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▶ シーダーズ−サイナイ メディカル センターの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106524
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】内部の紫外線治療法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20230725BHJP
【FI】
A61N5/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084235
(22)【出願日】2023-05-23
(62)【分割の表示】P 2018562598の分割
【原出願日】2017-05-31
(31)【優先権主張番号】62/343,710
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514135801
【氏名又は名称】シーダーズ-サイナイ メディカル センター
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】レザイー アリ
(72)【発明者】
【氏名】ピメンテル マーク
(72)【発明者】
【氏名】メルメド ギル ワイ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者の身体の内側で、紫外光を放射して、感染及び炎症性の状態を治療するシステムを提供する。
【解決手段】体内の紫外線(UV)治療を実施するためのシステムであって、電気的接続手段を備えている、気管内(ET)送達用チューブと、UV-Aレンジのみにおける波長の光を発するように構成された、前記ET送達用チューブの内側の少なくとも1つのUV光源であって、前記ET送達用チューブの実質的な長さにわたって、前記ET送達用チューブの外周の周りに外側に向けられた前記光を送達するように配置されている、前記少なくとも1つのUV光源と、前記少なくとも1つのUV光源に、前記ET送達用チューブの前記電気的接続手段を介して接続された電力供給源とを備え、前記UV-Aレンジのみにおける波長の光は、感染性の状態の治療のための、体内のUV治療に有効である。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内の紫外線(UV)治療を実施するためのシステムであって、
電気的接続手段を備えている、気管内(ET)送達用チューブと、
UV-Aレンジのみにおける波長の光を発するように構成された、前記ET送達用チューブの内側の少なくとも1つのUV光源であって、前記ET送達用チューブの実質的な長さにわたって、前記ET送達用チューブの外周の周りに外側に向けられた前記光を送達するように配置されている、前記少なくとも1つのUV光源と、
前記少なくとも1つのUV光源に、前記ET送達用チューブの前記電気的接続手段を介して接続された電力供給源と
を備え、
前記UV-Aレンジのみにおける波長の光は、感染性の状態の治療のための、体内のUV治療に有効である、
前記システム。
【請求項2】
前記ET送達用チューブが、UV-Aレンジの波長の光に対して、少なくとも部分的に透過性である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのUV光源が、LEDのストリングである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ET送達用チューブが、カテーテルとしての使用のために構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
体内のUV治療を実施するためのシステムであって、
電気的接続手段を備えている、送達用チューブと、
前記送達用チューブから外側に、かつ、前記送達用チューブの外周の周りに、かつ、前記送達用チューブの実質的な長さにわたって、UV-Aレンジのみにおける波長の光を放射するように構成された、前記送達用チューブの内側のUV光源と、
前記UV光源に、前記送達用チューブの内側で前記電気的接続手段によって接続された電力供給源と
を備え、
前記送達用チューブは、気管内用に適合され、
前記UV-Aレンジのみにおける波長の光は、感染性の状態の治療のためのUV治療に有効である、
前記システム。
【請求項6】
前記送達用チューブは、気管内チューブである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記送達用チューブは、気管内チューブ内での使用のために適合されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記UV光源が、LEDのストリングである、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記感染性の状態の治療のためのUV治療が、バクテリア、古細菌、真菌、酵母菌、及びウイルスからなる群から選択される微生物の1倍体DNA/RNAへのダメージの体内効果を提供する、請求項1または5に記載のシステム。
【請求項10】
前記UV-Aレンジのみにおける波長の光は、320nm~400nmの波長を備える、請求項1または5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本発明は、紫外線治療のためのデバイス、方法、及びシステムを対象としている。より詳細には、本開示は、体内の紫外線治療のためのデバイス、方法、及びシステムを対象としている。
【背景技術】
【0002】
開示の背景
以下の詳細な説明は、本発明の理解に有用である場合がある情報を含んでいる。本明細書に提供される情報のいずれも、従来技術であるか、本明細書で請求される発明に関すること、または、明確に、または暗黙のうちに参照されている公報のいずれも、従来技術であることは認められていない。
【0003】
21世紀は、スーパーバグの時代だと解されている。耐性のあるバクテリア、真菌、及びウイルスの種がますます検出されている。抗生物質の開発における現在の研究は、変異しかつ感染性疾患を引き起こし続けている微生物の適応能力に遅れている。抗生物質に対する安全な代替物は、極めて価値のあるものであることを証明することができ、また、潜在的に、年間数百万人の命を救うことができる。
【0004】
感染性疾患に加え、免疫介在性及び炎症性の病気が、継続的に、世界的な課題となっている。過去数十年での著しい進歩に関わらず、これら病気の治療は、次善の策のままである。たとえば、炎症性の腸の病気(クローン病及び潰瘍性大腸炎)の患者の多くは、極めて高額で、著しい副作用がある治療に関わらず、その患者の病気の不適切な主観的及び客観的制御によって苦しみ続けている。侵襲的外科治療は、薬による治療が失敗した場合の、唯一の実行可能なオプションのままである。そのような治療に対する、安全で有効な、低コストの代替案により、医療費の数十億ドルが節約され、数百万人の患者の生活の質が向上することになる。さらに、マイクロバイオームと炎症とが直接相互作用することを考慮すると、両方の存在を同時に対象とすることができる治療のオプションが、もっとも重要である。
【発明の概要】
【0005】
開示の概要
紫外光は、(1)UV-A(320nm~400nm)、(2)UV-B(280nm~320nm)、及び(3)UV-C(110nm~280nm)の3つのスペクトルに分けられる、不可視の、イオン化しないセグメントの光スペクトルである。これら構成要素のすべては、太陽光に存在するが、UV-Cは、オゾン層によってほぼ完全に吸収され、地表には到達しない。UV-A及びUV-Bは、人間の皮膚におけるビタミンDの形成に関係している。UV-Cの光が慣習的に、非有機的表面(たとえば、病室、水槽、通気孔など)の消毒に使用されるが、UV-A及びUV-Bの光は、顕著な対炎症性作用及び抗生作用も有している。UV-A及びUV-Bの光の抗生作用は、微細なものの中のバクテリア、古細菌、真菌、酵母菌、及びウイルスなどの、微生物の1倍体DNA/RNAのダメージを介して引き起こされる。UV光は、現在のところ治療法がないプリオンに関する病気の、病状の進行を止めることさえ可能である。
【0006】
しかし、哺乳類の2倍体DNAは、そのようなダメージに対してより顕著な耐性がある。たとえば、関連する遺伝子の感受性と肌のタイプとを伴う選択された個人に関し、太陽光に直接さらしても前癌性の肌の障害を生じるのに数十年かかる。UV光線療法は、たとえば、乾癬、白斑、アトピー性皮膚炎、湿疹、カポジ肉腫、扁平苔癬、肌リンパ腫、新生児黄疸などの、皮膚病の管理において広く使用されている。そのようなプロセスは、結腸鏡検査での腺腫様ポリープの検出ツールとして提案及び使用されており、卵円孔開存症を閉じるためのスーパーグルーに関しても提案されている。
【0007】
UV-A及びUV-Bの光の耐炎症性及び抗生作用を考慮すると、これらは、皮膚ではないもの(すなわち、臓器)の感染及び炎症性の病気の管理に変革をもたらす可能性がある。UV光が慣習的に、肌の異常の治療に使用されてきたが、生体内での広範囲の感染または炎症の治療のためにはまだ開発されていない。
【0008】
したがって、本明細書に記載のように、患者内の内部の感染及び/または炎症性の状態を治療及び管理するために、たとえば、カテーテル、カプセル、内視鏡、チューブまたはポートなどの、伝達手段を使用したUV光の治療線量の放射のためのシステムが開発されている。たとえば、いくつかの例では、本発明者は、UV-A/UV-BのレンジのUV光の治療線量を、カテーテル、内視鏡、カプセル、または他のデバイスから送達して、患者の内部の感染及び炎症性の状態を治療することができるデバイスを開発した。
【0009】
別の例では、身体の内側の広いエリアをカバーするように光を発することができる、LEDまたは冷陰極放射を利用するシステムが開発されている。したがって、これらシステムは、身体の内側で、カテーテル、内視鏡、または他のデバイスからUV-A及び/またはUV-Bの光を放射して、感染または炎症性の状態を治療または管理し得る。
【0010】
実施形態
実施形態1:
体内の紫外線治療を実施するためのシステムであって、
電気的接続手段を含んでいる、送達用チューブと、
波長を発するように構成された、前記送達用チューブの内側の少なくとも1つのUV光源であって、前記送達用チューブの実質的な長さにわたって、前記送達用チューブの外周の周りに外側に向けられた放射を送達するように配置されている、前記少なくとも1つのUV光源と、
前記UV光源に、前記送達用チューブの内側で前記電気的接続手段を介して接続された電力供給源と
を含む、前記システム。

実施形態2:
前記送達用チューブが、少なくとも部分的に透過性である、実施形態1に記載のシステム。

実施形態3:
前記光源が、LEDのストリングである、実施形態1に記載のシステム。

実施形態4:
前記光源が、冷陰極チューブである、実施形態1に記載のシステム。

実施形態5:
前記光源が、ネオンで充填されたチューブである、実施形態1に記載のシステム。

実施形態6:
前記送達用チューブが、内視鏡である、実施形態1に記載のシステム。

実施形態7:
前記送達用チューブが、カテーテルである、実施形態1に記載のシステム。

実施形態8:
前記波長が、UV-A、UV-B、またはそれらの任意の組合せのうち少なくとも1つを含んでいる、実施形態1に記載のシステム。

実施形態9:
体内の紫外線治療を実施するためのシステムであって、
電気的接続手段を含んでいる、送達用チューブと、
前記チューブから外側に、かつ、前記チューブの外周の周りに、UV波長を放射するように配置された、前記送達用チューブの内側のUV光源と、
前記UV光源に、前記送達用チューブの内側で前記電気的接続手段によって接続された電力供給源と
を含む、前記システム。

実施形態10:
前記送達用チューブが、ガイドワイヤにわたって通るように構成された管腔を含むカテーテルである、実施形態9に記載のシステム。

実施形態11:
体内の紫外線治療を実施するためのカプセルであって、
バッテリと、
前記カプセルから外側に、かつ、前記カプセルの外側の全方向に、UV波長を放射するように配置された、前記カプセルの内側の前記バッテリに接続されたUV光源と、
前記バッテリ及びUV光源をカバーする、生体親和性かつ非生物分解性のケーシングと、を含む、前記カプセル。

実施形態12:
記UV光源が、UV-A及びUV-Bの放射を発し、UV-Cの放射をフィルタリングするように構成されている、実施形態11に記載のカプセル。

実施形態13:
前記UV光源が、少なくとも1つのLEDである、実施形態11に記載のカプセル。

実施形態14:
前記カプセルが座剤である、実施形態11に記載のカプセル。

実施形態15:
前記ケーシングが、嚥下のために構成されている、実施形態11に記載のカプセル。

実施形態16:
体内の紫外線治療を実施するためのシステムであって、
ホウケイ酸塩セグメント及びシリカセグメントを含んでいる、送達用ロッドと、
UV-AとUV-Bとの少なくとも一方を含む波長を発するように構成された、UV光源と、
前記送達用ロッドと前記UV光源との間に配置されるように構成された、光源アタッチメントと
を含む、前記システム。

実施形態17:
前記システムが、前記UV光源に接続された出力源をさらに含む、実施形態16に記載のシステム。

実施形態18:
前記光源アタッチメントが、
以下:
前記光源に接続されるように構成された前端アパーチャと、
ロッドに接続されるように構成されている、後端アパーチャと、
を含んでいる、本体、ならびに
ネジ、端部がフラットなストッパネジ、及び釘のうち少なくとも1つを含んでいる、締結機構
を含み、
前記締結機構が、前記本体を前記ロッドに接続し、前記ロッドの位置を前記光源に対して安定させるように構成された、
実施形態17に記載のシステム。

実施形態19:
前記光源アタッチメントが、前記UV光源からの光のロスを低減するために、前記前端アパーチャと前記後端アパーチャとの間に配置されるように構成された凸レンズをさらに含む、実施形態18に記載のシステム。

実施形態20:
前記シリカセグメントが純粋なシリカである、実施形態17に記載のシステム。

実施形態21:
前記シリカセグメントが、その長さに沿って、その表面上が研磨されている、実施形態17に記載のシステム。

実施形態22:
前記ホウケイ酸塩セグメントが、前記シリカセグメントよりも前記UV光源に近い、実施形態17に記載のシステム。

実施形態23:
患者の身体の内側の炎症性または感染性の状態に対する、患者の治療方法であって、
請求項1、請求項8、及び請求項17に記載のUV治療システムを提供する段階と、
患者のキャビティの内側に前記送達用チューブを挿入する段階と、
前記感染性または炎症性の状態の治療に有効である、ある量のUV-A及び/またはUV-Bの放射を発するように、電力供給源をオンにする段階と
を含む、前記治療方法。

実施形態24:
体内の紫外線治療を実施するためのシステムであって、
UV-Cフィルタリングセグメント及びUV伝達セグメントを含んでいる送達用ロッドと、
前記フィルタリングセグメントに向けられた少なくとも1つのUV光源と
を含む、前記システム。

実施形態24:
前記フィルタリングセグメントがホウケイ酸塩を含んでいる、実施形態24に記載のシステム。

実施形態25:
前記送達用ロッドが可撓性である、実施形態24に記載のシステム。

実施形態26:
前記送達用ロッドが、UV-A及びUV-Bの光を伝達するように構成された、実施形態24に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれ、かつ、本明細書の一部を成す添付図面は、本発明の実施形態を例示しており、詳細な説明とともに、本発明の原理を説明及び図示する役割を果たす。図面は、概略的な方式で、例示的実施形態の主要な特徴を説明することが意図されている。図面は、実際の実施形態のすべての特徴も、図示された要素の相対的寸法を示すことも意図しておらず、また、拡縮して示されていない。
【0012】
図1】本開示の原理に従って構築された、患者の直腸に挿入されたUV放射デバイスの断面図である。
図2】本開示の原理に従って構築された、LEDを組み込んでいるUV放射デバイスの概略図である。
図3】本開示の原理に従って構築された、冷陰極を組み込んでいるUV放射デバイスの概略図である。
図4】UVスペクトルの概略の例を示す図である。
図5】本開示の原理に従って構築された、患者の直腸に挿入されたUV放射デバイスの断面図である。
図6】本開示の原理に従って構築された、患者の結腸に挿入されたUV放射デバイスの断面図である。
図7】本開示の原理に従って構築された、患者の食道及び胃に挿入されたUV放射デバイスの断面図である。
図8】本開示の原理に従って構築された、嚥下され、患者の消化器系を通して移動されるUV放射デバイスの断面図である。
図9A】本開示の原理に従って構築された、光源アタッチメントの例の側面図である。
図9B】本開示の原理に従って構築された、光源アタッチメントの例の底面図である。
図9C】本開示の原理に従って構築された、光源アタッチメントの例の上面図である。
図9D】本開示の原理に従って構築された、光源アタッチメントの例の側面図である。
図9E】本開示の原理に従って使用されている、光源アタッチメントの例の側面図である。
図10】本開示の原理に従って構築された、UV放射デバイスの例を示す図である。
図11】本開示の原理に係る、フォーリーカテーテル上のUV放射デバイスを使用するための方法の例を示す図である。
図12】大腸菌(E.coli)の増殖を防止するために使用されている、本開示のUV放射デバイスの例を示す実験データの図である。
図13】大腸菌の増殖を防止するために使用されている、本開示のUV放射デバイスの例を示す別の実験データの図である。
図14】マウスの結腸鏡検査で使用されている、本開示のUV放射デバイスの例を示す図である。
図15図15A及び図15Bは、マウスの膣治療で使用されている、本開示のUV放射デバイスの例を示す図である。
図16図16Aは、大腸菌を含む液体培養での、本開示のUV放射デバイスの例の使用を示す実験データの図である。図16Bは、大腸菌を含む液体培養で使用されている、本開示のUV放射デバイスの例を示す図である。
図17】大腸菌を含む液体培養での、本開示のUV放射デバイスの例の使用を示す実験データの図である。
図18図18A及び図18Bは、大腸菌を含む液体培養での、本開示のUV放射デバイスの例の使用を示す実験データの図である。
図19】大腸菌を含む液体培養での、本開示のUV放射デバイスの例の使用を示す実験データの図である。
図20】大腸菌を含む液体培養での、本開示のUV放射デバイスの例の使用を示す実験データの図である。
図21】大腸菌を含む液体培養での、本開示のUV放射デバイスの例の使用を示す実験データの図である。
図22】大腸菌を含む液体培養での、本開示のUV放射デバイスの例の使用を示す実験データの図である。
【0013】
図面では、同じ参照符号及び頭字語が、理解を容易にするため、及び便宜的に、同じであるか同様の構造または機能の要素または作業を識別する。任意の特定の要素または作業の議論を容易に特定するために、参照符号における最上位の数字または複数の数字は、その要素が最初に導入された図の番号を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
別様に規定されていない限り、本明細書で使用される技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。Szycher’s Dictionary of Medical Devices CRC Press,1995により、本明細書で使用される用語及びフレーズの多くに対する有用なガイダンスが提供される場合がある。当業者は、本発明の実施において使用することができる、本明細書に記載の方法及び材料に類似であるか均等の多くの方法及び材料を理解することになる。むしろ、本発明は決して、明確に記載された方法及び材料には限定されない。たとえば、図面は主に、消化管における本発明を示しているが、全体で示すように、開示のシステム及び方法は、他の用途に使用することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明の特定の実施形態を記載及び請求するために使用される寸法、形状、相対位置などの特性は、「約(about)」の用語で修飾されるものと理解されるものとする。
【0016】
本発明の様々な例をここで記載する。以下の詳細な説明により、これらの例を完全に理解することと、記載を可能にすることとのために、特定の詳細が提供される。しかし、当業者には、本発明が、これら詳細の多くを伴わずに実施され得ることを理解されたい。同様に、当業者には、本発明が、本明細書に詳細に記載されていない、多くの他の明らかな特徴を含むことができることをも理解されたい。さらに、いくつかの既知の構造または機能は、以下では詳細に示されていないか記載されていない場合があり、それにより、関連する記載を不要に不明瞭にすることを避けている。
【0017】
以下に使用される用語は、その用語が本発明のある特定の例の詳細な記載と関連して使用されている場合であっても、そのもっとも広い理にかなった方式で解釈されるものとする。実際に、特定の用語は、以下で強調される場合さえある。しかし、いずれの限定的方式で解釈されることが意図されるいずれの用語も、明確かつ具体的に、詳細な説明のセクションにおいて、それとして規定される。
【0018】
本明細書が多くの特定の実施態様の詳細を包含しているが、これらは、いずれの発明または特許請求の範囲に記載され得るものの範囲の限定としては解釈されないものとし、むしろ、特定の発明の特定の実施態様に特有の特徴の記載として解釈される。別々の実施態様の文脈において本明細書に記載された特定の特徴は、やはり、単一の実施態様において、組み合わせて実施され得る。反対に、単一の実施態様の文脈に記載される様々な特徴は、やはり、複数の実施態様において別々に実施され得るか、任意の適切なサブの組合せで実施され得る。さらに、各特徴が、特定の組合せで、ちょうど最初にそれとして請求されたように作用するものとして上述された場合であっても、請求された組合せからの1つまたは複数の特徴は、いくつかのケースでは、組合せから削除され得、また、請求される組合せは、サブの組合せ、または、サブの組合せの変形形態を対象とする場合がある。
【0019】
同様に、操作が特定の順番で図面に記載され得るが、このことは、そのような操作が、所望の結果を得るために、図示の特定の順番もしくは連続した順番で実施されること、または、図示の操作すべてが実施されることを要求するものとしては理解されないものとする。特定の状況では、複数の作業を同時に行うこと、及び、並列処理が、有利である場合がある。さらに、様々なシステムの構成要素を上述の実施態様において分離することは、そのような分離がすべての実施態様において必要であるものとしては理解されないものとし、また、記載のプログラム構成要素及びシステムが、概して、単一のソフトウェア製品にともに統合され得るか、複数のソフトウェア製品にパッケージングされ得ることを理解されたい。
【0020】
概要
UV-A及びUV-BのレンジのUV光が、慣習的に、皮膚の異常を治療するため、及び、動脈のプラークの集中的な切除、及び、他のターゲットとなる内部での使用のために使用されてきたが、人体の内部での、より広範囲にわたる感染または炎症の治療に関しては発展してこなかった。本開示は、患者の内側の、内部の感染及び炎症性の状態の管理のために使用することができる、カテーテル、カプセル、内視鏡、チューブ、またはポートを介して、UV光の治療線量を放射するためのシステムを記載している。UV光の送達は、付随する光増感剤を伴ったものでもよく、伴わないものでもよい。
【0021】
図1は、送達用チューブ100及びいくつかのUV光源150を含むUV光管理システム、ならびに、このシステムに給電するための出力源120の例を示している。したがって、図示のように、介護者(たとえば、医者)が、送達用チューブ100を結腸に誘導し、出力源120をオンにして、治療用の光(たとえば、UV光)を結腸領域に放射する。
【0022】
図9A図9Eは、光源アタッチメント900を含むUV光管理システムの例を示している。ここで、光源アタッチメント900は、UV光源950と送達用ロッド940との間に取り付けられるように構成されている。
【0023】
送達媒体
様々な送達用チューブ100、または他の送達媒体が、治療用のUV光を、身体の内部の様々な部分に送達するために利用され得る。たとえば、送達用チューブ100は、1つまたは複数のUV光源150を収容することが可能である、適切なカテーテル、内視鏡、カプセル(嚥下もしくは座薬のため)、または他のデバイスである場合がある。
【0024】
本開示の一実施形態では、UV送達用チューブ100は、直腸または口腔を介して挿入され、有効な量の抗炎症薬または他の治療線量のUV光を送達するために、適切な領域に誘導され得る、内視鏡などの様々なスコープを含む場合がある。本開示の別の実施形態では、UV送達用チューブ100は、動脈、尿道、膣及び尿路、外耳道などに挿入するのに適切なカテーテルを含む場合がある。本開示のさらに別の実施形態では、UV送達用チューブ100は、患者の膀胱に挿入することができる、体内に留置した尿路カテーテルを含む場合がある。同様に、UV光は、たとえば、膣、直腸、食道胃接合部、胃、胆管などの臓器に、膨張バルーンのカテーテルの内側の光源を介して放射され得る。本開示のさらに別の実施形態では、UV光は、患者または医者が着用することができるグローブまたは指サックの内側の光源を介して放出することができる。UV光は、指で、たとえば口、直腸、膣などの、患者のオリフィス内に挿入され得る。
【0025】
送達用チューブ100は、チューブ100の内側に配置される光源150を収容する特徴を含むように構成され得る。たとえば、LED光源150は、チューブ100内の中空の導管内に配置されるか、中間部にともに接続される場合がある。他の例では、送達用チューブ100は、ガイドワイヤを通して挿入するための中空の導管を含む場合があり、また、光源150及び関連する導線が、代わりに、シェル内に埋め込まれている場合がある。
【0026】
本開示の別の実施形態では、光源150は、送達用チューブ100の部分全体に沿うか、送達用チューブ100の端部、または他の適切なレイアウトで分布される場合があり、それにより、光源150のより広範囲の用途を達成することができる。
【0027】
本開示のさらに別の実施形態では、送達用チューブ(またはロッド)100は、たとえば図10に示すように、送達用チューブ全体が光り、送達用チューブ全体にわたって一様にUV光を伝達するような方法で構築される場合がある。送達用チューブ100は、UV-Aレンジ及び/またはUV-Bレンジの光のみを伝達し、UV-Cレンジの光は伝達しないように構成され得る。さらに、送達用チューブ100は、熱伝導性を10mmに制限するように構成される場合がある。本開示の別の実施形態では、送達用チューブは、10mmを越える熱伝導性を得るように構成される場合がある。ライトは、医者によって判定された効率及び治療の変数に応じて、連続した治療及びパルス療法に組み込まれる場合がある。
【0028】
送達用チューブ(またはロッド)100は、生体親和性であるか、生体親和性コーティングを有する様々なポリマーを含む、任意の適切な構造(たとえば、剛性か柔軟)で形成され得る。本開示の一実施形態では、送達用チューブ100は、光源150からのUV光が内部のキャビティに放出されるように、透過性材料の外側層を少なくとも含む場合がある。本開示の一実施形態では、送達用チューブ100は、たとえば、シリコン、シリカ、ホウケイ酸塩、ポリウレタン、ポリエチレン、Teflon/PTFE、ホウケイ酸塩、または他の適切な材料で形成され得る。
【0029】
本開示の別の実施形態では、送達用媒体には、送達用チューブ100の代わりにカプセルが含まれる場合がある。そのようなシナリオでは、カプセルは、口腔または肛門から挿入される場合があり、また、カプセルは、一定期間の間、光を発する場合がある。たとえば、透明であるか半透過性ポリマー、または、カプセルの通過を可能にするように平滑である場合がある他の生体親和性コーティングを、カプセルは含む場合がある。いくつかの例では、カプセルは、光源150、及び、小さいバッテリなどの出力源120を含む場合がある。カプセルは、長期の露光のために、臓器に配置されるかピン留めされる場合がある。
【0030】
たとえば、カプセルは、平滑なコーティング、カプセルから全方向に光を発するように配置されたLEDなどのUVライト150に給電する内部バッテリを有している。したがって、カプセルが消化器系を通過する際に、カプセルは、排出されるまで治療用の光を送達する場合がある。
【0031】
光源
送達用チューブ100または他の送達用デバイスに応じて、UV光を発することが可能である様々な光源150が利用され得る。たとえば、図2は、チューブ100に沿って分布したLED光源150のストリングを含む、可撓性の送達用チューブ100(たとえば、カテーテル、内視鏡など)の実施形態を示している。光源150の各々は、電気接続でともに取り付けられ、電力供給源120に接続されている。光源150は、この光源150が小型で、必要な電力が少ないことにより、光源150を送達用チューブ100に沿って配置することを可能にしていることから、有利である場合がある。
【0032】
したがって、光源150が送達用チューブ100に沿って配置されると、光源150は、UV光を患者内の広い送達エリアに送達し得る。したがって、治療におけるターゲットエリアが、結腸の大部分に影響している場合がある炎症性の病気を治療するために、比較的大きくなる場合がある。
【0033】
図3は、送達用チューブ100が、電力供給源120によって給電される冷陰極である光源150を含む場合の例を示す図である。この実施形態では、冷陰極の光源150が、透過性の、可撓性送達用チューブ100を通して光を送達する。この実施形態は、送達用チューブ(または吸引チューブ)100を充填する不活性ガスを含む場合がある。送達用チューブ100は、たとえば、冷陰極チューブを含む場合がある。送達用チューブ100は、フィラメントによって電気的に加熱されない、任意のカソード光エミッタを含む場合がある。たとえば、冷陰極の蛍光性ランプが、紫外光を放出するために、水銀蒸気中の放電を利用する場合がある。
【0034】
しかし、ほとんどの実施形態では、チューブ内で利用されるガスは、安全のために不活性であるべきである。たとえば、ネオンガスの蒸気が、十分なUV光を生成するために、12ボルトの電力供給源120で電圧が加えられ得る。他の例では、様々な電圧及び/または電流の他の電力供給源が、その電流波長での十分に強い光を生じるために利用される。
【0035】
いくつかの実施形態では、光源150はx線を発する場合がある。これら実施形態に関し、本システムは、吸引チューブまたはx線チューブを含む場合がある。
【0036】
電力供給源120は、光源150をオン及びオフするためのオン/オフスイッチまたは他のコントロールを含む場合がある。いくつかの例では、電力供給源は、様々な強度のUV光源をオンにするか、治療用途に応じて経時的に強度を変調させる能力を含むことになる。電力供給源は、異なるタイプのUV光源150に関しては異なるものとなる場合がある。たとえば、LEDの実施態様に必要な電力は、冷陰極の実施態様よりも低い場合がある。
【0037】
本開示の別の実施形態では、たとえば、図9A図9Eに示すように、UV光管理システムは、送達用ロッド900、UV光源950、及び光源アタッチメント920を含む場合がある。ここで、光源アタッチメント920は、UV光源950と送達用ロッド900との間に取り付けられるように構成されている。送達用ロッド900は、最小のロスでUV-A/UV-Bの伝達距離を延ばすために、光スペクトルからのUVCを除くホウケイ酸塩セグメント950を含む場合があり、純粋なシリカ(石英)900で形成されたセグメントがこれに続く。たとえば、純粋な石英のセグメントのみを使用することは、顕著なUV-C光放射(たとえば、4,300マイクロワット/cmのUV-C)を検出する結果となることが示されているが、UV光源950と送達用ロッド900との間にホウケイ酸塩の短いセグメント(たとえば、ホウケイ酸塩フィルタ)を伴う純粋な石英のロッドを使用することは、UV-A及びUV-Bの検出レベルより上(たとえば、30cmより上)、かつ、送達用ロッド900の先端における10マイクロワット/cmのUVC光のみになる結果となる。このことは、UV光が送達用ロッド900を通してのUV光の一様な送達のために、送達用ロッド900の本体に反射して戻されたことを意味している。UV光源950は、UV光源950に給電する出力源(図示せず)に接続されるように構成され得る。
【0038】
図9A図9E、及び図10を同時に参照すると、送達用ロッド940は、産業用ダイヤモンドを使用したスコアリングによって形成される場合があり、それにはガラスカッターオイルが使用され、(曖昧にというよりはむしろ)きれいに切れるように両側に圧力が印加される。送達用ロッド940の先端は、ドリル(たとえば、500RPMのドリル)によって丸くされている場合があり、ここで、ドリルは、プレミアムダイヤモンド研磨パッド(たとえば、120グリットから200グリットのプレミアムダイヤモンド研磨パッド)及びサンドペーパー(たとえば、400のサンドペーパー)を使用する。その後に、送達用ロッド900の本体は、120グリットから200グリットのプレミアムダイヤモンド研磨パッドで磨かれ得、それにより、UV-Cのない光(たとえば、UV-A及びUV-B)を、送達用ロッド900の本体を通して発することができるようになっている。
【0039】
光源アタッチメント
図1図9A図9E、及び図10を参照すると、UV光管理デバイスの各々は、送達用ロッド940(または送達用チューブ100)と、光源950(または出力源120)との間に置かれた光源アタッチメント900を含む場合がある。光源アタッチメント900は、本体920と、この本体920をエンクロージャ(たとえば、ロッド、カテーテル、ハンドルなど)に取り付ける締結機構910(たとえば、ネジ、ストッパネジ、締結具、釘など)とを含む場合がある。本体920は、光源(または電力供給源)に接続するように構成された前端アパーチャ970と、ロッド(またはカテーテル)に接続するように構成された後端アパーチャ980とを含む場合がある。前端アパーチャ970の直径は、約10.1mmである場合があり、後端アパーチャ980の直径は約5mmである場合がある。締結機構910は、長さが約3mmである場合がある。光源アタッチメント900は、熱伝導のため、及び光強度の減衰を抑えるために、アルミニウムで形成されている場合がある。前端アパーチャ970と後端アパーチャ980の両方の直径は、たとえば、特定のカテーテル、チューブ、ロッドなどにフィットするために、様々である場合がある。光源アタッチメント900は、前端アパーチャ970と後端アパーチャ980との間に、光のロスを低減するように構成された凸レンズ930をも含む場合がある。凸レンズは、光のロスを低減しかつ光を収束させる、半凸状の耐熱レンズを含む場合がある。
【0040】
UVレンジ
図4は、開示のデバイス及び方法によって実施され得るUVレンジを示している。たとえば、光源は、UV-Aレンジ及びUV-Bレンジのみの光を送達し得、UV-Cレンジの光は送達しない。他の例では、システム及び方法は、3つのUVレンジすべての光を送達する場合があるか、可視スペクトルの光をも送達する場合がある。いくつかの例では、UV-A光のみ、またはUV-B光のみが、特定の表示及び治療のために、放射され得る。
【0041】
他の電磁レンジ
いくつかの例では、末期の腸のGVHDまたは腫瘍形成を治療するために、放射され得るレンジは、x線の波長をも含んでいる。x線の波長は、UV-Cレンジの光よりもわずかに短い波長を有している。
【実施例0042】
以下の実施例は、請求される発明を良好に説明するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されることは意図されていない。具体的な材料またはステップが述べられている範囲において、単に例示の目的のためのものであり、本発明を限定することは意図していない。当業者は、発明的能力を発揮せずに、かつ、本発明の範囲を逸脱することなく、均等の手段または作用するものを開発し得る。
【0043】
消化管の治療
図5及び図6は、結腸及び/または直腸内の異常を治療するための例示的用途を示している。たとえば、図5は、介護者により、肛門を通して結腸内に挿入される場合がある光源150を含む送達用チューブ100を示している。このため、送達用チューブ100は、治療場所、たとえば、結腸、腸の一部もしくはほとんど(たとえば、図6を参照)、または、口を介して胃(たとえば、図7を参照)に誘導される場合がある。次いで、電力供給源(または光源)120がオンにされて、UV光150で治療場所を照らす場合がある。
【0044】
いくつかの例では、このことは、本明細書により完全に記載するように、潰瘍性結腸炎及びクローン結腸炎、IBD、感染性疾患、ならびに、他のものを含む様々な炎症性の病気を治療するために利用され得る。図示のように、病気のサイズ、位置、及びタイプに応じて、送達用チューブ100は、送達用タブ100の特定の部分または長さに埋め込まれるか包含される場合がある、様々な量の光源150を含む場合がある。
【0045】
図7は、内視鏡または他の送達用チューブ100が口腔キャビティを通り、食道を通り、胃内に挿入されている実施形態を示している。この例では、胃の感染または炎症性の病気が、UV光源150で治療され得る。
【0046】
カプセル
図8は、患者によって嚥下される場合がある送達用デバイスのためのカプセル800を利用したシステムの例を示している。カプセル800は、光源150と、この光源150に給電するための電力供給源120とを包含する場合がある。いくつかの例では、カプセル、またはカプセルの一部は、カプセルを通して光が放射されることを可能にするように、透過性材料で形成される。カプセルは、消化管内のカプセルの位置を評価するために、追跡デバイスを包含している場合がある。カプセル送達システムは、連続しているか断続的な、制御された送達のために、中空の臓器内で挟まれている場合がある。
【0047】
いくつかの例では、カプセルは、ピルのサイズか、それより小さい場合があり、また、口腔摂取可能である場合がある。カプセルは、カプセルが消化管の特定の部分に達したか、達した可能性がもっとも高い際に、UV光源をオン、オフにするためのタイマを含む場合がある。たとえば、カプセルは、30分、1時間、または2時間後にカプセルをオンにするためのシンプルなタイマを包含している場合がある。たとえば、カプセルは、カプセルが消化管に達して、IBSまたは他の感染性もしくは炎症性の状態を治療するまで、光源150をオンにしない場合がある。
【0048】
カテーテル
いくつかの例では、送達用デバイスは、カテーテルチューブ100である場合があり、このカテーテルチューブ100は、動脈、尿道、または、患者の身体の他の部位に挿入可能である場合がある。たとえば、カテーテルチューブ100は、ガイドワイヤが通ることを可能にする中空部分を含む場合がある。したがって、介護者は、ガイドワイヤを治療場所に誘導し、次いで、カテーテルをガイドワイヤにわたって通し、カテーテルを治療場所に、または治療場所を越えて誘導する場合がある。
【0049】
内視鏡の実施態様などのカテーテルチューブ100は、次いで、動脈内にUV治療を施すのに適切な任意の種類の光源150を包含する場合がある。いくつかの例では、この実施態様は、LEDなどの、より小さい光源150を使用する場合がある。
【0050】
本開示の別の例では、送達用デバイスは、(たとえば、図11に示すように)身体に導入された泌尿器のカテーテルとして膀胱に挿入される場合がある、カテーテルチューブ100である場合があり、それにより、尿路感染症をUV光で消毒するようになっている。別の例では、送達用デバイスは、直腸をUV光で治療するために、直腸内に挿入されたバルーンの一部である場合がある。さらに別の例では、送達用デバイスは、患者の膣の感染症を治療するための膣用ロッド内に組み込まれている場合がある。
【0051】
体外
他の例では、(たとえば、透析器械による)患者からの血液は、体外に移され、血液にはUV光(たとえば、UV-A及びUV-B)が放射される。これら例では、血液は、血液を患者に戻す前に血液にUV光を放射する器械を通される場合がある。この例では、血液内の細胞以外の体組織に対するリスクが少ないことから、かなり強いか、高度に電力が与えられたUV-A及びUV-Bの光が利用される。
【0052】
治療レジメン
本明細書における手順は、複数の異なる炎症性及び感染性疾患を治療するために利用される場合がある。したがって、異なる量または時間のUV放射の処方線量が、(1)病気のタイプ、(2)光源のタイプ、(3)光源の出力、(4)光源のUVレンジ、及び(5)感染または炎症の重症度に応じて施される場合がある。たとえば、いくつかの実施形態では、付与時間は、カプセルの消化の割合によって判定され、処方量を変化させるために、他の因子(たとえば、光源の出力、UVレンジなど)を操作することができる。他の例では、内視鏡は、1時間、30分、2時間、または他の適切な時間の間、医者/外科医によって送達され得る。
【0053】
以下は、治療レジメン及びそれらの用途の例である。したがって、本明細書に開示のデバイス及び方法が、これらの様々な状態を治療するために適合され得る。
【0054】
消化管:
1.潰瘍性大腸炎及びクローン病、急性/慢性的な嚢炎、ならびに、他の慢性的な炎症性腸病(IBD)の治療。
2.IBDに関連しない直腸炎の治療。
3.IBDに関するか、IBDに関連しない瘻孔の治療。
4.炎症性狭窄症の治療。
5.微細な結腸炎の治療。
6.UV光放射カプセルを使用した感染性の下痢の治療。
7.難治のヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)及びMALTリンパ腫の治療。
8.食道の扁平苔癬及び尋常性天疱瘡の治療。
9.難治のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium Difficile)の治療。
10.結腸無力症、熱帯性スプルー、小児脂肪便症、小腸内細菌異常増殖、盲腸炎の骨髄移植後の感染、偽ポリープ(鼻ポリープに類似)、及び放射線腸炎の治療。
11.形成異常を伴うか伴わない、バレット食道(Barrett’s esophagus)の治療。
12.日々のUV光カプセルでの肝性脳症の治療。
13.残胃内にPEGを通してILT(内部光治療)カテーテルを配置することによるルーワイ(Roux en Y)の患者の盲係蹄症候群の治療。
14.UV光を放射することができる透明の排液線での肛門周囲の瘻孔の治療。
15.経皮的供給または吸引チューブに関連した感染の量の低減。
16.粘膜及び粘膜下層に限定される消化器癌の治療。
17.肝胆汁性の感染、炎症、ならびに、粘膜及び粘膜下層に限定される癌の治療。
【0055】
泌尿器学及び腎臓学:
1.微生物の負荷を根絶するか低減するための、透析の間の、既知の菌血症、真菌血症、またはウイルス血症の、患者の血液の消毒。代替的に、光ニードルが瘻孔内に置かれ、透析窓の外であってもオンにされ得る。エキソビボ感度分析が、より狭い波長であるが、より強いILTに関して行われる。
2.カテーテルに依存する患者の体内に留置された泌尿器のカテーテルを殺菌する。
3.粘膜及び粘膜下層に限定される膀胱及び尿道の癌の治療。
4.難治の膀胱炎/尿路感染症の治療。
5.UV光線療法を腹膜の透析カテーテルに加えて、腹膜炎リスク、及び、長期の腹膜硬化症のリスクさえ低減する。
【0056】
心臓病
1.微生物の負荷を根絶するか低減するための、LVADでの、既知の菌血症、真菌血症、またはウイルス血症の、患者の血液の消毒。代替的に、光ニードルが瘻孔内に置かれ、透析窓の外であってもオンにされ得る。エキソビボ感度分析が、より狭い波長であるが、より強いUV治療に関して行うことができる。
2.弁膜にUV光を直接露光することで治療されている、難治のバクテリア及び真菌性心内膜炎。光増感剤は、この場合、静脈に与えられ得る。
【0057】
歯学
1.歯肉炎の治療。
2.白板症及び口腔扁平苔癬の治療。
3.粘膜及び粘膜下層に限定される癌の治療。
【0058】
呼吸器学
1.肺炎を防止するために、チューブ内のバクテリア、及び、喉頭周りに集積するバクテリアも除去するように、ETチューブを吸引している間、ILTチューブを配置する。
2.断続的放射を伴うILT能力を有するETチューブを構築する。
3.ILTを胸部管に備え付けることにより、蓄膿症の治療を向上させる。
【0059】
血液学/腫瘍学
1.腸に起こる移植片対宿主病の治療。x線の波長が、この場合に発せられ、リンパ球の死滅に繋がる。このことは、わずかな腸移植または緩和ケアを待っている、末期のクローン病の患者に使用することができる。
【0060】
耳鼻咽喉(ENT)
1.慢性的静脈洞炎の治療。
2.慢性耳炎の治療。
3.鼓膜切開術を必要とする患者の急性中耳炎の治療。
4.鼻ポリープの治療(UV光が鼻ポリープを縮小するエビデンスが存在する。添付文書を参照)。
5.口臭の治療。
6.再発する扁桃腺炎/咽頭炎の治療。
7.粘膜及び粘膜下層に限定される癌の治療。
【0061】
外科手術
1.UV光技術を伴うドレインを備えることにより、膿瘍の治療を向上させる。
2.多重感染を避けるために外科用ドレインを使用する。
3.吻合治療プロセスを加速する。
4.接着作用を防止することを補助する。
【0062】
神経外科
1.難治の髄膜炎の治療におけるUV光の、鞘内の光ファイバによる送達。
2.難治のシャント感染症の治療。
3.鞘内またはくも膜下のUV治療でのプリオン病の治療。
4-ウイルス量を低減することによる、JCウイルスに関する進行性多巣性白質脳症の治療。
【0063】
婦人科学
1.バクテリアまたは真菌による膣症の治療。
2.直腸膣瘻/結腸膀胱瘻の治療。
3.粘膜及び粘膜下層に限定される癌の治療。
【0064】
リューマチ学
1.炎症性及び感染性の、大きい関節の関節炎の治療のための関節内ILT。
【0065】
結腸鏡検査
1.図14は、マウスの結腸鏡検査で使用されている、UV放射デバイスの例を示す図である。結腸鏡検査は、安全に行った。パラメータには、1,100マイクロワット/cmの強度の10分及び30分のUV露光の後の正常な結腸鏡検査72時間が含まれる。
【0066】
膣治療
1.図15A及び図15Bは、マウスの膣治療で使用されている、UV放射デバイスの例を示す図である。
【0067】
実験
以下の実験データのセットは、請求される発明を良好に説明するために提供されるものであり、範囲を限定するものとして解釈されることは意図されていない。
【0068】
図12及び図13は、大腸菌の増殖を防止するために使用されている、本開示のUV放射デバイスの例を示す実験データの図である。図示のように、UV光が適用されていないコントロールグループは、増殖し続け、一方、UV放射デバイスを通してUV光が提供されたテストグループは、経時的に大腸菌が減少し続けることを示した。UV光は、大腸菌が増殖することを防止することと、やはりバクテリアを経時的に死滅させることとの両方を示した。
【0069】
図16Bは、大腸菌を含む液体培養で使用されている、本開示のUV放射デバイスの例を示す図である。実験の結果は、たとえば図16A及び図17図22に示されている。すべての結果は、UV-A及びUV-Bの光が、本開示のUV放射デバイスによって液体サンプルに発せられた場合に、液体サンプル内の大腸菌の増殖が著しく低減されたことを示している。
【0070】
図16Aは、以下の表1に示す条件に従って行った実験の結果を示している。
【0071】
(表1)結果
【0072】
図17は、以下の表2に示す条件に従って行った実験の結果を示している。
【0073】
(表2)結果
【0074】
図18Aは、以下の表3に示す条件に従って行った実験の結果を示している。
【0075】
(表3)結果
【0076】
図18Bは、以下の表4に示す条件に従って行った実験の結果を示している。
【0077】
(表4)結果
【0078】
図19は、以下の表5に示す条件に従って行った実験の結果を示している。
【0079】
(表5)結果
【0080】
図20は、以下の表6に示す条件に従って行った実験の結果を示している。
【0081】
(表6)結果
【0082】
図21は、以下の表7に示す条件に従って行った実験の結果を示している。
【0083】
(表7)結果
【0084】
図22は、以下の表8に示す条件に従って行った実験の結果を示している。
【0085】
(表8)結果
【0086】
結論
上述の様々な方法及び技術により、本発明を実施する複数の方法が提供されている。当然、必ずしもすべての記載の目的または利点が、本明細書に記載の任意の特定の実施形態に従って達成され得るわけではないことを理解されたい。このため、たとえば、当業者は、本方法が、本明細書に教示された1つの利点または利点のグループを、本明細書に教示されるか提案された他の目的または利点を必ずしも達成することなく、達成するか最大限に利用するような方式で実施できることを理解するであろう。様々な代替形態が、本明細書に述べられている。いくつかの実施形態が明確に、1つの、別の、またはいくつかの特徴を含む一方、他の実施形態は、明確に、1つの、別の、またはいくつかの特徴を除外し、一方、さらに他の実施形態は、1つの、別の、またはいくつかの有利な特徴を含むことにより特定の特徴を緩和することを理解されたい。
【0087】
さらに、当業者は、異なる実施形態からの様々な特徴の適用可能性を理解するであろう。同様に、上述の様々な要素、特徴、及びステップ、ならびに、そのような要素、特徴、またはステップの各々に関する他の既知の均等物は、当業者により、様々な組合せで採用されて、本明細書に記載の原理に係る方法を実施することができる。様々な要素、特徴、及びステップの中で、いくつかが、明確に含まれ、別の実施形態では、他のものが明確に除外されている。
【0088】
特定の実施形態及び実施例の文脈において本出願が開示されてきたが、本出願の実施形態は、明確に開示された実施形態を越えて、他の代替的実施形態及び/または使用、ならびに、それらの変形及び均等物に拡大されることを、当業者には理解されたい。
【0089】
いくつかの実施形態では、本出願の特定の実施形態を記載する文脈(特に、添付の特許請求の範囲のいくつかの文脈内)において使用される「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」の用語、ならびに類似の参照は、単一のものと複数のものとの両方をカバーするものと解釈することができる。本明細書における値のレンジの列挙は、そのレンジ内にある各々の別々の値に個別に言及する簡略的方法としての役割を果たすことが単に意図されている。本明細書において別様に示されていない限り、個別の値の各々は、その値が本明細書に個別に述べられているかのように、本明細書に組み込まれている。本明細書に記載の方法はすべて、本明細書において別様に示されているか、文脈により、別様に明確に矛盾していない限り、任意の適切な順番で実施することができる。任意の及びすべての例の使用、または、本明細書の特定の実施形態に関して提供される例示的言語(たとえば、「such as」)は、本出願をより明確にすることを単に意図するものであり、別様に請求される本出願の範囲を限定するものではない。本明細書の言語は、本出願の実施に必須である、任意の請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0090】
本出願の特定の実施形態が、本明細書に記載されている。これら実施形態の変形形態は、上述の記載を読むことで、当業者には明らかとなるであろう。当業者が、そのような変形形態を適宜採用することができ、本出願を、本明細書に特に記載のものとは別様に実施することができることが予想される。したがって、この出願の多くの実施形態は、適用法によって認可された、本明細書に添付される特許請求の範囲に述べられた主題の変形形態及び均等物をすべて含んでいる。さらに、それらのすべての可能性のある変更形態での、上述の要素の任意の組合せは、本明細書に別様に示されているか、文脈によって明確に別様に矛盾していない限り、本出願によって包含される。
【0091】
本主題の特定の実施態様が記載されてきた。他の実施態様は、添付の特許請求の範囲の範囲内にある。いくつかのケースでは、特許請求の範囲に記載の動作は、異なる順番で実施され得、かつ、依然として所望の結果を得る。さらに、添付図面に記載のプロセスは、所望の結果を達成するために、図示の特定の順番、または順次的な順番を必ずしも必要としない。
【0092】
本明細書で参照される、すべての特許、特許出願、特許出願の公報、ならびに、記事、本、明細書、公報、文献、物事、及び/または類似のものなどの他の資料は、これら参照されるものか、本文献と一致しないか矛盾するこれら参照されるもののいずれか、または、ここで、または後に本文献と関連付けられる、特許請求の範囲のもっとも広い範囲に関する限定的影響を有する場合がある、これら参照されるもののいずれかに関連する、いずれの訴訟ファイルの履歴を除き、本明細書により、この参照が、すべての目的のために参照の全体において本明細書に組み込まれる。例として、組み込まれている要素のいずれかに関連付けられた用語の記載、定義、及び/または使用と、本文献に関連付けられた用語の記載、定義、及び/または使用との間に、いずれかの不一致または矛盾が存在する場合、本文献に関連付けられた用語の記載、定義、及び/または使用が優勢である。
【0093】
最後に、本明細書に開示される本出願の実施形態は、本出願の実施形態の原理を説明するものであることを理解されたい。採用することができる他の変形は、本出願の範囲内とすることができる。このため、例として、限定ではなく、本出願の実施形態の代替的構成が、本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本出願の実施形態は、図示され、記載されるようなものに、明確に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2023-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内の紫外線(UV)治療を実施するためのシステムであって、
電気的接続手段を備えている、気管内(ET)送達用チューブと、
UV-Aレンジのみにおける波長の光を発するように構成された、前記ET送達用チューブの内側の少なくとも1つのUV光源であって、前記ET送達用チューブの実質的な長さにわたって、前記ET送達用チューブの外周の周りに外側に向けられた前記光を送達するように配置されている、前記少なくとも1つのUV光源と、
前記少なくとも1つのUV光源に、前記ET送達用チューブの前記電気的接続手段を介して接続された電力供給源と
を備え、
前記UV-Aレンジのみにおける波長の光は、感染性の状態の治療のための、体内のUV治療に有効である、
前記システム。