を含む。
b及びcは、ポリマー鎖中の反復ブロック単位の数を示す整数であり、そして、n及びmは、b×n+c×mが10~1000の値になるようなブロックB及びブロックC中の反復構造単位の数を示す整数である)。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0161
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0161】
配向光の入射方向は、基板に対して垂直であってもよく又は任意の斜角を成していてもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0213
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0213】
(3.2) 2-(3,5-ジニトロフェニル)-1H-ベンズイミダゾールの生成
【化48】

凝縮器及びNaOH出口を備える3つ口フラスコ内のN-(2-アミノフェニル)-3,5-ジニトロ-ベンズアミド 5.6g(18.53mmol)に、イートン試薬(MeSOH中7%w/w P) 47.5mL(37.06mmol、0.8M)を添加し、そして、130℃で3時間加熱する。反応混合物を室温に到達させ、そして、7% Na CO溶液 1.2Lに慎重に滴下する。沈殿物を濾過し、そして、脱イオン水 500mLで洗浄し、40℃のオーブンで乾燥させて、5.18gを与え、そのうちの4.6gをDMF180mL中で再加熱し、室温に冷却し、そして、水 7mLを添加する。沈殿物を濾過し、そして、40℃のオーブンで乾燥させて、黄色の固形物として2-(3,5-ジニトロフェニル)-1H-ベンズイミダゾール 2.36g(収率44.8%)を与える。
1H-NMR (DMF-d7, 300 MHz): 7.31-7.38 (m, 2H), 7.73-7.79 (m, 2H), 8.97 (t, 1H), 9.
47 (d, 2H), 13.67 ppm (s, 1H).
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0220
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0220】
調製例2:
ポリアミド酸溶液PAA2の調製
調製例1と同様に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル 2.000g、NMP 16.14、2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン 0.093g、及び1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物 1.836gを使用してPAA2を調製した。得られたポリアミド酸溶液PAA2は、4%の2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンを含有し、30℃で0.41dL/gの固有粘度を有する。UV/Vis分光分析は、NMP溶液(PAA1と比べて約2倍の強度を有する)中341nmにおいてPAA2に組み込まれた2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミンの特徴的なバンドを示した。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0239
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0239】
調製例20:
光配向ポリマー溶液LPP3
光配向ポリマー溶液LPP3は、NMP中、69モル%の[4-[(E)-3-[2-(2,4-ジアミノフェニル)エトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート、29モル%の[4-[(E)-3-[[5-アミノ-2-[4-アミノ-2-[[(E)-3-[4-[4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾイル]オキシフェニル]プロパ-2-エノイル]オキシメチル]フェニル]フェニル]メトキシ]-3-オキソ-プロパ-1-エニル]フェニル]4-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾエート、2モル%の2-(4-アミノフェニル)-1H-ベンズイミダゾール-5-アミン、及びテトラヒドロ-5,9-メタノ-1H-ピラノ[3,4-d]オキセピン-1,3,6,8(4H)-テトロンに基づく30% コポリアミド酸溶液として調製され、そして、30℃で0.26dL/gの固有粘度を有する。
【外国語明細書】