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特開2023-106444情報処理システム、情報処理方法及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106444
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230725BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20230725BHJP
   G16Y 10/25 20200101ALI20230725BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20230725BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20230725BHJP
【FI】
G05B23/02 302Z
G06Q10/20
G16Y10/25
G16Y40/10
G16Y40/20
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076323
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2018174137の分割
【原出願日】2018-09-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】513213966
【氏名又は名称】横河ソリューションサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(72)【発明者】
【氏名】松下 武司
(72)【発明者】
【氏名】金澤 明
(57)【要約】
【課題】通信回線やサーバ装置に対する負荷を低減する。
【解決手段】情報処理システム1は、情報処理装置150と、クラウド100と、を備え、情報処理装置150は、プラント10に設置されたセンサ110a、110bから取得したデータをクラウド100に送信し、クラウド100は、情報処理装置150から受信したデータに基づいて、プラント10の稼働状態に関する処理を実行するためのデータモデル102を構築し、データモデル102を情報処理装置150に送信し、情報処理装置150は、クラウド100から受信したデータモデル102を用いて、プラント10の稼働状態に関する処理を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、クラウドと、を備え、
前記情報処理装置は、プラントに設置された第1のセンサ機器により取得された、前記プラントが備える設備から発生する音、当該設備の色、又は当該設備の周囲のにおいを少なくとも示す設備情報と、前記プラントに設置された第2のセンサ機器により取得された、前記プラントにおける製品の生産量、又は当該製品の品質を少なくとも示す生産情報とを受信し、前記設備情報及び前記生産情報を前記クラウドに送信し、
前記クラウドは、前記情報処理装置から受信した前記設備情報及び前記生産情報に基づいて、前記プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定するためのデータモデルを構築し、前記データモデルを前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、前記第1のセンサ機器により取得された新たな設備情報と、前記第2のセンサ機器により取得された新たな生産情報とを受信し、前記新たな設備情報及び前記新たな生産情報に基づいて、前記データモデルを用いて、前記プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理を実行する、
情報処理システム。
【請求項2】
情報処理装置と、クラウドと、を備える情報処理システムにより実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置が、プラントに設置された第1のセンサ機器により取得された、前記プラントが備える設備から発生する音、当該設備の色、又は当該設備の周囲のにおいを少なくとも示す設備情報と、前記プラントに設置された第2のセンサ機器により取得された、前記プラントにおける製品の生産量、又は当該製品の品質を少なくとも示す生産情報とを受信するステップと、
前記情報処理装置が、前記設備情報及び前記生産情報を前記クラウドに送信するステップと、
前記クラウドが、前記情報処理装置から受信した前記設備情報及び前記生産情報に基づいて、前記プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定するためのデータモデルを構築するステップと、
前記クラウドが、前記データモデルを前記情報処理装置に送信するステップと、
前記情報処理装置が、前記第1のセンサ機器により取得された新たな設備情報と、前記第2のセンサ機器により取得された新たな生産情報とを受信するステップと、
前記情報処理装置が、前記新たな設備情報及び前記新たな生産情報に基づいて、前記データモデルを用いて、前記プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理を実行するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項3】
通信部と、制御部と、を備え、
前記通信部は、プラントに設置された第1のセンサ機器により取得された、前記プラントが備える設備から発生する音、当該設備の色、又は当該設備の周囲のにおいを少なくとも示す設備情報と、前記プラントに設置された第2のセンサ機器により取得された、前記プラントにおける製品の生産量、又は当該製品の品質を少なくとも示す生産情報とを受信し、
前記通信部は、前記設備情報及び前記生産情報をクラウドに送信し、前記設備情報及び前記生産情報に基づいて前記クラウドにより構築された、前記プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定するためのデータモデルを、前記クラウドから受信し、
前記通信部は、前記第1のセンサ機器により取得された新たな設備情報と、前記第2のセンサ機器により取得された新たな生産情報とを受信し、
前記制御部は、前記新たな設備情報及び前記新たな生産情報に基づいて、前記データモデルを用いて、前記プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理を実行する、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端末装置等からクラウドサーバに情報を送信し、送信された情報についてクラウドサーバにおいて種々の処理を実行する技術が知られている。例えば、特許文献1には、クラウドコンピューティングシステムにおいて、クライアント装置から受け取った元データに基づいて文書ファイルを生成するサーバ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-055241号公報
【特許文献2】特開2018-120343号公報
【特許文献3】特開2018-128855号公報
【特許文献4】特開2016-192000号公報
【特許文献5】特開2015-184805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたクラウドコンピューティングシステムは、クライアント装置から受け取ったデータに基づいてサーバ装置が処理を行うものであるため、クライアント装置から送信されるデータ量が多くなることによりクライアント装置とサーバ装置との間の通信回線に負荷が増加したり、サーバ装置における処理負荷が増加したりする場合がある。
【0005】
本開示は、通信回線やサーバ装置に対する負荷を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る情報処理システムは、情報処理装置と、クラウドと、を備え、情報処理装置は、プラントに設置された第1のセンサ機器により取得された、プラントが備える設備から発生する音、当該設備の色、又は当該設備の周囲のにおいを少なくとも示す設備情報と、プラントに設置された第2のセンサ機器により取得された、プラントにおける製品の生産量、又は当該製品の品質を少なくとも示す生産情報とを受信し、設備情報及び生産情報をクラウドに送信し、クラウドは、情報処理装置から受信した設備情報及び生産情報に基づいて、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定するためのデータモデルを構築し、データモデルを情報処理装置に送信し、情報処理装置は、第1のセンサ機器により取得された新たな設備情報と、第2のセンサ機器により取得された新たな生産情報とを受信し、新たな設備情報及び新たな生産情報に基づいて、データモデルを用いて、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理を実行する。これにより、クラウドで構築されたデータモデルを用いて、情報処理装置によりプラントの稼働状態に関する処理が実行されるため、プラントの稼働状態に関する処理を行うためにクラウドと情報処理装置との間の通信が発生しない。そのため、通信回線やサーバ装置に対する負荷を低減できる。
【0007】
幾つかの実施形態に係る情報処理方法は、情報処理装置と、クラウドと、を備える情報処理システムにより実行される情報処理方法であって、情報処理装置が、プラントに設置された第1のセンサ機器により取得された、プラントが備える設備から発生する音、当該設備の色、又は当該設備の周囲のにおいを少なくとも示す設備情報と、プラントに設置された第2のセンサ機器により取得された、プラントにおける製品の生産量、又は当該製品の品質を少なくとも示す生産情報とを受信するステップと、情報処理装置が、設備情報及び生産情報をクラウドに送信するステップと、クラウドが、情報処理装置から受信した設備情報及び生産情報に基づいて、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定するためのデータモデルを構築するステップと、クラウドが、データモデルを情報処理装置に送信するステップと、情報処理装置が、第1のセンサ機器により取得された新たな設備情報と、第2のセンサ機器により取得された新たな生産情報とを受信するステップと、情報処理装置が、新たな設備情報及び新たな生産情報に基づいて、データモデルを用いて、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理を実行するステップと、を含む。これにより、クラウドで構築されたデータモデルを用いて、情報処理装置によりプラントの稼働状態に関する処理が実行されるため、プラントの稼働状態に関する処理を行うためにクラウドと情報処理装置との間の通信が発生しない。そのため、通信回線やサーバ装置に対する負荷を低減できる。
【0008】
幾つかの実施形態に係る情報処理装置は、通信部と、制御部と、を備え、通信部は、プラントに設置された第1のセンサ機器により取得された、プラントが備える設備から発生する音、当該設備の色、又は当該設備の周囲のにおいを少なくとも示す設備情報と、プラントに設置された第2のセンサ機器により取得された、プラントにおける製品の生産量、又は当該製品の品質を少なくとも示す生産情報とを受信し、通信部は、設備情報及び生産情報をクラウドに送信し、設備情報及び生産情報に基づいてクラウドにより構築された、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定するためのデータモデルを、クラウドから受信し、通信部は、第1のセンサ機器により取得された新たな設備情報と、第2のセンサ機器により取得された新たな生産情報とを受信し、制御部は、新たな設備情報及び新たな生産情報に基づいて、データモデルを用いて、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理を実行する。これにより、クラウドで構築されたデータモデルを用いて、情報処理装置によりプラントの稼働状態に関する処理が実行されるため、プラントの稼働状態に関する処理を行うためにクラウドと情報処理装置との間の通信が発生しない。そのため、通信回線やサーバ装置に対する負荷を低減できる。
【0009】
幾つかの実施形態に係る情報処理システムは、情報処理装置と、クラウドと、を備え、情報処理装置は、プラントに設置されたセンサから取得したデータをクラウドに送信し、クラウドは、情報処理装置から受信したデータに基づいて、プラントの稼働状態に関する処理を実行するためのデータモデルを構築し、データモデルを情報処理装置に送信し、情報処理装置は、クラウドから受信したデータモデルを用いて、プラントの稼働状態に関する処理を実行する。これにより、クラウドで構築されたデータモデルを用いて、情報処理装置によりプラントの稼働状態に関する処理が実行されるため、プラントの稼働状態に関する処理を行うためにクラウドと情報処理装置との間の通信が発生しない。そのため、通信回線やサーバ装置に対する負荷を低減できる。
【0010】
一実施形態において、情報処理装置は、センサから取得したデータの統合処理を実行し、統合処理されたデータをクラウドに送信してよい。これにより、複数種類の情報を統合したデータを用いて処理が実行されるため、単数種類の情報を用いて処理が実行される場合と比較して、より高い精度で処理を実行することができる。
【0011】
一実施形態において、情報処理装置は、プラントにおける製品の生産に関する生産情報と、プラントが備える設備に関する設備情報とを対応付けることにより、統合処理を実行してよい。これにより、生産情報と設備情報とを統合したデータを用いて処理が実行されるため、生産情報又は設備情報の一方のみを用いて処理が実行される場合と比較して、より高い精度で処理を実行することができる。
【0012】
一実施形態において、稼働状態に関する処理は、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する処理であってよい。これにより、情報処理装置は、プラントの稼働状態を判定できる。
【0013】
一実施形態において、情報処理装置は、データモデルを用いて、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定できない新規データを取得した場合、新規データをクラウドに送信し、クラウドは、情報処理装置から受信した新規データに基づいて、データモデルを更新してよい。これにより、データモデルがアップデートされる。
【0014】
一実施形態において、クラウドは、更新されたデータモデルを情報処理装置に送信し、情報処理装置は、クラウドから受信した更新されたデータモデルを用いて、プラントの稼働状態に関する処理を実行してよい。これにより、情報処理装置は、アップデートされた最新のデータモデルを用いて、プラントの稼働状態を判定できるようになる。
【0015】
幾つかの実施形態に係る情報処理方法は、情報処理装置と、クラウドと、を備える情報処理システムにより実行される情報処理方法であって、情報処理が、プラントに設置されたセンサから取得したデータをクラウドに送信するステップと、クラウドが、情報処理装置から受信したデータに基づいて、プラントの稼働状態に関する処理を実行するためのデータモデルを構築するステップと、クラウドが、構築したデータモデルを情報処理装置に送信するステップと、情報処理装置が、クラウドから受信したデータモデルを用いて、プラントの稼働状態に関する処理を実行するステップと、を含む。これにより、クラウドで構築されたデータモデルを用いて、情報処理装置によりプラントの稼働状態に関する処理が実行されるため、プラントの稼働状態に関する処理を行うためにクラウドと情報処理装置との間の通信が発生しない。そのため、通信回線やサーバ装置に対する負荷を低減できる。
【0016】
幾つかの実施形態に係る情報処理方法は、プラントに設置されたセンサから取得したデータをクラウドに送信し、クラウドにより構築された、プラントの稼働状態に関する処理を実行するためのデータモデルを、クラウドから受信する、通信部と、データモデルを用いて、プラントの稼働状態に関する処理を実行する制御部とを備える。これにより、クラウドで構築されたデータモデルを用いて、情報処理装置によりプラントの稼働状態に関する処理が実行されるため、プラントの稼働状態に関する処理を行うためにクラウドと情報処理装置との間の通信が発生しない。そのため、通信回線やサーバ装置に対する負荷を低減できる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、通信回線やサーバ装置に対する負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】比較例に係る情報処理システムの一例を示す概略図である。
図2図1の情報処理システムにおける処理の一例を示すシーケンス図である。
図3】一実施形態に係る情報処理システムの一例を示す概略図である。
図4図3の情報処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5図3の情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図6図3の情報処理システムにおける処理の一例を示すシーケンス図である。
図7図3の情報処理システムにおける処理の一例を示すシーケンス図である。
図8図3の情報処理装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図9図3の情報処理システムにおける処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
まず、比較例に係る情報処理システムの例について、図1を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、比較例に係る情報処理システム2の一例を示す概略図である。情報処理システム2は、クラウド200を備える。クラウド200は、プラント20に設置された各種センサ機器210により測定されたデータに基づき、処理を実行する。
【0022】
プラント20は、化学等の工業プラント、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント、及びその他のプラントを含む。プラント20は、実行するプロセスに応じて各種設備を備える。図1には、設備の一例として、パイプライン21が示されている。パイプライン21内には、例えば液体が流れる。
【0023】
図1に示す例では、センサ機器210は、パイプライン21に取り付けられており、パイプライン21に関する情報や、パイプライン21を流れる液体に関する情報等のデータを測定する。センサ機器210は、例えば、圧力を測定する圧力計、流量を測定する流量計、温度を測定する温度計、振動を測定する加速度センサ等の振動センサ、プラント内の異音等を収集する集音機器、プラント内の状況や対象物を撮影する撮像機器、においに関する情報を取得するにおいセンサ、各機器の位置情報を出力する位置検出機器等を含んでよく、これらに限定されるものではない。
【0024】
各センサ機器210は、例えば有線通信又は無線通信により、通信装置220と情報通信可能に接続されている。各センサ機器210は、測定したデータを通信装置220に送信する。
【0025】
通信装置220は、ネットワークを介して、クラウド200と情報通信可能に構成されている。通信装置220は、センサ機器210から取得したデータを送信可能なインタフェースを備え、センサ機器210から取得したデータを、クラウド200に送信する。
【0026】
クラウド200は、クラウド環境に構築されたサーバシステムである。クラウド200は、通信装置220から受信したデータを用いて、所定の処理を実行する。
【0027】
例えば、クラウド200は、データを解析するアルゴリズムを有する解析エンジン201を備え、解析エンジン201において、通信装置220から受信したデータを用いて、データモデル202を構築する構築処理を実行する。解析エンジン201は、データモデル202を構築可能な、任意の公知の解析エンジンとすることができ、例えば、AI(人工知能:Artificial Intelligence)解析とすることができる。データモデル202は、例えばプラントの稼働状態に関する処理を実行するためのプログラムである。具体的には、例えば、データモデル202は、各種センサ機器210により測定されたデータが正常な範囲に含まれるものであるか、異常な範囲に含まれるものであるかを判定可能なプログラムであってよい。つまり、クラウド200は、解析エンジン201において、通信装置220から受信したデータを用いて、各種センサ機器210により測定されたデータが正常な範囲に含まれるものであるか、異常な範囲に含まれるものであるかを判定可能なプログラムであるデータモデル202を構築する。クラウド200は、通信装置220から受信したデータが、特定量に達した場合に、構築処理を実行してよい。解析エンジン201は、例えば、通信装置220から受信された各データが正常な範囲に含まれるものであるか、異常な範囲に含まれるものであるかを分類し、分類結果に基づいてデータモデル202を構築してよい。
【0028】
例えば、クラウド200は、データモデル202を構築した後、通信装置220から取得したデータをデータモデル202にかける判定処理を実行する。すなわち、センサ機器210により継続的に測定されるデータが通信装置220から送信され、クラウド200は、通信装置220から送信されるデータを取得すると、データモデル202を用いて、各種センサ機器210により測定されたデータが正常な範囲に含まれるものであるか、異常な範囲に含まれるものであるかを判定する。
【0029】
クラウド200は、判定処理の結果(以下「判定結果」ともいう)を、ネットワークを介して情報通信可能に接続された端末装置230に送信する。端末装置230は、パーソナルコンピュータ及びタブレット端末等を含む、任意の端末装置であってよい。端末装置230は、図1ではプラント20内に位置しているが、プラント20の外部に位置していてもよい。端末装置230は、例えばプラント20の稼働状態を管理する管理者が使用する端末装置である。端末装置230は、クラウド200から受信した判定結果を、端末装置230の表示画面に表示する。管理者は、端末装置230の表示画面を見ることにより、判定結果を知ることができる。
【0030】
図2は、図1の情報処理システム2における処理の一例を示すシーケンス図である。まず、センサ機器210は、パイプライン21に関するデータを測定する(ステップS1)。センサ機器210は、測定したデータを通信装置220に送信する(ステップS2)。通信装置220は、センサ機器210から取得したデータを、ネットワークを介してクラウド200に送信する(ステップS3)。クラウド200は、通信装置220から取得したデータに基づいて、データモデル202を構築する構築処理を実行する(ステップS4)。クラウド200は、構築したデータモデル202を所定のメモリに記憶してよい。
【0031】
構築処理によりデータモデル202が構築されると、クラウド200は、判定処理を行う。具体的には、センサ機器210は、パイプライン21に関するデータを測定する(ステップS5)。センサ機器210は、測定したデータを通信装置220に送信する(ステップS6)。通信装置220は、センサ機器210から取得したデータを、ネットワークを介してクラウド200に送信する(ステップS7)。クラウド200は、通信装置220から取得したデータに基づいて、ステップS4で構築したデータモデル202を用いて、判定処理を実行する(ステップS8)。クラウド200は、判定処理S8により生成される判定結果を端末装置230に送信する(ステップS9)。端末装置230は、受信した判定結果を、表示画面に表示する(ステップS10)。ステップS5からステップS10は、継続的に繰り返し実行されてよい。
【0032】
クラウド200は、ステップS8の判定処理において、例えばあるデータについて、データモデル202によっては判定ができない場合、当該データ(新規データ)を用いて、データモデル202の更新処理を行うことができる。クラウド200によって判定ができない場合とは、例えば、あるデータが、データモデル202によって正常であるか異常であるかの分類ができない場合をいう。この場合、クラウド200は、解析エンジン201を用いて、当該判定できない新規データが正常であるか異常であるかを判定できるように、データモデル202を書き換えて更新する。例えば、解析エンジン201は、新規データが正常な範囲に含まれるものであるか、異常な範囲に含まれるものであるかを判断し、判断結果を反映させて、データモデル202を更新してよい。
【0033】
情報処理システム2では、例えば図2のステップS7乃至ステップS9に示すように、通信装置220からクラウド200にデータが送信され、クラウド200において判定処理が実行され、判定結果が端末装置230に送信される。そのため、判定処理を行うに際し、通信装置220からクラウド200に継続的にデータが送信される。また、クラウド200から端末装置230に継続的に判定結果が送信される。このようなデータの送受信により、通信装置220とクラウド200との通信回線、及び、クラウド200と端末装置230との通信回線の負荷が増える。
【0034】
仮に、通信装置220とクラウド200との間の通信回線、又は、クラウド200と端末装置230との間の通信回線にトラブルがあり、通信障害が発生した場合には、クラウド200にデータが送信されないことによって判定処理が実行できなかったり、判定結果が端末装置230に送信されないことによって管理者が判定結果を見ることができなかったりするという問題が発生し得る。
【0035】
また、情報処理システム2では、クラウド200において判定処理を行うため、判定処理の対象となる機器が増加することにより、クラウド200における処理負荷が増大する。
【0036】
さらに、クラウド200にトラブルが発生し、サーバが停止等した場合には、判定処理や更新処理が実行されなくなる。すなわち、このような場合、情報処理システム2における判定機能が機能しなくなる。
【0037】
以下、本開示では、図1及び図2を参照して説明した情報処理システム2が有する課題を解決可能な情報処理システムについて、説明する。
【0038】
図3は、一実施形態に係る情報処理システム1の一例を示す概略図である。情報処理システム1は、クラウド100を備える。クラウド100は、プラント10に設置された各種センサ機器110a及び110bにより測定されたデータに基づき、所定の処理を実行する。
【0039】
プラント10は、プラント20で説明したプラントを含んでよい。プラント20と同様に、プラント10も各種設備を備えることができ、図3には、その一例として、パイプライン11が示されている。パイプライン11内には、例えば液体が流れる。
【0040】
本実施形態では、第1のセンサ機器110aと、第2のセンサ機器110bとが、パイプライン11に取り付けられている。パイプライン11には、複数の第1のセンサ機器110aと、複数の第2のセンサ機器110bとが取り付けられていてよい。
【0041】
第1のセンサ機器110aは、プラント10が備える設備に関する情報(以下「設備情報」ともいう)を取得する。設備情報は、例えば、設備そのものの状態及び性質の情報である。具体的には、設備情報は、設備から発生する音、設備の色、設備の温度、設備の周囲のにおい等を含んでよく、これらに限定されるものではない。設備情報は、プラント10において生産される製品に関する情報ではなく、製品の生産に直接的に影響を与えない、設備そのものの状態及び性質の情報である。第1のセンサ機器110aは、このような設備情報を取得可能なセンサであってよく、例えば、設備の音を取得する集音機器、設備の画像を撮像する撮像機器、設備の温度を測定する温度計、及び設備の周囲のにおいに関する情報を取得するにおいセンサ等を含んでよい。
【0042】
第1のセンサ機器110aは、例えば有線通信又は無線通信により、第1の収集装置140aと情報通信可能に接続されている。第1のセンサ機器110aのそれぞれは、取得した設備情報を、第1の収集装置140aに送信する。
【0043】
第1の収集装置140aは、例えばコンピュータにより構成されている。第1の収集装置140aは、第1のセンサ機器110aから取得した設備情報を、例えばプラント内のネットワーク160を介して、情報処理装置150に送信する。
【0044】
第2のセンサ機器110bは、プラント10における製品の生産に関する情報(以下「生産情報」ともいう)を取得する。生産情報は、例えば、製品の生産状態や、製品そのものの状態及び性質に影響し得る情報を含む。生産情報は、製品の生産量及び製品の品質に関する情報を含んでよい。具体的には、生産情報は、製品に関連する物質(以下「製品関連物質」ともいう)の流量、圧力及び温度等を含んでよく、これらに限定されるものではない。製品関連物質は、例えば、製品そのものの他、原材料及び副生成物等を含む。生産情報は、製品の生産量及び品質に関連する情報である。第2のセンサ機器110bは、このような生産情報を取得可能なセンサであってよく、例えば、流量を測定する流量計、圧力を測定する圧力計、及び温度を測定する温度計等を含んでよい。
【0045】
第2のセンサ機器110bは、例えば有線通信又は無線通信により、第2の収集装置140bと情報通信可能に接続されている。第2のセンサ機器110bのそれぞれは、取得した生産情報を、第2の収集装置140bに送信する。
【0046】
第2の収集装置140bは、例えばコンピュータにより構成されている。第2の収集装置140bは、第2のセンサ機器110bから取得した生産情報を、例えばプラント内のネットワーク160を介して、情報処理装置150に送信する。
【0047】
情報処理装置150は、第1の収集装置140aから取得した設備情報と、第2の収集装置140bから取得した生産情報とを統合する、統合処理を実行する。統合処理は、同一の時刻又は時間帯における設備情報と生産情報とを対応付けることにより行われる。統合処理により、例えば、どのような設備の状態の場合に、製品がどの程度生産されているか又は製品の品質がどの程度であるか等、を対応付けたデータを生成できる。
【0048】
情報処理装置150は、統合処理により生成されるデータ(以下「統合データ」ともいう)を、通信装置120を介して、クラウド100に送信する。クラウド100では、後述するように、統合データに基づいてデータモデル102が構築され、クラウド100から、通信装置120を介してデータモデル102が情報処理装置150に送信される。データモデル102は、例えばプラントの稼働状態に関する処理を実行するためのプログラムである。具体的には、例えば、データモデル102は、統合データが正常な範囲に含まれるものであるか、異常な範囲に含まれるものであるかを判定可能なプログラムであってよい。
【0049】
情報処理装置150は、通信装置120を介してクラウド100から取得したデータモデル102を用いて、プラントの稼働に関する処理を行う。プラントの稼働に関する処理は、例えば、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理であってよい。
【0050】
図4は、情報処理装置150の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。図4に示すように、情報処理装置150は、通信部151と、制御部152と、記憶部153とを備える。
【0051】
通信部151は、制御部152による制御に基づき、外部の機器と情報の送受信を行う。通信部151は、外部の機器と情報の送受信を行うことができるインタフェースを備える。通信部151は、例えば第1の収集装置140aと通信を行い、第1の収集装置140aから設備情報を受信する。通信部151は、例えば第2の収集装置140bと通信を行い、第2の収集装置140bから生産情報を受信する。また、通信部151は、通信装置120と通信を行い、通信装置120に対して設備情報及び生産情報を送信する。また、通信部151は、通信装置120がクラウド100から受信したデータモデル102を、通信装置120から受信する。
【0052】
制御部152は、情報処理装置150の各機能ブロックをはじめとして、情報処理装置150の全体を制御及び管理する。制御部152は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサによって構成したりすることができる。このようなプログラムは、例えば記憶部153、又は情報処理装置150に接続された外部の記憶媒体等に格納される。
【0053】
制御部152は、統合処理を実行する。統合処理は、上述したように、設備情報と生産情報とを対応付ける処理である。統合処理により生成された統合データは、通信装置120に送信され、通信装置120を介してクラウド100に送信される。統合処理により生成された統合データは、記憶部153に記憶されてもよい。制御部152は、統合処理を実行するたびに統合データを通信装置120に送信してもよく、一定量の統合データが蓄積されたときに統合データを通信装置120に送信してもよく、また、所定の時間間隔ごとに定期的に統合データを通信装置120に送信してもよい。
【0054】
制御部152は、クラウド100から取得したデータモデル102を用いて、プラントの稼働に関する処理を行う。ここでは、プラントの稼働に関する処理は、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理であるとして説明する。制御部152は、データモデル102を用いて、統合データが正常な範囲に含まれるものであるか、異常な範囲に含まれるものであるかを判定する。通信部151は、プラント10内のネットワーク160を介して、ネットワーク160に接続された他の装置に、判定結果を送信してよい。
【0055】
記憶部153は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部153は、各種情報や情報処理装置150を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部153は、ワークメモリとしても機能してもよい。記憶部153は、例えば、取得した設備情報及び生産情報を記憶してよい。記憶部153は、例えば、生成した統合情報を記憶してよい。記憶部153は、例えば、クラウド100から取得したデータモデル102を記憶してよい。
【0056】
再び図3を参照すると、通信装置120は、ネットワークを介して、クラウド100と情報通信可能に構成されている。通信装置120は、情報処理装置150から取得したデータを送信可能なインタフェースを備え、情報処理装置150から取得したデータを、クラウド100に送信する。また、通信装置120は、ネットワークを介して、クラウド100からデータモデル102を受信し、受信したデータモデル102を情報処理装置150に送信する。
【0057】
なお、情報処理システム1は通信装置120を備えず、代わりに、情報処理装置150が通信装置120の機能を包含していてもよい。この場合、情報処理装置150は、第1の収集装置140aから取得した設備情報と、第2の収集装置140bから取得した生産情報とを、通信部151から直接クラウド100に送信する。また、情報処理装置150は、通信部151によって直接、データモデルを受信する。本明細書では、通信装置120は、情報処理装置150とは異なる独立した装置として設けられているとして説明する。
【0058】
クラウド100は、クラウド環境に構築されたサーバシステムである。クラウド100は、通信装置120から受信したデータを用いて、データモデル102を構築する構築処理を実行する。
【0059】
例えば、クラウド100は、データを解析するアルゴリズムを有する解析エンジン101を備え、解析エンジン101において、通信装置120から受信した統合データを用いて、データモデル102を構築する構築処理を実行する。解析エンジン101は、図1を参照して説明した解析エンジン201と同様に、データモデル102を構築可能な、任意の公知の解析エンジンとすることができる。例えば、解析エンジン101は、プラントの稼働状態が正常な範囲に含まれるものであるか、異常な範囲に含まれるものであるかを判定可能なプログラムであるデータモデル102を構築する。解析エンジン101は、例えば、通信装置120から受信した統合データのそれぞれが正常な範囲に含まれるものであるか、異常な範囲に含まれるものであるかを分類し、分類結果に基づいてデータモデル102を構築してよい。クラウド100は、構築したデータモデル102を所定のメモリに記憶してもよい。
【0060】
クラウド100は、構築処理により構築されたデータモデル102を、通信装置120に送信する。通信装置120は、クラウド100からデータモデル102を受信すると、データモデル102を、情報処理装置150に送信する。情報処理装置150は、受信したデータモデル102を、例えば記憶部153に記憶する。情報処理装置150は、記憶したデータモデル102を用いて、上述した判定処理を実行する。
【0061】
端末装置130は、パーソナルコンピュータ及びタブレット端末等を含む、任意の端末装置であってよい。端末装置130は、例えばプラント10の稼働状態を管理する管理者が使用する端末装置である。端末装置130は、例えば図3に示すように、第2の収集装置140bと情報通信可能に接続されている。第2の収集装置140bは、例えば、第2のセンサ機器110bから取得した生産情報を、端末装置130に送信する。端末装置130は、第2の収集装置140bから受信した生産情報を、表示画面に表示する。管理者は、端末装置130の表示画面を見ることにより、生産情報を知ることができる。
【0062】
情報処理装置150は、判定処理により生成された判定結果を、ネットワーク160を介して端末装置130に送信してよい。端末装置130は、情報処理装置150から受信した判定結果を、表示画面に表示する。管理者は、端末装置130の表示画面を見ることにより、情報処理装置150による判定結果を知ることができる。
【0063】
端末装置130は、例えば、ボタン、ダイヤル、又は、表示画面に一体的に設けられるタッチパネル等の入力インタフェースを備えてよい。管理者は、例えば、入力インタフェースを用いて、端末装置130と情報通信可能に構成された機器に対し、所定の処理を実行させるための入力操作を行うことができる。例えば、管理者は、端末装置130と情報通信可能に構成されたフィールド機器に対し、入力操作を行うことができる。ここで、フィールド機器は、上述したセンサ機器の他、流量制御弁や開閉弁等のバルブ機器、ファンやモータ等のアクチュエータ機器、スピーカ等の音響機器、ディスプレイなどの表示機器等を含んでよい。
【0064】
図5は、情報処理装置150が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートの開始時点において、未だデータモデル102が構築されていないとする。
【0065】
情報処理装置150は、第1の収集装置140aから設備情報を取得し、第2の収集装置140bから生産情報を取得する(ステップS11)。
【0066】
情報処理装置150は、ステップS11で取得した設備情報と生産情報とを統合する統合処理を実行する(ステップS12)。
【0067】
情報処理装置150は、ステップS12において生成された統合データを、通信装置120を介してクラウド100に送信する(ステップS13)。
【0068】
クラウド100は、取得した統合データに基づいて、解析エンジン101を用いてデータモデル102を構築し、通信装置120を介して、データモデル102を情報処理装置150に送信する。
【0069】
情報処理装置150は、通信装置120を介して、クラウド100で構築されたデータモデル102を受信する(ステップS14)。情報処理装置150は、受信したデータモデル102を、記憶部153に記憶してよい。
【0070】
情報処理装置150は、データモデル102を記憶部153に記憶した後、判定処理を実行できる。具体的には、情報処理装置150は、第1の収集装置140aから設備情報を取得し、第2の収集装置140bから生産情報を取得し(ステップS15)、設備情報と生産情報との統合処理を実行する(ステップS16)。
【0071】
情報処理装置150は、ステップS16で生成した統合データについて、データモデル102を用いて、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理を実行する(ステップS17)。
【0072】
情報処理装置150は、ステップS17における判定結果を、例えば端末装置130に送信する(ステップS18)。端末装置130は、受信した判定結果を表示画面に表示する。管理者は、表示画面を見ることにより、情報処理装置150による判定結果を知ることができる。
【0073】
図6は、情報処理システム1における処理の一例を示すシーケンス図である。図6は、主にデータモデル102の構築に関する処理の一例を示すものである。
【0074】
図6に示すように、第1のセンサ機器110aは、設備情報を取得する(ステップS21)。第1のセンサ機器110aは、ステップS21で取得した設備情報を、第1の収集装置140aに送信する(ステップS22)。第1の収集装置140aは、受信した設備情報を、情報処理装置150に送信する(ステップS23)。
【0075】
また、第2のセンサ機器110bは、生産情報を取得する(ステップS24)。第2のセンサ機器110bは、ステップS24で取得した生産情報を、第2の収集装置140bに送信する(ステップS25)。第2の収集装置140bは、受信した生産情報を、情報処理装置150に送信する(ステップS26)。
【0076】
ステップS21からステップS23と、ステップS24からステップS26とは、並行して実行されてよい。
【0077】
情報処理装置150は、受信した設備情報と生産情報とを統合する統合処理を実行する(ステップS27)。情報処理装置150は、統合データを通信装置120に送信する(ステップS28)。通信装置120は、情報処理装置150から受信した統合データをクラウド100に送信する(ステップS29)。
【0078】
クラウド100は、統合データに基づいて、解析エンジン101を用いてデータモデル102を構築する(ステップS30)。クラウド100は、構築したデータモデル102を所定のメモリに記憶してよい。
【0079】
クラウド100は、構築したデータモデル102を、通信装置120に送信する(ステップS31)。通信装置120は、受信したデータモデル102を、情報処理装置150に送信する(ステップS32)。情報処理装置150は、受信したデータモデル102を、記憶部153に記憶する(ステップS33)。このようにして、情報処理装置150における判定処理の準備が完了する。
【0080】
図7は、情報処理システム1における処理の一例を示すシーケンス図である。図7は、主にプラントの稼働状態の判定に関する処理の一例を示すものである。
【0081】
情報処理システム1では、ステップS41からステップS47において、センサ機器による設備情報及び生産情報の取得と、情報処理装置150による設備情報と生産情報との統合処理が行われる。ステップS41からステップS47は、それぞれ図6のステップS21からステップS27と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0082】
情報処理装置150は、ステップS47の統合処理で生成した統合データについて、記憶部153に記憶したデータモデル102を用いて、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理を実行する(ステップS48)。情報処理装置150は、ステップS48における判定結果を、例えば端末装置130に送信する(ステップS49)。
【0083】
端末装置130は、受信した判定結果を表示画面に表示する(ステップS50)。管理者は、表示画面を見ることにより、情報処理装置150による判定結果を知ることができる。
【0084】
ステップS41からステップS50までの、プラントの稼働状態の判定に関する処理は、繰り返し実行されてよい。
【0085】
このように、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、クラウド100においてデータモデル102が構築され、構築されたデータモデル102は、情報処理装置150に送信される。そして、判定処理は、情報処理装置150において実行される。そのため、判定処理を行うためにクラウド100と情報処理装置150との間の通信が発生せず、判定処理は情報処理装置150内で完結する。従って、情報処理システム1によれば、クラウド100において判定処理を実行する場合と比較して、クラウド100における処理負荷、及び、クラウド100との通信回線の負荷を低減できる。
【0086】
また、情報処理システム1によれば、判定処理が情報処理装置150内で完結するため、仮にクラウド100と情報処理装置150との間に通信障害が発生した場合であっても、判定処理を継続して実行することができる。また、情報処理システム1によれば、判定処理が情報処理装置150内で完結するため、仮にクラウド100にトラブルが発生した場合であっても、判定処理を継続して実行することができる。さらに、情報処理システム1によれば、判定処理が情報処理装置150内で完結するため、判定処理を実行する際に、判定処理に用いられる設備情報又は生産情報に含まれたノウハウが、情報処理装置150の外部に流出することを防止しやすくなる。
【0087】
また、情報処理システム1によれば、情報処理装置150が設備情報と生産情報とを統合した統合データを生成し、統合データを用いて、構築処理や判定処理等の処理を実行する。このように統合データを用いて処理を実行することにより、例えば、設備情報又は生産情報の一方のみを用いて処理を行う場合と比較して、より多くの情報を用いて、より多面的に分析を実行することができる。そのため、情報処理システム1によれば、より高い精度で判定処理を実行することができる。また、例えば、情報処理システム1が統合データを用いて設備の予知保全を実行可能な場合、統合データを用いることによって、より早期に故障や異常を検出し得る。
【0088】
情報処理装置150は、ステップS17及びステップS48の判定処理において、例えばある統合データについて、データモデル102によっては判定ができない場合、当該統合データを、クラウド100に送信してよい。クラウド100は、情報処理装置150から、通信装置120を介して新たな統合データを受信すると、当該新たな統合データを用いて、データモデル102の更新処理を行うことができる。
【0089】
図8は、情報処理装置150が実行する処理の一例を示すフローチャートであり、具体的な判定処理の一例を示すフローチャートである。情報処理装置150は、例えば統合処理によって統合データを生成したあと、図8のフローチャートを実行してよい。
【0090】
情報処理装置150は、データモデル102を用いて、生成した統合データがプラントの正常な稼働を示すデータの範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS51)。
【0091】
情報処理装置150は、生成した統合データがプラントの正常な稼働を示すデータの範囲に含まれると判定した場合(ステップS51のYes)、プラントの稼働状態が正常であると判定する(ステップS52)。
【0092】
一方、情報処理装置150は、生成した統合データがプラントの正常な稼働を示すデータの範囲に含まれないと判定した場合(ステップS51のNo)、プラントの稼働状態が異常な範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS53)。
【0093】
情報処理装置150は、生成した統合データがプラントの異常な稼働を示すデータの範囲に含まれると判定した場合(ステップS53のYes)、プラントの稼働状態が異常であると判定する(ステップS54)。
【0094】
一方、情報処理装置150は、生成した統合データがプラントの異常な稼働を示すデータの範囲に含まれないと判定した場合(ステップS53のNo)、当該統合データについて、データモデル102によっては判定ができないため、当該統合データをクラウド100に送信する(ステップS55)。
【0095】
図9は、情報処理システム1における処理の一例を示すシーケンス図である。図9は、主にデータモデル102の更新に関する処理の一例を示すものである。
【0096】
情報処理装置150は、判定処理を実行する(ステップS61)。情報処理装置150は、判定処理において、統合データについて、データモデル102によっては判定ができない場合、判定処理において判定の対象となった統合データ(新規データ)を通信装置120に送信する(ステップS62)。通信装置120は、情報処理装置150から受信した新規データを、クラウド100に送信する(ステップS63)。
【0097】
クラウド100は、通信装置120から受信した新規データを用いて、解析エンジン101により、データモデル102の更新処理を実行する(ステップS64)。例えば、クラウド100は、解析エンジン101を用いて、通信装置120から受信した新規データが正常であるか異常であるかを判定できるように、データモデル102を書き換えて更新する。例えば、解析エンジン101は、新規データが正常な範囲に含まれるものであるか、異常な範囲に含まれるものであるかを判断し、判断結果を反映させて、データモデル102を更新してよい。
【0098】
クラウド100は、ステップS64の更新処理により生成した更新後のデータモデル102を、通信装置120に送信する(ステップS65)。通信装置120は、クラウド100から受信したデータモデル102を、情報処理装置150に送信する(ステップS66)。情報処理装置150は、通信装置120から受信したデータモデル102を、例えば記憶部153に記憶する(ステップS67)。この後、情報処理装置150は、ステップS67で記憶した、更新後のデータモデル102を用いて判定処理を実行できる。判定処理は、例えば図7を参照して説明した処理により実行される。
【0099】
このように、情報処理システム1によれば、データモデル102を用いてプラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定できない場合、当該判定できないデータをクラウド100に送信し、クラウド100においてデータモデル102の更新処理を実行する。情報処理装置150は、更新されたデータモデル102を用いて、判定処理を実行する。そのため、情報処理装置150は、プラントの稼働状態について判定できないデータを取得した場合であっても、適宜アップデートされた最新のデータモデル102を用いて、プラントの稼働状態を判定できるようになる。また、更新処理を行うことにより、データモデル102により判定可能なデータの範囲が広がる。
【0100】
また、情報処理システム1によれば、データモデル102を用いてプラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定できない場合に、当該データをクラウド100に送信するため、判定可能なデータが取得されている平常時には、クラウド100との間の通信が行われないため、通信回線の負荷を低減することができる。
【0101】
なお、情報処理システム1で用いられる統合データ及びデータモデル等の各種データの送信タイミングは、適宜定められてよい。例えば、各種データは、通信装置120とクラウド100との通信回線が正常に動作している場合に送信されてよい。つまり、この場合、通信回線に障害が発生している場合はデータの送受信が行われず、通信回線が回復した場合にデータの送受信が行われる。
【0102】
各種データは、所定の条件が満たされた場合に送信されてもよい。例えば、上述した判定できない統合データは、情報処理装置150において所定量蓄積された場合に、通信装置120を介してクラウド100に送信されてよい。このようにすることで、例えば1回性のノイズ等が、判定できないデータとして検出された場合であっても、当該データに基づいてすぐにデータモデル102の更新が行われない。この場合、例えば情報処理装置150において、判定できない統合データとして蓄積されたデータのうち、ノイズが含まれるものについては、情報処理装置150が備える所定のアルゴリズムにより、又は、例えば管理者による所定の入力操作により、除外されることができる。
【0103】
上記実施形態では、情報処理システム1において実行されるプラントの稼働に関する処理が、プラントの稼働状態が正常であるか異常であるかを判定する判定処理であるとして説明した。しかしながら、プラントの稼働に関する処理は、これに限られず、プラントの稼働に関する任意の処理であってよい。例えば、情報処理装置150は、ネットワーク160を介して、バルブ機器又はアクチュエータ機器等のフィールド機器に接続されている場合、プラントの稼働に関する処理として、フィールド機器を制御する処理を実行してよい。この場合、情報処理装置150は、例えば、設備情報、生産情報又は統合データに基づいて、フィールド機器を制御する。これにより、例えば、製品の生産プロセスや生産量等が調整され得る。
【0104】
本開示は、上述した実施形態で特定された構成に限定されず、特許請求の範囲に記載した開示の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再構成可能であり、複数の構成部またはステップなどを1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1、2 情報処理システム
10、20 プラント
11、21 パイプライン
100、200 クラウド
101、201 解析エンジン
102、202 データモデル
110a 第1のセンサ機器
110b 第2のセンサ機器
120、220 通信装置
130、230 端末装置
140a 第1の収集装置
140b 第2の収集装置
150 情報処理装置
151 通信部
152 制御部
153 記憶部
160 ネットワーク
210 センサ機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9