(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106534
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】配送手配装置、薬局側端末、配送手配プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20230725BHJP
G06Q 10/08 20230101ALI20230725BHJP
【FI】
G16H20/10
G06Q10/08
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023084485
(22)【出願日】2023-05-23
(62)【分割の表示】P 2019118307の分割
【原出願日】2019-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】309005238
【氏名又は名称】アクシスルートホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 一馬
(57)【要約】 (修正有)
【課題】適切な配送を利便性よく行う配送手配装置、薬局側端末、配送手配プログラム、及び記録媒体を提供する。
【解決手段】医療機関Dに備えられる医療機関端末400と、患者等に保有される患者側端末500と、処方箋登録サーバ600と、を含む医薬品配送システム1において、処方箋に関する情報である処方箋情報を受け付けた薬局Aが備える薬局側端末100から、医薬品配送の依頼を受け、医薬品の配送を手配する配送手配装置200は、薬局側端末100から配送する医薬品の情報及び配送先となる住所情報を受信可能な受信部と、医薬品の情報及び住所情報に関連付けられて、服薬指導を行った旨の指導情報及び情報の送信者が薬剤師である旨の証明情報を受信部が受信したか否かを判断し、指導情報及び証明情報を受信したと判断した場合に、受信した住所情報と、配送の発注先の候補となる複数の外部の住所の情報とに基づいて、配送受側端末300を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方箋に関する情報である処方箋情報を受け付けた薬局が備える薬局側端末から、医薬品配送の依頼を受け、医薬品の配送を手配する配送手配装置であって、
薬局側端末から配送する医薬品の情報及び配送先となる住所情報を受信可能な受信手段と、
前記医薬品の情報及び住所情報に関連付けられて、服薬指導を行った旨の指導情報、及び、情報の送信者が薬剤師である旨の証明情報を前記受信手段により受信したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記指導情報及び前記証明情報を受信したと判断された場合に、前記受信手段により受信した住所情報と、配送の発注先の候補となる複数の外部の住所の情報とに基づいて、配送の発注先を決定する発注先決定手段と、
を備えることを特徴とする配送手配装置。
【請求項2】
配送の発注が行われた場合に、その履歴を記憶する記憶手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の配送手配装置。
【請求項3】
処方箋に関する情報である処方箋情報を受け付けた薬局が備える薬局側端末から、医薬品配送の依頼を受け、医薬品の配送を手配する配送手配装置であって、
薬局側端末から配送する医薬品の情報及び配送先となる住所情報を受信可能な受信手段と、
前記医薬品の情報及び住所情報に関連付けられて、服薬指導を行った旨の指導情報、及び、情報の送信者が薬剤師である旨の証明情報を前記受信手段により受信したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記指導情報及び前記証明情報を受信したと判断されて配送の発注が行われた場合に、その履歴を記憶する記憶手段と、
を備えることを特徴とする配送手配装置。
【請求項4】
処方箋に関する情報である処方箋情報を受け付けた薬局が備える薬局側端末であって、
医薬品の配送の依頼時に、情報の送信者が薬剤師である旨の証明情報の付与について要求し、要求に応じて前記証明情報が付与された場合に、配送する医薬品の情報、配送先となる住所情報と、服薬指導を行った旨の指導情報と共に前記証明情報を送信する
ことを特徴とする薬局側端末。
【請求項5】
医薬品の配送の依頼時に、前記医薬品の情報、前記住所情報、前記指導情報、及び前記証明情報に加えて、患者の氏名情報を送信する
ことを特徴とする請求項4に記載の薬局側端末。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1に記載の配送手配装置として機能させるための配送手配プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の配送手配プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送手配装置、薬局側端末、配送手配プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関にて発行された処方箋を患者自身が薬局に持参して医薬品の交付を受ける方式が知られている。また、薬局に対して処方箋のデータを予め送付し、患者の待ち時間削減に寄与した方法も知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような医薬品の交付に際しては、薬局内に医薬品が不足してしまい、後日患者宅に医薬品を配送することが考えられる。また、薬局にて医薬品が交付されるまで待ちたくない場合においても患者宅に医薬品を配送することも考えられる。しかし、このような場合には、薬局で配送作業を行う必要があり、人的や時間的な観点から、その作業が困難となることがある。
【0005】
そこで、処方箋を受け付けた薬局からの依頼により、処方箋を受け付けた薬局以外の薬局や医薬品卸業者等の外部から、患者に医薬品を配送しようとしたとしても、医薬品の配送については通常の商品の配送とは異なり、単に依頼を受けて配送するわけにはいかない。特に、医薬品の交付には服薬指導を行うことが前提となっているが、外部側は既に服薬指導が行われたか分からない状態となってしまう。この結果、処方箋を受け付けた薬局以外の薬局や医薬品卸業者は、配送を行ってもよいか不明となってしまい、服薬指導を行うべく患者を呼び寄せたり、薬剤師自身に医薬品を届けさせたりすることとなってしまい、配送を行うことの利便性が大きく損なわれてしまう。一方で、処方箋を受け付けた薬局以外の薬局や医薬品卸業者が服薬指導が行われたか否かが不明な状態で医薬品を配送することは法律上不適切な配送となってしまうこともあり得る。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、適切な配送を利便性よく行うための配送手配装置、薬局側端末、配送手配プログラム、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る配送手配装置は、処方箋に関する情報である処方箋情報を受け付けた薬局が備える薬局側端末から、医薬品配送の依頼を受け、医薬品の配送を手配するものである。配送手配装置は、薬局側端末から配送する医薬品の情報及び配送先となる住所情報を受信可能な受信手段と、前記医薬品の情報及び住所情報に関連付けられて、服薬指導を行った旨の指導情報、及び、情報の送信者が薬剤師である旨の証明情報を前記受信手段により受信したか否かを判断する判断手段とを備える。
【0008】
また、本発明に係る薬局側端末は、処方箋に関する情報である処方箋情報を受け付けた薬局が備える薬局側端末であって、医薬品の配送の依頼時に、情報の送信者が薬剤師である旨の証明情報の付与について要求し、要求に応じて前記証明情報が付与された場合に、配送する医薬品の情報、配送先となる住所情報と、服薬指導を行った旨の指導情報と共に前記証明情報を送信する。
【0009】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上記に記載の配送手配装置として機能させるための配送手配プログラムであり、本発明に係る記録媒体は、上記に記載の配送手配プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、適切な配送を利便性よく行うための配送手配装置、薬局側端末、配送手配プログラム、及び記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る医薬品配送システムの概念図である。
【
図2】
図1に示す配送手配装置を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示した医療機関端末の処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図1に示した患者側端末の処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図1に示した薬局側端末の処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図1に示した配送手配装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る医薬品配送システムの概念図である。医薬品配送システム1は、少なくとも薬局Aに備えられる薬局側端末100と、配送手配装置200と、薬局A以外の薬局Bや医薬品卸売業者Cに備えられる配送受側端末(外部)300とを備えて構成されている。薬局側端末100は配送の依頼を行い、配送手配装置200は薬局側端末100からの依頼を受けて薬局Bや医薬品卸売業者Cのうち適切な薬局Bや医薬品卸売業者Cの端末300に情報送信することで医薬品の配送を発注する。配送手配装置200から情報を受けた配送受側端末300を保有する薬局Bや医薬品卸売業者Cは、発注に基づいて医薬品を配送する。
【0014】
このような医薬品配送システム1において配送手配装置200は、薬局側端末100から受信した情報に基づいて配送の手配を行ってよいか判断しており、よいと判断した場合に配送受側端末300に発注し、そうでない場合に発注を禁止する。なお、配送手配装置200は、配送受側端末300からの情報等(例えば後述の在庫データ)に基づいて発注先を決定する。
【0015】
さらに、医薬品配送システム1は、医療機関Dに備えられる医療機関端末400と、患者等に保有される患者側端末500とを含むことが好ましく、配送手配装置200は、これら端末400,500から受信した情報によっても配送の手配を行ってよいか判断する。加えて、医薬品配送システム1は処方箋登録サーバ600についても備えることが好ましい。
【0016】
これら各部100~600は有線や無線の回線を通じて接続されている。以下、各部100~600について詳細に説明する。
【0017】
薬局側端末100は、処方箋に関する情報である処方箋情報を受け付ける薬局Aに備え付けられた端末であって、薬剤師によって操作されるものである。ここで、処方箋情報は、紙媒体の処方箋に記載された情報や処方箋の電子データであって、二次元コードやバーコード等の暗号化されたものを含むものである。処方箋情報は、薬局Aに直接持参されてもよいし、通信回線を通じて送られてきてもよい。
【0018】
薬剤師は、処方箋情報を受け付けると医薬品配送の依頼をする。この場合において薬剤師は、薬局側端末100を操作して、1)患者の氏名・日付等の識別情報、2)患者に交付する医薬品の情報、3)配送先となる患者等の住所情報(地図情報のみや地図情報とリンクされた情報も可)、4)服薬指導を行った旨の指導情報(指導日や指導日時の情報も可)、及び、5)情報の送信者が薬剤師である旨の証明情報を配送手配装置200に送信させて依頼を行う。4)指導情報には、服薬指導が遠隔で行われたか否かを示す遠隔指導情報も含まれている。ここで、一般的に服薬指導は薬剤師が患者やその保護者と対面して行われる。しかし、患者等が遠隔地にいる場合等には、PCやスマートフォン等を利用して画面越しに服薬指導が行われる可能性がある。このような場合、遠隔指導情報は服薬指導が遠隔で行われたものとされる。一方、対面にて服薬指導が行われた場合、遠隔指導情報は服薬指導が遠隔で行われていないもの(対面で行われたもの)とされる。なお、1)識別情報については、本システム1を運用するうえで予め設定される各装置100~600で共通のID等が用いられてもよい。また、5)証明情報は、いわゆる電子署名であってもよいし、そうでなくともよい。
【0019】
また、薬剤師は、薬局側端末100を操作して、6)自己がかかりつけの薬剤師であるときに、かかりつけの薬剤師である旨のかかりつけ情報を配送手配装置200に送信させる。
【0020】
さらに、薬剤師は、薬局側端末100を操作して、7)服薬指導の内容を示す内容情報についても送信させることが好ましい。例えば薬局側端末100は、カメラやマイクを備え、対面にて服薬指導が行われる場合、服薬指導の様子を7)内容情報として記録する。さらに、薬局側端末100は、画面越しに服薬指導が行われる場合、その際の画像や音声を7)内容情報として記録してもよい。加えて、薬局側端末100は、対面や画面越しにて行われた指導内容を文字化し、文字化した情報を7)内容情報として記録してもよい。このような記録内容が7)内容情報として配送手配装置200に送信される。
【0021】
加えて、薬剤師は、薬局側端末100を操作して、患者に処方する医薬品を一部ジェネリック医薬品に変更した場合等には、8)その旨や変更した医薬品の具体的な内容を示す変更情報を配送手配装置200に送信させることが好ましい。
【0022】
医療機関端末400は、処方箋情報を発行した医療機関Dに備え付けられた端末であって、医師、看護師及び医療事務等によって操作されるものである。この医療機関端末400は、患者等に発行した処方箋情報が入力され、この処方箋情報のうち少なくとも、a)患者の氏名・ID・日付等の識別情報と、b)処方薬を示す処方薬データとを配送手配装置200に送信する。
【0023】
患者側端末500は、医療機関Dによって発行された処方箋情報の保有者である患者等によって所持された端末であって、患者やその保護者等によって操作されるものである。この患者側端末500は、α)患者の氏名・ID・日付等の識別情報と、β)遠隔にて服薬指導を受ける旨の遠隔希望情報とを薬局Aの薬局側端末100及び配送手配装置200に送信するものである。
【0024】
配送手配装置200は、各端末100,400,500から情報に基づいて、医薬品の配送を手配するか否かを自動的に判断して、手配してもよい場合には、薬局A以外の薬局Bや医薬品卸売業者Cに備えられる配送受側端末300に対して医薬品の配送を発注するサーバ装置である。
【0025】
図2は、
図1に示す配送手配装置200を示すブロック図である。
図2に示すように、配送手配装置200は、受信部(受信手段)210と、発注部220と、記憶部(記憶手段)230とを備えている。
【0026】
受信部210は、各端末100,400,500からの各種情報を受信するものである。具体的に受信部210は、薬局側端末100から、1)識別情報、2)医薬品の情報、3)配送先となる住所情報、4)指導情報、5)証明情報、6)かかりつけ情報、7)内容情報、及び、8)変更情報を受信可能となっている。また、受信部210は、医療機関端末400から、a)識別情報と、b)処方薬データとを受信可能となっており、患者側端末500から、α)識別情報と、β)遠隔希望情報とを受信可能となっている。
【0027】
発注部220は、受信部210にて受信された情報に基づいて、医薬品の配送を配送受側端末300に発注したり、発注を禁止したりする。具体的には発注部220は、以下のように処理を実行する。
【0028】
まず、発注部220は、2)医薬品の情報及び3)住所情報(更には1)識別情報)に関連付けられて、4)指導情報、5)証明情報を受信部210により受信した場合に医薬品の配送を配送受側端末300に発注すると判断する。一方、発注部220は、4)指導情報、及び、5)証明情報の少なくとも一方を受信しなかった場合、医薬品の配送を配送受側端末300に発注することを禁止する。
【0029】
このように、2)医薬品の情報だけでなく、4)5)薬剤師から服薬指導が行われた旨の情報を受信したときに配送を配送受側端末300に発注することとなる。これにより、発注を受けた薬局A以外の薬局Bや医薬品卸業者Cについては配送手配装置200での発注条件を満たしたうえで発注依頼を受けていることから、服薬指導を行うべく患者を呼び寄せたり、薬剤師自身に医薬品を届けさせたりすることがなく、利便性が大きく損なわれてしまうことを防止することができる。また、服薬指導が行われないまま、医薬品が配送されてしまい、法律上不適切な配送となってしまうことを防止することができる。
【0030】
さらに、発注部220は、患者側端末500から、α)識別情報と共に、β)遠隔希望情報を受信していた場合には、4)指導情報に含まれる遠隔指導情報について、服薬指導が遠隔で行われたことを示すものであるときに、医薬品の配送を配送受側端末300に発注してよいと判断する。一方、発注部220は、β)遠隔希望情報を受信していた場合に、4)指導情報に含まれる遠隔指導情報について、服薬指導が遠隔で行われたことを示すものでないとき、発注を禁止する。
【0031】
加えて、発注部220は、医療機関端末400から、a)識別情報と共に、b)処方薬データを受信していた場合には、b)処方薬データと、薬局側端末100から受信した2)医薬品の情報とを照合させて一致するときに、医薬品の配送を配送受側端末300に発注してよいと判断する。
【0032】
また、発注部220は、b)処方薬データと、薬局側端末100から受信した2)医薬品の情報とを照合させて一致しないときであっても、薬局側端末100から、8)変更情報を受信していた場合には、医薬品の配送を配送受側端末300に発注してよいと判断する。
【0033】
さらに、発注部220は、配送受側端末300に発注するにあたり、以下の2つの処理を実行して発注先を決定する。
【0034】
1つ目の処理は、配送の発注先の候補となる薬局Bや医薬品卸売業者Cの在庫確認処理である。まず、受信部210は、配送受側端末300から医薬品の在庫データを受信している。なお、在庫データは、各医薬品の在庫を示す詳細な数値であってもよいが、これに限らず、1000個単位や「多」「少」「無」等の大凡の在庫を示すもの(仮の在庫データ)であってもよい。
【0035】
発注部220は、医薬品の配送を発注するにあたり、まず在庫データに基づいて在庫が不足しており、明らかに発注不可である薬局Bや医薬品卸売業者Cを除外し、除外されなかった薬局Bや医薬品卸売業者Cの配送受側端末300に発注してよいか確認情報を送信する。発注部220は、この確認情報に対して発注してよい旨の返信があった場合に、その配送受側端末300に発注してよいと判断する。
【0036】
なお、本実施形態においては、多数の薬局Bや医薬品卸売業者Cのうち、まず第1希望となる発注先に確認情報が送信され、第1希望となる発注先で発注が断られたときに、第2希望となる発注先に確認情報が送信される等の順次確認方式を想定している。しかし、これに限らず、発注部220は、多数の薬局Bや医薬品卸売業者Cに対して確認情報を一斉に送信し、最も早くに発注してよい旨の返信があったものに、配送の発注を行ってもよい。
【0037】
2つ目の処理は、住所確認処理である。処方箋には有効期限が存在する。このため、患者側が処方箋情報を取得してから有効期限内に処方薬が患者側に届けられることが好ましい。
【0038】
よって、発注部220は、医薬品の配送を発注するにあたり、薬局側端末100から受信した3)住所情報と、予め記憶されている薬局Bや医薬品卸売業者Cの住所とに基づいて、距離的に近い(例えば距離〇km以内)薬局Bや医薬品卸売業者C、又は、空路、陸路及び海路等を考慮して時間的に近い(例えば配送予想時間〇時間以内)薬局Bや医薬品卸売業者Cを発注先に決定する。これにより、処方箋の有効期限内に患者に医薬品を届け易くすることができる。
【0039】
なお、上記2つの処理については、まず2つ目の住所確認処理を実行して薬局Bや医薬品卸売業者Cの候補を絞り、そのうえで1つ目の在庫確認処理を実行することが処理負荷上好ましい。
【0040】
記憶部230は、サーバ装置を配送手配装置200として機能させるための配送手配プログラムを記憶するものである。この配送手配プログラムは、サーバ装置に予め記憶されていてもよいし、公衆回線や記録媒体を通じてサーバ装置にダウンロードされてもよい。
【0041】
この記録部230は、第1記憶部231と、第2記憶部232とを備えている。第1記憶部231は、薬局側端末100から、6)かかりつけ情報を受信した場合、6)かかりつけ情報と共に2)医薬品の情報を記憶する。これにより、かかりつけの薬剤師を基準とする、不正な情報が含まれていないかを後に検査する場合に活用することができる。同様に、第2記憶部232は、薬局側端末100から、7)内容情報を受信した場合、7)内容情報と共に2)医薬品の情報を記憶する。これにより、服薬指導が適切に行われたかを後に検査する場合に活用することができる。
【0042】
また、上記したように医薬品配送システム1は処方箋登録サーバ600についても備えることが好ましい。この処方箋登録サーバ600は、医療機関端末400及び薬局側端末100に接続されている。処方箋登録サーバ600は、医療機関端末400により発行された処方箋情報を受信して記憶する。さらに、薬局側端末100は、処方箋登録サーバ600に接続して処方箋情報を参照可能となっている。このため、患者等によって処方箋情報が薬局Aに届けられた場合(持ち込まれたり送信されたりした場合)、薬剤師は処方箋登録サーバ600にアクセスして、処方箋情報が真正なものであるかを確認することができる。
【0043】
なお、処方箋登録サーバ600は、処方箋情報のうち有効期限が切れたものについて自動的に削除したり、有効期限切れであることを表示したりすることが好ましい。これにより、有効期限のみの改ざんにも対応できるからである。
【0044】
次に、本実施形態に係る配送手配装置200を含む医薬品配送システム1の動作を説明する。
【0045】
図3は、
図1に示した医療機関端末400の処理を示すフローチャートである。患者が来院し又は遠隔にて診察が行われると、医療機関端末400は、医師の決定に基づいて処方箋情報を発行する(S1)。この処方箋情報とは、紙媒体の処方箋に記載された情報や処方箋の電子データである(二次元コードやバーコード等の暗号化されたものを含む)。
【0046】
その後、医療機関端末400は、処方箋情報を処方箋登録サーバ600に送信する(S2)。この処理において医療機関端末400は、ステップS1における処方箋情報の発行時のものを読み込み、読み込んだ情報を送信してもよいし、再度手入力された情報を送信してもよい。
【0047】
その後、医療機関端末400は、配送手配装置200に対してa)識別情報とb)処方薬データとを送信する(S3)。なお、医療機関端末400はa)識別情報とb)処方薬データとを送信すれば、その他の情報(例えば処方箋全体の情報や、過去分も含めた薬歴情報)を含めて送信してもよい。その後、
図3に示す医療機関端末400の処理は終了する。
【0048】
図4は、
図1に示した患者側端末500の処理を示すフローチャートである。まず、患者側端末500は、処方箋情報の送信操作があったかを判断する(S11)。患者やその保護者は、遠隔にて服薬指導を受けたい場合や、予め薬局Aに処方箋情報を送っておき、待ち時間を少なくしたい場合等に、送信操作を行う。
【0049】
処方箋情報の送信操作がなかったと判断した場合(S11:NO)、
図4に示す処理は終了する。処方箋情報の送信操作があったと判断した場合(S11:YES)、患者側端末500は、処方箋情報を薬局側端末100に送信する(S12)。ここで、処方箋情報には患者の氏名等の情報が含まれているため、
図4に示す処理では薬局側端末100に1)識別情報を送信していないが、1)識別情報を送信するようにしてもよい。
【0050】
その後、患者側端末500は、遠隔指導を希望する操作があったかを判断する(S13)。遠隔指導を希望する操作がなかったと判断した場合(S13:NO)、
図4に示した患者側端末500の処理は終了する。遠隔指導を希望する操作があったと判断した場合(S13:YES)、患者側端末500は、α)識別情報と、β)遠隔希望情報とを配送手配装置200に送信すると共に、β)遠隔希望情報を薬局側端末100に送信する(S14)。
【0051】
その後、
図4に示す患者側端末500の処理は終了する。
【0052】
図5は、
図1に示した薬局側端末100の処理を示すフローチャートである。
図5に示すように、まず薬局側端末100は、処方箋情報を入力する(S20)。ここで入力される処方箋情報は、
図4に示したステップS12にて送信された処方箋情報を受信する形式であってもよいし、例えば二次元コード等が記載された紙媒体からなる処方箋情報を読み込む形式であってもよいし、紙媒体の処方箋を薬剤師等が手入力する形式であってもよい。
【0053】
次に、薬局側端末100は、ステップS20にて入力した処方箋情報と、処方箋登録サーバ600の登録情報とが一致するかを判断する(S21)。なお、ステップS21に示す処理では薬局側端末100が自発的に処方箋登録サーバ600の登録情報と一致するか判断することを想定しているが、単に薬剤師が処方箋登録サーバ600にアクセスして目視にて一致確認するようにしてもよい。
【0054】
処方箋登録サーバ600の登録情報と一致しないと判断した場合(S21:NO)、
図5に示す処理は終了する。すなわち、入力された処方箋情報が不正なものである可能性があることから、配送手配装置200に依頼を行うことなく、
図5に示す処理は終了する。
【0055】
処方箋登録サーバ600の登録情報と一致すると判断した場合(S21:YES)、薬局側端末100は、1)識別情報、2)医薬品の情報、及び3)住所情報を生成する(S22)。この処理において薬局側端末100は、ステップS20にて入力した処方箋情報に基づいて1)識別情報を生成してもよいし、患者側端末100から送信された1)識別情報を利用してもよいし、薬局側端末100に記憶される過去の情報を利用して生成してもよい。また、薬局側端末100は、処方箋情報に基づいて2)医薬品の情報を生成する。さらに、薬局側端末100は、薬局側端末100に記憶される過去の情報を利用して3)住所情報を生成する。なお、薬剤師が患者等の希望によって処方箋情報と異なる医薬品(例えばジェネリック医薬品)を交付する場合には、その情報が薬局側端末100に入力される。この結果、薬局側端末100は、このような変更を反映した2)医薬品の情報を生成する。
【0056】
次いで、薬局側端末100は、遠隔希望情報を受信したかを判断する(S23)。遠隔希望情報を受信したと判断した場合(S23:YES)、薬局側端末100は、例えば患者側端末500と通信接続して、薬剤師による遠隔の服薬指導を実施させる(S24)。さらに、薬局側端末100は、この際の映像と音声を記録して7)内容情報を生成する(S24)。その後、薬局側端末100は、4)服薬指導を行った旨の指導情報を生成すると共に、遠隔指導情報について服薬指導が遠隔で行われた旨の設定を行う(S25)。そして、処理はステップS28に移行する。
【0057】
一方、遠隔希望情報を受信していないと判断した場合(S23:NO)、薬局側端末100は、対面による服薬指導が行われると判断する(S26)。そして、薬局側端末100は、対面時に実施された服薬指導について例えば撮影・録音を行って7)内容情報を生成する(S26)。その後、薬局側端末100は、4)服薬指導を行った旨の指導情報を生成すると共に、遠隔指導情報について服薬指導が遠隔で行われていない旨の設定を行う(S27)。そして、処理はステップS28に移行する。
【0058】
なお、ステップS23の処理において「YES」と判断されてから実際に通信により遠隔指導が行われるまで、又は、ステップS23の処理において「NO」と判断されてから実際に対面による服薬指導が行われるまで、薬局側端末100は一端処理を終了してもよい。
【0059】
その後、薬局側端末100は、処方薬変更の入力があったかを判断する(S28)。上記したように、薬剤師が患者等の希望によって処方箋情報と異なる医薬品(例えばジェネリック医薬品)を交付する場合には、その情報が薬局側端末100に入力される。薬局側端末100は、このような入力があったか否かに基づいて、処方薬変更の入力があったかを判断することとなる。
【0060】
処方薬変更の入力がなかったと判断した場合(S28:NO)、処理はステップS30に移行する。一方、処方薬変更の入力があったと判断した場合(S28:YES)、薬局側端末100は、8)変更情報を生成する(S29)。
【0061】
その後、薬局側端末100は、かかりつけ薬剤師の入力があったかを判断する(S30)。なお、かかりつけ薬剤師の入力は、予め行われていてもよいし、ステップS30に至るまでのいずれかのステップと共に(ステップS20の処方箋情報の入力時等に)行われてもよい。
【0062】
かかりつけ薬剤師の入力がなかったと判断した場合(S30:NO)、処理はステップS32に移行する。一方、かかりつけ薬剤師の入力があったと判断した場合(S30:YES)、薬局側端末100は、6)かかりつけ情報を生成する(S31)。
【0063】
その後、ステップS32において薬局側端末100は、生成した各情報を配送手配装置200に送信する(S32)。この処理において薬局側端末100は、薬剤師による5)証明情報の付与を要求して付与させ、各情報と共に5)証明情報を送信する(S32)。その後、
図5に示す薬局側端末100の処理は終了する。
【0064】
図6は、
図1に示した配送手配装置200の処理を示すフローチャートである。なお、
図6に示す処理は、1)識別情報に基づいて他の処方箋情報と混同が生じないように区別されて実行される。
【0065】
図6に示すように、まず配送手配装置200の受信部210は、薬局側端末100、医療機関端末400、及び、患者側端末500等から各種情報を受信したかを判断する(S41)。情報を受信していないと判断した場合(S41:NO)、受信したと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0066】
一方、情報を受信したと判断した場合(S41:YES)、発注部220は、受信した情報に4)指導情報、及び、5)証明情報が含まれているかを判断する(S42)。発注部220は、4)指導情報、及び、5)証明情報が含まれていないと判断した場合(S42:NO)、発注条件を満たしていないと判断し、発注処理(S51)を実行することなく、
図6に示す処理は終了する。
【0067】
一方、4)指導情報、及び、5)証明情報が含まれていると判断した場合(S42:YES)、発注部220は、受信した情報にβ)遠隔希望情報が含まれているかを判断する(S43)。
【0068】
受信した情報にβ)遠隔希望情報が含まれていないと判断した場合(S43:NO)、処理はステップS45に移行する。一方、受信した情報にβ)遠隔希望情報が含まれていると判断した場合(S43:YES)、発注部220は、遠隔指導情報が遠隔を示す設定となっているかを判断する(S44)。
【0069】
遠隔指導情報が遠隔を示す設定となっていないと判断した場合(S44:NO)、発注部220は、発注条件を満たしていないと判断し、発注処理(S51)を実行することなく、
図6に示す処理は終了する。
【0070】
一方、遠隔指導情報が遠隔を示す設定となっていると判断した場合(S44:YES)、発注部220は、医療機関端末400から受信したb)処方薬データが示す医薬品と、薬局側端末100から受信した2)医薬品の情報が示す医薬品とが一致するかを判断する(S45)。両者が示す医薬品が一致すると判断した場合(S45:YES)、処理はステップS47に移行する。
【0071】
一方、両者が示す医薬品が一致しないと判断した場合(S45:NO)、発注部220は、受信した情報に8)変更情報が含まれているかを判断する(S46)。受信した情報に8)変更情報が含まれていないと判断した場合(S46:NO)、発注部220は、発注条件を満たしていないと判断し、発注処理(S51)を実行することなく、
図6に示す処理は終了する。
【0072】
一方、受信した情報に8)変更情報が含まれていると判断した場合(S46:YES)、発注部220は、発注条件を満たしたと判断する。そして、発注部220は、発注先を決定する処理を実行する。
【0073】
すなわち、発注部220は、受信した3)住所情報と、予め記憶されている薬局Bや医薬品卸売業者Cの住所とに基づいて、発注先の候補を決定する(S47)。この処理において発注部220は、例えば3)住所情報が示す住所と距離的に近い薬局Bや医薬品卸売業者Cを発注先の候補として決定する。
【0074】
次に、発注部220は、予め受信している在庫データに基づき、明らかに発注不可である薬局Bや医薬品卸売業者Cを除外し、除外されなかった薬局Bや医薬品卸売業者Cを発注先の候補として決定する(S48)。
【0075】
その後、発注部220は、ステップS48で決定された候補の配送受側端末300に対して、確認情報を送信する(S49)。次いで、発注部220は、発注してよい旨の返信があったかを判断する(S50)。なお、ステップS49の確認情報の送信は、複数の候補のうち第1希望となる候補から順番に送信されてもよいし、複数の候補に一斉に送信されてもよい。
【0076】
全ての候補から発注してよい旨の返信がなかったと判断した場合(S50:NO)、
図6に示す処理は終了する。一方、発注してよい旨の返信があったと判断した場合(S50:YES)、その返信をした薬局Bや医薬品卸売業者Cの配送受側端末300に対して発注処理を実行する(S51)。この処理において発注部220は、少なくとも2)医薬品の情報、3)住所情報、及び、患者や保護者の氏名情報(氏名が1)識別情報となっている場合には1)識別情報でも可)を送信する。さらに、発注部220は、処方箋情報の有効期限の情報も送信することが好ましい。
【0077】
次に、配送手配装置200は、発注した履歴を記憶部230に記憶させる(S52)。さらに、配送手配装置200は、2)医薬品の情報と6)かかりつけ情報とを関連付けて第1記憶部231に記憶させ、2)医薬品の情報と7)内容情報とを関連付けて第2記憶部232に記憶させる(S52)。
【0078】
その後、
図6に示す処理は終了する。なお、ステップS52において第1記憶部231と第2記憶部232とは、共に2)医薬品の情報を記憶していることから、第1記憶部231と第2記憶部232との機能を統合して、2)医薬品の情報と6)かかりつけ情報と7)内容情報とを関連付けて記憶させるようにしてもよい。
【0079】
このようにして、本実施形態によれば、適切な配送を利便性よく行うための配送手配装置200、薬局側端末100、配送手配予約プログラム、及び配送手配プログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【0080】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0081】
例えば、上記実施形態において配送手配装置200は、
図6に示す一部の処理を実行しない構成となっていてもよい。さらに、各フローチャートにおいて処理の順番は、処理が実行不可とならない範囲において変更されてもよい。
【0082】
加えて、上記実施形態において薬局側端末100は、上記1)~8)の情報を配送手配装置200に送信可能とされているが、上記1)~8)の情報に限らず、他の情報についても送信するようになっていてもよい。例えば薬局側端末100は、過去の薬歴を含めた電子薬歴全体の情報を配送手配装置200に送信してもよい。
【符号の説明】
【0083】
100 :薬局側端末
200 :配送手配装置
210 :受信部(受信手段)
220 :発注部
230 :記憶部(記憶手段)
300 :配送受側端末(外部)
400 :医療機関端末
500 :患者側端末
A :薬局
B :薬局
C :医薬品卸売業者