(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106495
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】動力伝達を係脱するための操作装置及び同操作装置を用いた作業機
(51)【国際特許分類】
F16H 63/04 20060101AFI20230725BHJP
F16H 61/28 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
F16H63/04
F16H61/28
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023081440
(22)【出願日】2023-05-17
(62)【分割の表示】P 2019117797の分割
【原出願日】2019-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】戸田 勉
(57)【要約】 (修正有)
【課題】変速レバーの移動及び回動する荷重がモータの回転トルクより上回った場合、モータには過負荷が掛かると、モータが動作できなくなる課題を解決する。
【解決手段】操作装置Bに備えるクラッチ動作部21は、アクチュエータ211によって揺動体回動軸217を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、揺動体の端部に揺動体回動軸217により回動自在に設け、揺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に移動される摺動部材32と、摺動部材32と連動可能に配置されて摺動部材32によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にしてクラッチを動作させる第1ロッド31と、前記第1ロッド31に取り付けられて摺動部材32をクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記摺動体と連動可能に配置されて前記摺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて第1ロッドをクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えたことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記揺動体の端部に前記揺動体回動軸により回動自在に設け、揺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に移動される摺動部材と、
前記摺動部材と連動可能に配置されて前記摺動部材によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて前記摺動部材をクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えたことを特徴とする操作装置。
【請求項3】
前記揺動体は前記アクチュエータに取り付けたピニオンギヤに噛合するためのギヤを備えている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の操作装置。
【請求項4】
前記弾性体の外周を覆うように設け、前記弾性体の圧縮長さを規制する筒状の規制部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3のいずれかに記載の操作装置。
【請求項5】
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記摺動体と連動可能に配置されて前記摺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて第1ロッドをクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えた操作装置を用い、
前記変速部は車体の進行方向両側に位置させた走行装置の間に配置し、前記変速部から出力された回転動力を前記走行装置に伝動することで左右に配置した前記走行装置の回転差によって車体の旋回走行をする、
ことを特徴とする作業機。
【請求項6】
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記揺動体の端部に前記揺動体回動軸により回動自在に設け、揺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に移動される摺動部材と、
前記摺動部材と連動可能に配置されて前記摺動部材によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて前記摺動部材をクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えた操作装置を用い、
前記変速部は車体の進行方向両側に位置させた走行装置の間に配置し、前記変速部から出力された回転動力を前記走行装置に伝動することで左右に配置した前記走行装置の回転差によって車体の旋回走行をする、
ことを特徴とする作業機。
【請求項7】
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記摺動体と連動可能に配置されて前記摺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて第1ロッドをクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えた操作装置を用い、
前記変速部の上方で進行方向の前後にわたって進行方向左右に並べて位置させた複数のベルトの外周面によって作物を挟持するとともに土壌から引き抜く引抜搬送装置と、
をさらに備えたことを特徴とする作業機。
【請求項8】
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記揺動体の端部に前記揺動体回動軸により回動自在に設け、揺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に移動される摺動部材と、
前記摺動部材と連動可能に配置されて前記摺動部材によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて前記摺動部材をクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えた操作装置を用い、
前記変速部の上方で進行方向の前後にわたって進行方向左右に並べて位置させた複数のベルトの外周面によって作物を挟持するとともに土壌から引き抜く引抜搬送装置と、
をさらに備えたことを特徴とする作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動力伝達を係脱するための操作装置及び同操作装置を用いた作業機、詳細
には、地下茎作物収穫機の動力伝達を係脱するための操作装置及び同操作装置を用いた地
下茎作物収穫機である作業機に係る。
【背景技術】
【0002】
操向装置および変速機構を有するとともに、この変速機構に設けた変速レバーを動作させるための電動式の操作装置に接続させる機構が特許文献1「除雪機」に開示されている。特許文献1で例示されているのは歩行型除雪機であり、変速機構はHSTと減速機であり、それぞれ2個ずつ搭載している。HSTに設けた変速レバーを直接電動式の操作装置
で操作することにより、車体が変速可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電動式の操作装置は、静油圧式無段変速機(Hydraulic Static Transmission、以下HSTと呼称)に備えた変速レバーをモータによってリンク機構を介して操作するものである。
【0005】
しかし、HSTとモータは直接接続されているため、変速機構であるHSTの負荷等によって変速レバーの移動及び回動する荷重がモータの回転トルクより上回った場合、モータには過負荷が掛かることになる。そのため、変速レバーの回動荷重が、モータのトルクより上回ることによってモータが動作できず、特許文献1の歩行型除雪機は旋回を含む前後走行が不能になる問題点を有する。
特許文献1「除雪機」では変速機構であるHSTの変速レバーを操作する機構であるが、HSTとモータは直接接続させた場合は、このHSTに代えて、サイドクラッチ機構を有した機械式減速機に適用して、サイドクラッチを操作しても同様の問題が発生する。
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、機体の構成を簡易に構成して、電動部の信頼性を向上させることができる動力伝達を係脱するための操作装置を提供することを目的とする。更に、同操作装置を備えた作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記摺動体と連動可能に配置されて前記摺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて第1ロッドをクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えたことを特徴とする操作装置、
からなる。
【0007】
この発明は、
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記揺動体の端部に前記揺動体回動軸により回動自在に設け、揺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に移動される摺動部材と、
前記摺動部材と連動可能に配置されて前記摺動部材によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて前記摺動部材をクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えたことを特徴とする操作装置、
からなる。
【0008】
この発明は、更に、
前記揺動体は前記アクチュエータに取り付けたピニオンギヤに噛合するためのギヤを備えている、
ことを特徴とする操作装置、
からなる。
【0009】
この発明は、更に、
前記弾性体の外周を覆うように設け、前記弾性体の圧縮長さを規制する筒状の規制部材と、
を備えたことを特徴とする操作装置、
からなる。
【0010】
この発明は、
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記摺動体と連動可能に配置されて前記摺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて第1ロッドをクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えた操作装置を用い、
前記変速部は車体の進行方向両側に位置させた走行装置の間に配置し、前記変速部から出力された回転動力を前記走行装置に伝動することで左右に配置した前記走行装置の回転差によって車体の旋回走行をする、
ことを特徴とする作業機、
からなる。
【0011】
この発明は、
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記揺動体の端部に前記揺動体回動軸により回動自在に設け、揺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に移動される摺動部材と、
前記摺動部材と連動可能に配置されて前記摺動部材によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて前記摺動部材をクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えた操作装置を用い、
前記変速部は車体の進行方向両側に位置させた走行装置の間に配置し、前記変速部から出力された回転動力を前記走行装置に伝動することで左右に配置した前記走行装置の回転差によって車体の旋回走行をする、
ことを特徴とする作業機、
からなる。
【0012】
この発明は、
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記摺動体と連動可能に配置されて前記摺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて第1ロッドをクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えた操作装置を用い、
前記変速部の上方で進行方向の前後にわたって進行方向左右に並べて位置させた複数のベルトの外周面によって作物を挟持するとともに土壌から引き抜く引抜搬送装置と、
をさらに備えたことを特徴とする作業機、
からなる。
【0013】
この発明は、
入力した回転動力を断続させるクラッチを有した変速部と、前記変速部の近傍に位置し前記クラッチを断続動作させるクラッチ動作部と、を備え、
前記クラッチ動作部は、前記クラッチ動作部を駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータによって揺動体回動軸を回動中心として、回転揺動可能に設けられた揺動体と、
前記揺動体の端部に前記揺動体回動軸により回動自在に設け、揺動体によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に移動される摺動部材と、
前記摺動部材と連動可能に配置されて前記摺動部材によりクラッチに近接する方向とクラッチから離れる方向に摺動可能にして前記クラッチを動作させる第1ロッドと、
前記第1ロッドに取り付けられて前記摺動部材をクラッチから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記第1ロッドは回動自在に設けた方向変換部材の一端に取り付けられ、前記方向変換部材の他端には前記クラッチを動作させる第2ロッドと、
を備えた操作装置を用い、
前記変速部の上方で進行方向の前後にわたって進行方向左右に並べて位置させた複数のベルトの外周面によって作物を挟持するとともに土壌から引き抜く引抜搬送装置と、
をさらに備えたことを特徴とする作業機、
からなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、「変速レバーの移動及び回動する荷重がモータの回転トルクより上回った場合、モータには過負荷が掛かることになる。すると、変速レバーの回動荷重が、モータのトルクより上回ることによってモータが動作できず、結果、特許文献1の歩行型除雪機は旋回を含む前後走行が不能になる。」課題は、アクチュエータの作動で直接クラッチを切断するのではなく、アクチュエータの作動で弾性体を縮小させて反発力を高めて、反発力がクラッチの切断時に要する負荷に打ち勝つと弾性体の反発力でクラッチを切断できることによって解決することができる。
更に、同操作装置を備えた作業機により課題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の走行クラッチ動作部の一部断面正面図である。
【
図2】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の搬送クラッチ動作部の一部断面正面図である。
【
図3】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の図中上方の走行クラッチは切断状態で、下方の走行クラッチは接続状態で、搬送クラッチは切断状態の一部断面平面図である。
【
図4】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の
図1のAA断面図である。
【
図5】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の3軸で断面した平面図であって、
図4の上から見た断面図である。
【
図6】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例のギヤgとギヤhの噛合状態をあらわす断面図である。
【
図7】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の搬送クラッチの噛合状態をあらわす拡大図である。
【
図8】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の搬送クラッチの強制切断状態をあらわす拡大図である。
【
図9】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の一部拡大正面図である。
【
図10】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の一部拡大正面図である。
【
図11】この発明の実施の形態に係る操作装置の第2実施例の一部拡大正面図である。
【
図12】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の第1の走行モードをとったときの変速部の一部拡大正面図である。
【
図13】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の第2の走行モードをとったときの変速部の一部拡大正面図である。
【
図14】この発明の実施の形態に係る操作装置の第1実施例の第3の走行モードをとったときの変速部の一部拡大正面図である。
【
図15】この発明の実施の形態に係る操作装置を用いた作業機の実施例の平面図である。
【
図16】この発明の実施の形態に係る操作装置を用いた作業機の実施例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
Aは、HSTである。A1は、プーリーである。HST(A)に取り付けたプーリーA1に、駆動源から入力してHST(A)を駆動する。
Bは、操作装置である。操作装置Bは、変速部11とクラッチ動作部21とを有する。
操作装置Bは、HST(A)の下流側に設ける。
変速部11は、作業機Cの走行部D及び引抜搬送部Eへ動力を伝達する。
【0017】
図4を参照して、変速部11であるギヤケース内の噛み合い等の相関関係及び、HST(A)からの駆動軸である第1軸から各軸の作動について説明する。
変速部11内部には、第1軸111と、第1軸111に対して直角で相互に平行な第2軸112、第3軸113、第4軸114、第5軸115を設ける。第3軸113は、第2軸112を挟んで、第4軸114、第5軸115とは
図4図中反対側に設置する。
【0018】
第1軸111は、HST(A)からギヤケースである変速部11内に入力される回転軸である。第2軸112乃至第5軸115は、それぞれ軸受で支持され回転自在である。
第2軸112は、第1軸111の駆動を最終駆動軸である第5軸115、作業機Cの搬送クラッチ121の軸である第3軸113に、第4軸114を介して伝動する。
【0019】
変速部11内部には、入力した回転動力を断続させるクラッチ12を設ける。
クラッチ12は、搬送クラッチ121、第1走行クラッチ122、第2走行クラッチ123からなる。
搬送クラッチ121は、第3軸113とスプロケット13を接続切断する。スプロケット13は、引抜搬送部Eへ動力を伝達する。
第1走行クラッチ122は、
図4左側の第1走行クラッチ122Aと、
図4右側の第1走行クラッチ122Bからなる。第1走行クラッチ122は、前記走行装置を有する走行部Dへの伝動を行う。
【0020】
第2走行クラッチ123は、
図4左側の第2走行クラッチ123Aと、
図4右側の第1走行クラッチ123Bとを有する。圧縮バネ114aは、
図4、
図5、
図12、
図13、
図14に図示するように、第2走行クラッチ123A及び第2走行クラッチ123Bをそれぞれ離す方向に付勢する。
第1走行クラッチ122、第2走行クラッチ123は、第2軸112と第5軸115を接続切断する。
【0021】
第2軸112、第3軸113、第4軸114、第5軸115には、それぞれ、ギヤa~ギヤiを取り付ける。114aは、圧縮バネであり、第4軸114に取り付ける。
ギヤaは、第1軸111に取り付け、第1軸111と常時同期回転する。ギヤaを有する第1軸111は、第2軸112及びギヤb、ギヤc、第3軸113及びギヤd、ギヤe、搬送クラッチ121、ギヤf、ギヤgを常時同期させる。
【0022】
ギヤbは、第2軸112に取り付け、第2軸112と常時同期回転する。
ギヤcは、第2軸112に取り付け、第2軸112およびギヤbと常時同期回転する。
ギヤdは、第3軸113に取り付け、第3軸113、ギヤe、搬送クラッチ121、搬送クラッチ121の噛合いが接続しているときのスプロケット13と常時同期回転する。
ギヤeは、ギヤdよりもスプロケット13より離れた位置で第3軸113に取り付け、第3軸113、ギヤd、搬送クラッチ121、搬送クラッチ121の噛合いが接続しているときのスプロケット13と常時同期回転する。
【0023】
搬送クラッチ121は、シフトフォークである第2ロッド41によって第3軸113と同軸上で軸方向にスライド可能である。
ギヤfは、第2軸112の同軸上に配置されるが、第2軸112と回転の同期はしない。
ギヤgは、第4軸114の同軸上に配置されるが、第4軸114と回転の同期はしない。
ギヤhは、第4軸114の同軸上に配置されるが、第4軸114と回転の同期はしない。ギヤhは、第4軸114上で第2ロッド41によって、
図5に図示するように軸方向にスライドが可能である。
【0024】
図4図中左側の第1走行クラッチ122Aに示す状態のように、ギヤgと第1走行クラッチ122である第1走行クラッチ122A、第1走行クラッチ122Bが噛み合うことでギヤgの回転と同期し、第5軸115は駆動状態になる。
ギヤgと、ギヤhは、第4軸114を回転軸として、
図6に図示するように、噛み合う。
第1走行クラッチ122であるギヤhの一端部が、ギヤgから離れ、且つ、
図4図中右側の第1走行クラッチ122Bの状態である、ギヤhとギヤiが噛合時は、第5軸115は自由状態となる。
【0025】
第1走行クラッチ122を構成するギヤhの一端部が、第1走行クラッチ122を構成するギヤgから離れた状態で、ギヤhと第1走行クラッチ122を構成するギヤiが噛合し、且つ、第2走行クラッチ123を構成するギヤhの他端部が、ギヤボックスである変速部11内の第2走行クラッチ123を構成する突起部Pとの噛合時には、第5軸115は回転が固定状態となる。
ギヤiは、第5軸115と同期回転する。ギヤhと噛合することで、最終軸である第5軸115へ回転を出力する。
【0026】
第1走行クラッチ122は、前記変速部11に設けたギヤボックスの内部で前記走行装置を有する走行部Dへの伝動を断続して走行及び停止させる。
第1走行クラッチ122、第2走行クラッチ123からなる走行クラッチは、走行装置を有する走行部Dに駆動力を伝達状態のとき、クラッチ12の噛み合いは、第4軸114軸方向に力を入れない限り容易に外れない構造であるので、安定的に相応が可能である。
第2走行クラッチ123は、前記走行部Dへの伝動を前記第1走行クラッチ122によって切断した場合に、前記ギヤボックスの内部に設けた第2走行クラッチ123である突起部Pに係合して走行部Dの回転を停止させる。
【0027】
搬送クラッチ121は、
図4上方右側に図示するように、第3軸113回転軸と平行方向に第2走行クラッチ123に突起部Pを設ける。搬送クラッチ121は、互いに噛合うことで回転動力を伝動する接続部Sを設ける。
接続部Sは、
図7に図示するように、回転方向の前方側が接続面S1から遠ざかるに従い回転方向の前方に向かって傾斜すると共に、回転方向の後方側が接続面S1から遠ざかるに従い回転方向の後方に向かって傾斜している。
すなわち、搬送クラッチ121は、
図7に図示するように、回転方向に面した接続面S1である噛み合い面が前後方向に傾斜している。
【0028】
そのため、引抜搬送部Eの搬送コンベア、コンベアベルトからなる引抜搬送装置51に大きな負荷がかかった場合すなわち、搬送クラッチ121に大きな負荷が接続面S1に掛かった場合、傾斜に沿って搬送クラッチ121が軸方向に移動して動力の伝達を切断できる。搬送クラッチ121に掛かる負荷のみで作動するので、制御装置等が不要としつつも安全対策を施すことが可能で、構造が簡素になる。
搬送クラッチ121は、前記変速部11に設けたギヤボックスの外部でコンベアベルトからなる引抜搬送装置51への伝動を断続可能にさせると共に、コンベアベルトが過負荷時のときに動力伝達を切断する。
【0029】
搬送クラッチ121は、オイルバスとなっているギヤボックス外部に取り付けることで、クラッチ切断状態を検知するセンサ等を、高価な防滴あるいは防油仕様とせずとも取り付けることができ、簡素かつ安価な構成とすることができる。
【0030】
スプロケット13は、搬送クラッチ121と係合する
図4図中上部に図示する第2走行クラッチ123である突起部Pを有する。搬送クラッチ121と係合しない場合は、第3軸113との回転は同期しない。搬送クラッチ121と係合した場合は、第3軸113との回転と同期する。
第1実施例の搬送クラッチ121の噛合状態をあらわす拡大図である
図7において、搬送クラッチ121とスプロケット13との噛合せ状態において、θ1は、傾斜角度である。搬送クラッチ121は、
図7図中矢印方向に回転して移動する。
【0031】
第1実施例の搬送クラッチ121の強制切断状態をあらわわす拡大図である
図8について説明する。
図8は、スプロケット13は、高負荷により、停止状態の場合をあらわす。矢印は、搬送クラッチ121の回転方向である。駆動状態であるクラッチ側は、傾斜面である接続面S1を乗り越えて、軸方向に移動する。
すなわち、図中では左方向に移動する。搬送クラッチ121は、回転を続ける。この状態から、搬送クラッチ121が回転を続けると、クラッチ動作部21の第1弾性体33Aによって、第1ロッド31と、第2ロッド41を介して、再度噛合い位置に戻る。しかし、スプロケット13側は動かないため、再度、前述の状態を繰り返す。
【0032】
この構造によって、変速部11は停止に陥らずに、回転を維持することが可能である。
この実施例では、スプロケット13側、搬送クラッチ121ともに、傾斜角度θ1、θ2、θ3=70°に設定している。負荷に応じた空転開始トルクは、任意で傾斜角度を設定することにより自由に設定可能である。
【0033】
クラッチ動作部21について説明する。クラッチ動作部21は、第1走行クラッチ動作部22Aと第2走行クラッチ動作部22Bとの2個の走行クラッチ動作部と、1個の搬送クラッチ動作部23とからなる。
クラッチ動作部21は、アクチュエータ211と、揺動体212と、摺動部材32と、第1ロッド31と、第2ロッド41と、第1弾性体33Aとを有する。
クラッチ動作部21は、前記変速部11の近傍に位置して、搬送クラッチ121、第1走行クラッチ122、第2走行クラッチ123の各クラッチ12を断続動作させる。
【0034】
アクチュエータ211は、モータからなる。アクチュエータ211は、前記クラッチ動作部21の駆動源となり、前記クラッチ12を駆動する。
アクチュエータ211は、第1走行クラッチ動作部22A、第2走行クラッチ動作部22B、搬送クラッチ動作部23とにそれぞれ別々に設けてある。
【0035】
揺動体212は、
図1、
図2、
図9、
図10に図示するように板状体からなり、長辺と短辺とからなる略長方形からなり、一端の短辺付近に偏らせて揺動体回動軸217を設ける。揺動体212は、アクチュエータ211によって揺動体回動軸217を回動中心として、回転揺動可能に設ける。揺動体212の第1ロッド31までの端部から揺動体回動軸217までの短辺側の距離r2と、揺動体回動軸217から長辺の端部の短辺までの距離r1とでは、r1>r2となっている。
【0036】
揺動体212の揺動体回動軸217から離れた短辺には、短辺に沿ってギヤ213を備えている。アクチュエータ211には、ピニオンギヤ211aを取り付ける。ギヤ213は、ピニオンギヤ211aに噛合する。
図1、
図9に図示する第1実施例の第2走行クラッチ動作部22B、
図2に図示する第1実施例の搬送クラッチ動作部23、第2実施例の
図11に図示する搬送クラッチ動作部23でも同様である。
【0037】
214は、リミットスイッチである。リミットスイッチ214は、揺動体212のギヤ213を設けた揺動体回動軸217から離れた短辺端部の揺動体212搖動範囲の両側に設置する。リミットスイッチ214は、搖動体21の搖動によりピニオンギヤ211aに接触することで、搖動位置を検知する。
揺動体212は、第1ロッド31、筒部材からなる摺動部材32方向に搖動する。揺動体212端部は、変速部11に対して近接離隔作動して、第1弾性体33Aを縮小、延伸させる。揺動体212は、第1弾性体33Aをクラッチ12方向に押したり、押すのを弱
めたりする作用を有する。
【0038】
揺動体212の第1ロッド31までの端部から揺動体回動軸217までの短辺側の距離r2と、揺動体回動軸217から長辺にそった揺動体回動軸217から離れた短辺端部までの距離r1とでは、r1>r2となっている。そのため、梃の原理で、r1が作動すると、r2端部には大きな力が働き、搖動体212の作用は倍力される。
揺動体回転軸217から、それぞれの端部までの長さが異なることは必要である。
【0039】
摺動部材32は、筒部材からなる。摺動部材32は、前記揺動体212の端部に前記揺動体の回動軸である揺動体回動軸217、揺動体回動軸217と平行な摺動部材回転軸35を有して回動自在に設ける。
摺動部材32は、前記揺動体回転軸217と交差する方向、この実施例では直交する方向に内径軸を向ける。摺動部材32は、揺動体212により揺動体回動軸217を回動中心としてクラッチ12に近接する方向とクラッチ12と離れる方向に移動される。
【0040】
第1ロッド31は、筒部材からなる摺動部材32の内径に取り付ける。摺動部材32と連動可能に配置されて摺動部材32によりクラッチ12に近接する方向とクラッチ12と離れる方向に摺動可能にして前記クラッチ12を動作させる。
36は、方向変換部材である。第1ロッド31は回動自在に設けた方向変換部材36の一端に取り付ける。
【0041】
第2ロッド41は、方向変換部材36の他端にとりつける。第2ロッド41は、クラッチ12を動作させる。第2ロッド41は、シフトフォークからなる。
【0042】
第1弾性体33Aは、第1ロッド31に取り付けられて前記筒部材からなる摺動部材32をクラッチ12と離れる方向に付勢する。一端側を摺動部材32に接触させた第1弾性体33Aの他端側は、ナットで摺動部材32の伸長時の長さを規制している。
第1弾性体33Aは、アクチュエータ211の作動で直接クラッチ12を切断するのではなく、アクチュエータ211の作動で第1弾性体33Aを縮小させて反発力を高めて、反発力がクラッチ12の切断時に要する負荷に打ち勝つと第1弾性体33Aの反発力でクラッチ12を切断できる。
【0043】
そのため、「変速レバーの移動及び回動する荷重がモータの回転トルクより上回った場合、モータには過負荷が掛かることになる。すると、変速レバーの回動荷重が、モータのトルクより上回ることによってモータが動作できず、結果、特許文献1の歩行型除雪機は旋回を含む前後走行が不能になる。」課題は、解決する。
【0044】
規制部材34は、筒状からなり、第1弾性体33Aの外周を覆うように設ける。規制部材34は、第1弾性体33Aの圧縮長さを規制する。
クラッチ動作部21を変速部11の外部に配置することで、クラッチ動作部21を容易に取り外しが可能となる。このため、作業機Cの仕様に応じて本願の様な電動式のクラッチ動作部21か、リンク機構やケーブル等で連結して手動で操作する手動式かを、適宜自由に選択可能にできる。
【0045】
揺動体212では、r1>r2となっているため、梃の原理で、r1が作動すると、r2端部には大きな力が働き、搖動体212の作用は倍力される。
そのため、アクチュエータ211からの動力は、
図1、
図2、また第2実施例において、
図9、
図10揺動体212を介して第1ロッド31を動作させるので、より大きな比率で倍力させることが可能となる。したがってアクチュエータ211を小型化でき、装置全体のコンパクト化に寄与する。
【0046】
揺動体212は、ギヤ213の歯面がピニオンギヤ211aによって噛合して動作させるので、第1ロッド31への動力伝達が確実に行える。また、この歯車伝達によってコンパクト性を維持しつつ倍力させることが可能となる。
第1弾性体33Aは、揺動体212の一端側に配置して第1ロッド31と接続しているので、クラッチ12切断動作時に高負荷でクラッチ12が不動状態に陥っても、第1弾性体33Aが縮みきるまで一定の時間が稼げる。これにより、アクチュエータ211が急停止、または、起動直後から停止状態を維持することがない。
【0047】
アクチュエータ211を駆動して第1弾性体33Aが縮むと、相対的に反発力が増幅していく。反発力がクラッチ12の切断時に要する負荷に打ち勝つとクラッチ12を切断できる。また、第1弾性体33Aが縮んでもアクチュエータ211は動作状態を維持するので、急停止等による過大な電力の突入を防止できる。したがって、モータからなるアクチュエータ211は急激な電力上昇による電気的負荷から保護できる。
アクチュエータ211の作動で直接クラッチ12を切断するのではなく、アクチュエータ211の作動で第1弾性体33Aを縮小させて反発力を高めて、反発力がクラッチ12の切断時に要する負荷に打ち勝つと第1弾性体33Aの反発力でクラッチ12を切断できる。
【0048】
第1弾性体33Aによって、アクチュエータ211が動作状態から急停止、または、起動直後から停止状態を維持することがないので、アクチュエータ211に過大な電力が瞬時に突入または、過大電力の通電状態を維持することを防ぐ。結果、アクチュエータ211を電気的な回路を用いずに機械的構成のみで保護でき、制御ソフトウェア等を省略できる。
【0049】
揺動体212に取り付けた筒部材からなる摺動部材32は、内径部に第1ロッド31を挿通させることで、第1ロッド31を軸方向に安定的にスライド動作が可能で、アクチュエータ211からの動力を確実にクラッチ12に伝達できる。
【0050】
シフトフォークである第2ロッド41及び方向変換部材36を用いることで、アクチュエータ211及び揺動体212は変速部11の近傍に自由な向きで配置できるので、変速部11の近傍の空間を自由にレイアウトでき、他の機器類を効率的に配置できる。このため、作業機C全体がコンパクトに収めることが可能となる。
【0051】
規制部材34の長さを変更することによって、アクチュエータ211動作中の第1弾性体33Aが第1ロッド31を作動させるタイミングを変更できる。第1弾性体33Aのみの反発力を発生させる時間(ストローク)を調整することが可能となり、クラッチ12動作の仕方を緩慢状態から敏感状態まで任意に変更・調整できる。さらに、第1弾性体33Aの他端側のナットを締め付けあるいは緩め方向に回転させると、第1弾性体33Aの伸長時の長さを調整できるので、より一層、クラッチ12動作の仕方を細かく変更・調整できる。
【0052】
特許文献1「除雪機」の機構では、変速機構はHSTと減速機をそれぞれ2個ずつ搭載していることから、構造が複雑となり、高価となり易い。また2個のHSTの回転数の制御は、専用の制御ソフトウェアも必要となり、これも高価となる要因になっている。
それに対して、この発明の実施例では、構造が簡素になる。
【0053】
図11に図示する第2実施例について説明する。
第2実施例では、筒部材からなる摺動部材32の一端側に第1弾性体33Aを設けているが、摺動部材32の他端側に第2弾性体33Bを設ける。すなわち第1ロッド31に取り付けた摺動部材32の両端側に弾性体を設ける。
第2弾性体33Bは、第1ロッド31に取り付けられて前記筒部材からなる摺動部材32をクラッチ12に近接する方向に付勢する。
筒状からなる規制部材34を、第2弾性体33Bの外周を覆うように設ける。規制部材34は、第2弾性体33Bの圧縮長さを規制する。
【0054】
摺動部材32の両端側に第1弾性体33Aと第2弾性体33Bの2個の弾性体を設ける場合、クラッチ12断続時のみならず、接続時にも緩衝効果が望める。
具体的には、ドグクラッチの場合、歯面が一致しないとクラッチ12接続はできない。このとき、第2弾性体33Bが無い場合は、モータからなるアクチュエータ211が停止し、過大な電流が流れることがある。
図9に図示する第2実施例はこの場合の課題を解決することが可能となる。
【0055】
本実施例に係る操作装置Bを取り付けた作業機Cである地下茎作物収穫機について、
図15、
図16に基づいて説明する。
地下茎作物収穫機には、地下茎作物収穫機の動力伝達を係脱するための操作装置Bを取り付ける。
走行部Dは、車体の進行方向両側に位置させると共に、畝を跨いで走行することができる走行装置を有する。
【0056】
図16に図示するように、変速部11は車体の進行方向両側に位置させた走行部Dの間に配置し、前記変速部11から出力された回転動力を前記走行部Dに伝動することで左右に配置した前記走行部Dの回転差によって作業機Cである車体の旋回走行をする。
【0057】
引抜搬送部Eは、
図16に図示するように、前記変速部11の上方で進行方向の前後にわたって進行方向左右に並べて位置させた複数のコンベアベルトからなる引抜搬送装置51を備える。引抜搬送部Eは、走行部Dの上方で上下回動可能である。引抜搬送装置51は、コンベアベルトの外周面によって、畝上の地下茎作物の茎を進行方向に対する左右両側を挟持して土壌から後方上斜め側に引き抜くと共に、後方側へ搬送する。
52は、球根搬送用コンベアベルトである。球根搬送用コンベアベルト52は、掘り出した球根を後部に搬送する。
53は、排葉用コンベアベルトである。排葉用コンベアベルト53は、切断された排葉を後部に搬送する。
【0058】
第1走行クラッチ122、第2走行クラッチ123からなる走行クラッチと、搬送クラッチ121とを同一の変速部11によって変速することで、引抜搬送装置51の搬送速度の内、地面と平行方向の速度成分を、作業機C機体の進行速度とほぼ一致させることができる。
【0059】
この実施例では、作業機Cである地下茎作物収穫機の走行モードは、3モードある。この実施例の走行モードの3モードについて説明する。
図4左側及び
図12に図示する第1の走行モードでは、第1走行クラッチ122は、第1走行クラッチ122の接続によって、走行装置を有する走行部Dへの伝動を行う。
第1の走行モードでは、ギヤg、ギヤh、ギヤiは互いに噛合状態である。第5軸115は、これらギヤにより駆動状態となる。
【0060】
図4右側及び
図13に図示する第2の走行モードでは、第1走行クラッチ122が伝動を切断し、空転することによって前記走行装置を有する走行部Dが自由状態となる。
第2の走行モードでは、ギヤgとギヤhは、第1クラッチ122Aの噛合が解除状態である。ギヤhとギヤiの噛合は継続している。
ギヤhは空転可能なフリー状態である。
ギヤiが取りついている駆動軸である第5軸115は、空転可能なフリー状態となる。
【0061】
図14に図示する第3の走行モードでは、第1走行クラッチ122が伝動を切断し、前記第1走行クラッチ122の空転を第2走行クラッチ123によって停止させることによって前記走行装置を有する走行部Dが停止状態となる。
第3の走行モードでは、ギヤgは第1クラッチ122Aの噛合が解除状態である。
ギヤhとギヤiの歯面の噛合は継続している。
ギヤhの第2クラッチ123Aが突起部Pに係合して回転ができない固定状態になる。したがって、ギヤiが取りついている駆動軸である第5軸115は、第2クラッチ123Aの噛合によって空転ができない固定状態となる。
【0062】
走行クラッチの第2走行クラッチ123は第1~3の走行モードを設けることで、サイドクラッチ方式を採用しつつも旋回動作を選択可能にしている。
第1の走行モードは直進である。
第2の走行モードは、一方側の走行クラッチの第2走行クラッチ123がフリー状態、他方側の走行クラッチの第2走行クラッチ123が伝動状態の場合であって、緩やかな旋回である。
【0063】
第3の走行モードは、一方側の走行クラッチの第2走行クラッチ123が固定状態で、他方側の走行クラッチの第2走行クラッチ123が伝動状態の場合である。第3のモードでは、急旋回が可能である。
エンジン不動時などの緊急時は、左右の走行クラッチの第2走行クラッチ123を第2の走行モードとすることで、走行装置を有する走行部Dは自由状態(いわゆるニュートラル状態)にすることも可能である。
【0064】
引抜搬送部Eへの動力伝達は、走行装置を有する走行部Dの変速部と一部共通の伝動経路をたどっていることで、引抜搬送部Eの搬送速度は、調整等をせずに機体の進行速度と同期させることが可能である。よって、作業者が、引抜搬送部Eの搬送速度の調整を気にする必要は無く、運転作業に集中できる。
作業機C機体は、エンジンを掛けなくとも動かすことが可能である。
【符号の説明】
【0065】
11 変速部
12 クラッチ
121 搬送クラッチ
122 第1走行クラッチ
123 第2走行クラッチ
21 クラッチ動作部
211 アクチュエータ
212 揺動体
217 揺動体回動軸
31 第1ロッド
32 摺動部材
41 第2ロッド
33A 第1弾性体
A HST
B 操作装置
C 作業機