(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010657
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20230113BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230113BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20230113BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61K8/81
A61Q5/00
A61Q5/12
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109175
(22)【出願日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2021113932
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000147213
【氏名又は名称】株式会社成和化成
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 智里
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC151
4C083AC152
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC401
4C083AC422
4C083AC542
4C083AC582
4C083AC642
4C083AC842
4C083AC852
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD162
4C083AD352
4C083AD391
4C083AD392
4C083AD411
4C083AD432
4C083AD442
4C083AD452
4C083CC33
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE26
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】 毛髪へハリコシ感を付与し、毛髪コンディショニング効果、さらには毛髪への染色性や染色後の洗い流しに対する毛髪の色持ちが向上した毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】 (アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーを含有する乳化型や水系の毛髪化粧料であって、なかでも多剤式ヘアカラートリートメントやカラートリートメントに適用でき、優れた毛髪コンディショニング効果や洗い流し後の色持ちを向上することができる毛髪化粧料である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーを含むことを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
請求項1に記載の毛髪化粧料であって、水中油乳化型であることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項3】
請求項2に記載の毛髪化粧料であって、芳香族アルコールを含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項4】
請求項3に記載の毛髪化粧料であって、芳香族アルコールがベンジルアルコールであることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項5】
請求項1に記載の毛髪化粧料であって、油中水乳化型であり、オクチルドデシルキシロシド及び/又はジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30を含有し、水相の質量が、該水相と油相の合計質量に対して、72~95%であることを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項6】
請求項1に記載の毛髪化粧料であって、次の成分(A)~(E)を含有し、成分(A)と(B)の含有量が全体の質量に対して50%以上であることを特徴とする水系の毛髪化粧料。
(A)ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びグリセリンから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコール
(B)エタノール
(C)加水分解タンパク質及び/又は加水分解タンパク質誘導体から選ばれる1種又は2種以上
(D)高級アルコール及び/又はアルキルグルコシドから選ばれる1種又は2種以上
(E)水
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーを含有する毛髪化粧料に関し、より詳しくは、毛髪に処理した際に優れた毛髪コンディショニング効果及び/又は毛髪への染色性が向上する毛髪化粧料に関する。なかでも水中油乳化型毛髪化粧料に関し、より詳しくは、毛髪に処理した際の染色性が向上し、さらには染色後の毛髪の色持ちが向上する。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴う毛髪の悩みとして白髪の増加が最も多く挙げられている(非特許文献1)。その悩みを解決するために永久染毛剤であるヘアカラーや、半永久染毛料であるヘアマニキュア、ヘアカラートリートメントがよく用いられている。中でもヘアカラートリートメントは傷んだ髪をケアしながら白髪を徐々に染めて目立たなくすることができ、手軽に使用することができることから、近年急速に普及している(特許文献1)。ヘアカラートリートメントとは、主に髪の表面部分に色をつける染毛料であり、洗髪後のダメージ補修をするだけではなく、毛髪に色をつける目的で使用されている。
【0003】
現在市販されているヘアカラートリートメントとしては塩基性染料やHC(ヘアカラー)染料等が使用されており、毛髪に対して柔軟性や帯電防止性を付与するカチオン性界面活性剤や指通り性や艶を与えるためにシリコーン油等の油性成分が配合されている(特許文献2,3)。しかしながら、これらのヘアカラートリートメントは毛髪への染色性や染色後の色持ちに関して必ずしも満足できるものではなかった。さらには、加齢や化学処理で低下した毛髪の質感を向上させる目的で多くの毛髪化粧料が開発されているが、より優れた毛髪コンディショニング効果を持つ毛髪化粧料が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】N.Fuse et al., The 31st IFSCC Congress 2020 Yokohama
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-234371号公報
【特許文献2】特開2004-107247号公報
【特許文献3】特開2010-528101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の毛髪化粧料において、毛髪に対する十分な染色性を有し、かつ、染色後の色持ちが向上すること、また、優れた毛髪コンディショニング効果を持つことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーを含む毛髪化粧料が毛髪のハリコシ感などの感触改善効果や毛髪コンディショニング効果に優れることを見出した。なかでも、該毛髪化粧料が染毛料として、特にヘアカラートリートメントとして用いられた場合には毛髪の染色性が向上し、染色後の色持ちが向上していることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明は、その第1として、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーを含有することを特徴とする毛髪化粧料である。
【0009】
本発明の第2は、前記本発明の第1の毛髪化粧料であって、水中油乳化型であることを特徴とする毛髪化粧料である。水中油型の毛髪化粧料であることで、すすぎ時の洗い流しやすさや、仕上がりのなめらかさ、しなやかさ等の効果を得られることから、この好ましい様態に該当するものである。
【0010】
本発明の第3は、前記本発明の第2の毛髪化粧料であって、芳香族アルコールを含有することを特徴とする。芳香族アルコールを含有することで、毛髪への染色性が向上することから、この好ましい様態に該当するものである。
【0011】
本発明の第4は、前記本発明の第3の毛髪化粧料であって、芳香族アルコールがベンジルアルコールであることを特徴とする。芳香族アルコールの中でもベンジルアルコールを含有することで配合成分の浸透性を向上させ、毛髪への染色性を向上させるだけではなく、染色後の色持ちが向上する効果があることから、この好ましい様態に該当するものである。
【0012】
本発明の第5は、本発明の第1の毛髪化粧料であって、油中水乳化型であり、オクチルドデシルキシロシド及び/又はジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30を含有し、水相の質量が、該水相と油相の合計質量に対して、72~95%であることを特徴とする。オクチルドデシルキシロシド及び/又はジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30を含有し、水相と油相が前記の比率であることにより、優れた毛髪コンディショニング効果を示すことから、この好ましい様態に該当するものである。
【0013】
本発明の第6は、本発明の第1の毛髪化粧料であって、成分(A)~(E)を含有し、(A)と(B)の含有量が全体の質量に対して50%以上であることを特徴とする水系の毛髪化粧料である。成分(A)~(E)を含むことにより毛髪のパサつきを抑制できることから、この好ましい様態に該当するものである。
(A)ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びグリセリンから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコール
(B)エタノール
(C)加水分解タンパク質及び/又は加水分解タンパク質誘導体から選ばれる1種又は2種以上
(D)高級アルコール及び/又はアルキルグルコシドから選ばれる1種又は2種以上
(E)水
【発明の効果】
【0014】
本発明は、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーを含む毛髪化粧料であり、毛髪に対する十分に優れた染色性を有し、さらには染色後の洗浄に対する色持ちが向上する効果を有し、優れた毛髪コンディショニング効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の毛髪化粧料は乳化型又は水性の毛髪化粧料であり、毛髪に塗布して使用することで優れたコンディショニング効果や毛髪への染色効果を持つ。乳化型毛髪化粧料としては、水中油乳化型、油中水乳化型いずれの剤型でも提供されるが、すすぎ時の洗い流しやすさなどの点から水中油乳化型として提供されることがより好ましい。さらに好ましい形態としては、染毛料やシステムトリートメントと呼ばれる多剤式毛髪化粧料である。
【0016】
染毛料としては、カラートリートメント、カラーリンス、ヘアマニキュア、カラーシャンプーなどが挙げられ、中でも簡便に染毛を行うことができ、1回あたりの施術時間が短時間であるという観点から、ヘアカラートリートメントとして提供されることが好ましい。
【0017】
また、水性の毛髪化粧料として提供される場合は、成分(A)多価アルコールと成分(B)エタノールの含有量が全体の質量に対して50%以上であることが優れた毛髪コンディショニング効果を持つことから好ましい。
【0018】
本発明の毛髪化粧料の形態について、以下具体的に説明する。
【0019】
[(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー]
本発明に使用する(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーとは、日本化粧品工業連合会が定めた化粧品の全成分表示名称であり、アクリル酸、メタクリル酸及びアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリドのアミドから得られる1種以上のモノマーと、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの単純エステル1種以上のモノマーの共重合体であり、ヘアケア向けの乳化増粘剤である。
【0020】
(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーは市販品を用いることができ、SEPPIC社が製造販売しているSIMULQUAT HC 305などが挙げられる。
【0021】
(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーの配合量は、本発明の毛髪化粧料中に2.0質量%以上とするのが好ましく、3.0質量%以上とするのがより好ましい。また上限値は、6.0質量%以下とするのが好ましく、5.0質量%以下とするのがより好ましい。配合量が2.0質量%未満では、毛髪化粧料としての十分な粘度を保持することができず、一方、6.0質量%を超えて配合しても配合量に見合った効果が得られない場合がある。
【0022】
[芳香族アルコール]
本発明の毛髪化粧料には毛髪への染色性を向上させる効果がある点から芳香族アルコールを含有することができる。
【0023】
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、2-フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコール、フェニルプロパノール、α-メチルベンジルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ベンジルオキシエタノール、p-アニシルアルコールなどが挙げられ、1種単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0024】
芳香族アルコールの中でも、染色後の洗浄に対する色持ちが向上する点から、ベンジルアルコールであることがより好ましい。
【0025】
芳香族アルコールとしては市販品を用いることができる。例えば、ベンジルアルコールとしては、Microcare BNA(商品名、ソー・ジャパン株式会社製)、フェノキシエタノールとしては、Seisept P(商品名、株式会社成和化成製)等を用いることができる。
【0026】
芳香族アルコールの配合量は、本発明の毛髪化粧料中に3.0質量%以上とするのが好ましく、4.0質量%以上とするのがより好ましい。また上限値は、8.0質量%以下とするのが好ましく、6.0質量%以下とするのがより好ましい。配合量が3.0質量%未満では、洗浄に対する色持ちの効果を十分に得るのが難しく、一方、8.0質量%を超えて配合しても配合量に見合った効果が得られない場合がある。
【0027】
本発明の毛髪化粧料には染料及び水を含有することができる。染料としては塩基性染料およびHC染料から選ばれ、塩基性染料とは分子内にアミノ基または置換アミノ基を有する直接染料であり、HC染料は分子内にニトロ基を有する直接染料である。塩基性染料およびHC染料は、それぞれ1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
塩基性染料としては、特に限定されないが、例えば、赤色213号、赤色214号、塩基性青7、塩基性青9、塩基性青26、塩基性青75、塩基性青99、塩基性赤2、塩基性赤22、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性黄57、塩基性黄87、塩基性橙31、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性紫3、塩基性紫4、塩基性紫14などが挙げられる。
【0029】
HC染料としては、特に限定されないが、例えば、HC青2、HC青8、HC赤1、HC赤3、HC赤7、HC赤11、HC赤13、HC青2、HC青18、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC黄9、HC黄11、HC黄13、HC橙1、HC橙2、HC紫1、HC紫2、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノールなどが挙げられる。
【0030】
染料としては市販品を用いることができる。例えば、塩基性赤76としてはARIANOR MADDER RED(商品名、センシエントテクノロジーズジャパン株式会社製)、HC青2としてはCOLOREX HCB2(商品名、Teluca株式会社製)、塩基性染料とHC染料の混合物としては、Arianor Jet Black 306090(商品名、Sensient Cosmetic Technologies製)などが挙げられる。
【0031】
本発明の毛髪化粧料中の染料の含有量は、特に限定されないが、0.05~1.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1~0.8質量%である。含有量が0.05質量%未満であると染色性が十分に発揮されず、1.0質量%以上であっても配合量に見合った効果が得られない場合がある。
【0032】
[オクチルドデシルキシロシド及び/又はジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30]
オクチルドデシルキシロシドとは、キシロースとオクチルドデカノールの反応によって得られるエーテルであり、また、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30とは、ポリヒドロキシステアリン酸のポリエチレングリコールジエステルであり、いずれも親油性の非イオン性乳化剤である。本発明の毛髪化粧料では、オクチルドデシルキシロシドやジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30を含有すれば特に限定されることはなく、その他の乳化剤と併用してもよい。
【0033】
オクチルドデシルキシロシドやジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30としては、市販品を用いることができる。例えば、オクチルドデシルキシロシド、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30、オクチルドデカノールの混合物であるEASYNOV(商品名、SEPPIC社製)などを挙げることができる。
【0034】
本発明のオクチルドデシルキシロシド及び/又はジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30の含有量は、特に限定されないが、合計で1.0~5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは2.0~4.0質量%である。含有量が1.0質量%未満であると経時的な安定性を得ることが困難であり、5.0質量%以上であっても配合量に見合った効果が得られない場合がある。
【0035】
本発明の第5では、水相と油相の比率は水相の質量が該水相と油相の合計質量に対して、72~95%であることが好ましい。水相と油相の比率が前記の範囲外であると安定な経時安定性を得ることが困難となる場合がある。
【0036】
本発明の第6では、成分(A)~(E)を含有し、成分(A)と(B)の含有量が全体の質量に対して50質量%以上であることを特徴とする。成分(A)~(E)について以下具体的に説明する。
【0037】
[成分(A):ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンから選ばれる多価アルコール]
本発明の毛髪化粧料に配合される成分(A)は、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンから選ばれることを特徴とし、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0038】
成分(A)の配合量は、特に限定されないが、本発明の毛髪化粧料中に50.0質量%以上とすることが好ましく、55.0質量%以上とすることがより好ましい。また、上限値は、65.0質量%以下とすることが好ましく、60.0質量%以下とすることがより好ましい。配合量が50.0質量%未満では、保存安定性が低下する恐れがあり、一方、65.0質量%を超えてもべたつきの増加等使用感に影響を与える場合がある。
【0039】
[成分(B):エタノール]
本発明の毛髪化粧料に配合される成分(B)はエタノールであり、配合量は特に限定されないが、本発明の毛髪化粧料中に25.0質量%以上とすることが好ましく、30.0質量%以上とすることがより好ましい。また、上限値は、40.0質量%以下とすることが好ましく、35.0質量%以下とすることがより好ましい。配合量が25.0質量%未満では、経時的に析出物が発生する恐れがあり、一方、40.0質量%を超えても毛髪のパサつきの原因となる場合がある。
【0040】
[成分(C):加水分解タンパク質及び/又は加水分解タンパク質誘導体]
本発明の毛髪化粧料に配合される成分(C)は加水分解タンパク質及び/又は加水分解タンパク質誘導体であり、従来から化粧料に用いられるものであれば特に限定はなく、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0041】
加水分解タンパク質及び/又はその誘導体としては、例えば、乳タンパク、カゼインタンパク、絹タンパク、小麦タンパク、米タンパク、エンドウマメタンパク、コラーゲン、ケラチン、大豆タンパク、ゴマタンパク、コンキオリン、海洋コラーゲン等の加水分解タンパク質又はこれらのアシル化、グリセリル化、シリル化、カチオン化、アルキルエステル化誘導体等が挙げられる。
【0042】
成分(C)の配合量は、特に限定されないが、本発明の毛髪化粧料中に0.1質量%以上とすることが好ましく、0.3質量%以上とすることがより好ましい。また、上限値は、5.0質量%以下とすることが好ましく、3.0質量%以下とすることがより好ましい。配合量が0.1質量%未満では、十分な毛髪コンディショニング効果を得られない恐れがあり、一方、5.0質量%を超えても経時的に析出物が発生する恐れがある。
【0043】
[成分(D):高級アルコール及び/又はアルキルグルコシド]
本発明の毛髪化粧料に配合される成分(D)は高級アルコール及び/又はアルキルグルコシドであり、従来から化粧料に用いられるものであれば特に限定はなく、1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0044】
高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、オクタノール、ラウリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、アラキジルアルコール、(C14-22)アルコール、(C20-22)アルコール、ヤシアルコール、バチルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等が挙げられる。
【0045】
アルキルグルコシドとしては、デシルグルコシド、(カプリリル/カプリル)グルコシド、セテアリルグルコシド、アラキジルグルコシド、(C12-20)アルキルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシド、ミリスチルグルコシド、ヘプチルグルコシド、ラウリルグルコシド等が挙げられる。
【0046】
成分(D)の配合量は、特に限定されないが、本発明の毛髪化粧料中に1.0質量%以上とすることが好ましく、2.0質量%以上とすることがより好ましい。また、上限値は、5.0質量%以下とすることが好ましく、4.0質量%以下とすることがより好ましい。配合量が1.0質量%未満では、十分な毛髪コンディショニング効果を得られない恐れがあり、一方、5.0質量%を超えても経時的に析出物が発生する恐れがある。
【0047】
前記の成分(A)~(D)に加えて、成分(E)として水を含むことができる。さらに本発明の毛髪化粧料では、化粧料としての効果や安定性等を損なわない限りにおいて、その用途に応じて、通常化粧料に使用される他の成分を広く配合することができる。
【0048】
前記成分の他に通常化粧料に使用される成分としては、特に限定されないが、例えば、油剤、固形又は半固形油、界面活性剤、高分子化合物、保湿剤、美白剤、感触改良剤、薬剤、紫外線吸収剤、アミノ酸又はその誘導体、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、防腐剤、顔料、着色料、香料等を適宜配合することができる。
【0049】
油剤としては、25℃において液状であり通常化粧料に用いられる油剤であれば特に限定はなく、いずれのものも使用することができる。揮発性、非揮発性や、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、例えば、炭化水素油、油脂、エステル油、トリ脂肪酸グリセリル、アミノ酸系油剤、高級脂肪酸、シリコーン油、フッ素系油、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、例えば、(C13-15)アルカン、(C15-19)アルカン、(C18-21)アルカン、(C21-28)アルカン、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、イソヘキサデカン等の炭化水素油、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、2-エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、トリメリト酸トリトリデシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のトリ脂肪酸グリセリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2-オクチルドデシル)等のアミノ酸系油剤、イソステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等の鎖状シリコーン油、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体が挙げられる。
【0050】
固形又は半固形油としては油脂等が挙げられ、例えば、テオブロマグランジフロルム種子脂、マンゴー種子脂、カカオ脂、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、ショレアステノプテラ脂、アフリカマンゴノキ核脂、アボカド脂、サラソウジュ種子脂、アストロカリウムムルムル脂、アストロカリウムムルムル種子脂、アストロカリウムツクマ種子脂、ガルシニアインディカ種子脂、トリチリアエメチカ種子脂、バシアラチホリア種子脂、ガルシニアインディカ種子脂、水素添加カカオ脂、(マカデミア種子油/水添マカデミア種子油)エステルズ、乳脂等が挙げられる。
【0051】
界面活性剤としては、例えば、ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-2等のポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート等のソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油等のノニオン性界面活性剤、
高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-アシル-N-メチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸及びその塩、N-アシルサルコシン及びその塩、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩、ラウロイルカラスムギアミノ酸及びその塩、ココイルリンゴアミノ酸及びその塩等のアニオン性界面活性剤、
モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩等のアルキルアミン塩、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン等の脂肪酸アミドアルキルアミン、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等の環式4級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム等のカチオン性界面活性剤、
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシ-N-ヒドロキシイミダゾリニウムベタイン、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩、アルキルヒドロキシスルホベタイン等の両性界面活性剤、
PEG-11メチルエーテルジメチコン、PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン、PEG-9ジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-9メチルエーテルジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-32メチルエーテルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、メチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー等のポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のポリグリセリン変性シリコーン、ジメチルシロキサン・メチルセチルシロキサン共重合体等のシリコーン界面活性剤などが挙げられる。
【0052】
高分子化合物としては、例えば、アクリル酸系増粘剤、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム等のセルロース系増粘剤、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、アラビアガム、トラガカントガム、キャブロガム、グアーガム、デキストラン等の天然由来の増粘剤、ポリビニルアルコール、高分子のジメチルポリシロキサン、ペクチン、寒天、クインスシード、デンプン、アルゲコロイド、サクシノグルカン、コラーゲン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、カルボキシメチルデンプン、アルギニン酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンアクリレート、カチオンポリマー等の増粘剤やその他の高分子化合物が挙げられる。
【0053】
前記アクリル酸系増粘剤としては、例えば、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ポリアクリレート-13、ポリアクリレートクロスポリマー-6、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸べへネス-25)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25)クロスポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25)コポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー、ステアレス-10アリルエーテル/アクリレーツコポリマー、カルボキシビニルポリマー等を挙げることができる。
【0054】
保湿剤としては、例えば、ジグリセリン、エトキシジグリコール、マルチトール、ソルビトール、乳酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0055】
美白剤としては、例えば、ハイドロキノン、α―アルブチン、β―アルブチン、コウジ酸、コウジ酸ジパルミテート、ニコチン酸アミド、アスタキサンチン、ヒスチジンジチオオクタナミド(Na/亜鉛)、プラセンタエキス、ローズマリーエキス、ルシノール、マグノリグナン、エラグ酸、カミツレエキス、甘草エキス、ルシノール、ローズマリーエキス、アルブチン、トラネキサム酸、トラネキサム酸セチル塩酸塩、リノール酸、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、グリセリルアスコルビン酸などのアスコルビン酸誘導体等を挙げることができる。
【0056】
感触改良剤としては、PPG-9ジグリセリル、PEG-11メチルエーテルジメチコン、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、アミロペクチン(アミロース)、アシル化アミノ酸、ポリメタクリル酸メチル、窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、金属石鹸、シリコーン粉体、ポリメチルメタクリル酸メチル、ジメチルシリル化シリカなどが挙げられる。
【0057】
薬剤としては、肌荒れ防止剤又は抗炎症剤を挙げることができる。肌荒れ防止剤又は抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、サリチル酸メチル、ピリドキシン塩酸塩、アラントイン、海塩、ソウハクヒエキス、アロエエキス、クチナシエキス、カミツレエキス、カンゾウエキス、ムクロジエキス、キョウニンエキス、オウゴンエキス、甜茶エキス、ビワエキス、イチョウエキス、オトギリソウエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ベニバナエキス、トウヒエキス、サルビアエキス、シラカバエキス、チンピエキス、トウニンエキス、ガイヨウエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、ニンジンエキス、シャクヤクエキス、センキュウエキス、ゲンチアナエキス、冬虫夏草エキス、オウバクエキス、インチンコウエキス、ゲンノショウコエキス、モモ葉エキス、クマザサエキス、ヨクイニンエキス、マロニエエキス、サンザシエキス、オウレンエキス、レイシエキス、トウキンセンカエキス、ペパーミントエキス、コンフリーエキス、ブッチャーブルームエキス、ウスベニアオイエキス、ヤグルマルソウエキス、トゲナシエキス等が挙げられる。その他、育毛用薬剤、ニキビ用薬剤、ふけ・かゆみ用薬剤、腋臭防止用薬剤等も薬剤として挙げることができる。
【0058】
紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン-スルホン酸ナトリウム、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシケイヒ酸エチル、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル、パラメトキシケイヒ酸-2-エチルヘキシル(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、パラメトキシケイヒ酸ナトリウム、パラメトキシケイヒ酸カリウム、ジパラメトキシケイヒ酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル等のメトキシケイヒ酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ミリスチル、サリチル酸メチル等のサリチル酸誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル、オクトクリレン(2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸-2-エチルヘキシル)、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)、エチルヘキシルトリアゾン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等が挙げられ、また、上記紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルも挙げることができる。
【0059】
アミノ酸又はそれらの誘導体としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン、プロリン、ヒスチジン等のアミノ酸又はその塩、及びこれらのアシル化、アルキル化、グリセリル化、エステル化誘導体等が挙げられる。
【0060】
酸化防止剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、ビタミンE又はその誘導体、タンニン、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)等を挙げることができる。
【0061】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム塩、リン酸、クエン酸、フィチン酸、エチドロン酸、グルタミン酸ジ酢酸ナトリウム塩、ペンテト酸ナトリウム塩等を挙げることができる。
【0062】
pH調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0063】
防腐剤としては、例えば、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール等の1,2-アルカンジオール、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、レブリン酸等が挙げられる。
【0064】
上記通常化粧料に使用される成分は、1種単独で又は2種以上併用して用いることができる。
【0065】
本発明の毛髪化粧料の剤型は、水中油乳化型、油中水乳化型、水系など特に限定されないが、水中油型の乳化型であることが好ましく、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にすることができる。中でも染色性や風合いなどの観点からクリーム状であることが好ましい。
【0066】
本発明の毛髪化粧料は、水中油乳化型の場合、カラートリートメント、システムトリートメント、カラーリンス、ヘアマニキュア、カラーシャンプーであることが好ましい。
【0067】
以下に本発明の水中油乳化型毛髪化粧料の特徴や製造方法について説明する。
【0068】
本発明の水中油乳化型毛髪化粧料の製造方法は、特に限定されず、常法に従って製造することができる。具体的には以下の方法が挙げられ、例えば、カラーリンスやカラートリートメントの場合には、70~90℃に加熱して十分溶解させた水相に、70~90℃に加熱した油相を徐々に入れ、5分間攪拌を行い、乳化を行う。乳化後、20~40℃まで冷却し、精製水に溶解させた染料を入れ、十分に均一攪拌することで本発明の毛髪化粧料を得ることができる。
【0069】
カラーシャンプーの場合には、常温において十分溶解させた水相に、各種界面活性剤を徐々に入れて攪拌し、安定剤、pH調整剤を入れて十分に攪拌することで本発明の毛髪化粧料を得ることができる。
【0070】
本発明の水中油乳化型毛髪化粧料のpHは、特に限定されないが、染色性の観点から、3.0~7.0が好ましく、より好ましくは4.0~6.0である。さらに、水中油乳化型毛髪化粧料の安定性の観点から、上記pHは5.5以下であることが好ましい。特に本発明の水中油乳化型毛髪化粧料がカラーリンス、カラートリートメントやヘアマニキュアの場合、pHは4.0~6.5が好ましく、カラーシャンプーの場合、pHは5.0~6.5であることが好ましい。
【0071】
本発明の水中油乳化型毛髪化粧料は、特に限定されないが、例えば、毛髪を灰色、黒色、茶色、緑色、青紫色等に染色することができる。より好ましくは、灰色、黒色、茶色である。このため、白髪染め、おしゃれ染め等の染毛料として用いることができ、色調の観点から、好ましくは白髪染め用の染毛料である。
【0072】
上記カラートリートメント及びカラーリンスは、一般的に洗髪時に使用し、洗髪後に毛髪に塗布した後に洗い流して使用される毛髪処理剤である。上記カラートリートメント及びカラーリンスは、シャンプーにより毛髪を洗浄した後、カラートリートメント又はカラーリンスを毛髪に塗布し、塗布後直ぐに又は3~10分間程度毛髪に馴染ませた後、洗い流す使用方法で用いられる。なお、上記カラートリートメント及びカラーリンスは洗髪前に用いてもよい。その場合には、乾いた毛髪にカラートリートメント又はカラーリンスを塗布し、塗布後直ぐに又は3~10分間程度毛髪に馴染ませた後洗い流し、さらにシャンプーにより洗髪する使用方法で用いられる。
【0073】
上記ヘアマニキュアは、一般的に乾いた毛髪に塗布して使用される毛髪処理剤である。上記ヘアマニキュアは、例えば、乾いた毛髪にヘアマニキュアを塗布し、塗布後5~30分間程度放置した後洗い流し、さらにシャンプーにより洗髪する使用方法で用いられる。
【0074】
上記カラーシャンプーは、洗髪に用いられる毛髪の洗浄剤であり、洗髪と同時に染色を行うことができる。上記カラーシャンプーは、毛髪に塗布し泡立てて毛髪を洗浄し、洗浄後には洗い流す使用方法で用いられる。
【実施例0075】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。なお、実施例の表中に記載されている数値は、いずれも化粧料全質量に対する質量%である。
【0076】
実施例1~4及び比較例1:カラートリートメント
表1に記載の成分(a)及び(b)をそれぞれ加温し、混合した。冷却後、成分(c)を混合することでカラートリートメントを調製した。カラートリートメント調製後、以下の評価方法、評価基準により、毛髪のハリコシ、毛髪への染色性、染色された毛髪の色持ちを評価した結果を表2に示す。
【0077】
[毛髪のハリコシの評価]
市販のヤギ毛の毛束(ビューラックス社製)2gに上記で調製したカラートリートメント2gを塗布し、10分間放置した。その後、流水ですすぎ、ドライヤーで乾かした毛髪のハリコシについてパネラー10名に下記の評価基準で判定してもらい、合計点を求めた。
2点:毛髪にハリコシがとてもあると感じた場合
1点:毛髪にハリコシがあると感じた場合
0点:毛髪にハリコシがないと感じた場合
【0078】
パネラー10名の合計点を求め、以下のように判定した。
毛髪のハリコシ:
◎:合計点が15点以上。毛髪に非常にハリコシ感があるカラートリートメントである。
〇:合計点が15点未満、5点以上。毛髪にハリコシ感があるカラートリートメントである。
×:合計点が5点未満。毛髪にハリコシ感のないカラートリートメントである。
【0079】
[毛髪への染色性]
市販のヤギ毛の毛束(ビューラックス社製)2gに上記で調製したカラートリートメント2gを塗布し、10分間放置した。その後、流水ですすぎ、ドライヤーで乾かした。
染色前の毛髪及び上記工程を1~3回行った毛髪について、それぞれ分光測色計(CM-2600d、コニカミノルタ社製)を用いて、染色前の毛束に対する1~3回それぞれの染色後の毛束との色差(ΔE)を測定した。
【0080】
染色性の評価結果を以下のように定め、判定した。
◎:比較例1と比べ、ΔEの差が5.0以上であり、染色性が非常に向上したカラートリートメントである。
〇:比較例1と比べ、ΔEの差が5.0未満、2.5以上であり、染色性が向上したカラートリートメントである。
△:比較例1と比べ、ΔEの差が2.5未満、0以上であり、染色性がわずかに向上したカラートリートメントである。
×:比較例1と比べ、ΔEの差が0未満であり、染色性が向上していないカラートリートメントである。
【0081】
[染色された毛髪の色持ち]
上記染色性試験を3回行った毛髪について、2質量%ラウレス硫酸ナトリウム水溶液に浸漬した。その後、流水ですすぎ、ドライヤーで乾かした。
上記工程を1~3回行った毛髪について、それぞれ分光測色計を用いて染色前の毛髪に対する色差(ΔE)を測定した。
【0082】
色持ちの評価結果を以下のように定め、判定した。
◎:比較例1と比べ、ΔEの差が10.0以上であり、染色後の色持ちが非常に向上したカラートリートメントである。
〇:比較例1と比べ、ΔEの差が10.0未満、5.0以上であり、染色後の色持ちが向上したカラートリートメントである。
△:比較例1と比べ、ΔEの差が5.0未満、0以上であり、染色後の色持ちがわずかに向上したカラートリートメントである。
×:比較例1と比べ、ΔEの差が0未満であり、染色後の色持ちが向上していないカラートリートメントである。
【0083】
【表1】
表1中、*1はSIMULQUAT HC 305(商品名、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーを35~45質量%、イソヘキサデカンを24~28質量%、コセス-7を2~6質量%、計100質量%となる水を含有、SEPPIC社製)、*2はeuxyl PE 9010(商品名、Ashland社製)、*3はArianor Jet Black 306090(商品名、Sensient Cosmetic Technologies社製)として配合した。
【0084】
【0085】
表2の結果から、本発明の水中油乳化型毛髪化粧料をカラートリートメントとして供した場合には、本発明の特定の成分を含有していない比較例1と比べ、毛髪にハリコシを付与し、さらには毛髪への染色性に優れ、染色後の毛髪の色持ちも優れていることが明らかであった。
【0086】
また、芳香族アルコールとしてベンジルアルコールを含有している実施例2、4では、ベンジルアルコールを含有していない実施例1,3と比較すると、染色性及び染色後の色持ちの効果がさらに優れていることが明らかであった。
【0087】
実施例5:ヘアトリートメント
表3に記載の水相の成分を混合し、pHを5に調整したゲル相を調製した。その後、均一に混合した油相を前記ゲル相に添加して、油中水乳化型のヘアトリートメントを調製した。なお調製は全て非加熱下のコールドプロセスで行った。ヘアトリートメント調製後、以下の評価方法、評価基準にて性能評価を行った。
【0088】
【表3】
表3中、*1は表1と同様、*4はEASYNOV(商品名、オクチルドデシルキシロシドを15~25質量%含有、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG-30を15~25質量%含有、オクチルドデカノールを55~65質量%含有、SEPPIC社製)として配合した。
【0089】
[性能評価]
10名のパネリストに対してシャンプー後に実施例5のヘアトリートメントを使用させた。パネリストが日常使用している既存のヘアトリートメントと比べて、下記の評価基準で実施例5のヘアトリートメントの性能を判定した。
1点:日常使用しているヘアトリートメントよりも毛髪の滑らかさが良くなった
0点:日常使用しているヘアトリートメントと同等の毛髪の滑らかさだった
-1点:日常使用しているヘアトリートメントよりも毛髪の滑らかさが悪くなった
【0090】
性能評価の結果、実施例5のヘアトリートメントの合計得点は10点であり、いずれのパネリストも日常使用しているヘアトリートメントより毛髪の滑らかさが良くなったと回答した。この結果から本発明の油中水乳化型の毛髪化粧料が優れた毛髪コンディショニング効果を有することが明らかとなった。
【0091】
実施例6:水性ヘアトリートメント
表4に記載の成分を均一に混合して、水性ヘアトリートメントを調製した。水性ヘアトリートメント調製後、以下の評価方法、評価基準にて性能評価を行った結果を表5に示す。ここで、水性ヘアトリートメントとは、水トリートメントやウォータートリートメントとも呼ばれているヘアトリートメントの一種である。
【0092】
【0093】
[性能評価]
10名のパネリストに対して、シャンプー後に実施例6及び比較例2の水性ヘアトリートメントを使用させた。そして、「すすぎ時の指通りの良さ」、「乾燥後の毛髪の滑らかさ」、「乾燥後の毛髪のまとまりの良さ」の各評価項目について、優れた方に1点を付けて合計点を求めて評価した。
【0094】
【0095】
表5の結果から、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーを配合した実施例6の水性ヘアトリートメントでは、優れた毛髪コンディショニング効果を示すことが明らかとなった。
【0096】
実施例7:多剤式ヘアトリートメント
表6に記載の成分(d)を混合して水性ゲルを調製した。そこに(e)、(f)の順で各成分を添加し、多剤式ヘアトリートメントの1剤(水中油乳化型)を調製した。また、表7、8に示す参考例1~3の3種類の多剤式ヘアトリートメントの2剤を調製した。多剤式ヘアトリートメント調製後、以下の評価方法、評価基準にて性能評価を行った結果を表9に示す。
ここで言う多剤式ヘアトリートメントとは、システムトリートメントとも呼ばれているヘアトリートメントの一種である。
【0097】
【表6】
表6中、*1は表1、2、3と同様、*5はSIMULGEL EG QD(商品名、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを35~40質量%含有、SEPPIC社製)、*6はAmitose R(商品名、ジヒドロキシプロピルアルギニンHClを30質量%含有、株式会社成和化成製)である。
【0098】
【0099】
【表8】
表8中、*7はKF-96A-200cs(商品名、信越化学工業株式会社製)、*8はXIAMETER PMX-1501 FLUID(商品名、東レ・ダウコーニング株式会社製)、*9はXF49-601(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)を使用した。
【0100】
〔多剤式ヘアトリートメント処理〕
ブリーチ処理を行った長さ13cmで重さ2gの毛束6本を用意し、その内の3本対して実施例7の多剤式トリートメント1剤を、残りの3本に比較例3の多剤式トリートメント1剤をそれぞれ0.3gずつ均一に塗布して毛束に馴染ませた。続いて、各毛束に対して、表7、8の3種類の多剤式トリートメントの2剤をそれぞれ0.3gずつ毛束に塗布して毛髪に馴染ませた後、ラップフィルムで包んで40℃の恒温槽に10分間放置した。その後、水道水流水中で軽くすすぎ、室温で風乾した。
【0101】
〔官能評価〕
前記多剤式ヘアトリートメント処理を行った6本の毛束について、しっとり感、ハリコシ感、滑らかさの3項目について10人のパネリストにブラインド評価(盲検)させ、好ましい毛束から順に1点から6点の評点を付け、評価項目ごとの合計点を表9に記載した。
【0102】
【0103】
表9の結果より、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマーを配合した実施例7の多剤式ヘアトリートメントの1剤を用いた場合には、毛髪コンディショニング効果として、しっとり感やハリコシ感、滑らかさを感じられやすくなることが明らかとなった。