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  • 特開-ポリウレタンフォーム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106522
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20230725BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20230725BHJP
【FI】
C08G18/00 F
C08G101:00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083814
(22)【出願日】2023-05-22
(62)【分割の表示】P 2023522292の分割
【原出願日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2021085926
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】593139123
【氏名又は名称】株式会社ロジャースイノアック
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐山 卓也
(72)【発明者】
【氏名】内田 健斗
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF12
4J034DF16
4J034DG02
4J034DQ16
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC35
4J034KD04
4J034KE02
4J034NA09
4J034QB14
4J034QC01
4J034RA12
4J034RA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低温下でクッション性が損なわれにくいポリウレタンフォームを提供する。
【解決手段】ポリウレタンフォームは、ポリオール類及びポリイソシアネート類を含む組成物から得られ、25℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP1(MPa)とし、-30℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP2(MPa)とした場合に、(P2/P1)×100≦180を満たし、さらに前記ポリウレタンフォームの見掛け密度に関して特定の条件を満たす、ポリウレタンフォームとする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール類及びポリイソシアネート類を含む組成物から得られるポリウレタンフォームであって、
25℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP1(MPa)とし、-30℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP2(MPa)とした場合に、
(P2/P1)×100≦180
を満たす、ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
ガラス転移点が-30℃以下である、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
ヒステリシスロス率が15%以下である、請求項1又は請求項2に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
下記式(a)で求められるAについて、
1000≦A
を満たす、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【数1】


m1i:前記ポリオール類に含まれるn種類(nは1以上の自然数)のポリオール類のうち、i種類目(iは1≦i≦nの自然数)のポリオール類の重量平均分子量
f1i:前記ポリオール類に含まれるn種類(nは1以上の自然数)のポリオール類のうち、i種類目(iは1≦i≦nの自然数)のポリオール類の1分子当たりの水酸基の数
x1i:前記ポリオール類に含まれるn種類(nは1以上の自然数)のポリオール類のうち、i種類目(iは1≦i≦nの自然数)のポリオール類の配合量(質量部)
y1:前記ポリオール類に含まれるn種類(nは1以上の自然数)のポリオール類全体の配合量(質量部)
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームを備えた、クッション材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリウレタンフォーム及びクッション材に関する。
本出願は、2021年5月21日に出願された日本国特許出願2021-085926号に基づくものであって、その優先権の利益を主張するものであり、その特許出願の全ての内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリー用クッション材が開示されている。このバッテリー用クッション材は、エラストマー成分と、発泡剤とを含有する発泡性樹脂シートを発泡させてなる発泡体を有している。
特許文献2にも、バッテリー用クッション材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-050841号公報
【特許文献2】特開2020-139062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ポリウレタンフォームには種々の性能が要求され、その要求も厳しくなっている。例えば、クッション材として用いられるポリウレタンフォームは、その用途に応じて広い温度領域での使用が想定される。広い温度領域、特に低温下でクッション性が損なわれにくいポリウレタンフォームが求められている。
本開示は、低温下でクッション性が損なわれにくいポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕 ポリオール類及びポリイソシアネート類を含む組成物から得られるポリウレタンフォームであって、
25℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP1(MPa)とし、-30℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP2(MPa)とした場合に、
(P2/P1)×100≦180
を満たす、ポリウレタンフォーム。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、低温下でクッション性が損なわれにくいポリウレタンフォームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るクッション材を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本開示の望ましい例を示す。
【0009】
〔2〕ガラス転移点が-30℃以下である、ポリウレタンフォーム。
【0010】
〔3〕ヒステリシスロス率が15%以下である、ポリウレタンフォーム。
【0011】
〔4〕下記式(a)で求められるAについて、
1000≦A
を満たす、ポリウレタンフォーム。
【数1】


m1i:前記ポリオール類に含まれるn種類(nは1以上の自然数)のポリオール類のうち、i種類目(iは1≦i≦nの自然数)のポリオール類の重量平均分子量
f1i:前記ポリオール類に含まれるn種類(nは1以上の自然数)のポリオール類のうち、i種類目(iは1≦i≦nの自然数)のポリオール類の1分子当たりの水酸基の数
x1i:前記ポリオール類に含まれるn種類(nは1以上の自然数)のポリオール類のうち、i種類目(iは1≦i≦nの自然数)のポリオール類の配合量(質量部)
y1:前記ポリオール類に含まれるn種類(nは1以上の自然数)のポリオール類全体の配合量(質量部)
【0012】
〔5〕上記のポリウレタンフォームを備えた、クッション材。
【0013】
以下、本開示を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「~」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10~20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10~20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
【0014】
1.ポリウレタンフォーム
ポリウレタンフォームは、ポリオール類及びポリイソシアネート類を含む組成物から得られる。ポリウレタンフォームは、25℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP1(MPa)とし、-30℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP2(MPa)とした場合に、
(P2/P1)×100≦180
を満たす。
【0015】
[ポリオール類]
ポリオール類は、上記の条件を満たす限り、特に限定されない。ポリオール類は、ポリエーテルポリオールと、ポリマーポリオールと、ポリエステルポリオールとが併用されることが好ましい。
【0016】
ポリエーテルポリオールは、重量平均分子量1500~4500(好ましくは2000~4000)、官能基数3又は2のポリエーテルポリオールであることが好ましい。
ポリエーテルポリオールの含有量は特に限定されない。ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール類全体を100質量部とした場合に、30質量部以上90質量部以下が好ましく、40質量部以上85質量部以下がより好ましい。
【0017】
ポリマーポリオールは、重量平均分子量1500~4500(好ましくは2000~4000)、官能基数2又は3のポリマーポリオールであることがより好ましい。ポリマーポリオールとしては、例えば、ベースポリオールとしての官能基数2又は3のポリエーテルポリオール中でアクリロニトリル及びスチレン等のビニルモノマーをグラフト共重合させてなるポリマーポリオールを好適に用いることができる。なお、ポリマーポリオールの重量平均分子量は、ベースポリオールの重量平均分子量を意味する。
【0018】
また、ポリマーポリオールのポリマーコンテント(ポリマーポリオール全体に対するベースポリオール以外の部分の質量割合)は10~40質量%であることが好ましく、15~30質量%であることがより好ましい。ポリウレタンフォームの強度を向上させるという観点においては、ポリマーコンテントは大きいほうが好ましいが、同ポリマーコンテントが大きくなりすぎると、粘度が高くなり作業性が低下するおそれがある。なお、ポリマーポリオールとしては、1種のポリマーポリオールのみが含有されてもよいし、重量平均分子量やポリマーコンテント、官能基数等が異なる2種以上のポリマーポリオールが併用されてもよい。ポリマーポリオールを用いることで、ポリウレタンフォームの硬度を向上できる。
【0019】
ポリマーポリオールの含有量は特に限定されない。ポリマーポリオールの含有量は、ポリオール類全体を100質量部とした場合に、5質量部以上60質量部以下が好ましく、25質量部以上45質量部以下がより好ましい。
【0020】
ポリエステルポリオールは、官能基数2のポリエステルポリオールであることがより好ましい。ポリエステルポリオールの重量平均分子量は、200~2500の範囲であることが好ましく、250~1500の範囲であることが好ましく、300~800の範囲であることがさらに好ましい。ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール、アジペート系ポリエステルポリオール等を用いることができる。ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオールとしては、例えば、ε-カプロラクトン等のラクトン類を開環付加重合させて得たポリエステルポリオールが挙げられる。アジペート系ポリエステルポリオールとしては、例えば、多官能カルボン酸と多官能ヒドロキシ化合物との重縮合によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールを用いることで、ポリウレタンフォームの強度を向上できる。また、ポリエステルポリオールは、ポリウレタンフォームのセルを微細化及び均一化する作用も有している。
【0021】
ポリエステルポリオールの含有量は特に限定されない。ポリエステルポリオールの含有量は、ポリオール類全体を100質量部とした場合に、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、5質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
【0022】
また、ポリオール類として、上記のポリオール以外のその他のポリオールを含有してもよい。その他のポリオールとしては、ポリウレタンフォームに一般に用いられるポリオールであれば特に限定されることなく用いることができる。
本開示において、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の低分子量の多価アルコールが用いられる場合には、これらの多価アルコールについてもポリオール類に含まれるものとする。
【0023】
[ポリイソシアネート類]
ポリイソシアネート類(ポリイソシアネート)はイソシアネート基を複数有する化合物であり、例えば、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族イソシアネート類、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族イソシアネート類、又はこれらとポリオールとの反応による遊離イソシアネートプレポリマー類、カルボジイミド変性イソシアネート類等の変性イソシアネート類を用いることができる。また、これらのポリイソシアネート類は、1種のみ含有されていてもよいし、2種以上が組み合わされて含有されていてもよい。
【0024】
ポリイソシアネート類としては、芳香族系、脂環式、脂肪族系の何れのイソシアネートでもよく、また、1分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能のイソシアネートであっても、あるいは1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する3官能以上のイソシアネートであってもよく、それらを単独であるいは複数組み合わせて使用してもよい。
例えば、2官能のイソシアネートとしては、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、m-フェニレンジイソシネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネートなどの芳香族系のもの、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式のもの、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンイソシアネートなどの脂肪族系のものを挙げることができる。また、2官能以上のイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ポリメリックMDI)を挙げることができる。3官能以上のイソシアネートとしては、1-メチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、1,3,5-トリメチルベンゾール-2,4,6-トリイソシアネート、ビフェニル-2,4,4’-トリイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4,4’-トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン-4,6,4’-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’,4"-トリイソシアネート、等を挙げることができる。また、イソシアネートは、それぞれ一種類に限られず一種類以上であってもよい。例えば、脂肪族系イソシアネートの一種類と芳香族系イソシアネートの二種類を併用してもよい。
また、ポリイソシアネート類の官能基数は硬度及び反発性の観点から、2.0~2.8の範囲であることが好ましい。
【0025】
なお、ポリイソシアネート類のイソシアネートインデックス(INDEX)は90~110の範囲であることが好ましい。イソシアネートインデックスは、ポリオール類におけるイソシアネートと反応し得る水酸基等の反応基に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の当量比である。従って、その値が100未満の場合には水酸基等の反応基がイソシアネート基より過剰であることを意味し、100を超える場合にはイソシアネート基が水酸基等の反応基より過剰であることを意味する。イソシアネートインデックスが90未満の場合、ポリオール類がポリイソシアネート類と十分に反応することができなくなるおそれがある。一方、イソシアネートインデックスが110を超える場合、低反発性の発現をまねくおそれがある。
【0026】
[整泡剤]
整泡剤は組成物の発泡を円滑に行うために用いられるものであり、組成物は好ましくは整泡剤を含有する。整泡剤としては、メカニカルフロス法を採用した場合に通常使用される公知の整泡剤、例えば、シリコーン系整泡剤を用いることができる。こうした整泡剤は粘度が高いことから、通常、アルキルベンゼン等の溶剤により希釈した状態として組成物中に配合される。
【0027】
組成物中における整泡剤の含有量は、ポリオール類100質量部に対して、3質量部~6質量部であることが好ましい。この含有量が3質量部以上であれば、セルの均一性の向上、ポリウレタンフォームの低密度化に寄与できる。また、6質量部を超えて含有させても、これ以上の飛躍的な整泡力の向上は期待できない。また、整泡剤を溶剤により希釈する場合には、質量比(整泡剤:溶剤)で25:75~75:25の範囲とすることが好ましい。
【0028】
[触媒]
触媒は主としてポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応を促進するためのものであり、組成物は好ましくは触媒を含有する。触媒としては、ポリウレタンフォームに通常使用される公知の触媒、例えば、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N´,N´-トリメチルアミノエチルピペラジン等の第3級アミン、スタナスオクトエート、オクチル酸スズ(スズオクトエート)等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラートを用いることができる。
【0029】
組成物中における触媒の含有量は、ポリオール類100質量部に対して、0.1質量部~5.0質量部であることが好ましい。この含有量が0.1質量部以上であれば、ウレタン化反応を十分に促進できる。5.0質量部以下であれば、ウレタン化反応が過剰に促進されることに起因してセル構造の形成が不均一となることを抑制できる。
【0030】
[その他の成分]
組成物は必要に応じて上記以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、可塑剤、抗菌剤、及び着色剤が挙げられる。なお、酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、及びヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられるが、揮発性有機化合物含量の低減という観点から、分子量300以上のヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることが特に好ましい。増粘剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0031】
2.ポリオール類中の1水酸基当たりの重量平均分子量に関する要件
ポリウレタンフォームは、好ましくは、上記式(a)で求められるAについて、1000≦Aを満たす。ポリウレタンフォームは、より好ましくは1100≦Aを満たし、更に好ましくは1150≦Aを満たす。Aの上限値は特に限定されない。ポリウレタンフォームは、上記式(a)で求められるAについて、例えばA≦2300を満たしてもよい。
【0032】
式(a)で求められるAは、ポリオール類中の1水酸基当たりの重量平均分子量を表している。ポリオール類に1種類のポリオール類が含まれる場合には、ポリオール類の重量平均分子量をポリオール類の1分子当たりの水酸基の数で除して求めることができる。ポリオール類に複数種類のポリオール類が含まれる場合には、各ポリオール類の重量平均分子量を各ポリオール類の1分子当たりの水酸基の数で除した値に、各ポリオール類の含有率(質量%)を乗じ、これらを合算して求めることができる。
【0033】
例えば、後述する実施例2(n=12)において、Aは以下の式(a-1)より、1194と求められる。
【数2】

【0034】
ポリウレタンフォームは、より好ましくは、上記式(a)で求められるA、及び下記式(b)で求められるBについて、2400≦A×Bを充足する。
【数3】


f2i:前記ポリイソシアネート類に含まれるm種類(mは1以上の自然数)のポリイソシアネート類のうち、i種類目(iは1≦i≦mの自然数)のポリイソシアネート類の1分子当たりのイソシアネート基の数
x2i:前記ポリイソシアネート類に含まれるm種類(mは1以上の自然数)のポリイソシアネート類のうち、i種類目(iは1≦i≦mの自然数)のポリイソシアネート類の配合量(質量部)
y2:前記ポリイソシアネート類に含まれるm種類(mは1以上の自然数)のポリイソシアネート類全体の配合量(質量部)
【0035】
式(b)で求められるBは、ポリイソシアネート類の平均官能基数を表している。ポリイソシアネート類に1種類のポリイソシアネート類が含まれる場合には、その官能基数として求めることができる。ポリイソシアネート類に複数種類のポリイソシアネート類が含まれる場合には、各ポリイソシアネート類の官能基数に、各ポリイソシアネート類の含有率(質量%)を乗じ、これらを合算して求めることができる。
【0036】
例えば、後述する実施例2(m=2)において、Bは以下の式(b-1)より、2.4と求められる。
【数4】

【0037】
AとBを掛けると、イソシアネート1分子当たりのポリオール類の重量平均分子量が得られる。A×Bが所定値以上であることは、イソシアネート1分子当たりのポリオール類の重量平均分子量が所定値以上であることの一つの指標となる。イソシアネート1分子当たりのポリオール類の重量平均分子量が所定値以上であれば、低温下でのクッション性を好適に保持できる。例えば、後述する実施例2において、A×Bの値は、1194×2.4の式より、2866と求められる。
【0038】
上記A×Bの値は、2500以上、2600以上、2700以上であってもよい。このA×Bの値は、通常、5000以下であり、4500以下、4000以下、3500以下であってもよい。
【0039】
3.ポリウレタンフォームの物性
ポリウレタンフォームは、25℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP1(MPa)とし、-30℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP2(MPa)とした場合に、
(P2/P1)×100≦180
を満たす。
【0040】
各温度条件下の圧縮荷重は、JIS K 6254:2010を基準として、以下のように測定できる。
[測定方法]
試験片は、直径50mmの円柱形状とする。試験片の数は3個とする。測定には、備え付けられたCLD(Compression-Load-Deflection)測定用治具が試験片に接触すると同時に、ロードセルが圧縮された試験片からの反発力を感知し、連続的に記録される圧縮試験機を用いる。
試験片が30%のひずみに達するまで1.0mm/分の速度で圧縮し、圧縮力とたわみとの関係(圧縮力-変形曲線)を記録する。記録された圧縮力-変形曲線から、圧縮前の試験片の厚さに対して、たわみが25%のときの圧縮力(25%圧縮力)を求める。25%圧縮荷重は次の式によって算出する。
25%圧縮荷重[MPa]=25%圧縮力[N]/試験片の面積[mm
【0041】
上記P2/P1の値は、常温から-30℃になった場合のポリウレタンフォームの硬度の上昇率を表す1つの指標となる。P2/P1の値が100であるということは、25℃(常温)と-30℃とで、25%圧縮荷重が同じである、すなわち低温下で硬度が上昇しないことを意味する。
上記P2/P1の値は、160以下、140以下、120以下、110以下であってもよい。このP2/P1の値は、通常95以上であり、98以上、100以上であってもよい。
【0042】
25℃の条件下で測定した25%圧縮荷重P1は、好ましくは0.005MPa以上1MPa以下であり、より好ましくは0.01MPa以上0.75MPa以下であり、さらに好ましくは0.1MPa以上0.5MPa以下である。
-30℃の条件下で測定した25%圧縮荷重P2は、好ましくは0.005MPa以上1MPa以下であり、より好ましくは0.01MPa以上0.75MPa以下であり、さらに好ましくは0.1MPa以上0.5MPa以下である。
【0043】
上記以外にも、ポリウレタンフォームの物性は、用途等に応じて適宜設定できる。ポリウレタンフォームは、以下の物性を備えることが好ましい。
【0044】
ポリウレタンフォームのガラス転移点は、-25℃以下が好ましく、-30℃以下が好ましく、-35℃以下がより好ましい。ポリウレタンフォームのガラス転移点の下限は、特に限定されないが、通常-100℃以上である。
本開示において、ガラス転移点は、周波数1Hz、温度上昇率3℃/minの条件で粘弾性を測定した際に得られるtanδのピーク値が得られる温度を指すものと定義する。
【0045】
ポリウレタンフォームのヒステリシスロス率は、以下の測定方法で測定した場合に、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、8%以下であることがさらに好ましい。ヒステリシスロス率の下限は、特に限定されないが、通常1%以上である。
【0046】
ヒステリシスロス率は、JIS K 6254:2010を基準として、以下のように測定できる。
[測定方法]
試験片は、直径50mmの円柱形状とする。試験片の数は3個とする。測定には、備え付けられたCLD測定用治具が試験片に接触すると同時に、ロードセルが圧縮された試験片からの反発力を感知し、連続的に記録される圧縮試験機を用いる。
試験片が50%のひずみに達するまで1.0mm/分の速度で圧縮し、その後試験片が0%のひずみに戻るまで同じく1.0mm/分の速度で治具を戻す。圧縮力とたわみとの関係(圧縮力-変形曲線)を記録する。記録された圧縮力-変形曲線において、JIS K 6400-2と同様の計算方法により、ヒステリシスロス率を求める。
【0047】
ポリウレタンフォームの見掛け密度(JIS K7222)は、100kg/m~900kg/mが好ましく、200kg/m~800kg/mがより好ましく、300kg/m~700kg/mがさらに好ましい。見掛け密度が上記範囲内であれば、後述するクッション材10として用いた場合に、好適なクッション性を確保できる。
【0048】
ポリウレタンフォームの平均セル径は、50μm~300μmが好ましく、50μm~200μmがより好ましく、50μm~100μmがさらに好ましい。セル径が上記の範囲内であれば、好適なクッション性を確保でき、断熱性の点でも好ましい。
ポリウレタンフォームの平均セル径は、ポリウレタンフォームの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により倍率200倍で観察したときの、25mmの直線に接触するセルについて、セル径の累計をセルの個数で除して算出することができる。
【0049】
4.ポリウレタンフォームの製造方法
ポリウレタンフォームは、メカニカルフロス法を採用した場合に用いられる一般的なポリウレタンフォームの製造方法により製造することができる。たとえば、上記組成物をミキシングヘッド内に投入した後、不活性ガスを混入しながら均質となるように攪拌して混合する。次いで、ミキシングヘッド内で混合された組成物を離型紙等の上や所定の成形型内で加熱硬化させることにより、ポリウレタンフォームを得ることができる。所望の密度の泡を形成するために、組成物中に撹拌される不活性気体の量はガス流量計量装置で制御される。セルを形成する不活性ガスを増量することで密度が低下し、不活性ガスが減量することで密度が増加する。不活性ガスには、必要に応じて、周囲条件で気体であり、且つ液相のどの成分に対しても実質的に不活性又は全く反応しない気体が使用され得る。例えば窒素、二酸化炭素、及び乾燥された通常気体であるドライエアーが挙げられる。
【0050】
5.クッション材10
ポリウレタンフォームは、適度な柔軟性を有し、かつヒステリシスロス率が低いから、クッション材として好適である。ポリウレタンフォームは、低温下でクッション性が損なわれにくいから、車載部品に用いられるクッション材、例えば、リチウムイオンバッテリー等のバッテリー用クッション材として特に好適である。また、ポリウレタンフォームは、低温から高温まで幅広い温度領域で硬さ等の特性変化が小さく、かつ高い応答性が実現されているから、電子機器やセンサー部に用いられるクッション材としても好適である。なお、高い応答性とは、例えばヒステリシスロス率を低減することで実現され得る。
【0051】
図1に、ポリウレタンフォームを備えたクッション材10を例示する。クッション材10は、互いに積層された複数のセルC,Cの間に配置されている。なお、図1では、2つのセルC,Cと1つのクッション材10を示しているが、セル及びクッション材の数は任意である。各セルCは、バッテリーの充放電時に膨張及び収縮する場合がある。本実施形態のクッション材10は、高い応答性を有しており、セルCの膨張に伴って圧縮され、セルCの収縮に伴って復元し得る。クッション材10は、セルC,Cの膨張及び収縮に追従して、各セルC,Cがバッテリーの筐体内で移動しないように固定する。バッテリー、特に車両に搭載されるバッテリー(例えばリチウムイオンバッテリー)は、広い温度領域(例えば、-30℃~60℃)で使用されることが想定されており、クッション材10にも広い温度領域で硬さ等の特性が変化しにくいことが求められている。本開示のポリウレタンフォームは、25℃と-30℃の条件下で、25%圧縮荷重があまり変わらないから、例えば、低温環境下においても、セルC,Cの膨張及び収縮に追従して、各セルC,Cを固定できる。
【0052】
クッション材10の厚みは特に限定されない。クッション材10の厚みは、セルC,Cへの追従性の観点から、好ましくは0.5mm~6mm、より好ましくは1mm~5mm、更に好ましくは2mm~3mmである。クッション材10の大きさは、ブロック状のセルC,Cの面圧をコントロールする観点から、隣り合うセルC,Cの対向面と略同じか、対向面より一回り小さい大きさであることが好ましい。
クッション材10は、成形性の観点から、シート状に成型したポリウレタンフォームを厚み方向に打ち抜いて得ることができる。
【0053】
なお、ポリウレタンフォームは、クッション材に限定されず種々の用途で利用できる。そのような部材としては、例えば、携帯電話、カメラ、テレビ等の電子機器部品、バッテリー、車両用照明装置、車両用表示装置等の車載部品、トナーカートリッジ等における止水用、防塵用のシール材が例示される。
【0054】
6.本実施形態の作用及び効果
近年、ポリウレタンフォームには種々の性能が要求され、その要求も厳しくなっている。例えば、バッテリー用クッション材10は、低温から高温の広い温度領域においてセルの膨張及び収縮に追従できることが求められている。特に低温下でのクッション性(追従性)を維持できるポリウレタンフォームが求められている。
【0055】
本実施形態のポリウレタンフォームは、低温下でクッション性が損なわれにくい。本実施形態とは異なり、従来のポリウレタンフォームを用いたクッション材は、ガラス転移点が高いことにより、低温環境下でのクッション性を確保できなかった。他方、本実施形態のポリウレタンフォームを用いたクッション材10は、低温環境下でも硬度の上昇が小さい。このため、クッション材10は、低温環境下におけるクッション性を確保できる。
【0056】
本実施形態のポリウレタンフォームは、ヒステリシスロス率が小さい。このため、セルC等の周囲の部材の変位に十分に追従して、好適なクッション性を発揮できる。
【実施例0057】
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態を更に具体的に説明する。
1.ポリウレタンフォームの製造
まず、各実施例及び各比較例のポリウレタンフォームに用いた組成物の原料成分を以下に示す。
ポリマーポリオール1:重量平均分子量3000、官能基数3、水酸基価42mgKOH/g、ポリマーコンテント22.9質量%、EO含有率0%、PO含有率100%のポリマーポリオール
ポリマーポリオール2:重量平均分子量3000、官能基数2、水酸基価28.6mgKOH/g、ポリマーコンテント20.0質量%、EO含有率10%、PO含有率90%のポリマーポリオール
ポリエーテルポリオール1:重量平均分子量3000、官能基数2、水酸基価37.4mgKOH/g、EO含有率10%、PO含有率90%のポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオール2:重量平均分子量3000、官能基数3、水酸基価56.1mgKOH/g、EO含有率0%、PO含有率100%のポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオール3:重量平均分子量3000、官能基数3、水酸基価56.1mgKOH/g、EO含有率0%、PO含有率100%のポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオール4:重量平均分子量3000、官能基数3、水酸基価56.1mgKOH/g、EO含有率7%、PO含有率93%のポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオール5:重量平均分子量3400、官能基数3、水酸基価50.3mgKOH/g、EO含有率80%、PO含有率20%のポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオール6:重量平均分子量2000、官能基数2、水酸基価56.1mgKOH/g、EO含有率0%、PO含有率100%のポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオール7:重量平均分子量400、官能基数2、水酸基価280.5mgKOH/g、EO含有率0%、PO含有率100%のポリエーテルポリオール
ポリエステルポリオール:重量平均分子量529、官能基数2、水酸基価212mgKOH/gのポリカプロラクトンジオール。なお、EO含有率及びPO含有率は0%である。
その他のポリオール類1:分子量134、官能基数2、水酸基価837mgKOH/gのジプロピレングリコール。なお、EO含有率及びPO含有率は0%である。
その他のポリオール類2:分子量90、官能基数2、水酸基価1245mgKOH/gの2-メチル-1,3-プロパンジオール。なお、EO含有率及びPO含有率は0%である。
水酸化アルミニウム(住友化学社製、CW-325LV)
整泡剤:シリコーン整泡剤(東レ・ダウコーニング社製、SZ-1952)
触媒1:鉄触媒(日本化学産業社製、FIN-P1)
触媒2:ニッケル触媒(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製、LC-5615)
酸化防止剤:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン社製、IRGANOX 1135)
吸湿剤:ゼオライト(ユニオン昭和株式会社製、モレキュラーシーブ 3APOWDER)
イソシアネート1:分子量320、官能基数2.4、NCO% 31.5%のポリメリックMDI
イソシアネート2:分子量292、官能基数2、NCO% 30.88%のカルボジイミド変性MDI
なお、表1及び2中の各成分の数値は質量部を表す。表1及び2中の「F」の欄は、ポリオール類においては水酸基の数、ポリイソシアネート類においてはイソシアネート基の数を示している。表1及び2中の「Mw」の欄は、重量平均分子量を示している。
【0058】
上記各成分を下記表1及び2に示す配合割合で調製し、各実施例及び各比較例の組成物を得た。次いで、組成物をミキシングヘッド内に投入し、不活性ガス(窒素)を69~77体積%の範囲で混入しながら均質となるように攪拌して混合した。その後、混合された組成物を連続的に供給される所定厚みのフィルム上に供給し、120~200℃にて加熱硬化させることにより、シート状のポリウレタンフォームを得た。
【0059】
【表1】

【0060】
2.ポリウレタンフォームの観察
各実施例及び各比較例のシートの断面を、SEMを用いて観察した。実施例のポリウレタンフォームの平均セル径は、50μm以上300μm以下であった。
【0061】
3.評価
次に、得られた各実施例及び各比較例のポリウレタンフォームについて、以下のような評価をした。
【0062】
[ポリオール中の1水酸基当たりの重量平均分子量:A]
本実施例では、10種類のポリオール類が用いられており、比較例のみに使用した2種を含めて上記式(a)中「n=12」である。上記式(a)に基づいてAを算出した。その結果を、表2の「ポリオール中の1水酸基当たりの平均分子量:A」の欄に示す。
[イソシアネート1分子当たりのポリオール類の重量平均分子量:A×B]
本実施例では、2種類のポリイソシアネート類が用いられており、上記式(b)中「m=2」である。上記式(b)に基づいてBを算出した。比較例1において、Bは2である。比較例2~4及び実施例において、Bは2.4である。AとBを掛けて、A×Bの値を算出した。その結果を、表2の「イソシアネート1分子当たりの平均分子量」の欄に示す。
【0063】
[ガラス転移点]
実施形態に記載の方法で、ガラス転移点(℃)を測定した。測定結果を、表2の「ガラス転移点」の欄に示す。
[密度]
JIS K7222に準じて、見掛け密度(kg/m)を測定した。測定結果を、表2の「密度」の欄に示す。
[組成物に対する不活性ガスの混入量]
組成物の比重を1として、組成物の体積と、混入した不活性ガスの体積の合計を100体積%とした場合の不活性ガスの量(体積%)を算出した。例えば、実施例5において、組成物に対する不活性ガスの混入量35体積%は、表1に記載の配合割合で調製した組成物65gに対して、35mLの不活性ガスを混入したことを表す。算出結果を、表2の「組成物に対する不活性ガスの混入量」の欄に示す。
[25℃での25%圧縮荷重:P1]
実施形態に記載の方法で、25℃での25%圧縮荷重(MPa)を測定した。測定結果を、表2の「25℃での25%圧縮荷重」の欄に示す。
[-30℃での25%圧縮荷重:P2]
実施形態に記載の方法で、-30℃での25%圧縮荷重(MPa)を測定した。測定結果を、表2の「-30℃での25%圧縮荷重」の欄に示す。
[硬度の上昇率:P2/P1×100]
25℃での25%圧縮荷重P1と、-30℃での25%圧縮荷重P2に基づいて、硬度の上昇率P2/P1×100(%)を算出した。測定結果を、表2の「硬度の上昇率」の欄に示すとともに、以下の基準で評価した。
「A」:P2/P1×100≦180
「B」:180<P2/P1×100≦250
「C」:250<P2/P1×100
[ヒステリシスロス率]
実施形態に記載の方法で、ヒステリシスロス率(%)を測定した。測定結果を、表2の「ヒステリシスロス率」の欄に示すとともに、以下の基準で評価した。
「A」:ヒステリシスロス率が15%以下
「B」:ヒステリシスロス率が15%より大きい
【0064】
[総合評価]
「A」:硬度の上昇率の評価がAであり、ヒステリシスロス率の評価がAである。
「B」:硬度の上昇率の評価がB,C、又は、ヒステリシスロス率の評価がBである。
【0065】
【表2】

【0066】
4.結果
実施例1~4は、硬度の上昇率の評価がAであり、P2/P1×100≦180を満たす。比較例1~4は、硬度の上昇率の評価がB,Cであり、P2/P1×100≦180を満たしていない。実施例1~4は、比較例1~4と比較して、総合評価が高かった。実施例1~4は、低温下でクッション性が損なわれにくかった。
実施例1~4は、ヒステリシスロス率の評価がAであり、比較例1,2,4と比較して、クッション性(追従性)が良好であった。
【0067】
また、上記の実施例及び比較例から、以下の発明も把握できる。以下の発明の特定事項についての説明は、上記の各説明を適宜援用する。
・ポリオール類及びポリイソシアネート類を含む組成物から得られるポリウレタンフォームであって、下記条件を満たす、ポリウレタンフォーム。
上記式(a)で求められるA、及び上記式(b)で求められるBについて、
2400≦A×Bを充足する。
【0068】
5.実施例の効果
以上の実施例によれば、低温下でクッション性が損なわれにくいポリウレタンフォームを提供できる。
【0069】
本開示は上記で詳述した実施形態に限定されず、本開示の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
10: クッション材
C: セル
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール類及びポリイソシアネート類を含む組成物から得られるポリウレタンフォームであって、
25℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP1(MPa)とし、-30℃の条件下で測定した25%圧縮荷重をP2(MPa)とした場合に、
(P2/P1)×100≦180
を満たし、
さらに以下の(1)~(3)のいずれか1つを満足するポリウレタンフォーム。
(1)前記ポリウレタンフォームの見掛け密度は、300kg/m以上900kg/m以下である。
(2)前記ポリウレタンフォームの見掛け密度は、100kg/m以上900kg/m以下であり、
P1は、0.01MPa以上1MPa以下であり、
P2は、0.01MPa以上1MPa以下である。
(3)前記ポリウレタンフォームの見掛け密度は、100kg/m以上900kg/m以下であり、
前記ポリウレタンフォームは、前記組成物からメカニカルフロス法により得られるものである。