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特開2023-106574レンズユニットおよびカメラモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023106574
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】レンズユニットおよびカメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230725BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G02B7/02 B
G02B7/02 F
G02B7/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087887
(22)【出願日】2023-05-29
(62)【分割の表示】P 2019089913の分割
【原出願日】2019-05-10
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆
(72)【発明者】
【氏名】平間 浩之
(57)【要約】
【課題】レンズと鏡筒とを直接に接触させずに、鏡筒内でレンズを正確に芯出しして位置決めし、光軸に対するレンズの偏心を規制できるレンズユニットおよびカメラモジュールを提供する。
【解決手段】本発明のレンズユニット11は、レンズ14を嵌合状態で支持するレンズ支持部80を有する。レンズ支持部80は、少なくとも鏡筒12により形成されるとともに、鏡筒12とレンズ14とが接触しない非接触領域70と、レンズ14を鏡筒12に対して支持して光軸Oと同心的に位置決めする位置決め支持領域72とを有する。位置決め支持領域72は、非接触領域70よりも径方向に沿う肉厚が薄く設定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを収容保持するための内側収容空間を形成する筒状の鏡筒と、前記鏡筒の前記内側収容空間内に組み込まれ、複数のレンズが光軸に沿って並べられて成るレンズ群とを備えるレンズユニットであって、
前記レンズを嵌合状態で支持するレンズ支持部を有し、
前記レンズ支持部は、少なくとも前記鏡筒により形成されるとともに、前記鏡筒と前記レンズとが接触しない非接触領域と、前記レンズを前記鏡筒に対して支持して前記光軸と同心的に位置決めする位置決め支持領域とを有し、
前記位置決め支持領域は、前記非接触領域よりも径方向に沿う肉厚が薄く設定されることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記レンズ支持部は、前記鏡筒と、前記レンズの外周側面と前記鏡筒の内面との間に介挿されて前記レンズを前記鏡筒と接触させることなく前記光軸と同心的に位置決めするための環状の介挿部材とによって形成され、
前記介挿部材は、前記鏡筒と接触することなく前記レンズと嵌合して前記位置決め支持領域を形成するレンズ嵌合部と、前記レンズと接触することなく前記鏡筒と嵌合して前記鏡筒と共に前記非接触領域を形成する鏡筒嵌合部とを有することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記光軸と直交する断面において、前記介挿部材の前記レンズ嵌合部が前記レンズと点接触するとともに、前記介挿部材の前記鏡筒嵌合部が前記鏡筒と線接触することを特徴とする請求項2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記介挿部材は、その周方向に沿って前記レンズ嵌合部と前記鏡筒嵌合部とを交互に有することを特徴とする請求項2または3に記載のレンズユニット。
【請求項5】
光軸方向で互いに隣り合うレンズ同士は、前記介挿部材の前記レンズ嵌合部および前記鏡筒嵌合部の周方向位置が互いに同じであることを特徴とする請求項4に記載のレンズユニット。
【請求項6】
光軸方向で互いに隣り合うレンズ同士は、前記介挿部材の前記レンズ嵌合部および前記鏡筒嵌合部の周方向位置が互いに異なることを特徴とする請求項4に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記鏡筒は、断面が円形の内面を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記鏡筒は、断面が多角形の内面を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のレンズユニットを備えていることを特徴とするカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車等の車両に搭載される車載カメラを構成するレンズユニットおよびカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に車載カメラを搭載し、駐車をサポートしたり、画像認識により衝突防止を図ったりすることが行なわれており、さらにそれを自動運転に応用する試みもなされている。また、このような車載カメラ等のカメラモジュールは、一般に、複数のレンズが光軸に沿って並べられて成るレンズ群と、このレンズ群を収容保持する鏡筒(バレル)と、レンズ群の少なくとも一個所のレンズ間に配置される絞り部材とを有するレンズユニットを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
レンズユニットにおいては、一般に、図9に示されるように、レンズ群Lを構成する複数のレンズ101,102,103,104,105が、像側(図9中の下側)から物体側(図9中の上側)へ向けて順に積み上げられるように鏡筒123の内側収容空間S内に組み込まれる。この場合、振動や衝撃等によってレンズがずれて解像性能劣化や光軸ずれが生じないように、一般に、これらのレンズ101,102,103,104,105は、鏡筒123の内面形状を利用して直接に鏡筒123の内面に嵌合(または軽圧入)されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-231993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このように鏡筒内でレンズを鏡筒と直接に接触させて嵌合させた状態では、鏡筒とレンズとでその線膨張係数(熱膨張率)に差異があると、特に高温環境下において、鏡筒内側のレンズの熱膨張によってレンズが鏡筒から圧縮応力を受け、レンズの面形状が変形する場合がある。
【0006】
そのため、このようなレンズの変形を抑えるべく、レンズと鏡筒との間に隙間を設けることも考えられるが、その場合には、レンズがガタついて、解像性能劣化や光軸ずれが生じ、光学性能の劣化につながる虞がある。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、レンズがその熱膨張によって鏡筒から受ける圧縮応力を抑制しつつ、鏡筒内でレンズを正確に芯出しして位置決めし、光軸に対するレンズの偏心を規制できるレンズユニットおよびカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、レンズを収容保持するための内側収容空間を形成する筒状の鏡筒と、前記鏡筒の前記内側収容空間内に組み込まれ、複数のレンズが光軸に沿って並べられて成るレンズ群とを備えるレンズユニットであって、
前記レンズを嵌合状態で支持するレンズ支持部を有し、
前記レンズ支持部は、少なくとも前記鏡筒により形成されるとともに、前記鏡筒と前記レンズとが接触しない非接触領域と、前記レンズを前記鏡筒に対して支持して前記光軸と同心的に位置決めする位置決め支持領域とを有し、
前記位置決め支持領域は、前記非接触領域よりも径方向に沿う肉厚が薄く設定されることを特徴とする。
【0009】
本発明の上記構成によれば、レンズを嵌合状態で支持するレンズ支持部が、鏡筒とレンズとが接触しない非接触領域と、レンズを鏡筒に対して支持して光軸と同心的に位置決めする位置決め支持領域とを有するとともに、位置決め支持領域の径方向に沿う肉厚が非接触領域のそれよりも薄く設定されているため、言い換えると、レンズを鏡筒に接触させない非接触領域を確保しつつ、レンズの熱膨張時にレンズが鏡筒から圧縮応力を直接的または間接的に受け得る位置決め支持領域ではレンズ支持部の肉厚を薄く設定しているため、レンズの熱膨張を非接触領域のみならず位置決め支持領域でも効果的に逃がしてレンズに作用する圧縮応力を緩和させ、圧縮応力に伴うレンズの面形状の変形を抑制することができる。また、レンズ支持部は、鏡筒とレンズとが接触しない非接触領域を伴いつつも、位置決め支持領域によってレンズを鏡筒に対して確実に支持して光軸と同心的に位置決めできるため、レンズがガタついて、解像性能劣化や光軸ずれが生じ、光学性能の劣化につながる虞もない。
【0010】
また、本発明の上記構成において、レンズ支持部は、鏡筒と、レンズの外周側面と鏡筒の内面との間に介挿されてレンズを鏡筒と接触させることなく光軸と同心的に位置決めするための環状の介挿部材とによって形成されてもよく、その場合、介挿部材は、鏡筒と接触することなくレンズと嵌合して位置決め支持領域を形成するレンズ嵌合部と、レンズと接触することなく鏡筒と嵌合して鏡筒と共に非接触領域を形成する鏡筒嵌合部とを有してもよい。
【0011】
このように、鏡筒と接触することなくレンズと嵌合するレンズ嵌合部と、レンズと接触することなく鏡筒と嵌合する鏡筒嵌合部とを有する環状の介挿部材を、レンズの外周側面と鏡筒の内面との間に介挿し、この介挿部材によってレンズを鏡筒と接触させることなく光軸と同心的に位置決めすれば、すなわち、鏡筒内でレンズを全周にわたって鏡筒と直接に接触嵌合させないようにすれば、鏡筒とレンズとでその線膨張係数(熱膨張率)に差異があっても、それに伴う鏡筒からの影響をレンズが受けることがなくなる。つまり、例えば高温環境下において、鏡筒内側のレンズが熱膨張しても、レンズが鏡筒から圧縮応力を受けることがなくなり、したがって、レンズの偏心を規制できるとともに、レンズの変形を抑えることもできる。また、介挿部材がレンズと鏡筒の両方に嵌合するようになっているため、レンズの遊動を可能にする隙間が鏡筒とレンズとの間に形成されず、そのため、レンズがガタついて、解像性能劣化や光軸ずれが生じ、光学性能が劣化してしまうといった事態を回避できる。
【0012】
なお、上記構成において、介挿部材は、それが支持するレンズと同等の線膨張係数(熱膨張率)を有することが好ましい。これによれば、レンズが介挿部材との嵌合に伴ってその膨張時に介挿部材から圧縮応力を受けることを防止できる。また、介挿部材は、レンズの膨張を吸収できる素材、例えばレンズ材料よりも常温で曲げ弾性率の低い材料によって形成されることが好ましい。更に、介挿部材は、例えば、レンズの外周に嵌め付けられた状態で鏡筒内に組み込まれてもよい。これは、特に、レンズ間に絞りが介挿される組み込み形態において、鏡筒に対する介挿部材を介したレンズの円滑な組み込みを可能にする。
【0013】
また、本発明の上記構成では、光軸と直交する断面において、介挿部材のレンズ嵌合部がレンズと点接触するとともに、介挿部材の鏡筒嵌合部が鏡筒と線接触してもよい。これによれば、レンズが介挿部材から受ける応力を最小限に抑えつつ、介挿部材を介した鏡筒によるレンズの支持を確実かつ安定的に行なうことができる。しかしながら、レンズ嵌合部および鏡筒嵌合部はいずれも、線接触してもよく、あるいは、点接触しても構わない。
【0014】
また、本発明の上記構成において、介挿部材は、その周方向に沿ってレンズ嵌合部と鏡筒嵌合部とを交互に有してもよい。これによれば、介挿部材によるレンズの支持力(レンズの支持安定性)、並びに、鏡筒およびレンズが介挿部材から受ける嵌合力(応力)を周方向で均等に分散することができ、力学的に好ましいレンズユニットの構造形態を実現できる。無論、必ずしもレンズ嵌合部と鏡筒嵌合部とが交互に配置されている必要はない。
【0015】
また、本発明の上記構成において、光軸方向で互いに隣り合うレンズ同士は、介挿部材のレンズ嵌合部および鏡筒嵌合部の周方向位置が互いに同じであってもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。光軸方向において互いに隣り合うレンズ同士で、その介挿部材のレンズ嵌合部および鏡筒嵌合部の周方向位置が互いに異なっていれば、光軸方向に沿う応力の分散を図ることができ、力学的に好ましいレンズユニットの構造形態を実現できる。
【0016】
なお、上記構成において、鏡筒およびレンズの材質、レンズの組み込み形態、鏡筒の内面形状などは任意に設定できる。例えば、レンズを組み込んで支持する鏡筒の内面は、断面が円形であってもよく、あるいは、断面が多角形であってもよい。断面の形状にかかわらず、上記構成の介挿部材をレンズと鏡筒との間に効果的に介挿できる。
【0017】
また、本発明に係るカメラモジュールは、前記レンズユニットを備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、前述のレンズユニットの作用効果をカメラモジュールで得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、レンズがその熱膨張によって鏡筒から受ける圧縮応力を抑制しつつ、鏡筒内でレンズを正確に芯出しして位置決めし、光軸に対するレンズの偏心を規制できるレンズユニット及びカメラモジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るレンズユニットの概略断面図であり、図2のB-B線に沿う縦断面図(光軸と平行な断面図)である。
図2図1のA-A線に沿うレンズユニットの横断面図(光軸と直交する断面)である。
図3図2の円形の枠で囲まれたX部分の拡大図である。
図4図1のレンズユニットを有するカメラモジュールの概略断面図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係るレンズユニットの縦断面図(光軸と平行な断面図)である。
図6】本発明の第3の実施の形態に係るレンズユニットの横断面図(光軸と直交する断面)である。
図7】本発明の第4の実施の形態に係るレンズユニットの概略断面図であり、図8のD-D線に沿う縦断面図(光軸と平行な断面図)である。
図8図7のC-C線に沿うレンズユニットの横断面図(光軸と直交する断面)である。
図9】従来のレンズユニットの概略断面図(光軸と平行な縦断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下で説明される本実施の形態のレンズユニットは、特に車載カメラ等のカメラモジュール用のものであり、例えば、自動車の外表面側に固定して設置され、配線は自動車内に引き込まれてディスプレイやその他の装置に接続される。また、図1図9においてレンズについてはハッチングを省略している。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレンズユニット11を示している。図示のように、本実施の形態のレンズユニット11は、例えば樹脂製(金属製であっても構わない)の円筒状の鏡筒(バレル)12と、鏡筒12の段付きの内側収容空間S内に配置される複数のレンズ、例えば、物体側から、第1のレンズ13、第2のレンズ14、第3のレンズ15、第4のレンズ16および第5のレンズ17から成る5つのレンズと、2つの絞り部材22a,22bとを備えている。絞り部材22a,22bは、本実施の形態では、第2のレンズ14と第3のレンズ15との間、および、第3のレンズ15と第4のレンズ16との間に介挿されており、透過光量を制限し、明るさの指標となるF値を決定する「開口絞り」またはゴーストの原因となる光線や収差の原因となる光線を遮光する「遮光絞り」である。このようなレンズユニット11を備える車載カメラは、レンズユニット11と、図示しないイメージセンサを有する基板と、当該基板を自動車等の車両に設置する図示しない設置部材とを備えるものである。
【0022】
鏡筒12の内側収容空間S内に組み込まれて収容保持される複数のレンズ13,14,15,16,17は、それぞれの光軸を一致させた状態で積み重ねられて配置されており、1つの光軸Oに沿って各レンズ13,14,15,16,17が並べられた状態となって、撮像に用いられる一群のレンズ群Lを構成している。この場合、レンズ群Lを構成する最も物体側に位置される第1のレンズ13は、物体側に凸面を有するとともに像側に凹面を有する球面ガラスレンズであり、その他のレンズ14,15,16,17は樹脂レンズであるが、これに限定されない(例えば、第1のレンズ13が樹脂レンズであってもよい)。また、これらのレンズ13,14,15,16,17の表面には、必要に応じて、反射防止膜、親水膜、撥水膜等が設けられる。
【0023】
また、本実施の形態において、像側に位置される2つの第4および第5のレンズ16,17は接合レンズ(貼り合わせレンズ)40を構成している。このような接合レンズ40を構成する第4および第5のレンズ16,17は、図示のように、物体側に位置される第4のレンズ16の像側に面する表面の環状凸部16aが像側に位置される第5のレンズ17の物体側に面する表面の対応する環状凹部17bと嵌合されることにより組み付けられて、接着剤等によって一体的に固定される。
【0024】
また、本実施の形態において、最も物体側に位置される第1のレンズ13と鏡筒12との間にはシール部材としてのOリング26が介挿され、鏡筒12の内側のレンズ群L内に水や塵埃が侵入しないようにしている。この場合、第1のレンズ13の外周側面13cに、該レンズ13の像側部分で径が小さくなった段差状の縮径部13dが設けられ、この縮径部13dにOリング26が装着されて、第1のレンズ13の外周側面13cと鏡筒12の内周面との間でOリング26が径方向で圧縮されることにより、鏡筒12の物体側端部が封止された状態となっている。
【0025】
鏡筒12の内部には物体側において円筒状の内壁12bが設けられ、この内壁12bと外壁12aとの間には溝が形成されており、溝の中には環状体27が設けられ、この環状体27にOリング26が密接している。内壁12bと外壁12aの間に溝を形成している理由は、溝がなく内壁12bと外壁12aとが一体化している場合には壁厚が厚くなるため、樹脂の鏡筒12を成形・冷却する際に大きくヒケが発生し寸法精度が狂うことを抑制するためである。環状体27は比較的柔らかい弾性を有する物質から構成され、例えばテフロンが用いられる。環状体27はOリング26を光軸方向に支持する機能を有している。環状体27は鏡筒12とは別部材になっているため、Oリング26の大きさに応じて高さの異なる環状体27に変更が可能であり、Oリング26が適切な弾性力でシールすることを担保している。
【0026】
また、鏡筒12は、その内側収容空間S内にレンズ群Lが組み込まれて収容保持された状態で、その物体側の端部(図1において上端部)のカシメ部23が径方向内側にカシメられることにより、レンズ群Lの最も物体側に位置される第1のレンズ13をこのカシメ部23で鏡筒12の物体側端部に固定する。なお、第1のレンズ13の固定は、カシメ部23に限ることなく、鏡筒12にレンズ13,14,15,16,17を収容した後に鏡筒12の物体側の端部に取り付けられる固定部によって行なわれてもよい。
【0027】
また、鏡筒12の像側の端部(図1において下端部)には、第5のレンズ17よりも径の小さい開口部を有する内側フランジ部24が設けられている。この内側フランジ部24とカシメ部23とにより、鏡筒12内にレンズ群Lを構成する複数のレンズ13,14,15,16,17と絞り部材22a,22bとが光軸方向で保持固定されている。
【0028】
また、本実施の形態のレンズユニット11は、レンズ群Lを構成する少なくとも1つのレンズ、特に本実施の形態では、第1のレンズ13と接合レンズのうちの一方、ここでは第4のレンズ16とを除く全てのレンズ14,15,17を嵌合状態で支持するレンズ支持部80を有する。具体的に、本実施の形態において、レンズ支持部80は、図1および図2に示されるように、断面が円形の鏡筒12と、レンズ14,15,17の外周側面14a(15a,17a)と鏡筒12の内面12cとの間に介挿される環状の介挿部材30とによって形成される。
【0029】
また、鏡筒12と介挿部材30とにより形成される本実施の形態のレンズ支持部80は、鏡筒12とレンズ14,15,17とが接触しない、特に本実施の形態では鏡筒12および介挿部材30とレンズ14,15,17とが接触しない非接触領域70と、レンズ14,15,17を(本実施の形態では介挿部材30により)鏡筒12に対して支持して光軸Oと同心的に位置決めする位置決め支持領域72とを有する。
【0030】
レンズ支持部80を鏡筒12と共に形成する介挿部材30は、図2に明確に示されるように、対応するレンズ14(15,17)を鏡筒12と接触させることなく光軸Oと同心的に位置決めするべく、鏡筒12と接触することなくレンズ14(15,17)と嵌合して位置決め支持領域72を形成するレンズ嵌合部30aと、レンズ14(15,17)と接触することなく鏡筒12と嵌合して鏡筒12と共に非接触領域70を形成する鏡筒嵌合部30bとを有する。これらのレンズ嵌合部30aおよび鏡筒嵌合部30bは、環状の介挿部材30の周方向の少なくとも一部に少なくとも1つ以上設けられればよいが、特に本実施の形態において、介挿部材30は、その周方向に沿ってレンズ嵌合部30aと鏡筒嵌合部30bとを交互に連続して有している(したがって、非接触領域70と位置決め支持領域72とが周方向に沿って交互に連続して設けられる)。具体的には、直線状の3つのレンズ嵌合部30aと略円弧状の3つの鏡筒嵌合部30bとが互いに隣接して位置されている。この場合、図2から分かるように、介挿部材30は、光軸Oと直交する断面において、そのレンズ嵌合部30aがレンズ14(15,17)と点接触する(図2では、接触点がC1で示される)とともに、その鏡筒嵌合部30bが鏡筒12と線接触(図2では、線接触する部分がC2で示される)するようになっている。
なお、図3に拡大して示されるように、介挿部材30は、その鏡筒嵌合部30bで、鏡筒12の内面12cに形成される段差部12dにより支持されており、像側へと向かう光軸方向のそれ以上の移動が阻止されている。
【0031】
また、図2に示されるように、本実施の形態において、介挿部材30により形成される位置決め支持領域72の径方向に沿う肉厚T2(本実施の形態では、レンズ嵌合部30aの肉厚T2)は、鏡筒12と介挿部材30とにより形成される非接触領域70の径方向に沿う肉厚T1(本実施の形態では、鏡筒12の肉厚と鏡筒嵌合部30bの肉厚との和)よりも薄く設定されている。
【0032】
また、図1から分かるように、本実施の形態において、光軸O方向で互いに隣り合うレンズ同士(隣り合う第2のレンズ14および第3のレンズ15;隣り合う第3のレンズ15および接合レンズ40(ここでは、第5のレンズ17))は、介挿部材30のレンズ嵌合部30aおよび鏡筒嵌合部30bの周方向位置が互いに同じになっている。すなわち、光軸Oの方向から見て、各レンズ14,15,17の介挿部材30のレンズ嵌合部30aおよび鏡筒嵌合部30bの周方向位置が完全に一致している。
【0033】
なお、介挿部材30は、それが支持するレンズ14(15,17)と同等の線膨張係数(熱膨張率)を有することが好ましい。これによれば、レンズ14(15,17)が介挿部材30との嵌合に伴ってその膨張時に介挿部材30から圧縮応力を受けることを防止できる。また、介挿部材30は、レンズ14(15,17)の膨張を吸収できる素材により形成されてもよい。介挿部材30を形成する材料としては、ナイロン系材料であるレニーやザイロン(商標名)等を挙げることができる。また、樹脂鏡筒の場合、介挿部材30は鏡筒と線膨張率を合わせるために同一の材料を用いるのが好ましい。更に、介挿部材30は、例えば、レンズ14(15,17)の外周に嵌め付けられた状態で鏡筒12内に組み込まれてもよい。
【0034】
また、図4は、以上のような構成を成すレンズユニット11を有する本実施の形態のカメラモジュール300の概略断面図である。図示のように、このカメラモジュール300は、フィルタ100が装着された図1のレンズユニット11を含んで構成される。
【0035】
カメラモジュール300は、外装部品である上ケース(カメラケース)301と、レンズユニット11を保持するマウント(台座)302とを備えている。また、カメラモジュール300は、シール部材303およびパッケージセンサ(撮像素子)304を備えている。
【0036】
上ケース301は、鏡筒12の外周面12aに鍔状に設けられるフランジ部25に係合されるとともに、レンズユニット11の物体側の端部を露出させて他の部分を覆う部材である。マウント302は、上ケース301の内部に配置されており、レンズユニット11の雄ねじ11aと螺合する雌ねじ302aを有する。シール部材303は、上ケース301の内面とレンズユニット11の鏡筒12の外周面12aとの間に介挿された部材であり、上ケース301の内部の気密性を保持するための部材である。
【0037】
パッケージセンサ304は、マウント302の内部に配置されており、かつ、レンズユニット11により形成される物体の像を受光する位置に配置されている。また、パッケージセンサ304は、外側に透明カバーを有し、その内部にCCDやCMOS等を備えており、レンズユニット11を通じて集光されて到達する光を電気信号に変換する。変換された電気信号は、カメラにより撮影された画像データの構成要素であるアナログデータやデジタルデータに変換される。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、レンズ14(15,17)を嵌合状態で支持するレンズ支持部80が、鏡筒12とレンズ14(15,17)とが接触しない非接触領域70と、レンズ14(15,17)を鏡筒12に対して支持して光軸Oと同心的に位置決めする位置決め支持領域72とを有するとともに、位置決め支持領域72の径方向に沿う肉厚T2が非接触領域70の径方向に沿う肉厚T1よりも薄く設定されているため、言い換えると、レンズ14(15,17)を鏡筒12に接触させない非接触領域70を確保しつつ、レンズ14(15,17)の熱膨張時にレンズ14(15,17)が鏡筒12から圧縮応力を間接的に受け得る位置決め支持領域72ではレンズ支持部80の肉厚を薄く設定しているため、レンズ14(15,17)の熱膨張を非接触領域70のみならず位置決め支持領域72でも効果的に逃がしてレンズ14(15,17)に作用する圧縮応力を緩和させ、圧縮応力に伴うレンズ14(15,17)の面形状の変形を抑制することができる。また、レンズ支持部80は、鏡筒12とレンズ14(15,17)とが接触しない非接触領域70を伴いつつも、位置決め支持領域72によってレンズ14(15,17)を鏡筒12に対して確実に支持して光軸Oと同心的に位置決めできるため、レンズ14(15,17)がガタついて、解像性能劣化や光軸ずれが生じ、光学性能の劣化につながる虞もない。
【0039】
特に、本実施の形態では、鏡筒12と接触することなくレンズ14(15,17)と嵌合して位置決め支持領域72を形成するレンズ嵌合部30aと、レンズ14(15,17)と接触することなく鏡筒12と嵌合して鏡筒12と共に非接触領域70を形成する鏡筒嵌合部30bとを有する環状の介挿部材30が、鏡筒12と共にレンズ支持部を形成する部材として、レンズ14(15,17)の外周側面14a(15a,17a)と鏡筒12の内面12cとの間に介挿され、この介挿部材30によってレンズ14(15,17)を鏡筒12と接触させることなく光軸Oと同心的に位置決めするようになっているため、すなわち、鏡筒12内でレンズ14(15,17)を全周にわたって鏡筒12と直接に接触嵌合させないようにしているため、鏡筒12とレンズ14(15,17)とでその線膨張係数(熱膨張率)に差異があっても、それに伴う鏡筒12からの影響をレンズ14(15,17)が受けることがなくなる。つまり、例えば高温環境下において、鏡筒12内側のレンズ14(15,17)が熱膨張しても、レンズ14(15,17)が鏡筒12から圧縮応力を受けることがなくなり、したがって、レンズ14(15,17)の偏心を規制できるとともに、レンズ14(15,17)の変形を抑えることもできる。また、介挿部材30がレンズ14(15,17)と鏡筒12の両方に嵌合するようになっているため、レンズ14(15,17)の遊動を可能にする隙間が鏡筒12とレンズ14(15,17)との間に形成されず、そのため、レンズ14(15,17)がガタついて、解像性能劣化や光軸ずれが生じ、光学性能が劣化してしまうといった事態を回避できる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、介挿部材30がその周方向に沿ってレンズ嵌合部30aと鏡筒嵌合部30bとを交互に有しているため、介挿部材30によるレンズ14(15,17)の支持力(レンズ14(15,17)の支持安定性)、並びに、鏡筒12およびレンズ14(15,17)が介挿部材30から受ける嵌合力(応力)を周方向で均等に分散することができ、力学的に好ましいレンズユニット11の構造形態を実現できる
【0041】
また、本実施の形態によれば、光軸Oと直交する断面において、介挿部材30のレンズ嵌合部30aがレンズ14(15,17)と点接触するとともに、介挿部材30の鏡筒嵌合部30bが鏡筒12と線接触しているため、レンズ14(15,17)が介挿部材30から受ける応力を最小限に抑えつつ、介挿部材30を介した鏡筒12によるレンズ14(15,17)の支持を確実かつ安定的に行なうことができる。
【0042】
図5は、本発明の第2の実施の形態を示している。図示のように、本実施の形態に係るレンズユニット11Aにおいて、光軸O方向で互いに隣り合うレンズ同士(隣り合う第2のレンズ14および第3のレンズ15;隣り合う第3のレンズ15および接合レンズ40(ここでは、第5のレンズ17))は、介挿部材30のレンズ嵌合部30aおよび鏡筒嵌合部30bの周方向位置が互いに異なっている。この点においてのみ第1の実施の形態と異なる。すなわち、光軸Oの方向から見て、各レンズ14,15,17の介挿部材30のレンズ嵌合部30aおよび鏡筒嵌合部30bの周方向位置が一致していない。例えば、所定の周方向位置において、第2のレンズ14の介挿部材30では鏡筒嵌合部30bが位置されるのに対し、第3のレンズ15の介挿部材30ではレンズ嵌合部30aが位置される。また、所定の周方向位置において、第3のレンズ15の介挿部材30では鏡筒嵌合部30bが位置されるのに対し、第5のレンズ17の介挿部材30ではレンズ嵌合部30aが位置される。
【0043】
このように、光軸O方向において互いに隣り合うレンズ同士で、その介挿部材30のレンズ嵌合部30aおよび鏡筒嵌合部30bの周方向位置が互いに異なっていれば、光軸O方向に沿う応力の分散を図ることができ、力学的に好ましいレンズユニットの構造形態を実現できる。
【0044】
図6は、本発明の第3の実施の形態を示している。図示のように、本実施の形態に係るレンズユニット11Bにおいて、介挿部材30Aは、断面が六角形の内面12cを有する鏡筒12Aとレンズ14(15,17)との間に介挿されるべく、レンズ14(15,17)と点接触する直線状の3つのレンズ嵌合部30aと鏡筒12Aと線接触する直線状の3つの鏡筒嵌合部30bとがその周方向に沿って互いに隣接して交互に連続して位置された六角形状を有している。この点においてのみ第1および第2の実施の形態と異なる。このような介挿部材30Aにおいても、前述した実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、鏡筒12Aの内面12cの形状は六角形である必要はなく、四角形、五角形、八角形等であってもよく、また、それに応じた多角形形状を介挿部材30Aが有することができる。この場合、鏡筒12Aの小型化およびレンズの安定的な支持等を図るため、レンズ嵌合部30aおよびこれに対向する鏡筒12Aの内面12cは互いに平行であることが好ましい。
【0045】
図7および図8は、本発明の第4の実施の形態を示している。図示のように、本実施の形態に係るレンズユニット11Cにおいて、レンズ14,15,17を嵌合状態で支持するレンズ支持部80Aは、前述した介挿部材30(30A)を伴うことなく、断面が円形の鏡筒12Bのみによって形成される。具体的には、本実施の形態のレンズ支持部80Aは、鏡筒12Bとレンズ14,15,17とが接触しない非接触領域70と、レンズ14,15,17を鏡筒12Bに対して支持して(本実施の形態では、レンズ14,15,17を鏡筒12Bによって直接に支持して(したがって、レンズ14,15,17と鏡筒12Bとが直接に接触する))光軸Oと同心的に位置決めする位置決め支持領域72とを有し、位置決め支持領域72は、光軸Oと直交する断面においてレンズ14,15,17と例えば点接触する略直線状の鏡筒12Bの薄肉部12eによって形成される。この場合、薄肉部12eは、レンズ支持部80Aの位置決め支持領域72を形成する鏡筒12Bの外周面部位に径方向内側に向かって凹陥溝90を設けることによって形成される。すなわち、本実施の形態において、位置決め支持領域72を形成する鏡筒12Bの部位(すなわち、薄肉部12e)の径方向に沿う肉厚T2は、非接触領域70を形成する鏡筒12Bの部位の径方向に沿う肉厚T1よりも薄くなっている。また、各レンズ14,15,17の薄肉部12eの周方向位置が揃っている(一方向のみに薄肉部12eが片寄っている)と、鏡筒12Bの変形が起こり得るため、本実施の形態では、各レンズ14,15,17ごとに薄肉部12eの形成位置が互い違いになっている。すなわち、光軸O方向で互いに隣り合うレンズ同士(隣り合う第2のレンズ14および第3のレンズ15;隣り合う第3のレンズ15および接合レンズ40(ここでは、第5のレンズ17))は、薄肉部12e(位置決め支持領域72)の周方向位置が(したがって、非接触領域70の周方向位置も)互いに異なっている。例えば、所定の周方向位置において、第2のレンズ14では薄肉部12e(位置決め支持領域72)が位置されるのに対し、第3のレンズ15では非接触領域70が位置される。また、所定の周方向位置において、第3のレンズ15では薄肉部12e(位置決め支持領域72)が位置されるのに対し、第5のレンズ17では非接触領域70が位置される。
【0046】
また、本実施の形態において、レンズ支持部80Aは、非接触領域70と位置決め支持領域72とが周方向に沿って交互に連続して設けられて成り、また、非接触領域70および位置決め支持領域72を形成する鏡筒12Bの内面12cはいずれも、光軸Oと直交する断面において直線状を成している。したがって、鏡筒12Bは、断面が多角形(図8では六角形)の内面12cを有している。しかしながら、非接触領域70および/または位置決め支持領域72を形成する鏡筒12Bの内面12cが円弧状を成していても構わない。なお、本実施の形態において、光軸方向で互いに隣り合うレンズ同士のレンズ支持部80Aは、非接触領域70および位置決め支持領域72の周方向位置が互いに同じであるが、互いに異なっていてもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態においても、前述した実施の形態と同様に、レンズ14(15,17)を嵌合状態で支持するレンズ支持部80Aが、鏡筒12Bとレンズ14(15,17)とが接触しない非接触領域70と、レンズ14(15,17)を鏡筒12Bに対して支持して光軸Oと同心的に位置決めする位置決め支持領域72とを有するとともに、位置決め支持領域72の径方向に沿う肉厚T2が非接触領域70の径方向に沿う肉厚T1よりも薄く設定されているため、言い換えると、レンズ14(15,17)を鏡筒12Bに接触させない非接触領域70を確保しつつ、レンズ14(15,17)の熱膨張時にレンズ14(15,17)が鏡筒12Bから圧縮応力を直接的に受け得る位置決め支持領域72ではレンズ支持部80Aの肉厚を薄く設定しているため、レンズ14(15,17)の熱膨張を非接触領域70のみならず位置決め支持領域72でも効果的に逃がしてレンズ14(15,17)に作用する圧縮応力を緩和させ、圧縮応力に伴うレンズ14(15,17)の面形状の変形を抑制することができる。また、レンズ支持部80Aは、鏡筒12Bとレンズ14(15,17)とが接触しない非接触領域70を伴いつつも、位置決め支持領域72によってレンズ14(15,17)を鏡筒12Bに対して確実に支持して光軸Oと同心的に位置決めできるため、レンズ14(15,17)がガタついて、解像性能劣化や光軸ずれが生じ、光学性能の劣化につながる虞もない。
【0048】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、本発明において、レンズ、鏡筒、介挿部材などの形状は、前述した実施の形態に限定されない。また、前述した実施の形態では、第2、第3および第5のレンズにレンズ支持部(介挿部材)が設けられたが、例えば第4のレンズおよび第5のレンズが接合レンズ40でない場合などにおいては、第1のレンズおよび第4のレンズを含めて全てのレンズにレンズ支持部が設けられてもよい(全てのレンズと鏡筒との間に介挿部材が介在されてもよい)。
【符号の説明】
【0049】
11,11A,11B,11C レンズユニット
12,12A 鏡筒
12c 内面
13,14,15,16,17 レンズ
14a,15a,17a 外周側面
30 介挿部材
30a レンズ嵌合部
30b 鏡筒嵌合部
70 非接触領域
72 位置決め支持領域
80,80A レンズ支持部
300 カメラモジュール
O 光軸
S 内側収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを収容保持するための内側収容空間を形成する筒状の鏡筒と、前記鏡筒の前記内側収容空間内に組み込まれ、複数のレンズが光軸に沿って並べられて成るレンズ群とを備えるレンズユニットであって、
前記レンズの外周側面と前記鏡筒の内面との間に介挿されて前記レンズを前記鏡筒と接触させることなく前記光軸と同心的に位置決めするための環状の介挿部材を備え、
前記介挿部材は、前記鏡筒と接触することなく前記レンズと嵌合するレンズ嵌合部と、前記レンズと接触することなく前記鏡筒と嵌合する鏡筒嵌合部とを有し、
前記レンズ嵌合部の径方向に沿う肉厚は、前記鏡筒嵌合部の径方向に沿う肉厚以下に設定されることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記光軸と直交する断面において、前記介挿部材の前記レンズ嵌合部が前記レンズと点接触するとともに、前記介挿部材の前記鏡筒嵌合部が前記鏡筒と線接触することを特徴とする請求項に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記介挿部材は、その周方向に沿って前記レンズ嵌合部と前記鏡筒嵌合部とを交互に有することを特徴とする請求項またはに記載のレンズユニット。
【請求項4】
光軸方向で互いに隣り合うレンズ同士は、前記介挿部材の前記レンズ嵌合部および前記鏡筒嵌合部の周方向位置が互いに同じであることを特徴とする請求項に記載のレンズユニット。
【請求項5】
光軸方向で互いに隣り合うレンズ同士は、前記介挿部材の前記レンズ嵌合部および前記鏡筒嵌合部の周方向位置が互いに異なることを特徴とする請求項に記載のレンズユニット。
【請求項6】
レンズを収容保持するための内側収容空間を形成する筒状の鏡筒と、前記鏡筒の前記内側収容空間内に組み込まれ、複数のレンズが光軸に沿って並べられて成るレンズ群とを備えるレンズユニットであって、
前記鏡筒は、前記レンズと接触しない非接触領域と、前記レンズを直接に支持して前記光軸と同心的に位置決めする位置決め支持領域とを有し、
前記位置決め支持領域は、前記非接触領域よりも径方向に沿う肉厚が薄く設定されることを特徴とするレンズユニット。
【請求項7】
前記鏡筒は、断面が円形の内面を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記鏡筒は、断面が多角形の内面を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載のレンズユニットを備えていることを特徴とするカメラモジュール。